JP2014095721A - 免疫原性連鎖球菌タンパク質 - Google Patents

免疫原性連鎖球菌タンパク質 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、少なくとも2つの連鎖球菌株及び/又は血清型に対して免疫応答を誘引することができる、連鎖球菌タンパク質を識別する手段及び方法を提供する。本発明はさらに、ストレプトコッカス・ウベリスに対して免疫応答を誘引することができる免疫原性組成物を開示する。
【解決手段】前記組成物は、ストレプトコッカス・ウベリスに由来する少なくとも2つの組換え及び/又は単離タンパク質、及び/又は前記タンパク質の一方又は両方の免疫原性部分又は類似体又は誘導体を含む。本発明はさらに、前記タンパク質又はその免疫原性部分をコードする核酸分子、宿主細胞、及びそのような核酸分子を含む組換え担体、並びにワクチン、並びに前記タンパク質及び核酸を土台にする診断試験を開示する。
【選択図】図1A

Description

本発明は医薬の分野に関する。より具体的には、本発明は、免疫原性連鎖球菌(Streptococcus)タンパク質、並びにその免疫原性部分、誘導体及び類似体に関する。
ストレプトコッカス(Streptococcus)属は、広範囲の宿主(ヒト、ウマ、ブタ及び乳牛を含む)に存在することが見出されている、多様な病原性及び共生性のグラム陽性細菌で構成される。宿主内では、連鎖球菌はしばしば上気道の粘膜表面にコロニーを形成しているのが認められる。しかしながら、ある種の環境下では、連鎖球菌はまた亜急性から急性又は場合によって慢性の疾患を引き起こしえる。今日まで、連鎖球菌に対する多くの市販ワクチンは、全細胞バクテリンを土台にする。一般的にはそのようなバクテリンは同種の血清型によるチャレンジに対しては顕著な防御を生じるが、異種血清型によるチャレンジに対しては防御を示さない。全細胞連鎖球菌によるワクチン接種はしばしば、同じ連鎖球菌株に対抗するが他の連鎖球菌株に対して(十分には)対抗せずに、他の連鎖球菌血清型をそのままにする免疫応答をもたらす。結果として、多くのワクチンは異種株及び/又は血清型に対する不十分な防御しか提供しない。なぜならば、1つの連鎖球菌株に対するワクチン接種は一般的には別の連鎖球菌株による対抗感染には有効でないからである。さらにまた、1つの連鎖球菌血清型に対するワクチン接種は、別の連鎖球菌血清型による対抗感染において一般的には有効ではない。したがって、少なくとも2つの連鎖球菌株、好ましくは2つの連鎖球菌血清型に対する免疫応答を誘引することができる免疫原性組成物が所望される。
本発明の目的は、少なくとも2つの連鎖球菌株に対して免疫応答を誘引することができる、連鎖球菌タンパク質及びその免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体、並びに前記をコードする核酸分子を提供することである。
本発明は、少なくとも2つの連鎖球菌株に対して免疫応答を誘引することができる連鎖球菌タンパク質を識別する方法を提供する。前記方法は以下の工程を含む:
a)細菌のビルレンス因子と少なくとも50%の配列同一性を有する、分泌タンパク質、表面結合タンパク質及び/又はタンパク質の少なくとも一部を識別する工程;
b)少なくとも2つの連鎖球菌株で保存されている、工程a)で識別した少なくとも1つのタンパク質を選択する工程;及び
c)工程b)で選択した少なくとも1つのタンパク質、又はその免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体が、第一の連鎖球菌株に感染した動物の抗体及び/又は免疫細胞及び第二の連鎖球菌株に感染した動物の抗体及び/又は免疫細胞と特異的に結合することができるか否かを決定する工程。前記第一の連鎖球菌株及び前記第二の連鎖球菌株は好ましくは同じ連鎖球菌の種である。細菌のビルレンス因子と少なくとも50%の配列同一性を有する前記タンパク質は、好ましくは、細菌ビルレンス因子と少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、もっとも好ましくは少なくとも80%の配列同一性を有する。
本発明にしたがえば、少なくとも2つの連鎖球菌株に対して免疫応答を誘引することができる、少なくとも1つの連鎖球菌タンパク質が識別される。前記タンパク質は広範囲の免疫応答を誘発することができるので、ヒトの個体及び/又は非ヒト動物の免疫に適切である。したがって、本発明は、個々の及び全ての連鎖球菌株及び/又は血清型のためのワクチンの提供を不要にする。本発明の免疫原性連鎖球菌タンパク質の使用はしたがって時間と費用の節約となる。より重要なことには、本発明の免疫原性連鎖球菌タンパク質は原則として、未だ不明であるか又は固有のワクチンが利用可能ではない連鎖球菌株(例えば最近自然界に出現した株)に対して免疫応答を誘引することができる。好ましくは、本発明の連鎖球菌タンパク質は少なくとも2つの連鎖球菌血清型に対して免疫応答を誘引することができる。したがって、本発明の好ましい実施態様は、少なくとも2つの連鎖球菌血清型に対して免疫応答を誘引することができる連鎖球菌タンパク質を識別する方法を提供する。前記方法は以下の工程を含む:
a)細菌のビルレンス因子と少なくとも50%の配列同一性を有する、分泌タンパク質、表面結合タンパク質及び/又はタンパク質の少なくとも一部を識別する工程;
b)少なくとも2つの連鎖球菌血清型で保存されている、工程a)で識別した少なくとも1つのタンパク質を選択する工程;及び
c)工程b)で選択した少なくとも1つのタンパク質、又はその免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体が、第一の連鎖球菌血清型に感染した動物の抗体及び/又は免疫細胞及び第二の連鎖球菌血清型に感染した動物の抗体及び/又は免疫細胞と特異的に結合することができるか否かを決定する工程。
少なくとも2つの連鎖球菌株及び/又は連鎖球菌血清型に対する免疫応答は、本明細書では、少なくとも2つの異なる株及び/又は血清型の連鎖球菌に対して生じた液性及び/又は細胞性免疫と定義される。前記免疫応答は例えば非ヒト動物で誘引される。連鎖球菌の少なくとも2つの株及び/又は血清型に対してヒトの個体で免疫応答を誘引し、連鎖球菌関連疾患を予防及び/又は抑えることもまた可能である。液性免疫応答は抗体の産生をもたらし、一方、細胞性免疫応答はもっぱら反応性免疫細胞(例えばTキラー細胞)の生成を強化する。一般的には、免疫応答の両部分が免疫原性タンパク質又はその免疫原性部分の投与によって誘引される。連鎖球菌の少なくとも2つの株/血清型に対する免疫応答は好ましくは抗体産生を含む。前記免疫応答は、好ましくは、少なくとも部分的にはヒトの個体及び/又は非ヒト動物で連鎖球菌数を減少させることができる。好ましくは、前記免疫応答はさらにまた、連鎖球菌によって引き起こされる疾患を少なくとも部分的に抑えることができる。
連鎖球菌株は、当分野で周知のように、その形態学的、生化学的及び血清学的特徴によって同定することができる。連鎖球菌血清型は、その分類が特定の抗原性多糖類の存在を基準にする連鎖球菌のグループである。連鎖球菌血清型の分類はまた当分野で周知である。
本発明の方法は、細菌のビルレンス因子と少なくとも50%の配列同一性を有する、分泌タンパク質、表面結合タンパク質及び/又はタンパク質の少なくとも一部を識別する工程を含む。前記タンパク質は多様な方法で識別される。本発明のある実施態様では、ゲノムによるアプローチが用いられる。分泌タンパク質及び/又は表面結合タンパク質をコードする遺伝子は、例えば前記分泌タンパク質及び/又は表面結合タンパク質のモチーフについて検索することによって識別される。好ましくは、前記モチーフは、脂質結合部位、シグナルペプチダーゼ切断部位及び/又はソルターゼ結合部位を含む。もちろんのこと、当分野で公知の他のモチーフを検索することも可能である。したがって、本発明のある実施態様は、連鎖球菌のゲノム配列の少なくとも一部において分泌及び/又は表面結合タンパク質のモチーフを含む遺伝子を識別することによって、前記分泌タンパク質及び/又は表面結合タンパク質を識別する本発明の方法を提供する。さらに付け加えて、又は前記に代えて、分泌タンパク質及び/又は表面結合タンパク質をコードする遺伝子は、当分野で公知の1つ又は2つ以上の他の方法によって識別される。例えば、いったん分泌タンパク質及び/又は表面結合タンパク質をコードする連鎖球菌種の遺伝子が判明したら、高い%同一性を有する遺伝子の存在について別の連鎖球菌のゲノム配列をスクリーニングすることができる。
ある実施態様では、そのようなスクリーニング方法は、前記別の連鎖球菌のゲノム配列が、連鎖球菌の分泌及び/又は表面結合タンパク質をコードするヌクレオチド配列とハイブリダイズするその能力についてスクリーニングする方法を含む。したがって、本発明は、連鎖球菌のゲノム配列の少なくとも一部において、図4に列挙した核酸配列のいずれかと、0.5Mリン酸ナトリウム、1mM EDTA及び7%ドデシル硫酸ナトリウムを有する緩衝液(pH7.2)中で65℃にてハイブリダイズすることができ、40mMリン酸ナトリウム(pH7.2)、1mM EDTA及び5%ドデシル硫酸ナトリウムを含む緩衝液で65℃にて30分間2回洗浄し、さらに40mMリン酸ナトリウム(pH7.2)、1mM EDTA及び1%ドデシル硫酸ナトリウムを含む緩衝液で65℃にて30分間2回洗浄した後で、前記核酸分子がハイブリダイズしたままの遺伝子を識別することによって、細菌のビルレンス因子と少なくとも50%の配列同一性を有する前記タンパク質を識別する本発明の方法を提供する。細菌のビルレンス因子と少なくとも50%の配列同一性を有する前記タンパク質は、好ましくは、細菌のビルレンス因子と少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、もっとも好ましくは少なくとも80%の配列同一性を有する。
当分野はさらに、連鎖球菌タンパク質が細菌のビルレンス因子と少なくとも50%の配列同一性を有するか否かを決定する多様な方法を提供する。例えば、連鎖球菌タンパク質のアミノ酸配列を細菌のビルレンス因子のアミノ酸配列と比較する。ゲノムによるアプローチを適用することもまた可能である。細菌のビルレンス因子と少なくとも50%の配列同一性を有する連鎖球菌タンパク質は、例えば、ビルレンス因子をコードする細菌の遺伝子と少なくとも50%の配列同一性を有するヌクレオチド配列について連鎖球菌のゲノム配列をスクリーニングすることによって識別される。したがって、本発明のある実施態様は、連鎖球菌のゲノム配列の少なくとも一部において、細菌のビルレンス因子と少なくとも50%の配列同一性を有するタンパク質を識別することによって、細菌のビルレンス因子と少なくとも50%の配列同一性を有するタンパク質を識別する本発明の方法を提供する。しかしながら、連鎖球菌タンパク質が細菌のビルレンス因子と少なくとも50%の配列同一性を有するか否かを決定するために多くの代替方法が当分野で知られている。
細菌のビルレンス因子と少なくとも50%の配列同一性を有する、分泌タンパク質、表面結合タンパク質及び/又はタンパク質をコードする少なくとも1つの連鎖球菌遺伝子を識別したら、好ましくは、前記遺伝子の少なくとも1つが少なくとも2つの連鎖球菌株で保存されているか否かを決定する。第二の連鎖球菌株のゲノムが、前記第一の連鎖球菌株の前記遺伝子と少なくとも約60%の配列同一性を有する核酸配列を含むならば、第一の連鎖球菌株の遺伝子は少なくとも2つに連鎖球菌株で保存されている。前記核酸配列は、前記遺伝子と好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、もっとも好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有する。“配列同一性”という用語は、2つの核酸配列又はアミノ酸配列間の百分率同一性に該当する。2つの核酸配列は、当該2つの配列でアラインメントを実施し、必要ならば最大%の配列同一性を達成するためにギャップを導入した後で、前記配列が少なくとも60%の配列同一性を示すとき、互いに少なくとも60%の配列同一性を有する。アラインメントのための方法及びコンピュータプログラムは、当分野では周知である。候補配列が本定義に当てはまるか否かを決定する目的で使用又は適用することができるコンピュータプログラムは、ジェネンテック社(Genentech Inc.)が作製した“Align 2”(米国著作権局(Washington D.C. 20559)に1991年12月10日に使用者説明書とともに提出された)である。
本発明のある実施態様にしたがえば、本発明の遺伝子が少なくとも2つの連鎖球菌株で保存されている場合、前記遺伝子によってコードされるタンパク質は、前記タンパク質又はその免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体が、2つ以上の連鎖球菌株に対して免疫応答を誘引することができるか否かを判定するための良好な候補物質である。前記第一の連鎖球菌株及び前記第二の連鎖球菌株は好ましくは同じ連鎖球菌種である。
好ましくは、前記遺伝子が少なくとも2つの連鎖球菌血清型で保存されているか否かを決定して、2つ以上の連鎖球菌血清型に対して免疫応答を誘引するその能力について試験できる良好な候補タンパク質を識別する。したがって、少なくとも2つの連鎖球菌株及び/又は血清型で保存されている遺伝子を選択する工程をさらに含む本発明の方法が好ましい。少なくとも2つの連鎖球菌株/血清型で保存された遺伝子を識別したら、好ましくは、前記遺伝子によりコードされるタンパク質を入手する。前記に加えて、又は前記に代わり、前記タンパク質の免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体を入手する。当技術分野は、遺伝子によりコードされるタンパク質、又はその免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体を入手する多様な方法を提供する。前記遺伝子は、例えば適切な発現系によって発現される。発現系の非限定的な例は、真核宿主細胞(例えば酵母)及び原核宿主細胞(例えば大腸菌(Escherichia coli))を含む。細菌のビルレンス因子と少なくとも50%の配列同一性を有する分泌タンパク質、表面結合タンパク質及び/又はタンパク質をコードする本発明の遺伝子(前記遺伝子は少なくとも2つの連鎖球菌株で保存されている)は、好ましくは原核細胞発現系で発現される。(原核細胞の)連鎖球菌タンパク質は原則として原核細胞発現系でより良好に発現されるので、原核細胞発現系が好ましい。さらにまた、原核細胞発現系がより容易にセットアップされ用いられる。
本発明の方法は、本発明の少なくとも1つのタンパク質、又はその免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体が、第一の連鎖球菌株に感染した動物の抗体及び/又は免疫細胞及び第二の連鎖球菌株に感染した動物の抗体及び/又は免疫細胞と特異的に結合することができるか否かを決定する工程を含む。好ましくは、本発明の少なくとも1つのタンパク質又はその免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体が、第一の連鎖球菌血清型に感染した動物の抗体及び/又は免疫細胞、及び第二の連鎖球菌血清型に感染した動物の抗体及び/又は免疫細胞と特異的に結合することができるか否かが決定される。当分野では、前記試験を実施するための多くの方法が知られている。好ましくは、少なくとも2つの異なる連鎖球菌株に感染した少なくとも2匹の動物の血清が用いられる。或いは、ただ1匹の動物の血清が用いられ、前記動物は少なくとも2つの異なる連鎖球菌株に感染している。ある実施態様にしたがえば、1匹の非ヒト動物に少なくとも1つの第一の連鎖球菌株及び/又は血清型を感染させ、さらに第二の非ヒト動物に少なくとも1つの第二の連鎖球菌株及び/又は血清型を感染させる。前記連鎖球菌株及び/又は血清型は前記動物の例えば静脈内に投与される。その後、ある実施態様では、連鎖球菌特異的抗体及び/又は免疫細胞を含む前記動物の血清が採集される。前記血清は場合によって使用前に加工される。例えば、抗体及び/又は免疫細胞は、少なくとも部分的に濃縮及び/又は単離される。本発明のタンパク質及び/又はその免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体は、好ましくは単離及び/又は組換え生成され、さらにその後で前記血清又は(部分的)単離抗体及び/又は免疫細胞(前記動物に由来する)とともにインキュベートされる。第一の動物に由来する血清、抗体及び/又は免疫細胞を、第二の動物に由来する血清、抗体及び/又は免疫細胞と一緒に加えることも可能である。或いは、第一の動物に由来する血清、抗体及び/又は免疫細胞を最初に加え、その後で、第二の動物の血清、抗体及び/又は免疫細胞が添加される。また別の実施態様では、第一の動物の血清、抗体及び/又は免疫細胞を、本発明の少なくとも1つのタンパク質、その免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体を含む1つの別個のバッチに加え、さらに第二の動物の抗体及び/又は免疫細胞を、本発明の少なくとも1つのタンパク質、その免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体を含むもう1つのバッチに加える。インキュベーション後に、前記血清、抗体及び/又は免疫細胞を洗浄し、当分野で公知の任意の方法を用いて、結合抗体及び/又は免疫細胞を可視化する。例えば、結合抗体は前記結合抗体と特異的に結合することができる第二の抗体とインキュベートされる(前記第二の抗体はセイヨウワサビペルオキシダーゼと連結されている)。未結合の第二の抗体を洗浄した後、過酸化水素を加える。セイヨウワサビペルオキシダーゼによる過酸化水素の分解は色原体化合物の酸化と共役し、その結果反応が可視化される。
本発明のタンパク質及び/又はその免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体が、第一の連鎖球菌株によって誘引された抗体及び/又は免疫細胞、及び第二の連鎖球菌株によって誘引された抗体及び/又は免疫細胞と特異的に結合したようであれば、前記タンパク質、免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体は少なくとも2つの連鎖球菌株に対して免疫応答を誘引できることを示唆する。
ある好ましい実施態様では、連鎖球菌に感染した動物の回復期血清に由来する抗体及び/又は免疫細胞が用いられる。回復期血清は、効果的にその感染に対抗した動物から得られる。したがって、連鎖球菌に感染した動物の回復期血清は、同じ連鎖球菌株によるチャレンジに対して前記動物を防御することができる抗体及び/又は免疫細胞を含む。したがって、本発明のタンパク質及び/又は免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体が防御的免疫応答を誘引することができるか否かを決定するために、回復期媒体とのインキュベーションが好ましい。
したがって、本発明のある実施態様は、以下の工程を含む、少なくとも2つの連鎖球菌株に対して免疫応答を誘引することができる連鎖球菌タンパク質を識別する方法を提供する:
−単離及び/又は組換え連鎖球菌タンパク質を入手する工程;
−前記タンパク質を、第一の連鎖球菌株及び/又は血清型に感染した動物の抗体及び/又は免疫細胞、及び第二の連鎖球菌株及び/又は血清型に感染した動物の抗体及び/又は免疫細胞とともにインキュベートする工程;及び
−タンパク質が、第一の連鎖球菌株及び/又は血清型に感染した動物の抗体及び/又は免疫細胞、及び第二の連鎖球菌株及び/又は血清型に感染した動物の抗体及び/又は免疫細胞と結合することができるか否かを決定する工程。
連鎖球菌のタンパク質は多様な方法で入手される。好ましくは、細菌のビルレンス因子と少なくとも50%の配列同一性を有する分泌タンパク質、表面結合タンパク質及び/又はタンパク質は、連鎖球菌培養から単離される。ある実施態様では、表面結合タンパク質は、例えばリゾチームを用いて連鎖球菌から取り除く。ある実施態様では、連鎖球菌タンパク質は、前記タンパク質の少なくとも1つをコードする少なくとも1つの核酸配列を用いて組換えにより生成される。上記で説明したように、好ましくは、細菌のビルレンス因子と少なくとも50%の配列同一性を有する分泌タンパク質、表面結合タンパク質及び/又はタンパク質をコードする遺伝子が用いられる。より好ましくは、前記遺伝子は、少なくとも2つの連鎖球菌株及び/又は血清型で保存されている。前記とは別に、又は前記に加えて、連鎖球菌タンパク質又はその免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体は、当分野で公知の別の方法を用いて作製される。例えば、免疫原性連鎖球菌タンパク質又はペプチドは、通常の合成技術(例えば固相合成)を用いて作製される。別の例として、連鎖球菌タンパク質は連鎖球菌から単離されるか、又は組換えにより製造され、その後で、免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体を生成するために改変される。
ある好ましい実施態様では、連鎖球菌タンパク質はポリアクリルアミドゲルで分離され、続いて、第一の連鎖球菌株及び/又は血清型に感染した動物の抗体及び/又は免疫細胞、及び第二の連鎖球菌株及び/又は血清型に感染した動物の抗体及び/又は免疫細胞とともにインキュベートされる。好ましくは、二次元ポリアクリルアミドゲルが用いられる。
好ましい実施態様では、オプソニン食菌作用誘発抗体を誘引することができる連鎖球菌タンパク質が識別される。オプソニン食菌作用は天然のプロセスであり、このプロセスでは、微生物はオプソニンにより結合され、その後で前記微生物は食細胞によって食菌され殺される。多くの微生物は、食菌作用の強化のためにオプソニンによる結合が要求される。オプソニン結合は、食細胞による摂取に対して微生物をより感受性にさせるプロセスである。前記プロセスでは、オプソニン結合性抗体及び/又はタンパク質は前記微生物と結合し、それによって前記食細胞による前記微生物の摂取を促進する。したがって、オプソニン食菌作用誘発抗体を誘引することができる、本発明の連鎖球菌タンパク質又はその免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体は、そのようなタンパク質及び/又は免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体の動物への投与が、連鎖球菌を食菌することができる、前記動物におけるオプソニン食菌作用誘発抗体の存在をもたらすので好ましい。
本発明の連鎖球菌タンパク質又はその免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体は、連鎖球菌の少なくとも2つの株及び/又は血清型に対して免疫応答を誘引することができる。さらに広い範囲の免疫応答をも誘引するために、少なくとも2つの異なる連鎖球菌タンパク質、及び/又は前記タンパク質の少なくとも1つの免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体を識別することが好ましい。より好ましくは、少なくとも3つの異なる連鎖球菌タンパク質、及び/又は前記タンパク質の少なくとも1つの免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体を識別することが好ましい、等々。識別される本発明の連鎖球菌タンパク質及び/又は免疫学的部分、誘導体及び/又は類似体の数が大きければ大きいほど、より広範囲の免疫応答が誘引される。
別の好ましい実施態様では、少なくとも3つの連鎖球菌株に対して免疫応答を誘引することができる、少なくとも1つの連鎖球菌タンパク質及び/又は本発明の免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体が識別される。前記タンパク質及び/又は免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体は、ヒトの個体及び/又は非ヒト動物で広い免疫応答を誘引するために特に適切である。より好ましくは、少なくとも3つの連鎖球菌血清型に対して免疫応答を誘引することができる、少なくとも1つの連鎖球菌タンパク質及び/又は本発明の免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体が識別される。
タンパク質の免疫原性部分は、ヒトの個体及び/又は非ヒト動物で免疫応答を誘引することができるタンパク質の部分と定義される。好ましくは、前記免疫原性部分は、前記タンパク質と本質的に同じ性質(量的には必ずしも同じではない)の免疫応答を誘引することができる。好ましくは、タンパク質の免疫原性部分は前記タンパク質の1つ又は2つ以上のエピトープを含む。タンパク質のエピトープは、前記エピトープと特異的に結合することができる特異的抗体及び/又は免疫細胞を誘引することができる、前記タンパク質の部分(長さが少なくとも約5アミノ酸)と定義される。2つの異なる種類のエピトープ、すなわち直鎖エピトープ及びコンフォメーションエピトープが存在する。直鎖エピトープは連続するアミノ酸ストレッチを含む。コンフォメーションエピトープは、適所で折りたたまれ、適切に折りたたまれたタンパク質において一緒になって1つのエピトープを形成する、数ストレッチの連続アミノ酸によって形成される。本発明の免疫原性部分は、前記種類のエピトープの一方又は両方を含むことができる。
タンパク質の免疫原性部分は少なくとも5アミノ酸残基を含む。前記免疫原性部分は、好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも15、より好ましくは少なくとも25、もっとも好ましくは少なくとも30の連続するアミノ酸を含む。前記免疫原性部分は、前記免疫原性部分が由来するタンパク質の種類に応じて、好ましくはせいぜい約500アミノ酸残基、より好ましくはせいぜい250アミノ酸残基を含む。
タンパク質の誘導体は、同じ性質の免疫原性特性(量的には必ずしも同じではない)を有する分子と定義される。当業者は、前記分子の免疫原性特性が前記タンパク質と比較して本質的に同じ性質になるように(量的には必ずしも同じではない)タンパク質を変異させることができる。タンパク質の誘導体は、例えば、前記タンパク質の少なくとも1つのアミノ酸残基を変異させることによって、及び/又は1つのアミノ酸残基を別のアミノ酸残基に置換することによって提供される。好ましくは、保存的アミノ酸置換は、例えば酸性側鎖を含むアミノ酸の酸性側鎖を含む別のアミノ酸による置換、大型のアミノ酸の別の大型のアミノ酸による置換、塩基性側鎖を含むアミノ酸の塩基性側鎖を含む別のアミノ酸による置換、等々のように実施される。
当業者は類似タンパク質化合物を容易に作りだすことができる。前記は例えば、ペプチドライブラリーのスクリーニング又はペプチド変異プログラムによって実施される。本発明の類似体は、前記タンパク質と本質的に同じ性質の(量的には必ずしも同じではない)免疫特性を有する。本発明のタンパク質の類似体は、例えば融合タンパク質及び/又はキメラタンパク質を含む。
免疫応答を誘引することができるように、好ましくは、本発明の免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体には、抗体及び/又は免疫細胞を生成させることができる適切な特徴が提供される。前記特徴(当分野では周知である)には、例えば適切なフランキング配列及び/又はタンパク質切断部位が含まれる。前記とは別に、又は前記に加えて、本発明のタンパク質、免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体は好ましくは免疫原性担体とともに提供される。
本発明のタンパク質、免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体がいったんヒト個体又は非ヒト動物に投与されたら、前記物質は、様々な多数の力(例えばタンパク質分解作用、折りたたみ解除、極端なpH値、界面活性剤及び高塩濃度)によって引き起こされる分解のおそれが通常非常に高い。タンパク質又はその免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体の寿命を引き延ばすために、分解に対するその耐性は、好ましくは、天然の荷電の特徴を維持するために、例えばC-末端のカルボキシアミドを有するペプチドの合成及び/又はペプチドのN-末端のアセチル化によって強化される。ある実施態様では、分解に対する耐性は、本発明のタンパク質、又は免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体を変異させて、前記タンパク質、免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体を自己分解に鋭敏にさせる局所の折りたたみ解除プロセスを部分的に阻害することによってさらに強化される。安定化変異のための方策は公知であり、例えば以下の論文に記載されている:Matthews (1991);Alber (1991);Vriend and Eijsink (1993);及びFersht and Serrano (1993)。
分泌タンパク質は、細胞及び/又は生物体内で天然に生成され、少なくとも部分的に前記細胞及び/又は生物からその環境中に分泌されるタンパク質と定義される。したがって、連鎖球菌を培養する場合、分泌タンパク質は、少なくとも部分的には、培養液の少なくとも一部分に少なくともある時点で存在する。分泌タンパク質は、必ずしも持続的に生成及び/又は分泌される必要はない。分泌タンパク質は、例えば細菌の生活環の一定の相の間でのみ生成及び/又は分泌されてもよい。さらにまた、分泌タンパク質の生成及び分泌は必ずしも同時に生じる必要はない。例えば、いくつかの分泌タンパク質は先ず初めに細胞内に蓄積され、その後の時点で分泌される。
表面結合タンパク質は、天然には細胞表面の部分を形成するタンパク質、又は細胞表面に結合するタンパク質と定義される。前記表面結合細胞が細胞の表面と結合している場合、前記は直接的に又は間接的に結合する。間接的結合は、例えば少なくとも1つのリンカーを必要とする。
“単離タンパク質”という用語は、その天然の環境から少なくとも部分的に単離されたタンパク質、及び/又は天然の状態では通常結合している配列の少なくとも一部を欠くタンパク質を指す。
“組換えタンパク質”という用語は、単離及び/又は人工的発現系によって、好ましくは前記タンパク質をコードする核酸配列を用いて生成されるタンパク質を指す。前記核酸配列は、好ましくは少なくとも1つの調節配列(例えばプロモータ、エンハンサー及び/又はターミネータ)と作動できるように連結される。好ましくは、前記調節配列は誘導性であり、したがって前記タンパク質の発現の程度を制御することが可能である。ある実施態様では、前記核酸配列は外因性核酸配列を含む。外因性核酸配列とは、前記核酸配列が天然には存在しない生物のゲノム内のある部位に存在する核酸配列である。
少なくとも2つの連鎖球菌株及び/又は血清型に対して免疫応答を誘引することができる連鎖球菌タンパク質を本発明の方法によって識別した後で、好ましくは前記を製造する。製造したタンパク質は、例えば免疫原性組成物を作製するために、及び/又は少なくとも2つの連鎖球菌株及び/又は血清型に対する免疫応答を動物で誘引するために適している。上記に概略したように、タンパク質を製造するための、例えば組換え体製造のための多様な方法が当分野では知られている。したがって、本発明は、本発明の方法によって識別した少なくとも1つのタンパク質を製造する方法を提供する。本発明の方法によって入手することができる、連鎖球菌の少なくとも2つの株及び/又は血清型に対して免疫応答を誘引することができる連鎖球菌タンパク質もまた本明細書で提供される。
本発明の連鎖球菌タンパク質及び/又は免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体は、免疫原性組成物の製造に特に適切である。前記免疫原性組成物は、少なくとも2つの連鎖球菌株に対する広い液性及び/又は細胞性免疫を誘引することができる。少なくとも2つの連鎖球菌血清型に対する広い免疫応答を達成することができように、好ましくは、少なくとも2つの連鎖球菌血清型に対して免疫応答を誘引することができる、連鎖球菌タンパク質及び/又は免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体が免疫原性組成物の製造に用いられる。したがって、少なくとも2つの連鎖球菌株及び/又は血清型に対して免疫応答を誘引することができる免疫原性組成物の製造を目的とする、本発明の方法によって入手できるタンパク質又はその免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体の使用もまた、少なくとも2つの連鎖球菌株及び/又は血清型に対して免疫応答を誘引することができる免疫原性組成物(本発明の方法によって入手することができる少なくとも1つの単離及び/又は組換えタンパク質、又はその免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体を含む)と同様に提供される。さらに広い防御をも提供するために、好ましくは、少なくとも2つ又は3つ以上の本発明のタンパク質及び/又は免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体が、免疫原性組成物の製造に用いられる。ある実施態様では、本発明の少なくとも1つのタンパク質及び少なくとも1つの免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体の組合せが、免疫原性組成物の製造に用いられる。
さらにより広い範囲の防御の他に、本発明の少なくとも2つのタンパク質及び/又は免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体の使用は、連鎖球菌の逸出変異体の発生の機会を減少させる。細菌の逸出変異体は、一般的には環境的ストレス下、例えば抗生物質の存在下及び/又は前記生物のエピトープに対する抗体の存在下で発生する。生物の集団内の通常の変化によって、いくつかの生物は、前記環境的ストレス、例えば前記抗生物質及び/又は抗体の存在の阻害的作用から逸脱し、増殖することができる。異なるいくつかのエピトープについて一度に生じる逸出変異体の発生の機会は、ただ1つのエピトープについての逸出変異体の発生の機会よりも少ない。
したがって、本発明の免疫原性組成物は、本発明の方法によって入手することができる、少なくとも2つの単離及び/又は組換えタンパク質、及び/又は少なくとも1つのその免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体を含む。より確実に逸出変異体を含まないために、本発明のタンパク質は好ましくは必須のタンパク質を含む。これは、連鎖球菌の代謝、生存及び/又は増殖に重要な(好ましくは必須の)タンパク質である。したがって、必須タンパク質が変異して生じる可能性がある逸出変異体は、もしあるとしても生存率は低い。
表5及び6は、本発明の方法によって識別したストレプトコッカス・ウベリス(Streptococcus uberis)タンパク質のリストを含む。これらのタンパク質、又はその少なくとも1つの免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体は、本発明の免疫原性組成物の製造に適切である。したがって前記タンパク質が表5及び/又は表6から選択される本発明の使用もまた、表5及び/又は表6に記載の単離及び/又は組換えタンパク質の少なくとも1つ、又は前記タンパク質の免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体を含む本発明の免疫原性組成物と同様に提供される。より広い防御をも提供するために、好ましくは、前記免疫原性組成物は、表5及び/又は表6に記載の少なくとも2つのタンパク質、及び/又はその免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体を含む。もっとも好ましくは、前記免疫原性組成物は、表5及び/又は表6に記載の少なくとも3つのタンパク質、及び/又はその免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体を含む。
好ましい実施態様では、表5及び/又は表6に記載の少なくとも1つ、少なくとも2つ又は少なくとも3つが、P15、P16、P17、P19、P20、P22、P27、P54、P28、P63、P64、P68、P75、P81、P93、P100、P105、表面専一タンパク質、トリッガー因子(ropA)、及びヌクレオシドジホスフェートキナーゼから成る群から選択される。これらのタンパク質は、S.ウベリス感染動物の血清に存在する抗体によって認識されるか(これらのタンパク質はin vivoで発現され、乳牛で免疫原性であることを示唆する)、又は表5に記載のS.ウベリスの少なくとも2つの株間で相互反応する。上記のタンパク質(例えば表5に性状が示される)の番号は、例えば表1、2及び3(S.ウベリスの共通表面タンパク質の非限定的な例を示す)に示すタンパク質に該当する。さらにまた、図4は、これらの選択S.ウベリス推定表面タンパク質/ビルレンス因子の核酸及びアミノ酸配列の非限定的な例を示す。
高度に保存され、in vivoで発現され、さらに高度に免疫原性であるタンパク質、例えば実施例11に示される種々の株に感染した乳牛の回復期血清によって認識されるタンパク質は、本発明の免疫原性組成物で特に有用である。したがっていっそう好ましい実施態様では、表5及び/又は6の精選タンパク質は、P15、P16、P20、P27、P54、P28、P63、P68、P93、及びP105から成る群から選択されるタンパク質を含む。もっとも好ましくは、表5及び/又は6の精選タンパク質は、P15、P16、P54、P28、P63、及びP105から成る群から選択されるタンパク質を含む。実施例11に示すように、後者の精選タンパク質は使用した全ての回復期血清によって認識され、これらの抗原は対応する感染を引き起こす全てのS.ウベリス株によって発現されること、これらの抗原は宿主の感染中に発現されること、及びこれらの抗原は高度に免疫原性であることを示唆している。
さらに別の実施態様は、本発明の方法によって入手できる少なくとも1つのタンパク質、又は前記タンパク質の免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体をコードする少なくとも1つの核酸を含む、少なくとも2つの連鎖球菌の株及び/又は血清型に対して免疫応答を誘引することができる免疫原性組成物を提供する。前記免疫原性組成物の動物への投与に際して、前記核酸分子は動物の機構によって発現され、本発明の少なくとも1つのタンパク質及び/又は免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体の発現をもたらす。前記タンパク質及び/又は免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体の生成及び、場合によって細胞外分泌は免疫応答を生じる。
ある実施態様では、本発明のタンパク質及び/又はその免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体は組換えにより製造される。本発明は、連鎖球菌の少なくとも2つの株及び/又は血清型に対して免疫応答を誘引することができる免疫原性組成物を製造する方法を提供し、前記方法は、細胞又は別の発現系に少なくとも1つの組換えベクターを提供する工程を含む。前記少なくとも1つのベクターは、本発明の方法によって入手することができる少なくとも1つのタンパク質、及び/又は表5及び/又は6から選択される少なくとも1つのタンパク質、及び/又は前記タンパク質の免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体をコードする核酸配列を含む。適切な発現系は当分野では公知である。ある実施態様では、本発明の1つのタンパク質又はその免疫原性部分をコードする、少なくとも1つの核酸配列が発現される。別の実施態様では、少なくとも2つのタンパク質及び/又は免疫原性部分をコードする少なくとも1つの核酸分子が用いられる。さらにまた少なくとも2つの核酸分子を用いることも可能であり、各々の核酸分子は本発明の1つ又は2つ以上のタンパク質及び/又は免疫原性部分をコードする。例えば、(少なくとも)1つのタンパク質をコードする1つの核酸分子及び(少なくとも)1つの免疫原性部分をコードする1つの核酸分子が適切である。したがって、核酸分子の数、及び前記核酸分子によってコードされるタンパク質及び/又は免疫原性部分の数の変動は可能である。
例えば、本発明の核酸配列は相同性組換えによって細胞のゲノムに挿入される。さらに、核酸配列を無作為に、例えばエレクトロポレーションによって挿入することも可能である。前記に代えて又は前記に加えて、前記核酸配列はベクター(例えばプラスミドベクター又はファージベクター)に挿入される(前記ベクターは、選択した発現系(例えば微生物及び/又は細胞)に適している)。好ましくは、本発明の前記核酸配列は、調節配列(例えばプロモータ、エンハンサー及び/又はターミネータ)の制御下で転写及び翻訳される。好ましくは、前記プロモータ、エンハンサー及び/又はターミネータは選択した発現系での使用に適している。より好ましくは、前記調節配列は、制御発現を可能にするために誘導性である。多様な微生物に適したプロモータ及びターミネータは以下に開示されている:微生物学基礎講座(基礎微生物学)、8巻、遺伝子工学、共立出版(1990)。例えばエシェリキア(Escherichia)、より具体的には大腸菌(Escherichia coli)に適したプラスミドベクターはpBR及びpUCシリーズのプラスミドであり、適切なプロモータは例えばlacプロモータ(β-ガラクトシダーゼ)、trpオペロン(トリプトファンオペロン)、及びtacプロモータ(lac-trpハイブリッドプロモータ)、並びにλ-faag PL又はPRに由来するプロモータを含む。好ましいターミネータは、trpA-又はファージ由来rrnBリボソームターミネータを含む。連鎖球菌での組換え体製造に適切なプラスミドベクターは、例えばpHV1301(FEMS Microbiol Lett (1985)26:239)及びpGK1(Appl Environ Microbiol (1985) 50:94)を含む。
本発明はしたがって、本発明の方法によって入手できるか、及び/又は表5及び/又は6から選択される少なくとも2つの連鎖球菌タンパク質、及び/又は前記タンパク質の少なくとも1つの免疫原性部分をコードする核酸配列を、機能的に連結された調節配列(例えばプロモータ)の制御下に含む組換え核酸分子を提供する。本発明の方法によって入手できるか、及び/又は表5及び/又は6から選択される少なくとも2つのタンパク質、及び/又はその免疫原性部分をコードする核酸配列を含む単離宿主細胞もまた本明細書で提供される。前記宿主細胞は、好ましくは原核宿主細胞を含む。
好ましい実施態様では、本発明の核酸分子は連鎖球菌に対して免疫応答を誘引するために用いられる。好ましくは、前記は、本発明の方法によって入手できるか、及び/又は表5及び/又は6から選択される少なくとも1つのタンパク質、及び/又は前記少なくとも1つのタンパク質の免疫原性部分をコードする核酸を含む組換え担体、又は本発明の組換え核酸分子を用いて実施される。したがって、前記組換え担体もまた本明細書で提供される。もっとも好ましくは、表5及び/又は6から選択される少なくとも1つのタンパク質をコードする核酸を含む組換え担体が提供される。特に好ましいある実施態様では、前記組換え担体は、表5及び/又は6から選択される少なくとも2つのタンパク質をコードする核酸を含む。ある実施態様では、前記組換え担体は本発明の少なくとも1つのタンパク質を生成することが許容され、その後で、少なくとも1つの組換えタンパク質と担体それ自体の組合せが、少なくとも2つの連鎖球菌株及び/又は血清型に対する免疫応答の誘引に用いられる。ある実施態様では、本発明の死菌組換え担体が提供される。しかしながら、ある好ましい実施態様は本発明の生菌組換え担体を提供する。ある実施態様では、前記生菌担体は弱毒担体である。好ましくは、本発明の生菌担体は、ヒトの個体及び/又は非ヒト動物に感染することができ、その後で、少なくとも2つの連鎖球菌株及び/又は血清型に対する免疫応答が誘引される。
本発明の組換え担体は1つの連鎖球菌種を含む。このようにして、連鎖球菌に対する免疫応答は、前記担体によってコードされるタンパク質及び/又は免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体によって、及び前記組換え担体それ自体によって誘導される。連鎖球菌の莢膜遺伝子発現生成物はしばしば高度に免疫原性であり血清型特異的である。したがって、莢膜遺伝子発現生成物の存在は、異なる多様な連鎖球菌株及び/又は血清型に対する免疫応答の誘発を妨害する。したがってある実施態様では、本発明の組換え担体が連鎖球菌を含む場合、前記連鎖球菌は莢膜遺伝子発現生成物の少なくとも一部を欠いている。ある実施態様では、前記連鎖球菌は無莢膜連鎖球菌である。
上記に記載したように、少なくとも2つの異なる連鎖球菌株及び/又は血清型由来の少なくとも2つのタンパク質及び/又は免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体による免疫は広い防御を提供し、さらに逸出変異体の形成の機会を減少させる。したがって、本発明の好ましい実施態様は、第一の連鎖球菌株及び/又は血清型に由来する少なくとも1つのタンパク質及び/又はその免疫原性タンパク質をコードする核酸配列、及び第二の連鎖球菌株及び/又は血清型に由来する少なくとも1つのタンパク質及び/又はその免疫原性タンパク質をコードする核酸配列を含む本発明の組換え担体を提供する。前記組換え担体は、好ましくは生菌組換え担体を含む。
組換え担体は、例えば適切な宿主細胞で製造される。したがって、本発明の組換え担体を含む単離宿主細胞もまた提供される。
本発明の組換え担体は、少なくとも2つの連鎖球菌株及び/又は血清型に対して免疫応答を誘引することができる免疫原性組成物の製造に適切である。したがって、本発明の組換え担体を含む、連鎖球菌に対して免疫応答を誘引することができる免疫原性組成物もまた本明細書で提供される。
本発明の免疫原性組成物をヒトの個体及び/又は非ヒト動物に投与した後で、連鎖球菌に対して免疫応答が誘引される。好ましくは、前記免疫応答は連鎖球菌関連疾患に少なくとも部分的に対抗することができる。したがって、医薬としての使用を目的とする本発明の免疫原性組成物もまた、連鎖球菌関連疾患に対する医薬の製造を目的とする本発明の免疫原性組成物の使用と同様に本明細書で提供される。
本発明の免疫原性組成物はまたワクチンの製造に適切である。好ましくは、前記ワクチンは、連鎖球菌関連疾患に対する防御を少なくとも部分的に提供することができる。好ましくは、前記ワクチンは、連鎖球菌感染に対する防御を提供することができる。したがって、本発明は、ワクチンの製造を目的とする本発明の免疫原性組成物の使用を提供する。
好ましくは、本発明のタンパク質、免疫原性部分、誘導体、類似体及び/又は組換え担体は、適切な担体とともにヒト個体及び/又は非ヒト動物に投与される。好ましくは、前記担体は、前記ヒト個体及び/又は非ヒト動物による本発明の前記タンパク質、免疫原性部分、誘導体、類似体及び/又は組換え担体の受け入れを容易にし、さらに好ましくは免疫原性作用を高める。本発明の適切な担体は、例えば本発明の免疫原性組成物の免疫作用を高めることができる適切なアジュバントを含む。多くの適切なアジュバント(油性及び水性)が当業者に知られている。ある実施態様では、前記アジュバントはDiluvac Forte及び/又はSpecolを含む。別の実施態様では、前記適切な担体は、例えばタンパク質又はその免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体を希釈するために、例えば食塩水のような溶液を含む。したがって、本発明はまた、少なくとも1つの本発明のタンパク質、誘導体、類似体及び/又は組換え担体及び適切な担体を含む、本発明の免疫原性組成物を開示する。
本発明の免疫原性組成物は、ヒトの個体及び/又は非ヒト動物で連鎖球菌に対して免疫応答を誘引することができ、それによって、前記個体及び/又は動物で連鎖球菌の数を減少させ及び/又は制御することができる。したがって、本発明は、ヒトの個体及び/又は非ヒト動物で連鎖球菌の数を減少させ及び/又は制御する方法を提供し、前記方法は、本発明の免疫原性組成物を前記個体及び/又は非ヒト動物に提供する工程を含む。
好ましくは、本発明の免疫原性組成物は、連鎖球菌関連疾患に少なくとも部分的に対抗するか、及び/又は予防することができる。連鎖球菌関連疾患が既に存在する場合、本発明の免疫原性組成物は、好ましくは前記疾患に少なくとも部分的に対抗することができる。したがって、本発明の免疫原性組成物及び好ましくは適切な担体(例えばDiluvac Forte及び/又はSpecol)を含む医薬組成物もまた本明細書で提供される。
本発明のさらに別の実施態様は、連鎖球菌に対するヒトの個体及び/又は非ヒト動物の免疫度を測定する方法を提供し、前記方法は、本発明の方法によって入手できるか、及び/又は表5及び/又は6から選択されるタンパク質、又はその免疫原性部分に対する抗体及び/又は免疫細胞の存在を、前記個体及び/又は動物の少なくとも1つにサンプルで決定する工程を含む。本発明の方法によって入手できるか、及び/又は表5及び/又は6から選択される少なくとも1つのタンパク質、又はその免疫原性部分、並びに前記タンパク質又はその免疫原性部分と結合する抗体及び/又は免疫細胞を検出する手段を含む診断キットもまた本明細書で提供される。特に好ましい実施態様では、前記診断キットは表5及び/又は6から選択される少なくとも2つのタンパク質を含む。
無傷のS.ウベリス株のFACS分析を示す。S.ウベリス株41-241をマウスの免疫血清(黒棒線)又は対応する免疫前の血清(白棒線)と一緒にインキュベートした。結合抗体はFITC連結二次抗体を用いて検出した。データは、細菌細胞と結合した蛍光の中央値として表されている。10以上(バックグラウンドの2倍)の蛍光を陽性とみなした。用いた血清の番号は、表1から4に示す遺伝子/タンパク質の番号に該当する。 無傷のS.ウベリス株のFACS分析を示す。S.ウベリス株O140Jをマウスの免疫血清(黒棒線)又は対応する免疫前の血清(白棒線)と一緒にインキュベートした。結合抗体はFITC連結二次抗体を用いて検出した。データは、細菌細胞と結合した蛍光の中央値として表されている。10以上(バックグラウンドの2倍)の蛍光を陽性とみなした。用いた血清の番号は、表1から4に示す遺伝子/タンパク質の番号に該当する。 クマシーブリリアントブルー染色二次元プロテオームパターンを示す。指数関数的に増殖しているS.ウベリス株41-241(A)及びO140J(B)の溶解物を、O140J株の実験的感染後の乳牛から得たウシ血清を用いて調べた。丸で囲んだタンパク質は免疫原性タンパク質であると認定された。ゲル内トリプシン消化、MALDI-TOF質量分析によって解析した前記認定タンパク質の特性は表6に示されている。 S.ウベリス株O140J又は41-241による乳牛の感染を示す。3A:乳牛6716及び6717に乳管を介してS.ウベリス株O140Jを感染させる。乳牛6720及び6721に乳管を介してS.ウベリス株41-421を感染させる。乳牛6720には5000cfuのS.ウベリスを感染させ、乳牛6721には500cfuのS.ウベリスを感染させたことに留意されたい。SCCは乳中の体細胞数を意味する。BOは細菌検査を意味し、乳から単離されるコロニー形成単位(cfu)としての細菌数として提示される。RVは右側前方4分の1を意味し、LAは左側後方4分の1を意味する。 S.ウベリス株O140J又は41-241による乳牛の感染を示す。3A:乳牛6716及び6717に乳管を介してS.ウベリス株O140Jを感染させる。乳牛6720及び6721に乳管を介してS.ウベリス株41-421を感染させる。乳牛6720には5000cfuのS.ウベリスを感染させ、乳牛6721には500cfuのS.ウベリスを感染させたことに留意されたい。SCCは乳中の体細胞数を意味する。BOは細菌検査を意味し、乳から単離されるコロニー形成単位(cfu)としての細菌数として提示される。RVは右側前方4分の1を意味し、LAは左側後方4分の1を意味する。 S.ウベリス株O140J又は41-241による乳牛の感染を示す。3A:乳牛6716及び6717に乳管を介してS.ウベリス株O140Jを感染させる。乳牛6720及び6721に乳管を介してS.ウベリス株41-421を感染させる。乳牛6720には5000cfuのS.ウベリスを感染させ、乳牛6721には500cfuのS.ウベリスを感染させたことに留意されたい。SCCは乳中の体細胞数を意味する。BOは細菌検査を意味し、乳から単離されるコロニー形成単位(cfu)としての細菌数として提示される。RVは右側前方4分の1を意味し、LAは左側後方4分の1を意味する。 S.ウベリス株O140J又は41-241による乳牛の感染を示す。3A:乳牛6716及び6717に乳管を介してS.ウベリス株O140Jを感染させる。乳牛6720及び6721に乳管を介してS.ウベリス株41-421を感染させる。乳牛6720には5000cfuのS.ウベリスを感染させ、乳牛6721には500cfuのS.ウベリスを感染させたことに留意されたい。SCCは乳中の体細胞数を意味する。BOは細菌検査を意味し、乳から単離されるコロニー形成単位(cfu)としての細菌数として提示される。RVは右側前方4分の1を意味し、LAは左側後方4分の1を意味する。 S.ウベリス株O140J又は41-241による乳牛の感染を示す。3B:S.ウベリス株O140Jの感染後の乳牛6718及び6719の臨床徴候並びに細菌及び細胞学的検査結果。 S.ウベリス株O140J又は41-241による乳牛の感染を示す。3B:S.ウベリス株O140Jの感染後の乳牛6718及び6719の臨床徴候並びに細菌及び細胞学的検査結果。 S.ウベリス株O140J又は41-241による乳牛の感染を示す。3B:S.ウベリス株O140Jの感染後の乳牛6718及び6719の臨床徴候並びに細菌及び細胞学的検査結果。 S.ウベリス株O140J又は41-241による乳牛の感染を示す。3B:S.ウベリス株O140Jの感染後の乳牛6718及び6719の臨床徴候並びに細菌及び細胞学的検査結果。 S.ウベリス株O140J又は41-241による乳牛の感染を示す。3C:S.ウベリス株42-241の感染後の乳牛6722及び6723の臨床徴候並びに細菌及び細胞学的検査結果。 S.ウベリス株O140J又は41-241による乳牛の感染を示す。3C:S.ウベリス株42-241の感染後の乳牛6722及び6723の臨床徴候並びに細菌及び細胞学的検査結果。 S.ウベリス株O140J又は41-241による乳牛の感染を示す。3C:S.ウベリス株42-241の感染後の乳牛6722及び6723の臨床徴候並びに細菌及び細胞学的検査結果。 S.ウベリス株O140J又は41-241による乳牛の感染を示す。3C:S.ウベリス株42-241の感染後の乳牛6722及び6723の臨床徴候並びに細菌及び細胞学的検査結果。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。 表5のS.ウベリスタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す。
本発明の方法は、好ましい実施態様では、少なくとも2つのストレプトコッカス・ウベリス株及び/又は血清型に対して免疫応答を誘引することができるストレプトコッカス・ウベリスタンパク質を識別するために適用される。そのようなストレプトコッカス・ウベリスタンパク質は、好ましくは、少なくとも2つのストレプトコッカス・ウベリス株及び/又は血清型に対して免疫応答を誘引することができる免疫原性組成物の製造に用いられる。したがって、少なくとも2つのストレプトコッカス・ウベリス株及び/又は血清型に対して免疫応答を誘引することができる免疫原性組成物(前記組成物は、本発明の方法によって入手できる少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの単離及び/又は組換えタンパク質、又はその少なくとも1つの免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体を含む)もまた、ストレプトコッカス・ウベリス乳腺炎に対する医薬の製造のための前記の使用と同様に本明細書で提供される。さらにまた、本発明は、本発明の方法によって入手できるか、及び/又は表5及び/又は6から選択される少なくとも2つのストレプトコッカス・ウベリスタンパク質をコードする核酸配列を含む、単離又は組換え核酸分子を提供する。さらにまた、組換え担体、宿主細胞、前記核酸を含む免疫原性組成物もその使用と同様に提供される。
ストレプトコッカス・ウベリスはウシ乳腺炎と密接に関係する。ウシ乳腺炎は、通常は細菌によって引き起こされる乳牛の乳房感染である。感染に続く炎症性応答は乳の収量及び質を低下させ、酪農産業にとって年間の主要な経済的損失となる。オランダの経済的損失は、およそ100ユーロ/乳牛/年と概算される。
細菌種の中でとりわけストレプトコッカス属の多様な種が乳腺炎にもっとも一般的に付随し、ストレプトコッカス・ウベリス(型未分類)、ストレプトコッカス・アガラクチアエ(agalactiae)(ランスフィールド(Lancefield)Bグループ)、ストレプトコッカス・ディスガラクチアエ(dysgalactiae)(ランスフィールドCグループ)、ストレプトコッカス・ズーエピデミクス(zooepidemicus)、及びランスフィールドD、G、L及びNグループ連鎖球菌が含まれる。これらの種のいくつかは接触伝染性であり(例えばS. agalactiae)、一方、他のものは環境性病原体と考えられる(例えばS. dysgalactiae及びS. uberis)。
S.ウベリスの感染により生じる乳腺炎は通常は無症状であり、白血球の流入のために体細胞が増加した、外見的には通常の乳を特徴とする。
乳腺炎は、感染によってもたらされる臨床的影響にしたがって重症度が変動する。乳腺炎の軽症型は、体温のいくらかの上昇及び/又は乳房温度の上昇を引き起こしえる。より重症例では、S.ウベリス乳腺炎はまた急性臨床症状型をとることがあり、例えば乳の凝塊又は変色及び乳腺の腫脹又硬結のような明白な疾病の徴候を示す。臨床症状のいくつかの症例は重度であり、発熱も提示されえる。S.ウベリス乳腺炎の臨床所見の概括のためにはBramley(1991)及びSchalm et al.(1971)を参照されたい。
通常的な抗菌的制御方法(例えば乳首の浸漬及び抗生物質療法)は、多くの接触伝染性乳腺炎型の制御に有効であるが、全ての家畜小屋で典型的に見出される環境性生物はそのような手段に対してしばしば耐性を示す。したがって、これらの手段は、環境性病原体、例えばストレプトコッカス・ウベリス及び大腸菌(今や95%を超える乳腺炎の原因である)によって引き起こされる乳腺炎の発生率に影響を与えなかった。これら2つの種では、英国(Hillerton et al. 1993)、ニュージーランド(McDougall, 1998)、米国(Hogan et al. 1989)およびオランダ(Animal Health Service, 2000)で実施された調査で示されたように、S.ウベリスがもっとも重要な環境性病原体である。さらにまた、いったん環境から感染が発生すると、S.ウベリスは感染牛から感受性を有する動物に直接伝播できることを示す証拠が存在する(Neave et al. 1969;Oliver et al. 1999;Zadoks et al. 2001)。毒性及び抗原性が異なるいくつかのS.ウベリス株が存在する。
S.ウベリスの制御を目的とする従来方法の失敗は、代替制御手段、例えばより有効なワクチンの検索につながった。いくつかのタイプのワクチンが今日までに開発され、乳牛で試験された。
完全死菌による乳牛の反復免疫は、同じ株による実験的チャレンジ後の乳中に存在する細菌数の減少をもたらした(Leigh, 1999;Leigh, 2000)。しかしながら、死菌ワクチンは感染も乳腺における炎症応答も防がず、野外でのS.ウベリス乳腺炎の発生に影響を与えなかった(Leigh, 1999)。したがって、死菌による免疫はS.ウベリス乳腺炎の問題の解決にはならなかった。
生菌S.ウベリスによる免疫は同じ(同種)株による実験的チャレンジに対して部分的防御を誘発した(Finch et al. 1997)。防御は、オプソニン化活性の非存在下及び好中球が大量に流入しない状態で達成された。しかしながら、ワクチンは他のS.ウベリス株に対して防御を示すようには見えなかった。これらの全細胞ワクチンによる成功率の相対的な低さは、通常の完全細菌ワクチンを用いてS.ウベリスに対して動物を防御することが困難であることを示している。
さらに最近、S.ウベリスの1つのタンパク質を土台にしたサブユニットワクチンが製造された(Fontain et al. 2002)。前記サブユニットワクチンの発表は今日までフォローアップされることはなく、このことは、S.ウベリスのいくつかの型に対して動物を防御するただ1つのタンパク質を発見するチャンスは少なく、この種のサブユニットワクチンは一般的にはS.ウベリス乳腺炎を制御するという課題の答えにはならないという結論をもたらした。
要約すれば、S.ウベリスによって引き起こされる乳腺炎は、完全な生菌若しくは死菌又は1つのタンパク質を含むサブユニットワクチンによるワクチン接種では効果的に予防も治癒もできない。
上記に記載したS.ウベリス乳腺炎に対するワクチン接種の悲観的結果にもかかわらず、我々は、多様なS.ウベリス株によって引き起こされる乳腺炎を、S.ウベリスに対して免疫応答を誘引することができる本発明の抗原性組成物によって首尾よく予防及び/又は緩和できることを本明細書で開示する。
本発明は、少なくとも2つのストレプトコッカス・ウベリス株及び/又は型に対して免疫応答を誘引することができるストレプトコッカス・ウベリスタンパク質を識別する方法を提供する。前記方法は以下の工程を含む:
a)細菌のビルレンス因子と少なくとも50%の配列同一性を有する、分泌タンパク質、表面結合タンパク質及び/又はタンパク質の少なくとも一部を識別する工程;
b)少なくとも2つのストレプトコッカス・ウベリス株及び/又は型で保存されている、工程a)で識別した少なくとも1つのタンパク質を選択する工程;及び
c)工程b)で選択した少なくとも1つのタンパク質、又はその免疫原性部分、誘導体及び/又は類似体が、第一のストレプトコッカス・ウベリス株及び/又は型に感染した動物の抗体及び/又は免疫細胞並びに第二のストレプトコッカス・ウベリス株及び/又は型に感染した動物の抗体及び/又は免疫細胞と特異的に結合することができるか否かを決定する工程。細菌のビルレンス因子と少なくとも50%の配列同一性を有する前記タンパク質は、細菌のビルレンス因子と好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、もっとも好ましくは少なくとも80%の配列同一性を有する。
さらにまた、本発明は、少なくとも2つの単離若しくは組換えS.ウベリス表面タンパク質又はその免疫原性部分を抗原性組成物で組合せることによって、S.ウベリス株に対する免疫応答が相当に強化されることを開示する。完全細菌細胞ワクチン(多くの細菌性免疫原性タンパク質を含む)は多様なS.ウベリス株に対する広い防御を誘引しないが、一方、本発明の免疫原性組成物中の2つ若しくは3つ以上のタンパク質又はその免疫原性部分は、S.ウベリスに対して所望の免疫強化作用を有する。我々は、1つのS.ウベリス菌、及び好ましくは少なくとも2つの株又は型のS.ウベリス菌の少なくとも2つの免疫原性タンパク質又はその免疫原性部分を選択し、前記少なくとも2つの免疫原性タンパク質又はその免疫原性部分を免疫原性組成物で組み合わせることによって、より広い範囲の異なるS.ウベリス菌に対して免疫応答が誘導されるので、S.ウベリスの異なる株に対する免疫を強化することを開示する。
対象者又は動物で免疫応答を誘引するために、好ましくはタンパク質の免疫原性部分が前記対象は又は動物に提示される。本発明では、“免疫原性部位”という用語は、“免疫原性部分”という用語と相互に用いられる。“免疫原性部分又は部位”とは、タンパク質の部分を意味し、前記は対象者で免疫応答を誘引することができる。好ましくは、前記タンパク質の免疫原性部分は1つ又は2つ以上のエピトープを含み、したがって免疫学的応答を誘引する。免疫原性部分は少なくとも5アミノ酸、好ましくは少なくとも10−15、及びもっとも好ましくは25以上の連続するアミノ酸を含む。したがって別の実施態様で、本発明は、本発明の核酸によってコードされるタンパク質様分子の連続する30アミノ酸の少なくとも1ストレッチを含むタンパク質又はその免疫原性部分を提供する。コンフォメーションエピトープは、適所で折りたたまれ、さらにタンパク質がその三次元構造をとるとき一緒になって1つのエピトープを形成する数ストレッチの連続するアミノ酸によって形成される。本発明はまた、コンフォメーションエピトープの免疫原性部分としての使用を開示する。
タンパク質の誘導体は、本質的に同じ性質(量的には必ずしも同じではない)の免疫原性特性を有するタンパク質と定義される。当業者は、前記分子の免疫原性特性が本質的に同じ性質(量的には必ずしも同じではない)であるように、タンパク質を変異させることができる。タンパク質の誘導体は、多くの方法、例えば保存的アミノ酸置換(例えばタンパク質中のあるアミノ酸の別のアミノ酸による置換)によって提供することができる。保存的置換マッピングでは、好ましくは、保存的変更は、例えば酸性側鎖を含むアミノ酸の酸性側鎖を含む別のアミノ酸による置換、大型のアミノ酸の大型のアミノ酸による置換、塩基性側鎖を含むアミノ酸の塩基性側鎖を含むアミノ酸による置換、電荷をもたない極性側鎖を含むアミノ酸の電荷をもたない極性側鎖を含むアミノ酸による置換、及び非極性側鎖を含むアミノ酸の非極性側鎖を含むアミノ酸による置換のように実施される。当業者は類似のタンパク質化合物を容易に作りだすことができる。前記は例えば、ペプチドライブラリーのスクリーニング又はペプチド変更プログラムによって実施される。免疫原として使用するために、適切な特徴を有するペプチドを合成し、抗体産生の成功の高い蓋然性が担保される。これらにはC-末端遊離カルボキシル基(ペプチドが天然のタンパク質の実際のC-末端配列である場合)、及び遊離N-末端アミノ基(ペプチドが天然のタンパク質の実際のN-末端配列である場合)が含まれる。そのような類似体は、前記タンパク質と本質的に同じ(量的には必ずしも同じではない)免疫原性特性を有する。
タンパク質又はペプチドは、多くの種々の因子、例えばタンパク分解、折りたたみの解除、極端なpH値、界面活性剤及び高塩濃度による分解を受ける。組換えタンパク質又はペプチドの寿命を引きのばすために、例えばC-末端カルボキシアミドを有する前記ペプチドの合成及び/又はN-末端のアセチル化による天然の荷電特性の維持によって、前記タンパク質又はペプチドをより安定にして分解に対して耐性にする。前記はさらに、安定化変異導入対策を用い、一般的にタンパク質を自己分解に鋭敏にさせる局所の折りたたみ解除プロセスを阻害する変異導入によって実施される。前記安定化変異導入対策は、例えば以下の論文に記載された、タンパク質構造と安定性に関する一般的に容認された原則に基づく:Matthews (1991);Alber (1991);Vriend and Eijsink (1993);及びFersht and Serrano (1993)。
ある実施態様では、本発明の免疫原性組成物は、少なくとも2つの組換え若しくは単離表面タンパク質又は誘導体又は類似体、及び/又は前記の免疫原性部分を含む組成物を含み、この場合、対象者又は動物(好ましくは乳牛)への前記組成物の投与は、前記表面タンパク質又はその免疫原性部分に対する液性及び/又は細胞性免疫応答の出現をもたらす。
免疫学的応答は、対象者又は動物(好ましくは乳牛)における前記タンパク質又はその免疫原性部分に対する液性及び/又は細胞性免疫応答を含む。液性免疫応答は、対象者又は動物での抗体の産生をもたらし、一方、細胞性免疫応答は、主として反応性免疫細胞の形成を強化する。一般的には、免疫応答の両部分が免疫原性タンパク質又はその部分の投与によって誘引される。S.ウベリスに対する好ましい免疫応答は抗体産生である。
好ましくは、前記免疫応答は乳腺炎を予防及び/又は緩和し、及び/又は乳房におけるS.ウベリス菌の数を減少させる。本発明は、前記抗体応答を誘引するためのタンパク質及び/又はエピトープを選択及び製造する方法を開示する。S.ウベリスに対する別の好ましい免疫応答は細胞性免疫応答である。本発明はまた、表面タンパク質のT-細胞エピトープを選択し、さらに、例えば予め選択した多様なT-細胞エピトープを連結ビーズのように連結することによって(例えばVan der Burg ら(WO97/41440)が記載)、T-細胞反応性の強化を引き起こすT-細胞エピトープを製造する方法を開示する。
本発明のある実施態様では、前記免疫原性組成物は、感染期間を短縮し及び/又は重症度を緩和させるか、及び/又はS.ウベリス感染に対する動物の耐性を高めることができる。
本発明は、S.ウベリスの外側に対して誘導される免疫応答が好ましいことを開示する。したがって、本発明は、好ましくはS.ウベリスの細胞表面に又は細胞表面近くに存在する抗原に対する免疫応答を誘引することができる、免疫原性組成物又はその免疫原性部分を開示する。本発明の表面タンパク質は、好ましくはS.ウベリス菌の表面近く又は表面上に存在するタンパク質、及び/又は、好ましくはS.ウベリス菌によって生成されるか及び/又は分泌されるタンパク質を含む。前記表面タンパク質は、好ましくはS.ウベリスの他の株で同族タンパク質を有する。したがって、S.ウベリスの他の株に由来する免疫原性タンパク質又はその部分を用いて誘引された免疫応答は、S.ウベリスの他の株に対してもまた有効である。したがって、本発明は、ストレプトコッカス・ウベリスに由来する少なくとも2つの組換え及び/又は単離表面タンパク質、及び/又は前記タンパク質の一方若しくは両方の免疫原性部分を含むS.ウベリスに対して免疫応答を誘引することができる免疫原性組成物を開示する。
“組換えタンパク質”という用語は、組換えDNA技術によって生成されたタンパク質、すなわち所望のタンパク質をコードする核酸構築物によって形質転換された細胞によって生成されたタンパク質に該当する。前記核酸構築物は、発現配列を制御する調節配列(例えばプロモータ及び/又はターミネータ配列及び/又はエンハンサー配列)を有する組換えDNA構築物である。
“単離タンパク質”という用語は、前記分子が天然の状態で見出される完全な生物から分離され区別されたタンパク質、及び/又は天然の状態で通常結合している物質を全体的に又は部分的に欠くタンパク質を指す。前記免疫原性組成物は同じS.ウベリス菌に由来する少なくとも2つのタンパク質又はその免疫原性部分を含むか、又は前記は、ある型のS.ウベリス由来の少なくとも1つのタンパク質若しくはその免疫原性部分及び別の型のS.ウベリス由来の少なくとも1つのタンパク質若しくはその免疫原性部分を含む。本発明はまた、少なくとも3つ若しくは4つ若しくは5つ以上のタンパク質又はその免疫原性部分(それらのうちの1つ又は2つ又は3つ以上はS.ウベリスの他の型に由来する)の組合せを開示する。
好ましくは、本発明の免疫原性組成物又はその免疫原性部分は、少なくとも2つの異なるS.ウベリス菌のタンパク質を含む。なぜならば、得られる広い免疫応答は交差防御を示すから、すなわち異なる型のS.ウベリスに対抗するからである。さらにまた、少なくとも2つの型のS.ウベリス株の免疫原性タンパク質又はその免疫原性部分の使用は、S.ウベリス菌の逸出変異体出現の機会を低下させる。細菌の逸出変異体は、一般的には環境的ストレス、例えば抗生物質の存在下、前記生物のエピトープに対する抗体の存在下で出現する。生物集団における例えば低い変異頻度で生じる天然の変動によって、前記集団のいくつかの生物はそれらの複製が他のものよりも強く抑制され、それらの生物は前記抗体の存在による阻害作用から逸出して増殖を続け、それによって新しい集団で支配的な役割を得る。いくつかの異なるエピトープについて同時に逸出変異体が出現する機会は、ただ1つのエピトープについて逸出変異体が出現する機会よりも少ない。免疫原性組成物及び/又はその免疫原性部分は、好ましくは少なくとも2つのタンパク質に対して免疫応答を誘引し、好ましくは感染に対する広い防御及び乳腺炎の臨床徴候の減少を引き起こす。したがって、本出願は、少なくとも1つのストレプトコッカス・ウベリス株に由来する少なくとも2つの組換え及び/又は単離表面タンパク質、及び/又は前記タンパク質の一方若しくは両方の免疫原性部分又は類似体又は誘導体を含む、ストレプトコッカス・ウベリスに対して免疫応答を誘引することができる免疫原性組成物を提供する。
細菌の代謝又は生存又は増殖のために重要なタンパク質は、一般的には生物の必須タンパク質として知られている。前記必須タンパク質の配列及び機能は、S.ウベリスの異なる型間で一般的にはある程度保存されている。本発明の好ましい実施態様では、前記免疫原性タンパク質はS.ウベリスの必須タンパク質である。このようにして免疫応答が必須タンパク質又はその免疫原性部分に対して誘導され、したがって同種のS.ウベリス菌に対する防御だけでなく異なる型のS.ウベリスに対する交差反応性防御もまた形成される。なぜならば、前記保存タンパク質又は必須タンパク質はまた他の型のS.ウベリスの表面に存在するからである。したがって、S.ウベリスの必須の表面タンパク質を本発明の免疫原性タンパク質として用いることによって、異なる型のS.ウベリス菌による感染に対して免疫応答の防御効果が高められ、免疫応答から逸出する前記生物の可能性が低下する。
S.ウベリスの莢膜抗原は、乳牛(S.ウベリス乳腺炎を克服した乳牛)の回復期血清によって容易に検出されるので一般的に良好な免疫原性エピトープである。前記免疫原性特性は、関連するS.ウベリスの免疫原性エピトープに対する免疫応答を強化することができる。したがって、別の実施態様では、莢膜抗原は免疫原性組成物に対する免疫応答を高めるので、免疫原性組成物は免疫原性タンパク質に加えて少なくとも1つの莢膜抗原を含む。
本特許出願は、S.ウベリス由来であり、S.ウベリスの種々の株に対して免疫応答を誘引するその能力について選択された好ましい組換え及び/又は単離表面タンパク質を表5及び表6に開示する。したがって、本出願は、本発明の免疫原性組成物、及び/又は前記タンパク質の一方若しくは両方の免疫原性部分又は類似体又は誘導体を提供し、この場合、少なくとも2つのタンパク質は表5及び/又は表6から選択される。
本発明の好ましい実施態様では、選択は表5及び/又は表6のタンパク質で実施され、例えば以下のような2つ又は3つ以上のタンパク質の組合せが選択される:S.ウベリス株O140J由来のタンパク質No.63及び/又はその免疫原性部分をS.ウベリス株41-241由来のタンパク質No.15又は22及び/又はその両方及び/又はその免疫原性部分と一緒にする。そのような選択は、S.ウベリスの2つの異なる株由来のタンパク質又はその免疫原性部分を提供し、それによっていくつかのS.ウベリス株に対する広い防御を提供する。
好ましい実施態様では、表5及び/又は表6の精選タンパク質は、P15、P16、P17、P19、P20、P22、P27、P54、P28、P63、P64、P68、P75、P81、P93、P100及びP105から成る群から選択されたタンパク質を含む。上記で述べたように、これらのタンパク質はS.ウベリス感染動物の血清に存在する抗体によって認識されるか(これらのタンパク質がin vivoで発現され、乳牛で免疫原性であることを示している)、又は表5に記載のS.ウベリスの少なくとも2つの株間で交差反応性である。
実施例11で識別されるタンパク質が免疫応答の誘引に特に有用である。さらに好ましい実施態様では、したがって、表5及び/又は表6の精選タンパク質は、P15、P16、P20、P27、P54、P28、P63、P68、P93及びP105から成る群から選択されるタンパク質を含む。もっとも好ましくは、表5及び/又は表6の精選タンパク質は、P15、P16、P54、P28、P63及びP105から成る群から選択されるタンパク質を含む。上記で述べたように、後者の精選タンパク質は、実施例11の対応する感染を引き起こす全てのS.ウベリス株によって発現され、感染中ずっと宿主で発現され、さらに高度に免疫原性である。上記のタンパク質(例えば表5でその特徴が示されている)の番号は、例えば表1、2及び3(S.ウベリスの共通表面タンパク質の非限定例を示す)に記載のタンパク質に当てはまる。さらにまた、図4は、S.ウベリスのこれら推定的な選別表面タンパク質/ビルレンス因子の核酸及びアミノ酸配列の非限定例を示す。
野外条件下では、乳中又は乳房内若しくは乳房上に小数の細菌が見出され、動物にとって必ずしも有害ではない。乳腺炎は、細菌(例えばS.ウベリス菌)の数が乳中又は乳房中で増加するときに出現しえる。本発明のタンパク質又はその免疫原性部分によって誘引される免疫応答は、好ましくは、乳房でのストレプトコッカス・ウベリス菌の増殖を少なくとも部分的に抑制する効果がある。間近の環境内のS.ウベリスの数を減少させることはまた乳腺炎の予防に役立つ。本発明は、乳牛を免疫し、それによってS.ウベリス菌の数を低く維持することによってS.ウベリス乳腺炎を予防/抑制する方法を開示する。前記低レベルのS.ウベリス菌はさらに、搾乳時の衛生管理(例えば乳房、乳首、及び乳房及び/又は乳首と接触する全ての装置を清浄にすることによる)を適用することによって低く維持される。
本発明によって提供されるS.ウベリス由来の組換え及び/又は単離表面タンパク質は、ある実施態様では、原核細胞又は真核細胞を用いる生成系によって製造される。組換えタンパク質の生成のために好ましい開発宿主/ベクター系を用いる細胞の例は、例えば細菌についてはエシェリキア(Escherichia)、バシルス(Bacillus)、シュードモナス(Pseudomonas)、セラチア(Serratia)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、ストレプトコッカス(Streptococcus)及びラクトバシルス(Lactobacillus)であり、酵母についてはサッカロミセス(Saccharomyces)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、ジゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)、ヤロウィア(Yarrowia)、トリコスポロン(Trichosporon)、ロドスポリジウム(Rhododporidium)、ハンセヌラ(Hansenula)、ピキア(Pichia)及びカンジダ(Candida)であり、菌類についてはニューロスポラ(Neurospora)、アスペルギルス(Aspergillus)、セファロスポリウム(Cephalosporium)及びトリコデルマ(Trichoderma)である。
対象の組換えタンパク質の製造のために、前記タンパク質又はその部分をコードする遺伝子は、例えば相同組換えにより又は無作為にゲノムに組み込まれるか、又は前記遺伝子はプラスミドベクター又はファージベクターに配置される(前記ベクターは選択した微生物又は細胞内で安定的に維持され発現される)。微生物又は細胞内での選択DNA構築物の発現のために、遺伝子はプロモータ及びターミネータの制御下で転写及び翻訳される。好ましくは、前記プロモータ及びターミネータは選択した微生物に対して適切である。多様な微生物に適したプロモータ及びターミネータは、「微生物学基礎講座(基礎微生物学)、8巻、遺伝子工学、共立出版(1990)」で開示され、酵母について好ましいものは”Adv. Biochem. Eng. (1990), 43:75-102”及び”Yeast (1992) 8:423-488”に記載されている。例えば、エシェリキア、より具体的には大腸菌のための適切なプラスミドベクターはpBR及びpUCシリーズのプラスミドであり、適切なプロモータは、lacプロモータ(β-ガラクトシダーゼ)、trpオペロン(トリプトファンオペロン)、及びtacプロモータ(lac-trpハイブリッドプロモータ)、並びにλ-faag PL又はPRに由来するプロモータを含む。好ましいターミネータは、trpA-又はファージ由来rrnBリボソームターミネータを含む。連鎖球菌での組換え体製造に適切なプラスミドベクターは、例えばpHV1301(FEMS Microbiol Lett (1985)26:239)及びpGK1(Appl Environ Microbiol (1985) 50:94)を含む。ラクトバシルスでの組換え体製造に適切なプラスミドベクターは、例えば連鎖球菌について開示されたもの、例えばpAMβ1を含む(J Bacteriol (1979) 137:614)。サッカロミセス、好ましくはサッカロミセス・セレビシアエ(S. cerevisiae)での組換え体製造に適切なプラスミドベクターは、例えばYRp、Yep、YCp及びYIpシリーズのベクターを含む。リボソームDNAと染色体内のマルチコピーとの相同性組換えを利用することによって構築された組込みベクター(EP5327456)は、マルチコピーの挿入及び安定な遺伝子制御のために適切である。クルイベロミセス、好ましくはクルイベロミセス・ラクチス(K. lactis)での組換え体製造に適切なプラスミドベクターは、例えばサッカロミセス・セレビシアエに由来する2μmプラスミドシリーズ、pKD1シリーズのプラスミド(J Bacteriol 1981, 145:382-390)、及びキラー活性に必要なpGK11-由来プラスミド、クルイベロミセスの自律的複製遺伝子を含むKARSシリーズのプラスミド及び組み込みベクター(EP537456)を含む。ピキアでの組換え体製造に適切なプラスミドベクターは、例えばピキア・パストリス(P. pastoris)で開発された宿主ベクター系(ピキアでの自立的複製に必要な遺伝子を用いる)を含む(Mol Cell Biol 1985, 5:3376)。カンジダでの組換え体製造に適切なプラスミドベクターは、例えばカンジダ・マルトーサ(C. maltosa)、カンジダ・アルビカンス(C. albicans)及びカンジダ・トロピカリス(C. tropicalis)で開発された宿主ベクター系を含む(Agri Biol Chem 1987, 51:1587)。アスペルギルスでの組換え体製造に適切なプラスミドベクターは、例えば、プラスミド又は染色体内の遺伝子の組込み及び細胞外プロテアーゼ又はアミラーゼのためのプロモータによって構築されたベクターを含む(Trends in Biotechnology 1989, 7:283-287)。トリコデルマでの組換え体製造に適切なプラスミドベクターは、例えばトリコデルマ・レーセイ(T. reesei)で開発された宿主ベクター系及び細胞外セルラーゼのためのプロモータを含む(前記はベクターの構築に適切である)(Biotechnology 1989, 7:596-603)。
好ましくは、表5及び/又は表6のタンパク質又はその免疫原性部分をコードする核酸構築物、好ましくはDNA構築物が前記生成系に提供される。
別の実施態様では、2つ、3つ、又は4つ、また時にはそれより多い表5及び/又は表6のタンパク質又はその免疫原性部分をコードするDNA構築物が前記生成系に提供される。
さらに別の実施態様では、少なくとも2つのDNA構築物が前記生成系に提供され、各々は表5及び/又は表6の少なくとも1つのタンパク質又はその免疫原性部分をコードする。
好ましい実施態様では、表5及び/又は表6の前記タンパク質は、P15、P16、P17、P19、P20、P22、P27、P54、P28、P63、P64、P68、P75、P81、P93、P100及びP105から成る群から選択される。さらに好ましくは、表5及び/又は表6の前記タンパク質は、P15、P16、P20、P27、P54、P28、P63、P64、P68、P93及びP105から成る群から選択される。もっとも好ましくは、表5及び/又は表6の前記タンパク質は、P15、P16、P54、P28、P63及びP105から成る群から選択される。
より好ましい実施態様では、前記核酸構築物は融合タンパク質をコードし、前記はS.ウベリスの2つ以上のタンパク質に由来する免疫原性エピトープを含む。より好ましくは、前記融合タンパク質は、2つ以上のS.ウベリス株に由来するタンパク質に由来するエピトープを含む。
本発明の別の実施態様では、前記核酸構築物は、液性及び/又は細胞性免疫応答を強化するように改変されたエピトープをコードする。したがって、本出願は、細胞に組換えベクターを提供する工程を含む、ストレプトコッカス・ウベリスに対して免疫応答を誘引することができるS.ウベリスの少なくとも2つのタンパク質を含む免疫原性組成物を製造する方法を提供し、前記ベクターは、表5及び/又は表6に列挙された少なくとも2つのタンパク質、及び/又は前記タンパク質の一方若しくは両方の免疫原性部分又は類似体又は誘導体をコードする核酸を含む。核酸から組換えタンパク質を製造するために、好ましくは、前記タンパク質の発現を強化することができる誘導性調節配列の制御下に前記核酸を置き、好ましくはより高いタンパク質収量を得る。好ましくは、前記組換えタンパク質又はその免疫原性部分の蓄積は細胞質であるか(例えば生成された組換えタンパク質が細胞から採集される場合)、又は前記タンパク質は分泌される(例えば生成タンパク質が培養液から採集されるとき)。したがって、前記免疫原性タンパク質をコードする組換え構築物に、適切な調節配列及び/又は細胞内又は細胞外蓄積のために機能的に連結されたプロモータが提供される。
したがって、本発明は組換え分子を提供し、前記分子は、表5及び/又は表6に列挙された少なくとも2つのタンパク質、及び/又は前記タンパク質の一方若しくは両方の免疫原性部分又は類似体又は誘導体をコードする核酸配列を、機能的に連結されたプロモータの制御下に含む。好ましい実施態様では、表5及び/又は6に列挙された前記タンパク質は、P15、P16、P17、P19、P20、P22、P27、P54、P28、P63、P64、P68、P75、P81、P93、P100及びP105から成る群から選択される。さらに好ましくは、表5及び/又は6に列挙された前記タンパク質は、P15、P16、P20、P27、P54、P28、P63、P64、P68、P93及びP105から成る群から選択される。もっとも好ましくは、表5及び/又は6に列挙された前記タンパク質は、P15、P16、P54、P28、P63及びP105から成る群から選択される。
本出願はまた、本発明の核酸配列又は本発明の組換えDNA分子を含む、生菌組換え担体を提供する。好ましい実施態様では、前記担体は第一のS.ウベリス株であり、組換え核酸は別のS.ウベリス株の免疫原性エピトープをコードする。したがって、本発明は生菌組換え担体を提供し、前記担体は、表5及び/又は表6に列挙された1つ又は2つ以上のタンパク質、及び/又は前記タンパク質の一方若しくは両方の免疫原性部分又は類似体又は誘導体をコードする核酸配列を、機能的に連結されたプロモータの制御下に含む。もちろんのこと、前記生菌組換え担体は死菌のときもまた免疫原性である。したがって、本発明はまた死菌組換え担体を開示する。
本出願はさらに単離宿主細胞を含み、前記細胞は、表5及び/又は表6に列挙された1つ又は2つ以上のタンパク質、及び/又は前記タンパク質の一方若しくは両方の免疫原性部分又は類似体又は誘導体をコードする核酸配列を、機能的に連結されたプロモータの制御下に含む。単離宿主細胞は、例えば細菌細胞(例えば、エシェリキア、バシルス、シュードモナス、セラチア、ブレビバクテリウム、コリネバクテリウム、ストレプトコッカス・ウベリス、ストレプトコッカス・スイス、ラクトバシルス)、又は酵母(例えばサッカロミセス、クルイベロミセス、シゾサッカロミセス、ジゴサッカロミセス、ヤロウィア、トリコスポロン、ロドスポリジウム、ハンセヌラ、ピキア、カンジダ)、又は菌類(例えばニューロスポラ、アスペルギルス、セファロスポリウム及び/又はトリコデルマ)を含む。
表5及び/又は表6に列挙された1つ又は2つ以上のタンパク質、及び/又は前記タンパク質の一方若しくは両方の免疫原性部分又は類似体又は誘導体をコードする核酸配列を、機能的に連結されたプロモータの制御下に含む上記に記載した単離宿主細胞に関して、本発明は、組換えタンパク質様分子の製造の仕方を当業者に開示する。S.ウベリス株間の多様な変動のために、種々の株に由来するタンパク質及びペプチドはアミノ酸配列にわずかな変動を示す可能性があるが、それでもなお同じ機能を有する。したがって、あるS.ウベリス株に由来するタンパク質様分子は、機能的に同一の別のS.ウベリス株のタンパク質様分子と配列同一性を有する。“配列同一性”は、2つの配列でアラインメントを実施し、最大のパーセント配列同一性を達成するために必要な場合にはギャップを導入した後の、2つのアミノ酸配列又はヌクレオチド配列間のパーセント配列同一性に該当する。アラインメントの方法及びそのためのコンピュータプログラムは当分野では周知である。候補配列が本定義に当てはまるか否かを決定する目的で使用又は適用することができる1つのコンピュータプログラムは、ジェネンテック社(Genentech Inc.)が作製した“Align 2”(米国著作権局(Washington D.C. 20559)に1991年12月10日に使用者説明書とともに提出された)である。2つのアミノ酸配列が、アラインメントの後で少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、もっとも好ましくは少なくとも約95%の配列同一性を当該分子で示すとき、これら配列は互いに高度な“配列同一性”を有する。したがって、本出願は、本発明の核酸によってコードされるタンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有する単離及び/又は組換えタンパク質様分子を開示する。好ましい実施態様では、本発明は、本発明の核酸によってコードされるタンパク質と少なくとも95%の配列同一性を有する単離及び/又は組換えタンパク質様分子を開示する。
本発明のタンパク質又は免疫原性部分に対して動物で免疫を誘発又は誘引するために、前記動物にタンパク質及び/又は少なくとも1つの免疫原性部位を含む免疫原性部分が提供される。タンパク質の免疫原性部分又は部位は1つ又は2つ以上のエピトープで形成され、したがって免疫学的応答を誘引することができる。好ましくは、免疫原性部位は少なくとも5アミノ酸、より好ましくは少なくとも10−15、及びもっとも好ましくは25又はそれより多い連続するアミノ酸を含む。別の好ましい実施態様では、本発明は、本発明の核酸によってコードされるタンパク質様分子の連続する25アミノ酸の少なくとも1つのストレッチを含むタンパク質又はその免疫原性部分を提供する。好ましくは、連続する少なくとも25のアミノ酸の前記ストレッチは免疫原性部位を含む。好ましい実施態様の組換え核酸分子は、少なくとも2つのタンパク質又はその免疫原性部分をコードする少なくとも1つのタンパク質又は融合タンパク質をコードする。好ましい実施態様では、前記融合タンパク質は、S.ウベリスの少なくとも2つの株のタンパク質の免疫原性部分を含む。したがって、本発明は、本発明のタンパク質様分子をコードする核酸を開示する。
前記核酸の宿主細胞での発現によって本発明の免疫原性タンパク質が提供される。好ましくは、前記免疫原性タンパク質は本発明の免疫原性組成物に取り込まれる。したがって、本発明は、ストレプトコッカス・ウベリスに対して免疫応答を誘引することができる免疫原性組成物を提供し、前記組成物は本発明の単離及び/又は組換えタンパク質様分子を含む。
本発明の前記組換えタンパク質は宿主細胞によって生成される。宿主細胞として、細菌種(例えば大腸菌及び/又は酵母)又は菌類又は親核細胞が製造のために用いられる。
単離又は組換えタンパク質を取り込んだ免疫原性組成物、及び/又は前記タンパク質を発現する細胞は、動物(好ましくは乳牛)に投与されたとき、ストレプトコッカス・ウベリスに対して免疫応答を誘引することができる。好ましくは、本発明の核酸を適切な調節配列下に含む前記細胞は、前記タンパク質を表面で発現する。そのような細胞は担体細胞と呼ばれる。好ましくは、前記担体細胞は本発明の免疫原性組成物に取り込まれる。好ましくは、前記免疫原性タンパク質を担持する前記細胞は生菌組換え担体であるが、別の実施態様では、前記担体細胞は、例えばホルマリン処理によって細胞を殺しても免疫応答を誘引することができる。したがって、本発明は、ストレプトコッカス・ウベリスに対して免疫応答を誘引することができる免疫原性組成物を提供し、前記組成物は、本発明の生菌又は死菌組換え担体を含む。乳牛の乳腺炎の原因がストレプトコッカス・ウベリスであるので、本発明の好ましい実施態様では、前記生菌又は死菌組換え担体はストレプトコッカス種である。本発明のある実施態様では、前記宿主細胞はストレプトコッカス種である。好ましくは、他の連鎖球菌性タンパク質(免疫応答の誘引を強化する)を背景にして前記タンパク質様分子が続いて提示される。さらにまた、免疫原性は、宿主細胞(好ましくは連鎖球菌細胞)の表面で組換えタンパク質を過剰発現させることによって強化することができる。さらにまた、異なる連鎖球菌宿主細胞株を使用することによって、免疫原性タンパク質又はその部分の免疫原性が強化される。したがって、本発明はまた本発明の免疫原性組成物を提供し、この場合前記宿主細胞は連鎖球菌種である。宿主細胞として適切ないくつかの連鎖球菌種が存在し、例えばS.スイス又はS.アガラクチアエ又はS.ディスガラクチアエである。
種々の連鎖球菌種間の相違のために、さらにストレプトコッカス・ウベリスに天然に存在するいくつかのタンパク質が、ストレプトコッカス・ウベリスに対する免疫応答の誘引を促進することができるために、好ましい実施態様では、弱毒ストレプトコッカス・ウベリスが本発明の免疫原性組成物中の生菌組換え担体として用いられる。好ましくは、前記S.ウベリス菌は、S.ウベリスの別の株のタンパク質を発現し、それによって弁別的ワクチンを開示する。なぜならば、前記ワクチンでワクチン接種された動物の血清は、野外感染で感染した動物の血清と、両方の株のタンパク質に対する抗体を検出することによって区別することができるからである。別の実施態様では、前記S.ウベリス菌は、宿主細胞として又は生菌若しくは死菌担体として、S.スイス若しくは連鎖球菌種又は大腸菌(生菌又は死菌)によって置き換えられる。
本発明の免疫原性タンパク質又はその部分の投与、又は本発明の前記タンパク質をコードする核酸の投与は免疫応答を誘引する。前記核酸は、乳牛に投与されたとき前記乳牛の細胞内で発現され、前記乳牛の免疫系によって認識される。それによって、前記核酸は、例えば乳腺炎に対するDNAワクチンのように免疫原性組成物として機能する。したがって、本発明は、ストレプトコッカス・ウベリスに対して免疫応答を誘引することができる免疫原性組成物を提供し、前記組成物は本発明の核酸を含む。
本発明の免疫原性組成物は、動物(好ましくは乳牛)で免疫応答を誘引するので、本発明のタンパク質は乳腺炎関連疾患を緩和し、前記乳牛の健康状態を改善し、それによって乳牛を他の(二次的)感染に対してはるかに抵抗性にする。したがって、本発明は、医薬として使用される本発明の免疫原性組成物を提供する。
好ましくは、本発明の免疫原性組成物は、ストレプトコッカス・ウベリスによって引き起こされる乳腺炎の結果としての固有の疾患を緩和する、ストレプトコッカス・ウベリス乳腺炎に対する医薬の製造に用いられる。したがって、本発明は、ストレプトコッカス・ウベリス乳腺炎に対する医薬の製造のための、本発明の免疫原性組成物の使用を提供する。
本発明の免疫原性組成物はまた、乳腺炎に対するワクチンの製造又は処方に用いられる。ワクチンは、一般的には動物又は人が疾患に罹患するのを予防する。好ましくは、本発明の免疫原性組成物は、乳腺炎を予防することができる。したがって、好ましい実施態様で、本発明は、ワクチンの製造のための本発明の免疫原性組成物の使用を開示する。
別の実施態様では、好ましくは、本発明の免疫原性組成物は、乳中及び/又は乳牛の乳房のS.ウベリス菌の数の減少及び/又は制御に用いられる。酪農場での搾乳プロセスは、病気の乳牛から別の乳牛へS.ウベリス菌を伝播させる潜在的危険をはらんでいる。したがって、S.ウベリス菌の数の減少は、乳首から乳首へ及び/又は動物から動物への感染の拡大を抑えるためにもっとも適切である。
対象動物への本発明の免疫原性組成物の投与のために、タンパク質若しくはその免疫原性部分又は宿主細胞を適切な担体と混合することは、免疫原性組成物の対象動物による受容を促進し、前記組成物の免疫原性作用を高める。本発明の適切な担体は、例えば、前記免疫原性組成物の免疫効果を高める適切なアジュバントを含む。多くの適切なアジュバント(油を基剤とするもの及び水を基剤とするものの両方)が当業者に公知で、例えばDiluvacforte(商標)アジュバント又はSpecol(商標)アジュバントである。ある実施態様では、細菌又はタンパク質若しくはその免疫原性部分を希釈するために、前記適切な担体は、例えば食塩水のような溶液を含む。したがって、本発明は、本発明の免疫原性組成物及び適切な担体を含む医薬組成物を開示する。
本発明の免疫原性組成物で免疫された動物(好ましくは乳牛)では、S.ウベリスに対する抗体が産生される。前記抗体の存在及びレベルは、本発明の免疫原性組成物又はワクチンによる免疫後の免疫の指標である。好ましくは、前記抗体は、野外の野生型S.ウベリスとして存在するエピトープに対しては誘導されない。ワクチン接種動物を野外型感染動物から区別するために、ある実施態様では、前記ワクチン接種動物の免疫は、好ましくは本発明の前記免疫原性組成物に対して誘導された抗体を測定することによって決定される。前記ワクチン接種乳牛の抗血清はまた、免疫原性組成物に存在しないS.ウベリス抗原に対する抗体について試験される。本発明の免疫原性組成物又はワクチンに存在しないS.ウベリス抗原に対する抗体の検出は野生型感染の指標である。したがって、本発明はS.ウベリスに対する動物の免疫を測定する方法を開示する。前記方法は、表5及び/又は表6から選択されるタンパク質又はその免疫原性部分に対して誘導された抗体の存在を、前記動物に由来する少なくとも1つのサンプルで決定する工程を含む。好ましい実施態様では、表5及び/又は6から選択される前記タンパク質は、P15、P16、P17、P19、P20、P22、P27、P54、P28、P63、P64、P68、P75、P81、P93、P100及びP105から成る群から選択される。より好ましくは、表5及び/又は6から選択される前記タンパク質は、P15、P16、P20、P27、P54、P28、P63、P68、P93、及びP105から成る群から選択される。もっとも好ましくは、表5及び/又は6から選択される前記タンパク質は、P15、P16、P54、P28、P63、及びP105から成る群から選択される。
本発明の免疫原性組成物と結合する抗体の検出のためには、表5及び/又は表6のタンパク質又はその免疫原性部分の少なくとも1つを含む診断キットが適切である。抗体と前記タンパク質又はその免疫原性部分の結合は、例えば免疫蛍光抗体検出又は酵素結合抗体検出の手段、又は前記タンパク質若しくはその免疫原性部分と結合する抗体を検出する任意の他の手段によって検出される。
好ましい実施態様では、表5及び/又は6のタンパク質の前記少なくとも1つは、P15、P16、P17、P19、P20、P22、P27、P54、P28、P63、P64、P68、P75、P81、P93、P100及びP105から成る群から選択される。より好ましくは、表5及び/又は6タンパク質の前記少なくとも1つは、P15、P16、P20、P27、P54、P28、P63、P68、P93、及びP105から成る群から選択される。もっとも好ましくは、表5及び/又は6のタンパク質の前記少なくとも1つは、P15、P16、P54、P28、P63、及びP105から成る群から選択される。
したがって、本発明は、表5及び/又は6から選択される少なくとも1つのタンパク質又はその免疫原性部分、及び前記タンパク質又はその免疫原性部分と結合する抗体を検出する手段を含む診断キットを開示する。そのような診断キットはELISA試験、又は血清のスクリーニングに適した任意の他の試験である。好ましくは、前記検査キットは多数の血清のスクリーニングに適している。
別の実施態様では、本発明の核酸は、本発明の免疫原性組成物又はワクチンを用いてワクチン接種した動物の集団で、野生型S.ウベリス株に感染した動物の検出に用いられる。この検出は例えばPCRを用いることによって達成される。
本特許出願は、本発明の有効な免疫原性タンパク質は、細菌の表面で抗体と接近することができ、さらに多くのS.ウベリス株に共通であるタンパク質様分子及び/又はタンパク質であることを開示する。例として、表面タンパク質は、41-241株及びO140J株のゲノム配列から、グラム陽性細菌の表面タンパク質で一般的に見出される1つ又は2つ以上の配列を含む遺伝子について選別することによって識別された。前記配列は、例えば、タンパク質と細胞壁との付着に必要なLPXTGソーターゼモチーフ、又はリポタンパク質に必要な脂質結合モチーフ、又はそのコードタンパク質が表面に局在することが予想されるシグナル配列又はトランスメンブレン領域である。
本出願は、上記のように選択した遺伝子から入手したPCR生成物をプローブとして用いて多くのS.ウベリス株の染色体DNAを精査することによって試験した、S.ウベリス株の選別タンパク質の存在を開示する。
本発明をさらに下記の実施例で説明する。これらの実施例は本発明の範囲を制限せず、単に本発明を明確にするために役立つ。多くの代替態様を実施することができ、それらは本発明の範囲内に存在する。
共通表面抗原の選択
DNA配列の分析:S.ウベリス41-241株のDNA配列は2xカバレッジにより決定した。シークェンシングデータを集め、1815のORFを含む572の連続配列を得た。S.ウベリスO140J株(Hill, 1988)はSangerセンターで配列が決定された。2002年4月にSangerの現場で入手可能な配列データを同様に集め、1938のORFを含む61の連続配列を得た。
共通表面抗原の選択:有効なワクチン抗原は、細菌の表面で抗体と接近することができ、さらに多くのS.ウベリス株に共通である。表面タンパク質は、グラム陽性細菌の表面タンパク質で一般的に見出されるシグナチャーモチーフ(M&M参照)を形成する1つ又は2つ以上の配列を含む遺伝子を選択することによって、41-241株及びO140J株のゲノム配列から識別された。分析した全てのORFの中で、17のORFが、タンパク質を細胞壁に付着させるために必要なLPXTGソーターゼモチーフを含んでいた(表1)。これら17のタンパク質の4つ(P12、P23、P24及びP25)が41-241株でもっぱら見出された。31のORFは、リポタンパク質に必要な脂質結合モチーフを含んでいた(表2)。これらのタンパク質の全てが41-241株と同様にO140J株で見出された。さらにまた、コードされるタンパク質が表面に局在することが予想されるシグナル配列又はトランスメンブレン領域を含む87のORFを選択した(表3)。これらのタンパク質は41-241株と同様にO140J株で見出された。
S.ウベリスの種々の臨床単離株及び無症状単離株における選択遺伝子の分布
種々のS.ウベリスで選択遺伝子の存在を試験するために、スポットハイブリダイゼーション実験を実施した。この実験では、99の選択遺伝子から得たPCR生成物をプローブとして用いて相当な数のS.ウベリス臨床株の染色体DNAが調べられた。データ(表4)は、選択遺伝子の大半がほとんどのS.ウベリス株とハイブリダイズし、選択遺伝子の大半が種々のS.ウベリス株で共通して存在することが示唆された。対照的に、試験した99遺伝子のうち4つが限られた数の株とのみハイブリダイズした。これら遺伝子のいずれも41-241株に存在し、細胞壁にタンパク質を付着させるために必要なLPXTGソーターゼモチーフを有するタンパク質をコードする。
選択表面タンパク質の免疫原性
ワクチン候補物として当該タンパク質の役割を評価するために、115の選択遺伝子によってコードされたタンパク質をクローニングし、ポリヒスチジンタグとともに大腸菌で発現させた。これら遺伝子のうち106の生成物が有効にクローニングされ、大腸菌で発現された。続いて、S.ウベリス感染乳牛及びホルマリン死滅又は超音波処理S.ウベリス細胞で免疫したウサギから入手した血清を、前記発現タンパク質に対する特異的抗体の存在についてウェスタンブロット分析によって試験した。結果(表5)は、発現タンパク質のうち19が、S.ウベリス感染動物の血清に存在する抗体によって認識され、これらのタンパク質がin vivoで発現され、さらに乳牛で免疫原性であることを示した。さらにまた、発現タンパク質の30が、ホルマリン死滅又は超音波処理S.ウベリス細胞で免疫したウサギの血清に存在する抗体によって認識された。発現タンパク質の12が、S.ウベリス感染乳牛から得られた血清及びホルマリン死滅又は超音波処理S.ウベリス細胞で免疫したウサギの血清の両方によって認識された。これらデータは、前記タンパク質の大半が抗原性であることを示している。表5はまた、いくつかのタンパク質はまた41-241及びO140Jの両株による実験的感染後に誘発された抗血清によって認識されることを示している。しかしながら、他のタンパク質は、O140J株に感染後に得られた血清又は41-241株に感染後に得られた血清とのみ陽性反応を示した。これは、おそらくin vivoでのタンパク質発現又は前記タンパク質の免疫系への接近能力における2つの株の相違を示している。
選択タンパク質の精製
ワクチン候補物として当該タンパク質の役割をさらに評価するために、感染乳牛の血清によって及び/又は免疫ウサギの血清によって認識される36タンパク質の全てを精製した。さらにまた、ソーターゼモチーフを含むが両血清と反応しない4タンパク質も精製した。40の選択した組換えタンパク質のうち31が可溶型で有効に過剰発現され、自然の条件下で精製することができたが、一方、5タンパク質は不溶性の封入体として発現された。これらのタンパク質は変性条件を用いて精製し、精製後に再度折畳んだ。4タンパク質については、免疫に必要な量を精製することができなかった。続いて、36の精製タンパク質の全てをマウスの免疫に用いた。ウェスタンブロットで示されたように、いずれのタンパク質も免疫前のマウスから得た血清とは反応しなかった。しかしながら対照的に、これらタンパク質はマウスから得た免疫血清と強く反応し(表5)、これらタンパク質はマウスで高度に免疫原性であることを示した。誘発された抗体の特異性は、S.ウベリス細胞の溶解物(又はプロトプラスト上清)に対するイムノブロッティングによって確認した。これらの結果は、誘発抗体の大半が、想定分子量を有するS.ウベリスタンパク質と特異的に反応することを明示し、これらのタンパク質は、マウスで免疫応答を誘発することができる(表面)タンパク質であることが示された。
誘発抗体の機能的特徴
我々はマウス血清をFACS分析で用いて、莢膜で包まれたS.ウベリス全細胞(Todd-Hewittで増殖)と抗体との結合を調べた。図1で示すように、免疫前のマウスから得た血清のいずれも全S.ウベリス細胞とは結合しなかった。しかしながら対照的に、免疫血清のうち8つ(P11、P15、P17、P20、P25、P26、P27、P63タンパク質に対して誘発された血清)は全細菌細胞と強く結合したが、一方、血清のうち2つ(P17、P18に対して誘導)は全細菌細胞と弱い結合を示した。このことは、これら血清によって認識されるタンパク質はS.ウベリス細菌細胞の増殖に用いられた条件下で発現され、抗体との結合のために接近することができることを明示している。さらにまた、図1は、タンパク質の発現及び/又は表面接近能力は2つの使用株で異なることを明瞭に示している。発現及び/又は表面接近能力はタンパク質のうち3つ(P17、P19及びP20)で保存されていた。対照的に、P11及びP63はO140J株を用いることによってもっぱら検出され、一方、P15、P18、P25及びP26は41-241株を用いることによってもっぱら検出された。P27は41-241及びO140J株の両方の表面で暴露されていたが、41-241でのみ抗血清によって弱く認識された。
総合すれば、これらのデータは、選択抗原のうちの10がin vitroで増殖させた細菌の表面で発現され、無傷の莢膜保有細胞上で抗体との結合に利用されえることを明瞭に示した。これらのタンパク質のうちの3つが2つの使用株で保存されていた。
血清学的プロテオームによるアプローチ
S.ウベリスワクチン候補物を識別するためのまた別のアプローチとして、血清学的プロテオームの分析を利用した。THブロスで増殖させたS.ウベリスのタンパク質を2Dゲル電気泳動によって分離し、S.ウベリス感染動物の血清に存在する抗体をプローブとして調べた。多数の高度に免疫原性のS.ウベリスタンパク質を識別した(データは示されていない)。3つのスポットが、クマシーブリリアントブルーで染色した2Dゲルに存在するタンパク質とはっきりと一致した(図2)。これらのタンパク質のトリプシン消化生成物をQ-TOFによって分析し、得られたペプチド集団のフィンガープリントを、41-241及びO140J株のゲノム配列の分析から想定される全タンパク質のin silico作製ペプチド集団フィンガープリントと比較した。さらにまた、各フィンガープリントから選択した2つの主要なトリプシン消化ペプチドをタンデムMSのために用いた。このペプチドから得られたアミノ酸配列を続いてS.ウベリスゲノム配列から想定される配列と比較した。3つのタンパク質全てがこの方法で確かに一致した。識別したタンパク質の特性は表6に列挙されている。これらワクチン候補の1つはゲノムによるアプローチを用いて確認された(P63)。このことはワクチン候補としての本タンパク質の重要性を強調する。
マウス免疫血清による培養上清のELISA
P93及びP105は両株の培養上清で強く認識され、これらタンパク質は細菌により分泌されることが示された。
in vivo条件に似せてホエー中で増殖させたS.ウベリスを用いたFACS分析
実施例5の方法を踏襲し、乳に類似する培地中で増殖させたS.ウベリス細胞と抗体との結合を試験した。
様々なS.ウベリス株間での抗原の保存
選択タンパク質の発現の保存及び抗体の接近能力をFACSにより様々なS.ウベリス単離株で調べた。これらの調査は、多様なS.ウベリスに対抗するワクチン候補の選択を可能にする。
ウシでのワクチン接種及びチャレンジ
非ワクチン接種動物の実験的感染:S.ウベリスO140J及び41-241株の毒性を実験的感染後に決定した。乳房を4つの部分(一般的には四半分と称される)に分ける。各四半分は乳分泌細胞、乳管、乳槽及び乳首を含む。この実験では、各四半分を乳首の乳管から乳槽内で個々に感染させる。O140J株を接種した8つの四半分のうち6つで感染が成立した(図3、表7)。S.ウベリスO140Jの純培養がこれらの四半分から得た乳から単離され、体細胞数(SCC)レベルの増加が検出された。2つの四半分(2頭の別個の乳牛;乳牛6717及び6719;図3A及び3B)で、チャレンジ後に感染が検出できなかった。両方の四半分は実験中ずっと細菌学的に陰性を維持した。この2つの四半分の1つで、わずかなSCCの増加が観察された。対照的に、41-241株でチャレンジした8つの四半分の全てで、感染が成立した(図3A及び3C;表7)。これらの四半分の4つ(乳牛6721及び6723)に5x102 cfuの用量の41-241を接種し、一方、他の4つの四半分に5x103 cfuの用量の41-241を接種した(乳牛6720及び6722)。高用量の接種後にいっそう重度の影響が観察された。すなわち、乳牛の体温はより顕著に上昇し、より重度の臨床症状(乳中の凝塊及び乳房の硬結)が観察された(表7;図3A及び3C)。しかしながら乳腺炎の臨床症状は、5x102 cfuの接種用量の41-241株を用いてもまた誘発された。同様なデータがO140Jについて以前に観察された(Hill, 1988)。
41-241株と比較して、O140J株(5x102 cfuの接種用量及び16日間の実験)を用いて得られた乳腺炎の臨床症状はより重度であるように思われた(図3B及び3C)。4つの四半分のうち3つでO140J株により感染が成立し、3つ全てが感染後少なくとも16日間乳腺炎の臨床症状を示した。これら四半分のうち2つが、感染後16日間細菌学的に陽性を維持し(図3B)、1つの四半分で、SCCのレベル上昇が35日間検出された(データは示されていない)。41-241株を感染させた4つの四半分の全てが接種後10−13日間乳腺炎の臨床症状を示したが、13日目以降では臨床症状は陰性であった(図3C )。これら四半分の2つ(乳牛6723)は、実験中ずっと(16日間)細菌学的に陽性を維持し、乳腺中でのS.ウベリスの存続を示した(図3C)。
感染後3−5日で採集した乳房材料の組織学的試験は臨床観察と全般的に一致した。41-214株に感染した両乳牛及びO140Jに感染した1頭の乳牛は、腺全体にわたって多形核顆粒球の多発性乳槽内蓄積、乳槽内上皮層の巣状崩壊及び軽度の単核球の間質内浸潤を伴う軽度から重度の乳腺炎を示した(データは示されていない)。O140J株に感染させた第二の乳牛は軽度の多発性カタル性乳腺炎を示した。
総合すれば、これらのデータは、O140J及び41-241の両株は乳牛にとって病原性であることを示している。
乳牛の免疫:S.ウベリスタンパク質に対するポリクローナル抗体を乳牛で作製した。皮下接種及び/又は筋肉内及び/又は乳房内接種を用い、乳牛を種々の免疫スケジュールで免疫した。
免疫原性組成物は、例えばリン酸緩衝食塩水のような溶媒及びアジュバント(例えば油中水アジュバント又は油抜きのアジュバント)とともに処方した。
免疫後、血液サンプルを収集し、S.ウベリスに対する抗体について血清を試験した。
ワクチン接種動物の実験的感染:ワクチン接種及びワクチン非接種乳牛をS.ウベリスO140J株の500 cfuでチャレンジ感染させた。各乳房四半分に乳首内の入管から個々に感染させた。
チャレンジ後、本発明の免疫原性組成物でワクチン接種した乳牛は、より軽度の乳腺炎臨床症状、乳のより小さな変化、より低いSCCレベル、乳腺炎のより短い臨床期間、より軽度の発熱を示した。臨床スコア及び乳房の組織学的証拠は、本発明の免疫がS.ウベリスによって引き起こされる乳腺炎に対して有効であることを明瞭に示している。
抗原と回復期血清との反応性
多数の選択タンパク質(P15、P16、P20、P22、P27、P54、P28、P63、P68、P75、P93及びP105)の回復期抗体誘発能力を、最近のS.ウベリス感染から回復した14頭の乳牛から入手した野外血清を用いてウェスタンブロット分析によって試験した。選択した12の抗原のうち6つ(P15、P16、P54、P28、P63、P105)が、用いた14の回復期血清の全てによって認識された。これらのデータは、これらの抗原は対応する感染を引き起こす全てのS.ウベリス株によって発現されること、これらの抗原は感染の間ずっと宿主で発現されること、及びこれらの抗原は高度に免疫原性であることを示している。抗原のうち5つ(P68、P27、P20、P93及びP22)は回復期血清の8、9、10、11又は12によってそれぞれ認識された。抗原のうちの1つに関しては、回復期血清のいずれとも反応が検出できなかった(P75)。
種々のS.ウベリス株間における抗原の保存
多様なS.ウベリス株に対する防御を付与する抗原の適切性を指摘するために、最近単離された野外株(35株)の収集物における12の選択抗原(P15、P16、P20、P22、P27、P54、P28、P63、P68、P75、P93及びP105)の保存及び発現を決定した。抗原の発現は、精製抗原に対するマウス免疫血清によるウェスタンブロットをスクリーニングすることによって提示した。12の抗原のうち5つ(P15、P16、P28、P75及びP105)が被検血清の>97%で発現され、抗原のうち2つ(P27、P63)が94%の株で発現され、抗原のうち4つ(P20、P22、P54、P93)が81−92%の株で発現された。これらのデータは、大半の抗原の発現が多様なS.ウベリス株において保存されることを示した。
材料と方法
細菌株及び増殖条件:S.ウベリスの1つの株41-241が、S.ウベリス乳腺炎の大流行が観察された、オランダの企業酪農場から1998年に単離された(Hill, 1988)。41-241株は、流行時に特定の群れでもっぱら見出されたRAPDフィンガープリント型Bを示した(Zadoks et al. 2003)。前記株は、少なくとも2ヶ月間S.ウベリスに感染した乳牛から単離された。感染の開始は無症状であったが、その後多くの症状が一挙に発生した。
S.ウベリスのO140J及びEF20株はDr. J. Leigh(Institute for Animal Health, Compton, England)からの寄贈であった。他のS.ウベリス及びS.パラウベリス(S. parauberis)株(オランダの種々の酪農場での乳腺炎の臨床症例から単離)は、Dr. D. Mevius(CICD, Lelystad、オランダ)、Dr. O. Sampimon(Animal Health Service, Deventer、オランダ)又はDr. Dierenartsen Praktijk(Diessen、オランダ)から提供された。他の連鎖球菌種はいずれもASG(Lelystad、オランダ)の院内収集物に由来した。連鎖球菌株はTodd-Hewittブロス(コードCM189、Oxoid)で増殖させ、特段の指示がなければ6%(v/v)のウマ血液及び0.1%エスクリンを含むコロンビア(Columbia)血液寒天ベース(コードCM331、Oxoid)で平板培養した。大腸菌株はルリア(Luria)ブロス(18)で増殖させ、さらに1.5%(w/v)の寒天を含むルリアブロスで平板培養した。必要ならば、50μg/mLのカナマイシンを添加した。
ホエーの調製:大量乳は、S.ウベリス感染歴が無い酪農場から入手した(Waiboerhoeve, Lelystad、オランダ)。前記乳を12,800xgで30分遠心し、脂肪を除去した。続いて、40μg/mLのレンニン(Lactoferm, Brouwland、ベルギー)を添加し、乳を規則的に攪拌しながら37℃で2時間インキュベートした。ふるいに掛けて凝固乳を除き、残余の上清を12,800xgで30分間遠心した。清澄な上清を0.2μmのSartobran Pフィルター(Sartonus, Goettingen、ドイツ)でろ過滅菌した。
乳サンプル及び血清:乳サンプル及び血清は、オランダの種々の酪農場の臨床症状のあるS.ウベリス乳腺炎症例から入手した(Dr. O. Sampimon(Animal Health Service, Deventer、オランダ))。サンプルの収集前には、前記動物のいずれも抗生物質で処置されていない。さらにまた、S.ウベリスO140J及び41-241株による実験的感染後の種々の時点で、乳牛から乳及び血清を収集した。
ウサギ抗血清:ホルマリン死滅全S.ウベリス細胞、及び超音波処理S.ウベリスに対するポリクローナル抗体をウサギで作製した。水中油での2−4x109の死細胞を用いてウサギを皮下で免疫した。接種は2、3、及び4週間後に繰り返した。6週間後にウサギを殺し、血清を収集した。
抗原を調製するために、S.ウベリス株をTodd-Hewittブロスで16時間増殖させた。1Lの予め温めたTodd-Hewittブロスで培養を10倍に希釈し、光学濃度(600nm)が0.5に達するまで細胞を増殖させた。この培養を10,000xgで15分間遠心し、ペレットを100mLのPBS(136.89mLのNaCl、2.68mMのKCl、8.1mMのNa2HPO4、2.79mMのKH2PO4(pH7.2))に溶解させた。続いて光学濃度(600nm)をPBSで1.0に調整した。ホルマリン固定細胞を調製するために、これら細胞の10mL部分を10,000xgで20分間遠心し、ペレットを2.5mLのPBSに再懸濁させた。この懸濁物に250μLの3%ホルマリンを添加し、室温で16時間維持した。懸濁物をコロンビア寒天プレートで平板培養することによって、生菌が存在しないことを確認した。ホルマリンを除去するために、細胞を2回PBSで洗浄した。超音波処理細胞を調製するために、前記細胞の10mL部分を10,000xgで20分間遠心し、ペレットを250μLのPBSに再懸濁した。チップソニファイアーを出力100%、機関効率50%で用いて細胞を超音波処理した。超音波処理後、細胞をPBSで10倍に希釈した。両抗原をSpecolと1:1で混合して、油中水エマルジョンを調製した。
ゲノムのシークェンシング:ゲノムDNAは文献(Sambrook et al. 1989)の記載にしたがってS.ウベリス41-241株から単離した。DNAをせん断し、プラスミドライブラリーの作製に用いた。染料-ターミネータ化学を用いてランダムクローンのシークェンシングを実施し、ABI PRISM3700 DNAアナライザー(Applied Biosystems, Warrington, GB)を用いて分析した。シークェンシングデータを集め、572の連続配列を得た。オープンリーディングフレーム(ORF)の開始セットは、GLIMMER及びGENEMARKソフトにより識別した。遺伝子におけるトランスメンブレンへリックス及び細胞内分布は、www.cbs.dtu.dk/services/TMHMMで入手可能なTMHHHと称されるコンピュータプログラムを用いて予想した。シグナルペプチドの存在について各ORFを検索するために、プログラムSignalPを用いた(Nielsen et al. 1999)。また別には、シグナルペプチドの予想は、http://psort.nib.ac.jpで入手可能なプログラムPSORT、及びhttp://www.biology.wustl.edu/gcg/spscan.htmlで入手可能なGCG-SPSと称されるプログラムを用いて実施した。リポタンパク質は、以下の表示を用いてGCG-Findpatternsプログラムによって見出した:PS00013:
〜(D,E,R,K)6(L,I,V,M,F,W,S,T,A,G)2(L,I,V,M,F,Y,S,T,A,G,C,Q)(A,G,S)C;g-lpp:<(M,V)X{0,13}(R,K)〜(D,E,R,K,Q){6,20}(L,I,V,M,F,E,S,T,A,G)(L,V,I,A,M)(I,V,M,S,T,A,F,G)(A,G)C及びg-lpp_rvh:
(M,V,L)X{0,13}(R,K)〜(D,E,R,K,Q){6,20}(L,I,V,M,F,E,S,T,A,G)(L,V,I,A,M)(I,V,M,S,T,A,F,G)(A,G)C。細胞壁アンカードメインを含むタンパク質はInterProアクセッションIPR001899を用いて識別した。BLASTプログラムを用いて、演繹アミノ酸配列に対して配列同一性を有するタンパク質配列を検索した。
スポットブロッティング、サザンブロッティング及びハイブリダイゼーション:染色体DNAは文献(Sambrook et al. 1989)の記載にしたがって単離した。スポットブロッティングのために、1μgの染色体DNAをGenescreen Plusメンブレン上にスポットした。このメンブレンを0.4M NaOH-1M NaCl中で室温にて10分インキュベートしてDNAを変性させ、さらに0.6M NaCl、0.06Mクエン酸ナトリウム(pH7.0)中で10分インキュベートして中和した。サザンブロッティングのためには、文献(Sambrook et al. 1989)の記載にしたがってDNAフラグメントを0.8%アガロースゲルで分離し、Gene-Screen Plusメンブレン(NEN)に移した。DNAプローブは、ランダムプライミング標識キット(Boehringer)を使用し[α-32P]dCTP(3000Ci mmol-1;Amersham)で標識した。Gene Screen Plusメンブレンの供給業者の推奨にしたがって、ブロット上のDNAを適切なDNAプローブと緩衝液(0.5Mリン酸ナトリウム、1mMのEDTA及び7%ドデシル硫酸ナトリウムを含む(pH7.2))中で65℃にてハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーションの後で、メンブレンを溶液(40mMリン酸ナトリウム(pH7.2)、1mM EDTA、5%SDS)で65℃にて30分間2回洗浄し、さらに溶液(40mMリン酸ナトリウム(pH7.2)、1mM EDTA、1%SDS)で65℃にて30分間2回洗浄した。シグナルは蛍光体映像装置(Storm; Molecular Dynamics)で検出した。
選択タンパク質のクローニング及び発現:選択ORFを固有のオリゴヌクレオチドプライマーを用いPCRによって増幅し、pET200/D-TOPO(Invitrogen)にてクローニングした。タンパク質は仮定的シグナルペプチド又は推定トランスメンブレン領域無しでクローニングした。組換えタンパク質のために、大腸菌BL21 Star(DE3)(Invitrogen)を構築物で形質転換させた。
PCR反応(25μL)のために、白金Pfx DNAポリメラーゼ(Invitrogen)を供給業者が記載するように用いた。DNA増幅はPerkin Elmer 9700サーマルサイクラー及び以下から成るプログラムで実施した:94℃で5分のインキュベーション、94℃で15秒、57℃で30秒及び68℃で2分の35サイクル、さらに68℃で5分。
発現抗原の免疫検出:XCell SureLockミニセルシステム(Invitrogen)を用いタンパク質をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離した。ゲル中のタンパク質は、SYPRO-オレンジ(Molecular Probes, Sunnyvale, Calif)染色を用い、製造業者の推奨にしたがって可視化した。シグナルは蛍光体映像装置(Storm; Molecular Dynamics)で検出した。
タンパク質は標準的な方法(19)によってニトロセルロースメンブレンに移した。このメンブレンを、4%脱脂乳、5%ウシ胎児血清及び0.05% Tween20を含むBlotto:トリス緩衝食塩水(TBS)(50mMトリス-HCl(pH7.5)、150mMNaCl)で室温(RT)にて16時間ブロッキングした。組換え抗原を検出するために、6xHISタグに対するモノクローナル抗体(Clontech, Palo Alto, CA)とともにメンブレンをインキュベートした。結合抗体は、アルカリホスファターゼ連結抗マウス抗体及びニトロ-ブルー-テトラゾリウム/5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-ホスフェートを用い文献(Sambrook et al. 1989)に記載されたように検出及び可視化した。
発現された抗原の免疫原性は、S.ウベリスに顕性又は不顕性感染した乳牛から得た血清サンプルを用いることによって、又はウサギ抗S.ウベリス抗血清を用いることによって試験した。結合抗体は、アルカリホスファターゼを結合させたウサギ抗乳牛又はヤギ抗ウサギ免疫グロブリン(Jackson Immunoresearch)を用いて検出し、さらに文献(Sambrook et al. 1989)に記載されたように、ニトロ-ブルー-テトラゾリウム/5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-ホスフェートを用いて可視化した。
タンパク質の精製:タンパク質は、製造業者(Qiagen)の記載にしたがい、Ni-ニトリロ三酢酸(Ni2+-NTA)カラムクロマトグラフィーを用い可溶化させた細胞ペレットから精製した。略記すれば、細胞を指数関数的に増殖させ、1mMのIPTGを添加し、さらに4時間37℃で細胞を増殖させた。続いて、細胞を採集し溶解した。清澄にした上清をNi2+-NTAアガロースカラムにロードした。カラムを洗浄し、タンパク質を溶出させた。異なる緩衝液を天然のままの精製又は変性精製のために用いた。変性条件下で精製したタンパク質は、6M−0M尿素リニアグラディエント(286.89mM NaCl、2.68mM KCl、8.1mM Na2HPO4、2.79mM KH2PO4(pH7.2)にて)を用いて透析することによって再生させた。精製タンパク質はさらにAmicon Ultra-45000 MWCOフィルター(Millipore)を用いて濃縮した。
タンパク質濃度:サンプル中のタンパク質濃度は、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動後に決定した。ゲル中のタンパク質はSYPRO-オレンジ(Molecular Probes, Sunnyvale, Calif)染色を用い、製造業者の推奨にしたがって可視化した。シグナルは蛍光体映像装置(Storm; Molecular Dynamics)で検出した。既知のウシ血清アルブミン濃度範囲を標準物として用い、ゲルに存在するタンパク質量を算出した。算出にはMolecular Dynamicsプログラムを用いた。
精製タンパク質の免疫原性:フロイントの完全アジュバント中の精製タンパク質20μgを用い、OF1マウスを皮下で免疫した。3週間後にフロイントの不完全アジュバント中の精製タンパク質20μgを用い、接種を繰り返した。2回目の接種後3週間でマウスを殺し血清を収集した。
FACS分析:S.ウベリス細胞をOD600が0.5に達するまでTodd-Hewittブロスで増殖させた。遠心によって細胞を収集し、FACS緩衝液(PBS-13(pH7.2)[137mM NaCl、2.68mM KCl、8.1mM Na2HPO4、2.8mM KH2PO4]−0.5%BSA)中で1回洗浄し、細胞濃度をOD600=約1.0にFACS緩衝液中で調整した。細胞(250μL)を遠心により収集し、50μLのFACS緩衝液(マウス抗血清を1:50希釈で含む)に再懸濁させた。このサンプルを氷上で45分間インキュベートした。未結合抗体を除くために、細胞を2回250μLのFACS緩衝液で洗浄した。続いて、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識ウサギ抗マウス二次抗体(1:100希釈;DAKO A/S, Glostrup, Denmark)を含む50μLのFACS緩衝液とともに細胞を30分間氷上でインキュベートした。細胞を250μLのFACS緩衝液で2回洗浄し、100μLのFACS緩衝液に再懸濁させ、結合抗体を蛍光活性化細胞仕分け装置(FACS Calibur, Benton Dickinson, Franklin Lakes, USA)で検出した。
全細胞ELISA:指数関数的に増殖しているS.ウベリス細胞を遠心により収集し、コーティング緩衝液(pH9.6)(0.05M NaHCO3、0.05M Na2CO3)に再懸濁し、細胞濃度をOD600=約1.0に調整した。高結合性96ウェルプレートをウェル当たりこの懸濁液の100μLで16時間4℃にて被覆した。ウェルをELISA緩衝液(5% Tween-80、0.02%アジ化ナトリウム)で4回洗浄し、血清(PBS-13(0.05% Tween-80、2% NaCl、及び5%ウシ胎児血清を含む)中で1:20に希釈)を添加し、さらにプレートを37℃で1時間インキュベートした。未結合抗体を除くために、ウェルをELISA緩衝液で4回洗浄した。続いてPBS-13(0.05% Tween-80、2% NaCl、及び5%ウシ胎児血清を含む)中で1:250に希釈した二次抗体(100μLのセイヨウワサビペルオキシダーゼ連結ウサギ抗マウス(DAKO))を添加し、プレートを37℃で1時間インキュベートした。ウェルを再びELISA緩衝液で4回洗浄し、100μLのテトラメチルベンジジン(TMB)(CeDi-Diagnostics, Lelystad、オランダ)を用い室温で結合抗体を検出した。15分後にウェル当たり100μLの0.5M H2SO4を添加することによって反応を停止させた。ELISAリーダー(Thermo Labsystems, Franklin, USA)を用い、450nmで吸収を読み取った。
二次元ゲル電気泳動のためのサンプル調製:S.ウベリス株を100mLのTodd-Hewittブロスで16時間増殖させた。1Lの予め温めたTodd-Hewittブロスで培養を20倍に希釈し、光学濃度(600nm)が0.5に達するまで細胞を増殖させた。この培養を10,000xgで20分間遠心し、ペレットを等体積の250mMシュクロース/25mMトリス(pH8.0)で1回、さらに等体積のスーパーQで1回洗浄した。得られたペレットを5mLのスーパーQに溶解させた。チップソニファイアー(Branson sonifier 250、50%インターバル、アンプリチュード3)を用いてこれらの懸濁物の1.5mL部分を15分間超音波処理した。続いて、この懸濁物をDNAse I及びMgCl2(それぞれ最終濃度6.5μg/mL及び10mM)で37℃にて10分間処理した。プロテアーゼ阻害剤ペプスタチンA、ロイペプチン、ペファブロック及びアプロチニンをそれぞれ最終濃度2.5μg/mL、5μg/mL、25μg/mL及び1μg/mLで添加した。尿素、ジチオスレイトール及びTriton-X100をそれぞれ最終濃度9M、70mM及び2%で添加した。サンプルを10,000xgで30分間遠心して上清を収集し、RC DCタンパク質アッセイ(BioRad)を製造業者の指示にしたがって用いサンプル中のタンパク質濃度を決定した。
二次元ゲル電気泳動:50−100μgのタンパク質を含むサンプルを450μLのサンプル緩衝液(8M尿素、2%CHAPS、0.5%IPG緩衝液3-10、70mMジチオスレイトール及び微量のブロモフェノールブルー)に溶解させた。タンパク質は、製造業者の指示にしたがい、Immobiline 18cm DryStrip(3-10 NL Amersham Pharmacia Biotech)を前記ストリップの再水和後にIPGphor(Amersham Pharmacia Biotech)で用い等電点電気泳動により一次元で分離した。続いてフォーカシング後直ちに、前記ストリップを、10mg/mLジチオスレイトールを含む平衡緩衝液(6M尿素、30%グリセロール、2%SDS、50mMトリス-HCl(pH8.8)、微量のブロモフェノールブルー)で15分間、さらに25mg/mLのヨードアセトアミドを含む平衡緩衝液で15分間平衡化させた。タンパク質は、製造業者の指示にしたがい、Ettan DALT12システム(Amersham Pharmacia Biotech)にて12.5%のプレカストEttan DALTゲル(Amersham Pharmacia Biotech)でSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動により二次元で分離した。
染色:ゲル中のタンパク質は、PlusOneTM銀染色キット(Amersham Pharmacia Biotech)を製造業者の指示にしたがって用い銀で染色するか、又は文献(Sambrook et al. 1989)の記載のようにクマシーブルーを用い、ゲルのプラスチックバッキングのためにインキュベーション時間を延長させて染色した。
2Dゲルのタンパク質の消化:クマシー染色ゲルで識別されたタンパク質スポットを手作業で削り出した。ゲル片は使用まで0.1%酢酸中で-80℃で凍結した。ゲル中のタンパク質は文献(Li et al. 2003)の記載にしたがいトリプシンで消化した。
2Dゲルのトリプシン消化タンパク質スポットの質量分析:Micromass Q-TOF質量分析計を用いて、文献(Li et al. 2003)の記載にしたがい、トリプシン消化タンパク質スポットの質量を分析した。
実験的感染実験
動物:臨床的に健康なホルスタイン-フリーシャン乳牛(最初の授乳期の2−4週間)を感染に用いた。乳牛は1日に2回午前7.00時及び午後4.00時に搾乳した。全ての乳牛で体細胞数(SCC)は2.0x105細胞/mL未満であり、感染前の最後の14日間に繰り返し実施した微生物学検査で乳腺炎病原体は陰性であり、さらに乳腺炎の病歴は無かった。
接種物の調製及び接種:接種物としてS.ウベリスO140J及び41-241株を用いた。6%ウマ血液(v/v)及び0.1%エスクリン(w/v)を含むColumbia寒天プレートで増殖させた単一コロニー を90mLのTodd-Hewittブロス(Oxoid)に移し、37℃で一晩培養した。一晩培養を同じ培養液で1:10に希釈し、細菌をほぼ3x108 cfu/mL(ログ期増殖)の濃度に増殖させた。続いて細胞を遠心によって収集し、PBSに再懸濁し希釈した。
各乳牛の2つ四半分に、5mLのPBS中の5x102 cfu(O140J株又は41-241株)又は5x103 cfu(41-241株)のどちらかを乳槽内に接種した。コントロールの四半分には5mLのPBSを接種した。注射は午後の搾乳の直後に使い捨ての乳首用カニューレを用いて実施した。接種前に乳首をアルコールで清拭した。上方に向けてマッサージして接種物を乳腺槽に送り込んだ。4頭の乳牛を含む1つのグループを5x102 cfu/mLのO140J株でチャレンジした。4頭の乳牛を含む別のグループを41-241株でチャレンジした。これらの乳牛のうち2頭を5x102 cfuで、さらに2頭の乳牛を5x103 cfuでチャレンジした。乳牛を2つの一貫した実験で用い、1つの実験は45から80時間で終了し、第二の実験は16日後に終了した。
サンプル採取及び臨床スコア:各搾乳時に四半分の全てから無菌的に乳サンプルを収集した。6%ウマ血液(v/v)及び0.1%エスクリン(w/v)を含む血液寒天プレートでサンプルを細菌学的に調べ、さらに標準的な方法(International Dairy Federation, 1981)を用いてSCCを決定した。さらにまた、抗体応答についての分析まで乳サンプルを-20℃で保存した。各搾乳時に、乳牛の体温及び乳生産量を測定し、乳腺炎の症状(乳房の硬さ及び乳中の凝塊)について乳牛をモニターした。週に1回、血清における抗体応答の分析のために血液サンプルを収集した。
病理学:組織学的試験のために。3つの異なる水平横断面、すなわち腺の基底、基底と乳槽の中間及び乳腺槽の種々の部位から各四半分の乳腺組織のサンプルを採取した。組織サンプルを4%のホルマリン緩衝液で固定し、パラフィンに包埋した。組織学的試験のために、組織切片を切り出しヘマトキシリン/エオシン染色で染色した。
参考文献
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表6:2Dゲルで識別され、質量分析で性状決定されたS.ウベリスの免疫原性タンパク質
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Claims (12)

  1. 以下の工程を含む、少なくとも2つのストレプトコッカス・ウベリス株及び/又は血清型に対して免疫応答を誘引することができるストレプトコッカス・ウベリスタンパク質を同定する方法:
    a)分泌タンパク質、表面結合タンパク質及び/又は配列番号110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、186、188、又は190のタンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質を同定する工程;
    b)少なくとも2つのストレプトコッカス・ウベリス株及び/又は血清型で保存されている、工程a)で同定した少なくとも1つのタンパク質を選択する工程;及び
    c)工程b)で選択した少なくとも1つのタンパク質から、第一のストレプトコッカス・ウベリス株及び/又は血清型に感染した動物の抗体及び/又は免疫細胞並びに第二のストレプトコッカス・ウベリス株及び/又は血清型に感染した動物の抗体及び/又は免疫細胞と特異的に結合することができる少なくとも1つのタンパク質を選択する工程。
  2. 前記分泌タンパク質及び/又は表面結合タンパク質が、ストレプトコッカス・ウベリスのゲノム配列において、分泌及び/又は表面結合タンパク質のモチーフを含む遺伝子を同定することによって同定される、請求項1に記載の方法。
  3. 配列番号110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、186、188、又は190のタンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有する前記タンパク質が、ストレプトコッカス・ウベリスのゲノム配列において、配列番号110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、186、188、又は190のタンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質を同定することによって同定される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 配列番号110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、186、188、又は190のタンパク質と少なくとも80%の配列同一性を有する前記タンパク質が、配列番号109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139、141、143、145、147、149、151、153、155、157、159、161、163、165、167、169、171、173、175、177、179、181、183、185、187、又は189の完全長ヌクレオチド配列と、0.5Mリン酸ナトリウム、1mM EDTA及び7%ドデシル硫酸ナトリウムを有するpH7.2の緩衝液中で65℃にてハイブリダイズする遺伝子を、ストレプトコッカス・ウベリスのゲノム配列において同定することによって同定される請求項1、2又は3に記載の方法であって、
    前記核酸分子が、40mMリン酸ナトリウム(pH7.2)、1mM EDTA及び5%ドデシル硫酸ナトリウムを含む緩衝液で65℃にて30分間2回洗浄し、さらに40mMリン酸ナトリウム(pH7.2)、1mM EDTA及び1%ドデシル硫酸ナトリウムを含む緩衝液で65℃にて30分間2回洗浄した後でハイブリダイズしたままである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 少なくとも2つのストレプトコッカス・ウベリス株及び/又は血清型で保存されている遺伝子を選択する工程をさらに含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記遺伝子によってコードされるタンパク質を入手する工程をさらに含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記遺伝子が原核細胞発現系で発現される、請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 以下の工程を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法:
    −単離及び/又は組換えストレプトコッカス・ウベリスタンパク質を入手する工程;
    −前記タンパク質を、第一のストレプトコッカス・ウベリス株及び/又は血清型に感染した動物の抗体及び/又は免疫細胞、並びに第二のストレプトコッカス・ウベリス株及び/又は血清型に感染した動物の抗体及び/又は免疫細胞とともにインキュベートする工程;及び
    −タンパク質が、第一のストレプトコッカス・ウベリス株及び/又は血清型に感染した動物の抗体及び/又は免疫細胞、並びに第二のストレプトコッカス・ウベリス株及び/又は血清型に感染した動物の抗体及び/又は免疫細胞と結合することができるか否かを決定する工程。
  9. 前記タンパク質をコードする核酸配列を用いて、前記タンパク質を発現させる工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記抗体及び/又は免疫細胞が回復期血清に由来する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記ストレプトコッカス・ウベリスタンパク質がオプソニン食菌作用誘発抗体を誘引することができる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 少なくとも2つのストレプトコッカス・ウベリス株及び/又は血清型に対して免疫応答を誘引することができる少なくとも2つのストレプトコッカス・ウベリスタンパク質が同定される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
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