JP6442219B2 - 経口免疫機能調整組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、乳酸菌ナノ粒子及び結合成分を含有し、口腔内に入れた経口免疫機能調整組成物から、口腔内及び/又は唾液中への乳酸菌体の排出を抑制するように設定された経口免疫機能調整組成物に関する。
乳酸菌は自然界に200種類以上存在すると言われ、現在、26属、381種に分類されている。
乳酸菌は免疫機能を調整するという報告があり、乳酸菌(Lactobacillus rhamnosus)を投与された乳児のアトピー性皮膚炎の早期予防に有効であったことが報告されている(非特許文献1)。また、スギ花粉症患者を対象に、乳酸菌(Bifidobacterium longum)で発酵させたヨーグルトを投与した臨床試験では、花粉症状の軽減効果が認められている(非特許文献2)。
炎症性腸疾患においても、乳酸菌が有効であったという報告がある(非特許文献3)。
以上は、生菌としての乳酸菌の効果であるが、加熱処理した乳酸菌エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)で、免疫調整作用が確認され(非特許文献4)、死菌でも免疫調整作用が認められることがマウスで確認されている(非特許文献5)。
乳酸菌の死菌における免疫力は、細胞を破砕し細胞壁のみを摂取した場合より、菌の形態で摂取した方が高いことが、乳酸菌(Lactobacillus pentosus)で明らかにされており、乳酸菌エンテロコッカス・フェカリスでは、加熱殺菌体を細胞固体にバラバラにすることで、免疫活性が高まることが、マウスで確認されている(非特許文献6)。
一方、リポ多糖(Lipopolysaccharide)(以下、「LPS」と略記する)は、グラム陰性菌細胞壁外膜の構成成分であり、脂質及び多糖から構成される物質(糖脂質)である。
LPSは、例えばストレス等により腸内細菌が生体内に侵入し、LPSの生体内移行が起こる。
LPSは、内毒素(エンドトキシン、Endotoxin)であり、哺乳類等の他の生物の細胞に作用すると、シグナル伝達経路を介して種々の炎症性サイトカインの分泌を促進する作用を持つ。サイトカインの産生は、細菌を除去するための生体防御反応として行われるが、過剰になった場合に毒性が発現しショック状態に陥る。
また、LPSは、抗原提示細胞である樹状細胞やマクロファージを活性化し、未分化なT細胞(ナイーブT細胞)を1型ヘルパーT細胞(Th1細胞)へと分化誘導する働きを持ち、炎症性刺激を与え、他にも、発熱、播種性血管内凝固、多臓器不全、白血球減少、頻脈、凝固・線溶系活性、敗血症性ショック等の多彩な生物活性を発現する。
近年、花粉症等アレルギー性鼻炎、喘息、アトピー性皮膚炎等のアレルギー性疾患の患者数は、環境の要因も加わって増加しているが、その一方で、上記したような、微生物による感染に起因した種々の症状も大きな問題になっており、より安全性が高い免疫機能調整剤が求められていた。
特許文献1には、免疫抗原物質の粒子径を1μm未満にすることにより、抗原提示細胞に効率よく取り込まれ、Th1(I型ヘルパーT細胞)が産生するTh1型サイトカインの一種であるIL−12(インターロイキン−12)の産生能を増強し、免疫活性効果が上がることが記載されており、かかる免疫抗原物質に使用できる細菌が列挙されている。
しかし、乳酸菌エンテロコッカス・フェカリスについては記載がない。
また、特許文献1は、該免疫抗原物質の摂取方法や剤型に特徴があるものではなく、従って、口腔内に排出された菌体の量に対する唾液の量が多くなるように摂取することについては記載されておらず、剤型についても特定されていない。
特許文献2には、乳酸菌の菌体粒度の最頻値を1.0μm以下にする製造方法が記載されており、得られた菌体に免疫賦活作用があることが記載されている。
しかし、該乳酸菌は、ラクトバチルス・ブレビスであり、エンテロコッカス・フェカリスについては記載がない。
また、特許文献2もその摂取方法や剤型に特徴があるものではなく、菌体の量に対する唾液の量が多くなるように摂取することも、特定の剤型が好ましいことも記載されていない。
特許文献3には、乳酸菌を有効成分とする口腔用組成物が記載されている。
しかしながら、特許文献3の口腔用組成物は、歯肉炎・歯周炎等の歯周病の予防・治療剤であるか、又は、口臭の予防・治療に用いられるものであり、局所剤であって、体内に取り込まれるものではない。すなわち、特許文献3の剤型は、練り歯磨剤、軟膏剤、口内清涼剤等の歯周病予防・治療剤であり、体内に取り込まれて免疫機能を調整するものではない。また、菌体の量に対する唾液の量が多くなるように摂取することについても記載されていない。
特許文献3〜5には、乳酸菌をチューインガムの形態で摂取することが記載されているが、チューインガムは例示列挙の1形態に過ぎず、口腔内に排出された菌体の量に対する唾液の量が多くなるような形態にして摂取することについては記載されていない。
一般のチューインガムは、3分間噛むと含有物の70質量%は、チューインガムの外、すなわち口腔内に排出される。従って、特許文献3〜5には、唾液の量が多くなるように摂取すれば免疫機能の調整作用が向上することについて記載も示唆もなく、更には、口腔内で噛んだり舐めたりしたときに、薬効成分が組成物の剤型内に留まる半減時間が3分以上になるような剤型(組成物の形態)については記載がない。
近年、感染症の治療・予防への要求、アレルギー症状の緩和への要求、及び、それらの両立への要求は、ますます高くなってきているが、かかる公知技術では症状の緩和効果が不十分であった。
そこで、日常的に摂取が可能で、しかも効果的に免疫機能を調整する組成物が望まれていた。
特開2008−195631号公報 国際公開第2009/157073号 特開2007−131601号公報 特開2011−020987号公報 国際公開第2009/149816号
Isolauri,E. et al, Clin Exp Allergy, 30:1604‐1610, 2000 Xiao,J.Z. et al, J Investig Allergol Clin Immunol, 16:86‐93, 2006. Hormannsperger,et al, Int J Med Microbiol, 300:63‐73, 2010. 横山輝男、乳酸菌の科学と技術、乳酸菌研究集談会編、学会出版センター、東京、322-334, 1996. Hasegawa et al, J.Vet Med Sci, 56:1203‐1206, 1994 長谷川秀夫他、New Food Industry, 50(8), 2008.
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、安全な食品成分で構成され、安心して口腔内に含むこと及び摂取することができ、免疫を調整する機能を向上させた経口免疫機能調整組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定の乳酸菌を使用し、「分散剤若しくはコーティング剤」の存在で微粒子化した乳酸菌ナノ粒子を結合成分と併用し、体内に取り込まれる前に唾液の量が多くなるような剤型(組成物の形態)にして摂取すれば、すなわち、該乳酸菌体の口腔内及び/又は唾液中への排出を抑制するような剤型(組成物の形態)にすれば、そのような剤型(組成物の形態)にしないものより、免疫機能の調整に関する複数のマーカーの値を有意に低下させ、免疫反応を調整する新機能を見出して本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(A)乳酸菌エンテロコッカス・フェカリスの死菌よりなる乳酸菌体、及び、該乳酸菌体の表面に付与された「分散剤若しくはコーティング剤」を有し、頻度分布において1次粒子のピーク粒子径が1μm以下である乳酸菌ナノ粒子、並びに、
(B)該乳酸菌ナノ粒子の結合成分
を少なくとも含有してなる経口免疫機能調整組成物であって、
該結合成分及び/又は該「分散剤若しくはコーティング剤」は、経口免疫機能調整組成物から口腔内に排出された該乳酸菌体の量に対する唾液の量が多くなるように、口腔内に入れた経口免疫機能調整組成物中における該乳酸菌ナノ粒子の半減時間が3分以上になるように設定して、該乳酸菌体の口腔内及び/又は唾液中への排出を抑制したものであることを特徴とする経口免疫機能調整組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記の経口免疫機能調整組成物よりなるものであることを特徴とする口腔剤組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記の経口免疫機能調整組成物よりなるものであることを特徴とする血液中LPS濃度抑制食品を提供するものである。
また、本発明は、上記の経口免疫機能調整組成物を摂取することを特徴とする免疫機能の調整方法を提供するものである。
本発明によれば、前記問題点と課題を解決し、本発明の経口免疫機能調整組成物を摂取したヒトは、LPS、sCD14、IP10、IL7等の免疫機能関連項目の値(免疫機能のマーカー値)が有意に低下する。特に、本発明の経口免疫機能調整組成物に使用される乳酸菌エンテロコッカス・フェカリスを、本発明の態様以外の態様で摂取した場合よりも、言い換えれば、本発明の経口免疫機能調整組成物の形態以外の一般的形態で摂取した場合よりも、上記の免疫機能関連項目値(免疫機能のマーカー値)が有意に低下する。
従って、本発明の経口免疫機能調整組成物を摂取すれば、免疫機能を好適に調整し、例えば、炎症性刺激を押え、発熱、播種性血管内凝固、多臓器不全、白血球減少、白血球不活性、頻脈、凝固・線溶系活性、敗血症性ショック等を抑制したり予防したりできる。
更に、口腔内に排出された乳酸菌体の量に対して唾液の量が多くなるような剤型(組成物の形態)にして摂取したことによって、言い換えれば、従来より徐放性にしたことによって、そうでないもの(例えば、3分以内に飲み込んだ場合等)に比べ、LPS、sCD14、IP10、IL7等の免疫機能関連項目値(免疫機能のマーカー値)が意外にも有意に低下したことから、消化管を経由して体内に取り込まれる経路以外に、口腔内から直接体内に取り込まれる経路存在が強く示唆される。
すなわち、本発明の経口免疫機能調整組成物は、該組成物中における乳酸菌ナノ粒子の半減時間が3分以上になるように設定し、唾液と共に長時間口腔内に留まるような、乳酸菌(死菌)の摂取方法としては新規な形態をしていることにより、口腔剤としても機能する。
また、本発明の経口免疫機能調整組成物は、安全な食品成分で構成されているため、安心して経口摂取することができ、安価であるため経済的にも優れることから、簡便に日常的に継続して摂取することができる。
そのため、即効的な症状緩和効果に加え、長期的にも有効な経口免疫機能調整組成物を提供することができる。
また、食品として安心して使用でき、味を大きく邪魔しない等の利点があるので、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)が向上する等、その利用の可能性は大きい。
乳酸菌体の粒子径の分布を示す図である。 (a)本発明における乳酸菌ナノ粒子の粒子径の分布を示す図である。 (b)微粒子化処理をしなかった乳酸菌体の粒子径の分布を示す図である。 経口免疫機能調整組成物から口腔内に出てきた乳酸菌体の数を、チューインガムを噛み始めてからの経過時間ごとに示した積算棒グラフである。 A〜E:参考例1のチューインガム(1)の場合。 F:実施例1のチューインガム(2)の場合。
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
本発明の経口免疫機能調整組成物は、少なくとも、(A)乳酸菌ナノ粒子、及び、(B)該乳酸菌ナノ粒子の結合成分を少なくとも含有してなる。
このうち、「(A)乳酸菌ナノ粒子」とは、少なくとも、乳酸菌エンテロコッカス・フェカリスの死菌よりなる乳酸菌体、及び、該乳酸菌体の表面に付与された「分散剤若しくはコーティング剤」を有しており、頻度分布において1次粒子のピーク粒子径が1μm以下のものを言う。
乳酸菌としては、一般に、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ガセリ、ラクトバチルス・マリ、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・ブヒネリ、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・ジョンソニー、ラクトバチルス・ガリナラム、ラクトバチルス・アミロボラス、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・ラムノーザス、ラクトバチルス・ケフィア、ラクトバチルス・パラカゼイ、ラクトバチルス・クリスパタス、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、エンテロコッカス・アビウム、エンテロコッカス・デュランス、エンテロコッカス・マラドラートス、エンテロコッカス・カセリフラブス、エンテロコッカス・ガリナール、ロイコノストック・クレモリス、ロイコノストック・シトロボラム、ロイコノストック・メゼンテロイデス、ペディオコッカス・セルビシェ、ペディオコッカス・ハロフィルス、ストレプトコッカス・アセトイニカス、ストレプトコッカス・エビウム、ストレプトコッカス・クレモリス、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ストレプトコッカス・サングィウス、ストレプトコッカス・ソイエ、ストレプトコッカス・デュランス、ストレプトコッカス・パラシトロボルス、ストレプトコッカス・ラクチス等の菌が知られているが、本発明における「(A)乳酸菌ナノ粒子」の中核をなす乳酸菌体は、それらの中でも、エンテロコッカス・フェカリスの死菌よりなる乳酸菌体である。
乳酸菌エンテロコッカス・フェカリスの死菌よりなる乳酸菌体を用いると、特に前記した免疫機能の調整が好適に行われ、特にLPSの低下傾向が著しい。
また、本発明の乳酸菌体は死菌である。死菌であっても、免疫調整機能は、全く低下しないことは勿論のこと、乳酸菌エンテロコッカス・フェカリスにおいては、加熱殺菌体を2μm以下(特に1μm以下)の細胞個体にバラバラにすることで免疫活性が高まる。
また、生菌の場合、製品製造以降の配送時や陳列時に形態変化を起こす可能性があるため、それ以上の形態変化を起こさない死菌が必須である。
すなわち、本発明においては、乳酸菌体から乳酸菌ナノ粒子を得るために、微粒子化工程を経ることが好ましい。更には、本発明における「(A)乳酸菌ナノ粒子」は、乳酸菌体に対して、殺菌処理と微粒子化とを施した粒子であることが好ましい。
ここで、殺菌処理としては、加熱処理、加圧処理等が挙げられ、好ましくは加熱処理である。これらの処理は公知の方法で行なわれる。
免疫機能を調整し、前記した本発明の効果を示すものは、エンテロコッカス・フェカリス乳酸菌体の細胞壁であると考えられる。乳酸菌体を加熱処理又は加圧処理を施すことで、上記したような「製造後に形態変化を起こす可能性がない」という効果以外に、白血球を活性化する能力が更に高められる等の免疫機能調整効果が更に上昇する。
本発明において、「(A)乳酸菌ナノ粒子」は、特に限定はされないが、具体的には、例えば、培養して得られた生菌を、遠心分離等の手段で菌体を回収し、殺菌処理を施し、洗浄処理、濃縮処理等を行い、それを、要すればこの段階で「分散剤若しくはコーティング剤」溶液と混合し、噴霧乾燥、凍結乾燥等の公知の手段により乾燥して得ることが好ましい。
各工程の間、例えば、菌体回収の直前、菌体回収の直後、殺菌処理の直前、殺菌処理の直後、乾燥の直前及び/又は乾燥の後に、後述する方法等を使用して、1次粒子のピーク粒子径が1μm以下にまで微粒子化処理を行なって、本発明における「乳酸菌ナノ粒子」を得る。
以下に限定はされないが、具体的には、例えば、乳酸菌エンテロコッカス・フェカリスを、MRS培地で培養した後、遠心分離等の適当な手段で菌体を回収する。回収した菌体を、水洗、濃縮し、この濃縮菌体懸濁液に「分散剤若しくはコーティング剤」を加え撹拌しながら、100〜130℃の温度、100〜200mL/秒の流速に設定した瞬間殺菌装置にて、1〜20秒間、連続加熱処理した後、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥、それらの組み合わせ等の適当な手段により乾燥する。乾燥前に「分散剤若しくはコーティング剤」を配合してもよい。
上記微粒子化処理を行う時期は、特に限定はないが、何れかの工程の間に、1次粒子のピーク粒子径が1μm以下にまで微粒子化を行なって、本発明における「乳酸菌ナノ粒子」として用いる。
微粒子化処理を行う時期については、乾燥後に種々の粉砕方法(粉砕装置)で粉砕処理をしてもよいが、乾燥の前に微粒子化処理を行うことが、例えばチューインガム、グミ、飴等の経口免疫機能調整組成物中に分散させ易くなる、本発明の前記した免疫機能調整効果を好適に奏する等の点で好ましい。
乳酸菌は、培養時の生育環境が劣悪になると、そのストレスで形態が変化することが知られている。本発明における乳酸菌ナノ粒子では、培養及び/又は処理条件を制御することで、乳酸菌体の形態が一定になるように維持しながら乳酸菌を増殖させたり、乾燥前に微粒子化処理をしたりして、後述する「1次粒子のピーク粒子径」にすることが好ましい。噴霧乾燥や凍結乾燥中に微粒子化すると、菌体同士が結合して塊になる場合があり、この塊は、唾液、胃酸、腸液の何れでもバラバラにならず、本発明の前記した免疫機能調整効果を好適に奏さない場合がある。
本発明の経口免疫機能調整組成物における「乳酸菌ナノ粒子」は、横軸を粒子径、縦軸を頻度とした頻度分布において、1次粒子のピーク粒子径が1μm以下の粒子である。
乳酸菌ナノ粒子の1次粒子のピーク粒子径は、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.7μm以下である。下限は特に限定はないが、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上が特に好ましい。
1次粒子のピーク粒子径が大き過ぎると、小腸の上皮細胞に点在しているM細胞から取り込まれ難くなったり、また、口腔内粘膜から取り込まれ難くなったりして、本発明の前記した効果が低減する又は得られなくなる場合がある。
一方、1次粒子のピーク粒子径が小さ過ぎると、製造が難しくなる、2次凝集し易くなる、それ以上小さくする必要性がない等の場合がある。
本発明における「乳酸菌ナノ粒子」の1次粒子のピーク粒子径は、レーザ回折・散乱法を用いたSALD−3100粒度分布測定装置((株)島津製作所社製)により測定し、そのように測定したものとして定義される。
本発明における代表的な「乳酸菌ナノ粒子」の上記装置により測定した粒度分布を図1(a)に示す。図1(a)に示す「乳酸菌ナノ粒子」は、例えば、パイエル板に取り込まれる生体可能粒子径である20μm以下に100個数%が入っている。
一方、特に粒子径に拘らず微粒子化処理をしなかった乳酸菌の、同様に測定した粒度分布を図1(b)に示す。例えば、パイエル板に取り込まれる生体可能粒子径である20μm以下に30〜40個数%が入っているのみである。
本発明の「乳酸菌ナノ粒子」は、I型ヘルパーT細胞(Th1)及び/又はII型ヘルパーT細胞(Th2)に作用するものが好ましく、それによっても本発明の効果を奏する。本発明における「乳酸菌ナノ粒子」は、その1次粒子のピーク粒子径が1μm以下であるため、Th1サイトカインを誘導し細胞性免疫を活性化させる。
本発明は、乳酸菌体の表面に付与された「分散剤若しくはコーティング剤」が必須である。ここで、「分散剤若しくはコーティング剤」とは、乳酸菌体を分散させる、及び/又は、乳酸菌体の表面にコーティングされる剤、のことを言い、1種の物質でそれら両方を兼ねていてもよいし、2種の物質でそれぞれを分担していてもよい。
本発明は、乳酸菌ナノ粒子の経口免疫機能調整組成物からの徐放性が必要なので、そのためには、少なくとも、「乳酸菌体の表面にコーティングされる剤」であることが好ましく、乳酸菌体は分散剤がないと良好に分散しない場合があるので、該「分散剤若しくはコーティング剤」は、乳酸菌体を分散させる、及び、乳酸菌体の表面にコーティングされる剤であることがより好ましい。更に、1種の物質でそれら両方を兼ねていることが特に好ましい。なお、「乳酸菌体の表面にコーティングする」には、「乳酸菌体を包埋する」ことも含まれる。
本発明における「乳酸菌ナノ粒子」は、乳酸菌ナノ粒子の製造中に乳酸菌体同士が凝集し難くするため(乳酸菌体の(再)凝集防止のため)、製造後の乳酸菌ナノ粒子の再凝集防止のため、口腔内に入れた経口免疫機能調整組成物中における該乳酸菌ナノ粒子の半減時間が3分以上に(徐放性に)なるように設定し易いため(例えば、組成物が、チューインガム、グミ、ゼリービーンズ、チューイングキャンディー、飴等の形態をとる場合、乳酸菌ナノ粒子がそれらの形態の外(口腔内)に排出し難くするため)、要すれば胃液で溶けず腸にまで分解せずに届くための腸溶剤の機能をも持たせるため、等の点から、乳酸菌体の表面に「分散剤若しくはコーティング剤」を付与することが好ましい。
「分散剤若しくはコーティング剤」は、予め培養液に添加しておいて付与されたものでも、集菌後に付与されたものでも、微粒子化処理の過程で付与されたものでも、微粒子化後で乾燥前に付与されたものでも、乾燥工程で付与されたものでもよい。また、1次粒子のピーク粒子径を1μm以下に微粒子化する前、微粒子化している最中、微粒子化した後、に付与されたものでもよい。好ましくは、「分散剤若しくはコーティング剤」は、微粒子化後の乾燥工程で付与されたものである。
「分散剤若しくはコーティング剤」は、エタノール若しくはメタノール又はそれらと水との混合溶媒に溶解して、回転ドラムを使用するか、該「分散剤若しくはコーティング剤」溶液に乳酸菌体を懸濁分散させて、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥、それらの組み合わせ等の適当な手段により乾燥することが好ましい。
「分散剤若しくはコーティング剤」によって、本発明の前記した効果を好適に得ることができる。
乳酸菌ナノ粒子の製造中に使用(配合)される「分散剤若しくはコーティング剤」の量や、乳酸菌ナノ粒子における乳酸菌体の表面に実際に付与された「分散剤若しくはコーティング剤」の量は、特に限定はないが、質量換算で乳酸菌体に対して、1〜100倍量が好ましく、2〜20倍量がより好ましく、5〜10倍量が特に好ましい。
「分散剤若しくはコーティング剤」としては、具体的には、例えば、澱粉、寒天、カラギーナン等の多糖類;デキストリン、難消化デキストリン、シクロデキストリン、ペクチン等のオリゴ糖類;トレハロース、麦芽糖、ショ糖、乳糖等の二糖類;ブドウ糖、果糖等の単糖類;糖脂肪酸エステル等の糖誘導体;ゼラチン、タンパク質、ゼイン、ペプチド等のアミノ酸重合物;ヒプロメロースフタル酸エステル;アルギン酸;カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート等のセルロース誘導体;(メタ)アクリル酸コポリマー、ビニルアルコールコポリマー等のポリビニル化合物;プロピレングリコール、エチレングリコール等のアルキレングリコール及びその誘導体;パーム油、ヤシ油、大豆油、ゴマ油、菜種油、サフラワー油、綿実油、ひまわり油、アマニ油等の油脂;等が挙げられる。
中でも、澱粉、寒天、カラギーナン等の多糖類;デキストリン、難消化デキストリン、シクロデキストリン、ペクチン等のオリゴ糖類;糖脂肪酸エステル等の糖誘導体;ゼラチン、タンパク質、ゼイン、ペプチド等のアミノ酸重合物;ヒプロメロースフタル酸エステル;アルギン酸;カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート等のセルロース誘導体;(メタ)アクリル酸コポリマー等のポリビニル化合物;パーム油、ヤシ油、大豆油、ゴマ油、菜種油、サフラワー油、綿実油、ひまわり油、アマニ油等の油脂;等が好ましい。
特に好ましくは、澱粉、寒天、カラギーナン、デキストリン、シクロデキストリン、トレハロース、ペクチン、ゼラチン、タンパク質、シェラック、ゼイン、ヒプロメロースフタル酸エステル、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、(メタ)アクリル酸コポリマー、パーム油、ヤシ油、大豆油、ゴマ油、菜種油及びサフラワー油よりなる群から選ばれた1種以上の物質である。
また、「分散剤若しくはコーティング剤」は、乳酸菌体同士の凝集を抑制するが、口腔内に入れた際(食べた際)に、経口免疫機能調整組成物から乳酸菌ナノ粒子が、チューインガム等の該組成物の外(すなわち、口腔内)に排出し難くする機能を有し、乳酸菌体が唾液と十分混合し易くできるものも好ましい。
そのような「分散剤若しくはコーティング剤」としては、後述する結合成分と相互作用をして、乳酸菌体と結合成分とを結びつけて、乳酸菌体が徐々に結合成分から離れて組成物の外(口腔内)に排出されるようにできるものが挙げられる。
更に、胃液で溶けず腸にまで分解せずに届くための腸溶剤の機能をも有しているものが、乳酸菌エンテロコッカス・フェカリスの死菌よりなる乳酸菌体が腸にまで届き、本発明の効果を奏し易いために好ましい。
乳酸菌体の表面に付与されて、乳酸菌体の分散性を良くすると共に、腸溶性をも併せ持った「分散剤若しくはコーティング剤」が特に好ましい。
本発明の経口免疫機能調整組成物は、(A)乳酸菌ナノ粒子と(B)該乳酸菌ナノ粒子の結合成分(以下、単に「結合成分」と略記する)を含有している。
該「結合成分」は、本来の「成形という役割」と共に、「乳酸菌ナノ粒子」を経口免疫機能調整組成物中に封じ込めておく役割を果たすものである。
本発明において、該結合成分及び/又は該「分散剤若しくはコーティング剤」は、口腔内に入れた経口免疫機能調整組成物中における該乳酸菌ナノ粒子の半減時間が3分以上になるように設定・設計し、該乳酸菌体の口腔内及び/又は唾液中への排出を抑制させることが必須である。言い換えれば、「徐放性」にすることが必須である。
乳酸菌体の量に対する唾液の量が多くなると、唾液の少ないときに比べ、LPS等の免疫関連のマーカーの数値がより減少し、前記した本発明の免疫機能調整の効果を奏するようになる。また、口腔から取り込まれる口腔剤として機能し易くなる。
従って、乳酸菌ナノ粒子(乳酸菌体)が、経口免疫機能調整組成物中から速やかに排出せず、徐々に時間をかけて排出するような形態にすると(徐放性にすると)、口腔内に排出された該乳酸菌体の量に対する唾液の量が多くなるので、LPS等の免疫関連のマーカーの数値がより減少し、前記した本発明の免疫機能調整の効果がより向上する。
また、上記のような形態にすることによって、口腔内から直接体内に取り込まれ易くなり、本発明の経口免疫機能調整組成物は、口腔剤組成物としての機能を発揮する。
本発明の特に好ましい形態は、血液中のリポ多糖(LPS)の濃度を低下させる上記の経口免疫機能調整組成物である。
また、上記の経口免疫機能調整組成物よりなるものであることを特徴とする血液中LPS濃度抑制食品である。
また、本発明の他の形態は、上記の経口免疫機能調整組成物を摂取することを特徴とする免疫機能の調整方法である。
口腔内に入れた、すなわち口の中に入れた状態で、経口免疫機能調整組成物中における乳酸菌ナノ粒子の半減時間は3分以上が必須であるが、5分以上が好ましく、7分以上5時間以下がより好ましく、10分以上3時間以下が特に好ましく、13分以上2時間以下が更に好ましく、16分以上1時間以下が最も好ましい。
下限が上記以上であると、唾液と混和して、免疫機能調整の効果がより向上する、口腔内から直接体内に取り込まれ易くなる等の効果を発揮し易い。一方、上限が上記以下であると、噛み続けて顎が痛くなることがない、同じものを口の中に入れ続けて飽きることもない。また、長過ぎる時間は、免疫機能調整機能や口腔剤としての機能を発揮するのに無駄である。
また、該組成物が、チュアブル錠(咀嚼錠)、グミ、ゼリービーンズ、チューイングキャンディー等の形態を採るときには、上記時間範囲内に、経口免疫機能調整組成物自体が口腔内に存在しなければならないので、公知の形態より飲み込み難くしたり溶け難くしたりする必要がある。
該組成物が飴の形態を採るときには、口腔内で溶けるまでに上記時間範囲内に収まるようにする。
本発明の経口免疫機能調整組成物は、該組成物から口腔内に排出された該乳酸菌体の量に対する唾液の量が多くなるように、口腔内に入れた該組成物中における該乳酸菌ナノ粒子の半減時間が3分以上になるように、すなわち、乳酸菌体を有する乳酸菌ナノ粒子が、該組成物の外(口腔内や消化器内)に速やかに排出されることを抑制・防止するようになっているものであるが、「結合成分」は、乳酸菌ナノ粒子が、該組成物の外(口腔内や消化器内)に速やかに排出されることを抑制・防止する役割を担っているため、本発明においては重要である。
「結合成分」としては、上記役割を果たせれば(上記効果を奏するものであれば)特に限定はないが、結合成分の一成分(各成分)としては、一般に薬剤の賦形剤として知られているもののほか、経口免疫機能調整組成物中に含有されて、水溶性や唾液に対する溶解性を低下させる物質、水不溶性のフィラー、経口免疫機能調整組成物を硬くして噛み難くする物質、口腔内の温度(体温)で軟化し難いポリマー等が挙げられる。
結合成分としては、繰り返し単位を有する高分子化合物が好ましく、水飴、澱粉、寒天等の多糖類;ポリ−1,4−イソプレン、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン等のビニル重合体;エステルガム、蜜蝋等のエステル化合物;ゼラチン等のタンパク質;炭酸カルシウム等の非水溶性フィラー;等が特に好ましい。
本発明の経口免疫機能調整組成物は、チュアブル錠(咀嚼錠)等の唾液と良く混合するような剤型であったり、口腔内に入れたときに3分以内には飲み込めない(健康)食品であったりすることが好ましい。
かかる食品としては、特に限定はないが、チューインガム、グミ、ゼリービーンズ、チューイングキャンディー又は飴の形態をとっているものが、3分以内には飲み込めない食品に設計し易く、口腔内において、経口免疫機能調整組成物中における該乳酸菌ナノ粒子の半減時間が3分以上に設定し易いために好ましい。
ここで、「チューイングキャンディー」とは、舐めるだけではなく噛まないと飲み込めないもので、噛むとチューインガムのような感触になるものを言う。
上記食品であっても、飴以外は、通常品は、3分以内に食品中(経口免疫機能調整組成物中)の成分は、食品外に排出(口腔内に排出)されるか、又は、噛まれて飲み込まれてしまうので、口に入れた食品中における該乳酸菌ナノ粒子の半減時間は3分未満である。
例えば、公知のチューインガムでは、チューインガムの味がなくなるまでの時間が3分未満である。
更に、公知のチューインガムでは、3分間咀嚼すると内部の成分の70質量%が排出され、6分間の咀嚼では80質量%が排出され、10分間の咀嚼ではほぼ100質量%が排出されてしまうことを、本発明者は複数の被験者で確かめている(実施例中の参考例を参照)。
また、公知のグミやゼリービーンズやチューイングキャンディーでは、口に入れた直後から咀嚼され、通常は15秒以内(遅くとも3分未満)に飲み込まれてしまうので、機能・原理的に、口に入れた食品中における該乳酸菌ナノ粒子の「半減時間」を仮定して、該「半減時間」に当てはめれば、それは当然に3分未満である。
本発明において、口腔内に入れた経口免疫機能調整組成物中における該乳酸菌ナノ粒子の半減時間が3分以上になるように設定されたチューインガム、グミ、ゼリービーンズ及びチューイングキャンディーは、何れも極めて特殊なものであるし、そのように設計された経口免疫機能調整組成物は従来には存在していない。具体的には、例えば、チューインガム、グミ、ゼリービーンズ、チューイングキャンディー等の場合は、咀嚼したときに例えば極めて硬いので、そのようなものは従来知られていない。
本発明の経口免疫機能調整組成物がチューインガムの形態をとるときは、例えば、チクル、ポリ−1,4−イソプレン、エステルガム、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン及び炭酸カルシウムよりなる群から選ばれた1種以上の物質を有する結合成分を含有させて、口腔内に入れた経口免疫機能調整組成物中における乳酸菌ナノ粒子の半減時間が3分以上になるように設定することが好ましい。
具体的には、結合成分の分子量を上げる;2種以上を併用して分子量が大きい若しくは水溶性が低い方の結合成分の含有量比率を上げる;炭酸カルシウム等のフィラーの量を上げる;等によって、チューインガム中における乳酸菌ナノ粒子の半減時間を3分以上に設定することが好ましい。
本発明の経口免疫機能調整組成物が、グミ、ゼリービーンズ又はチューイングキャンディーの形態をとるときは、例えば、ゼラチン、水飴、澱粉、寒天及び蜜蝋よりなる群から選ばれた1種以上の物質を有する結合成分を含有させて、口腔内に入れた経口免疫機能調整組成物中における乳酸菌ナノ粒子の半減時間が3分以上になるように設定することが好ましい。
具体的には、結合成分の分子量を上げる;2種以上を併用して分子量が大きい若しくは水溶性が低い方の結合成分の含有量比率を上げる;等によって、グミ、ゼリービーンズ又はチューイングキャンディー中における乳酸菌ナノ粒子の半減時間を3分以上に設定することが好ましい。
本発明の経口免疫機能調整組成物が飴の形態をとるときは、例えば、水飴、澱粉、ショ糖、果糖及び麦芽糖よりなる群から選ばれた1種以上の物質を有する結合成分を含有させて、口腔内に入れた経口免疫機能調整組成物中における乳酸菌ナノ粒子の半減時間が3分以上になるように、また、均一に混合している場合には、全体量が半分になるまでの時間が3分以上になるように、設定することが好ましい。
具体的には、水飴の量を増やす;結合成分の多糖類の重合度を上げる;2種以上を併用して重合度が大きい若しくは水溶性が低い方の結合成分の含有量比率を上げる;等によって、飴中における乳酸菌ナノ粒子の半減時間を3分以上に設定することが好ましい。
本発明の好ましい態様は、上記の経口免疫機能調整組成物よりなるものであることを特徴とする血液中LPS濃度抑制食品である。血液中LPS濃度抑制食品は、上記したような、チューインガム、グミ、ゼリービーンズ、チューイングキャンディー又は飴の形態をとっているものが特に好ましい。
本発明の経口免疫機能調整組成物は、口腔内に排出された乳酸菌体の量に対する唾液の量が多くなるように、該組成物中における乳酸菌ナノ粒子の半減時間が3分以上になるように、該乳酸菌体の口腔内及び/又は唾液中への排出を抑制した形態であれば(徐放性であれば)、好ましい形態として前記した、チュアブル錠(咀嚼錠)、チューインガム、グミ、ゼリービーンズ、チューイングキャンディー又は飴等には限定されない。
具体的には、例えば、粉末剤、顆粒剤、錠剤、ハードカプセル剤、ソフトカプセル剤、ゼリー剤等の経口投与剤の形態でもよい。
本発明の経口免疫機能調整組成物を製造するにあたっては、前記以外の、結合剤、崩壊剤、保湿剤、界面活性剤、滑剤、乳化剤、防腐剤、有機・無機フィラー、流動性促進剤、希釈剤、保存剤、安定化剤、防腐剤、酸化防止剤、着色剤、増粘剤、甘味料、香料、調味料、矯味剤、栄養素、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、前記以外の油脂、食物繊維等を配合して、常法に従って製造することができる。
また、前記した薬剤・食品以外に、飼料としても使用できる。上記飼料としては、具体的には、例えば、家畜、競走馬、鑑賞動物等の飼料;ペットフード;等が挙げられる。
乳酸菌エンテロコッカス・フェカリスの死菌よりなる乳酸菌体で前記効果を示したことから、生菌の腸内への直接作用ではなく、該乳酸菌の菌体成分等が腸管免疫を介して、前記効果を発現させていると考えられる。
腸管免疫は、多くの異物抗原に対して過剰応答をしないように、免疫寛容と免疫応答のバランスをとり恒常性が維持されている。
腸管の免疫誘導組織としては、パイエル板に代表される主としてB細胞のリンパ濾胞やT細胞領域から形成される免疫組織があり、腸管の免疫実行組織としては、粘膜固有層に存在する樹状細胞、マクロファージ、T細胞、IgA抗体産生B細胞である形質細胞、上皮細胞間リンパ球等がある。
本発明では、血液中のLPS等の「炎症性免疫機能関連マーカー」の著しい低下傾向が認められたことから、本発明の経口免疫機能調整組成物から摂取された「乳酸菌エンテロコッカス・フェカリスの死菌よりなる乳酸菌体」は、腸管の免疫誘導組織に作用したと考えられる。
経口免疫機能調整組成物から口腔内に排出された該乳酸菌体の量に対する唾液の量が多くなるように、口腔内に入れた経口免疫機能調整組成物中における該乳酸菌ナノ粒子の半減時間が3分以上になるように設定することで、血液中のLPS等の免疫機能関連マーカーの数値に著しい低下傾向が認められた。
本発明の経口免疫機能調整組成物を投与した際の、血中LPSの低下傾向は、唾液中の高濃度の「乳酸菌エンテロコッカス・フェカリスの死菌よりなる乳酸菌体を含有する乳酸菌ナノ粒子」を嚥下することにより、腸内細菌叢に占めるグラム陰性桿菌の割合が低下した結果、LPS産生が低下したと考えられる。
LPSの産生低下は、sCD14の低下に繋がり、更に、IP10、IL7等の炎症性サイトカインの低下に関与した可能性が考えられる。そして、本発明の経口免疫機能調整組成物の形態で投与されると、「乳酸菌エンテロコッカス・フェカリスの死菌よりなる乳酸菌体」をそのまま投与されるよりも、上記過程により免疫機能調整作用が高まったと考えられる。
安全性の検討においては、参考例3に示した通り、下痢等の症状発生の報告もなく、一般血液検査の変化も認められなかったことより、本発明における、乳酸菌エンテロコッカス・フェカリスの死菌よりなる乳酸菌体及び乳酸菌ナノ粒子の安全性が確認された。以上より、ヒトへの本発明の経口免疫機能調整組成物の投与は安全であり、免疫機能調整作用の存在が確認された。
その際、唾液による口腔粘膜を介しての経口吸収においては、少量で有効性が高いと考えられた。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
参考例1
<「乳酸菌ナノ粒子A」の調製>
乳酸菌エンテロコッカス・フェカリス株を、MRS培地(Difco社製)にて、28〜32℃で、18〜24時間培養し、遠心分離機で菌体を回収し、該菌体を水洗いし、該菌体が懸濁液全体に対して40質量%になるように調整して菌体の懸濁液を調製した。
この菌体の懸濁液を、流速15m/秒に設定した高温(110〜120℃)高速瞬間殺菌機で3秒間殺菌した後、湿式で150kgf/cmの高圧ホモゲナイザーを用いて、20℃で5分間処理して微粒子化処理をした。
以下、微粒子化処理をした乳酸菌体を、単に「nEC」と略記する。
得られたnECを、「85質量%のエタノールと15質量%の水よりなる混合溶媒にシクロデキストリンを溶解させた溶液」に加えて、10分間撹拌して均一にした。nECを1質量部に対して、「分散剤若しくはコーティング剤」としてシクロデキストリン7質量部を用いた。
その後、噴霧し凍結乾燥機により乾燥して、乳酸菌ナノ粒子Aを調製した。シクロデキストリン中にnECが包埋され、それの全体が、1次粒子のピーク粒子径0.8μmとなるように微粉化されて乳酸菌ナノ粒子Aが形成されていた。
得られた「乳酸菌ナノ粒子A」の1次粒子の粒度分布を、SALD−3100粒度分布測定装置((株)島津製作所社製)を用いて測定した。
結果を図1(a)に示す。「乳酸菌ナノ粒子A」の1次粒子のピーク粒子径は0.8μmであった。また、「乳酸菌ナノ粒子A」の粒子径は、0.1μm〜3.0μmの範囲に、ほぼ100個数%が入っていた。
なお、「乳酸菌ナノ粒子A」の調製過程で、上記微粒子化処理をしなかった乳酸菌体の粒子径の分布を図1(b)に示す。微粒子化処理をしなかった乳酸菌体の1次粒子のピーク粒子径は27μmであった。
<チューインガム(1)の製造>
公知の半減時間を持つ(乳酸菌ナノ粒子を含むこと以外は公知の)チューインガム(1)を参考のために次のように製造した。
酢酸ビニル75質量部、ポリイソブチレン20質量部、及び、炭酸カルシウム5質量部よりなる結合成分に、「乳酸菌ナノ粒子A」を加えて、常法に従って混錬し、1個が3gのチューインガム(1)を評価に必要な数だけ製造した。
「乳酸菌ナノ粒子A」については、3gのチューインガム1個に対して、1.0×1012個を含むように加えた。
<測定>
20歳以上の健常人A、B、C、D、Eの5名を対象とした。チューインガム1個を口腔内に入れて噛み始めてから、1、3、6、10、20及び30分後に、口腔内に溜まった唾液を排出して採取して被検試料とした。また、それぞれの時間ごとに採取した被検試料の唾液の量(mL)を測定した。
この被検試料をよく攪拌した後、一部を分注し、「乳酸菌ナノ粒子A」の濃度(個/mL)を測定するまで−30℃で保管した。
<乳酸菌ナノ粒子の唾液中の濃度の測定方法並びに個数及び半減時間の算定方法>
噛み始めてから各時間後に採取した被検試料について、乳酸菌ナノ粒子の唾液中の濃度(個/mL)を、抗nEC抗体(精製IgG)及びビオチン標識抗nEC抗体を用いたサンドウィッチELISA法(Broma Institute Co., Ltd., Tokyo Japan)によって、常法に従い測定した。nECの標準曲線の作成には、チューインガム(1)に練りこんであるnECと同一ロットのnECを使用した。
乳酸菌ナノ粒子の唾液中の濃度(個/mL)に、それぞれの時間ごとの被検試料の唾液の量(mL)を掛けて、それぞれの時間ごとの乳酸菌体(nEC)の唾液中の個数を算定した。
<結果>
チューインガム(1)を噛み始めてから出てくる唾液の量は個人差が認められたが、チューインガムを噛み始めた直後から、チューインガム(1)中の乳酸菌体(nEC)は唾液中に排出され始めた。
図2に、被験者A〜Eの、チューインガム(1)を噛み始めてから、1、3、6、10分後の、唾液中のnECの個数を積算棒グラフで示す。
図2に示すように、初期のチューインガム(1)の1個に含まれる1.0×1012個(10000×10個)のnEC数に対して、噛み始めてから1分後には40〜50%、3分後には70〜90%が、チューインガム(1)から唾液中に排出された。
言い換えると、3分後には、チューインガム(1)1個に含まれるnEC数の10〜30%しかチューインガム(1)中に残存しておらず、口腔内に入れた、公知の結合成分を有するチューインガム(1)中におけるnECの半減時間は3分未満であった。すなわち、汎用で公知の結合成分組成のチューインガム中におけるnECの半減時間は、約1分であり少なくとも3分未満であることが分かった。
6分後〜10分後には、5人全ての被験者で、nECの排出が飽和し始め、10分後には3名の被験者で、口腔内に入れた初期のチューインガム(1)中におけるnEC数が、測定上100%を超えたため(1.0×1012個を超えたため)、20分後の被検試料の測定は中止した。
参考例2
<グミ(1)の製造>
公知の半減時間を持つ(乳酸菌ナノ粒子を含むこと以外は公知の)グミを参考のために次のように製造した。
ゼラチンを5質量部、及び、ペクチン2.5質量部よりなる結合成分に、ショ糖8質量部、クエン酸1質量部、水83.5質量部、及び、「乳酸菌ナノ粒子A」を加えて、常法に従って混錬し、1個が3gのグミ(1)を評価に必要な数だけ製造した。
「乳酸菌ナノ粒子A」については、3gのグミ1個に対して、0.5×1012個を含むように加えた。
<評価と結果>
参考例1と同様に評価したところ、5人全員が、15秒以内にグミ(1)を食べてしまった。すなわち、口腔内に15秒以下しか滞留しなかったので、唾液は15秒以下しか出なかった。
グミ(1)は、半減時間が3分以上になるように設定したものに比べて、格段に口腔内の滞留時間と唾液との接触時間が短かったことは勿論、参考例1のチューインガム(1)に比べても、格段に口腔内の滞留時間と唾液との接触時間が短かった。
参考例3
<4週間投与後の免疫機能関連項目の測定方法>
参考例1と参考例2で製造したチューインガム(1)とグミ(1)について、4週間投与後に、免疫関連項目及び安全性を確認するため一般血液検査項目を測定した。
20歳以上の健常者60名を対象とした。入院中の患者や、副腎皮質ホルモン等の免疫抑制剤、抗がん剤等の投与を受けている者は除外した。
本臨床研究は、原土井病院臨床研究審査委員会において承認を得て実施された。対象者は、本試験の目的、試験方法等について十分な説明を受け、書面にて同意を得た。
1×1012個のnECを含むチューインガム(1)を30名に、0.5×1012個のnECを含むグミ(1)を30名に、それぞれ4週間投与した。
ガム群30例の年齢中央値は36歳、性別は男性15例、女性15例で、グミ摂取群30例の年齢中央値は41歳で、性別は男性12例、女性18例であった。
ガム投与群は、チューインガム(1)1粒(3g)を1日1回投与した。口腔内で噛み始めて30分間は嚥下せずに噛み続けた。
グミ投与群は、nECの初期の数をチューインガム(1)と統一するため、グミ(1)2粒(3g×2粒)を1日1回投与した。なお、その後、グミ(1)を通常通り噛んでもらったが、全員が15秒で食べ終わった(飲み込んだ)。
両群ともに、投与前、投与2週目と4週目に、問診及び採血を施行し、一般血液検査と免疫機能関連項目の検査を実施した。測定項目は以下の通りである。
<<一般血液検査>>
白血球、赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板、アルブミン、alanineaminotransferase(ALT)、尿素窒素、及び、総コレステロール
免疫機能関連マーカーの測定項目と測定方法は以下の通りである。各ELISAは、二重測定が行われた。
<<免疫機能関連マーカー>>
(1)lipopolysaccharide(LPS)(pg/mL)
Human LPS ELISA Kit,Cusabio Biotech Co., Ltd. Wuhan, China、感度1.56pg/mL
(2)solubleCD14(sCD14)(pg/mL)
Quantikine ELISA Human sCD14Immunoassay, R & D SYSTEMS, Inc., Minneapolis, USA、感度125pg/mL
(3)interferon-inducibleprotein(IP10)(pg/mL)
Quantikine ELISA HumanCXCL10/IP‐1Immunoassay, R & D SYSTEMS, Inc., Minneapolis, USA、感度1.67pg/mL
(4)interleukin(IL7)(pg/mL)
Quantikine HS ELISA IL‐7Immunoassay, R & D SYSTEMS, Inc., Minneapolis, US、感度0.1pg/mL
<統計学的解析の方法>
データは中央値(四分位範囲)で表示し、2群間の比較は、Wilcoxon順位和検定を行った。有意水準を0.05未満とし、統計ソフトは、JMP version9.0.2 (SAS Institute Japan Ltd., Tokyo、Japan)を用いた。
<結果>
被験者の投与前の背景については、一般血液検査と免疫機能関連マーカーの何れも、両群に差は認められなかった。また、各検査項目の年齢差・男女差についても差が認められなかった。
<<一般血液検査と問診の結果>>
投与期間中の自覚症状についての問診を行ったが、下痢等の有害事象は認められなかった。
また、投与前と投与4週間後の前記一般血液検査の中央値推移について、両群共に投与前と投与4週間後に有意差は認められなかった。また、両群の間に有意差は認められなかった。
これより、チューインガム(1)とグミ(1)の安全性が確認され、また、乳酸菌エンテロコッカス・フェカリスの死菌よりなる乳酸菌体の安全性が確認された。
<<免疫機能関連マーカーの結果>>
免疫機能関連マーカーの投与前と投与開始後2週間と4週間後の数値を表1に示す。
Figure 0006442219
表1の数値データは、全て中央値(四分位)である。
[△2週間後]=[2週後の数値]−[投与前の数値]
[△4週間後]=[4週後の数値]−[投与前の数値]
であり、被験者毎に数値を引き算してから、それらの中央値(四分位)をとったものである。
ガム投与群では、投与開始後は、投与前に比較して、何れの免疫機能関連マーカーも低下傾向が認められた。特に、LPSについては、明確な低下が認められた(P<0.05)。
一方、グミ投与群では、LPS値は最終的に(4週間後に)若干の低下傾向が見られたが、sCD14、IP10及びIL7は、数値の低下が見られなかった。
個人別にみると、ガム投与群では、4週目には、LPSは24例(80%)、sCD14は24例(80%)、IP10は22例(73%)、IL7は22例(73%)に低下が見られ、全30例において何らかの免疫機能関連マーカーの低下が見られた。
グミ投与群では、LPSは19例(63%)、sCD14は20例(67%)、IP10は19例(63%)、IL7は16例(53%)に低下が見られたが、その低下はわずかであった。
チューインガム(1)は、前記した通り、初期のnEC数に対して、噛み始めてから1分後には40〜50%、3分後には70〜90%が唾液中に排出されて唾液と混合された。一方、グミ(1)は、15秒間は唾液と混合した可能性があるが、15秒以内に飲み込まれた。
以上から、唾液と混合される時間が長いと、免疫機能関連マーカーの数値低下が見られることが分かった。また、口腔内に滞在する時間が長いと、免疫機能関連マーカーの数値低下が見られることが分かった。
これより、チューインガムでは、結合成分や「分散剤若しくはコーティング剤」を調整して、乳酸菌ナノ粒子や乳酸菌体(nEC)が、チューインガム内から時間をかけて口腔内に出てくるようにすれば、唾液と混合される時間が長くなったり、口腔内に滞在する時間が長くなったりして、更に、免疫機能関連マーカーの数値低下が見られることが予想された。
また、グミやゼリービーンズやチューイングキャンディーでも、結合成分や「分散剤若しくはコーティング剤」を調整して、特に結合成分を、硬くする、水溶性を低下させる、弾力を出してダレを防止する等して、乳酸菌ナノ粒子や乳酸菌体(nEC)が、組成物内から時間をかけて口腔内に出てくるようにすれば、唾液と混合される時間が長くなったり、口腔内に滞在する時間が長くなったりして、チューインガムのように免疫機能関連マーカーの数値低下が見られることが予想された。
また、飴では、口腔内に入れた経口免疫機能調整組成物(飴)中における該乳酸菌ナノ粒子の半減時間(飴の体積が半分になる時間)を3分以上にすれば、唾液と混合される時間が長くなり、口腔内に滞在する時間が長くなるので、上記した改良チューインガム同様、更に、免疫機能関連マーカーの数値低下が見られることが予想された。
実施例1
<チューインガム(2)の評価>
参考例1で用いた「乳酸菌ナノ粒子A」を用い、結合成分を変更して、すなわち酢酸ビニルの分子量を上げ、炭酸カルシウム10質量部を用いた以外は同様にして、半減時間10分である1個が3gのチューインガム(2)を評価に必要な数だけ製造した。
「乳酸菌ナノ粒子A」については、参考例と同様に、3gのチューインガム1個に対して、1.0×1012個を含むように加えた。
それ以外は、参考例3と同様に評価した。
チューインガム(2)を噛み始めてから経過毎に口腔内に出てきたnEC数を、図2の最右に積算棒グラフで示した。チューインガム(2)の半減時間は10分であった。
チューインガム(2)では、チューインガム(1)以上に、何れの免疫機能関連マーカーでも低下傾向が認められ、特に、LPSについてはより明確な低下が認められた。
具体的には、個人別にみると、参考例1のチューインガム(1)では、参考例3に記載した通り、4週目には、LPSは30例中24例(80%)に低下が見られたが、チューインガム(2)では、4週目には、LPSは30例中28例(93%)に低下が見られ、その他の免疫機能関連マーカーでも、低下傾向を示す例(全30例中の割合)の増加が認められた。
乳酸菌ナノ粒子や乳酸菌体(nEC)が、チューインガム内から時間をかけて口腔内に出てくることによって、唾液と混合される時間が長くなったり、口腔内に滞在する時間が長くなったりして、更に、免疫機能関連マーカーの数値低下が見られる。
実施例2
<グミ(2)の評価>
参考例1、2で用いた「乳酸菌ナノ粒子A」を用い、結合成分を変更して、すなわちゼラチンとペクチンの量をそれぞれ2倍に増量させ、その分の水を減量した以外は参考例2と同様にして、半減時間が5分であって、1個が3gのグミ(2)を、評価に必要な数だけ製造した。
「乳酸菌ナノ粒子A」については、3gのグミ1個に対して、0.5×1012個を含むように加えた。
グミ(2)では、チューインガム(1)以上に、何れの免疫機能関連マーカーでも低下傾向が認められ、特に、LPSについてはより明確な低下が認められた。
乳酸菌ナノ粒子や乳酸菌体(nEC)が、グミ内から時間をかけて口腔内に出てくることによって、唾液と混合される時間が長くなったり、口腔内に滞在する時間が長くなったりして、更に、免疫機能関連マーカーの数値低下が見られる。
また、グミに代えて、ゼリービーンズやチューイングキャンディーにしても、上記結果は同一であることが推認された。
実施例3
<飴の評価>
参考例1、2で用いた「乳酸菌ナノ粒子A」を用い、水飴、澱粉及びショ糖を結合成分として用い、通常の方法で飴を製造した。この飴は、小さくなりながら、20分間口腔内に存在し、20分後にはなくなった。半減時間は、6〜10分である。
この飴では、チューインガム(1)以上に、何れの免疫機能関連マーカーでも低下傾向が認められ、特に、LPSについてはより明確な低下が認められた。
乳酸菌ナノ粒子や乳酸菌体(nEC)が、飴内から時間をかけて口腔内に出てくることによって、唾液と混合される時間が長くなったり、口腔内に滞在する時間が長くなったりして、更に、免疫機能関連マーカーの数値低下が見られる。
実施例4
「分散剤若しくはコーティング剤」として、シクロデキストリンに代えて、腸溶剤に用いられるゼインを用いた以外は、実施例1と同様にして、「乳酸菌ナノ粒子B」を調製し、「乳酸菌ナノ粒子B」を用いて、チューインガム(3)を製造した。
「乳酸菌ナノ粒子B」の1次粒子のピーク粒子径等は、「乳酸菌ナノ粒子A」と同一であった。半減時間は10分であった。
チューインガム(3)では、チューインガム(1)(2)以上に、免疫機能関連マーカーの数値の低下傾向が認められ、特に、LPSについては明確な低下が認められた。
乳酸菌ナノ粒子や乳酸菌体(nEC)が、長時間口腔内に滞留することに加え、胃液で不活性化せずに腸にまで届き、更なる免疫機能関連マーカーの数値低下が見られる。
比較例1
乳酸菌ナノ粒子の調製過程で、微粒子化処理をしなかった乳酸菌体(図1(b)に粒径分布を示したものであって、1次粒子のピーク粒子径は27μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、チューインガム(4)を製造した。
同様に評価したが、免疫機能関連マーカーの数値の低下が認められなかった。
<実施例まとめ>
LPSは、大腸菌等の腸内細菌を代表とするグラム陰性桿菌の外膜成分であり、エンドトキシンの本体である。グラム陰性桿菌による感染症では、血中に侵入した細菌が壊れて多量にエンドトキシンが放出され、過剰な免疫応答が起こる場合がある。
sCD14は、血中でLPSと結合すると、単球、マクロファージや好中球上のCD14分子に結合し、tumor necrosis factor(TNF)−α, IL−6, interferon(IFN)−γ等の炎症性サイトカインが分泌され炎症を惹起する。
IP10は、ケモカインの1つで、IFN−γ等の炎症性サイトカインの刺激により、単球や上皮細胞、内皮細胞で産生され、単球やリンパ球の走化性因子として働く。
IL7は、単球に作用して炎症性サイトカインの誘導に関与しており、炎症性腸疾患との関連も示唆されている。
血中LPSの低下は、唾液中の乳酸菌ナノ粒子を嚥下することにより、腸内細菌叢に占めるグラム陰性桿菌の割合が低下した結果、LPS産生が低下したことに起因すると推察される。LPSの低下は、sCD14の低下に繋がり、IP10、IL7等の炎症性サイトカインの低下に関与した可能性が考えられる。
本発明において、血中LPSを初めとする炎症性免疫関連マーカーの低下傾向が認められた。半減時間を3分以上に設定して、乳酸菌ナノ粒子が、経口免疫機能調整組成物から徐々に口腔内に排出するようにし、口腔内に長く滞留させて唾液の量を多くすると、より免疫機能調整の効果が向上することが確かめられた。
以上から、本発明では、乳酸菌体がより効率的に腸管の免疫誘導組織に作用したと考えられる。
また、消化器から取り込まれるのではなく、多くの唾液によって口腔粘膜を介して、直接体内に取り込まれたとも考えられ、本発明の経口免疫機能調整組成物は口腔剤組成物でもあると考えられた。
本発明の経口免疫機能調整組成物は、LPS産生の抑制の他、各種免疫機能関連マーカーの値を下げるので、医薬分野に広く利用できるほか、機能性食品や健康食品としても広く利用できるものである。

Claims (8)

  1. (A)乳酸菌エンテロコッカス・フェカリスの死菌よりなる乳酸菌体、及び、該乳酸菌体の表面に付与された「分散剤若しくはコーティング剤」を有し、頻度分布において1次粒子のピーク粒子径が1μm以下である乳酸菌ナノ粒子、並びに、
    (B)該乳酸菌ナノ粒子の結合成分
    を少なくとも含有してなる、チューインガム、グミ、ゼリービーンズ又はチューイングキャンディーの形態をとっている経口免疫機能調整組成物であって、
    該結合成分及び/又は該「分散剤若しくはコーティング剤」は、経口免疫機能調整組成物から口腔内に排出された該乳酸菌体の量に対する唾液の量が多くなるように、口腔内に入れた経口免疫機能調整組成物中における該乳酸菌ナノ粒子の半減時間が3分以上になるように設定して、該乳酸菌体の口腔内及び/又は唾液中への排出を抑制したものであることを特徴とする経口免疫機能調整組成物。
  2. 血液中のリポ多糖(LPS)の濃度を低下させる請求項1に記載の経口免疫機能調整組成物。
  3. チクル、ポリ−1,4−イソプレン、エステルガム、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン及び炭酸カルシウムよりなる群から選ばれた1種以上の物質を有する結合成分を含有させて、口腔内に入れた経口免疫機能調整組成物中における乳酸菌ナノ粒子の半減時間が3分以上になるように設定されたチューインガムの形態をとっているものである請求項1又は請求項2に記載の経口免疫機能調整組成物。
  4. ゼラチン、水飴、澱粉、寒天及び蜜蝋よりなる群から選ばれた1種以上の物質を有する結合成分を含有させて、口腔内に入れた経口免疫機能調整組成物中における乳酸菌ナノ粒子の半減時間が3分以上になるように設定されたグミ、ゼリービーンズ又はチューイングキャンディーの形態をとっているものである請求項1又は請求項2に記載の経口免疫機能調整組成物。
  5. 上記乳酸菌体の表面に付与された上記「分散剤若しくはコーティング剤」が腸溶剤でもある請求項1ないし請求項の何れかの請求項に記載の経口免疫機能調整組成物。
  6. 上記「分散剤若しくはコーティング剤」が、澱粉、寒天、カラギーナン、デキストリン、シクロデキストリン、トレハロース、ペクチン、ゼラチン、タンパク質、シェラック、ゼイン、ヒプロメロースフタル酸エステル、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、(メタ)アクリル酸コポリマー、パーム油、ヤシ油、大豆油、ゴマ油、菜種油及びサフラワー油よりなる群から選ばれた1種以上の物質である請求項1ないし請求項の何れかの請求項に記載の経口免疫機能調整組成物。
  7. 請求項1ないし請求項の何れかの請求項に記載の経口免疫機能調整組成物よりなるものであることを特徴とする口腔剤組成物。
  8. 請求項1ないし請求項の何れかの請求項に記載の経口免疫機能調整組成物よりなるものであることを特徴とする血液中LPS濃度抑制食品。
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