JP2014088333A - 口腔咽頭用組成物 - Google Patents

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彰 徳村
Naoteru Shirasaka
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Go Kadokami
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Abstract

【課題】天然物由来の成分を有効成分とし、口腔咽頭内の不調又は疾患の改善に有効な口腔咽頭用組成物を提供する。
【解決手段】リゾリン脂質を含む口腔咽頭用組成物。この組成物は、歯周病の予防、改善、若しくは治療のため、口腔咽頭内の感染症の予防、若しくは改善のため、又は口腔咽頭粘膜のバリア機能の強化、若しくは亢進のための口腔咽頭用組成物とすることができる。リゾリン脂質としては、リゾホスファチジン酸、又はリゾホスファチジルコリンが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、口腔咽頭用組成物、特に、歯周病の予防若しくは治療、口腔咽頭粘膜のバリア機能の強化若しくは亢進、又は細菌若しくはウィルス感染の予防又は改善のための口腔咽頭用組成物に関する。
歯周病(歯槽膿漏)は、歯肉、セメント質、歯根膜、及び歯槽骨からなる歯周組織に発生する疾患の総称である。炎症が歯肉に限定されている歯肉炎が進行すると、歯肉以外の歯周組織にも炎症が広がり、歯槽骨が少なくなって歯が失われてしまう。歯周病患者では、歯肉結合組織や歯槽骨の修復力が低下している。従来、歯周病の治療としては、抗生物質又は抗炎症剤の投与や、外科手術が行われている。
また、虫歯も歯が失われる大きな原因である。虫歯は、歯垢の中のストレプトコッカス・ミュータンスなどの細菌が飲食物から酸を作り、それが歯のエナメル質を溶かすことにより発生する。
また、ヒトの口腔咽頭粘膜は、多種類の菌やウィルスの存在や、食物の咀嚼により、頻繁に傷ついている。唾液は、口腔咽頭及び食道を潤しつつ食物を胃に流入し易くする役割の他に、口腔咽頭粘膜の上皮細胞を保護する役割を果たしている。このため、ドライマウス患者や、健常人でもストレス等により唾液の分泌が少なくなると、口腔咽頭粘膜が傷つき易くなる。国内のドライマウス患者数は約800万人と言われており、口腔咽頭粘膜保護が求められている。
ここで、特許文献1は、レシチンとラクトフェリンとを含む組成物が、歯肉繊維芽細胞における特定遺伝子の発現を促進することにより、リポポリサッカライド(以下、「LPS」と称することがある)に起因する細胞のコラーゲン合成抑制及びコラーゲン分解促進を抑制したこと、ひいては、細菌による歯肉破壊の抑制又は改善に有効であることを教えている。
また、特許文献2は、ホスファチジルコリン(以下、「PC」と称することがある)が、自然免疫において重要な役割を果たす細胞表面上の受容体であるTLR4を介したNF-κBの活性化抑制、MCP-1及び炎症性サイトカインの産生抑制、接着分子の発現抑制により、歯周病などの感染症を予防又は改善できることを教えている。
特開2006−298913号 WO2008/093848
本発明は、天然物由来の成分を有効成分とし、口腔咽頭内の不調又は疾患の改善に有効な口腔咽頭用組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために研究を重ね、以下の知見を得た。
(i) リゾリン脂質は、歯槽骨の吸収を抑制し、歯周病の予防、又は改善に有効である。
(ii) リゾリン脂質は、炎症性サイトカインの1種であるIL−6の分泌を促進し、口腔咽頭内の感染症の予防、又は改善に有効である。
(iii) リゾリン脂質は、口腔咽頭粘膜において上皮細胞を互いに緻密に配列させる作用を有し、口腔咽頭粘膜上皮細胞の有するバリア機能の強化、又は亢進に有効である。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、以下の口腔咽頭用組成物を提供する。
項1. リゾリン脂質を含む口腔咽頭用組成物。
項2. 歯周病の予防、改善、又は治療のための口腔咽頭用組成物である項1に記載の組成物。
項3. 口腔咽頭内の感染症の予防、又は改善のための口腔咽頭用組成物である項1に記載の組成物。
項4. 口腔咽頭粘膜のバリア機能の強化、又は亢進のための口腔咽頭用組成物である項1に記載の組成物。
項5. リゾリン脂質が、リゾホスファチジン酸、及びリゾホスファチジルコリンからなる群より選ばれる少なくとも1種である項1〜4の何れかに記載の組成物。
項6. リゾリン脂質の含有量が、組成物の全量に対して、0.0000003〜15重量%である項1〜5の何れかに記載の組成物。
正常な歯を支える歯槽骨では、骨芽細胞によるカルシウムイオンの放出と、破骨細胞による骨吸収のバランスが保たれている。歯周病患者では、歯肉結合組織や歯槽骨の修復力が低下しているため、歯周組織の炎症の進行に伴い歯槽骨が過剰に吸収されて、ついには歯が抜けてしまう。本発明の口腔咽頭用組成物は、歯槽骨の吸収を抑制することにより、歯周病、ひいては歯周病による抜歯を効果的に予防、改善、又は治療できる。
細菌やウィルスの感染防御には、多数のサイトカインが関わっている。中でも、インターロイキン-6(以下、「IL−6」と称することがある)は、液性免疫を制御し、感染防御に大きな役割を果たしている。本発明の口腔咽頭用組成物は、IL−6の生産、遊離を促進することにより、口腔咽頭内で、効果的に炎症反応を惹起し、細菌又はウィルスの活動を抑えることができる。虫歯はストレプトコッカス・ミュータンスによる感染症であるため、本発明の口腔咽頭用組成物は、虫歯の予防、又は改善にも有効である。
正常な口腔咽頭内粘膜は、粘膜上皮細胞が並び、重層を形成しており、マトリックスが存在している。しかし、食物の咀嚼、細菌感染、ストレス等の原因で粘膜上皮細胞が剥離したり、細胞間物質が減少すると、細胞間隙が大きくなり、細菌やウィルス等の異物が侵入し易くなったり、刺激を感じ易くなる。本発明の口腔咽頭用組成物は、このように広がった粘膜細胞間隙を狭く正常化することにより、粘膜上皮細胞のバリア機能を強化、改善、又は亢進することができる。換言すれば、口腔咽頭の粘膜を保護、又は強化することができる。
リゾリン脂質が歯槽骨の吸収を抑制したことを示す図である。 リゾリン脂質がIL−6の遊離を促進したことを示す図である。 ヒト歯肉細胞でのLPLD活性が膜結合型LPLDであることを示す図である。 リゾリン脂質が口腔粘膜間の間隙を小さくしたことを示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の口腔咽頭用組成物は、リゾリン脂質を有効成分として含む組成物である。
(1)リゾリン脂質
リゾリン脂質としては、リゾホスファチジン酸(以下、「LPA」と称することがある)、及びそのエステルが挙げられる。リゾリン脂質は、1種を単独で使用してもよく、2種以上の混合物を使用してもよい。
LPA
LPAはグリセリンの3位の炭素にリン酸が結合し、1位及び2位の炭素のいずれか一方に水酸基が結合し、残りの一方に脂肪酸がエステル結合した化合物である。
LPAは、2-アシル-1-リゾ-グリセロール-3-リン酸、又は1-アシル-2-リゾ-グリセロール-3-リン酸の何れであってもよい。
結合する脂肪酸としては、18:0、18:1、18:2、18:3、16:0、16:1等が挙げられる。
18:0脂肪酸はオクタデカン酸(ステアリン酸)と称されるものである。天然に存在する18:1脂肪酸は、主に、18:1(9)脂肪酸(cis-9-オクタデセン酸;オレイン酸)、及び18:1(11)脂肪酸(cis-11-オクタデセン酸;cis-バクセン酸)である。天然に存在する18:2脂肪酸は、主に、18:2(9,12)脂肪酸(cis,cis-9,12-オクタデカジエン酸;リノール酸)である。天然に存在する18:3脂肪酸は、主に、18:3(9,12,15)脂肪酸(9,12,15-オクタデカトリエン酸;(9,12,15)リノレン酸)、18:3(6,9,12)脂肪酸(6,9,12-オクタデカトリエン酸;(6,9,12)リノレン酸)、及び18:3(9,11,13)脂肪酸(9,11,13-オクタデカトリエン酸;エレオステアリン酸)である。16:0脂肪酸は、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)と称されるものであり、天然に存在する16:1脂肪酸は、主に16:1(9)脂肪酸(9-ヘキサデセン酸;パルミトレイン酸)である。
後述するように、レシチン等の天然リン脂質から製造されたLPAは、グリセロール骨格に結合している脂肪酸の種類や脂肪酸の結合位置が異なる複数種のLPAの混合物である。
例えば、植物由来レシチン、例えば、大豆レシチン、米レシチン、ナタネレシチンを酵素処理することにより得られるLPAは、18:2脂肪酸が結合したLPAの比率が、その他の脂肪酸(16:0、16:1、18:0、18:1、18:3等)が結合したLPAの各含量と比較して高く、30%以上、中でも35%以上、中でも40%以上、特に、50%以上である。18:2脂肪酸が結合したLPAのモル比の上限は、通常70%程度、中でも60%程度である。
LPAの製造方法
LPA混合物は、例えば、レシチンを、ホスホリパーゼD(以下、「PLD」と称することがある)、及びホスホリパーゼA(以下、「PLA」と称することがある)で処理することにより得られる。レシチンとしては、入手のし易さ、食経験による安全性の点で、大豆レシチンが好ましい。大豆レシチンは、例えば、辻製油(株)、日清オイリオグループ(株)、カーギル社、ADM社、LIPOID社などから市販されている。
酵素処理については、レシチンにPLDとPLAとを作用させればよい。例えば、PLD処理、PLA処理の順で作用させてもよく、PLA処理、PLD処理の順で作用させてもよく、PLDとPLAとを同時に作用させてもよい。また、PLAとしてはホスホリパーゼA1(PLA)、ホスホリパーゼA2(以下、「PLA」と称することがある)などが利用でき、これらを併用することもできる。LPAの収率の点でPLAとしてはPLAを用いるのが好ましい。以下、PLD処理、PLA処理の順で酵素処理する方法を説明するが、他の順序による酵素処理もこの方法に準じて行うことができる。
レシチンをPLDで処理することによりホスファチジン酸(以下、「PA」と称することがある)を生成させることができる。具体的には、例えば、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、炭酸緩衝液、ホウ酸緩衝液のような緩衝液中でレシチンにPLDを作用させ、次いで酵素反応液を、ヘプタン、ヘキサン、アセトン、酢酸エチル、エタノール、イソプロピルアルコール、またはそれらの混合液のような有機溶媒で抽出し、PA含有有機溶媒層を分取すればよい。酵素としては、ナガセケムテックス社製のPLD、Sigma社製のStreptomyces chromofuscus由来のPLD、Streptomyces sp.由来のPLDなどのPLDなどを利用できる。酵素使用量は、レシチン1gに対して通常約100〜10,000U、好ましくは約500〜5,000Uとすればよい。酵素反応液のpHは通常約3.5〜8.5、好ましくは約4〜8とすればよく、酢酸緩衝液の場合には約4〜6がより好ましく、リン酸緩衝液の場合には約4〜8が好ましい。酵素反応温度は通常約25〜60℃、好ましくは約40〜55℃とすればよく、酵素反応時間は通常約1〜72時間、好ましくは約3〜48時間とすればよい。
PLD処理によって得られたPA含有溶液を必要に応じて塩析、濃縮、分液等に供することによりPAを精製してもよい。
次いで、PA含有溶液をPLAで処理することによりLPAを生成させることができる。具体的には、例えば酢酸エチル等の溶媒中で、PA含有溶液にPLAを含む緩衝液(トリス緩衝液、クエン酸緩衝液など)を加えてPAに酵素を作用させLPAを生成させればよい。酵素反応後、精製することにより、LPA含有リン脂質を得ることができる。酵素としてはPLA、PLAなどが使用できる。PLAとしてはLecitase Ultra(Novo Nordisk)などが利用でき、PLAとしてはナガセケムテックス社製のPLA、Sigma社製のporcine pancreas由来PLAなどが利用できる。酵素使用量は、PA1gに対して通常約200〜20,000U、好ましくは約1,000〜10,000Uとすればよい。酵素反応のpHは通常約3.5〜9.5、好ましくは約4〜9とすればよく、トリス緩衝液の場合には約7.5〜9がより好ましく、クエン酸緩衝液の場合には約4〜6がより好ましい。酵素反応温度は通常約20〜70℃、好ましくは約25〜60℃とすればよく、酵素反応時間は通常約1〜72時間、好ましくは約3〜48時間とすればよい。
このようにして得たLPA混合物から、カラムクロマトグラフィーなどの公知の手段を用いて、各種のLPAを分離することができる。
LPAエステル
生体内では、血液中に存在するリゾホスホリパーゼD(以下、「LPLD」と称することがある)、又は膜結合性のLPLDによりLPAエステルが分解されて、LPAが生成する。従って、LPAのエステルを摂取すれば、生体内のLPLDによりLPAが生成し、その作用が発揮される。
LPAのエステルとしては、リゾホスファチジルコリン(以下、「LPC」と称することがある)、リゾホスファチジルセリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルイノシトールなどが挙げられる。中でも、LPAへの変換効率が良い点で、LPCが好ましい。
LPAのエステルは、Avanti Polar Lipids社等から入手できる。
(2)医薬組成物・医薬部外品組成物
本発明の組成物は、医薬品組成物、又は医薬部外品組成物とすることができる。
製剤形態は、医薬品では、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、乳剤、懸濁剤、エアゾール剤、液剤、チュアブル剤、埋植剤(歯周ポケット、歯間などへの埋植剤)などが挙げられ、医薬部外品では、歯磨き剤、マウスウォッシュ、うがい薬などが挙げられる。医薬品は、例えば、第16改正日本薬局方解説書に記載の方法により製造できる。
医薬品または医薬部外品中のリゾリン脂質の含有量は、製剤形態により異なるが、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、乳剤、懸濁剤、エアゾール剤、液剤のように、口腔咽頭内に適用ないしは塗布した後洗い流さないタイプの製剤の場合は、組成物の全量に対して、0.0000003重量%以上が好ましく、0.000003重量%以上がより好ましく、0.00003%以上がさらにより好ましい。また、15重量%以下が好ましく、1.5重量%以下がより好ましく、0.75重量%以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、本発明の効果(歯周病の予防又は改善効果、口腔咽頭内感染予防又は改善効果、及び口腔咽頭粘膜バリア機能の強化効果)が十分に得られる。
また、医薬品または医薬部外品中のリゾリン脂質の含有量は、歯磨き剤、マウスウォッシュ、うがい薬のように、口腔咽頭内に適用ないしは塗布した後洗い流すタイプの製剤の場合は、組成物の全量に対して、0.0000003重量%以上が好ましく、0.000003重量%以上がより好ましく、0.00003%以上がさらにより好ましい。また、15重量%以下が好ましく、1.5重量%以下がより好ましく、0.75重量%以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、本発明の効果が十分に得られる。
また、医薬品または医薬部外品中のリゾリン脂質の含有量は、埋植剤の場合は、組成物の全量に対して、0.0000003重量%以上が好ましく、0.000003重量%以上がより好ましく、0.00003%以上がさらにより好ましい。また、15重量%以下が好ましく、1.5重量%以下がより好ましく、0.75重量%以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、本発明の効果が十分に得られる。
(3)食品組成物
本発明の組成物は、食品組成物とすることができる。
この食品組成物は、健康食品、又は栄養補助食品(バランス栄養食、サプリメントなどを含む)として好適に用いることができる。また、保健機能食品(特定保健用食品(疾病リスク低減表示、規格基準型を含む)、条件付き特定保健用食品、又は栄養機能食品を含む)に好適である。
食品の形態は、特に限定されないが、口腔咽頭内に長時間留めることができる形態の食品が好ましい。このような食品として、チューインガム、風船ガムのようなガム(板ガム、糖衣状粒ガム等);キャラメル、タフィ、ドロップ、ヌガー、グミキャンディのような飴などが挙げられる。
食品組成物中のリゾリン脂質の含有量は、組成物の全量に対して、0.0000003重量%以上が好ましく、0.000003重量%以上がより好ましく、0.00003%以上がさらにより好ましい。また、15重量%以下が好ましく、1.5重量%以下がより好ましく、0.75重量%以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、本発明の効果が十分に得られる。
(4)使用方法
本発明の組成物の使用対象は、歯周病患者、虫歯患者、細菌若しくはウィルスなどによる口腔若しくは咽頭内感染を起こしている患者、口腔咽頭粘膜に創傷を有する患者、シェーグレン症候群患者、舌炎患者、口内炎患者、歯肉炎患者などが好適であるが、歯周病、虫歯、口腔咽頭内感染、口腔咽頭粘膜創傷、舌炎患者、口内炎患者、歯肉炎などの予防のために健常人も対象にできる。
本発明の組成物の使用量は、対象者の健康状態などによって異なるが、口腔咽頭内に適用した後洗い流さないタイプの組成物(医薬品、食品など)では、1日あたりの使用量が、リゾリン脂質に換算して、100ng〜10mg、好ましくは1μg〜5mgとなる量とすればよい。また、口腔咽頭内に適用した後洗い流すタイプの組成物(医薬部外品など)では、1日あたりの使用量が、リゾリン脂質に換算して、1μg〜100mg、好ましくは10μg〜50mgとなる量とすればよい。例えば1日1〜3回に分けて塗布、摂取などすることにより、1日に上記の量を使用すればよい。
また、埋植剤は、製剤により生体内に吸収される速度が異なるので、1日当たりのリゾリン脂質の使用量が、リゾリン脂質に換算して、1pg〜100μg、好ましくは100ng〜50μgとなる量を埋植すればよい。
(5)用途
本発明の組成物は、口腔咽頭用組成物である。特に、(i)歯周病の予防、改善、若しくは治療のための口腔咽頭用組成物、(ii)口腔咽頭内の感染(虫歯を含む)の予防、若しくは改善のための口腔咽頭用組成物、又は(iii)口腔咽頭粘膜のバリア機能の強化、若しくは亢進のための口腔咽頭用組成物や、口腔咽頭粘膜の保護、若しくは強化のための口腔咽頭用組成物とすることができる。
本発明において、「予防」は、発症の回避、遅延、又は発症率の低下を包含し、「改善」及び「治療」は、症状の軽快、症状の進行抑制、及び治癒ないしは完快を包含する。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)LPA混合物の製造(製造例1)
500mLの緩衝液(蒸留水:490g、酢酸:0.9g、酢酸ナトリウム8.7g、pH=5.5)に、120gの大豆レシチン(商品名:UltralecP、エー・ディー・エム・ファーイースト社製)とPLD溶液240g(10,000U/mL、ナガセケムテックス社製)を添加し、50℃で8時間、撹拌しながら酵素反応を行い、PAを生成させた。酵素反応後、ヘプタン410g、アセトン950gで抽出を行い、PAを含む溶媒層を得た。得られた溶媒層に280gの15%塩化ナトリウム水溶液、210gのアセトンを添加し、1時間撹拌後、静置し、分液後、溶媒層を得た。さらに280gの蒸留水、210gのアセトンを添加し、1時間撹拌後、静置し、分液後溶媒層を得た。エバポレーターで減圧濃縮(約2倍濃縮)し、PAを含むレシチン溶液を380mL得た。PAを含むレシチン溶液380mlに酢酸エチル190mlを添加、さらにPLA酵素(90,000U、商品名:PLAナガセ、ナガセケムテックス社製)を含む60mLの緩衝液(0.1Mトリス緩衝液、pH8.5)を添加し、30℃で20時間、撹拌しながら酵素反応を行い、LPAを生成させた。酵素反応後、380mLのエタノールを添加し、不溶物をろ過で除去した後、溶媒を減圧下で留去し、LPA含有リン脂質の試料を作成した。得られたLPA含有リン脂質中のLPAは44.3重量%であった。
(2)歯槽骨吸収抑制作用の評価
歯槽骨吸収抑制作用を検討するために、ラットに50mg/mLネンブタール液を体重100gあたりに約0.1mL腹腔内投与し麻酔をかけた。麻酔後、固定台にラットを固定し、鉗子で舌を固定、開口させ、マイクロ持針器と糸付縫合針(夏目製作所)を用いて上顎右側第二臼歯を結紮した。結紮した翌日を除き毎日1回、18日間、製造例1で製造したLPA含有リン脂質を、0.03mM、又は0.1mMになるように生理食塩水に溶解し、結紮した上顎右側第二臼歯付近の歯茎(頬側)へ横斜め向きに注射針を挿入し歯槽骨にあたる所で投与した。対照として生理食塩水を上顎左側第二臼歯に同様に投与した。結紮後、20日目に左右の上顎を採取し、10%中性ホルマリン緩衝液により固定した。ホルマリン固定した上顎はCT撮影する前日にホルマリンより水に置き換えた。歯槽骨吸収抑制効果を確認するために、マイクロCTを用いて頬側と口蓋側の歯槽骨の先端とセメントエナメルジャンクション(CEJ)の距離を測定した。結紮した上顎右側第二臼歯と結紮していない上顎左側第二臼歯の差を骨低下量として算出した。結果を図1に示す。図1より、LPA含有リン脂質が骨低下量を抑制したことが分かる。
(3)IL−6分泌促進作用の評価
(被験液の調製)
LPAとして1-oleoyl-2-hydroxy-sn-glycero-3-phosphate(sodium salt)(Avanti Polar Lipid社製,18:1脂肪酸が結合したLPA;以下、「Avanti Polar社製LPA」と称することがある)を使用し、0.25%ウシ血清アルブミン(以下、「BSA」と称することがある)含有ダルベッコ改変イーグル培地(以下、「DMEM培地」と称することがある)でLPA濃度を1、3、及び10μMに調整して、それぞれLPA含有被験液1、2、及び3を調製した。また、LPCとして1-oleoyl-2-hydroxy-sn-glycero-3-phosphocholine(Avanti Polar Lipid社製,18:1脂肪酸が結合したLPC)を使用し、0.25%BSA含有DMEM培地でLPC濃度を10、30、及び100μMに調整して、それぞれ、LPC含有被験液1、2、及び3を調製した。LPSはDMEM培地に溶解し、ポジティブコントロールとして用いた。
(細胞培養)
ヒト歯肉扁平上皮癌細胞由来 Sa3細胞を24ウェルプレートに5×104cells/ウェルで播種し、10%ウシ胎児血清(以下、「FBS」と称することがある)含有DMEM培地で24時間培養した後、培地を除去し培養細胞をリン酸緩衝生理食塩水で2回洗浄した。洗浄後、FBS非含有DMEM培地に置き換え、その培地の10分の1の容量のLPA含有被験液1、2、及び3を、それぞれ添加してLPAの最終濃度を0.1、0.3、及び1μMとし、24時間培養した。他方、LPC含有被験液1、2、及び3を使用し、同様にして、LPCの最終濃度を、それぞれ1、3、及び10μMとして24時間培養した。これとは別に、LPSの最終濃度が10μg/mlとなるように上記培地にLPS含有生理食塩水を添加し、24時間培養した。
(IL−6の測定)
培養後、培養液を回収しHuman IL-6 ELISAキット(Thermo scientific社製)を用いて、IL−6濃度を測定した。
結果を図2に示す。図2より、LPA及びLPCが、用量依存的にIL−6の分泌を促進したことが分かる。
(4)LPLD活性測定
(細胞培養)
ヒト歯肉扁平上皮癌細胞由来 Sa3細胞を35mmディッシュに5.0×105cells/dishとなるように播種し、10%FBS含有DMEM培地で90%コンフルエントとなるまで培養した。培養液を除去し、リン酸緩衝生理食塩水で培養細胞を2回洗浄後、FBS非含有DMEM培地に置き換え24時間培養した。
(分泌型LPLD活性)
培養後、培養液を回収し、遠心分離(4℃、10000rpm、1分間)し、上清を採取し、これを分泌型LPLD活性の測定に用いた。基質であるLPC(D-(+)-sn-1-O-linoleoyl-glyceryl-3-phosphate (Sodium Salt),Serdary research laboratories社製,18:2脂肪酸が結合したLPC;以下、「Serdary research laboratories社製LPC」と称することがある)をその濃度が0.15mMとなるような量で0.25%BSA含有生理食塩水に溶解し基質溶液とした。上記上清100μlと基質溶液50μlを混合し、インキュベートした。インキュベート液を後述のコリン定量法に供し、LPLDの作用でLPCから遊離したコリンを定量することで分泌型LPLD活性とした。
(膜結合型LPLD活性)
培養後、培養細胞をトリプシン処理により回収し、細胞数を計測した。0.083%BSA含有DMEM培地にSerdary research laboratories社製LPCをその濃度が50μMとなるように添加し、LPC含有DMEM培地を作成した。LPC含有DMEM培地で上記細胞のペレットを懸濁し、新しいプレートに播種した後、各種時間、インキュベートした。インキュベート液を150μl回収し、後述のコリン定量法にてLPLDの作用でLPCから遊離したコリン量を定量し、膜結合型LPLD活性及び分泌型LPLD活性の総量とした。膜結合型LPLD活性はこの総量から先に定量した分泌型LPLD活性分を引くことで膜結合型LPLD活性とした。
(コリン定量法)
7.5 mMの3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸溶液0.2ml、0.1M トリス塩酸緩衝液(pH8.5)2.6ml、300U/mlのコリンオキシダーゼ液0.01ml、2.0U/mlのペルオキシダーゼ液0.1mlを上記のインキュベート液0.1mlとインキュベートすることにより、コリンをベタインに酸化する過程で生成した過酸化水素による蛍光物質を産生させ、その蛍光強度を測定した。その蛍光強度に対応するコリン量を別途作成した検量線から求めた。
結果を、図3に示す。図3から明らかなように、膜結合型LPLD活性及び分泌型LPLD活性の総量は反応時間と共に増大したが、分泌型LPLD活性は増大しなかった。ヒト歯肉組織のLPLDは、膜結合型LPLDであることが分かる。このことから、歯槽骨により近い所ではこのLPLDが存在することによってLPCがLPAに転換されLPAによる歯槽骨吸収抑制作用が奏されることが分かる。
(5)バリア機能強化作用の評価
ヒト口腔扁平上皮癌細胞 TR146細胞を35mmディッシュに5.0×105cells/dishとなるように播種し、10%FBS含有Ham’s F-12培地(Sigma-Aldrich社)を用いて、90%コンフルエントとなるまで培養した。リン酸緩衝生理食塩水で2回洗浄後、FBS非含有Ham’s F-12培地に交換し24時間培養した。その後、LPA(1μM又は10μM;Avanti Polar社製LPA)含有BSA(0.083%)含有FBS非含有Ham’s F-12培地でさらに24時間培養した。それぞれの段階で光学顕微鏡を用いて、細胞形態の観察を行った。
結果を図4に示す。図4の(C1)と(C2)及び(C3)との比較から明らかなように、LPA濃度に依存して細胞同士がより密に接着するようになった。このことから、LPAが細胞の接着能を強化する作用を有することが確認された。
本発明の口腔咽頭用組成物は、歯周病の予防又は改善、口腔咽頭内の感染症の予防又は改善、及び口腔咽頭粘膜のバリア機能の強化又は亢進に有効であるため、口腔咽頭内に適用する医薬品、歯磨き、マウスウォッシュ、うがい薬等の医薬部外品、ガム、飴等の食品として有用なものである。

Claims (6)

  1. リゾリン脂質を含む口腔咽頭用組成物。
  2. 歯周病の予防、改善、又は治療のための口腔咽頭用組成物である請求項1に記載の組成物。
  3. 口腔咽頭内の感染症の予防、又は改善のための口腔咽頭用組成物である請求項1に記載の組成物。
  4. 口腔咽頭粘膜のバリア機能の強化、又は亢進のための口腔咽頭用組成物である請求項1に記載の組成物。
  5. リゾリン脂質が、リゾホスファチジン酸、及びリゾホスファチジルコリンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4の何れかに記載の組成物。
  6. リゾリン脂質の含有量が、組成物の全量に対して、0.0000003〜15重量%である請求項1〜5の何れかに記載の組成物。
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