JP6218280B2 - 唾液分泌促進剤 - Google Patents
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Description
このため高齢者や病人、ストレス等でドライマウスになっている健常人にも安全で長期に手軽に使用することができる有効成分が望まれている。
[1]乳酸菌、納豆菌及び酵母を混合培養して得られる成分を含有する唾液分泌促進剤。
[2]乳酸菌、納豆菌及び酵母を米ヌカ抽出物及びブドウ糖を含有する培地で培養して得られる発酵液を含有する、上記[1]に記載の唾液分泌促進剤。
[3]乳酸菌がラクトバチルス・パラカセイである、上記[1]又は上記[2]に記載の唾液分泌促進剤。
[4]納豆菌がバチルス・パミルスである、上記[1]〜上記[3]のいずれか1項に記載の唾液分泌促進剤。
[5]酵母がサッカロマイセス・セリビジェー及びピチア・メンブラニファシエンスより選択される1種以上である、上記[1]〜上記[4]のいずれか1項に記載の唾液分泌促進剤。
[6]ドライマウス改善用である、上記[1]〜上記[5]のいずれか1項に記載の唾液分泌促進剤。
[7]口腔用または経口投与用組成物に配合するための、上記[1]〜上記[6]のいずれか1項に記載の唾液分泌促進剤。
また本発明の有効成分は天然由来成分であるため、安全で長期投与が可能である。
さらに本発明によれば、唾液分泌が改善されるため嚥下障害や消化不良等の消化管障害を改善し、下痢の改善および食欲を増進することができる。
本発明における有効成分は無味無臭であるので、制限なく食品等に添加できる。
また本発明はヒトだけではなくペット等にも手軽に使用でき、口臭、歯周病や口内炎を改善することができる。
次いで、上記培地に上記の乳酸菌、納豆菌及び酵母を接種し、以下のように培養して混合培養液を得る。すなわち、一次培養を通気培養で行う。培養温度は通常32〜40℃であり、好ましくは35〜37℃である。また培養時間は36〜60時間であり、好ましくは40〜55時間である。
次に、二次培養を冷温熟成により行う。培養温度は通常2〜15℃であり、好ましくは5〜8℃である。また培養日数は30〜60日間であり、好ましくは40〜50日間である。
続いて、二次培養で得られた培養液を滅菌処理する。滅菌処理方法は特に限定されないが、通常、加熱滅菌、電磁波による滅菌、濾過殺菌などにより行われ、なかでも加熱による滅菌が好ましい。加熱滅菌の場合、滅菌温度は通常110〜130℃であり、好ましくは120〜121℃である。また滅菌処理時間は10〜60分間であり、好ましくは16〜17分間である。このようにして得た滅菌後の培養液、又は前記培養液を濾過し、菌体(死菌)を除去して得た液を本発明における成分とする。
上記粉末は、市販の「LBSカルチャー(登録商標)」(株式会社リタニアルバイオサイエンス製)を使用してもよい。
本発明における有効成分の経口での投与量は、対象者の年齢や性別、対象者の症状の程度、製剤の形態等に応じて適宜設定される。例えば、本発明の唾液分泌促進剤を成人に適用する場合であれば、通常、成人1回当たりの該剤の投与量として、本発明の有効成分が15〜100mg、好ましくは25〜75mg、より好ましくは40〜60mgに相当する量が例示される。また、本発明の唾液分泌促進剤の投与回数については、上記投与量を1日当たり、通常1回以上、好ましくは1〜3回、より好ましくは2〜3回が例示される。
本発明の有効成分の口腔内への適用量は、対象者の症状の程度、製剤の形態等に応じて適宜設定される。例えば、本発明の唾液分泌促進剤を成人に適用する場合であれば、通常、成人1回当たりの該剤の適用量として、本発明の有効成分が15〜100mg、好ましくは25〜75mg、より好ましくは40〜60mgに相当する量が例示される。また、本発明の唾液分泌促進剤の投与回数については、上記投与量を1日当たり、通常1回以上、好ましくは1〜3回、より好ましくは2〜3回が例示される。
また投与は食後が好ましく、朝は外出前、夜は就寝前の摂取が効果的である。また、日中の会議の前や面談前の摂取にも効果がある。
医薬品組成物または医薬部外品組成物は、本発明の唾液分泌促進剤を、薬学的に許容される、担体、賦形剤、結合剤、膨化剤、潤滑剤、甘味剤、香味剤、防腐剤、乳化剤、被覆剤等と共に製剤化することにより提供される。
上記組成物の剤型に格別の制限はないが、剤型としては、例えば錠剤(口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠、分散錠、溶解錠)、顆粒剤、散剤、丸剤、カプセル剤、経口液剤(エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、芳香水剤、リモナーゼ剤)、シロップ剤、経口ゼリー剤等の経口投与する製剤、口腔用錠剤(ガム剤、舌下錠、トローチ剤、ドロップ剤、バッカル錠、付着錠)、口腔内スプレー剤、口腔用半固形剤、含嗽剤、軟膏剤などの口腔内に適用する製剤が挙げられる。
なかでもチュアブル錠等の経口投与する製剤、口腔内スプレー剤、ガム剤等の口腔内に適用する製剤が好ましく、チュアブル錠がより好ましい。
例えば、メントール、アルギン酸、ポリグルタミン酸等の唾液分泌作用を有する薬剤、有機酸、糖質等が挙げられる。
同様に飼料組成物を製造する場合にも、対象の動物に応じて、当該技術分野で慣用の方法により製造することができる。
1.培地の調製:まず生米ヌカ450gと水9Lとを混合し、1〜1.5時間撹拌して、5重量%の米ヌカの水抽出液を得た。次にこの米ヌカ抽出液を木綿布で濾過した。この濾過は、木綿布の他に、たとえば吸引機やフィルタープレス等を用いて行うこともできる。そして、濾過後の残渣(粕)を除去するとともに、濾液にブドウ糖450gを添加し、さらに100℃で10分間加熱して混合溶液を調製した。次に、加熱した混合溶液を木綿布で濾過した。この場合の濾過も、木綿布の他に吸引機やフィルタープレス等を用いて行うことができる。濾過後の残渣を除去するとともに、濾液に水約3Lを補充し、9Lの混合溶液を調製した。この溶液を121℃で17分間滅菌した後、冷却して培地とした。なお生米ヌカとしては、玄米の精米時に発生して得られたものを用い、水としては水道水を用いた。
本発明における成分としてLBSカルチャー原末を5%含有させるように表1に示す各種添加物を秤量し慣用の方法で打錠して1錠300mgの口腔ケアタブレットを作製し、ドライマウスおよびその他の症状について改善効果を評価した。評価は、20才〜60才代の、ドライマウスが非常に気になる(A群)、気になる(B群)、まあまあ気になる人(C群)の42名の被験者による試験を行った。
被験者は、
・生活習慣として歯磨き1日2回以下
・生活習慣としてマウスウォッシュを1週間に4回以上使用しない
以上の条件を満たす人を選定し、試験中はマウスウォッシュの使用を中止した。
各被験者に、1日1錠(1錠300mg)を3回、口腔内で3分以上保持させて、3日以上摂取したのち、その効果を評価した。
まったく思わない
あまり思わない
変化はなかった
まあまあ思う
そう思う
たいへん思う
(1)実験方法
実験には12時間毎の明暗周期(8時〜20時まで点灯)下に24℃の恒温動物室にて1週間以上飼育した体重約300gのWistar系雄ラット(約9週齢)を使用した。実験当日は3時間絶食させた後ウレタン麻酔し、胃内投与用のカニューレを挿入し、腸迷走(副交感)神経遠心枝を銀電極で吊り上げ、既述の方法(Shen J, et al. Neurosci. Lett. 383188-193, 2005、Tanida M, et al., Neurosci. Lett. 389: 109-114, 2005)にてその神経の電気活動を測定した。この測定値が落ち着いた時期(13時頃)にLBSカルチャー溶液を10,000倍希釈した液1ml/300g体重をカニューレにて胃内投与し、これらの神経活動の変化を電気生理学的に測定した。なお、対照実験としてはLBSカルチャーの培養のために用いた培地溶液1ml/300g体重を同様の方法で胃内投与した時のこの神経活動の変化を測定した。また、手術開始から測定終了までチューブを気管に挿入して気道を確保し、保温装置にて体温(ラット直腸温)を35.0±0.5℃に保つようにした。腸迷走神経の活動データは5分間毎の5秒あたりの発火頻度(pulse/5 s)の平均値にて解析し投与開始前5分間の値(0分値)を100%とした百分率で表した。なお、データから平均値±標準誤差を計算すると共に、群としての統計学的有意差の検定はanalysis of variance (ANOVA) with repeated measuresにより行ない、胃内投与開始前(0分)の神経活動の絶対値間の統計学的有意差の検定はMann-Whitney U-testにより行なった。
図8にはLBSカルチャーの原液の培地溶液による10,000倍希釈液もしくは培地溶液1ml/300g体重を胃内投与した時の腸迷走神経活動(intestinal vagal nerve activity、intestinal vagal-NA)の実測データを示す。図8には胃内投与開始前(0分)のintestinal vagal-NAの神経活動を100%とした百分率で示している。対照実験として行った培地溶液1ml/300g体重を胃内投与するとintestinal vagal-NAは投与5分後にやや上昇し、intestinal vagal-NA値は最高値104.3±5.4%に達した後、それ以降はゆっくりと徐々に低下し、投与55分後にはintestinal vagal-NA値は最低値90.3±5.0%に減少した(図8)。これに対して、LBSカルチャーの原液の培地溶液による10,000倍希釈液1ml/300g体重を胃内投与した時にはintestinal vagal-NAはゆっくりと徐々に上昇し、intestinal vagal-NA値は投与45分後に最高値115.6±6.8%に増加し、それ以降は若干低下するもその付近の値に止まった(図8)。
胃内投与開始5分後から60分後までの間の対照培地溶液投与群とLBSカルチャー原液の10,000倍希釈液投与群のそれぞれのintestinal vagal-NA値の間の差異を2群間で統計学的に検討すると、LBSカルチャー投与群のintestinal vagal-NA値は対照培地溶液塗布群のintestinal vagal-NA値よりも有意に(P<0.0005, F=57.6 by ANOVA with repeated measures)高いことが明らかになった。
LBSカルチャー投与群および対照培地溶液投与群の投与開始前(0分)のintestinal vagal-NAの絶対値の間には、Mann-Whitney U-testによる統計学的有意差は認められなかった。
腸迷走(副交感)神経が促進されれば消化吸収能や胃腸の運動(蠕動)や唾液分泌が促進され、下痢の改善および食欲増進が引き起こされることから、LBSカルチャーの胃内投与は腸迷走(副交感)神経を促進し、唾液分泌を促進することが示唆された。
(1)唾液分泌促進剤を含む口腔ケア用タブレット(チュアブル錠)
以下の組成に従って、本発明に記載の唾液分泌促進剤を含む口腔ケア用タブレットを作製した。
LBSカルチャー原末 20%、無水クエン酸 11.54%、重炭酸ナトリウム 13%、ヨーグルトパウダーYP−A 7%、ドライコートヨーグルト♯177 4%、サンスイートSU−200 0.1%、ミラスイー200 1%、パーテックSI150 40.86%、ステアリン酸カルシウム 2%、アロエジル200FAD 0.5%
以下の組成に従って、本発明に記載の唾液分泌促進剤を含む口腔ケア用タブレットを作製した。
LBSカルチャー原末 10%、パーテックSI150 50%、キシリット微粉 33.6%、ビバピュア102 33.6%、ステアリン酸カルシウム 3.0%、アロエジル200FAD 0.3%、ドライコートメントール#32−D 0.1%
以下の組成に従って、本発明に記載の唾液分泌促進剤を含む洗口剤を作製した。
LBSカルチャー原末 5%、水分 68.98%、ソルビトール 5%、安息香酸Na 0.02%
以下の組成に従って、本発明に記載の唾液分泌促進剤を含むキャンディを作製した。
LBSカルチャー原末 2.6%、水飴 97.3%、香料(紅茶味)0.1%
以下の組成に従って、本発明に記載の唾液分泌促進剤を含むチューインガムを作製した。
LBSカルチャー原末 5%、ガムベース 87%、ステアリン酸カルシウム 2%、ショ糖脂肪酸エステル1.5%、香料 2%、ビタミンC 2%、クエン酸 0.5%
Claims (4)
- 乳酸菌、納豆菌及び酵母の米ヌカ抽出物及びブドウ糖を含有する培地での混合培養液を含有する唾液分泌促進剤であって、乳酸菌がラクトバチルス・パラカセイ、納豆菌がバチルス・パミルス、ならびに酵母がサッカロマイセス・セリビジェー及びピチア・メンブラニファシエンスより選択される1種以上である唾液分泌促進剤。
- ドライマウス改善用である、請求項1に記載の唾液分泌促進剤。
- 口腔用または経口投与用組成物に配合するための、請求項1又は2に記載の唾液分泌促進剤。
- ラクトバチルス・パラカセイ、バチルス・パミルス、ならびにサッカロマイセス・セリビジェー及びピチア・メンブラニファシエンスより選択される1種以上を米ヌカ抽出物及びブドウ糖を含有する培地で混合培養することを特徴とする、唾液分泌促進剤の製造方法。
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