JP2014098136A - ポリエステルフィルム及びポリエステル樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機架橋高分子粒子と酸化アルミニウム微粒子を含むポリエステルフィルムであって、該ポリエステルフィルムを、微分干渉顕微鏡を用いて160倍の倍率で0.7mm×0.825mmの視野を20視野観察した際に、全ての視野において20μm以上の有機架橋高分子粒子の凝集物が確認されないポリエステルフィルム。
【選択図】なし
Description
これらの中でも透明性の高いポリエステルフィルムを得るため原料となるポリエステルと屈折率が近く比較的親和性に優れる有機架橋高分子粒子を用いる試みもなされている(例えば、特許文献1参照)。
[1]有機架橋高分子粒子と酸化アルミニウム微粒子とを含むポリエステル樹脂組成物を成形してなるポリエステルフィルムであって、該ポリエステルフィルムを、微分干渉顕微鏡を用いて160倍の倍率で0.7mm×0.825mmの視野を20視野観察した際に、全ての視野において20μm以上の有機架橋高分子粒子の凝集物が確認されないことを特徴とするポリエステルフィルム。
[2]ジメチルテレフタレートを使用して得られたポリエステル樹脂組成物を成形してなることを特徴とする[1]に記載のポリエステルフィルム。
[3]ポリエステル樹脂組成物が、体積平均粒径が0.01〜3μmの有機架橋高分子粒子を添加して製造されたものであることを特徴とする[1]又は[2]に記載のポリエステルフィルム。
[4]ポリエステルフィルム中のポリエステルに対し、有機架橋高分子粒子含有量が0.1〜1.0質量%であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[5]ポリエステル樹脂組成物が、体積平均粒径が0.001〜1μmの酸化アルミニウム微粒子を添加して製造されたものであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[6]有機架橋高分子粒子の体積平均粒径に対する酸化アルミニウム微粒子の体積平均粒径の比が1/2以下であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[7]有機架橋高分子粒子含有量に対する酸化アルミニウム微粒子の含有量が質量比で0.1〜10倍であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[8]テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行いポリエステル低重合体を得るエステル化工程、得られたポリエステル低重合体を重縮合してポリエステルを得る重縮合工程を有する有機架橋高分子粒子含有ポリエステルの製造方法において、有機架橋高分子粒子と酸化アルミニウム微粒子とをともに含むエチレングリコールスラリーを有機架橋高分子粒子含有ポリエステルの製造工程の任意の段階に添加することを特徴とするポリエステル樹脂組成物の製造方法。
[9]有機架橋高分子粒子と酸化アルミニウム微粒子とをともに含むエチレングリコールスラリーが、酸化アルミニウム微粒子のエチレングリコールスラリーと有機架橋高分子粒子を含むエチレングリコールスラリーとを混合して調製されたものであることを特徴とする[8]に記載の製造方法。
[10]エステル形成性誘導体が、ジメチルテレフタレートであることを特徴とする[8]又は[9]に記載の製造方法。
[11]有機架橋高分子粒子の体積平均粒径が0.01〜3μmであることを特徴とする[8]〜[10]のいずれかに記載の製造方法。
[12]有機架橋高分子粒子の添加量がポリエステルに対し0.1〜3.0質量%であることを特徴とする[8]〜[11]のいずれかに記載の製造方法。
[13]酸化アルミニウム微粒子の体積平均粒径が0.001〜1μmであることを特徴とする[8]〜[12]のいずれかに記載の製造方法。
[14]有機架橋高分子粒子の体積平均粒径に対する酸化アルミニウム微粒子の体積平均粒径の比が1/2以下であることを特徴とする[8]〜[13]のいずれかに記載の製造方法。
[15]有機架橋高分子粒子の添加量に対する酸化アルミニウム微粒子の添加量が質量比で0.1〜10倍であることを特徴とする[8]〜[14]のいずれかに記載の製造方法。
[16][8]〜[15]のいずれかに記載の製造方法で得られたポリエステル樹脂組成物を成形してなることを特徴とするポリエステルフィルム。
[17][8]〜[15]のいずれかに記載の製造方法で得られたポリエステル樹脂組成物と、有機架橋高分子粒子を含有しないポリエステルとを混合し、さらに成形してなることを特徴とするポリエステルフィルム。
[18]微分干渉顕微鏡を用いて160倍の倍率で0.7mm×0.825mmの視野を20視野観察した際に、全ての視野において20μm以上の有機架橋高分子粒子の凝集物が確認されないことを特徴とする[16]又は[17]に記載のポリエステルフィルム。
又、本発明において、平均粒径とは、断りのない限り体積平均粒径を指す。
本発明のポリエステルフィルムは、有機架橋高分子粒子と酸化アルミニウム微粒子とを含むポリエステル樹脂組成物を成形してなるポリエステルフィルムであって、該ポリエステルフィルムを、微分干渉顕微鏡を用いて160倍の倍率で0.7mm×0.825mmの視野を20視野観察した際に、全ての視野において20μm以上の有機架橋高分子粒子の凝集物が確認されないことを特徴とする。本発明におけるフィルムとは1〜500μmの厚さのものを指す。
又、ポリエステルフィルムに含まれる有機架橋高分子粒子の凝集物の有無を確認するには、微分干渉顕微鏡を用いて160倍の倍率で0.7mm×0.825mmの視野を20視野観察するが、全幅1枚のフィルムをサンプリングし、場所を変えて20回観察するものとする。
ポリエステルフィルムの製造においては公知の方法を用いて製造することができる。成形法としては、公知のフィルム製造法を適用でき、例えば、ポリエステルの融点以上の温度で溶融した後、押出成形によりポリエステルシートを得ることができる。さらに、得られたポリエステルシートを二軸延伸してポリエステルフィルムを得ることができる。
又、本発明のポリエステルフィルムは、有機架橋高分子粒子の体積平均粒径に対する酸化アルミニウム微粒子の体積平均粒径の比が1/2以下であることが好ましく、1/5以下が更に好ましく、1/10以下が特に好ましい。この比率が下限未満では、酸化アルミニウム微粒子による有機架橋高分子粒子の凝集防止効果を得られず、ポリエステルフィルムの外観は著しく悪化することがある。また、その下限は特に限定されないが、酸化アルミニウム微粒子の体積平均粒径の下限によって決まるものである。
以上に説明した有機架橋高分子粒子及び酸化アルミニウム微粒子の性質や含有量の詳細は、後述するとおりである。
本発明において、ポリエステル樹脂組成物に含まれる有機架橋高分子粒子の濃度は0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上が特に好ましい。濃度が下限値未満だと得られるポリエステル樹脂組成物をポリエステルフィルムに成形した際、ポリエステルフィルムに含まれる有機架橋高分子粒子によって生じるポリエステルフィルム表面の凹凸の数が少なすぎて、ポリエステルフィルムの走行性や耐摩耗性が改善されないことがある。またポリエステル樹脂組成物に含まれる有機架橋高分子粒子濃度は、3.0質量%以下が好ましく、2.0質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下が特に好ましい。上限値を超えると、本発明の製造方法を用いてもポリエステル樹脂組成物中における有機架橋高分子粒子の凝集を防止することが出来ず、ポリエステルフィルムに成形した際に凝集した有機架橋高分子粒子による外観が悪いポリエステルフィルムになることがある。
本発明においては、有機架橋高分子粒子と酸化アルミニウム微粒子をともに含むエチレングリコールスラリー(以下、「スラリー混合物」と称することがある)を有機架橋高分子粒子含有ポリエステルの製造工程の任意の段階に添加する。
本発明において、有機架橋高分子粒子は、その形状、組成、製法に制限はなく、各種の方法から得ることができる種々の形状や組成の有機架橋高分子粒子を用いることができる。
本発明で用いる有機架橋高分子粒子の組成の典型的な例としては、分子中に一個の脂肪族不飽和結合を有するビニル化合物(A)と、架橋剤として分子中に2個以上の脂肪族不飽和結合を有する化合物(B)との共重合体を挙げることができる。
本発明で用いる有機架橋高分子粒子は、ポリエステルの製造あるいは成形時の高温においても実質的に不溶、不融で耐熱性を有するものでなければならない。具体的には窒素ガス流通下300℃で30分加熱処理した後の質量減少率が30質量%以下、好ましくは20質量%以下であることが望ましい。従って、本発明で用いる有機架橋高分子粒子は架橋構造を有することが好ましく、前記ビニル化合物(A)と前記化合物(B)との共重合体であることが好ましい。
本発明で用いる酸化アルミニウム微粒子としては、例えば熱分解法、すなわち無水塩化アルミニウムを原料として火焔加水分解させる方法、あるいはアンモニウム明ばん熱分解法、すなわち水酸化アルミニウムを原料として硫酸と反応させて硫酸アルミニウムとした後、硫酸アンモニウムと反応させてアンモニウム明ばんとして焼成する方法等、種々の製法によるものを使うことができる。これらの方法により得られる酸化アルミニウムの結晶型はα型、γ型もしくはδ型が好ましく、さらに好ましくはγ型である。
本発明においては、スラリー混合物を有機架橋高分子粒子ポリエステルの製造工程で添加するに際し、該製造工程の任意の段階に添加することができるが、なかでも、エステル化及びまたはエステル交換反応工程における第1段目の反応槽から、第1段目の重縮合反応槽までの間に添加することが好ましい。
(ポリエステル原料)
本発明の製造方法において、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を経て重縮合反応を行い、繰り返し構造単位の80%以上がエチレンテレフタレート単位を有するポリエステルを得る。
本発明において、エチレングリコールを主成分とするとは、全ジオール成分に対し、エチレングリコールを80モル%以上用いることを言う。中でもエチレングリコールを90モル%以上用いることが好ましく、95モル%以上用いることがより好ましく、99モル%以上用いることが更に好ましい。エチレングリコールの使用量が下限値以下では、ポリエステルフィルムの強度が低く、前記フィルムを得られないことがある。
本発明において、エステル化反応、エステル交換反応、重縮合反応における触媒を使用することができる。
前記エステル化反応においては、重縮合時に使用される後述の触媒及び助剤を使用することができる。その際、例えば、トリエチルアミン、トリ-n-ブチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン;水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ-n-ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウム;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム等の塩基性化合物等を少量添加しておくことにより、エチレングリコールからのジエチレングリコールの副生を抑制することができる。
エステル交換反応触媒としては、長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations 2005)(以下、単に「周期表」と呼ぶことがある。)1A族の金属元素、周期表2A族の元素、マンガン、鉄、及びコバルトからなる群より選択された少なくとも1種の元素の化合物が挙げられる。これらのなかで周期表2A族の元素の化合物、特にはカルシウム化合物又はマグネシウム化合物は、エステル交換反応活性が高く、得られるポリエステルの着色も少ないため好ましく用いられる。更にカルシウム又はマグネシウム化合物の酢酸塩及びその水和物は反応系への溶解性がよいため好ましく用いられる。
重縮合反応触媒としてはアルミニウム、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、及びアンチモンからなる群より選択された少なくとも1種の元素の化合物、前記周期表1A族の金属元素、周期表2A族の元素、マンガン、鉄、及びコバルトからなる群より選択された少なくとも1種の元素の化合物、及び、前記周期表4A族のチタン族元素からなる群より選択された少なくとも1種の元素の化合物が挙げられる。中でもゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物は、重縮合反応活性が高く、好ましいものとして挙げられる。その中でも二酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモン、チタンアルコキサイドが取り扱い性などの点で好ましく用いられる。尚、エステル化反応に触媒は特に必要としないが、上記重縮合反応触媒をエステル化反応時に添加することができる。
本発明において熱安定化助剤としてリン化合物を添加することができる。リン化合物としては、例えば、正リン酸、ポリリン酸、及び、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート等のリン酸エステル等の5価のリン化合物、並びに、亜リン酸、次亜リン酸、及び、トリメチルホスファイト、ジエチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルデシルホスファイト、エチルジエチルホスホノアセテート、トリフェニルホスファイト等の3価のリン化合物が挙げられる。中でも、重縮合速度制御性の面から、リン酸、リン酸エステル等の5価のリン化合物のリン酸エステルが好ましく、トリメチルホスフェート、エチルアシッドホスフェートが特に好ましい。
なお、エステル交換反応においては、エステル交換反応速度を低下させることがあり、通常リン化合物はエステル交換反応終了後、重縮合反応の前に添加する。
本発明に適用できるポリエステル樹脂組成物の製造方法としては、有機架橋高分子粒子のエチレングリコールスラリーを特定の処方でポリエステル製造工程に添加すること以外は基本的には、公知のポリエステル樹脂の製造方法により製造することができ、製造は回分法でも連続法でも行うことができる。以下にポリエチレンテレフタレートを例にして製造方法を説明する。
テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、必要に応じて用いられるその他の共重合成分等と共に、スラリー調製槽に投入し、攪拌下に混合した後、必要に応じてろ過することによって原料スラリーとする。ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比は、1.02〜2.0が好ましく、1.03〜1.7が更に好ましい。前記モル比が下限未満ではエステル化反応速度が低下することとなり、一方、前記モル比が上限を超えるとジエチレングリコールの生成量が増加することとなる。
エステル化工程はテレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化反応及び/またはテレフタル酸エステル形成性誘導体とエチレングリコールとのエステル交換反応を行い、ポリエステル低重合体(以下、オリゴマーと称することがある)を得る工程である。
本発明において、エステル化反応/エステル交換反応工程に続き、重縮合工程を行う。溶融重縮合は、連続式、回分式のいずれの方法でもかまわないが、連続式の場合は複数の溶融重縮合槽を直列に接続した、例えば、第1段目が攪拌翼を備えた完全混合型の反応器、第2段及び第3段目が攪拌翼を備えた横型プラグフロー型の反応器からなる多段反応装置を用いて、減圧下に、副生するエチレングリコールを系外に留出させながら行われる。
溶融重縮合により得られた樹脂は、通常、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口からストランド状に抜き出して、水冷しながら若しくは水冷後、カッターで切断してペレット状、チップ状等の粒子状体のポリエステル樹脂組成物とされる。得られたポリエステル樹脂組成物は必要に応じて融点以下で不活性ガス雰囲気下または減圧下で固相重縮合を行ってもよい。
本発明で用いたポリエステルおよびポリエステルフィルムの各特性値の測定は次の方法に従って行なった。
1,1,2,2−テトラクロロエタン/フェノール=1/1(質量比)の混合溶液を溶媒として30℃にて測定した。
ポリエステル樹脂試料約0.25gを、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒約25mLに、濃度が1.00g/dLとなるように溶解させた後、30℃まで冷却し、30℃において全自動溶液粘度計(センテック社製、「DT553」)にて、試料溶液及び溶媒のみの落下秒数を測定し、以下の式により、固有粘度(IV)を算出した。
IV=((1+4KHηsp)0.5−1)/(2KHC)
ここで、ηsp=η/η0−1であり、ηは試料溶液の落下秒数、η0は溶媒のみの落下秒数、Cは試料溶液濃度(g/dL)、KHはハギンズの定数である。KHは0.33を採用した。なお試料の溶解条件は、110℃で30分間である。
有機架橋高分子粒子のエチレングリコールスラリー0.03〜0.10gをポリアクリル酸系分散剤(商品名:アロンT−50、東亜合成社製)の水溶液200mlに混合して、レーザー回折型粒度分布計(商品名:MT−3000II、日機装社製)を用いて体積平均粒径を測定した。この場合の体積平均粒径とは体積分率で50%に達するときの粒径である。また、アロンT−50の水溶液は水100質量部に対しアロンT−50(濃度43質量%)を固形分で0.01質量部加え充分に混合することで得た。
酸化アルミニウム微粒子のエチレングリコールスラリー1gを純水50gに混合して、遠心沈降型粒度分布計(商品名:SACP−4L、島津製作所製)を用いて体積平均粒径を測定した。この場合の体積平均粒径とは体積分率で50%に達するときの粒径である。
フィルムの外観評価は目視で実施した。目視で凝集物が確認できない場合は「良」、目視で凝集物が確認できる場合は「不良」とした。
厚さ15μmのポリエステルフィルムを1.5cm×0.8cmの切片に成形した後、アルミニウムを蒸着させ、微分干渉顕微鏡を用いて、160倍の倍率(接眼レンズ倍率は16倍、対物レンズ倍率は10倍)で、0.7mm×0.825mmの視野を20個観察し、全20視野中におけるフィルム平面方向の大きさが20μm以上の有機架橋高分子粒子の凝集物の有無を確認した。
実施例で得られたフィルムを2枚重ね、荷重をできるだけ掛けない様にしながら2枚のフィルムを手で30回擦り合わせ、表面状態を目視判定し、傷や欠陥を生じていれば「不良」、傷や欠陥がなければ「良」とした。
エチレングリコール100質量部、高分子型分散剤(ポリエチレンイミンアルキレンオキシド付加物、商品名:ディスコールE420、第一工業製薬社製)0.003質量部、純水0.02質量部を計量し、酸化アルミニウム微粒子(親水性フュームドアルミナ、一次粒径:13nm、商品名:Aluminium Oxide C、日本アエロジル社製)22質量部を加え攪拌機で混合して酸化アルミニウム微粒子のエチレングリコールスラリーを得た。次いで酸化アルミニウム微粒子の平均粒径が0.07μmになるように横型連続式湿式媒体攪拌ミル(商品名:ダイノーミル、シンマルエンタープライゼス社製)で粉砕処理を実施した。次いで円筒型遠心分離機(ASM160、巴工業社製)で遠心分離処理を施した後、カートリッジフィルター(商品名:SL−030、ロキテクノ社製)でろ過することで平均粒径が0.07μmの酸化アルミニウム微粒子のエチレングリコールスラリーを得た。
脱塩水1500質量部に水溶性重合開始剤の過硫酸カリウム3.2質量部と分散安定剤としてラウリル硫酸ナトリウム0.15質量部を添加し均一に溶解させた後、スチレン92質量部とジビニルベンゼン8質量部の混合溶液を加えた。窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら70℃で24時間重合反応を行った。得られた粒子を電子顕微鏡で観察したところ、平均粒径1.0μmのほぼ球状のものであった。重合反応後のスラリーをスプレードライして粉末状の架橋ポリスチレン粒子を得た。
上記で得られた架橋ポリスチレン粒子10質量部とエチレングリコール90質量部とを計量し攪拌機で混合した後、カートリッジフィルター(商品名:SLS−150、ロキテクノ社製)でろ過して架橋ポリスチレンの粒子のエチレングリコールスラリーを得た。レーザー回折型粒度分布計で測定したスラリー中の架橋ポリスチレン粒子の平均粒径は1.0μmであり、粒子濃度は10質量%であった。
脱塩水1500質量部に水溶性重合開始剤の過硫酸カリウム3.2質量部と分散安定剤としてラウリル硫酸ナトリウム0.15質量部を添加し均一に溶解させた後、メタクリル酸メチル63質量部とジビニルベンゼン37質量部の混合溶液を加えた。窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら70℃で24時間重合反応を行った。得られた粒子を電子顕微鏡で観察したところ、ほぼ球状であった。重合反応後のスラリーをスプレードライして粉末状の架橋ポリスチレン粒子を得た。得られた粒子の粒度分布を測定したところ、90質量%以上が250〜850μmであった。
試料約3gをはかり取り、その中にホワイトカーボン(含水ケイ酸塩)を約0.06g入れ、使い捨てポリエチレン製手袋を使用し、掌上で良くまぶし、試料表面の付着水分を取り除いた。次に、前記ホワイトカーボンをまぶした試料を、音波振動式自動フルイ分け粒度分布測定器(商品名:ロボットシフターRPS−85、セイシン企業社製)に順次重ねてセットされたJIS標準フルイ(850μm、710μm、500μm、300μm、250μm、212μm)の最上部に入れる。次に、ロボットシフターの操作条件を振幅強度7〜9に設定し、5分間(作動と休止を1秒間隔で交互に実施)ふるい分けた。
なお、ふるい分けられた各フルイ上の粒子の質量は自動的に測定される。また、ホワイトカーボンの粒径は212μm以下であるため、前記フルイ上に残らない。
250〜850mμの粒度分布は、前記フルイの中で212μmを除いた5つのそれぞれのフルイ上に残った粒子質量の和を、投入した粒子質量で除して求める。
上記で得られた架橋ポリメチルメタクリル酸粒子を乾式粉砕機(商品名:ウルトラマイザーASK−2型、不二パウダル社製)で乾式粉砕処理し、平均粒径2.0μmの不定形架橋ポリメタクリル酸メチル粒子を得た。次いでエチレングリコール100質量部、高分子型分散剤(特殊ポリカルボン酸アンモニウム、商品名:ディスコートN14、第一工業製薬社製)0.18質量部を反応器にとり、乾式粉砕処理した架橋ポリメタクリル酸メチル粒子11質量部を加え攪拌機で混合することで架橋ポリメタクリル酸メチル粒子のエチレングリコールスラリーを得た。次いで架橋ポリメチルメタクリル粒子の平均粒径が0.3μmになるように横型連続式湿式媒体攪拌ミル(商品名:ダイノーミル、シンマルエンタープライゼス社製)で湿式粉砕処理を実施した後、円筒型遠心分離機(商品名:ASM160、巴工業社製)で遠心分離処理を施し、カートリッジフィルター(商品名:SL−150、ロキテクノ社製)でろ過して架橋ポリメチルメタクリル酸粒子のエチレングリコールスラリーを得た。スラリー中の架橋ポリメタクリル酸メチル粒子の平均粒径は0.3μmであり、粒子濃度は6質量%であった。
有機架橋高分子粒子のエチレングリコールスラリーと粉砕処理を施した酸化アルミニウム微粒子のエチレングリコールスラリーとを攪拌翼とモーターを使用して120分間混合した。
スラリー調製槽、及びそれに直列に接続された2段のエステル化反応槽、及び2段目のエステル化反応槽に直列に接続された3段の溶融重縮合槽からなる連続重合装置を用い、スラリー調製槽に、テレフタル酸とエチレングリコールを質量比で865:485の割合で連続的に供給すると共に、エチルアシッドホスフェートの0.3質量%エチレングリコール溶液を、生成ポリエステル樹脂に対して燐原子(P)としての含有量が23質量ppmとなる量で連続的に添加して、攪拌、混合することによりスラリーを調製し、このスラリーを、窒素雰囲気下で260℃、圧力50kPaG、平均滞留時間4時間に設定された第1段目のエステル化反応槽、次いで、窒素雰囲気下で260℃、5kPaG、平均滞留時間1.5時間に設定された第2段目のエステル化反応槽に連続的に移送して、エステル化反応させた。
ジメチルテレフタレート100質量部、エチレングリコール65質量部を、攪拌装置、昇温装置および留出液分離塔を備えたエステル交換反応槽に仕込み、150℃に加熱してジメチルテレフタレートを溶融させた。次いで、酢酸マグネシウムを、得られるポリエステル組成物に対し0.09質量部添加されるように酢酸マグネシウム四水塩のエチレングリコール溶液を添加した後、常圧下で3時間かけて225℃まで昇温させ、さらに225℃で1時間15分攪拌保持すると共にメタノールを留去しながらエステル交換反応を行ない、実質的にエステル交換反応を終了してポリエステル低重合体(オリゴマー)を得た。
実施例1において、得られるポリエステル樹脂組成物に対する架橋ポリスチレン粒子および酸化アルミニウム微粒子の添加量を表1のとおりに変更したことの他は、実施例1と同様にしてポリエステル組成物およびポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは、20μm以上の有機架橋高分子粒子の凝集物は0個であった。又、目視で確認できる有機架橋高分子粒子の凝集物は存在せず、ポリエステルフィルムの外観は良好であった。
実施例1において、ポリエステル重縮合触媒として三酸化アンチモンに代えてテトラ−n−ブチル−チタネート0.02質量%を用い、有機架橋高分子粒子および酸化アルミニウム微粒子の添加量を表1のとおりに変更した他は実施例1と同様にしてポリエステル組成物およびポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは、20μm以上の有機架橋高分子粒子の凝集物は0個であった。又、目視で確認できる有機架橋高分子粒子の凝集物は存在せず、ポリエステルフィルムの外観は良好であった。
実施例1において、架橋ポリスチレン粒子に代えて、湿式粉砕処理を施して体積平均粒径が0.3μmとした架橋ポリメタクリル酸メチル粒子と、酸化アルミニウム微粒子との混合スラリーとし、有機架橋高分子粒子および酸化アルミニウム微粒子の添加量を表1のとおりに変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステル組成物およびポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは、20μm以上の有機架橋高分子粒子の凝集物の個数は0個であった。又、目視で確認できる有機架橋高分子粒子の凝集物は存在せず、ポリエステルフィルムの外観は良好であった。
実施例2において、酸化アルミニウム微粒子のエチレングリコールスラリーを添加しなかった(即ち架橋ポリスチレン粒子を単独添加した)こと以外は実施例2と同様にしてポリエステル組成物およびポリエステルフィルムを得た。図2に示すとおり20μm以上の凝集物を多数確認した。100μm以上の大きさを有する凝集物も多数確認された。ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。目視で確認できる有機架橋高分子粒子の凝集物が多数存在するため外観は不良であった。
実施例2において、架橋ポリスチレン粒子のエチレングリコールスラリーと、酸化アルミニウム微粒子のエチレングリコールスラリーとを別個に添加したこと以外は実施例2と同様にしてポリエステル組成物およびポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは、図3に示すとおりポリスチレン粒子の凝集物が多数確認され、20μm以上の凝集物を多数確認した。100μmの大きさを有する凝集物も多数確認された。ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。目視で確認できる有機架橋高分子粒子の凝集物が多数存在するため外観は不良であった。
一方、酸化アルミニウム微粒子を使用せず、有機架橋高分子粒子のみを使用して製造した比較例1のポリエステル組成物は、20μm以上の凝集物が多数観察され、有機架橋高分子粒子の分散性が不良であった。又、該ポリエステル組成物から得られたポリエステルフィルムは、目視で確認できる有機架橋高分子粒子の凝集物が多数存在し、外観不良であった。
又、有機架橋高分子粒子のエチレングリコールスラリーと酸化アルミニウム微粒子のエチレングリコールスラリーとを混合せず、別々にポリエステルオリゴマーに添加して重縮合反応により得られた比較例2のポリエステル組成物は、20μm以上の凝集物が多数観察され、有機架橋高分子粒子の分散性が不良であった。又、該ポリエステル組成物から得られたポリエステルフィルムは、目視で確認できる有機架橋高分子粒子の凝集物が多数存在し外観不良であった。さらに、比較例のポリエステルフィルム同士を重ねて30回擦り合わせたところ、ポリエステルフィルム表面に傷が生じたが、実施例のポリエステルフィルムを同様に評価しても、表面に傷は生じなかった。
Claims (18)
- 有機架橋高分子粒子と酸化アルミニウム微粒子とを含むポリエステル樹脂組成物を成形してなるポリエステルフィルムであって、該ポリエステルフィルムを、微分干渉顕微鏡を用いて160倍の倍率で0.7mm×0.825mmの視野を20視野観察した際に、全ての視野において20μm以上の有機架橋高分子粒子の凝集物が確認されないことを特徴とするポリエステルフィルム。
- ジメチルテレフタレートを使用して得られたポリエステル樹脂組成物を成形してなることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルフィルム。
- ポリエステル樹脂組成物が、体積平均粒径が0.01〜3μmの有機架橋高分子粒子を添加して製造されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
- ポリエステルフィルム中のポリエステルに対し、有機架橋高分子粒子含有量が0.1〜1.0質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
- ポリエステル樹脂組成物が、体積平均粒径が0.001〜1μmの酸化アルミニウム微粒子を添加して製造されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
- 有機架橋高分子粒子の体積平均粒径に対する酸化アルミニウム微粒子の体積平均粒径の比が1/2以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
- 有機架橋高分子粒子含有量に対する酸化アルミニウム微粒子の含有量が質量比で0.1〜10倍であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
- テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行いポリエステル低重合体を得るエステル化工程、得られたポリエステル低重合体を重縮合してポリエステルを得る重縮合工程を有する有機架橋高分子粒子含有ポリエステルの製造方法において、有機架橋高分子粒子と酸化アルミニウム微粒子とをともに含むエチレングリコールスラリーを有機架橋高分子粒子含有ポリエステルの製造工程の任意の段階に添加することを特徴とするポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 有機架橋高分子粒子と酸化アルミニウム微粒子とをともに含むエチレングリコールスラリーが、酸化アルミニウム微粒子のエチレングリコールスラリーと有機架橋高分子粒子を含むエチレングリコールスラリーとを混合して調製されたものであることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
- エステル形成性誘導体が、ジメチルテレフタレートであることを特徴とする請求項8又は9に記載の製造方法。
- 有機架橋高分子粒子の体積平均粒径が0.01〜3μmであることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
- 有機架橋高分子粒子の添加量がポリエステルに対し0.1〜3.0質量%であることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
- 酸化アルミニウム微粒子の体積平均粒径が0.001〜1μmであることを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
- 有機架橋高分子粒子の体積平均粒径に対する酸化アルミニウム微粒子の体積平均粒径の比が1/2以下であることを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
- 有機架橋高分子粒子の添加量に対する酸化アルミニウム微粒子の添加量が質量比で0.1〜10倍であることを特徴とする請求項8〜14のいずれか1項に記載の製造方法。
- 請求項8〜15のいずれか1項に記載の製造方法で得られたポリエステル樹脂組成物を成形してなることを特徴とするポリエステルフィルム。
- 請求項8〜15のいずれか1項に記載の製造方法で得られたポリエステル樹脂組成物と、有機架橋高分子粒子を含有しないポリエステルとを混合し、さらに成形してなることを特徴とするポリエステルフィルム。
- 微分干渉顕微鏡を用いて160倍の倍率で0.7mm×0.825mmの視野を20視野観察した際に、全ての視野において20μm以上の有機架橋高分子粒子の凝集物が確認されないことを特徴とする請求項16又は17に記載のポリエステルフィルム。
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