JP2014083019A - 微生物を用いる鉄含有量の少ない没食子酸含有組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉄含有量が少ない没食子酸含有組成物を工業的に製造する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】微生物培養物から得られた粗結晶を60℃以上の熱水で溶解した上で再度晶析を行うという安価かつ簡易な工程で精製を行うにもかかわらず、鉄含有量が少なく没食子酸含有量が多い組成物を高収率で得る方法を開発した。
【選択図】なし

Description

本発明は、鉄含有量が少ない没食子酸含有組成物を工業的に製造する方法に関する。また、本発明は、そのような方法により製造された鉄含有量が少ない没食子酸含有組成物に関する。
没食子酸は、そのアルカリ性水溶液は還元力が強く、還元剤、写真の現像剤に用いられる。没食子酸の結晶は白色であるが、鉄塩の形成により着色する性質があるため、インクの製造にも使用される。さらに、没食子酸プロピル、没食子酸イソアミルなどのエステルとして油脂・バターの酸化防止剤にも使用される。
また、没食子酸や没食子酸エステルは防食剤としても有用であることが知られており(特開平9−296200)、没食子酸を原料として合成されるピロガロールや没食子酸エステルを縮合させたフェノール樹脂は、電子情報材料(絶縁性高分子材料)として有用であることが知られている(特開2011−111543)。一方、半導体加工用の絶縁性高分子材料は、微量の金属不純物が不良品の原因となるため、非常に低いレベルにまで金属不純物を低減させる必要があることが知られている(特開2001−201868)。
没食子酸の製造は、以前より、植物ヌルデの五倍子より抽出したタンニンをアルカリまたは酵素を利用して加水分解することにより製造されているが、残存タンニン含量が高い場合があること、製造コストが高いこと等の理由から、工業的に有利に製造する方法が求められていた。最近になって、微生物を利用して、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸またはパラヒドロキシ安息香酸などの安価な原料から没食子酸を製造する方法が報告された(特開2009−213392)。
特開平9−296200 特開2011−111543 特開2001−201868 特開2009−213392
上述のように、微生物を利用することにより、安価な原料から没食子酸を製造する方法が開示されたが、本発明者らは、当該開示に基づいて製造された没食子酸含有組成物は鉄含有量が多いという問題があることを見出した。本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、鉄含有量が少ない没食子酸含有組成物を工業的に製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行い、その結果、微生物培養物から得られた粗結晶を60℃以上の熱水で溶解した上で再度晶析を行うという安価かつ簡易な工程で精製を行うにもかかわらず、鉄含有量が少なく没食子酸含有量が多い組成物を高収率で得る方法を開発した。
より具体的には、本発明は以下の構成を有する。
〔1〕以下の工程を含む、鉄含有量が10ppm以下である没食子酸含有組成物の製造方法:
(1)微生物により没食子酸含有組成物を培養液中で製造する工程、
(2)前記培養液中に没食子酸含有組成物の結晶を生成させる工程、
(3)前記結晶を60℃以上の熱水で溶解して没食子酸含有溶液を得る工程、
(4)前記没食子酸含有溶液中に没食子酸含有組成物の結晶を生成させる工程、および
(5)前記結晶を母液から分離して、鉄含有量が10ppm以下である没食子酸含有組成物を得る工程。
〔2〕前記組成物の鉄含有量が0.1ppm以下である、前記〔1〕記載の方法。
〔3〕前記〔1〕または〔2〕に記載の方法により製造される、没食子酸含有組成物。
本発明により、粗結晶を60℃以上の熱水で溶解した上で再度晶析を行うという簡易な工程にて、微生物由来であって、鉄含有量が少なく没食子酸含有量が多い組成物を高収率で得る方法および前記没食子酸含有組成物を提供することが可能となる。本発明の方法にて製造された没食子酸含有組成物は、鉄含有量が極めて少ないため、電子情報材料(半導体加工用の絶縁性高分子材料等)としても有用である。
没食子酸を含有する培養液から、没食子酸含有組成物の結晶を精製するプロセスを示す図である。(A)は、実施例2に記載の実施形態のプロセスを示し、(B)は、比較例1に記載の実施形態のプロセスを示す。
以下、本発明について、好ましい実施形態の例に沿って具体的に説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の実施形態の例以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施し得る。
本発明の、鉄含有量が10ppm以下である没食子酸含有組成物の製造方法は、微生物により没食子酸含有組成物を培養液中で製造する工程と、前記培養液中に没食子酸含有組成物の結晶を生成させる工程と、前記結晶を60℃以上の熱水で溶解して没食子酸含有溶液を得る工程と、前記没食子酸含有溶液中に没食子酸含有組成物の結晶を生成させる工程と、前記結晶を母液から分離して、鉄含有量が10ppm以下である没食子酸含有組成物を得る工程とを含む。
本発明の製造方法によって得られる没食子酸含有組成物は、没食子酸を、全組成物の質量を基準として、好ましくは90質量%以上、より好ましくは98質量%以上、さらにより好ましくは99質量%以上、最も好ましくは約100質量%含む。また、前記組成物の鉄含有量は、好ましくは50ppm以下、より好ましくは10ppm以下、さらにより好ましくは2ppm以下、最も好ましくは0.1ppm以下である。
〔没食子酸産生微生物とその培養〕
本発明の製造方法に係る没食子酸を産生する微生物としては、没食子酸を産生する微生物であれば何ら限定されないが、例えばプロトカテク酸の5位を酸化する酵素活性(以下、プロトカテク酸5位酸化活性という)を有する蛋白質を発現する微生物を用いることができる。当該微生物は、好ましくは、プロトカテク酸、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸またはパラヒドロキシ安息香酸を原料として没食子酸を産生できる微生物である。
これらの微生物の中でも、没食子酸の生産性の観点から、プロトカテク酸5位酸化活性が増強された酵素タンパク質を含有する微生物が好ましい。そのような微生物は、例えば特開2009−213392に開示された方法により作製された、変異型プロトカテク酸5位酸化酵素蛋白質をコードするDNAを含有する組換え体DNAで形質転換した微生物であってもよい。そのような組み換え体DNAで形質転換する微生物として、好ましくは、テレフタル酸、フタル酸またはイソフタル酸またはパラヒドロキシ安息香酸の代謝能(テレフタル酸、フタル酸またはイソフタル酸またはパラヒドロキシ安息香酸からプロトカテク酸を生成する能力)を有する微生物を用いることができる。そのような微生物としては、エシェリヒア(Escherichia)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、ブラディリゾビウム(Bradyrhizobium)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)属、シノリゾビウム(Sinorhizobium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、ノボスフィンゴビウム(Novosphingobium)属またはラルストニア(Ralstonia)属に属する微生物であることが好ましい。
例えば、テレフタル酸を原料として没食子酸を産生する微生物の場合、テレフタル酸ジオキシゲナーゼ、テレフタル酸ジオキシゲナーゼ・レダクターゼ、テレフタル酸1,2-ジヒドロジオール ジヒドロゲナーゼ、テレフタル酸トランスポーター、およびプロトカテク酸5位酸化酵素を生産する能力を有する微生物であることが好ましい。
フタル酸を原料として没食子酸を産生する微生物の場合、フタル酸ジオキシゲナーゼ、フタル酸ジオキシゲナーゼ・レダクターゼ、フタレート4,5-シス-ジヒドロキシジオール・ジヒドロゲナーゼ、4,5-ジヒドロキシフタレート脱炭酸酵素、フタル酸トランスポーター、およびプロトカテク酸5位酸化酵素を生産する能力を有する微生物であることが好ましい。
イソフタル酸を原料として没食子酸を産生する微生物の場合、イソフタル酸ジオキシゲナーゼ、イソフタル酸ジオキシゲナーゼ・レダクターゼ、イソフタル酸1,2-ジヒドロジオールジヒドロゲナーゼ、イソフタル酸トランスポーター、およびプロトカテク酸5位酸化酵素を生産する能力を有する微生物であることが好ましい。
なお、ロドコッカス属RHA1のように、プロトカテク酸5位酸化酵素蛋白質を発現する微生物はパラヒドロキシ安息香酸からプロトカテク酸を生成する能力も有しているため、プロトカテク酸5位酸化酵素蛋白質を発現させた微生物を、パラヒドロキシ安息香酸を含む培地で培養することにより、パラヒドロキシ安息香酸から没食子酸を製造することができる。
なお、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸またはパラヒドロキシ安息香酸からプロトカテク酸を生成するプロセスは別の微生物を用いて行ってもよい。すなわち、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸またはパラヒドロキシ安息香酸の代謝能を有する微生物によってテレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸またはパラヒドロキシ安息香酸から生成したプロトカテク酸を、変異型プロトカテク酸5位酸化酵素蛋白質を発現する微生物と反応させて没食子酸を得る方法も本発明の没食子酸含有組成物の製造方法に含まれる。
また、例えばシュードモナス(Pseudomonas)属またはコリネバクテリウム(Corynebacterium)属に属する微生物等の公知の微生物株を変異処理し、没食子酸生産性を向上させるために選択した没食子酸高生産株を用いることも好適な例として挙げられる。
本発明の製造方法に係る微生物は、好ましくは0.1mM〜1Mのプロトカテク酸、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸またはパラヒドロキシ安息香酸を含有する培地で培養し、培養物中に没食子酸を生成蓄積させ、該培養物から採取することにより、没食子酸を製造することができる。あるいは、本発明の製造方法に係る微生物を培養した後、該微生物の培養物(または該培養物の処理物)に、プロトカテク酸、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸またはパラヒドロキシ安息香酸のいずれかを加えることにより、該培養物中に没食子酸含有組成物を合成、蓄積させ、該培養物から没食子酸を採取することもできる。そのような没食子酸含有組成物の合成反応は、例えば特開2009−213392に開示されている方法により行うことができる。本明細書において、「培養物」または「培養液」とは、本発明の製造方法に係る微生物を培養した培養物または培養液そのものだけではなく、該培養物または培養液中の菌体から酵素を抽出する処理を加えたものを用いてインビトロでの没食子酸合成反応を行ったものも含まれる。なお、本明細書において、「培養物」と「培養液」は互換的に用いられる。
本発明の製造方法に係る没食子酸を産生する微生物を培養する方法は、微生物の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。当該微生物の培養に使用される栄養培地としては、当該微生物の生育に必要な炭素源、窒素源及び無機塩を含む栄養培地であれば十分であるが、ビタミン類を添加するとさらに好ましい場合がある。また、更にアミノ酸、核酸塩基等を添加すると好ましい場合もある。炭素源としては、例えばブドウ糖、ショ糖、果糖等の糖類、エタノール、メタノール等のアルコール類、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸等の有機酸類、廃糖蜜等が用いられる。窒素源としては、例えばアンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素等がそれぞれ単独または混合して用いられる。また、無機塩としては、例えばリン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム等が用いられる。この他にペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンステイープリカー、カザミノ酸、ビオチン等の各種ビタミン等の栄養素を培地に添加することができる。没食子酸を生産するための原料として、プロトカテク酸、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸またはパラヒドロキシ安息香酸を培地に添加することもできる。
培養は、通常、通気攪拌、振とう等の好気条件下で行う。培養温度は、本発明の製造方法に係る微生物が生育し得る温度であれば特に制限はなく、また、培養途中のpHについても当該微生物が生育し得るpHであれば特に制限はない。培養中のpH調整は、酸またはアルカリを添加して行うことができる。
〔培養液の処理〕
本発明の製造方法に係る微生物の培養液中においてインビトロで没食子酸を合成する場合、合成反応の前に、該培養液中の菌体から酵素を抽出する処理を行うことが好ましい。当該処理は、没食子酸合成に必要な酵素を菌体から抽出する処理であれば特に限定されないが、好ましくは、特開2009−213392に開示されている処理である。例えば、培養液から回収された菌体を、超音波、圧搾等の手段で破砕する処理、該破砕処理により得られる破砕物を水等で抽出する処理、該抽出物をさらに硫安塩析、カラムクロマトグラフィー等により精製する処理等が挙げられる。そのような処理により得られる酵素タンパク質または菌体そのものは、適当な支持体に固定化して没食子酸合成反応に用いることもできる。また、そのような処理を行った後、没食子酸合成反応の前に、破砕された菌体を遠心分離等により除いてもよい。
なお、没食子酸合成に必要な酵素としては、例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸もしくはパラヒドロキシ安息香酸からプロトカテク酸を生成するために必要な酵素、および/またはプロトカテク酸の5位を酸化する酵素が挙げられる。
〔培養液を用いたインビトロでの没食子酸合成反応〕
上記の方法により得られる培養液に、インビトロでの没食子酸合成反応のために適切な緩衝液(例えば、0.02〜0.2M程度のリン酸緩衝液(pH6〜10))に、反応原料となるプロトカテク酸、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸またはパラヒドロキシ安息香酸を溶解したものが加えられる。これらの反応原料の濃度は、0.1mM〜1M程度が適当である。インビトロでの没食子酸合成反応の反応温度およびpHは特に限定されないが、通常10〜60℃、好ましくは15〜50℃が適当であり、反応液中のpHは5〜10、好ましくは6〜9付近とすることができる。反応は静置、攪拌、振盪のいずれの方法で行ってもよい。
なお、反応時に酸化剤を添加すると、没食子酸の生成収率が一層向上する場合がある。酸化剤としては、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム等の硝酸塩、塩化第二鉄等の金属塩、ハロゲン、ペルオクソ酸等が挙げられ、好ましくは、亜硝酸ナトリウム、塩化第二鉄が挙げられる。添加濃度は、酸化剤の種類によって異なるが、没食子酸の生成を阻害しない濃度で加えることが望ましく、通常0.001〜0.05%(W/V)、好ましくは0.005〜0.02%である。
〔微生物菌体からの培養液の分離〕
本発明の製造方法に係る培養液を微生物菌体から分離する工程で使用する方法は限定されないが、膜濾過、濾過、デカンテーション、遠心分離などが用いられ、遠心分離が好ましい。分離時の温度は特に限定されない。微生物が産生した没食子酸含有組成物を精製する場合、培養後の培養液を菌体から分離し、以降の精製工程に用いる。一方、微生物が産生した酵素を利用して培養終了後にインビトロで没食子酸を合成する場合、必要に応じて培養液中の菌体の破砕処理等を行った後、インビトロでの没食子酸合成反応に用いる。当該合成反応の前に、破砕等の処理を加えた菌体から培養液を分離し、当該合成反応に用いることもできる。当該合成反応は、反応液への濃硫酸の添加等により停止することができる。必要に応じて、当該合成反応を行った培養液を菌体から分離し、以降の精製工程に用いる。
〔培養液からの没食子酸含有組成物の精製〕
前記分離工程によって得られる培養液から没食子酸含有組成物を得る方法としては、一般的には、酢酸エチル等の有機溶剤による抽出、減圧濃縮、低温における没食子酸の析出(冷却晶析)、酸・アルカリ薬剤や各種塩類による析出等が用いられる。また、活性炭を用いる方法、イオン交換樹脂を用いる方法等を単独でまたは組み合わせることによっても没食子酸含有組成物を得ることができる。培養液中に生成された没食子酸塩に酸(好ましくは塩酸または硫酸)を作用させて遊離カルボン酸としてもよい。本発明の製造方法は、濃縮、冷却晶析等により得られる粗結晶を60℃以上の熱水で溶解した後に、当該溶解液を用いて再度晶析を行うことを特徴とする。
濃縮する場合の例を挙げると、濃縮時の温度は特に限定されないが、好ましくは50℃〜100℃、より好ましくは65℃〜100℃である。濃縮の程度としては、得られる没食子酸の純度、および後の結晶生成工程に適切な液量等を考慮して適宜決定すればよい。
濃縮に代えて、または濃縮に続いて、冷却晶析を行ってもよい。例えば、濃縮工程によって得られた濃縮液を酸性域(例えばpH=2〜3)にpH調整した後、4℃以下に冷却することにより没食子酸含有組成物の結晶を得ることができる。
結晶生成工程により得られる結晶を母液から分離する方法は限定されないが、濾過が好ましい。
本発明の製造方法は、結晶生成工程により得られる粗結晶を高温の熱水にて溶解し、没食子酸含有組成物を効果的に抽出すること(熱水抽出)を特徴とする。熱水の温度は、没食子酸が溶解する温度であれば良く、没食子酸の濃度によって適宜調節すれば良いが、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、さらにより好ましくは70℃以上であり、工業的に行う場合は70℃前後が最も好ましい。また、熱水の温度の上限は50℃以上であれば制限されないが、例えば、100℃以下、98℃以下、95℃以下、90℃以下、85℃以下、または80℃以下の温度を例示できる。
用いる熱水の量としては、没食子酸含有組成物の溶解に十分であり、かつ後の結晶生成工程に適切な量であれば、特に限定されない。没食子酸含有組成物の加熱溶解液中の不純物は、当該溶解液に活性炭を添加して吸着させることにより除去してもよい(活性炭処理)。前記溶解液から没食子酸含有組成物を得る方法としては、前記の培養液から没食子酸含有組成物を得る方法と同様の方法が挙げられるが、冷却晶析が特に好ましい。このような処理を経て得られた結晶を、鉄含有量の多い母液から分離することにより、鉄含有量の少ない結晶を得ることができる。
結晶生成工程により得られる結晶中の鉄含有量を測定する方法は限定されないが、例えば、超高感度分析が可能なICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析法)を利用した分析が挙げられる。
以下に本発明の方法を実施例により具体的に述べるが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔実施例1〕テレフタル酸からの没食子酸含有組成物の合成
特開2009−213392に記載された、pUTCH_TPACB1およびpRTCH_HFM145_L200V_Y385Fを形質転換した組み換え大腸菌JM109(DE3)株を培養し、特開2009−213392に記載の方法に準拠して、反応液量を100mLとして、テレフタル酸から没食子酸をインビトロで合成した。
〔実施例2〕培養液からの没食子酸の精製
実施例1で得た没食子酸を含む培養液に濃硫酸を添加し、pHを5に調整することによって反応を停止させた。反応停止液を4000×gにて10分間、遠心分離し、上清を回収した。得られた上清を減圧下、65℃で処理することによって濃縮を行い、8.3wt%の没食子酸を含む4.2gの濃縮液を得た。この濃縮液を50℃に保温、攪拌しながら濃硫酸を添加してpHを3.0に調整した後、4℃まで冷却し、没食子酸含有組成物の結晶を析出させた。結晶が析出したスラリー液を5A濾紙で濾過し、得られた濾滓を冷水でリンスして没食子酸含有組成物の湿粗結晶0.3gを得た。得られた粗結晶を乾燥させた後、結晶中の鉄含有量をICP−MSで分析した結果、53ppmであった。
湿粗結晶0.3gに3.3gの水を加えて攪拌しながら70℃で加熱し、結晶を完全に溶解させた。得られた加熱溶解液に17mgの活性炭白鷺Aを添加し、1時間保持後、5A濾紙で加熱下、濾過し活性炭を除去した。得られた濾液を4℃まで冷却し、没食子酸含有組成物の結晶を析出させた。結晶が析出したスラリー液を5A濾紙で濾過し、得られた濾滓を冷水でリンスして没食子酸含有組成物の湿結晶0.42gを得た。この湿結晶を減圧下乾燥し、白色から淡黄色の結晶0.28gを得た(単離収率75%)。得られた結晶中の鉄含有量をICP−MSで分析した結果、0.098ppmであった。
〔比較例1〕
実施例1で得た没食子酸を含む培養液に濃硫酸を添加し、pHを5に調整することによって反応を停止させた。反応停止液を4000×gにて10分間、遠心分離し、上清を回収した。得られた上清に2.3Lの酢酸エチル、350mlのHEPES緩衝液、および2N HCl 11.5mlを加えて、5分間激しく混和し、遠心分離(室温、5分、20000×g)を行った。二層に分離した培養液・酢酸エチル混和物の上層(酢酸エチル層)を回収し、真空遠心乾燥機で乾燥した。乾燥後、23ml アセトニトリルを加えて5分間激しく混和し、さらに440mlの水で希釈し、孔径0.2μmのフィルターで濾過した。得られた濾液に17mgの活性炭白鷺Aを添加し、1時間保持後、5A濾紙で加熱下、濾過し活性炭を除去した。得られた濾液を真空遠心乾燥機で乾燥し、黄褐色の結晶0.23g(単離収率67%)を得た。得られた結晶中の鉄含有量をICP−MSで分析した結果、45ppmであった。
実施例2および比較例1で得られた没食子酸含有組成物の分析結果を表1に示す。
Figure 2014083019

Claims (3)

  1. 以下の工程を含む、鉄含有量が10ppm以下である没食子酸含有組成物の製造方法:
    (1)微生物により没食子酸含有組成物を培養液中で製造する工程
    (2)前記培養液中に没食子酸含有組成物の結晶を生成させる工程、
    (3)前記結晶を60℃以上の熱水で溶解して没食子酸含有溶液を得る工程、
    (4)前記没食子酸含有溶液中に没食子酸含有組成物の結晶を生成させる工程、および
    (5)前記結晶を母液から分離して、鉄含有量が10ppm以下である没食子酸含有組成物を得る工程。
  2. 前記組成物の鉄含有量が0.1ppm以下である、請求項1記載の方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法により製造される、没食子酸含有組成物。
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