JP5384930B2 - 液晶パネル積層体の製造方法並びにその装置 - Google Patents

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Description

本発明は例えば携帯電話等のディスプレイ等に用いる積層液晶表示ユニットに関するものであって、特に中間にゲルシートを介在させた液晶パネル積層体の製造方法並びにその装置に係るものである。
液晶表示画面における表示性能の向上要求に応えるには、画面の輝度の向上や、コントラストの明瞭化等を図ることが必須の課題となっている。本出願人もこのような視点から液晶パネルと、透明保護板との間にゲル層を設ける技術を提案している(例えば特許文献1参照)。
このゲル層を現実の市場要求に適うコストで供給することを考慮すると、未硬化ゲルの注入手法によりゲル層を構成する場合、量産化に限度があり、市場要求に応えるには困難があることは否めない。
このためゲル層の構成にあたっては、シート状に形成されたゲルシートを積層させる手法を採ることが合理的であるが(例えば特許文献2、3参照)、その際にも次のような問題があった。
即ち、前記ゲルシートはいわゆるコシが無く容易に変形し易く、表面にタック性があるため、積層させるに当たって気泡を含まずに均一に貼合することが難しく、大量生産して商品化する場合の技術的ネックとなっていた。
具体的には、液晶パネルと透明保護板との間にゲルシートを介在させる場合においては、貼合面に気泡が生じないこと、更には均一な貼合がされていること、更には貼り合わせ位置の精度が高いこと等の技術的要求がされている。
このうち、気泡の発生を防止すること並びに均一な貼合を行うことの解決策としては、半導体分野や液晶基板の製造分野において様々な貼合方法が提案されており、ローラによって押圧する方式、あるいはプレス用の加圧式を基本技術とした改良手法が多く提案されている。
しかしながら、ゲルシートのように一定の厚みを有し、且つ容易に加圧変形するシートの貼合の場合には、ローラによる押圧方式ではゲルシートが加圧時に押しやられるような状態となって変形し、面方向に厚みが不均一となる問題があり、このため多くはプレス式の加圧方式が適したものとして検討対象となっている。そこで気泡除去に有効な減圧下でのいわゆる真空貼合と、均一加圧貼合に有効な弾性材料から成る加圧面で加圧貼合する方法等を併用した方法が提案されている。
しかしながらこれら何れの技術も、あくまで加工対象は比較的厚みが薄く且つ柔軟な液晶セルシートの貼合手法であり、しかも貼合接着に介在する材料は極めて薄い粘着材、接着剤が適用されるものであり、この限りにおいて適したものであっても、本発明が対象とした一定の層厚があるゲルシートを貼合する場合には、充分な解決策とはなっていない。すなわち単に液晶パネルと透明保護板との間にゲルシートを介在させて、それらをいわゆる真空雰囲気下で弾性的に押圧した場合、確かに製造当初は見かけ上、気泡の発生が無い製品が得られるものの、時間の経過とともに気泡が発生してしまうことが本発明者らの検証により確認されている。
この理由は必ずしも明らかではないものの、一見、扱いが容易に見える透明保護板であっても、これを押圧する際にその全面が均等に押圧されていない場合には、押圧時に歪みないしは応力が発生し、加工当初はゲルシートの接着力等でその歪み等が顕在化していないものの、透明保護板は一定の剛性を有するだけに、経時的に再び始発状態に復元し、その際、気泡の発生が見られるものとの技術的究明がなされている。
すなわち、前述の従来技術の加工対象は、基板と基板とを粘着材や接着剤で強固に接着接合するものであるので、貼合後に基板等に多少の歪があっても貼合面(特に周端部)でも剥離が発生し難いのである。
一方、液晶パネルと透明保護板との間にゲル層を設ける技術においては、特に量産性の観点からリワーク(液晶パネルからゲルシートを剥離除去する補修作業)が可能であることが重要となる。
そこで前記ゲルシートは、リワーク可能な範囲の粘着性でなければならないという制限がされるため、真空貼合過程で残った歪に起因した剥離が起こり易く、従来の貼合技術では上記の問題が解決できなかった。
そして、こうしたゲルシート故の問題は、大面積(目安として10インチ液晶パネル程度の面積以上)や、ゲル層が複数の層間に積層されるような多段貼合(例えば、液晶パネル/ゲル層/タッチパネル/ゲル層/透明保護板のような積層構成)の場合に、特に顕著となり、貼合後における気泡が発生しない積層加工が極めて困難となっている。
特許3321718号公報 特許3440244号公報 特許3421690号公報
本発明はこのような背景を考慮してなされたものであって、積層液晶表示ユニットを製造するにあたり、液晶パネルと透明保護板と、その間に介在するゲルシートとを積層密着させるにあたり、前記気泡の発生を完全に防止し、且つ量産性に優れた貼合ができる光学積層体の製造方法を開発することを技術課題としたものである。
すなわち請求項1記載の液晶パネル積層体の製造方法は、減圧環境にできる処理空間内に、互いに接近離反できる弾性加圧板と支承板とを対向的に設置し、両者の間に、少なくとも、透明保護板と、ゲルシートと、液晶パネルとを配置し、更に必要に応じて他の機能素子を配置して、これらを前記弾性加圧板と支承板とにより挟んで押圧し、積層密着処理を施し、液晶パネル積層体を製造する方法において、
前記透明保護板は充分な保形性を有するものであり、
また前記ゲルシートは、オルガノゲルであって、表面に自己粘着性を有して透明保護板、液晶パネル及び機能素子と積層密着されるものであって、
前記積層密着処理は、減圧環境下で行われ、且つ透明保護板は押圧されるにあたって、弾性加圧板に部分配列された弾性押圧片により押圧されるものであり、
この弾性押圧片は、圧縮変位量を横軸に、反発力を縦軸にとった変位量―反発力曲線が右上がりのJ字状を示し、且つ50%圧縮時の反発力が10N/cm 2 以下であるものであり、
圧縮時の厚さ変位率〔%〕―反発力〔N/cm 2 〕曲線の接線の傾きが1〔N/cm 2 ・%〕以下となる曲線域において、前記弾性押圧片による押圧を行うことを特徴として成るものである。
また請求項2記載の液晶パネル積層体の製造方法は、前記要件に加え、前記積層密着処理は、一次積層工程と、二次積層工程とにおいて行われるものであり、一次積層工程は、その前段階の一次積層準備工程を経て行われ、
この一次積層準備工程は、透明保護板を弾性加圧板に保持させるとともに、透明保護板の非保持面側に、保形シートとゲルシートとが積層された保形ゲルシートを、ゲルシートが前記透明保護板に対向するように間隔を保って配置するものであり、減圧下または常圧下において作業可能な工程であり、
更にこれに続く一次積層工程は、処理空間の処理雰囲気を減圧状態に設定し、前記透明保護板を保形ゲルシートに接近密着させ、且つこの状態において透明保護板を弾性加圧板における部分配列された弾性押圧片により押圧して、透明保護板とゲルシートとが貼合されて一体化した一次積層体を形成するものであり、
また二次積層工程は、一次積層工程後に行われる二次積層準備工程を経て行われるものであり、
二次積層準備工程では、常圧下または減圧下で前記保形ゲルシートから保形シートを剥離するとともに、ゲルシートの非保持面側に、液晶パネルを支承板上に配置するものであり、
更にこれに続く二次積層工程では、処理雰囲気を減圧状態に設定し、前記透明保護板とゲルシートとが積層した一次積層体を液晶パネルに接近密着させ、且つこの状態で透明保護板は弾性加圧板における部分配列された弾性押圧片により押圧されることを特徴として成るものである。
また請求項3記載の液晶パネル積層体の製造方法は、前記要件に加え、前記弾性押圧片の部分配列は、加圧時における加圧方向と直交する方向における変形が、配列された弾性押圧片同士で干渉しない間隔を持って形成されていることを特徴として成るものである。
更にまた請求項4記載の液晶パネル積層体の製造方法は、前記要件に加え、前記弾性押圧片は、独立配列されていることを特徴として成るものである。
更にまた請求項5記載の液晶パネル積層体の製造方法は、前記請求項4記載の要件に加え、前記弾性押圧片は、扁平円柱状で独立配列されていることを特徴として成るものである。
更にまた請求項記載の液晶パネル積層体の製造方法は、前記要件に加え、前記弾性押圧片は、粘着性オルガノゲルが適用されたものであることを特徴として成るものである。
更にまた請求項記載の液晶パネル積層体の製造方法は、前記請求項記載の要件に加え、前記弾性押圧片として適用される粘着性オルガノゲルの加圧面の粘着力はJIS Z0237に準拠した傾斜式ボールタック試験(傾斜角30度)におけるボールナンバーが3〜15であることを特徴として成るものである。
更にまた請求項記載の液晶パネル積層体の製造方法は、前記請求項要件に加え、前記弾性押圧片は、直接、透明保護板のチャッキング機能を奏することを特徴として成るものである。
更にまた請求項記載の液晶パネル積層体の製造装置は、減圧環境にできる処理空間内に、互いに接近離反できる弾性加圧板と支承板とを対向的に設置し、両者の間に、少なくとも、透明保護板と、ゲルシートと、液晶パネルとを配置し、更に必要に応じて他の機能素子を配置して、これらを前記弾性加圧板と支承板とにより挟んで押圧し、積層密着処理を施し、液晶パネル積層体を製造する装置において、
前記弾性加圧板は、その押圧作用面に部分配列された弾性押圧片を具えており、
この弾性押圧片は、圧縮変位量を横軸に、反発力を縦軸にとった変位量―反発力曲線が右上がりのJ字状を示し、且つ50%圧縮時の反発力が10N/cm 2 以下であるものであることを特徴として成るものである。
また請求項10記載の液晶パネル積層体の製造装置は、前記請求項記載の要件に加え、前記弾性押圧片の部分配列は、加圧時における加圧方向と直交する方向における変形が、配列された弾性押圧片同士で干渉しない間隔を持って形成されていることを特徴として成るものである。
また請求項11記載の液晶パネル積層体の製造装置は、前記請求項または10記載の要件に加え、前記弾性押圧片は、独立配列されていることを特徴として成るものである。
また請求項12記載の液晶パネル積層体の製造装置は、前記請求項11記載の要件に加え、前記弾性押圧片は、扁平円柱状で独立配列されていることを特徴として成るものである。
また請求項13記載の液晶パネル積層体の製造装置は、前記請求項9、10、11または12記載の要件に加え、前記弾性押圧片は、粘着性オルガノゲルが適用されたものであることを特徴として成るものである。
また請求項14記載の液晶パネル積層体の製造装置は、前記請求項13記載の要件に加え、前記弾性押圧片として適用される粘着性オルガノゲルの加圧面の粘着力はJIS Z0237に準拠した傾斜式ボールタック試験(傾斜角30度)におけるボールナンバーが3〜15であることを特徴として成るものである。
また請求項15記載の液晶パネル積層体の製造装置は、前記請求項9、10、11、12、13または14記載の要件に加え、前記弾性押圧片は、直接、透明保護板のチャッキング機能を奏することを特徴として成るものである。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
まず請求項1記載の発明によれば、真空雰囲気下で透明保護板またはその積層体全面に押圧時に均一な押圧力が作用して残留応力が発生せず、気泡の発生を回避することができる。
また弾性押圧片を、圧縮変位量を横軸に、反発力を縦軸にとった変位量―反発力曲線が右上がりのJ字状を示すものであり、反発力の値が小さく、且つ変化量が少ない曲線域を持ったものとして構成することができる。このため平坦度のばらつきによる弾性押圧片のワークへの初期接触のストロークの違いの範囲において、各弾性押圧片の押圧力に差が生じにくくなる。
また請求項2記載の発明によれば、取り扱いのしにくい粘着性を有したゲルシートをまず、剛性の高い透明保護板側に貼り付け、それを液晶パネルに貼り合わせる二段階での貼り合わせ手法が採られるので、更に安定した製品を得る事が出来る。
また請求項3記載の発明によれば、弾性押圧片に生じる加圧方向の変形が干渉しないから、弾性押圧片自体の変形が充分許容されていて、それぞれが変形に応じた押圧力を透明保護板またはその積層体全面に均一に作用させることができる。
また請求項4記載の発明によれば、弾性押圧片によって伝達される押圧力を所望の個所に作用させることができる。
また請求項5記載の発明によれば、弾性押圧片によって伝達される押圧力を面方向により均一に作用させることができる。
また請求項記載の発明によれば、弾性押圧片を反発力の値が小さく、且つ変化量が少ない曲線域を持ったものとして構成しつつ、粘着力でワークを保持でき、吸引チャッキングのような機械的な力を作用させることないので、透明保護板に変形(歪)が生じにくいため、より貼合後の気泡発生を抑えることができる。また、吸引装置などの設備が不要であるので、装置が簡素化できる。
また請求項記載の発明によれば、弾性押圧片によるワークの保持と脱離が良好に行え、特に脱離時の液晶パネルの変形を低減できるので、貼合後の気泡発生を防止できる。
また請求項記載の発明によれば、弾性押圧片は実質的に処理ワークとなる透明保護板、一次積層体、完成品すべての全ての段階でチャッキング機能を兼ねるのでシンプルな構成とすることができる。
また吸引チャッキングのような機械的な力を作用させることないので、透明保護板に変形(歪)が生じにくいため、貼合後の気泡発生を抑えることができ、また、吸引装置などの設備が不要であるので、装置が簡素化できる。
また請求項記載の発明によれば、真空雰囲気下で透明保護板またはその積層体全面に押圧時に均一な押圧力が作用して残留応力が発生せず、気泡の発生を回避することができる。
また弾性押圧片を、圧縮変位量を横軸に、反発力を縦軸にとった変位量―反発力曲線が右上がりのJ字状を示すものであり、反発力の値が小さく、且つ変化量が少ない曲線域を持ったものとして構成することができる。このため平坦度のばらつきによる弾性押圧片のワークへの初期接触のストロークの違いの範囲において、各弾性押圧片の押圧力に差が生じにくくなる。
また請求項10記載の発明によれば、弾性押圧片に生じる加圧方向の変形が干渉しないから、弾性押圧片自体の変形が充分許容されていて、それぞれが変形に応じた押圧力を透明保護板またはその積層体全面に作用させることができる。
また請求項11記載の発明によれば、弾性押圧片によって伝達される押圧力を所望の個所に作用させることができる。
また請求項12記載の発明によれば、弾性押圧片によって伝達される押圧力を面方向により均一に作用させることができる。
また請求項13記載の発明によれば、弾性押圧片を反発力の値が小さく、且つ変化量が少ない曲線域を持ったものとして構成しつつ、粘着力でワークを保持でき、吸引チャッキングのような機械的な力を作用させることないので、透明保護板に変形(歪)が生じにくいため、より貼合後の気泡発生を抑えることができる。また、吸引装置などの設備が不要であるので、装置が簡素化できる。
また請求項14記載の発明によれば、弾性押圧片によるワークの保持と脱離が良好に行え、特に脱離時の液晶パネルの変形を低減できるので、貼合後の気泡発生を防止できる。
また請求項15記載の発明によれば、弾性押圧片は実質的に処理ワークとなる透明保護板、一次積層体、完成品すべての全ての段階でチャッキング機能を兼ねるのでシンプルな構成とすることができる。
また吸引チャッキングのような機械的な力を作用させることないので、透明保護板に変形(歪)が生じにくいため、貼合後の気泡発生を抑えることができ、また、吸引装置などの設備が不要であるので、装置が簡素化できる。
本発明を実施するための最良の形態の一つとして、透明保護板と液晶パネルとをゲルシートを挟設して積層した構造とする方法を例に以下の実施様態で説明するが、以下の実施様態に対して、本発明の技術的思想の範囲内において適宜変更を加えることも可能である。
以下、本発明を図示の実施様態に基づいて具体的に説明する。まず以下の説明にあっては、本発明の製造対象となる液晶パネル積層体1の構成を説明し、次いで本発明の液晶パネル積層体の製造装置2について説明し、続いてこの装置を用いて液晶パネル積層体の製造工程について説明しながら、実質的に本発明の液晶パネル積層体の製造方法について説明する。
まず液晶パネル積層体1は図2に示すように、実質的な表示作用を行う液晶パネル11と、例えばアクリル板等を用いた一定の剛性を有し透明な状態を具えた透明保護板12と、その間に中間層として設けられて被着物に対してリペア性可能な粘着性を有するゲルシート13とが密着積層して構成されるものである。
なお前記ゲルシート13は、発明の背景において述べたように、それ自体はいわゆるコシが無く、しかも粘着性(タック性)があるため、そのハンドリング性と防塵、更には傷等の損傷防止の目的のため、原素材の供給形態としては、ゲルシート13に対し適度な剥離性を持たせた保護シート13Sが貼られた保形ゲルシート13Aとして提供されるものである。
なお本発明の装置にゲルシート13をセットするにあたっては、通常、ゲルシート13の両面に設けられている保護シート13Sは少なくともその一面側は既に排除された準備状態とされている。
このような構成により、前記液晶パネル11の表示は、透明なゲルシートを介して透明保護板12を光が透過することから、空気層の介在が無く、光の屈折状態が安定することにより明瞭な液晶パネル11の像が外面に表示される。
なお、本発明において液晶パネル11とは、液晶がガラス板等で封止された液晶セル単体や、更に液晶セルをベースにフィルターや偏光膜(板)等の光学部品が積層されて一体に組上げられたものを包括したものである。本実施様態においては、液晶パネル11のゲル貼合面は、TAC素材の偏光シート面である。
なお前記ゲルシート13としては、シリコーン系、アクリル系、ウレタン系、オレフィン系などが適用できるが、耐熱性、低温安定性や化学的安定性の観点からシリコーン系が好ましく、一例として旭化成ワッカーシリコーン(株)社製の二液付加反応型シリコーンゲル(型式:SLJ3363)を原料とした0.5mmの厚さのものが採用される。
また、前記ゲルは、液晶パネル積層体の生産工程におけるリワークを可能とするために、例えば、液晶パネルとの剥離強度が、JIS Z0237に準拠した粘着力試験における180度引きはがし粘着力で5N/25mm以下程度に設定される。
更に、前記保護シート13Sとしては、ポリエステル樹脂フィルムなどの樹脂フィルムにドライ及び/またはウェットの剥離調整加工(剥離剤コーティング等)を施した公知のものを適用できる。
次にこのような液晶パネル積層体1の製造装置2について説明する。
このものは図1に示すように、減圧雰囲気とすることができる処理チャンバ21(処理空間)内で加工を行うものであり、この処理チャンバ21は基部21Aとハッチ部21Bとの部材が例えばヒンジ接続されて開閉自在に設けられている。
そして前記基部21A側には、支承板22が設けられているものであり、実質的に前記透明保護板12、保形ゲルシート13A、液晶パネル11の加工処理にあたっての載置上板としての作用を有するものである。
なお支承板22が直接治具機能を果たしてもよいし、外形形状が異なる液晶パネル11等を扱うことを考慮して、それぞれに応じたアダプタ状の治具 (案内枠)等を用いることも差し支えない。そして、前記支承板22上で透明保護板12等の被貼合物の位置決めが計られることによって、貼合された積層体の貼り合せズレが防止でき、精度の良い積層体が得られる。
また前記支承板22に対向して、弾性加圧板23が設けられるものであって、このものは前記ハッチ部21B側に設けられるものであって、充分な剛性を有する加圧板本体24に対し、その加圧面側に一例として図3に示すような扁平円柱状の弾性押圧片25が独立して設けられているものである。なお弾性押圧片25を扁平円柱状とすることにより、図3(a)中、仮想線で示すように、弾性押圧片25が押圧により周方向に均等に圧縮変形するので、弾性押圧片25によって伝達される押圧力を被貼合物に対して、より均一に作用させることができる。
また前記弾性押圧片25の部分配列は、図3(c)に示すように、加圧時における加圧方向と直交する方向における変形が、配列された弾性押圧片25同士で干渉しない間隔を持って形成されている。因みに弾性押圧片25同士が変形時に接触干渉すると、干渉した部分を中心に押圧が不均一になるため、貼合後に気泡が発生し易くなる。
そして前記弾性加圧板23は、ハッチ部21Bの上面に設けられたエアシリンダ等のアクチュエータ26によりシフトされるものであり、アクチュエータ26のロッド27が前記弾性加圧板23の上背面に固定されている。
また処理チャンバ21に対しては減圧系装置28が併設されるものであって、減圧系の装置の配管としては、処理チャンバ21に直接接続されるチャンバ配管L1と、切換弁281において分岐する減圧管L2と、常圧雰囲気に戻すための解放管L3とが設けられている。
更に、減圧管L2は前記切換弁281の上流側に対し接続されるバキュームタンク282に接続され、このバキュームタンク282はバキュームポンプ283に接続される。
なお詳細な図示は省略するが、前記処理チャンバ21には、ハッチ部21Bの開閉のためのダンパロッドや、内部の減圧状態を表示するバキュームゲージ等が具えられている。
このような製造装置2を用いて以下述べるような工程を経て積層密着処理が行われ、液晶パネル積層体1が製造される(図4、5参照)。
(1)素材準備
まず素材としては、製造装置2で貼合可能な範囲に応じた形状の液晶パネル11と、アクリル材等を例えば矩形状に裁断した透明保護板12と、その間に積層されるゲルシート13の素材状態である保護シート13Sを伴った保形ゲルシート13Aとが適宜準備される。
(2)一次積層準備工程
そしてこのような部材を用意した状態で、まず一次積層準備工程(S1〜S3)が開始される。この一次積層準備工程は、以下述べる各工程を経て、透明保護板12と保形ゲルシート13Aとを貼合させるための準備工程である。
(2−1)透明保護板準備工程
一次積層準備工程は図4中S1で示す工程であり、まず先に述べたように透明保護板12を支承板22に載置する。
このとき、支承板22に直接形成された位置決め部材、あるいは別途アダプタ上の枠等の治具により、透明保護板12を正確な位置に設置する。
(2−2)透明保護板保持工程
次に透明保護板保持工程S2は、支承板22に載置されている透明保護板12に向かって弾性加圧板23を接近させ、一例として弾性押圧片25による押圧力が2〜10N/cm2 で20秒間押圧し、その後これを保持して上方に待機する工程である。
この工程は常圧下においても行うことができるが、10インチの画面サイズ以上の透明保護板の場合には、後工程の減圧環境としたときに、弾性押圧片25から外れて落下する現象が発生するので、100Pa以下(絶対真空を0Paとしたときの圧力)の減圧下において行うことが好ましく、透明保護板が大面積になるほど真空度を高く(絶対真空基準での圧力値を小さく)することがより好ましい。
なお透明保護板12の保持は、具体的には前記弾性押圧片25が粘着性のオルガノゲル素材で構成されているときには、その粘着力により透明保護板12を直接チャッキング(保持)して上方に待機するのである。
(2−3)ゲルシート準備工程
次にゲルシート準備工程S3が行われるものであり、この作業は処理チャンバ21内を常圧下にした後、ハッチ部21Bを解放して前記支承板22に対しゲルシート13を載置するものである。
なお前記ゲルシート13は、準備段階において保護シート13Sを伴った保形ゲルシート13Aの状態で受圧支承板22に載置される。
この際、受圧支承板22には、保形ゲルシート13A専用の枠状の治具等を載置してその位置決め等を行うことが好ましい。
以上のようにして一次積層準備工程が終了する。
(3)一次積層工程
次いで一次積層工程S4に移るものであり、この一次積層工程S4は、透明保護板12とゲルシート13との貼り合わせを行うものであり、気泡等の発生をこの段階から充分に予防するため、処理チャンバ21内を減圧雰囲気として行う。
すなわち処理チャンバ21のハッチ部21Bを閉じた状態で減圧系装置28の切換弁281を切り換え、バキュームタンク282の減圧管L2とチャンバ配管L1とを連通させ、処理チャンバ21内を減圧状態としておく。因みにこの減圧状態は100Pa以下(絶対真空を0Paとしたときの圧力)の減圧状態である。
この状態でアクチュエータ26を操作し、ロッド27を図中下方に伸長させ、弾性加圧板23が透明保護板12を伴った状態で保形ゲルシート13Aにおけるゲルシート13側に接近、密着し、一定時間この状態を保持する(一例として弾性押圧片25による押圧力が2〜10N/cm2 、20秒間)。
なおこのとき、弾性加圧板23は透明保護板12を押圧するにあたって、弾性押圧片25により実質的に押圧しているものであり、この弾性押圧片25は部分整列していることから、押圧に伴う変形があったとしても個々の弾性押圧片25の変形が自由に行われ、結果的に透明保護板12に対して不均一な押圧とならないような状態が得られている。
このような積層状態とすることにより、ゲルシート13はそれ自体の粘着力により前記透明保護板12側に密着状態となり、弾性加圧板23の上昇に伴い、一体となって上昇してゆく。
なお透明保護板12とゲルシート13とが貼合されて一体化したものを一次積層体という。
(4)二次積層準備工程
このような一次積層工程S4を経た後、二次積層準備工程に移行する。これは二次積層工程S7において、一次積層体と液晶パネル11とを密着積層させるに先立って行われる準備工程である。
(4−1)保護シート剥離工程
保形シート剥離工程は図4中S5で示す工程であり、切換弁281の切り換えにより処理チャンバ21に連なるチャンバ配管L1を解放管L3に連通させて外気を導入し、内部を常圧状態に戻すとともに、ハッチ部21Bを解放して、保護シート13Sをゲルシート13から剥離する工程である。
(4−2)液晶パネル準備工程
次に液晶パネル準備工程S6において、受圧支承板22上に液晶パネル11を適宜治具等を利用して正確な位置に載置する。
以上のようにして二次積層準備工程が終了する。
なお、本実施様態では前記準備工程は、常圧状態で実施する様態であるが、機械装置を用いて減圧状態のまま実施してもよい。
(5)二次積層工程
次いで二次積層工程S7に移行するものであり(図5参照)、まず、処理チャンバ21のハッチ部21Bを閉じ、且つ処理チャンバ21内を100Pa以下(絶対真空を0Paとしたときの圧力)の減圧雰囲気にした後、弾性加圧板23を降下させ、既に弾性加圧板23側に保持されていた透明保護板12とゲルシート13とから成る一次積層体を液晶パネル11に対し押圧、密着させる(一例として、弾性押圧片25による押圧力が2〜10N/cm2 で20秒間押圧)。
このようにして液晶パネル11と透明保護板12とが、ゲルシート13を中間層として挟んだ状態の製品である液晶パネル積層体1が完成する。
(6)取出工程
次いで取出工程S8に移行するものであり、ロッド27を上昇させ、前記作業と同様に処理チャンバ21内を常圧に戻し、ハッチ部21Bを解放して適宜、弾性加圧板23の弾性圧片25に保持されている液晶パネル積層体1を剥離して取り出すものである。
なお特許請求の範囲に言う積層密着処理とは、前記一次積層工程及び二次積層工程を含む処理を包括的に定義したものである。
本発明においては、上記の工程のうち、特に被貼付体を押圧する工程で、圧縮変位量を横軸に、反発力を縦軸にとった変位量―反発力曲線が右上がりのJ字状を示す弾性押圧片によって、変位量―反発力曲線において反発力の値が小さく、且つ変化量が少ない曲線域の条件で押圧を行うことで、被貼合物の平坦度のばらつきによる弾性押圧片のワークへの初期接触のストロークの違いがあっても、被貼合物に押圧弾性体が全接触して押圧する過程において、各弾性押圧片の押圧力に差が生じにくくでき、その結果、被貼付体を均一に押圧して貼合後の気泡の発生を確実に防止できることが特徴である。
なお反発力の値が小さく、且つ変化量が少ない曲線域とは、弾性押圧片25が反発力(荷重)を増しても変位量がほとんど変化しない領域、つまりJ字状に立ち上がるまでの変位量―反発力曲線の部分を示し、これを本発明では非飽和領域として位置づけるものである。この非飽和領域について、図9に示すグラフを用いてより詳細に説明すると、反発力(荷重)が増しても変位量がほとんど変化しない飽和領域以外の領域の変位量(圧縮時の厚さ変位率[%])―反発力曲線の接線の傾きが1N/(cm2 ・%)以下となるように設定している。
このように設定することで、弾性押圧片25を被貼合物へと前記非飽和領域の緩やかな押圧力変化の範囲内で全接触を完了させることができ、その結果僅かでも気泡発生の原因となってしまう被貼合物の撓みの影響を広い範囲で消尽できることが本発明の思想において重要なポイントとなっているのである。つまり、被貼合物が大きな液晶パネル11であったり、透明保護板12の反り変形等のばらつきがあったりして被貼合物の撓みが大きくなろうとも、非飽和領域の設定により十分に適用可能となる。
そして、上記の作用効果を得るためには、弾性押圧片25の物理性状を充分好ましいものとすることが必要である。
具体的には、前記弾性押圧片25として適用される粘着性ゲルの50%圧縮時の反発力が10N/cm2 以下であることが好ましい。
なお、前記50%圧縮とは、圧縮時(押圧時)における粘着性ゲルの厚さ変化率であって、次の式で定義されるものである。

厚さ変位率(%)=[1−(圧縮後のゲル厚み)/(圧縮前のゲル厚み)]×100

これにより、透明保護板12やゲルシート13などの被貼合物の平面性にばらつきがあっても、面全体を均一に押圧できるので、より貼合後の気泡発生を抑えることができる。
50%圧縮時の反発力が10N/cm2 を超えると、被貼合物に対して過剰な押圧となり、被貼合物に変形歪が生じやすくなり、その歪が貼合後の気泡発生を誘発しやすくなるので好ましくない。
更にまた前記弾性押圧片25として適用される粘着性ゲルの粘着力はJIS Z0237に準拠した傾斜式ボールタック試験(傾斜角30度)におけるボールナンバーが3〜15であることが好ましい。そして、弾性押圧片25の粘着力は、上記粘着ゲルの粘着力と弾性押圧片25の形状(押圧面積)で適宜調整される。
これにより、弾性押圧片25による保持と脱離が良好に行え、特に脱離時の液晶パネル11の変形を低減できるので、貼合後の気泡発生を防止できる。
粘着性ゲルの粘着力がボールナンバー3未満では、粘着力が小さすぎて、粘着力による被貼合物の粘着保持が困難になり、また、ボールナンバーが15を超えると粘着力が強すぎて、貼合後に液晶パネル積層体1を弾性押圧片25から剥離するのが困難となり、弾性押圧片25の損傷や液晶パネル積層体1のゲル付着汚れなどの不具合が発生するので好ましくない。
上記の物性を有する弾性押圧片25としては、シリコーン系、アクリル系、ウレタン系、オレフィン系などの樹脂を主成分とするオルガノゲルが適用でき、特に繰り返し圧縮歪が小さいシリコーンゲルが好ましい。
これにより、弾性押圧片25を、図9に示すように、圧縮変位量を横軸に、反発力を縦軸にとった変位量―反発力曲線が右上がりのJ字状を示すものであり、反発力の値が小さく、且つ変化量が少ない曲線域を持ったものとして構成することができる。このため平坦度のばらつきによる弾性押圧片25のワークへの初期接触のストロークの違いの範囲において、各弾性押圧片25の押圧力に差が生じにくくなる。
なお弾性押圧片25の粘着性は、シリコーンゲルの自己粘着性を利用するが、ハイドロジェンポリシロキサンオイルを粘着面に塗付して粘着力を小さくしたり、公知の方法で粘着力の強弱を調整してもよい。
〔他の実施様態〕
本発明は上述した実施様態を基本となる実施様態とするものであるが、本発明の技術的思想に基づいて以下に示すような実施様態を採ることもできる。
すなわち、弾性加圧板23に形成される弾性押圧片25については、被貼合物の条件に応じて、その形状及び配列等を適宜調整してもよく、具体例として次に示すような改変が可能である。
まず先に述べた扁平円柱状の独立した弾性押圧片25が装置の製造更には加工時の性能等において最も好ましいものであるが、更に他の構成を採ることができる。
まず図6(a)の平面図に示すものは、弾性押圧片25を先の実施様態と同様、扁平な円柱状としながらその配列を例えば同心円上に点在させたものである。
なお弾性押圧片25自体は図3(b)の断面図に示した独立した状態以外に、例えば図6(b)に示すようにベース部25Bを共通させ、その一部が盛り上がって弾性押圧片25を構成し、相対的に凹陥する部分を凹部250としたものも構成し得るものである。
またその平面的なパターンとしては、弾性押圧片25が散点的に設けられる他、図6(c)の平面図に示すように同心円上に連続した弾性押圧片25が形成されていたり、あるいは図6(d)に示すような格子状のものであってもよい。
なお弾性押圧片25は、押圧作用を行う先端部と、加圧板本体24側の基部とが同幅である必要は無く、図7(a)に示すように台形状の断面を構成するようにしてもよい。なおこの場合、弾性押圧片25による押圧力を累加的に作用させることができる。
また基本となる実施様態では、弾性押圧片25自体がゲル素材であって、一定のタック性を有し、透明保護板12を仮接着状態で保持し得るような形態を採っているが、弾性押圧片25自体にはこのような保持作用を期待せずに、図7(b)に示すように、別途、保持だけの作用を行う吸盤230を保持方向に押圧の妨げにならないような自由度を可能に配置して、保持自体は吸盤230に行わせるようにしてもよい。なおこのとき弾性押圧片25自体が粘着性を発揮しているような場合、その押圧作用面には別途、フッ素樹脂系のシート等を貼り、接着作用を奏しないように図ってもよい。
また、弾性押圧片25の中心に吸引孔を形成して、透明保護板の歪が問題とならない程度の範囲で吸着による補助的な保持機構を組み合わせてもよい。
更に、弾性加圧板23に複数の透明保護板12を配置、保持させ、支承板22に前記透明保護板12と対向するように同数のゲルシート13及び液晶パネル11を配置して、多数個取りの貼合として、生産性の向上を図ってもよい。
なお、積層の様態として、先の実施様態に限らず、液晶パネル11/ゲルシート13/透明保護板12の順序で積層してもよい。またタッチパネルやバックライトユニット等の機能素子を用いる場合には、透明保護板12/ゲルシート13/タッチパネル素子/ゲルシート13/液晶パネル11の順序での積層や、透明保護板12/ゲルシート13/液晶パネル11/ゲルシート13/バックライトユニット順序での等で多層積層としてもよい。
以下、具体的な実施例について説明する。
〔実施例1〕
(1)液晶パネル積層体の構成
まず液晶パネル積層体1の構成は、透明保護板12/ゲルシート13/液晶パネル11の順序で積層するものとした。
また貼合面を300mm×200mmとし、液晶パネル11の偏光膜積層面にゲルシート13を貼付した。
また透明保護板12として、300mm×200mm×厚さ1mmのアクリル板を用いた(三菱レイヨン社製 MR−200 L−001)。
またゲルシート13として、300mm×200mm×厚さ0.5mmのものを用いた。なおゲルシート13の素材は、旭化成ワッカーシリコーン(株)社製の二液付加反応型シリコーンゲル(型式:SLJ3363)である。
またその粘着力は、透明保護板12貼合面がボールNo.8、液晶パネル11貼合面がボールNo.10である。
また保護シート13Sとして、ユニチカ(株)社製のフロロシリコーン系剥離フィルム(型式:FZ、フィルム厚み:0.1mm)を用いた。
また液晶パネル11として、表面にTACからなる偏光膜が形成された市販品を用いた。
(2)弾性加圧板の構成
また弾性加圧板23として、図8(a)に示すように、ステンレス製の平板からなる加圧板本体24の加圧面側に、Φ30mm×高さ10mmの弾性押圧片25を、20mm間隔で均等に格子状に配列して、図8(b)に示すように透明保護板12に弾性押圧片25が接触するようにした。
また弾性押圧片25は、旭化成ワッカーシリコーン(株)社製の二液付加反応型シリコーンゲル(型式:SLJ3363 硬化後の粘着力は、ボールタック試験でボールNo.10)を用い、前記加圧板本体24に型を積層し、注型、加熱硬化して作製した。
(3)積層処理
先の基本となる実施様態の工程に従い、一個取りでの貼合を5バッチ行い、5個の液晶パネル積層体1を得た。
なお各積層工程における条件は次の通りである。
減圧条件:100Pa(絶対真空を0Paとしたときの圧力)
加圧条件:弾性押圧片25の押圧力として3.5N/cm2 (総押圧力 約60k gf)
(4)比較例
また液晶パネル積層体1の構成は実施例1のものと同様とし、弾性押圧片25を異ならせて、同じ減圧条件、加圧条件にて積層を行った以下の比較例二種類を用意した。
〔比較例1〕
弾性押圧片25として、300mm×200mm×厚さ10mmのシリコーンゲルシートを用い、実施例1と同様にして貼合し、5個の液晶パネル積層体を得た。
〔比較例2〕
弾性押圧片25として、アスカーC50のシリコーンゴム(東レダウコーニング社製CF5058)を用い、実施例1と同様にして貼合し、5個の液晶パネル積層体を得た。
実施例1の液晶パネル積層体1は、いずれの貼合工程においても気泡の巻き込みがなく、貼合完了後、室温、常圧で24時間放置後にも全数で気泡は発生しなかった。
一方、比較例1の液晶パネル積層体は、貼合完了直後は、気泡の発生は見られなかったが、室温、常圧放置下において、24時間後に5個中3個に気泡が発生していた。
更に、比較例2の液晶パネル積層体は、貼合完了後の減圧下においては気泡の巻き込みは無かったが、常圧に解放直後に気泡が発生したものが、5個中3個あり、その後放置1時間以内に全数に気泡が発生した。
この結果から、本発明によれば、従来困難とされていた液晶パネル11へのゲルシート13の貼合において、気泡発生の無い液晶パネル積層体1を容易に安定して得ることができた。
実施例1と比較例1、2における気泡発生の抑止効果の違いは、本発明の特徴である弾性加圧板23に設けられた特定の反発力(圧縮荷重)−変形特性を有したオルガノゲルからなる弾性押圧片25の様態に起因するものと考えられる。
すなわち図9に示すように、実施例1の弾性加圧板23は比較例1、2の弾性加圧板23に比べて、実際の貼合工程で弾性加圧板23(実質的に弾性押圧片25)が圧縮変形する範囲において、著しく圧縮変形時の反発力(貼合における押圧力に相当)が小さく、その変化の割合も小さかったのである。この低反発で反発力の増加率が小さい領域で貼合することを主要因として、貼合後に気泡発生しない液晶パネル積層体1が得られるようになった。
本発明の液晶パネル積層体の製造装置を示す正面図である。 液晶パネル積層体を示す斜視図及び側面図である。 弾性加圧板を示す底面図及び縦断側面図である。 基本となる実施様態の一次積層準備工程から液晶パネル準備工程までを示す工程図である。 基本となる実施様態の二次積層工程及び取出工程を示す工程図である。 弾性押圧片の配列及び構成を異ならせた実施様態を示す面図及び縦断側面図である。 弾性押圧片の形状を異ならせた実施様態を示す縦断側面図及び弾性加圧板に吸盤を具えた実施様態を示す底面図である。 実施例1の弾性押圧片の配置を示す平面図及び側面図である。 実施例1並びに比較例1及び比較例2の弾性押圧板の圧縮変形特性を示すグラフである。
1 液晶パネル積層体
11 液晶パネル
12 透明保護板
13 ゲルシート
13A 保形ゲルシート
13S 保護シート
2 (液晶パネル積層体の)製造装置
21 処理チャンバ
21A 基部
21B ハッチ部
22 支承板
23 弾性加圧板
230 吸盤
24 加圧板本体
25 弾性押圧片
25B ベース部
250 凹部
26 アクチュエータ
27 ロッド
28 減圧系装置
281 切換弁
282 バキュームタンク
283 バキュームポンプ
L1 チャンバ配管
L2 減圧管
L3 解放管
S1 透明保護板準備工程
S2 透明保護板保持工程
S3 ゲルシート準備工程
S4 一次積層工程
S5 保護シート剥離工程
S6 液晶パネル準備工程
S7 二次積層工程
S8 取出工程

Claims (15)

  1. 減圧環境にできる処理空間内に、互いに接近離反できる弾性加圧板と支承板とを対向的に設置し、両者の間に、少なくとも、透明保護板と、ゲルシートと、液晶パネルとを配置し、更に必要に応じて他の機能素子を配置して、これらを前記弾性加圧板と支承板とにより挟んで押圧し、積層密着処理を施し、液晶パネル積層体を製造する方法において、
    前記透明保護板は充分な保形性を有するものであり、
    また前記ゲルシートは、オルガノゲルであって、表面に自己粘着性を有して透明保護板、液晶パネル及び機能素子と積層密着されるものであって、
    前記積層密着処理は、減圧環境下で行われ、且つ透明保護板は押圧されるにあたって、弾性加圧板に部分配列された弾性押圧片により押圧されるものであり、
    この弾性押圧片は、圧縮変位量を横軸に、反発力を縦軸にとった変位量―反発力曲線が右上がりのJ字状を示し、且つ50%圧縮時の反発力が10N/cm 2 以下であるものであり、
    圧縮時の厚さ変位率〔%〕―反発力〔N/cm 2 〕曲線の接線の傾きが1〔N/cm 2 ・%〕以下となる曲線域において、前記弾性押圧片による押圧を行うことを特徴とする液晶パネル積層体の製造方法。
  2. 前記積層密着処理は、一次積層工程と、二次積層工程とにおいて行われるものであり、一次積層工程は、その前段階の一次積層準備工程を経て行われ、
    この一次積層準備工程は、透明保護板を弾性加圧板に保持させるとともに、透明保護板の非保持面側に、保形シートとゲルシートとが積層された保形ゲルシートを、ゲルシートが前記透明保護板に対向するように間隔を保って配置するものであり、減圧下または常圧下において作業可能な工程であり、
    更にこれに続く一次積層工程は、処理空間の処理雰囲気を減圧状態に設定し、前記透明保護板を保形ゲルシートに接近密着させ、且つこの状態において透明保護板を弾性加圧板における部分配列された弾性押圧片により押圧して、透明保護板とゲルシートとが貼合されて一体化した一次積層体を形成するものであり、
    また二次積層工程は、一次積層工程後に行われる二次積層準備工程を経て行われるものであり、
    二次積層準備工程では、常圧下または減圧下で前記保形ゲルシートから保形シートを剥離するとともに、ゲルシートの非保持面側に、液晶パネルを支承板上に配置するものであり、
    更にこれに続く二次積層工程では、処理雰囲気を減圧状態に設定し、前記透明保護板とゲルシートとが積層した一次積層体を液晶パネルに接近密着させ、且つこの状態で透明保護板は弾性加圧板における部分配列された弾性押圧片により押圧されることを特徴とする請求項1記載の液晶パネル積層体の製造方法。
  3. 前記弾性押圧片の部分配列は、加圧時における加圧方向と直交する方向における変形が、配列された弾性押圧片同士で干渉しない間隔を持って形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の液晶パネル積層体の製造方法。
  4. 前記弾性押圧片は、独立配列されていることを特徴とする請求項1、2または3記載の液晶パネル積層体の製造方法。
  5. 前記弾性押圧片は、扁平円柱状で独立配列されていることを特徴とする請求項4記載の液晶パネル積層体の製造方法。
  6. 前記弾性押圧片は、粘着性オルガノゲルが適用されたものであることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の液晶パネル積層体の製造方法。
  7. 前記弾性押圧片として適用される粘着性オルガノゲルの加圧面の粘着力はJIS Z0237に準拠した傾斜式ボールタック試験(傾斜角30度)におけるボールナンバーが3〜15であることを特徴とする請求項6記載の液晶パネル積層体の製造方法。
  8. 前記弾性押圧片は、直接、透明保護板のチャッキング機能を奏することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載の液晶パネル積層体の製造方法。
  9. 減圧環境にできる処理空間内に、互いに接近離反できる弾性加圧板と支承板とを対向的に設置し、両者の間に、少なくとも、透明保護板と、ゲルシートと、液晶パネルとを配置し、更に必要に応じて他の機能素子を配置して、これらを前記弾性加圧板と支承板とにより挟んで押圧し、積層密着処理を施し、液晶パネル積層体を製造する装置において、
    前記弾性加圧板は、その押圧作用面に部分配列された弾性押圧片を具えており、
    この弾性押圧片は、圧縮変位量を横軸に、反発力を縦軸にとった変位量―反発力曲線が右上がりのJ字状を示し、且つ50%圧縮時の反発力が10N/cm 2 以下であるものであることを特徴とする液晶パネル積層体の製造装置。
  10. 前記弾性押圧片の部分配列は、加圧時における加圧方向と直交する方向における変形が、配列された弾性押圧片同士で干渉しない間隔を持って形成されていることを特徴とする請求項記載の液晶パネル積層体の製造装置。
  11. 前記弾性押圧片は、独立配列されていることを特徴とする請求項9または10記載の積層液晶表示ユニットの製造装置。
  12. 前記弾性押圧片は、扁平円柱状で独立配列されていることを特徴とする請求項11記載の液晶パネル積層体の製造装置。
  13. 前記弾性押圧片は、粘着性オルガノゲルが適用されたものであることを特徴とする請求項9、10、11または12記載の液晶パネル積層体の製造装置。
  14. 前記弾性押圧片として適用される粘着性オルガノゲルの加圧面の粘着力はJIS Z0237に準拠した傾斜式ボールタック試験(傾斜角30度)におけるボールナンバーが3〜15であることを特徴とする請求項13記載の液晶パネル積層体の製造装置。
  15. 前記弾性押圧片は、直接、透明保護板のチャッキング機能を奏することを特徴とする請求項9、10、11、12、13または14記載の液晶パネル積層体の製造装置。
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