JP2011020987A - 抗アレルギー組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 花粉症などの抗アレルギー効果を呈する従来の醗酵乳又は乳酸菌などの組成物や飲食品は、アレルギー抗原である花粉に接する前に長期及び多量に摂取する必要があった。そこで、少量、短期間摂取するだけで抗アレルギー作用を呈する乳酸菌やその加工品が求められている。
【解決手段】 乳酸菌を破壊乳酸菌とし、乳酸菌及び破壊乳酸菌又は破壊乳酸菌を有効成分とする抗アレルギー組成物、また容易に溶解・分散し、吸収し易くした即効性抗アレルギー剤、飲食品及びこれらの製造方法を提供するものである。
【選択図】なし
【解決手段】 乳酸菌を破壊乳酸菌とし、乳酸菌及び破壊乳酸菌又は破壊乳酸菌を有効成分とする抗アレルギー組成物、また容易に溶解・分散し、吸収し易くした即効性抗アレルギー剤、飲食品及びこれらの製造方法を提供するものである。
【選択図】なし
Description
本発明は、乳酸菌及び破壊乳酸菌又は破壊乳酸菌を有効成分とする抗アレルギー組成物及び製造方法に関する。
近年、社会的問題になるほど、花粉症やハウスダスト症等のアレルギー患者の増加は著しいものがある。花粉症やハウスダストなどのアレルギー反応は、粘膜表面に付着した花粉やダニや獣毛等の抗原に起因することが知られている。これらのアレルゲンは、主としてスギをはじめとしたヒノキ、かば類、ブタクサなどの花粉やダニの破片や猫、犬等の動物の獣毛、フケやホコリ等のハウスダストで、ほぼ1年を通して多くの人がアレルギーに悩まされている。これらのアレルゲンは、まず鼻と目の粘膜に付着するので、花粉症の症状は鼻と眼における症状を訴える人が大多数である。
アレルギーはその発症の免疫学的機序により、I型からIV型に分類されている。このうち、I型アレルギーは即時型アレルギーであり、花粉症、ハウスダスト症、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー等が知られている。これらの発症は、アレルギー抗原に対するIgEタイプの免疫グロブリンがその引き金である。生産されたIgE抗体は、皮膚や眼、鼻、気管、消化管などの粘膜組織に多い肥満細胞表面にあるIgE抗体の受容体に結合する。これに対して、II型、III型アレルギーはIgGおよびIgMタイプの免疫グロブリンにより、IV型アレルギーはT細胞が活性化されて生じる。
I型アレルギーの発症は、肥満細胞表面に結合した抗体に抗原が結合すると肥満細胞からヒスタミン等を放出し鼻の神経を刺激しクシャミ、鼻水を生じ、またロイコトリエンは血管を刺激し鼻づまりを生じ、同時に目の神経を刺激して涙や痒みを生じる。なお、肥満細胞のみならず、抗原特異的なリンパ球と抗原との反応に伴い、これらから生産される各種サイトカインを介して、好酸球などが活性化され炎症反応が進行する。
この症状を軽減するために、種々の薬剤が開発され提供されている。アレルギー性鼻炎には、抗ヒスタミン薬、消炎酵素薬、抗炎症薬等が使用されている。治療薬としての抗ヒスタミン薬は、眠気、口が渇くなどの副作用の他、前立腺肥大や緑内障を有する患者には使用できない。鼻に噴霧する局所ステロイドや経口ステロイド薬があるが、ステロイドとしての特異な副作用がある。
また、分泌腺の機能亢進による諸症状の改善を化学物質や生体機能低下物質で改善する方法が知られているが、長期に渡って使用するには安全性が問題となる。例えば、粘膜の血管収縮薬は鼻詰まりに効果を示すが、使いすぎるとかえって鼻詰まりが強くなる薬剤性鼻炎を生じる。これらは、厚生労働省21世紀型医療開拓推進研究事業のアレルギー性鼻炎ガイドライン班のアレルギー性鼻炎ガイドラインに記載されている。
抗花粉症食品としては、醗酵乳、ウーロン茶、甜茶等の効果が報告されている。しかし、これらの食品は、花粉症を抑制するためには長期間食べ続ける必要があったり、また、一度発症したらその時点で摂取しても効果が現れなかったり、効果が短時間であるといった弱点がある。現在の抗アレルギー薬は、その臨床効果発現までに日数がかかることが知られており、即効性の抗アレルギー薬は今後の開発展開に期待したい(非特許文献1参照)と述べられている。
乳酸菌は、腸内フローラのバランスを改善して腸内腐敗産物の低減や糞便性状を改善する効果の他、生体の免疫活性を向上させる効果を有することが知られており、抗アレルギー剤の有効成分として利用されている(特許文献1参照)。しかし、一般的にこの文献のように乳酸菌による生理効果を得るためには、菌体を比較的多量に長期に摂取する必要がある。
また、微生物の細胞表層や乳酸菌のペプチドグリカン、例えばL−リジン−D−アスパラギン酸タイプ、L−リジン−L−アラニン−L−アラニンタイプ、L−リジン−グリシンタイプを含有する粗ペプチドグリカンを含む微生物を含有する食品等を口腔内で長く咀嚼や溶解することで、花粉アレルギー症状を軽減する粗ペプチドグリカンを含む食品の製造法(特許文献2参照)が示されている。しかし、ペプチドグリカンを抽出分離することは工程の複雑さと加工経費の増加を伴う経済的な問題点があった。
このように、多量の乳酸菌摂取、醗酵乳の長期摂取、複雑な分離工程を含む乳酸菌の摂取による免疫バランスや免疫活性の向上で花粉症を軽減させる検討がなされている。
帝国製薬医療技術情報DERMATOLOGY TODAY INDEX 3 2009(広島大学医学部総合薬学科教授 仲田義啓)
従来の抗アレルギー作用のある醗酵乳や乳酸菌は、抗原に接する前に長期及び多量に摂取する必要があるが、少量、短期間摂取するだけで抗アレルギー作用を呈する乳酸菌やその加工品が求められている。
本発明は、このような従来の組成物又は食品が有していた問題を解決しようとするものであり、乳酸菌を破壊乳酸菌とし、乳酸菌及び破壊乳酸菌又は破壊乳酸菌を有効成分とする抗アレルギー組成物を提供するものである。
本発明の破壊乳酸菌は湿菌体と乾燥菌体から製造することができるが、湿菌体はガラスビーンズや超音波を利用して破壊菌とし、乾燥菌体では乳酸菌をひき臼やジェット粉砕機(エアーなどの高速流体)などにて、摩擦、応力や相互衝突にて乳酸菌を細かく破壊することができる。破壊の方法及び破壊率については、実施例にて詳細を記載したが、その圧力や速度によって破壊率は異なるものであり抗アレルギー効果に差を生じる。この破壊乳酸菌の割合は1%以上であると差を生じてくるが、より好ましくは10%以上である。本発明の抗アレルギーを有する組成物は、破壊乳酸菌を含む乳酸菌又は破壊乳酸菌として1日当たり0.1mg〜3.0gであり、より好ましくは0.3mg〜1.0gである。
本発明の乳酸菌とは、桿菌及び球菌でグラム陽性、カタラーゼ陰性、消費したブドウ糖に対して50%以上の乳酸を生じる菌と定義されている狭義な乳酸菌、例えば、乳酸桿菌はラクトバチルス(Lactobacillus)属、カルノバクテリウム(Carnobacterium)属、ウエイセラ(Weissella)属、乳酸球菌としてストレプトコックス(Streptococcus)属、ラクトコックス(Lactococcus)属、ロイコノストック(Leuconostoc)属、エンテロコックス(Enterococcus)属、ペディオコックス(Pediococcus)属、テトラゲノコックス(Tetragenococcus)属等である。これに加えて、広義の乳酸菌である乳酸を生成するビフィズス菌や有胞子細菌などを含めたものとし、具体的には酢酸も産生するビブィドバクテリウム(Bifidobacterium)属や有胞子細菌のバチルス属コアギュランス(Bacillus coagulans)等を含める。
乳酸菌は種々の菌種や菌株にアレルギー症の軽減作用があり、菌株によりその効果の強弱を比較している発明が多いが、本発明では乳酸菌を加工することにより効果が異なるので特には菌種や菌株を限定していない。破壊乳酸菌の割合の検出法は、磨り潰しや相互衝突後に菌形を保った乳酸菌と破壊された乳酸菌が存在するが、菌形を保った乳酸菌をブリード(Breed)法で計測し、原粉末の乳酸菌数で除して割合を算出することができる。詳細は実施例にて説明する。
本発明の第2の課題解決手段は、乳酸菌及び破壊乳酸菌又は破壊乳酸菌を有効成分とする即効性抗アレルギー剤が口腔内で容易に分散・溶解することを特徴とする。乳酸菌及び破壊乳酸菌又は破壊乳酸菌が粉末、打錠形、粒状、糖衣に含まれる製剤である。
人は主に腸より栄養素や免疫物質を吸収するが、種々の場所の粘膜からも吸収されることが示されており、特に舌下は糖質や種々の薬の吸収がおこなわれている。従って、出来るだけ早く吸収させて効果を生じるには、消化管のみならず口腔内、食道にある粘膜からの吸収を考慮する必要がある。
本発明の即効性とは、乳酸菌の抗花粉症剤の摂取後から約120分以内に鼻詰まり、クシャミ、鼻水のアレルギー症状を減少、緩和することをいうが、60分以内が好適である。また、口腔内で唾液に容易に分散・溶解されるとは、粒状、打錠、粉末、糖衣の組成物が数回の咀嚼後、舌上静置で唾液に溶融する状況をいうが、数回の咀嚼後、舌上で5分以内に唾液に溶融するものが好適である。
本発明の第3の課題解決手段は、効性抗アレルギー飲食品の乳酸菌及び破壊乳酸菌又は破壊乳酸菌が口腔内で容易に分散・溶解することを特徴とする。乳酸菌及び破壊乳酸菌又は破壊乳酸菌が飲料又は粉末、打錠形、粒状、糖衣に含まれる食品である。
本発明の即効性とは、乳酸菌の抗花粉症飲食品の摂取後から約120分以内に鼻詰まり、クシャミ、鼻水のアレルギー症状を減少、緩和することをいうが、60分以内が好適である。口腔内で唾液に容易に分散・溶解されるとは、これらの食品が数回の咀嚼後、舌上静置で唾液に溶融する状況をいうが、数回の咀嚼後、舌上で5分以内に唾液に溶融するものが好適である。
本発明の第4の課題解決手段は、抗アレルギーを有する乳酸菌及び破壊乳酸菌の製造方法及び口腔内で容易に分散・溶解する即効性抗アレルギー剤及び飲食品の製造方法である。
乳酸菌を製造する培地は、牛乳などの獣乳、大豆などの豆乳、リンゴなどの果汁、トマトなどの野菜汁又は糖、酵母エキスやペプトンを主栄養分とし、その他微量元素を加えた合成培地でよい。この培地を殺菌して、スターターとして目的の乳酸菌を加えて、培養開始pHを6.0〜7.0とし苛性ソーダ液でpH6.0〜5.0の範囲で至適pHにコントロールして生育温度内にて培養ことを特長とするが、詳細は実施例にて説明する。
培養後の乳酸菌数を高める方法は、乳酸菌以外の培地成分を遠心分離や除菌膜を用いて水分や培地成分を除去して、グラム当たりの菌数を増加させればよい。高純度乳酸菌の湿菌体を得るには、醗酵時に沈殿物を生じない乳清や合成培地で培養する場合は、遠心分離(1,000〜10,000×G 10〜90分間)して濃縮菌体を得、この菌体に除菌した水を加えて攪拌した後に、同様な条件で遠心分離を行って洗浄し、これを2回以上繰り返し、培地成分及び水分を除去すればよい、この遠心分離は乳酸菌の場合2000〜7000×G 15〜30分間が好適である。
同様に0.01〜1.0ミクロンのろ過膜で菌体以外の培地成分を除去し濃縮菌体を得、この菌体に除菌水を加えて攪拌した後、再度、同様な条件でろ過して洗浄し、これを2回以上繰り返し、培地成分及び水分を除去して高濃度、高純度乳酸菌の湿菌体を得ることができるが、乳酸菌の場合0.1〜0.4ミクロンの透過穴を有する濃縮膜が好適である。これらの菌体を粉末で使用する場合は、湿菌体をドラム乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥等をすればよい。
本発明の湿菌体からの乳酸菌破壊物の製造方法は、超音波や機械的破壊を利用することで製造することができる。湿菌体の場合は、石英または海砂もしくはガラスビーンズ(直系0.01〜3.0mm)などを加え攪拌することで菌体を破壊させることができ、超音波破砕(1〜100kHz、1〜90分)でも同様に菌体を破壊させることができる。菌体破壊におけるガラスビーンズは直径0.05〜1.5mm、超音波破壊は5〜50kHz、10〜60分が好適である。本発明の破壊乳酸菌を粉末で使用する場合は凍結乾燥や加熱乾燥で乾燥物を製造することができる。
本発明の乾燥菌体からの乳酸菌破壊物の製造方法は、湿乳酸菌をドラム乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥で粉末化し、好ましくは水分が10%以下条件で、金属スクリーン網や臼による摩擦力、せん断力、空気の高速流体中の相互衝突により、効率よく乳酸菌粉末は破壊させることができる。粒径を小さくすると破壊された乳酸菌が増えるが、詳細は実施例にて説明する。
本発明の液状製剤や飲料食品製造の要点は、本発明の乳酸菌及び破壊乳酸菌又は破壊乳酸菌を液状薬、または果汁飲料、牛乳、スポーツ飲料等の製造工程上の加熱殺菌前に溶解させ、殺菌、冷却するか、無菌的に添加し衛生的に製造保管すればよく、即効性抗アレルギー液状製剤や飲料食品ができる。
本発明の粉末の製剤や食品製造の要点は、本発明の乳酸菌及び破壊乳酸菌又は破壊乳酸菌を製造工程上で混合させて製造し、衛生的に製造保管すればよく、即効性抗アレルギー粉末製剤や食品ができる。
溶解し易い粉末製剤や食品に加工するための乳酸菌以外の成分は溶解し易いものがよく、短分子の食品素材が好適である。糖類であればブドウ糖、果糖、ガラクトース等の単糖類、ソルビトール、マンニトール等の糖アルコール類、蔗糖、麦芽糖、乳糖等の二単類、ラフィノース等の三糖類やフラクトオリゴ糖などのオリゴ糖類、タンパク質類ではアラニン、アスパラギン酸、バリン等のアミノ酸類、ペプチド類からの1種以上を含むことが好適である。
本発明の粒状の製剤や食品製造の要点は、本発明の乳酸菌及び破壊乳酸菌又は破壊乳酸菌を製造工程上で混合させ、衛生的に製造保管すればよく、即効性抗アレルギー粒状製剤や食品ができる。溶解し易い粒状製剤や食品に加工するための乳酸菌以外の成分は、短分子の食素材の単糖類、糖アルコール類、二単類、三糖類、オリゴ糖類やアミノ酸類、ペプチド類からの1種以上を含むことが好適である。
本発明の打錠の製剤や食品製造の要点は、本発明の乳酸菌及び破壊乳酸菌又は破壊乳酸菌を打錠の製造工程上で混合させ、衛生的に製造保管すればよく、即効性抗アレルギー打錠製剤又は食品ができる。尚、口腔内で容易に溶解することが好適である。溶解し易い打状製剤や食品に加工するための乳酸菌以外の成分は、短分子の食素材の単糖類、糖アルコール類、二単類、三糖類、オリゴ糖類やアミノ酸類、ペプチド類からの1種以上を含むことが好適である。
本発明の糖衣製造の要点は、本発明の乳酸菌及び破壊乳酸菌又は破壊乳酸菌を糖衣に含ませるが、製造工程上で混合させ、衛生的に製造保管すればよく、即効性抗アレルギー糖衣製剤又は食品ができる。尚、口腔内で容易に溶解することが好適である。溶解し易い糖衣製剤や食品に加工するための乳酸菌以外の成分は、短分子の食素材の単糖類、糖アルコール類、二単類、三糖類、オリゴ糖類やアミノ酸類、ペプチド類からの1種以上を含むことが好適である。
例えば、糖衣ガムチューイン(今後は糖衣ガムと記載)は、ガムを糖衣に包む形で利用されているが、上記ガムベースは従来から用いられているものでよく、例えばゴム様物質でポリイソブチレンポリイソプロピレン、天然ゴムの弾力体、チクル等の樹脂類、ライスワックス、キャンディラワックスなどのワックス類、プロピレングリーコール、モノグリセリン脂肪酸エステル等の食用乳化剤、炭酸カルシュウム、リン酸カルシュウムなどの無機物、トコフェノール等の酸化防止剤が適宜選択して使用することができる。甘味料は砂糖、果糖、グリセリン、マルチトール等の糖アルコール、アスパラテームやアセスルファムカリウム等の人工甘味料、甘草等の天然甘味料を加えることができる。
また、糖衣はマルチトール等の糖アルコール、砂糖、果糖やブドウ糖、カルナパワックやシエラックなどの光沢剤、香料を使用することができる。ガムベースに用いる糖類や糖衣用の溶液に乳酸菌や破壊乳酸菌を溶解して、乾燥させることで乳酸菌入りガムとなる。具体的製造法は、実施例4にて詳細に説明する。
これまでの醗酵乳又は醗酵培養物や乳酸菌は、長期摂取、大量摂取で免疫バランスを改善する効果でアレルギーを低減するが、本発明によれば、破壊乳酸菌を含んだ乳酸菌又は破壊乳酸菌を少量摂取することで花粉症の症状を示すクシャミ、鼻水、鼻詰まりを強く軽減する効果がある。また、ハウスダスト症状のクシャミ、鼻水、鼻詰まりを感じてから摂取又は飲食することでも症状を大幅に抑制する即効性抗アレルギーの効果がある。
乳酸菌体を摩擦力、応力や相互衝撃で破壊して多くの破片にさせると、原形を保った乳酸菌と比較して、破壊された乳酸菌はアレルギー症状を強く改善するが、口腔内で容易に溶解・分散することで口腔内を含めて吸収を容易にすることや免疫系に対応する力(数)が増加する。これらの抗アレルギーの機序は明確ではないが、肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンが放出されるのを阻止する、又は放出されたヒスタミンやロイコトリエンを不活性化すると推測している。
以下に本発明の詳細を説明する。
本発明の抗アレルギー組成物は、乳酸菌を破壊乳酸菌とし、乳酸菌及び破壊乳酸菌又は破壊乳酸菌を有効成分として含有する。即効性抗アレルギー剤又は飲食品は、乳酸菌及び破壊乳酸菌又は破壊乳酸菌が口腔内で容易に分散・溶解することが好適である。乳酸菌を破壊乳酸菌とする製造方法及び口腔内で容易に分散・溶解することを特徴とする即効性抗アレルギー剤及び飲食品の製造方法である。
以下に、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記の実施例は、有効成分である乳酸菌の培養法から乳酸菌及び破壊乳酸菌粉末の製造法及び検査法を示し、この発明品を利用して溶解し易い粉末や飲食品に加工し、人を対照にしてクシャミ、鼻水、鼻詰まりのアレルギー症状の緩和に関した検討を行ったので、順次実施例として説明する。なお、以下の製造例や実施例等における部及び%は特に規定しない限り重量基準である。
乳酸菌の培養及び乾燥粉末の製造法
乳酸菌の培養の培地組成は次の通りである。培地1L当たり、ブドウ糖20g、酵母エキス(アサヒフードアンドヘルスケア製)15g、デカグリセリンモノオレイン酸エステル(ポリグルセリンエステル ポエムJ−0381V理研ビタミン製)1g、酢酸ナトリウム5gの組成で作成した。スターター乳酸菌は、アメリカン・タイプカルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)のラクトバチルス・アシドフィルスATCC53103を使用した。培養方法は、前記した組成の100Lの培養液を作製し、95℃30分間加熱殺菌した後に37℃に冷却し、pH6.8に調整し、すでに前記培地で37℃18時間予備培養した菌液を2%加えて、37℃、50〜70rpmで攪拌し、苛性ソーダでpH5.5に保って18〜24時間培養した。
乳酸菌の培養の培地組成は次の通りである。培地1L当たり、ブドウ糖20g、酵母エキス(アサヒフードアンドヘルスケア製)15g、デカグリセリンモノオレイン酸エステル(ポリグルセリンエステル ポエムJ−0381V理研ビタミン製)1g、酢酸ナトリウム5gの組成で作成した。スターター乳酸菌は、アメリカン・タイプカルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)のラクトバチルス・アシドフィルスATCC53103を使用した。培養方法は、前記した組成の100Lの培養液を作製し、95℃30分間加熱殺菌した後に37℃に冷却し、pH6.8に調整し、すでに前記培地で37℃18時間予備培養した菌液を2%加えて、37℃、50〜70rpmで攪拌し、苛性ソーダでpH5.5に保って18〜24時間培養した。
乳酸菌体の洗浄は、培養液を遠心機分離機(斎藤遠心機(株)製 ADS−250C)で3000×G20分間かけて濃縮菌体を得、この濃縮液に0.2ミクロン除菌膜処理の清水を加えた後に溶解して、同様に遠心分離する遠心洗浄を3度繰り返して培地成分を除去し、約10倍濃度の湿純乳酸菌体を得た。
乳酸菌体の乾燥は、湿純乳酸菌体を凍結用バットに流し込み−50℃で凍結し、凍結された菌体液を凍結乾燥器(東洋技研(株)製)にて20℃で乾燥し、乾燥減量が5%以下になるまで乾燥して乳酸菌を得た。ラクトバチルス・アシドフィルスATCC53103の203gの乾燥菌体を得た。
凍結乾燥乳酸菌(以後、原粉末と称する)の破壊は、金属スクリーンと金属臼型粉末製造器(ミクロパウダーG−008(有)ウエスト社製)を使用して行った。1.0mmスクリーン網にて篩った0.3〜1.0mm粉末(以後、((a)粉末と称する)を得、次に金属臼型粉末製造器にて磨り潰して、やや大きめの30〜50ミクロンの粉末((b)粉末と称する)と細かい10〜20ミクロンの粉末((c)粉末と称する)を得た。
破壊乳酸菌製造と菌数測定試験
実施例1の試験乳酸菌の原粉末、(a)粉末、(b)粉末、(c)粉末のそれぞれ0.1gを採り、0.2ミクロンの膜除菌水で段階希釈して、ブリード法の変法(以後、ブリード変法と称する)で測定した。このブリード変法の詳細は、顕微鏡の一視野に10〜100個(1000倍率)の菌数が見えるように菌液を希釈して、0.01mlをスライドグラス上に採り、ニーマンシ氏液を0.001〜0.005ml加えて混合して染色し、1cm角に塗布した後、40〜50℃で乾燥させた。このスライドグラスは、乾燥後水洗して同様な条件で乾燥させ、顕微鏡1000倍率で16視野を測定して視野の検出菌数の平均値を出し、予め測定しておいた顕微鏡乗数(使用顕微鏡44000)を乗じて残存菌数とした。
実施例1の試験乳酸菌の原粉末、(a)粉末、(b)粉末、(c)粉末のそれぞれ0.1gを採り、0.2ミクロンの膜除菌水で段階希釈して、ブリード法の変法(以後、ブリード変法と称する)で測定した。このブリード変法の詳細は、顕微鏡の一視野に10〜100個(1000倍率)の菌数が見えるように菌液を希釈して、0.01mlをスライドグラス上に採り、ニーマンシ氏液を0.001〜0.005ml加えて混合して染色し、1cm角に塗布した後、40〜50℃で乾燥させた。このスライドグラスは、乾燥後水洗して同様な条件で乾燥させ、顕微鏡1000倍率で16視野を測定して視野の検出菌数の平均値を出し、予め測定しておいた顕微鏡乗数(使用顕微鏡44000)を乗じて残存菌数とした。
ブリード変法の結果は表1に示した様に、原粉末の乳酸菌数は1010個/gの前半で、これを金属スクリーンで篩った0.3〜1.0mmの(a)粉末は22%が破壊され、臼で平均30〜50ミクロンに挽いた(b)粉末は95.7%が破壊され、10〜20ミクロンに挽いた(c)粉末は99.67%が破壊された。このことから、大きな力で原粉末を細かくするとかなりの確率で細胞が破壊されることが判明した。
表1の結果より、すり潰すことで乾燥菌体凝集物の平均粒径を小さくすると、菌体が破壊される比率が多くなり、顕微鏡観察では乳酸菌の破片が多く見受けられた。全てが2つに破壊されれば約2倍の数となり、10個に破壊されれば約1桁多くなることとなる。菌数が減少することは、非常に大きな変化が生じていると考えられる。この乾燥後の乳酸菌の検査法及び破壊法は、簡易な検査法として、加工費が安価な菌の破壊法として利用できる。
乳酸菌粉末による花粉アレルギー症状の改善試験
試験乳酸菌は、実施例1の網でふるった(a)粉末と破壊乳酸菌を多く含む(c)粉末、及び)デンプン粉をプラセボ((p)プラセボと称する)として使用した。(a)粉末、(c)粉末、(p)プラセボの各々10mgをオブラート(ピップフジモト株式会社)に包み試験サンプルとした。摂取方法は、朝食前に1袋、昼食前に1袋、夕食前に1袋を食し、1日当たり合計3袋を食した。また、食する方法は口の中で唾液に分散・溶解させる方法でおこなった。
試験乳酸菌は、実施例1の網でふるった(a)粉末と破壊乳酸菌を多く含む(c)粉末、及び)デンプン粉をプラセボ((p)プラセボと称する)として使用した。(a)粉末、(c)粉末、(p)プラセボの各々10mgをオブラート(ピップフジモト株式会社)に包み試験サンプルとした。摂取方法は、朝食前に1袋、昼食前に1袋、夕食前に1袋を食し、1日当たり合計3袋を食した。また、食する方法は口の中で唾液に分散・溶解させる方法でおこなった。
ボランティアは、投薬を受けていない7名(20〜60歳台)で、症状の程度はアレルギー診断ガイドラインの基準で全て中等症程度であり、クシャミ10〜6回、鼻をかむ回数10〜6回、鼻詰まりの程度は口呼吸が時々有る方々であった。各ボランティアは、アレルギー診断ガイドライン作成委員会作成の鼻アレルギー診断ガイドラインに沿って、鼻炎症状を判定した。
試験組成物は、(a)粉末(表2では(a)と記載)、(c)粉末(表2では(c)と記載)、(p)プラセボ(表2では(p)と記載)である。試験は5日間試験して、2日間開けた後に新たな試験組成物の検査を継続する方法を取った。ボランティアは、1週目は(a)粉末を摂取して症状を測定し、2週目はプラセボ(p)を摂取して症状を測定、3週目は(c)粉末を摂取して症状を測定した。試験組成物の摂取時は、食事等全く通常の生活を送り、外出時にマスクの必要な人は同一のマスクで全期間防御を行った。
これらの判定方法は、クシャミの回数及び鼻をかむ回数は7人の各々5日間の1日当たりの平均値を示し、鼻詰まり程度による症状度はアレルギー診断ガイドラインの基準に沿い、最重症を4、重症を3、中等症を2、軽症を1、無症状を0として5日間の1日あたりの平均値を求めた。この試験は横浜市中央部から北部地域で2009年3月2日に開始し、2009年4月4日に終了、この年のスギ花粉の飛来は中程度であった。なお、試験中及び試験後においてボランティアは、健康上の問題を挙げるものはいなかった。
表2のように試験組成物の(a)粉末は、クシャミ、鼻をかむ回数、鼻詰まりの改善において、プラセボ(p)に対して、有意差を持って花粉症状を軽減した結果を示した(p<0.05)。試験組成物の(c)粉末は、クシャミ、鼻をかむ回数、鼻詰まりの改善においてプラセボ(p)に対して、有意差を持って花粉症状を強く軽減した結果を示した(p<0.01)。同量の乳酸菌摂取で、(c)粉末は(a)粉末に比較して、花粉症状の全ての項目で高い改善効果を優位差を持って示し(p<0.01)、同量の摂取であれば破壊した乳酸菌を含んだものを摂取することで強い改善効果を示すことが明白となった。また、花粉が舞う季節になってからでも、花粉を浴びる前に摂取すれば花粉症の症状が大きく軽減することが判明し、短期摂取での効果が明らかとなった。
乳酸菌含有糖衣チューインガムによる抗アレルギー試験
使用乳酸菌は、実施例1のラクトバチルス・アシドフィラスATCC53103の(c)粉末で、チューインガム(以降ガムと表記)1個1.5g中に乳酸菌1.8mgを混合させた。ガムの製造方法は、ガム本体の配合としてガムベース(ナチュラルベース(株)製)25部、マルチトール(三菱商事フードテック(株)製)65.85部、還元水飴(日研化成(株)製)7部、グリセリン0.8部、アセスルファムK(ヘキスト社製)0.05部、柑橘香料1.3部を調整し、50℃前後に加温して1L容量ニーダー((株)トーシン製)で練り合わせてガム本体を製造し、この混練物を冷却して平均0.9gのブロック状に切断して成型した。
使用乳酸菌は、実施例1のラクトバチルス・アシドフィラスATCC53103の(c)粉末で、チューインガム(以降ガムと表記)1個1.5g中に乳酸菌1.8mgを混合させた。ガムの製造方法は、ガム本体の配合としてガムベース(ナチュラルベース(株)製)25部、マルチトール(三菱商事フードテック(株)製)65.85部、還元水飴(日研化成(株)製)7部、グリセリン0.8部、アセスルファムK(ヘキスト社製)0.05部、柑橘香料1.3部を調整し、50℃前後に加温して1L容量ニーダー((株)トーシン製)で練り合わせてガム本体を製造し、この混練物を冷却して平均0.9gのブロック状に切断して成型した。
これを糖衣パン中に投入し、糖衣パンを17回転/分で回転させながらアラビヤガム4.0部含有のマルチトール95.3部と乳酸菌粉末0.3部をチューインガム表面にかけ、表面全体が被覆されたところで、香料0.3部、光沢剤0.1部を投入して送風により乾燥させて、ガムの表面に糖衣層を形成させた。この糖衣層が0.6gになるようにして平均重量1.5gの糖衣ガムを製造した。プラセボのガムは乳酸菌のみを除いたもので、製造方法、外形とも全て同一であった。
試験方法は、最初5日間は、クシャミや鼻汁が出そうになった時にプラセボガム(表3では(p)ガムと記載)を噛み、1日平均のクシャミの回数、鼻をかむ回数、鼻詰まりの程度の記録を取った。2日間開けて、その後5日間、乳酸菌入りのガム(表3では(c)ガムと記載)を使用して同様におこない、同様にクシャミの回数、鼻をかむ回数、鼻詰まりの程度の記録を取った。鼻詰まりは症状で点数として表示し、最重症を4、重症は3、中等症は2、軽症は1、無症状は0として表示した。使用したガムの限度は、一人最大1日6個とした。
試験ボランティアは、スギ花粉以外の時期(平成21年5月18日から6月13日にかけて)に、アレルギー診断ガイドラインの基準の重症及び中等症のハウスダストアレルギーの症状があるが、薬の摂取を行っていない8名(20〜70歳)にて試験を行った。試験期間は、食事等全く通常の生活を送り、外出時にマスクの必要な人は同一のマスクで全期間防御を行った。この試験中及び試験後においてボランティアは、健康上の問題を挙げるものはいなかった。
乳酸菌入りのガムの効果は、表3に示したが乳酸菌入りのガムを噛むとプラセボと比較して、くしゃみの回数、鼻をかむ回数は有意差を持って減少し(p<0.01)、鼻詰まりの程度もスコアー的に有意差を持って改善され(p<0.05)、乳酸菌含有ガムの抗アレルギー効果が証明された。この様に、ハウスダストのアレルギー症状が生じた際に本研究のガムを噛むことで糖衣にある乳酸菌及び破壊乳酸菌の摂取で、即効的にアレルギー症状の軽減作用が明確となった。
Claims (4)
- 乳酸菌を破壊乳酸菌とし、乳酸菌及び破壊乳酸菌又は破壊乳酸菌を有効成分とする抗アレルギー組成物
- 乳酸菌及び破壊乳酸菌又は破壊乳酸菌を有効成分として口腔内で容易に分散・溶解することを特徴とする即効性抗アレルギー剤
- 乳酸菌及び破壊乳酸菌又は破壊乳酸菌を有効成分として口腔内で容易に分散・溶解することを特徴とする即効性抗アレルギー飲食品
- 抗アレルギーを有する請求項1に記載の乳酸菌及び破壊乳酸菌の製造方法及び口腔内で容易に分散・溶解する請求項2及び3に記載の即効性抗アレルギー剤及び飲食品の製造方法
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009185200A JP2011020987A (ja) | 2009-07-17 | 2009-07-17 | 抗アレルギー組成物 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016079112A (ja) * | 2014-10-14 | 2016-05-16 | 株式会社五葉 | 免疫機能調整口腔剤 |
-
2009
- 2009-07-17 JP JP2009185200A patent/JP2011020987A/ja active Pending
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