以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動預払機の全体構成]
図1及び図2に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、顧客との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行うようになされている。
因みに図1は斜視図を表しており、図2(A)は平面図を、図2(B)は正面図をそれぞれ表している。また以下では、現金自動預払機1のうち顧客が対峙する正面側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した顧客から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所、すなわち前面の上部から上面に渡る部分が一部切り落とされたような形状となっており、この部分に接客部3が設けられている。
接客部3は、前方向を向いた正面パネル2A及び上斜め前方向を向いた斜面パネル2Bにより構成されており、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになされている。
接客部3は、正面パネル2Aにカード入出口4及び通帳入出口5が設けられると共に、斜面パネル2Bに紙幣入出金口6、硬貨入出金口7、表示操作部8、通話部9及び本体スピーカ10が設けられている。
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(後述する)が設けられている。
通帳入出口5は、通帳が挿入又は排出される部分である。通帳入出口5の奥側には、通帳に記録された磁気情報の読み取りや取引内容の印字処理等を行う通帳処理部(後述する)が設けられている。
紙幣入出金口6は、顧客が入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される部分である。また紙幣入出金口6は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになされている。
硬貨入出金口7は、顧客が入金する硬貨が投入されると共に、顧客へ出金する硬貨が排出される部分である。また硬貨入出金口7は、紙幣入出金口6と同様にシャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになされている。
表示操作部8は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチパネルとが一体化されている。
通話部9は、筐体2の上面に設けられた載置台40に着脱可能なハンドセット30が載置されており、顧客に当該ハンドセット30を把持させて音声ガイダンスを耳元から放音し得るようになされている(詳しくは後述する)。
本体スピーカ10は、顧客の操作や処理の進捗状況等に応じて、必要な操作の手順や状況の説明等を案内する音声ガイダンスを音声として出力するようになされている。
主制御部11は、筐体2内に設けられており、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金取引や出金取引等の種々の処理を行うようになされている。
また主制御部11は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に各種プログラムや音声ガイダンスの音声データ等、種々の情報を記憶させるようになされている。
さらに主制御部11は、図3に示すように、バス14を介して現金自動預払機1内の各部と接続されている。バス14には、主制御部11に加えて、紙幣入出金機12、硬貨入出金機13、カード処理部15、通帳処理部16、表示処理部17、操作処理部18及び音声処理部19がそれぞれ接続されている。
カード処理部15は、主制御部11の制御に基づいてカードの磁気情報を読み取るようになされている。また通帳処理部16は、主制御部11の制御に基づいて磁気情報の読み取りや取引内容の印字等を行うようになされている。
表示処理部17は、表示操作部8のLCDと接続されており、主制御部11の制御に基づいて表示画面を生成し、これを当該LCDに表示させるようになされている。また操作処理部18は、表示操作部8のタッチパネルと接続されており、当該タッチパネルに対する操作入力を検出し、その内容を主制御部11へ通知するようになされている。
音声処理部19は、主制御部11から供給される音声データを音声信号に変換し、これを本体スピーカ10又は通話部9のハンドセット30に搭載された耳元スピーカ31へ供給するようになされている。
また音声処理部19は、通話部9のフックスイッチ47からフック信号を取得し、このフック信号に応じて音声信号の供給先を耳元スピーカ31又は本体スピーカ10に切り換えるようになされている(詳しくは後述する)。
[1−2.通話部の構成]
通話部9は、図4(A)及び(B)に示すように、筐体2に組み込まれた載置台40と、当該載置台40から顧客に持ち上げられて使用されるハンドセット30とにより構成されている。
[1−2−1.ハンドセットの構成]
ハンドセット30は、図5(A)及び(B)に示すように、一般的な電話機等のハンドセット(受話器)と同様、大きく分けて使用時に顧客の耳元に近接される耳元部33、顧客の口元に近接される口元部34、及び両者を接続し顧客に把持される把持部35により構成されている。
ハンドセット30は、載置台40上に載置された際に上方向を向く側(以下これを背面側と呼ぶ)がほぼ平坦に形成されており、把持部35における耳元部33側に音量切替スイッチ36が設けられている。
またハンドセット30は、載置台40上に載置された際に下方向を向く側であって顧客に把持された際に耳元や口元に近接する側(以下これを正面側と呼ぶ)において、耳元部33及び口元部34が把持部35よりも突出するよう形成されている。
説明の都合上、以下ではハンドセット30の把持部35から耳元部33及び口元部34へ向かう方向をそれぞれ耳元方向及び口元方向と呼び、また当該把持部35から正面側及び背面側へ向かう方向をそれぞれ正面方向及び背面方向と呼ぶ。
耳元部33は、図4(A)のA1−A2断面を図6(A)に示すように、内部に耳元スピーカ31が組み込まれており、当該耳元スピーカ31から正面側へ向けて音声を出力するようになされている。
図5に示したように、口元部34には、ケーブル接続部37が設けられており、当該ケーブル接続部37を介して音声信号を伝達するケーブル38が接続されている。
ケーブル接続部37は、全体として口元部34よりも細い円柱状に形成されており、長手方向の一端側にケーブル38が接続されると共に、その反対端側に回動部37Rが形成されている。
回動部37Rは、ハンドセット30の口元部34に形成された溝部34Dに嵌め込まれると共に軸支されることにより、当該ハンドセット30に対しケーブル接続部37を自在に回動させることができる。
ただし溝部34Dは、ハンドセット30に対するケーブル接続部37の回動範囲を、正面方向と口元方向との間となる約90度の範囲に制限しており、当該ケーブル接続部37をこれ以外の方向へ回動させないようになされている。
因みにケーブル接続部37及び溝部34Dは、図示しない接続ケーブルを内部に通すことにより、ケーブル38と耳元スピーカ31とを電気的に接続している。
[1−2−2.載置台の構成]
載置台40は、図7に示すように、前後方向に細長く、且つハンドセット30に合わせた形状の窪み41がその周辺の平坦な部分である周辺部42よりも低くなるように形成されている。
窪み41は、ハンドセット30の耳元部33、口元部34及び把持部35とそれぞれ対応する耳元部窪み43、口元部窪み44及び把持部窪み45が前後方向に互いに連接した構成となっている。
すなわち載置台40は、図6(A)に断面図を示したように、ハンドセット30が使用されない場合、当該ハンドセット30の耳元部33、口元部34及び把持部35をそれぞれ窪み41の耳元部窪み43、口元部窪み44及び把持部窪み45に嵌め込むように載置されることが想定されている。以下、このときにハンドセット30が正しく載置される位置を適正位置と呼ぶ。
耳元部窪み43の底面部43Aにおける把持部窪み45との接続部分の近傍には、上下方向に貫通するフック孔43Hが穿設されている。また把持部窪み45の下方には、フック46及びフックスイッチ47が設けられている。
フック46は、前後方向に長く形成されており、後側において上方向へ突出した突出部46Aと、前側において中心軸を左右方向に向けた回動軸46Bと、両者を繋ぐ中央部46Cとにより構成されている。
フックスイッチ47は、フック46における中央部46Cの下側に配置されており、直方体状の本体部47Aと、当該本体部47Aの後面側から後方へ向けて突出したレバー47Bとを有している。
レバー47Bは、本体部47Aにより回動可能に支持されると共に、図示しないスプリングにより上方向へ付勢され、フック46の中央部46Cに対し上方向への力を加えている。
さらにフックスイッチ47は、レバー47Bの回動角度に連動するスイッチ47Cを内部に有しており、レバー47Bが後端部を後方ないし後斜め下に向けたときに当該スイッチ47Cを「オン」とし、それ以外のときに「オフ」とする。
このスイッチ47Cは、フックスイッチ47から音声処理部19経由で主制御部11(図3)へ供給するフック信号を、レバー47Bの回動角度に応じて「オン」レベル又は「オフ」レベルに切り換えるようになされている。
このためフック46は、例えばハンドセット30が持ち上げられているときのように、何ら外力が加わらない場合、図6(B)に示したように、フックスイッチ47のレバー47Bにより上方向へ回動される。
これによりフック46は、突出部46Aをフック孔43Hから露出させると共に耳元部窪み43の底面部43Aよりも上方へ突出させ、突出部46Aと中央部46Cとの接続部分をフック孔43Hの縁と当接させる。またこのときフックスイッチ47は、スイッチ47Cを「オフ」とし、フック信号を「オフ」レベルで出力する。
これに応じて主制御部11(図3)は、音声処理部19に対し音声信号の供給先をハンドセット30の耳元スピーカ31へ切り換えさせることにより、当該耳元スピーカ31から音声ガイダンスを放音させる。
一方フック46は、例えばハンドセット30が耳元部33を載置台40の耳元部窪み43に合わせて載置されているときのように、下方向へ向かう外力が加わった場合、図6(A)に示すように、フックスイッチ47のレバー47Bを下方向へ押し下げながら下方向へ回動する。
これによりフック46は、突出部46Aの大部分をフック孔43H内へ、すなわち耳元部窪み43の底面部43Aよりも下方へ収納する。このときフックスイッチ47は、スイッチ47Cを「オン」とし、フック信号を「オン」で出力する。
これに応じて主制御部11(図3)は、音声処理部19に対し音声信号の供給先を本体スピーカ10へ切り換えさせることにより、当該本体スピーカ10から音声ガイダンスを放音させる。
このように現金自動預払機1では、フック46の押下状態に応じてハンドセット30が載置台40上に載置されているか否かを検出し、この検出結果に基づいて音声信号の供給先、すなわち音声ガイダンスの放音箇所を本体スピーカ10又はハンドセット30の耳元スピーカ31に切り換えるようになされている。
ところで口元部窪み44は、ハンドセット30の口元部34が嵌り込むような空間を上側に形成しており、その下側にケーブル接続部37を円滑に収容し得る、当該ケーブル接続部37よりも一回り大きな収容空間44Bも形成している。
さらに口元部窪み44の底面には、上下に貫通する孔部44Hが穿設されている。また窪み41の下方には、ケーブル38を巻き取る巻取部48が設けられている。
巻取部48は、図示しないスプリングの作用により、ケーブル38に対し常に巻き取る方向に付勢している。このため巻取部48は、特に外力が加えられないときにはケーブル38を巻き取ることによりハンドセット30を載置台40に引き寄せ、さらにケーブル接続部37を口元部窪み44の収容空間44B内へ落とし込む。
一方巻取部48は、ハンドセット30が顧客等により持ち上げられると、当該ハンドセット30に接続されているケーブル38が引っ張られるため、当該ケーブル38をその引っ張り量に応じて引き出すものの、当該ケーブル38に対しては常に巻き取る方向に力を加えている。
すなわちハンドセット30は、巻取部48によりケーブル38を介して常に口元部34が口元部窪み44へ引き寄せられるように力が加えられている。
かかる構成に加えて、耳元部窪み43は、図4(B)におけるB1−B2断面である図8(A)に示すように、周辺部42と底面部43Aとの間を繋ぐ左右の両側面を、いずれも当該周辺部42の表面に対し傾斜させた傾斜面43B及び43Cとしている。
傾斜面43B及び43Cは、いずれも平面状に形成される共に、表面にいわゆるシボ加工がなされており、細かな凹凸が形成されている。
耳元部窪み43における最も広い部分における横幅、すなわち傾斜面43B及び43Cの最上部同士の間隔である長さL1は、耳元部33の放音面33Aにおける横幅である長さL2の約1.5倍ないし約2倍となっている。
周辺部42の表面に対する傾斜面43B及び43Cのなす角度である傾斜角度θは、例えば約40度となっている。
通話部9では、顧客によりハンドセット30が持ち上げられて使用された後などに、当該ハンドセット30が載置台40上に戻された際に、耳元部33が耳元部窪み43に正しく入っておらず、フック46が押し下げられない場合がある。
このときハンドセット30は、耳元部33の放音面33Aが傾斜面43B又は43Cに乗り上げていれば、重力の作用により当該耳元部33を傾斜面43B又は43Cに沿って滑降させることができ、底面部43Aに到達させてフック46を押し下げることができる。
また耳元部33は、図6(A)に示したように、耳元スピーカ31よりも背面側であってハンドセット30の背面に偏った箇所に、所定の重さでなる重り39を内蔵している。
ハンドセット30は、図9(A)に示すように、重り39が内蔵されることにより重心P1を背面寄りの比較的高い箇所に位置させることになり、当該重り39が省略された場合よりも安定性を意図的に低下させている。
このためハンドセット30は、耳元部33の放音面33Aが傾斜面43B又は43Cに乗り上げていれば、重心P1をより低い位置へ移動させるべく傾くようにバランスを崩し、これを契機として当該耳元部33を傾斜面43B又は43Cに沿って容易に滑降させることができる。
この結果ハンドセット30は、耳元部33を底面部43Aに到達させてフック46を押し下げることができる。これに応じてフックスイッチ47は、レバー47Bを介してフック46が押し下げられていることを検出し、この検出結果を音声処理部19経由で主制御部11へ通知することができる。
因みに把持部窪み45は、図4におけるC1−C2断面である図8(B)に示すように、ハンドセット30における把持部35の横幅よりも僅かに広い程度の溝として形成されている。
このように通話部9は、ハンドセット30が載置台40上の適正位置に正しく戻されなかったとしても、耳元部33を傾斜面43B又は43Cに沿って底面部43Aへ滑降させ、フック46を確実に押下させるようになされている。
[1−3.動作及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態による通話部9は、載置台40の窪み41に、ハンドセット30の耳元部33、口元部34及び把持部35とそれぞれ対応する形状の耳元部窪み43、口元部窪み44及び把持部窪み45をそれぞれ形成した。
耳元部窪み43には、ハンドセット30が適正位置に正しく載置されたときに耳元部33により押下されるフック46を底面部43Aに配置し、傾斜面43B及び傾斜面43Cを周辺部42の表面に対し傾斜させた。
また口元部窪み44の下方には、ハンドセット30と接続されたケーブル38を孔部44H内へ引き込むように巻き取る巻取部48を設けた。
このため通話部9は、顧客によりハンドセット30が載置台40の適正位置から持ち上げられて使用等された後、載置台40へ戻された際、当該適正位置から外れた位置に載置されたとしても、まず巻取部48によりケーブル38を孔部44H内へ巻き取る。
これにより通話部9は、ハンドセット30のケーブル接続部37を口元部窪み44に引き込むことができ、まず口元部34を適正位置に合わせることができる。
続いて通話部9は、ハンドセット30における耳元部33の放音面33Aが耳元部窪み43の傾斜面43B又は43Cに乗り上げていたとしても、当該耳元部33を当該傾斜面43B又は43Cに沿って滑落させ、放音面33Aを耳元部窪み43の底面部43Aに到達させることができる。
これにより通話部9は、ハンドセット30の耳元部33によりフック46を確実に押下でき、フックスイッチ47から「オン」レベルのフック信号を音声処理部19経由で主制御部11へ通知することができる。
これに応じて主制御部11(図3)は、ハンドセット30が載置台40の適正位置に戻されたこと、すなわち顧客にハンドセット30を使用する意思がないことを認識できるので、ガイダンス音声の出力先を耳元スピーカ31から本体スピーカ10に切り替えるよう制御することができる。
ところで、図4及び図8とそれぞれ対応する図10及び図11に示すように、従来の通話部409では、載置台440の耳元部窪み443における左右の側面がほぼ垂直に形成されることが多く、また段差443Dが形成されている場合もあった。
これは、従来の通話部409が、顧客によりハンドセット430が載置台440上に戻される際に、載置台440における適正位置のほぼ真上まで移動された後、ハンドセット430を下方へ降ろすような操作がなされることを想定していることと関連している。
すなわち従来の通話部409では、顧客によりハンドセット430に下方へ降ろす力が加えられた際に、耳元部433等を適正位置の僅か上方からその下方まで案内することを目的として、耳元部窪み443等の側面が比較的垂直に近い角度となっていた。
換言すれば、従来の通話部409では、載置台440の耳元部窪み443において、耳元部433が適正位置からずれた位置に載置され手を離されてしまうことや、側面に沿って当該耳元部433を滑落させることは想定されていなかった。
このため従来の通話部409では、載置台440における適正位置から外れた箇所に載置された場合、耳元部433を耳元部窪み443の底面に到達させるまで滑落させることができず、また段差443Dに止めてしまう場合もあった。
これに対し本実施の形態による通話部9では、ハンドセット30が適正位置からずれて載置されることを予め想定し、載置台40の耳元部窪み43における傾斜面43B及び43Cをいずれも周辺部42に対し傾斜させたため、耳元部33の自重を利用して滑落させた後、最終的に適正位置に到達させることができる。
また、最終的にフック46を押下できる点に着目すれば、通話部9は、載置台40に対し顧客がハンドセット30の耳元部33を置くべき位置を、耳元部窪み43の底面部43Aのみでなく、傾斜面43B及び43Cにも拡張したことになる。
このため通話部9は、例えば視覚に障碍のある顧客がハンドセット30を使用後に載置台40上に戻そうとした際に、正確に適正位置に戻せなかったとしても、耳元部窪み43の傾斜面43B及び43Cを含めた広い範囲内に耳元部33を置くことができれば、最終的にフック46が押下されるため、ハンドセット30の使用が終了したことを適切に検出できる。
またハンドセット30は、仮に重り39を内蔵しなかった場合、図9(A)と対応する図9(B)に示すように、重心P2が耳元部33における比較的低い箇所に位置することになる。
この図9(B)において、耳元部33と耳元部窪み43との当接点Qから重心P2までの距離をT2とし、また重心P2に作用する重力W2を重心P2から当接点Qへ向かう成分W2A及びこれと直交する成分W2Bに分解する。
当接点Qを回転の中心と見なした場合、重心P2に作用する回転モーメントM2は、距離T2及び成分W2Bの積となり、数式化すれば次の(1)式のように表すことができる。
M2=T2・W2B ……(1)
これに対し、重り39を内蔵した場合(図9(A))においても、耳元部33と耳元部窪み43との当接点Qから重心P1までの距離をT1とし、また重心P1に作用する重力W1を重心P1から当接点Qへ向かう成分W1A及びこれと直交する成分W1Bに分解する。
当接点Qを回転の中心と見なした場合、重心P1に作用する回転モーメントM1は、距離T1及び成分W1Bの積となり、同様に数式化すれば、次の(2)式のように表すことができる。
M1=T1・W1B ……(2)
ここで距離に関しては距離T1>距離T2であり、また重力に関しても重力W1>重力W2であるため、重力W2に対する成分W2Bの比率よりも重力W1に対する成分W1Bの比率が僅かに小さくなるものの、全体的にM1>M2の関係が成り立つ。
すなわちハンドセット30は、耳元部33に重り39を内蔵したことにより、重心P1の位置を高めることができ、回転モーメントM1を大きくすることができるので、耳元部窪み43の傾斜面43B又は傾斜面43Cにおいて容易にバランスを崩して滑落することができる。
このとき載置台40は、口元部窪み44の収容空間44Bをケーブル接続部37よりも一回り大きな空間としているため、当該ケーブル接続部37を円滑に収容できると共に、当該収容空間44Bに対し当該ケーブル接続部37が傾斜し得る角度を比較的狭い範囲に規制している。
またハンドセット30は、ケーブル接続部37の回動可能な方向を、手元方向及び正面方向の間となる約90度の範囲に制限しており、左右方向等の他の方向への回動や傾斜を抑制している。
このためハンドセット30は、回転モーメントM1の作用によりバランスを崩した際に、ケーブル接続部37の傾斜可能角度が収容空間44Bにより規制され、完全に回転するまでには至らず、比較的小さい角度(例えば30度等)で傾く程度に止める。
この結果ハンドセット30は、耳元部33を傾斜面43B又は43Cに沿って滑落させた後、当該耳元部33の放音面33Aを耳元部窪み43の底面部43Aと対向させることにより正面を下方へ向けた状態で安定し、当該耳元部33によりフック46を確実に押下することができる。
さらに載置台40の耳元部窪み43は、傾斜面43B及び43Cの表面にいわゆるシボ加工を施したことにより、ハンドセット30の耳元部33との接触面積を削減することができるので、摩擦を低減して円滑に滑降させることができる。
以上の構成によれば、第1の実施の形態による通話部9は、載置台40に耳元部窪み43、口元部窪み44及び把持部窪み45を形成し、耳元部窪み43の底面部43Aにフック46を設け、周辺部42と底面部43Aとの間に傾斜面43B及び43Cを設け、さらに口元部窪み44の下方に、ハンドセット30と接続されたケーブル38を巻き取る巻取部48を設けた。このため通話部9は、ハンドセット30が使用後に載置台40の適正位置から外れた位置に載置されたとしても、巻取部48によりケーブル38を口元部窪み44の孔部44H内へ巻き取ってケーブル接続部37を収容空間44B内へ収容し口元部34を適正位置に合わせた後、耳元部33の放音面33Aを耳元部窪み43の傾斜面43B又は43Cに沿って滑落させ、放音面33Aを底面部43Aに到達させてフック46を確実に押下させることができる。
[2.第2の実施の形態]
図4(A)及び(B)との対応部分に同一符号を付した図12(A)及び(B)に示すように、第2の実施の形態による通話部109は、第1の実施の形態による通話部9と比較して、載置台40に代わる載置台140を有する点が相違するものの、ハンドセット30については同様に構成されている。
[2−1.載置台の構成]
図7(A)及び(B)との対応部分に同一符号を付した図13(A)及び(B)に示すように、載置台140は、第1の実施の形態による載置台40と比較して、窪み41に代わる窪み141を有する点が相違するものの、フック46や巻取部48等の他の部分については同様に構成されている。
窪み141は、耳元部窪み43及び把持部窪み45に代わる耳元部窪み143及び把持部窪み145を有する点が相違するものの、口元部窪み44については同様に構成されている。
耳元部窪み143は、第1の実施の形態における耳元部窪み43と比較して、傾斜面43B及び43Cに代わる傾斜面143B及び143Cを有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
傾斜面143B及び143Cは、図12(B)のE1−E2断面であり図8(A)と対応する図14(A)に示すように、周辺部42に対し傾斜されているものの、いずれも平面状ではなく、上に凸の曲面として形成されている。
換言すれば、傾斜面143B及び143Cは、いずれも、周辺部42と接続する上側の部分よりも底面部43Aと接続する下側の部分の方が、周辺部42の表面に対する角度(すなわち傾斜角度θ)が大きくなっており、鉛直に近くなっている。
傾斜面143B及び143Cにおける傾斜角度θは、例えば周辺部42と接続する上側の部分で約40度となっており、底面部43Aと接続する下側の部分で約60度となっている。
因みに傾斜面143B及び143Cは、第1の実施の形態と同様、いずれも表面にいわゆるシボ加工がなされており、細かな凹凸が形成されている。
さらに把持部窪み145は、図12(B)におけるF1−F2断面であり図8(B)と対応する図14(B)に示すように、ハンドセット30における把持部35の横幅よりも十分に長い幅の溝として形成されている。
因みに把持部窪み145における最も広い部分における横幅は、耳元部窪み143における横幅と同等の長さL2となっている。
このため把持部窪み145は、載置台140にハンドセット30が載置された際に、当該ハンドセット30との間に隙間Dを形成する。この隙間Dは、一般的な人間の指の直径よりも広くなるよう設計されている。
このため把持部窪み45は、顧客がハンドセット30を持ち上げるべく把持部35を把持する際に、その指先を隙間Dから当該把持部35と把持部窪み45の底面との間、すなわち当該把持部35の正面側にまで到達させることができる。これにより顧客は、把持部35を握り締めるようにして、ハンドセット30を確実に把持して持ち上げることができる。
[2−2.動作及び効果]
以上の構成において、第2の実施の形態による通話部109は、載置台140に耳元部窪み143、口元部窪み44及び把持部窪み145をそれぞれ形成した。
耳元部窪み143には、周辺部42の表面から傾斜されると共に上に凸の曲面でなる傾斜面143B及び143Cを設けた。
このため通話部109は、ハンドセット30が載置台140上の適正位置から外れた位置に載置されたとしても、第1の実施の形態と同様、まず巻取部48によりケーブル38を巻き取り、ケーブル接続部37を口元部窪み44の収容空間44Bに引き込んで、口元部34を適正位置に合わせる。
続いて通話部109は、ハンドセット30における耳元部33の放音面33Aが耳元部窪み143の傾斜面143B又は143Cに乗り上げていたとしても、当該傾斜面143B又は143Cに沿って滑落させ、放音面33Aを耳元部窪み143の底面部43Aに到達させる。
これにより通話部109は、第1の実施の形態と同様、ハンドセット30の耳元部33によりフック46を確実に押下でき、フックスイッチ47から「オン」レベルのフック信号を音声処理部19経由で主制御部11(図3)へ通知することができる。
ところで通話部109では、ハンドセット30の耳元部33が傾斜面143B又は143Cに当接する際、図9に断面図により示したように、当該耳元部33における正面及び側面のエッジ部分により傾斜面143B又は143Cと当接する。
この点において第2の実施の形態は、傾斜面143B及び143Cを上に凸の曲面として形成したことにより、第1の実施の形態のように平面として形成した場合と比較して、耳元部33のエッジ部分33E(図5)のうち傾斜面と当接する部分の前後長を、極めて短く抑えることができる。
これにより載置台140は、ハンドセット30の耳元部33との間に生じる摩擦を最小限に抑えることができるので、耳元部窪み143の傾斜面143B又は143Cに沿って当該耳元部33を極めて円滑に滑降させることができる。
ところで図11(B)に示したように、従来の通話部409では、ハンドセット430が適正位置に載置された際の高さを抑えるべく、把持部435と把持部窪み445との隙間が小さい場合があり、顧客が当該把持部435を把持しにくい場合があった。
この点において載置台140は、把持部窪み145における横幅を、ハンドセット30の把持部35との間に隙間Dを形成し得る程度に広く形成した。
これにより載置台140は、顧客がハンドセット30を把持する際に、指先を隙間Dから把持部35の正面側へ回り込ませることができるので、当該把持部35を容易に且つ確実に把持させることができる。
このため載置台140は、適正位置に載置されたハンドセット30の把持部35における正面側を、周辺部42の表面と同等又はこれよりも低く位置させたとしても、当該把持部35を顧客に容易に把持させることができる。
これに伴い通話部9では、ハンドセット30が適正位置に載置された際における当該ハンドセット30の周辺部42からの突出高さを低く抑えることができるので、顧客による表示操作部8(図1)等に対する操作の妨げになりにくく、また接客部3(図1)全体としてのデザインをすっきりと見せることもできる。
その他の点についても、第2の実施の形態による通話部109は、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第2の実施の形態による通話部109は、載置台140に耳元部窪み143、口元部窪み44及び把持部窪み145を形成し、耳元部窪み143の底面部43Aにフック46を設け、周辺部42と底面部43Aとの間に傾斜面143B及び143Cを設け、さらに口元部窪み44の下方に、ハンドセット30と接続されたケーブル38を巻き取る巻取部48を設けた。このため通話部109は、ハンドセット30が使用後に載置台140の適正位置から外れた位置に載置されたとしても、巻取部48によりケーブル38を口元部窪み44の孔部44H内へ巻き取り、ケーブル接続部37を収容空間44B内に収容して口元部34を適正位置に合わせた後、耳元部33の放音面33Aを耳元部窪み143の傾斜面143B又は143Cに沿って滑落させ、放音面33Aを底面部43Aに到達させてフック46を確実に押下させることができる。
[3.第3の実施の形態]
第3の実施の形態による通話部209は、第1の実施の形態による通話部9と比較して、載置台40に代わる載置台240を有する点が相違するものの、ハンドセット30については同様に構成されている。
[3−1.載置台の構成]
載置台240は、第1の実施の形態による載置台40と比較して、耳元部窪み43に代わる耳元部窪み243を有する点が相違するものの、口元部窪み44、把持部窪み45、フック46や巻取部48等の他の部分については同様に構成されている。
耳元部窪み243は、第1の実施の形態における耳元部窪み43と比較して、傾斜面43B及び43Cに代わる傾斜面243B及び243Cを有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
傾斜面243B及び243Cは、図8(A)及び図14(A)と対応する図15に断面図として示すように、周辺部42に対し傾斜されているものの、いずれも平面状ではなく、下に凸の曲面として形成されている。
換言すれば、傾斜面243B及び243Cは、いずれも、底面部43Aと接続する下側の部分よりも周辺部42と接続する上側の部分の方が、周辺部42の表面に対する傾斜角度θが大きく、すなわち鉛直に近くなっている。
傾斜面243B及び243Cの傾斜角度θは、例えば周辺部42と接続する上側の部分で約60度となっており、底面部43Aと接続する下側の部分で約40度となっている。
因みに傾斜面243B及び243Cは、第1の実施の形態と同様、いずれも表面にいわゆるシボ加工がなされており、細かな凹凸が形成されている。
[3−2.動作及び効果]
以上の構成において、第3の実施の形態による通話部209は、載置台240に耳元部窪み243、口元部窪み44及び把持部窪み45をそれぞれ形成した。
耳元部窪み243には、周辺部42の表面から傾斜されると共に下に凸の曲面でなる傾斜面243B及び243Cを設けた。
このため通話部209は、ハンドセット30が載置台240上の適正位置から外れた位置に載置されたとしても、第1の実施の形態と同様、まず巻取部48によりケーブル38を巻き取り、ケーブル接続部37を口元部窪み44に引き込んで、口元部34を適正位置に合わせる。
続いて通話部209は、ハンドセット30における耳元部33の放音面33Aが耳元部窪み243の傾斜面243B又は243Cに乗り上げていたとしても、当該傾斜面243B又は243Cに沿って滑落させ、放音面33Aを耳元部窪み243の底面部43Aに到達させる。
これにより通話部209は、第1の実施の形態と同様、ハンドセット30の耳元部33によりフック46を確実に押下でき、フックスイッチ47から「オン」レベルのフック信号を音声処理部19経由で主制御部11(図3)へ通知することができる。
特に耳元部窪み243の傾斜面243B及び243Cは、いわゆる下に凸の曲面として形成されているため、第1の実施の形態のように平面状に形成した場合と比較して、耳元部33のエッジ部分33E(図5)のうち傾斜面243B又は243Cと当接する部分の前後長を、極めて短く抑えることができる。
これにより載置台240は、ハンドセット30の耳元部33との間に生じる摩擦を最小限に抑えることができるので、傾斜面243B又は243Cに沿って当該耳元部33を極めて円滑に滑降させることができる。
また傾斜面243B及び243Cは、底面部43A及びフック46から遠い箇所ほど、周辺部42の表面に対する傾斜角度θを大きくするように、すなわち鉛直に近い角度に形成されている。
このため載置台240は、ハンドセット30の耳元部33が適正位置である底面部43A及びフック46から比較的離れた箇所に載置された場合、傾斜面243B又は243Cにおける傾斜角度θが比較的大きいことから、勢いよく滑落を開始させることができる。
また載置台240は、その後底面部43A及びフック46に近接した部分において傾斜角度θが小さくなってからも、その勢いを継続させて耳元部33の放音面33Aを底面部43Aまで到達させることができ、フック46を押下させることができる。
一方、載置台240では、ハンドセット30の耳元部33が底面部43A及びフック46に比較的近接した箇所に載置された場合、傾斜面243B又は243Cにおける傾斜角度θが比較的小さいことから、滑落開始時の勢いが弱くなる恐れがあり、場合によっては滑落できない恐れも考えられる。
また載置台240では、傾斜面243B又は243Cにおける底面部43A及びフック46から離れた箇所から耳元部33が滑落を開始したとしても、底面部43A及びフック46に近接し傾斜角度θが小さくなった段階で停止してしまう恐れも考えられる。
しかしながら載置台240は、底面部43A及びフック46の近傍における傾斜面243B及び243Cの高さが当該底面部43Aに極めて近いため、耳元部33の放音面33Aが底面部43Aに一部重なる程度まで適正位置の近傍に到達していれば、当該放音面33Aの一部によりフック46の一部を押下することが可能となる。
すなわち載置台240は、ハンドセット30が完全に適正位置まで到達していなくとも、耳元部33を傾斜面243B又は243Cに沿ってフック46にある程度近接させることにより、放音面33Aの一部によってフック46を押下させ、当該ハンドセット30が当該載置台240上に載置されていることを検出することができる。
その他の点についても、第3の実施の形態による通話部209は、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第3の実施の形態による通話部209は、載置台240に耳元部窪み243、口元部窪み44及び把持部窪み45を形成し、耳元部窪み243の底面部43Aにフック46を設け、周辺部42と底面部43Aとの間に傾斜面243B及び243Cを設け、さらに口元部窪み44の下方に、ハンドセット30と接続されたケーブル38を巻き取る巻取部48を設けた。このため通話部209は、ハンドセット30が使用後に載置台240の適正位置から外れた位置に載置されたとしても、巻取部48によりケーブル38を口元部窪み44の孔部44H内へ巻き取って口元部34を適正位置に合わせた後、耳元部33の放音面33Aを耳元部窪み243の傾斜面243B又は243Cに沿って滑落させ、放音面33Aを底面部43Aに到達させてフック46を確実に押下させることができる。
[4.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、耳元部窪み43における底面部43Aの左右方向、すなわち耳元方向又は口元方向と直交する方向の両側に、傾斜面43B及び43Cをそれぞれ形成するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば耳元部窪み43における底面部43Aの口元部窪み44側(前側)及びその反対側(後側)等、当該底面部43Aにおける種々の方向に傾斜面を形成するようにしても良い。要は、巻取部48によりケーブル38を巻き取り、ケーブル接続部37が口元部窪み44内に引き込まれた段階で、ハンドセット30における耳元部33の放音面33Aが位置することが想定される方向に傾斜面を形成すれば良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
また上述した第2の実施の形態においては、傾斜面143B及び143Cを上に凸の曲面により構成し、第3の実施の形態においては傾斜面243B及び243Cを下に凸の曲面により構成するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば互いに連接する複数の平面の組み合わせや、上部から下部にかけて傾斜角度θが複数回増減するような曲面等、種々の平面、曲面又はこれらの組み合わせにより各傾斜面を構成するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、傾斜面43B及び43Cの傾斜角度θを約40度とし、第2の実施の形態においては傾斜面143B及び143Cの傾斜角度θを約40度から約60度とするようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、傾斜角度θをハンドセット30の耳元部33が滑降し得る種々の角度とすることができ、具体的には約10度から約80度までの範囲とすることができる。第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、耳元部窪み43における最も広い部分における横幅である長さL1を、耳元部33の放音面33Aにおける横幅である長さL2の約1.5倍ないし約2倍とするようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、傾斜面43B及び43Cの傾斜角度θを適切に設定し得るような種々の比率とすることができ、具体的には約1.5倍から約5倍とすることが考えられる。実際には、接客部3(図1)における通話部9の占有可能な大きさに合わせて、可能な範囲でできるだけ大きな比率とすること、すなわち長さL1をできるだけ長くすることが望ましい。
さらに上述した第1の実施の形態においては、耳元部窪み43における横幅をほぼ一定とし、傾斜面43B及び周辺部42の境界線と傾斜面43C及び周辺部42の境界線とが
互いにほぼ平行となるようにした場合について述べた(図7(B))。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図7(B)と対応する図16に示す載置台340のように、耳元部窪み343における横幅を口元部窪み44へ近接するに連れて狭めるようにする等、当該横幅をほぼ一定とせず種々に変化させるようにしても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、ハンドセット30の耳元部33に重り39を内蔵するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば重り39を省略すると共に耳元スピーカ31をハンドセット30の背面寄りに配置する等しても良く、要は耳元部33の重心P1をできるだけ背面寄りに寄せることにより、傾斜面43B又は43Cにおいて耳元部33がバランスを容易に崩すことができれば良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、傾斜面43B及び43Cの表面にいわゆるシボ加工を施すようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば傾斜面43B及び43Cの表面にフッ素樹脂を塗布する等、摩擦を低減し得る種々の加工を施すようにしても良い。また傾斜面43B及び43Cを構成する材料(樹脂等)の表面がそのままでも十分に摩擦が低い場合には、特に加工を施さないようにしても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した実施の形態においては、口元部34に対しケーブル接続部37を正面方向と口元方向との間となる約90度の範囲でのみ回動させることにより、ハンドセット30に対するケーブル接続部37の方向を制限するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば左右方向にも約30度の範囲で傾くようにする等、ハンドセット30に対するケーブル接続部37の方向を種々の範囲で制限するようにしても良い。要は、ケーブル38が引き込まれケーブル接続部37が載置台40の収容空間44B内に収容された際に、耳元部33の放音面33Aがほぼ下方向を向き、傾斜面43B及び43Cに沿って滑降した後にフック46を確実に押下するよう規制されていれば良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、巻取部48がスプリングの作用によりケーブル38に対し常に巻き取る方向に力を加えるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば巻取部48に代えて、主制御部11の制御に基づきモータを駆動させて巻取動作を行う電動式の巻取機構を設け、顧客との取引中には巻取動作を行わず、顧客との取引が終了した時点で巻取動作を行うようにする等、種々の機構により種々の時点でケーブル38を巻き取るようにしても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した実施の形態においては、ハンドセット30の耳元部33に耳元スピーカ31を内蔵し、顧客の耳元から音声ガイダンスを出力して聴取させるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば口元部34にマイクロホンを搭載すると共に現金自動預払機1を通信回線等と接続し、ハンドセット30を使用する顧客が遠方のオペレータ等との間で双方向の通話を行い得るようにしても良い。この場合、フック46が押下された際に、例えば一般の電話機と同様に通信回線の接続を切断する等、ハンドセット30が使用されなくなったことに応じた種々の処理を行うようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、金融機関等に設置され顧客との間で現金に関する種々の取引処理を行う現金自動預払機1に搭載される通話部9に本発明を適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば鉄道の指定席券や航空機の搭乗券等を販売する自動販売機や、所定の監視対象を遠隔地から監視する監視システムにおいて監視員が操作する監視端末等、通話部が搭載される種々の装置や、或いは単体の電話機に適用するようにしても良い。
さらには、現金自動預払機1、自動販売機や監視端末等に通話部9が搭載される場合に限らず、ハンドセット30や載置台40等が適宜組み込まれることにより通話装置としての機能を有する現金自動預払機1、自動販売機や監視端末等に本発明を適用するようにしても良い。つまり本発明は、現金自動預払機1、自動販売機や監視端末等そのものを通話装置として働かせることができるようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、ハンドセットとしてのハンドセット30と、載置台としての載置台40と、ケーブルとしてのケーブル38と、ケーブル接続部としてのケーブル接続部37と、収容孔としての収容空間44Bと、引込部としての巻取部48と、耳元部窪みとしての耳元部窪み43と、フックスイッチとしてのフック46及びフックスイッチ47とによって通話装置としての通話部9を構成する場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなるハンドセットと、載置台と、ケーブルと、ケーブル接続部と、収容孔と、引込部と、耳元部窪みと、フックとによって通話装置を構成するようにしても良い。