紙幣鑑別装置に適用した本発明による紙葉類取扱装置の実施の形態を図1〜図10について説明する。本明細書の実施の形態では、テーブルゲームで取り扱う紙幣について説明するが、本発明に使用する用語「紙葉類」は、紙幣、紙製又は樹脂製の通貨、クーポン券、代用紙幣、証券、スクリップの全有価紙葉を含むものと広義に理解すべきである。
本発明の紙幣鑑別装置の第1の実施の形態を示す図1及び図2から明らかなように、本発明の紙幣鑑別装置は、ゲーム用テーブル(9)に隣接して配置される下筐体(3)と、下筐体(3)の上部に設けられる上筐体(4)とを有する筐体(1)を備える。上筐体(4)は、一対の側壁(31,32)と、側壁(31,32)間に接続される前壁(5)と、ゲーム用テーブル(9)の遊技面(10)より上方に配置されて、遊技面(10)から収集した複数の紙幣を収納する入金室(11)とを備える。また、入金室(11)から搬送される真正な紙幣を収容する保留室(14)は、上筐体(4)の外側に形成される。また、鑑別装置(13)が非真正と判断した紙幣を収容する排出室(20)が上筐体(4)の外側に形成される。
入金室(11)は、一対の側壁(31,32)の間で上筐体(4)の内側に向かって下方に傾斜して紙幣を支持する入口板(33)を備える。保留室(14)は、一対の側壁(31,32)の間で上筐体(4)の内側に向かって下方に傾斜して紙葉を支持する支持板(34)を備える。排出室(20)は、一対の側壁(31,32)の間で上筐体(4)の内側に向かって下方に傾斜して紙幣を支持する保持板(35)を備える。
紙幣取扱装置は、入金室(11)に配置される複数の紙幣を保留室(14)に搬送する入金搬送装置(15)と、下筐体(3)内に配置されて保留室(14)から搬送される紙幣を収容するスタッカ(16)と、保留室(14)に配置される紙幣をスタッカ(16)に搬送してスタッカ(16)内に紙幣を収容する収納搬送装置(17)と、入金搬送装置(15)が保留室(14)内に真正な紙幣のみを搬送するため、上筐体(4)内に配置されて入金室(11)から保留室(14)に搬送される紙幣の真贋を鑑別する鑑別装置(13)と、入金搬送装置(15)及び収納搬送装置(17)を駆動する駆動装置(2)(図4)と、駆動装置(2)が入金搬送装置(15)に駆動信号を発生するように駆動装置(2)に起動信号を発生する保留スイッチ(26)と、上筐体(4)の前壁(5)の前方上方に配置されて入金室(11)内に配置されかつ保留室(14)に搬送される紙幣の状態を撮影する監視カメラ(7)と、監視カメラ(7)が撮影した視覚映像をリアルタイムで表示し又は記録する画像表示装置(27)と、鑑別装置(13)が真正と鑑別した紙幣の各金額と金種及び合計金額を表示する金額表示装置(21)とを備える。
鑑別装置(13)は、駆動装置(2)の制御装置(30)に鑑別した紙幣情報を送信し、制御装置(30)は、金額表示装置(21)に紙幣情報を送信して、金額表示装置(21)の操作案内画面に紙幣情報を表示する。有線接続又は無線接続により駆動装置(2)の制御装置(30)に電気的に接続される携帯式操作タッチパネル又はタブレット型端末入力装置を金額表示装置(21)に設けて、駆動装置(2)から発生する起動信号により、入金搬送装置(15)又は収納搬送装置(17)を駆動してもよい。
図3に示すように、ほぼ楕円形に形成されるゲーム用テーブル(9)の遊技面(10)には、ディーラ(親)が立つ窪むディーラステーション(9a)が設けられ、ディーラステーション(9a)の近くに筐体(1)が離間可能に配置されるが、筐体(1)の底部に運搬用の車輪(1a)を取り付けて、ゲーム用テーブル(9)に対し進退自在に筐体(1)を円滑に移動させてもよい。図1に示すように、上筐体(4)の入金室(11)、保留室(14)及び排出室(20)は、図示のように、一列に、湾曲して又は階段状に配置され、いずれも紙幣搬送装置(2)に駆動接続される。鑑別装置(13)を通り入金室(11)から保留室(14)に真正な紙幣を搬送する入金搬送装置(15)を設けることができ、入金搬送装置(15)は、鑑別装置(13)を通り入金室(13)から排出室(20)に非真正と判断された紙幣を搬送する機能がある。収納搬送装置(17)を配置して、保留室(14)からスタッカ(16)に紙幣を搬送する。ディーラステーション(9a)のディーラは、前壁(5)又は頂壁に形成される入金室(11)、保留室(14)及び排出室(20)の各々に直接接近して、外部から入金室(11)に紙幣を投入しかつ保留室(14)及び排出室(20)から紙幣を把持し取り出すことができる。
遊技者から収集した紙幣をディーラが入金室(11)に配置するときに、入金室(11)に挿入される紙幣を検出して、検出信号を発生する入金センサ(12)が入金室(11)に設けられる。駆動装置(2)の制御装置(30)は、鑑別装置(13)が鑑別した紙幣の金種と枚数又は合計金額に関するデータを記憶し、紙幣のデータをデータ保管装置(図示せず)に記憶させることができる。また、制御装置(30)は、通信装置(図示せず)を通じてデータ保管装置に記憶されるデータを管理用ホストコンピュータ(図示せず)に送信することもできる。
保留室(14)は、保留室(14)内の複数の紙幣の存在を検出して検出信号を発生する非接触センサ(22)を備える。収納搬送装置(17)は、上筐体(4)に取り付けられて、収納搬送装置(17)を駆動する起動信号を発生する収納スイッチ(18,18’)を備え、非接触スイッチ(22)が検出信号を発生するとき、収納スイッチ(18,18’)の起動信号により収納搬送装置(17)が駆動される。保留スイッチ(26)が起動信号を発生するとき、入金搬送装置(15)は、制御装置(30)の駆動信号により駆動されて、鑑別装置(13)を通じて入金室(11)から保留室(14)に紙幣を搬送する。複数の紙幣は、搬送方向に対して横向きに入金室(11)内に配置され、搬送途中で何らかの反転装置により紙幣を反転した後、入金搬送装置(15)により保留室(14)に搬送され、搬送方向に対して横向きに保留室(14)内に供給される。
図1に示すように、入金搬送装置(15)は、入口板(33)に隣接して設けられかつ入金室(11)に配置される最下部の紙幣の底面に接触して回転時に紙幣を払い出す入金排出ローラ(23)と、入金排出ローラ(23)により入金室(11)から排出される紙幣を鑑別装置(13)に搬送する第1の入金搬送装置(15a)と、鑑別装置(13)を通過した紙幣を第1の偏向装置(37)を備える第1の分岐点(24)に搬送する第2の入金搬送装置(15b)と、第1の分岐点(24)から第2の偏向装置(38)を備える第2の分岐点(25)に紙幣を搬送する第3の入金搬送装置(15c)と、第2の分岐点(25)から羽根車形収納装置を備える保留室(14)に搬送する第4の入金搬送装置(15d)とを備える。
第1の分岐点(24)に設けられる第1の偏向装置(37)を切り替えて、第3の入金搬送装置(15c)又は第4の入金搬送装置(15d)による保留室(14)に向かい、排出搬送装置(19)による排出室(20)に向かい又は第3の収納搬送装置(17c)によるスタッカ(16)に向かい、紙幣を搬送することができる。第4の入金搬送装置(15d)及び排出搬送装置(19)は、保留室(14)及び排出室(20)に紙幣を均一に供給する類似の羽根車形収納装置を備え、羽根車形収納装置は、例えば、1988年3月18日に公告された特公昭63−12316号公報等に示される。第4の入金搬送装置(15d)による保留室(14)への通路又は排出搬送装置(19)による排出室(20)への通路の何れかを選択する第2の偏向装置(38)が第3の入金搬送装置(15c)の第2の分岐点(25)に設けられ、第2の偏向装置(38)の作動により第4の入金搬送装置(15d)により搬送される紙幣を保留室(14)又は排出搬送装置(19)により羽根車形収納装置を備える排出室(20)に搬送するかを選択することができる。第3及び第4の入金搬送装置(15c,15d)により保留室(14)に向かって紙幣を搬送するか又は排出搬送装置(19)により排出室(20)に向かって紙幣を搬送するかを第2の偏向装置(38)により切り替えることができる。
収納搬送装置(17)は、支持板(34)に隣接して設けられかつ保留室(14)に配置される最下部の紙幣の底面に接触して回転時に紙幣を払い出す保留排出ローラ(36)と、保留排出ローラ(36)により保留室(14)から排出される紙幣を鑑別装置(13)に搬送する第1の収納搬送装置(17a)と、鑑別装置(13)から第1の分岐点(24)に紙幣を搬送する第2の収納搬送装置(17b)と、第1の分岐点(24)からスタッカ(16)に紙幣を搬送する第3の収納搬送装置(17c)とを備える。スタッカ(16)は、紙幣の金種又は紙葉の種類を区別して収納する第1のスタッカ(16a)、第2のスタッカ(16b)及び第3のスタッカ(16c)を備える。収納搬送装置(17)の第2の収納搬送装置(17b)の代わりに又はこれらを取り外して、入金搬送装置(15)の第2の入金搬送装置(15b)を逆転させて兼用してもよい。
図4に示すように、駆動装置(2)は、単一又は複数のCPUにより構成される制御装置(30)を備え、制御装置(30)の各入力端子には、入金センサ(12)と、鑑別装置(13)と、収納スイッチ(18,18’)と、非接触センサ(22)と、保留スイッチ(26)と、監視カメラ(7)とが接続される。制御装置(30)の各出力端子には、入金搬送装置(15)と、収納搬送装置(17)と、金額表示装置(21)と、第1の偏向装置(37)と、第2の偏向装置(38)と、画像表示装置(27)とが接続される。制御装置(30)に駆動接続されるソレノイド等のアクチュエータが第1及び第2の偏向装置(37,38)に設けられ、第1及び第2の偏向装置(37,38)のディフレクタの紙幣を搬送すべき方向は、制御装置(30)の信号により決定される。
図6は、起動キー「START」、「STORE」、「CLEAR」及び「DISPLAY」を表示するタッチ操作パネルにより構成される金額表示装置(21)の操作案内画面を例示する。金額表示装置(21)のタッチ操作パネルの各起動キーは、有線電気接続又は無線により制御装置(30)に接続される。金額表示装置(21)の起動キー「START(スタート)」にディーラが指を触れると、制御装置(30)により入金搬送装置(15)を駆動して鑑別装置(13)を通じて入金室(11)に配置される紙幣を保留室(14)に搬送すると共に、鑑別装置(13)を通過する紙幣のうち、真正と判断されない紙幣を排出室(20)に搬送する。鑑別装置(13)は、保留室(14)に送る紙幣の金額を計数し、以前のデータを更新して紙幣の金額が、金額表示装置(21)に表示される。従って、起動キー「START(スタート)」は、保留スイッチとしても機能する。
金額表示装置(21)のタッチパネルに表示される起動キー「STORE(ストア)」にディーラが指を触れると、制御装置(30)により収納搬送装置(17)を駆動して、保留室(14)に配置される紙幣は、スタッカ(16)に収容され、スタッカ(16)に収容される紙幣の合計金額が金額表示装置(21)に表示される。従って、起動キー「STORE(ストア)」は、収納スイッチとしても機能する。制御装置(30)は、鑑別装置(30)から紙幣情報を受信して、金額表示装置(21)に紙幣情報を送信し、金額表示装置(21)は、スタッカ(16)に収納される紙幣の金額を表示する。金額表示装置(21)の起動キー「CLEAR(クリア)」に指を触れると、制御装置(30)は、金額表示装置(21)に表示される金額を消去する信号を送出する。金額表示装置(21)の起動キー「DISPLAY(ディスプレイ)」に触れると、金額表示装置(21)は、スタッカ(16)に収容された紙幣の金種別金額を表示する。図示の金額表示装置(21)は、制御装置(30)に有線接続されて、金額表示装置(21)と制御装置(30)との間で信号の送受信を行う。
ゲーム用テーブル(9)の円形部に沿って遊技者は、ドリンクカップ(8)付近に着席し、全遊技者は、前壁(5)の入金室(11)及び入金室に集積される紙幣を目視することができる。遊技者は、ゲーム用テーブル(9)の遊技面(10)上に遊技に要する紙幣を配置し、ディーラは、遊技面(10)上の複数の紙幣を収集し、入金室(11)内に紙幣を一括して投入する。しかしながら、図示の形態とは異なり、ゲーム用テーブル(9)の遊技面(10)と同一又は異なる高さに前壁(5)及び入金室(11)を配置してもよい。この場合に、ゲーム用テーブル(9)から離間可能にかつ上筐体(4)をゲーム用テーブル(9)の遊技面(10)に突出させて筐体(1)をゲーム用テーブル(9)に隣接して配置することができる。
次に、図5に示す動作フローチャートについて駆動装置(2)の動作を説明する。
図2及び図3に示すゲーム用テーブル(9)の遊技面(10)から複数の紙幣をディーラが収集して、収集した紙幣を筐体(1)の入金室(11)に横向きに配置する。ステップ50から51に進み、入金室(11)に配置される紙幣を入金センサ(12)が検出して入金センサ(12)の検出信号が制御装置(30)に送出される。この状態で、ディーラは、金額表示装置(21)に案内画面に表示される起動キー「START(スタート)」に触れ又は保留スイッチ(26)を操作(オン)(ステップ52)すると、制御装置(30)は、入金搬送装置(15)に駆動信号を供給する。従って、入金搬送装置(15)が駆動(ステップ53)され、入金排出ローラ(23)が回転されて、入金室(11)に配置される複数の紙幣は、入金室(11)から排出されて、第1の入金搬送装置(15a)により鑑別装置(13)に送られる。
この場合、入金センサ(12)が入金室(11)に配置される紙幣を検出するとき、保留スイッチ(26)を操作せずに、制御装置(30)の出力により入金搬送装置(15)を自動的に駆動させて、鑑別装置(13)に搬送させてもよい。ステップ54では、送られる紙幣の真贋が鑑別装置(13)内で判断され、真正と判断される紙幣は、第2の入金搬送装置(15b)、第1の分岐点(24)、第1の偏向装置(37)、第3の入金搬送装置(15c)、第2の分岐点(25)、第2の偏向装置(38)及び第4の入金搬送装置(15d)を通じて保留室(14)に送られて(ステップ55)、搬送途中で反転装置(図示せず)により紙幣を反転した後、保留室(14)の支持板(34)上に紙幣が配置され、保留室(14)内に取出可能に一時集積される(ステップ56)。紙幣の反転により、全遊技者とディーラは、入金室(11)と保留室(14)内に収容される各紙幣の表面と裏面の両面を明瞭に目視観察することができ、これにより、収集された紙幣の真正性を確認し、ディーラも保留室(14)から紙幣を自由に取り出すことができる。
また、全遊技者は、保留室(14)内での複数の紙幣の集積状態、紙幣の積層状態及び保留室(14)からスタッカ(6)に向かって紙幣を搬送する排出状態を外部から目視できる。次に、ステップ58では、入金センサ(12)が入金室(11)内の紙幣の有無を検出して、入金室(11)内に紙幣が残っていれば、再度ステップ53〜58が反復される。入金室(11)内に紙幣がなくなれば、入金センサ(12)は、検出信号を停止するので、制御装置(30)は、入金搬送装置(15)の駆動を停止する(ステップ59)。
保留室(14)内に配置される紙幣は、非接触センサ(22)により検出され、非接触センサ(22)が紙幣を検出する状態(ステップ60)で、ゲーム用テーブル(9)の遊技面(10)に設けられる収納スイッチ(18,18’)をディーラが操作し又は金額表示装置(21)の起動キー「STORE(ストア)」に指を触れる(ステップ61)と、制御装置(30)は、収納搬送装置(17)を駆動(ステップ62)するので、紙幣は、保留排出ローラ(36)により保留室(14)から排出され、第1の収納搬送装置(17a)を通り再び鑑別装置(13)に搬送される(ステップ63)。鑑別装置(13)により真正と判断される紙幣は、第2の収納搬送装置(17b)、第1の分岐点(24)、第1の偏向装置(37)及び第3の収納搬送装置(17c)を通りスタッカ(16)に送られる(ステップ64)。
この場合、スタッカ(16)は、必要な偏向装置を駆動して、第1のスタッカ(16a)、第2のスタッカ(16b)及び第3のスタッカ(16c)に金種の異なる紙幣又は紙幣の種類を区別して収納する。鑑別装置(13)により真正と判断されない紙幣は、第2の収納搬送装置(17b)、第1の分岐点(24)、第1の偏向装置(37)、第3の入金搬送装置(15c)、第2の分岐点(25)、第2の偏向装置(38)及び排出搬送装置(19)を通り、非真正紙幣を排出室(20)に送る(ステップ65)。ステップ66では、非接触センサ(22)が保留室(14)内に紙幣が存在するか否か判断し、紙幣が存在すれば、再度ステップ62〜66を実施し、紙幣が存在しなければ、非接触センサ(22)が不存在の信号を制御装置(30)に送出するので、制御装置(30)は、収納搬送装置(17)の駆動を停止(ステップ67)して、駆動装置(2)の動作を停止する(ステップ68)。
ステップ54にて鑑別装置(13)が真正と判断しない紙幣が存在するとき、鑑別装置(13)の信号により制御装置(30)は、第2の収納搬送装置(17b)、第1の分岐点(24)、第1の偏向装置(37)、第3の入金搬送装置(15c)、第2の分岐点(25)、第2の偏向装置(38)及び排出搬送装置(19)を通り、非真正紙幣を排出室(20)に送り(ステップ57)、ステップ58に進む。
図1及び図7に示すように、筐体(1)の前壁(5)の上方に配置される監視カメラ(7)により、入金室(11)に配置される紙幣及び保留室(14)内に搬送される紙幣の状態を撮影し、画像表示装置(27)(図4)により撮影した紙幣の映像をリアルタイムで表示し又は録画することができる。これにより、紙幣の真正性、紙幣の収集に対する透明性と公平性を更に向上することができる。
前記のように、本実施の形態では、入金室(11)に配置されかつ真正と判断される紙幣のみ入金搬送装置(15)により入金室(11)から保留室(14)に搬送され、保留室(14)に紙幣を一時的に保持した後にスタッカ(16)に収容するので、保留室(14)に貯留される紙幣を遊技者全員とディーラとが肉眼で目視でき、これにより、保留室(14)内の紙幣には全く不正行為が関与しないことを確認でき、このとき、金額の確認等、紙幣に問題が生じれば、保留室(14)から紙幣を取り出して、問題のある紙幣の金種等を確認することができる。その後、収納スイッチ(18,18’)を操作して収納搬送装置(17)を起動して、保留室(14)内の紙幣をスタッカ(6)に搬送することができる。筐体(1)又はゲーム用テーブル(9)のいずれか又は両方に収納スイッチ(18,18’)を取り付けることができる。このように、保留室(14)は、外部に対して完全に開放され露出されるので、保留室(14)に供給されかつ保留室(14)から排出される真正な紙幣を筐体(1)の外部から観察し取り出すことができる。
このように、ディーラが入金室(11)に配置し、鑑別装置(13)が真正と判断し、鑑別装置(13)から保留室(14)が受け取る複数の紙幣を、紙幣取扱装置の周囲の人々が直接観察して、ゲームに詐欺行為がないことを確認することができる。保留室(14)内の紙幣に問題又は疑問があれば、保留室(14)から紙幣を取り出して、問題の紙幣を確認することができる。その後、収納スイッチ(18,18’)を操作して、収納搬送装置(17)を起動し、保留室(14)からスタッカ(16)に紙幣を搬送することができる。その結果、紙幣取扱装置により、紙幣の真正性、紙幣取扱の透明性と公平性を担保して、ディーラは、ゲームを円滑に運営することができる。
本発明の前記実施の形態は、種々の変更が可能である。例えば、筐体(1)の前壁(5)に設けられる入金室(11)、保留室(14)及び排出室(20)の位置及び配列順序を当業者が必要に応じて任意に決定することができ、前記実施の形態とは異なり、他の収容室を別途追加することもできる。保留室(14)及び排出室(20)に設けられる羽根車形収納装置に代えて他の搬送手段を設け又は羽根車形収納装置を省略し又は集積装置を使用せずに、第4の入金搬送装置(15d)及び排出搬送装置(19)から直接保留室(14)及び排出室(20)に紙幣を搬送することもできる。
図7は、本発明による紙幣取扱装置の第2の実施の形態を示す。第2の実施の形態では、駆動装置(2)は、図5に動作フローチャートと同様に動作するが、保留室(14)からスタッカ(16)に送られる紙幣に再度鑑別装置(13)を通過させる構造がないので、図5のステップ63と65が省略され、ステップ62と65との間にステップ64が実施される。
ゲーム用テーブル(9)の遊技面(10)から紙幣をディーラが収集して、収集した紙幣を筐体(1)の入金室(11)に配置すると、ステップ50から51に進み、入金室(11)に配置される紙幣を入金センサ(12)が検出して、入金センサ(12)の検出信号が制御装置(30)に送出される状態で、ディーラが金額表示装置(21)に画面表示される起動キー「START(スタート)」に触れ又は保留スイッチ(26)を操作(オン)(ステップ52)すると、制御装置(30)は、入金搬送装置(15)に駆動信号を供給する。従って、入金搬送装置(15)が駆動(ステップ53)され、入金排出ローラ(23)が回転されて、入金室(11)に配置される複数の紙幣は、入金室(11)から排出されて、入金搬送装置(15)により鑑別装置(13)に送られる。
この場合、入金センサ(12)が入金室(11)に配置される紙幣を検出するとき、保留スイッチ(26)を操作せずに、制御装置(30)の出力により入金搬送装置(15)を自動的に駆動させて、鑑別装置(13)に紙幣を搬送してもよい。ステップ54では、送られる紙幣の真贋が鑑別装置(13)内で判断され、真正と判断される紙幣は、入金搬送装置(15)により第2の偏向装置(38)を通じて保留室(14)に送られて(ステップ55)、搬送途中で紙幣が反転され搬送方向に対し横方向に保留室(14)内に配置され、保留室(14)内に一時集積される(ステップ56)。また、全遊技者は、保留室(14)内での複数の紙幣の集積状態、紙幣の積層状態及び保留室(14)からスタッカ(6)に向かって紙幣を搬送する排出状態を外部から目視できる。
ステップ54にて鑑別装置(13)により真正と判断されない紙幣は、入金搬送装置(15)により第2の偏向装置(38)を通り、排出室(20)に送られる(ステップ57)。次に、ステップ58では、入金センサ(12)が入金室(11)内の紙幣の有無を検出して、入金室(11)内に紙幣が残っていれば、再度ステップ53〜58が反復される。入金室(11)内に紙幣がなくなれば、入金センサ(12)は、検出信号を停止するので、制御装置(30)は、入金搬送装置(15)の駆動を停止する(ステップ59)。
保留室(14)内に配置される紙幣は、非接触センサ(22)により検出され、非接触センサ(22)が紙幣を検出する状態(ステップ60)で、ゲーム用テーブル(9)の遊技面(10)に設けられる収納スイッチ(18,18’)をディーラが操作し又は金額表示装置(21)の起動キー「STORE(ストア)」に指を触れる(ステップ61)と、制御装置(30)は、収納搬送装置(17)を駆動(ステップ62)するので、紙幣は、保留排出ローラ(36)により保留室(14)から排出され、収納搬送装置(17)によりスタッカ(16)に送られる(ステップ64)。この場合、スタッカ(16)は、必要な偏向装置を駆動して、第1のスタッカ(16a)及び第2のスタッカ(16b)に金種の異なる紙幣又は紙幣の種類を区別して収納する。ステップ66では、制御装置(30)は、非接触センサ(22)からの検出信号を受信したか否か判断し、少なくとも1枚の紙幣が保留室(14)内に存在すれば、再度ステップ62〜66を実施し、紙幣が存在しなければ、非接触センサ(22)が不存在の信号を制御装置(30)に送出するので、制御装置(30)は、収納搬送装置(17)の駆動を停止(ステップ67)して、駆動装置(2)の動作を停止する(ステップ68)。
図8〜図10は、保留室(14)の前面に対し進退自在に設けられるカバー(40)を示す。カバー(40)は、透明の蓋体(41)と、蓋体(41)の上部に設けられるハンドル(42)と、蓋体(41)を移動可能に上筐体(4)に接続するリンク装置(43)と、リンク装置(43)と上筐体(4)との間に接続される保持ばね(44)とを有する。保留室(14)から離間して保留室(14)を開放する開放位置にある蓋体(41)のハンドル(42)をディーラが把持して手動でハンドル(42)を下方の閉鎖位置に移動して、カバー(40)により保留室の前面を覆うことができる。図9は、カバー(40)が開放位置と閉鎖位置との間で移動する中間位置で、保持ばね(44)が最大引張状態に達するので、図8に示す開放位置と図10に示す閉鎖位置の何れかにカバー(40)が配置されると、収縮する保持ばね(44)の引張力により、蓋体(41)は、それぞれ開放位置と閉鎖位置に自動的に保持されるスナップ作用を生ずる双安定トグル機構がリンク装置(43)と保持ばね(44)により形成される。保持ばね(44)の最大引張力は、ディーラの操作力を超えないから、ディーラは、蓋体(41)を開放位置と閉鎖位置との間を手動で任意に移動することができる。モータ又はソレノイド等のアクチュエータにより、開放位置と閉鎖位置との間で蓋体(41)を電動で移動させることもできる。また、別のアクチュエータにより施錠装置を施錠することにより、蓋体(41)を上筐体(2)に固定して、不用意な紙幣の取出しを阻止し、施錠装置を解錠して、蓋体(41)を開放位置と閉鎖位置との間で移動することができる。