JP7317256B1 - 集中力及び/又は情報処理能力の向上剤 - Google Patents

集中力及び/又は情報処理能力の向上剤 Download PDF

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Abstract

【課題】認知機能の中でも、特に集中力及び情報処理能力に注目し、新規な集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、ごま油を含有する、集中力及び/又は情報処理能力の向上剤、前記集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を含有する経口用組成物、前記集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を含有する食品、並びに、前記集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を含有する医薬に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、集中力及び/又は情報処理能力の向上剤に関する。
近年、高齢化の進行により、加齢に伴う脳の認知機能障害が社会問題となり、認知機能障害の予防又は改善に有効な食品、成分等について様々な研究が進められている。また、若年層についても、ストレス、疲労等によって、注意力、集中力、判断力等が低下することが注目されている。これらの症状は、日常生活に支障をきたす虞があることから、これらの機能の低下予防又は機能の向上について、若年層から老年層まで幅広い世代の感心が高まっている。
これに対して、健常人の様々な認知機能を向上させることを目的として、様々な生理活性成分、食品等の研究が進められている。ヒトの認知機能障害の有無は、認知機能検査(スクリーニング検査)によって診断することができ、様々な認知機能検査が提案されている。そのため、認知機能の評価においては、検査目的に応じて、既知の認知機能検査から適正な検査を適宜選択して実施される。脳の機能は非常に複雑であり、様々な機能が相互に関連して作用するため、特定の機能の改善又は向上に特化した食品、サプリメント、飲料等の飲食品等、特に機能性食品の提供が求められている。
ところで、ごま油に含まれているゴマリグナンは、抗酸化作用を有しており、ゴマリグナンを摂取すると、その抗酸化作用により生体内の活性酸素を低減させて酸化による細胞の老化又は生活習慣病を予防すること、抗炎症作用及び抗癌作用を奏すること等が知られている(例えば、特許文献1等)。しかしながら、ヒトが、ごま油自体を摂取したときに、集中力又は情報処理能力が向上することは知られていない。
特許第7057026号公報
本発明は、認知機能の中でも、特に集中力及び情報処理能力に注目し、新規な集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ごま油が、集中力及び情報処理能力の向上作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
項1.
ごま油を含有する、集中力及び/又は情報処理能力の向上剤。
項2.
前記集中力及び/又は情報処理能力が、ストループ検査の課題の達成数及び正答数の結果で評価される、項1に記載の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤。
項3.
加齢及び/又は疲労により集中力及び/又は情報処理能力が低下した対象に摂取させるための、項1に記載の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤。
項4.
前記集中力及び/又は情報処理能力が、色の判断の処理速度、及び、色の判断の正確性で評価される、項1に記載の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤。
項5.
色パッチの色が意味する色を、黒インクで書かれた5つの色名語の中から選択することで評価する、項1に記載の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤。
項6.
前記ごま油は、ゴマリグナン及び不飽和脂肪酸を含有する、項1に記載の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤。
項7.
前記不飽和脂肪酸は、リノール酸、及び、オレイン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である、項6に記載の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤。
項8.
前記ごま油が、セサミン、エピセサミン、及び、セサミノールからなる群より選ばれる少なくとも1種のゴマリグナンを含む、項1に記載の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤。
項9.
項1~8の何れか一項に記載の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を含有する経口用組成物。
項10.
項1~8の何れか一項に記載の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を含有する食品。
項11.
項1~8の何れか一項に記載の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を含有する医薬。
本発明によれば、ごま油を含む集中力及び/又は情報処理能力の向上剤が提供される。
図1は、ストループ検査の課題3のサンプル図である。
1.集中力及び/又は情報処理能力の向上剤
本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤は、ごま油を含有する。
ごま油は、ごまの種子に圧搾等の加工をして作られる食用油の一種である。ごま油は、一般に、ごま種子を焙煎し、圧搾によって搾油した焙煎ごま油と、焙煎工程を経ず(非焙煎で)搾油した後、精製されて得られる精製ごま油とに大別される。
本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤には、焙煎ごま油又は精製ごま油のいずれか一方を単独で使用してもよいし、焙煎ごま油及び精製ごま油を適宜混合して使用してもよいが、精製ごま油を使用することが好ましい。なお、ごま油の原料であるごまの種子の種類及び産地は、特に限定されない。
ごま油は、炭素数18の不飽和脂肪酸であるリノール酸とオレイン酸とを主成分としている。ごま油に含まれる具体的な脂肪酸の比率は、例えば、リノール酸(通常41.8~45.1質量%)、オレイン酸(通常39.0~41.3質量%)、パルミチン酸(通常8.8~9.7質量%)、ステアリン酸(通常5.1~6.2質量%)、アラキジン酸(通常0.6~0.7質量%)、α-リノレン酸(通常0.3~0.4質量%)、エイコセン酸(通常0.1~0.3質量%)、パルミトレイン酸(通常0.1質量%)等である。
ごま油には、上記脂肪酸に加えて、ゴマリグナン、ビタミン、ミネラル(無機質)等が含まれている。
ゴマリグナンは、ごま油に特徴的に含まれる微量成分である。ゴマリグナンには、体の酸化を抑制する効果、抗酸化成分として知られるビタミンEの働きを高める効果等があるといわれている。
ゴマリグナンは、例えば、セサミン、エピセサミン、セサモリン、セサミノール、セサミノール配糖体、セサモール等を含んでいる。
セサミンは、ゴマリグナンの中で最も含有量が多く、体内で抗酸化作用を発揮する。また、セサミンは、肝機能改善効果、アルコール代謝活性効果、コレステロールの合成又は吸収阻害効果等を有することが確認されている。
エピセサミンは、セサミンがごま油の製造過程で化学変化した、セサミンのジアステレオマーである。
セサモリンは、ごま油の製造過程でセサミノール及びセサモールに変化する。
セサミノールは、ごま油の製造過程中にセサモリンが変化したものであり、精製ごま油に特徴的なゴマリグナンである。セサミノールは、体内における抗酸化効果に加えて、油の酸化抑制効果も有している。
セサミノール配糖体は、セサミノールに糖の分子がついたものであり、水溶性である。それ自体に抗酸化性はないが、体内の腸内細菌によって分解され、セサミノールとなる。
セサモールは、ごま油の製造過程でごまを加熱することによってセサモリンが変化したものであり、焙煎ごま油に含まれている。セサモールは、体内における抗酸化効果に加えて、油の酸化抑制効果も有している。
精製ごま油には、ゴマリグナンとして、例えば、セサミン、セサミノール、エピセサミン等が含まれている。
ビタミンとしては、例えば、ビタミンE、ビタミンK等が挙げられる。ビタミンは、ごま油中に、0.001~0.1質量%程度含まれる。
ミネラルとしては、例えば、セレン、カルシウム、リン、クロム等が挙げられる。ミネラルは、ごま油中に、0.001~0.1質量%程度含まれる。
本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤の有効性は、例えば、下記の実施例に記載のストループ検査で評価することができる。
ストループ検査
ストループ検査(Stroop Color Word Test)は、脳へ同時に入ってくる2つの異なる情報(言語情報及び色覚情報)の識別及び処理能力を評価するテストである。ストループ検査は、認知機能のなかでも、特に注意力(注意機能)、判断力(遂行機能)を評価することに適した検査法として知られている。なお、本明細書において、ストループ検査とは、新ストループ検査II(箱田裕司、渡辺めぐみ:新ストループ検査II、株式会社トーヨーフィジカル)を意味する。
前記ストループ検査は、4つの課題(課題1~4)から構成されている。
課題1は、単純に文字処理を求められる課題(単純文字処理課題)である。
課題2は、課題1の作業に視覚的妨害を加えた課題である。
課題3は、単純に色処理を求められる課題(単純色処理課題)である。
課題4は、課題3の作業に言語的妨害を加えた課題である。
ここで、課題1は、課題2の統制条件であり、課題3は、課題4の統制条件である。
課題1~4の具体的な内容は、以下のとおりである。
「課題1(逆ストループの統制課題)」:黒インクで書かれた色名語が意味する色を5色の色パッチの中から選択する。
「課題2(逆ストループ課題)」:色名と一致しない色で書かれた色名語の意味する色を5色の色パッチの中から選択する。
「課題3(ストループの統制課題)」:色パッチの色が意味する色を黒インクで書かれた5つの色名語の中から選択する。
「課題4(ストループ課題)」:色名とは一致しない色インクで書かれた色名語の色インクの色を黒インクで書かれた5つの色名語の中から選択する。
ここで、「色名語」とは、色の名前を表す言葉のことである。
前記集中力及び/又は情報処理能力は、ストループ検査で評価されるものであり、新ストループ検査IIで評価される集中力及び/又は情報処理能力であることが好ましい。ここで、前記集中力及び/又は情報処理能力は、ストループ検査の課題の達成数及び正答数の結果で評価され、好ましくは新ストループ検査IIの課題3(ストループの統制課題)の達成数及び正答数の結果、すなわち、色の判断の処理速度、及び、色の判断の正確性で評価される。
本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤の有効性は、例えば、本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を被験者に投与した後、投与前の試験結果又はプラセボを投与した対照の試験結果と比較して試験結果が向上している場合に、本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤は、集中力及び/又は情報処理能力の向上作用を有すると判断することができる。なお、集中力及び/又は情報処理能力の向上作用には、集中力及び/又は情報処理能力を向上させる作用だけでなく、集中力及び/又は情報処理能力の維持、集中力及び/又は情報処理能力の改善、集中力及び/又は情報処理能力の低下の程度の減少、集中力及び/又は情報処理能力の低下の速度の減少等も含まれる。
前記集中力又は情報処理能力の向上の例として、例えば、本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を被験者に投与した後のストループ検査の課題3の達成数の、本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を被験者に投与する前のストループ検査の課題3の達成数からの変化量が、プラセボを被験者に投与した後のストループ検査の課題3の達成数の、プラセボを被験者に投与する前のストループ検査の課題3の達成数からの変化量と比較して増加していること;本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を被験者に投与した後のストループ検査の課題3の正答数の、本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を被験者に投与する前のストループ検査の課題3の正答数からの変化量が、プラセボを被験者に投与した後のストループ検査の課題3の正答数の、プラセボを被験者に投与する前のストループ検査の課題3の正答数からの変化量と比較して増加していること等が挙げられる。
本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤には、ごま油をそのまま単独で使用することができ、又は、他の成分と混合して使用することもできる。本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤は、ごま油からなるものとしてもよく、又は、ごま油と、薬学的に許容可能な担体、食品として許容可能な担体等とを含有させた組成物(製剤)とすることもできる。
本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤は、常法にしたがって製剤化することができる。製剤としては、液体製剤であってもよく、又は、固体製剤であってもよい。かかる製剤として、例えば、錠剤、丸剤、顆粒剤、糖衣剤、カプセル、乳剤、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁物等が挙げられる。また、製剤化においては、目的によって、充填剤、結合剤、凝固剤、滑沢剤、崩壊剤、色素、甘味料、香料、コーティング剤等を単独で、又はこれらを組み合わせて使用することができる。
本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤がごま油自体である場合、ごま油は食経験も十分ある極めて安全な物質であるため、摂取量は厳しく制限されるものではないと考えられる。その下限は、目的に応じた効果を発揮し得る最低量とし、上限は、摂取のしやすさ、経済性、効果等の観点から実際的な量とすることができる。例えば、ごま油の摂取量の下限は、通常5g/日以上、好ましくは10g/日以上、より好ましくは12g/日以上である。上限は、通常25g/日以下であり、好ましくは20g/日以下であり、より好ましくは17g/日以下である。ごま油の1日当たりの摂取量は、通常5~25g程度、好ましくは10~20g程度、より好ましくは12~17g程度、さらに好ましくは14g程度である。
本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤が、ごま油と他の成分とを含む組成物(製剤)である場合、本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤におけるごま油の含有量は、製剤の形態等によって相違する。例えば、集中力及び/又は情報処理能力の向上剤の全体量に対して、通常0.001~99質量%、好ましくは1~80質量%、より好ましくは2~70質量%とすることができる。
本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤が組成物(製剤)である場合の投与量は、対象の年齢、性別、体重、用法、用量等を考慮することにより決定される。用法としては、経口投与等が挙げられる。経口投与の場合、集中力及び/又は情報処理能力の向上剤の投与量は、前記集中力及び/又は情報処理能力の向上剤に含まれるごま油の1日当たりの投与量が、上述の量となるように適宜調整すればよい。
本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤は、集中力及び/又は情報処理能力を向上させるための経口用組成物、好ましくは集中力及び/又は情報処理能力を向上させるための食品、又は、集中力及び/又は情報処理能力を向上させるための医薬(医薬品若しくは医薬部外品)として有用である。
経口用組成物
本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を含有する経口用組成物は、上述したごま油と担体とを含有する。前記経口用組成物が含有する担体としては、経口用組成物の態様に応じて適宜選択することができる。
ここで、本明細書において「担体」とは、有効成分とは反応しない固体又は液体の化合物であり、かつ、組成物の形態の維持に寄与するものをいう。
前記担体としては、例えば、乳化剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、増粘剤、湿潤剤、油剤、溶剤等が挙げられる。
前記集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を含有する経口用組成物は、その他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤は、組成物の態様に応じて適宜選択することができる。その他の添加剤の例としては、例えば、防腐剤、pH調整剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、消泡剤、甘味料、香料等が挙げられる。
また、その他の添加剤として、摂取によって健康に有益な効果(健康維持、健康増進、生活習慣病の予防又は改善等の硬化)をもたらすことが期待される機能性成分が挙げられる。
このような機能性成分としては、各種ビタミン、ミネラル(亜鉛等)、クロセチン、コラーゲン(加水分解コラーゲン、水溶性コラーゲン等)、オルニチン、レスベラトロール、クロロゲン酸、カフェ酸、ユビキノン(コエンザイムQ10等)、フラボノイド(フラバノン、フラボン、フラボノール、イソフラボン、カテキン、アントシアニン等)、クルクミン等が挙げられる。前記機能性成分は、植物由来成分、動物由来成分、酵母による発酵生産物、又は食用に適した化学合成品のいずれであってもよい。
食品
本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を食品(食品組成物)として構成する場合、その態様に特に制限はなく、一般の加工食品のほかに、健康食品、健康飲料、特定保健用食品、機能性食品、濃厚流動食、栄養補助食品、飲料及び食品を含む飲食物、又は、これらの添加物とすることができる。
本発明の食品においては、ごま油をそのまま食してもよく、食用油として使用してもよい。また、ごま油をそのまま食品に添加してもよく、又は、食品の原材料として添加してもよい。
食品の形態は、液状、ゲル状、粉末状、固形状、半固形状等のいかなる形態であってもよい。
前記食品の具体例としては、パン、麺類、菓子類(例えば、ビスケット、ケーキ、キャンディ、チョコレート、和菓子、ゼリー、アイスクリーム、シャーベット、プリン等)、農産食品(例えば、豆腐及びその加工品等)、発酵食品(例えば、清酒、薬用酒、みりん、食酢、味噌、醤油等)、油脂食品(例えば、ドレッシング、マヨネーズ、マーガリン、ショートニング、食用油脂等)、畜産食品(例えば、ヨーグルト、フローズンヨーグルト、ハム、ベーコン、ソーセージ等)、水産食品(例えば、かまぼこ、揚げ天、はんぺん等)、飲料(例えば、果汁飲料、清涼飲料、スポーツ飲料、アルコール飲料、ゼリー飲料、茶、スープ等)、調味料(例えば、ふりかけ、焼き肉のたれ等)等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を含有する食品は、集中力及び/又は情報処理能力の向上効果を備えた健康食品、健康飲料、特定保健用食品、機能性食品、栄養補助食品、食品添加剤等として提供することもできる。前記集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を含有する食品は、健康食品、機能性食品、栄養補助食品等として好適に用いることができる。また、前記食品は、サプリメントとして提供されることもできる。
集中力及び/又は情報処理能力の向上効果を備えた健康食品、健康飲料、特定保健用食品、機能性食品、又は栄養補助食品としては、例えば、ごま油、又はその混合物を、小麦粉、でん粉、糖、油脂、各種タンパク質、糖質原料、炭酸、賦形剤(造粒剤含む)、希釈剤、甘味剤、フレーバー、ビタミン、ミネラル等の飲食品材料群から選ばれた1種又は2種以上と混合したり、或いは、現在公知の飲食品、例えばスポーツ飲料、果実飲料、乳飲料、茶飲料、野菜ジュース、乳性飲料、アルコール飲料、ゼリー、ゼリー飲料、炭酸飲料、チューインガム、チョコレート、キャンディ、ビスケット、スナック、パン、乳製品、魚肉練り製品、畜肉製品、冷菓、乾燥食品、サプリメント等に添加して製造することができる。
本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を健康食品、健康飲料、特定保健用食品、機能性食品、又は栄養補助食品として用いる場合、その形態は、上述した食品、又は、後述する医薬の形態としてもよいが、例えば、蛋白質、糖類、脂肪、微量元素、ビタミン類、乳化剤、香料等が配合された自然流動食、半消化態栄養食及び成分栄養食、ドリンク剤等の加工形態であってもよい。前記蛋白質としては、アミノ酸バランスのとれた栄養価の高い乳蛋白質、大豆蛋白質、卵アルブミン等の蛋白質を広く使用することができる。また、これらの分解物、卵白のオリゴペプチド、大豆加水分解物等の他、アミノ酸単体の混合物も使用することができる。
健康食品等として用いられる場合、例えば、乾燥食品、サプリメント等に配合することができるが、これに限定されるものではない。
本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を含有する食品は、ごま油を実質的に含有しない飲食物に、ごま油を所要量加えて、一般の製造法により加工製造することができる。ごま油を実質的に含有しない飲食物とは、例えばごま等を原料としていない飲食物が挙げられるが、ごま等を原料とする飲食物であっても、最終形態の飲食品におけるごま油の含有量が極微量であって、その飲食物の1日摂取量あたり、ごま油の総含有量が0.8g未満、好ましくは0.1g以下のもの、あるいはその飲食物の1日摂取量あたり、ごま油が0.8g未満、好ましくは0.1g以下のものは、ごま油を実質的に含有しない飲食物に含まれる。
ごま油の配合量は剤形、食品の形態性状等により異なり、一般には0.001~70%が好ましいが特に限定されるものではない。また、健康食品又は機能性食品としての摂取は、集中力及び/又は情報処理能力の向上に用いられ、医師の食事箋に基づく栄養士の管理の下に、病院給食の調理の際にごま油を実質的に含有しない任意の食品にごま油を加え、その場で調製した機能性食品の形態で患者に与えることもできる。
本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を含有する食品の摂取量としては、ごま油の1日当たりの摂取量が、上述の量となる量であればよい。
例えば、集中力及び/又は情報処理能力の向上を目的とした場合、例えば、ごま油の摂取量の下限は、通常5g/日以上、好ましくは10g/日以上、より好ましくは12g/日以上である。上限は、通常25g/日以下であり、好ましくは20g/日以下であり、より好ましくは17g/日以下である。ごま油の1日当たりの摂取量は、通常5~25g程度、好ましくは10~20g程度、より好ましくは12~17g程度、さらに好ましくは14g程度である。
本発明の食品の摂取期間は、集中力及び/又は情報処理能力の向上効果を発揮し得る限り特に限定されないが、長期間摂取するほど、高い集中力及び/又は情報処理能力の向上効果が期待される。このような観点から、本発明の食品(ごま油)は、例えば、1週間以上、好ましくは4週間以上の期間にわたって摂取することができる。
本発明の食品の摂取頻度は、集中力及び/又は情報処理能力の向上効果を発揮し得る限り特に限定されないが、高頻度で摂取するほど、高い認知機能向上効果が期待される。このような観点から、本発明の食品(ごま油)は、例えば、2日に1回以上、好ましくは1日に1回以上の頻度で摂取される。
好ましい態様において、本発明の食品(ごま油)は、1日に1回以上の頻度で、4週間以上の期間にわたり摂取される。
1日当たりの量を、1回あるいは複数回に分けて摂取させることが望ましい。
医薬
前記集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を、医薬(医薬品又は医薬部外品)に適用する場合、医薬(医薬組成物)に含有される前記集中力及び/又は情報処理能力の向上剤以外の成分、例えば、担体、添加剤等は、薬学上許容される成分から選択すればよい。
ごま油を、集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を含有する医薬として用いる場合、対象に対して経口投与することが好ましい。前記医薬の形態は、経口投与が都合よく行われるものであればどのような剤形のものであってもよい。剤形として、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、腸溶剤、トローチ、内用液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤等を挙げることができる。
これら各種製剤は、常法に従って目的に応じて主薬に、医薬の製剤技術分野において通常使用しうる既知の担体、添加剤等を用いて製剤化することができる。前記担体として、乳化剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、増粘剤、湿潤剤、油剤、溶剤等が挙げられる。前記添加剤は無毒性のものが好ましく、例えば、乳糖、果糖、ブドウ糖、でん粉、ゼラチン、炭酸マグネシウム、合成ケイ酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はその塩、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、シロップ、ワセリン、グリセリン、エタノール、プロピレングリコール、クエン酸、塩化ナトリウム、亜硫酸ソーダ、リン酸ナトリウム等が挙げられる。
前記集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を含有する医薬中のごま油の含有量は、集中力及び/又は情報処理能力の向上剤の1日当たりの摂取量を上述の量に設定し得る量であれば、特に制限されない。例えば、前記集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を含有する医薬中のごま油の含有量は、集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を含有する医薬の全質量に対して、通常0.001~99質量%、好ましくは1~80質量%、より好ましくは2~70質量%とすることができる。
本発明の医薬の投与期間及び投与頻度は、投与形態、投与対象の種類、投与ルート、体重、年齢等によって異なるが、上述した本発明の食品の摂取期間及び摂取頻度と同様な範囲とすることができる。
対象
本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤、集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を含有する経口用組成物、集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を含有する食品、及び、集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を含有する医薬の投与が想定される対象は、集中力及び/又は情報処理能力が低下し、集中力及び/又は情報処理能力の向上が必要なヒトである。対象者の年齢は特に限定されず、若年層から老年層までの幅広い年代を含む。
加齢、疲労、ストレス、睡眠不足、生活習慣病等による脳の老化等によって生じる集中力及び/又は情報処理能力の低下抑制及び/又は改善のために、本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を摂取することができる。健常なヒトであっても、環境の変化、集中的な学習に伴う脳疲労、加齢の影響等により、集中力及び/又は情報処理能力の低下を自覚することがある。加齢及び/又は疲労により集中力及び/又は情報処理能力が低下した対象が、本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を一定期間摂取することにより、集中力及び/又は情報処理能力の低下が抑制されること、集中力及び/又は情報処理能力の改善又は向上することが期待できる。
本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤は、幅広い年代の人々に提供することができるが、若い時に比べて集中力、判断力等が低下したと感じている年代の人々に提供することにより、集中力及び/又は情報処理能力の低下抑制又は改善の効果が実感されやすいと考えられる。
また、若い年代であっても、受験勉強等により長時間にわたり集中的に学習した場合には、脳疲労により集中力及び/又は情報処理能力の低下が起こり得る。そのような状況の前又は後に本発明の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を摂取することにより、集中力及び/又は情報処理能力の低下抑制又は早期の改善効果が実感されやすいと考えられる。例えば、集中力が切れやすく小さなミスが増える、何度練習しても習得レベルが向上しない等の実感に対して、集中力及び/又は情報処理能力の低下抑制又は改善の効果が期待される。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
I 対象及び方法
1.対象者
被験者は、加齢による記憶の低下の自覚症状を有する、年齢が40歳以上の健常な男女40名を対象とした。健常な中高齢者を対象としたストループ試験を用いた認知機能試験では、1群20例程度で実施されている。それに従って、本試験でも1群20例、合計40例と設定した。試験の実施に先立ち、被験者に対して説明文書及び同意文書を交付のうえ、試験の趣旨及び内容を十分に説明し、被験者の自由意思に基づく同意を文書で取得した。同意の取得できた被験者の事前検査結果から、以下の除外基準に該当しない被験者候補の中から、認知機能のスコアが低い者及びMOS 36-Item Short-Form Health Survey(SF-36)における活力スコアが低い者を優先して被験者を選択した。
除外基準
1)ゴマリグナンを多く含む健康食品を常用している者、
2)試験結果に影響を及ぼす可能性がある、認知機能改善効果、あるいは免疫又は活力作用を有する成分を含む医薬品、健康食品、特定保健用食品、栄養機能食品、又は機能性表示食品を週1回以上継続的に摂取している者、
3)色の識別が困難な者、
4)視力が低いため、認知機能検査の実施が困難な者、あるいは弱視、又は失明と診断されたことがある者、
5)聴力が低いため、認知機能検査の実施が困難な者、あるいは難聴、又は失聴と診断されたことがある者、
6)事前検査の1ヶ月前から現在、あるいは試験期間中に、歯又は口腔内の治療(例えば、定期的なスケーリング(歯の掃除)も含む、虫歯、歯周病等の治療)を行っている、あるいは行う予定がある者、
7)出血を伴う歯又は口腔内のトラブル(例えば、口内炎等)がある者、あるいは週1回以上発症する者、
8)歯磨きの際、週1回以上出血し、予防できない者、
9)精神障害、認知症、脳神経疾患、又は脳血管疾患の既往あるいは現病がある者、
10)更年期障害の現病がある者、
11)うつ症状がある、あるいはうつ病と診断されたことがある者、
12)試験結果に影響を及ぼす可能性がある医薬品(例えば、脂質異常症薬、抗精神薬、抗不安薬、抗うつ又はそう薬、抗パーキンソン薬、抗てんかん薬、抗血液凝固薬等)を服用している者、
13)常時投薬が必要な疾患がある者、投薬治療を必要とした重篤な疾患既往歴(例えば、悪性腫瘍、糖尿病、肝疾患(肝炎)、腎疾患、心疾患等)を有する者、
14)夜間勤務などにより、試験期間中に生活が不規則になることが複数回ある者、
15)現在喫煙している者、あるいは事前検査前12ヶ月以内に禁煙を開始した者、
16)事前検査前12ヶ月以内に、本試験の認知機能検査と同じ検査を実施したことがある者、
17)事前検査前3ヶ月以内に全血200mL又は400mL献血あるいは輸血を行った者、
18)事前検査前1ヶ月以内に他の臨床試験に参加している者、あるいは試験期間中に参加を予定している者、
19)妊娠中、授乳中又は試験期間中に妊娠又は授乳を予定している者、
20)事前検査の臨床検査値及び測定値から、被験者として不適当と判断される者、
21)試験に関連してアレルギー発症のおそれがある者、
22)生活習慣アンケートの回答から、被験者として不適と判断される者、
23)その他、実施医師責任者が被験者として不適と判断した者。
なお、試験実施に先立って、全被験者に対して以下の遵守事項を守るように指導した。
遵守事項
試験期間を通じて、
1)試験参加前の飲酒、食事、睡眠、仕事等の生活習慣を極力変えない、
2)日常範囲を大きく逸脱する過度な運動、節食又は過食を制限する、
3)新たに運動を始めたり、それまで続けていた運動習慣を中止しないよう指導する、
4)海外旅行又は海外出張を行わない、
5)新たに健康食品、特定保健用食品、栄養機能食品、又は機能性表示食品(以下、健康食品等)を摂取しない。継続的に摂取している健康食品等は、試験期間中も継続的に摂取する、
6)認知機能、免疫、又は活力に影響を及ぼす可能性がある成分を含む医薬品、健康食品、特定保健用食品、機能性表示食品、又は栄養ドリンクを摂取しない、
7)献血を行わない、
8)試験期間中は、喫煙をしない、
9)新たに口腔治療又はスケーリング(歯の掃除)を行わない、
10)試験食品を毎日規定量摂取し、日誌は毎日記録する。
事前検査、8週目検査時は、
11)検査前日の朝から当日の検査終了まで禁酒とする、
12)検査前日は、遅くとも夜12時頃までに就寝し、十分な睡眠と休養をとる、
13)検査前日から当日の検査終了まで過度の運動を行わない、
14)検査前日は、遅くとも夜10時までに飲食を終え、当日の検査終了まで、水及び指定の軽食以外の飲み物、ガム、飴等を含む飲食を行わない、
15)検査当日は検査前2時間以上の絶食後に検査を受ける。(長時間の絶食によるストレスを軽減するため、検査2時間以上前までに、朝食として、具なしのおにぎり1個あるいは具なしの食パン1枚を摂取することも可とする。朝食を食べる習慣がない場合は摂取しないこととする。なお、いずれの検査日も条件は同じになるよう、食事内容等は揃えることとする)、
16)検査当日は、検査1時間前までに歯磨き粉又はリンス剤を使用せずに歯磨きを行う、
17)検査当日及び検査前の生活状況(前日及び当日の運動状況、勤務状況、睡眠状況、及び検査前の最後の食事状況)が極端に変わらないように生活する。
18)8週目検査当日は試験食品を摂取せずに来院する、
19)認知機能検査は同程度の時刻から開始することを原則とする。認知機能検査の開始時刻が±2時間の範囲内とする。
2.試験食品
試験食品は、被験食品(実施例)とプラセボ(比較例)の2種類とした。被験食品(実施例)は、精製ごま油(かどや製油株式会社製の精製ごま油)を使用した。その中には、ゴマリグナンとしてセサミン、エピセサミン、セサミノール等が含まれている。1日摂取量である14gの精製ごま油中には、29.68mgのセサミン、29.68mgのエピセサミン、及び13.44mgのセサミノールが含まれる。なお、前記セサミノールは、セサミノール及びセサミノールのエピ異性体を含む。プラセボ(比較例)は、精製ごま油の代わりに、ゴマリグナンを含まない大豆油(株式会社J-オイルミルズ製、サラダ油ライムNS)及びなたね油(株式会社J-オイルミルズ製、キャノーラ油ライムNSP)を、主な脂肪酸組成が被験食品であるごま油に近似するように調製し、外観から被験食品とプラセボの区別がつかないようにした。
3.試験デザイン
本試験は、無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較研究で、摂取期間は8週間とした。
試験に直接関係のない割付担当者が乱数表を用いて割付表を作成し、それに基づいて試験食品に割付番号を付与した。割付表は、割付担当者によって封緘され、割付表開封時まで密封保管された。なお、実施医師責任者、被験者、医療施設のスタッフ、及び、その他本試験に関わる全スタッフに対して盲検性を維持した。
両群の全被験者に対しては、介入開始前に、事前検査として身体測定(身長、体重、及びBMIの算出)、理学検査(血圧、及び脈拍数)、諸種の臨床検査(血液学的検査、血液生化学検査、及び尿検査)、認知機能検査(PASAT、及びストループ検査)、SF-36、心理検査、唾液検査(s-IgA)、生活習慣アンケート、ライフイベント調査、及び問診を行い、得られた値をベースラインとして用いた。
各被験者には、無作為に割付けられた試験食品を8週間の介入期間を通して普段の食事の中で調理油として使用するよう指導した。介入期間中は、日誌に試験食品の摂取状況、体調の変化、医薬品の服用状況等を記載させた。摂取開始から8週間後に全被験者を来院させ、身体測定、理学検査、臨床検査、認知機能検査、SF-36、唾液検査、ライフイベント調査、及び問診を実施した。
4.有効性の評価
試験食品の有効性評価には、主要評価項目として心身のQOL(認知)はPASAT及びストループ検査を実施し、副次評価項目として、免疫は唾液中分泌型免疫グロブリンA(s-IgA)を測定し、心身のQOL(意欲)はSF-36を評価した。各検査の詳細について以下に記載する。
(1)PASAT
PASAT(Paced Auditory Serial Addition Test)は、日本高次脳機能障害学会が採用する標準注意検査法の下位検査項目の一つとして、情報処理能力を評価する検査法として知られている。PASATは、聴覚的に連続提示される1桁の数字について前後の数字を順次暗算で加算させるもので、ワーキングメモリ(作業記憶)の関与が大きいとされている。
(2)ストループ検査
ストループ検査(Stroop Color Word Test)は、認知機能のなかでも、特に注意力(注意機能)、判断力(遂行機能)を評価することに適した検査法として知られている。ストループ検査は、言語情報と色覚情報という2つの異なる情報が同時に脳に入ったとき、たがいに干渉しあう現象を生起させることで、注意力、判断力等の認知機能を評価するテストである。本試験では、新ストループ検査II(箱田裕司、渡辺めぐみ:新ストループ検査II、株式会社トーヨーフィジカル)を用い、検査実施手順書に従って検査を実施した。
ストループ検査に使われる文字は、平仮名の「きいろ」、「みどり」、「あか」、「あお」、及び「くろ」の5種類である。本明細書において、これらの色の名前を表す言葉(例えば、きいろ等)を「色名語」という。色は、前記色名語に対応する5色である。
前記ストループ検査は、4つの課題(課題1~4)から構成されている。
課題1は、単純に文字処理を求められる課題(単純文字処理課題)である。
課題2は、課題1の作業に視覚的妨害を加えた課題である。
課題3は、単純に色処理を求められる課題(単純色処理課題)である。
課題4は、課題3の作業に言語的妨害を加えた課題である。
ここで、課題1は、課題2の統制条件であり、課題3は、課題4の統制条件である。
課題が進むに従って難易度が増す。テストは、複数の問題を含む。被験者は、所定時間(60秒間)内に問題を解く。
課題1~4の具体的な内容は、以下のとおりである。
「課題1(逆ストループの統制課題)」:黒インクで書かれた色名語が意味する色を5色の色パッチの中から選択する。
「課題2(逆ストループ課題)」:色名と一致しない色で書かれた色名語の意味する色を5色の色パッチの中から選択する。
「課題3(ストループの統制課題)」:色パッチの色が意味する色を黒インクで書かれた5つの色名語の中から選択する。参考のため、課題3のサンプル図を図1に示す。
「課題4(ストループ課題)」:色名とは一致しない色インクで書かれた色名語の色インクの色を黒インクで書かれた5つの色名語の中から選択する。
具体的には、課題1では、例えば、左側に黒インクで式名語(例えば、あお)が書かれており、右側に、上記5色の色パッチ(色で塗られた長方形)がランダムに並んでいる。課題1は、黒インクで書かれた文字(あお)が意味する色(あお)を、その右側の5種の色パッチの中から選び、選んだ色パッチの下に印をつける。すなわち、色名語(言葉)(あお)を表すインクの色(あお)にチェックをつける。
課題2では、例えば、左側に緑インクで「みどり」ではない式名語(例えば、くろ)が書かれており、右側に、上記5色の色パッチがランダムに並んでいる。課題2は、インクの色と文字の意味とが一致しない色付きの文字(緑インクで書かれた「くろ」)を見て、その文字が意味する色(くろ)を、その右側の5種の色パッチの中から選び、選んだ色パッチの下に印をつける。すなわち、インクの色名語が表す色(くろ)とインクの色(みどり)とが対応しておらず、色名語(言葉)が表すインクの色(くろ)にチェックをつける。
課題3では、図1に示すように、左側に5色の中の1色(例えば、きいろ)の色パッチがあり、右側に黒インクで書かれた5つの式名語がランダムに並んでいる。課題3は、色パッチのインクの色(きいろ)に対応する色名語(きいろ)に印をつける。すなわち、インクの色(きいろ)に当たる色名語(言葉)(きいろ)を選んでチェックをつける。
課題4では、例えば、左側に黒インクで「くろ」ではない式名語(例えば、あか)が書かれており、右側に黒インクで書かれた5つの式名語がランダムに並んでいる。課題4は、インクの色と文字の意味とが一致しない色付きの文字(黒インクで書かれた「あか」)を見て、そのインクの色が表す文字(くろ)を選び、印をつける。すなわち、式名語が表す色(あか)とインクの色(くろ)とが対応しておらず、色名語(言葉)が書かれているインクの色(くろ)に当たる言葉を選んでチェックをつける。
被験者に、各課題について60秒の制限時間で回答させ、達成数、正答数、誤答数、逆ストループ干渉率、及び、ストループ干渉率を評価した。
達成数は、(正答数+誤答数)で求められる数値であり、どれほど課題をこなすことができたか(問題を解く処理速度)を示している。
正答数は、正解した問題数に相当する数値であり、どれほど課題を正確にできたかを示している。
誤答数は、誤った問題数に相当する数値であり、いくつ誤っていたか(課題への理解)を示している。
逆ストループ干渉率、及び、ストループ干渉率は、以下の式により求めることができる。
逆ストループ干渉率(%)
=[(課題1の正答数)-(課題2の正答数)]/(課題1の正答数) ×100
ストループ干渉率(%)
=[(課題3の正答数)-(課題4の正答数)]/(課題3の正答数) ×100
ここで、ストループ干渉とは、色命名(インクの色を答えること)が不一致の文字情報から干渉を受ける現象をいう。つまり、ストループ干渉とは、刺激の言語的属性、すなわち文字から色への干渉のことである。また、逆ストループ干渉とは、単語の読みが不一致の色情報から受ける干渉をいう。つまり、逆ストループ干渉とは、刺激の視覚的又は画像的属性、すなわち色から文字への干渉のことである。これら2つの干渉は、認知機能の中でも注意力(特に、選択的注意能力)を反映するものである。
「達成数」及び「正答数」は、測定値の増加が改善を示す。「誤答数」、逆ストループ干渉率、及び、ストループ干渉率は、測定値の低下が改善を示す。
摂取8週間後における摂取前からの変化量を、比較例(プラセボ)群及び実施例(被験食品)群について2標本t検定を用いて比較した。また、各群それぞれにおいて、摂取後8週間後の摂取前からの変化量を、1標本t検定を用いて比較した。
また、数値は、平均値±標準偏差で示し、検定の有意水準は両側5%とした。
(3)s-IgA
免疫グロブリンA(IgA)はヒトにおける免疫グロブリンクラスの一つであり、血清中に存在する血清IgAと、唾液、気管支分泌液、腸管分泌液等の粘膜分泌液中に分泌されるs-IgAがある。唾液中のs-IgAは生体の感染防御に重要な役割を果たしており、粘膜免疫の中心を担う物質である。唾液中のs-IgA分泌速度又は濃度は粘膜免疫の機能と関連することが知られており、本試験では唾液中のs-IgAを評価した。
(4)SF-36
SF-36(MOS 36-Item Short-Form Health Survey)は、健康関連QOL(Health Related Quality of Life)を評価するために用いられる。評価には、オリジナルのSF-36を改良したSF-36v2日本語版を用いた。SF-36は36項目からなり、8つの健康概念(身体機能、日常役割機能(身体)、体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、日常役割機能(精神)、心の健康)についてのNBS得点(国民標準値に基づいたスコアリング法による得点)、及び、それらからコンポーネント・サマリースコア(2002年日本調査に基づく因子係数の3コンポーネント・サマリースコア(身体的健康度、精神的健康度、役割/社会的健康度)、1995年米国全国調査に基づく因子係数の2コンポーネント・サマリースコア(身体的健康度、精神的健康度)、1995年日本全国調査に基づく因子係数の2コンポーネント・サマリースコア(身体的健康度、精神的健康度))を算出することができる。いずれも得点が高いほど、QOLが高いことを示す。
有効性解析対象者は、所定の試験スケジュール及び試験内容をすべて終了した被験者のうち、次の解析対象除外基準に該当する被験者を除外した者とした。
解析対象除外基準
1)試験食品の摂取率が80%を下回った者。
2)日誌記録の欠損等、検査結果の信頼性を損なう行為が顕著に見られた者。
3)除外基準に該当していたことが試験組み入れ後に明らかになった者、又は、試験期間中に制限事項を遵守できないことが判明した者。
4)その他、除外することが適当と考えられる明らかな理由があった者。
5.安全性の評価
実施医師責任者は、各来院日における問診及び身体測定、理学検査の結果、並びに日誌の記載に基づき、摂取期間中に被験者に生じたすべての好ましくない又は意図しない傷病もしくはその徴候を有害事象として取り扱った。加えて、下記の項目について臨床検査を行った。血液学的検査(白血球数、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、及び血小板数)、血液生化学検査(総蛋白、アルブミン、総ビリルビン、直接ビリルビン、間接ビリルビン、アルカリホスファターゼ(ALP)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST(GOT))、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT(GPT))、乳酸脱酸素酵素(LD)、γ-グルタミツトランスペプチダーゼ(γ-GT)、総コレステロール、中性脂肪、HDL-コレステロール、LDL-コレステロール、尿素窒素、クレアチニン、尿酸、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、クロール(CL)、血糖、及び糖化ヘモグロビン(HbA1c)(事前検査のみ))、尿検査(蛋白(定性)、糖(定性)、及び潜血反応(定性))。個々の被験者の検査値が有害事象に該当する異常変動か否かの判定は、実施医療機関で定める基準値を基にして、日本化学療法学会が定める異常変動の判定基準、CTCAE v5.0-JCOG、及び日本人間ドック学会判定区分(2020年4月1日改定)を参考として、実施医師責任者が行った。さらに実施医師責任者は、試験食品との関連性を調査又は考察し、それぞれの有害事象が試験食品による副次作用であるか否かを判定した。
安全性解析対象者は、有害事象については、一度でも試験食品を摂取したことのある被験者を対象とした。測定値及び検査値については、所定の試験スケジュール及び試験内容をすべて終了した被験者とした。
6.統計解析
検査値及び測定値において、外れ値と思われる値であっても評価に用いた。原因が明らかに測定ミスと判明した場合には、その時点を解析から除外した。欠損値がある場合には、補填を行わず、欠測として解析に含めなかった。
各被験者群の特徴を比較するための事前検査値、及び、摂取後における測定値、並びに事前検査値からの変化量は、おのおの平均値±標準偏差で示した(性別は被験者数)。事前検査時における性別の群間比較にはχ検定を用いた。それ以外の項目について、摂取8週目の検査時及び事前検査時からの変化量の群間比較は2標本t検定を用いた。参考として、摂取後の変化量の群内比較には、1標本t検定を用いて評価した。
本試験で評価した精製ごま油に関し、通常のごま油の摂取習慣が結果に影響を及ぼすことが考えられたため、生活習慣アンケートで申告された「ごま油の摂取習慣」に着目し、摂取習慣の有無に着目した部分集団解析を実施した。部分集団解析における群間及び群内の比較には、上記と同様の統計手法を用いた。
統計解析ソフトウェアとして、Microsoft Excel 365(Microsoft社、USA)、IBM SPSS statistics 26 for windows(IBM社)を用いた。統計学的有意水準は両側5%に設定した。
II 結果
1.被験者
文書にて試験参加に同意を得られた被験者129名に対して事前検査を実施した。これらの結果から、選択基準に合致し、除外基準のいずれにも抵触しない40名(実施例(被験食品)群及び比較例(プラセボ)群各20名)を適格な被験者として試験に組み入れた。
被験者背景因子を表1に示す。
表1より、群間に有意な差がある項目は認められなかった。40名全員が試験食品の摂取を開始したが、1名(実施例(被験食品)群)が摂取1日目から腹部症状を発症し、試験を辞退した。残り39名が所定の試験スケジュール及び試験内容を全て終了した。割付表開封前に解析対象者及びデータの取り扱いを検討した結果、1名(実施例(被験食品)群)は8週目検査前に長期間の体調不良及び医薬品の服用があり、体調不良に伴うストレスイベントの申告があったため、有効性の解析対象除外基準に抵触することから解析対象から除外とし、38名(比較例(プラセボ)群20名、実施例(被験食品)群18名)を有効性の解析対象者とした。また、2名(いずれも比較例(プラセボ)群)はs-IgAに影響する可能性がある医薬品を8週目検査前1週間以内に服用した、あるいは摂取期間中に服用を続けていたため、s-IgAの解析項目について、解析対象から除外した。認知機能(PASAT及びストループ検査)、SF-36には影響しないと考え、これらの項目は解析対象とした。
2.主要評価項目、及び副次評価項目に関するデータ解析
2.1.主要評価項目(PASAT及びストループ検査)
(1)PASAT
PASATの各項目の測定値の推移と事前検査からの変化量を表2に示す。
表2より、いずれの項目においても、変化量に有意な群間差は見られなかった。
事前との群内比較では、2秒条件-正答率、及び、1秒条件-正答率ともに、事前と比較して両群が有意に増加した。
(2)ストループ検査
ストループ検査の各項目の測定値の推移と事前検査からの変化量を表3及び表4に示す。
表3及び表4より、いずれの項目においても、変化量に有意な群間差は見られなかった。
事前検査との群内比較では、達成数の課題1、及び、正答数の課題1は、事前検査と比較し、両群が有意に増加した。達成数の課題2、及び、正答数の課題2は、事前検査と比較して比較例(プラセボ)群が有意に増加した。達成数の課題3、正答数の課題3、及び、逆ストループ干渉率は、事前検査と比較して、実施例(被験食品)群が有意に増加した。達成数の課題4、正答数の課題4、誤答数の課題1~4、及び、ストループ干渉率は、両群とも有意な変化は見られなかった。
2.2.副次評価項目(s-IgA及びSF-36)
(1)s-IgA
s-IgAの各項目の測定値の推移と事前検査からの変化量を表5に示す。
表5より、いずれの項目においても、変化量に有意な群間差は見られなかった。
事前検査との群内比較では、何れの項目でも両群とも有意な変化は見られなかった。
(2)SF-36
SF-36の各項目の測定値の推移と事前検査からの変化量を表6及び表7に示す。
表6及び表7より、いずれの項目においても、変化量に有意な群間差は見られなかった。
事前検査との群内比較では、身体機能(PF)は、実施例(被験食品)群のみ有意に低下した。全体的健康観(GH)は、比較例(プラセボ)群のみ有意に増加した。それ以外の項目については、いずれも両群とも有意な変化は見られなかった。
3.部分集団解析
部分集団解析は、ごま油の摂取習慣の有無によるグループを用いて行った。ごま油の摂取習慣の有無については、全被験者を介入前のアンケートでごま油の摂取習慣があると申告した被験者層と、ないと申告した被験者層で層別したが、「ごま油の摂取習慣あり」の被験者数は12名(比較例(プラセボ)群が6名、実施例(被験食品)群が6名)と少なかったため評価を行わなかった。
「ごま油の摂取習慣なし」と申告した被験者層は26名(比較例(プラセボ)群14名、実施例(被験食品)群12名)であった。「ごま油の摂取習慣なし」の被験者層について、被験者背景因子を表8に示す。
表8より、被験者背景因子のいずれの項目でも群間の不均衡はみられなかった。
(1)PASAT
ごま油摂取習慣なし層におけるPASATの各項目の測定値の推移と事前検査からの変化量を表9に示す。
表9より、いずれの項目においても、事前検査からの変化量に有意な群間差は見られなかった。
(2)ストループ検査
ごま油摂取習慣なし層におけるストループ検査の各項目の測定値の推移と事前検査からの変化量を表10及び表11に示す。
表10及び表11より、達成数の課題3の変化量(比較例(プラセボ)群:0.4±3.9個、実施例(被験食品)群:3.5±3.6個)、及び、正答数の課題3の変化量(比較例(プラセボ)群:0.4±4.0個、実施例(被験食品)群:3.6±3.6個)で、実施例(被験食品)群が比較例(プラセボ)群と比べて有意に増加していた。
(3)s-IgA
ごま油摂取習慣なし層におけるs-IgAの各項目の測定値の推移と事前検査からの変化量を表12に示す。
表12より、いずれの項目においても、事前検査からの変化量に有意な群間差は見られなかった。
(4)SF-36
ごま油摂取習慣なし層におけるSF-36の各項目の測定値の推移と事前検査からの変化量を表13及び表14に示す。
表13及び表14より、いずれの項目においても、事前検査からの変化量に有意な群間差は見られなかった。
4.安全性の評価
安全性について、有害事象は一度でも試験食品を摂取した40名(比較例(プラセボ)群20名、実施例(被験食品)群20名)を、測定値又は検査値は、所定の試験スケジュール及び試験内容を全て終了した被験者39名(比較例(プラセボ)群20名、実施例(被験食品)群19名)を解析対象者とした。
介入期間中に比較例(プラセボ)群の5名(10件)、被験食品群の6名(14件)に感冒症状、下痢、目の違和感等の有害事象が確認された。実施例(被験食品)群の1名で発現した腹部症状(例えば、下痢、腹痛、膨満感、軟便等)が、実施医師責任者によって、被験食品との関連性が「あり」と判断され、副次作用となったが、程度は軽度であった。その他の有害事象は、実施医師責任者により、いずれも試験食品との関連性は「なし」と判断された。測定値又は検査値では、各群における摂取前後での比較で、一部の項目において有意な変化が見られたが、いずれも軽微な変動であり、実施医師責任者により臨床上問題となるものではないと判断された。
III 考察
加齢による記憶の低下の自覚がある40歳以上の健常な男女を対象として、精製ごま油14g/日を8週間連続摂取したときの免疫及び心身のQOL(意欲、認知等)への影響を検討するため、PASAT及びストループ検査(心身のQOL(認知))、SF-36(心身のQOL(意欲))、及びs-IgA(免疫)について評価を行ったが、いずれも有意な群間差は認められなかった。
探索的な追加解析として、ごま油の摂取習慣の違いが与える影響を検討するため、生活習慣アンケートで申告された「ごま油の摂取習慣なし」の被験者層26名(比較例(プラセボ)群14名、実施例(被験食品)群12名)を対象として解析を行った。その結果、ストループ検査の達成数の課題3、及び、正答数の課題3について、変化量で、実施例(被験食品)群が比較例(プラセボ)群と比べて有意な改善を示した(表10)。
ストループ検査は、脳へ同時に入ってくる2つの異なる情報(言語情報及び色覚情報)の識別又は処理能力、一般的には注意力又は注意機能と呼ばれる認知機能と集中力とを評価する検査である。統制条件の課題3の達成数及び正答数で実施例(被験食品)群の改善がみられたことは、決められた時間内に課題をこなす量が増加しただけでなく、正確にできる量も増加したことを意味している。加齢による記憶の低下の自覚がある中高齢の男女の中でも、元々ごま油の摂取習慣がない人を対象とすることで、集中力、情報処理能力等が向上する可能性が示唆された。
また、ストループ検査の課題3の達成数及び正答数について、全有効性解析対象者の結果では有意な群間差はなかったものの、実施例(被験食品)群が比較例(プラセボ)群よりも変化量の増加(改善)が見られ、また、事前検査との比較では実施例(被験食品)群のみ有意に増加していた。このことから、元々のごま油の摂取習慣にかかわらず、精製ごま油の集中力、情報処理能力等への効果の改善が期待されるが、ごま油の摂取習慣がない人を対象とすることで、その有効性が明確となった。
この結果は、ごま油に含まれるゴマリグナンの抗酸化作用によって活性酸素等に起因する細胞ダメージが抑制された可能性、抗炎症作用又は血流改善によって脳の低酸素状態又は虚血状態が緩和したことにより、集中力、情報処理能力等が活性した可能性等が考えられる。
安全性に関しては、上記試験条件下において、精製ごま油は体質によっては火を通さずに摂取した場合に腹部症状がでる可能性があるものの、総合的に判断して安全性に問題ないことが結論付けられた。

Claims (8)

  1. ごま油を含有する、集中力及び/又は情報処理能力の向上剤であって、
    前記集中力及び/又は情報処理能力が、ストループ検査における、色パッチの色が意味する色を、黒インクで書かれた5つの色名語の中から選択する課題の達成数及び正答数の結果である、色の判断の処理速度、及び、色の判断の正確性で評価される、集中力及び/又は情報処理能力の向上剤
  2. 加齢及び/又は疲労により集中力及び/又は情報処理能力が低下した対象に摂取させるための、請求項1に記載の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤。
  3. 前記ごま油は、ゴマリグナン及び不飽和脂肪酸を含有する、請求項1に記載の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤。
  4. 前記不飽和脂肪酸は、リノール酸、及び、オレイン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項に記載の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤。
  5. 前記ごま油が、セサミン、エピセサミン、及び、セサミノールからなる群より選ばれる少なくとも1種のゴマリグナンを含む、請求項1に記載の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤。
  6. 請求項1~の何れか一項に記載の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を含有する、ストループ検査における、色パッチの色が意味する色を、黒インクで書かれた5つの色名語の中から選択する課題の達成数及び正答数の結果である、色の判断の処理速度、及び、色の判断の正確性で評価される、集中力及び/又は情報処理能力の向上用経口用組成物。
  7. 請求項1~の何れか一項に記載の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を含有する、ストループ検査における、色パッチの色が意味する色を、黒インクで書かれた5つの色名語の中から選択する課題の達成数及び正答数の結果である、色の判断の処理速度、及び、色の判断の正確性で評価される、集中力及び/又は情報処理能力の向上用食品。
  8. 請求項1~の何れか一項に記載の集中力及び/又は情報処理能力の向上剤を含有する、ストループ検査における、色パッチの色が意味する色を、黒インクで書かれた5つの色名語の中から選択する課題の達成数及び正答数の結果である、色の判断の処理速度、及び、色の判断の正確性で評価される、集中力及び/又は情報処理能力の向上用医薬。
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