JP2014080827A - ブレースダンパー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】両端が建物に対して接合される帯板状の鋼板からなる芯材1と、芯材の周囲に装着される座屈拘束部材5からなる。座屈拘束部材は、芯材の両側に背中合わせ状態で配置されて芯材を両側から挟持する対の圧延溝形鋼6と、圧延溝形鋼のフランジ部6aに対して締結されて双方の圧延溝形鋼どうしを連結する帯鋼からなるカバープレート7を主体として構成される。芯材の幅寸法が圧延溝形鋼のウェブ部6bの幅寸法よりも大とされて芯材の両側縁部がフランジ部の外側に突出する突出部1cとされ、その突出部の両側にそれぞれスペーサー10が配置されてカバープレート7と圧延溝形鋼6のフランジ部6aとの間に挟持されている。
【選択図】図1
Description
これらのブレースダンパーは、両端が建物に対して接合される帯板状の鋼板からなる芯材(ブレース本体)と、その芯材の軸方向変形を許容しつつ面外方向および面内方向の座屈を防止する座屈拘束部材からなることを構成上の特徴とするものである。
そして、上記の座屈拘束部材は、芯材の両側に背中合わせ状態で配置されて芯材を両側から挟持する対の溝形鋼と、それら溝形鋼のフランジ部に対して締結されて双方の溝形鋼どうしを連結する帯鋼からなるカバープレートを主体として構成されている。
そのため、座屈拘束部材として圧延溝形鋼を用いている従来のブレースダンパーでは芯材の最大幅寸法も必然的に380mm未満とせざるを得ず、それ以上の大断面の芯材を用いてさらに高耐力化を図ることはできないものである。
そのため、40mm未満の厚さの複数の芯材を積層して用いて芯材全体としての厚さを40mm以上とすることも考えられるが、その場合は個々の芯材が独立に挙動するので全体座屈や局部座屈等の不安定現象を起こし易いものとなってしまい、この種のブレースダンパー本来の機能を十分に発揮し難いものとなるばかりでなく設計や組み立ても格段に複雑化してしまうので、好ましくない。
しかし、組み立て溝形鋼によって圧延溝形鋼と同等の特性を確保するためには、溶接による組み立て作業や曲げ加工等の高精度が要求される複雑かつ面倒な手間を必要とするし、汎用の圧延溝形鋼を用いる場合に比べてかなりのコストアップとならざるを得ず、やはり好ましくない。
勿論、本発明のブレースダンパーは、従来一般的なこの種のブレースダンパーにおける座屈拘束部材に対して単にスペーサーを追加するだけで良いから、さしたるコストアップにはならないし、設計上および組み立て上の手間が煩雑になったり面倒になることもなく、さらにスペーサーによる面外補剛効果が発揮されるので断面剛性のアップも期待できる。
本実施形態のブレースダンパーは、特許文献1〜3に示されるような従来一般のブレースダンパーと同様に、建物にブレースとして設置されるとともに建物の振動エネルギーを吸収するダンパーとして機能するものであって、両端が建物に対して接合される帯板状の鋼板からなる芯材1と、芯材1の周囲に装着されて芯材1の軸方向変形を許容しつつ面外方向および面内方向の座屈を防止する座屈拘束部材5からなることを基本とする。
芯材1の両端部の固定部1aの間の中央部分は、図1(b)に示すように固定部1aよりも幅寸法(図1では縦姿勢として図示しているので高さ寸法に相当)がやや小さくされた降伏部1bとされていて、この芯材1は地震時に軸力を受けると降伏部1bが軸方向に降伏することによって制震効果を発揮するようになっている。
なお、圧延溝形鋼6は芯材1を両側から挟持するものの芯材1の軸方向相対変位は許容する必要があることから、圧延溝形鋼6のウェブ部6bを芯材1の表面に対して密着させずにそれらの間に若干のクリアランスを確保し、必要に応じてそれらの間に適宜の滑動シート材を介装してスリップ可能な状態で挟持すると良い。
したがって、本実施形態のブレースダンパーにおける座屈拘束部材5は、芯材1の周囲において左右一対の圧延溝形鋼6と上下一対のカバープレート7とが全体として略H形をなすように組み立てられて、その内側に芯材1を軸方向変形を許容する状態で挟持した構成となっており、これにより芯材1の面外方向および面内方向の座屈が確実に防止されてダンパーとして有効に機能し得るものとなっている。
また、カバープレート7の厚さや、カバープレート7と圧延溝形鋼6のフランジ部6aとを締結するためのボルトピッチその他の仕様についても、ダンパー耐力等に応じて適宜調整すれば良い。
つまり、従来のブレースダンパーにおける座屈拘束部材は、圧延溝形鋼6のフランジ部6aとカバープレート7とを直接的に密着させてそれらをボルト締結していたのであるが、本実施形態では圧延溝形鋼6のフランジ部6aとカバープレート7との間に所望厚さのスペーサー10を介装して、そのスペーサー10を挟持する状態でフランジ部6aとカバープレート7とをボルト締結したものとなっている。
すなわち、上述したように従来においては圧延溝形鋼6のフランジ部6aとカバープレート7とを直接的に密着させてそれらをボルト締結していたことから、芯材1の幅寸法(図では高さ寸法)を圧延溝形鋼6の幅寸法(同)よりも小さくせざるを得ないものであった。しかも、圧延溝形鋼6の幅寸法が最大で380mmとすることが限界であることから必然的に芯材1の降伏部1bの幅寸法(同)も380mm未満とする必要があって、それ以上の高耐力化は困難であった。
それに対し、本実施形態では芯材1の降伏部1bの幅寸法(同)を圧延溝形鋼6のウェブ部6bの幅寸法(同)よりもスペーサー10の厚み相当分だけ大きくすることが可能であり、それにより高耐力化を支障なく実現することができる。
なお、必要であれば様々な厚みのスペーサー10を予め用意しておいて、所定厚さのスペーサー10を様々に組み合わせて積層して用いることによって、スペーサー10全体の厚さを所望の寸法に容易にかつ精度良く調整することが可能である。
また、スペーサー10は必ずしも全長にわたって設ける必要はなく、必要性能が確保できれば断続的(部分的)に設けることでも良い。
1a 固定部
1b 降伏部
1c 突出部
2 フランジ板
3 ボルト孔
5 座屈拘束部材
6 圧延溝形鋼
6a フランジ部
6b ウェブ部
7 カバープレート
8 縦リブ
9 横リブ
10 スペーサー
Claims (1)
- 建物にブレースとして設置されるとともに建物の振動エネルギーを吸収するダンパーとして機能するブレースダンパーであって、
両端が建物に対して接合される帯板状の鋼板からなる芯材と、
前記芯材の周囲に装着されて該芯材の軸方向変形を許容しつつ面外方向および面内方向の座屈を防止する座屈拘束部材からなり、
前記座屈拘束部材は、前記芯材の両側に背中合わせ状態で配置されて該芯材を両側から挟持する対の圧延溝形鋼と、前記圧延溝形鋼のフランジ部に対して締結されて双方の圧延溝形鋼どうしを連結する帯鋼からなるカバープレートを主体として構成されているとともに、前記芯材の幅寸法が前記圧延溝形鋼のウェブ部の幅寸法よりも大とされて該芯材の両側縁部が該圧延溝形鋼における前記フランジ部の外側に突出する突出部とされていて、該突出部の両側にそれぞれスペーサーが配置されて該スペーサーが前記カバープレートと前記圧延溝形鋼の前記フランジ部との間に挟持されてなることを特徴とするブレースダンパー。
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