JP2014077894A - 反射防止フィルム及び反射防止フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トリアセチルセルロースフィルムの片面もしくは両面に、少なくともハードコート層、反射防止層をこの順に積層してなる反射防止フィルムであって、該反射防止フィルムをケン化処理した際に、ハードコート層と反射防止層とが界面剥離しないことで、ケン化処理に耐え得る耐アルカリ性を具備する。
【選択図】なし
Description
また、ラジカル重合性樹脂とカチオン重合性樹脂を混合し、干渉縞と密着性を良化する技術が開示されている(特許文献5)。しかしながら、前記技術ではカチオン重合性官能基を有する樹脂が水分の影響を受けて硬化具合にバラツキが発生したり、エージングが必要であるため生産性に欠ける問題がある。
このため、本発明では、保護フィルム無しでもケン化処理に耐え得る耐アルカリ性を具備し、しかも反射防止性に優れるとともに、表面硬度の高い反射防止フィルムを提供することを課題とする。
(第1の発明)
トリアセチルセルロースフィルムの片面もしくは両面に、少なくともハードコート層、反射防止層をこの順に積層してなる反射防止フィルムであって、該反射防止フィルムをケン化処理した際に、前記ハードコート層と前記反射防止層とが界面剥離しないことを特徴とする反射防止フィルム。
前記ケン化処理の条件が、前記トリアセチルセルロースフィルム表面の水接触角が40度未満になる条件であることを特徴とする第1の発明に記載の反射防止フィルム。
前記ハードコート層は酸素濃度を2000ppm未満の雰囲気で硬化させたことを特徴とする第1又は第2の発明に記載の反射防止フィルム。
前記反射防止層にペンタアクリロイルヘプタデカフルオロノネニルペンタエリスリトールを含有することを特徴とする第1乃至第3の発明のいずれかに記載の反射防止フィルム。
トリアセチルセルロースフィルムの片面もしくは両面に、少なくともハードコート層、反射防止層をこの順に積層してなる反射防止フィルムの製造方法であって、前記ハードコート層は酸素濃度を2000ppm未満の雰囲気で硬化させることを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
前記反射防止フィルムをケン化処理することを特徴とする第5の発明に記載の反射防止フィルムの製造方法。
上記のとおり、本発明は、トリアセチルセルロースフィルムの片面もしくは両面に、少なくともハードコート層、反射防止層をこの順に積層してなる反射防止フィルムであって、該反射防止フィルムをケン化処理した際に、前記ハードコート層と前記反射防止層が界面剥離しないことを特徴とする反射防止フィルムである(第1の発明)。
本発明の反射防止フィルムは、該反射防止フィルムをケン化処理した際に、前記ハードコート層と前記反射防止層が界面剥離しないため、保護フィルム無しでもケン化処理に耐え得る耐アルカリ性を具備している。しかも反射防止性に優れ、かつ表面硬度の高い反射防止フィルムである。
本発明においては、フィルム基材としてトリアセチルセルロ−スフィルムが用いられる。トリアセチルセルロースフィルムは、光学異方性(複屈折率)、透過率、ヘイズ(曇価)の点から好ましいフィルムである。また、フィルム厚さも特に制限はないが、20μm〜250μm程度が汎用的に使用される。
本発明において、トリアセチルセルロースフィルム表面の水接触角が40度未満になるようにケン化処理を施すことが、偏光板製造工程において偏光膜との接着性低下防止の点から好ましい。トリアセチルセルロース表面の接触角が40度未満になるようにケン化処理する方法は特に限定されるものではなく、ケン化処理の各種条件(アルカリの種類、濃度、温度、浸漬時間など)を適宜調整することが好ましい。具体的には、トリアセチルセルロースフィルムを基材フィルムとして使用した反射防止フィルムを、10〜30重量%の水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液に15秒〜120秒間浸漬した後、5秒〜100秒間水あるいは酸性溶液で洗浄する処理条件を例示することができる。
なお、本発明において、トリアセチルセルロースフィルム表面の水接触角は、協和界面化学社製の測定機 DM-701によって測定された値である。
本発明の反射防止層は特に限定されるものではなく、公知の反射防止層を使用することができるが、反射防止性、撥油撥水性、防汚性などの優れた効果を発現するフッ素系樹脂あるいはシリコーン系樹脂を反射防止層に含有させることが望ましく、表面強度や反射防止性(屈折率)の点からフッ素系樹脂を含有させることが特に好ましい。また、反射防止層を形成しうるマトリックス成分に、低屈折率材料であるポリシロキサン、中空シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素樹脂などの微粒子を分散させ塗料とし、これを塗布等により形成した層であることができ、これらの中では中空シリカを用いることが好ましい。更に、屈折率の上昇を抑制するとともに架橋密度を高め、反射率を低くした場合においても表面硬度を向上させることができるペンタアクリロイルヘプタデカフルオロノネニルペンタエリスリトールを反射防止層に含有させることが好ましい。
酢酸エチル26.6gとノルマルプロパノール11.4gにイルガキュア184(光重合開始剤:(株)チバスペシャリティケミカル社製)を1.5g添加し十分攪拌した。この液にアクリル系紫外線硬化樹脂(屈折率1.52:日本合成化学(株)社製)を30g添加し十分攪拌して塗料を調整した。この塗料をトリアセチルセルロースフィルム(厚さ40μm)の上にマイヤーバーを用いて塗工し、80℃で1分間乾燥後、酸素濃度1000ppmにて100mJ/cm2の紫外線を照射し約6μmの塗膜を得た。
メチルエチルケトン26.6gとプロピレングリコールモノメチルエーテル11.4gにイルガキュア184(光重合開始剤:(株)チバスペシャリティケミカル社製)を1.75g添加し十分攪拌した。この液に1SX-1055(4級アンモニウム塩タイプ帯電防止ポリマー:大成ファインケミカル(株)社製)を5gとアクリル系紫外線硬化樹脂(屈折率1.52:日本合成化学(株)社製)を35g添加し十分攪拌して塗料を調整した。この塗料を製造例1と同じトリアセチルセルロースフィルムの上にマイヤーバーを用いて塗工し、80℃で1分間乾燥後、酸素濃度500ppmにて100mJ/cm2の紫外線を照射し約5μmの塗膜を得た。
プロピレングリコールモノメチルエーテル6gにアクリル粒子(平均粒径5.0μm、屈折率1.525:総研化学(株)社製)を2g添加し十分攪拌してA液を作製した。酢酸エチル39gにイルガキュア184(光重合開始剤:(株)チバスペシャリティケミカル社製)を1.75g、BYK-3550(表面調整剤:ビックケミー(株)社製)を0.05g添加し十分攪拌した後、1SX-1055(4級アンモニウム塩タイプ帯電防止ポリマー:大成ファインケミカル(株)社製)を5gとアクリル系紫外線硬化樹脂(屈折率1.52:日本合成化学(株)社製)を35g添加し十分攪拌してA液を混合し塗料を調整した。この塗料を製造例1と同じトリアセチルセルロースフィルムの上にマイヤーバーを用いて塗工し、80℃で1分間乾燥後、酸素濃度1500ppmにて100mJ/cm2の紫外線を照射し約8μmの塗膜を得た。
プロピレングリコールモノメチルエーテル9gにアクリル粒子(平均粒径1.3μm、屈折率1.525:総研科学(株)社製)を1.5g、AEROSILOX50(親水性フュームドシリカ:日本アエロジル(株)社製)を0.75g添加し十分攪拌してB液を作製した。酢酸エチル24gにイルガキュア184(光重合開始剤:(株)チバスペシャリティケミカル社製)を1.5g、アクリル系紫外線硬化樹脂(屈折率1.52:日本合成化学(株)社製)を30g添加し十分攪拌した後B液を混合して塗料を調整した。この塗料を製造例1と同じトリアセチルセルロースフィルムの上にマイヤーバーを用いて塗工し、80℃で1分間乾燥後、酸素濃度200ppmにて100mJ/cm2の紫外線を照射し約3.5μmの塗膜を得た。
反射防止膜形成用塗料オプスターTU2205(中空シリカ含有フッ素系樹脂、JSR(株)社製、屈折率1.35、固形分10%)4.5gにtert-ブチルアルコール10.5g、ペンタアクリロイルヘプタデカフルオロノネニルペンタエリスリトールを全体の固形分に対して5%添加して十分攪拌し反射防止膜形成用塗料を作製した。この塗料を製造例1で作製したクリアハードコートフィルム上にマイヤーバーを用いて塗工し、80℃で1分間乾燥後、窒素雰囲気下で150mJ/cm2の紫外線を照射し約0.1μmの反射防止フィルムを得た。こうして得られた反射防止フィルムを公知の方法にてケン化処理してケン化処理済反射防止フィルムを得た。なお、ケン化処理は、反射防止層が設けられていない面(トリアセチルセルロース面側)の水接触角が40度未満になるようにアルカリの種類・濃度・温度・浸漬時間を適宜調整して行った。
本実施例のケン化処理済反射防止フィルムは、トリアセチルセルロース面側の水接触角(処理前/処理後)=57/17(°)であった。なお、水接触角は、協和界面化学社製の測定機 DM-701によって測定した(以下の実施例、比較例において同じ)。
ペンタアクリロイルヘプタデカフルオロノネニルペンタエリスリトールを20%に変更した以外は実施例1と同様にしてケン化処理済反射防止フィルムを得た。
本実施例のケン化処理済反射防止フィルムは、トリアセチルセルロース面側の水接触角(処理前/処理後)=58/20(°)であった。
ペンタアクリロイルヘプタデカフルオロノネニルペンタエリスリトールを1%に変更した以外は実施例1と同様にしてケン化処理済反射防止フィルムを得た。
本実施例のケン化処理済反射防止フィルムは、トリアセチルセルロース面側の水接触角(処理前/処理後)=63/25(°)であった。
実施例1のクリアハードコートフィルムを製造例2で作製した帯電防止機能付きクリアハードコートフィルムに変更したこと以外は実施例1と同様にしてケン化処理済反射防止フィルムを得た。
本実施例のケン化処理済反射防止フィルムは、トリアセチルセルロース面側の水接触角(処理前/処理後)=58/17(°)であった。
実施例1のクリアハードコートフィルムを製造例3で作製した帯電防止機能付き防眩ハードコートフィルムに変更したこと以外は実施例1と同様にしてケン化処理済反射防止フィルムを得た。
本実施例のケン化処理済反射防止フィルムは、トリアセチルセルロース面側の水接触角(処理前/処理後)=63/21(°)であった。
実施例1のクリアハードコートフィルムを製造例4で作製した防眩ハードコートフィルムに変更したこと以外は実施例1と同様にしてケン化処理済反射防止フィルムを得た。
本実施例のケン化処理済反射防止フィルムは、トリアセチルセルロース面側の水接触角(処理前/処理後)=59/19(°)であった。
反射防止膜形成用塗料オプスターTU2205(中空シリカ含有フッ素系樹脂、JSR(株)社製、屈折率1.35、固形分10%)4.5gにtert-ブチルアルコール10.5gを添加して十分攪拌し反射防止膜形成用塗料を作製した。この塗料を製造例1で作製したクリアハードコートフィルム上にマイヤーバーを用いて塗工し、80℃で1分間乾燥後、窒素雰囲気下で150mJ/cm2の紫外線を照射し約0.1μmの反射防止フィルムを得た。こうして得られた反射防止フィルムを公知の方法にてケン化処理してケン化処理済反射防止フィルムを得た。なお、ケン化処理は、実施例1と同様、反射防止層が設けられていない面(トリアセチルセルロース面側)の水接触角が40度未満になるようにアルカリの種類・濃度・温度・浸漬時間を適宜調整して行った。
本実施例のケン化処理済反射防止フィルムは、トリアセチルセルロース面側の水接触角(処理前/処理後)=64/20(°)であった。
反射防止膜形成用塗料オプスターTU2205(中空シリカ含有フッ素系樹脂、JSR(株)社製、屈折率1.35、固形分10%)4.5gにtert-ブチルアルコール10.5g、トリアクリロイルヘプタデカフルオロノネニルペンタエリスリトールを全体の固形分に対して5%添加して十分攪拌し反射防止膜形成用塗料を作製した。この塗料を製造例1で作製したクリアハードコートフィルム上にマイヤーバーを用いて塗工し、80℃で1分間乾燥後、窒素雰囲気下で150mJ/cm2の紫外線を照射し約0.1μmの反射防止フィルムを得た。こうして得られた反射防止フィルムを公知の方法にてケン化処理してケン化処理済反射防止フィルムを得た。なお、ケン化処理は、実施例1と同様、反射防止層が設けられていない面(トリアセチルセルロース面側)の水接触角が40度未満になるようにアルカリの種類・濃度・温度・浸漬時間を適宜調整して行った。
本実施例のケン化処理済反射防止フィルムは、トリアセチルセルロース面側の水接触角(処理前/処理後)=57/18(°)であった。
製造例1のクリアハードコートを2000ppmにて硬化させたこと以外は実施例1と同様にしてケン化処理済反射防止フィルムを作製した。
本実施例のケン化処理済反射防止フィルムは、トリアセチルセルロース面側の水接触角(処理前/処理後)=58/26(°)であった。
製造例1のクリアハードコートを2200ppmにて硬化させたこと以外は実施例1と同様にしてケン化処理済反射防止フィルムを作製した。
本実施例のケン化処理済反射防止フィルムは、トリアセチルセルロース面側の水接触角(処理前/処理後)=64/24(°)であった。
製造例1のクリアハードコートを大気雰囲気下で硬化させたこと以外は実施例8と同様にしてケン化処理済反射防止フィルムを作製したが、反射防止層がハードコート層との界面で剥離した。
本比較例のケン化処理済反射防止フィルムは、トリアセチルセルロース面側の水接触角(処理前/処理後)=58/19(°)であった。
(外観の評価方法)
反射防止膜が設けられていない面に黒色テープを貼り、目視にて反射防止膜が剥がれ落ちていないか以下の基準で評価した。なお、○が合格品である。
○:反射防止膜が残っている
△:反射防止膜が部分的に剥がれ落ちている
×:反射防止膜が全て剥がれ落ちている
裏面反射を防止するために反射防止膜が設けられていない基材面側に黒色テープを貼り、5°正反射測定装置を備えた(株)日立製作所製分光光度計U-3310を用いて550nmの視感反射率を測定し下記の基準で評価した。なお、○と△が合格品である。
○:反射率が1.2%未満
△:反射率が1.2%以上〜1.3%未満
×:反射率が1.3%以上
反射防止膜が設けられている面にスチールウール(#0000)をのせ、その上から500g/cm2の荷重をかけ10往復した反射防止フィルムを下記の基準で目視評価した。なお、○と△が合格品である。
○:傷なし
△:傷1〜10本
×:傷11本以上
一方、従来(比較例)の反射防止フィルムは、耐アルカリ性が乏しくケン化処理によって反射防止層が剥がれ落ち、そのことによって反射防止性が得られず、表面硬度も低下する問題がある。
Claims (6)
- トリアセチルセルロースフィルムの片面もしくは両面に、少なくともハードコート層、反射防止層をこの順に積層してなる反射防止フィルムであって、該反射防止フィルムをケン化処理した際に、前記ハードコート層と前記反射防止層とが界面剥離しないことを特徴とする反射防止フィルム。
- 前記ケン化処理の条件が、前記トリアセチルセルロースフィルム表面の水接触角が40度未満になる条件であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
- 前記ハードコート層は酸素濃度を2000ppm未満の雰囲気で硬化させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の反射防止フィルム。
- 前記反射防止層にペンタアクリロイルヘプタデカフルオロノネニルペンタエリスリトールを含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の反射防止フィルム。
- トリアセチルセルロースフィルムの片面もしくは両面に、少なくともハードコート層、反射防止層をこの順に積層してなる反射防止フィルムの製造方法であって、前記ハードコート層は酸素濃度を2000ppm未満の雰囲気で硬化させることを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
- 前記反射防止フィルムをケン化処理することを特徴とする請求項5に記載の反射防止フィルムの製造方法。
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