JP6459145B2 - 積層体の剥離装置及び剥離方法並びに電子デバイスの製造方法 - Google Patents

積層体の剥離装置及び剥離方法並びに電子デバイスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、積層体の剥離装置及び剥離方法並びに電子デバイスの製造方法に関する。
表示パネル、太陽電池、薄膜二次電池等の電子デバイスの薄型化、軽量化に伴い、これらの電子デバイスに用いられるガラス板、樹脂板、金属板等の基板(第1の基板)の薄板化が要望されている。
しかしながら、基板の厚さが薄くなると、基板のハンドリング性が悪化するため、基板の表面に電子デバイス用の機能層(薄膜トランジスタ(TFT: Thin Film Transistor
)、カラーフィルタ(CF:Color Filter))を形成することが困難になる。
そこで、基板の裏面にガラス製の補強板(第2の基板)を貼り付けて、基板を補強板により補強した積層体を構成し、積層体の状態で基板の表面に機能層を形成する方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法では、基板のハンドリング性が向上するため、基板の表面に機能層を良好に形成できる。そして、補強板は、機能層の形成後に基板から剥離される。
補強板の剥離方法は、一例として、矩形状の積層体の対角線上に位置する2つの隅部の一方から他方に向けて、補強板又は基板、或いはその双方を互いに離間させる方向に撓み変形させることにより行われる。この際、剥離が円滑に行われるために、積層体の一方の隅部に剥離開始部が作成される。剥離開始部は、特許文献1の如く、積層体の端面から基板と補強板との界面に剥離刃を所定量刺入することにより作成される。
特許文献1の剥離装置はステージ、可撓性部材、及びパッド等を備えており、ステージにて基板を吸着保持し、可撓性部材にて補強板を吸着保持し、パッドにて補強板を一方から他方に向けて撓み変形させることにより、補強板を基板から剥離する。
可撓性部材は、ゴム製の取付部と、可撓性部材の曲げ剛性を規定する規定部(本体部)とから構成され、取付部の溝部と規定部の貫通孔とが連通され、貫通孔に接続された真空ポンプの吸引力によって取付部に補強板が吸着保持される。
特許文献1には、取付部の厚さが1mm以上30mm以下であることが開示されている。
また、規定部については、単位幅(1mm)あたりの曲げ剛性が1000〜40000N・mm/mmであることが開示されており、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂等の樹脂板の他、金属板が使用されることが開示されている。
国際公開第2011/024689号公報
特許文献1の剥離装置では、一辺の長さが600mm未満の補強板の場合には、問題なく円滑に剥離することができる。しかしながら、一辺の長さが600mm以上の補強板では、剥離中に補強板が破損する場合があった。また、一辺の長さが1000mm以上の補強板では、破損の発生頻度が高くなるという問題があった。なお、補強板の一辺の長さと積層体の一辺の長さとは等しいものである。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、特に一辺の長さが600mm以上の積層体であって、第2の基板が吸着保持された可撓性部材を撓み変形させて第2の基板を第1の基板から剥離させる際に、第2の基板の破損を防止することができる積層体の剥離装置及び剥離方法並びに電子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、従来技術の問題を鋭意検討し、以下の第1及び第2の知見に基づいてなされたものである。
[第1の知見]
ガラス製の補強板を撓ませた場合、剥離前線(剥離した部分と未剥離部分との境界)の近くでは,外円周部(基板に対する貼り付け面)には引張応力が発生し、内円周部には圧縮応力が発生する。ガラスは、破損に対して、圧縮応力には強いが引張応力には弱いという特性を有する。
可撓性部材に対する補強板の面方向保持力(単位面積当たりの吸着力×吸着面積×摩擦係数)は、補強板のサイズが大きくなるに従って大きくなる。
上記前提に基づき、可撓性部材によって補強板を撓ませていくと、補強板に発生する応力も上昇する。このとき、可撓性部材に対して補強板が滑りながら撓んでいく場合は、補強板の外円周部には撓んだ分の引張応力しか発生しない。
しかしながら、補強板のサイズが大きくなるに従い、前記面方向保持力が増大するため、可撓性部材に対する補強板の滑りが各段に悪くなる(又は滑りが全くなくなる)という現象が発生する。
可撓性部材に対する補強板の滑りが悪くなると、補強板の外円周部には過剰な引張応力が発生する。つまり、補強板の外円周部には、補強板単体を撓ませることにより発生する引張応力と、補強板と可撓性部材との間の滑りが一部又は全て拘束されることにより補強板の中立面に発生する引張応力との合算値が作用する。これが原因で補強板を等しい曲率半径で撓ませた場合であっても、サイズの大きい補強板がサイズの小さい補強板よりも破損し易くなることを突き止めた。つまり、第1の知見は、可撓性部材に対する補強板の滑りに着目した点である。
[第2の知見]
可撓性部材に対する補強板の滑りが悪い状態で、補強板を可撓性部材の本体部から離れた位置で撓ませると、補強板の外円周部に発生する引張応力が、接近した位置で撓ませた場合と比較して大きくなり、破損の原因になる。つまり、第2の知見は、可撓性部材の本体部と補強板との面間距離に着目した点である。なお、引張応力は、可撓性部材の本体部及び補強板の曲率半径、ヤング率、補強板の厚さに基づいて既知の応力計算式によって求められる。
第1及び第2の知見に基づき、従来の課題を解決する本発明を以下に提供する。
本発明の積層体の剥離装置の一態様は、前記目的を達成するために、第1の基板とガラス製の第2の基板とが剥離可能に貼り付けられてなる一辺の長さが600mm以上の矩形状の積層体に対し、前記第2の基板の一端側から他端側に向けた剥離進行方向に沿って前記第2の基板を撓ませることにより、前記第2の基板を前記第1の基板から剥離する積層体の剥離装置において、前記第2の基板を保持して前記剥離進行方向に撓ませる可撓性部材を備え、前記可撓性部材は、本体部と多孔質部材とを備え、前記第2の基板は、前記多孔質部材を介して前記本体部に吸着保持され、前記多孔質部材は、厚さ2mm以下のシート状部材であることを特徴とする。
本発明の積層体の剥離方法の一態様は、前記目的を達成するために、第1の基板とガラス製の第2の基板とが剥離可能に貼り付けられてなる一辺の長さが600mm以上の矩形状の積層体であって、前記積層体の前記第2の基板を、厚さ2mm以下の多孔質部材を介して可撓性部材の本体部に吸着保持させる保持工程と、前記第2の基板の一端側から他端側に向けた剥離進行方向に沿って前記可撓性部材を撓ませることにより、前記第2の基板を前記第1の基板から剥離する剥離工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明の電子デバイスの製造方法の一態様は、前記目的を達成するために、第1の基板とガラス製の第2の基板とが剥離可能に貼り付けられてなる一辺の長さが600mm以上の矩形状の積層体であって、前記第1の基板の露出面に機能層を形成する機能層形成工程と、前記機能層が形成された前記第1の基板から前記第2の基板を分離する分離工程と、を有する電子デバイスの製造方法において、前記分離工程は、前記積層体の前記第2の基板を、厚さ2mm以下の多孔質部材を介して可撓性部材の本体部に吸着保持させる保持工程と、前記第2の基板の一端側から他端側に向けた剥離進行方向に沿って前記可撓性部材を撓ませることにより、前記第2の基板を前記第1の基板から剥離する剥離工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、剥離時における破損発生頻度の高い一辺の長さが600mm以上の矩形状の積層体を対象とし、かつ可撓性部材の本体部と積層体との面間距離に相当する多孔質部材の厚さを2mm以下に規定した。そして、積層体の第2の基板を、多孔質部材を介して本体部に吸着保持し、可撓性部材を撓み変形させて、第2の基板を一端側から他端側に向けて撓ませることにより、第2の基板を第1の基板から剥離する。
本発明の一態様によれば、一辺の長さが600mm以上の矩形状の積層体であっても、すなわち、撓み変形時に可撓性部材の本体部に対して滑らない積層体であっても、多孔質部材の厚さが2mm以下なので、第2の基板の中立面に発生する引張応力が大幅に低減される。これによって、第2の基板の外円周部に発生する引張応力も大幅に低減されるので、第2の基板の損傷を防止できる。剛性の高いガラス製の第2の基板を撓ませるための吸着力の下限値は規定されており、その下限値の吸着力をもって第の基板を吸着し撓ませた場合でも、一辺が600mm以上の第2の基板では滑りが抑制される。
本発明の一態様は、前記積層体は、一辺の長さが1000mm以上である場合により好適である。
本発明の一態様によれば、破損が顕著に発生する一辺の長さが1000mm以上の積層体であっても、第2の基板を第1の基板から円滑に剥離できたことを実験にて確認できた。例えば、長辺が1250mm、短辺が1050mmの積層体であっても第2の基板を破損することなく剥離できたことを実験にて確認できた。
本発明の一態様は、前記多孔質部材は、厚さ1mm以下であることが好ましい。
本発明の一態様によれば、可撓性部材の本体部と第2の基板との面間距離が更に短くなるので、第2の基板に発生する引張応力をより低減できる。
本発明の一態様は、前記可撓性部材の前記本体部は、ヤング率が10GPa以下の樹脂製部材であることが好ましい。
可撓性部材の本体部が、ガラス製の第2の基板のヤング率(70GPa〜80GPa)と略同程度もしくはより大きい材質の場合には、撓み変形時に発生する第2の基板の引張応力を本体部で負担する効果が十分に得られず、逆に本体部の引張応力を第2の基板で負担する作用が生じるので好ましくない。
そこで、本発明の一態様によれば、可撓性部材の本体部のヤング率を10GPa以下の樹脂部材としたので、撓み変形時に発生する第2の基板の引張応力を本体部で負担することができる。これにより、第2の基板に発生する引張応力をより一層低減できる。
本発明の一態様は、前記可撓性部材の前記本体部には、前記多孔質部材を包囲し、かつ前記第2の基板に当接される枠状部材が備えられ、前記枠状部材は、ショアE硬度(JIS K 6253:2012)(以下、規格の記載を省略する)が20度以上50度以下の独立気泡のスポンジであることが好ましい。
本発明の一態様によれば、第2の基板の全ての縁部が枠状部材に密着され、枠状部材の内側の気密が保たれるので、多孔質部材に第2の基板を真空吸着する際の吸引用エアの漏れを枠状部材によって防止できる。
また、枠状部材は、ショアE硬度が20度以上50度以下の独立気泡のスポンジなので、剥離時において可撓性部材の本体部に、局所的な微量な変形が生じても、その変形をスポンジの弾性で吸収できる。よって、スポンジと第2の基板の縁部との密着性を保持できるので、剥離時における吸引用エアの漏れを防止できる。
本発明の積層体の剥離装置及び剥離方法並びに電子デバイスの製造方法によれば、特に一辺の長さが600mm以上の積層体であって、補強板が吸着保持された可撓性部材を撓み変形させて補強板を基板から剥離させる際に、補強板の破損を防止することができる。
電子デバイスの製造工程に供される積層体の一例を示す要部拡大側面図 LCDの製造工程の途中で作製される積層体の一例を示す要部拡大側面図 剥離開始部作成装置による第1の剥離開始部作成方法を示した説明図 剥離開始部作成方法によって剥離開始部が作成された積層体の平面図 実施形態の剥離装置の構成を示した縦断面図 可撓性板に対する複数の可動体の配置位置を模式的に示した可撓性板の平面図 可撓性板の構成を示した平面図及び断面図 積層体の界面を剥離している剥離装置の縦断面図 剥離開始部作成方法により剥離開始部が作成された積層体の補強板を剥離する剥離方法を時系列的に示した説明図 図9に続き積層体の補強板を剥離する剥離方法を時系列的に示した説明図 多孔質シートの厚さに対する補強板に発生する引張応力の関係を示したグラフ 実施形態の可撓性板の要部縦断面図 従来の可撓性板の要部断面図 従来の可撓性板と実施形態の可撓性板の側面図
以下、添付図面に従って、本発明の実施形態について説明する。
以下においては、本発明に係る積層体の剥離装置及び剥離方法を、電子デバイスの製造工程で使用する場合について説明する。
電子デバイスとは、表示パネル、太陽電池、薄膜二次電池等の電子部品をいう。表示パネルとしては、液晶ディスプレイパネル(LCD:Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)、及び有機ELディスプレイパネル(OELD:Organic Electro Luminescence Display)を例示できる。
〔電子デバイスの製造工程〕
電子デバイスは、ガラス製、樹脂製、金属製等の基板の表面に電子デバイス用の機能層(LCDであれば、薄膜トランジスタ(TFT)、カラーフィルタ(CF))を形成することにより製造される。
前記基板は、機能層の形成前に、その裏面が補強板に貼り付けられて積層体に構成される。その後、積層体の状態で基板の表面に機能層が形成される。そして、機能層の形成後、補強板が基板から剥離される。
すなわち、電子デバイスの製造工程には、積層体の状態で基板の表面に機能層を形成する機能層形成工程、及び機能層が形成された基板から補強板を分離する分離工程が備えられる。この分離工程に、本発明に係る積層体の剥離装置及び剥離方法が適用される。
〔積層体1〕
図1は、積層体1の一例を示した要部拡大側面図である。
積層体1は、機能層が形成される基板(第1の基板)2と、その基板2を補強するガラス製の補強板(第2の基板)3とを備える。また、補強板3は、表面3aに吸着層としての樹脂層4が備えられ、樹脂層4に基板2の裏面2bが貼り付けられる。すなわち、基板2は、樹脂層4との間に作用するファンデルワールス力、又は樹脂層4の粘着力によって、補強板3に樹脂層4を介して剥離可能に貼り付けられる。また、積層体1は、一辺の長さが600mm以上のものである。
[基板2]
基板2は、その表面(露出面)2aに機能層が形成される。基板2としては、ガラス基板、セラミックス基板、樹脂基板、金属基板、半導体基板を例示できる。これらの基板のなかでも、ガラス基板は、耐薬品性、耐透湿性に優れ、かつ、線膨張係数が小さいので、電子デバイス用の基板2として好適である。また、線膨張係数が小さくなるに従い、高温下で形成される機能層のパターンが冷却時に、ずれ難くなる利点もある。
ガラス基板のガラスとしては、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、高シリカガラス、その他の酸化ケイ素を主な成分とする酸化物系ガラスを例示できる。酸化物系ガラスとしては、酸化物換算による酸化ケイ素の含有量が40〜90質量%のガラスが好ましい。
ガラス基板のガラスは、製造する電子デバイスの種類に適したガラス、その製造工程に適したガラスを選択して採用することが好ましい。たとえば、液晶パネル用のガラス基板には、アルカリ金属成分を実質的に含まないガラス(無アルカリガラス)を採用することが好ましい。
基板2の厚さは、基板2の種類に応じて設定される。たとえば、基板2にガラス基板を採用する場合、その厚さは、電子デバイスの軽量化、薄板化のため、好ましくは0.7mm以下、より好ましくは0.3mm以下、さらに好ましくは0.1mm以下に設定される。厚さが0.3mm以下の場合、ガラス基板に良好なフレキシブル性を与えることができる。更に、厚さが0.1mm以下の場合、ガラス基板をロール状に巻き取ることができるが、ガラス基板の製造の観点、及びガラス基板の取り扱いの観点から、その厚さは0.03mm以上であることが好ましい。
なお、図1では基板2が1枚の基板で構成されているが、基板2は、複数枚の基板で構成されたものでもよい。すなわち、基板2は、複数枚の基板を積層した積層体で構成することもできる。
[補強板3]
補強板3としては、ガラス基板、セラミックス基板、樹脂基板、金属基板、半導体基板を例示できるが、実施形態ではガラス基板が用いられる。
補強板3の厚さは、0.7mm以下に設定され、補強する基板2の種類、厚さ等に応じて設定される。なお、補強板3の厚さは、基板2よりも厚くてもよいし、薄くてもよいが、基板2を補強するため、0.4mm以上であることが好ましい。
なお、本例では補強板3が1枚の基板で構成されているが、補強板3は、複数枚の基板を積層した積層体で構成することもできる。
[樹脂層4]
樹脂層4は、樹脂層4と補強板3との間で剥離するのを防止するため、補強板3との間の結合力が、基板2との間の結合力よりも高く設定される。これにより、剥離工程では、樹脂層4と基板2との界面が剥離される。
樹脂層4を構成する樹脂は、特に限定されないが、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミドシリコーン樹脂を例示できる。いくつかの種類の樹脂を混合して用いることもできる。そのなかでも、耐熱性や剥離性の観点から、シリコーン樹脂、ポリイミドシリコーン樹脂が好ましい。実施形態では、樹脂層4としてシリコーン樹脂層を例示する。
樹脂層4の厚さは、特に限定されないが、好ましくは1〜50μmに設定され、より好ましくは4〜20μmに設定される。樹脂層4の厚さを1μm以上とすることにより、樹脂層4と基板2との間に気泡や異物が混入した際、樹脂層4の変形によって、気泡や異物の厚さを吸収できる。一方、樹脂層4の厚さを50μm以下とすることにより、樹脂層4の形成時間を短縮でき、更に樹脂層4の樹脂を必要以上に使用しないため経済的である。
なお、樹脂層4の外形は、補強板3が樹脂層4の全体を支持できるように、補強板3の外形と同一であるか、補強板3の外形よりも小さいことが好ましい。また、樹脂層4の外形は、樹脂層4が基板2の全体を密着できるように、基板2の外形と同一であるか、基板2の外形よりも大きいことが好ましい。
また、図1では樹脂層4が1層で構成されているが、樹脂層4は2層以上で構成することもできる。この場合、樹脂層4を構成する全ての層の合計の厚さが、樹脂層の厚さとなる。また、この場合、各層を構成する樹脂の種類は異なっていてもよい。
更に、実施形態では、吸着層として有機膜である樹脂層4を用いたが、樹脂層4に代えて無機層を用いてもよい。無機層を構成する無機膜は、例えばメタルシリサイド、窒化物、炭化物、及び炭窒化物からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
更にまた、図1の積層体1は、吸着層として樹脂層4を備えているが、樹脂層4を無くして基板2と補強板3とからなる構成としてもよい。この場合には、基板2と補強板3との間に作用するファンデルワールス力等によって基板2と補強板3とが剥離可能に貼り付けられる。また、この場合には、ガラス基板である基板2とガラス板である補強板3とが高温で接着しないように、補強板3の表面3aに無機薄膜を形成することが好ましい。
〔機能層が形成された実施形態の積層体6〕
機能層形成工程を経ることにより積層体1の基板2の表面2aには、機能層が形成される。機能層の形成方法としては、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、PVD(Physical Vapor Deposition)法等の蒸着法、スパッタ法が用いられる。機能層は、フォトリソグラフィ法、エッチング法によって所定のパターンに形成される。
図2は、LCDの製造工程の途中で作製される矩形状の積層体6の一例を示した要部拡大側面図である。この積層体6も一辺の長さが600mm以上のものである。
積層体6は、補強板3A、樹脂層4A、基板2A、機能層7、基板2B、樹脂層4B、及び補強板3Bが、この順で積層されて構成される。すなわち、図2の積層体6は、図1に示した積層体1が、機能層7を挟んで対称に配置された積層体に相当する。また、補強板3A、3Bもガラス製である。以下、基板2A、樹脂層4A、及び補強板3Aからなる積層体を第1の積層体1Aと称し、基板2B、樹脂層4B、及び補強板3Bからなる積層体を第2の積層体1Bと称する。
第1の積層体1Aの基板2Aの表面2Aaには、機能層7としての薄膜トランジスタ(TFT)が形成され、第2の積層体1Bの基板2Bの表面2Baには、機能層7としてのカラーフィルタ(CF)が形成される。
第1の積層体1Aと第2の積層体1Bとは、互いに基板2A、2Bの表面2Aa、2Baが重ね合わされて一体化される。これにより、機能層7を挟んで、第1の積層体1Aと第2の積層体1Bとが、対称に配置された構造の積層体6が製造される。
積層体6は、分離工程の剥離開始部工程にてナイフにより剥離開始部が形成された後、分離工程の剥離工程にて補強板3A、3Bが順次剥離され、その後、偏光板、バックライト等が取り付けられて、製品であるLCDが製造される。
〔剥離開始部作成装置10〕
図3は、剥離開始部作成工程にて使用される剥離開始部作成装置10の構成を示した説明図であり、図3(A)は、積層体6とナイフNとの位置関係を示した説明図、図3(B)は、ナイフNによって界面24に剥離開始部26を作成する説明図、図3(C)は、界面28に剥離開始部30を作成する直前状態を示した説明図、図3(D)は、ナイフNによって界面28に剥離開始部30を作成する説明図、図3(E)は、剥離開始部26、30が作成された積層体6の説明図である。また、図4は、剥離開始部26、30が作成された積層体6の平面図である。
剥離開始部26、30の作成時において、積層体6は図3(A)の如く、補強板3Bの裏面3Bbがテーブル12に吸着保持されて水平(図中X軸方向)に支持される。
ナイフNは、積層体6の隅部6Aの端面に刃先が対向するように、ホルダ14によって水平に支持される。また、ナイフNは、高さ調整装置16によって、高さ方向(図中Z軸方向)の位置が調整される。更に、ナイフNと積層体6とは、ボールねじ装置等の送り装置18によって、水平方向に相対的に移動される。送り装置18は、ナイフNとテーブル12のうち、少なくとも一方を水平方向に移動すればよく、実施形態ではナイフNが移動される。更にまた、刺入前又は刺入中のナイフNの上面に、液体20を供給する液体供給装置22が、ナイフNの上方に配置される。
[剥離開始部作成方法]
剥離開始部作成装置10による剥離開始部作成方法は、ナイフNの刺入位置を、積層体6の隅部6Aであって、積層体6の厚さ方向において重なる位置に設定し、かつナイフNの刺入量を、界面24、28ごとに異なるように設定した点にある。
その作成手順について説明する。
初期状態において、ナイフNの刃先は、第1の刺入位置である基板2Bと樹脂層4Bとの界面24に対し、高さ方向(Z軸方向)にずれた位置に存在する。そこで、まず、図3(A)に示すように、ナイフNを高さ方向に移動させて、ナイフNの刃先の高さを界面24の高さに設定する。
この後、図3(B)の如く、ナイフNを積層体6の隅部6Aに向けて水平に移動させ、界面24にナイフNを所定量刺入する。また、ナイフNの刺入時又は刺入前において、液体供給装置22からナイフNの上面に液体20を供給する。これにより、隅部6Aの基板2Bが樹脂層4Bから剥離するので、図4の如く平面視で三角形状の剥離開始部26が界面24に作成される。なお、液体20の供給は必須ではないが、液体20を使用すれば、ナイフNを抜去した後にも液体20が剥離開始部26に残留するので、再付着不能な剥離開始部26を作成できる。
次に、ナイフNを隅部6Aから水平方向に抜去し、図3(C)の如く、ナイフNの刃先を、第2の刺入位置である基板2Aと樹脂層4Aとの界面28の高さに設定する。
この後、図3(D)の如く、ナイフNを積層体6に向けて水平に移動させ、界面28にナイフNを所定量刺入する。同様に液体供給装置22からナイフNの上面に液体20を供給する。これによって、図3(D)の如く、界面28に剥離開始部30が作成される。ここで、界面28に対するナイフNの刺入量は、界面24に対する刺入量よりも少量とする。以上が剥離開始部作成方法である。なお、界面24に対するナイフNの刺入量を、界面28に対する刺入量よりも少量としてもよい。
剥離開始部26、30が作成された積層体6は、剥離開始部作成装置10から取り出され、後述する剥離装置に搬送され、剥離装置によって界面24、28が順次剥離される。
剥離方法の詳細は後述するが、図4の矢印Aの如く、積層体6を隅部6Aから隅部6Aに対向する隅部6Bに向けて撓ませることにより、剥離開始部26の面積が大きい界面24が剥離開始部26を起点として最初に剥離される。これにより、補強板3Bが剥離される。その後、積層体6を隅部6Aから隅部6Bに向けて再び撓ませることにより、剥離開始部30の面積が小さい界面28が剥離開始部30を起点として剥離される。これにより、補強板3Aが剥離される。
なお、ナイフNの刺入量は、積層体6のサイズに応じて、好ましくは7mm以上、より好ましくは15〜20mm程度に設定される。
〔剥離装置40〕
図5は、実施形態の剥離装置40の構成を示した縦断面図であり、図6は、剥離装置40の可撓性板42に対する複数の可動体44の配置位置を模式的に示した可撓性板42の平面図である。なお、図5は図6のC−C線に沿う断面図に相当し、また、図6においては積層体6を実線で示している。
図5の如く剥離装置40は、積層体6を挟んで上下に配置された一対の可動装置46、46を備える。可動装置46、46は同一構成のため、ここでは図5の下側に配置された可動装置46について説明し、上側に配置された可動装置46については同一の符号を付すことで説明を省略する。
可動装置46は、可撓性板(可撓性部材)42、複数の可動体44、可動体44ごとに可動体44を昇降移動させる複数の駆動装置48、及び駆動装置48ごとに駆動装置48を制御するコントローラ50等によって構成される。
可撓性板42は、補強板3Bを撓み変形させるため、補強板3Bを真空吸着保持する。なお、真空吸着に代えて、静電吸着又は磁気吸着してもよい。
[可撓性板42]
図7(A)は、可撓性板42の平面図であり、図7(B)は、図7(A)のD−D線に沿う可撓性板42の拡大縦断面図である。
可撓性板42は、積層体6の補強板3Bを吸着保持する矩形の多孔質シート(多孔質部材:日東電工株式会社製、超高分子量ポリエチレン多孔質フィルム、商品名「サンマップ」)52、多孔質シート52を、両面接着シート53を介して支持する矩形の本体板(本体部)54から構成される。
多孔質シート52の厚さは、剥離時に補強板3Bに発生する引張応力を低減させる目的で2mm以下、好ましくは1mm以下であり、実施形態では0.5mmのものが使用されている。多孔質シート52のヤング率は、1GPa以下であることが好ましい。ガラスや金属等の小さな異物が侵入した際に、異物が多孔質シートに埋まり補強板のキズ発生を防止することができる。
本体板54には、多孔質シート52を包囲し、かつ補強板3Bの縁部が当接される枠状部材56が備えられる。枠状部材56は、両面接着シート57を介して本体板54に支持される。また、枠状部材56は、ショアE硬度が20度以上50度以下の独立気泡のスポンジであり、その厚さは、多孔質シート52の厚さに対して0.3mm〜0.5mm厚く構成されている。
多孔質シート52と枠状部材56との間には、枠状の溝58が備えられる。また、本体板54には、複数の貫通孔60が開口されており、これらの貫通孔60の一端は溝58に連通され、他端は、不図示の吸引管路を介して吸気源(例えば真空ポンプ)に接続されている。
したがって、前記吸気源が駆動されると、前記吸引管路、貫通孔60、及び溝58の空気が吸引されることにより、積層体6の補強板3Bが多孔質シート52に真空吸着保持されて本体板54に支持される。また、補強板3Bの4辺の縁部が枠状部材56に押圧当接されるので、枠状部材56によって囲まれる吸着空間の密閉性が高められる。
本体板54は、多孔質シート52及び枠状部材56よりも曲げ剛性が高く、本体板54の曲げ剛性が可撓性板42の曲げ剛性を支配する。可撓性板42の単位幅(1mm)あたりの曲げ剛性は、1000〜40000N・mm/mmであることが好ましい。例えば、可撓性板42の幅が100mmの部分では、曲げ剛性は、100000〜4000000N・mmとなる。可撓性板42の曲げ剛性を1000N・mm/mm以上とすることで、可撓性板42に吸着保持される補強板3Bの折れ曲がりを防止することができる。また、可撓性板42の曲げ剛性を40000N・mm/mm以下とすることで、可撓性板42に吸着保持される補強板3Bを適度に撓み変形させることができる。
本体板54は、厚さ3mmの板材54Aと厚さ0.5mmの板材54Bとが両面接着シート54Cを介して接着されてなる板状体である。また、板材54A及び板材54Bは、ヤング率が10GPa以下の樹脂製部材であり、例えばポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂等の樹脂製部材である。
[可動装置46]
本体板54の下面には、図5に示した円盤状の複数の可動体44が、図6の如く碁盤目状に固定される。これらの可動体44は、本体板54にボルト等の締結部材によって固定されるが、ボルトに代えて接着固定されてもよい。これらの可動体44は、コントローラ50によって駆動制御された駆動装置48によって、独立して昇降移動される。
すなわち、コントローラ50は、駆動装置48を制御して、図6における積層体6の隅部6A側に位置する可動体44から矢印Aで示す剥離進行方向の隅部6B側に位置する可動体44を、順次下降移動させる。この動作によって、図8の縦断面図の如く積層体6の界面24が剥離開始部26(図4参照)を起点として剥離していく。なお、図5、図8に示した積層体6は、図3にて説明した剥離開始部作成方法により剥離開始部26、30が作成された積層体6である。
駆動装置48は、例えば回転式のサーボモータ及びボールねじ機構等で構成される。サーボモータの回転運動は、ボールねじ機構において直線運動に変換され、ボールねじ機構のロッド62に伝達される。ロッド62の先端部には、ボールジョイント64を介して可動体44が設けられている。これにより、図8の如く可撓性板42の撓み変形に追従して可動体44を傾動させることができる。よって、可撓性板42に無理な力を加えることなく、可撓性板42を隅部6Aから隅部6Bに向けて撓み変形させることができる。なお、駆動装置48としては、回転式のサーボモータ及びボールねじ機構に限定されず、リニア式のサーボモータ、又は流体圧シリンダ(例えば空気圧シリンダ)であってもよい。
複数の駆動装置48は、昇降可能なフレーム66にクッション部材68を介して取り付けられることが好ましい。クッション部材68は、可撓性板42の撓み変形に追従するように弾性変形する。これによって、ロッド62がフレーム66に対して傾動する。
フレーム66は、剥離した補強板3Bを可撓性板42から取り外す際に、不図示の駆動部によって下降移動される。
コントローラ50は、CPU、ROM、及びRAM等の記録媒体等を含むコンピュータとして構成される。コントローラ50は、記録媒体に記録されたプログラムをCPUに実行させることにより、複数の駆動装置48を駆動装置48ごとに制御して、複数の可動体44の昇降移動を制御する。
〔剥離装置40による補強板3A、3Bの剥離方法〕
図9(A)〜(C)〜図10(A)〜(C)は、図3にて説明した剥離開始部作成方法によって隅部6Aに剥離開始部26、30が作成された積層体6の剥離方法が示されている。すなわち、同図には、積層体6の補強板3A、3Bを剥離する剥離方法が時系列的に示されている。また、剥離装置40への積層体6の搬入作業、及び剥離した補強板3A、3B及びパネル70の搬出作業は、図9(A)に示す吸着パッド72を備えた搬送装置74によって行われる。なお、図9、図10では、図面の煩雑さを避けるため、可動装置46の図示は省略している。また、パネル70とは、補強板3A、3Bを除く基板2Aと基板2Bとが機能層7を介して貼り付けられた製品パネルである。
図9(A)は、搬送装置74の矢印E、Fに示す動作によって積層体6が、下側の可撓性板42に載置された剥離装置40の側面図である。この場合、下側の可撓性板42と上側の可撓性板42との間に搬送装置74が挿入されるように、下側の可撓性板42と上側の可撓性板42とが相対的に十分に退避した位置に予め移動される。そして、積層体6が下側の可撓性板42に載置されると、下側の可撓性板42によって積層体6の補強板3Bが真空吸着保持される(保持工程)。
図9(B)は、下側の可撓性板42と上側の可撓性板42とが相対的に近づく方向に移動されて、積層体6の補強板3Aが上側の可撓性板42によって真空吸着保持された状態の剥離装置40の側面図である。
図9(C)は、積層体6の隅部6Aから隅部6Bに向けて下側の可撓性板42を下方に撓み変形させながら、積層体6の界面24を、剥離開始部26(図4参照)を起点として剥離していく状態を示した側面図である。すなわち、図8に示した下側の可撓性板42の複数の可動体44において、積層体6の隅部6A側に位置する可動体44から隅部6B側に位置する可動体44を順次下降移動させて界面24を剥離する(剥離工程)。
図10(A)は、界面24が完全に剥離された状態の剥離装置40の側面図である。同図によれば、剥離した補強板3Bが下側の可撓性板42に真空吸着保持され、補強板3Bを除く積層体6(補強板3A及びパネル70からなる積層体)が上側の可撓性板42に真空吸着保持されている。
また、上下の可撓性板42の間に、図9(A)で示した搬送装置74が挿入されるように、下側の可撓性板42と上側の可撓性板42とが相対的に十分に退避した位置に移動される。
この後、まず、下側の可撓性板42の真空吸着が解除される。次に、搬送装置74の吸着パッド72によって補強板3Bが吸着保持される。次いで、図10(A)の矢印G、Hで示す搬送装置74の動作によって、補強板3Bが剥離装置40から搬出される。
図10(B)は、補強板3Bを除く積層体6が下側の可撓性板42と上側の可撓性板42とによって真空吸着保持された側面図である。すなわち、下側の可撓性板42と上側の可撓性板42とが相対的に近づく方向に移動されて、下側の可撓性板42に、基板2Bが真空吸着保持される。
図10(C)は、積層体6の隅部6Aから隅部6Bに向けて上側の可撓性板42を上方に撓み変形させながら、積層体6の界面28を、剥離開始部30(図4参照)を起点として剥離していく状態を示した側面図である。すなわち、図5に示した上側の可撓性板42の複数の可動体44において、積層体6の隅部6A側に位置する可動体44から隅部6B側に位置する可動体44を順次上昇移動させて界面28を剥離する。
この後、パネル70から完全に剥離された補強板3Aを、上側の可撓性板42から取り出し、パネル70を下側の可撓性板42から取り出す。以上が、隅部6Aに剥離開始部26、30が作成された積層体6の剥離方法である。
〔剥離装置40の特徴〕
剥離装置40の特徴は、剥離対象の積層体として、剥離時における破損発生頻度の高い、すなわち、多孔質シート52に対して補強板が滑らない、一辺の長さが600mm以上のガラス製の補強板3Bを備えた積層体6を対象としたことにある。また、可撓性板42の本体板54と積層体6との面間距離に相当する多孔質シート52の厚さを、2mm以下に規定したことにある。
以下、剥離する補強板3Bに発生する引張応力について、実施例と比較例とを例示して説明する。
図11には、面間距離(mm:実施形態では多孔質シート52の厚さに相当する)と補強板3Bに発生する引張応力(MPa)との関係がグラフ化されて示されている。すなわち、図11の横軸が面間距離を示し、縦軸が引張応力を示している。
図12は、実施形態の可撓性板42の要部縦断面図であり、図13は、従来の可撓性板100の一例を示す要部断面図である。
図12の可撓性板42は、本体板54に多孔質シート52が両面接着シート53を介して接着されてなる。ここで、本体板54の厚さaは3.5mm、多孔質シート52の厚さbは0.5mm、補強板3Bの厚さcは0.5mmである。なお、両面接着シート53の厚さは無視するものとする。
図13の可撓性板100は、本体板102に両面接着シート103を介してゴム製の板状体104が接着され、この板状体104に多孔質シート52が被覆されてなる。ここで、本体板102の厚さdは3.5mm、板状体104の厚さeは3mm、多孔質シート52の厚さfは0.3mm、補強板3Bの厚さgは0.5mmである。なお、両面接着シート103の厚さは無視するものとする。また、補強板3Bは、一辺の長さが600mm以上のものとする。
図11のグラフに戻り、同図に示された引張応力は、補強板3Bと本体板54、102のヤング率、補強板3Bの曲率半径、及び補強板3Bの厚さに基づいて既知の応力計算式によって求められたものである。ここで、補強板3Aはガラス製であり、そのヤング率は77.6GPaである。また、本体板54、102はポリカーボネート製であり、そのヤング率は2.55GPaである。そして、剥離時における曲率半径は1000mmである。
図11のグラフAは、補強板3B単体の外円周部に発生する引張応力が示され、この引張応力は、面間距離に関係なく一定値(約19MPa)となる。
グラフBは、補強板3Bの中立面に発生する引張応力が示され、この引張応力は、面間距離と比例関係にある。
グラフCは、グラフAの引張応力とグラフBの引張応力とを合算した引張応力(以下、合算応力という)であり、補強板3Bの外円周部に実際に発生する引張応力である。
次に、図11のグラフに基づいて、図12の補強板3Bに発生する合算応力と図13の補強板3Bに発生する合算応力とを比較する。
図12の可撓性板42は、多孔質シート52の厚さが0.5mm(面間距離=0.5mm)なので、補強板3Bに発生する合算応力は、グラフCに基づき約55MPaとなる。また、中立面に発生する引張応力は、グラフBに基づき36MPaとなる。
これに対して図13の可撓性板100は、板状体104の厚さと多孔質シート52の厚さの合算値が3.3mm(面間距離=3.3mm)なので、補強板3Bに発生する合算応力は、グラフCに基づき約95MPaとなる。また、中立面に発生する引張応力は、グラフBに基づき76MPaとなる。
よって、実施形態の可撓性板42によれば、等しい曲率半径(1000mm)で補強板3Bを撓ませた場合であっても、従来の可撓性板100と比較して、補強板3Bに発生する合算応力を約48%低減することができる。また、中立面に発生する引張応力を約53%低減することができる。
ここで、補強板3Bの損傷を防止するための合算応力の上限値は、特に規定されるものではないが、頻度は極少ないが80MPaを超えると補強板3Bが破損する場合があるため、その上限値を80MPaとすることが好ましい。つまり、多孔質シート52の厚さを2mm以下とすることが好ましい。
したがって、実施形態の剥離装置40によれば、一辺の長さが600mm以上の積層体6であっても、すなわち、撓み変形時に本体板54に対して滑らない補強板3Bであっても、多孔質シート52の厚さを2mm以下に規定したので、剥離時における補強板3Bの損傷を防止できる。
また、実施形態の剥離装置40を使用すれば、一辺の長さが1000mm以上の積層体であっても、補強板3Bを円滑に剥離することができた。例えば、長辺が1300mm、短辺が1100mmの積層体であっても、補強板3Bを破損することなく剥離することができた。
また、多孔質シート52の厚さを1mm以下にすれば、補強板3Bに発生する引張応力をより低減できるので、より大サイズの補強板3Bの剥離に好適となる。
また、可撓性板42の本体板54として、ヤング率が10GPa以下の樹脂製部材を採用している。本体板54が、ガラスのヤング率と略同程度の材質の場合には、撓み変形時に発生する補強板3Bの引張応力を本体板54で負担することができず、逆に本体板54の引張応力を補強板3Bで負担する場合があるので好ましくない。
そこで、本体板54のヤング率を10GPa以下の樹脂部材としたので、撓み変形時に発生する補強板3Bの引張応力を本体板54で負担することができ、これによって、補強板3Bに発生する引張応力をより一層低減できる。
図14(A)は、図13に示した従来の可撓性板100によって積層体6を保持した側面図であり、図14(B)は、図12に示した実施形態の可撓性板42によって積層体6を保持した側面図である。
図14(A)の如く、従来の可撓性板100では、上下に配置された可撓性板42、42をそれぞれ可動体44によって互いに近づく方向に付勢すると、その付勢力によって本体板102が局所的に撓み、その撓みにゴム製の板状体104が追従しない。これにより、積層体6と板状体104との間に局所的に隙間106が発生し、隙間から吸引用のエアが漏れるという不具合が生じる。
これに対して、実施形態の可撓性板42は、図7(B)に示したように、ショアE硬度が20度以上50度以下の独立気泡のスポンジである枠状部材56が備えられている。
したがって、図14(B)の如く、本体板102が局所的に撓んだ場合でも、その変形を枠状部材56の弾性で吸収できるので、枠状部材56と積層体6との密着性を保持でき、これによって、吸引用エアの漏れを防止できる。
N…ナイフ、1…積層体、1A…第1の積層体、1B…第2の積層体、2…基板、2a…基板の表面、2b…基板の裏面、2A…基板、2Aa…基板の表面、2Ab…基板の裏面、2B…基板、2Ba…基板の表面、2Bb…基板の裏面、3…補強板、3a…補強板の表面、3b…補強板の裏面、3A…補強板、3Aa…補強板の表面、3Ab…補強板の裏面、3B…補強板、3Ba…補強板の表面、3Bb…補強板の裏面、4…樹脂層、4A…樹脂層、4B…樹脂層、6…積層体、6A、6B…隅部、7…機能層、10…剥離開始部作成装置、12…テーブル、14…ホルダ、16…高さ調整装置、18…送り装置、20…液体、22…液体供給装置、24…界面、26…剥離開始部、28…界面、30…剥離開始部、32、34…剥離開始部、40…剥離装置、42…可撓性板、44…可動体、46…可動装置、48…駆動装置、50…コントローラ、52…多孔質シート、53…両面接着シート、54…本体板、57…両面接着シート、58…溝、60…貫通孔、62…ロッド、64…ボールジョイント、66…フレーム、68…クッション部材、70…パネル、72…吸着パッド、74…搬送装置

Claims (14)

  1. 第1の基板とガラス製の第2の基板とが剥離可能に貼り付けられてなる一辺の長さが600mm以上の矩形状の積層体に対し、前記第2の基板の一端側から他端側に向けた剥離進行方向に沿って前記第2の基板を撓ませることにより、前記第2の基板を前記第1の基板から剥離する積層体の剥離装置において、
    前記第2の基板を保持して前記剥離進行方向に撓ませる可撓性部材を備え、
    前記可撓性部材は、本体部と多孔質部材とを備え、
    前記第2の基板は、前記多孔質部材を介して前記本体部に吸着保持され、
    前記多孔質部材は、厚さ2mm以下のシート状部材であることを特徴とする積層体の剥離装置。
  2. 前記多孔質部材は、厚さ1mm以下である請求項1に記載の積層体の剥離装置。
  3. 前記可撓性部材の前記本体部は、ヤング率が10GPa以下の樹脂製部材である請求項1又は2に記載の積層体の剥離装置。
  4. 前記可撓性部材の前記本体部には、前記多孔質部材を包囲し、かつ前記第2の基板に当接される枠状部材が備えられ、
    前記枠状部材は、ショアE硬度が20度以上50度以下の独立気泡のスポンジである請求項1から3のいずれか1項に記載の積層体の剥離装置。
  5. 第1の基板とガラス製の第2の基板とが剥離可能に貼り付けられてなる一辺の長さが600mm以上の矩形状の積層体であって、前記積層体の前記第2の基板を、厚さ2mm以下の多孔質部材を介して可撓性部材の本体部に吸着保持させる保持工程と、
    前記第2の基板の一端側から他端側に向けた剥離進行方向に沿って前記可撓性部材を撓ませることにより、前記第2の基板を前記第1の基板から剥離する剥離工程と、
    を備えたことを特徴とする積層体の剥離方法。
  6. 前記積層体は、一辺の長さが1000mm以上である請求項5に記載の積層体の剥離方法。
  7. 前記多孔質部材は、厚さ1mm以下である請求項5又は6に記載の積層体の剥離方法。
  8. 前記可撓性部材の前記本体部は、ヤング率が10GPa以下の樹脂製部材である請求項5から7のいずれか1項に記載の積層体の剥離方法。
  9. ショアE硬度が20度以上50度以下の独立気泡のスポンジである枠状部材を、前記多孔質部材を包囲するように、前記可撓性部材の前記本体部に設け、
    前記保持工程において、前記第2の基板の全ての縁部を前記枠状部材に密着させる請求項5から8のいずれか1項に記載の積層体の剥離方法。
  10. 第1の基板とガラス製の第2の基板とが剥離可能に貼り付けられてなる一辺の長さが600mm以上の矩形状の積層体であって、前記第1の基板の露出面に機能層を形成する機能層形成工程と、前記機能層が形成された前記第1の基板から前記第2の基板を分離する分離工程と、を有する電子デバイスの製造方法において、
    前記分離工程は、
    前記積層体の前記第2の基板を、厚さ2mm以下の多孔質部材を介して可撓性部材の本体部に吸着保持させる保持工程と、
    前記第2の基板の一端側から他端側に向けた剥離進行方向に沿って前記可撓性部材を撓ませることにより、前記第2の基板を前記第1の基板から剥離する剥離工程と、
    を備えることを特徴とする電子デバイスの製造方法。
  11. 前記積層体は、一辺の長さが1000mm以上である請求項10に記載の電子デバイスの製造方法。
  12. 前記多孔質部材は、厚さ1mm以下である請求項10又は11に記載の電子デバイスの製造方法。
  13. 前記可撓性部材の前記本体部は、ヤング率が10GPa以下の樹脂製部材である請求項10から12のいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
  14. ショアE硬度が20度以上50度以下の独立気泡のスポンジである枠状部材を、前記多孔質部材を包囲するように、前記可撓性部材の前記本体部に設け、
    前記保持工程において、前記第2の基板の全ての縁部を前記枠状部材に密着させる請求項10から13のいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
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