JP2014091271A - 部品加圧装置および方法 - Google Patents

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衛彦 川端
Hitoshi Suzuki
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Abstract

【課題】真空バッグを用いて加圧する場合に部品形状によらず変形の発生を抑制できる部品加圧装置および方法を提供する。
【解決手段】被加圧物2を載置する基台11と、前記基台に載置された前記被加圧物に被せ、前記基台との間で前記被加圧物を気密に保持するとともに、変態点温度以上で前記被加圧物に応じた形状に回復するように記憶させた形状記憶合金製シート131を含む真空バッグ13と、前記基台と前記真空バッグとで覆った空間Sを真空減圧する減圧手段15,16と、少なくとも前記形状記憶合金製シートを前記変態点温度以上に加温する温度環境設定手段17と、を備える。
【選択図】 図1A

Description

本発明は、部品加圧装置および方法に関するものである。
未硬化状態の熱硬化樹脂複合材を積層し、その上に真空バッグフィルムを被せ、この真空バッグフィルムの周縁を固着し、真空バッグフィルムで覆った空間内を真空減圧し、加熱、加圧硬化することで熱硬化樹脂系複合材を形成する方法が知られている(特許文献1)。
特開平1−259912号公報
しかしながら、上記従来技術のように部品(ワーク)が直方体その他の定形形状であって耐荷重に対して方向的な偏りがない場合は、真空バッグフィルムによる加圧力が部品に均等に作用するが、不定形な形状の部品のように耐荷重の方向に偏りがある部品に対して真空バッグフィルムで加圧すると、強度的に弱い部分に応力が集中し、部品が変形するという問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、真空バッグを用いて加圧する場合に部品形状によらず変形の発生を抑制できる部品加圧装置および方法を提供することである。
本発明は、変態点温度以上で被加圧物に応じた形状に回復する形状記憶合金製シートを含む真空バッグを基台に載置された被加圧物に被せ、変態点温度以上に加温しながら真空バッグで覆った空間を真空減圧することによって上記課題を解決する。
本発明によれば、形状記憶合金製シートを変態点以上に加温することによって形状記憶合金製シートが被加圧物に応じた形状に回復するので、被加圧物に耐荷重の偏在があっても、回復した形状記憶合金製シートが真空減圧による大気圧の応力集中を吸収し、部品の変形を抑制する。
本発明の一実施の形態に係る部品加圧装置を示す断面図である。 図1Aの真空バッグを示す一部断面図である。 図1の部品加圧装置を用いて加圧接着される部品(被加圧物)の一例を示す要部断面図である。 図1の部品加圧装置を用いて部品を加圧している状態を示す要部断面図である。 比較例に係る部品加圧装置を用いて部品を加圧している状態を示す要部断面図(その1)である。 比較例に係る部品加圧装置を用いて部品を加圧している状態を示す要部断面図(その2)である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1Aに示す本発明の一実施の形態に係る部品加圧装置1は、接着剤を用いて複数の部品を接着する際にこれらの部品を真空引きにより加圧保持したり、その他部品を真空引きにより加圧したりする加工全般に用いられる。以下の実施の形態においては、図2に示す3つの部品21,22,23(これらを被加圧物2又は製品2ともいう)を接着剤にて接着して製品2を得る加工を例に挙げて本発明を説明する。
図1Aに示す部品加圧装置1は、被加圧物2を載置する載置面12を有する基台11と、当該基台11の載置面12に載置された被加圧物2に被せられる真空バッグ13と、基台11と真空バッグ13とで覆われた内部空間Sを真空減圧する真空ポンプ15及び真空引き配管16と、真空バッグ13の形状記憶合金製メッシュシート131の温度を調節するヒータ17と、を備える。
基台11は、被加圧物2を載置可能な載置面12を有し、真空バッグ13との気密性を確保するシール材14が装着可能であれば、基台自体の材質、載置面の形状、載置面の方向等は図1Aに示すものに限定されない。たとえば、図1Aに示す載置面12は水平面で構成されているが、これは図2に示す被加圧物2の部品23が平板状の部品であるため載置面12は平面で構成され、また3つの部品21,22,23が上下に重ね合わせて接着するため載置面12は水平方向に延在するように構成されている。したがって、載置面12に載置される部品23が平板ではない形状である場合はその部品23の形状に応じた載置面12とし、また部品21,22,23の重ね合わせ方向が水平方向以外の方向である場合は、載置面12をその方向に延在するように構成してもよい。
真空バッグ13は、図1Bに示すように、形状記憶合金製メッシュシート131と、その両面に貼着された気密性を有する気密性シート132,133からなり、図1Aに示すように基台11に対して着脱可能に設けられている。
真空バッグ13の形状記憶合金製メッシュシート131は、たとえばニッケル・チタン合金、ニッケル・チタン・コバルト合金、ニッケル・チタン・銅合金などの形状記憶合金をメッシュ状(網目状)に成形した柔軟性を有するシートであり、変態点温度以上の温度において、図3に示すように被加圧物2の表面形状に沿った形状に回復するように予め記憶処理されている。そして、変態点温度未満では、被加圧物2に被せ、被加圧物2の表面形状に沿わせた形状に変形できる程度の柔軟性を有する。なお、変態点温度は、被加圧物2の材質、特に軟化点や融点に応じて適宜決定し、被加圧物2に温度的影響のない変態点温度とすることが望ましい。
気密性シート132,133は、繊維やフィルムその他の樹脂製シートであり、真空引きに対して気密性を有する。本例の気密性シート132,133は、形状記憶合金製メッシュシート131の両面に貼着されているが、形状記憶合金製メッシュシート131の外面又は内面のいずれか一方の面にのみ貼着したものであってもよい。
シール材14は、真空バッグ13の開口端部の全周に設けられて基台11の載置面12に着脱可能に装着され、これにより内部空間Sの気密性を確保する。
基台11の載置面12と、真空バッグ13とで構成される内部空間Sに連通する載置面12に臨む位置に真空引き配管16の一端が設けられ、その他端は真空ポンプ15に接続されている。真空ポンプ15を駆動すると、内部空間Sが真空減圧され、これにより真空バッグ13を介して大気が被加圧物2を加圧する。
ヒータ17は、真空バッグ13の形状記憶合金製メッシュシート131を変態点以上に加温するものであり、図1Aに示す例では基台11の上部に設けられている。ただし、ヒータ17は、真空バッグ13を局部的に加温するもの以外にも、部品加圧装置1が設置された室内全体を加温する手段であってもよい。または、真空バッグ13自体に面状発熱体などのヒータを設けてもよい。
次に作用を説明する。
図2は本例で使用する被加圧物2の要部(図1Aに示す被加圧物2の左部分)を示す断面図であり、製品2の表面を構成する屈曲した面を有する部品21と、製品2の裏面を構成する板状の部品23と、これらの部品21,23の間に設けられたリブ状の部品22とを備える。図1Aに示す被加圧物2の全体で見ると、左右両端部の座屈荷重(耐荷重)は中央部に比べて小さい構造とされている。
まず、図2に示す3つの部品21,22,23をそれぞれの接合面に接着剤を塗布し、図3に示すように互いに重ね合わせ、この被加圧物2を図1Aに示すように部品加圧装置1の基台11の載置面12に載置する。そして、変態点温度未満に保持した真空バッグ13を被加圧物2の表面に沿わせながら被せ、開口端部に設けられたシール材14を載置面12に装着する。これにより載置面12と真空バッグ13とで覆われた内部空間Sが気密な空間となる。
次に、ヒータ17をONして真空バッグ13の形状記憶合金製メッシュシート131を変態点温度以上に加温しながら、真空ポンプ15を駆動し、内部空間Sを真空減圧する。この際、真空バッグ13の形状記憶合金製メッシュシート131が変態点温度以上になってから内部空間Sを真空減圧することが望ましい。
これにより、図3に示すように、真空バッグ13の形状記憶合金製メッシュシート131が被加圧物2の表面形状に沿って回復した状態で、真空減圧による大気圧が被加圧物2に作用することになる。したがって、被加圧物2に強度的ばらつきがあっても形状記憶合金製メッシュシート131がこれを吸収し、被加圧物2の表面に応力集中が生じるのを抑制する。その結果、被加圧物2の変形を防止することができる。なお、真空減圧は、所定時間継続し、これにより接着加工された製品2を得ることができる。
ちなみに、図4A及び図4Bは、形状記憶合金製メッシュシート131を省略した比較例に係る真空バッグ13を用いて加圧した場合を示す要部断面図であり、図4Aは真空減圧前の状態を示し、図4Bは真空減圧後の状態を示す。形状記憶合金製メッシュシート131の無い柔軟な真空バッグ13を被加圧物2に被せて真空減圧を行うと、真空減圧による大気圧は柔軟な真空バッグ13を介して被加圧物2の表面全体に均等に作用する。その結果、図4Bに示すように被加圧物2に強度的バラツキがあると弱い部分が変形する。これに対して本例に係る真空バッグ13は、形状記憶合金製メッシュシート131によってこの局部的作用を吸収する。
以上のとおり、本例の部品加圧装置及び方法によれば、形状記憶合金製メッシュシート131を変態点以上に加温することによって形状記憶合金製メッシュシート131が被加圧物2の表面形状に応じた形状に回復するので、被加圧物2に耐荷重の偏在があっても、回復した形状記憶合金製メッシュシート131が真空減圧による大気圧の応力集中を吸収し、その結果、被加圧物2の変形を抑制することができる。
また本例の部品加圧装置及び方法によれば、柔軟性を有する形状記憶合金製メッシュシート131を変態点未満の温度で被加圧物2に被せるので、被加圧物2の表面形状にある程度沿わせて被せることができ、作業性に優れている。
上記形状記憶合金製メッシュシート131は本発明に係る形状記憶合金製シートに相当し、上記ヒータ17は本発明に係る温度環境設定手段に相当し、上記真空ポンプ15及び真空引き配管16は本発明に係る減圧手段に相当する。
1…部品加圧装置
11…基台
12…載置面
13…真空バッグ
131…形状記憶合金製メッシュシート
132,133…気密性シート
14…シール材
15…真空ポンプ
16…真空引き配管
17…ヒータ
2…被加圧物,製品
21,22,23…部品

Claims (5)

  1. 被加圧物を載置する基台と、
    前記基台に載置された前記被加圧物に被せ、前記基台との間で前記被加圧物を気密に保持するとともに、変態点温度以上で前記被加圧物に応じた形状に回復するように記憶させた形状記憶合金製シートを含む真空バッグと、
    前記基台と前記真空バッグとで覆った空間を真空減圧する減圧手段と、
    少なくとも前記形状記憶合金製シートを前記変態点温度以上に加温する温度環境設定手段と、を備える部品加圧装置。
  2. 前記温度環境設定手段は、前記基台に載置された前記被加圧物に被せる場合に、少なくとも前記形状記憶合金製シートを前記変態点温度未満の温度環境に設定する請求項1に記載の部品加圧装置。
  3. 前記形状記憶合金製シートは、形状記憶合金製メッシュを含む請求項1又は2に記載の部品加圧装置。
  4. 前記真空バッグは、前記形状記憶合金製シートと、当該形状記憶合金製シートの一方の面又は両方の面に設けられた気密性シートと、を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の部品加圧装置。
  5. 変態点温度以上で被加圧物に応じた形状となるように記憶させた形状記憶合金製シートを含む真空バッグを基台に載置された被加圧物に被せ、前記形状記憶合金製シートを前記変態点温度以上に加温しながら前記真空バッグと前記基台とで覆った空間を真空減圧する部品加圧方法。
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