JP2014083551A - フランジ付円筒体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】欠肉やバリの発生を抑制して、車輪用転がり軸受の外輪等の、円周面から外方へ非対称に張り出すフランジ突起を有するフランジ付円筒体を、効率的に、生産性良く製造できる製造方法を提供する。
【解決手段】円周面から外方へ非対称に張り出すフランジ突起に加工されるのに相当する量の肉盛24が一方端面上に軸方向に形成された予備成形品23を成形し、前記肉盛24をフランジ突起に加工しながら、予備成形品23をフランジ付円筒体に成形する。
【選択図】図3
【解決手段】円周面から外方へ非対称に張り出すフランジ突起に加工されるのに相当する量の肉盛24が一方端面上に軸方向に形成された予備成形品23を成形し、前記肉盛24をフランジ突起に加工しながら、予備成形品23をフランジ付円筒体に成形する。
【選択図】図3
Description
本発明は、車輪用転がり軸受の外輪等の、フランジ付円筒体を製造する製造方法に関するものである。
自動車等の懸架装置へ車輪等を取り付けるために、車輪用転がり軸受装置が用いられる(例えば特許文献1参照)。図1は、前記車輪用転がり軸受装置1の一例を示す断面図である。図2は、予備成形品のもとになる据込成形体22の外観を示す側面図である。図5は、前記車輪用転がり軸受装置1のうち外輪2の製造途中の状態を示す斜視図である。図10は、従来の製造方法に用いて外輪2を製造するための予備成形品35の一例の外観を示す斜視図である。図11は、図10の予備成形品35の断面図である。図12は、熱間鍛造等により前記外輪2を成型する際に用いる従来の鍛造金型37の一例を示す断面図である。
図1を参照して、この例の車輪用転がり軸受装置1は、筒状の外輪2と、前記筒に挿通されて外輪2と同軸に配置された内軸3と、前記外輪2と内軸3との間に介在された複数個の転動体4とを備えている。
外輪2の筒の内周には、転動体4を転動可能に支持する複列(図では2列)の軌道面5、6が形成されている。
外輪2の筒の内周には、転動体4を転動可能に支持する複列(図では2列)の軌道面5、6が形成されている。
図5を参照して、筒の外周には、その周方向の複数箇所(図5では4個所)から筒の径方向外方へ向けて非対称に張り出された、懸架装置への取り付けのための4つのフランジ突起7を有する異形形状のフランジ8が、前記筒と一体に形成されている。
図2、図5を参照して、前記外輪2は、例えば軸受鋼、機械構造用炭素鋼等の鋼材を据え込み成形して得た据込成形体22を、熱間鍛造等により予備成形品として成形した後、前記予備成形品を、前記所定の形状となるように熱間鍛造等により成形して製造される。
図2、図5を参照して、前記外輪2は、例えば軸受鋼、機械構造用炭素鋼等の鋼材を据え込み成形して得た据込成形体22を、熱間鍛造等により予備成形品として成形した後、前記予備成形品を、前記所定の形状となるように熱間鍛造等により成形して製造される。
図10、図11を参照して、前記従来の製造方法に用いる予備成形品35は、円周面35aおよび平らな一方端面35bを有する金属塊である。図11を参照して、前記予備成形品35の反対側の端面には、外輪2の筒の通孔のもとになる凹部36が形成されている。
前記予備成形品35は、前記据込成形体22を、前記予備成形品35の形状に対応した上金型と下金型とを有する鍛造金型を用いた熱間鍛造等によって成形して得られる。
前記予備成形品35は、前記据込成形体22を、前記予備成形品35の形状に対応した上金型と下金型とを有する鍛造金型を用いた熱間鍛造等によって成形して得られる。
図5、図12を参照して、鍛造金型37は下金型38と上金型39とを含んでいる。下金型38は、予備成形品35の円周面35aを受け入れる第一室40およびフランジ8を作るために第一室40の上部から径方向外方へ膨出し、かつ形成するフランジ8の、フランジ突起7の端縁より径方向外側に距離を隔てた位置から軸方向へ立ち上がるように区画された第二室41を有している。上金型39は、前記下金型38の第二室41へ挿入される挿入部42を有している。
前記下金型38の第一室40に予備成形品35をセットし、熱間鍛造の場合は鋼材の再結晶温度以上に加熱しながら、上金型39に下向きの衝撃を加えて第二室41に挿入部42を挿入する。
この挿入により予備成形品35の一方端面35bに、先の凹部36とともに筒の通孔を形成する凹部43が形成されるとともに、前記予備成形品35の全長と径とが、第一室40および第二室41に沿わせて拡大される。
この挿入により予備成形品35の一方端面35bに、先の凹部36とともに筒の通孔を形成する凹部43が形成されるとともに、前記予備成形品35の全長と径とが、第一室40および第二室41に沿わせて拡大される。
また第二室41に鋼材が充填されて、前記フランジ突起7を有するフランジ8が形成される。
前記従来の製造方法によって製造される外輪2は、フランジ突起7が所定の形状に形成されない、いわゆる欠肉を生じやすいという問題がある。
フランジ突起7の欠肉は修正が困難であり、前記欠肉が発生した外輪2は、不良品として廃棄または他の用途に再生利用するしかなく、このことが、外輪2の生産性を低下させる大きな原因となっている。
フランジ突起7の欠肉は修正が困難であり、前記欠肉が発生した外輪2は、不良品として廃棄または他の用途に再生利用するしかなく、このことが、外輪2の生産性を低下させる大きな原因となっている。
前記従来の製造方法において欠肉を生じやすいのは、予備成形品35の肉厚、すなわち鋼材の量が筒の全周に亘って一定であるため、前記熱間鍛造等による加工時に、第二室41のうち、フランジ8の他の部分から径方向外方へ大きく突出したフランジ突起7に対応する領域の先端まで、十分に鋼材が充填されない場合を生じるのが原因である。
また熱間鍛造では、前記欠肉等を生じにくくするため、例えば図12中に太い一点鎖線で示すように、前記下金型38と上金型39との合わせ面に沿って、2〜3mm程度の厚みで、かつ円板状のバリをフランジ8の周囲に発生させながら加工するのが一般的な手法である。
また熱間鍛造では、前記欠肉等を生じにくくするため、例えば図12中に太い一点鎖線で示すように、前記下金型38と上金型39との合わせ面に沿って、2〜3mm程度の厚みで、かつ円板状のバリをフランジ8の周囲に発生させながら加工するのが一般的な手法である。
前記バリは取り除くことができるものの、取り除くためには、フランジ8のフランジ8の異形形状に合わせたバリの打抜き加工等が必要であり、手間がかかる。
特に、前記従来の製造方法によって製造される外輪2は、先に説明したようにフランジ突起7に欠肉を生じやすいだけでなく隣り合うフランジ突起7間に多量のバリを生じやすく、その除去には手間がかかる。これは、前記のように予備成形品35の肉厚、すなわち鋼材の量が筒の全周に亘って一定で、前記熱間鍛造等による加工時に、フランジ8の、フランジ突起7間の領域に、必要以上の量の鋼材が供給されるためである。
特に、前記従来の製造方法によって製造される外輪2は、先に説明したようにフランジ突起7に欠肉を生じやすいだけでなく隣り合うフランジ突起7間に多量のバリを生じやすく、その除去には手間がかかる。これは、前記のように予備成形品35の肉厚、すなわち鋼材の量が筒の全周に亘って一定で、前記熱間鍛造等による加工時に、フランジ8の、フランジ突起7間の領域に、必要以上の量の鋼材が供給されるためである。
その上、打抜いたバリは廃棄もしくは他の用途に再生利用する他なく、しかも重量的にも決して少なくないため、これらのことが、外輪2の生産性を低下させるもう一つの原因となっている。
本発明の目的は、欠肉やバリの発生を抑制して、車輪用転がり軸受の外輪等の、円周面から外方へ非対称に張り出すフランジ突起を有するフランジ付円筒体を、効率的に、生産性良く製造できる製造方法を提供することにある。
本発明の目的は、欠肉やバリの発生を抑制して、車輪用転がり軸受の外輪等の、円周面から外方へ非対称に張り出すフランジ突起を有するフランジ付円筒体を、効率的に、生産性良く製造できる製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、円周面から径方向外方へ非対称に張り出すフランジ突起(7)を有する異形形状のフランジ(8)を備えたフランジ付円筒体(2)の製造方法であって、
円周面(23a)、および一方端面(23b)を有し、前記フランジ突起に加工されるのに相当する量の肉盛(24)が前記一方端面上に軸方向に形成された金属塊を予備成形品(23)として成形する予備成形工程と、
前記予備成形品の肉盛をフランジ突起にする加工を含み、前記予備成形品を前記フランジ付円筒体に成形する本成形工程と、
を含むことを特徴とするフランジ付円筒体の製造方法を提供するものである(請求項1)。
円周面(23a)、および一方端面(23b)を有し、前記フランジ突起に加工されるのに相当する量の肉盛(24)が前記一方端面上に軸方向に形成された金属塊を予備成形品(23)として成形する予備成形工程と、
前記予備成形品の肉盛をフランジ突起にする加工を含み、前記予備成形品を前記フランジ付円筒体に成形する本成形工程と、
を含むことを特徴とするフランジ付円筒体の製造方法を提供するものである(請求項1)。
なお、カッコ内の英数字は、後述の実施の形態における対応構成要素等を表す。
本発明によれば、本成形工程において、予備成形品の肉盛から、フランジ突起を形成するのに必要かつ十分な量の鋼材を集中的に行き渡らせて、フランジ突起を形成することができる。そのためフランジ突起に欠肉が発生するのを抑制するとともに、隣り合うフランジ突起間に生じるバリを小さくできる。
本発明によれば、本成形工程において、予備成形品の肉盛から、フランジ突起を形成するのに必要かつ十分な量の鋼材を集中的に行き渡らせて、フランジ突起を形成することができる。そのためフランジ突起に欠肉が発生するのを抑制するとともに、隣り合うフランジ突起間に生じるバリを小さくできる。
したがって、前記欠肉による不良品の発生を少なくするとともに、バリの打抜き加工等の手間を軽減し、さらにはバリの総量を少なくして、フランジ付円筒体の製造の歩留まりを向上し、生産性を高めることができる。
前記本発明の製造方法において、前記本成形工程は、
前記予備成形品の円周面を受け入れる第一室(29)、および前記フランジを作るために前記第一室の上部から径方向外方へ膨出し、かつ前記フランジの端縁に対応する位置で軸方向、または前記軸方向に対して斜め外方へ立ち上がるように区画された第二室(30)を有し、前記第二室の第一室からの膨出部がフランジ賦形部とされた下金型(27)と、
前記下金型の第二室へ挿入される挿入部(31)を有し、かつ前記挿入部の先端に、前記下金型のフランジ賦形部と対向するフランジ賦形部が設けられた上金型(28)とを用いて行われ、
前記両フランジ賦形部に挟まれて形成されたフランジの端縁に、前記第二室の内壁に沿った軸方向、または軸方向に対して斜め外方へのバリが形成され得るようにするのが好ましい(請求項2)。
前記本発明の製造方法において、前記本成形工程は、
前記予備成形品の円周面を受け入れる第一室(29)、および前記フランジを作るために前記第一室の上部から径方向外方へ膨出し、かつ前記フランジの端縁に対応する位置で軸方向、または前記軸方向に対して斜め外方へ立ち上がるように区画された第二室(30)を有し、前記第二室の第一室からの膨出部がフランジ賦形部とされた下金型(27)と、
前記下金型の第二室へ挿入される挿入部(31)を有し、かつ前記挿入部の先端に、前記下金型のフランジ賦形部と対向するフランジ賦形部が設けられた上金型(28)とを用いて行われ、
前記両フランジ賦形部に挟まれて形成されたフランジの端縁に、前記第二室の内壁に沿った軸方向、または軸方向に対して斜め外方へのバリが形成され得るようにするのが好ましい(請求項2)。
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
先に説明したように図1は、車輪用転がり軸受装置1の一例を示す断面図である。また図5は、前記車輪用転がり軸受装置1のうち外輪2の製造途中の状態を示す斜視図である。図1を参照して、この例の車輪用転がり軸受装置1は、筒状の外輪2と、前記筒に挿通されて外輪2と軸Aを中心として同軸に配置された内軸3と、前記外輪2と内軸3との間に介在された複数個の転動体4とを備えている。
先に説明したように図1は、車輪用転がり軸受装置1の一例を示す断面図である。また図5は、前記車輪用転がり軸受装置1のうち外輪2の製造途中の状態を示す斜視図である。図1を参照して、この例の車輪用転がり軸受装置1は、筒状の外輪2と、前記筒に挿通されて外輪2と軸Aを中心として同軸に配置された内軸3と、前記外輪2と内軸3との間に介在された複数個の転動体4とを備えている。
外輪2の筒の内周には、転動体4を転動可能に支持する複列(図では2列)の軌道面5、6が形成されている。図5を参照して、筒の外周には、その周方向の複数箇所(図5では4個所)から筒の径方向外方へ向けて非対称に張り出された、懸架装置への取り付けのための4つのフランジ突起7を有する異形形状のフランジ8が、前記筒と一体に形成されている。図1を参照して、フランジ8には、前記懸架装置への取り付けのための図示しないボルトが螺合されるネジ穴9が、筒の軸方向に貫通させて形成されている。
内軸3は、軸A方向の一端側(図1において左側)から他端側(右側)に向けて順に同軸となるように一体に形成された外径の大きい大径部10、前記大径部10より外径の小さい中径部11、および前記中径部11より外径の小さい小径部12を備えており、前記大径部10と中径部11との段差部分に、軌道面5に対向する軌道面13が形成されている。また小径部12には軌道輪14が嵌め合わされており、前記軌道輪14の外周に、軌道面6に対向する軌道面15が形成されている。
軌道輪14は、内径が小径部12の外径と一致する筒状で、かつ軸A方向の一端側から他端側に向けて順に同軸となるように一体に形成された外径の小さい小径部16、および前記小径部16より外径の大きい大径部17を備えており、前記小径部16と大径部17との段差部分に、前記軌道面13と向かい合わせて軌道面15が形成されている。
内軸3の小径部12の端部18は、車輪用転がり軸受装置1の組み立て前には、図中に破線で示すように小径部12と同径の筒状に形成されている。
内軸3の小径部12の端部18は、車輪用転がり軸受装置1の組み立て前には、図中に破線で示すように小径部12と同径の筒状に形成されている。
車輪用転がり軸受装置1を組み立てるには、軌道面5と軌道面13との間、および軌道面6と軌道面15との間に、それぞれ所定個の転動体4を保持させた状態で、小径部12に軌道輪14を嵌め合わせて、その一端側を中径部11と小径部12との段差に当接させる。
次いで図中に実線で示すように端部18をかしめることで、軌道輪14を内軸3に固定して車輪用転がり軸受装置1を組み立てると、前記転動体4、軌道面5、6および軌道面13、15によって複列スラストアンギュラ玉軸受が構成されて、内軸3が外輪2に対して、軸Aを中心として回転自在に支持される。
次いで図中に実線で示すように端部18をかしめることで、軌道輪14を内軸3に固定して車輪用転がり軸受装置1を組み立てると、前記転動体4、軌道面5、6および軌道面13、15によって複列スラストアンギュラ玉軸受が構成されて、内軸3が外輪2に対して、軸Aを中心として回転自在に支持される。
内軸3の、大径部10の一端側の外周には、前記外周から径方向外方へ向けて突設させて、車輪やブレーキディスク等を固定するためのフランジ19が一体に形成されている。フランジ19の、周方向の複数箇所(図では1箇所のみ記載している)には、図示しない車輪やブレーキディスクを取り付けるボルト20が設けられている。またフランジ19の一端側の側面には、前記側面から一端側に突設させて、ブレーキディスクを嵌め合わせるための筒状のいんろう部21が一体に形成されている。
前記外輪2は、例えば軸受鋼、機械構造用炭素鋼等の鋼材を据え込み成形して得た据込成形体22(図2参照)を、熱間鍛造等により予備成形品として成形した後、前記予備成形品を、前記所定の形状となるように熱間鍛造等により成形し、さらに必要な加工をして製造される。
図3は、本発明の製造方法に用いて図5の外輪2を形成するための予備成形品23の一例の外観を示す斜視図である。図4は、前記予備成形品23の断面図である。図6は、前記図5に示した製造途中の外輪2の断面図である。
図3は、本発明の製造方法に用いて図5の外輪2を形成するための予備成形品23の一例の外観を示す斜視図である。図4は、前記予備成形品23の断面図である。図6は、前記図5に示した製造途中の外輪2の断面図である。
図3〜図6を参照して、この例の予備成形品23は、円周面23aおよび一方端面23bを有し、本成形工程において円周面から外方へ非対称に張り出すフランジ突起に加工されるのに相当する量の肉盛24が一方端面上に軸方向に形成された金属塊である。図4を参照して、予備成形品23の反対側の端面には、外輪2の筒の通孔のもとになる凹部25が形成されている。
予備成形品23は、据込成形体22を、前記予備成形品23の形状に対応した上金型と下金型とを有する鍛造金型を用いた熱間鍛造等によって成形して得られる。
図3を参照して、肉盛24は、円柱の軸を中心として径方向外方へ向かう放射に配置され、個々の肉盛の、放射方向と交差方向の断面形状が、軸方向の突出側の幅が端面側よりも広い略台形状とされている。
図3を参照して、肉盛24は、円柱の軸を中心として径方向外方へ向かう放射に配置され、個々の肉盛の、放射方向と交差方向の断面形状が、軸方向の突出側の幅が端面側よりも広い略台形状とされている。
これにより、前記据込成形体22を予備成形品23として成形する際に用いる鍛造金型の肉厚を十分に取り、かつ鍛造金型および予備成形品23の形状が鋭利にならないようにして前記鍛造金型の耐久性を向上するとともに成形不良を少なくできる。さらに、予備成形品23を鍛造金型から抜けやすくすることもできる。
図7は、前記予備成形品23を用いて、熱間鍛造等により外輪2を成形する際に用いる鍛造金型26の一例を示す断面図である。
図7は、前記予備成形品23を用いて、熱間鍛造等により外輪2を成形する際に用いる鍛造金型26の一例を示す断面図である。
図3〜図7を参照して、鍛造金型26は下金型27と上金型28とを含んでいる。下金型27は、予備成形品23の円周面を受け入れる第一室29およびフランジ8を作るために第一室29の上部から外方へ膨出し、かつ前記フランジ8の端縁に対応する位置で軸方向へ立ち上がるように区画された第二室30を有している。前記下金型27のうち第二室30の、第一室29からの膨出部が、フランジ8の、前記各図において下側の面を所定の立体形状に形成するためのフランジ賦形部30aとされている。
上金型28は、前記下金型の第二室30へ挿入される挿入部31を有している。挿入部31の先端には、前記下金型のフランジ賦形部30aと対向し、フランジ8の、前記各図において上側の面を所定の立体形状に形成するためのフランジ賦形部31aが設けられている。
前記下金型27の第一室29に予備成形品23をセットし、熱間鍛造の場合は鋼材の再結晶温度以上に加熱しながら、上金型28に下向きの衝撃を加えて第二室30に挿入部31を挿入する。この挿入により予備成形品23の、肉盛24を設けた側の端面に、先の凹部25とともに筒の通孔を形成する凹部32が形成されるとともに、前記予備成形品23の全長と径とが、第一室29および第二室30に沿わせて拡大される。
前記下金型27の第一室29に予備成形品23をセットし、熱間鍛造の場合は鋼材の再結晶温度以上に加熱しながら、上金型28に下向きの衝撃を加えて第二室30に挿入部31を挿入する。この挿入により予備成形品23の、肉盛24を設けた側の端面に、先の凹部25とともに筒の通孔を形成する凹部32が形成されるとともに、前記予備成形品23の全長と径とが、第一室29および第二室30に沿わせて拡大される。
また第二室30に、主として肉盛り24から必要かつ十分な量の鋼材が集中的に充填されて、前記フランジ突起7を有するフランジ8が形成される。そのため、形成されるフランジ突起7に欠肉が発生するのを抑制するとともに、隣り合うフランジ突起7間に生じるバリを小さくできる。
したがって、前記欠肉による不良品の発生を少なくするとともに、バリの打抜き加工等の手間を軽減し、さらにはバリの総量を少なくして、外輪2の製造の歩留まりを向上し、生産性を高めることができる。
したがって、前記欠肉による不良品の発生を少なくするとともに、バリの打抜き加工等の手間を軽減し、さらにはバリの総量を少なくして、外輪2の製造の歩留まりを向上し、生産性を高めることができる。
また図の鍛造金型26を用いて成形した際に、フランジ8の端縁に生じるバリは、例えば同図中に太い一点鎖線で示すように、第二室30の内壁に沿った軸方向へ向けて形成されるため、前記フランジ8を切削等によって仕上げる際に同時に除去できる。そのためバリを抜き加工によって除去する工程を省略して、外輪2の生産性をさらに向上することもできる。
図8は、前記鍛造金型26の変形例を示す断面図である。図の例の鍛造金型26は、下金型27の第二室30の内壁のうち、フランジ8の、フランジ突起7を張り出させていない領域に対応する部分が、前記フランジ8の端縁に対応する位置から軸方向に対して斜め外方へ立ち上がるように傾斜面33として区画され、湾曲形状を介して軸方向に沿う内壁に繋がれている点、上金型28の挿入部31の対応する部分が、前記湾曲形状に沿わせて湾曲形状として形成されている点が先の例と相違している。その他の各部は先の例と同様であるので、同一箇所に同一符号を付して説明を省略する。
図の鍛造金型26を用いて成形した際に、フランジ8の端縁に生じるバリは、例えば同図中に太い一点鎖線で示すように、フランジ突起7の部分では、第二室30の内壁に沿った軸方向へ向けて形成され、フランジ突起7を張り出させていない領域に対応する部分では、前記傾斜面33に沿った傾斜方向へ向けて形成される。
そのためいずれのバリも、前記フランジ8を切削等によって仕上げる際に同時に除去でき、バリを抜き加工によって除去する工程を省略して、外輪2の生産性をさらに向上することができる。
そのためいずれのバリも、前記フランジ8を切削等によって仕上げる際に同時に除去でき、バリを抜き加工によって除去する工程を省略して、外輪2の生産性をさらに向上することができる。
図9は、図5の外輪2に孔あけ加工をした状態を示す断面図である。図5、図6、図9を参照して、鍛造金型26から取り出した外輪2の、凹部25、32間を隔てる隔壁34に孔あけをして筒を形成するとともに、図1を参照して、前記筒の内周を必要に応じて旋削等して軌道面5、6を形成し、またフランジ突起7にネジ穴9を形成し、さらに軌道面5、6を熱処理して硬化層を形成した後、必要に応じて表面を研磨すると外輪2が完成する。
そして前記外輪2を、先に説明した手順で転動体4、内軸3、および軌道輪14と組み合わせて組み立てると車輪用転がり軸受装置1が製造される。
本発明は、以上の実施の形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。例えば本発明によって製造された外輪2が組み込まれる車輪用転がり軸受装置は、図1のものには限定されず、従来の、2列の軌道面がともに、内軸3とは別体の軌道輪に形成されたものであってもよいし、現在、開発が進められている、2列の軌道面がともに、内軸3の外周面に直接に形成されたものであってもよい。
本発明は、以上の実施の形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。例えば本発明によって製造された外輪2が組み込まれる車輪用転がり軸受装置は、図1のものには限定されず、従来の、2列の軌道面がともに、内軸3とは別体の軌道輪に形成されたものであってもよいし、現在、開発が進められている、2列の軌道面がともに、内軸3の外周面に直接に形成されたものであってもよい。
本発明の製造方法によって製造されるフランジ付円筒体は外輪2には限定されない。円周面から外方へ非対称に張り出すフランジ突起を有する異形形状のフランジを備えた種々の円筒体の製造に適用可能である。
1:軸受装置、2:外輪、3:内軸、4:転動体、5:軌道面、6:軌道面、7:フランジ突起、8:フランジ、9:ネジ穴、10:大径部、11:中径部、12:小径部、13:軌道面、14:軌道輪、15:軌道面、16:小径部、17:大径部、18:端部、19:フランジ、20:ボルト、21:いんろう部、22:据込成形体、23:予備成形品、23a:円周面、23b:一方端面、24:肉盛、25:凹部、26:鍛造金型、27:下金型、28:上金型、29:第一室、30:第二室、30a:フランジ賦形部、31:挿入部、31a:フランジ賦形部、32:凹部、33:傾斜面、34:隔壁、35:予備成形品、35a:円周面、35b:一方端面、36:凹部、37:鍛造金型、38:下金型、39:上金型、40:第一室、41:第二室、42:挿入部、43:凹部、A:軸
Claims (2)
- 円周面から径方向外方へ非対称に張り出すフランジ突起を有する異形形状のフランジを備えたフランジ付円筒体の製造方法であって、
円周面、および一方端面を有し、前記フランジ突起に加工されるのに相当する量の肉盛が前記一方端面上に軸方向に形成された金属塊を予備成形品として成形する予備成形工程と、
前記予備成形品の肉盛をフランジ突起にする加工を含み、前記予備成形品を前記フランジ付円筒体に成形する本成形工程と、
を含むことを特徴とするフランジ付円筒体の製造方法。 - 前記本成形工程は、
前記予備成形品の円周面を受け入れる第一室、および前記フランジを作るために前記第一室の上部から径方向外方へ膨出し、かつ前記フランジの端縁に対応する位置で軸方向、または前記軸方向に対して斜め外方へ立ち上がるように区画された第二室を有し、前記第二室の第一室からの膨出部がフランジ賦形部とされた下金型と、
前記下金型の第二室へ挿入される挿入部を有し、かつ前記挿入部の先端に、前記下金型のフランジ賦形部と対向するフランジ賦形部が設けられた上金型とを用いて行われ、
前記両フランジ賦形部に挟まれて形成されたフランジの端縁に、前記第二室の内壁に沿った軸方向、または軸方向に対して斜め外方へのバリが形成され得ることを特徴とする請求項1に記載のフランジ付円筒体の製造方法。
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EP3034193A1 (fr) * | 2014-12-19 | 2016-06-22 | NTN-SNR Roulements | Procede de fabrication d'une bague exterieure de roulement, et bague obtenue par ce procede |
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2012
- 2012-10-22 JP JP2012233010A patent/JP2014083551A/ja active Pending
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