JP2014084351A - ポリオルガノシロキサン変性体、該変性体を含有する組成物、該組成物を硬化させてなる硬化物 - Google Patents

ポリオルガノシロキサン変性体、該変性体を含有する組成物、該組成物を硬化させてなる硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】高い耐熱性、耐光性を有し耐冷熱衝撃性に優れ、かつ、より高いガスバリア性を有するポリオルガノシロキサン変性体、該変性体を含有する組成物、該組成物を硬化させてなる硬化物を提供する。
【解決手段】1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を少なくとも1個有する化合物、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサン化合物、1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個有するシラン化合物のヒドロシリル化反応生成物であるポリオルガノシロキサン変性体、該変性体を含有する組成物、該組成物を硬化させてなる硬化物。
【選択図】なし

Description

本発明は、高い耐熱性、耐光性を有し、ガスバリア性および耐冷熱衝撃性に優れるポリオルガノシロキサン系組成物に関する。
ポリオルガノシロキサン系組成物は、耐熱性、耐寒性、耐候性、耐光性、化学的安定性、電気特性、難燃性、耐水性、透明性、着色性、非粘着性、非腐食性に優れており、様々な産業で利用されており、応用例の一つとして、光半導体素子封止剤用途への展開を意図したものがある。例えば特許文献1において、1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を2〜6個有する有機化合物、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサン化合物、1分子中に少なくとも1つ以上のエポキシ基又はオキセタニル基とSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個有する有機化合物、及びSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個有する化合物とを含有するポリオルガノシロキサン系組成物が開示されているが、オキセタニル基やエポキシ基を有しているため、耐熱性、耐光性については改善の余地があった。
また、特許文献2では1分子当たり少なくとも1個のケイ素結合水素原子及び1個のシクロシロキサンを含有するオルガノハイドロジェンシリコン化合物が開示されている。オルガノハイドロジェンシリコン化合物やポリオルガノシロキサン系組成物は優れた特性を持つ一方で、一般にガスバリア性が低いといった問題点を有している。そのため、光半導体素子封止剤用途で用いた場合、リフレクターが硫化物によって黒色化する問題があり、この問題に対して、例えば特許文献3では、予め金属部材をガスバリア性の高いアクリル系樹脂でコーティング処理を行っている。しかしながら、アクリル系樹脂でコーティング処理を行った後に、別途シリコーン樹脂で封止する等、手間がかかり、生産性に問題があった。
特開2008−291137号公報 WO03/093349 特開2009−206124
本発明の目的は、高い耐熱性、耐光性を有し耐冷熱衝撃性に優れ、かつ、より高いガスバリア性を有するポリオルガノシロキサン変性体、該変性体を含有する組成物、該組成物を硬化させてなる硬化物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、
1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を少なくとも1個有する化合物(α1)と1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサン化合物(β1)と1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個有するシラン化合物(γ1)に由来する構造を有することを特徴とするポリオルガノシロキサン変性体により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下の構成を有するものである。
1)(α1)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を少なくとも1個有する化合物、
(β1)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサン化合物及び、
(γ1)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個有するシラン化合物のヒドロシリル化反応生成物であって、前記化合物(α1)が、
1,3−ビス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3−ビス(ビニルオキシ)アダマンタン、1,3、5−トリス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3、5−トリス(ビニルオキシ)アダマンタン、ジシクロペンタジエン、5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、ジビニルベンゼン、ビニルシクロヘキセン、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、下記一般式(I)
Figure 2014084351
(式中、R1は同じでも異なっていてもよい炭素数1〜20の有機基或いは水素原子を表し、少なくとも1個のR1はSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する置換基を有しても良い炭素数2〜20の有機基を表わす。)、
Figure 2014084351
から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とするポリオルガノシロキサン変性体。
2)前記一般式(I)で表される化合物が、アリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、アリルジメチルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレート、モノアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレートからなる群から選ばれる少なくとも一種である、1)に記載のポリオルガノシロキサン変性体。
3)前記化合物(β1)が、下記一般式(II)
Figure 2014084351
(式中、R2は同じでも異なっていてもよい炭素数1〜6の有機基を表し、mとnは3≦m+n≦10且つ2≦m≦10を満たす数を表す。)で表される1)及び2)に記載のポリオルガノシロキサン変性体。
4)前記化合物(γ1)が、下記一般式(III)
Figure 2014084351
(式中、R3はSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個有する置換基を有してもよい炭素数2〜10の有機基を表し、R4は同じでも異なっていてもよい炭素数1〜10の有機基を表す。)で表される1)〜3)に記載のポリオルガノシロキサン変性体。
5)R4のうち少なくとも1個がフェニル骨格を有する4)に記載のポリオルガノシロキサン変性体。
6)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する化合物(A)、1分子中にSiH基を少なくとも2個有する化合物(B)、ヒドロシリル化触媒(C)を必須成分として含有してなる組成物であって、(B)成分中に1)〜5)に記載のポリオルガノシロキサン変性体を含有する硬化性組成物。
7)前記化合物(A)がトリアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートからなる群において選ばれる少なくとも1種類の化合物である1)〜6)に記載の硬化性組成物。
8)6)及び/又は7)に記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
高い耐熱性、耐光性を有し耐冷熱衝撃性に優れ、かつ、より高いガスバリア性を有するポリオルガノシロキサン変性体、該変性体を含有する組成物、該組成物を硬化させてなる硬化物を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を少なくとも1個有する化合物(α1)>
(α1)は、1,3−ビス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3−ビス(ビニルオキシ)アダマンタン、1,3、5−トリス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3、5−トリス(ビニルオキシ)アダマンタン、ジシクロペンタジエン、5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、ジビニルベンゼン、ビニルシクロヘキセン、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、下記一般式(I)
Figure 2014084351
(式中、R1は同じでも異なっていてもよい炭素数1〜20の有機基或いは水素原子を表し、少なくとも1個のR1はSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する置換基を有しても良い炭素数2〜20の有機基を表わす。)、
Figure 2014084351
から選ばれる少なくとも一種以上の化合物である。
得られるポリオルガノシロキサン変性体と後述する化合物(A)及びヒドロシリル化触媒(C)を必須成分とする組成物を硬化させて成る硬化物の耐熱性の観点から(α1)がアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、アリルジメチルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレート、モノアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレートからなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
上記した各種化合物(α1)は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可
能である。
<1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサン化合物(β1)>
次に、(β1)について説明する。化合物(β1)については1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状のオルガノポリシロキサン化合物であれば特に限定されず、例えば国際公開WO96/15194に記載される化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。
これらのうち、入手性および化合物(α1)との反応性が良いという観点からは、さらに、下記一般式(II)
Figure 2014084351
式中、R2は同じでも異なっていてもよい炭素数1〜6の有機基を表し、mとnは3≦m+n≦10且つ2≦m≦10を満たす数を表す。)で表される環状オルガノポリシロキサンが好ましい。
一般式(II)で表される化合物中の置換基R2は、C、H、Oから構成されるもの
であることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさ
らに好ましい。
一般式(II)で表される化合物としては、入手容易性及び反応性の観点からは、1
,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
上記した各種化合物(β1)は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可
能である。
<1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個有するシラン化合物(γ1)>
次に、1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個有するシラン化合物(γ1)について説明する。
化合物(γ1)については、1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個有するシラン化合物であれば特に限定されないが、入手容易性や耐熱性・耐光性・ガスバリア性の観点から一般式(III)
Figure 2014084351
(式中、R3はSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個有する置換基を有してもよい炭素数2〜10の有機基を表し、R4は同じでも異なっていてもよい炭素数1〜10の有機基を表す。)で表されるシラン化合物が好適であり、SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個有する置換基を有してもよい炭素数2〜10の有機基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が例示されるが、耐熱性・耐光性の観点から、ビニル基、アリル基が好ましい。
また、R4の同じでも異なっていてもよい炭素数1〜10の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が例示されるが、耐熱性・耐光性・ガスバリア性を兼備する観点から、R4のうち少なくとも一個はフェニル基であることが好ましい。
化合物(γ1)の具体例としては、ビニルジフェニルメチルシラン、ビニルジメチルフェニルシラン、ビニルトリフェニルシランが挙げられる。
上記した各種化合物(γ1)は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可
能である。
<ポリオルガノシロキサン変性体>
本発明のポリオルガノシロキサン変性体は、後述のヒドロシリル化触媒の存在下、1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を少なくとも1個有する化合物(α1)と1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個有するシラン化合物(γ1)を1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサン化合物(β1)とヒドロシリル化反応させることにより得られる。
本発明のポリオルガノシロキサン変性体を得る方法としては、特に限定されず種々設定できるが、予め(α1)成分と(β1)成分を反応させた後、(γ1)成分を反応させても良いし、予め(γ1)成分と(β1)成分を反応させた後、(α1)成分を反応させても良いし、(α1)成分と(γ1)成分を共存させて(β1)成分と反応させても良い。各反応の終了後に、例えば減圧・加熱条件下にて、揮発性の未反応成分を留去し、目的物あるいは次のステップへの中間体として用いても良い。(γ1)成分と(β1)成分のみが反応した、(α1)成分を含まない化合物の生成を抑制するためには、(α1)成分と(β1)成分を反応させ、未反応の(β1)成分を留去した後、(γ1)成分を反応させる方法が好ましい。
こうして得られたポリオルガノシロキサン変性体には、反応に用いた(α1)成分のアルケニル基が一部残存していてもよい。
(β1)成分の添加量は、(α1)成分が有するアルケニル基1個に対し、ヒドロシリル基の数が2.5〜20個になるように用いることが好ましい。添加量が少ないと、架橋反応によりゲル化が進行するため、ポリオルガノシロキサン変性体のハンドリング性が劣る場合があり、添加量が多いと、硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
(γ1)成分の添加量は、(β1)成分が有するヒドロシリル基1個に対し、アルケニル基の数が0.01〜0.6個になるように用いることが好ましい。添加量が少ないと、得られる硬化物の耐冷熱衝撃性が低下する場合があり、添加量が多いと、得られる硬化物の耐熱性や耐光性が低下する場合がある。
ポリオルガノシロキサン変性体の合成時に用いるヒドロシリル化触媒の添加量としては特に制限はないが、反応に用いる(α1)成分及び(γ1)成分のアルケニル基1モルに対して10-1〜10-10モルの範囲で用いるのがよい。好ましくは10-4〜10-8モルの範囲で用いるのがよい。ヒドロシリル化触媒が多いと、ヒドロシリル化触媒の種類によっては、短波長の光に吸収を示すため、着色原因になったり、得られる硬化物の耐光性が低下する恐れがあり、また、硬化物が発泡する恐れもある。また、ヒドロシリル化触媒が少ないと、反応が進まず、目的物が得られない恐れがある。
ヒドロシリル化反応の反応温度としては、30〜400℃、さらに好ましくは、40〜250℃であることが好ましく、より好ましくは、45〜140℃である。温度が低すぎると反応が十分に進行せず、温度が高すぎると、ゲル化が生じ、ハンドリング性が悪化する恐れがある。
このようにして得られたポリオルガノシロキサン変性体は、各種化合物、特にはシロキサン系化合物との相溶性を確保でき、さらに、分子内にヒドロシリル基が導入されていることから、各種アルケニル基を有する化合物(1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する化合物(A))と反応させることが可能となる。
1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する化合物(A)は、後述の1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン及び/又は1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物に分類することができ、ポリオルガノシロキサン変性体と1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン及び/又は1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物と反応させることにより、硬化物を得ることができる。
<1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン>
本発明における1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンのシロキサンのユニット数は、特に限定されないが、2つ以上が好ましく、さらに好ましくは、2〜10個である。1分子中のシロキサンのユニット数が少ないと、組成物から揮発しやすくなり、硬化後に所望の物性が得られないことがある。また、シロキサンのユニット数が多いと、得られた硬化物のガスバリア性が低下する場合がある。
本発明における1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンは、アリール基を有していることが、ガスバリア性の観点から好ましい。また、アリール基を有する1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンは、耐熱性、耐光性の観点から、Si原子上に直接アリール基が結合していることが好ましい。また、アリール基は分子の側鎖または末端いずれにあってもよく、このようなアリール基含有ポリシロキサンの分子構造は限定されず、例えば直鎖状、分岐鎖状、一部分岐鎖状を有する直鎖状の他に、環状構造を有してもよい。
このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2−プロピルフェニル基、3−プロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2−ブチルフェニル基、3−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、3−イソブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、3−tブチルフェニル基、4−tブチルフェニル基、3−ペンチルフェニル基、4−ペンチルフェニル基、3−ヘキシルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、3−シクロヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,3−ジエチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、2,5−ジエチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、3,4−ジエチルフェニル基、3,5−ジエチルフェニル基、ビフェニル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,4,5−トリメチルフェニル基、3−エポキシフェニル基、4−エポキシフェニル基、3−グリシジルフェニル基、4−グリシジルフェニル基等が挙げられる。中でも、耐熱・耐光性の観点から、フェニル基が好ましい例として挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種以上併用して用いてもよい。
本発明における1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンとしては、耐熱性、耐光性の観点から、アルケニル基を2個以上有する直鎖状ポリシロキサン、分子末端にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン、アルケニル基を2個以上有する環状シロキサンなどが好ましい例として挙げられる。
アルケニル基を2個以上有する直鎖状ポリシロキサンの具体例としては、ジメチルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリメチルフェニルシロキサンなどが例示される。
分子末端にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンの具体例としては、先に例示したジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルビニルシロキサン単位2つ以上とSiO2単位、SiO3/2単位、SiO単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位からなるポリシロキサンなどが例示される。
アルケニル基を2個以上有する環状シロキサン化合物としては、1,3,5,7−ビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−ビニル−1−フェニル−3,5,7−トリメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−ビニル−1,3−ジフェニル−5,7−ジメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−ビニル−1,5−ジフェニル−3,7−ジメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−ビニル−1,3,5−トリフェニル−7−メチルシクロテトラシロキサン、1−フェニル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3−ジフェニル−5,7−ジビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリビニル−1,3,5−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタビニル−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサビニル−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサンなどが例示される。
これら1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンは、単独で用いても良く、2種類以上併用して用いてもよい。
1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンの添加量は種々設定できるが、アルケニル基1個あたり、ポリオルガノシロキサン変性体であるポリオルガノシロキサン系変性体に含まれるSi原子に直結した水素原子が0.3〜5個、好ましくは、0.5〜3個となる割合で添加されることが望ましい。アルケニル基の割合が少ないと、発泡等による外観不良が生じやすくなり、また、アルケニル基の割合が多いと、硬化後の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明のポリオルガノシロキサン変性体のヒドロシリル基と1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンのアルケニル基をヒドロシリル化反応させることにより、硬化物となすことができる。ヒドロシリル化反応に際してはヒドロシリル化触媒を用いることが好ましい。この反応に用いることができるヒドロシリル化触媒としては、後述のものを用いることができる。ポリオルガノシロキサン変性体と1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンのヒドロシリル化反応の際には、ポリオルガノシロキサン変性体の合成の際に用いたヒドロシリル化触媒がポリオルガノシロキサン変性体とともに持ち込まれるので、ヒドロシリル化触媒を別途用いなくても構わない。
<1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物>
1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に2個以上含有する有機化合物であれば特に限定されない。有機化合物としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、ハロゲンのみを含むものであることが好ましい。シロキサン単位を含むものの場合は、ガス透過性やはじきの問題がある。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内の
どこに存在してもよいが、下記一般式(IV)
Figure 2014084351
(式中R5は直接結合あるいは炭素数1〜18の二価の有機基を表し、R6は水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される基が反応性の点から好適である。
1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数は、1分子当たり2〜6個あればよいが、硬化物の力学強度をより向上したい場合には2を越えることが好ましく、3個以上であることがより好ましい。1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数が1分子中当たり1個以下の場合は、化合物(β1)と反応してもグラフト構造となるのみで架橋構造とならない。一方、1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数が1分子中当たり6個より多い場合は、得られる硬化物が脆くなる傾向があり好ましくない。
1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物としては反応性が良好であるという観点からは、1分子中に炭素−炭素二重結合を3個以上含有していることが好ましい。また、得られる硬化物が脆くならないという観点からは、1分子中に炭素−炭素二重結合を4個以下含有していることがより好ましい。
1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物としては、力学的耐熱性が高いという観点および原料液の糸引き性が少なく成形性、取扱い性、塗布性が良好であるという観点からは、分子量が900未満のものが好ましく、700未満のものがより好ましく、500未満のものがさらに好ましい。
1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物としては、良好な作業性を得るためには、23℃における粘度が100Pa・s未満のものが好ましく、30Pa・s未満のものがより好ましい。粘度はE型粘度計によって測定することができる。
1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物としては、着色、特に黄変の抑制の観点からはフェノール性水酸基及び/又はフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物の含有量が少ないものが好ましく、フェノール性水酸基および/またはフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物を含まないものが好ましい。本発明におけるフェノール性水酸基とはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等に例示される芳香族炭化水素核に直接結合した水酸基を示し、フェノール性水酸基の誘導体とは上述のフェノール性水酸基の水素原子をメチル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、アセトキシ基等のアシル基等により置換された基を示す。
得られる硬化物の着色が少なく、耐光性が高いという観点からは、1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物としては1,3−ビス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3−ビス(ビニルオキシ)アダマンタン、1,3、5−トリス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3、5−トリス(ビニルオキシ)アダマンタン、ジシクロペンタジエン、5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、ジビニルベンゼン、ビニルシクロヘキセン、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが好ましく、アリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、アリルジメチルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレート、モノアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレートが特に好ましい。
1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物はその他の反応性基を有していてもよい。この場合の反応性基としては、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。これらの官能基を有している場合には得られる硬化性組成物の接着性が高くなりやすく、得られる硬化物の強度が高くなりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、これらの官能基のうちエポキシ基が好ましい。
1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物としては、特に、耐熱性、耐光性が高いという観点から下記一般式(I)で表されるトリアリルイソシアヌレート及びその誘導体が特に好ましい。
Figure 2014084351
(式中、R1は同じでも異なっていてもよい炭素数1〜20の有機基或いは水素原子を表し、少なくとも1個のR1はSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する置換基を有しても良い炭素数2〜20の有機基を表わす。)で表わされる化合物が好ましい。
上記一般式(I)のR1としては、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるとい
う観点からは、炭素数1〜10の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜4の一価の有機基であることがより好ましい。これらの好ましいR1の例としては、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基
等が挙げられる。
上記一般式(I)のR1としては、得られる硬化物の各種材料との接着性が良好にな
りうるという観点からは、3つのR1のうち少なくとも1つがエポキシ基を一つ以上含む
炭素数1〜20の一価の有機基であることが好ましい。これらの好ましいR1の例としては、グリシジル基、
Figure 2014084351
等が挙げられる。
上記一般式(I)のR1としては、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好になり
うるという観点からは、2個以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、Oのみを
含む炭素数1〜20の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜20の一価の炭化
水素基であることがより好ましい。これらの好ましいR1の例としては、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリ
ル基、グリシジル基等が挙げられる。
上記一般式(I)のR1としては、反応性が良好になるという観点からは、3つのR
1のうち少なくとも1つが
下記一般式(IV)
Figure 2014084351
(式中R5は直接結合あるいは炭素数1〜18の二価の有機基を表し、R6は水素原子あるいはメチル基を表す。)で表される有機化合物であることが好ましい。
上記一般式(IV)のR5は、直接結合あるいは炭素数1〜18の二価の有機基であるが、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、直接結合あるいは炭素数1〜10の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜4の二価の有機基であることがより好ましい。これらの好ましいR8の例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等が挙げられる。
上記一般式(IV)のR6は、水素原子あるいはメチル基であるが、反応性が良好であるという観点からは、水素原子が好ましい。
上記した1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
<ヒドロシリル化触媒>
本発明では、ポリオルガノシロキサン変性体の合成、および、該変性体を含有する組成物を硬化させる際に、ヒドロシリル化触媒を用いる。
本発明で用いるヒドロシリル化触媒としては、通常ヒドロシリル化触媒として公知のものを用いることができ、特に制限はない。
具体的には例示すれば、白金−オレフィン錯体、塩化白金酸、白金の単体、担体(アルミナ、シリカ、カーボンブラック等)に固体白金を担持させたもの、白金−ビニルシロキサン錯体、例えば、Ptn(ViMe2SiOSiMe2Vi)n、Pt〔(MeViSiO)4m;白金−ホスフィン錯体、例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu34;白金−ホスファイト錯体、例えば、Pt〔P(OPh)34、Pt〔P(OBu)34(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは整数を表す)、Pt(acac)2、また、Ashbyらの米国特許第3159601及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、並びにLamoreauxらの米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラ−ト触媒も挙げられる。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh33、RhCl3、Rh/Al23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4、等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用しても構わない。触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)2等が好ましい。
<硬化遅延剤>
硬化遅延剤は、本発明のポリオルガノシロキサン系組成物の保存安定性を改良あるいは、硬化過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整するための成分である。本発明においては、硬化遅延剤としては、ヒドロシリル化触媒による付加型硬化性組成物で用いられている公知のものが使用でき、具体的には脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらを単独使用、または2種以上併用してもよい。
前記の脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、具体的には3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸エステル類等が例示できる。
有機リン化合物としては、具体的にはトリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示できる。
有機イオウ化合物としては、具体的にはオルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示できる。
窒素含有化合物としては、具体的にはN,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N′,N′−テトラエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン、2,2’−ビピリジン等が例示できる。
スズ系化合物としては、具体的にはハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示できる。
有機過酸化物としては、具体的にはジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示されうる。これらのうち、マレイン酸ジメチル、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが、特に好ましい硬化遅延剤として例示できる。
硬化遅延剤の添加量は、特に限定するものではないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対して10-1〜103モルの範囲で用いるのが好ましく、1〜100モルの範囲で用いるのがより好ましい。また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
<ポリオルガノシロキサン系組成物>
本発明のポリオルガノシロキサン系組成物は、ポリオルガノシロキサン変性体に、必要に応じて、1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン及び/又は1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物、ヒドロシリル化触媒、硬化遅延剤を加えることにより得ることができる。本発明のポリオルガノシロキサン系組成物は、液状樹脂組成物として取り扱うことが可能である。液状樹脂組成物とすることにより、型、パッケージ、基板等に、注入あるいは塗布して硬化させることで、用途に応じた成型体を容易に得ることができる。
硬化させる際に温度を加える場合は、好ましくは、30〜400℃、さらに好ましくは50〜250℃である。硬化温度が高くなり過ぎると、得られる硬化物に外観不良が生じる傾向があり、低すぎると硬化が不十分となる。また、2段階以上の温度条件を組み合わせて硬化させてもよい。具体的には例えば、70℃、120℃、150℃の様に段階的に硬化温度を引き上げていくことで、良好な硬化物を得ることができ好ましい。
硬化時間は硬化温度、用いるヒドロシリル化触媒の量及び反応性基の量、その他、本願組成物のその他の配合物の組み合わせにより適宜選択することができるが、あえて例示すれば、1分〜12時間、好ましくは10分〜8時間行うことにより、良好な硬化物を得ることができる。
ポリオルガノシロキサン変性体、1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン及び/又は1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物の組成比率はアルケニル基のモル数/SiH基のモル数が0.5〜3となる範囲が好ましく、0.7〜1.5となる範囲がより好ましい。組成比率は小さい或いは大きい場合、耐熱性や耐光性、ガスバリア性などの物性が十分ではない場合がある。
本発明のポリオルガノシロキサン系組成物は、必要に応じて接着性付与剤を添加することができる。
接着性付与剤は本発明におけるポリオルガノシロキサン系組成物と基材との接着性を向上する目的で用いるものであり、その様な効果があるものであれば特に制限はないが、シランカップリング剤が好ましい例として例示できる。
シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、具体的には3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
シランカップリング剤の添加量としては、ポリオルガノシロキサン変性体と1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン及び/又は1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物の混合物100重量部に対して、0.05〜30重量部であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜10重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明においては、接着性付与剤の効果を高めるために、公知の接着性促進剤を用いることができる。接着性促進剤としては、エポキシ含有化合物、エポキシ樹脂、ボロン酸エステル化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のポリオルガノシロキサン系組成物は、必要に応じて無機フィラーを添加することができる。
本発明のポリオルガノシロキサン系組成物の組成分として無機フィラーを用いることにより、得られる成形体の強度、硬度、弾性率、熱膨張率、熱伝導率、放熱性、電気的特性、光の反射率、難燃性、耐火性、およびガスバリア性等の諸物性を改善することができる。
無機フィラーは、無機物もしくは無機物を含む化合物であれば特に限定されないが、具体的に例えば、石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系無機フィラー、アルミナ、ジルコン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、ガラス繊維、ガラスフレーク、アルミナ繊維、炭素繊維、マイカ、黒鉛、カーボンブラック、フェライト、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マンガン、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、無機バルーン、銀粉等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
無機フィラーは、適宜表面処理をほどこしてもよい。表面処理としては、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、シランカップリング剤による処理等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
無機フィラーの形状としては、破砕状、片状、球状、棒状等、各種用いることができる。無機フィラーの平均粒径や粒径分布は、特に限定されるものではないが、ガスバリア性の観点から、平均粒径が0.005〜50μmであることが好ましく、さらには0.01〜20μmであることがより好ましい。同様に、BET比表面積についても、特に限定されるものでないが、ガスバリア性の観点から、70m2/g以上であることが好ましく、100m2/g以上であることがより好ましく、さらに200m2/g以上であることが特に好ましい。
無機フィラーの添加量は特に限定されないが、ポリオルガノシロキサン変性体と1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン及び/又は1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物の混合物100重量部に対して、1〜1000重量部、よりこの好ましくは、3〜500重量部、さらに好ましくは、5〜300重量部である。無機フィラーの添加量が多いと、流動性が悪くなる場合があり、無機フィラーの添加量が少ないと、所望の物性が得られない場合がある。
無機フィラーの混合の順序としては、特に限定されないが、貯蔵安定性が良好になりやすいという点においては、1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン及び/又は1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物に混ぜた後、ポリオルガノシロキサン変性体を混合する方法が望ましい。また、反応成分であるポリオルガノシロキサン変性体、1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン及び/又は1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物がよく混合され安定した成形物が得られやすいという点においては、ポリオルガノシロキサン変性体、1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン及び/又は1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物を混合したものに、無機フィラーを混合することが好ましい。
これら無機フィラーを混合する手段としては、特に限定されるものではないが、具体的に例えば、2本ロールあるいは3本ロール、遊星式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、ディゾルバー、プラネタリーミキサー等の撹拌機、プラストミル等の溶融混練機等が挙げられる。無機フィラーの混合は、常温で行ってもよいし加熱して行ってもよく、また、常圧下で行ってもよいし減圧状態で行ってもよい。混合する際の温度が高いと、成型する前に組成物が硬化する場合がある。
また、本発明のポリオルガノシロキサン系組成物には、必要に応じて蛍光体、着色剤、耐熱性向上剤などの各種添加剤や反応制御剤、離型剤あるいは充填剤用分散剤などを任意で添加することができる。この充填剤用分散剤としては、例えば、ジフェニルシランジオール、各種アルコキシシラン、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子量シロキサンなどが挙げられる。なお、これら任意成分は、本発明の効果を損なわないように最小限の添加量に止めることが好ましい。
本発明のポリオルガノシロキサン系組成物には、上記した成分をロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの混練機を用いたり、遊星式攪拌脱泡機を用いて均一に混合し、必要に応じ加熱処理を施したりしてもよい。
本発明のポリオルガノシロキサン系組成物は、成形体として使用することができる。成形方法としては、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、発泡成形、射出成形、液状射出成形、注型成形などの任意の方法を使用することができる。
本発明において得られる成型体の用途としては、具体的に例えば、液晶ディスプレイ分野における基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、カラーフィルター、偏光子保護フィルム、パッシベーション膜などの液晶用フィルムなどの液晶表示装置周辺材料が例示される。また、PDP(プラズマディスプレイ)の封止剤、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、カラーフィルター、パッシベーション膜、またLED表示装置に使用されるLED素子のモールド材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、カラーフィルター、パッシベーション膜、またプラズマアドレス液晶ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、カラーフィルター、偏光子保護フィルム、パッシベーション膜、また有機ELディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、カラーフィルター、接着剤、パッシベーション膜、またフィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、カラーフィルター、パッシベーション膜が例示される。
光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、封止剤、接着剤が例示される。さらに具体的には、次世代DVD等の光ピックアップ用の部材、例えば、ピックアップレンズ、コリメータレンズ、対物レンズ、センサレンズ、保護フィルム、素子封止剤、センサー封止剤、グレーティング、接着剤、プリズム、波長板、補正板、スプリッタ、ホログラム、ミラー等が例示される。
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部が例示される。また、ビデオカメラの撮影レンズ、ファインダーが例示される。またプロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルム、封止剤、接着剤などが例示される。光センシング機器のレンズ用材料、封止剤、接着剤、フィルムなどが例示される。
光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子の封止剤、接着剤などが例示される。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルール、封止剤、接着剤などが例示される。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路、LED素子の封止剤、接着剤などが例示される。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤、接着剤などが例示される。
光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイドなど、工業用途のセンサー類、表示・標識類など、また通信インフラ用および家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーが例示される。
半導体集積回路周辺材料では、層間絶縁膜、パッシベーション膜、LSI、超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料が例示される。
自動車・輸送機分野では、自動車用のランプリフレクタ、ベアリングリテーナー、ギア部分、耐蝕コート、スイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、各種内外装品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク、自動車用防錆鋼板、インテリアパネル、内装材、保護・結束用ワイヤーネス、燃料ホース、自動車ランプ、ガラス代替品が例示される。また、鉄道車輌用の複層ガラスが例示される。また、航空機の構造材の靭性付与剤、エンジン周辺部材、保護・結束用ワイヤーネス、耐蝕コートが例示される。
建築分野では、内装・加工用材料、電気カバー、シート、ガラス中間膜、ガラス代替品、太陽電池周辺材料が例示される。農業用では、ハウス被覆用フィルムが例示される。
次世代の光・電子機能有機材料としては、次世代DVD、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤、接着剤などが例示される。
次に本発明の組成物を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(粘度)
東京計器製 E型粘度計を用いた。測定温度23.0℃、EHD型48φ1倍コーンで測定した。
(SiH価)
下記のSiH価は、その化合物とジブロモエタンの混合物を作り、重クロロホルムに溶解させ、ブルカー・バイオスピン株式会社製 400MHz NMRを用いてNMR測定を行うことで、下記計算式(1)
SiH価(mol/kg)=[化合物のSiH基に帰属されるピークの積分値]/[ジブロモエタンのメチル基に帰属されるピークの積分値]×4×[混合物中のジブロモエタン重量]/[ジブロモエタンの分子量]/[混合物中の化合物重量] (1)
を用いて計算した。
(耐熱試験、耐光試験用サンプル作成)
組成物を型に充填し、対流式オーブンで80℃×2時間、100℃×1時間、150℃×5時間熱硬化させて、厚さ2mmのサンプルを作成した。
(耐熱試験)
上記の通り作成したサンプルを、150℃に温度設定した対流式オーブン内(空気中)で200時間養生し、目視にて観察した。着色などによる色目の変化が見られなかったものを◎、わずかに着色が見られたものを○、着色が見られたものを×と評価した。
(耐光試験)
スガ試験機(株)社製、メタリングウェザーメーター(形式M6T)を用いた。上記の通り作成したサンプルを、ブラックパネル温度120℃、放射照度0.53kW/m2で、積算放射照度50MJ/m2まで照射し、目視にて観察した。着色などによる色目の変化が見られなかったものを◎、わずかに着色が見られたものを○、着色が見られたものを×と評価した。
(耐冷熱衝撃試験用サンプル物作成)
株式会社エノモト製LEDパッケージ(品名:TOP LED 1−IN−1)に、0.4mm×0.4mm×0.2mmの単結晶シリコンチップ1個を、株式会社ヘンケルジャパン製エポキシ系接着剤(品名:LOCTITE348)で貼り付け、150℃に温度設定した対流式オーブンで30分加熱して固定した。ここに組成物を注入し、対流式オーブンで80℃×2時間、100℃×1時間、150℃×5時間熱硬化させてサンプルを作成した。
(耐冷熱衝撃試験)
上記の通り作成したサンプルを、熱衝撃試験機(エスペック製 TSA−71H−W)を用いて、高温保持100℃、30分間、低温保持−40℃、30分間のサイクルを1000サイクル行った後、サンプルを観察した。試験後、目視で確認を行い、樹脂とパッケージとの間の剥離、樹脂のクラック、着色が無いものを○とし、樹脂とパッケージとの間の剥離、樹脂のクラック、着色のいずれか一つでも認められた場合を×とした。
(透湿性試験用サンプル作成)
(本発明では、得られた硬化物のガスバリア性の指標として、硬化物の透湿度を用いた。すなわち、透湿度が低いことはガスバリア性が高いことと同義となる。)組成物を型に充填し、対流式オーブンで80℃×2時間、100℃×1時間、150℃×5時間熱硬化させて、5cm角、厚さ2mmのサンプルを作成した。このサンプルを室温60℃、湿度90%RHの環境で24時間養生した。
(透湿性試験)
5cm角の板ガラス(0.5mm厚)の上部に5cm角のポリイソブチレンゴムシート(3mm厚、ロの字型になるように内部の3cm角を切り取ったもの)を固定した治具を作製し、和光純薬工業製塩化カルシウム(水分測定用)1gをロの字型内に充填する。さらに上部に、上記の5cm角、厚さ2mmのサンプルを固定し、これを試験体とする。試験体を恒温恒湿機(エスペック製 PR‐2KP)内で温度60℃、湿度90%RHで24時間養生し、下記計算式(2)
透湿度(g/m2/day)=[(透湿性試験後の試験体総重量(g))−(透湿性試験前の試験体総重量(g))]×10000/9 (2)
に従って透湿度(水蒸気透過率)を算出した。
(硫化水素試験)
株式会社エノモト製LEDパッケージ(品名:TOP LED 1−IN−1)に組成物を注入し、対流式オーブンで80℃×2時間、100℃×1時間、150℃×5時間熱硬化させてサンプルを作成した。このサンプルを、フロー式ガス腐食試験機(ファクトケイ製KG130S)内に入れ、60℃、80%RH、硫化水素3ppmの条件下で、96時間、硫化水素暴露試験を行った。試験後、パッケージのリードフレーム部分が変色していなければ◎、わずかに変色が見られた場合は〇、黒くなっている場合は×とした。
(製造例1)
ジフェニルメチルビニルシラン71.80g、0.03%白金ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液0.20gをトルエン10gに溶解した。この溶液を窒素雰囲気下、100〜110℃の温度範囲下、撹拌しながら1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラメチルシクロシロキサン 48.08gとトルエン109.74gの混合液へ2時間かけて滴下した。滴下終了後1時間撹拌し、トリアリルイソシアヌレート12.46g、0.03%白金ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液0.48gをトルエン12.43gに溶解した液を窒素雰囲気下、100〜110℃の温度範囲下、撹拌しながら2時間かけて滴下した。滴下終了後1時間撹拌した後、室温まで反応液を冷却しエバポレーターで溶媒を減圧留去することにより液状のポリオルガノシロキサン変性体131.8g(SiH価 2.31mol/kg)を得た。
(製造比較例1)
2Lオートクレーブにトルエン696g、1、3、5、7−テトラメチルシクロテトラシロキサン556gを加えて、内温が104℃になるように加熱した。そこに、トリアリルイソシアヌレート80g、3%白金−ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)0.05g、トルエン60gの混合物を滴下し、7時間加熱撹拌させた。未反応の1、3、5、7−テトラメチルシクロテトラシロキサンおよびトルエンを減圧留去しることにより液状のポリオルガノシロキサン変性体(SiH価 9.2mol/kg)を得た。
(製造比較例2)
2Lオートクレーブにトルエン600g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン200gを入れ、気相部を窒素で置換した後、ジャケット温50℃で加熱、攪拌した。アリルグリシジルエーテル96g、トルエン96g及び3%白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液0.027gの混合液を60分かけて滴下した。滴下終了後にジャケット温を60℃に上げて40分反応した後、トリアリルイソシアヌレート14g、トルエン14gの混合液を滴下、ジャケット温を105℃に上げて、トリアリルイソシアヌレート56g、トルエン56g及び3%白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液0.017gの混合液を30分かけて滴下した。滴下終了から4時間後、反応液を室温まで冷却し、エバポレーターで溶媒を減圧留去することにより液状のポリオルガノシロキサン変性体(SiH価 5.1mol/kg)を得た。
(実施例1)
製造例1で得られたポリオルガノシロキサン変性体20.25g、ジアリルモノメチルイソシアヌレート4.77g、3%白金ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液2.1μL、マレイン酸ジメチルの10%トルエン溶液2.3μL、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.125g、1−エチニルシクロヘキサノールの10%トルエン溶液5.4μLを加えて撹拌し、組成物を得た。このようにして得られた組成物を用いて上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
(実施例2)
製造例1で得られたポリオルガノシロキサン変性体17.66g、1,5−ジビニル−3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン7.34g、3%白金ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液1.9μL、マレイン酸ジメチルの10%トルエン溶液1.9μL、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.125g、1−エチニルシクロヘキサノールの10%トルエン溶液5.4μLを加えて撹拌し、組成物を得た。このようにして得られた組成物を用いて上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
(比較例1)
製造比較例1で得られたポリオルガノシロキサン変性体12.00g、トリアリルイソシアヌレート8.00g、3%白金ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液0.02g、1−エチニルシクロヘキサノール0.02gを加えて撹拌し、組成物を得た。このようにして得られた組成物を用いて上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
(比較例2)
製造比較例2で得られたポリオルガノシロキサン変性体18.76g、ジアリルモノメチルイソシアヌレート6.24g、3%白金ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液8.4μL、マレイン酸ジメチル3.6μLを加えて撹拌し、組成物を得た。このようにして得られた組成物を用いて上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
(比較例3)
信越化学工業株式会社製SCR−1016樹脂を用いて上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
Figure 2014084351
表1に示すように、本発明のポリオルガノシロキサン系組成物は、高い耐熱性、耐光性及び耐冷熱衝撃性を有し、且つ、よりガスバリア性に優れている。

Claims (8)

  1. (α1)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を少なくとも1個有する化合物、
    (β1)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサン化合物及び、
    (γ1)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個有するシラン化合物のヒドロシリル化反応生成物であって、前記化合物(α1)が、
    1,3−ビス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3−ビス(ビニルオキシ)アダマンタン、1,3、5−トリス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3、5−トリス(ビニルオキシ)アダマンタン、ジシクロペンタジエン、5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、ジビニルベンゼン、ビニルシクロヘキセン、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、下記一般式(I)
    Figure 2014084351
    (式中、R1は同じでも異なっていてもよい炭素数1〜20の有機基或いは水素原子を表し、少なくとも1個のR1はSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する置換基を有しても良い炭素数2〜20の有機基を表わす。)、
    Figure 2014084351
    から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とするポリオルガノシロキサン変性体。
  2. 前記一般式(I)で表される化合物が、アリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、アリルジメチルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレート、モノアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレートからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載のポリオルガノシロキサン変性体。
  3. 前記化合物(β1)が、下記一般式(II)
    Figure 2014084351
    (式中、R2は同じでも異なっていてもよい炭素数1〜6の有機基を表し、mとnは3≦m+n≦10且つ2≦m≦10を満たす数を表す。)で表される請求項1〜2に記載のポリオルガノシロキサン変性体。
  4. 前記化合物(γ1)が、下記一般式(III)
    Figure 2014084351
    (式中、R3はSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個有する置換基を有してもよい炭素数2〜10の有機基を表し、R4は同じでも異なっていてもよい炭素数1〜10の有機基を表す。)で表される請求項1〜3に記載のポリオルガノシロキサン変性体。
  5. 4のうち少なくとも1個がフェニル骨格を有する請求項4に記載のポリオルガノシロキサン変性体。
  6. 1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する化合物(A)、1分子中にSiH基を少なくとも2個有する化合物(B)、ヒドロシリル化触媒(C)を必須成分として含有してなる組成物であって、(B)成分中に請求項1〜5に記載のポリオルガノシロキサン変性体を含有する硬化性組成物。
  7. 前記化合物(A)がトリアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートからなる群において選ばれる少なくとも1種類の化合物である請求項1〜6に記載の硬化性組成物。
  8. 請求項6及び/又は7に記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
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