JP2014098179A - 銅めっき層付き圧延銅箔 - Google Patents

銅めっき層付き圧延銅箔 Download PDF

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Abstract

【課題】再結晶焼鈍工程後に、優れた耐屈曲性を具備させる。
【解決手段】無酸素銅、または無酸素銅を母相とする希薄銅合金からなる圧延銅箔と、圧延銅箔の主表面またはその裏面の少なくとも片側の面上に形成された銅めっき層と、を備え、圧延銅箔を再結晶に調質した状態では、銅めっき層の結晶粒の少なくとも一部が、圧延銅箔の調質した結晶粒と一体化している。
【選択図】図1

Description

本発明は、銅めっき層付き圧延銅箔に関し、特に、フレキシブルプリント配線板に用いられる銅めっき層付き圧延銅箔に関する。
フレキシブルプリント配線板(FPC:Flexible Printed Circuit)は、薄くて可撓性に優れることから、電子機器等への実装形態における自由度が高い。そのため、FPCは、折り畳み式携帯電話の折り曲げ部や、デジタルカメラ、プリンタヘッド等の可動部のほか、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)やデジタルバーサタイルディスク(DVD:Digital Versatile Disk)やコンパクトディスク(CD:Compact Disk)等のディスク関連機器の可動部の配線等に用いられることが多い。したがって、FPCやその配線材として用いられる圧延銅箔には、高屈曲特性、つまり、繰り返しの曲げに耐える優れた耐屈曲性が要求されてきた。
FPC用の圧延銅箔は、熱間圧延、冷間圧延等の工程を経て製造される。圧延銅箔は、その後のFPCの製造工程において、接着剤を介し或いは直接的に、ポリイミド等の樹脂からなるFPCのベースフィルム(基材)と加熱等により貼り合わされる。基材上の圧延銅箔は、エッチング等の表面加工を施されて配線となる。圧延銅箔の耐屈曲性は、圧延されて硬化した冷間圧延後の硬質な状態よりも、再結晶により軟化した焼鈍後の状態の方が著しく向上する。そこで、例えば上述のFPCの製造工程においては、冷間圧延後の硬化した圧延銅箔を用いて伸びやしわ等の変形を避けつつ圧延銅箔を裁断し、基材上に重ね合わせる。その後、圧延銅箔と基材とを密着させ複合する工程も兼ねて加熱することにより、圧延銅箔の再結晶焼鈍を行って耐屈曲性の向上を図っている。
上述のFPCの製造工程を前提として、耐屈曲性に優れた圧延銅箔やその製造方法についてこれまでに種々の研究がなされ、圧延銅箔の表面に立方体方位である{002}面({200}面)を発達させるほど耐屈曲性が向上することが数多く報告されている。
例えば、特許文献1では、最終冷間圧延の直前の焼鈍を、再結晶粒の平均粒径が5μm〜20μmになる条件下で行う。また、最終冷間圧延での圧延加工度を90%以上とする。これにより、再結晶組織となるよう調質された状態において、圧延面のX線回折で求めた{200}面の強度をIとし、微粉末銅のX線回折で求めた{200}面の強度をIとしたとき、I/I>20である立方体集合組織を得る。
また、例えば、特許文献2では、最終冷間圧延前の立方体集合組織の発達度を高め、最終冷間圧延での加工度を93%以上とする。更に再結晶焼鈍を施すことにより、{200}面の積分強度がI/I≧40の、立方体集合組織が著しく発達した圧延銅箔を得る。
また、例えば、特許文献3では、最終冷間圧延工程における総加工度を94%以上とし、かつ1パスあたりの加工度を15%〜50%に制御する。これにより、再結晶焼鈍後には、所定の結晶粒配向状態が得られる。つまり、X線回折極点図測定により得られる圧延面の{200}面に対する{111}面の面内配向度Δβが10°以下となる。また、圧延面における立方体集合組織である{200}面の規格化した回折ピーク強度[a]と{200}面の双晶関係にある結晶領域の規格化した回折ピーク強度[b]との比が、[a]/[b]≧3となる。
このように、従来技術では、最終冷間圧延工程の総加工度を高くすることで、再結晶焼鈍工程後に圧延銅箔の立方体集合組織を発達させて耐屈曲性の向上を図っている。
特許第3009383号公報 特許第3856616号公報 特許第4285526号公報
ところで、FPC用途の圧延銅箔では、基材との貼り合せ強度を向上させるため、例えば圧延銅箔の片面または両面に銅めっき層を形成したうえで、粗化粒を付着させる場合がある。
しかしながら、銅めっき層を形成した、銅めっき層付き圧延銅箔では、例えば上記の特許文献1〜3の技術を用いて耐屈曲性を高めた圧延銅箔であっても、繰り返しの曲げによるとみられる疲労破断が発生してしまうことがある。つまり、銅めっき層付き圧延銅箔では、耐屈曲性の悪化がみられることがあった。
本発明の目的は、再結晶焼鈍工程後に優れた耐屈曲性を具備させることが可能な銅めっき層付き圧延銅箔を提供することである。
本発明の第1の態様によれば、
無酸素銅、または無酸素銅を母相とする希薄銅合金からなる圧延銅箔と、
前記圧延銅箔の主表面またはその裏面の少なくとも片側の面上に形成された銅めっき層と、を備え、
前記圧延銅箔を再結晶に調質した状態では、
前記銅めっき層の結晶粒の少なくとも一部が、前記圧延銅箔の調質した結晶粒と一体化している
銅めっき層付き圧延銅箔が提供される。
本発明の第2の態様によれば、
前記銅めっき層と前記圧延銅箔との境界を横断する切断面において、前記銅めっき層の結晶粒が前記圧延銅箔の調質した結晶粒と一体化した領域では、前記銅めっき層の結晶粒と前記圧延銅箔の調質した結晶粒とが不連続となる境界線が消失しており、
前記圧延銅箔を再結晶に調質した状態では、前記境界線の50%以上が消失している
第1の態様に記載の銅めっき層付き圧延銅箔が提供される。
本発明の第3の態様によれば、
前記銅めっき層と前記圧延銅箔との境界を横断する切断面において、前記銅めっき層の結晶粒が前記圧延銅箔の調質した結晶粒と一体化した領域は、走査型電子顕微鏡による倍率2万倍の反射電子像にて、前記銅めっき層の結晶粒と前記圧延銅箔の調質した結晶粒とが不連続となる境界線の消失として観測され、
前記圧延銅箔を再結晶に調質した状態では、
前記反射電子像における前記圧延銅箔の主表面と水平な方向に5μmの範囲内で、前記境界線の50%以上の消失が観測される
第1又は第2の態様に記載の銅めっき層付き圧延銅箔が提供される。
本発明の第4の態様によれば、
前記圧延銅箔は、
最終冷間圧延工程後、再結晶焼鈍工程前には前記主表面に平行な複数の結晶面を有し、
前記複数の結晶面には{022}面、{002}面、{113}面、{111}面、及び{133}面が含まれ、
前記主表面に対する2θ/θ法によるX線回折測定で得られる前記各結晶面の回折ピーク強度をそれぞれI{022}、I{002}、I{113}、I{111}、及びI{133}としたとき、
{022}/(I{022}+I{002}+I{113}+I{111}+I{133})≧0.50であり、
(I{002}+I{113})/(I{111}+I{133})≦2.0であり、
10≦I{022}/I{002}≦45であり、
{022}/I{113}≧5.0であり、
{022}/I{111}≦120であり、
{022}/I{133}≦25であり、
{002}/I{113}≦5.0であり、
{111}/I{133}≦3.0であり、
{113}/I{111}≦5.0であり、
{002}/I{111}≦8.0であり、
{002}/I{133}≦2.0であり、且つ、
{113}/I{133}≦2.0である
第1〜第3の態様のいずれかに記載の銅めっき層付き圧延銅箔が提供される。
本発明の第5の態様によれば、
前記圧延銅箔には、10ppm以上90ppm以下のスズ(Sn)が含有されている
第1〜第4の態様のいずれかに記載の銅めっき層付き圧延銅箔が提供される。
本発明の第6の態様によれば、
前記圧延銅箔には、25ppm以上250ppm以下の銀(Ag)と、20ppm以上200ppm以下のホウ素(B)と、が含有されている
第1〜第4の態様のいずれかに記載の銅めっき層付き圧延銅箔が提供される。
本発明の第7の態様によれば、
前記銅めっき層の厚さが、0.01μm以上2μm以下であり、
前記銅めっき層と前記圧延銅箔との全体の厚さが、1μm以上20μm以下である
第1〜第6の態様のいずれかに記載の銅めっき層付き圧延銅箔が提供される。
本発明の第8の態様によれば、
フレキシブルプリント配線板用である
第1〜第7の態様のいずれかに記載の銅めっき層付き圧延銅箔が提供される。
本発明によれば、再結晶焼鈍工程後に優れた耐屈曲性を具備させることが可能な銅めっき層付き圧延銅箔が提供される。
本発明の一実施形態に係る銅めっき層付き圧延銅箔の製造工程を示すフロー図である。 本発明の実施例1および比較例1に係る銅めっき層付き圧延銅箔の切断面の走査型電子顕微鏡による反射電子像であって、(a)が実施例1の再結晶焼鈍工程前後の結晶構造をそれぞれ左右に示す反射電子像であり、(b)が比較例1の再結晶焼鈍工程前後の結晶構造をそれぞれ左右に示す反射電子像である。 図2(a)の再結晶焼鈍工程後の反射電子像の拡大図である。 本発明の実施例に係る銅めっき層付き圧延銅箔の耐屈曲性を測定する摺動屈曲試験装置の模式図である。 純銅型の結晶集合組織の形態をとる金属の逆極点図であって、(a)は引張変形による結晶回転方向を示す逆極点図であり、(b)は圧縮変形による結晶回転方向を示す逆極点図である。
<本発明者等が得た知見>
上述のように、例えばFPCの配線材として用いられる圧延銅箔においては、FPCの基材との貼り合せ強度を向上させるため、例えば圧延銅箔の片面または両面に粗化粒を付着させる場合がある。このとき、粗化粒を均一に付着させるため、圧延銅箔の粗化粒の形成面に銅めっき層を形成し、表面の平坦化を図る場合がある。
しかしながら、銅めっき層が形成された圧延銅箔では、上述の特許文献1〜3のように耐屈曲性を高めた圧延銅箔であっても、疲労破断が発生するなど耐屈曲性の悪化がみられることがあった。本発明者等は、このような破断が銅めっき層を起点に発生していることを突き止めた。銅めっき層で発生した破断は直ちに圧延銅箔へと伝播し、銅めっき層付き圧延銅箔全体でみたときに、耐屈曲性を悪化させているものと考えられる。
通常、銅めっき層は、耐屈曲性が考慮されることなく形成される。本発明者等は、銅めっき層は圧延銅箔とは異なる方法、つまり、めっきによって形成され、銅めっき層と圧延銅箔とでは結晶構造等も異なることから、圧延銅箔自体の耐屈曲性を高めても、銅めっき層付き圧延銅箔においては、その効果が充分得られないと考えた。
そこで、本発明者等は、耐屈曲性を高めた圧延銅箔の結晶粒に、銅めっき層の少なくとも一部の結晶粒を一体化させた銅めっき層付き圧延銅箔を試作し、銅めっき層付き圧延銅箔全体での耐屈曲性の向上を図った。すなわち、圧延銅箔の優れた耐屈曲性を利用して、銅めっき層の耐屈曲性の向上を図った。
ところで、このような方法により銅めっき層の耐屈曲性を向上させるには、圧延銅箔自体が充分に優れた耐屈曲性を備えることが前提となる。
上述のように、FPC用途で求められる優れた耐屈曲性の圧延銅箔を得るには、圧延面の立方体方位を発達させるほど良い。本発明者等も、立方体方位の占有率を増大させるべく種々の実験を行ってきた。そして、それまでの実験結果から、最終冷間圧延工程後に存在していた{022}面が、その後の再結晶焼鈍工程によって再結晶に調質されると、{002}面、すなわち立方体方位となることを確認した。つまり、最終冷間圧延工程後、再結晶焼鈍工程前においては、{022}面が主方位となっていることが好ましい。
しかしながら、上述の特許文献1〜3に記載があるように、また、本発明者等が試みたように、立方体集合組織を多く発現させたとしても、多結晶構造をとる圧延銅箔において立方体集合組織である{002}面が100%を占めることはない。近年では、電子機器の小型化や薄型化に伴って小スペースへFPCを組み込むことが増え、より小さいスペース内でFPCやその配線材の性能の信頼性を確保しなければならない。これに応じて、配線材となる圧延銅箔の耐屈曲性に対する要求も高まっており、ただ単に主方位の{002}面にのみ着目し、立方体集合組織の比率を高めるという上記特許文献1〜3の手法には限界がある。
また、圧延銅箔が多結晶構造をとる点は再結晶焼鈍工程前でも同じであり、再結晶焼鈍工程前の状態では主方位である{022}面や、再結晶前後に結晶方位の保たれる{002}面以外にも、{113}面、{111}面、{133}面等の副方位の結晶面が制御されることなく複数混在する。そして、これらの複数の結晶面を有する結晶粒は、圧延銅箔の諸特性に種々の影響を及ぼすと考えられる。
そこで、本発明者等は、これまで不要とされてきた副方位の結晶面に着目し、主方位の占有率を維持して高い耐屈曲性を確保しつつ、これら副方位の結晶面を耐屈曲性の更なる向上に寄与させることができないか検討してきた。
係る検討において、本発明者等は、{113}面、{111}面、{133}面等の副方位を含む結晶面の、圧延銅箔の主表面における回折ピークの解析を進めた。回折ピークは各副方位の存在を示し、その強度比から各副方位の占有率を知ることができる。このような鋭意研究の結果、本発明者等は、係る回折ピークの状態を様々に規定し、これらを制御することで、主方位の{022}面の制御によって所定の耐屈曲性が既に得られている状況下であっても、耐屈曲性を更に底上げすることができることを見いだした。
本発明は、発明者等が見いだしたこれらの知見に基づくものである。
<本発明の一実施形態>
(1)銅めっき層付き圧延銅箔の構成
まずは、本発明の一実施形態に係る銅めっき層付き圧延銅箔の構成について説明する。
本実施形態に係る銅めっき層付き圧延銅箔は、無酸素銅、または無酸素銅を母相とする希薄銅合金からなる圧延銅箔と、圧延銅箔の少なくとも片側の面上に形成された銅めっき層と、を備える。また、係る銅めっき層付き圧延銅箔は、例えばFPCの可撓性の配線材としての用途に用いられるよう、全体の厚さが1μm以上20μm以下となるよう構成されている。
また、銅めっき層上には、例えば粗化粒が付着している。粗化粒は、代表値にして例えば銅(Cu)単体、または、銅に、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)等を少なくとも1種類以上含む直径1μm程度の金属粒子である。粗化粒は、例えば粗化めっき等により形成される。
(圧延銅箔の概要)
銅めっき層付き圧延銅箔が備える圧延銅箔は、例えば主表面としての圧延面を備える板状に構成されている。この圧延銅箔は、例えば無酸素銅(OFC:Oxygen-Free Copper)等の純銅を原材料とする鋳塊に、後述の熱間圧延工程や冷間圧延工程等を施し所定厚さとした、最終冷間圧延工程後、再結晶焼鈍工程前の圧延銅箔である。すなわち、本実施形態に係る圧延銅箔は、例えば総加工度が90%以上、より好ましくは94%以上の最終冷間圧延工程により、銅めっき層を含めた全体の厚さが例えば上述の厚さとなるよう構成されている。この後、上述のように、例えばFPCの基材との貼り合わせの工程を兼ねて銅めっき層付き圧延銅箔に再結晶焼鈍工程が施されると、再結晶に調質された圧延銅箔が、優れた耐屈曲性を具備するよう企図されている。
圧延銅箔の原材料となる無酸素銅は、例えばJIS C1020,H3100等に規定の純度が99.96%以上の銅材である。酸素含有量は完全にゼロでなくともよく、例えば数ppm程度の酸素が含まれていてもよい。或いは、無酸素銅にスズ(Sn)や銀(Ag)等の所定の添加材を微量に加えて希薄銅合金とし、耐熱性等の諸特性が調整された原材料を用いてもよい。このとき、添加材の添加量が、母相である無酸素銅による純銅型集合組織(純金属型集合組織とも呼ばれる)の結晶方位形態の形成を妨げない範囲とする。添加材の添加量がこのような許容量以上の所定量に到達すると、無酸素銅の母材は純銅型集合組織から黄銅型集合組織(合金型集合組織とも呼ばれる)へと徐々に遷移してしまう。遷移が始まる添加量は添加される元素毎に異なる。
ここで具体例を挙げると、例えば本実施形態に係る圧延銅箔の原材料となり得る希薄銅合金には、10ppm以上90ppm以下のスズが含有していてもよい。或いは、25ppm以上250ppm以下の銀と、20ppm以上200ppm以下のホウ素と、が含有されていてもよい。
このように、本実施形態に係る圧延銅箔には、無酸素銅を母相とする純銅と、黄銅型集合組織への遷移が始まる前までの希薄銅合金との両方を含むことができ、この限りにおいて、添加材による本実施形態の効果への影響はほとんど生じない。
最終冷間圧延工程における圧延銅箔の総加工度は、最終冷間圧延工程前の加工対象物(銅の板材)の厚さをTとし、最終冷間圧延工程後の加工対象物の厚さをTとすると、総加工度(%)=[(T−T)/T]×100で表わされる。総加工度を90%以上、より好ましくは94%以上とすることで、高い耐屈曲性を有する圧延銅箔が得られる。
(圧延面の結晶構造)
上述の圧延銅箔は、圧延面に平行な複数の結晶面を有している。具体的には、最終冷間圧延工程後、再結晶焼鈍工程前の状態で、複数の結晶面には、{022}面、{002}面、{113}面、及び{111}面、及び{133}面が含まれる。{022}面は圧延面における主方位となっており、その他の各結晶面は副方位である。
圧延銅箔の圧延面に対して2θ/θ法によりX線回折測定を行って得られる各結晶面の回折ピーク強度をそれぞれI{022}、I{002}、I{113}、I{111}、及びI{133}としたとき、各結晶面の回折ピーク強度は以下の式(1)〜(12)が全て成り立つ関係にある。
{022}/(I{022}+I{002}+I{113}+I{111}+I{133})≧0.50・・・(1)
(I{002}+I{113})/(I{111}+I{133})≦2.0・・・(2)
10≦I{022}/I{002}≦45・・・(3)
{022}/I{113}≧5.0・・・(4)
{022}/I{111}≦120・・・(5)
{022}/I{133}≦25・・・(6)
{002}/I{113}≦5.0・・・(7)
{111}/I{133}≦3.0・・・(8)
{113}/I{111}≦5.0・・・(9)
{002}/I{111}≦8.0・・・(10)
{002}/I{133}≦2.0・・・(11)
{113}/I{133}≦2.0・・・(12)
以上により、本実施形態に係る圧延銅箔は、再結晶焼鈍工程後には、優れた耐屈曲性を具備するよう構成される。
(銅めっき層の概要)
銅めっき層付き圧延銅箔が備える銅めっき層は、圧延銅箔の主表面としての圧延面、またはその裏面の、少なくとも片側の面上に、例えば電解めっき等を用いて形成されている。本実施形態に係る銅めっき層は、例えば0.01μm以上2μm以下の厚さに構成されている。このような厚さに形成することで、銅めっき層は、粗化粒の下地として圧延銅箔の表面を平坦化し、粗化粒を均一に付着させるよう構成されている。
(銅めっき層の結晶構造)
少なくとも上述の圧延銅箔を再結晶に調質した状態では、係る銅めっき層の結晶粒の少なくとも一部は、上述の圧延銅箔の調質した結晶粒と一体化している。銅めっき層と圧延銅箔との境界(結晶粒界)を横断する切断面において、銅めっき層の結晶粒が圧延銅箔の調質した結晶粒と一体化した領域では、銅めっき層の結晶粒と圧延銅箔の調質した結晶粒とが不連続となる境界線、すなわち、結晶粒界が消失した状態となっている。
このような、それぞれの結晶粒の一体化は、圧延銅箔を再結晶に調質する前の状態、つまり、常温の状態においても、一部において認められることがある。これは、銅めっき層の常温での自己焼鈍(セルフアニール)による効果と考えられる。しかし、本実施形態は、圧延銅箔を再結晶に調質した状態において、例えば境界線の50%以上が消失していることが特徴となる。以下、係る境界線の消失部分の比率を一体化率ともいう。つまり、本実施形態においては、例えば一体化率は50%以上である。
このように、銅めっき層においては、常温でも自己焼鈍による再結晶が起こる場合があり、また、加熱による再結晶焼鈍前後で、銅めっき層の結晶構造はほとんど変化しない。よって、最終冷間圧延工程後、再結晶焼鈍工程前の銅めっき層の結晶構造は、めっき直後の状態を維持していてもよく、または、一部あるいは全部が再結晶した状態となっていてもよい。
但し、銅めっき層の結晶構造の状態によらず、電解めっき等により形成された銅めっき層の結晶粒は、圧延銅箔の調質した結晶粒より小さい。また、銅めっき層は、圧延銅箔よりも薄くなければならない。後述するように、銅めっき層の結晶粒の、圧延銅箔の調質した結晶粒との一体化は、これらのことが前提となっている。
(結晶構造の作用)
上述のように、本実施形態における圧延銅箔は、再結晶焼鈍工程後に優れた耐屈曲性を具備することとなる。
すなわち、圧延銅箔の{022}面は再結晶焼鈍工程後に{002}面へと変化して圧延銅箔の耐屈曲性を向上させる。上述の式(1)は、この{022}面の回折ピーク強度I{022}が、これ以外の方位の結晶面の回折ピーク強度と比較して5割以上と、充分に高いことを示している。
また、最終冷間圧延工程等の圧延加工時、圧延される銅材には圧縮応力と、圧縮応力よりも弱い引張応力とがかかっている。銅材中の銅結晶は、圧延工程時の応力により回転現象を起こし、いくつかの経路で{022}面へと変化する。圧縮応力が大きくなるほど{002}面や{113}面を経由し易く、引張応力が大きくなるほど{111}面や{133}面を経由し易く、それぞれ{022}面へと変化する。
つまり、上記の式(2)は、圧縮応力成分の存在を示す(I{002}+I{113})と、引張応力成分の存在を示す(I{111}+I{133})とのバランスを示している。
また、上記の式(3)〜(6)は、{022}面まで回転したものと、回転不充分であった{002}面、{113}面、{111}面、及び{133}面との回折ピーク強度の比率をそれぞれ示している。
また、上記の式(7),(8)は、{022}面へと変化するそれぞれの経路でみられる{002}面と{113}面、及び{111}面と{133}面、の回折ピーク強度の比率をそれぞれ示している。
また、上記の式(9)〜(12)は、異なる経路でみられる結晶面同士の回折ピーク強度の比率をそれぞれ示している。すなわち、式(9)〜(12)を上述の式(7),(8)と併せて考慮することで、{022}面まで回転しなかった結晶面同士の回折ピーク強度の比率を全て示していることになる。
上述のように、本発明者等の実験経験に基づけば、これまで割合が少なければ影響を無視できるとされてきた副方位の結晶面を制御することで、主方位の{022}面を多く発現させ所定の耐屈曲性が得られている状態から耐屈曲性を更に底上げすることができる。
再結晶焼鈍工程では、主方位である{022}面は{002}面へと変化するが、副方位である{002}面、{113}面、{111}面、及び{133}面は再結晶焼鈍工程前後でほとんど変化せず、副方位の各結晶面の回折ピーク強度の比率は、再結晶焼鈍工程後も略同一である。よって、再結晶焼鈍工程後に優れた耐屈曲性を具備させるには、最終冷間圧延工程後、再結晶焼鈍工程前の、本実施形態に係る圧延銅箔にて、上記比例関係式を全て満たすよう、各副方位の結晶面の回折ピーク強度の比率を制御しておけばよい。
なお、上記の式(1)〜(12)までに示す各結晶面の回折ピーク強度の比例関係は、ひとつ又は複数の式の範囲が変われば他の式の範囲も連動して変わってしまう点に留意が必要である。
つまり、例えば式(4)の下限値を大きく設定すると、例えば分母であるI{113}についても、より小さい値が許容されることとなる。しかしこの場合、式(7)の分母も小さくなり、式(7)の上限値が5.0を上回ることとなってしまう。
また、例えば式(4)の下限値を小さく設定すると、例えば分子であるI{022}についても、より小さい値が許容されることとなる。しかしこの場合、式(6)の分子も小さくなり、式(6)の上限値が25を下回ることとなってしまう。
このような関係は、上述の式(1)〜(12)までの全てに当てはまる。つまり、式(1)〜(12)のうち、1式でもその範囲が変われば、これに連動して範囲の変わってしまう式が1つ又は複数ある。上述の12式の上限値および下限値は、これらの関係性を考慮のうえ設定された好適な条件となっている。
一方、銅めっき層の結晶構造は、再結晶焼鈍工程後に優れた耐屈曲性を具備する圧延銅箔の特性を利用したものとなっている。
すなわち、本実施形態に係る銅めっき層付き圧延銅箔は、少なくとも再結晶焼鈍後には、銅めっき層の結晶粒の少なくとも一部が、圧延銅箔の調質した結晶粒と一体化した結晶構造となる。これにより、銅めっき層付き圧延銅箔の全体として優れた耐屈曲性を備えることとなる。
従来技術に係る銅めっき層は、銅めっき層の結晶粒と圧延銅箔の結晶粒とが不連続となる境界線、すなわち、結晶粒界を有する。そして、この状態は、再結晶焼鈍後にもほとんどそのまま維持される。
本発明者等は、このように銅めっき層と圧延銅箔との結晶構造が異なっているために、銅めっき層と圧延銅箔とでは、耐屈曲性をはじめとする種々の特性も独立して発現されてしまい、銅めっき層付き圧延銅箔において圧延銅箔の優れた耐屈曲性が発揮されないと考えた。
そこで、本発明者等は、本実施形態のように、銅めっき層付き圧延銅箔を、銅めっき層の結晶粒の少なくとも一部が圧延銅箔の調質した結晶粒と一体化した結晶構造とした。また、一体化した領域では、上述のように、それぞれの結晶粒の境界線が消失した状態となっており、一体化する前の銅めっき層の結晶粒は略認められない。このことから、銅めっき層と圧延銅箔とでは、結晶方位についても略同等となっていると考えられる。このように互いに一体化した結晶構造を持つ銅めっき層と圧延銅箔とは、実質的に同等の耐屈曲性を備えるとみることができる。このとき、係る一体化が銅めっき層付き圧延銅箔の全域にわたっていることが好ましいが、本発明者等によれば、上述のように、50%の領域において一体化されていれば充分な効果が得られる。
(2)圧延銅箔の製造方法
本発明者等は、銅めっき層の結晶粒の少なくとも一部が、圧延銅箔の調質した結晶粒と一体化した本実施形態の銅めっき層付き圧延銅箔を得るべく、鋭意研究を行った。
具体的には、銅めっき層を形成する際のめっき浴に、銅めっき層と圧延銅箔との一体化を促進させるような薬剤(以下、一体化促進剤ともいう)を添加すればよいと考え、種々の添加剤を試した。その結果、電解めっき等で用いられる所定の光沢剤に、後の再結晶焼鈍工程時において銅めっき層を圧延銅箔に一体化させる働きが認められた。つまり、これまで光沢剤やめっき促進剤として用いられていた所定の添加剤に、一体化促進剤としての新たな効果を見いだした。
次に、以上の知見に基づく、本発明の一実施形態に係る圧延銅箔の製造方法について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る圧延銅箔の製造工程を示すフロー図である。
(鋳塊の準備工程S10)
図1に示すように、まずは、無酸素銅(OFC:Oxygen-Free Copper)等の純銅を原材料として鋳造を行って鋳塊(インゴット)を準備する。鋳塊は、例えば所定厚さ、所定幅を備える板状に形成する。原材料となる無酸素銅は、圧延銅箔の諸特性を調整するため、所定の添加材が添加された希薄銅合金となっていてもよい。
添加材で調整可能な上記諸特性には、例えば耐熱性がある。上述のように、FPC用の圧延銅箔では、高い耐屈曲性を得るための再結晶焼鈍工程は、例えばFPCの基材との貼り合わせの工程を兼ねて行われる。貼り合わせの際の加熱温度は、例えばFPCの樹脂等からなる基材の硬化温度や、使用する接着剤の硬化温度等に併せて設定され、温度条件の範囲は広く多種多様である。このように設定された加熱温度に圧延銅箔の軟化温度を合わせるべく、圧延銅箔の耐熱性を調整可能な添加材が、適宜、添加される場合がある。
本実施形態に使用される鋳塊として、添加材が無添加の鋳塊や、幾種類かの添加材を添加した鋳塊を以下の表1に例示する。
係る表1は、上述した無酸素銅(純銅)や、無酸素銅に所定元素を添加した希薄銅合金の例と同様である。
また、表1に示す添加材に加え、或いは替えて、その他の添加材として、耐熱性を上昇又は降下させる添加材の代表例には、例えば10ppm〜500ppm程度のスズ(Sn)、銀(Ag)、ホウ素(B)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、及びカルシウム(Ca)のいずれか1つ又は複数の元素を添加した例がある。或いは、第1の添加元素として銀を添加し、第2の添加元素として上記元素のいずれか1つ又は複数の元素を添加した例がある。そのほか、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、金(Au)等を微量添加することも可能である。
なお、鋳塊の組成は、後述の最終冷間圧延工程S40を経た後の圧延銅箔においても略そのまま維持され、鋳塊中に添加材を加えた場合には、鋳塊と圧延銅箔とは略同じ添加材濃度となる。
また、後述の焼鈍工程S32における温度条件は、銅材質や添加材による耐熱性に応じて適宜変更する。但し、上記銅材質や添加材、これに応じた焼鈍工程S32の温度条件の変更等は、本実施形態の効果に対してほとんど影響を与えない。
(熱間圧延工程S20)
次に、準備した鋳塊に熱間圧延を施して、鋳造後の所定厚さよりも薄い板厚の板材とする。
(繰り返し工程S30)
続いて、冷間圧延工程S31と焼鈍工程S32とを所定回数繰り返し実施する繰り返し工程S30を行う。すなわち、冷間圧延を施して加工硬化させた上記板材に、焼鈍処理を施して板材を焼き鈍すことにより加工硬化を緩和する。これを所定回数繰り返すことで、「生地」と称される銅条が得られる。銅材に耐熱性を調整する添加材等が加えられている場合は、銅材の耐熱性に応じて焼鈍処理の温度条件を適宜変更する。
なお、繰り返し工程S30中、繰り返し途中の焼鈍工程S32を「中間焼鈍工程」と呼ぶ。また、繰り返しの最後、つまり、後述の最終冷間圧延工程S40の直前に行われる焼鈍工程S32を「最終焼鈍工程」又は「生地焼鈍工程」と呼ぶ。生地焼鈍工程では、上記の銅条(生地)に生地焼鈍処理を施し、焼鈍生地を得る。生地焼鈍工程においても、銅材の耐熱性に応じて温度条件を適宜変更する。このとき、生地焼鈍工程は、上記の各工程に起因する加工歪を充分に緩和することのできる温度条件、例えば完全焼鈍処理と略同等の温度条件で実施することが好ましい。
(最終冷間圧延工程S40)
次に、最終冷間圧延工程S40を実施する。最終冷間圧延は仕上げ冷間圧延とも呼ばれ、仕上げとなる冷間圧延を複数回に亘って焼鈍生地に施して薄い銅箔状とする。このとき、高い耐屈曲性を有する圧延銅箔が得られるよう、総加工度を90%以上、より好ましくは94%以上とする。これにより、再結晶焼鈍工程後において、いっそう優れた耐屈曲性が得られ易い圧延銅箔となる。
また、冷間圧延を複数回繰り返すごとに焼鈍生地が薄くなるのに応じて、1回(1パス)あたりの加工度を徐々に小さくしていくことが好ましい。ここで、1パスあたりの加工度は、上記総加工度の例に倣い、nパス目の圧延前の加工対象物の厚さをTBnとし、圧延後の加工対象物の厚さをTAnとすると、1パスあたりの加工度(%)=[(TBn−TAn)/TBn]×100で表わされる。
圧延加工時、焼鈍生地等の加工対象物は、例えば互いに対向する1対のロール間の間隙に引き込まれ、反対側に引き出されることで減厚される。加工対象物の速度は、ロールに引き込まれる前の入り口側ではロールの回転速度より遅く、ロールから引き出された後の出口側ではロールの回転速度より速い。したがって、加工対象物には、入り口側では圧縮応力が、出口側では引張応力がかかる。加工対象物を薄く加工するためには、圧縮応力>引張応力でなければならない。上記のように、例えば1パスあたりの加工度を調整することで、圧縮応力>引張応力であることを前提として、それぞれの応力成分(圧縮成分と引張成分)の比を調整することができる。
また、最終冷間圧延工程S40では、冷間圧延を複数回繰り返すごとに、以下に説明する中立点の位置がロールの出口側へと移動していくよう制御することが好ましい。すなわち、上記のように、ロールの回転速度に対して入り口側と出口側とで大小関係が逆転する加工対象物の速度は、入り口側及び出口側の間のどこかの位置でロールの回転速度と等しくなる。この両者の速度が等しい位置を中立点といい、中立点では加工対象物にかかる圧力が最大となる。
中立点の位置は、前方張力、後方張力、圧延速度(ロールの回転速度)、ロール径、加工度、圧延荷重等の組み合わせを調整することで制御することができる。つまり、中立点の位置を制御することによっても、圧縮応力及び引張応力の比を調整することができる。
このように、各パスにおける加工度の大きさ制御や中立点の位置制御等により、圧縮応力と引張応力との応力バランスを調整しつつ最終冷間圧延工程S40を施すことで、圧縮応力と引張応力との応力バランスを適宜調整することができ、各結晶面の回折ピーク強度の比率バランスを制御して、上記の式(1)〜(12)を満たす圧延銅箔を得ることができる。
上述のように、圧延される銅材中の銅結晶は、圧縮応力と引張応力との比によって異なる経路を通って{022}面へと向かって回転する。上記の式(1)〜(12)を満たすとき、最終冷間圧延工程S40時には、圧縮応力>引張応力であることを前提としたうえで、引張応力が比較的高い状態にあることを示す。
以上により、本実施形態に係る銅めっき層付き圧延銅箔における圧延銅箔が製造される。
(銅めっき層形成工程S50)
続いて、圧延銅箔の圧延面、またはその裏面の少なくとも片側の面上に、銅めっき層を形成する。
銅めっき層を形成するにあたっては、予め、圧延銅箔を脱脂浴、酸洗浄浴に順次浸漬し、圧延銅箔の表面を清浄にしておく。つまり、脱脂浴では、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液等のアルカリ溶液を用いて陰極電解脱脂を行う。続く酸洗浄浴では、例えば硫酸(HSO)水溶液や銅エッチング液等の酸性溶液を用いて圧延銅箔の表面に酸洗浄を施し、表面に残存するアルカリ溶液の中和を図ると共に、表面に形成された銅酸化膜(CuO)等を除去する。
銅めっき層の形成には、例えば電解めっき等を用いることができる。めっき浴としては、例えば硫酸銅(CuSO)と硫酸(HSO)とを主成分とする水溶液で満たされた硫酸銅−硫酸浴等の酸性銅めっき浴を用いることができる。ここでは、コスト面等の観点から硫酸銅−硫酸浴等を用いることとするが、銅めっき浴に用いることができる溶液等はこれに限定されない。
また、硫酸銅−硫酸浴に添加する一体化促進剤としては、例えばビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド2ナトリウム(以下、SPSともいう)を用いることができる。或いは、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸(以下、MPSともいう)等のメルカプト(−SH)基を持つ化合物を用いることができる。
このような一体化促進剤を添加した酸性銅めっき浴に表面が清浄化された圧延銅箔を浸漬し、圧延銅箔を陰極とする電解めっき処理を施して、圧延銅箔の片面あるいは両面に銅めっき層を形成する。
このように、SPSやMPS等の一体化促進剤を添加して銅めっきを行うことで、後に行う再結晶焼鈍工程において、銅めっき層の結晶粒の少なくとも一部と圧延銅箔の調質した結晶粒との一体化が促進される。本発明者等によれば、銅めっき層の形成時、一体化促進剤により銅めっき層に何らかのエネルギーが蓄積されると推察される。これにより、再結晶焼鈍工程の際、銅めっき層の結晶粒と圧延銅箔の調質した結晶粒とが一体化する駆動力が与えられると考えられる。
本発明者等が見いだしたSPSやMPS等のこのような効果や用途、使用法は、これらの化合物の光沢剤等としての従来の効果や用途、使用法とは全く異なる新規なものである。例えば、従来の光沢剤としての使用例でみると、これらの化合物は、ポリエチレングリコール(PEG:Poly-Ethylene Glycol)等の界面活性剤や塩化物等のような添加剤とともに用いられることが多い。これにより、例えばこれらの化合物の光沢剤としての働きを促進させることができる。
しかしながら、本実施形態では、銅めっき層と圧延銅箔との一体化を促進させる一体化促進剤としてSPSやMPS等を用いている。この場合、PEGや塩化物のような添加剤は、却ってこれらの化合物の一体化促進剤としての効果を阻害するおそれがある。よって、本実施形態においては、PEG等の他の添加材との併用は望ましくないと考えられる。
(表面処理工程S60)
以上により形成された銅めっき層上に、例えば粗化めっき等の所定の表面処理を施す。
粗化めっきを行うめっき浴としては、例えば硫酸銅−硫酸浴等の酸性銅めっき浴を用いることができる。酸性銅めっき浴には、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)等のイオン成分が1種類以上配合されていてもよい。粗化めっきにおいては、銅めっき層を下地として、限界電流密度以上の高電流密度、つまり、いわゆる焼けめっきとなる電流密度で電解する。これにより、電着物や析出物が銅めっき層上に付着し、さらにこれらが肥大化して、例えば直径1μm程度の粗化粒が得られる。
その後、粗化粒が形成された銅めっき層の表面に、被せ銅めっきや防錆処理等を施す。さらに、必要に応じて接着剤としてのシランカップリング剤等を塗布してもよい。
以上により、本実施形態に係る銅めっき層付き圧延銅箔が製造される。
(3)フレキシブルプリント配線板の製造方法
次に、本発明の一実施形態に係る銅めっき層付き圧延銅箔を用いたフレキシブルプリント配線板(FPC)の製造方法について説明する。
(再結晶焼鈍工程(CCL工程))
まずは、本実施形態に係る銅めっき層付き圧延銅箔を所定のサイズに裁断し、例えばポリイミド等の樹脂からなるFPCの基材と貼り合わせてCCL(Copper Clad Laminate)を形成する。このとき、接着剤を介して貼り合わせを行う3層材CCLを形成する方法と、接着剤を介さず直接貼り合わせを行う2層材CCLを形成する方法のいずれを用いてもよい。接着剤を用いる場合には、加熱処理により、上述のシランカップリング剤等の接着剤を硬化させて銅めっき層付き圧延銅箔の銅めっき層およびそれに付着する粗化粒を有する面と基材とを密着させ複合する。接着剤を用いない場合には、加熱・加圧により銅めっき層付き圧延銅箔の銅めっき層およびそれに付着する粗化粒を有する面と基材とを直接密着させる。加熱温度や時間は、接着剤や基材の硬化温度等に合わせて適宜選択することができ、例えば150℃以上400℃以下の温度で、1分以上120分以下とすることができる。
上述のように、銅めっき層付き圧延銅箔が備える圧延銅箔の耐熱性は、このときの加熱温度に合わせて調整されている。したがって、最終冷間圧延工程S40により加工硬化した状態の圧延銅箔が、上記加熱により軟化し再結晶に調質される。つまり、基材に銅めっき層付き圧延銅箔を貼り合わせるCCL工程が、銅めっき層付き圧延銅箔の圧延銅箔に対する再結晶焼鈍工程を兼ねている。
このように、CCL工程が再結晶焼鈍工程を兼ねることで、銅めっき層付き圧延銅箔を基材に貼り合わせるまでの工程では、圧延銅箔が最終冷間圧延工程S40後の加工硬化した状態で銅めっき層付き圧延銅箔を取り扱うことができ、銅めっき層付き圧延銅箔を基材に貼り合わせる際の、伸び、しわ、折れ等の変形を起こり難くすることができる。
また、上述のような圧延銅箔の軟化は、再結晶焼鈍工程により、調質された圧延銅箔、つまり、再結晶組織を有する圧延銅箔が得られたことを示している。具体的には、主方位である{022}面は{002}面へと変化する。よって、耐屈曲性に優れた圧延銅箔を得ることができる。このような再結晶は、最終冷間圧延工程S40等の圧延加工時に加わった加工歪と、再結晶焼鈍工程時の熱エネルギーとが駆動力となって起きる。
一方で、副方位である{002}面、{113}面、{111}面、及び{133}面については、最終冷間圧延工程S40後の状態を保ったまま比率がほとんど変化することはなく、再結晶前に上記の式(1)〜(12)を満たすように制御されることで、再結晶焼鈍工程による再結晶を経た後には、再結晶後の{002}面による高い耐屈曲性の付与に加えて、耐屈曲性を更に底上げすることができる。
また、このような圧延銅箔の調質に伴い、銅めっき層の結晶粒の少なくとも一部において、圧延銅箔の調質した結晶粒との一体化が起きる。
このような一体化は、主に以下の2点が前提となっている。つまり、上述のように、例えば銅めっき層の結晶粒が、圧延銅箔の調質した結晶粒より小さいことが1点目の前提である。また、例えば銅めっき層が、圧延銅箔よりも薄いことが2点目の前提である。
これにより、例えば銅めっき層の小さな結晶粒が、圧延銅箔の調質した大きな結晶粒に取り込まれる、あるいは吸収されることで一体化が起きる。つまり、電解めっき等により形成された銅めっき層は、小さな結晶粒を備える比較的緻密な結晶構造となっている。一方で、圧延銅箔の調質した結晶粒は、これより大きくて粗い再結晶粒である。このように、大きな結晶粒が小さな結晶粒を取り込み、あるいは吸収し、成長する現象は、例えばオストワルド(オストワルト)成長などに代表されるように、結晶成長学では比較的よくみられる現象である。またこのとき、銅めっき層は圧延銅箔よりも薄いため、圧延銅箔の結晶粒による銅めっき層の結晶粒の取り込みが支配的となり易い。
このとき、一体化を促進させる駆動力を銅めっき層に与えているのが、銅めっき層形成時に添加された上述のSPSやMPS等の一体化促進剤である。
銅めっき層の結晶粒が圧延銅箔の結晶粒に取り込まれ、或いは吸収されるには、圧延銅箔の再結晶が、圧延銅箔と銅めっき層との界面を超えて成長していく駆動力が必要である。しかし、圧延による加工歪が再結晶の大きな駆動力となる圧延銅箔と異なり、従来の銅めっきにより形成された銅めっき層には、駆動力となるものが再結晶焼鈍時の熱エネルギーしかなく、これだけでは再結晶には不充分である。
本実施形態では、銅めっき層形成時に添加される一体化促進剤により、銅めっき層に再結晶の駆動力が蓄積されるものと考えられる。
圧延銅箔の調質した結晶粒に取り込まれ、あるいは吸収されて一体化した銅めっき層の結晶粒は、圧延銅箔の調質した結晶粒と実質的に同等の特性を備えると考えることができる。つまり、圧延銅箔に発現した優れた耐屈曲性の効果を銅めっき層へも波及させることができる。
以上のように、再結晶焼鈍工程後の銅めっき層付き圧延銅箔において優れた耐屈曲性を得るには、最終冷間圧延工程S40後、再結晶焼鈍工程前の圧延銅箔について、上記関係式を満たすように各結晶方位を制御しておけばよい。これにより、再結晶焼鈍工程後には、圧延銅箔自身は優れた耐屈曲性を備えることとなり、また、銅めっき層にその効果を波及させることができる。
(表面加工工程)
次に、基材に貼り合わせた銅めっき層付き圧延銅箔に表面加工工程を施す。表面加工工程では、銅めっき層付き圧延銅箔に例えばエッチング等の手法を用いて銅配線等を形成する配線形成工程と、銅配線と他の電子部材との接続信頼性を向上させるためメッキ処理等の表面処理を施す表面処理工程と、銅配線等を保護するため銅配線上の一部を覆うようにソルダレジスト等の保護膜を形成する保護膜形成工程とを行う。
以上により、本実施形態に係る銅めっき層付き圧延銅箔を用いたFPCが製造される。
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、上述の実施形態においては、銅めっき層付き圧延銅箔が備える圧延銅箔の耐熱性を調整する添加材として主にSn,Ag,B等を用いることとしたが、添加材は、Sn,Ag,Bや上記代表例等に挙げたものに限られない。また、添加材により調整可能な諸特性は耐熱性に限られず、調整を必要とする諸特性に応じて添加材を適宜選択してもよい。
また、上述の実施形態においては、FPCの製造工程におけるCCL工程は圧延銅箔に対する再結晶焼鈍工程を兼ねることとしたが、再結晶焼鈍工程は、CCL工程とは別工程として行ってもよい。
また、上述の実施形態においては、銅めっき層付き圧延銅箔はFPC用途に用いられることとしたが、銅めっき層付き圧延銅箔の用途はこれに限られず、例えばリチウムイオン二次電池の負極集電銅箔やその他の耐屈曲性を必要とする他の用途にも用いることができる。したがって、用途によっては粗化めっき等による粗化粒を有していなくともよい。また、銅めっき層付き圧延銅箔の厚さについても、FPC用途をはじめとする各種用途に応じて20μm超などとしてもよい。
具体例としては、例えば最終冷間圧延工程にて圧延銅箔の厚さを12μmに調整する例が、後述の実施例および比較例に係る表2に示されている。得られる圧延銅箔が上述の結晶構造となる圧延条件1に対し、得られる圧延銅箔が上述の結晶構造から外れることとなる圧延条件2に示すように、概して、急激な減厚を図ると上述の実施形態の結晶構造から外れる傾向にある。但し、表2に示した条件はあくまでも一例であって、どれくらいの板厚で条件を切り替えるか、各条件の数値をどのように設定するかは、最終的に所望する圧延銅箔の結晶構造等に応じて適宜選択することができる。
例えば、表2においては、厚さが400μmの焼鈍生地に対して最終冷間圧延工程を開始することとしたが、最終冷間圧延工程の開始時における焼鈍生地の厚さは適宜選択可能である。焼鈍生地の厚さが400μmより厚い場合には、400μmの厚さに到達した時点から表2の条件を適用すればよい、また、焼鈍生地の厚さが400μmより薄い場合には、表2の条件のうち、係る厚さに対応する条件から圧延を開始すればよい。
また例えば、表2に示すような各々の条件の最下段にてパス数を調整することで、最終的に得られる圧延銅箔の厚さを調整することができる。表2の例では最終的な厚さを12μmとしたが、これより厚いもの、例えば15μm、18μm、更には20μm厚さ以上の圧延銅箔を得るには、12μm厚さの場合よりパス数を減らせばよい。つまり、表2の20μm以下の条件にて、目的厚さとなったところで圧延を終了すればよい。また、12μmより薄いもの、例えば10μm厚さ以下の圧延銅箔を得るには、12μm厚さの場合よりパス数を増やせばよい。つまり、表2の20μm以下の条件を、目的厚さとなるまで適用し続ければよい。
このように、表2には、最終冷間圧延工程において圧延銅箔の結晶構造や厚さを調整する場合を示したが、結晶構造、つまり、結晶方位の制御や厚さの調整方法はこれに限られない。
また、上述の実施形態においては、最終冷間圧延工程S40での総加工度を90%以上などとし、圧延銅箔において優れた耐屈曲性を得ることとしたが、副方位の結晶面の調整により更に優れた耐屈曲性を得る手法は、これとは独立して用いることができる。つまり、最終冷間圧延工程における総加工度を例えば90%未満としても、それにより得られる耐屈曲性をベースに、副方位の結晶面の調整によって更に耐屈曲性を底上げすることができる。これにより、ある程度の耐屈曲性が得られていればよい場合等には、圧延銅箔の総加工度を例えば85%としたり、80%未満、或いは70%未満等と低く抑えたりして、製造工程における負荷を低減することができる。
また、上述の実施形態においては、圧延銅箔の結晶構造が上述の式(1)〜(12)までを満たすこととしたが、銅めっき層付き圧延銅箔の少なくとも一部を一体化させることにより圧延銅箔の耐屈曲性を銅めっき層へも波及させる手法は、これとは独立して用いることができる。つまり、上述の式(1)〜(12)までを満たさず、耐屈曲性の若干劣る圧延銅箔と一体化させることによっても、係る圧延銅箔における耐屈曲性を銅めっき層へと波及させることができ、少なくとも圧延銅箔単体と同等の耐屈曲性を有する銅めっき層付き圧延銅箔を得ることができる。
また、上述の実施形態においては、銅めっき層と圧延銅箔との境界を横断する切断面において、境界線の消失した状態を一体化した領域とした。このとき切断面の向きは問わないが、後述の実施例で試みているように、例えば切断面を圧延方向と垂直な面としてもよい。
また、上述の実施形態においては、銅めっき層と圧延銅箔との境界線の50%以上が消失していることとしたが、50%未満であっても圧延銅箔の耐屈曲性を銅めっき層へと波及させ、銅めっき層付き圧延銅箔の全体で耐屈曲性を向上させる所定の効果は得られる。
また、上述の実施形態においては、銅めっき層の一部が圧延銅箔と一体化した銅めっき層付き圧延銅箔の製造方法として、SPSやMPS等の一体化促進剤を用いた電解めっき等により銅めっき層を形成する方法を用いたが、使用し得る一体化促進剤はこれに限られない。また、上述とは異なる他の銅めっき層形成工程、或いは、再結晶焼鈍工程等により、銅めっき層を圧延銅箔と一体化させてもよい。
本発明の主眼は、あくまで、銅めっき層付き圧延銅箔の銅めっき層の一部が圧延銅箔と一体化している点と、これにより銅めっき層付き圧延銅箔の全体において優れた耐屈曲性が得られるという点と、にある。
なお、本発明の効果を奏するために、上記に挙げた工程のすべてが必須であるとは限らない。上述の実施形態や後述の実施例で挙げる種々の条件もあくまで例示であって、適宜変更可能である。
次に、本発明に係る実施例について比較例とともに説明する。
(1)無酸素銅を用いた銅めっき層付き圧延銅箔
まずは、無酸素銅を用いた実施例1〜27および比較例1〜9に係る銅めっき層付き圧延銅箔を以下のとおり製作し、それぞれについて各種評価を行った。
(銅めっき層付き圧延銅箔の製作)
純度が99.99%の無酸素銅を用い、上述の実施形態と同様の手順及び方法で、実施例1〜27および比較例1〜9に係る銅めっき層付き圧延銅箔を製作した。但し、実施例10〜18および比較例1〜9については、板厚が400μm以下における圧延条件が構成を外れる処理が含まれる。また、実施例19〜27および比較例1〜9については、銅めっき層形成工程において構成を外れる処理が含まれる。また、本実施例および比較例においては、銅めっき層形成後の粗化めっき等の表面処理工程は省略した。
具体的には、上述の実施形態と同様の手順及び方法で、熱間圧延工程にて厚さ8mmの板材を得た後、冷間圧延工程と、700℃〜800℃の温度で約2分間保持する中間焼鈍工程とを繰り返し実施して銅条(生地)を製作し、約700℃の温度で約1分間保持する生地焼鈍工程にて焼鈍生地を得た。ここで、各焼鈍工程の温度条件等は、無酸素銅材の耐熱性に合わせた。なお、同じ無酸素銅材に対して各焼鈍工程で異なる温度条件を用いたのは、ときどきの板厚に応じて耐熱性が変化するためであり、板厚が薄いときは温度を下げることができる。
次に、上述の実施形態と同様の手順及び方法で最終冷間圧延工程を行った。最終冷間圧延工程での条件を以下の表2に示す。
表2に示すように、上段から下段へと順次板厚が薄くなるのに応じて、各実施例、比較例とも、右欄のように条件を切り替えて、最終冷間圧延を行った。つまり、厚さが400μm以下における冷間圧延加工の、1パスあたりの加工度と中立点の位置とを変化させた。右欄に示す中立点の位置(mm)は、ロールと加工対象物である焼鈍生地との接触面の出口側端部から中立点までの長さで示した。また、実施例1〜9および実施例19〜27は、上述の構成を満たす圧延銅箔となる圧延条件1で処理し、実施例10〜18および比較例1〜9は、上述の構成を外れる圧延銅箔となる圧延条件2で処理した。但し、優れた耐屈曲性を得るため、実施例1〜27および比較例1〜9の全てにおいて、最終冷間圧延工程での総加工度が97%となるように条件を設定した。以上により、厚さが12μmの実施例1〜27および比較例1〜9に係る圧延銅箔を製作した。
続いて、これらの圧延銅箔の圧延面上にのみ銅めっき層を0.5μm〜0.6μmの厚さに形成した。
具体的には、各圧延銅箔に対し、水酸化ナトリウム水溶液による陰極電解脱脂と、硫酸水溶液による酸洗浄とを行った後、硫酸銅−硫酸浴にて電解めっきを行った。このときの電解めっきの条件を以下の表3に示す。
なお、このとき、実施例1〜18においては、SPSを主成分とする一体化促進剤を硫酸銅−硫酸浴に添加した。また、実施例19〜27、および比較例1〜9においては、一体化促進剤の添加を行わなかった。以上により、実施形態1〜27および比較例1〜9に係る銅めっき層付き圧延銅箔を製作した。
次に、上記のように製作した各圧延銅箔および各銅めっき層付き圧延銅箔について以下の評価を行った。
(2θ/θ法によるX線回折測定)
まずは、銅めっき層形成前の実施例1〜27および比較例1〜9に係る圧延銅箔に対し、2θ/θ法によるX線回折測定を行った。係る測定は、株式会社リガク製のX線回折装置(型式:Ultima IV)を用い、以下の表4に示す条件で行った。
以下の表5,6に、2θ/θ法により測定した銅結晶の{022}面、{002}面、{113}面、{111}面、及び{133}面の回折ピーク強度I{022}、I{002}、I{113}、I{111}、及びI{133}の値を上述の式(1)〜(12)の比例関係式にあてはめて各値を算出した結果を示す。
上述のように、圧延条件1,2では、最終冷間圧延工程での1パスあたりの加工度と中立点の位置とを変化させている。これにより、冷間圧延加工時に、加工対象物にかかる圧縮成分と引張成分との応力成分の比が変化する。その結果、各結晶面の比率が変わり、表5,6に示す式(1)〜(12)に係る数値が変化している。
また、表5,6に示すように、実施例1〜9,19〜27の各条件の組み合わせでは、式(1)〜(12)までの各値はいずれも上述の所定範囲内にある。
一方、実施例10〜18、および比較例1〜9の各条件の組み合わせでは、いずれも式(1)〜(12)までの各値のうち、1つ、または、複数の値が上述の所定範囲外となっている。表5,6中、上述の所定範囲を外れた値を下線付きの太字で示した。
(走査型電子顕微鏡による観測)
続いて、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)により、再結晶焼鈍前後で、実施例1および比較例1に係る銅めっき層付き圧延銅箔の切断面の観測を行った。係る観測は、株式会社日立ハイテクノロジーズ製の電界放射型の超高分解性能分析走査電子顕微鏡(FE−SEM:Field Emission-SEM)SU−70により、倍率2万倍の反射電子像(視野:約3μm(縦)×約5μm(横))を取得し行った。
再結晶焼鈍の条件は、上述の再結晶焼鈍工程に倣い、300℃、5分間とした。係る条件は、フレキシブルプリント配線板のCCL工程で、基材との密着の際に圧延銅箔が実際に受ける熱量の一例を模している。
SEMの観測を行った切断面は、圧延銅箔の圧延方向と垂直な面であり、銅めっき層と圧延銅箔との境界を横断する切断面、つまり、圧延銅箔の圧延面側から裏面側へと銅めっき層から圧延銅箔にかけて切断した面である。
再結晶焼鈍前後での実施例1および比較例1の反射電子像を図2,3に示す。
図2は、本発明の実施例1および比較例1に係る銅めっき層付き圧延銅箔の切断面のSEMによる反射電子像であって、(a)が実施例1の再結晶焼鈍工程前後の結晶構造をそれぞれ左右に示す反射電子像であり、(b)が比較例1の再結晶焼鈍工程前後の結晶構造をそれぞれ左右に示す反射電子像である。図2において、銅めっき層の結晶粒と圧延銅箔の結晶粒との境界線(一部、消失部分も含む)を黒色の破線で示した。破線を挟んで上側が銅めっき層であり、下側が圧延銅箔である。
図3は、図2(a)の再結晶焼鈍工程後の反射電子像の拡大図である。図3において、銅めっき層中に存在する複数の結晶粒同士の境界線、圧延銅箔中に存在する複数の結晶粒同士の境界線、および銅めっき層の結晶粒と圧延銅箔の結晶粒との未消失の境界線を、全て黒色の実線で示した。また、銅めっき層の結晶粒と圧延銅箔の結晶粒との境界線の消失部分を白色の破線で示した。
図2(a),(b)の左側に示すように、倍率2万倍の反射電子像においては、実施例1および比較例1ともに、再結晶焼鈍前における銅めっき層の結晶粒と圧延銅箔の結晶粒との境界線に消失部分は認められなかった。また、図2(b)の右側に示すように、比較例1においては、再結晶焼鈍後であっても境界線の消失は認められなかった(消失部分は0%)。
一方、図2(a)の右側に示すように、実施例1においては、再結晶焼鈍後における銅めっき層の結晶粒と圧延銅箔の結晶粒との境界線の一部に消失部分が認められた。つまり、係る消失部分が、銅めっき層の結晶粒が圧延銅箔の結晶粒と一体化した領域である。係る境界線を直線とみなし、反射電子像の水平方向、つまり、圧延銅箔の圧延面と水平な方向に5μmの範囲内で境界線の消失部分の水平方向の距離を求めた。
図3の拡大図でみると、銅めっき層の結晶粒と圧延銅箔の結晶粒との境界線は2箇所にわたって消失していることがわかる。また、係る消失部分の距離は、それぞれ1.77μmと1.66μmとである。よって、実施例1に係る銅めっき層付き圧延銅箔において、境界線の消失部分の比率、つまり、一体化率は、[(1.77+1.66)/5]×100=69%である。
同様に、全ての銅めっき層付き圧延銅箔について境界線の消失部分の比率(一体化率)を求めたところ、銅めっき層形成時にSPS添加を行った実施例1〜18においては全て50%以上となった。一方で、SPS添加を行わなかった実施例19〜27、および比較例1〜9のうち、実施例19〜27においてはいずれも数%、比較例1〜9においてはいずれも0%であった。
(屈曲疲労寿命試験)
次に、各圧延銅箔および各銅めっき層付き圧延銅箔の耐屈曲性を調べるため、各圧延銅箔および各銅めっき層付き圧延銅箔が破断するまでの繰返し曲げ回数(屈曲回数)を測定する屈曲疲労寿命試験を行った。係る試験は、信越エンジニアリング株式会社製のFPC高速屈曲試験機(型式:SEK−31B2S)を用い、IPC(米国プリント回路工業会)規格に準拠して行った。図4には、上記FPC高速屈曲試験機等も含む、一般的な摺動屈曲試験装置10の模式図を示す。
まずは、銅めっき層形成前の実施例1〜27および比較例1〜9に係る圧延銅箔を幅12.5mm、長さ220mm(圧延方向に220mm)に切り取った、厚さが12μmの試料片50に、上述と同様、300℃、5分間の再結晶焼鈍を施した。
次に、図4に示すように、圧延銅箔の試料片50を、摺動屈曲試験装置10の試料固定板11にネジ12で固定した。続いて、試料片50を振動伝達部13に接触させて貼り付け、発振駆動体14により振動伝達部13を上下方向に振動させて試料片50に振動を伝達し、屈曲疲労寿命試験を実施した。屈曲疲労寿命の測定条件としては、曲げ半径10rを1.5mmとし、ストローク10sを10mmとし、振幅数を25Hzとした。係る条件下、各圧延銅箔から切り取った試料片50を5枚ずつ測定し、破断が発生するまでの屈曲回数の平均値を比較した。
続いて、銅めっき層形成後の実施例1〜27および比較例1〜9に係る銅めっき層付き圧延銅箔に対し、上述と同一の条件で再結晶焼鈍を行った。さらに、上述と同一の条件で屈曲疲労寿命試験を行って、各銅めっき層付き圧延銅箔の試料片について屈曲回数の平均値を比較した。このとき、各試料片の向きは、銅めっき層が外側、圧延銅箔が内側となるように屈曲させた。
以下の表7に、各圧延銅箔および各銅めっき層付き圧延銅箔の測定結果を示す。表7右端の「維持率(%)」は、銅めっき層付き圧延銅箔における耐屈曲性(屈曲回数[B])の、圧延銅箔単体における耐屈曲性(屈曲回数[A])に対する維持率(([B]/[A])×100)(%)である。なお、表7には、上述の式(1)〜(12)の適否(○,×)および境界線の消失部分の比率(一体化率)(%)も併せて示す。
上述のように、各圧延銅箔は、総加工度を97%とする最終冷間圧延工程を経ており、表7に示すように、銅めっき層形成前においては、圧延条件2を経た実施例10〜18および比較例1〜9であっても、屈曲疲労寿命、すなわち、屈曲回数が100万回以上の高い耐屈曲性が得られた。
また、実施例1〜9、および実施例19〜27においては、総加工度97%の最終冷間圧延工程を経るとともに、上述の式(1)〜(12)までの値が制御されて全て所定範囲内となっており、銅めっき層形成前においては、屈曲回数が170万回以上の更に優れた耐屈曲性が得られた。これは、もともと高い耐屈曲性を有する実施例10〜18、および比較例1〜9を超える高水準の値である。
しかしながら、銅めっき層形成後の銅めっき層付き圧延銅箔でみると、比較例1〜9においては、圧延銅箔単体で100万回以上あった屈曲回数が50万回〜70万回程度、維持率にして50%前後にまで低下してしまっている。比較例1〜9においては、一体化率が0%であるためと考えられる。
一方で、実施例1〜9においては、銅めっき層形成後においても略170万回以上の屈曲回数を維持していた。これはすなわち、維持率にして90%以上であり、銅めっき層付き圧延銅箔であっても、圧延銅箔単体と略同等の耐屈曲性を有していることがわかった。実施例1〜9においては、銅めっき層形成時のSPS添加により、いずれも一体化率が50%以上となっており、圧延銅箔の優れた耐屈曲性が銅めっき層へも波及した結果と考えられる。
また、実施例10〜18においては、圧延銅箔単体での耐屈曲性が実施例等に比べて劣るものの、銅めっき層形成後においても、圧延銅箔単体と同等の100万回以上の屈曲回数を維持できている。つまり、維持率からいえば90%以上と、上述の実施例1〜9と遜色のない値である。実施例10〜18においては、銅めっき層形成時のSPS添加により、いずれも一体化率が50%以上となっており、圧延銅箔の耐屈曲性が銅めっき層へも波及した結果と考えられる。
また、実施例19〜27においては、一体化率が実施例等に比べて劣るものの比較例のようにゼロではなく、銅めっき層形成前後における耐屈曲性の維持率が70%前後と、比較例よりも高かった。銅めっき層の結晶粒の少なくとも一部が圧延銅箔の結晶粒と一体化した効果によると考えられる。実施例19〜27において、銅めっき層形成時にSPS添加をしていないのにもかかわらず一部の一体化が認められる理由として、本発明者等は以下のような推察を行っている。つまり、例えば上述の式(1)〜(12)を満たし、非常に優れた耐屈曲性を具備し得る圧延銅箔と、本実施例に係る300℃、5分間の再結晶焼鈍との組み合わせの相乗効果によるものであることが推測される。いずれにしても、実施例19〜27の結果は、上述したように、一部が一体化した銅めっき層付き圧延銅箔を得るには、銅めっき層形成工程におけるSPS等の一体化促進剤の添加以外の方法が存在することを示唆している。
但し、実施例19〜27や比較例1〜9の結果は、一体化が起き難い状況下では一体化率がほとんど0%となってしまうなど、一体化がほとんど起こらなくなってしまうことをも示唆している。また、耐屈曲性の維持率の低下も著しい。
一方で、実施例1〜9のように一体化が起き易い状況下では、一体化率が一挙に50%以上となるなど、一体化が急激に進むことを示唆している。耐屈曲性の維持率の向上も著しい。つまり、一体化については、急激に起きる/ほとんど起きない、という閾値のようなものがあると予想される。よって、本実施例の結果によれば、一体化率50%以上を一応の閾値と考えることができる。
以上により、無酸素銅からなる圧延銅箔と、銅めっき層とを備える銅めっき層付き圧延銅箔において、上述の構成を満たすことで優れた耐屈曲性が得られることがわかった。
(2)希薄銅合金を用いた銅めっき層付き圧延銅箔
次に、無酸素銅に、それぞれ10ppm、50ppm、90ppmのスズを含有させた希薄銅合金と、無酸素銅に銀およびホウ素を、それぞれ25ppmおよび20ppm、50ppmおよび50ppm、100ppmおよび100ppm、200ppmおよび150ppm、250ppmおよび200ppm含有させた希薄銅合金と、を用い、上述の実施例と同様の手順及び方法で、厚さが12μmの実施例28〜51および比較例10〜17に係る圧延銅箔を製作した。
但し、実施例28〜35,44〜51については板厚が400μm以下における圧延条件を、上述の表2に示す圧延条件1としたのに対し、実施例36〜43および比較例10〜17については、板厚が400μm以下における圧延条件を、構成から外れる圧延条件2とした。また、実施例28〜43については銅めっき層形成時にSPS添加を行ったのに対し、実施例44〜51および比較例10〜17については、銅めっき層形成工程においてSPS添加を行っていない。また、本実施例および比較例においても、銅めっき層形成後の粗化めっき等の表面処理工程は省略した。
なお、実施例28〜51および比較例10〜17の希薄銅合金中における各元素の添加量は、母相である無酸素銅による純銅型集合組織の結晶方位形態の形成を妨げない範囲となっている。また、係る添加量の各元素を含有する希薄銅合金材の耐熱性の上昇に合わせ、中間焼鈍工程および生地焼鈍工程では、上述の実施例とは異なる条件を用いた。具体的には、上述の無酸素銅の条件より20℃〜100℃高い温度条件とした。
以上のように製作した実施例28〜51および比較例10〜17に係る圧延銅箔および銅めっき層付き圧延銅箔について、上述の実施例と同様の評価を行った。以下の表8に、測定結果を示す。
まずは、銅めっき層形成前の各圧延銅箔について、上述の実施例と同様の手順及び方法で2θ/θ法によるX線回折測定を行った。その結果、表8に示すように、実施例28〜35,44〜51に係る圧延銅箔については、各結晶面の回折ピーク強度の関係が式(1)〜(12)までの所定範囲内となった。
一方、実施例36〜43および比較例10〜17に係る圧延銅箔については、いずれも式(1)〜(12)までの各値のうち、1つ、または、複数の値が所定範囲を外れる結果であった。
また、実施例28〜51および比較例10〜17に係る銅めっき層付き圧延銅箔について、再結晶焼鈍前後にてSEMによる観測を行い、それぞれの一体化率を算出した。その結果、表8に示すように、銅めっき層形成時にSPS添加を行った実施例28〜43においては全て50%以上の一体化率であった。
一方、SPS添加を行わなかった実施例44〜51および比較例10〜17のうち、実施例44〜51においてはいずれも数%、比較例10〜17においてはいずれも0%の一体化率であった。
また、実施例28〜51および比較例10〜17に係る圧延銅箔および銅めっき層付き圧延銅箔に対し、上述の実施例と同様の手順及び方法で屈曲疲労寿命試験を行った。その結果、表8に示すように、各圧延銅箔は、総加工度を97%とする最終冷間圧延工程を経ており、SPS添加を行わなかった実施例44〜51および比較例10〜17であっても、銅めっき層形成前においては、100万回以上の優れた耐屈曲性が得られた。
また、式(1)〜(12)までを全て満たす実施例28〜35,44〜51においては、銅めっき層形成前にて、170万回以上の更に優れた耐屈曲性を示す値が得られた。
しかしながら、銅めっき層付き圧延銅箔でみると、比較例10〜17においては、圧延銅箔単体では100万回以上あった屈曲回数が50万回〜70万回程度、維持率にして50%前後にまで低下してしまった。
一方で、実施例28〜35においては、屈曲回数が170万回以上、維持率が90%以上と、良好な結果であった。圧延銅箔単体での耐屈曲性がこれより劣る実施例36〜43においても、圧延銅箔単体での屈曲回数である100万回以上が維持できており、維持率でみれば90%以上であった。また、実施例44〜51においても、維持率が70%前後であった。
以上により、無酸素銅に所定元素を添加した希薄銅合金からなる圧延銅箔と、銅めっき層とを備える銅めっき層付き圧延銅箔についても、上述の構成を満たすことで優れた耐屈曲性が得られることがわかった。
<本発明者等による考察>
以上、述べてきたように、副方位の結晶面を制御することで圧延銅箔に更に優れた耐屈曲性が付与される原理、及び、上述の圧延銅箔の製造工程における副方位の結晶面の制御の仕組みに対する本発明者等の考察について、以下に説明する。
(1)更に優れた耐屈曲性付与の原理について
本発明者等は、結晶方位学の知見と金属学の知見とこれまでの実験経験とから、副方位の結晶面を制御することで更に優れた耐屈曲性が得られる原理について以下の考察を行った。
本発明者等によれば、本発明にて得られる耐屈曲性の底上げ効果には、再結晶焼鈍工程前後での主方位の変化と副方位の不変化とが関係していると考えられる。上述のように、再結晶焼鈍工程において、主方位である{022}面は再結晶後に{002}面となる。一方、副方位である{002}面、{113}面、{111}面、及び{133}面は、再結晶後も略変化しないままであり、これら副方位と、再結晶後の主方位の結晶面である{002}面とのなす角度が、更に優れた耐屈曲性の向上に関与していると考えられる。ここで、再結晶後の主方位である{002}面と副方位の結晶面とのなす角度は以下のとおりである。
再結晶{002}面∠{113}面 : 25.2°
再結晶{002}面∠{111}面 : 54.7°
再結晶{002}面∠{133}面 : 46.5°
また、最終冷間圧延工程後の{002}面は、再結晶焼鈍工程後にも{002}面のままである。つまり、再結晶焼鈍工程後の{002}面の内訳を考えると、最終冷間圧延工程後に主方位であった{022}面が再結晶焼鈍工程後に{002}面に変化した分と、最終冷間圧延工程後に副方位であった{002}面が再結晶焼鈍後にも変化せず{002}面のままとなっている分と、の合計である。
これら再結晶焼鈍工程前の主方位からくる{002}面と、副方位からくる{002}面との相互作用や影響等については調査・検討中であるが、本発明者等は、これらの相互作用および影響等や、上述の{002}面に対する副方位の結晶面とのなす角度が複雑に関係しあって、本発明のより優れた耐屈曲性が得られると推測している。
(2)副方位の結晶面の制御の仕組みについて
(結晶回転)
上述のように、最終冷間圧延工程等の圧延加工時、銅材には圧縮応力と、圧縮応力よりも弱い引張応力とがかかっている。圧延される銅材中の銅結晶は、圧延加工時の応力によって{022}面への回転現象を起こし、圧延加工の進展とともに、圧延面に平行な結晶面の方位が主に{022}面である圧延集合組織を形成する。このとき、上述のように、圧縮応力と引張応力との比により、{022}面へと向かって回転する経路が変わる。これについて、図5を用いて説明する。
図5は、下記の技術文献(イ)から引用した純銅型金属の逆極点図であって、(a)は引張変形による結晶回転方向を示す逆極点図であり、(b)は圧縮変形による結晶回転方向を示す逆極点図である。なお、逆極点図では、{002}面を{001}面と表記し、{022}面を{011}面と表記することになっている。つまり、{002}面は、{002}面に平行な面の最小数値である{001}面で表わし、{022}面は、{022}面に平行な面の最小数値である{011}面で表わす。
(イ)編著者 長嶋晋一、“集合組織”、丸善株式会社、昭和59年1月20日、p96の図2.52(a),(c)
図5に示すように、銅材中の銅結晶は、引張変形のみでは{111}面へと向かって回転し、圧縮変形のみでは{011}面へと向かって回転する。圧延加工では、圧縮成分と引張成分とが合わさった変形をするため、結晶回転方向はこれほど単純ではない。最終冷間圧延工程での総加工度が高くなるほど、全体として銅結晶の回転は{011}面へと向かう傾向を示すが、圧縮成分と引張成分との割合によっては{111}面へも一部回転しようとする。このとき、圧縮成分の方が優勢であるので、{111}面へと回転しかけた結晶が{011}面へと戻される結晶回転も起きる。また、これとは逆に、{011}面へと向かって回転している結晶や{011}面に到達した結晶が、引張成分によって{133}面や{111}面へ向かって回転する場合もある。
このように、圧縮成分と引張成分とが、圧縮成分>引張成分の関係を保ちながら混在する中で結晶回転が起こる。このとき、総加工度が高くなるにしたがって、全体としては{011}面に向かう結晶回転が起きる。
以上によれば、上述の特定方位の結晶面({001}面、{113}面、{111}面、及び{133}面)のみが分布しているように説明したが、これは以下の理由による。銅は面心立方構造の結晶なので、2θ/θ法によるX線回折測定では、{hkl}面のh,k,lが全て奇数値または全て偶数値でなければ回折ピークとして現れない。h,k,lが奇数値と偶数値との混在となっていると、消滅則によって回折ピークが消滅し、測定できないためである。したがって、上述の実施形態等に係る圧延銅箔の構成を示すにあたっては、回折ピークとして現れる{001}面({002}面)、{113}面、{111}面、及び{133}面の副方位で規定した。上述の実施例等の結果からも本構成の効果は明白であるから、上記に挙げた副方位の結晶面を考えれば充分であるといえる。
(加工度による制御)
以上のことから、圧縮応力>引張応力であることを前提として、圧縮成分と引張成分とのバランスを調整しながら圧延すると、総加工度が高くなるにしたがって、銅結晶は全体として{022}面へと向かって回転する。{022}面へと向かう経路としては、圧縮成分により{002}面や{113}面を経由し易くなり、引張成分により{111}面や{133}面を経由し易くなる。主な副方位の結晶面が{002}面、{113}面、{111}面、及び{133}面となるのは、{022}面へと回転しきれなかった上述の結晶面が銅材中に残るためであり、最終冷間圧延工程での圧縮成分と引張成分との調整により、銅材中に残る各副方位の結晶面の割合を調整することができる。
具体的には、圧縮成分と引張成分とは、圧延加工時の1パスあたりの圧延条件を変化させることで制御することができる。具体的には、上述の実施形態や実施例にて試みたように、例えば1パスあたりの加工度の変化に着目することができる。
1パスあたりの加工度を高くするには、例えば圧延荷重(ロール荷重)を大きくして圧延対象である銅材を押しつぶす方法があり、この場合、圧縮応力が大きくなる。よって、結晶の回転経路は{002}面や{113}面となって、{022}面へと向かって回転する。
一方、圧縮応力>引張応力を前提として、引張成分を大きくして銅材を薄くすることで加工度を高くする方法もある。引張成分を大きくしているので、結晶の回転経路は{111}面や{133}面となって、{022}面へと向かって回転する。なお、圧延後、銅材中に残る{133}面には、引張成分により結晶の回転途中で得られたものと、圧縮成分により一旦、{022}面へと到達した結晶が、引張成分により{133}面へと再び回転したものとが含まれると考えられる。また、引張応力による加工度の変化は、圧縮荷重を大きくした場合に比べると小さい。つまり、加工度への寄与は、圧縮応力の方が大きい。
なお、ここで注意しなければならないことは、それぞれの成分(圧縮応力又は引張応力)のみでは材料形状が均一に加工できず、圧延はできないということである。つまり、圧縮応力と引張応力との両方によって、材料の厚さを薄くするのと同時に材料形状を維持している。
(中立点による制御)
上述の実施形態や実施例においては、最終冷間圧延工程における1パスあたりの加工度と併せ、中立点の位置制御も行っている。つまり、圧縮成分と引張成分との制御パラメータの調整にあたっては、例えば中立点の位置変化に着目することも可能である。
上述のように、1パス毎に中立点の位置を制御する制御因子としては、前方張力、後方張力、圧延速度(ロールの回転速度)、ロール径、加工度、圧延荷重等がある。これらの制御因子を種々に組み合わせ、中立点の位置を変化させることができる。
係る中立点の位置は、いくつかの計測値から計算によって算出することができる。すなわち、まずは、下記の技術文献(ロ)を参考とする次式、
張力の成分+圧縮力の成分=2×剪断降伏応力・・・(A)
の関係において、圧縮力成分を張力成分より大きくし、さらに、圧延速度とロール径との条件バランス、すなわち、圧延加工時のロールと銅材との接触面における中立点の位置を、式(A)を用いて算出する。なお、中立点の詳細についても、下記技術文献(ロ)を参照した。
(ロ)日本塑性加工学会編、“塑性加工技術シリーズ7 板圧延”、コロナ社、p14,p27 式(3.3),p28
上記の式(A)の計算時のパラメータは上記制御因子であるが、これらのうち、固定とするものと可変とするものとをどのように選択するかで、複数種類の制御方法が考えられる。上述の実施形態や実施例においては、加工度を可変の制御因子として中立点の位置を制御したが、加工度以外の制御因子を用いた制御も可能である。
また、上記制御因子は圧延機の構成に関わるところであり、中立点の位置制御は、圧延機の仕様に依存するところが大きい。具体的には、ロールの段数、ロールの総数、ロールの組み合わせ配置、各ロールの径や材質や表面状態(表面粗さ)等のロールの構成などの違いにより、銅材への圧縮応力のかかり方や摩擦係数等に違いが生じる。圧延機が異なれば、上述の実施例で挙げた条件に係る各制御因子もその絶対値が異なるため、圧延機ごとに適宜調整することができる。また、同じ圧延機においても、ロールの表面状態やロールの材質が異なれば、各制御因子の絶対値が異なる。よって、同じ圧延機であっても、それぞれの状態に応じて適宜調整することができる。
10 摺動屈曲試験装置
11 試料固定板
12 ネジ
13 振動伝達部
14 発振駆動体
50 試料片

Claims (8)

  1. 無酸素銅、または無酸素銅を母相とする希薄銅合金からなる圧延銅箔と、
    前記圧延銅箔の主表面またはその裏面の少なくとも片側の面上に形成された銅めっき層と、を備え、
    前記圧延銅箔を再結晶に調質した状態では、
    前記銅めっき層の結晶粒の少なくとも一部が、前記圧延銅箔の調質した結晶粒と一体化している
    ことを特徴とする銅めっき層付き圧延銅箔。
  2. 前記銅めっき層と前記圧延銅箔との境界を横断する切断面において、前記銅めっき層の結晶粒が前記圧延銅箔の調質した結晶粒と一体化した領域では、前記銅めっき層の結晶粒と前記圧延銅箔の調質した結晶粒とが不連続となる境界線が消失しており、
    前記圧延銅箔を再結晶に調質した状態では、前記境界線の50%以上が消失している
    ことを特徴とする請求項1に記載の銅めっき層付き圧延銅箔。
  3. 前記銅めっき層と前記圧延銅箔との境界を横断する切断面において、前記銅めっき層の結晶粒が前記圧延銅箔の調質した結晶粒と一体化した領域は、走査型電子顕微鏡による倍率2万倍の反射電子像にて、前記銅めっき層の結晶粒と前記圧延銅箔の調質した結晶粒とが不連続となる境界線の消失として観測され、
    前記圧延銅箔を再結晶に調質した状態では、
    前記反射電子像における前記圧延銅箔の主表面と水平な方向に5μmの範囲内で、前記境界線の50%以上の消失が観測される
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の銅めっき層付き圧延銅箔。
  4. 前記圧延銅箔は、
    最終冷間圧延工程後、再結晶焼鈍工程前には前記主表面に平行な複数の結晶面を有し、
    前記複数の結晶面には{022}面、{002}面、{113}面、{111}面、及び{133}面が含まれ、
    前記主表面に対する2θ/θ法によるX線回折測定で得られる前記各結晶面の回折ピーク強度をそれぞれI{022}、I{002}、I{113}、I{111}、及びI{133}としたとき、
    {022}/(I{022}+I{002}+I{113}+I{111}+I{133})≧0.50であり、
    (I{002}+I{113})/(I{111}+I{133})≦2.0であり、
    10≦I{022}/I{002}≦45であり、
    {022}/I{113}≧5.0であり、
    {022}/I{111}≦120であり、
    {022}/I{133}≦25であり、
    {002}/I{113}≦5.0であり、
    {111}/I{133}≦3.0であり、
    {113}/I{111}≦5.0であり、
    {002}/I{111}≦8.0であり、
    {002}/I{133}≦2.0であり、且つ、
    {113}/I{133}≦2.0である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の銅めっき層付き圧延銅箔。
  5. 前記圧延銅箔には、10ppm以上90ppm以下のスズ(Sn)が含有されている
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の銅めっき層付き圧延銅箔。
  6. 前記圧延銅箔には、25ppm以上250ppm以下の銀(Ag)と、20ppm以上200ppm以下のホウ素(B)と、が含有されている
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の銅めっき層付き圧延銅箔。
  7. 前記銅めっき層の厚さが、0.01μm以上2μm以下であり、
    前記銅めっき層と前記圧延銅箔との全体の厚さが、1μm以上20μm以下である
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の銅めっき層付き圧延銅箔。
  8. フレキシブルプリント配線板用である
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の銅めっき層付き圧延銅箔。
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