以下、液体噴射装置の実施形態について、図を参照して説明する。液体噴射装置は、搬送方向に搬送される媒体に対して液体を噴射する液体噴射部と、媒体を吸引するための吸引機構と、媒体を支持する媒体支持部と、を備え、媒体支持部は、吸引機構の吸引力を作用させるための、第1吸引孔と第2吸引孔と第3吸引孔とを有し、媒体の搬送方向に対して上流側から下流側に沿って、第1吸引孔、第2吸引孔、第3吸引孔の順に配置され、第1吸引孔は、液体噴射部に対向する位置に配置され、第1吸引孔は、第2吸引孔よりも穴径が大きいものである。以下、具体的に説明する。
図1に示すように、本実施形態の液体噴射装置11は、媒体の一例である長尺の用紙Sを扱うラージフォーマットプリンター(LFP)である。そして、液体噴射装置11は、車輪12が下端に取り付けられた一対の脚部13と、脚部13上に組み付けられる筐体部14とを備えている。なお、本実施形態においては、重力方向に沿う上下方向Zと交差(本実施形態では直交)する筐体部14の長手方向を幅方向Xとする。また、上下方向Z及び幅方向Xの双方と交差(本実施形態では直交)する方向を前後方向Yとする。
筐体部14の後側下方には、筐体部14側に向けて用紙Sを給送する給送部15が配置されている。本実施形態の用紙Sはロール紙であるとともに、短手方向となる幅方向Xにおける端部に余白を残すように形成される転写用画像(鏡像)を被転写媒体(例えば、ポリエステル等の布帛)に転写して昇華転写捺染するための転写用媒体(転写紙)である。また、本実施形態の液体噴射装置11は、用紙Sを吸引させながら搬送させ、液体としてのインクを用紙Sに噴射することで転写用画像を形成するインクジェット式のプリンターである。
液体噴射装置11は昇華インクを噴射することができる。液体噴射装置11に用いられるインクは、特に限定されず、含水量が10%以上の水系インク及び含水量が10%未満の非水系インクのいずれであってもよい。なお、前述の水系インク及び非水系インクは、光重合性化合物を含んでいてもよい。前記の各インクに含まれる成分についても、特に限定されるものではなく、種々の色材、種々の溶媒等を含んでいてよい。
前記色材としては、特に限定されず、顔料又は染料のいずれであってもよい。
ここで、顔料とは、水又は有機溶媒のいずれにも不溶又は難溶であるものをいい、例えば、カラーインデックスにおいて「Pigment(顔料)」分類される化合物が挙げられる。
染料とは、水又は有機溶剤のいずれかに溶解するものをいい、水溶性の染料と油溶性の染料が知られている。水溶性の染料としては、例えば、カラーインデックスにおいて「Acid Dye(酸性染料)」、「Basic Dye(塩基性染料)」、「Direct Dye(直接染料)」、「Food Dye(食用色素)」「Reactive Dye(反応性染料)」に分類される化合物が挙げられる。油溶性の染料としては、例えば、カラーインデックスにおいて、「Solvent Dye(溶剤染料)」、「Disperse Dye(分散染料)」、「Vat Dye(建染染料)」に分類される化合物が挙げられる。
前記の色材は目的によって適宜選択すればよく、例えば、耐光性に優れた記録物を得たい場合は顔料を、ポリエステルやアセテート等の疎水性材料に記録したい場合には油溶性の染料を選択すればよい。
前記溶媒としては、特に限定されず、水や有機溶剤を用いることができる。
前記有機溶剤としては、γ−ブチロラクトンや2−ピロリドン等の複素環化合物;トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル;1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等のアルカンジオール;オレイン酸エチル等の脂肪酸エステル;等が挙げられる。
前記の溶剤は目的によって適宜選択すればよく、例えば、インク吸収性のない塩化ビニルシート等への記録を目的とするのであれば非水系インクを、普通紙等への記録を目的とするのであれば水系インクを選択すればよい。また、ヘッドのノズル開口での目詰まりを抑制したい場合には多価アルコールを、ビーディングを抑制したい場合にはハンセン溶解度パラメーターが26.0(J/cm3)0.5以下の有機溶媒を選択すればよい。なお、目的が複数ある場合には複数の溶媒を組合わせて使用するのが好ましい。
ところで、長期にわたって印刷を行った場合、インクに含まれる成分と接着剤との相互作用により、ノズルプレートの剥離が起こることがある。これは疎水性の高い化合物により、接着剤が溶解したり、膨潤したりすることに起因すると考えられる。
疎水性の高い化合物としては、上述の油溶性の染料、ハンセン溶解度パラメーターが21.0以下の有機溶剤、光重合性化合物等が挙げられる。
本発明に係る液体噴射装置であれば、前記の疎水性の高い化合物を含むインクを用いたとしても、上記課題が抑制されるので、長期にわたって印刷を行うことができる。
筐体部14の前側下方には、脚部13に支持された巻取部16が配置されている。給送部15と巻取部16との間には、用紙Sの搬送経路に沿って媒体案内部17が配置されている。
媒体案内部17は、後端側が筐体部14内に収容されるとともに、前端側が筐体部14から前方に向けて突出している。また、筐体部14の前面側には、媒体案内部17の上側となる位置に、筐体部14内から用紙Sを排出するための排出口14aが形成されている。
媒体案内部17の内部にはヒーター等の加熱源が備えられている。当該ヒーターを駆動させることにより、媒体案内部17が加熱部として機能する。本実施形態では、用紙Sに対して接触する接触式の加熱部として機能する。そして、媒体案内部17の用紙Sと接触する表面の温度は、用紙Sに形成される画像の品質等を確保するために適正に制御されている。具体的には、媒体案内部17の用紙Sと接触する表面の温度が、例えば、55℃以上80℃以下となるように制御される。なお、媒体案内部17の用紙Sに対する加熱温度が高すぎる場合、用紙Sが短手方向(搬送方向と交差する幅方向(幅方向X))に沿って膨張してしまう。そして、用紙Sの搬送の過程において用紙Sに対して後述のテンション付与機構18によってテンション(張力)が付与されると、一旦膨張した用紙Sが短手方向(幅方向X)に収縮する。そうすると、用紙Sの短手方向に沿って小さく波打つように凹凸(コックリング)が発生する。用紙Sに発生したコックリングは、記録部26に対応する位置にまで影響する。そして、コックリングによって用紙Sが撓むと、記録部26から噴射されるインク滴の着弾位置がばらついて、画像の品質が低下してしまう。一方、媒体案内部17の用紙Sに対する加熱温度が低すぎる場合、用紙S上に塗布されたインクの乾燥が不十分となり、混色等によって画像の品質が低下してしまう。
巻取部16の近傍位置には、媒体案内部17と巻取部16との間に位置する用紙Sにテンション(張力)を与えるテンション付与機構18が設けられている。テンション付与機構18は、脚部13の下部に回動可能に支持された一対のアーム部材19と、一対のアーム部材19の先端部に回転可能に支持されたテンションローラー20とを備えている。また、巻取部16は、印刷後の用紙Sを円筒状に巻き取る不図示の芯材(例えば紙管)を軸方向両側から挟持する一対のホルダー21を備えている。
筐体部14内には、液体噴射装置11の動作を制御する制御部22が設けられている。また、筐体部14の上部には、幅方向Xの第1端側(図1では右端側)に、設定操作や入力操作を行うための操作パネル23が設けられている。なお、操作パネル23は制御部22と電気的に接続されている。
筐体部14の下部には、幅方向Xにおいて用紙Sの搬送経路の外側となる第1端側(図1では右端側)に、インクを収容可能な液体収容容器24が設けられている。液体収容容器24は、インクの種類や色に対応して、複数(本実施形態では4つ)設けられている。
図2に示すように、給送部15には、未使用の用紙Sが円筒状に巻き重ねられたロール体R1が保持されている。なお、給送部15には、用紙Sの幅(短手方向となる幅方向Xにおける長さ)や巻き数の異なる複数サイズのロール体R1が交換可能に装填される。なお、ロール体R1は何れのサイズであっても、幅方向Xの第1端側(図1では右端側)に寄せた状態で給送部15に装填される。そして、給送部15がロール体R1を図2における反時計方向に回転させることで、ロール体R1から用紙Sが巻き解かれて筐体部14内へ給送される。
筐体部14内には、用紙Sを搬送する搬送ローラー対25と、搬送ローラー対25によって搬送方向Fに搬送される用紙Sに印刷(記録)を行う記録部26と、用紙Sを支持する媒体支持部27と、用紙Sを吸引するための吸引機構28とが収容されている。
記録部26には、幅方向Xに延びるように架設されたガイド軸29,30と、ガイド軸29,30に支持されたキャリッジ31と、キャリッジ31の下部に保持された液体噴射部32とが設けられている。そして、キャリッジ31はガイド軸29,30に沿って、用紙Sの搬送方向Fと直交する主走査方向(本実施形態では幅方向X)に延びる移動領域内において往復移動する。
ガイド軸29,30の幅方向Xにおける両端部には、液体噴射部32と用紙Sとの離間距離を調整するために液体噴射部32の高さ(上下方向Zにおける位置)を変化させる調整機構33が設けられている。また、キャリッジ31の下部には、液体噴射部32よりも搬送方向下流側となる位置に、紙幅センサーとしての反射型センサー34が保持されている。
反射型センサー34は、図示しない光源部及び受光部を備えた光学式センサーであり、光源部から下方に向けて出射した光の反射光を受光部で受光し、受光部で受けた反射光の強さに応じた検出値V(電圧値)を制御部22に出力する。また、キャリッジ31を主走査方向へ移動させながら反射型センサー34で検出を行い、制御部22が検出値Vに基づいて反射対象の変化する位置、すなわち用紙Sの幅方向Xにおける両端部の位置を検知することで、用紙Sの幅(幅方向Xにおける長さ)を算出する。
そして、検出された用紙Sの幅に応じて、液体噴射部32が液体収容容器24から供給されるインクを搬送経路に沿って搬送される用紙Sに対して噴射することで、記録(印刷)が行われる。また、印刷後の用紙Sは、媒体案内部17に沿って斜め下方へ案内された後に巻取部16において巻き取られ、ロール体R2を形成する。このとき、媒体案内部17から自重によって垂れ下がる用紙Sの裏面側をテンションローラー20が押圧することで、巻取部16に巻き取られる用紙Sに張力を付与する。
なお、本実施形態の液体噴射装置11では、用紙Sをロール体R2に巻き取ることなく排出することも可能となっている。例えば、印刷後の用紙Sは、巻取部16に替えて取り付けられる不図示の排出バスケットに収容することもできる。
図3に示すように、媒体支持部27は有底箱状をなして、その底部が上側に配置されるように、キャリッジ31の移動領域の下方に固定されている。また、媒体支持部27の下部には、箱状の吸引室形成部材35が組み付けられている。そして、媒体支持部27と吸引室形成部材35とによって負圧室36が形成されている。
吸引室形成部材35は、負圧室36と連通する吸引室37を形成している。また、吸引室形成部材35には、吸引室37内の空気を外部に排出するための排気ファン38が設けられている。なお、吸引室形成部材35及び排気ファン38は、吸引機構28を構成する。
媒体支持部27の上面側には、搬送方向Fの上流側から順に並ぶように、収容凹部の一例である第1収容凹部41と、係止凹部42と、反射用溝部43と、収容凹部の一例である第2収容凹部44とが幅方向Xに延びるように設けられている。
第1収容凹部41はキャリッジ31とともに移動する液体噴射部32と対向する位置に配置されている。なお、第1収容凹部41は、第2収容凹部44よりも搬送方向Fにおける長さが長い。また、反射用溝部43はキャリッジ31とともに移動する反射型センサー34と対向する位置に配置されている。
反射型センサー34から出射される光は、媒体支持部27の上端面27aで反射するよりも、反射用溝部43で反射する方が、反射距離が長い。また、液体噴射装置11においては、用紙Sとして反射率の高い白い紙が用いられることが多い。そのため、反射用溝部43を反射型センサー34から出射する光の反射対象とすることで、光の反射率が用紙Sの反射率よりも明確に低くなり、検出精度がよくなる。そして、算出された用紙Sの幅に応じて印刷処理を行うことにより、媒体支持部27上にインクが付着して、搬送される用紙Sを汚染することがなくなる。
媒体支持部27には、負圧室36と連通する第1吸引孔45と第2吸引孔46と第3吸引孔47が搬送方向Fの上流側から下流側に沿って順に並ぶように形成されている。なお、第1吸引孔45は第1収容凹部41の内底部41aに配置されている。また、第2吸引孔46は、媒体支持部27の上端面27aに開口するように、搬送方向Fにおいて係止凹部42と反射用溝部43との間となる位置に配置されている。また、第3吸引孔47は第2収容凹部44の内底部44aに配置されている。
第1吸引孔45は、液体噴射部32に対向する位置に配置されている。そして、第1吸引孔45は、第2吸引孔46よりも穴径が大きくなるように形成されている。さらに、第1吸引孔45の開口部には面取り部45aが形成されている。
そして、第1吸引孔45の開口部に面取り部45aが形成されることにより、第1吸引孔45を通じて空気を吸引する際に発生する騒音を低減することができる。詳細には、吸引機構28の駆動により空気が外部から第1吸引孔45を通じて負圧室36側に流入する。このとき、エオルス音(騒音)が発生する。当該エオルス音の発生原因は、空気を吸引した際に発生した気流が、例えば、第1吸引孔45の開口部の角部等の障害部に当たり、当該障害部の後方側で発生するカルマン渦が要因だと考えられる。そこで、本実施形態では、第1吸引孔45の開口部に面取り部45aが形成されているため、上記角部等の障害部が減少する。従って、空気を吸引した際、第1吸引孔45におけるカルマン渦の発生が低減する。これにより、エオルス音(騒音)が抑制される。なお、本実施形態では、第1吸引孔45の開口部の一方側に面取り部45aを形成したが、この構成に限定されず、例えば、第1吸引孔45の開口部の他方側に面取り部を形成してもよい。さらには、第1吸引孔45の開口部の両方に面取り部を形成してもよい。
また、第3吸引孔47は、排出口14a側に設けられ、第2吸引孔46よりも穴径が大きくなるように形成されている。さらに、第3吸引孔47の開口部には面取り部47aが形成されている。
そして、第3吸引孔47の開口部に面取り部47aが形成されることにより、第3吸引孔47を通じて空気を吸引する際に発生する騒音を低減することができる。詳細には、吸引機構28の駆動により空気が外部から第3吸引孔47を通じて負圧室36側に流入する。このとき、エオルス音(騒音)が発生する。当該エオルス音の発生原因は、空気を吸引した際に発生した気流が、例えば、第3吸引孔47の開口部の角部等の障害部に当たり、当該障害部の後方側で発生するカルマン渦が要因だと考えられる。そこで、本実施形態では、第3吸引孔47の開口部に面取り部47aが形成されているため、上記角部等の障害部が減少する。従って、空気を吸引した際、第3吸引孔47におけるカルマン渦の発生が低減する。これにより、エオルス音(騒音)が抑制される。なお、本実施形態では、第3吸引孔47の開口部の一方側に面取り部47aを形成したが、この構成に限定されず、例えば、第3吸引孔47の開口部の他方側に面取り部を形成してもよい。さらには、第3吸引孔47の開口部の両方に面取り部を形成してもよい。
媒体支持部27の第1収容凹部41内には、媒体支持部27とは別体構成であって、板状の支持部材である第1支持部材48が配置されている。また、媒体支持部27の第2収容凹部44内には、媒体支持部27及び第1支持部材48とは別体構成であって、板状の支持部材である第2支持部材49が配置されている。なお、第1支持部材48は、第2支持部材49よりも搬送方向Fにおける長さが長い。
第1支持部材48の厚み(上下方向Zにおける)寸法は、第1収容凹部41の深さ寸法と同じである。従って、第1収容凹部41内に配置された第1支持部材48の表面(頂部面)の高さは、媒体支持部27の上端面27aの高さと同じである。同様にして、第2支持部材49の厚み(上下方向Zにおける)寸法は、第2収容凹部44の深さ寸法と同じである。従って、第2収容凹部44内に配置された第2支持部材49の表面(頂部面)の高さは、媒体支持部27の上端面27aの高さと同じである。以上により、本実施形態では、第1支持部材48の表面と第2支持部材49の表面と媒体支持部27の上端面27aとが面一となるように構成されている。
媒体支持部27の幅方向Xにおける両端側には、一対の媒体押さえ部材51が取り付けられている。なお、図3では、一方の媒体押さえ部材51Mのみを図示している。媒体押さえ部材51は、係止爪51a,51bを有している。そして、媒体押さえ部材51の係止爪51aは媒体支持部27の係止凹部42に係止されている一方、係止爪51bは媒体支持部27の搬送方向下流側の端部に係止されている。
図4に示すように、対をなす媒体押さえ部材51のうち、一方の媒体押さえ部材51Mは、係止凹部42に沿って幅方向Xに移動可能になっている。また、他方の媒体押さえ部材51Fは、媒体支持部27の幅方向Xにおける第1端側(図1では右端側)に固定されている。
なお、媒体支持部27上には、幅方向Xにおける長さ(幅)が異なる用紙Sが搬送される場合があるが、何れの場合にも用紙Sは幅方向Xの第1端側(図4では右端側)に寄せた状態で搬送される。そのため、用紙Sを搬送する場合には、その用紙Sの幅方向Xにおける第1端側の端部が、上下方向Zにおいて媒体支持部27と媒体押さえ部材51Fとの間に配置されるようにする。
また、媒体押さえ部材51Mを幅方向Xに移動させることで、用紙Sの幅方向Xにおける第2端側(図4では左端側)の端部が、上下方向Zにおいて媒体支持部27と媒体押さえ部材51Mとの間に配置されるようにする。なお、媒体押さえ部材51は、用紙Sの印刷が行われない余白部分と重なるように配置するのが好ましい。
媒体支持部27の第1収容凹部41内に収容された第1支持部材48には、複数(本実施形態では4つ)のねじ孔48aが形成されている。なお、4つのねじ孔48aは、平面視において略矩形状をなす第1支持部材48の四隅と対応する位置に配置されている。そして、第1支持部材48は、ねじ孔48aに挿通されるねじSC1によって、媒体支持部27にねじ止めされている。
媒体支持部27の第2収容凹部44内に収容された第2支持部材49には、複数(本実施形態では3つ)のねじ孔49aが幅方向Xに並ぶように形成されている。そして、第2支持部材49は、3つのねじ孔49aのうち2つのねじ孔49aに挿通されるねじSC2によって、媒体支持部27にねじ止めされている。
媒体支持部27において第1収容凹部41の内底部41aには、2つ以上の第1吸引孔45が幅方向Xに並ぶように所定の間隔で設けられている。また、第1収容凹部41内には、2つ以上の第1支持部材48が幅方向Xに並ぶように配置されている。第1支持部材48は、幅方向Xにおける長さが媒体支持部27よりも短い板状部材である。そして、第1支持部材48は、第1吸引孔45の開口中心を通るとともに幅方向Xに延びる直線を対称軸AX1とする線対称な形状の支持面48bを有している。
第1支持部材48は、用紙Sを支持可能なリブRB1を形成する3つのリブ形成部53である第1リブ形成部53aと、第2リブ形成部53bと、第3リブ形成部53cとを有している。なお、媒体支持部27において、各リブ形成部53は幅方向Xに並ぶように配置される。
また、第1支持部材48は、幅方向Xにおいて隣り合う2つのリブ形成部53の搬送方向Fにおける端部同士を接続する接続部54(54a,54b,54c),55(55a,55b,55c)を有している。すなわち、第1支持部材48は、第1上流側接続部54aと、第2上流側接続部54bと、第3上流側接続部54cとを有している。
第1上流側接続部54aは、第1リブ形成部53a及び第2リブ形成部53bの搬送方向Fにおける上流側の端部同士を接続している。第2上流側接続部54bは、第2リブ形成部53b及び第3リブ形成部53cの搬送方向Fにおける上流側の端部同士を接続している。
また、第1支持部材48は、第1下流側接続部55aと、第2下流側接続部55bと、第3下流側接続部55cとを有している。第1下流側接続部55aは、第1リブ形成部53a及び第2リブ形成部53bの搬送方向Fにおける下流側の端部同士を接続している。第2下流側接続部55bは、第2リブ形成部53b及び第3リブ形成部53cの搬送方向Fにおける下流側の端部同士を接続している。
第1支持部材48のリブ形成部53及び接続部54,55は、幅方向Xに並ぶ複数の開口部56(56a,56b,56c)を形成している。すなわち、第1リブ形成部53a、第2リブ形成部53b、第1上流側接続部54a及び第1下流側接続部55aは、開口部56aを形成している。また、第2リブ形成部53b、第3リブ形成部53c、第2上流側接続部54b及び第2下流側接続部55bは、開口部56bを形成している。
第1支持部材48の第3上流側接続部54c及び第3下流側接続部55cは、幅方向Xの一方側(図4では右方側)に別の第1支持部材48が隣接するように配置された場合に、その別の第1支持部材48に形成された第1リブ形成部53aと並ぶことで、第3リブ形成部53cとともに開口部56cを形成する。
リブ形成部53の搬送方向上流側の端部同士を接続する上流側接続部54の搬送方向Fにおける下流側の端部54Eは、搬送方向F及び幅方向Xの双方と交差する傾斜方向SK1に延びている。
また、リブ形成部53の搬送方向下流側の端部同士を接続する下流側接続部55の搬送方向Fにおける上流側の端部55Eは、搬送方向F及び幅方向Xの双方と交差する傾斜方向SK2に延びている。なお、端部55Eと端部54Eは対称軸AX1に対して線対称な形状なので、端部55Eの傾斜方向SK2は、端部54Eの傾斜方向SK1と交差する方向である。
そのため、開口部56を形成するリブ形成部53は、幅方向Xにおいて、開口部56の一方側(図4では右方側)に位置するリブ形成部53の他端側(図4では左端側)よりも、開口部56の他方側(図4では左方側)に位置するリブ形成部53の一端側(図4では右端側)の方が、搬送方向Fにおける下流側まで延びている。
一方、媒体支持部27において第2収容凹部44の内底部44aには、2つ以上の第3吸引孔47が幅方向Xに並ぶように所定の間隔で設けられている。また、第2収容凹部44内には、2つ以上の第2支持部材49が幅方向Xに並ぶように配置されている。第2支持部材49は、支持面49bを有するとともに、幅方向Xにおける長さが媒体支持部27よりも短い板状部材である。なお、第1支持部材48と第2支持部材49とは、幅方向Xにおける長さがほぼ等しい。
第2支持部材49は、用紙Sを支持可能なリブRB2を形成する3つのリブ形成部57である第1リブ形成部57aと、第2リブ形成部57bと、第3リブ形成部57cとを有している。なお、第2支持部材49において、各リブ形成部57は幅方向Xに並ぶように配置される。また、各リブ形成部57の搬送方向上流側の端部は、第2収容凹部44の搬送方向上流側の内側壁44bの近くまで延びている。
第2支持部材49は、幅方向Xにおいて隣り合う2つのリブ形成部57の搬送方向Fにおける下流側の端部同士を接続する下流側接続部58である第1下流側接続部58aと、第2下流側接続部58bと、第3下流側接続部58cとを有している。第2下流側接続部58bは、第1リブ形成部57a及び第2リブ形成部57bの搬送方向Fにおける下流側の端部同士を接続している。また、第3下流側接続部58cは、第2リブ形成部57b及び第3リブ形成部57cの搬送方向Fにおける下流側の端部同士を接続している。
第1支持部材48は、リブ形成部53が幅方向Xに並ぶ2つの第1吸引孔45の間において搬送方向Fに延びるように第1収容凹部41内に配置されている。また、第1支持部材48は、開口部56が第1吸引孔45を囲むように第1収容凹部41内に収容されることで、開口部56と第1収容凹部41の内底部41aとで用紙Sを吸引するための第1吸引用凹部59を形成している。
一方、第2支持部材49は、リブ形成部57が幅方向Xに並ぶ2つの第3吸引孔47の間において搬送方向Fに延びるように第2収容凹部44内に配置されている。また、第2支持部材49は、リブ形成部57及び下流側接続部58が第3吸引孔47を囲むように第2収容凹部44内に収容されることで、用紙Sを吸引するための第2吸引用凹部60を形成している。
なお、幅方向Xに並ぶ2つの第2支持部材49は、幅方向Xの一方側(図1では右方側)に位置する第2支持部材49の第1リブ形成部57a及び第1下流側接続部58a並びに幅方向Xの他方側(図1では左方側)に位置する第2支持部材49の第3リブ形成部57cが第3吸引孔47を囲むことで、第2吸引用凹部60を形成する。
リブ形成部57の搬送方向下流側の端部同士を接続する下流側接続部58の搬送方向Fにおける上流側の端部58Eは、搬送方向F及び幅方向Xの双方と交差する傾斜方向SK3に延びている。なお、端部58Eの傾斜方向SK3は、端部55Eの傾斜方向SK2と平行をなす方向であり、端部54Eの傾斜方向SK1と交差する方向である。
そのため、第2吸引用凹部60を形成するリブ形成部57は、幅方向Xにおいて、第2吸引用凹部60の一方側(図4では右方側)のリブ形成部57の他端側(図4では左端側)よりも、第2吸引用凹部60の他方側(図4では左方側)のリブ形成部57の一端側(図4では右端側)の方が、搬送方向Fにおける下流側まで延びている。
幅方向Xにおいて最も第1端側(図4では右端側)に配置された第1支持部材48及び第2支持部材49は、幅方向Xの第1端側の端部が媒体押さえ部材51Fと上下方向Zにおいて重なる位置に配置されている。また、第1支持部材48及び第2支持部材49は、リブRB1とリブRB2とが搬送方向Fに並ぶように、幅方向Xにおける配置が設定されている。
なお、第1支持部材48において、ねじ孔48aは接続部54(54a,54c),55(55a,55c)に形成されている。また、第2支持部材49において、ねじ孔49aは接続部58(58a,58b,58c)に形成されているとともに、ねじSC2は第1下流側接続部58aと第2下流側接続部58bとに形成されたねじ孔49aに挿通されている。
次に、以上のように構成された液体噴射装置11の作用について説明する。
図5に示すように、液体噴射部32が用紙Sに対してインクを噴射するときには、排気ファン38が回転する。そして、媒体支持部27において、第1吸引孔45は媒体支持部27と第1支持部材48とによって形成される第1吸引用凹部59内に連通している。
そのため、排気ファン38の回転によって吸引室37及び負圧室36が負圧になると、開口が用紙Sによって覆われた第1吸引用凹部59内にもその負圧が及ぶ。すると、用紙SはリブRB1に支持された状態で第1吸引用凹部59内に吸引されることで、幅方向Xに波打つように小さく撓んだ状態で、第1支持部材48の支持面48bに吸着される。
そして、用紙Sは、吸引機構28の吸引力によって第1吸引用凹部59の配置に沿って幅方向Xに規則的に撓むことで、円筒状に巻かれることで長手方向に湾曲するようについた巻き癖が矯正される。
なお、用紙Sが巻き癖によって媒体支持部27から浮き上がっていると、用紙Sと液体噴射部32との離間距離がばらつくことでインクの着弾位置がずれ、印刷品質が低下する虞がある。その点、本実施形態では、用紙Sが媒体支持部27及び第1支持部材48に吸着されることで、用紙Sと液体噴射部32との離間距離のばらつきが抑制される。
ここで、用紙Sは転写紙なので、布帛等の被転写媒体を捺染するのに十分な量のインクを受容する必要があり、普通紙よりも膨潤による撓みの度合いが大きい。そして、用紙Sは印刷部分が膨潤すると、図4に一点鎖線の矢印で示すように凹凸が幅方向Xの端部側に向けて広がり、その端部付近では撓みが合成されてより大きく浮き上がってしまうことがある。そして、用紙Sの撓みが大きくなると、その影響が搬送方向上流側にまで及び、インクの着弾位置がずれてしまう虞がある。
また、幅方向Xの端部に余白を残す縁有り印刷では、端部で撓みを逃がすことができないために、膨潤によって幅方向Xの端部側が浮き上がる傾向がある。ちなみに、幅方向Xの端部に余白を残さない縁無し印刷であっても、用紙Sの幅方向Xにおける端部側に噴射されるインクの量が少ない場合などには、幅方向Xの端部側が浮き上がることがある。そして、撓みが合成された状態で用紙Sが媒体支持部27から浮き上がると、印刷面が液体噴射部32やキャリッジ31などに接触してしまう虞がある。
さらに、用紙Sは転写紙なので、被転写媒体へインク(転写用画像)を転移させるために、裏面側にインクが抜けないようにするコーティングが施されていることがある。そのため、インクの受容によって画像が形成されることで完成品となるコピー用紙のような普通紙と比較して、受容したインクが乾きにくいという特徴がある。そして、インクが乾かない状態で印刷面が液体噴射部32などに接触すると、その部分のインクがとれて、被転写媒体へ転写した画像の一部が欠損することで品質が低下してしまう。
その点、本実施形態では、図4に示すように用紙Sの幅方向Xにおける端部と重なる位置に媒体押さえ部材51が配置されているので、幅方向Xの端部における用紙Sの浮き上がりが抑制される。また、液体噴射部32よりも搬送方向下流側に配置された第2吸引孔46と第3吸引孔47は、インクを受容した用紙Sを吸引することで、用紙Sの浮き上がりを抑制する。
すなわち、図3に示すように、第3吸引孔47は媒体支持部27と第2支持部材49とによって形成される第2吸引用凹部60内に連通している。そのため、排気ファン38の回転によって吸引室37及び負圧室36が負圧になると、開口が用紙Sによって覆われた第2吸引用凹部60内にもその負圧が及ぶ。すると、用紙SはリブRB2に支持された状態で第2吸引用凹部60内に吸引されることで、媒体支持部27の上端面27a及び第2支持部材49の支持面49bに吸着される。
なお、こうした吸着によって用紙Sの膨潤による撓みを防ぐことができない場合にも、幅方向Xの端部付近における撓みの合成を抑制することで、用紙Sの浮き上がりを抑制して、印刷面が傷つかないようにすることが可能である。
図4に示すように、本実施形態では、媒体支持部27とは別体構成の支持部材48,49を媒体支持部27の収容凹部41,44内に配置することで、用紙Sを支持するリブRB1,RB2を形成している。そして、液体噴射部32と対向する位置にある第1収容凹部41内に収容された第1支持部材48は、四隅と対応する位置をねじ止めされているので、内底部41aから浮き上がることが抑制される。また、第1支持部材48に形成された開口部56で第1吸引用凹部59を形成しているので、第1吸引用凹部59内の負圧を保持し、より強力に用紙Sを吸引することが可能になる。
一方、第2支持部材49は、搬送方向Fの下流側の部位が媒体支持部27に対してねじ止めされている。また、第2支持部材49はリブ形成部57の搬送方向上流側の端部を接続する上流側接続部を有さず、リブ形成部57と、下流側接続部58と、第2収容凹部44の内側壁44bとで第2吸引用凹部60を形成している。すなわち、第2支持部材49は第1吸引用凹部59よりも搬送方向Fにおける長さが短い第2収容凹部44に収容するため、第1支持部材48よりも構成が簡素化されている。
なお、図3に示すように、ねじ孔48a,49aは、ねじSC1,SC2の頭部が支持面48b,49bから突出しないような大きさに形成されている。そのため、支持部材48,49を固定するためにねじSC1,SC2を用いても、用紙Sの先端がねじSC1,SC2に引っかかることが抑制される。
また、図4に示すように、支持部材48,49に形成された下流側接続部55,58の端部55E,58Eは傾斜方向SK2,SK3に延びているので、用紙Sの先端は端部55E,58Eの傾斜に案内されつつ、搬送方向Fに進む。このとき、用紙Sの幅方向Xにおける第2端側(図4における左端側)の角DEが端部55E,58Eに引っかかると、用紙Sの搬送不良が生じる虞がある。その点、端部55E,58Eは用紙の角DEを幅方向Xの外側に逃がす方向に延びているので、用紙Sの搬送不良が発生しにくくなる。
そして、本実施形態においては、1つの支持部材48,49を収容凹部41,44に配置することで、3つのリブRB1,RB2と2つの吸引用凹部59,60とが形成される。また、こうした支持部材48,49を幅方向Xに隣接するように並べることで、多数のリブRB1,RB2及び吸引用凹部59,60が幅方向Xの全幅にわたって形成される。
さらに、支持部材48,49は、リブ形成部53,57の大きさや配置が異なる別の支持部材に交換することで、媒体支持部27の設計を変更することなく、リブRB1,RB2の大きさや幅方向Xにおける間隔などを容易に変更することが可能になる。なお、リブ形成部53,57(リブRB1,RB2)の大きさとは、例えば、幅方向Xにおける長さである幅や上下方向Zにおける長さである厚さなどをいう。すなわち、支持部材48,49には、形状(リブ形成部53,57の大きさや配置)の異なる複数の支持部材のうち少なくとも1つが用いられる。
ただし、異なる複数の支持部材において、リブ形成部53,57の厚さの違いは、調整機構33によって調整される液体噴射部32のリブRB1に対する相対位置の調整範囲(本実施形態では、上下方向Zにおいて液体噴射部32が移動可能な距離の範囲)よりも小さい。そして、リブ形成部53,57の厚さが変化して、リブRB1,RB2の高さが支持面48b,49bよりも高くなった場合などには、調整機構33が液体噴射部32の高さを調整する。これにより、液体噴射部32と用紙Sとの離間距離がインクの噴射に適切な距離に保持される。
なお、こうしたリブRB1,RB2を媒体支持部27と一体に形成する場合には、リブRB1,RB2の形状を変更するのに多大な手間やコストがかかる。これに対して、板状の支持部材48,49は媒体支持部27よりも小型で加工がしやすいので、より簡易にリブRB1,RB2を形成したり、形状や配置を変更したりすることが可能である。
支持部材48,49は、媒体支持部27と同等の幅(幅方向Xにおける長さ)を有する長尺状の1つの部材とすることも可能である。ただし、支持部材48,49の幅方向Xにおける長さを媒体支持部27よりも短くすることで、加工が容易になる。さらに、支持部材48,49は、幅方向Xにおける長さを短くすることで、製造誤差が小さくなる。
加えて、第1支持部材48は幅方向Xに延びる直線を対称軸AX1とする線対称な形状を有しているので、その両面側(上面側と下面側)に同じ形状の支持面48bを形成しておけば、媒体支持部27に対する組み付け作業がより容易になる。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)搬送される用紙Sは第1吸引孔45と第2吸引孔46と第3吸引孔47とによって吸引されるため、安定した画像形成が可能となる。特に、液体噴射部32に対向して設けられた第1吸引孔45は、搬送方向Fの下流側に設けられた第2吸引孔46に比べ穴径が大きく形成される。このため、第1吸引孔45に対応する領域では、用紙Sが比較的強く吸引される。このため、液体噴射部32と用紙Sとの距離が均一化され、高画質の画像を形成することができる。
(2)媒体支持部27は収容凹部41,44内に第1吸引孔45及び第3吸引孔47を有する単純な形状としつつ、媒体支持部27とは別体構成でリブ形成部53,57を有する支持部材48,49を媒体支持部27の収容凹部41,44内に配置することで、用紙Sを支持するリブRB1,RB2を形成することができる。したがって、用紙Sを吸着させる媒体支持部27に設けられるリブRB1,RB2を簡易に形成することができる。
(3)2つ以上の支持部材48,49を収容凹部41,44内において幅方向Xに並ぶように配置することで、収容凹部41,44内に複数のリブRB1,RB2を形成することができる。すなわち、幅方向Xにおける長さが媒体支持部27よりも短い複数の支持部材48,49を用いることで、複数のリブRB1,RB2をより簡易に形成することができる。
(4)下流側接続部55,58は第1リブ形成部53a,57a及び第2リブ形成部53b,57bの搬送方向下流側の端部同士を接続するので、搬送される用紙Sはこの下流側接続部55,58を通過することになる。このとき、用紙Sが傾斜方向SK2に延びる下流側接続部55,58の搬送方向上流側の端部55E,58Eに沿って案内されることで、用紙Sの下流側接続部55,58への引っかかりが抑制される。
(5)支持部材48,49を収容凹部41,44に収容することで、吸引用凹部59,60を形成することができる。したがって、用紙Sを吸引するための吸引用凹部59,60を簡易に形成することができる。
(6)1つの支持部材48,49を媒体支持部27の収容凹部41,44に収容することで、幅方向Xに並ぶ3つのリブRB1,RB2と、幅方向Xに並ぶ2つの吸引用凹部59,60とを形成することができる。
(7)支持部材48,49は板状部材であるので、加工が容易である。また、第1支持部材48は、対称軸AX1を中心に反転させた状態で第1収容凹部41内に配置してもリブRB1を形成することができる。したがって、第1支持部材48を媒体支持部27の第1収容凹部41内に配置する作業を容易に行うことができる。
(8)リブ形成部53,57の形状や配置などが異なる別の支持部材を用いることで、媒体支持部27に形成されるリブRB1,RB2の配置や大きさなどを容易に変更することができる。また、リブ形成部53,57の大きさが変更された場合にも、調整機構33によって液体噴射部32の相対位置を調整することで、リブRB1,RB2に支持される用紙Sと液体噴射部32との離間距離を適切に保持することができる。
(変形例)
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、媒体案内部17の内部に加熱部としてのヒーターを備え、用紙Sに対して接触させながら加熱する構成としたが、これに限定されない。例えば、非接触式の加熱部を備えた構成であってもよい。図6は、変形例にかかる液体噴射装置の概略構成を示す断面図である。図6に示すように、媒体案内部17に対向した位置に非接触式の加熱部としての赤外線ヒーター100が配置されている。この場合、インクに含まれる成分に吸収され易い波長の赤外線を照射することにより、用紙Sに塗布されたインクを効率よく乾燥させることができる。なお、加熱部は、赤外線ヒーター100のみの設置でもよいし、赤外線ヒーター100と媒体案内部17の内部に設けられたヒーターとを備えた構成であってもよい。なお、赤外線ヒーター100以外の構成は上記実施形態の構成と同様なので説明を省略する。
・上記実施形態では、第1吸引孔45の開口部には面取り部45aが形成され、第3吸引孔47の開口部には面取り部47aが形成されたが、第2吸引孔46の開口部にも面取り部を形成してもよい。この場合、第2吸引孔46の開口部の一方側のみに面取り部を形成してもよいし、第2吸引孔46の開口部の両側に面取り部を形成してもよい。このようにすれば、第2吸引孔46を通じて空気が吸引された際に生じる騒音の発生を低減させることができる。
・媒体支持部27は、上端面27aの搬送方向Fにおける一端側が低くなるように傾斜した状態で配置されてもよい。この場合にも、調整機構33は液体噴射部32のリブRB1に対する相対位置を調整する。
・支持部材48,49のねじ孔48a,49aの位置は任意に変更してもよい。
・第2支持部材49は、3つのねじSC2によって媒体支持部27にねじ止めしてもよい。
・支持部材48,49を媒体支持部27に固定する方法は、ねじ止めに限らない。例えば、支持部材48,49を媒体支持部27に接着してもよいし、支持部材48,49を媒体支持部27に嵌め込むようにしてもよい。
・支持部材は、底部に吸引孔を形成した吸引用凹部を有する部材としてもよい。この場合には、支持部材の吸引孔を収容凹部41,44の第1吸引孔45及び第3吸引孔47と対応する位置に配置することで、支持部材の吸引用凹部内に負圧を及ぼすことができる。
・支持部材48,49を媒体支持部27の幅方向Xにおける長さと対応する長尺状の支持部材として、その支持部材1つを収容凹部41,44に収容するようにしてもよい。この場合には、支持部材48,49の媒体支持部27に対する配置作業を簡素化することができる。
・支持部材48,49の端部54E,55E,58Eが幅方向Xに延びるように形成されてもよい。
・第1支持部材48に設ける開口部56やリブ形成部53の数は任意に変更することができる。
・第2支持部材49に設けるリブ形成部57の数は任意に変更することができる。
・第2吸引孔46、第3吸引孔47、第2収容凹部44及び第2支持部材49を備えなくてもよい。
・媒体支持部27に収容凹部41,44を幅方向Xに並ぶように複数設け、各収容凹部41,44に異なる支持部材を配置してもよい。例えば、用紙Sの幅方向Xにおける端部とその内側とで、異なる支持部材を用いるようにしてもよい。この場合には、用紙Sの幅方向Xにおける端部と対応する位置に、用紙Sが引っかかりにくい形状の下流側接続部を有する支持部材を配置することで、用紙の搬送不良の発生を抑制することができる。
・第1収容凹部41と第2収容凹部44の搬送方向Fにおける長さが等しい場合などには、第1収容凹部41と第2収容凹部44とに同じ形状の支持部材を収容してもよい。
・調整機構33を備えなくてもよい。
・用紙Sは、予め所定の長さにカットされた単票紙であってもよい。
・用紙Sは、転写用媒体でなくてもよく、例えば、布帛など、最終的に画像を形成する物に直接インクを吐出してもよい。
・液体噴射装置は、主走査方向に移動するキャリッジ31を備えるシリアルプリンターに限らず、幅方向Xの全幅にわたって液体噴射部32が設けられたフルラインヘッド型のラインプリンターでもよい。
・上記各実施形態において、液体噴射装置は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置であってもよい。なお、液体噴射装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体は、液体噴射装置から噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体を含むものとする。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置がある。また、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置であってもよい。また、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置であってもよい。