JP4960183B2 - グロープラグの製造方法 - Google Patents

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本発明は、ディーゼルエンジンの始動の補助に用いるグロープラグの製造方法に関するものである。
セラミックヒータを用いたグロープラグが知られている。こうしたグロープラグでは、セラミックヒータをヒータ保持部材に保持させ、そのヒータ保持部材を主体金具と接合することにより、セラミックヒータと主体金具とを一体化している。
このようなヒータ保持部材(金属製筒状体)には、内燃機関の取付孔(エンジンヘッドのプラグ取付け穴)にグロープラグを取り付ける際にガス抜け防止のシーリングを行えるように、外周にテーパ状の係止部(環状凸部の先端向き端面)を有したものがある(例えば特許文献1参照)。そして、主体金具に設けたねじ山(オスネジ部)を取付孔に螺合させて取り付ける際に、係止部を取付孔に設けた段部(環状座面)に当接させて、シーリングを行う。
特開2004−205148号公報
しかしながら、従来のグロープラグでは、筒状の金属管からの削り出しによる主体金具の成形が行われている。ここで使用している金属管は引き抜き材(シームレスパイプ)であり、肉厚を高い精度で管理することが難しい。この金属管に対し、外周面のみの加工を行っているため、加工後の主体金具にも肉厚の偏り(いわゆる偏肉)が残ってしまう虞があった。なお、外周面に対応した内周面の加工を施すことで肉厚の精度を高めることが可能であるが、これを行うと生産コストが上がってしまう。偏肉が生ずると、主体金具とヒータ保持部材との接合を行うにあたって主体金具をヒータ保持部材に圧入により嵌め込んだ際に、両者間で軸ずれを生ずる場合がある。主体金具は、その外周面に形成されたねじ山が取付孔の雌ねじと螺合することで取付孔に対し位置決めされるため、軸ずれが生じたまま溶接してしまうと、完成したグロープラグをエンジンに取り付けた際に、取付孔の段部とヒータ保持部材の係止部との間の当接面がずれ、気密性の低下を招く虞があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、主体金具を作製する際の偏肉を抑制し、主体金具とヒータ保持部材との間で生じ得る軸ずれを防止することで、取付孔を介した気密の維持をより確実に行うことができるグロープラグの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明のグロープラグの製造方法は、筒状をなし、内燃機関の取付孔内に設けられる雌ねじと螺合するねじ山が自身の外周面上に形成された主体金具と、通電によって発熱する発熱抵抗体を自身の先端側の内部に有するヒータ部材と、前記ヒータ部材の先端側を露出させた状態でそのヒータ部材の周囲を取り巻いて前記ヒータ部材を保持するヒータ保持部材であって、自身の後端側に、前記主体金具の先端部が圧入により嵌合される後端嵌合部を有すると共に、自身の外周に、前記内燃機関の前記取付孔内に設けられる段部に係止して取付孔を介した気密の維持を行う係止部を有するヒータ保持部材とを備えたグロープラグの製造方法であって、炭素の含有量が0.30重量%以下である中実の鋼材を鍛造により筒状に成形し、さらにその外周面上に前記ねじ山を形成して前記主体金具を形成する金具形成工程と、前記ヒータ部材を保持した前記ヒータ保持部材の前記後端嵌合部に、前記主体金具の前記先端部を圧入により嵌合し、両者の合わせ部位にレーザ溶接を施すことにより、前記ヒータ保持部材と前記主体金具とを一体に接合する金具接合工程とを有することを特徴とする。
また、請求項2に係る発明のグロープラグの製造方法は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記主体金具の前記先端部は、前記ヒータ保持部材の前記後端嵌合部に対し、外嵌めにより嵌合することを特徴とする。
請求項1に係る発明のグロープラグの製造方法では、鍛造により主体金具を作製するので、成形時に使用する金型の形状に合わせて精確な加工を行うことができ、金属管からの切削により主体金具を作製した場合と比べ、主体金具の成形精度を高くすることができる。このとき、主体金具のもととなる鋼材は、炭素の含有量が0.30重量%以下であり、比較的容易に塑性変形を行うことができるため、肉厚の偏り(偏肉)の発生を抑制することができる。この主体金具は、自身の先端部をヒータ保持部材の後端嵌合部に圧入により嵌合した上で自身とヒータ保持部材との接合が行われるため、上記のように主体金具の偏肉の発生を抑制することで、接合後における主体金具とヒータ保持部材との軸ずれの発生を十分に抑制することができる。ここで、グロープラグを内燃機関の取付孔に取り付ける際に、主体金具は、自身のねじ山が取付孔の雌ねじと螺合することによって、自身と取付孔との軸合わせがなされることとなる。従って、上記のようにヒータ保持部材と主体金具との軸ずれの発生を抑制することにより、取付孔とヒータ保持部材との軸合わせもなされ、ヒータ保持部材の係止部と、取付孔の段部との当接面同士のずれの発生を防止することができるので、両者の密着性を高め、取付孔を介した気密の維持を、より確実に行うことができる。
ところで、上記のように炭素の含有量が0.30重量%以下の比較的柔らかい鋼材は塑性加工を施しやすいが、この鋼材から形成される主体金具は、形成後の硬度が低くなることが懸念される。しかし、請求項1に係る発明では鍛造により主体金具の形成を行うので、鍛造に伴う加工硬化によって主体金具の硬度を十分に高めることができる。また、主体金具の炭素の含有量が0.30重量%以下と少なくなれば、ヒータ保持部材とのレーザ溶接を行うにあたって溶融しやすく、溶接性が高まるので、主体金具とヒータ保持部材との溶接後の接合強度を高めることができる。さらに、主体金具側の偏肉の防止によって、主体金具とヒータ保持部材との合わせ部位の外周面において段差を生じにくくすることができ、取付孔へのグロープラグの挿入容易性を阻害しない規格通りの外径に仕上げることが容易となるため、歩留まりを向上することができる。また、主体金具の作製において、切削による加工は切削刃の消耗による交換を頻繁に行う必要が生ずるが、鍛造による加工であれば切削刃が必要とならず、大量生産するほど生産コストを低減できる。
また、ヒータ保持部材はヒータ部材の周囲を取り巻く形態として形成されるが、このヒータ保持部材への主体金具の嵌合を内嵌めにより行うこととした場合、主体金具の先端部には凸状の加工(先端部の外径を胴部分よりも小さくしてヒータ保持部材の内周側に挿入できるようにする加工)が必要となる。主体金具を作製する上でこの加工が追加されることにより、製造コストが高くなってしまう虞がある。そして嵌合後において、ヒータ保持部材には主体金具により外向きに緩められる力(内径を広げる方向に働く力)が掛かるため、自身の内周側にてヒータ部材を保持する力が低下する虞がある。また、主体金具の軸孔内にはヒータ部材の電極を取り出すための中軸が挿通される。主体金具に偏肉があった場合、ヒータ保持部材の中心軸に対し、主体金具の外周面に対応する中心軸の軸合わせがなされたとしても、主体金具の内周面に対応する中心軸がずれるため、主体金具の内周面と中軸の外周面とが接触する虞がある。そこで、請求項2に係る発明のように、主体金具をヒータ保持部材に外嵌めで嵌合するようにすれば、ヒータ保持部材には主体金具により内向きに押さえられる力(内径を窄める方向に働く力)が掛かるため、ヒータ保持部材によるヒータ部材の保持を補助することができる。また、外嵌めであれば、主体金具の内周面がヒータ保持部材の後端嵌合部における外周面よりも内側に配置されることがないので、例え主体金具に偏肉が生じたとしても、主体金具と中軸との間のクリアランスを十分に確保することができる。
以下、本発明を具体化したグロープラグの製造方法の一実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、一例として、本発明の製造方法により製造されるグロープラグ100の構造について、図1を参照して説明する。図1は、グロープラグ100の縦断面図である。なお、軸線O方向において、セラミックヒータ20の配置された側(図1における下側)をグロープラグ100の先端側として説明する。
図1に示すグロープラグ100は、例えば直噴式ディーゼルエンジン150の取付孔155に取り付けられ、エンジン150始動時の点火を補助する熱源として利用される。グロープラグ100は、内部に発熱抵抗体27を有するセラミックヒータ20をヒータ保持部材80で径方向に保持し、このヒータ保持部材80を主体金具40に接合することでエンジン150への取り付けが可能な構造を有する。
まず、セラミックヒータ20について説明する。セラミックヒータ20は丸棒状をなし、先端部22が半球状に曲面加工された絶縁性セラミックからなる基体21の内部に、導電性セラミックからなる断面略U字状の発熱素子24が埋設された構造を有する。発熱素子24は、セラミックヒータ20の先端部22に配置され、その曲面にあわせて両端が略U字状に折り返された発熱抵抗体27と、その発熱抵抗体27の両端にそれぞれ接続され、セラミックヒータ20の後端部23に向けて軸線Oに沿って略平行に延設されたリード部28,29とから構成される。発熱抵抗体27は、その断面積がリード部28,29の断面積よりも小さくなるように成形されており、通電時、主に発熱抵抗体27において発熱が行われる。グロープラグ100がエンジン150の取付孔155に取り付けられた際には、この発熱抵抗体27が配置されているセラミックヒータ20の先端部22が、燃焼室160内に露出される。また、セラミックヒータ20の中央より後端側の外周面には、リード部28,29のそれぞれから突出された電極取出部25,26が、軸線O方向において互いにずれた位置にて露出されている。なお、セラミックヒータ20が、本発明における「ヒータ部材」に相当する。
次に、ヒータ保持部材80について説明する。ヒータ保持部材80は軸線O方向に延びる円筒状の金属部材からなり、自身の筒孔84内にてセラミックヒータ20の胴部分を径方向に保持するための金具である。セラミックヒータ20を保持したときに、その先端部22および後端部23をそれぞれ筒孔84の両端から露出させている。ヒータ保持部材80の胴部81の後端側には肉厚の鍔部82が形成されており、胴部81と鍔部82との間がテーパ状の係止部85で接続されている。この係止部85は、グロープラグ100がエンジン150の取付孔155に取り付けられた際に、その取付孔155内に設けられる段部156に係止され、取付孔155を介した燃焼室160内の気密漏れを防止する。
また、鍔部82の後端には、後述する主体金具40との接合を行うため、主体金具40の先端部41を外嵌めにて圧入により嵌合させる段状の金具嵌合部83が形成されている。セラミックヒータ20の電極取出部25,26のうち先端側に形成された電極取出部25は、このヒータ保持部材80の筒孔84内周面に接触されており、電極取出部25とヒータ保持部材80とが電気的に接続されている。
また、ヒータ保持部材80の金具嵌合部83から後端側に露出されたセラミックヒータ20の後端部23には、金属製で筒状の接続リング75が嵌合されている。セラミックヒータ20の電極取出部26は、この接続リング75の内周面に接触されており、電極取出部26と接続リング75とが電気的に接続されている。そして、主体金具40の先端部41がヒータ保持部材80の金具嵌合部83に接合し、主体金具40とヒータ保持部材80とが電気的に接続される。このとき、セラミックヒータ20の後端部23および接続リング75が主体金具40内に配置されるが、セラミックヒータ20と主体金具40とがそれぞれヒータ保持部材80に位置決めされ、主体金具40と接続リング75とが非接触の状態で維持されるので、両者は電気的に絶縁される。
次に、主体金具40について説明する。主体金具40は、軸線O方向に貫通する軸孔43を有する筒状の金属部材であり、外周面45には中胴部44の後端側にねじ山が形成されたねじ部42が設けられている。このねじ部42は、グロープラグ100をエンジン150の取付孔155に取り付けた際に、その取付孔155に設けられる雌ねじ157と螺合して、グロープラグ100の固定を行うものである。また、中胴部44の後端には、エンジン150へのグロープラグ100の取り付けの際に使用される工具が係合する工具係合部46が形成されている。工具係合部46は断面六角形状をなし、その工具係合部46内で軸孔43は拡径され、主体金具40の後端側の開口に繋がっている。また、ヒータ保持部材80の金具嵌合部83に圧入により嵌合される主体金具40の先端部41は、その内周が金具嵌合部83の外周に密着しており、さらに外周から両者の合わせ部位がレーザ溶接されて、主体金具40とヒータ保持部材80とが一体に接合されている。
次に、中軸30について説明する。中軸30は軸線O方向に延び、その長さが主体金具40の軸線O方向の長さよりも長く形成された金属棒であり、主体金具40の軸孔43内に挿通される。中軸30の先端部31には、その先端に、接続リング75の内周に係合するため小径のリング係合部34が形成されている。このリング係合部34を接続リング75に係合させることで、セラミックヒータ20と中軸30とが接続リング75を介して軸線Oに沿って一体に連結される。これにより中軸30は、接続リング75を介し、セラミックヒータ20の電極取出部26と電気的に接続されている。なお、中軸30の先端部31と接続リング75は、外周から両者の合わせ部位がレーザにより溶接されることにより一体に接合される。そして上記したように、セラミックヒータ20と主体金具40とがそれぞれヒータ保持部材80に位置決めされるので、主体金具40の軸孔内で中軸30と主体金具40とは非接触の状態で維持され電気的に絶縁される。
また、中軸30の後端部32は、その一部が主体金具40の後端よりも後方へ突出されている。この後端部32には、Oリング70と、挿通孔を有する円筒状で絶縁性の支持リング60とが嵌め込まれている。Oリング70は、例えばフッ素ゴム、アクリルゴム、シリコンゴム等、絶縁性を有する弾性部材から環状に形成されている。支持リング60は主体金具40の軸孔43の拡径された部位に押し込まれるように配置され、自身に挿通された中軸30の位置決めと、中軸30と主体金具40との間の絶縁を担っている。Oリング70は支持リング60の先端面に押圧されて、主体金具40の軸孔43の内周面と中軸30の後端部32の外周面とに密着され、主体金具40の内部を封止している。そして、中軸30の後端部32で主体金具40の後端よりも後方へ突出された部分には、端子金具50が嵌合されている。グロープラグ100がエンジン150に取り付けられた際に、この端子金具50に図示外のプラグキャップが嵌められ、外部回路から電力が供給される。
このような構造を有する本実施の形態のグロープラグ100では、その製造過程において、主体金具40とヒータ保持部材80とをレーザ溶接する前に、ヒータ保持部材80の金具嵌合部83に主体金具40の先端部41を外嵌めにて嵌合させている。エンジン150の取付孔155との間のクリアランスを全周にわたって一定となるようにしたり、主体金具40とヒータ保持部材80との間の接合強度を高めたりするためには、外嵌めされる主体金具40の先端部41において、偏肉の発生をできる限り抑制することが好ましい。そこで本実施の形態では、主体金具40を構成する材料として、炭素の含有量が0.30重量%以下の比較的硬度の低い鋼材を用い、鍛造により、主体金具40の作製を行っている。
さらに、炭素の含有量が0.30重量%以下の比較的炭素量の少ない鋼材は、溶接時における溶接性を高めることができる。また、このような鋼材は比較的硬度が低いが、塑性加工を施しやすく、この加工(鍛造)に伴う加工硬化により、主体金具40の硬度を高めることができる。これらの相乗作用により、主体金具40とヒータ保持部材80と溶接後の接合強度を高めることができる。
このような中実の鋼材から鍛造による主体金具40の作製は、金属管からの切削による場合と較べ、より高い精度で主体金具40を作製することができる。ヒータ保持部材80の金具嵌合部83に対し外嵌めで嵌合する主体金具40の偏肉を抑えれば、接合後の主体金具40の外周面45に対応する中心軸とヒータ保持部材80の中心軸との軸ずれの発生を抑制することができる(なお、図1では両中心軸がグロープラグ100の軸線O上に一致した状態を示している)。エンジン150の取付孔155にグロープラグ100を取り付けるにあたって、主体金具40はねじ部42のねじ山を雌ねじ157と螺合するため、取付孔155との軸合わせがなされる。よって主体金具40とヒータ保持部材80との軸ずれの抑制により、取付孔155とヒータ保持部材80との軸合わせもなされ、ヒータ保持部材80の係止部85と取付孔155の段部156との当接面同士のずれの発生を抑制でき、両者の密着性を高め、取付孔155を介した燃焼室160内の気密の維持をより確実に行うことができる。この軸ずれの防止によって、グロープラグ100のエンジン150への取り付け時に、取付孔155へのグロープラグ100の挿入が妨げられにくい。
また、上記したように、円筒状のヒータ保持部材80は、自身の筒孔84内にてセラミックヒータ20の周囲を取り巻くように、その胴部分を径方向に保持する。ここで、ヒータ保持部材への主体金具の嵌合を内嵌めにより行うこととした場合、主体金具の先端部には、凸状の加工(先端部の外径を胴部分よりも小さくしてヒータ保持部材の内周側に挿入できるようにする加工)が必要となり、製造コストが高くなってしまう虞がある。そして嵌合後において、ヒータ保持部材には主体金具により外向きに緩められる力(内径を広げる方向に働く力)が掛かるため、自身の内周側にてセラミックヒータを保持する力が低下する虞がある。さらに主体金具に偏肉があった場合、ヒータ保持部材の中心軸に対し、主体金具の外周面に対応する中心軸の軸合わせがなされたとしても、主体金具の内周面に対応する中心軸がずれるため、主体金具の軸孔内に挿通される中軸の外周面と軸孔の内周面とが接触する虞がある。そこで本実施の形態ではヒータ保持部材80に対し主体金具40を外嵌めで嵌合する形態としており、こうした形態とすることで、ヒータ保持部材80には主体金具40により内向きに押さえられる力(内径を窄める方向に働く力)が掛かるため、ヒータ保持部材80によるセラミックヒータ20の保持を補助することができる。また、外嵌めであれば、主体金具40の軸孔43の内周面がヒータ保持部材80の金具嵌合部83における外周面よりも内側に配置されることがないので、例え主体金具40に偏肉が生じたとしても、主体金具40と中軸30との間のクリアランスを十分に確保することができる。
このように、炭素の含有量を0.30重量%以下とする鋼材を用いて精度よく作製した主体金具40を用い、ヒータ保持部材80との間での軸ずれを防止したグロープラグ100は、以下の製造過程を経て作製される。以下、図2〜図4を参照し、グロープラグ100の製造過程について説明する。図2は、主体金具40の製造過程である金具形成工程を示す図である。図3は、グロープラグ100の製造過程を示す図である。図4は、グロープラグ100の製造過程を示す図である。
[金具形成工程]
グロープラグ100の製造過程において、主体金具40は鍛造により作製される。図2に示す、金具形成工程では、まず、炭素含有量が0.30重量%以下の炭素鋼からなり、断面が円形状で丸棒状やコイル状に形成された中実の鋼材を所定の寸法に切断し、円柱状の中実体210を得る(第1工程)。この中実体210を第1の金型(図示外)にセットし、軸線P方向の両側から同一径のピン(図示外)で軸孔43(第6工程参照)のもととなる凹部221および凹部222を形成した中実体220を得る(第2工程)。そして中実体220を第2の金型(図示外)にセットし、凹部221,222を軸線P方向にさらに深く押し込んだ形態の凹部231,232を形成し、その凹部231と凹部232との間が厚みの薄い仕切部233で仕切られた形態となった中実体230を得る(第3工程)。
次に、中実体230を第3の金型(図示外)にセットし、パンチ(図示外)で仕切部233を打ち抜き、軸線P方向に貫通する軸孔241が形成された円筒状の筒状体240を得る(第4工程)。この筒状体240を第4の金型(図示外)にセットし、ピンの挿入により軸孔241の径を保持した状態で押し出し成形による絞り加工を行う。これにより、筒状体240の外周面245側に中胴部251、ねじ山の形成されていないねじ部252、断面六角形状の工具係合部253が形成され、軸孔254の後端側が拡径された絞り体250を得る(第5工程)。そして、絞り体250に対し切削加工を行い、ねじ部252へのねじ山の形成や、ねじ首の形成、工具係合部253の面取りなどを行う。さらに仕上げ処理(例えばめっきや塗装等の防錆処理)が施され、主体金具40として完成される(第6工程)。
[ヒータ形成工程]
こうして金具形成工程において作製された主体金具40を用い、グロープラグ100の作製が行われる。図3に示すように、まず、導電性のセラミック粉末やバインダ等を原料として射出成形し、セラミックヒータ20の発熱素子24の原形となる素子成形体351を形成する。一方、基体21の原形となる基体成形体352は、絶縁性セラミック粉末を原料に金型プレス成形を行い、素子成形体351が収容される凹部を自身の合わせ面に備えた2分割の成形体として形成する。そして基体成形体352の凹部に素子成形体351を挟んで収容し、プレス圧縮を行った後、脱バインダ処理、ホットプレス等の焼成工程を経て、その外周面を、先端が半球状の棒状に研磨して整形することで、セラミックヒータ20を形成する。
[ヒータ圧入工程]
次に、接続リング75は、ステンレス等の鋼材をパイプ状に成形し、セラミックヒータ20にその先端部22側から圧入嵌合させて電極取出部26(図1参照)の導通を図る。同様に、ヒータ保持部材80も所定の形状に成形し、セラミックヒータ20にその先端部22側から圧入嵌合させて電極取出部25(図1参照)の導通を図る。電気的な導通を安定化させるために接続リング75の内周面にはAuやCu等のめっきを施すとよい。
[中軸係合工程]
中軸30は、一定の寸法に切断された鉄系材料(例えば、Fe−Cr−Mo鋼)からなる棒状部材に塑性加工や切削等を行って形成する。そして、セラミックヒータ20と他部材(ヒータ保持部材80および接続リング75)とが一体となったヒータ一体部材350の接続リング75の内周に、中軸30の先端部31に設けたリング係合部34の外周を係合させる。
[中軸接合工程]
そして、中軸30の先端部31と接続リング75との合わせ部位に、外周からレーザを照射して溶接し、中軸30とヒータ一体部材350とを一体に接合した中軸一体部材360を得る。
[金具係合工程]
次に、図4に示すように、金具形成工程で作製された主体金具40の軸孔43内に、中軸一体部材360の中軸30を、後端部32側から挿通する。そして、主体金具40の先端部41を、ヒータ保持部材80の金具嵌合部83に、外嵌めにて圧入により嵌合させる。
[金具接合工程]
そして主体金具40とヒータ保持部材80との合わせ部位に外周からレーザを照射することでレーザ溶接を行い、中軸一体部材360のヒータ保持部材80と、主体金具40とを一体に接合する。主体金具40は含有する炭素量が0.30重量%以下であるため、溶接時の溶融性が高く、ヒータ保持部材80の材料との溶融部における材料の混ざり具合がより均一となり、より確実な溶接を行うことができる。
[端子組付工程]
その後、中軸30の後端部32にOリング70および支持リング60を係合し、主体金具40の軸孔43内の拡径された部位に収容する。さらに中軸30の後端部32に端子金具50を嵌め込み、この端子金具50で支持リング60を先端側に向けて押圧した状態で胴部分52の外周を加締めることで、端子金具50を中軸30に固定する。このような工程を経て、グロープラグ100が完成する。
[実施例1]
このような製造方法で作製されるグロープラグ100の主体金具40を、炭素の含有量が0.30重量%以下の鋼材から鍛造により形成したことで得られた効果を確認するため、切削により作製した場合との比較を行った。この比較試験では、炭素の含有量が0.30重量%の中実の鋼材を用い、上記した金具形成工程に従って鍛造により形成した主体金具のサンプルを用い、実施例相当のグロープラグを作製した。また、炭素の含有量が0.40重量%の鋼材から作製した金属管に対し、切削加工を施して形成した主体金具のサンプルを用い、比較例相当のグロープラグを作製した。なお、いずれのグロープラグも、主体金具の胴部分の外径の狙いの寸法が8.00mmとなるように、その設計を行った。そして各サンプルの主体金具に対し、その先端部における偏肉量(厚みの最も厚い部分と薄い部分との差)やビッカース硬さをそれぞれ測定した。また、それらの主体金具を用いて完成させたグロープラグに対し、主体金具とヒータ保持部材との合わせ部位(溶接部と称する。)における外径や破断強度(主体金具とヒータ保持部材とをそれぞれ固定し、両者間に捻りを加え、溶接部に破断が生じたときに印加していた力)をそれぞれ測定した。この比較試験の結果を表1に示す。
Figure 0004960183
表1に示すように、実施例相当の主体金具では、先端部における偏肉量が0.04mmであったのに対し、比較例相当の主体金具のサンプルでは、先端部における偏肉量が0.18mmとなり、鍛造による主体金具の形成を行うことで、成形精度を高めることができることを確認できた。
また、両者の先端部におけるビッカース硬さを測定したところ、実施例相当の主体金具では260Hvであったのに対し、比較例相当の主体金具では235Hvとなった。実施例相当の主体金具では炭素含有量が少なく、鋼材としての柔らかさは比較例相当の主体金具よりも柔らかくなるが、実施例相当の主体金具では鍛造に伴う加工硬化が得られるため、主体金具として形成後は、その硬度が実施例相当の主体金具よりも高くなることが確認できた。
また、主体金具の両サンプルを用いてそれぞれ作製したグロープラグでは、実施例相当のものは溶接部における外径が8.04mmとなったのに対し、比較例相当のものは、溶接部における外径が8.18mmとなった。つまり、狙いのグロープラグの外径、8.0.0mmに対し、偏肉が生じた分だけ主体金具とヒータ保持部材との間で軸ずれが生じ、偏肉量の分だけ、グロープラグとしての外径が大きくなることが確認できた。
さらに、主体金具の両サンプルを用いてそれぞれ作製したグロープラグの溶接部における破断強度を測定したところ、実施例相当のものは47N・mであったのに対し、比較例相当のものは40N・mであった。主体金具の炭素の含有量が少ないほどレーザ溶接によって溶融しやすく溶接性が高まり、また、鍛造時の加工硬化との相乗効果もあって、主体金具とヒータ保持部材との接合強度が高まることが確認できた。
この比較試験の結果より、グロープラグを作製するにあたって、主体金具を炭素の含有量が0.30重量%以下の中実の鋼材を鍛造により形成することにより、炭素の含有量が0.30重量%より多い鋼材からなる金属管からの切削加工により形成した主体金具と比べ、成形精度、硬度、および溶接性の点で優れることが確認できた。
なお、本発明は各種の変形が可能である。本実施の形態では絶縁性セラミックからなる基体21の内部に導電性セラミックからなる発熱素子24を埋設したセラミックヒータ20を備えたが、これに限られず、先端部が半球状に閉塞した金属製のシースチューブ内にコイル状の発熱抵抗体や制御抵抗体を配したシーズヒータを備えてもよい。また、金具形成工程の第6工程では、切削によりねじ部42にねじ山を形成したが、転造により形成してもよい。
本発明は、発熱機能のみを有するグロープラグだけでなく、温度センサや圧力センサ等を組み込んだグロープラグに対しても利用することができる。
グロープラグ100の縦断面図である。 主体金具40の製造過程である金具形成工程を示す図である。 グロープラグ100の製造過程を示す図である。 グロープラグ100の製造過程を示す図である。
符号の説明
20 セラミックヒータ
27 発熱抵抗体
40 主体金具
41 先端部
42 ねじ部
80 ヒータ保持部材
83 金具嵌合部
85 係止部
100 グロープラグ
150 エンジン
155 取付孔
156 段部
157 雌ねじ
210 中実体

Claims (2)

  1. 筒状をなし、内燃機関の取付孔内に設けられる雌ねじと螺合するねじ山が自身の外周面上に形成された主体金具と、
    通電によって発熱する発熱抵抗体を自身の先端側の内部に有するヒータ部材と、
    前記ヒータ部材の先端側を露出させた状態でそのヒータ部材の周囲を取り巻いて前記ヒータ部材を保持するヒータ保持部材であって、自身の後端側に、前記主体金具の先端部が圧入により嵌合される後端嵌合部を有すると共に、自身の外周に、前記内燃機関の前記取付孔内に設けられる段部に係止して取付孔を介した気密の維持を行う係止部を有するヒータ保持部材と
    を備えたグロープラグの製造方法であって、
    炭素の含有量が0.30重量%以下である中実の鋼材を鍛造により筒状に成形し、さらにその外周面上に前記ねじ山を形成して前記主体金具を形成する金具形成工程と、
    前記ヒータ部材を保持した前記ヒータ保持部材の前記後端嵌合部に、前記主体金具の前記先端部を圧入により嵌合し、両者の合わせ部位にレーザ溶接を施すことにより、前記ヒータ保持部材と前記主体金具とを一体に接合する金具接合工程と
    を有することを特徴とするグロープラグの製造方法。
  2. 前記主体金具の前記先端部は、前記ヒータ保持部材の前記後端嵌合部に対し、外嵌めにより嵌合することを特徴とする請求項1に記載のグロープラグの製造方法。
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