JP2014094532A - 液体噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構成で吸引力の変動を抑制しつつ、媒体の撓みを効率的に抑制することができる液体噴射装置を提供する。
【解決手段】液体噴射装置は、搬送方向Fに搬送される用紙Sに対してインクを噴射する液体噴射部21と、用紙Sを吸引するための吸引機構と、液体噴射部21と対向する位置で用紙Sを支持するとともに、用紙Sに吸引機構の吸引力を作用させるための吸引孔28aが幅方向Xに並ぶように2つ以上設けられた第1媒体支持部25と、第1媒体支持部25よりも搬送方向Fの下流側において用紙Sを支持するとともに、用紙Sに吸引機構の吸引力を作用させるための吸引孔30a,30bが用紙Sの幅方向Xにおける端部と対応する位置に対をなすように設けられた第2媒体支持部26と、を備え、幅方向Xにおいて、対をなす吸引孔30a,30bの離間距離は、隣り合う吸引孔28aの離間距離よりも長い。
【選択図】図3

Description

本発明は、媒体支持部に吸着された媒体に対して液体を噴射する液体噴射装置に関する。
従来から、液体を噴射可能な液体噴射装置として、媒体支持部上に搬送されたロール紙に対してインクを噴射することで印刷を行うインクジェット式のプリンターがある。なお、ロール紙は円筒状に巻かれた状態で保持されるために、長手方向に湾曲するような巻き癖がついて、媒体支持部上で浮き上がってしまうことがある。そして、このように用紙(ロール紙)が浮き上がると、インクの着弾位置がばらついて、印刷品質が低下してしまう。
そのため、ロール紙などに印刷を行うプリンターのうちには、巻き癖による浮き上がりを抑制するために、媒体支持部に設けた吸引孔を通じてロール紙に吸引力を作用させて、ロール紙を媒体支持部に吸着させた状態で印刷を行うものがある(例えば、特許文献1)。
特開2007−276960号公報
ところで、印刷直後の用紙は、インクを吸収して膨潤することで、小さく波打つように撓むことがある。この膨潤によって撓みが生じる現象はコックリングとも呼ばれ、用紙の短手方向(搬送方向と交差する幅方向)に沿って凹凸が生じる場合が多い。また、用紙の端部に余白を残して印刷を行う縁有り印刷などでは、用紙の幅方向における端部付近でコックリングによる撓み度合いが大きくなる傾向がある。そして、膨潤によって撓んだ用紙の印刷面が液体噴射部やその周辺の部材などに接触すると、印刷された画像に傷がついて、品質が低下してしまう。
こうしたコックリングは、用紙に吸引力を作用させるための吸引孔の数を増やすことで抑制することが可能である。しかし、吸引孔の数を増やすと、搬送される用紙により覆われる吸引孔の数の多寡によって、その用紙に対する吸引力が大きく変動してしまうという問題がある。また、用紙を吸引するための吸引機構を複数の吸引孔群ごとに対応させて複数設け、各吸引機構を選択的に駆動させるようにすると、吸引力の変動は抑制できるものの、装置の構成が複雑になってしまうという問題がある。
なお、こうした問題は、ロール紙に印刷するプリンターに限らず、媒体支持部に吸着した媒体に対して液体を噴射する液体噴射装置においては、概ね共通したものとなっている。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成で吸引力の変動を抑制しつつ、媒体の撓みを効率的に抑制することができる液体噴射装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する液体噴射装置は、搬送方向に搬送される媒体に対して液体を噴射する液体噴射部と、前記媒体を吸引するための吸引機構と、前記液体噴射部と対向する位置で前記媒体を支持するとともに、前記媒体に前記吸引機構の吸引力を作用させるための第1吸引孔が前記搬送方向と交差する幅方向に並ぶように2つ以上設けられた第1媒体支持部と、該第1媒体支持部よりも前記搬送方向の下流側において前記媒体を支持するとともに、前記媒体に前記吸引機構の吸引力を作用させるための第2吸引孔が前記媒体の前記幅方向の端部と対応する位置に対をなすように設けられた第2媒体支持部と、を備え、前記幅方向において、対をなす前記第2吸引孔の離間距離は、隣り合う前記第1吸引孔の離間距離よりも長い。
この構成によれば、第1媒体支持部に設けられた第1吸引孔を通じて媒体を吸引することで、液体を受容する媒体と液体噴射部との離間距離のばらつきを抑制することができる。一方、第2媒体支持部には媒体の幅方向における端部と対応する位置に吸引孔が設けられているので、簡易な構成で吸引力の変動を抑制しつつ、媒体の撓みを効率的に抑制することができる。
上記液体噴射装置は、前記媒体を円筒状に巻き重ねたロール体を回転させることで、該ロール体から前記媒体を巻き解く給送部をさらに備え、前記第1媒体支持部と前記第2媒体支持部との間には、前記第2媒体支持部の方が前記第1媒体支持部よりも低くなるように段差が設けられている。
この構成によれば、第1媒体支持部と第2媒体支持部との間には段差が設けられているので、巻き癖によって湾曲する媒体の先端を第2媒体支持部によって支持することで、第1媒体支持部上における媒体の浮き上がりを抑制することができる。
上記液体噴射装置において、前記第1媒体支持部において前記液体噴射部と対向する位置には、3つ以上の凹部が前記幅方向の全幅にわたって並ぶように設けられているとともに前記凹部の内底部には前記第1吸引孔が設けられている。
この構成によれば、第1媒体支持部には内底部に第1吸引孔が設けられた凹部が幅方向の全幅にわたって並んでいるので、媒体を凹部内に吸引して幅方向に規則的に撓ませることで、搬送方向における媒体の不規則な撓みが抑制される。また、凹部は第1媒体支持部において液体噴射部と対向する位置に設けられているので、媒体の不規則な撓みを矯正することで、液体の着弾位置のずれを抑制することができる。
上記液体噴射装置において、前記第2吸引孔は前記第1吸引孔よりも開口面積が大きい。
この構成によれば、第2吸引孔は第1吸引孔よりも開口面積が大きいので、媒体に対してより強い吸引力を作用させて、膨潤によって撓む媒体を第2媒体支持部に吸着させることができる。
上記液体噴射装置において、前記媒体は、前記幅方向における端部に余白を残すように前記液体を受容することで形成される転写用画像を被転写媒体に転写するための転写用媒体であり、前記液体噴射部よりも前記搬送方向の上流側に配置された搬送ローラー対をさらに備える。
この構成によれば、搬送ローラー対は液体噴射部よりも搬送方向の上流側に配置されているので、受容した液体が乾いていない領域を有する転写用媒体であっても、そのような領域に接触することなく、その媒体を搬送することができる。また、転写用媒体は、余白がある幅方向における端部付近の撓み度合いが大きくなりやすいものの、第2媒体支持部に設けた第2吸引孔を通じて媒体における幅方向の端部付近を吸引することで、その撓みを抑制することができる。
上記液体噴射装置は、前記第2媒体支持部との間に前記媒体を通過させるための隙間を形成する壁部をさらに備え、前記第2吸引孔は前記壁部よりも前記搬送方向の上流側に配置されている。
この構成によれば、第2吸引孔は壁部よりも搬送方向の上流側に配置されているので、第2媒体支持部に媒体を吸着させることで、隙間を通過する媒体の壁部への衝突を抑制することができる。
実施形態の液体噴射装置の斜視図。 筐体部内の概略構成を示す断面図。 媒体支持部周辺の概略構成を示す上面図。 第1媒体支持部に設けられた吸引孔の作用を説明する断面図。 第2媒体支持部に設けられた吸引孔の作用を説明する断面図。
以下、液体噴射装置の実施形態について、図を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の液体噴射装置11は、車輪12が下端に取り付けられた脚部13と、脚部13上に組み付けられる筐体部14とを備えている。なお、本実施形態においては、重力方向に沿う上下方向Zと交差(本実施形態では直交)する筐体部14の長手方向を幅方向Xとする。また、上下方向Z及び幅方向Xの双方と交差(本実施形態では直交)する方向を前後方向Yとする。
筐体部14の後部には、上方に向けて突出する給送部15が設けられている。給送部15内には、媒体の一例としての用紙Sが円筒状に巻き重ねられたロール体Rが装填される。なお、本実施形態の用紙Sはロール紙であるとともに、短手方向となる幅方向Xにおける端部に余白Hを残すように形成される転写用画像(鏡像)IMGを被転写媒体(例えば、ポリエステル等の布帛)に転写して昇華転写捺染するための転写用媒体(転写紙)である。また、本実施形態の液体噴射装置11は、液体の一例である昇華型捺染インクを用紙Sに噴射することで転写用画像IMGを形成するインクジェット式のプリンターである。
給送部15には、用紙Sの幅(短手方向となる幅方向Xにおける長さ)や巻き数の異なる複数サイズのロール体Rが交換可能に装填される。なお、ロール体Rは何れのサイズであっても、幅方向Xの第1端側(図1では右端側)に寄せた状態で、給送部15に装填される。そして、給送部15は、ロール体Rを回転させることで、ロール体Rから用紙Sを巻き解いて筐体部14内に給送する。
筐体部14には、給送部15の前側となる位置に、給送部15から給送された用紙Sを筐体部14内へ導入するための挿入口16が形成されている。また、筐体部14の前面側には、用紙Sを筐体部14外に排出するための排出口17が形成されている。
筐体部14の下部には、幅方向Xにおいて用紙Sの搬送経路の外側となる第1端側(図1では右端側)に、インクを収容可能な液体収容容器18が取り付けられている。また、筐体部14の前側下方には、巻き取りユニット19が脚部13に対して取り付けられている。
筐体部14内には、用紙Sの搬送方向Fと直交する主走査方向(本実施形態では幅方向X)に往復移動するキャリッジ20が収容されている。また、キャリッジ20の下部には、インクを噴射する液体噴射部21が保持されている。そして、液体収容容器18から供給されるインクを液体噴射部21が用紙Sに対して噴射することで印刷(記録)が行われる。なお、印刷によって転写用画像IMGが形成された用紙Sは、排出口17を通じて筐体部14内から排出され、巻き取りユニット19によって巻き取られる。
図2に示すように、筐体部14内には、用紙Sを搬送方向Fに搬送する搬送ローラー対22と、搬送される用紙Sを支持する媒体支持部23と、用紙Sを吸引するための吸引機構24とが設けられている。
搬送ローラー対22は、液体噴射部21及び媒体支持部23よりも搬送方向Fの上流側に配置されている。搬送ローラー対22は、搬送経路の下側に配置されて、図示しない駆動源によって回転する駆動ローラー22aと、駆動ローラー22aとの間に用紙Sを挟持する従動ローラー22bとによって構成されている。
なお、従動ローラー22bの回転中心は、駆動ローラー22aの回転中心よりも搬送方向下流側に配置されている。そのため、搬送ローラー対22は、駆動ローラー22aの回転に伴って、従動ローラー22bによって用紙Sを媒体支持部23の上面側に押しつけるような態様で、用紙Sを媒体支持部23上に搬送する。
媒体支持部23は、液体噴射部21と対向する位置に配置された第1媒体支持部25と、第1媒体支持部25よりも搬送方向Fの下流側に配置された第2媒体支持部26とを有している。第1媒体支持部25及び第2媒体支持部26は幅方向Xが長手方向となる板状をなしている。第1媒体支持部25の上面側には、用紙Sを支持する第1支持面25aが形成されている。また、第2媒体支持部26の上面側には、用紙Sを支持する第2支持面26aが形成されている。
第1媒体支持部25の第1支持面25aと第2媒体支持部26の第2支持面26aとの間には、第2支持面26aの高さが第1支持面25aよりも低くなるように、段差が設けられている。
第1媒体支持部25には、液体噴射部21と対向する位置に、3つ以上の凹部27が所定の間隔で幅方向Xの全幅にわたって並ぶように設けられている。なお、凹部27は上方に向けて開口している。
また、第1媒体支持部25には、複数の吸引孔28が設けられている。なお、本実施形態では、搬送方向Fの上流側から下流側に向けて並ぶように3つの吸引孔28a,28b,28cが形成されている。そして、搬送方向Fにおいて最も上流側に位置する吸引孔(第1吸引孔)28aは凹部27の内底部に設けられている。また、搬送方向Fにおいて最も下流側に位置する吸引孔28cと吸引孔28aとの間に位置する吸引孔28bは、吸引孔28a,28cよりも開口面積が小さい。
第2媒体支持部26には、搬送方向Fにおいて凹部27と並ぶ位置に、3つ以上の凹部26bが所定の間隔で幅方向Xの全幅にわたって並ぶように設けられている。なお、凹部26bは上方及び前方(図2では左方)に向けて開口している。また、本実施形態において、凹部26bの深さ(上下方向Zにおける第2支持面26aから凹部26bの内底面までの長さ)は、凹部27よりも浅く、0.5mmとなっている。ただし、凹部27,26bの深さは、任意に変更することも可能である。
また、第2媒体支持部26には、凹部26bの内底部に、吸引孔29(29a,29b)と吸引孔(第2吸引孔)30が形成されている。なお、吸引孔29a,29b,30は、搬送方向Fの上流側から下流側に向けて並ぶように設けられているとともに、開口面積が等しくなるように形成されている。また、第2媒体支持部26に設けられた吸引孔29,30は、第1媒体支持部25に設けられた吸引孔28a,28b,28cよりも開口面積が大きい。
第2媒体支持部26において搬送方向Fの最も下流側に位置する吸引孔30は、その搬送方向上流側に位置する吸引孔29a,29bと離間した位置に配置されている。すなわち、吸引孔29a,29bは第2媒体支持部26の搬送方向上流側の端部付近に配置されている一方、吸引孔30は第2媒体支持部26の搬送方向下流側の端部付近に配置されている。
第1媒体支持部25の下側には、上方に向けて開口する有底箱状の第1枠部材31が組み付けられている。一方、第2媒体支持部26の下側には、上方に向けて開口する有底箱状の第2枠部材32が組み付けられている。そして、第1媒体支持部25と第1枠部材31とによって第1負圧室33が囲み形成されている。また、第2媒体支持部26と第2枠部材32とによって第2負圧室34が囲み形成されている。
第1枠部材31及び第2枠部材32の下側には、箱状の吸引室形成部材35が配置されている。吸引室形成部材35は、第1負圧室33及び第2負圧室34と連通する吸引室36を形成している。また、吸引室形成部材35には、吸引室36内の空気を外部に排出するための排気ファン37が取り付けられている。なお、第1枠部材31、第2枠部材32、吸引室形成部材35及び排気ファン37は、吸引機構24を構成する。
排気ファン37の回転によって吸引室36内の空気が排気されると、吸引室36、第1負圧室33及び第2負圧室34の内部が負圧となる。そして、この負圧によって、吸引孔28,29,30を通じて第1負圧室33及び第2負圧室34内に空気が吸引されることで用紙Sに吸引力が作用すると、用紙Sは媒体支持部23に吸着される。
なお、第2媒体支持部26の搬送方向下流側の端部の上方には、第2媒体支持部26との間に用紙Sを通過させるための隙間を形成する壁部38が配置されている。壁部38は、排出口17から筐体部14内に手などを挿入することができないように、排出口17の開口部を小さくするために設けられている。そのため、第2媒体支持部26と壁部38との間に形成される隙間は、排出口17よりも上下方向Zにおける長さが短くなっている。そして、第2媒体支持部26の吸引孔30は、壁部38よりも搬送方向Fの上流側に配置されている。
図3に示すように、第1媒体支持部25に幅方向Xに並ぶように設けられた複数の凹部27及び吸引孔28は、幅方向Xにおいて略等間隔となるように全幅にわたって配置されている。そして、第1媒体支持部25においては、幅方向Xに並ぶように複数の凹部27を形成することで、幅方向Xに隣り合う2つの凹部27の間に、搬送方向Fに延びるリブ25cが形成される態様となる。すなわち、第1媒体支持部25の上面側には、凹部27とリブ25cとが幅方向Xに交互に並ぶように形成されている。
一方、第2媒体支持部26に幅方向Xに並ぶように設けられた複数の凹部26b及び吸引孔29は、幅方向Xにおいて略等間隔となるように全幅にわたって配置されている。そして、第2媒体支持部26においては、幅方向Xに並ぶように複数の凹部26bを形成することで、幅方向Xに隣り合う2つの凹部26bの間に、搬送方向Fに延びるリブ26cが形成される態様となる。すなわち、第2媒体支持部26の上面側には、凹部26bとリブ26cとが幅方向Xに交互に並ぶように形成されている。
なお、本実施形態において、リブ25c,26cの幅方向Xにおける長さ(幅)は2mmとなっているとともに、リブ26cの上下方向Zにおける長さ(高さ)はリブ25cよりも低いリブ0.5mmとなっている。ただし、リブ25c,26cの幅、高さ(凹部27,26bの深さ)及び搬送方向Fにおける長さは、任意に変更することが可能である。
また、第2媒体支持部26に設けられた吸引孔30は、用紙Sの幅方向Xにおける端部と対応する位置に対をなすように配置されている。
媒体支持部23上には、幅方向Xにおける長さ(幅)が異なる用紙Sが搬送される場合があるが、何れの場合にも用紙Sは幅方向Xの第1端側(図3では右端側)に寄せた状態で搬送される。そのため、第2媒体支持部26の幅方向Xにおける第1端側(図3では右端側)には、吸引孔30(30a)が設けられている。
加えて、用紙Sの異なる幅に対応するように、第2媒体支持部26の幅方向Xにおける第2端側(図3では左端側)に複数の吸引孔30(30b,30c,30d)が設けられている。すなわち、吸引孔30b,30c,30dはそれぞれ吸引孔30aと対をなしている。そして、用紙Sの幅によっては、吸引孔30bと吸引孔30c、あるいは吸引孔30cと吸引孔30dの間の離間距離が隣り合う吸引孔28,29同士の幅方向Xにおける離間距離よりも短くなる場合がある。ただし、対をなす吸引孔30aと吸引孔30b、吸引孔30aと吸引孔30c、吸引孔30aと吸引孔30dの離間距離は、隣り合う吸引孔28,29同士の幅方向Xにおける離間距離よりも長い。
すなわち、第1媒体支持部25及び第2媒体支持部26には、幅方向Xに並ぶように2つ以上の吸引孔28,29,30が設けられている。そして、幅方向Xにおいて、対をなす吸引孔30(例えば、吸引孔30aと吸引孔30b)の離間距離は、隣り合う吸引孔28,29の離間距離よりも長い。
次に、以上のように構成された液体噴射装置11の作用について説明する。
図4に示すように、液体噴射部21が用紙Sに対してインクを噴射するときには、排気ファン37の回転によって用紙Sが第1媒体支持部25の第1支持面25aに吸着される。このとき、第1媒体支持部25には、用紙Sに吸引機構24の吸引力を作用させるための吸引孔28及び凹部27が搬送方向Fと交差する幅方向Xにおける全幅にわたって設けられている。また、第1媒体支持部25において、吸引孔28aは凹部27内に形成されている。
そのため、排気ファン37の回転によって吸引室36及び第1負圧室33が負圧になると、開口が用紙Sによって覆われた凹部27内にもその負圧が及ぶ。すると、用紙Sはリブ25cに支持された状態で凹部27内に吸引されることで、幅方向Xに波打つように撓んだ状態で、第1媒体支持部25の第1支持面25aに吸着される。
そして、用紙Sは、吸引機構24の吸引力によって凹部27の配置に沿って幅方向Xに細かく撓むことで、円筒状に巻かれることで長手方向に湾曲するようについた巻き癖が矯正される。すなわち、用紙Sが吸引されない場合には、用紙は図2に二点鎖線で示すように湾曲した状態となって液体噴射部21に接触する虞があるが、巻き癖が矯正されることで、液体噴射部21への接触が抑制される。
また、用紙Sは、媒体支持部23上において先端が下がるとともにその搬送方向上流側が浮き上がるような態様で巻き癖がついているが、図2に示すように、第1媒体支持部25と第2媒体支持部26との間には、第2媒体支持部26側が低くなるように段差が設けられている。そして、用紙Sは、低い位置にある第2媒体支持部26にその先端が支持されることで、第1媒体支持部25上における浮き上がりが抑制される。
なお、用紙Sが第1媒体支持部25から浮き上がっていると、用紙Sと液体噴射部21との離間距離がばらつくことでインクの着弾位置がずれ、印刷品質が低下する虞がある。その点、本実施形態では、用紙Sが第1媒体支持部25に吸着されることで、用紙Sと液体噴射部21との離間距離のばらつきが抑制される。すなわち、第1媒体支持部25に設けられた吸引孔28は、用紙Sの液体噴射部21への接触を抑制するのに加えて、液体噴射部21と用紙Sとの離間距離を一定に保って印刷品質を保持するためにも必要なので、幅方向Xにおける全幅にわたって設けるのが好ましい。
また、排気ファン37が回転して吸引室36及び第2負圧室34が負圧になると、開口が用紙Sによって覆われた凹部26b内にもその負圧が及ぶ。すると、用紙Sは凹部26bの内底部に形成された吸引孔29,30を通じて第2媒体支持部26側に吸引される。
ここで、第2媒体支持部26に設けられた吸引孔29,30は、第1媒体支持部25に設けられた吸引孔28よりも開口面積が大きいので、より大きな吸引力を作用させて、巻き癖や膨潤によって浮き上がろうとする用紙Sを第2媒体支持部26に吸着させることが可能になる。
特に、第2媒体支持部26の搬送方向上流側においては、第2支持面26aよりも高い位置にある第1支持面25aに支持された用紙Sを吸着させるためにより大きな吸引力を要する。そのため、吸引孔29を幅方向Xの全幅にわたって配置するとともに、吸引孔29の開口面積を吸引孔28よりも大きくするのが好ましい。
さらに、第2媒体支持部26の吸引孔30は、壁部38よりも搬送方向Fの上流側に配置されているので、吸引孔30を通じて用紙Sを第2媒体支持部26に吸着させることで、用紙Sの壁部38への衝突が抑制される。
ここで、用紙Sは転写紙なので、被転写媒体へインク(転写用画像)を転移させるために、裏面側にインクが抜けないようにするコーティングが施されていることがある。そのため、インクの受容によって画像が形成されることで完成品となるコピー用紙のような普通紙と比較して、受容したインクが乾きにくいという特徴がある。そして、インクが乾かない状態で印刷面が液体噴射部21や壁部38などに接触すると、その部分のインクがとれて、被転写媒体へ転写した画像の一部が欠損することで品質が低下してしまう。
また、転写紙である用紙Sは、布帛等の被転写媒体を捺染するのに十分な量のインクを受容する必要があるため、普通紙よりも膨潤による撓みの度合いが大きい。そして、用紙Sは印刷部分が膨潤すると、図3に矢印で示すように凹凸が幅方向Xの端部側に向けて広がり、その端部付近では図5に示すように撓みが合成されてより大きく浮き上がってしまうことがある。
さらに、端部に余白を残す縁有り印刷では、端部で撓みを逃がすことができないために、図5に二点鎖線で示すように、幅方向Xの端部において撓み度合いが大きくなる。また、端部に余白を残さない縁無し印刷であっても、用紙Sの端部側に噴射されるインクの量が少ない場合などには、相対的に端部の撓み度合いが大きくなることがある。
その点、本実施形態の第2媒体支持部26には、用紙Sに吸引機構24の吸引力を作用させるための吸引孔30が用紙Sの幅方向Xにおける端部と対応する位置に対をなすように設けられている。そのため、図5に実線で示すように、幅方向Xにおける用紙Sの端部に吸引機構24の吸引力を作用させることで、膨潤による撓みが抑制される。これにより、用紙Sの壁部38への衝突が抑制される。
ここで、吸引孔30を第2媒体支持部26の全幅にわたって設けることでも用紙Sの膨潤による撓み(コックリング)を抑制することができる。しかし、この場合には、用紙Sの先端が吸引孔30まで到達していない時や、幅の狭い用紙Sに印刷を行う場合には、用紙Sによって覆われていない吸引孔30から空気が吸入されてしまう。そのため、第2負圧室34及び凹部26bに負圧を発生させるために排気ファン37の吸引力を大きくする必要があり、装置の大型化や製造コストの増大を招いてしまう。その点、本実施形態では、吸引孔30を用紙Sの端部と対応する位置に限定して配置することで、吸引力の変動を抑制しつつ、効果的に用紙Sの撓みを抑制することが可能になる。
加えて、用紙Sは媒体支持部23に吸着されるときにリブ25c,26cによって支持されることで、先端が吸引孔28a,29,30に引っかかりにくくなる。また、用紙Sが支持面25a,26aに対して摺接すると、静電気が発生して搬送が妨げられる虞があるが、凹部27,26bを形成することで用紙Sと支持面25a,26aとの接触面積が少なくなるので、静電気の発生が抑制される。さらに、凹部27,26b内に負圧を発生させて用紙Sを吸引することで、用紙Sのより広い範囲に吸引力を及ぼすことができる。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1媒体支持部25に設けられた吸引孔28を通じて用紙Sを吸引することで、インクを受容する用紙Sと液体噴射部21との離間距離のばらつきを抑制することができる。一方、第2媒体支持部26には用紙Sの幅方向Xにおける端部と対応する位置に吸引孔30が設けられているので、簡易な構成で吸引力の変動を抑制しつつ、用紙Sの撓みを効率的に抑制することができる。
(2)第1媒体支持部25と第2媒体支持部26との間には段差が設けられているので、巻き癖によって湾曲する用紙Sの先端を第2媒体支持部26によって支持することで、第1媒体支持部25上における用紙Sの浮き上がりを抑制することができる。
(3)第1媒体支持部25には内底部に吸引孔28aが設けられた凹部27が幅方向Xの全幅にわたって並んでいるので、用紙Sを凹部27内に吸引して幅方向Xに規則的に撓ませることで、搬送方向Fにおける用紙Sの不規則な撓みが抑制される。また、凹部27は第1媒体支持部25において液体噴射部21と対向する位置に設けられているので、用紙Sの不規則な撓みを矯正することで、インクの着弾位置のずれを抑制することができる。
(4)吸引孔30は吸引孔28よりも開口面積が大きいので、用紙Sに対してより強い吸引力を作用させて、膨潤によって撓む用紙Sを第2媒体支持部26に吸着させることができる。
(5)搬送ローラー対22は液体噴射部21よりも搬送方向Fの上流側に配置されているので、受容したインクが乾いていない領域を有する用紙Sであっても、そのような領域に接触することなく、その用紙Sを搬送することができる。また、用紙Sは、余白Hがある幅方向Xにおける端部付近の撓み度合いが大きくなりやすいものの、第2媒体支持部26に設けた吸引孔30を通じて用紙Sにおける幅方向Xの端部付近を吸引することで、その撓みを抑制することができる。
(6)第2媒体支持部26の吸引孔30は壁部38よりも搬送方向Fの上流側に配置されているので、第2媒体支持部26に用紙Sを吸着させることで、隙間を通過する用紙Sの壁部38への衝突を抑制することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・縁なし印刷を行う場合には、第1媒体支持部25において凹部27と幅方向Xに並ぶ位置であって、用紙Sの端部と対応する位置に、用紙Sからはみ出たインクを受容するための受容凹部を設けてもよい。
・第1媒体支持部25よりも第2媒体支持部26の方が高くなるように段差を設けてもよい。
・第1媒体支持部25と第2媒体支持部26との間に段差を設けなくてもよい。
・第1媒体支持部25と第2媒体支持部26とが単一の部材によって形成されていてもよい。
・吸引孔28b,28c,29,30c,30dを設けなくてもよい。
・吸引孔28,29は、幅方向Xにおいて等間隔に配置されなくてもよい。なお、上記実施形態において、吸引孔28,29は、吸引孔30と同様に媒体の幅方向Xの端部と対応する端部位置と、その端部位置よりも内側となる位置とに設けられているが、吸引孔30と同じ端部位置に吸引孔28,29を配置しなくてもよい。
・凹部27を設けなくてもよい。すなわち、液体噴射部21と対向する位置において、用紙Sを幅方向Xに撓ませることなく媒体支持部23に吸着するようにしてもよい。
・吸引孔28,29の搬送方向Fにおける配置や数は任意に変更することができる。
・吸引孔30b,30c,30dの配置や数は、用紙Sの幅に応じて任意に変更することができる。
・吸引孔28,29,30は、搬送方向Fまたは幅方向Xが長手方向となる長孔でもよい。なお、吸引孔28aを幅方向Xに延びる長孔とすれば、幅方向Xに並ぶ吸引孔28aの数を2つにしても用紙Sを全幅にわたって吸引することが可能になるが、そうでない場合には、吸引孔28aは幅方向Xに3つ以上並ぶように第1媒体支持部25に設けるのが好ましい。
・吸引孔28の開口面積が吸引孔29,30と等しくてもよいし、吸引孔28の開口面積が吸引孔29,30よりも大きくてもよい。
・第2媒体支持部26において、幅方向Xの第1端部側に、幅方向Xに並ぶ2つ以上の吸引孔30aを設けてもよい。あるいは、第2媒体支持部26において、幅方向Xの第1端部側に、搬送方向Fに並ぶ2つ以上の吸引孔30aを設けてもよい。また、こうした吸引孔30aと対をなす吸引孔30b,30c,30cも、それぞれ幅方向Xや搬送方向Fに並ぶように複数設けてもよい。すなわち、用紙Sの幅方向Xにおける一端側に対応する複数の吸引孔30を設けてもよい。
・壁部38を設けなくてもよい。この場合にも、用紙Sの搬送経路沿いに位置する筐体部14の排出口17や他の部材など、撓んだ用紙Sが衝突しそうな対象物がある場合には、その上流側に吸引孔を設ければ、その対象物への衝突が抑制される。
・用紙Sは転写用媒体でなくてもよいし、予め所定の長さにカットされた単票紙であってもよい。
・上記各実施形態において、液体噴射装置は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置であってもよい。なお、液体噴射装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体は、液体噴射装置から噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体を含むものとする。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置がある。また、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置であってもよい。また、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置であってもよい。
11…液体噴射装置、15…給送部、21…液体噴射部、22…搬送ローラー対、24…吸引機構、25…第1媒体支持部、26…第2媒体支持部、27…凹部、28a…第1吸引孔としての吸引孔、30,30a,30b,30c,30d…第2吸引孔としての吸引孔、38…壁部、F…搬送方向、H…余白、IMG…転写用画像、S…媒体の一例としての用紙、R…ロール体、X…幅方向。

Claims (6)

  1. 搬送方向に搬送される媒体に対して液体を噴射する液体噴射部と、
    前記媒体を吸引するための吸引機構と、
    前記液体噴射部と対向する位置で前記媒体を支持するとともに、前記媒体に前記吸引機構の吸引力を作用させるための第1吸引孔が前記搬送方向と交差する幅方向に並ぶように2つ以上設けられた第1媒体支持部と、
    該第1媒体支持部よりも前記搬送方向の下流側において前記媒体を支持するとともに、前記媒体に前記吸引機構の吸引力を作用させるための第2吸引孔が前記媒体の前記幅方向の端部と対応する位置に対をなすように設けられた第2媒体支持部と、を備え、
    前記幅方向において、対をなす前記第2吸引孔の離間距離は、隣り合う前記第1吸引孔の離間距離よりも長いことを特徴とする液体噴射装置。
  2. 前記媒体を円筒状に巻き重ねたロール体を回転させることで、該ロール体から前記媒体を巻き解く給送部をさらに備え、
    前記第1媒体支持部と前記第2媒体支持部との間には、前記第2媒体支持部の方が前記第1媒体支持部よりも低くなるように段差が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
  3. 前記第1媒体支持部において前記液体噴射部と対向する位置には、3つ以上の凹部が前記幅方向の全幅にわたって並ぶように設けられているとともに前記凹部の内底部には前記第1吸引孔が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体噴射装置。
  4. 前記第2吸引孔は前記第1吸引孔よりも開口面積が大きいことを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の液体噴射装置。
  5. 前記媒体は、前記幅方向における端部に余白を残すように前記液体を受容することで形成される転写用画像を被転写媒体に転写するための転写用媒体であり、
    前記液体噴射部よりも前記搬送方向の上流側に配置された搬送ローラー対をさらに備えることを特徴とする請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の液体噴射装置。
  6. 前記第2媒体支持部との間に前記媒体を通過させるための隙間を形成する壁部をさらに備え、
    前記第2吸引孔は前記壁部よりも前記搬送方向の上流側に配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の液体噴射装置。
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