JP2019073500A - 神経分化促進剤、及び神経分化促進用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規な神経分化促進剤、及び、神経分化促進剤を含有する神経分化促進用組成物の提供。【解決手段】アスタキサンチン及びセサミン系化合物を有効成分とする神経分化促進剤、及び、上記の神経分化促進剤と担体とを含有する神経分化促進用組成物。【選択図】なし

Description

本開示は、神経分化促進剤及び神経分化促進用組成物に関する。
神経細胞の分化促進に関する技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、式(I)で表されるアニリン誘導体が、神経分化促進作用を有することが開示されている。
また、近年、アスタキサンチン、セサミンなどの抗酸化作用を有する成分による種々の機能が注目されている。
アスタキサンチンが有する機能に着目した技術として、例えば、特許文献2には、スポーツ適性に関連する認知行動能力の向上剤として、アスタキサンチンおよび/またはそのエステルを含む、認知行動能力の向上剤が開示されている。
また、セサミン系の化合物が有する機能に着目した技術として、例えば、特許文献3には、胡麻に含まれる成分であるセサミンなどのジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体を有効成分とする抗疲労剤等が開示されている。
特開2012−229185号公報 特開2010−270095号公報 特開2016−147876号公報
本発明の一実施形態が解決する課題は、新規な神経分化促進剤を提供することである。
また、本発明の別の一実施形態が解決する課題は、上記の神経分化促進剤を含有する神経分化促進用組成物を提供することである。
課題を解決するための具体的な手段には、以下の態様が含まれる。
<1>アスタキサンチン及びセサミン系化合物を有効成分とする神経分化促進剤。
<2> セサミン系化合物が、セサミン、エピセサミン、又は、セサミン及びエピセサミンの混合物である上記<1>に記載の神経分化促進剤。
<3> 認知機能の低下を予防する用途又は認知機能を改善する用途に用いる、上記<1>又は<2>に記載の神経分化促進剤。
<4> 精神的疲労感を緩和する用途に用いる、上記<1>又は<2>に記載の神経分化促進剤。
<5> 上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の神経分化促進剤と、担体と、を含有する、神経分化促進用組成物。
<6> 担体が、25℃で粉末であり、かつ、HLB値が10以上のショ糖脂肪酸エステルの粉末と、25℃で液状の油剤と、を含む、上記<6>に記載の神経分化促進用組成物。
本発明の一実施形態によれば、新規な神経分化促進剤を提供することができる。
また、本発明の別の一実施形態によれば、上記の神経分化促進剤を含有する神経分化促進用組成物を提供することができる。
実施例の細胞代謝試験において得られた結果を示すグラフである。 実施例の遺伝子発現解析試験において得られた結果の一つを示すグラフである。 実施例の認知機能低下の改善評価において得られた、認知機能速度及び処理速度の2項目における摂取12週目の変化量の結果を示すグラフである。 実施例の精神的疲労感の緩和評価において得られた、負荷開始前からの疲労感の変化量の結果を示すグラフである。 実施例の精神的疲労感の緩和評価において得られた、負荷4時間後からの疲労感の変化量の結果を示すグラフである。
以下、本開示の神経分化促進剤及びその応用態様について、実施形態を例に説明する。但し、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。 また、本開示中に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、各成分の量は、各成分に該当する物質が、組成物中に複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において「HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)値」は、成分として市販品を使用し、かつ、市販品のカタログ等の文献において、その市販品のHLB値が明確に示されている場合には、カタログ等の文献に示された値を採用する。
使用する成分が市販品ではない場合、或いは、市販であってもHLB値がカタログ等の文献に明確に示されていない場合には、本明細書におけるHLB値としては、Griffinの算出式によって求められる値を採用する。Griffinの算出式では、S(エステルのケン化価)の値と、N(エステルを構成する脂肪酸の中和価)の値とを用いて、下記式に従ってHLB値が計算される。HLB値は20に近いほど親水的であることを意味し、0に近いほど親油的であることを意味する。
HLB値=20(1−S/N)
本開示において「グリセリン脂肪酸エステル」との表現には、グリセリン単位及び脂肪酸単位をそれぞれ1つずつ含むグリセリン脂肪酸エステル、いずれか一方を複数含むグリセリン脂肪酸エステル、いずれも複数含むグリセリン脂肪酸エステルの全てが包含され、これらのグリセリン脂肪酸エステルを区別せずに用いる場合に使用される。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において「神経分化」との語は、未分化細胞からの神経細胞への分化(即ち、神経新生)及び神経幹細胞又は神経細胞からの神経突起の伸長(即ち、神経突起伸長)を包含する。
[神経分化促進剤]
本開示に係る神経分化促進剤は、アスタキサンチン及びセサミン系化合物を有効成分とする。本開示に係る神経分化促進剤は、脳内の組織における神経分化を促進させる剤である。
本開示に係る神経分化促進剤は、アスタキサンチンとセサミン系化合物との特異的な組み合わせにより、神経分化において顕著に優れた促進効果が発揮されることを見出した本発明者らの知見に基づく。
本開示の神経分化促進剤が、上記の効果を奏する理由としては、本発明者らは以下のように推測している。但し、下記の推測は、本開示の神経分化促進剤が発揮する効果を限定的に解釈するものではなく、一例として説明するものである。
本発明者らは、本開示の神経分化促進剤による神経分化の顕著に優れた促進効果には、アスタキサンチンとセサミン系化合物との体内おける作用の相違及び体内への吸収性の相違の両方が相関していると考えている。作用の相違については、本発明者らは、アスタキサンチンは、細胞の活性化に寄与しうる要素であることを確認している。一方、セサミン系化合物については、本発明者らは、脳内における神経分化に寄与する要素であるとの知見を有する。さらに、吸収性の相違については、本発明者らは、セサミン系化合物はアスタキサンチンに比して体内への吸収速度が速く、その一方で、アスタキサンチンはセサミン系化合物に比して、吸収ピークが緩やかであることを確認している。また、本発明者らは、アスタキサンチンは、未分化の神経細胞に神経突起を生じさせるといった、神経分化の誘導作用を有さないことを確認している。
上記の相違を有するアスタキサンチン及びセサミン系化合物を組み合わせることで、体内に摂取された本開示の神経分化促進剤は、以下の段階1、段階2及び段階3を経て、神経分化の優れた促進効果を発揮すると推測される。
段階1:セサミン系化合物が脳内における細胞に吸収され、細胞の神経分化に作用し始める。
段階2:セサミン系化合物により上記の段階1の状態になった細胞にアスタキサンチンが吸収され、アスタキサンチンの作用により細胞の活性(即ち、細胞内の代謝)が高まる。なお、細胞の活性化は、細胞内のエネルギー産生代謝経路に関わるNADH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)及びNADPH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)の量を測定することで確認することができる。細胞の活性化は、比色分析を用いて、細胞の代謝亢進の有無を確認することによって確認することもできる。
段階3:段階2において、アスタキサンチンの作用により細胞の活性が高まることで、セサミン系化合物による細胞の神経分化が促進する。
後述するとおり、本開示の神経分化促進剤は、25℃で粉末であり、かつHLB値が10以上のショ糖脂肪酸エステルと、25℃で液状の油剤とを含む特定の態様の神経分化促進用組成物とした場合に、アスタキサンチンの体内での吸収性をより高めることができる。このため、この態様の神経分化促進用組成物においては、上記の段階2において、アスタキサンチンが、より高濃度で細胞に吸収されて、細胞の活性化がより高まり、段階3における神経分化がより促進するものと考えられる。
このような、本開示の神経分化促進剤による効果は、アスタキサンチン又はセサミン系化合物を単独で用いた剤によっては得られない、アスタキサンチン及びセサミン系化合物を有効成分とする本開示の神経分化促進剤に特異的な相乗効果である。例えば、既述の特許文献1(特開2012−229185号公報)等の公知の文献には、アスタキサンチン及びセサミン系化合物の組み合わせによる神経分化促進作用についての着目はない。
なお、本開示の神経分化促進剤によって得られる上記の相乗効果は、上述した本開示の神経分化促進効果が確認できる方法であれば特に限定されないが、遺伝子発現の変化、或いは、細胞の代謝、増殖、分化の変化等により確認することができる。具体的な確認方法の一例としては、以下の方法が挙げられる。
即ち、無処理の神経細胞、アスタキサンチン単独、セサミン系化合物単独、又はアスタキサンチン及びセサミン系化合物の併用にて処理した神経細胞に対して、下記(1)又は(2)に例示する方法を適用することにより確認することができる。
(1)当該細胞からRNAを抽出する。得られたRNAを網羅的な遺伝子発現解析またはPCR(Polymerase Chain Reaction)法により解析し、アスタキサンチン及びセサミン系化合物のみで変動が認められる遺伝子の発現を確認する。
(2)当該細胞の代謝、増殖、分化の変化等を確認する。
本開示の神経分化促進効果の確認において、上記(1)又は(2)の方法を採用する場合、(1)及び(2)の方法の両方を行なうことが好ましい。
上記(1)の方法において発現を確認する遺伝子としては、神経分化との関連が確認されている遺伝子が選択される。上記遺伝子の例としては、PAX6遺伝子、RAB13遺伝子、PTBP2遺伝子、CREBBP遺伝子、PPMA1遺伝子、MEF2A遺伝子、及び、CREB3L2遺伝子からなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子が好適に挙げられる。
本開示においては、神経分化促進に関連する遺伝子の発現を確認する方法として、PAX6遺伝子、RAB13遺伝子、PTBP2遺伝子、CREBBP遺伝子、PPMA1遺伝子、MEF2A遺伝子、及び、CREB3L2遺伝子からなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子の発現を確認する方法を用いる。
PAX6、RAB13、PTBP2、CREBBP、PPMA1、MEF2A、及び、CREB3L2については、神経分化に関して、以下の事項に関する寄与が確認されている。したがって、神経細胞を本開示の神経分化促剤により処理した結果として、上記の遺伝子の発現が確認されることは、本開示の神経分化促剤が神経分化の促進に寄与又は関与していることを示唆する。
PAX6:神経幹細胞の増殖及び分化。
RAB13:神経突起の伸長。
PTBP2:RNAスプライシング制御因子。発生期の脳形成過程に深く関わる。
CREBBP:神経新生。
PPMA1:神経細胞の分化及び生存。
MEF2A:神経細胞の発達・分化や成熟神経細胞におけるシナプス機能の調節。
上記(2)の方法の例には、神経細胞の代謝促進を確認する方法が含まれる。本開示においては、神経細胞の代謝促進を確認する方法としてMTT試験を用いる。MTT試験は、MTT(3-(4,5-di-methylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyltetrazolium bromide)を用いた公知の比色分析試験である。
ここで、本開示は、アスタキサンチン及びセサミン系化合物を含み、PAX6遺伝子、RAB13遺伝子、PTBP2遺伝子、CREBBP遺伝子、PPMA1遺伝子、MEF2A遺伝子、及び、CREB3L2遺伝子からなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子の発現を促進する遺伝子発現促進剤(以下では、単に「遺伝子発現促進剤」とも称する。)を包含する。
また、本開示は、アスタキサンチン及びセサミン系化合物を含む、神経細胞の代謝促進剤(以下では、単に「代謝促進剤」とも称する。)を包含する。
本開示の遺伝子発現促進剤又は代謝促進剤が含むアスタキサンチン及びセサミン系化合物の種類、含有比率等の詳細は、本開示の神経分化促進剤が含むアスタキサンチン及びセサミン系化合物に関する事項と同様であり、その具体的な内容については後述する。
本開示の神経分化促進剤を摂取させる対象は、ヒトであっても、ヒト以外の動物又は細胞であってもよいが、ヒトであることが好ましい。
本開示の神経分化促進剤は、医療用途に用いてもよく、非医療用途に用いてもよい。
本開示の神経分化促進剤による神経分化の促進効果は、認知機能低下の予防又は認知機能の改善に寄与する。したがって、本開示の神経分化促進剤の好適な応用態様は、認知機能の低下を予防する用途又は認知機能を改善する用途に用いる態様を含む。
認知機能とは、ヒトの知的機能を総称した概念であり、理解、判断、記憶、注意、知覚、学習、言語などが含まれる。
本開示において、「認知機能の低下を予防する」とは、本開示の神経分化促進剤の摂取により、認知機能レベルの低下が認められない摂取者において、認知機能レベルの低下を抑制することを意味する。
本開示において、「認知機能を改善する」とは、本開示の神経分化促進剤の摂取により、認知機能レベルの低下が認められる摂取者において、本開示の神経分化促進剤の摂取により、摂取前に比して、認知機能レベルを向上させること、認知機能レベルを維持すること、又は、認知機能レベルの低下の進行を遅延させること、或いは、認知機能レベルの低下が認められない摂取者において、摂取前に比して、認知機能レベルを更に向上させることを意味する。
また、認知機能低下の予防又は認知機能の改善の用途は、本開示の神経分化促進剤を、いわゆる機能性表示食品に適用する場合おいては、例えば、「認知機能の低下が気になる方に」、「記憶力の低下が気になる方に」、「理解力の低下が気になる方に」、「判断力の低下が気になる方に」、「対応力の低下が気になる方に」、「処理能力の低下が気になる方に」、「認識力の低下が気になる方に」、「認知機能の衰え防止に」「理解力の衰え防止に」、「判断力の衰え防止に」、「対応力の衰え防止に」、「処理能力の衰え防止に」「認識力の衰え防止に」等の表示によって示すことができる。
本開示の神経分化促進剤の摂取により、既述の段階1、段階2及び段階3を経て、脳内における神経分化作用が促進され、これにより、段階4:脳の認知機能の低下の予防又は認知機能の改善がなされると考えられる。
本開示の神経分化促進剤を、認知機能の低下の予防又は認知機能を改善する用途に用いる場合、摂取させる対象者は、健常者であっても、認知障害を有する者であってもよい。本開示の神経分化促進剤は、軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:MCI)の状態にある者に摂取させた場合、より効果的に作用することができる。
また、本開示は、アスタキサンチン及びセサミン系化合物を有効成分として含有する神経分化促進剤(本開示の神経分化促進剤)を用いて、認知機能の低下を改善する方法を含む。
本開示の神経分化促進剤を認知機能低下の抑制又は改善の用途に適用する場合、認知機能低下の抑制又は改善の効果は、認知機能検査試験として、Cognitrax(コグニトラックス)認知機能検査試験(以下、単にCognitraxと称する。)を用いて確認することができる。Cognitraxは、米国のCNS Vital Signs社が開発したCNS Vital Signs検査試験に基づく認知機能検査試験である。本開示においては、(株)ヘルス・ソリューションが提供する「Cognitrax ベーシック」を用いて評価した認知機能検査を指標として用いた。
脳機能には、言語記憶、視覚記憶、学習などの単純な機能の他に、下記例に示すような高次な機能が含まれる。
・認識又は感知した情報を、的確に、理解及び対応した上で、運転、楽器の演奏などの認知機能を要する器用な運動へと繋げる力。
・物事又は情報を、判断及び認識し、素早くかつ正確に処理する力。
・単純又は複雑な物事に対する注意力。
・物事に対する柔軟な思考力。
・状況を判断しての意思決定力。
上記例の中でも、特に、「認識又は感知した情報を、的確に、理解及び対応した上で、運転、楽器の演奏などの認知機能を要する器用な動作へと繋げる力」、並びに、「物事又は情報を、判断及び認識し、素早くかつ正確に処理する力」の2つは、単純な記憶力または学習能力と異なり、より高次な認知機能と言える。本開示の神経分化促進剤は、このような高次な認知機能に対しての低下予防又は改善に優れた効果を有する。
換言すれば、本開示の神経分化促進剤を認知機能の低下予防又は改善する用途に用いる場合、認知機能には、器用な動作に必要な理解力、判断力、対応力及び処理能力からなる群より選択される少なくとも1つの能力が含まれる。
Cognitraxは、「言語記憶テスト」、「視覚記憶テスト、「指たたきテスト」、「Symbol Digit Coding(SDC)テスト」、「ストループテスト」「注意シフトテスト」及び「持続処理テスト」からなる7つの試験の結果から、「総合記憶力」、「言語記憶力」、「視覚記憶力」、「認知機能速度」、「反応時間」、「総合注意力」、「認知柔軟性」、「処理速度」、「実行機能」、「単純注意力」及び「運動速度」の11項目を評価する検査試験である。
上記項目のうち、「認知機能速度」は「認識又は感知した情報を、的確に、理解及び対応した上で、運転又は楽器の演奏などの認知機能を要する器用な動作へと繋げる力」に、「処理速度」は「物事又は情報を、判断及び認識し、素早くかつ正確に処理する力」を端的に評価しうる項目である。
ここで、認知機能速度は、運転、楽器の演奏などにも関連するため、表現力を二次的に評価しうるとも考えられる。
このような多面的かつ高度な検査試験を用いることで、本開示の神経分化促進剤の摂取により、器用な動作に必要な理解力、判断力、対応力及び処理能力に相関する高次の認知機能の低下が有意に予防されること、又は、有意に改善されることを確認できる。本開示の神経分化促進剤の摂取は、特に、認知機能速度及び処理速度の項目において有意な改善効果が得られる。
なお、認知機能検査試験の他の例としては、CogHealth(コグヘルス)が挙げられる。CogHealthとは、パソコン画面上でのトランプを用いた認知機能検査試験であり、「単純反応」「選択反応」「作動記憶」「遅延再生」および「注意分散」の5つの評価項目から構成されている。具体的には、「画面上のトランプが裏から赤にひっくり返ったらボタンを押す」、「画面上に映し出されたトランプの色が赤か黒かを判断してボタンを押す」、「画面上のトランプが一つ前のカードと同じであればボタンを押す」、「同一課題において、画面上に同じトランプが表示されたことがあればボタンを押す」、「上下に動くトランプが、あらかじめ設定された線を越えたらボタンを押す」等のテストを行う。しかしながら、CogHealthでは、いずれの項目もボタンを押す/押さないという単純な作業を元に、その平均反応時間を評価しているため、単純な作業に基づいた認知機能についての確認ができるのみであり、Cognitraxの如く複雑な作業に基づいた多面的な高次の認知機能の確認をすることはできない。
本開示の神経分化促進剤による神経分化の促進効果は、精神的疲労感、すなわち、主観的な精神的疲労の緩和に寄与する。したがって、本開示の神経分化促進剤の好適な応用態様の一つは、精神的疲労感を緩和する用途に用いる態様である。
本開示において精神的疲労感の緩和とは、本開示の神経分化促進剤の摂取により、主観的な精神的疲労のレベルが摂取前に比して低下すること、及び、低下を促進することを意味する。
また、精神的疲労感の緩和の用途は、本開示の神経分化促進剤を、いわゆる機能性表示食品に適用する場合おいては、例えば、「疲労感が気になる方に」、「疲れやすい方に」「疲労を自覚している方に」、「疲労感を感じている方に」、「日常生活で生じる一過性の疲労感が気になる方に」等の表示によって示すことができる。
本開示の神経分化促進剤の摂取により、既述の段階1、段階2及び段階3を経て、脳内における神経分化作用が促進され、これにより、段階4’:精神的疲労感が緩和されると考えられる。
また、本開示は、アスタキサンチン及びセサミン系化合物を有効成分として含有する神経分化促進剤(本開示の神経分化促進剤)を用いて、精神的疲労感を緩和する方法を含む。
精神的疲労感とは、精神的なストレスにより引き起こされる疲労感を意味する。上述した認知機能の低下は、日常生活における各種の作業において、精神的なストレスを招来する。したがって、認知機能の低下は、精神的疲労感を引き起こす要因に含まれる。
精神的疲労感の例としては、具体的には、パーソナルコンピュータ(PC)等の視覚表示端末(Visual Display Terminals:VDT)の操作作業における精神的ストレスにより引き起こされる疲労感が挙げられる。
本開示の神経分化促進剤の1日あたりの摂取量は、摂取対象者の状況(年齢、体重、等)により適宜設定しうるが、アスタキサンチンが0.1mg以上30mg以下(好ましくは1mg以上20mg以下、より好ましくは3mg以上12mg以下)であり、かつ、セサミン系化合物が、0.1mg以上50mg以下(好ましくは3mg以上30mg以下、より好ましくは5mg以上20mg以下)となる量であることが好ましい。
本開示の神経分化促進剤の摂取時期及び摂取回数は、特に限定されないが、アスタキサンチンの吸収率がより効率的である観点から、一日一回、食後での摂取であることが好ましい。
本開示の神経分化促進剤の摂取方法としては、経口摂取であることが好ましい。
本開示の神経分化促進剤は、後述する神経分化促進用組成物の態様とすることが好ましい。本開示の神経分化促進剤に適用しうる剤形は、神経分化促進用組成物の項にて説明する剤形に関する事項と同様である。
本開示の神経分化促進剤が含有する有効成分であるアスタキサンチン及びセサミン系化合物について詳細に説明する。
<アスタキサンチン>
本開示の神経分化促進剤における有効成分は、その構成要素の一つとしてアスタキサンチンを含む。
アスタキサンチンは、アスタキサンチン及びその誘導体(アスタキサンキチンのエステル等)から選ばれる少なくとも一方を包含する。本明細書では、アスタキサンチン及びその誘導体を総称して「アスタキサンチン」という。
アスタキサンチンとしては、植物類、藻類、甲殻類、バクテリア等の天然物に由来するアスタキサンチンの他、常法に従って得られるアスタキサンチンの合成品を用いることもできる。
アスタキサンチンは、赤色酵母ファフィア、緑藻ヘマトコッカス、海洋性細菌、オキアミ等の培養物から抽出することができる。
品質及び生産性の観点からは、アスタキサンチンとしては、ヘマトコッカス藻からの抽出物(以下、「ヘマトコッカス藻抽出物」と称する。)又はオキアミからの抽出物(以下、「オキアミ抽出物」とも称する。)に由来するアスタキサンチンが好ましく、ヘマトコッカス藻抽出物に由来するアスタキサンチンが特に好ましくい。
アスタキサンチンは、油剤に溶解された状態であることが好ましい。
ヘマトコッカス藻の具体例としては、ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)、ヘマトコッカス・ラキュストリス(Haematococcus lacustris)、ヘマトコッカス・カペンシス(Haematococcus capensis)、ヘマトコッカス・ドロエバゲンシス(Haematococcus droebakensis)、ヘマトコッカス・ジンバビエンシス(Haematococcus zimbabwiensis)等が挙げられる。
これらの中でも、ヘマトコッカス藻としては、ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)が好ましい。
ヘマトコッカス藻抽出物は、上記のヘマトコッカス藻を、必要に応じて、特開平5−68585号公報等に開示された方法により細胞壁を破砕して、アセトン、エーテル、クロロホルム、アルコール(エタノール、メタノール等)などの有機溶剤、又は超臨界状態の二酸化炭素等の抽出媒体を加えることによって得ることができる。
ヘマトコッカス藻抽出物としては、市販品を用いてもよい。
ヘマトコッカス藻抽出物の市販品の例としては、(株)富士フイルムヘルスケアラボラトリーのASTOTS(登録商標)−S、ASTOTS(登録商標)−5O、ASTOTS(登録商標)−10O等、富士化学工業(株)のアスタリール(登録商標)オイル50F、アスタリール(登録商標)オイル5F等、東洋酵素化学(株)のBioAstin SCE7などが挙げられる。ASTOTSはアスタッツとも称される。
本開示におけるアスタキサンチンとしては、アルコール等の有機溶剤を用いない方法により、天然物より抽出したヘマトコッカス藻抽出物を好適に用いることができる。そのようなヘマトコッカス藻抽出物の例としては、上記のASTOTS(登録商標)−10Oが挙げられる。
ヘマトコッカス藻抽出物中におけるアスタキサンチンの色素純分としての含有率は、製造時の取り扱いの観点から、好ましくは0.001質量%〜50質量%であり、より好ましくは0.01質量%〜25質量%である。
なお、ヘマトコッカス藻抽出物は、特開平2−49091号公報に記載の色素と同様に、色素純分として、アスタキサンチン又はそのエステル体を含有してもよい。
オキアミ抽出物の市販品の例としては、クリルオイル、(株)マリン大王のAstax−ST(商品名)等が挙げられる。
<セサミン系化合物>
本開示の神経分化促進剤における有効成分は、その構成要素の一つとしてセサミン系化合物を含む。
セサミン系化合物は、セサミン及びその類縁体を含む化合物群の総称であり、本開示の神経分化促進剤における有効成分には、これらの化合物群から選択される少なくとも1種が含まれる。
セサミン系化合物の具体例としては、セサミン、エピセサミン、セサミノール、エピセサミノール、セサモリン等を例示できる。セサミン系化合物は、これらの化合物の立体異性体又はラセミ体であってもよい。セサミン系化合物は、セサミン、エピセサミン、又は、セサミン及びエピセサミンの混合物であってもよい。
また、セサミン系化合物としては、例えば、特開平4−9331号公報に記載されたジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体もセサミン類縁体として挙げることができる。セサミン系化合物の代謝物(例えば、特開2001−139579号公報に記載の化合物)も、効果が得られることを示す限りにおいて、本開示におけるセサミン類縁体に包含される。
セサミン系化合物の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を用いればよい。例えば、セサミンであれば、ゴマ油から公知の方法によって抽出した抽出物であってもよい。
セサミン系化合物としては、市販品を用いてもよい。市販品の例としては、バイオアクティブズジャパン(株)製のセサヴィタ、ヴィデヤジャパン(株)製のセサミエキス末等が挙げられる。
本開示の神経分化促進剤において、アスタキサンチンとセサミン系化合物との含有比率(アスタキサンチン:セサミン系化合物)は、質量基準で、0.1:50〜50:0.1が好ましく、1:20〜20:1がより好ましく、3:12〜12:3がさらに好ましい。
[神経分化促進用組成物]
本開示に係る神経分化促進用組成物は、上述した本開示の神経分化促進剤と、担体と、を含有する。神経分化促進用組成物の例としては、医薬用組成物及び食品組成物が挙げられる。
神経分化促進用組成物が含有する担体としては、神経分化促進用組成物の態様に応じて適宜選択することができる。
ここで、本開示において「担体」とは、有効成分とは反応しない固体又は液体の化合物であり、かつ、組成物の形態の維持に寄与するものを指す。
担体としては、例えば、乳化剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、増粘剤、湿潤剤、油剤、溶剤等が挙げられる。担体は、神経分化促進剤及びその他の成分の分散媒として機能する成分であってもよい。また、後述するショ糖脂肪酸エステルは、担体の一態様に包含される成分である。
また、神経分化促進用組成物は、その他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤は、組成物の態様に応じて適宜選択することができる。その他の添加剤の例としては、防腐剤、pH調整剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、消泡剤、甘味料、香料等が挙げられる。
また、その他の添加剤としては、摂取によって健康に有益な効果(健康維持、健康増進、生活習慣病の予防又は改善などの効果)をもたらすことが期待される機能性成分が挙げられる。
このような機能性成分としては、各種ビタミン、ミネラル(亜鉛等)、クロセチン、コラーゲン(加水分解コラーゲン、水溶性コラーゲン等)、オルニチン、レスベラトロール、クロロゲン酸、カフェ酸、ユビキノン(コエンザイムQ10等)、フラボノイド(フラバノン、フラボン、フラボノール、イソフラボン、カテキン、アントシアニン等)、リグナン(セサミン系化合物は含まない。)、クルクミンなどが挙げられる。機能性成分は、植物由来成分でもよく、動物由来成分でもよく、酵母による発酵生産物でも、食用に適した化学合成品であってもよい。
神経分化促進用組成物を、医薬組成物に適用する場合でれば、担体又は添加剤として組成物に含有される成分は、薬学上許容される成分から選択すればよい。そのような成分の例としては、第16改正日本薬局方等に記載される成分が挙げられる。
また、神経分化促進用組成物を、食品組成物に適用する場合であれば、担体及び添加剤として組成物に含有される成分は、一般的に食品に使用することが認められている成分から選択すればよい
神経分化促進用組成物中の神経分化促進剤の含有量は、神経分化促進剤の1日当たりの摂取量を既述の量に設定しうる量であれば特に制限されない。例えば、神経分化促進剤の含有量は、神経分化促進用組成物の全質量に対して、0.01質量%〜100質量%未満とすることができ、0.1質量%〜10質量%であってもよく、0.5質量%〜5質量%であってもよい。
神経分化促進用組成物の剤形としては、例えば、錠剤、被覆錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤又はハードカプセル剤)、液剤、懸濁剤、乳剤等の経口摂取しうる剤形が挙げられる。
これらの中でも、ソフトカプセル剤の剤形とすることが好ましい。剤形をソフトカプセル剤とすることにより、組成物に含まれる各成分の安定性を保持することができる。さらに、組成物に含まれる成分に由来する臭いを遮蔽することができる。
本開示の神経分化促進用組成物を適用してなる食品組成物は、健康食品、機能性食品、栄養補助食品等として好適に用いることができる。これらの食品の形態は、固形状、半固形状、液状、ゲル状等のいかなる形態であってもよい。また、食品組成物は、サプリメントとして提供されることも好ましい。
神経分化促進用組成物の摂取量としては、神経分化促進剤の1日当たりの摂取量が既述の量となる量であればよい。
本開示の神経分化促進用組成物の好適な一実施態様は、本開示の神経分化促進剤と、担体として、25℃で粉末であり、かつ、HLB値が10以上のショ糖脂肪酸エステルの粉末(以下、単に「ショ糖脂肪酸エステル」ともいう。)と、25℃で液状の油剤(以下、「特定油剤」ともいう。)と、を含む組成物である態様である。
本実施態様の組成物において、ショ糖脂肪酸エステルの粉末は、特定油剤を含む分散媒に、分散していることが好ましい。
本実施態様の組成物は、食品組成物であることが好ましい。
本実施態様の組成物では、特定油剤を含む分散媒中にショ糖脂肪酸エステルが含まれることで、水に不溶なアスタキサンチンの水との親和性が、ショ糖脂肪酸エステルにより補完されることから、アスタキサンチンの体内での吸収性が向上するものと考えられる
したがって、本実施態様の組成物とすることで、アスタキサンチンの体内での吸収性がより向上し、既述のセサミン系化合物の作用と相俟って、神経分化の促進効果がより向上する。
以下、本開示の神経分化促進用組成物が、上記の実施態様である場合における好適な成分について、詳細に説明する。
<神経分化促進剤>
神経分化促進剤としては、既述した神経分化促進剤に関する事項が同様に適用されるため、ここでは説明を省略する。
<ショ糖脂肪酸エステルの粉末>
本実施形態の組成物は、25℃で粉末であり、かつ、HLB値が10以上のショ糖脂肪酸エステルの粉末を含む。このような特定のショ糖脂肪酸エステルの粉末を含むことにより、アスタキサンチンの体内での吸収性が向上する。
ショ糖脂肪酸エステルの粉末は、1種単独であってもよく、2種以上の併用であってもよい。
ショ糖脂肪酸エステルの粉末は、25℃で液状の油剤(特定油剤)を含む分散媒中に分散されていることが好ましい。ショ糖脂肪酸エステルは、25℃で粉末である。ショ糖脂肪酸エステルは25℃で粉末であることにより、特定油剤を含む分散媒中で良好に分散する。
ショ糖脂肪酸エステルの粉末は、目開き180μm(約83メッシュ)のフィルタを通過する大きさであることが好ましく、目開き150μm(約100メッシュ)のフィルタを通過する大きさであることがより好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルのHLB値は、アスタキサンチンの体内での吸収性の観点から、10以上であり、好ましくは12以上であり、より好ましくは14以上である。
また、ショ糖脂肪酸エステルのHLB値は、両親媒性を示す観点から、好ましくは19以下である。
ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数は、例えば、両親媒性を示す観点から、8以上であることが好ましく、10〜18であることがより好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルの具体例としては、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル等が挙げられる。
これらの中でも、ショ糖脂肪酸エステルとしては、アスタキサンチンの体内での吸収性の観点から、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、及びショ糖ステアリン酸エステルから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ショ糖ラウリン酸エステルであることが特に好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルの粉末の市販品としては、リョートー(登録商標)シュガーエステル S1170(商品名、ショ糖ステアリン酸エステル、HLB値:約11(カタログ値)、三菱化学フーズ(株))、リョートー(登録商標)シュガーエステル S1570(商品名、ショ糖ステアリン酸エステル、HLB値:約15(カタログ値)、三菱化学フーズ(株))、リョートー(登録商標)シュガーエステル S1670(商品名、ショ糖ステアリン酸エステル、HLB値:約16(カタログ値)、三菱化学フーズ(株))、リョートー(登録商標)シュガーエステル P1570(商品名、ショ糖パルミチン酸エステル、HLB値:約15(カタログ値)、三菱化学フーズ(株))、リョートー(登録商標)シュガーエステル P1670(商品名、ショ糖パルミチン酸エステル、HLB値:約16(カタログ値)、三菱化学フーズ(株))、リョートー(登録商標)シュガーエステル L1695(商品名、ショ糖ラウリン酸エステル、HLB値:約16(カタログ値)等が挙げられる。
ショ糖脂肪酸エステルの粉末の含有量は、例えば、アスタキサンチンの体内での吸収性の観点から、神経分化促進用組成物の全量に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。
また、ショ糖脂肪酸エステルの粉末の含有量は、例えば、摂取のしやすさの観点から、神経分化促進用組成物の全量に対して、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルの粉末の含有量は、例えば、アスタキサンチンの体内での吸収性の観点から、アスタキサンチン100質量部に対して、100質量部以上であることが好ましく、300質量部以上であることがより好ましい。
また、ショ糖脂肪酸エステルの粉末の含有量は、例えば、摂取のしやすさの観点から、アスタキサンチン100質量部に対して、10000質量部以下であることが好ましく、8000質量部以下であることがより好ましい。
HLB値が10以上のショ糖脂肪酸エステルは、油に溶解しないため、特定油剤を含む分散媒中では、粉末の状態で存在する。したがって、特定油剤を含む分散媒中に、ショ糖脂肪酸エステルの粉末の存在を確認することができれば、ショ糖脂肪酸エステルのHLB値が10以上であるといえる。確認方法としては、光学顕微鏡、遠心分離、溶媒(例えば、ショ糖脂肪酸エステルを溶解させずに、油性成分を溶解させる溶媒)抽出、これらの組み合わせ等が挙げられる。
また、HLB値が10以上のショ糖脂肪酸エステルは、油に溶解しないため、対象物の水抽出物を、液体クロマトグラフ法(LC:Liquid Chromatography)、質量分析法(MS:Mass Spectrometry)、赤外分光法(IR:Infrared Spectroscopy)、核磁気共鳴法(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)、これらの方法の組み合わせ等を用いて分析することにより、対象物にショ糖脂肪酸エステルが含まれていることを確認することができる。
<25℃で液状の油剤>
本実施態様の組成物は、25℃で液状の油剤(特定油剤)を含む。特定油剤は、ショ糖脂肪酸エステルの粉末の分散媒として機能する。
特定油剤は、1種単独であってもよく、2種以上の併用であってもよい。
特定油剤は、神経分化促進用組成物に適用でき、かつ、25℃で液体の油剤であれば、特に制限されない。
なお、本開示において、「25℃で液体の油剤」とは、融点が25℃未満である油剤を意味する。
特定油剤としては、油脂、高級脂肪酸等が挙げられる。
油脂としては、オリーブ油、アボカド油、トウモロコシ油、ナタネ油、卵黄油、小麦胚芽油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、胚芽油、サフラワー油(即ち、紅花油)、パーム油、ココナッツ油、アーモンド油、サザンカ油、ツバキ油、月見草油、グレープシード油等の植物由来の油脂が挙げられる。また、特定油剤としては、これらの植物由来の油脂から抽出されるトコフェロール、トコトリエノール等も挙げられる。
高級脂肪酸としては、炭素数が8以上の脂肪酸であれば、特に制限されるものではなく、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベへニン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられる。
これらの中でも、特定油剤としては、食品組成物に含まれる各成分(アスタキサンチン、ショ糖脂肪酸エステルの粉末等)を安定に配合することができ、また、食品組成物の剤形として、ソフトカプセル剤を選択した場合に、ソフトカプセル化に適した液物性(粘度等)を得ることができる点において、サフラワー油及びココナッツ油から選ばれる少なくとも1種が好ましく、工業的に扱い易いという点において、特にサフラワー油が好ましい。
特定油剤の含有量は、例えば、製造時におけるハンドリング性の観点から、アスタキサンチン100質量部に対して、100質量部以上であることが好ましく、200質量部以上であることがより好ましい。
また、特定油剤の含有量は、例えば、摂取のしやすさの観点から、アスタキサンチン100質量部に対して、10000質量部以下であることが好ましく、8000質量部以下であることがより好ましい。
<ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル>
本実施態様の組成物は、HLB値が10以上のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(以下、単に「ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル」ともいう。)を更に含むことが好ましい。本実施形態の組成物は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを更に含むことにより、アスタキサンチンの体内での吸収性がより向上する。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含む場合、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは1種単独で含まれてもよく、2種以上が併用されてもよい。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのHLB値は、10以上であることが好ましく、12以上であることがより好ましい。
また、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのHLB値は、両親媒性を示す観点から、好ましくは19以下である。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのオキシエチレン基の平均付加数は、例えば、親疎水性バランスの観点から、10〜30であることが好ましく、15〜25であることが好ましい。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミチン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル等が挙げられる。
これらの中でも、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、アスタキサンチンの体内での吸収性の観点から、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステルが好ましい。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの市販品としては、ウィルサーフ(登録商標) TF−20(商品名、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、HLB値:16.7(カタログ値)、日油(株))、ウィルサーフ TF−60(商品名、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル、HLB値:15.7(カタログ値)、日油(株))、ウィルサーフ TF−80(商品名、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル、HLB値:15.7(カタログ値)、日油(株))等が挙げられる。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの含有量は、例えば、アスタキサンチンの体内での吸収性の観点から、アスタキサンチン100質量部に対して、20質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であることがより好ましい。
また、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの含有量は、例えば、摂取のしやすさの観点から、本実施形態の組成物の全量に対して、10000質量部以下であることが好ましく、8000質量部以下であることがより好ましい。
<他の成分>
本実施形態の組成物は、上記した以外の他の成分を、効果を損なわない範囲内で、必要に応じて含んでもよい。他の成分としては、神経分化促進用組成物が含有しうる担体又は添加剤として例示した各種の成分から選択することができる。
(クロセチン)
本実施形態の組成物は、クロセチンを更に含むことができる。
クロセチンは、カロテノイドの1種であり、クチナシの果実、サフランの柱頭等に含まれるクロシンを加水分解することにより得ることができる。
本実施形態の組成物は、クロセチンを更に含むことにより、眼精疲労改善効果、睡眠改善効果等の付加的な効果が期待できる。
本実施形態の組成物がクロセチンを含む場合、クロセチンの含有率は、特に制限されず、期待される効果の種類、程度等に応じて、適宜、設定することができる。
(乳化剤)
本実施形態の組成物は、乳化剤を含んでもよい。乳化剤を含むことにより、本実施形態の組成物は、特定油剤を含む分散媒中にショ糖脂肪酸エステルの粉末をより安定に含むことができる。
本実施形態の組成物が乳化剤を含む場合、乳化剤を1種単独で含んでもよく、2種以上を組み合わせて含んでもよい。
乳化剤としては、特に制限されるものではなく、例えば、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル等が挙げられる。
これらの中でも、ノニオン性界面活性剤としては、例えば、両親媒性を示す観点から、HLB値が15以下であるグリセリン脂肪酸エステルが好ましく、HLB値が1〜10の範囲であるグリセリン脂肪酸エステルがより好ましい。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、平均重合度が1〜10のポリグリセリンと、炭素数8〜18の脂肪酸、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、又はリノール酸とのエステルであることが好ましい。
グリセリン脂肪酸エステルの市販品としては、エマックス(登録商標) BW−36(商品名、HLB値:3〜5、理研ビタミン(株))、SYグリスター(登録商標) MS−3S(商品名、テトラグリセリンモノステアリン酸エステル、HLB値:8.4、阪本薬品工業(株))、SYグリスター(登録商標) MO−3S(商品名、テトラグリセリンモノオレイン酸エステル、HLB値:8.8、阪本薬品工業(株))、SYグリスター(登録商標) PO−5S(商品名、ヘキサグリセリンペンタオレイン酸エステル、HLB値:4.7、阪本薬品工業(株))等が挙げられる。
本実施形態の組成物が乳化剤を含む場合、乳化剤の含有量は、例えば、特定油剤を含む分散媒中におけるショ糖脂肪酸エステルの粉末の分散安定性の観点から、特定油剤100質量部に対して、1質量部〜1000質量部であることが好ましい。
[神経分化促進用組成物の製造方法]
神経分化促進用組成物の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
神経分化促進用組成物が、本開示の神経分化促進剤と、担体として、25℃で粉末であり、かつ、HLB値が10以上のショ糖脂肪酸エステルの粉末と、25℃で液状の油剤(特定油剤)を含む分散媒と、を含む組成物の態様である場合には、例えば、以下に述べる方法により製造することができる。
上記実施態様の組成物は、神経分化促進剤と、ショ糖脂肪酸エステルの粉末と、特定油剤と、必要に応じて、他の成分と、を混合すること(以下、「混合工程」ともいう。)を含む方法により、製造することができる。
混合方法は、特に制限されるものではなく、例えば、全ての成分を一度に混合してもよいし、逐次混合してもよい。ショ糖脂肪酸エステルの粉末を良好に分散させる観点からは、アスタキサンチンと特定油剤とを混合してオイル溶液を得た後、得られたオイル溶液に、セサミン系化合物、ショ糖脂肪酸エステルの粉末等の成分を混合することが好ましい。
混合手段としては、特に制限されるものではなく、市販のいずれの混合手段を用いてもよい。混合手段としては、撹拌機、ミキサー等の混合手段が挙げられる。
混合の際の温度、時間等の条件は、特に制限されるものではなく、食品組成物に含まれる成分の種類により、適宜調整することができる。例えば、ショ糖脂肪酸エステルの粉末を含んで混合する際の温度は、ショ糖脂肪酸エステルが粉末の形態を保持できる温度である必要があることから、ショ糖脂肪酸エステルの融点未満の温度に設定することが好ましい。
上記の製造方法は、必要に応じて、上記混合工程以外の他の工程を含むことができる。他の工程としては、例えば、混合工程前の前処理工程として、ショ糖脂肪酸エステルの粉末を粉砕処理する粉砕工程が挙げられる。
粉砕手段としては、食品原料の乾式粉砕に適した装置、例えば、微粉砕機、グラインダー、クラッシャー、ミル等を使用した手段が挙げられる。
ショ糖脂肪酸エステルの粉末の粉砕処理は、ベタツキを抑制する観点から、ショ糖脂肪酸エステルの粉末の温度を、好ましくは5℃〜25℃、より好ましくは10℃〜20℃に保った状態で行う。
また、ショ糖脂肪酸エステルの粉末の粉砕処理は、粉砕品の90%以上が、好ましくは目開き180μm(約83メッシュ)のフィルタを通過し、より好ましくは目開き150μm(約100メッシュ)のフィルタを通過するように行う。
剤形をソフトカプセル剤とする場合には、カプセル皮膜内に、混合工程にて得られた混合液(以下、「中身液」ともいう。)を封入する工程、中身液を封入したカプセル皮膜を乾燥させる工程等の製剤化工程等を含んでもよい。
カプセル皮膜は、ゼラチン、グリセリン、及び水を含むことが好ましい。
カプセル皮膜におけるグリセリンの含有量は、例えば、ゼラチン100質量部に対して、10質量部〜70質量部であることが好ましい。
カプセル皮膜内に中身液を封入する方法としては、ロータリー式(ロータリーダイ式等)、シームレス式、平板式等の公知の方法が挙げられる。
中身液を封入したカプセル皮膜を乾燥させる方法としては、特に制限されるものではなく、タンブラー乾燥機(即ち、回転ドラム式乾燥機)等の公知の乾燥機を使用することができる。
乾燥の際の温度、時間等の条件は、特に制限されるものではなく、食品組成物に含まれる成分及びカプセル皮膜に含まれる成分の種類により、適宜調整することができる。
乾燥機による乾燥後は、ソフトカプセルを更に乾燥させることが好ましい。この場合の乾燥温度としては、20℃〜30℃程度が好ましく、湿度としては、10%RH〜50%RH程度が好ましく、乾燥時間としては、3日〜10日程度が好ましい。
ソフトカプセル剤の形状としては、特に制限されるものではなく、楕円(OVAL)、長方形(OBLONG)、球状(ROUND)等のいずれの形態をとることもできる。これらの形状にするため、当業界で周知の方法又は装置を適用することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
1.細胞代謝試験
細胞代謝試験は、神経芽細胞腫細胞株NB−1(以下、「NB−1細胞」と略称する。)を、処理液(ジメチルスルホキシド(DMSO)、アスタキサンチン含有溶液、セサミン含有溶液、又は、アスタキサンチン及びセサミンの混合溶液)を用いて処理し、処理後の細胞における細胞代謝機能の向上の有無を観察することにより行なった。試験は、細胞数測定キット(MTT Cell Count Kit、ナカライテスク(株))を用いたMTT試験により行なった。詳細は以下の通りである。
・NB−1細胞:
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所JCRB細胞バンク(JCRB0621)より入手した。
・細胞培養:
「RPMI1640(富士フイルム和光純薬(株))/10%FBS(コーニング社)/1%ペニシリン−ストレプトマイシン(富士フイルム和光純薬(株))」を用いて培養した。
・アスタキサンチン:
ASTOTS−10O(商品名、ヘマトコッカス藻由来アスタキサンチンオイル、アスタキサンチン濃度:10質量%、富士フイルム(株))
・セサミン:
ゴマエキス セサヴィタ(登録商標)(商品名、White Sesamin Extract 90質量%、セサミン系化合物、バイオアクティブズジャパン(株))
<処理液の調製>
処理液として、下記に示すアスタキサンチン溶液、セサミン溶液、及びアスタキサンチン−セサミン混合溶液、及び、DMSO(コントロール)を用いた。
・アスタキサンチン溶液(溶液A1及び溶液A2)
上記のアスタキサンチンをDMSOに溶解させて、31μmol/L(溶液A1)、及び、63μmol/L(溶液A2)の2種の溶液をそれぞれ調製した。
・セサミン溶液(溶液S1及び溶液S2)
上記のセサミンをDMSOに溶解させて、セサミン濃度が、52μmol/L(溶液S1)、及び、105μmol/L(溶液S2)の2種の溶液をそれぞれ調製した。
・アスタキサンチン−セサミン混合溶液(溶液AS1及び溶液AS2)
上記のアスタキサンチン及びセサミンをDMSOに溶解させて、アスタキサンチン濃度及びセサミン濃度(アスタキサンチン+セサミン)が、31μmol/L+52μmol/L(溶液AS1)、及び、63μmol/L+105μmol/L(溶液AS2)の2種の混合溶液をそれぞれ調製した。溶液AS1及び溶液AS2は、本開示の神経分化促進剤を含む。
<MTT試験>
NB−1細胞を無血清培地を用いて4×10cells/wellの播種密度で、96ウェルプレート(コーニング社)に播種した。24時間後、上記で調製した処理液とMTT(10μL/well)とを各ウェルに添加して、COインキュベーター内で、37℃で3時間反応させた。その後、可溶化溶液を各ウェルに100μLずつ添加して、混合した後、マイクロプレートリーダー(FlexStation 3、Molecular Devices社)を用いて、570nmの吸光度を測定した。n=3にて実施した。マイクロプレートリーダーでの読み取りを10分間隔で2回繰り返し、各サンプル液につき計6つのデータを得た。得られたデータの最大値と最小値とを棄却した結果を、結果を図1に示す。
<結果>
図1に示すように、処理液としてアスタキサンチン−セサミン混合溶液(溶液AS1及び溶液AS2)を用いた試験の結果は、その他の処理液を用いた試験の結果との対比において、有意に神経細胞の代謝が向上していることが分かる。
2.遺伝子発現解析試験
遺伝子発現解析試験は、NB−1細胞を、処理液(DMSO、アスタキサンチン溶液、セサミン溶液、又は、アスタキサンチン−セサミン混合溶液を用いて処理し、処理後の細胞を破砕して、DNAマクロアレイに供することにより行なった。詳細は以下の通りである。
<処理液の準備>
上記の細胞代謝試験で用いた処理液のうち、DMSO、溶液A1(アスタキサンチン濃度:31μmol/L)、溶液S1(セサミン濃度:52μmol/L)、及び、溶液AS1(アスタキサンチン濃度31μmol/L+セサミン濃度52μmol/L)を、処理液として用いた。
<サンプルの調製>
NB−1細胞(細胞代謝試験で用いたものと同じ)に対して、処理液(DMSO、溶液A1、溶液S1又は溶液AS1)を6時間作用させたサンプルを、それぞれ調製した。具体的には、NB−1細胞を無血清培地を用いて4×10cells/wellの播種密度で、96ウェルプレート(コーニング社)に播種した。24時間後、上記で調製した処理液を各ウェルに添加して、COインキュベーター内で、37℃で6時間反応させた。
<RNAの抽出>
サンプル500μLから、TRIzol Reagentの定法に従いRNAを抽出し、10μgをRNeasy mini kit(QIAGEN社)を用いて精製した。
精製は、一部の変更を除きキットの定法に従った。すなわち、凝集に用いる100%エタノールの量を250μLから950μLに変更したほか、RNaseフリー水100μLを50μLずつスピンカラム・メンブレンに透過させてRNAを溶出した。
また、RNA溶出時には、RNaseフリー水をスピンカラム・メンブレンに添加後、1分間静置した後に遠心操作を行った。
得られたRNAサンプルをエタノール沈澱法により精製及び濃縮した後、10μLの溶液から1μLを用いてNanoDrop(Thermo fisher scientific社)にて吸光度を測定し、濃度を算出した。また、Agilent 2100 バイオアナライザ RNA6000ナノキット(Agilent)を用いてRNAの品質チェックを行った。すべてのサンプルにおいてRNA Integrity Number (RIN)が9.4以上であり、ほぼ分解のない状態であることが確認された。
<DNAマイクロアレイ実験>
・DNAマイクロアレイデータの取得
上記にて得た精製RNAを500ng用いて、GeneChip(登録商標) WT PLUS Reagent Kit(Thermo fisher scientific)の定法に従い、DNAマイクロアレイに供するサンプルを調製した。合成したcRNAおよびsingle−stranded cDNAについては、NanoDrop(Thermo fisher scientific社)にて吸光度を測定し、濃度を算出した後、Agilent 2100 バイオアナライザにて電気泳動し、伸長反応の確認を行った。
泳動確認後のcDNAは、断片化した後、ラベル化し、Clariom(登録商標) S Array, human(Thermo fisher scientific社)にハイブリダイズし、DNAマイクロアレイデータを得た。使用装置は、以下の通りである。
・GeneChip(登録商標) Fluidics Station 450(DNAマイクロアレイの洗浄および染色)
・GeneChip(登録商標) Scanner 3000 7G(DNAマイクロアレイの画像スキャン)
・Affymetrix(登録商標) GeneChip(登録商標)Command Console(登録商標) (AGCC) software program
<DNAマイクロアレイデータの正規化及び変動プローブセットの抽出>
各個体データについて、計算環境R3.4.4にてFactor Analysis for Robust Microarray Summarization(qFARMS)による正規化を行った。
その後、R3.3.1にてrank products法を実行し、DMSO処理群 対 アスタキサンチン処理群、DMSO処理群 対 セサミン処理群、及び、DMSO処理群 対 アスタキサンチン−セサミン処理群の3パターンの2群間比較を行った。FDR<0.05を有意な発現変動と定義し、該当プローブセットを「発現変動プローブセット」として抽出し、その中から神経細胞分化に関連する遺伝子をさらに抽出した。
1)DNAマイクロアレイデータからの発現変動プローブセットの抽出
DMSO処理群に対する各処理群の発現変動プローブセットを抽出した。すなわち、いずれかの処理群間で、FDR*<0.05の有意な発現変動が認められたプローブセットを抽出した。
*FDR:False Discovery Rate 有意水準指標の一つ。
2)アスタキサンチン−セサミン処理群に特異的な変動プローブセットを用いた神経分化に関連する遺伝子の抽出
上記の1)において、アスタキサンチン−セサミン処理群において特異的に発現が増加した128のプローブセットを対象に、神経細胞分化に関連する遺伝子を抽出したところ、PAX6、RAB13、PTBP2、CREBBP、PPM1A、MEF2A、及びCREB3L2が確認された。
<DNAマイクロアレイデータの正規化及び解析>
各個体データについて、Transcriptome Analysis Console (TAC) ソフトウェア(Thermo fisher scientific 社)で、sst−RMA正規化を行った。その後、神経細胞分化に関連する遺伝子に関してR3.3.2を用いて一元配置分散分析後、Turkey HSD で有意差を検定し、p<0.05を有意な発現変動と定義した。
結果を図2に示す。図2中、「Ast」は「アスタキサンチン」を示し、「Ses」は「セサミン」を示し、「Ast.Ses」は「アスタキサンチン−セサミン」を示す。
図2に示すとおり、アスタキサンチン/セサミン系化合物処理群で特異的に発現上昇が認められた遺伝子として、CREBBP及びRAB13が確認された。
以上のとおり、アスタキサンチンとセサミン系化合物との組み合わせは、アスタキサンチンを単独で用いた場合、又は、セサミン系化合物を単独で用いた場合に対比して、「細胞代謝試験」では神経細胞の代謝向上が確認され、「遺伝子発現解析試験」では神経細胞分化に関連する遺伝子の発現上昇が確認された。これらの結果は、本開示の神経分化促進剤によって、アスタキサンチン又はセサミン系化合物を、それぞれ単独で用いた剤によっては得られない、神経細胞の顕著な分化促進効果が得られることを裏付けるものである。
3.神経分化促進剤及び神経分化促進用組成物
[神経分化促進用組成物の製造]
アスタキサンチン及びセサミン系化合物を有効成分とする神経分化促進剤を含む組成物(神経分化促進用組成物)を、下記に実施例に示すソフトカプセル製剤として製造した。
<実施例1>
サフラワー油(食用油脂、日清オイリオ(株))116.19質量部と、エマックス(登録商標) BW−36(商品名、グリセリン脂肪酸エステル、HLB値:3〜5、理研ビタミン(株))15質量部と、を60℃の加熱下で、攪拌機を用いて十分に混合し、均一なオイル溶液とした。オイル溶液が均一であることは、目視にて確認した。
このオイル溶液を50℃に冷却した後、SYグリスターCRS−75(商品名、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、阪本薬品工業(株))7質量部と、E−MIX−α1000(商品名、ビタミンE(トコフェロール)、タマ生化学(株))2.25質量部と、を加えて混合し、さらに、アスタッツ−10O(商品名、ヘマトコッカス藻由来アスタキサンチンオイル、アスタキサンチン濃度:10質量%、(株)富士フイルムヘルスケアラボラトリー)34.5質量部と、SYグリスターMO−3S(商品名、テトラグリセリンモノオレイン酸エステル、阪本薬品工業(株))4質量部と、ウィルサーフ TF−20(商品名、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、HLB値:16.7(カタログ値)、日油(株))3質量部と、を加え、十分に混合し、混合物を得た。なお、混合物の調製には、攪拌機を用いた。
得られた混合物に、LALMIN Se2000(商品名、ミネラル酵母、ミネラル:Se(セレン)、三輪製薬(株))6.25質量部と、ビール酵母亜鉛10%含有(商品名、ビール酵母、亜鉛10質量%含有、Kelatron Corporation製)25質量部と、R−αリポ酸CD(商品名、αリポ酸R体のシクロデキストリン包接体、(株)シクロケム)6.25質量部と、ビタミンC(商品名、扶桑化学工業(株))25質量部と、ゴマエキス セサヴィタ(登録商標)(商品名、White Sesamin Extract 90質量%、セサミン系化合物、バイオアクティブズジャパン(株))5.56質量部と、を加え、攪拌機を用いて十分に混合した後、得られた混合物を、湿式ミルを用いて粉砕処理し、粉砕処理物を得た。
次に、リョートー(登録商標)シュガーエステル L1695(商品名、ショ糖ラウリン酸エステル、HLB値:約16、三菱化学フーズ(株))を、10℃〜20℃の温度を保った状態で、粉砕機を用いて乾式粉砕処理し、リョートー(登録商標)シュガーエステル L1695の粉砕品(ショ糖脂肪酸エステルの粉砕品)を得た。得られたショ糖脂肪酸エステルの粉砕品の90%以上が、目開き150μm(約100メッシュ)のフィルタを通過することを確認した。
得られたショ糖脂肪酸エステルの粉砕品25質量部と、サフラワー油(食用油脂、日清オイリオ(株))25質量部と、をミキサーを用いて、室温(25℃)で混合し、得られた混合物と、上記にて得られた粉砕処理物の全量と、を室温(25℃)にて、攪拌機を用いて十分に混合したものを、ソフトカプセルの中身液とした。
次に、ゼラチン100質量部に対してグリセリンを35質量部含むゼラチンシートを、ダイロールに送りながらシート接合部に中身液300mgを滴下し、楕円(OVAL)形状のソフトカプセルを作製した。作製したソフトカプセルに対して、タンブラー乾燥及び静置乾燥を行い、ソフトカプセル製剤とした。乾燥後のソフトカプセル製剤の重量を測定したところ、1粒あたり460±30mgであった。
得られたソフトカプセル製剤には、傷、割れ等の欠陥は認められなかった。
[評価]
実施例1で得たソフトカプセル製剤(製剤1)及び神経分化促進剤を含まないプラセボ製剤を用いて、認知機能低下の改善及び精神的疲労感の緩和についての評価を行なった。
実施例製剤である製剤1に含有される神経分化促進剤は、有効成分として、アスタキサンチン 6mg及びセサミン 10mgを含有する。
(1)認知機能低下の改善
評価試験は、軽度認知障害(MCI)を有する50歳〜79歳の男女を被験者として、ランダム化二重盲検並行群間プラセボ比較試験により行なった。
被験者のうち7名を製剤1の摂取群とし、7名をプラセボ製剤の摂取群とし、合計14名を評価した。
各被験者は、12週間、2粒のカプセル製剤を摂取した。
認知機能検査は、各被験者について、Cognitrax認知機能検査ツール(Cognitraxベーシック,(株)ヘルス・ソリューション提供,http://www.cognitrax.jp/)を用い、摂取前、摂取6週後、及び摂取12週後のそれぞれの時点において実施した。
その後、Cognitrax試験評価項目である、総合記憶力、言語記憶力、視覚記憶力、認知機能速度、反応時間、総合注意力、認知柔軟性、処理速度、実行機能、単純注意力、及び運動速度の各項目についての標準化スコアを解析した。各検査時のプラセボ製剤の摂取群と製剤1の摂取群の比較を対応のないt検定で統計解析を行い、摂取前からの変化量に関しても同様の解析を行った。
認知機能速度及び処理速度の2項目における摂取12週目の変化量について、結果を表1及び図3に示す。図3中、「*」はp<0.05を示す。
その結果、認知機能速度及び処理速度の2項目における摂取12週目の変化量に対し、製剤1の摂取群に有意な改善が認められた。

(2)精神的疲労感の緩和についての評価
評価試験は、日常作業で疲れを感じている30歳〜60歳の健常な男女を被験者として、ランダム化二重盲検2試験区クロスオーバー試験により行なった。
日常作業で疲れを感じていることは、具体的には、Chalder Fatigue Scaleのスコアが21点以上であることで判断した。
被験者を半数ずつの2群にわけ、1群は、製剤1、プラセボ製剤の順で、もう1群はプラセボ製剤、製剤1の順で製剤を摂取し、合計22名を評価した。
各被験者は、4週間、毎朝食後に2粒のカプセル製剤を摂取した。
評価試験は、日本疲労学会のガイドラインに示されているVisual Analogue Scale(VAS)に準じて、主観指標を用いて行った。具体的には、摂取4週後の時点において、各被験者について、精神作業負荷としてパソコンによる短期記憶課題(2−back課題)30分と探索作業(Advanced Trail Making Test:ATMT)30分とを交互に4セット、計4時間行ない、主観指標(疲労感)を測定することで実施した。
疲労感は、日本疲労学会のガイドラインに示されているVisual Analogue Scale(VAS)に準じて、負荷開始前、負荷2時間後、負荷4時間後、回復2時間後、回復4時間後、及び翌朝の6点で評価した。
結果を表2、図4及び図5に示す。表2、図4及び図5中、「*」はp<0.05を示し、「**」はp<0.01を示す。
その結果、実施例製剤である製剤1の摂取群はプラセボ製剤の摂取群と比較して、負荷開始前からの変化量において、翌朝の時点で有意な疲労感の低下がみられた。
また、負荷4時間後からの変化量において、回復2時間後、及び回復4時間後での有意な疲労感の低下が確認された。
このことから、実施例製剤が、精神作業負荷による疲労感(精神的疲労感)からの回復を促進することが明らかとなった。

Claims (6)

  1. アスタキサンチン及びセサミン系化合物を有効成分とする神経分化促進剤。
  2. セサミン系化合物が、セサミン、エピセサミン、又は、セサミン及びエピセサミンの混合物である請求項1に記載の神経分化促進剤。
  3. 認知機能の低下を予防する用途又は認知機能を改善する用途に用いる、請求項1又は請求項2に記載の神経分化促進剤。
  4. 精神的疲労感を緩和する用途に用いる、請求項1又は請求項2に記載の神経分化促進剤。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の神経分化促進剤と、担体と、を含有する、神経分化促進用組成物。
  6. 担体が、25℃で粉末であり、かつ、HLB値が10以上のショ糖脂肪酸エステルの粉末と、25℃で液状の油剤と、を含む、請求項5に記載の神経分化促進用組成物。


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