始めに、実施例1の車両用シート1の構成について、図1〜図13を用いて説明する。図1に示すように、本実施例の車両用シート1は、3列シートを備えた車両(自動車)の運転席シート後側の2列目の座席用シートとして構成されている。この車両用シート1は、そのシート本体が、着座乗員の背凭れとなるシートバック2と、着座部となるシートクッション3と、頭凭れとなるヘッドレスト4と、を有して構成されている。シートバック2は、その左右両サイドの下端部が、それぞれ、シートクッション3の左右両サイドの後端部に対して、回転止め可能な回転軸装置として機能する円盤状のリクライニング装置5を間に介して連結された状態とされている。これにより、シートバック2は、シートクッション3に対して、シート前後方向に背凭れ角度の調節が行えるように連結された状態とされている。
上述した各リクライニング装置5は、常時は、シートバック2の背凭れ角度を固定したロック状態に保持された状態とされている。各リクライニング装置5は、図2に示すように、使用者が、シートバック2の車両外側(図示とは反対側)の側部に設けられたW/Iレバー1Aを引き上げ操作することにより、それらのロック状態が一斉に解除されて、シートバック2の背凭れ角度をシート前後方向に自由に回転させて調節することができる状態に切り替えられるようになっている。また、各リクライニング装置5は、図3に示すように、使用者が、シートクッション3の車両外側の側部に設けられたクッションレバー1Bを引き上げ操作することによっても、それらのロック状態が一斉に解除されて、シートバック2の背凭れ角度をシート前後方向に自由に回転させて調節することができる状態に切り替えられるようになっている。
そして、上記の操作によってシートバック2の背凭れ角度を所望の角度位置に調節し、上述したW/Iレバー1A、或いはクッションレバー1Bの引き上げ操作をやめることにより、各リクライニング装置5が再びロックされた状態に戻されて、シートバック2がその調節された背凭れ角度位置にて固定された状態となる。なお、各リクライニング装置5の基本構造は、特開2011−116303号公報等の文献に開示されたものと同じ公知の構成となっているため、これらについての具体的な説明は省略することとする。
シートクッション3は、車両のフロア上に、左右一対のスライド装置6を間に介して連結された状態とされている。これにより、シートクッション3は、フロアに対して、シート前後方向に設置位置の調節が行えるように設けられた状態とされている。上述した各スライド装置6は、常時は、それらの内部に設けられた図示しないバネ部材の附勢構造によって、シートクッション3の設置位置を固定したロック状態に保持された状態とされている。各スライド装置6は、使用者が、各スライド装置6と連結されてシートクッション3の前下部に延出して設けられた解除レバー6Aの引き上げ操作を行うことにより、それらのロック状態が一斉に解除されるようになっている。この解除操作により、シートクッション3は、その設置位置をシート前後方向に自由にスライドさせて調節することのできる状態へと切り替えられる。
そして、シートクッション3の設置位置を所望のスライド位置に調節し、上記解除レバー6Aの操作をやめることにより、各スライド装置6が再びスライドロックした状態に戻されて、シートクッション3がその調節されたスライド位置に固定された状態となる。なお、各スライド装置6の基本構造は、特開2010−221935号公報等の文献に開示されたものと同じ構成となっているため、これらについての具体的な説明は省略することとする。
ヘッドレスト4は、シートバック2の上部に上方側から装着されて設けられている。具体的には、ヘッドレスト4は、図示は省略されているが、その下部から突き出る2本の棒状のステーが、シートバック2の骨格を成すシートバックフレーム2Fのアッパフレーム2FA(図6参照)上に固定された2本の筒状のサポート部材内にそれぞれ上方側から差し込まれて装着されることにより、シートバック2の上部に固定された状態として設けられている。なお、上記ヘッドレスト4の装着構造は、特開2008−239075号公報等の文献に開示されたものと同じ構成となっているため、これについての具体的な説明は省略することとする。
ここで、上述したシートバック2とシートクッション3との間には、その車両外側の側部に、シートバック2に対して常時、シート前方側への回転附勢力をかける渦巻きバネ7(図6参照)が掛着されている。これにより、シートバック2は、その背凭れ角度の固定状態が解かれることにより、上記渦巻きバネ7の附勢力によって、着座乗員の背部に当たる位置まで起こし上げられて、着座乗員の背部が前後に傾動される動きに追従してその背凭れ角度位置が調節される、調節操作が簡便な構成とされている。上述したシートバック2の回転可能領域は、図6〜図7に示すように、後述するシートバックフレーム2Fの車両内側のサイドフレーム2FSに結合されたブラケット12が、シートクッションフレーム3Fの同側のサイドフレーム3FSの後側上縁部に前後方向にそれぞれ角状に突出して形成された前倒れストッパ3FSdや後倒れストッパ3FSeと当たって係止される位置の間の回転領域として設定されている。
ところで、図2に示すように、上述したシートバック2は、車両用シート1に人が座っていない状態で、後列側のシートに着座する者(使用者)が、上記W/Iレバー1Aを後側から引き上げ操作することにより、その背凭れ角度の固定状態が解除されて、上述した渦巻きバネ7(図6参照)の附勢力によってシート前方側に倒し込まれるように操作されて、図示された前傾姿勢となる位置まで倒し込まれた状態となって係止されるようになっている。そして、このシートバック2が前傾位置まで倒し込まれる動きに併せて、前述した各スライド装置6のスライドロック状態も解除されて、シートクッション3がシート前後方向にスライドすることのできる状態に切り替えられるようになっている。
また、図3に示すように、上述したシートバック2は、同じく車両用シート1に人が座っていない状態で、使用者が車両用シート1の横の乗降ドアを開けた車両外側に立った位置から上記クッションレバー1Bを引き上げ操作することにより、その背凭れ角度の固定状態が解除されて、上述した渦巻きバネ7(図6参照)の附勢力によってシート前方側に倒し込まれるように操作されて、図示された前傾姿勢となる位置まで倒し込まれた状態となって係止されるようになっている。そして、このシートバック2が前傾位置まで倒し込まれる動きに併せて、前述した各スライド装置6のスライドロック状態も解除されて、シートクッション3がシート前後方向にスライドすることのできる状態に切り替えられるようになっている。
このように、シートバック2の前傾動作に併せて、各スライド装置6が解除操作されるようになっていることにより、車両用シート1は、図2〜図3に示すように、シートバック2を前傾姿勢に切り替えたコンパクトな姿勢状態で、シート全体を前方側へスライドさせて退避させることのできるウォークイン(W/I)動作が行えるようになっている。このウォークイン動作により、車両用シート1は、その後列側の3列目シートに座る乗員が、2列目の車両用シート1の横にある乗降ドアから乗り降りするためのスペースを広く空けた状態とすることができるようになっている。
また、車両用シート1は、上記図3に示したように、使用者が車両の乗降ドアを開けた車両外側に立った位置から、上述したクッションレバー1Bを引き上げ操作して、シートバック2を前傾位置まで倒し込んだ状態としてから、更に、使用者が、シートクッション3の車両外側(図1の右側)の前方側部に設けられたF/Dレバー1Cの引き上げ操作を行うことにより、図4に示すように、シートバック2が上記前傾位置を越えてシートクッション3の上面部に畳み込まれる位置まで大きく前に倒し込まれるようになっている(フォールドダウン(F/D)動作)。具体的には、図11に示すように、シートバック2は、後述するブラケット12が前倒れストッパ3FSdと当たって係止される位置(大倒し位置)まで大きく前に倒し込まれるようになっている。そして、このシートバック2のフォールドダウン動作に併せて、図4で前述した各スライド装置6のスライドロックが解除された状態が再びスライドロックした状態に戻されて、シートクッション3のスライド位置が固定された状態に戻されるようになっている。
このように、上記F/Dレバー1Cの引き上げ操作によってシートバック2がフォールドダウン動作するのに併せて、各スライド装置6がスライドロックした状態に戻されるように操作される構成となっていることにより、車両用シート1全体を下方側に小さく畳み込んだ状態にしてスライドロックした状態とすることができ、上記シートバック2の畳み込まれた背面をテーブル面として便利に使用することができるようになっている。なお、上述したシートバック2のフォールドダウン動作は、シートバック2が通常、背凭れとして使用される起立した角度位置にある状態では、F/Dレバー1Cの操作を行っても行わないようになっている。
すなわち、シートバック2のフォールドダウン動作は、先ず、上記クッションレバー1Bを操作することで、シートバック2を前傾位置まで倒し込んだ状態にしてから、更に、F/Dレバー1Cの操作を行うことにより、シートバック2がその前傾位置での係止状態が解かれて上述した大倒し位置まで倒し込まれるという態様で段階的にフォールドダウン動作が行われるようになっているからである。このように、シートバック2のフォールドダウン動作が2段階の操作を経て行われるようになっていることにより、シートバック2が一度の操作で一気に大倒し位置まで倒し込まれるような構成と比べて、より安全にシートバック2の大倒し操作を行えるようになっている。
以下、上記車両用シート1の各部の構成について、更に詳しく説明する。なお、以下の説明では、シートバック2を前傾位置まで倒し込む動作を「ウォークイン(W/I)動作」と称し、そこからシートバック2を更に大倒し位置まで倒し込む動作を「フォールドダウン(F/D)動作」と称して説明することとする。先ず、シートバック2の構成について説明する。シートバック2は、図6に示すように、その内部骨格を成すシートバックフレーム2Fが、左右一対の縦長板状のサイドフレーム2FSと、各サイドフレーム2FSの上端部間に架け渡された逆U字のパイプ材から成るアッパフレーム2FAと、各サイドフレーム2FS間に架け渡された高さ方向に並ぶ2本の横長なパイプ材から成る補強パイプ2FBと、が一体的な枠形状を成すように組み付けられた構成とされている。
各サイドフレーム2FSは、それぞれ、板厚の薄い鋼板材から成る薄板パーツ2FSaと、これよりも板厚の厚い鋼板材から成る厚板パーツ2FSbと、が上下に一体的に繋げられて構成されている。詳しくは、各薄板パーツ2FSaは、それぞれ、一枚の薄い鋼板材が縦長状の形にカットされた後、その前側と後側の各縁部がそれぞれシート内側にフランジ状に折り曲げられることにより形成されている。これにより、各薄板パーツ2FSaは、そのプレス曲げされた各縁部の構成により、それ自体の曲げや捩りに対する構造強度が高められていると共に、外部(シート前後側やシート外側)に対して角張らない形とされた構成とされている。
各厚板パーツ2FSbは、上記各薄板パーツ2FSaよりも板厚の厚い鋼板材が縦長な平板形状にカットされて形成されている。各厚板パーツ2FSbは、それぞれ、上述した各薄板パーツ2FSaの下部のシート内側の面部に上部の板面が重ね合わされるようにあてがえられた状態として、溶接により強固に一体的に結合された状態とされている。これら厚板パーツ2FSbは、前述したシートバックフレーム2Fとシートクッションフレーム3Fとの連結部となるリクライニング装置5との結合部となっており、使用時に受ける負荷が高い部分となっていることから、各薄板パーツ2FSaよりも板厚が厚く構造強度が高められた構成とされている。上述した各薄板パーツ2FSaと各厚板パーツ2FSbとから成る各サイドフレーム2FSは、それぞれ、シートバック2の左右各サイドの骨格を成すものとして、シートバック2の各サイド位置に、互いの板面がシート幅方向に対向するように配置された状態とされている。
アッパフレーム2FAは、プレス加工により、一本の円鋼管材を所定の長さにカットした後、これを上下逆さ向きのU字形状に折り曲げることにより形成されている。上記アッパフレーム2FAは、その逆U字の両脚部が、上述した各サイドフレーム2FSの薄板パーツ2FSaの上端部にあてがわれて溶接されることにより、これら薄板パーツ2FSaの上端部に強固に一体的に結合された状態として設けられている。ここで、各サイドフレーム2FSの薄板パーツ2FSaの上端部は、上記アッパフレーム2FAの各脚部の外周面と形状が合致するように半円筒状の形に曲げられて形成されている。これにより、アッパフレーム2FAの各脚部が、上記各薄板パーツ2FSaの半円筒状に曲げられた各上端部に広く面当接した状態にあてがわれて、広い範囲に亘って強固に一体的に溶着されて結合された状態とされている。
各補強パイプ2FBは、一本の円鋼管材を所定の長さにカットした後、各サイドフレーム2FS間にシート幅方向に貫通するように差し込まれて、その差し込まれた各端部が各サイドフレーム2FSに溶着されて強固に一体的に結合された状態として設けられている。詳しくは、上側の補強パイプ2FBは、各サイドフレーム2FSにおける薄板パーツ2FSaの間にシート幅方向に貫通するように差し込まれて、差し込まれた各端部が各薄板パーツ2FSaに溶着されることにより強固に一体的に結合された状態とされている。また、下側の補強パイプ2FBは、各サイドフレーム2FSにおける薄板パーツ2FSaと厚板パーツ2FSbとがシート幅方向に重ねられた重合部間にシート幅方向に貫通するように差し込まれて、差し込まれた各端部が、上記重合する各薄板パーツ2FSaと厚板パーツ2FSbとにそれぞれ溶着されて強固に一体的に結合された状態とされている。これにより、上記重合部間に跨って挿通された下側の補強パイプ2FBを介して、各サイドフレーム2FSの薄板パーツ2FSaと厚板パーツ2FSbとがより強固に一体的に結合された状態とされている。
シートクッション3は、その内部骨格を成すシートクッションフレーム3Fが、左右一対の前後方向に長い板状のサイドフレーム3FSと、各サイドフレーム3FSの前端部間に架け渡された横長パイプ形状のフロントフレーム3FFと、両サイドフレーム3FSの後端部間に架け渡された横長パイプ形状のリヤフレーム3FRと、が一体の枠形状を成すように組み付けられた構成とされている。
各サイドフレーム3FSは、それぞれ、板厚の薄い鋼板材から成る薄板パーツ3FSaと、これよりも板厚の厚い鋼板材から成る厚板パーツ3FSbと、が一体的に繋げられて構成されている。詳しくは、各薄板パーツ3FSaは、それぞれ、一枚の薄い鋼板材が前後方向に長い形にカットされた後、その上側と下側の各縁部がそれぞれシート内側にフランジ状に折り曲げられて形成されている。更に、各薄板パーツ3FSaには、そのシート内側に折り曲げられた各部の上側と下側の縁部間に跨って、これらの「コ」字状に開いた断面形状を「ロ」字状に閉じる補強板3FScが一体的に溶着されて結合された状態とされている。これにより、各薄板パーツ3FSaは、それらの曲げや捩りに対する構造強度が高められていると共に、外部(シート上下側やシート外側)に対して角張らない形とされた構成とされている。
各厚板パーツ3FSbは、上記各薄板パーツ3FSaよりも板厚の厚い鋼板材が縦長状の形にカットされて形成されている。各厚板パーツ3FSbは、それぞれ、上述した各薄板パーツ3FSaの後端側の上部のシート外側の面部に下部の板面が重ねられた状態にあてがえられて溶接により強固に一体的に結合された状態とされている。これら厚板パーツ3FSbは、前述したシートバックフレーム2Fとシートクッション3との連結部となるリクライニング装置5との結合部となっており、使用時に受ける負荷が高い部分となっていることから、各薄板パーツ3FSaよりも板厚が厚く構造強度が高められた構成とされている。
上述した各薄板パーツ3FSaと各厚板パーツ3FSbとから成る各サイドフレーム3FSは、それぞれ、シートクッション3の左右両サイドの骨格を成すものとして、シートクッション3の各サイド位置に、互いの板面がシート幅方向に対向するように配置された状態とされている。詳しくは、各サイドフレーム3FSは、上述したシート前後方向に長尺な各薄板パーツ3FSaが、前述したフロア上に設けられる左右一対の各スライド装置6の上面部上に設置されて固定された状態とされている。
ここで、図6〜図7に示すように、シートクッション3の車両内側のサイドフレーム3FSの厚板パーツ3FSbには、その上縁部の前部と後部とに、前述した角状に突出する前倒れストッパ3FSdと後倒れストッパ3FSeとがそれぞれ形成されている。また、同側のシートバック2のサイドフレーム2FSの厚板パーツ2FSbの外側面上には、上述した前倒れストッパ3FSdや後倒れストッパ3FSeと当たって係止されるブラケット12が結合されて設けられている。このように、シートバック2の倒し込みの係止構造を成す前倒れストッパ3FSd、後倒れストッパ3FSe、及びブラケット12が、それぞれ、構造強度の高いシートバック2の厚板パーツ2FSbやシートクッション3の厚板パーツ3FSbに設けられていることにより、シートバック2の倒れ込みを高い係止力で係止させられるようになっている。
また、図6に示すように、上述したシートバック2にシート前方側への回転附勢力をかける渦巻きバネ7は、シートバック2の車両外側(紙面向かって左側)のサイドフレーム2FSとシートクッション3の車両外側のサイドフレーム3FSとの間に掛着されている。詳しくは、渦巻きバネ7は、その内側の端部が、シートクッション3のサイドフレーム3FSの厚板パーツ3FSbの内側面上に結合されたバネ掛板7Aのシート上方側へ延びた掛部7A1に掛着されており、外側の端部が、シートバック2のサイドフレーム2FSの厚板パーツ2FSbの内側面上に結合されたバネ掛板7Bの後縁部に凹んだバネ掛凹部7B1に掛着されて固定されている。なお、このバネ掛板7Bは、後述するブラケット12と同一部品の構成とされている。このように、渦巻きバネ7が、構造強度の高いシートバック2の厚板パーツ2FSbとシートクッション3の厚板パーツ3FSbとの間に掛着されていることにより、シートバック2のような重量物を起こし上げられる強い回転附勢力に設定された渦巻きバネ7を、シートバック2とシートクッション3との間に強固に掛着させた状態に設けられるようになっている。
また、シートクッション3の車両外側のサイドフレーム3FSの厚板パーツ3FSbは、その中間部が、オフセット部3FSfとして、下側部分が上側部分に対してシート内側にクランク状に折れ曲がって入り込んだ段差状の形に形成されている。このように厚板パーツ3FSbがシート内側に入り込んだ段差状の形に形成されていることにより、上述した3列目シートに座る乗員が車両用シート1の横の乗降ドア(図示省略)から乗り降りする際の足入れスペースが広く空けられた状態とされている。
フロントフレーム3FFは、一本の円鋼管材を所定の長さにカットした後、各サイドフレーム3FSの薄板パーツ3FSaの前端側の上部間にシート幅方向に架け渡されて一体的に溶着されて固定された状態として設けられている。リヤフレーム3FRは、一本の円鋼管材を所定の長さにカットした後、各サイドフレーム3FSの厚板パーツ3FSb間にシート幅方向に貫通するように差し込まれて、差し込まれた各端部が各サイドフレーム3FSに溶着されることにより、これらサイドフレーム3FSの厚板パーツ3FSbに強固に一体的に結合された状態として設けられている。
次に、シートバック2をウォークイン動作させた際に、この動きを拾う検知機構10、及び検知機構10によって検知された動作移動量により各スライド装置6のスライドロック状態を解除操作する動作機構20の構成について説明する。これら検知機構10や動作機構20は、図6〜図7に示すように、シートクッション3の車両内側のサイドフレーム3FSの外側の側面部上に配設されている。検知機構10は、シートクッション3のサイドフレーム3FSに回転可能に枢着されて設けられる操作リンク11と、シートバック2のサイドフレーム2FSに固定されて設けられるブラケット12と、ブラケット12と操作リンク11との間に掛着された引張バネ13と、から構成されている。
操作リンク11は、図7に示すように、リクライニング装置5の中心部に挿通される操作軸5Aに対して回転可能に枢着された状態に組み付けられている。具体的には、操作リンク11は、その中心部に操作軸5Aが挿通されて、操作軸5Aの挿通された先の端部がEリング5Dにより軸方向に抜け止めされることにより、操作軸5Aに対して回転可能に枢支された状態に組み付けられた状態とされている。操作リンク11は、上記Eリング5Dと、シートクッション3のサイドフレーム3FSに一体的に結合されて設けられた、中央部が山状に膨らんだ形の板ブラケット5Cと、によって、軸方向に大きく面接触しないように両挟みされて設けられることにより、操作軸5Aに対する軸方向の位置決めがなされた状態として、スムーズに回転することができるように支持された状態として設けられている。
上記操作軸5Aは、詳しくは、シートバック2のサイドフレーム2FSと、リクライニング装置5の中心部と、シートクッション3のサイドフレーム3FSと、このサイドフレーム3FSに一体的に結合された板ブラケット5Cと、操作リンク11と、に軸方向に順にシート内側から貫通して挿通されており、その挿通された先の端部にEリング5Dが装着されて、軸方向に抜け止めされた状態として設けられている。上記操作軸5Aは、常時は、リクライニング装置5が図示しないバネの附勢力によってロックされた状態に保持される保持力により、定位置に保持された状態とされている。
上記操作軸5Aは、その挿通される頭側(シート内側)の端部に一体的に結合された操作アーム5Bが、前述したW/Iレバー1Aやクッションレバー1Bの操作によって図示しないケーブルを介して回転操作されることにより、上記のバネ附勢力に抗して回転操作されて、リクライニング装置5のロック状態を解除操作するようになっている。なお、図示は省略されているが、図6に示される車両外側のリクライニング装置5にも、上記W/Iレバー1Aやクッションレバー1Bの操作によって回転操作される操作軸5Aと操作アーム5Bとから成る操作構造が配設されており、W/Iレバー1Aやクッションレバー1Bが操作されることにより、両側のリクライニング装置5のロック状態が左右で同期して一斉に解除操作されるようになっている。
上述した操作リンク11は、図8に示すように、その操作軸5Aによって枢支された中心部からシート上方側へ延びる蹴られ部11Aが、後述するブラケット12の凹部12A内に通されて設けられており、ブラケット12によって前後側から挟み込まれた状態として設けられている。これにより、操作リンク11は、図9〜図10に示すように、シートバック2が前に倒し込まれる動作によって、後述する蹴られ部11Aがブラケット12の後部12Cによって後方側から押し蹴られる形で図示反時計回り方向に強制的に回転操作されるようになっている。また、操作リンク11は、図13に示すように、シートバック2が前に倒し込まれた状態から後方側に起こし上げられる時には、この動作によって、後述する蹴られ部11Aがブラケット12の前部12Bによって前方側から押し蹴られる形で図示時計回り方向に強制的に回転操作されるようになっている。
ブラケット12は、図7に示すように、L字板状に曲げられて形成されており、高さ方向に面を延ばすように曲げられた板部が、シートバック2のサイドフレーム2FSの厚板パーツ2FSbの外側面上に一体的に締結されて固定された状態となって設けられている。上記ブラケット12は、そのシートバック2のサイドフレーム2FSとの結合部からシート外側に折れ曲がって延びた先の縁部に、同縁部を寸胴な形に切り込んだ凹部12Aが形成されており、この凹部12A内に、上述した操作リンク11の蹴られ部11Aがシート外側から差し込まれるようにセットされている。これにより、ブラケット12は、その凹部12A内にセットされた操作リンク11の蹴られ部11Aを、凹部12Aを間に挟む前部12Bと後部12Cとによって前後側から挟み込んだ状態とするようになっている。
引張バネ13は、上記操作リンク11の中心部からシート前下方向に扇形状に広がって延びる押し部11Bと、ブラケット12の前部12Bと、の間に掛着されており、操作リンク11に図示時計回り方向の回転附勢力をかける構成となっている。この引張バネ13のバネ附勢力により、操作リンク11は、常時、その蹴られ部11Aが、ブラケット12の後部12Cに押し当てられた状態に保持された状態とされており、ブラケット12との間に生じる回転方向のガタ付きが抑えられた状態とされている。
ここで、上記ブラケット12は、そのシート外側に延出する板部の前側と後側の各縁部に、寸胴な形に切り込まれたバネ掛凹部12Dが形成されており、更に、これらバネ掛凹部12Dのシート外側の角部には、これら角部の空所形状を更に丸孔状に拡張させる形で拡張凹部12Eが形成されている。各拡張凹部12Eは、その前側の一方が、上述した引張バネ13の上端部をブラケット12の前部12Bに掛着させるための掛部として機能するものとなっており、後側の他方は、本実施例では使用されず、ブラケット12が前後反対向きに使われるような場合に、同じ部品を汎用的に使い回せるように予め形成されたものとなっている。また、各バネ掛凹部12Dも、本実施例では使用されない。これらバネ掛凹部12Dは、図6に示されるように、このブラケット12と同一部品で構成された前述したバネ掛板7Bにおいて、その後側の一方が、渦巻きバネ7の外側の端部を掛着させるための部位(バネ掛凹部7B1)として機能するものとなっている。
次に、図7〜図8を参照して、動作機構20について説明する。動作機構20は、出力リンク21と、中間リンク22と、保持バネ23と、押圧バネ24と、固定板25と、ケーブル26と、から構成されている。出力リンク21は、図8に示すように、支軸21Aによりシートクッション3のサイドフレーム3FSの厚板パーツ3FSbの外側面上に回転可能に枢支された状態として設けられている。詳しくは、出力リンク21は、上記厚板パーツ3FSb上に一体的に結合される固定板25に対して、支軸21Aにより回転可能に枢着された状態として設けられている。固定板25は、上記厚板パーツ3FSbの外側面上に溶接により強固に一体的に結合された状態とされている。
上記出力リンク21は、上記固定板25の一部に切り起こされた係止片25Aとの間に保持バネ23(トーションバネ)が掛着されており、常時はこの保持バネ23の附勢力によって、図示反時計回り方向に回転附勢された状態として、その中心部から図示右方側に延出する係止アーム21Bが上記固定板25の係止片25Aに押し当てられて係止された回転位置状態に保持された状態とされている。上記保持バネ23は、その中心部の巻回された部分が支軸21Aのまわりに巻装された状態として、その図示右側の一端が上記係止片25Aに掛着され、左側の他端が出力リンク21の中心部から図示左方側に延出する操作アーム21Cに掛着されて固定された状態とされている。
中間リンク22は、C字状に湾曲した形に形成されており、その図示下側の端部が、連結軸22Aにより、上記出力リンク21に回転可能に枢着されて設けられている。詳しくは、上記連結軸22Aは、中間リンク22に一体的に結合されており、出力リンク21の係止アーム21Bに回転可能に枢着された状態とされている。上記中間リンク22は、上記出力リンク21との間に押圧バネ24(トーションバネ)が掛着されており、常時はこの押圧バネ24の附勢力によって、図示時計回り方向に回転附勢された状態として、そのC字状に湾曲したアーム形状が、出力リンク21の支軸21Aに押し当てられて係止された回転位置状態に保持された状態とされている。上記押圧バネ24は、その内側の端部が、上記中間リンク22と一体的な連結軸22Aの頭部に掛着されて固定されており、外側の端部が、出力リンク21の係止アーム21Bの先端部に折り曲げられた係止片21B1に掛着されて固定された状態とされている。
上記中間リンク22は、図8に示すように、シートバック2が背凭れとして使用される角度位置にある状態では、その上端部に結合された蹴ピン22Bが、前述した操作リンク11の押し部11Bから後方側に離間した、初期位置の状態に保持された状態とされている。しかし、図9に示すように、シートバック2がウォークイン動作し始めて、操作リンク11の蹴られ部11Aがブラケット12の後部12Cによって前方側に押し回されると、操作リンク11の押し部11Bが中間リンク22の蹴ピン22Bに押し当てられる。これにより、図10に示すように、中間リンク22が、上記支軸21Aに押し付けられる方向に押し回されて、上述した連結軸22Aを介して連結された出力リンク21と一体的となって支軸21Aのまわりに図示時計回り方向に回転操作される。この出力リンク21の回転により、出力リンク21の操作アーム21Cの先に繋がれたケーブル26が牽引操作されて、各スライド装置6のスライドロック状態が解除される。
上記ケーブル26は、可撓性を有する管状部材の内部に線状のワイヤー部材が挿通された二重のケーブル構造となっている。上記ケーブル26は、その図示された管状部材の上端部が、固定板25に切り起こされたケーブル掛片25Bに掛着されて固定されており、この管状部材の上端部から繰り出されたワイヤー部材の上端部が、上記出力リンク21の図示左方側へ延びる操作アーム21Cの先端部に掛着されて固定されている。また、図示省略されたケーブル26の他端部は、図6において前述した各スライド装置6のスライドロック状態を解除操作する解除レバー6Aに繋がれている。これにより、ケーブル26は、図10に示すように、シートバック2のウォークイン動作によって中間リンク22と出力リンク21とが一緒になって図示時計回り方向に回転操作されることにより、出力リンク21により図示上方側に引張られる格好で牽引操作されて、他端部に繋がれた解除レバー6A(図6参照)を操作して各スライド装置6のスライドロック状態を解除するようになっている。
上記ケーブル26は、図10に示すように、シートバック2が前傾位置まで倒し込まれて係止された状態では、上述した中間リンク22の蹴ピン22Bが、操作リンク11の押し部11Bの外周面11B1上に乗り上がった状態に保持されることにより、牽引操作された状態に保持されるようになっている。これにより、各スライド装置6(図6参照)が、スライドロック状態を解除された状態に保持されるようになっている。
上記シートバック2が前傾位置まで倒し込まれて係止された状態では、上述した保持バネ23や押圧バネ24のバネ力作用、それに各スライド装置6(図6)内に備えられた、これらをスライドロックさせる方向に附勢力を及ぼす図示しないバネ部材のバネ力作用によって、中間リンク22の蹴ピン22Bから操作リンク11の押し部11Bの外周面11B1に向けて、操作リンク11の中心部へと向かう半径方向内方側への押圧力がかけられるようになっている。したがって、シートバック2のウォークイン動作時には、操作リンク11がシートバック2のサイドフレーム2FSに一体的に結合されたブラケット12の後部12Cによって強制的に前側に押し回されるため、操作リンク11が蹴ピン22Bをスムーズに押し回すことができるから良いが、蹴ピン22Bが操作リンク11の押し部11Bの外周面11B1上に乗り上がった状態から、シートバック2の倒れ込みを戻そうとする時には、操作リンク11が蹴ピン22Bから受ける半径方向内方側への押圧力による抵抗作用によって、元の位置に戻されにくくなるおそれが考えられる。
しかし、図13に示すように、シートバック2を上記の前傾位置から後方側へ起こし上げる時にも、操作リンク11は、ブラケット12の前部12Bによってシートバック2の起こし上げ動作に伴って強制的に押し戻されるようになっており、上述した蹴ピン22Bの押圧力による抵抗作用を受けても、シートバック2と一体的となってスムーズに元の回転位置まで戻されるようになっている。
上記中間リンク22の蹴ピン22Bは、図11に示すように、シートバック2を上記ウォークイン動作させた前傾位置の状態(図10の状態)から更にフォールドダウン動作させて大倒し位置まで倒し込むことにより、この動きに追従する操作リンク11の押し部11Bの外周面11B1上を前方側に乗り越えて、押し部11Bとの係合状態から外されるようになっている。これにより、中間リンク22及びこれと一体的となって押し回されていた出力リンク21が、回転操作される前の初期位置の状態に戻されて、ケーブル26の牽引操作状態が解かれた状態となる。これにより、各スライド装置6(図6参照)が再びスライドロックされた状態に戻されるようになっている。
ところが、上記のように中間リンク22の蹴ピン22Bが操作リンク11の押し部11Bを前方側に乗り越えてしまうと、両者の前後位置が逆転した関係となってしまい、シートバック2を起こし上げる際に、操作リンク11の押し部11Bが中間リンク22の蹴ピン22Bを上記とは逆方向(後ろ側)から押圧する関係となってしまう。しかし、このように操作リンク11の押し部11Bが中間リンク22の蹴ピン22Bを後ろ側から押圧する場合には、図12に示すように、中間リンク22が上記押圧バネ24の附勢力に抗して出力リンク21に対して連結軸22Aを支点に単独で図示反時計回り方向に押し回されることで、上記の動きを空回りして逃がせるようになっている。これにより、シートバック2を大倒し位置から後方側へ起こし上げる動作が逃がされて阻害されないようになっている。上記中間リンク22の蹴ピン22Bは、シートバック2を上記大倒し位置から起こし上げて、操作リンク11の押し部11Bの外周面11B1上を後側に乗り越えることにより、押し部11Bとの係合状態から外される。これにより、図8の状態と同じように、中間リンク22が空回りする前の初期位置に戻された状態となる。
なお、上記のようにシートバック2を大倒し位置から起立した角度位置へと戻す動作時においても、操作リンク11はブラケット12の前部12Bにより、シートバック2の起こし上げ動作に伴って強制的に押し回される構成となっているため、中間リンク22の蹴ピン22Bを後方側から押圧する際に抵抗作用を受けても、シートバック2と一体的な回転によりスムーズに所定の起立した回転位置まで押し戻されるようになっている。
続いて、図6を参照して、シートバック2をウォークイン動作させた際にシートバック2を前傾位置に係止させることのできるストッパ機構30の構成について説明する。ストッパ機構30は、シートクッション3の車両内側のサイドフレーム3FSの内側の側面部上に配設されている。このストッパ機構30は、図10に示すように、シートバック2が前傾位置まで倒し込まれた時に、シートバック2のサイドフレーム2FSの厚板パーツ2FSbの前下側の縁部に角状に突出して形成された係止面2FScを突き当てさせて、シートバック2の倒れ込み回転を前傾位置にて係止させるストッパピン31を備えている。
上記ストッパピン31は、図8に示すように、常時は、上述したシートバック2の倒れ込み回転を前傾位置のところで係止させることのできる、上方側に突出した位置に保持された状態となっている。この状態では、ストッパピン31は、図10に示すように、シートバック2が前傾位置まで倒れ込んできて係止面2FScと当たっても、後方側に押し動かされないように一定の位置に保持された状態とされている。これにより、シートバック2が起立した通常位置にある状態から、使用者が上述したW/Iレバー1Aやクッションレバー1Bを操作するのみで、シートバック2が前に倒し込まれて上記係止面2FScがストッパピン31と当たる前傾位置のところで係止されて保持された状態に切り替えられるようになっている。
上記ストッパピン31は、シートバック2が前傾位置まで倒し込まれて係止された状態で、使用者が前述したF/Dレバー1Cの操作を行うことにより、下方側に退避移動するように操作されて、上記シートバック2の係止面2FScとの係止状態から外されるようになっている。上記係止面2FScは、シートバック2の前倒れの回転方向に面を向けた状態として形成されているが、詳しくは、その立ち上がり面が、シートバック2の回転中心へ向かう方向に対して後倒れ回転方向に傾斜した、緩やかな傾斜面として形成されている。これにより、係止面2FScがストッパピン31に押し当てられて係止された状態から、ストッパピン31を下方側へ抜く操作が、食い付きを生じさせることなくスムーズに行えるようになっている。上記のようにストッパピン31が係止面2FScとの係止状態から外されることにより、シートバック2が更に前方側に倒れ込むことのできる状態となり、シートバック2が倒れ込みを更に進行させるかたちで図11に示される大倒し位置まで倒し込まれるようになっている。
ところで、図1に示すように、上述したシートクッション3の車両外側の側部に設けられたクッションレバー1BやF/Dレバー1Cは、互いにシート前後方向に横並び状に隣り合って設けられており、使用者が車両用シート1の横の乗降ドアを開けた車両外側に立った同じ位置から手を掛けられるようになっている。また、これらクッションレバー1BやF/Dレバー1Cには、それぞれ、それらの操作される順番を示すローマ数字の絵柄(数字のマーキング部1Bn,1Cn)と、これらを操作することで車両用シート1がどのように動作するかを示す絵柄(動作絵のマーキング部1Bp,1Cp)とが、ホットスタンプによって記されている。ここで、クッションレバー1B及びF/Dレバー1Cが本発明の「操作レバー」に相当し、これらに描かれた数字のマーキング部1Bn,1Cnが本発明の「マーキング部」に相当する。
ここで、上述したクッションレバー1Bは、その把持操作される樹脂製の操作部が、その後端部に引き上げ操作の中心軸がシート幅方向に向けられた状態として設定されており、この中心軸から前側の領域部に、使用者が車両外側から指を掛け入れることのできる凹部が形成された構成となっている。また、F/Dレバー1Cは、その把持操作される樹脂製の操作部が、その上端部に引き上げ操作の中心軸がシート前後方向に向けられた状態として設定されており、車両外側に平坦な面を向けた状態として、その平坦な面の下方部に使用者が車両外側から指を掛け入れることのできる凹部が形成された構成となっている。
そして、上記構成のクッションレバー1Bに対し、その樹脂製の操作部の回転の中心軸部分を外側から覆う外側面部分に、ローマ数字の「1」を丸で囲った絵柄の数字のマーキング部1Bnと、その操作によって車両用シート1がどのように動作するか(シートバック2が通常の使用位置から前傾位置まで前倒しされると共に車両用シート1全体がシート前方側へスライドされる様子)を絵で表した動作絵のマーキング部1Bpと、がそれぞれホットスタンプによって描かれて設けられている。また、F/Dレバー1Cに対しては、その樹脂製の操作部の回転の中心軸より下側の車両外側に平坦な面を向けた外側面部分に、ローマ数字の「2」を丸で囲った数字のマーキング部1Cnと、その操作によって車両用シート1がどのように動作するか(シートバック2が前傾位置から大倒し位置まで倒し込まれる様子)を絵で表した動作絵のマーキング部1Cpと、がそれぞれホットスタンプによって描かれて設けられている。
上記クッションレバー1Bに設けられた数字のマーキング部1Bnや動作絵のマーキング部1Bp、それに、F/Dレバー1Cに設けられた数字のマーキング部1Cnや動作絵のマーキング部1Cpは、それぞれ、使用者が車両用シート1の横の乗降ドアを開けた車両外側に立った位置からそれぞれ視認することのできる上方かつ外側に開けた面部上に設けられている。すなわち、上述したクッションレバー1BやF/Dレバー1Cは、シートクッション3の車両外側の側部に設けられて、それらの上部には、これらを上方側から覆うような装備品は一切設けられていない状態とされていることから、上記各マーキング部部1Bn,1Cnやマーキング部部1Bp,1Cpは、上記乗降ドアを開けた車両外側に立った位置からそれぞれ視認することのできる上方かつ外側に開けた面部上に設けられた状態とされている。
上記F/Dレバー1Cにシートバック2が大倒し位置まで倒し込まれる様子が動作絵のマーキング部1Cpで示されていることから、使用者に対し、車両用シート1を大倒し操作するためには、F/Dレバー1Cの操作を行えばよいことを認識させることができる。また、上記大倒しの絵(動作絵のマーキング部1Cp)が描かれたF/Dレバー1Cには、ローマ数字の「2」が併せて描かれていることから、使用者に対して、F/Dレバー1Cの操作を行う前には、ローマ数字の「1」が描かれている何らかのレバーを操作しなければならないことも併せて認識させることができる。
そこで、使用者が、その視界内にある他のクッションレバー1BやW/Iレバー1Aに目をやると、クッションレバー1Bにローマ数字の「1」(数字のマーキング部1Bn)が描かれていることを視認することができる。クッションレバー1Bにローマ数字の「1」(数字のマーキング部1Bn)が描かれていることにより、使用者に対し、クッションレバー1BとF/Dレバー1Cとが、同じ丸で囲まれた絵柄のローマ数字が描かれた共通の操作グループであることを認識させることができると共に、シートバック2を大倒し操作するためには、これらをローマ数字の若い順から操作すればよいことを認識させることができる。
次に、使用者は、シートバック2の大倒し操作を行うために、シートバック2が起立した通常位置にある状態で、クッションレバー1Bの引き上げ操作を行うわけであるが、このとき、シートバック2が上記起立位置にある状態となっていることで、使用者に対して、シートバック2がクッションレバー1Bに描かれた動作絵のマーキング部1Bpの動作前の絵柄と同じ状態となっていることから、クッションレバー1Bの引き上げ操作が有効な状態であることを認識させることができる。また、クッションレバー1Bの動作絵のマーキング部1Bpにシートバック2の動作後の絵柄も描かれていることから、使用者に対して、クッションレバー1Bを操作することで、シートバック2が前傾位置まで倒し込まれて係止されることを認識させることができる。したがって、使用者は、シートバック2の動きを予測して、クッションレバー1Bの引き上げ操作を行うことができる。使用者がクッションレバー1Bの引き上げ操作を行うことにより、動作絵のマーキング部1Bpに描かれた動作後の絵柄の通り、シートバック2が前傾位置まで前倒しされて係止された状態となる。
次に、使用者が、上記クッションレバー1Bと同じ視界内にあるF/Dレバー1Cに目をやることで、F/Dレバー1Cにローマ数字の「2」(数字のマーキング部1Cn)が描かれていることから、使用者に対して、シートバック2の大倒し操作をするためには、次にこのF/Dレバー1Cを操作すれば良い状態であることを認識させることができる。このとき、シートバック2は上記前傾位置に倒し込まれた状態となっているため、使用者に対して、シートバック2がF/Dレバー1Cに描かれた動作絵のマーキング部1Cpの動作前の絵柄と同じ状態となっていることから、F/Dレバー1Cの引き上げ操作が有効な状態であることを認識させることができる。また、F/Dレバー1Cの動作絵のマーキング部1Cpにシートバック2の動作後の絵柄も描かれていることから、使用者に対して、F/Dレバー1Cを操作することで、シートバック2が大倒し位置まで倒し込まれて係止されることを認識させることができる。したがって、使用者は、シートバック2の動きを予測して、F/Dレバー1Cの引き上げ操作を行うことができる。使用者がF/Dレバー1Cの引き上げ操作を行うことにより、動作絵のマーキング部1Cpに描かれた動作後の絵柄の通り、シートバック2が大倒し位置まで倒し込まれて係止された状態となる。
以上の操作により、シートバック2を通常位置から大倒し位置に向けて段階的に倒し込むように操作することができる。なお、図1に示すように、上述したシートバック2の車両外側の側部に設けられたW/Iレバー1Aにも、動作絵のマーキング部1Apが描かれている。この動作絵のマーキング部1Apには、上述したクッションレバー1Bに設けられた動作絵のマーキング部1Bpと同じ、シートバック2が通常の使用位置から前傾位置まで前倒しされると共に車両用シート1全体がシート前方側へスライドされる様子が絵で描かれている。
このように、本実施例の車両用シート1の構成によれば、シート本体を特定の形態に切り替えるために操作される複数の操作レバー(クッションレバー1B及びF/Dレバー1C)に対し、それぞれに、操作されるべき順番を認識させられる数字のマーキング部1Bn,1Cnが設けられていることにより、操作手順を知らない使用者であっても、数字のマーキング部1Bn,1Cnを見ることで、操作するべき順番を容易に判断できるようになる。このように、複数の操作レバー(クッションレバー1B及びF/Dレバー1C)を決められた順に操作するための操作手順を判りやすくすることができる。
また、数字のマーキング部1Bn,1Cnが設けられた複数の操作レバー(クッションレバー1B及びF/Dレバー1C)が、車両用シート1における同一側の面上となる車両外側の側面上に並べられて設けられていることにより、各操作レバー(クッションレバー1B及びF/Dレバー1C)に付いている数字のマーキング部1Bn,1Cnを同一方向からひとまとめに視認しやすくなる。したがって、使用者が、先の操作レバー(クッションレバー1B)を操作した後に、次に操作する操作レバー(F/Dレバー1C)を容易に見つけ出すことができ、車両用シート1を特定の形態に切り替える操作をより簡便に行えるようにすることができる。
以上、本発明の実施形態を1つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施することができるものである。例えば、本発明の「複数の操作レバー」は、シート本体を折り畳んだ形態に切り替える用途以外にも、シート本体を所定の格納姿勢に切り替えたりリラックス姿勢に切り替えたりするような様々な形態への切り替えのために用いることができるものである。
また、本発明の「複数の操作レバー」は、シート本体を特定の形態に段階的に切り替えるために複数設けられるものでなくてもよく、安全性を高めるために、最初の操作レバーを、チャイルドロックのようなロックを解除するための操作レバーとして使用し、次の操作レバーを、シート本体を特定の形態に切り替えるための操作レバーとして使用するような設定にしてもよい。
また、本発明の「マーキング部」は、複数の操作レバーに対し、操作されるべき順番を認識させられる文字や図形などが描かれるものであればよく、ローマ数字以外の数字(数を表現するための記号や文字)や文字や図形などであってもよい。また、シート本体の形態を切り替えるパターンが複数あり、特定の操作レバーが、複数の操作グループに共通して使用されるような場合には、その特定の操作レバーに対し、操作グループごとに異なる数字の字体や色や形を変えたものを複数並べて設けるようにしてもよい。また、操作グループごとに、数字を囲む枠の形や色を変えたり、異なる装飾をつけたりしてもよい。また、本発明の「マーキング部」は、ホットスタンプのほか、シールや印刷、削り出しなどによって操作レバーに設けられるものであってもよい。