JP2014078356A - 燃料電池用膜電極接合体、及び、燃料電池 - Google Patents

燃料電池用膜電極接合体、及び、燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料電池の耐久性を向上させると共に、燃料電池の発電性能を高くすることのできる燃料電池用膜電極接合体、及び、当該燃料電池用膜電極接合体を有する燃料電池を提供する。
【解決手段】電解質膜と、該電解質膜の一方の面に設けられた燃料極と、該電解質膜の他方の面に設けられた酸化剤極とを備える燃料電池用膜電極接合体であって、前記酸化剤極は、前記電解質膜側から順に第1の触媒層と第2の触媒層とが積層した酸化剤極触媒層を有し、前記第1の触媒層が、パラジウム及びパラジウム合金から選ばれる少なくとも一方を含む中心粒子と、該中心粒子を被覆し且つ白金を含む最外層と、を備えるコアシェル触媒粒子を含み、前記第2の触媒層が、白金粒子及び白金合金粒子から選ばれる少なくとも一方の白金触媒粒子を含むことを特徴とする、燃料電池用膜電極接合体を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図4

Description

本発明は、燃料電池用膜電極接合体、及び、当該燃料電池用膜電極接合体を有する燃料電池に関する。
燃料電池は、燃料と酸化剤を電気的に接続された2つの電極に供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。そのため、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないので、高いエネルギー変換効率を示す。燃料電池は、通常、電解質膜を一対の電極で挟持した膜電極接合体を基本構造とする単セルを複数積層して構成されている。
電解質膜として固体高分子電解質膜を備えた固体高分子電解質型燃料電池において、水素が供給された燃料極(アノード電極)では下記(1)式の反応が進行する。
→ 2H + 2e ・・・(1)
(1)式で生じる電子は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後、酸化剤極(カソード電極)に到達する。そして、(1)式で生じたプロトンは、水と水和した状態で、電気浸透により固体高分子電解質膜内を燃料極側から酸化剤極側に移動する。
一方、酸化剤極では下記(2)式の反応が進行する。
4H +O + 4e → 2HO ・・・(2)
各電極は、一般的に、電解質膜側から順に触媒層、ガス拡散層が積層した構造を有する。触媒層には、通常、上記電極反応を促進させるための白金や白金合金等の電極触媒、触媒層におけるプロトン伝導性を確保するための固体高分子電解質、触媒層における電子伝導性を確保するための導電性材料が含まれている。また、ガス拡散層は、通常、触媒層への反応ガスの供給、電極中の余剰の水分の排出等を可能とする導電性多孔質体を用いて形成される。
近年、燃料電池の長期間にわたる運転により、各電極、特に酸化剤極に含まれる白金や白金合金が溶解(イオン化)し、電解質膜側に溶出することが問題視されている。
白金を含む酸化剤極を使用した膜電極接合体では、燃料電池の運転環境下、酸化剤極における触媒層内の白金が溶出して白金イオンとなり、電解質膜内の特定の位置で析出、凝集して層状の白金バンドを形成することが知られている。これは、酸化剤極触媒層から溶出した白金イオンが燃料極の触媒層に向かって移動し、燃料極触媒層からクロスオーバーしてきた水素ガスと反応して還元されることにより白金粒子となるからである。このような白金バンドが形成されると、その白金粒子上で膜を透過した水素ガスや酸素ガスが反応し、ラジカルや過酸化水素が生成し、その濃度が高くなる白金バンド周辺の電解質膜が分解される。その結果電解質膜の劣化が促進されるため、燃料電池の耐久性が低下するという問題がある。
そこで、燃料電池の耐久性を向上させるため、電極からの白金の溶出を抑制することが望まれており、様々な技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
例えば、特許文献1では、導電性担体、前記導電性担体に担持されてなる、白金を含有する触媒活性物質、およびプロトン伝導性高分子を含む固体高分子型燃料電池用電極触媒層であって、白金イオンを捕捉しうる白金イオン捕捉剤をさらに含めることによって、電極触媒層からの経時的な白金の流出を抑制している。
特開2006−147345号公報 特開2010−232149号公報 特開2007−165259号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、白金の溶解自体を抑制することができないため、電解質膜内に白金バンドが形成され、その結果、電解質膜の劣化が促進されるため、燃料電池の耐久性が十分ではないという問題がある。また、特許文献1に記載されている白金イオン捕捉剤は、発電に寄与しない成分であるため、燃料電池の発電性能が低下してしまうという問題もある。
本発明は上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、本発明の目的は、燃料電池の耐久性を向上させると共に、燃料電池の発電性能を高くすることのできる、燃料電池用膜電極接合体、及び、当該燃料電池用膜電極接合体を有する燃料電池を提供することである。
本発明の燃料電池用膜電極接合体は、電解質膜と、該電解質膜の一方の面に設けられた燃料極と、該電解質膜の他方の面に設けられた酸化剤極とを備える燃料電池用膜電極接合体であって、
前記酸化剤極は、前記電解質膜側から順に第1の触媒層と第2の触媒層とが積層した酸化剤極触媒層を有し、前記第1の触媒層が、パラジウム及びパラジウム合金から選ばれる少なくとも一方を含む中心粒子と、該中心粒子を被覆し且つ白金を含む最外層と、を備えるコアシェル触媒粒子を含み、前記第2の触媒層が、白金粒子及び白金合金粒子から選ばれる少なくとも一方の白金触媒粒子を含むことを特徴とする。
本発明の燃料電池用膜電極接合体では、コアシェル触媒粒子を含む第1の触媒層と白金触媒粒子を含む第2の触媒層とが積層した酸化剤極触媒層を有することによって、酸化剤極触媒層から電解質膜への白金の溶出を抑制することができるため、電解質膜の劣化を抑制し、燃料電池の耐久性を向上させることができると共に、燃料電池の発電性能を高くすることができる。
前記コアシェル触媒粒子及び前記白金触媒粒子の少なくとも一方が、導電性炭素材料に担持されていることが好ましい。
前記酸化剤極は、前記電解質膜側から順に、前記酸化剤極触媒層とガス拡散層が積層した多層構造を有する形態とすることができる。
本発明の燃料電池は、前記燃料電池用膜電極接合体を有することを特徴とするものであり、耐久性、発電性能に優れている。
本発明によれば、酸化剤極触媒層から電解質膜への白金の溶出を抑制することができるため、電解質膜の劣化を抑制し、燃料電池の耐久性を向上させ、燃料電池の発電性能を高くすることができる。
酸化剤極触媒層の厚さ方向の位置と白金触媒表面積との関係を示した図である。 燃料電池用膜電極接合体を有する燃料電池の一例を示す断面模式図である。 参考実験例1、参考実験例2における耐久試験結果を表わす図である。 参考実験例1の充放電試験における耐久時間320時間での膜電極接合体断面写真と、Pt、Pd原子数との分布を示す図である。 参考実験例1、2の耐久試験におけるサイクル数と白金の電気化学的有効表面積及び白金の電気化学的有効表面積の維持率との関係を示すものである。
以下、本発明の燃料電池用膜電極接合体及び当該燃料電池用膜電極接合体を用いた燃料電池について詳しく説明する。
本発明の燃料電池用膜電極接合体は、電解質膜と、該電解質膜の一方の面に設けられた燃料極と、該電解質膜の他方の面に設けられた酸化剤極とを備える燃料電池用膜電極接合体であって、
前記酸化剤極は、前記電解質膜側から順に第1の触媒層と第2の触媒層とが積層した酸化剤極触媒層を有し、前記第1の触媒層が、パラジウム及びパラジウム合金から選ばれる少なくとも一方を含む中心粒子と、該中心粒子を被覆し且つ白金を含む最外層と、を備えるコアシェル触媒粒子を含み、前記第2の触媒層が、白金粒子及び白金合金粒子から選ばれる少なくとも一方の白金触媒粒子を含むことを特徴とするものである。
本発明者らは、上記したような電解質膜における白金バンドの形成を抑制しつつ、発電性能に優れた膜電極接合体を得るべく、鋭意検討した。
その結果、まず、パラジウム及びパラジウム合金から選ばれる少なくとも一方を含む中心粒子と、該中心粒子を被覆し且つ白金を含む最外層と、を備えるコアシェル触媒粒子(以下、Pt/Pd系コアシェル触媒粒子ということがある)を用いて酸化剤極触媒層を形成することによって、白金バンドの代わりに、パラジウムバンドが形成されることを見出した(後述の参考実験例1及び図4参照)。
また、電解質膜内にパラジウムバンドが形成された場合、電解質膜内に白金バンドが形成された場合と比較して、電解質膜劣化の指標となるフッ素イオン溶出量が大幅に低下することを見出した(後述の参考実験例1、2及び図3参照)。
一方で、Pt/Pd系コアシェル触媒粒子を用いて酸化剤極触媒層を形成した膜電極接合体について、耐久試験を行ったところ、白金粒子を用いた場合と比較して白金の電気化学的有効表面積(ECSA)の維持率が低く、耐久性が悪いという結果が得られた(後述の参考実験例1、2及び図5参照)。これは、表面の白金が溶出し、コアのパラジウムが露出すると、パラジウムは白金ほどの活性を有していないため、触媒活性や白金の電気化学的有効表面積の低下が早いためである。
そこで、本発明者らは、本発明者らによって新たに得られた上記3つの知見と、触媒層における白金の溶出が電解質膜の表面近傍に配置された白金で起こるという知見に基づき、本発明を完成させるに至った。すなわち、酸化剤極触媒層を、電解質膜側から順に、Pt/Pd系コアシェル触媒粒子を含む第1の触媒層と白金触媒粒子を含む第2の触媒層とが積層した構造とすることによって、耐久性と触媒活性等の発電性能との両立を実現可能にした。酸化剤極を上記構成とすることによって耐久性及び発電性能に優れた膜電極接合体が得られる理由は次のように考えられる。
まず、第1の触媒層に含まれる、コア金属にパラジウムを用いたコアシェル触媒粒子は、燃料電池の使用過程における電位サイクルでは白金触媒粒子の様なオストワルド熟成を起こさず、白金シェルの欠陥部位からパラジウムを除去しつつ、白金シェルの再配列により、シェルの欠陥部位が埋まるという特性を有する。そのため、Pt/Pd系コアシェル触媒を用いることによって、白金の溶出を抑制することができ、白金バンドの形成が抑制される。
また、触媒粒子からの白金の溶出は、酸化剤極触媒層の電解質膜近傍で起こることから、コアシェル触媒粒子を酸化剤極触媒層の電解質膜近傍に配置することによって、燃料電池の運転環境下、白金シェルの欠陥部分から露出したコア金属であるパラジウムを選択的に溶出させ、電解質膜内にパラジウムバンドを形成させることができる。第2の触媒層に含まれている白金触媒粒子は電解質膜から離れているため非常に溶出しにくく、白金バンドの形成を抑制することができる。
電解質膜内にパラジウムバンドが形成された場合、パラジウムは白金と異なり、水素ガスや酸素ガスと反応して過酸化水素やOHラジカルが発生しにくいため、白金バンドが形成される場合と比較して電解質膜の劣化を抑制することができる。
また、コアシェル触媒粒子と白金触媒粒子とを併用することによって、コアシェル触媒粒子のみを用いる場合よりも、白金の電気化学的有効表面積の維持率を高くすることができるため、燃料電池の耐久性を向上させることができる。また、白金触媒粒子のみを用いる場合よりも、白金の電気化学的有効表面積を大きくすることができ、燃料電池の発電性能を向上させることができる。
以下、本発明の燃料電池用膜電極接合体の構成について、詳しく説明する。
本発明の燃料電池用膜電極接合体は、酸化剤極が、上記したように、電解質膜側から順に第1の触媒層と第2の触媒層とが積層した触媒層を有する点に大きな特徴を有する。
第1の触媒層は、パラジウム及びパラジウム合金から選ばれる少なくとも一方を含む中心粒子と、該中心粒子を被覆し且つ白金を含む最外層と、を備えるコアシェル触媒粒子を含むものであれば特に限定されない。典型的には、第1の触媒層は白金触媒粒子を含まない。
コアシェル触媒粒子を構成する中心粒子は、パラジウム及びパラジウム合金から選ばれる少なくとも一方を含むものであれば、特に限定されない。パラジウム合金としては、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、及び、銀からなる群から選ばれる金属材料との合金等が挙げられ、パラジウム合金を構成するパラジウム以外の金属は1種でも2種以上でもよい。
パラジウム合金を使用する場合には、合金全体の質量を100質量%としたときのパラジウムの含有割合が80質量%以上100質量%未満であることが好ましい。パラジウムの含有割合が80質量%未満であるとすると、白金の原子サイズとの差が大きくなり、均一な白金シェルが得られないからである。
コアシェル触媒粒子を構成するシェル金属材料は、白金及び白金合金から選ばれる少なくとも一方を含むものであれば特に限定されない。白金合金としては、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、ニッケル、及び、金からなる群から選ばれる金属材料との合金等が挙げられ、白金合金を構成する白金以外の金属は1種でも2種以上でもよい。
白金合金を使用する場合には、合金全体の質量を100質量%としたときの白金の含有割合が90質量%以上100質量%未満であることが好ましい。白金の含有割合が90質量%未満であるとすると、十分な触媒活性及び耐久性が得られないからである。
中心粒子に対する最外層の被覆率は、70〜100%であることが好ましく、90〜100%であることがより好ましい。中心粒子に対する最外層の被覆率が、70%未満であるとすると、十分に高い触媒活性が得られないおそれがあるからである。
尚、ここでいう「中心粒子に対する最外層の被覆率」とは、中心粒子の全表面積を100%とした時の、最外層によって被覆されている中心粒子の表面積の割合のことである。当該被覆率を算出する方法の一例としては、TEMによって触媒粒子の表面の数か所を観察し、観察された全面積に対する、最外層によって中心粒子が被覆されていることが観察によって確認できた面積の割合を算出する方法が挙げられる。
X線光電子分光(XPS:X−ray photoelectron spectroscopy)や、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS:Time of Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)等を用いて、コアシェル触媒粒子の最表面に存在する成分を調べることによって、中心粒子に対する最外層の被覆率を算出することもできる。
最外層の厚さは、単原子層以上、3原子層以下であることが好ましい。このような厚さの最外層を備えるコアシェル触媒粒子は、4原子層以上の最外層を備えるコアシェル触媒粒子と比較して、白金1g当たりの電気化学的有効表面積が高いという利点、及び、白金の被覆量が少ないため材料コストが低いという利点がある。
白金の電気化学的有効表面積を可能な限り広く確保できるという点、及び、電子伝導性の観点から孤立した白金原子がなく、被覆された白金原子が全て有効に触媒能を発揮するという観点から、最外層は連続層であることが好ましい。このように安定性及び触媒活性の確保のためには最外層が連続層であり、3原子層以下であることが好ましい。ただし、最外層は必ずしも中心粒子の全表面を覆う必要はない。
コアシェル触媒粒子の平均粒径は、3nm以上、特に3.5nm以上であることが好ましく、10nm以下、特に5nm以下であることが好ましい。
コアシェル触媒粒子の最外層は上述したように好ましくは3原子層以下であるため、コアシェル触媒粒子の平均粒径に対し、最外層の厚さがほぼ無視でき、中心粒子の平均粒径と、コアシェル触媒粒子の平均粒径とがほぼ等しいことが好ましい。
尚、粒子の平均粒径は、常法により算出される。粒子の平均粒径の算出方法の例は以下の通りである。まず、400,000倍又は1,000,000倍の透過型電子顕微鏡(TEM)画像において、ある1つの粒子について、当該粒子を球状と見なした際の粒径を算出する。このようなTEM観察による平均粒径の算出を、同じ種類の200〜300個の粒子について行い、これらの粒子の平均を平均粒径とする。
中心粒子にシェル金属を被覆する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
中心粒子へのシェル金属の被覆は、一段階の反応を経て行われてもよいし、多段階の反応を経て行われてもよい。
以下、2段階の反応を経て中心粒子にシェル金属が被覆される例について主に説明する。
2段階の反応を経て中心粒子にシェル金属が被覆される例としては、少なくとも、中心粒子に単原子層を被覆する工程、及び、当該単原子層を所望のシェル金属に置換する工程を有する例が挙げられる。
2段階の反応を経て中心粒子にシェル金属が被覆される具体例としては、アンダーポテンシャル析出法により予め中心粒子に単原子層を形成した後、当該単原子層を所望のシェル金属に置換する方法が挙げられる。アンダーポテンシャル析出法としては、Cu−UPD法を用いることが好ましい。
第2の触媒層は、白金粒子及び白金合金粒子から選ばれる少なくとも一方の白金触媒粒子を含むものであれば特に限定されず、例えば、Pt/Pd系コアシェル触媒粒子が含まれていてもよい。
白金触媒粒子の粒径は、特に限定されないが、一般的には平均粒径が、2.5〜5nmであることが好ましく、特に3〜4.5nmであることが好ましい。
酸化剤極触媒層における第1の触媒層と第2の触媒層の白金粒子の含有量比は特に限定されないが、酸化剤極触媒層全体の単位面積当たりの白金量を100%として、第1の触媒層は、10〜90%、好ましくは30〜50%、第2の触媒層は、10〜90%、好ましくは50〜70%であることが好ましい。
本発明において酸化剤極触媒層における第1の触媒層と第2の触媒層の膜電極接合体の積層方向の厚みの比は、特に限定されないが、特開2010−236989号公報に記載の、粒径分布モデル作成方法を用いた燃料電池触媒の劣化予測方法を用いることによって、好ましい条件を予測し、設定することが可能である。具体的には、触媒粒子の平均粒径、酸化剤極触媒層全体の厚さ、燃料電池の運転時間等から下記式(3)〜(6)を用いて予測することが可能である。下記式(3)〜(6)で用いられる記号の意味を以下に示す。
ε:酸化剤極触媒層の多孔率(−)
t:時間(s)
i:異なる半径を持つ粒子の種類の数
z:酸化剤極触媒層の電解質膜側からの厚さ方向の距離(cm)
N(i):酸化剤極触媒層中の単位体積当たりの白金粒子数(cm−3
(i,z):白金溶解反応速度(mol/cms)
(i,z):白金酸化反応速度(mol/cms)
(i,z):酸化白金(II)の溶解反応速度(mol/cms)
H+:プロトン濃度(mol/cm
H+,ref:CH+の係数変換定数(−)
Pt2+:白金イオン濃度(mol/cm
Pt2+,ref:CPt2+の係数変換定数(−)
Pt2+:白金イオン拡散係数(1.0×10−6cm/s)
F:ファラデー定数(96485C/equiv)
:白金溶解反応の速度定数(mol/cms)
:白金酸化反応の速度定数(mol/cms)
:酸化白金(II)の溶解反応の速度定数(mol/cms)
Pt:白金原子質量(195g/mol)
PtO:酸化白金(II)分子質量(211.09g/mol)
:白金溶解反応に関わる電子の数(2equiv/mol)
:白金酸化反応に関わる電子の数(2equiv/mol)
R:気体定数(8.314J/mol・K)
R(i,z):白金粒子半径(cm)
T:温度(K)
:白金溶解反応の熱動力学的可逆ポテンシャル(V)
:白金酸化反応の熱動力学的可逆ポテンシャル(V)
Θ:白金溶解反応の標準熱動力学ポテンシャル(V)
Θ:白金酸化反応の標準熱動力学ポテンシャル(V)
αa,1:白金溶解反応のアノーディック移動係数(−)
αa,2:白金酸化反応のアノーディック移動係数(−)
αc,1:白金溶解反応のカソーディック移動係数(−)
αc,2:白金酸化反応のカソーディック移動係数(−)
ρPt:白金の密度(21.95g/cm
ρPtO:酸化白金(II)の密度(14.1g/cm
ω:酸化白金(II)−酸化白金(II)相互作用係数(J/mol)
Θvac:酸化物で覆われていない白金表面の割合(−)
ΘPtO:酸化物で覆われている白金表面の割合(−)
σPt:白金粒子の表面張力(J/cm
σPtO:酸化白金(II)粒子の表面張力(J/cm
E:セル電位(V)
ΔμPtO :酸化白金(II)の化学ポテンシャルシフト(J/mol)
白金溶解反応速度r(i,z)を示す数式モデルとしては、下記式(3)を用いることができる。
なお、上記式(3)中のポテンシャルU(i,z)は、下記式(3a)で定義される。
なお、上記式(3a)中のΔμPt(i,z)は、下記式(3b)で定義される。
白金の酸化反応速度の数式モデルとしては、下記式(4)を用いることができる。
なお、上記式(4)中のポテンシャルU(i,z)は、下記式(4a)で定義される。
なお、上記式(4a)中のΔμPtO(i,z)は、下記式(4b)で定義される。
酸化白金(II)の溶解反応速度の数式モデルとしては、下記式(5)を用いることができる。
なお、上記式(5)中のK(i,z)は、下記式(5a)で定義される。
最終的な白金イオン(II)の物質収支の数式モデルとしては、下記式(6)を用いることができる。
図1は、特開2010−236989号公報に記載の、粒径分布モデル作成方法を用いた燃料電池触媒の劣化予測方法を用いて得られた、酸化剤極触媒層の厚さ方向の位置と白金触媒表面積との関係を示したグラフである。具体的には、白金触媒粒子を含む酸化剤極触媒層を有する燃料電池において、電解質膜との界面の位置を0、ガス拡散層との界面の位置を1とした場合の酸化剤極触媒層の厚さ方向の位置と、燃料電池の運転前後における白金触媒表面積との関係を示している。
図1は、白金触媒粒子の平均粒径を4nm、酸化剤極触媒層の厚さを10μm、燃料電池の運転時間を500時間とした際のものである。
図1に示すように、運転前においては酸化剤極触媒層において均等に高い値を保っていた白金触媒表面積も、使用時間を経ると、電解質膜側を中心に、急激に減少することがわかる。また、白金触媒表面積の減少は、電解質膜側からの酸化剤極触媒層の厚さ方向の位置が0〜0.6の範囲で起こることが予測される。
図1に示す予測結果を考慮して、第1の触媒層の厚み:第2の触媒層の厚みは1:9〜9:1の範囲が好ましく、3:7〜7:3の範囲がより好ましく、燃料電池の発電性能向上の観点から5:5が特に好ましい。
なお、本発明に用いる酸化剤極触媒層全体としての厚みは特に限定されないが、5〜20μmの範囲であればよく、7〜15μmの範囲が好ましい。
本発明の燃料電池用膜電極接合体に用いるコアシェル触媒粒子及び白金触媒粒子は、導電性確保、触媒粒子の高分散性の観点から、コアシェル触媒粒子及び白金触媒粒子の少なくとも一方が、導電性炭素材料に担持されているものであることが好ましく、特に両方とも担持されていることが好ましい。
ここで、触媒粒子が導電性炭素材料に担持されているとは、触媒粒子が導電性炭素材料の表面に化学的及び/又は物理的に吸着している状態をいう。
触媒粒子を担持する導電性炭素材料としては、触媒粒子を高分散担持させるために十分な比表面積を有し、集電体として十分な導電性を有しているものであれば、特に制限されない。例えば、ケッチェンブラック(商品名:インターナショナル株式会社製)、バルカン(商品名:Cabot社製)、ノーリット(商品名:Norit社製)、ブラックパール(商品名:Cabot社製)、アセチレンブラック(商品名:Chevron社製)等の炭素粒子や、炭素繊維等の導電性炭素材料が挙げられる。
導電性炭素材料の粒径は、特に限定されないが、好ましくは10〜200nm、より好ましくは20〜100nmである。導電性炭素材料の粒径が小さすぎると、導電性炭素材料が腐食劣化する場合があり、当該導電性炭素材料に担持される触媒粒子が経時的に脱落してしまう虞がある。
導電性炭素材料の比表面積は、特に限定されないが、好ましくは50〜2000m/g、より好ましくは100〜1600m/gである。導電性炭素材料の比表面積が小さすぎると、導電性炭素材料への触媒粒子の分散性が低下し、十分な電池性能が発現しない虞がある。また、導電性炭素材料の比表面積が大きすぎると、触媒粒子の有効利用率が低下し、十分な電池性能が発現しない虞がある。
導電性炭素材料による触媒粒子担持率[{(触媒粒子重量)/(触媒粒子重量+導電性炭素材料重量)}×100%]は特に限定されず、一般的には、20〜60%の範囲であることが好ましい。触媒粒子の担持量が少なすぎると、触媒機能が十分に発現しない虞がある。一方、触媒粒子の担持量が多すぎると、触媒機能の観点からは特に問題は生じないかもしれないが、必要以上の触媒粒子を担持させても、製造コストの上昇に見合った効果が得られにくくなる。
酸化剤極触媒層の形成方法は、電解質膜側から順に第1の触媒層と第2の触媒層とが積層した構造となるように形成することができる方法であれば、特に限定されない。例えば、電解質膜表面にコアシェル触媒粒子を含む触媒インクを塗布、乾燥することによって、電解質膜表面に第1の触媒層を形成し、その後、第1の触媒層表面に白金触媒粒子を含む触媒インクを塗布、乾燥することによって、第1の触媒層表面に第2の触媒層を形成することによって酸化剤極触媒層を形成することができる。
また、後述するガス拡散層シートの表面に白金触媒粒子を含む触媒インクを塗布、乾燥することによって、ガス拡散層シート表面に第2の触媒層を形成し、その後、第2の触媒層表面にコアシェル触媒粒子を含む触媒インクを塗布、乾燥することによって、第2の触媒層表面に第1の触媒層を形成し、第1の触媒層表面と電解質膜表面を熱圧着等することによっても酸化剤極触媒層を形成することができる。
触媒インクは、上記の触媒粒子に、少なくとも分散媒、電解質を加え、分散させることで得られる。
触媒インクの分散媒としては、特に限定されず、使用される高分子電解質等によって適宜選択すればよい。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール等のアルコール類や、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等、或いは、これらの混合物や水との混合物を用いることができるが、これに限定されない。
触媒インクの電解質としては、後述する電解質膜同様の材料を用いることができる。
触媒インクの分散方法としては、特に限定されないが、例えば、ホモジナイザー、ビーズミル、シェアミキサー、ロールミル等が挙げられる。
触媒インクの塗布方法、乾燥方法等は適宜選択することができる。例えば、塗布方法としては、スプレー法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法などが挙げられる。また、乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥、加熱乾燥、減圧加熱乾燥などが挙げられる。減圧乾燥、加熱乾燥における具体的な条件に制限はなく、適宜設定すればよい。
酸化剤極は、必要に応じてガス拡散層を有していても良い。ガス拡散層を有する場合の酸化剤極の構造は、特に限定されないが、電解質膜側から順に、酸化剤極触媒層とガス拡散層が積層した多層構造を有していることが好ましい。
ガス拡散層を形成するガス拡散層シートとしては、酸化剤極触媒層に効率良く燃料を供給することができるガス拡散性、導電性、及びガス拡散層を構成する材料として要求される強度を有するもの、例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等の炭素質多孔質体や、チタン、アルミニウム、銅、ニッケル、ニッケル−クロム合金、銅及びその合金、銀、アルミ合金、亜鉛合金、鉛合金、チタン、ニオブ、タンタル、鉄、ステンレス、金、白金等の金属から構成される金属メッシュ又は金属多孔質体等の導電性多孔質体からなるもの等が挙げられる。導電性多孔質体の厚さは、50〜500μm程度であることが好ましい。
ガス拡散層シートは、上記したような導電性多孔質体の単層からなるものであってもよいが、酸化剤極触媒層に面する側に撥水層を設けることもできる。撥水層は、通常、炭素粒子や炭素繊維等の導電性粉粒体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の撥水性樹脂等を含む多孔質構造を有するものである。撥水層は、必ずしも必要なものではないが、酸化剤極触媒層及び電解質膜内の水分量を適度に保持しつつ、ガス拡散層の排水性を高めることができる上に、酸化剤極触媒層とガス拡散層間の電気的接触を改善することができるという利点がある。
燃料極は、少なくとも燃料極触媒層を有する。
燃料極触媒層の材料、構成、形成方法、及び、厚みは、特に限定されず、前述した酸化剤極触媒層と同様の材料、構成、形成方法、及び、厚みであっても良く、第1の触媒層のみの構成、または、第2の触媒層のみの構成であってもよい。
燃料極は、必要に応じてガス拡散層を有していても良い。ガス拡散層を有する場合の燃料極の構造、及び、材料は、特に限定されず、前述した酸化剤極と同様の構造、及び、材料を用いることができる。
電解質膜としては、Nafion(登録商標:デュポン株式会社製)等のパーフルオロスルホン酸ポリマー系電解質膜のようなフッ素系高分子電解質を含むフッ素系高分子電解質膜の他、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリパラフェニレン等のエンジニアリングプラスチックや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の汎用プラスチック等の炭化水素系高分子にスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ボロン酸基等のプロトン酸基(プロトン伝導性基)を導入した炭化水素系高分子電解質を含む炭化水素系高分子電解質膜等が挙げられる。
電解質膜の厚みは、特に限定されないが、5〜30μmが好ましい。
本発明の燃料電池は、上記したような本発明の燃料電池用膜電極接合体を有するため、電解質膜の劣化が抑制されると共に、白金の電気化学的有効表面積の維持率が高い。従って、優れた耐久性を有する。さらには、高い発電性能も有する。
本発明の燃料電池は、少なくとも本発明の燃料電池用膜電極接合体を有していれば良いが、通常、反応ガス流路を有するセパレータで上記膜電極接合体が狭持されている。
セパレータとしては、導電性及びガスシール性を有し、集電体及びガスシール体として機能しうるもの、例えば、炭素繊維を高濃度に含有し、樹脂との複合材からなるカーボンセパレータや、金属材料を用いた金属セパレータ等を用いることができる。金属セパレータとしては、耐腐食性に優れた金属材料からなるものや、表面をカーボンや耐腐食性に優れた金属材料等で被覆し、耐腐食性を高めるコーティングが施されたもの等が挙げられる。
図2は、本発明の燃料電池用膜電極接合体を有する燃料電池の一例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。
燃料電池100は、電解質膜1と、電解質膜1を挟持する一対の酸化剤極8及び燃料極9とを有する膜電極接合体10を含み、さらに膜電極接合体10を電極8、9の外側から挟持する一対のセパレータ11及び12とを有する。セパレータ11、12と電極8、9の境界にはガス流路13及び14が確保されている。
電極8、9は、電解質膜側から順に触媒層とガス拡散層とが積層した構造を有している。すなわち、燃料極9は燃料極触媒層5とガス拡散層7とが積層した構造を有し、酸化剤極8は酸化剤極触媒層2とガス拡散層6とを積層した構造を有する。酸化剤極触媒層2は、電解質膜1側から順に第1の触媒層3と第2の触媒層4とが積層した構造を有している。
本発明の燃料電池は、図2に示すような単セルが複数積層され、電気的に接続された構造とすることもできる。
[参考実験例1]
(燃料電池用膜電極接合体の製造)
Pt(シェル)/Pd(コア)コアシェル触媒担持カーボン(以下Pt/Pd/Cと称する)[白金被覆率100%、担持カーボン(バルカン(担持率:Pt13%、Pd12%))]0.9g、及び、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液(ナフィオン(登録商標))1.9g、超純水14.24ml、エタノール8.16mlを混合し、酸化剤極触媒層用のコアシェル触媒粒子含有触媒インクを調製した。
白金担持カーボン(以下Pt/Cと称する)[白金担持率30%]0.9g、及び、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液(ナフィオン(登録商標))1.9g、超純水14.24ml、エタノール8.16mlを混合し、燃料極触媒層用の白金触媒粒子含有触媒インクを調製した。
層厚5μm、単位面積当りの白金量が0.03mg−Pt/cmとなるようにコアシェル触媒粒子含有触媒インクを、電解質膜(ナフィオン(登録商標))にスプレー法により塗布した。その後、加熱、真空乾燥することにより、コアシェル触媒粒子含有触媒インク中の溶媒を除去し、酸化剤極触媒層を得た。
一方、電解質膜の酸化剤極触媒層を積層した面とは反対の面に、層厚5μm、単位面積当りの白金量が0.05mg−Pt/cmとなるように白金触媒粒子含有触媒インクをスプレー法により塗布した。その後、加熱、真空乾燥することにより、白金触媒粒子含有触媒インク中の溶媒を除去し、燃料極触媒層を得た。
得られた膜触媒層接合体を、ホットプレスにより2枚のカーボンペーパーと圧着し、膜電極接合体を作製した。
[参考実験例2]
参考実験例1において、酸化剤極触媒層の作製にあたって、白金触媒粒子含有触媒インクを電解質膜に単位面積当りの白金量が0.1mg−Pt/cmとなるように塗布したこと以外は、同様にして、膜電極接合体を作製した。
(耐久試験)
サイクリックボルタンメトリー測定法により耐久試験を行うことで参考実験例1及び参考実験例2で作製した膜電極接合体を評価した。
燃料電池セルに組み込み、下記運転条件下、上限電圧0.9Vで180秒、及び、下限電圧0.7Vで60秒を交互に繰り返す電位変動をかけた。
<セル運転条件>
・セル温度:80℃
・酸化剤:空気(露点80℃、背圧0.05MPa、流量80ml/min)
・燃料:水素ガス(露点45℃、背圧0.1MPa、流量108ml/min)
・電流密度:0.1A/cm
<耐久試験結果>
参考実験例1、参考実験例2における燃料極、及び、酸化剤極から排出されたフッ素イオン排出速度の経時変化を図3に示す。
図3に示すように、参考実験例2と比較して、参考実験例1の燃料極、及び、酸化剤極から排出されるフッ素イオンの排出速度が減少していることがわかる。従って、参考実験例1において、電解質膜の劣化が抑制されていることがわかる。
上記電位変動をかけた後、参考実験例1における膜電極接合体の断面をTEMで観察すると共に、SEM−EDS(Scanning Electron Microscopy Energy Dispersive Spectroscopy)により、上記断面における白金原子及びパラジウム原子の分布を測定した。結果を図4に示す。
図4に示すように、コアシェル触媒粒子を含有する酸化剤極触媒層を備える参考実験例1の耐久試験後の電解質膜内に、パラジウム粒子が存在していることがわかる。これは、酸化剤極触媒層に含まれるコアシェル触媒粒子中のパラジウム粒子が溶出し、パラジウム粒子が電解質膜内に析出したためと考えられる。一方、膜中の白金原子数は少なく、白金バンドも確認されなかった。従って、Pt/Pd系コアシェル触媒粒子を用いることにより、膜中における白金バンドの形成が抑制され、パラジウムバンドが形成されることが確認された。
耐久試験で得られたサイクリックボルタモグラムに基づいて、膜電極接合体の酸化剤極触媒層中の白金の電気化学的有効表面積を測定した。
参考実験例1、2における、白金の電気化学的有効表面積の維持率及び白金の電気化学的有効表面積と、電位サイクル数と、の関係を示す結果を図5に示す。
図5の縦軸は、白金の電気化学的有効表面積の維持率及び白金の電気化学的有効表面積を示し、横軸は、電位サイクル数を示している。白金の電気化学的有効表面積の維持率は、電位サイクル数が0(耐久試験前)のときの白金の電気化学的有効表面積に対する所定電位サイクル数経過後(耐久試験後)の白金の電気化学的有効表面積の割合である。
図5に示すように、白金触媒粒子のみを用いた参考実験例2と比較して、コアシェル触媒粒子のみを用いた参考実験例1は、白金の電気化学的有効表面積は高いものの、白金の電気化学的有効表面積維持率は低くなった。また、参考実験例2における95000サイクル経過後の白金の電気化学的有効表面積の維持率は、参考実験例1における45000サイクル経過後の白金の電気化学的有効表面積の維持率よりも高く、白金触媒粒子は、コアシェル触媒粒子と比較して、長期間にわたって白金の電気化学的有効表面積を高く維持することがわかる。
(触媒活性評価)
参考実験例1で用いたPt/Pd系コアシェル触媒粒子含有触媒インクに含まれるコアシェル触媒粒子、及び、白金触媒粒子含有触媒インクに含まれる白金触媒粒子の触媒活性を評価した。具体的には、回転電極法により質量活性を求め、この質量活性により触媒活性を評価した。試験条件は以下のとおりである。
<試験条件>
・セル温度:25℃
・溶液:0.1M 過塩素酸水溶液
・酸素飽和雰囲気
・電極回転速度:1600rpm
・電位走査速度:10mV/s
・端子間電圧:0.9Vでの触媒活性を測定
(触媒活性評価結果)
Pt/Pd系コアシェル触媒粒子の質量活性は650A/g−Pt、白金触媒粒子の質量活性は200A/g−Ptであった。
従って、本発明において、例えば、第1の触媒層の厚みと第2の触媒層の厚みの比が3:7となるように積層した場合の質量活性は、335A/g−Ptとなり、第2の触媒層のみを用いた場合の質量活性200A/g−Ptの約1.7倍になり、参考実験例2よりも燃料電池の触媒活性を向上させることができることが予測される。
以上の耐久試験(フッ素溶出量、白金の電気化学的有効表面積、白金の電気化学的有効表面積維持率)、触媒活性試験評価結果、及び、図1に示す、燃料電池触媒の劣化予測結果を総合判断すると、本発明の燃料電池用膜電極接合体を燃料電池に用いることによって、燃料電池の耐久性を向上し、発電性能を高くすることができると予測される。
1 電解質膜
2 酸化剤極触媒層
3 第1の触媒層
4 第2の触媒層
5 燃料極触媒層
6,7 ガス拡散層
8 酸化剤極
9 燃料極
10 膜電極接合体
11,12 セパレータ
13,14 ガス流路
100 燃料電池

Claims (4)

  1. 電解質膜と、該電解質膜の一方の面に設けられた燃料極と、該電解質膜の他方の面に設けられた酸化剤極とを備える燃料電池用膜電極接合体であって、
    前記酸化剤極は、前記電解質膜側から順に第1の触媒層と第2の触媒層とが積層した酸化剤極触媒層を有し、前記第1の触媒層が、パラジウム及びパラジウム合金から選ばれる少なくとも一方を含む中心粒子と、該中心粒子を被覆し且つ白金を含む最外層と、を備えるコアシェル触媒粒子を含み、前記第2の触媒層が、白金粒子及び白金合金粒子から選ばれる少なくとも一方の白金触媒粒子を含むことを特徴とする、燃料電池用膜電極接合体。
  2. 前記コアシェル触媒粒子及び前記白金触媒粒子の少なくとも一方が、導電性炭素材料に担持されている、請求項1に記載の燃料電池用膜電極接合体。
  3. 前記酸化剤極は、前記電解質膜側から順に、前記酸化剤極触媒層とガス拡散層が積層した多層構造を有している、請求項1又は2に記載の燃料電池用膜電極接合体。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の燃料電池用膜電極接合体を有することを特徴とする、燃料電池。
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