JP2010535030A - ブラキスピラ・ヒオディセンテリアの新規な遺伝子とタンパク質及びその使用 - Google Patents

ブラキスピラ・ヒオディセンテリアの新規な遺伝子とタンパク質及びその使用 Download PDF

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Abstract

ブラキスピラ・ヒオディセンテリアの新規なポリヌクレオチド及びアミノ酸について記載する。これらの配列は、動物におけるB.ヒオディセンテリア症の診断に有用であると共に、動物におけるB.ヒオディセンテリア症の治療的処置又は予防的処置として有用である。また、これらの配列は、他のブラキスピラ種(B.インターメディアやB.スアナティナ、B.アルビニプリ、B.アアルボルギ、B.イノセンス、B.ムルドキイ、B.ピロシコリ等)に起因する動物の疾患の診断的、治療的及び/又は予防的処置にも有用であり得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、ブラキスピラ・ヒオディセンテリアの新規な遺伝子及びそれによってコードされるタンパク質に関する。本発明は更に、これらの新規な遺伝子及びタンパク質のB.ヒオディセンテリア症の診断やB.ヒオディセンテリアに対するワクチンへの使用、また、B.ヒオディセンテリアを死滅させたりB.ヒオディセンテリアの病原作用を阻害する化合物のスクリーニングへの使用にも関する。また、これらの配列は、他のブラキスピラ種(B.スアナティナ(suanatina)やB.インターメディア(intermedia)、B.アルビニプリ(alvinipulli)、B.アアルボルギ(aalborgi)、B.イノセンス(innocens)、B.ムルドキイ(murdochii)、B.ピロシコリ(pilosicoli)等)に起因する動物の疾患の診断的、治療的及び/又は予防的処置にも有用であり得る。
ブタ赤痢は、オーストラリア及び世界中におけるブタの重大な風土病の一種である。ブタ赤痢は接触伝染性粘膜出血性下痢疾患であり、大腸上皮表面の広範囲の炎症や壊死によって特徴付けられる。ブタ赤痢による経済的損失は、主に発育遅延や治療費用、死亡によってもたらされる。1971年、嫌気性スピロヘータ(トレポネーマ・ヒオディセンテリア)が最初にブタ赤痢の原因物質として特定され、最近ではB.ヒオディセンテリアとしてブラキスピラ属に再び帰属された。ブタ赤痢が養豚場で発症した場合、疾患の範囲は、軽度、一過性又は不明瞭なものから重篤、更には致死的なものにもなり得る。個々の養豚場における治療戦略によって臨床徴候が隠される場合もあり、また、一部の養豚場では、ブタ赤痢が気付かれないか又は疑われるに過ぎないこともあり得る。明らかな疾患が発症しようがしまいが、B.ヒオディセンテリアは、感染ブタや他のリザーバー宿主(例えば、げっ歯動物)、或いは環境に存続し得る。これらの感染源は全て、非感染の群れにブタ赤痢を伝染させる可能性を有する。また、商業用家禽にB.ヒオディセンテリアがコロニー形成することもあるが、これが現場条件で通常どのように生じるかは明らかでない。
B.ヒオディセンテリアのコロニー形成は、スピロヘータに対する強い免疫学的応答を誘発するため、スピロヘータへの曝露の間接的な証拠は、感染動物の循環血中抗体価を測定することによって得ることができる。この抗体価は、ブタ赤痢から回復した動物においても低レベルで維持されることが報告されている。従って、抗体を検出するための血清学的試験によって、かなりの可能性で、無症状感染や大腸内に検出不能な数のスピロヘータを有する回復したキャリアブタを検出することができる。このような試験は、使い易いキット形態(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ)であれば、特に有益であろう。B.ヒオディセンテリアに対する循環抗体の存在を示すために種々の技法が開発されているが、その例としては、間接蛍光抗体試験や赤血球凝集試験、マイクロ滴定凝集試験、補体結合試験、リポ多糖又は全超音波処理スピロヘータを抗原として用いるELISAが挙げられる。これらの試験は全て、関連する非病原性腸スピロヘータが交差反応性抗体を誘導し得るため、特異性の面で問題を抱えている。これらの試験は、明らかな疾患が存在する群れや高い循環抗体価を検出するのには有用であるが、無症状感染の群れや個々の感染ブタを特定する上では問題がある。従って、B.ヒオディセンテリアに対する抗体を検出するための十分に高感度で特異的なアッセイは現在まで得られていない。好適な診断試験の欠如がブタ赤痢の制御を妨げている。
ブタ赤痢の制御には数多くの方法が用いられており、抗菌剤を予防的に使用することから、感染した群れの数を十分に減少させたり、感染キャリアブタのリエントリーを防止することまで様々である。これらの選択肢には全て高い費用がかかり、十分に効果的であるべき場合には、その経過をモニターするのに高度な診断試験を用いることが必要となる。現在、無症状感染の群れや個々の健常なキャリア動物におけるブタ赤痢の検出は大きな問題のままであり、効果的な制御手段の遂行を妨げている。ブタ赤痢の確定診断には、伝統的に疾患ブタの便や粘膜からのB.ヒオディセンテリアの単離や同定が必要である。これに伴う大きな問題としては、このような嫌気性バクテリアは成長が遅く、偏好性の栄養的要求があることや、ブタの腸の常在菌叢に形態学的に類似したスピロヘータが存在するために混乱を招くことが挙げられる。個々の罹患ブタの診断は、便由来のスピロヘータを検出するためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイの開発によって大きく改善された。しかし、残念ながら実際には、PCRの検出限界によって、無症状感染のキャリア動物を検出することはできなかった。このような診断上の問題のため、群れや個々のブタレベルでB.ヒオディセンテリア感染を検出することが可能な簡便で有効な診断ツールの開発が明らかに必要である。
B.ヒオディセンテリアのコロニー形成後、スピロヘータに対して強い免疫学的応答が誘導され、ブタ赤痢から回復したブタは再感染から保護される。それにもかかわらず、ブタ赤痢を制御するワクチンを開発する試みは殆ど成功していないが、その理由としては、群れ基準での保護が十分にできないこと、或いは、費用が掛かり過ぎて商業的に実現可能に生産することが難しいことが挙げられる。バクテリンワクチンによってある程度は保護されるが、バクテリンワクチンはリポ多糖血清型特異的になる傾向があるため、多価のバクテリンを用いることが必要となる。更に、スピロヘータの偏好性嫌気性成長要求のため、大規模での生産は困難で費用が掛かる。
ブタ赤痢用弱毒化生ワクチンの開発が幾つか試みられている。このアプローチは、弱毒化株の場合、コロニー形成が低下するため、免疫刺激が低下する点で不利である。また、ブタ赤痢用生ワクチンの場合、病原性への復帰変異の可能性があるため(特に、B.ヒオディセンテリアにおける遺伝の調節や構造については殆ど知られていないため)、生産者や獣医の側からもその使用をためらっている。
組換えサブユニットワクチンの使用は、その製品が十分に明確であり(登録目的には必須)、大規模での生産が比較的容易であろうことから、魅力的な選択肢である。現在まで、B.ヒオディセンテリア由来の組換えタンパク質をワクチン候補(38キロダルトンの鞭毛タンパク質)として用いる最初の報告では、ブタにおけるコロニー形成を防ぐことができなかった。この失敗は、具体的には、用いた特定の組換えタンパク質に関係すると共に、送達系及び経路や投与速度、アジュバントの選択等の他のより下流の問題にも関係していると思われる(非特許文献1)。ワクチン接種に用いた部分保護的組換えB.ヒオディセンテリアタンパク質として最初に報告されたのは、各種病原菌のメチオニン結合リポタンパク質と相同性を有する29.7kDaの外膜リポタンパク質(Bhlp29.7、「BmpB」とも「BlpA」とも称する)であった。このhisタグ組換えBhlp29.7タンパク質をブタのワクチン接種に用いた後、B.ヒオディセンテリアで実験的にチャレンジした結果、非ワクチン接種の対照ブタの内で発症したのは50〜70%であったのに対し、ワクチン接種のブタの内で発症したのは17〜40%であった。Bhlp29.7ワクチン接種ブタの発症率が対照ブタに比べて有意に(P=0.047)低かったため、Bhlp29.7はブタ赤痢ワクチン成分としての可能性があることが分かった(非特許文献2)。組換えワクチン成分として使用できるであろうB.ヒオディセンテリア由来の外被タンパク質を同定する他の多くの試みがなされてきたが、どのワクチンも未だに成功していない。B.ヒオディセンテリア由来の潜在的に有用な免疫原性組換えタンパク質を同定するには、よりグローバルなアプローチが必要である。
現在までに、ワクチン接種にDNAを用いた研究が一例のみ報告されている。この研究においては、推定フェリチンをコードするB.ヒオディセンテリアftnA遺伝子を大腸菌プラスミドにクローン化し、プラスミドDNAを用いて弾道的ワクチン接種(ballistic vaccination)用の金ビーズをコートした。ブタ赤痢のマウスモデルを用いて、DNA及び/又は組換えタンパク質によるワクチン接種の保護的特性を確認した。組換えタンパク質によるワクチン接種の場合、フェリチンに対する良好な全身応答が誘導されたが、DNAによるワクチン接種の場合には、検出可能な全身応答が誘導されただけであった。DNAによるワクチン接種後に組換えタンパク質で追加免疫を行った場合、タンパク質で追加免疫した後にのみフェリチンに対する全身免疫応答が誘導された。しかし、試験したどのワクチン接種レジメンの場合にも、マウスにおいてはB.ヒオディセンテリアのコロニー形成や関連する病変に対する保護は得られなかった。興味深いことに、DNAのみでマウスのワクチン接種を行った結果、疾患がかなり悪化した(非特許文献3)。
ガベ(Gabe),JD、チャン(Chang),RJ、スロミアニー(Slomiany),R、アンドリュース(Andrews),WH及びマッカマン(McCaman),MT(1995)、セルプリナ・ヒオディセンテリアB204からの細胞質外タンパク質の単離、及び38キロダルトンの鞭毛タンパク質をコードするflaB1遺伝子の分子クローニング、Infection and Immunity 63:142〜148 ラ(La),T、フィリップス(Phillips),ND、レイチェル(Reichel),MP及びハンプソン(Hampson),DJ(2004)、組換えBmpB(ブラキスピラ・ヒオディセンテリアの29.7kDa外膜リポタンパク質)を用いたワクチン接種によるブタ赤痢からのブタの保護、Veterinary Microbiology 102:97〜109 デイヴィス(Davis),A.J.、スミス(Smith),S.C.及びムーア(Moore),R.J.(2005)、ブラキスピラ・ヒオディセンテリアftnA遺伝子:疾患マウスモデルにおけるDNAワクチン接種及び細菌のリアルタイムPCR定量化、Current Microbiology 50:285〜291
本発明の目的は、B.ヒオディセンテリア由来の新規な遺伝子及び該遺伝子によってコードされるタンパク質を提供することである。本発明の更なる目的は、この新規遺伝子及び該遺伝子によってコードされるタンパク質を治療及び診断的目的に用いることができることである。B.ヒオディセンテリアに対するワクチンにおいて、更には、B.ヒオディセンテリア感染症の診断において該遺伝子及び/又は該タンパク質を用いることができる。
本発明の目的は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63及び65に含まれるヌクレオチド配列を有する新規なB.ヒオディセンテリア遺伝子を提供することである。また、本発明の目的は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63及び65と同一であり、%同一性が少なくとも95%、90%、85%、80%、75%及び70%(即ち、100〜70のあらゆる整数)であり得るヌクレオチド配列を提供することである。また、本発明は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63及び65のヌクレオチド配列と、該配列と少なくとも95%、90%、85%、80%、75%及び70%(即ち、100〜70のあらゆる整数)同一である配列とを含むDNAワクチン又はDNA免疫原性組成物も包含する。本発明は更に、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63及び65のヌクレオチド配列と、該配列と少なくとも95%、90%、85%、80%、75%及び70%(即ち、100〜70のあらゆる整数)同一である配列とを有するDNAを含む診断アッセイを包含する。
また、本発明の目的は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63及び65の配列を有するDNAを含むプラスミドを提供することと、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63及び65の配列を有するDNAを含む原核及び/又は真核発現ベクターを提供することと、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63及び65の配列を有するDNAを含むプラスミドを含む細胞を提供することである。
本発明の目的は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64及び66に含まれるアミノ酸配列を有する新規なB.ヒオディセンテリアタンパク質を提供することである。本発明の他の目的は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64及び66に含まれる配列と少なくとも95%、90%、85%、80%、75%及び70%(即ち、100〜70のあらゆる整数)相同であるタンパク質を提供することである。また、本発明の目的は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64及び66に含まれるアミノ酸配列、又は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64及び66に含まれる配列と少なくとも95%、90%、85%、80%、75%及び70%(即ち、100〜70のあらゆる整数)相同であるアミノ酸配列を有するタンパク質をワクチン又は免疫原性組成物が含むことである。本発明の更なる態様は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64及び66に含まれる配列、又は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64及び66に含まれる配列と少なくとも95%、90%、85%、80%、75%及び70%相同である配列を有する一以上のタンパク質を含む診断キットを提供することである。
本発明の他の様相は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64及び66に含まれるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードし、更に、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64及び66に含まれる配列と少なくとも95%、90%、85%、80%、75%及び70%(即ち、100〜70のあらゆる整数)相同であるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を提供することである。また、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64及び66に含まれるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードし、更に、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64及び66に含まれる配列と少なくとも95%、90%、85%、80%、75%及び70%(即ち、100〜70のあらゆる整数)相同であるアミノ酸配列をコードする配列を有するDNAを含むプラスミド、真核及び原核発現ベクター、及びDNAワクチンも包含する。このようなプラスミド及び発現ベクターを含む細胞も本発明に包含される。
本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64及び66に含まれるアミノ酸配列を有するタンパク質と結合するか、又は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64及び66に含まれる配列と少なくとも95%、90%、85%、80%、75%及び70%(即ち、100〜70のあらゆる整数)相同であるタンパク質と結合するモノクローナル抗体を包含する。配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64及び66に含まれるアミノ酸配列を有するタンパク質と結合するか、又は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64及び66に含まれる配列と少なくとも95%、90%、85%、80%、75%及び70%(即ち、100〜70のあらゆる整数)相同であるタンパク質と結合するモノクローナル抗体を含む診断キットも本発明に包含される。このような診断キットによって、動物におけるB.ヒオディセンテリアの存在を検出することができる。動物としてはいずれの哺乳動物や鳥も好ましく、ニワトリ、ガチョウ、アヒル、シチメンチョウ、インコ、イヌ、ネコ、ハムスター、スナネズミ、ウサギ、フェレット、ウマ、雌ウシ、ヒツジ、ブタ、サル及びヒトがより好ましい。
また、本発明は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63及び65に記載の一以上のヌクレオチド配列、又は該配列と少なくとも95%、90%、85%、80%、75%及び70%(即ち、100〜70のあらゆる整数)同一である配列を含むDNAワクチンを動物に投与することによって動物におけるB.ヒオディセンテリア感染症を予防又は治療する方法も意図する。また、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64及び66に含まれるアミノ酸配列、又は該配列と少なくとも95%、90%、85%、80%、75%及び70%(即ち、100〜70のあらゆる整数)相同である配列を有する一以上のタンパク質を含むワクチンを動物に投与することによって動物におけるB.ヒオディセンテリア感染症を予防又は治療する方法も包含する。動物としてはいずれの哺乳動物や鳥も好ましく、ニワトリ、ガチョウ、アヒル、シチメンチョウ、インコ、イヌ、ネコ、ハムスター、スナネズミ、ウサギ、フェレット、ウマ、雌ウシ、ヒツジ、ブタ、サル及びヒトがより好ましい。
また、本発明は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63及び65に記載の一以上のヌクレオチド配列、又は該配列と少なくとも95%、90%、85%、80%、75%及び70%(即ち、100〜70のあらゆる整数)同一である配列を含む免疫原性組成物を動物に投与することによって動物において免疫応答を発生させる方法も意図する。また、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64及び66に含まれるアミノ酸配列、又は該配列と少なくとも95%、90%、85%、80%、75%及び70%(即ち、100〜70のあらゆる整数)相同である配列を有する一以上のタンパク質を含む免疫原性組成物を動物に投与することによって動物において免疫応答を発生させる方法も包含する。動物としてはいずれの哺乳動物や鳥も好ましく、ニワトリ、ガチョウ、アヒル、シチメンチョウ、インコ、イヌ、ネコ、ハムスター、スナネズミ、ウサギ、フェレット、ウマ、雌ウシ、ヒツジ、ブタ、サル及びヒトがより好ましい。
本明細書においては、冠詞「一の(a又はan)」は、該冠詞の文法上の目的語が1個又は1個より多い(即ち、少なくとも1個である)ことを意味する。例を挙げると、「an element」とは1個の要素又は1個を超える要素を意味する。
「アミノ酸」とは、天然にせよ合成にせよ、アミノ機能性及び酸機能性の両方を有し、天然に存在するアミノ酸のポリマーに含まれ得る全ての分子を包含することを意味する。アミノ酸の例としては、天然に存在するアミノ酸、その類似体や誘導体、同類物、種々の側鎖を有するアミノ酸類似体、また、上述のいずれかの全ての立体異性体が挙げられる。
動物はいずれの哺乳動物でも鳥でもよい。哺乳動物の例としては、イヌやネコ、ハムスター、スナネズミ、ウサギ、フェレット、ウマ、雌ウシ、ヒツジ、ブタ、サル、ヒトが挙げられる。鳥の例としては、ニワトリやガチョウ、アヒル、シチメンチョウ、インコが挙げられる。
「保存残基」とは、ある共通の特性を有するアミノ酸のグループのメンバーであるアミノ酸を意味する。「保存的アミノ酸置換」とは、そのような一グループのアミノ酸の同グループの別のアミノ酸による(概念的又は別の意味の)置換を意味する。個々のアミノ酸間の共通特性を定義する実用的な方法は、同種生物の対応するタンパク質間における正規化したアミノ酸変化頻度を解析することである(シュルツ(Schulz),G.E.及びR.H.シンナー(Schinner)、タンパク質構造の原理、Springer−Verlag)。このような解析によると、あるグループ内のアミノ酸が互いに優先的に交換され、従って、全体的なタンパク質構造に対する影響において互いに最も類似する場合に、アミノ酸のグループを定義することができる(シュルツ(Schulz),G.E.及びR.H.シンナー(Schinner)、タンパク質構造の原理、Springer−Verlag)。こうして定義されたアミノ酸グループの例としては、(i)Lys、Arg及びHisを含む陽性荷電グループ、(ii)Glu及びAspを含む陰性荷電グループ、(iii)Phe、Tyr及びTrpを含む芳香族グループ、(iv)His及びTrpを含む窒素環グループ、(v)Val、Leu及びDeを含む大型脂肪族非極性グループ、(vi)Met及びCysを含む弱極性グループ、(vii)Ser、Thr、Asp、Asn、Gly、Ala、Glu、Gln及びProを含む小型残基グループ、(viii)Val、Leu、De、Met及びCysを含む脂肪族グループ、及び(ix)Ser及びThrを含む小型水酸基グループが挙げられる。
「融合タンパク質」又は「融合ポリペプチド」とは、当該技術分野で公知のようにキメラタンパク質を意味するが、当該技術分野で公知の方法を用いて構築することができる。融合タンパク質の多くの例においては、2種類の異なるポリペプチド配列が存在するが、ある場合には、更に多くのポリペプチド配列が存在し得る。融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列は、融合タンパク質を正しく翻訳できるようにインフレームで作用可能に(operably)連結させることができる。融合タンパク質は、同一種又は異種由来のポリペプチド配列を含み得る。種々の実施形態においては、融合ポリペプチドは、第1のポリペプチドに連結した一以上のアミノ酸配列を含有し得る。一を超えるアミノ酸配列が第1のポリペプチドに融合する場合、融合配列は、同一配列の複数のコピーであってもよく、或いは、異なるアミノ酸配列であってもよい。融合ポリペプチドは、第1のポリペプチドのN末端、C末端、又はN及びC末端に融合させることができる。融合タンパク質の例としては、グルタチオンS−トランスフェラーゼタグ(GST−タグ)、ヒスチジンタグ(His−タグ)、免疫グロブリンドメイン又は免疫グロブリン結合ドメインを含有するポリペプチドが挙げられる。
「単離ポリペプチド」とは、ある実施形態においては、組換えDNA又はRNAから調製されるポリペプチド、合成由来又は天然由来のポリペプチド、或いは該ポリペプチドのある組合せを意味するが、単離ポリペプチドは、(1)天然で通常見出されるタンパク質とは無関係であるか、(2)それが通常存在する細胞から分離されるか、(3)同一細胞源由来の他のタンパク質を含まないか、(4)異なる種由来の細胞によって発現されるか、又は(5)天然には存在しない。単離ポリペプチドが存在することは可能であるが、精製ポリペプチドとしては見なされない。
「単離核酸」及び「単離ポリヌクレオチド」とは、ゲノムDNA、cDNA、mRNA、tRNA、rRNA、iRNA又は細胞オルガネラ(例えば、ミトコンドリアや葉緑体)から得られるポリヌクレオチドであろうと、合成由来のものであろうと、(1)「単離核酸」が天然において見出されない細胞とは無関係であるか、又は(2)天然において連結していないポリヌクレオチドと作用可能に連結されるポリヌクレオチドを意味する。単離ポリヌクレオチドが存在することは可能であるが、精製ポリヌクレオチドとしては見なされない。
「核酸」及び「ポリヌクレオチド」とは、ヌクレオチドのポリマー形態を意味し、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、又はいずれかのヌクレオチド種の修飾形態を指す。これらの用語は、等価物として、ヌクレオチド類似体から得られるRNA又はDNAの類似体を包含し、また、本明細書に記載の実施形態に適用し得るものとして、一本鎖(例えば、センスやアンチセンス)ポリヌクレオチドや二本鎖ポリヌクレオチドを包含するとも理解されたい。
「本発明の核酸」及び「本発明のポリヌクレオチド」とは、本発明のポリペプチドをコードする核酸を意味する。本発明のポリヌクレオチドは、本発明核酸配列;本発明核酸配列と少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%(即ち、60〜100のあらゆる整数)同一であるヌクレオチド配列;ストリンジェントな条件下で本発明核酸配列とハイブリダイズするヌクレオチド配列;本発明のポリペプチドと機能的に等価なポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;本発明アミノ酸配列と少なくとも約60%、70%、80%、85%、90%、95%、98%、99%(即ち、60〜100のあらゆる整数)相同であるか又は同一であるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;本発明のポリペプチドの活性を有し、本発明アミノ酸配列に対して少なくとも約60%、70%、80%、85%、90%、95%、98%、99%以上(即ち、60〜100のあらゆる整数)の相同性又は同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;1〜約2、3、5、7、10、15、20、30、50、75以上のヌクレオチド置換、付加又は欠失によって本発明核酸配列と異なるヌクレオチド配列(例えば、対立遺伝子バリアント);本発明核酸配列に由来すると共に進化的に関連する核酸;及び本発明の上述の及び他の核酸の全てについて、遺伝コードの縮重に起因するヌクレオチド配列やその補体の全部又は一部を含み得る。また、本発明の核酸は、本発明核酸配列の相同体(例えば、オルソログやパラログ)も包含し、また、特定の生体(例えば、宿主細胞)での発現に対してコドン最適化された本発明核酸配列のバリアントも包含する。
2種の核酸領域間の関係について記載する際の「作用可能に連結」とは、該領域が所期の通りに機能し得る関係にある並置を意味する。例えば、適切な分子(例えば、誘導剤やポリメラーゼ)をコード配列と「作用可能に連結」された制御配列に結合させる場合には、制御配列に適合し得る条件下でコード配列が発現されるように制御(又は調節)配列に連結させる。
「ポリペプチド」、「タンパク質」及び「ペプチド」は本明細書においては交換可能に用い、アミノ酸のポリマーを意味する。ポリペプチドの例としては、遺伝子産物や天然に存在するタンパク質、上述のものの相同体、オルソログ、パラログ、断片、他の等価物、バリアント及び類似体が挙げられる。
「ポリペプチド断片」又は「断片」とは、参照ポリペプチドについて用いる場合には、参照ポリペプチド自体と比べてアミノ酸残基が欠失しているが、残ったアミノ酸配列が通常、参照ポリペプチドの対応する位置と同一であるポリペプチドを意味する。このような欠失は、参照ポリペプチドのアミノ末端又はカルボキシ末端、或いはその両方で起こり得る。断片は通常、少なくとも5、6、8又は10アミノ酸長、少なくとも14アミノ酸長、少なくとも20、30、40又は50アミノ酸長、少なくとも75アミノ酸長、又は少なくとも100、150、200、300、500以上アミノ酸長である。断片は参照ポリペプチドの生物学的活性の一以上を保持し得る。ある実施形態においては、断片は所望の生物学的活性を有するドメインを含み得るが、必要に応じて該ドメインの一側又は両側に付加的アミノ酸を含み、この付加的アミノ酸の数は、5、10、15、20、30、40、50又は最大で100以上の残基となり得る。更に、断片は特定領域の細断片を含み得るが、この細断片は、その由来領域の機能を保持する。他の実施形態においては、断片は免疫原性特性を有し得る。
「本発明のポリペプチド」とは、本発明アミノ酸配列又はその等価物や断片を含有するポリペプチドを意味する。本発明のポリペプチドは、本発明のアミノ酸配列の全て又は一部を含むポリペプチドを含む;本発明のポリペプチドとしては、本発明アミノ酸配列;1〜約2、3、5、7、10、15、20、30、50、75以上の保存的アミノ酸置換を有する本発明アミノ酸配列;本発明アミノ酸配列と少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%(即ち60〜100のあらゆる整数)相同であるアミノ酸配列;及びそれらの機能的断片が挙げられる。また、本発明のポリペプチドは、本発明アミノ酸配列の相同体(例えば、オルソログやパラログ)も包含する。
また、治療又は予防有効性や安定性(例えば、エクスビボでの有効期間やインビボでのタンパク質分解耐性等)を高める目的で、本発明のポリペプチドの構造を修飾することも可能である。このような修飾ポリペプチドは、タンパク質の天然に存在する形態の少なくとも一活性を保持するように設計される場合には、本明細書で更に詳細に記載するポリペプチドの「機能等価物」と考えられる。このような修飾ポリペプチドは、例えば、アミノ酸置換、欠失又は付加によって製造することができるが、この置換は全部又は一部において、保存的アミノ酸置換で構成することができる。
例えば、単離保存的アミノ酸置換(例えば、イソロイシンやバリンによるロイシンの置換、グルタミン酸によるアスパラギン酸の置換、セリンによるスレオニンの置換)が得られる分子の生物学的活性に大きな影響を及ぼさないであろうと予想することは理にかなっている。ポリペプチドのアミノ酸配列が変化して機能的相同体が得られるかどうかは、変異ポリペプチドが野生型タンパク質同様の応答を生じさせ得ることを評価することによって容易に確認することができる。一を超える置換が行われたポリペプチドは、同様にして容易に試験することができる。
「精製する」とは、主に存在する種である目的種(即ち、組成物において他のいずれの種に比べても豊富に(モル基準で)存在する種)を得ることを意味する。「精製画分」とは、存在する全種の内、目的種が少なくとも約50パーセント(モル基準で)を占める組成物である。溶液や分散液において純度や種を確認する際には、その種が溶解又は分散している溶媒やマトリックスは通常そのような確認には用いず、溶解又は分散している種のみ(対象物を含む)を考慮に入れる。一般に、精製組成物は、該組成物に存在する全種の約80%超であるか、存在する全種の約85%超、90%、95%、99%以上を占める一種を有する。目的種を本質的に均質になる(即ち、混入物種が従来の検出方法では組成物中で検出され得ない)まで精製することができるが、この際、組成物は本質的に単一種となる。当業者であれば、本明細書の教示に鑑みて、タンパク質精製のための標準的な技法を用いて本発明のポリペプチドを精製することができる。ポリペプチドの純度は当業者に公知の数多くの方法によって求めることができるが、その方法としては例えば、アミノ末端アミノ酸配列解析やゲル電気泳動、質量分析、本明細書に記載の方法が挙げられる。
「組換えタンパク質」又は「組換えポリペプチド」とは、組換えDNA技法によって製造されるポリペプチドを意味する。このような技法の一例としては、発現タンパク質をコードするDNAを好適な発現ベクターに挿入し、それを用いて宿主細胞を形質転換して該DNAによってコードされるタンパク質又はポリペプチドを製造する場合が挙げられる。
「調節配列」とは、本明細書全体を通じて用いる一般的な用語であり、開始シグナルやエンハンサー、レギュレーター、プロモーター等のポリヌクレオチド配列を意味し、それらが作用可能に連結するコード配列や非コード配列の発現に影響を及ぼす上で必要又は所望とされる。調節配列の例は、ゲッデル(Goeddel);遺伝子発現技術:酵素学における方法、Academic Press、カリフォルニア州サンディエゴ(1990)に記載されており、例えば、SV40の初期プロモーター及び後期プロモーターや、アデノウイルス又はサイトメガロウイルスの最初期プロモーター、lac系、trp系、TAC又はTRC系、T7RNAポリメラーゼによって発現が指示されるT7プロモーター、ファージλの主要オペレーター及びプロモーター領域、fdコートタンパク質のための制御領域、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ又は他の糖分解酵素のためのプロモーター、酸ホスファターゼ(例えば、Pho5)のプロモーター、酵母α接合因子のプロモーター、原核細胞又は真核細胞又はそのウイルスの遺伝子の発現を制御することが知られているバキュロウイルス系や他の配列の多角体プロモーター、及びそれらの種々の組合せが挙げられる。このような制御配列の性質や使用については宿主生物に応じて変わり得る。原核生物においては、このような調節配列は一般に、プロモーター、リボソーム結合部位及び転写終結配列を含む。「調節配列」とは、少なくとも、その存在が発現に影響を及ぼし得る成分を含むことを意味し、また、その存在が有利な付加的成分(例えば、リーダー配列や融合パートナー配列)も含み得る。ある実施形態においては、ポリヌクレオチド配列の転写は、発現が意図された細胞型におけるポリヌクレオチドの発現を制御するプロモーター配列(又は他の調節配列)の制御下にある。また、該ポリヌクレオチドが、天然に存在するポリヌクレオチド形態の発現を制御する調節配列と同一又は異なる調節配列の制御下にあり得ることも理解できるであろう。
「配列相同性」とは、2種の核酸配列間の塩基マッチの割合、又は2種のアミノ酸配列間のアミノ酸マッチの割合を意味する。配列相同性がパーセンテージで表される場合(例えば、50%)、パーセンテージは、所望の配列を他の配列と比較して得られる配列長さに亘るマッチの割合を示す。ギャップ(2種の配列の一方における)は、マッチングを最大にするよう許容され、通常は15塩基以下のギャップ長さが用いられ、より頻繁には6塩基以下のギャップ長さが用いられ、更に頻繁には2塩基以下のギャップ長さが用いられる。「配列同一性」とは、配列が比較のウィンドウに亘って同一である(即ち、核酸の場合にはヌクレオチド−ヌクレオチド基準、又はポリペプチドの場合にはアミノ酸−アミノ酸基準)ことを意味する。「配列同一性のパーセンテージ」は、2種の最適に整列された配列を比較のウィンドウに亘って比較し、両配列中に同一のアミノ酸又はヌクレオチドが存在する位置の数を確認してマッチした位置の数を得て、マッチした位置の数を比較ウィンドウ中の位置の全数で割り、得られた結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって算出する。配列同一性を算出する方法は当業者には公知であるが、更に詳細に後述する。
本明細書において本発明のポリペプチド又は他のタンパク質について用いる「可溶性」とは、細胞培養での発現の際に、発現したポリペプチド又はタンパク質の少なくとも一部が細胞の細胞質画分に残り、ライセートの溶解や遠心分離の際に細胞細片と共に分画しないことを意味する。ポリペプチドの溶解度は、当該技術分野で公知の種々の方法、例えば、異種アミノ酸配列との融合や、アミノ酸残基の欠失、アミノ酸置換(例えば、親水性側鎖を有するアミノ酸残基を配列において増やす)、化学的修飾(例えば、親水性基の付加)によって向上させることができる。
ポリペプチドの溶解度は、当該技術分野で公知の種々の技法、例えば、凝集状態を確認するための動的光散乱や、UV吸収、非凝集物から凝集物を分離するための遠心分離、SDSゲル電気泳動(例えば、可溶性画分中のタンパク質量を可溶性画分と不溶性画分の混合物中のタンパク質量と比較する)によって測定することができる。宿主細胞中で発現した場合、本発明のポリペプチドは、少なくとも約1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%以上が可溶である(例えば、細胞内で発現したタンパク質全量の少なくとも約1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%以上が細胞質画分で見出される)。ある実施形態においては、本発明のポリペプチドを発現する細胞の1L培養によって、少なくとも約0.1、0.2、0.5、1、2、5、10、20、30、40、50ミリグラム以上の可溶性タンパク質が産生する。例示的実施形態においては、本発明のポリペプチドは少なくとも約10%可溶であり、1Lの細胞培養から少なくとも約1ミリグラムのタンパク質が産生する。
「特異的にハイブリダイズする」とは、検出可能で特異的な核酸の結合を意味する。本発明のポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド及び核酸は、非特異的核酸に対する相当量の検出可能な結合を最小限に抑えるハイブリダイゼーション及び洗浄条件下で核酸鎖と選択的にハイブリダイズする。ストリンジェントな条件を用いて、当該技術分野で公知であり本明細書に記載の選択的ハイブリダイゼーション条件を得ることができる。一般に、本発明のポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド及び核酸と対象とする核酸配列との間の核酸配列同一性は、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、98%、99%又はそれ以上(即ち、30〜100のあらゆる整数)である。ある例においては、ハイブリダイゼーション及び洗浄条件は、従来のハイブリダイゼーション手続き及び本明細書における更なる記載に従ったストリンジェントな条件下で行う。
「ストリンジェントな条件」又は「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、二本鎖を形成するように2種の相補的なポリヌクレオチド鎖間で行う特異的なハイブリダイゼーションを促進する条件を意味する。ストリンジェントな条件は、所定のイオン強度及びpHで所定のポリヌクレオチド二本鎖の融点(Tm)より約5℃低くなるように選択することができる。相補的なポリヌクレオチド鎖の長さ及びそのGC量によって二本鎖のTmが決まり、ひいては、所望のハイブリダイゼーション特異性を得るのに必要なハイブリダイゼーション条件が決まる。Tmとは、ポリヌクレオチド配列の50%が完全にマッチする相補鎖とハイブリダイズする温度(所定のイオン強度及びpH下)である。ある場合には、特定の二本鎖のTmとほぼ等しくなるようにハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーを上げることが望ましいこともある。
Tmを推定するために種々の技法を用いることができる。通常、理論的最高値である約80〜100℃まで、二本鎖内のG−C塩基対がTmに対して約3℃寄与すると推定される一方、A−T塩基対が約2℃寄与すると推定される。
しかし、G−Cスタッキング相互作用、溶媒効果、所望のアッセイ温度等を考慮に入れることより高度なTmモデルを用いることができる。例えば、次式:Td=(((3×#GC)+(2×#AT))×37)−562)/#bp)−5(式中、#GC、#AT及び#bpはそれぞれ、二本鎖の形成に関与するグアニン−シトシン塩基対の数、アデニン−チミン塩基対の数及び全塩基対の数である)を用いて、解離温度(Td)が約60℃となるようにプローブを設計することができる。
ハイブリダイゼーションは、5×SSC、4×SSC、3×SSC、2×SSC、1×SSC又は0.2×SSC中で、少なくとも約1時間、2時間、5時間、12時間又は24時間行うことができる。ハイブリダイゼーションの温度を例えば、約25℃(室温)から約45℃、50℃、55℃、60℃又は65℃まで上げて反応のストリンジェンシーを調整することができる。また、ハイブリダイゼーション反応にはストリンジェンシーに影響を及ぼす他の剤を含めることもでき、例えば、50%ホルムアミドの存在下でハイブリダイゼーションを行うと、所定温度でのハイブリダイゼーションのストリンジェンシーが上昇する。
ハイブリダイゼーション反応に引き続き、単一の洗浄工程、又は二以上の洗浄工程を行うことができるが、これは同一又は異なる塩分や温度で行うことができる。例えば、洗浄の温度を約25℃(室温)から約45℃、50℃、55℃、60℃、65℃又はそれ以上まで上げてストリンジェンシーを調整することができる。洗浄工程は洗浄剤(例えば、0.1又は0.2%SDS)の存在下で行うことができる。例えば、ハイブリダイゼーションに引き続き、洗浄の2工程(各工程は2×SSC、0.1%SDS中で約20分間)を65℃で行うことができ、必要に応じて、更に洗浄の2工程(各工程は0.2×SSC、0.1%SDS中で約20分間)を65℃で行うことができる。
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例としては、50%ホルムアミド、10×デンハート液(0.2%フィコール、0.2%ポリビニルピロリドン、0.2%ウシ血清アルブミン)及び200μg/mLの変性担体DNA(例えば、剪断サケ精子DNA)を含有する溶液中でハイブリダイゼーションを65℃で一晩行った後、洗浄の2工程(各工程は2×SSC、0.1%SDS中で約20分間)を65℃で行い、更に洗浄の2工程(各工程は0.2×SSC、0.1%SDS中で約20分間)を65℃で行うことが挙げられる。
ハイブリダイゼーションにおいては、溶液中の2種の核酸をハイブリダイズさせてもよく、溶液中の核酸を固体支持体(例えば、フィルター)に付着させた核酸とハイブリダイズさせてもよい。固体支持体上に1種の核酸がある場合には、ハイブリダイゼーションの前にプレハイブリダイゼーション工程を行うことができる。プレハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーション溶液(相補的なポリヌクレオチド鎖の非存在下)と同一の溶液及び同一温度で少なくとも約1時間、3時間又は10時間行うことができる。
適切なストリンジェンシー条件は当業者には公知であるか、又は当業者によって実験的に決めることができる。例えば、分子生物学における現在のプロトコル、John Wiley&Sons、N.Y.(1989)、6.3.1−12.3.6;サンブルック(Sambrook)ら、1989、分子クローニング、実験室マニュアル、Cold Spring Harbor Press、N.Y.;S.アグラワル(Agrawal)編、分子生物学における方法、20巻;ティーセン(Tijssen)(1993)、生化学及び分子生物学における実験室技法−核酸プローブを用いたハイブリダイゼーション(例えば、パートI第2章「ハイブリダイゼーションの原理の概要及び核酸プローブアッセイの戦略」、Elsevier、ニューヨーク;ティバニェンダ(Tibanyenda),N.ら、Eur.J.Biochem.139:19(1984)及びエベル(Ebel),S.ら、Biochem.31:12083(1992)を参照のこと。
「ベクター」とは、連結された核酸を輸送することが可能な核酸を意味する。本発明で用いることのできるベクターの1種はエピソーム(即ち、染色体外複製を可能とする核酸)である。他のベクターとしては、連結された核酸の自己複製や発現を可能とするベクターが挙げられる。作用的に連結された(operatively linked)遺伝子の発現を指示することが可能なベクターを本明細書では「発現ベクター」と称する。一般に、組換えDNA技法で有用な発現ベクターは、プラスミドの形態であることが多いが、「プラスミド」とは、ベクター形態では染色体に結合していない環状二本鎖DNA分子を意味する。プラスミドはベクターの最も一般に用いられる形態であるため、本明細書においては「プラスミド」と「ベクター」は交換可能に用いる。しかし、本発明は、等価な機能を有し、この後当該技術分野で知られるようになる発現ベクターの他の形態を包含することを意図する。
本発明の核酸を診断試薬として用いて、該核酸が特異的に結合する標的DNA又はRNA配列の有無を検出し、例えば、本発明の核酸の発現レベルを求めることができる。一態様においては、本発明は、サンプル中に本発明の核酸又はその一部が存在することを検出するための方法であって、(a)本発明の核酸の一部と相補的で少なくとも8ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドを用意する工程と、(b)該オリゴヌクレオチドと本発明の核酸又はその一部とのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で該オリゴヌクレオチドを少なくとも1種の核酸を含有するサンプルに接触させる工程と、(c)該オリゴヌクレオチドとサンプル中の核酸とのハイブリダイゼーションを検出して、該サンプル中に本発明の核酸又はその一部が存在することを検出する工程とを含む方法を意図する。他の態様においては、本発明は、サンプル中に本発明の核酸又はその一部が存在することを検出するための方法であって、(a)各々が本発明の核酸の配列と相補的で少なくとも8ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドであって、該オリゴヌクレオチドと相補的な配列は互いに少なくとも10ヌクレオチド離れている一対の一本鎖オリゴヌクレオチドを用意することと、(b)ハイブリダイゼーション条件下で該オリゴヌクレオチドを少なくとも1種の核酸を含有するサンプルに接触させることと、(c)2種のオリゴヌクレオチドプライマー間のヌクレオチド配列を増幅することと、(d)増幅した配列の存在を検出して、該サンプル中に本発明の核酸又はその一部が存在することを検出することによって行う方法を意図する。
本発明の他の態様においては、本発明のポリペプチドをコードし、少なくとも1種の調節配列に作用可能に連結するヌクレオチド配列を含む発現ベクターに本発明のポリヌクレオチドを挿入する。当然のことながら、発現ベクターの設計は、形質転換する宿主細胞の選択及び/又は発現が所望されるタンパク質の種類等の因子によって決まり得る。ベクターのコピー数、該コピー数を制御する能力、及びベクターによってコードされる任意の他のタンパク質(例えば、抗菌マーカー)の発現を考慮する必要がある。
本発明のポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを薬剤として用いてB.ヒオディセンテリアに感染した動物を治療することができ、又はワクチンとして(更には薬剤としても)用いて動物をB.ヒオディセンテリアの感染から防ぐことができ、また、動物が感染した場合には疾患の症状や進行を抑制することができる。発現ベクターを薬剤として用いる一方法は、核酸ワクチンを感染の危機にある動物又は感染した動物に投与することである。核酸ワクチン技術については当該技術分野で十分に説明されている。説明の一部は、米国特許第6,562,376号(フーパー(Hooper)ら)、米国特許第5,589,466号(フェルグナー(Felgner)ら)、米国特許第6,673,776号(フェルグナー(Felgner)ら)、及び米国特許第6,710,035号(フェルグナー(Felgner)ら)に見出すことができる。核酸ワクチンは筋肉内注射又は皮内注射することができ、動物へのエレクトロポレーション(WO01/23537(キング(King)ら)、及びWO01/68889(マローネ(Malone)ら)参照)は、脂質組成物を介して(米国特許第5,703,055号(フェルグナー(Felgner)ら)参照)又は当該技術分野で公知の他のメカニズムによって行うことができる。
また、発現ベクターを細菌にトランスフェクトし、その細菌を標的動物に投与して、発現ベクターに含まれる本発明のヌクレオチドによってコードされるタンパク質に対する免疫応答を誘導することもできる。発現ベクターには、本発明のヌクレオチドが宿主動物内で転写及び翻訳されるように真核発現配列を含有させることができる。或いは、発現ベクターを細菌内で転写した後、宿主動物内で翻訳することもできる。発現ベクターの担体として用いる細菌は、弱毒化されてもなお侵襲的である必要がある。数例を挙げると、弱毒化されてもなお侵襲的である赤痢菌種、サルモネラ菌種、大腸菌種及びエロモナス菌種を用いることができる。このような方法の例は、米国特許第5,824,538号(ブランストロム(Branstrom)ら)、米国特許第5,877,159号(パウエル(Powell)ら)、米国特許第6,150,170号(パウエル(Powell)ら)、米国特許第6,500,419号(ホーン(Hone)ら)、及び米国特許第6,682,729号(パウエル(Powell)ら)に見出すことができる。
或いは、ベクターとして作用するある種のウイルスに本発明のポリヌクレオチドを挿入することもできる。ウイルスベクターは、本発明のタンパク質をウイルスの表面上で発現するか、又は、本発明のポリヌクレオチドがタンパク質に転写、翻訳される動物細胞に該ポリヌクレオチドを輸送することができる。ウイルスベクターに感染した動物は、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質に対する免疫応答を示し得る。これによって、ウイルスベクターに感染した動物においては、B.ヒオディセンテリアによる感染症を軽減又は予防することができる。ウイルスベクターの例は、米国特許第5,283,191号(モーガン(Morgan)ら)、米国特許第5,554,525号(ゾンダーマイヤー(Sondermeijer)ら)、及び米国特許第5,712,118(マーフィー(Murphy))に見出すことができる。
本発明のポリヌクレオチドを用いて、培養液中で増殖した細胞内で本発明のポリペプチドの発現及び過剰発現を生じさせることができる(例えば、融合タンパク質やポリペプチド等のタンパク質やポリペプチドを産生させることができる)。
本発明は、本発明のポリペプチドを発現させるために組換え遺伝子をトランスフェクトした宿主細胞に関する。宿主細胞はいずれの原核細胞又は真核細胞でもよい。例えば、本発明のポリペプチドは、細菌細胞(例えば、大腸菌)、昆虫細胞(バキュロウイルス)、酵母菌、植物細胞又は哺乳類細胞で発現させることができる。このような例において、宿主細胞がヒト細胞の場合、それは生被験者内に存在してもしなくてもよい。他の好適な宿主細胞は当業者には公知である。更に、宿主には通常見出されないtRNA分子を宿主細胞に追加して、ポリペプチドの発現を最適化することができる。或いは、ヌクレオチド配列を変化させて宿主細胞内での発現を最適化することもできるが、それでも、産生するタンパク質は元来コードされるタンパク質に対して高い相同性を有するであろう。ポリペプチドの発現を最大限にするのに適した他の方法は当業者には公知であろう。
本発明は更に、本発明のポリペプチドを製造する方法に関する。例えば、本発明のポリペプチドをコードする発現ベクターをトランスフェクトした宿主細胞を適切な条件下で培養し、該ポリペプチドの発現を生じさせることができる。該ポリペプチドを含有する培地と細胞の混合物からポリペプチドを分泌、単離することができる。或いは、ポリペプチドを細胞質保持させて、細胞を回収、溶解し、タンパク質を単離することができる。
細胞培養液には宿主細胞、培地及び他の副生物が含まれる。細胞培養に適した培地は当該技術分野ではよく知られている。当該技術分野で公知のタンパク質精製技法(例えば、イオン交換クロマトグラフィーやゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動、本発明のポリペプチドの特定のエピトープに特異的な抗体を用いたイムノアフィニティー精製等)を用いて細胞培地又は宿主細胞から、或いはその両方からポリペプチドを単離することができる。
このように、本発明のポリペプチドの全て又は選択部分をコードするヌクレオチド配列を用い、微生物又は真核細胞プロセスによってタンパク質の組換え体を製造することができる。ポリヌクレオチド構築物(例えば、発現ベクター)内に配列を連結させることと、宿主(真核生物(酵母菌、鳥、昆虫又は哺乳動物)又は原核生物(細菌細胞))にトランスフォーム又はトランスフェクトすることは標準的な手続きである。類似の手続き又はその変形を用い、微生物手段又は組織培養技術によって本発明の組換えポリペプチドを調製することができる。
本発明のポリペプチドの発現に適したベクターとしては、次の種類のプラスミド、即ち、原核細胞(例えば、大腸菌)における発現のためのpTrcHis由来プラスミド、pET由来プラスミド、pBR322由来プラスミド、pEMBL由来プラスミド、pEX由来プラスミド、pBTac由来プラスミド、pUC由来プラスミドが挙げられる。プラスミドの調製や宿主生物の形質転換に用いる各種方法は当該技術分野ではよく知られている。原核細胞及び真核細胞の両方に適した他の発現系、及び一般的な組換え手続きについては、分子クローニング、実験室マニュアル、第2版、サンブルック(Sambrook)、フリッチュ(Fritsch)及びマニアティス(Maniatis)編(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989)第16章及び17章を参照のこと。
対象となるポリペプチドのコード配列は、それと異なるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む融合遺伝子の一部として組み込むことができる。本発明は、本発明の核酸と、異種ポリペプチドを含む融合タンパク質をコードするように本発明の核酸のヌクレオチド配列とインフレームで連結させた異種ペプチドをコードする少なくとも1種の異種配列とを含有する単離ポリヌクレオチドを意図する。異種ポリペプチドは、(a)本発明のポリペプチドのC末端、(b)本発明のポリペプチドのN末端、又は(c)本発明のポリペプチドのC末端及びN末端に融合させることができる。ある例においては、異種配列は、融合対象のポリペプチドの検出、単離、可溶化及び/又は安定化を可能にするポリペプチドをコードする。更に他の実施形態においては、異種配列は、ポリHisタグやmyc、HA、GST、プロテインA、プロテインG、カルモジュリン結合ペプチド、チオレドキシン、マルトース結合タンパク質、ポリアルギニン、ポリHis−Asp、FLAG、免疫グロブリンタンパク質の一部、経細胞輸送ペプチド等のポリペプチドをコードする。
融合発現系は、本発明のポリペプチドの免疫原性断片の産生が望ましい場合には有用となり得る。例えば、ロタウイルスのVP6カプシドタンパク質は、モノマー形態又はウイルス粒子の形態で、ポリペプチド部分用免疫学的担体タンパク質として用いることができる。抗体の産生をもたらす本発明のポリペプチド部分に対応する核酸配列を、後期ワクシニアウイルス構造タンパク質のコード配列を含む融合遺伝子構築物に組み込んで、ビリオンの一部としてのタンパク質の一部を含む融合タンパク質を発現する1組の組換えウイルスを製造することができる。B型肝炎表面抗原をこの役割に用いることもできる。同様に、本発明のポリペプチドの一部及びポリオウイルスカプシドタンパク質を含む融合タンパク質をコードするキメラ構築物を製造して免疫原性を高めることができる(例えば、EP公報No:0259149;エヴァンズ(Evans)ら、(1989)Nature339:385;フアン(Huang)ら、(1988)J.Virol.62:3855;及びシュリエンガー(Schlienger)ら、(1992)J.Virol.66:2参照)。
融合タンパク質によってタンパク質の発現及び/又は精製を容易にすることができる。例えば、本発明のポリペプチドをグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質として製造することができる。このようなGST融合タンパク質を用い、例えば、グルタチオン誘導体化マトリックスを使用することによって本発明のポリペプチドの精製を単純化することができる(例えば、分子生物学における現在のプロトコル、アウスベル(Ausubel)ら編(N.Y.:John Wiley&Sons、1991)参照)。他の実施形態においては、精製リーダー配列、例えば組換えタンパク質の所望の部分のN末端でのポリ(His)/エンテロキナーゼ切断部位配列等をコードする融合遺伝子は、Ni2+金属樹脂を用いたアフィニティクロマトグラフィーにより、発現融合タンパク質の精製を可能とさせ得る。次いで、精製リーダー配列をエンテロキナーゼでの処理によって除去し、精製タンパク質を得ることができる(例えば、ホチュリ(Hochuli)ら、(1987)J.Chromatography 411:177;及びジャンクネヒト(Janknecht)ら、PNAS USA88:8972参照)。
融合遺伝子を製造する技法はよく知られている。本質的に、種々のポリペプチド配列をコードする各種DNA断片の連結は、連結用平滑末端又はねじれ型末端、適切な末端を提供する制限酵素消化、必要に応じた付着末端の充填(filling-in)、望ましくない連結を回避するためのアルカリホスファターゼ処理、及び酵素的連結を用いて、従来の技法によって行う。他の実施形態においては、融合遺伝子は、自動DNA合成機を含む従来の技法によって合成することができる。或いは、遺伝子断片のPCR増幅は、2種の連続遺伝子断片間の相補的オーバーハングを引き起こすアンカープライマーを用いて実施することができ、続いて該連続遺伝子断片をアニールして、キメラ遺伝子配列を製造することができる(例えば、分子生物学における現在のプロトコル、アウスベル(Ausubel)ら編、John Wiley&Sons:1992参照)。
他の実施形態においては、本発明は、固体表面(例えば、プレート、マイクロタイタープレート、スライド、ビーズ、粒子、球体、フィルム、ストランド、沈殿物、ゲル、シート、チューブ、容器、毛管、パッド、スライス等)上に固定化した本発明の核酸を提供する。本発明の核酸は、アレイの一部としてのチップ上に固定化することができる。アレイには、本明細書に記載の本発明のポリヌクレオチドの一以上を含有させることができる。一実施形態においては、チップには、本発明のポリヌクレオチドと同じ病原性種由来のポリヌクレオチド配列のアレイの一部として本発明のポリヌクレオチドの一以上が含まれる。
本発明の好ましい形態においては、本明細書に記載の単離B.ヒオディセンテリアポリペプチドを提供すると共に、該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列も提供する。B.ヒオディセンテリアポリペプチドは、実質的に精製された形態で提供するのがより望ましい。
本発明の好ましいポリペプチドは、天然の全長ポリペプチドの一以上の生物学的特性(例えば、インビボ、インビトロ又は免疫学的特性)を有する。また、非機能性ポリペプチドも、例えば、機能性ポリペプチドのアンタゴニストとして有用となり得るため、本発明の範囲内に包含される。野生型に対する類似体、断片又は誘導体の生物学的特性は、例えば、生物学的アッセイによって確認することができる。
ポリペプチド(類似体、断片及び誘導体を含む)は、合成によって(例えば、固相又は液相ペプチド合成のよく知られた技法を用いて)調製することができる。固相合成技法を用いるのが好ましい。或いは、本発明のポリペプチドは、後述するよく知られた遺伝子工学技法を用いて調製することができる。更に他の実施形態においては、ポリペプチドは、生体液(例えば、動物由来の血漿や便、血清、尿が挙げられるが、これらに限定されない。また、動物の例としては、ブタやニワトリ、ガチョウ、アヒル、シチメンチョウ、インコ、ヒト、サル、イヌ、ネコ、ウマ、ハムスター、スナネズミ、ウサギ、フェレット、ウマ、ウシ、ヒツジが挙げられるが、これらに限定されない)から精製(例えば、イムノアフィニティー精製によって)することができる。動物はいずれの哺乳動物でも鳥でもよい。
B.ヒオディセンテリアポリペプチド類似体としては、一以上のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されているが、その置換によって分子の生物学的活性が実質的に変化しないようなアミノ酸配列を有するポリペプチドが挙げられる。
本発明によると、組換え又は化学的合成によって製造した本発明のポリペプチド、及びその断片や他の誘導体又は類似体(融合タンパク質等)を免疫原として用いて、該ポリペプチドを認識する抗体を製造することができる。
ある分子が免疫系の抗原認識分子(例えば、免疫グロブリン(抗体)又はT細胞抗原受容体)と特異的に相互作用し得る場合、該分子は「抗原性」である。抗原アミノ酸配列には、少なくとも約5個、好ましくは、少なくとも約10個のアミノ酸が含まれている。分子の抗原部分は、抗体又はT細胞受容体認識に対して免疫優性な部分であり得るか、又は、免疫用担体分子に該抗原部分を接合させて該分子に対する抗体を製造するために用いる部分であり得る。抗原性の分子はそれ自体が免疫原性である(即ち、担体なしで免疫応答を誘発可能である)必要はない。
「抗体」とは、特定のエピトープに結合するいずれの免疫グロブリン(抗体及びその断片を含む)をも意味する。「抗体」は、ポリクローナル抗体やモノクローナル抗体、キメラ抗体、米国特許第4,816,397号及び第4,816,567号に更に詳述されたもの、また、抗体の抗原結合部分(例えば、FabやF(ab’)2、F(v)(単一鎖抗体を含む))を包含する。従って、本明細書において種々の文法形態で用いる「抗体分子」とは、無傷の免疫グロブリン分子を意図すると共に、抗体結合部位を含む免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分も意図する。「抗体結合部位」とは、抗原と特異的に結合し、重鎖可変領域、軽鎖可変領域及び超可変領域から成る抗体分子の構造部分である。
抗体分子の例としては、無傷の免疫グロブリン分子や、実質的に無傷の免疫グロブリン分子、パラトープを含有する免疫グロブリン分子の部分(例えば、FabやFab’、F(ab’)2、F(v)として当該技術分野で公知の部分)が挙げられるが、このような部分は、本明細書に記載の治療方法に用いるのが好ましい。
抗体分子のFab部分及びF(ab’)2部分はそれぞれ、よく知られた方法により実質的に無傷の抗体分子上でのパパイン及びペプシンのタンパク質分解反応によって調製される。例えば、米国特許第4,342,566号(テオフィロポロス(Theofilopolous)ら)を参照のこと。Fab’抗体分子もよく知られており、F(ab’)2部分から産生させた後、2種の重鎖部分を連結しているジスルフィド結合をメルカプトエタノールで還元し、その後、得られるタンパク質メルカプタンをヨードアセトアミド等の試薬でアルキル化する。本発明においては、無傷の抗体分子を含む抗体が好ましい。
「モノクローナル抗体」は、文法上別の表現形態で記載されることもあるが、特定の抗原との免疫反応が可能な唯一種の抗体結合部位を有する抗体を意味する。よって、モノクローナル抗体は通常、それが免疫反応するいずれの抗原に対しても単一の結合親和性を示す。従って、モノクローナル抗体は、複数の抗体結合部位(各々は異なる抗原に対して免疫特異的である)を有する抗体分子(例えば、二重特異性(キメラ)モノクローナル抗体)を含有し得る。
「アジュバント」とは、抗原に対する免疫応答を向上させる化合物又は混合物を意味する。アジュバントは、抗原を徐々に放出する組織デポーとして機能し得ると共に、免疫応答を非特異的に向上させるリンパ系アクチベーターとしても機能し得る[フッド(Hood)ら、Immunology、384頁、第2版、Benjamin/Cummings、カリフォルニア州メンローパーク(1984)]。多くの場合、アジュバントの非存在下、抗原のみで一次チャレンジを行っても、体液性免疫応答や細胞性免疫応答を誘発することはできないであろう。アジュバントとしては、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバント、サポニン、水酸化アルミニウム等の鉱物ゲル、リゾレシチン等の界面活性物質、プルロニックポリオール類、ポリアニオン類、ペプチド類、油エマルジョン又は炭化水素エマルジョン、キーホールリンペットヘモニアニン、ジニトロフェノール、潜在的に有用なヒトアジュバント(BCG(カルメット・ゲラン桿菌)やコリネバクテリウム・パルバム等)が挙げられるが、これらに限定されない。アジュバントは薬学的に許容し得るのが好ましい。
当該技術分野で公知の種々の手続きを用いて本発明のポリペプチドに対するポリクローナル抗体を製造することができる。抗体の製造の際には、種々の宿主動物を注射によって本発明のポリペプチドで免疫することができる。宿主動物としては、ウサギやマウス、ラット、ヒツジ、ヤギ等が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態においては、本発明のポリペプチドを免疫原性担体(例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)やキーホールリンペットヘモニアニン(KLH))に結合させることができる。宿主種に応じ、種々のアジュバントを用いて免疫学的応答を向上させることができる。アジュバントとしては、フロイントアジュバント(完全アジュバントや不完全アジュバント)、水酸化アルミニウム等の鉱物ゲル、リゾレシチン等の界面活性物質、プルロニックポリオール類、ポリアニオン類、ペプチド類、油エマルジョン、キーホールリンペットヘモニアニン、ジニトロフェノール、潜在的に有用なヒトアジュバント(BCG(カルメット・ゲラン桿菌)やコリネバクテリウム・パルバム等)が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のポリペプチドに対するモノクローナル抗体の調製の際には、培養における連続細胞系によって抗体分子を製造させるいずれの技法をも用いることができる。このような技法としては、ケーラー(Kohler)らによって当初開発されたハイブリドーマ技法(ケーラー(Kohler)ら、(1975)Nature、256:495−497)、トリオーマ技法、ヒトB細胞ハイブリドーマ技法[コズバー(Kozbor)ら、(1983)Immunology Today、4:72]、及びヒトモノクローナル抗体を製造するためのEBV−ハイブリドーマ技法[コール(Cole)ら、(1985)、モノクローナル抗体及び癌治療、77〜96頁、Alan R.Liss,Inc.]が挙げられるが、これらに限定されない。不死の抗体産生細胞系は、融合以外の技法(例えば、発癌性DNAによるBリンパ球の直接形質転換や、エプスタイン・バーウイルスによるトランスフェクション)によって製造することができる。例えば、米国特許第4,341,761号、第4,399,121号、第4,427,783号、第4,444,887号、第4,451,570号、第4,466,917号、第4,472,500号、第4,491,632号及び第4,493,890号を参照のこと。
本発明の更なる実施形態においては、最近の技術を用いて無菌動物内でモノクローナル抗体を製造することができる。本発明によると、ニワトリ又はブタ抗体を用いることができ、該抗体は、ニワトリ又はブタハイブリドーマを用いるか、又はインビトロでB細胞をEBVウイルスで形質転換することによって得ることができる。実際、本発明によると、本発明のポリペプチドに特異的なマウス抗体分子由来の遺伝子を、適切な生物学的活性の抗体分子由来の遺伝子と共にスプライシングさせて「キメラ抗体」を製造するために開発された技法[モリソン(Morrison)ら、(1984)J.Bacteriol.、159−870;ノイバーガー(Neuberger)ら、(1984)Nature、312:604−608;タケダら、(1985)Nature、314:452−454]を用いることができるが、このような抗体は本発明の範囲内である。このようなキメラ抗体は、それ自体の免疫応答(特にアレルギー性応答)を誘導することが異種間抗体に比べて遥かに少ないため、該抗体を腸の疾患や障害(後述する)の治療に用いるのは好ましい。
本発明によると、一本鎖抗体製造用に記載された技法(米国特許第4,946,778号)を本発明のポリペプチドに特異的な一本鎖抗体の製造に適応させることができる。本発明の更なる実施形態では、Fab発現ライブラリー構築用に記載された技法[フセ(Huse)ら,(1989)Science、246:1275−1281]を用いて、本発明のポリペプチドに対して所望の特異性を有しているモノクローナルFab断片を迅速且つ容易に同定することができる。
抗体分子のイディオタイプを含有する抗体断片は公知の技法によって製造することができる。このような断片としては、例えば、抗体分子のペプシン消化によって産生し得るF(ab’)2断片や、F(ab’)2断片のジスルフィド架橋を還元することによって生じ得るFab’断片、抗体分子をパパイン及び還元剤で処理することによって生じ得るFab断片が挙げられるが、これらに限定されない。
抗体の製造においては、所望の抗体のスクリーニングは、当該技術分野で公知の技法、例えば、ラジオイムノアッセイ、ELISA、「サンドイッチ」イムノアッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、in situイムノアッセイ(例えば、コロイド金、酵素又は放射性同位体ラベルを用いる)、ウェスタンブロット、沈降反応、凝集アッセイ(例えば、ゲル凝集アッセイや血球凝集アッセイ)、補体固定アッセイ、免疫蛍光アッセイ、プロテインAアッセイ、免疫電気泳動アッセイ等によって行うことができる。一実施形態においては、一次抗体上のラベルを検出することによって抗体結合を検出する。他の実施形態においては、一次抗体への二次抗体又は試薬の結合を検出することによって一次抗体を検出する。更なる実施形態においては、二次抗体を標識する。イムノアッセイにおける結合を検出するための多くの手段が当該技術分野で公知であり、このような手段は本発明の範囲内である。例えば、本発明のポリペプチドの特異的エピトープを認識する抗体を選択するためには、製造したハイブリドーマをアッセイして、該エピトープを含有する本発明のポリペプチドの断片に結合する産物の有無を確認することができる。
また、本発明は、本発明のポリペプチド及び/又は本発明のポリペプチドに結合する抗体を用いてB.ヒオディセンテリアの存在を検出する診断及び予後観察方法を包含すると共に、B.ヒオディセンテリア感染症の診断及び予後観察に有用なキットも包含する。
診断及び予後観察方法は一般に、ニワトリやブタ等の動物から得た生物学的サンプルを用いて行う。「サンプル」とは、ブラキスピラ種(例えば、B.ヒオディセンテリア)又はそのポリヌクレオチドやポリペプチドを含有する疑いのある動物組織や流体のサンプルを意味する。そのような組織や流体の例としては、血漿や血清、糞便物、尿、肺、心臓、骨格筋、胃、腸、インビトロ細胞培養成分が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明は、サンプル中の本発明のポリペプチドの存在を検出するための方法であって、次の工程、即ち、(a)本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体(好ましくは固体支持体に結合されている)と本発明のポリペプチドを含む反応複合体が形成可能な条件下で、本発明のポリペプチドを含有する疑いのあるサンプルを該抗体に接触させる工程と、(b)該サンプル中の該抗体と本発明のポリペプチドを含む反応複合体の形成を検出する工程とを含み、反応複合体の形成の検出が該サンプル中の本発明のポリペプチドの存在を示す方法を提供する。
この方法に用いる抗体は、アフィニティ精製ポリクローナル抗体に由来するのが好ましく、モノクローナル抗体に由来するのがより好ましい。更に、本発明で用いる抗体分子はFab、Fab’、F(ab’)2又はF(v)部分又は完全抗体分子の形態であるのが好ましい。
上述の方法に基づくB.ヒオディセンテリアを検出するための特に好ましい方法としては、酵素結合免疫吸着アッセイやラジオイムノアッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、免疫酵素アッセイ(モノクローナル抗体及び/又はポリクローナル抗体を用いたサンドイッチアッセイ等)が挙げられる。
このような手続きの内で特に有用な3手続きでは、検出可能ラベルで標識された本発明のポリペプチド(又はその断片)、検出可能ラベルで標識された抗体Ab1、又は検出可能ラベルで標識された抗体Ab2を用いる。このような手続きを以下の式によって要約する(式中、星印は粒子が標識されていることを示し、「AA」は本発明のポリペプチドを表す)。
A.AA*+Ab1=AA* Ab1
B.AA+Ab1 *=AA Ab1 *
C.AA+Ab1+Ab2 *=Ab1 AA Ab2 *
当業者はこのような手続き及びその応用に精通しており、従って、本発明の範囲内で用い得る。「競合」手続きである手続きAは米国特許第3,654,090号及び第3,850,752号に記載されている。手続きBはよく知られた競合アッセイ技法の典型である。手続きCは「サンドイッチ」手続きであり、米国特許RE31,006及び第4,016,043号に記載されている。「二重抗体」手続きや「DASP」手続き等の更に他の手続きも知られている。
どの例においても、本発明のポリペプチドは一以上の抗体又は結合パートナーと共に複合体を形成し、複合体の一方の構成要素は検出可能ラベルで標識されている。複合体が形成されたという事実、また、必要に応じて複合体の量は、ラベルの検出に適用し得る公知の方法によって確認することができる。
上述のことから、Ab2の特性がAb1と反応することであるというのは理解されよう。その理由は、ある哺乳動物種で生じたAb1が他の種で抗体Ab2を生じさせる抗原として用いられるからである。例えば、抗原としてウサギ抗体を用い、ヤギの体内でAb2を生じさせることができる。従って、Ab2はヤギで生じた抗ウサギ抗体となるであろう。本明細書及び特許請求の範囲においては、Ab1を一次抗体と称し、Ab2を二次抗体又は抗Ab1抗体と称する。
このような研究で最も一般に用いられるラベルは放射性元素や酵素、紫外光に曝露されると蛍光を発する化学物質等である。ラベルとして用いることのできる蛍光物質の例としては、フルオレセインやローダミン、オーラミンが挙げられる。特定の検出物質としては、ヤギの体内で調製し、イソチオシアネートによってフルオレセインと結合させた抗ウサギ抗体が挙げられる。好ましい同位体の例としては、3Hや14C、32P、35S、36Cl、51Cr、57Co、58Co、59Fe、90Y、125I、131I、186Reが挙げられる。放射性ラベルは、現在入手可能ないずれの計測手続きによっても検出することができる。多くの酵素を用いることができるが、好ましい酵素の例としては、ペルオキシダーゼやβ−グルクロニダーゼ、β−D−グルコシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼとペルオキシダーゼの組合せ、アルカリホスファターゼが挙げられる。酵素は、カルボジイミドやジイソシアネート、グルタルアルデヒド等の架橋分子との反応によって選択粒子に結合させる。酵素ラベルは、現在利用されている比色法、分光光度法、蛍光分光光度法、電流測定法又はガス測定法のいずれかによって検出することができる。代替の標識物質及び方法の開示例としては、米国特許第3,654,090号、第3,850,752号及び第4,016,043号を挙げることができる。
また、本発明は、生物学的サンプル中の本発明のポリペプチドに対する抗体を検出する方法であって、(a)本発明のポリペプチド又はその断片を用意する工程と、(b)生物学的サンプルを前記本発明のポリペプチドと共に抗体−抗原複合体が形成可能な条件下でインキュベートする工程と、(c)本発明のポリペプチドを有する抗体−抗原複合体が形成されたかどうかを確認する工程とを用いる方法も提供する。
本発明の他の実施形態においては、生物学的サンプル中の本発明のポリペプチドに対する抗体のレベルを評価するためのインビトロ方法であって、(a)上述の方法に従って生物学的サンプル中の反応複合体の形成を検出する工程と、(b)該生物学的サンプル中の本発明のポリペプチドのレベルに対応する、形成された反応複合体の量を評価する工程とを用いる方法を提供する。
更に、動物宿主におけるB.ヒオディセンテリアに関連する疾患の治療的処置をモニターするためのインビトロ方法であって、該治療的処置を受けている動物宿主から種々の時点で得た一連の生物学的サンプル中の本発明のポリペプチドに対する抗体のレベルを上述のように評価してモニターする方法を提供する。
本発明は更に、生物学的サンプル中のB.ヒオディセンテリアの有無を検出するための方法であって、(a)好適なハイブリダイゼーション条件下で生物学的サンプルを本発明のポリヌクレオチドのポリヌクレオチドプローブ又はプライマーに接触させ、(b)該プローブ又はプライマーと該サンプル中の核酸との間に形成された二本鎖を検出することによってB.ヒオディセンテリアの有無を検出する方法を提供する。
本発明の一実施形態によると、B.ヒオディセンテリアの検出は、公知の技法を用いて生物学的サンプルからポリヌクレオチド配列を直接的に増幅した後、本発明のポリヌクレオチド配列の存在を検出することによって行うことができる。
本発明の一形態においては、標的核酸配列をPCRによって増幅した後、上述の具体的方法のいずれかを用いて検出する。ポリヌクレオチド配列の存在を検出するための他の有用な診断技法としては、(1)対立遺伝子特異的PCRや、(2)一本鎖コンフォメーション解析、(3)変性勾配ゲル電気泳動、(4)RNアーゼ保護アッセイ、(5)大腸菌mutSタンパク質等のヌクレオチドミスマッチを認識するタンパク質の使用、(6)対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド、(7)蛍光in situハイブリダイゼーションが挙げられるが、これらに限定されない。
上述の方法に加え、従来のプローブ技術によってポリヌクレオチド配列を検出することができる。プローブを用いて所望のポリヌクレオチド配列の存在を検出する場合、分析対象の生物学的サンプル(血液や血清等)を必要に応じて処理し、核酸を抽出することができる。サンプルのポリヌクレオチド配列を種々の方法(例えば、変性や制限消化、電気泳動、ドットブロッティング)で調製して標的配列の検出を容易にすることができる。サンプルのポリヌクレオチド配列の標的領域は通常、プローブの標的配列とハイブリッドを形成するよう少なくとも部分的に一本鎖である必要がある。配列が天然に一本鎖である場合には変性は不要である。しかし、配列が二本鎖である場合には、配列を変性することが必要であろう。変性は当該技術分野で公知の種々の技法によって行うことができる。
サンプルポリヌクレオチド配列及びプローブを、プローブ中の標的配列とサンプル中の所望の推定ポリヌクレオチド配列との安定なハイブリッド形成が促進される条件下でインキュベートする。偽陽性を防止するためには高ストリンジェンシー条件を用いるのが好ましい。
得られたハイブリッドの検出は通常、標識プローブを用いて行う。或いは、プローブを標識せず、標識されているリガンドとの特異的結合によって直接的又は間接的に検出することができる。好適なラベル及びプローブやリガンドを標識するための方法は当該技術分野で公知であり、例えば、公知の方法(例えば、ニックトランスレーションやランダムプライミング、キナーゼ処理)によって取込まれ得る放射性ラベルやビオチン、蛍光基、化学発光基(例えば、ジオキセタン、特に誘発されたジオキセタン)、酵素、抗体等が挙げられる。この基礎的スキームの変更は当該技術分野で公知であり、その例としては、検出対象のハイブリッドを外来性物質から分離し易くする変更及び/又は標識部分からシグナルを増幅する変更が挙げられる。
また、本発明の所望のポリヌクレオチド配列を検出可能な核酸プローブカクテルを本発明の核酸プローブアッセイに用い得ることも本発明の範囲内で意図される。従って、一例においては、細胞サンプル中の本発明のポリヌクレオチド配列の存在を検出するため、ポリヌクレオチド配列に相補的な一を超えるプローブを用いるが、特に、異なるプローブの数は2、3又は5種類の異なる核酸プローブ配列である。
また、本明細書に記載のポリヌクレオチド配列(好ましくはプローブの形態)を固相支持体に固定して、ブラキスピラ種(例えば、B.ヒオディセンテリアやB.インターメディア、B.アルビニプリ、B.アアルボルギ、B.イノセンス、B.ムルドキイ、B.ピロシコリが挙げられるが、これらに限定されない)を検出することもできる。或いは、本明細書に記載のポリヌクレオチド配列が、B.ヒオディセンテリア等のブラキスピラ種由来の複数の異なる遺伝子を同時に検出するのに使用可能なDNA分子ライブラリーの一部を構成することもある。本発明の更に他の形態においては、本明細書に記載のポリヌクレオチド配列を他のポリヌクレオチド配列(例えば、他の細菌やウイルスに由来)と共に固体支持体に固定し、固体支持体に結合したB.ヒオディセンテリア等のブラキスピラ種及び/又は他のポリヌクレオチド配列の存在を識別できるようにすることができる。
DNA分子の固定ライブラリーを製造する技法は当該技術分野において説明されている。一般に、多くの先行技術方法では、例えば、固体基板の種々の別個の位置に種々の配列の順列を形成するマスキング技法を用いた一本鎖核酸分子ライブラリーの合成が記載されている。米国特許第5,837,832号には、非常に大規模な集積技術に基づいてシリコン基板に固定したDNAアレイを製造する改良方法が記載されている。特に、米国特許第5,837,832号には、基板上の空間的に定めされた位置に特定のプローブセットを合成するための「タイリング」と称される戦略が記載されており、これは本発明の固定DNAライブラリーを製造するのに用い得る技術である。また、米国特許第5,837,832号には、同じく使用可能な更に初期の技法の参考文献も記載されている。このように、ポリヌクレオチド配列プローブは基板の表面でin situで合成することができる。
或いは、固体基板から離して一本鎖分子を合成し、予め形成した配列の各々を固体基板の別個の位置に付着させることができる。例えば、ピン又は圧電デバイスを備えたロボットデバイスを用いてポリヌクレオチド配列を基板上に直接的にプリントすることができる。
ライブラリー配列は通常、固体基板の別個の領域上、又は該領域内に固定される。基板は、基板内部への固定を可能とする多孔質でもよく、又は実質的に非多孔質でもよく、その場合には、ライブラリー配列は通常、基板の表面上に固定される。固体基板はポリペプチドが直接的又は間接的に結合できる如何なる材料から形成されていてもよい。好適な固体基板の例としては、平坦ガラスやシリコンウェハ、マイカ、セラミックス、プラスチック(例えばポリスチレンやポリメタクリレート)等の有機ポリマーが挙げられる。また、ニトロセルロース膜やナイロン膜等の広く入手し得る半透膜を用いることも可能である。半透膜をガラス等のより強固な固体表面に取り付けることができる。必要に応じて、金や白金、他の遷移金属等の金属層で表面をコートすることができる。
固体基板は、一般には剛性又は半剛性の表面を有する物質であるのが好ましい。好ましい実施形態においては、基板の少なくとも一表面が実質的に平坦であるが、ある実施形態においては、異なるポリマーの合成領域を例えば、隆起領域やエッチングされた溝によって物理的に分離するのが望ましいこともあり得る。また、固体基板が通常50〜100μmの不連続域でDNA配列を高密度付着させるのに適しているのが好ましく、この場合、10000〜40000ドット/cm-2の密度となる。
固体基板をセクションに分割するのが便利である。これは、フォトエッチング等の技法によって、或いは、疎水性インキ(例えば、テフロン(登録商標)ベースのインキ(Cel−line、USA))を塗布することによって行うことができる。
ライブラリーの異なる構成要素の各々が設けられた別個の位置は例えば、円形、長方形、楕円形、楔形等の如何なる適切な形状をも有し得る。
ポリヌクレオチド配列を基板に付着させるには共有結合手段又は非共有結合手段を用いることができる。ポリヌクレオチド配列は、ライブラリー配列が結合している分子の層を介して基板に付着させることができる。例えば、ポリヌクレオチド配列をビオチンで標識し、基板をアビジン及び/又はストレプトアビジンでコートすることができる。ビオチン化ポリヌクレオチド配列を用いるのが便利な点は、固体基板への結合効率を容易に確認できることである。ポリヌクレオチド配列はある種の固体基板に結合しにくい場合があるため、固体基板(例えば、ガラスの場合)と核酸配列との間に化学的界面を設けるのが必要なことが多い。好適な化学的界面の例としてはヘキサエチレングリコールが挙げられる。他の例はポリリジンでコートしたガラスの使用であるが、この場合、ポリリジンを標準的な手続きによって化学的に修飾してアフィニティーリガンドを導入する。カップリング剤を用いて固体基板の表面に分子を付着させるための他の方法は当該技術分野で公知である(例えば、WO98/49557参照)。
相補的ポリヌクレオチド配列が固定核酸ライブラリーに結合したことは、結合したポリヌクレオチド配列の光学特性値の変化(即ち、臭化エチジウムの使用)等の各種手段やフルオロフォアで標識したポリペプチド等の標識核酸の使用によって確認することができる。ラベルの使用が不要な他の検出技法としては、音響光学法、反射率測定法、偏光解析法、表面プラズモン共鳴法(WO97/49989参照)等の光学的技法が挙げられる。
従って、本発明は、少なくとも1種の本発明のポリヌクレオチド(好ましくは、異なる2種以上の本発明のポリヌクレオチド配列)が固定化された固体基板を提供する。
また、本発明は予防薬又は治療薬として用いることもできるが、これは、ニワトリやブタ等の動物における体液性応答や細胞介在応答を刺激して、ブラキスピラ種(例えば、B.ヒオディセンテリアやB.スアナティナ、B.インターメディア、B.アルビニプリ、B.アアルボルギ、B.イノセンス、B.ムルドキイ、B.ピロシコリが挙げられるが、これらに限定されない)のコロニー形成に対して保護する目的で用いることができる。B.ヒオディセンテリア等のブラキスピラ種による自然感染は、本明細書に記載のタンパク質に対する循環抗体価を誘導する。従って、本明細書に記載のアミノ酸配列又はその一部は、腸スピロヘータ症に対する保護のために全身的又は経口的に投与する予防薬や治療薬の主成分を構成する可能性を有する。
従って、一実施形態においては、本発明は、薬学的に許容し得る担体、希釈剤又は賦形剤と治療有効量で混合される本明細書に記載のアミノ酸配列又はその断片、該アミノ酸配列に結合する抗体、又は本明細書に記載のポリヌクレオチド配列を提供する。
本明細書における「治療有効量」とは、動物宿主の活性、機能及び応答における臨床的に重大な欠陥を少なくとも約15%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも90%抑制し、最も好ましくはこのような欠陥を防止するのに十分な量を意味する。或いは、治療有効量とは、動物宿主の臨床的に重大な状態を改善させるのに十分な量を意味する。
「薬学的に許容し得る」とは、生理学的に許容でき、通常、動物に投与した際にアレルギー反応や同様の不都合な反応(例えば、胃の不調等)をもたらさない分子体や組成物を指すのに用いる。「担体」とは、化合物と共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤又は媒体を意味する。このような薬学的担体としては、滅菌液体、例えば、水や、石油由来、動物由来、植物由来又は合成由来の油を挙げることができ、ピーナツ油や大豆油、鉱油、ゴマ油等が挙げられる。水や生理食塩水溶液、デキストロース水溶液及びグリセロール水溶液が、特に注射液用担体として好ましく用いられる。好適な薬学的担体は、マーチン(Martin)、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing Co.、ペンシルバニア州イーストン(1990)に記載されている。
本発明のより具体的な形態においては、治療有効量の本明細書に記載のアミノ酸配列又はその類似体、断片又は誘導産物、又はこれらに対する抗体を、薬学的に許容し得る希釈剤、保存剤、可溶化剤、乳化剤、アジュバント及び/又は担体と共に含む医薬組成物が提供される。このような組成物は、種々のバッファー(例えば、Tris−HClやアセテート、ホスフェート)、pH及びイオン強度の希釈剤、洗浄剤や可溶化剤(例えば、Tween80やポリソルベート80)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸やメタ重亜硫酸ナトリウム)、保存剤(例えば、チメルソールやベンジルアルコール)等の添加剤や増量物質(例えば、ラクトースやマンニトール)を含む。材料はポリ乳酸やポリグリコール酸等のポリマー化合物の粒子状調製物に組み込んでもよく、又はリポソームに組み込んでもよい。また、ヒアルロン酸を用いることもできる。このような組成物は、本発明のタンパク質及び誘導体の物理的状態、安定性、インビボでの放出速度、及び、インビボでのクリアランス速度に影響を及ぼし得る。例えば、マーチン(Martin)、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版(1990、Mack Publishing Co.、ペンシルバニア州イーストン18042)、1435〜1712頁参照(この文献を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する)。組成物は液体形態に調製してもよく、凍結乾燥形態等の乾燥粉末として調製してもよい。
或いは、本発明のポリヌクレオチドを植物(例えば、トウモロコシ)での発現のために最適化することができる。最適化されたポリヌクレオチドを含有するプラスミドで植物を形質転換することができる。次いで、植物を成長させ、本発明のタンパク質を植物内で発現させるか、又は植物で最適化されたものを発現させる。その後、植物を回収し、本発明のタンパク質を含有する植物の部分を加工して動物用の飼料にする。この動物飼料を動物が食べると、B.ヒオディセンテリアに対する免疫が付与される。このような方法を詳述した先行技術の例は、米国特許第5,914,123号(アルンツェン(Arntzen)ら)、米国特許第6,034,298号(ラム(Lam)ら)及び米国特許第6,136,320号(アルンツェン(Arntzen)ら)に見出すことができる。
本発明によって提供される医薬組成物が当該技術分野で公知の如何なる手段によっても投与し得ることは理解されるであろう。投与用医薬組成物を注射、経口、肺経路又は鼻腔経路で投与するのが好ましい。本明細書に記載のアミノ酸配列又は該配列由来の抗体は静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内又は皮下への投与経路によって送達されるのがより好ましい。或いは、適切に処方された本明細書に記載のアミノ酸配列又は該配列に由来の抗体は鼻腔又は経口投与によって投与することができる。
また、本発明は、B.ヒオディセンテリアに関連する疾患を調節する医薬を製造するための本発明のポリヌクレオチド配列の使用、及びその製造のための本発明に係るアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列にハイブリダイズ可能なアンチセンス配列及びリボザイムポリヌクレオチド配列の使用も包含する。
治療方法に用いるアンチセンス構築物又はリボザイムをコードするポリヌクレオチド配列は、無被覆の核酸構築物として直接的に投与されるのが望ましい。細菌細胞による無被覆核酸構築物の摂取は幾つかの公知のトランスフェクション技法、例えば、トランスフェクション剤の使用を含む技法によって増進される。このような剤の例としては、カチオン性剤(例えば、リン酸カルシウムやDEAE−デキストラン)及びリポフェクタントが挙げられる。通常、核酸構築物をトランスフェクション剤と混合して組成物を製造する。
或いは、アンチセンス構築物又はリボザイムを薬学的に許容し得る担体又は希釈剤と混合して医薬組成物を製造することができる。好適な担体及び希釈剤としては、例えば、リン酸緩衝生理食塩水等の等張性生理食塩水溶液が挙げられる。組成物は、非経口、筋肉内、静脈内、皮下、眼内、経口又は経皮的に投与するように処方することができる。本明細書に記載の投与経路は単なる指針に過ぎず、当業者であれば、如何なる特定の動物や病態に関する最適な投与経路や投与量も容易に決めることができるであろう。
また、本発明は、B.ヒオディセンテリア等のブラキスピラ種に感染した疑いのある動物をスクリーニングするためのキット、又は動物がB.ヒオディセンテリア等のブラキスピラ種に感染していることを確認するためのキットも包含する。本発明の更なる実施形態においては、専門家が用いるのに適したキットを調製し、感染した疑いのある動物内でのブラキスピラ種(例えば、B.ヒオディセンテリアやB.スアナティナ、B.インターメディア、B.アルビニプリ、B.アアルボルギ、B.イノセンス、B.ムルドキイ、B.ピロシコリが挙げられるが、これらに限定されない)の有無を確認するか、又は、ブラキスピラ種(例えば、B.ヒオディセンテリアやB.スアナティナ、B.インターメディア、B.アルビニプリ、B.アアルボルギ、B.ピロシコリが挙げられるが、これらに限定されない)の感染を定量的に測定することができる。上述の試験技法によると、このようなキットには、本明細書に記載のアミノ酸配列の内の1種が標識されたもの又はその結合パートナー(例えば、該アミノ酸配列に特異的な抗体)を少なくとも含有させ得ると共に、選択された方法(例えば、「競合」や「サンドイッチ」、「DASP」等)に応じた指示書を含有させ得る。或いは、このようなキットには、本明細書に記載のポリヌクレオチド配列の内の1種の一部と相補的なポリヌクレオチド配列を少なくとも含有させ得ると共に、その使用説明書を含有させ得る。また、このようなキットにはバッファーや安定剤等の周辺試薬も含有させ得る。
従って、ブラキスピラ種(例えば、B.ヒオディセンテリアやB.スアナティナ、B.インターメディア、B.アルビニプリ、B.アアルボルギ、B.イノセンス、B.ムルドキイ、B.ピロシコリが挙げられるが、これらに限定されない)の存在を実証するための検査キットには、次の要素を含有させ得る。
(a)本明細書に記載のアミノ酸配列の内の1種又はその特異的結合パートナーを検出可能ラベルに直接的又は間接的に付着させることによって得た所定量の少なくとも1種の標識された免疫化学反応性成分;
(b)他の試薬類;
(c)前記キットの使用指示書
より具体的には、診断用検査キットには、次のものを含有させ得る。
(a)一般には固相に結合されて免疫吸着剤を形成するか、或いは好適なタグに結合される既知量の本明細書にて上述のアミノ酸配列の1種(又はその結合パートナー)、又は複数のこのような最終産物等
(b)必要に応じて他の試薬類
(c)前記検査キットの使用指示書
更なる変形例においては、検査キットには、
(a)本明細書に記載のアミノ酸配列の1種を検出可能ラベルに結合させることによって得た標識成分
(b)1種以上の追加的免疫化学試薬であって、その内の少なくとも1種が、
(i)標識成分(a)に結合可能なリガンド、
(ii)標識成分(a)の結合パートナーに結合可能なリガンド、
(iii)測定対象の成分の少なくとも1種に結合可能なリガンド、及び
(iv)測定対象の成分の少なくとも1種の結合パートナーの少なくとも1種に結合可能なリガンドから成る群から選択されるリガンド又は固定リガンドである追加的免疫化学試薬と、
(c)本明細書に記載のアミノ酸配列の1種とその特異的結合パートナーとの間の免疫化学反応の1種以上の成分を検出及び/又は測定するプロトコルを実行するための指示書とを含有させ得る。
ゲノムライブラリーの調製
オーストラリアのB.ヒオディセンテリア(WA1株)のブタ隔離集団を用いてゲノムライブラリーを調製する。この株は十分に特徴付けされており、ブタの実験的チャレンジ後に病原性になることが分かっている。臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)法を用いてゲノムDNAライブラリーの調製に適した高品質の染色体DNAを調製する。B.ヒオディセンテリアを100mLの嫌気性トリプチケースソイブロス培地中で生育させ、細胞密度を109個(細胞)/mLとする。細胞を4000×gで10分間回収し、細胞ペレットを9.5mLのTEバッファー中で再懸濁させる。SDSを最終濃度が0.5%(w/v)となるまで添加し、100μgのプロテイナーゼKを用いて細胞を37℃で1時間溶解させる。NaClを最終濃度が0.7Mとなるまで添加し、1.5mLのCTAB/NaCl溶液(10%w/v CTAB、0.7M NaCl)を添加した後、溶液を65℃で20分間インキュベートする。ライセートを等体積のクロロホルム/イソアミルアルコールで抽出し、チューブを6000×gで10分間遠心分離して相分離を行う。水相を新しいチューブに移し、0.6体積のイソプロパノールを添加して高分子量DNAを沈殿させる。沈殿したDNAを鉤状ガラス棒を用いて回収し、1mLの70%(v/v)エタノールを含有するチューブに移す。該チューブを10000×gで遠心分離し、ペレット状DNAを4mLのTEバッファー中で一晩再溶解させる。再溶解DNA溶液を用いて1.05g/mLのCsClと0.5mg/mLの臭化エチジウムを含有する塩化セシウム勾配を調製する。該勾配を4mLのシール可能な遠心チューブに移し、70000×gで一晩、15℃で遠心分離する。分離したDNAを紫外光下で可視化し、高分子量DNAを15g針を用いて勾配から回収する。CsCl飽和イソプロパノールを用いた逐次抽出によって臭化エチジウムをDNAから除去する。精製した染色体DNAを2LのTEバッファーに対して透析し、イソプロパノールで沈殿させる。GeneMachines Hydroshear(ゲノミック・ソリューションズ、ミシガン州アンアーバー)を用いて再懸濁ゲノムDNAを剪断し、クレノウDNAポリメラーゼを用いて剪断DNAを埋めて、平滑末端断片を製造する。CloneSmartDNAリガーゼを用いて、100ngの平滑末端DNA断片を25ngのpSMART VCベクター(ルシジェン、ウィスコンシン州ミドルトン)に連結させる。次いで、連結したDNAを大腸菌エレクトロコンピテント細胞に電気穿孔する。小型挿入(2〜3kb)ライブラリー及び中型挿入(3〜10kb)ライブラリーを構築し、低コピー型のpSMART VCベクターとする。
ゲノム配列決定
ゲノムライブラリーを得た後、pSMART VCベクターを含有する個々の大腸菌クローンを選択する。プラスミドDNAを精製し、配列決定を行う。pSMART VCベクターに特異的な順方向プライマーと逆方向プライマーを用いて、精製プラスミドをpSMART VCベクターの自動化直接配列決定に付す。200ngのプラスミドDNA、2pmolのプライマー及び4μLのABI PRISMTM BigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Mix(PEアプライド・バイオシステム社、カリフォルニア州フォスターシティ)から成る体積10μLで各配列決定反応を行う。サイクリング条件は、96℃で2分間の変性工程、次いで96℃で10秒間の変性を25サイクル、及び60℃で4分間のプライマーアニーリングと伸長の組合せ工程とする。85mMの酢酸ナトリウム(pH5.2)及び3mMのEDTA(pH8)を含有する95%(v/v)エタノールで沈殿させることによって配列決定産物から残留ダイターミネーターを除去し、真空乾燥する。各プライマーを用いてプラスミドの配列決定を二重で行う。配列決定産物をABI 373A DNAシークエンサー(PEアプライド・バイオシステムズ)を用いて解析する。
アノテーション
種々の公有のバイオインフォマティクスツールを用いてB.ヒオディセンテリアの部分ゲノム配列を構築及びアノテートし、データ解析上の品質保証手続きの一部として該配列を解析及び再解析する。オープンリーディングフレーム(ORF)は、GeneMarkやGLIMMER、ORPHEUS、SELFID、GetORF等の種々のプログラムを用いて予測する。推定ORFは、BLASTやFASTA等のサーチを用いて既存の国際データベースとの相同性(DNA及びタンパク質)について調べる。PSI−BLASTやFASTA、MOTIFS、FINDPATTERNS、PHD、SIGNALP、PSORT等のプログラムを用いて、予測されたORFの全てを解析し、その細胞局在を確認する。InterproやProsite、ProDom、Pfam、Blocks等のデータベースを用いて、膜貫通ドメインやリーダーペプチド、公知の表面タンパク質に対する相同性、リポタンパク質サイン、外膜アンカーモチーフ、宿主細胞結合ドメイン等の表面関連タンパク質を予測する。系統発生や他の分子進化解析は同定された遺伝子及び他の種を用いて行い、機能の割り当てを補助する。両方の部分配列決定ゲノムのインシリコ解析によって、入手し得る配列データに存在する予測ORF全ての包括的リストが得られる。予測分子量や等電点、疎水性、細胞内局在等の説明的情報について各ORFを調べて、天然遺伝子産物のインビトロ特性を関連付けることができる。他の病原菌において表面局在化成分及び/又は病原性因子同様のタンパク質をコードする予測遺伝子は、潜在的なワクチン標的として選択する。
バイオインフォマティクス結果
B.ヒオディセンテリアゲノムのショットガン配列決定によって、該ゲノムの94.6%(予測される3200kbの内3028.6kb)の配列が決定する。B.ヒオディセンテリア配列は294個のコンティグ(平均コンティグサイズは10.3kb)から成る。B.ヒオディセンテリアの場合、294個のコンティグから2593個のオープンリーディングフレーム(ORF)が予測される。予測ORFを核酸及びタンパク質データベースに存在する遺伝子と比較することによって、約70%のORFが公的データベースに含まれる遺伝子と相同性を有することが分かる。予測ORFの残りの30%は公知の同一性を有しない。
ワクチン候補
ワクチン候補として試験されるであろうORFの数を削減するため、外表面タンパク質に対して妥当な相同性(e-15未満のE値)を示すORF、分泌タンパク質、及び公的データベースに存在する可能な病原性因子を潜在的なワクチン候補として選択する。ゲノムショットガン配列決定によって得られる2593個のORFの内の多くはこの試験をパスするが、その内の33個の遺伝子の結果を本明細書に示す。表1−1、表1−2には、潜在的なワクチン標的として選択した33個の遺伝子を示すと共に、その遺伝子とSWISS−PROTデータベースから得た他の公知のアミノ酸配列との類似度を示す。注目されるのは、アミノ酸の%同一性が58%を超えないのに対し、アミノ酸の%類似性(%相同性)が71%未満のままであり、このことからこれらのORFは独特であることが分かる。
Figure 2010535030
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NAV−H54のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号1及び2に見られる。NAV−H55のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号3及び4に見られる。NAV−H56のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号5及び6に見られる。NAV−H57のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号7及び8に見られる。NAV−H58のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号9及び10に見られる。NAV−H59のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号11及び12に見られる。NAV−H60のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号13及び14に見られる。NAV−H61のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号15及び16に見られる。NAV−H62のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号17及び18に見られる。NAV−H63のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号19及び20に見られる。NAV−H64のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号21及び22に見られる。NAV−H65のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号23及び24に見られる。NAV−H66のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号25及び26に見られる。NAV−H67のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号27及び28に見られる。NAV−H68のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号29及び30に見られる。NAV−H69のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号31及び32に見られる。NAV−H70のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号33及び34に見られる。NAV−H71のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号35及び36に見られる。NAV−H72のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号37及び38に見られる。NAV−H73のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号39及び40に見られる。NAV−H74のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号41及び42に見られる。
NAV−H22のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号43及び44に見られる。NAV−H23のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号45及び46に見られる。NAV−H24のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号47及び48に見られる。NAV−H30のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号49及び50に見られる。NAV−H32のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号51及び52に見られる。NAV−H33のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号53及び54に見られる。NAV−H37のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号55及び56に見られる。NAV−H40のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号57及び58に見られる。NAV−H41のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号59及び60に見られる。NAV−H43のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号61及び62に見られる。NAV−H44のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号63及び64に見られる。NAV−H45のDNA及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号65及び66に見られる。
ワクチン候補として試験されるであろうORFの数を更に削減するため、インシリコ解析によってスピロヘータの細胞質や内膜に局在すると予測される遺伝子産物を放棄する。結果として、表1に示す33個の遺伝子の内21個を更に解析する。この21個の遺伝子としては、NAV−H58、NAV−H60、NAV−H62、NAV−H64、NAV−H66、NAV−H67、NAV−H69、NAV−H71、NAV−H73、NAV−H22、NAV−H23、NAV−H24、NAV−H30、NAV−H32、NAV−H33、NAV−H37、NAV−H40、NAV−H41、NAV−H43、NAV−H44及びNAV−H45が挙げられる。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いた遺伝子分布の解析
標的遺伝子コード領域の異なる領域にアニールする1種又は2種のプライマー対を設計し、PCR検出のために最適化する。Oligo Explorer 1.2を用いて個々のプライマーを設計し、融解温度が約55〜60℃と推定されるプライマーセットを選択する。また、これらのプライマーセットの選択は、200bpを超えるPCR産物を製造するためにも行われる。中程度ストリンジェンシーのプライマーアニーリング温度(50℃)を選択して分布解析PCRを行う。この中程度ストリンジェンシー条件によって、プライマー結合部位で生じる潜在的な少数のミスマッチ配列(株の差異に起因)がプライマー結合に影響を及ぼすことはないであろう。21個のB.ヒオディセンテリア標的遺伝子の分布解析は、B.ヒオディセンテリアの23株(非病原性であることが分かっている2株を含む)に対して行う。PCR解析は、Taq DNAポリメラーゼ(バイオテック・インターナショナル、メリーランド州サーモント)を用いて全量25μLにて行う。増幅混合物は、1×PCRバッファー(1.5mMのMgCl2含有)、1UのTaq DNAポリメラーゼ、0.2mMの各dNTP(アマシャム・ファルマシア・バイオテク、ニュージャージー州ピスカタウェイ)、0.5μMのプライマー対、及び1μLの精製染色体鋳型DNAから成る。サイクリング条件は、94℃で5分間の初期鋳型変性工程、次いで、94℃で30秒間の変性を35サイクル、50℃で15秒間のアニーリング、及び68℃で4分間のプライマー伸長とする。PCR産物は、1×TAEバッファー(40mMのTris−アセテート、1mMのEDTA)中1%(w/v)アガロースゲルにて電気泳動に付し、1μg/mLの臭化エチジウム溶液で染色し、UV光を用いて観察する。
(21個の内の)18個の遺伝子に用いたプライマーを表2に示す。これらの18個の遺伝子の内、3個(NAV−H23、NAV−H41及びNAV−H71)は試験したB.ヒオディセンテリア株の83%に存在し、3個(NAV−H24、NAV−H30及びNAV−H73)は試験した株の87%に存在し、7個(NAV−H22、NAV−H32、NAV−H33、NAV−H37、NAV−H43、NAV−H64及びNAV−H69)は試験した株の91%に存在し、3個(NAV−H40、NAV−H44及びNAV−H45)は試験した株の100%に存在する。残りの3個の遺伝子は試験したB.ヒオディセンテリア株の80%未満に存在する。これらの遺伝子は分布が低いため、ワクチンサブユニットとしてはあまり有用ではない。このため、これらの遺伝子の更なる解析は断念した。
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pTrcHisプラスミドの抽出
pTrcHisプラスミド(インビトロジェン、カリフォルニア州カールズバッド)を有する大腸菌JM109クローンをグリセロールストックから、100mg/Lのアンピシリンを追加したLuria−Bertani(LB)寒天プレート上にストリークし、37℃で16時間インキュベートする。100mg/Lのアンピシリンを追加した10mLのLBブロスに単一コロニーを接種し、振盪させながらブロス培地を37℃で12時間インキュベートする。一晩培養液の全量を5000×gで10分間遠心分離し、細胞に含まれるプラスミドをQIAprep Spin Miniprep Kit(キアゲン、ビクトリア州ドンカスター)を用いて抽出する。ペレット状細胞を250μLの細胞再懸濁バッファーP1で再懸濁させた後、250μLの細胞溶解バッファーP2を添加して溶解させる。溶解した細胞を350μLの中和バッファーN3で中和し、沈殿した細胞片を遠心分離(20000×g、10分間)によってペレットにする。上清をスピンカラムに移し、遠心分離を10000×gで1分間行う。フロースルーを廃棄した後、500μLの洗浄バッファーPEをカラムに添加し、上述のように遠心分離を行う。フロースルーを廃棄し、遠心分離を20000×gで3分間行ってカラムを乾燥する。100μLの溶出バッファーEBを用いてカラムからプラスミドDNAを溶出させる。Dynaquant DNA蛍光計(Hoefer、カリフォルニア州サンフランシスコ)を用いて精製プラスミドを定量し、TEバッファーで希釈してDNA濃度を100μg/mLに調整する。精製pTrcHisプラスミドは−20℃で保存する。
ベクターの調製
100mMのTris−HCl(pH7.5)、50mMのNaCl、10mMのMgCl2、1mMのDTT及び100μg/mLのBSAに5Uの2種の制限酵素を含有する全量50μLにて2μgの精製pTrcHisプラスミドを37℃で1〜4時間消化する。用いる特定の制限酵素対はプライマーの配列及びORFの配列によって決まる(ORFを切断しないプライマーを用いるのが目的である)。制限ベクターの確認は、1μLの消化反応物を1×TAEバッファー中1%(w/v)アガロースゲルにて90Vで1時間電気泳動させることによって行う。電気泳動したDNAを1μg/mLの臭化エチジウムで染色し、紫外(UV)光を用いて観察する。
直線化されたpTrcHisベクターをUltraClean PCR Clean−up Kit(Mo Bio Laboratories、カリフォルニア州カールズバッド)を用いて精製する。即ち、制限反応物(50μL)を250μLのSpinBindバッファーB1と混合し、その全量をスピンカラムに添加する。遠心分離を8000×gで1分間行った後、フロースルーを廃棄し、300μLのSpinCleanバッファーB2をカラムに添加する。上述のようにカラムを遠心分離し、フロースルーを廃棄した後、カラムを20000×gで3分間乾燥させる。精製したベクターを50μLのTEバッファーを用いてカラムから溶出させる。精製した直線化ベクターを蛍光計を用いて定量し、TEバッファーで希釈してDNA濃度を50μg/mLに調整する。精製した制限ベクターは−20℃で保存する。
インサート調製用プライマー設計
プライマー対の設計は、ゲノムDNAを開始点として用い、標的遺伝子のコード領域をできる限り増幅するように行う。全てのプライマー配列は、得られるアンプリコンの直線化pTrcHisベクターへの付着末端連結を可能とする末端制限酵素部位を含む。Amplify 1.2(ウィスコンシン大学、ウィスコンシン州マディソン)を用いてプライマーを試験し、理論的アンプリコン配列をpTrcHisベクター配列の適切な位置に挿入する。キメラpTrcHis発現カセットの推定翻訳はVector NTIバージョン6(インフォーマックス)を用いて行い、遺伝子インサートが正しいリーディングフレーム内にあるかどうか確認する。また、表3には、遺伝子サイズ、タンパク質サイズ、天然タンパク質の予測分子量(単位:ダルトン)、及びタンパク質の予測pIを示す。注目されるのは、組換えタンパク質のヒスチジン融合によって天然タンパク質の予測分子量に約4kDaが加わることである。
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遺伝子インサートの増幅
ゲノムDNAを用い、Taq DNAポリメラーゼ(バイオテック・インターナショナル)及びPfu DNAポリメラーゼ(プロメガ、ウィスコンシン州マディソン)を用いた全量100μLにおけるPCRによって全ての標的遺伝子インサートを増幅する。増幅混合物は、1×PCRバッファー(1.5mMのMgCl2含有)、1UのTaq DNAポリメラーゼ、0.01UのPfu DNAポリメラーゼ、0.2mMの各dNTP(アマシャム・ファルマシア・バイオテク)、0.5μMの適切なプライマー対、及び1μLの精製染色体DNAから成る。染色体DNAは、ゲノム配列決定に用いたのと同じB.ヒオディセンテリア株から調製する。サイクリング条件は、94℃で5分間の初期鋳型変性工程、次いで、94℃で30秒間の変性を35サイクル、50℃で15秒間のアニーリング、及び68℃で4分間のプライマー伸長とする。PCR産物は、1×TAEバッファー中1%(w/v)アガロースゲルにて電気泳動に付し、1μg/mLの臭化エチジウム溶液で染色し、UV光を用いて観察する。正しいサイズのPCR産物の存在を確認した後、UltraClean PCR Clean−up Kit(Mo Bio Laboratories、カリフォルニア州カールズバッド)を用いてPCR反応物を精製する。PCR反応物(100μL)を500μLのSpinBindバッファーB1と混合し、その全量をスピンカラムに添加する。遠心分離を8000×gで1分間行った後、フロースルーを廃棄し、300μLのSpinCleanバッファーB2をカラムに添加する。上述のようにカラムを遠心分離し、フロースルーを廃棄した後、カラムを20000×gで3分間乾燥させる。精製したベクターを100μLのTEバッファーを用いてカラムから溶出させる。
遺伝子インサートの制限酵素消化
クローニングオリゴヌクレオチドプライマーによって確認される末端制限エンドヌクレアーゼ認識部位と適合する各制限酵素(1U)を用い、30μLの精製PCR産物を全量50μLにて消化する。制限反応は、100mMのTris−HCl(pH7.5)、50mMのNaCl、10mMのMgCl2、1mMのDTT及び100μg/mLのBSAと1Uの各制限酵素を用い、37℃で1〜4時間行う。消化したインサートDNAはUltraClean PCR Clean−up Kit(上述参照)を用いて精製する。精製した消化インサートDNAを蛍光計によって定量し、TEバッファーで希釈してDNA濃度を20μg/mLに調整する。精製した制限インサートDNAは直ちに用いてベクター連結を行う。
pTrcHisベクターへの遺伝子インサートの連結
連結反応は全て全量20μLにて行う。1UのT4 DNAリガーゼ(プロメガ)を含有する30mMのTris−HCl(pH7.8)、10mMのMgCl2、10mMのDTT及び1mMのATPにて100ngの直線化pTrcHisを20ngの制限インサートと共に16℃で16時間インキュベートする。インサートDNAを含まない同一の連結反応もベクター再環状化の負の対照として行う。適切な制限酵素を各反応に用いる。
pTrcHis連結物の大腸菌細胞への形質転換
コンピテント大腸菌JM109(プロメガ)細胞を−80℃保存から氷上で解凍した後、5μLの一晩連結反応物(25ngのpTrcHisベクター相当)を含有する氷冷1.5mLのマイクロチューブ内に50μLの該細胞を移す。ベンチ上で各チューブの底を優しく叩いて混合し、氷上で30分間放置する。次いで、チューブを42℃の水浴に45秒間入れて細胞に熱ショックを与えた後、チューブを2分間氷に戻す。形質転換細胞は、優しく混合しながら1mLのLBブロスに37℃で1時間回収する。回収した細胞を2500×gで5分間収集し、50μLの新しいLBブロスにて再懸濁させる。全量50μLの再懸濁細胞は、100mg/Lのアンピシリンを含有するLB寒天プレート上に滅菌ガラス棒を用いて均一に塗布する。プレートを37℃で16時間インキュベートする。
PCRによる大腸菌中の組換えpTrcHis構築物の検出
100mg/Lのアンピシリンを含有する新しいLB寒天プレート上に各構築物の12個の単一形質転換体コロニーをストリークし、37℃で16時間インキュベートする。各形質転換イベント由来の単一コロニーを50μLのTEバッファーにて再懸濁させ、1分間煮沸する。2μLの煮沸した細胞をPCRの鋳型として用いる。増幅混合物は、1×PCRバッファー(1.5mMのMgCl2含有)、1UのTaq DNAポリメラーゼ、0.2mMの各dNTP、0.5μMのpTrcHis−Fプライマー(5’−CAATTTATCAGACAATCTGTGTG−3’:配列番号107)及び0.5μMのpTrcHis−Rプライマー(5’−TGCCTGGCAGTTCCCTACTCTCG−3’:配列番号108)から成る。サイクリング条件は、94℃で5分間の初期鋳型変性工程、次いで、94℃で30秒間の変性を35サイクル、60℃で15秒間のアニーリング、及び72℃で1分間のプライマー伸長とする。PCR産物は、1×TAEバッファー中1%(w/v)アガロースゲルにて電気泳動に付し、1μg/mLの臭化エチジウム溶液で染色し、UV光を用いて観察する。各種インサートのpTrcHis発現ベクターへのクローニングによって種々のサイズの組換え構築物が産生する。
組換えHisタグタンパク質のパイロット発現
大腸菌JM109中の組換えpTrcHis構築物の5〜10個の単離コロニーを、100mg/Lのアンピシリン及び1mMのIPTGを含有する5mLチューブ内の3mLのLBブロスに接種し、振盪させながら37℃で16時間インキュベートする。遠心分離を5000×g、4℃で10分間行って細胞を回収する。上清を廃棄し、各ペレットを10μLのNi−NTA変性用溶解バッファー(100mMのNaH2PO4、10mMのTris−HCl、8Mの尿素、pH8.0)で再懸濁させる。チューブを1分間ボルテックスした後、細胞片を遠心分離(10000×g、10分間、4℃)によってペレットにする。上清を新しいチューブに移し、解析を行うまで−20℃で保存する。
ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)
タンパク質のSDS−PAGE解析は不連続Tris−グリシンバッファー系を用いて行う。30μLのタンパク質サンプルを10μLの4×サンプル処理バッファー(250mMのTris−HCl(pH6.0)、8%(w/v)のSDS、200mMのDTT、40%(v/v)のグリセロール及び0.04%(w/v)のブロモフェノールブルー)と混合する。サンプルを5分間煮沸した直後、10μLのサンプルをゲル中のウェルに添加する。ゲルは濃縮用ゲル(125mMのTris−HCl(pH6.8)、4%w/vのアクリルアミド、0.15%w/vのビスアクリルアミド及び0.1%w/vのSDS)と分離用ゲル(375mMのTris−HCl(pH8.8)、12%w/vのアクリルアミド、0.31%w/vのビスアクリルアミド及び0.1%w/vのSDS)から成る。0.1%(v/v)のTEMEDと0.05%(w/v)の新しく調製した硫酸アンモニウム溶液を添加してこれらのゲルを重合させ、ミニプロティアン二重スラブセル(バイオ・ラッド、カリフォルニア州ヘラクレス)に流し込む。サンプルを室温(RT)、150Vでブロモフェノールブルー色素がゲルの底部に到達するまで処理する。分子量の推定値を得るために予め染色した分子量標準物質をサンプルと並行して電気泳動させる。電気泳動後、直ちにゲルをクーマシーブリリアントブルーG250(バイオ・ラッド)を用いて染色するか、又はウェスタンブロッティング用ニトロセルロース膜に電気移動させる。
ウェスタンブロット解析
Towbinトランスファーバッファー系を用い、SDS−PAGEゲルから分離したタンパク質をニトロセルロース膜に電気泳動させる。電気泳動後、トランスファーバッファー(25mMのTris、192mMのグリシン、20%v/vのメタノール,pH8.3)中でゲルを15分間平衡化させる。ミニプロティアントランスブロット装置(バイオ・ラッド)を用いてゲル中のタンパク質をニトロセルロース膜(プロトラン、Schleicher and Schuell BioScience社、ニューハンプシャー州キーン)に30V、4℃で一晩電気移動させる。分離タンパク質を含有する新しく移動したニトロセルロース膜を、5%(w/v)の脱脂粉乳を含有する10mLのトリス緩衝生理食塩水(TBS)によって室温で1時間ブロックする。膜を0.1%(v/v)Tween20含有TBS(TBST)で洗浄した後、10mLのマウス抗his抗体(TBSTで5000倍希釈)と共に室温で1時間インキュベートする。TBSTで3回、5分間洗浄した後、膜をTBSTで5000倍希釈した10mLのヤギ抗マウスIgG(全分子)−APと共にRTで1時間インキュベートする。アルカリホスファターゼ基質キット(バイオ・ラッド)を用いて膜を発色させる。膜を蒸留水で洗浄することによって発色反応を停止させる。次いで、膜を乾燥し、プレゼンテーション用にスキャンする。
直接配列解析による組換えpTrcHis構築物のリーディングフレームの検証
正しいサイズのPCR産物を産生した各構築物の2種の形質転換体クローンを100mg/Lのアンピシリンを含有する10mLのLBブロスに接種し、振盪させながら37℃で12時間インキュベートする。一晩培養物全量を5000×gで10分間遠心分離し、細胞に含まれるプラスミドを上述のようにQIAprep Spin Miniprep Kitを用いて抽出する。精製したプラスミドは蛍光計で定量する。両方の精製プラスミドを、pTrcHis−Fプライマー及びpTrcHis−Rプライマーを用いるpTrcHis発現カセットの自動化直接配列決定に付す。配列決定反応の各々は、200ngのプラスミドDNA、2pmolのプライマー及び4μLのABI PRISMTMBigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Mix(PEアプライド・バイオシステムズ、カリフォルニア州フォスターシティ)から成る量10μLにて行う。サイクリング条件は、96℃で2分間の変性工程、次いで96℃で10秒間の変性の25サイクル、60℃で4分間のプライマーアニーリングと伸長の組合せ工程とする。残留ダイターミネーターは、85mMの酢酸ナトリウム(pH5.2)及び3mMのEDTA(pH8)を含有する95%(v/v)エタノールで沈殿させることによって配列決定産物から除去し、真空乾燥する。各プライマーを用いてプラスミドの配列決定を二重で行う。配列決定産物をABI 373A DNAシークエンサー(PEアプライド・バイオシステムズ)を用いて解析する。pTrcHisのヌクレオチド配列決定を行って、発現カセットが各構築物の正しいリーディングフレーム内にあることを確認する。
組換えHisタグタンパク質の発現及び精製
大腸菌JM109中の組換えpTrcHis構築物の単一コロニーを250mLのコニカルフラスコ内の100mg/Lのアンピシリンを含有する50mLのLBブロスに接種し、振盪させながら37℃で16時間インキュベートする。100mg/Lのアンピシリンを追加した1LのLBブロスを含む2Lコニカルフラスコに10mLの一晩培養物を接種し、37℃で、細胞の光学密度が600nmで0.5になるまで(約3〜4時間)インキュベートする。次いで、IPTGを最終濃度が1mMになるまで添加して培養物を誘導し、細胞を振盪させながら37℃に戻す。5時間の誘導後、培養物を250mLの遠心ボトルに移し、ボトルを5000×g、4℃で20分間遠心分離させる。上清を廃棄し、各ペレットを8mLのNi−NTA変性用溶解バッファー(100mMのNaH2PO4、10mMのTris−HCI、8Mの尿素、pH8.0)で再懸濁させる。再懸濁した細胞を−20℃で一晩保存する。
細胞懸濁液を−20℃保存から取り出し、氷上で解凍する。次いで、細胞ライセートを氷上で3回、30秒間超音波処理し、毎回の超音波処理の間に1分間のインキュベーションを氷上で行う。遠心分離を20000×g、4℃で10分間行うことによって溶解細胞を清澄化し、上清は、総体積0.5mLのNi−NTAアガロース樹脂(キアゲン)を含有する15mLのカラムに移す。回転混合を行いながら、組換えHis6タグタンパク質を該樹脂に4℃で1時間結合させる。次いで、樹脂を30mLのNi−NTA変性用洗浄バッファー(100mMのNaH2PO4、10mMのTris−HCl、8Mの尿素、pH6.3)で洗浄した後、12mLのNi−NTA変性用溶出バッファー(100mMのNaH2PO4、10mMのTris−HCl、8Mの尿素、pH4.5)で溶出させる。溶出液の4画分(3mL)を回収して4℃で保存する。30μLの各溶出液を10μLの4×サンプル処理バッファーで処理し、5分間煮沸する。サンプルをSDS−PAGEに付し、クーマシーブリリアントブルーG250(バイオ・ラッド)で染色する。染色したゲルを蒸留水で1時間平衡化させ、2枚のセルロースシートに挟みRTで一晩乾燥させる。
選択した組換え大腸菌クローンの発現を中規模で行い、マウスのワクチン接種に十分な組換えタンパク質を製造する(後述参照)。
精製組換えHisタグタンパク質の透析及び凍結乾燥
溶出したタンパク質をプールし、分子量カットオフ(MWCO)3500Daの水和透析チューブ(スペクトラム・ラボラトリーズ社、カリフォルニア州ロサンゼルス)に移す。プールした溶出液のアリコート(200μL)を採取し、市販のプロテインアッセイ(バイオ・ラッド)を用いて定量する。タンパク質を2Lの蒸留水に対して4℃で撹拌しながら透析する。透析バッファーを12時間間隔で8回交換する。透析したタンパク質を透析チューブから50mL遠心チューブ(最大容量:40mL)に移し、該チューブを−80℃で一晩置く。チューブをMAXI凍結乾燥機(Heto−Holten、デンマーク、アレロッド)に入れ、凍結乾燥して乾固する。次いで、凍結乾燥したタンパク質をPBSで再水和して推定濃度を2mg/mLとし、−20℃で保存する。
続く透析、凍結乾燥、安定な組換え抗原は製造に成功した。
18個の遺伝子の内の8個は大腸菌発現系へのクローン化が成功し、これらのクローンから組換えタンパク質を安定して発現させることができる。
精製組換えタンパク質を用いた血清学
20μgの精製した組換えタンパク質を7cmのIEFウェルに添加し、10%(w/v)のSDS−PAGEゲルによって電気泳動し、ニトロセルロース膜へ電気移動させる。膜をTBS−脱脂乳(5%w/v)でブロックし、マルチスクリーン装置(バイオ・ラッド)に組み込む。ウェルを100μLの希釈ブタ血清(100倍)と共に室温で1時間インキュベートする。ブタ血清は、高健康状態のブタ(n=3)、実験的にチャレンジした臨床SDを示すブタ(n=5)、自然感染し血清転換したブタ(n=5)、及び自然感染から回復したブタ(n=4)から採取する。次いで、膜を該装置から取り出し、TBST(0.1%v/v)で3回洗浄した後、10mLのヤギ抗ブタIgG(全分子)−AP(5000倍)と共にRTで1時間インキュベートする。膜をTBSTで3回洗浄した後、アルカリホスファターゼ基質キット(バイオ・ラッド)を用いて発色させる。十分な発色が起こったら膜を水道水で洗浄し、乾燥させ、プレゼンテーション用にスキャンする。
健康状態の異なるブタから採取したブタ血清の反応性を後述の表に示す。全てのタンパク質は100%の血清パネルで認識され、このことから、遺伝子はインビボで発現すると共に、スピロヘータへの曝露後に全身免疫応答を誘導し得ることが分かる。
Figure 2010535030
精製組換えhisタグタンパク質を用いたマウスのワクチン接種
精製した組換えhisタグタンパク質の各々について、10匹のマウスを全身的又は経口的に免疫し、組換えタンパク質が免疫原性であるかどうか確認する。組換えタンパク質を30%(v/v)油中水型アジュバントで乳化し、10匹のマウス(Balb/cJ:5週齢、雄性)の四頭筋に筋肉内注射する。全てのマウスに100μgのタンパク質(全量100μL中)を投与する。第1のワクチン接種から3週間後、第1のワクチン接種と同じ第2の筋肉内ワクチン接種を全てのマウスに行う。第2のワクチン接種から2週間後にマウスを全て殺す。死後に心臓から血清を採取し、ウェスタンブロット解析によりB.ヒオディセンテリアの細胞抽出物に対する抗体について試験する。
ウェスタンブロット解析
20μgの精製した組換えタンパク質を7cmのIEFウェルに添加し、10%(w/v)のSDS−PAGEゲルによって電気泳動し、ニトロセルロース膜へ電気移動させる。膜をTBS−脱脂乳(5%w/v)でブロックし、マルチスクリーン装置(バイオ・ラッド)に組み込む。ウェルを100μLの希釈マウス血清(100倍)と共に室温で1時間インキュベートする。膜を該装置から取り出し、TBST(0.1%v/v)で3回洗浄した後、10mLのヤギ抗マウスIgG(全分子)−AP(5000倍)と共に室温で1時間インキュベートする。膜をTBSTで3回洗浄した後、アルカリホスファターゼ基質キット(バイオ・ラッド)を用いて発色させる。十分な発色が起こったら膜を水道水で洗浄し、乾燥させ、プレゼンテーション用にスキャンする。
ウェスタンブロット解析から、ワクチン接種後にマウスにおいて組換えワクチン抗原に対する抗体反応性が有意に増加することが分かる。全てのマウスは、クーマシーブルーで染色した精製組換えタンパク質と分子量が同等の組換えタンパク質を認識する。これらの実験により、組換えタンパク質をマウスのワクチン接種に用いた場合には免疫原性となり、用いるワクチン接種プロトコルによって抗原に対する特定の循環抗体価を誘導することができるという証拠が得られる。この結果から、B.ヒオディセンテリアがコロニー形成した動物種に対する有効なワクチンにおいて組換えタンパク質が有用であり得ることが分かる。
精製組換えhisタグタンパク質を用いたブタのワクチン接種
精製した組換えhisタグタンパク質の各々について、10匹の血清陰性ブタに対し、1mgの特定の抗原(ワクチン量1mL中)を筋肉内注射する。抗原を等体積の油中水型アジュバントで乳化する。ブタへのワクチン接種は3週齢時に行い、6週齢時に再度行う。10匹の血清陰性ブタから成る第2のグループを負の対照として用い、ワクチン接種を行わないままにする。全てのブタに対し、8週齢時に100mLの活性B.ヒオディセンテリア培養物(〜109個(細胞)/mL)でチャレンジし、実験時(チャレンジ後6週間まで)及び死後検査時にブタ赤痢の臨床徴候を観察する。
診断キット
B.ヒオディセンテリアへの感染が分かっている養豚場のブタ、B.ヒオディセンテリアに感染していないことが分かっているブタ、及びB.ヒオディセンテリアへの感染が不明の養豚場のブタから血清を採取する。20μgの精製した組換えタンパク質を7cmのIEFウェルに添加し、10%(w/v)のSDS−PAGEゲルによって電気泳動し、ニトロセルロース膜へ電気移動させる。膜をTBS−脱脂乳(5%w/v)でブロックし、マルチスクリーン装置(バイオ・ラッド)に組み込む。ウェルを100μLの希釈ブタ血清(100倍)と共に室温で1時間インキュベートする。次いで、膜を該装置から取り出し、TBST(0.1%v/v)で3回洗浄した後、10mLのヤギ抗ブタIgG(全分子)−AP(5000倍)と共に室温で1時間インキュベートする。膜をTBSTで3回洗浄した後、アルカリホスファターゼ基質キット(バイオ・ラッド)を用いて発色させる。十分な発色が起こったら膜を水道水で洗浄し、乾燥させ、プレゼンテーション用にスキャンする。得られた結果を正の対照及び負の対照と比較することによって、ブタがB.ヒオディセンテリアに感染しているかどうか確認することができる。
具体的な実施形態を参照しながら本発明について説明してきたが、上述の方法や組成物の変形を用いることができ、また、本明細書に具体的に記載のものとは別の方法で本発明が実施し得ることが意図されていることは通常の当業者には明らかであろう。従って、本発明は、特許請求の範囲で定義された本発明の精神や範囲内に含まれる全ての変更を包含する。

Claims (44)

  1. 配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63及び65から成る群から選択される配列を含むポリヌクレオチド。
  2. 請求項1に記載のポリヌクレオチドを含むプラスミド。
  3. 発現ベクターである、請求項2に記載のプラスミド。
  4. 請求項2に記載のプラスミドを含む細胞。
  5. 請求項3に記載のプラスミドを含む細胞。
  6. 請求項3に記載のプラスミドを含む免疫原性組成物。
  7. 請求項3に記載の発現ベクターを含む、ブラキスピラ・ヒオディセンテリアの治療又は予防のためのワクチン組成物。
  8. 請求項4に記載の細胞を含む、ブラキスピラ・ヒオディセンテリアの治療又は予防のためのワクチン組成物。
  9. 請求項1に記載のポリヌクレオチドと少なくとも70%同一である配列を含むDNA分子。
  10. 請求項9に記載のポリヌクレオチドを含むプラスミド。
  11. 請求項1に記載のポリヌクレオチドと少なくとも80%同一である、請求項9に記載のDNA分子。
  12. 請求項11に記載のポリヌクレオチドを含むプラスミド。
  13. 請求項1に記載のポリヌクレオチドと少なくとも90%同一である、請求項9に記載のDNA分子。
  14. 請求項13に記載のポリヌクレオチドを含むプラスミド。
  15. 配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64及び66から成る群から選択される配列を含むポリペプチド。
  16. 請求項15に記載のポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド。
  17. 請求項16に記載のポリヌクレオチドを含むプラスミド。
  18. 発現ベクターである、請求項17に記載のプラスミド。
  19. 請求項17に記載のプラスミドを含む細胞。
  20. 請求項19に記載の細胞を含む免疫原性組成物。
  21. 請求項15に記載のポリペプチドと少なくとも70%相同である配列を含むタンパク質。
  22. 請求項15に記載のポリペプチドと少なくとも80%相同である、請求項21に記載のタンパク質。
  23. 請求項15に記載のポリペプチドと少なくとも90%相同である、請求項22に記載のタンパク質。
  24. 請求項23に記載のタンパク質を含む免疫原性組成物。
  25. 請求項15に記載のポリペプチドを含む免疫原性組成物。
  26. 請求項15に記載のポリペプチドを含む、ブラキスピラ・ヒオディセンテリアの治療又は予防のためのワクチン組成物。
  27. 請求項15に記載のポリペプチドと結合するモノクローナル抗体。
  28. 請求項27に記載のモノクローナル抗体を含む、動物におけるブラキスピラ・ヒオディセンテリアの存在を診断するためのキット。
  29. 請求項15に記載のポリペプチドを含む、動物におけるブラキスピラ・ヒオディセンテリアの存在を診断するためのキット。
  30. 請求項1に記載のポリヌクレオチドを含む、動物におけるブラキスピラ・ヒオディセンテリアの存在を診断するためのキット。
  31. 動物においてブラキスピラ・ヒオディセンテリアに対する免疫応答を生じさせる方法であって、請求項24に記載の免疫原性組成物を前記動物に投与することを含む方法。
  32. 動物においてブラキスピラ・ヒオディセンテリアに対する免疫応答を生じさせる方法であって、請求項25に記載の免疫原性組成物を前記動物に投与することを含む方法。
  33. 動物においてブラキスピラ・ヒオディセンテリアに対する免疫応答を生じさせる方法であって、請求項6に記載の免疫原性組成物を前記動物に投与することを含む方法。
  34. 動物においてブラキスピラ・ヒオディセンテリアに対する免疫応答を生じさせる方法であって、請求項20に記載の免疫原性組成物を前記動物に投与することを含む方法。
  35. ブラキスピラ・ヒオディセンテリアに起因する疾患の治療又は予防を前記治療を必要とする動物において行う方法であって、請求項7に記載のワクチン組成物の治療有効量を前記動物に投与することを含む方法。
  36. ブラキスピラ・ヒオディセンテリアに起因する疾患の治療又は予防を前記治療を必要とする動物において行う方法であって、請求項8に記載のワクチン組成物の治療有効量を前記動物に投与することを含む方法。
  37. ブラキスピラ・ヒオディセンテリアに起因する疾患の治療又は予防を前記治療を必要とする動物において行う方法であって、請求項26に記載のワクチン組成物の治療有効量を前記動物に投与することを含む方法。
  38. 動物においてブラキスピラ・ヒオディセンテリアに対する免疫応答を生じさせるための薬剤を調製するための請求項23に記載のタンパク質の使用。
  39. 動物においてブラキスピラ・ヒオディセンテリアに対する免疫応答を生じさせるための薬剤を調製するための請求項15に記載のタンパク質の使用。
  40. 動物においてブラキスピラ・ヒオディセンテリアに対する免疫応答を生じさせるための薬剤を調製するための請求項3に記載のプラスミドの使用。
  41. 動物においてブラキスピラ・ヒオディセンテリアに対する免疫応答を生じさせるための薬剤を調製するための請求項19に記載の細胞の使用。
  42. ブラキスピラ・ヒオディセンテリアに起因する疾患の治療又は予防を前記治療を必要とする動物において行うための薬剤を調製するための請求項3に記載の発現ベクターの使用。
  43. ブラキスピラ・ヒオディセンテリアに起因する疾患の治療又は予防を前記治療を必要とする動物において行うための薬剤を調製するための請求項4に記載の細胞の使用。
  44. ブラキスピラ・ヒオディセンテリアに起因する疾患の治療又は予防を前記治療を必要とする動物において行うための薬剤を調製するための請求項15に記載のポリペプチドの使用。
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