JP2014092318A - グロープラグ及びグロープラグの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】グロープラグ100は、通電により発熱するヒータ130と、自身の軸線AXに沿う軸線方向HJに貫通する筒孔150hを有する筒状をなし、筒孔150h内にヒータ130を保持してなる外筒150と、軸線方向HJに延びる軸孔110hを有し、自身の先端側GSから軸孔110h内に外筒150を圧入して、外筒150を介してヒータ130を保持してなるハウジング110と、を備え、圧接面である外筒150の外周圧接面150fm及び軸孔110hの内周圧接面110fmの少なくとも一方は、軸線方向HJについて、圧入の際の摩擦を緩和させる潤滑剤を保持する凹部151が形成された凹部形成領域150f1と、相手方の圧接面と密着する凹部非形成領域150f2とを含む。
【選択図】図3
Description
具体的には、外筒をハウジングに圧入してグロープラグを構成する場合には、ハウジングと外筒との間の密着性を確保するため、両者の寸法精度のほか、面精度も良好に形成する必要があり、また、所定以上の長さの圧入代も確保する必要がある。しかし、両者が圧入段階で密着しすぎると、両者の間に介在する潤滑油(潤滑剤)が少なくなって、十分に潤滑できず、圧入時にかじりを生じて、外筒を十分に圧入することが困難となる。
特に、セラミックグロープラグの場合には、硬いセラミックヒータを圧入した外筒をハウジングに圧入するので、圧入時に外筒が変形(縮径)しにくいため、メタルグロープラグの場合に比して、「かじり」が発生しやすい。
そして、このような「かじり」が発生すると、たとえ圧入できたとしても、圧入後のハウジングと外筒との間の面圧の応力分布が軸線に沿う軸線方向及び軸線まわりの周方向について均一なものとはならず部分的な不均衡を生じる。このため、長期間にわたる使用で、外筒及びこれに保持されたヒータにひび割れを生じるなど、グロープラグの信頼性が低下するおそれがある。
これに対し、このグロープラグでは、圧接面である外筒の外周圧接面及びハウジングの軸孔の内周圧接面の少なくとも一方は、外筒をハウジングの軸孔内へ圧入する際の摩擦を緩和させる潤滑剤を保持する凹部が形成された凹部形成領域を含んでいる。なお、潤滑剤は液体状のもの(潤滑油)のほか、グリスのような半固体状のものや、ワックスのような固体状のものを含む。
これにより、凹部に保持された潤滑剤で摩擦が緩和され、かじりの発生を防止して、適切に圧入を行うことができるので、圧入後のハウジングと外筒との間の面圧の応力分布を均一なものとして、外筒やヒータにひび割れが生じにくく、信頼性の高いグロープラグとなる。
その一方で、圧接面は、凹部形成領域のほかに、凹部が形成されていない凹部非形成領域も有しているので、この凹部非形成領域で相手方の圧接面と密着し、外筒でハウジングの軸孔を気密に封止できる。また、これにより、ハウジングの先端から凹部を通じて、ハウジング内部に異物が侵入することも防止できる。
一方、凹部非形成領域の軸線方向の長さL2は、2mm以上である。これにより、凹部非形成領域の長さを確保して、ハウジングの軸孔と外筒とを確実に気密封止できる。
しかるに、このグロープラグでは、圧接面の少なくとも一方に凹部が形成されているので、セラミックグロープラグでありながらも、圧入時のかじりの発生を防止して、外筒を適切に圧入した信頼性の高いセラミックグロープラグとなる。
そして、外筒の外周圧接面とハウジングの内周圧接面の少なくとも一方は、軸線方向について、凹部形成領域と凹部非形成領域とを含んでいる。
このため、圧入の際に、この凹部からハウジングと外筒との間に潤滑剤が供給されるので、圧入時の摩擦が緩和される。これにより、圧入時の際のかじりの発生を防止することができ、信頼性の高いグロープラグを、歩留り良く製造することができる。
また、圧入荷重を低減させることができるので、圧入設備を小規模化し、製造コストを抑えて、グロープラグを製造することができる。
その一方で、凹部非形成領域が相手方の圧接面と密着してハウジングの軸孔を気密に封止できる。これにより、ハウジングの先端から凹部を通じて、ハウジング内部に異物が侵入することも防止できる。
また、主体金具110の金具基端部110kの外側には、外周面が六角柱状をなし、取り付け工具が係合する工具係合部113が形成されている。一方、この金具基端部110kの内側には、後端側GKに向かって軸孔110hを拡径するテーパ部115が形成され、軸孔110hの基端部は、大径孔110hkとされている。
一方、リング部材140のリング基端部140k内には、中軸120の中軸先端部120sが圧入され、リング部材140と中軸120とが電気的に接続している。さらに、リング部材140と中軸120とは、リング基端部140kと中軸先端部120sとの間に形成された溶接部149により、互いに固着されている。
しかるに、このグロープラグ100では、外周圧接面150fmは、上述の通り、凹部形成領域150f1の軸線方向HJ先端側GSに、凹部非形成領域150f2を有しており、この凹部非形成領域150f2で軸孔110hの内周圧接面110fmに密着している。これにより、外筒150で主体金具110の軸孔110hを気密に封止できる。しかも、グロープラグ100周囲の異物が、主体金具110の先端110ssから凹溝151gを通じて、グロープラグ100内部に侵入することも防止できる。
また、主体金具110の軸孔110hを気密に封止するには、凹部非形成領域150f2の軸線方向HJの長さL2は、2mm以上とするのが良い。本実施形態では、外周圧接面150fmのうち、その軸線方向HJ先端側GSを凹部非形成領域150f2として、長さL2を2.5mm以上確保している。
以上により、より信頼性の高いグロープラグ100が得られる。
これにより、凹部151(凹溝151g)に保持された潤滑剤で摩擦が緩和され、かじりの発生を防止して、適切に圧入を行うことができるので、圧入後の主体金具110と外筒150との間の面圧の応力分布を均一なものとして、外筒150やセラミックヒータ130にひび割れが生じにくく、信頼性の高いグロープラグ100となる。
その一方で、凹部形成領域150f1を含む外周圧接面150fmは、凹部形成領域150f1の軸線方向HJ先端側GSに、凹部151が形成されていない凹部非形成領域150f2も有しているので、この凹部非形成領域150f2が軸孔110hの内周圧接面110fmと密着し、外筒150で主体金具110の軸孔110hを気密に封止できる。また、これにより、主体金具110の先端110ssから凹部151(凹溝151g)を通じて、主体金具110内部に異物が侵入することも防止できる。
また、凹溝151gが、軸線方向HJに延びる直線状をなしているので、外筒150の圧入がスムーズになることに加えて、凹溝の形成も容易である。
一方、凹部非形成領域150f2の軸線方向HJの長さL2は、2mm以上(本実施形態では、2.5mm以上を確保)である。これにより、凹部非形成領域150f2の長さを確保して、主体金具110の軸孔110hと外筒150とを確実に気密封止できる。
しかるに、本実施形態のグロープラグ100では、外筒150の外周圧接面150fmに凹部151(凹溝151g)が形成されているので、セラミックグロープラグでありながらも、圧入時のかじりの発生を防止して、外筒150を適切に圧入した信頼性の高いセラミックグロープラグとなる。
まず、公知の手法により、丸棒状でヒータ先端部130sが半球状のセラミックヒータ130を得る。
その後、外筒150の筒孔150h内に、セラミックヒータ130をしまりばめに圧入し、外筒150と電極取出部138とを導通する。これにより、セラミックヒータ130、リング部材140及び外筒150が一体とされて、セラミックヒータ130が外筒150に保持される。
これにより、主体金具110の軸孔110h内に、外筒150の外筒基端部150kがしまりばめに圧入され、主体金具110の金具先端部110sに、外筒150を介して、中軸120と一体とされたセラミックヒータ130が保持される。また、中軸120の中軸基端部120kは、主体金具110の金具基端部110kから後端側GKに向けて突出する。
かくして、グロープラグ100が完成する。
そして、外筒150の外周圧接面150fmは、軸線方向HJについて、潤滑剤を保持する凹部151(凹溝151g)が形成された凹部形成領域150f1と、凹部151が形成されておらず、主体金具110の軸孔110hの内周圧接面110fmと密着し、外筒150で主体金具110の軸孔110hを気密に封止する凹部非形成領域150f2とを含んでいる。
このため、圧入の際に潤滑剤が凹部151(凹溝151g)に保持されて、この凹部151から、主体金具110と外筒150との間に潤滑剤が供給されるので、圧入時の摩擦が緩和される。これにより、圧入の際のかじりの発生を防止することができ、信頼性の高いグロープラグ100を、歩留り良く製造することができる。
また、圧入荷重を低減させることができるので、圧入設備を小規模化し、製造コストを抑えて、グロープラグ100を製造することができる。
その一方で、凹部非形成領域150f2が軸孔110hの内周圧接面110fmと密着して、外筒150で主体金具110の軸孔110hを気密に封止できる。これにより、主体金具110の先端110ssから凹部151(凹溝151g)を通じて、主体金具110内部に異物が侵入することも防止できる。
次に、上述の実施形態の変形形態について、図5及び図6を参照して説明する。上述の実施形態では、図3及び図4に示したように、凹部151として、外周圧接面150fmに、軸線方向HJに延びて、軸線AXまわりの周方向HRについて均等に配置された複数の直線状の凹溝151gを設けた外筒150を用いた。
これに対し、図5及び図6(a)に示す第1の変形形態(変形形態1)では、凹部251として、外周圧接面250fmに、周方向HR及び軸線方向HJに延びる多重螺旋状の凹溝251gを形成した外筒250を用いる。
このような多重螺旋状の凹溝251gも、その凹部形成領域250f1における配置が、軸線方向HJ及び周方向HRについて均等である。このため、外筒250を主体金具110に圧入する際に、その圧入の方向である軸線方向HJに、凹溝251g内に保持した潤滑剤が移動し、外筒250と主体金具110との間の界面に潤滑剤が供給されて、圧入時の摩擦が緩和される。また、圧入後の主体金具110と外筒250との間の面圧の応力分布が軸線方向HJ及び周方向HRについて、部分的な不均衡が生じるのを抑えて、均一なものとすることができる。したがって、実施形態と同様の作用効果を奏して、信頼性の高いグロープラグ100となる。
また、この他、凹部形成領域250f1の軸線方向HJ先端側GSに、凹部251が形成されていない凹部非形成領域250f2を有している点も、実施形態と同様であり、主体金具110の軸孔110hを気密に封止できる。
図6(b)に示す変形形態2では、凹部351として、軸線方向HJに一定の間隔をなして複数配置され周方向HRに延びる環状の凹溝を設けている。
また、図6(d)のあや目状に交差した凹溝551(変形形態4)や、図6(e)のヘリングボーン状の凹溝651(変形形態5)を軸線方向HJ及び周方向HRについて、均等に配置したものを設けても良い。
また、図6(f)の半球状の窪み751を軸線方向HJ及び周方向HRについて、格子状に配置しても良い(変形形態6)。
これらの変形形態1〜6も、実施形態と同様に、凹部に保持された潤滑剤で摩擦が緩和され、かじりの発生を防止して、適切に圧入を行うことができ、信頼性の高いグロープラグ100となる。
一方、実施形態(及び変形形態1〜6)の凹部形成領域150f1及び凹部非形成領域150f2を外筒150の外周圧接面150fmに設けた場合には、かじり防止と気密封止の双方の観点から、凹部非形成領域150f2を凹部形成領域150f1よりも軸線方向HJ先端側GSに設けるのが好ましい。
例えば、主体金具の内周圧接面が、図7(a)に示す変形形態7と同様の形態を有する場合には、図8に示すように、外筒850の外周面850mの外周圧接面850fmのうち、軸線方向HJ後端側GKに凹部非形成領域850f2を設け、その先端側GSに凹部形成領域850f1を設ける。
例えば、実施形態では、グロープラグ100として、セラミックヒータ130を備えたいわゆるセラミックグロープラグを例示したが、これに限られず、金属製のシース内に発熱コイル、あるいは発熱コイル及び制御コイルを収容するヒータを備えたいわゆるメタルグロープラグに適用しても良い。
また、実施形態では、外筒150を、深絞り加工またはパイプ材を切断することにより円筒状に形成した場合を示したが、外筒150の形態はこれに限られず、例えば、図9に示すように、切削加工等により、外筒150の外筒先端部150sが外筒基端部150kよりも径小とされた二段形状に形成しても良い。
HJ 軸線方向
GS 先端側
GK 後端側
HR 周方向
100 グロープラグ
110,210,310 主体金具(ハウジング)
110h,210h,310h 軸孔
110hm (軸孔の)内周面
110fm,210fm,310fm 内周圧接面
210f1,310f1 凹部形成領域
210f2,310f2 凹部非形成領域
120 中軸
130 セラミックヒータ(ヒータ)
137,138 電極取出部
140 リング部材
150 外筒
150h 筒孔
150m,250m,850m (外筒の)外周面
150fm,250fm,850fm 外周圧接面
150f1,250f1,850f1 凹部形成領域
150f2,250f1,850f1 凹部非形成領域
151,251,351,451,551,651,751 凹部
151g,251g 凹溝(凹部)
Claims (10)
- 通電により発熱するヒータと、
自身の軸線に沿う軸線方向に貫通する筒孔を有する筒状をなし、上記ヒータの先端部を突出させた状態で、上記筒孔内に上記ヒータを保持してなる外筒と、
上記軸線方向に延びる軸孔を有し、自身の先端側から上記軸孔内に上記外筒を圧入して、圧接面である上記軸孔の内周面の内周圧接面と上記外筒の外周面の外周圧接面とを互いに圧接させて、上記外筒を介して上記ヒータを保持してなるハウジングと、を備え、
上記外筒の上記外周圧接面及び上記軸孔の上記内周圧接面の少なくとも一方は、上記軸線方向について、
上記圧入の際の摩擦を緩和させる潤滑剤を保持する凹部が形成された凹部形成領域と、
上記凹部が形成されておらず、相手方の上記圧接面と密着し、上記外筒で上記ハウジングの上記軸孔を気密に封止する凹部非形成領域と、を含む
グロープラグ。 - 請求項1に記載のグロープラグであって、
前記凹部は、
前記軸線方向及び前記軸線まわりの周方向のうち少なくとも上記軸線方向に延びる線状の複数の凹溝を含む
グロープラグ。 - 請求項2に記載のグロープラグであって、
前記凹溝は、前記軸線方向に延びる直線状をなす
グロープラグ。 - 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のグロープラグであって、
前記凹部形成領域の前記軸線方向の長さL1は、前記圧接面の上記軸線方向の長さLの30%以上であり、
前記凹部非形成領域の上記軸線方向の長さL2は、2mm以上である
グロープラグ。 - 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のグロープラグであって、
前記凹部形成領域は、前記凹部が、前記軸線方向及び前記軸線まわりの周方向の少なくともいずれかについて均等に配置されてなる
グロープラグ。 - 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のグロープラグであって、
前記外筒の前記外周圧接面に、前記凹部形成領域及び前記凹部非形成領域を有する
グロープラグ。 - 請求項6に記載のグロープラグであって、
前記外筒の前記外周圧接面において、前記凹部非形成領域は、前記凹部形成領域の前記軸線方向先端側に位置する
グロープラグ。 - 請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のグロープラグであって、
前記ヒータは、セラミックヒータである
グロープラグ。 - 通電により発熱するヒータと、
自身の軸線に沿う軸線方向に貫通する筒孔を有する筒状をなし、上記ヒータの先端部を突出させた状態で、上記筒孔内に上記ヒータを保持してなる外筒と、
上記軸線方向に延びる軸孔を有し、上記軸孔内に、上記外筒を上記ハウジングの先端側から圧入して、圧接面である上記軸孔の内周面の内周圧接面と上記外筒の外周面の外周圧接面とを互いに圧接させて、上記外筒を介して上記ヒータを保持してなるハウジングと、を備えるグロープラグの製造方法であって、
上記外筒の上記外周圧接面及び上記軸孔の上記内周圧接面の少なくとも一方は、上記軸線方向について、上記圧入の際の摩擦を緩和させる潤滑剤を保持する凹部が形成された凹部形成領域と、上記凹部が形成されておらず、相手方の上記圧接面と密着し、上記外筒で上記ハウジングの上記軸孔を気密に封止する凹部非形成領域と、を含み、
上記筒孔内に上記ヒータを保持した上記外筒を、上記ハウジングの上記軸孔内に、上記凹部に上記潤滑剤を保持させつつ圧入する外筒圧入工程を備える
グロープラグの製造方法。 - 請求項9に記載のグロープラグの製造方法であって、
前記外筒の前記外周面及び前記ハウジングの前記軸孔の前記内周面のうち、少なくとも前記凹部形成領域に前記潤滑剤を塗布する塗布工程を備える
グロープラグの製造方法。
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