JP2020188755A - 脳機能改善用食品組成物、脳機能改善剤、脳由来神経栄養因子増加用食品組成物、ストレスホルモン分泌抑制用食品組成物、脳由来神経栄養因子増加剤及びストレスホルモン分泌抑制剤 - Google Patents

脳機能改善用食品組成物、脳機能改善剤、脳由来神経栄養因子増加用食品組成物、ストレスホルモン分泌抑制用食品組成物、脳由来神経栄養因子増加剤及びストレスホルモン分泌抑制剤 Download PDF

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Abstract

【課題】脳機能の改善に効果を発揮する脳機能改善用食品組成物及び脳機能改善剤を提供する。【解決手段】ユーグレナを有効成分として含有する脳機能改善用食品組成物及び脳機能改善剤であり、認知機能速度や運動速度など認知機能の改善、血中の脳由来神経栄養因子の増加、コルチゾールなどのストレスホルモンの分泌抑制、ストレス負荷時において他者に対するポジティブな感情を感じやすくする作用、事務作業におけるパフォーマンスを向上させる作用、心の健康、活力、日常役割機能、集中力、やる気の改善の効果、ストレス負荷時のイライラ感又は緊張感を抑制する作用、機嫌の悪化又は意欲の低下を抑制する作用を発揮する。【選択図】図1

Description

本発明は、脳機能改善用食品組成物及び脳機能改善剤に関する。
近年、平均寿命が延び、高齢化が進んでおり、健康寿命の延伸が課題となっている。健康寿命とは、日常的・継続的な医療・介護に依存しないで、自分の心身で生命維持し、自立した生活ができる生存期間のことである。平均寿命から日常的・継続的な医療・介護に依存して生きる期間を除いた期間が健康寿命となる。平均寿命と健康寿命の差異は、男性では約9年、女性では約13年あるとされている。健康寿命の延伸、つまり、寿命に対する健康寿命の割合を高くすることは、QOL(Quality of Life:生活の質)の観点から重要である。
ユーグレナ(属名:Euglena、和名:ミドリムシ)は、微細藻類に分類される単細胞の微生物である。植物と動物両方の性質を兼ね備えていることから、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸等、人間が生きていくために必要な栄養素の大半に該当する59種類もの栄養素多様な栄養素を含んでおり、栄養補助食品やサプリメントとして活用されている。
例えば、特許文献1には、ユーグレナに筋量を増加させる作用があること、特に大腿四頭筋の量を増加させる作用があることが記載されている。つまり、加齢や運動不足に伴って生じる筋力の低下、筋肉量の減少が関連して生ずる症状であるサルコペニアやロコモティブシンドロームにユーグレナの摂取が有効である。
特開2019−24481号公報
健康寿命の観点からは、認知機能などの脳機能も重要な要素となるが、ヒトにおいてユーグレナの摂取が脳機能を改善させることは報告されていなかった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、脳機能の改善に効果を発揮する脳機能改善用食品組成物及び脳機能改善剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ユーグレナに認知機能などの脳機能を改善させる作用があることを見出し、本発明を完成するに至った。
したがって、前記課題は、本発明によれば、ユーグレナを有効成分として含有することを特徴とする脳機能改善用食品組成物により解決される。
このとき、認知機能速度及び運動速度の少なくとも一方の認知機能を改善するために用いられるとよい。
このとき、血中の脳由来神経栄養因子を増加させるために用いられるとよい。
このとき、ストレスホルモンの分泌を抑制するために用いられるとよい。
このとき、前記ストレスホルモンは、コルチゾールであるとよい。
このとき、ストレス負荷時のイライラ感又は緊張感を抑制するために用いられるとよい。
このとき、ストレス負荷時の機嫌の悪化又は意欲の低下を抑制するために用いられるとよい。
このとき、ストレス負荷時において他者に対するポジティブな感情を感じやすくするために用いられるとよい。
このとき、事務作業におけるパフォーマンスを向上させるために用いられるとよい。
このとき、心の健康、活力、日常役割機能、集中力、やる気の少なくとも1つ以上を改善させるために用いられるとよい。
このとき、前記ユーグレナが1日あたり500mg以上で摂取されるとよい。
このとき、12週間以上継続して摂取されるとよい。
また、前記課題は、本発明によれば、ユーグレナを有効成分として含有することを特徴とする脳機能改善剤により解決される。
本発明によれば、認知機能速度、運動速度等の脳機能を改善することができる。本発明は、特に認知機能の低下やその恐れがある高齢者における、日常生活における認知行動の性能の改善、およびそれに伴うQOLの向上に有効である。
BDNF(脳由来神経栄養因子)の群間変化量を示すグラフである。 認知機能速度の群間変化量を示すグラフである。 運動速度の群間変化量を示すグラフである。 MH(心の健康)の群間変化量を示すグラフである。 内田クレペリンの負荷による自律神経の乱れがある被験者(平均年齢45.63歳)における摂取4週間後の自律神経バランス(LF/HF値)を示すグラフである。 自律神経バランス(LF/HF値)の推移を示すグラフである(0週目、4週目)。 自律神経バランス(LF/HF値)の推移を示すグラフである(8週目、12週目)。 作業負荷ストレスによる自律神経の乱れがある被験者(平均年齢45.63歳)における自律神経バランス(LF/HF値)の推移を示すグラフである。 摂取12週間後の作業負荷時のイライラ感及び緊張感の変化量を示すグラフである。 摂取12週間後の機嫌変化量及び意欲変化量を示すグラフである。 SF−36(活力)及びSF−36(日常役割機能(身体))の推移を示すグラフである。 POMS(Profile of Mood States、気分プロフィール検査)における友好(他者に対してポジティブな感情を感じている)の値の変化量を示すグラフである(0週目、4週目)。 POMSにおける友好の値の変化量を示すグラフである(8週目、12週目)。 主観的な睡眠への満足度の変化量を示すグラフである。 睡眠品質指数(PSQI)の推移及び12週時点の睡眠品質指数(PSQI)を示すグラフである。 睡眠による疲労回復(OSA)の推移及び睡眠による疲労回復(OSA)の変化量を示すグラフである。 起床時眠気(OSA)の推移及び睡眠による起床時眠気(OSA)変化量を示すグラフである。 入眠と睡眠維持の推移及び変化量を示すグラフである。 睡眠時間(OSA)の推移及び睡眠時間(OSA)変化量を示すグラフである。 内田クレペリンによる前半正答率の推移及び前半正答率の変化量を示すグラフである。 内田クレペリンによる後半正答率の推移及び後半正答率の変化量を示すグラフである。 0週目及び4週目における唾液中コルチゾール値を示すグラフである。 8週目及び12週目における唾液中コルチゾール値を示すグラフである。 開始前及び2週目における集中力VASスコア及びやる気VASスコアを示す表である。
以下、本発明の実施形態について、図1乃至図15を参照しながら説明する。
本実施形態は、ユーグレナを有効成分とする脳機能改善用食品組成物及び脳機能改善剤に関するものである。
<ユーグレナ>
本実施形態において、「ユーグレナ」とは、動物学や植物学の分類でユーグレナ属(Euglena)に分類される微生物、その変種、その変異種のすべてを含む。
ここで、ユーグレナ属(Euglena)の微生物とは、動物学では原生動物門(Protozoa)の鞭毛虫綱(Mastigophorea)、植物鞭毛虫亜綱(Phytomastigophorea)に属するミドリムシ目(Euglenida)のユーグレノイディナ亜目(Euglenoidina)に属する微生物である。一方、ユーグレナ属の微生物は、植物学ではミドリムシ植物門(Euglenophyta)のミドリムシ藻類綱(Euglenophyceae)に属するミドリムシ目(Euglenales)に属している。
ユーグレナ属の微生物としては、具体的には、Euglena acus、Euglena anabaena、Euglena caudata、Euglena chadefaudii、Euglena deses、Euglena gracilis、Euglena granulata、Euglena intermedia、Euglena mutabilis、Euglena oxyuris、Euglena proxima、Euglena spirogyra、Euglena viridis、Euglena vermiformis、Euglena intermedia, Euglena pirideなどが挙げられる。
ユーグレナ細胞としては、ユーグレナ・グラシリス(E. gracilis)、特に、ユーグレナ・グラシリス(E. gracilis)Z株、ユーグレナ・グラシリス(E. gracilis)NIES−49株などを用いることができるが、そのほか、ユーグレナ・グラシリス(E. gracilis)Z株の変異株SM−ZK株(葉緑体欠損株)や変種のvar. bacillaris、これらの種の葉緑体の変異株等の遺伝子変異株由来のβ−1,3−グルカナーゼ、Euglena intermedia, Euglena piride、及びその他のユーグレナ類、例えばAstasia longaであってもよい。
ユーグレナ属は、池や沼などの淡水中に広く分布しており、これらから分離して使用しても良く、また、既に単離されている任意のユーグレナ属を使用してもよい。
ユーグレナ属は、その全ての変異株を包含する。また、これらの変異株の中には、遺伝的方法、たとえば組換え、形質導入、形質転換等により得られたものも含有される。
ユーグレナ細胞の培養において、培養液としては、例えば、窒素源,リン源,ミネラルなどの栄養塩類を添加した培養液、例えば、改変Cramer−Myers培地((NHHPO 1.0g/L,KHPO 1.0g/L,MgSO・7HO 0.2g/l,CaCl・2HO 0.02g/l,Fe(SO・7HO 3mg/l,MnCl・4HO 1.8mg/l,CoSO・7HO 1.5mg/l,ZnSO・7HO 0.4mg/l,NaMoO・2HO 0.2mg/l,CuSO・5HO 0.02g/l,チアミン塩酸塩(ビタミンB1) 0.1mg/l,シアノコバラミン(ビタミンB12)、(pH3.5))を用いることができる。なお、(NHHPOは、(NHSOやNHaqに変換することも可能である。また、そのほか、ユーグレナ 生理と生化学(北岡正三郎編、(株)学会出版センター)の記載に基づき調製される公知のHutner培地,Koren−Hutner培地を用いてもよい。
培養液のpHは好ましくは2以上、また、その上限は、好ましくは6以下、より好ましくは4.5以下である。pHを酸性側にすることにより、光合成微生物は他の微生物よりも優勢に生育することができるため、コンタミネーションを抑制できる。
ユーグレナ細胞の培養は、太陽光を直接利用するオープンポンド方式、集光装置で集光した太陽光を光ファイバー等で送り、培養槽で照射させ光合成に利用する集光方式等により行っても良い。
また、ユーグレナ細胞の培養は、例えば供給バッチ法を用いて行われ得るが、フラスコ培養や発酵槽を用いた培養、回分培養法、半回分培養法(流加培養法)、連続培養法(灌流培養法)等、いずれの液体培養法により行っても良い。
ユーグレナ細胞の分離は、例えば培養液の遠心分離,濾過又は単純な沈降によって行われる。
(ユーグレナ藻体)
本実施形態では、ユーグレナ藻体として、遠心分離,濾過又は沈降等によって分離したユーグレナ生細胞をそのまま用いることができる。ユーグレナ生細胞は、培養槽から収穫後そのままの状態で使用することもできるが、水若しくは生理食塩水で洗浄するのが好ましい。また、ユーグレナ藻体が水などの液体に分散した分散液の状態で用いてもよい。本実施形態において、ユーグレナ生細胞を凍結乾燥処理やスプレー乾燥処理して得たユーグレナの乾燥藻体をユーグレナ藻体として用いると好適である。
更に、ユーグレナ生細胞を超音波照射処理や、ホモゲナイズ等の機械処理を行うことにより得た藻体の機械的処理物をユーグレナ藻体として用いてもよい。また、機械的処理物に乾燥処理を施した機械的処理物乾燥物をユーグレナ藻体として用いてもよい。
(ユーグレナ水性溶媒抽出物)
本実施形態において、「ユーグレナ水性溶媒抽出物」とは、水性溶媒を用いてユーグレナから抽出される抽出物を意味し、特に、水性溶媒として水を用い、5℃〜600℃で、数秒〜数十時間抽出したユーグレナの水抽出物又は熱水抽出物を用いることが好ましい。
抽出に使用する水は、必ずしも蒸留水や、純水、又は超純水である必要はなく、例えば、水道水や不純物を含むものであってもよいが、活性成分の抽出を妨げる成分を含まない水が好ましい。
本実施形態において、「水抽出物」とは、0〜50℃(0℃を除く。)の水による抽出物を意味する。
ここで、「水」とは、0〜50℃(0℃を除く。)の水を意味する。
水の温度は、活性成分に影響を与えずに、活性成分を十分に抽出できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、好ましくは1〜40℃、より好ましくは5〜35℃、特に好ましくは10〜30℃である。
本実施形態において、「熱水抽出物」とは、50℃よりも高い温度の水による抽出物を意味し、「温水抽出物」とも呼ぶことができる。
ここで、「熱水」とは、50℃よりも高温の水を意味し、「熱湯」も含む概念であり、沸騰状態にある水も含まれる。また、液体状態の熱水に限定されることなく、気体状態及び超臨界状態の熱水も含まれる。
熱水の温度は、活性成分に影響を与えずに、活性成分を十分に抽出できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、好ましくは50℃より高く120℃以下、より好ましくは50℃より高く100℃以下である。
抽出に使用する水のpHは、活性成分に影響を与えずに、活性成分を十分抽出できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、好ましくはpH4〜10、より好ましくはpH5〜9、特に好ましくはpH6〜8であるとよい。
なお、本実施形態では、水性溶媒として、水を単独で用いるが、活性成分に影響を与えずに、活性成分を十分抽出できるものであって、通常、抽出に用いることができる溶媒を1種または2種以上選択して用いてもよい。例えば、水、アルコール類、グリコール類などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。アルコール類としては、エタノール、メタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。グリコール類としては、ブチレングリコール及びプロピレングリコール等が挙げられる。その他の水性溶媒としては、アセトン等が挙げられる。これらの溶媒は単独或いは水溶液として用いても良く、任意の2種または3種以上の混合溶媒として用いてもよい。
抽出に用いる水性溶媒の温度は、例えば、0℃以上であり、活性成分に影響を与えないのであれば特に限定されることはない。沸騰状態又は超臨界状態にある水性溶媒を使用することもできるが、5℃〜600℃の水性溶媒を使用するのが好ましく、10℃〜200℃の水性溶媒を使用するのがより好ましい。
したがって、抽出用の水性溶媒とは、沸騰状態や超臨界状態にある水性溶媒も含むものである。抽出に使用する水性溶媒の量は、ユーグレナ中に含まれる水溶性活性成分を十分に溶解することができる量であることが好ましい。
抽出方法も特に限定されず、例えば、以下に示す方法により抽出を行うことができるが、これに限定されることなく、通常の抽出方法を自由に選択して用いることができる。例えば、ユーグレナの藻体乾燥粉末を水性溶媒に所定時間浸漬した後に遠心分離又は濾過する方法、ユーグレナの藻体乾燥粉末を水性溶媒に加えて震盪して均一に分散させた後に遠心分離又は濾過する方法、などが挙げられる。
また、抽出を促進するために、ユーグレナを添加後の水性溶媒を加熱することも可能である。
ユーグレナの水抽出は、以下に示すような通常の方法で行うことができるが、これに限定されるものではない。例えば、ユーグレナ組織及び水を容器に入れ、適宜攪拌又は震盪しながら所定時間静置し、得られた抽出液は、そのまま水抽出物として使用可能である。また、例えば、そのような抽出液を遠心して得られる上清を水抽出物として使用することもできる。また、そのような抽出液又は上清を濃縮、乾燥して水分を除去し、これを水抽出物として使用することもできる。水抽出は、抽出効率を上げて抽出時間を短縮するために、水に、少量、例えば、10質量%以下のアルコール、好ましくはエタノールを添加して行ってもよい。
水抽出を行う場合の抽出時間は、活性成分が抽出される時間であれば特に限定されず、数秒〜数十時間の範囲で、抽出の温度に応じて適宜設定することができる。
熱水による抽出は、以下に示すような、通常用いられている方法で行なうことができるが、これに限定されるものではない。ユーグレナを、通常用いられる抽出器に水とともに導入した後に、加熱することで抽出を行う。沸騰水または超臨界状態にある水を使用して抽出する場合には、水の蒸気圧に耐え得る抽出器を使用する必要がある。抽出時の圧力は1〜5000気圧に設定することができ、60〜400気圧に設定するのが好ましい。
高温高圧下で抽出を行なう場合には、抽出時間が長す過ぎると活性成分が分解したり、化学反応を起こすことがある。従って、高温高圧下で抽出を行なうときには、抽出時間を短時間、例えば、3分以内とするのが好ましく、1分以内とするのがより好ましく、30秒以内とすることが特に好ましい。
抽出したユーグレナ抽出物は、そのままでも本実施形態に係る脳機能改善剤の有効成分として用いることができるが、当該抽出物を更に、適当な分離手段(例えば、分配抽出、ゲル濾過法、シリカゲルクロマトグラフィー、逆相若しくは順相の高速液体クロマトグラフィーなど)により活性の高い画分を分画して用いることも可能である。
また、ユーグレナ抽出物やその画分を、濃縮、乾燥して水性溶媒を除去し、これを水性溶媒抽出物として使用することもできる。
<脳機能、認知機能>
本明細書において「脳機能」とは、主に「認知機能」のことを意味し、例えば、認知機能速度及び運動速度をいう。
認知機能速度とは、精神運動速度とも呼ばれ、刺激に対して、適切な反応を準備し、動作に移すスピードの指標である。認知機能速度が低下すると、日常生活における体の動きが緩慢となり、高齢者において転倒のリスクが増加することが知られている。
脳機能は、例えばCNS Vital Signs社が開発した認知機能検査であるコグニトラックス(Cognitrax)によって評価することができる。認知機能検査では、例えば、指叩きテストやSDC(Symbol Digit Coding)テストが行われる。
指叩きテストは、決められた時間内にキーボードのスペースキーをできるだけ早く叩く課題であり、運動速度の評価に使用される。また、SDCテストは、パソコン画面の上部に表示されたシンボルと数字の組み合わせの表を参照して、画面下部の空欄の表にシンボルに対応する数字を入れる課題であり、脳の情報処理速度の評価に使用される。指叩きテストとSDCテストの成績から認知機能速度(情報を反応および処理し動作に移す速さ)が評価される。
<QOL(生活の質)>
脳機能の低下は、QOL(生活の質)の低下につながり得る。したがって、脳機能を改善することは、QOLの改善をもたらす。QOLは、SF−36(MOS 36−Item Short−Form Health Survey)、VAS(Visual Analogue Scale)、POMSにより測定される健康関連QOL(HRQOL:Health Related Quality of Life)のスコアに基づいて評価することができる。
<脳機能改善剤>
本実施形態に係る脳機能改善剤は、ユーグレナを有効成分とする脳機能改善剤である。
「ユーグレナ」には、ユーグレナ生細胞やユーグレナの乾燥藻体などのユーグレナ藻体の他、ユーグレナの水性溶媒抽出物、ユーグレナ藻体の加工品等が含まれる。
「脳機能改善剤」とは、脳機能を改善させる剤のことをいい、「認知機能改善剤剤」を包括する概念である。脳機能の改善は、例えば、認知機能検査などにより認知機能を測定することで評価することができる。
<脳由来神経栄養因子増加剤>
本実施形態に係る脳機能改善剤は、ユーグレナを有効成分として含有し、血中の脳由来神経栄養因子を増加させるための脳由来神経栄養因子増加剤としても用いることができる。
脳由来神経栄養因子(BDNF:Brain−derived neurotrophic factor)とは、特異的受容体TrkBに結合し、神経細胞の発生、成長、修復に作用し、学習や記憶において重要な働きをする蛋白質であり、アルツハイマー病患者において減少することが明らかとなっている。
<ストレスホルモン分泌抑制剤>
本実施形態に係る脳機能改善剤は、ユーグレナを有効成分として含有し、コルチゾールなどのストレスホルモンの分泌を抑制するためのストレスホルモン分泌抑制剤、より詳細には、コルチゾール分泌抑制剤としても用いることができる。
ストレスホルモンとは、ストレス刺激によって体内に放出されて、ストレス反応を引き起こすホルモンの総称であり、下垂体前葉ホルモンである副腎皮質刺激ホルモン、プロラクチン、下垂体後葉ホルモンであるバゾプレシン、オキシトシン、副腎皮質から分泌されるコルチゾール、レニン、副腎髄質から分泌されるアドレナリン、ノルアドレナリンなどが知られている。
<投与対象>
本実施形態に係る脳機能改善剤は、医薬組成物、健康食品等の食品組成物として構成され、ヒトおよび非ヒト動物に対して使用することができるが、好ましくはヒトに使用される。本実施形態に係る脳機能改善剤は、例えば、認知症であるとの確定診断を受けたヒトに使用される。
ユーグレナは、食品としても摂取可能で副作用がないため、認知症の確定診断を受ける前であっても、投与可能である。つまり、認知機能の低下を自覚した者に、予防的に投与される。特に、認知症であるとの確定診断を受けてはいないが認知機能が低下し、認知機能の改善を必要とするかまたは所望する者、加齢に伴って日常生活における認知機能の低下の抑制または改善を所望する者、認知機能の低下の抑制を所望する高齢者などに使用される。
認知症と診断されていないが認知機能が低下した者の例としては、認知機能の低下を自覚するが、Mini−Mental State Examination(MMSE)において24点以上の得点である者、具体的には、軽度認知障害(MCI)の者が挙げられる。MMSEは国際的に最も広く用いられている認知症のスクリーニング検査であり、総得点30点中23点以下は認知症の疑いがあると判定される。
<食品組成物及び医薬組成物>
また、本実施形態に係る脳機能改善剤は、薬理学的に許容され得る添加剤を加え、食品組成物や医薬組成物等の組成物として用いることができる。
(食品組成物)
本実施形態の脳機能改善用食品組成物は、食品の分野では、脳機能改善作用を有効に発揮できる有効な量のユーグレナを食品素材として、各種食品に配合することにより、当該作用を有する食品組成物を提供することができる。
すなわち、食品の分野において、脳機能改善用等と表示された食品の食品組成物を提供することができる。当該食品組成物としては、一般の食品のほか、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、病院患者用食品、サプリメント等が挙げられる。また、食品添加物として用いることもできる。
当該食品組成物としては、例えば、調味料、畜肉加工品、農産加工品、飲料(清涼飲料、アルコール飲料、炭酸飲料、乳飲料、果汁飲料、茶、コーヒー、栄養ドリンク等)、粉末飲料(粉末ジュース、粉末スープ等)、濃縮飲料、菓子類(キャンディ(のど飴)、クッキー、ビスケット、ガム、グミ、チョコレート等)、パン、シリアル等が挙げられる。また、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の場合、カプセル、トローチ、シロップ、顆粒、粉末等の形状であっても良い。
ここで特定保健用食品とは、生理学的機能等に影響を与える保健機能成分を含む食品であって、消費者庁長官の許可を得て特定の保健の用途に適する旨を表示可能なものである。本発明においては、特定の保健用途を表示して販売される食品となる。
また栄養機能食品とは、栄養成分(ビタミン、ミネラル)の補給のために利用される食品であって、栄養成分の機能を表示するものである。栄養機能食品として販売するためには、一日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量が定められた上限値、下限値の範囲内にある必要があり、栄養機能表示だけでなく注意喚起表示等もする必要がある。
また機能性表示食品とは、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品である。販売前に安全性及び機能性の根拠に関する情報などが消費者庁長官へ届け出られたものである。
本実施形態に係る脳機能改善用食品組成物に表示される機能性表示としては、「加齢とともに低下する認知機能の一部である認知機能速度の維持をサポートする機能」、「加齢とともに低下する認知機能の一部である運動速度の維持をサポートする機能」などが例示されるがこれらに限定されるものではない。
本実施形態に係る食品組成物には、ユーグレナに加え、通常食品組成物に用いることができる成分を、1種または2種以上自由に選択して配合することが可能である。例えば、各種調味料、保存剤、乳化剤、安定剤、香料、着色剤、防腐剤、pH調整剤などの、食品分野で通常使用し得る全ての添加剤を含有させることができる。
本実施形態に係る食品組成物には、ユーグレナ以外に、認知機能の改善作用があることが知られているイチョウ葉エキス、DHA、EPA、ラクトノナデカペプチド、ホタテ由来プラズマローゲン、鶏由来プラズマローゲン、クルクミン、大豆由来ホスファチジルセリン、バコパサポニン、大豆由来セリルチロシンなどの物質を1種以上添加することも可能である。
(医薬組成物)
本実施形態の脳機能改善用医薬組成物は、医薬の分野では、脳機能改善作用を有効に発揮できる量のユーグレナと共に、薬学的に許容される担体や添加剤を配合することにより、当該作用を有する医薬組成物が提供される。当該医薬組成物は、医薬品であっても医薬部外品であってもよい。
当該医薬組成物は、内用的に適用されても、また外用的に適用されても良い。従って、当該医薬組成物は、内服剤、静脈注射、皮下注射、皮内注射、筋肉注射及び/又は腹腔内注射等の注射剤、経粘膜適用剤、経皮適用剤等の製剤形態で使用することができる。
当該医薬組成物の剤型としては、適用の形態により、適当に設定できるが、例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、粉末剤、散剤などの固形製剤、液剤、懸濁剤などの液状製剤、軟膏剤、またはゲル剤等の半固形剤が挙げられる。
本実施形態に係る医薬組成物には、薬学的に許容される添加剤を1種または2種以上自由に選択して含有させることができる。
例えば、本実施形態に係る医薬組成物を経口剤に適用させる場合、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、保存剤、着色剤、矯味剤、香料、安定化剤、防腐剤、酸化防止剤等の、医薬製剤の分野で通常使用し得る全ての添加剤を含有させることができる。また、ドラックデリバリーシステム(DDS)を利用して、徐放性製剤等にすることもできる。
本実施形態に係る食品組成物や医薬組成物には、ユーグレナ以外に、認知機能の改善作用があることが知られているイチョウ葉エキス、DHA、EPA、ラクトノナデカペプチド、ホタテ由来プラズマローゲン、鶏由来プラズマローゲン、クルクミン、大豆由来ホスファチジルセリン、バコパサポニン、大豆由来セリルチロシンなどの物質を1種以上添加することも可能である。
<用法・用量>
本実施形態の脳機能改善剤及び脳機能改善用医薬組成物の用法としては、例えば、カプセル剤、粉末剤、錠剤、顆粒、液剤又はシロップ等によって経口投与すると良い。
本実施形態の脳機能改善剤及び脳機能改善用医薬組成物の投与量や投与形態は、対象、病態やその進行状況、その他の条件によって適宜選択すればよい。
例えば、ヒト(成人)を対象に脳機能改善効果を得ることを目的として経口投与する場合には、一般に、ユーグレナを乾燥重量で1日当たり10〜5000mg、好ましくは500〜5000mg、より好ましくは1000〜5000mg、さらに好ましくは3000〜5000mg程度となるように、特に好ましくは3000mg程度の用量で投与するとよい。
投与(服用)の頻度は、好ましくは1週間に数回、2日に1回、1日1回、またはそれ以上であり、より好ましくは1日2回以上であり、さらに好ましくは1日3回であり、これを、好ましくは朝、昼、晩、具体的には毎食後(朝食後、昼食後、夕食後)に投与する。
投与(服用)の期間は、長期的または持続的に服用することが望ましく、例えば4週間以上、好ましくは8週間以上、より好ましくは12週間以上、さらに好ましくは16週間以上、特に好ましくは24週間以上である。
本実施形態において、ユーグレナが、1日あたり合計で3g以上となるように、毎食後、24週間以上継続して投与(服用)されることが好適である。
以下、具体的実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<試験1:高用量のユーグレナの継続摂取が認知機能及びQOLに与える影響>
試験1では、ユーグレナ粉末を含有する試験食品組成物を、従来よりも高用量で24週間継続摂取することによる、認知機能、QOLに与える影響の検討を行った。
(試験食品組成物について)
実施例1(ユーグレナ摂取群)及び比較例1(プラセボ摂取群)の試験食品組成物の組成を以下の表1及び表2に示す。
試験食品組成物の剤形はハードカプセルであり、包装はアルミパウチ包であった。包装開封後は、冷蔵庫に保管した。
(摂取方法)
試験期間中、1回4カプセル(合計でユーグレナ1gに相当)を、1日に3回、毎食後に摂取した。なお、摂取し忘れた場合には、任意の時間帯にて摂取することとした。
(試験のデザイン)
試験は、二重盲検プラセボ対照比較試験で実施した。摂取期間は24週間であり、0週(開始前)、摂取6週後、摂取12週後、摂取24週後の来院時に各種検査等を実施した。検査及び試験スケジュールを表3に示す。
(試験の概略)
試験期間は約28週間であり、そのうち摂取期間は24週間とした。
目標解析症例数は60例(ユーグレナ摂取群30例、プラセボ摂取群30例)とし、試験参加症例数は66例、内訳はユーグレナ摂取群33例、プラセボ摂取群33例であった。
(被験者及び制限事項)
年齢が50歳以上の女性を被験者とした。
被験者は、重篤な臓器障害や特定の疾病がなく、それらの関連する治療を受けていないもの及び何らかの薬物療法を受けていない者である健常者を選択した。
以下の事項を被験者の試験期間中のその他の制限事項とし、各被験者に遵守させることとした。なお、以下にいう、試験期間とは、摂取開始から摂取終了来院当日までとした。
・提供された試験食品を定められた用法用量で摂取する。
・試験期間中は不規則な生活(睡眠不足、暴飲暴食、節食等)を避ける。
・食事、運動、睡眠に関しては、本試験開始前と同様な量、質を維持する。
・試験期間中は試験食品組成物以外のサプリメント及び健康食品の摂取は止める。
・試験期間中、医薬品、医薬部外品及び健康食品等の服用及び摂取は原則控える。やむを得ず使用しなければならない場合は、すみやかに試験担当者へ連絡させる。
・試験期間中は、禁煙とする。
・試験に関する話を関係者以外の第三者に漏洩することを禁止する。また、試験食品組成物の他の人への提供を禁止する。
(試験食品組成物の摂取状況)
各被験者の試験食品組成物の摂取状況について、著しく試験食品組成物の摂取率の低い被験者はいなかった。
(評価方法及び評価項目)
0週来院時、摂取6週来院時、摂取12週来院時、摂取24週来院時に診察及び決められた検査を実施した。評価項目は、血液マーカー(BDNF:脳由来神経栄養因子)、Cognitraxスコア(記憶力・認知機能の変化)、QOLアンケート(SF−36)とした。
(統計解析)
試験において「各検査値が摂取前後および群間で異ならない」という帰無仮説の検証を行った。両側検定で有意水準を5%とし、有意差が認められた場合にこの帰無仮説が棄却されたと結論した。有意水準5%未満を「統計学的に有意な差あり」、5%以上10%未満を「傾向あり」と判定した。尚、検定方法については、群間の変化量をWilcoxonの順位和検定で判定した。また、本統計解析では、R version 3.5.1(R development Core Team製)を使用した。
(試験の結果)
66例中に途中辞退者4例を除き62例が試験を完了した。図1乃至図3及び表4乃至表6に試験の結果を示す。図1は、BDNF(脳由来神経栄養因子)の群間変化量を示すグラフである。図2A及び図2Bは、Cognitraxスコア(数値が高ければ良い)の認知機能速度及び運動速度の群間変化量を示すグラフである。図3は、SF−36(数値が高ければ良い)に基づく心の健康(MH)の群間変化量を示すグラフである。
(BDNF)
BDNF(脳由来神経栄養因子)について、図1及び表4に結果を示す。ユーグレナ摂取群において、0週と比較して、12週で有意なBDNFの上昇傾向が見られた。図1に示されるように、変化量では、ユーグレナ摂取群において、プラセボ摂取群と比較して6週、12週で有意な上昇傾向、24週で有意な上昇が見られた。
(コグニトラックスの結果)
認知機能速度について、図2A及び表5に結果を示す。ユーグレナ摂取群において、0週と比較して24週で有意な認知機能速度の上昇傾向がみられた。図2Aに示されるように、変化量でユーグレナ摂取群においてプラセボ摂取群と比較して12週で有意な上昇がみられた。
運動速度について、図2B及び表5に結果を示す。図2Bに示されるように、変化量でユーグレナ摂取群において、プラセボ摂取群と比較して12週、24週で有意な上昇がみられた。
(SF−36の結果)
心の健康(MH)について、図3及び表6に結果を示す。ユーグレナ摂取群において、0週と比較して6週、12週、24週で有意な上昇がみられた。図3に示されるように、変化量においてはユーグレナ摂取群において、プラセボ摂取群と比較して、6週、12週、24週で有意な上昇がみられた。
(結果の考察)
BDNF(脳由来神経栄養因子)について、0週〜6週、0週〜12週の変化量で、プラセボ摂取群と比較して、ユーグレナ摂取群で有意な上昇傾向がみられ、0週〜24週の変化量では有意な上昇がみられた(図1)。
コグニトラックスについて、認知機能速度では、ユーグレナ摂取群において0週と比較して24週で有意な上昇傾向がみられ、0週〜12週の変化量で、プラセボ摂取群と比較して、ユーグレナ摂取群で有意な上昇がみられた(図2A)。また、0週〜24週でも有意な程ではないが、プラセボ摂取群と比較して、ユーグレナ摂取群で顕著な上昇がみられ、情報や物事を理解して応える時間が短くなることが期待される。
また、運動速度では、0週〜12週、0週〜24週の変化量で、プラセボ摂取群と比較して、ユーグレナ摂取群で有意な上昇がみられた(図2B)。運動速度は、指たたきテストで左右各々の速度と指たたき回数を測定しているものであり、運動速度の向上が期待された。
SF−36に関して、MH(心の健康)の項目でユーグレナ摂取群において6週、12週、24週で有意な改善が見られた。変化量においても0週〜6週、7週〜12週、13週〜24週でプラセボ摂取群と比較してユーグレナ摂取群で有意な差がみられ(図3)、抑うつ効果が示唆された。
以上の試験結果から、ユーグレナを24週間摂取することにより、認知機能の改善、運動速度の向上、抑うつ効果が奏されることが示された。つまり、ユーグレナが健康寿命の延伸、QOLの向上に貢献できる可能性が示唆された。特に、平均寿命と健康寿命の差異が男性よりも長い女性において、ユーグレナが健康寿命の延伸、QOLの向上に貢献できる可能性が示唆された。
<試験2:高用量のユーグレナの継続摂取がストレスによる諸症状を緩和する効果>
20〜64歳の男女77名の被験者にユーグレナ粉末500mg、1000mg、3000mg及びユーグレナ粉末の入っていないプラセボ粉末を12週間摂取させた(朝夕食後1日2回)。事務作業(内田クレペリンテスト)による精神的負荷をかける前、直後、60分後の自律神経を測定したところ、事務作業による負荷を感じた人においては、自律神経バランスが有意に調整された(図4)。つまり、ユーグレナの摂取により、負荷がかかっている際の自律神経バランスを整える可能性が示された。
被験者全員を対象とした解析を行った結果、摂取4週目クレペリン負荷後において郡内でプラセボのみp<0.05で高値を示しており、ユーグレナを継続摂取することで自律神経バランスの乱れが相対的に少なくなることが示されていた(図5)。摂取4週目クレペリン負荷後の1000mg摂取においては、p<0.1で低値傾向であった。クレペリン負荷の慣れにより、8週目以降は差異が見出しにくくなっていた。
0週目の負荷後の変化量の全被験者平均である、0.692以上、値が動いている被験者を負荷による乱れがある被験者と定義した。負荷がある被験者であっても徐々に負荷に慣れていくが、ユーグレナ摂取で自律神経のバランス調整に影響があることが示唆された(図6)。
同様に、事務作業(内田クレペリンテスト)による精神的負荷をかけた直後、60分後のイライラ感、緊張感を測定したところ、イライラ感、緊張感が有意に抑制された(図7)。つまり、ユーグレナの継続摂取でイライラ感や緊張感を抑える可能性が示された。また、摂取後において、有意に機嫌がよくなり、意欲が高くなった(図8A)。
また、図8Bに示されるように、活力において、12週間、3000mgのユーグレナ摂取で有意に高値となった。具体的には、日常役割機能(身体)、つまり、身体的理由により活動が困難であった状態(身体的疲労)において、8週目以降、3000mgのユーグレナ摂取で有意に高値となった。
また、図8C及び図8Dに示されるように、POMSにおける友好の値において、摂取12週目の変化量において有意に変化していた。つまり、ユーグレナの継続摂取により、精神的負荷がかかった場合であっても、他者に対してポジティブな感情を感じやすくなることが示唆された。
<試験3:高用量のユーグレナの継続摂取が睡眠の質に与える効果>
20〜64歳の男女77名の被験者にユーグレナ粉末500mg、1000mg、3000mgおよびユーグレナ粉末の入っていないプラセボ粉末を12週間摂取させた(朝夕食後1日2回)。その結果、摂取量依存的、継時的に主観的な睡眠への満足度の有意な向上が見られた(図9)。つまり、ユーグレナの摂取で主観的な睡眠への満足度が改善する可能性が示された(ヒト臨床試験)。
また、図10乃至12Bに示されるように、ユーグレナの摂取により、睡眠の質が向上することが示され、OSA(昨夜の睡眠の状態について尋ねる質問紙)の回答結果から、起床時眠気(目覚め)においては500mg以上のユーグレナ摂取で良好な結果となっており、寝付きにおいては3000mg以上のユーグレナ摂取で良好な結果となっており、睡眠時間においては、有意な傾向が得られた。
<試験4:ユーグレナ摂取による作業効率、集中力への影響>
20〜64歳の男女77名にユーグレナ粉末500mg、1000mg、3000mg及びユーグレナ粉末の入っていないプラセボ粉末を12週間摂取させた(朝夕食後1日2回)。内田クレペリンテストの正答率の結果を示す、図13A及び図13Bに示されるように、ユーグレナを継続摂取することによって、作業のパフォーマンスや集中力に影響があり、1000mgの摂取で有意に高値となることが示された。変化量としては、500mgの摂取でも有意傾向となった。
<試験5:ユーグレナ摂取による唾液中コルチゾール値への影響>
20〜64歳の男女77名の被験者にユーグレナ粉末500mg、1000mg、3000mg及びユーグレナ粉末の入っていないプラセボ粉末を12週間摂取させた。図14A及び図14Bに示されるように、唾液中コルチゾールは、3000mgの継続摂取8週目で摂取で有意に低値となっていた。
(試験2〜5のまとめ)
以上の結果から、1000mg/日以上のユーグレナ摂取はストレス負荷時の自律神経バランスを調整する可能性を示した。また、3000mg/日以上のユーグレナ摂取は活力や身体の日常役割機能を向上させる可能性を示した。また、1000mg/日以上のユーグレナ摂取はストレス負荷時のイライラ、緊張感、意欲、機嫌を良好に保った。
また、ユーグレナ摂取は睡眠の状態を改善し、500mg/日の摂取で有意に高値となった。このとき、3000mg/日以上の摂取で寝つきを改善する可能性を示し、500mg/日以上の摂取で寝起きを改善する可能性を示すとともに、睡眠による疲労回復を促す可能性を示した。また、ユーグレナ摂取は作業のパフォーマンスや集中力に影響があり、1000mg以上の摂取で有意に高値となった。また、3000mg/日の摂取でストレスホルモンである唾液中コルチゾールが有意に下がった。
<試験6:ユーグレナ摂取によるQOL項目への影響>
20〜64歳の男女77名の被験者にユーグレナ粉末500mg、700mg、1500mg、2000mg、3000mg及びユーグレナ粉末の入っていないプラセボ粉末を4週間摂取させ(朝夕食後1日2回)、体感やQOL項目がどのように変化するのかを検討した。気分に対する評価には、視覚的評価スケール:Visual Analogue Scale(VAS)による質問紙法を用い、気分の状態について調査した結果、集中力及びやる気の項目で1500mg摂取で有意に状態がよくなったことが分かった(図15)。
以上、最大3000mg/日のユーグレナ食品摂取において有害事象は報告されず、安全に摂取できることが改めて確認された。ユーグレナ食品摂取により内田クレペリンテストの正答率を上昇させ、作業能率を向上させる可能性を示した。ユーグレナ食品摂取は、摂取前と比較して、作業負荷時の自律神経のバランスを調整した。そして、ユーグレナ食品摂取は心理面、起床時の眠気などを含む睡眠の質や状態を改善した。以上のことから、ユーグレナ食品の摂取は負荷がかかった際の自律神経のバランスを調整できること、作業能率や心理面及び睡眠の質に良好な影響を及ぼす可能性が示された。
本発明は、脳機能改善用食品組成物脳機能改善剤、脳由来神経栄養因子増加用食品組成物、ストレスホルモン分泌抑制用食品組成物、脳由来神経栄養因子増加剤及びストレスホルモン分泌抑制剤に関する。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、脳機能の改善に効果を発揮する脳機能改善用食品組成物及び脳機能改善剤を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、脳由来神経栄養因子増加用食品組成物、ストレスホルモン分泌抑制用食品組成物、脳由来神経栄養因子増加剤及びストレスホルモン分泌抑制剤を提供することにある。

Claims (13)

  1. ユーグレナを有効成分として含有することを特徴とする脳機能改善用食品組成物。
  2. 認知機能速度及び運動速度の少なくとも一方の認知機能を改善するために用いられることを特徴とする請求項1に記載の脳機能改善用食品組成物。
  3. 血中の脳由来神経栄養因子を増加させるために用いられることを特徴とする請求項1又は2に記載の脳機能改善用食品組成物。
  4. ストレスホルモンの分泌を抑制するために用いられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の脳機能改善用食品組成物。
  5. 前記ストレスホルモンは、コルチゾールであることを特徴とする請求項4に記載の脳機能改善用食品組成物。
  6. ストレス負荷時のイライラ感又は緊張感を抑制するために用いられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の脳機能改善用食品組成物。
  7. ストレス負荷時の機嫌の悪化又は意欲の低下を抑制するために用いられることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の脳機能改善用食品組成物。
  8. ストレス負荷時において他者に対するポジティブな感情を感じやすくするために用いられることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の脳機能改善用食品組成物。
  9. 事務作業におけるパフォーマンスを向上させるために用いられることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の脳機能改善用食品組成物。
  10. 心の健康、活力、日常役割機能、集中力、やる気の少なくとも1つ以上を改善させるために用いられることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の脳機能改善用食品組成物。
  11. 前記ユーグレナが1日あたり500mg以上で摂取されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の脳機能改善用食品組成物。
  12. 12週間以上継続して摂取されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の脳機能改善用食品組成物。
  13. ユーグレナを有効成分として含有することを特徴とする脳機能改善剤。
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