JP2014077112A - オルガノポリシロキサングラフトポリマー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】主鎖としてオルガノポリシロキサンセグメントを有し、側鎖として不飽和単量体由来の重合体セグメントを有するオルガノポリシロキサングラフトポリマーであって、前記の不飽和単量体由来の重合体セグメント中に、N,N−ジメチルアクリルアミド由来の繰返し単位を50質量%以上100質量%以下含有し、オルガノポリシロキサングラフトポリマー中におけるオルガノポリシロキサンセグメントの含有量が10質量%以上70質量%以下である、オルガノポリシロキサングラフトポリマー。
【選択図】なし
Description
例えば、特許文献1には、べたつくことなく毛髪に優れた光沢と艶、及びなめらかな感触を付与し、毛髪形状保持力があり長期間繰り返し使用しても蓄積することなく、配合上の問題のないポリアクリル変性オルガノポリシロキサンが開示されている。
また、特許文献2には、毛髪に柔軟な感触と自然な仕上がり感を与え、髪形を強固に固定し、外的要因(手指を髪に通す、風、振動等)に対してもヘアスタイルを崩すことなく、長時間維持することができ、また再整髪もできる整髪方法を提供することを目的として、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサンを含有する毛髪化粧料を毛髪に適用し、毛髪温度50℃以上において毛髪を形付けした後、毛髪の温度を50℃未満に冷却することにより、形付けした髪型を固定する整髪方法が開示されている。
特許文献2に記載されたポリ(N−アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサンは、まず環状イミノエーテルのリビング重合を行い末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)を得た後、オルガノポリシロキサンセグメント(たとえばアミノ変性シリコーン)と連結させることにより得られる。しかし、リビング重合工程および連結工程において溶媒等の脱水が必要であり、また水やエタノール等のアルコール溶媒等の毛髪化粧料に配合可能な溶媒を重合溶媒として使用できないため、重合溶媒を乾燥等により除去する必要があり製造における負荷が大きい。
更に近年、大気中への揮発性有機化合物(VOC)の放出規制等、環境面への配慮も必要になってきており、脱有機溶媒の必要性が高まっている。化粧品、毛髪化粧料においてもVOCの低減が必要となってきており、これらに配合する基剤には水への溶解性、分散性が要求される。
また本発明が解決しようとする更なる課題は、毛髪に柔軟な感触と自然な仕上がり感を与え、べたつきがなく、髪型を強固に固定し、長時間維持することができる毛髪化粧料を提供することである。
[1]主鎖としてオルガノポリシロキサンセグメントを有し、側鎖として不飽和単量体由来の重合体セグメントを有するオルガノポリシロキサングラフトポリマーであって、前記の不飽和単量体由来の重合体セグメント中に、N,N−ジメチルアクリルアミド由来の繰返し単位を50質量%以上100質量%以下含有し、オルガノポリシロキサングラフトポリマー中におけるオルガノポリシロキサンセグメントの含有量が10質量%以上70質量%以下である、オルガノポリシロキサングラフトポリマー。
[2]前記[1]に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーを含有する毛髪化粧料。
本発明のオルガノポリシロキサングラフトポリマー(以下「本発明のグラフトポリマー」ともいう)は、主鎖としてオルガノポリシロキサンセグメントを有し、側鎖として不飽和単量体由来の重合体セグメントを有するグラフトポリマーであって、前記の不飽和単量体由来の重合体セグメント中に、N,N−ジメチルアクリルアミド(以下「DMAAm」ともいう)由来の繰返し単位を50質量%以上100質量%以下含有し、オルガノポリシロキサングラフトポリマー中におけるオルガノポリシロキサンセグメントの含有量が10質量%以上70質量%以下である。
本発明のグラフトポリマーにおいては、2つ以上の側鎖が、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの任意のケイ素原子に、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して結合していることが好ましく、両末端を除く1以上のケイ素原子に上記アルキレン基を介して結合していることがより好ましく、両末端を除く2以上のケイ素原子に上記アルキレン基を介して結合していることが更に好ましい。
本発明のグラフトポリマーは、主鎖としてオルガノポリシロキサンセグメントを有する。
オルガノポリシロキサンセグメントの化学構造は特に限定されないが、好ましい具体例としては、下記一般式(1)又は(2)で表される変性オルガノポリシロキサンセグメントである。
R1で表されるアリール基の炭素数は、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点から好ましくは6以上12以下、より好ましくは9以下である。R1で表されるアリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
これらの中でも、R1としては、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点から炭素数1以上6以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、炭素数1以上3以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
pは、本発明のオルガノポリシロキサングラフトポリマーを用いた毛髪化粧料(以下「本発明の毛髪化粧料」ともいう)で毛髪をセットした後の毛髪の感触(べたつき軽減)の観点から、好ましくは50以上、より好ましくは80以上、更に好ましくは100以上の数であり、また、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは2000以下、より好ましくは1300以下、更に好ましくは700以下の数である。
qは、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは3以上、より好ましくは5以上の数であり、本発明の毛髪化粧料のセット力、セット後の毛髪形状の持続性の観点から好ましくは50以下、より好ましくは30以下の数である。
本発明において、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基の炭素数は、本発明のグラフトポリマー製造時の原料の入手性の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは8以下である。
本発明のグラフトポリマーの製造の容易性の観点から、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基は、−S−が置換していることが好ましい。
ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基(R2)は、該ヘテロ原子、好ましくは窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子、より好ましくは硫黄原子を介して不飽和単量体由来の重合体セグメントと結合していることが好ましい。
したがって、R2で表される「ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基」は、(i)無置換のアルキレン基、(ii)酸素原子、硫黄原子、−NH−、−COO−、−NHCO−、及び−NR3CO−から選ばれる1つ以上の原子又は官能基によって分断されたアルキレン基、(iii)水酸基、アミノ基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、アミノ基と炭素数2以上4以下の脂肪酸が脱水縮合して得られるアミド基、カルボキシ基及びアルキル(炭素数1以上3以下)エステル基から選ばれる1つ以上の1価の基が置換しているアルキレン基、(iv)−O−、−S−、−NH−、−NR30−及び−COO−から選ばれる2価のヘテロ原子、又はヘテロ原子を含む2価の基が置換したアルキレン基の他、上記(ii)、(iii)、(iv)の組合せからなるアルキレン基が該当する。
式(xii)中、X1は−O−、−OCO−、−COO−、−CONH−、−NHCO−から選ばれる一種以上であり、本発明のグラフトポリマーの製造上の容易さの観点から−CONH−又は−NHCO−が好ましく、−NHCO−がより好ましい。
R4の具体例としては、下記式(xiii)〜(xv)が挙げられる。
本発明のオルガノポリシロキサングラフトポリマーは、側鎖として不飽和単量体由来の重合体セグメントを有し、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点から、不飽和単量体由来の重合体セグメント中に、DMAAm由来の繰返し単位を50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上有する。また、本発明の毛髪化粧料で毛髪をセットした後の毛髪のべたつき軽減の観点から、不飽和単量体由来の重合体セグメント中の、DMAAm由来の繰返し単位の含有量は100質量%以下、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
本発明において、不飽和単量体由来の繰返し単位とは、該不飽和単量体の重合時に形成される繰返し単位をいう。
本発明のグラフトポリマーにおいて、不飽和単量体由来の重合体セグメント中におけるDMAAm由来の繰返し単位の含有量は、NMR法により測定することができる。
本発明のグラフトポリマー中におけるオルガノポリシロキサンセグメントの含有量は、本発明の毛髪化粧料で毛髪をセットした後の毛髪のベタつき軽減の観点から、10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であり、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点から、70質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。
本発明のグラフトポリマー中におけるオルガノポリシロキサンセグメントの含有量は、NMRで測定できる。
なお、本明細書において、前記質量比(a/b)は、本発明のグラフトポリマーが後述のラジカル反応性オルガノポリシロキサンから製造される場合には、「製造時に投入されるラジカル反応性オルガノポリシロキサンの総質量(c)」と、「「製造時に投入される不飽和単量体の総質量(d)」から「製造時に生成するオルガノポリシロキサンに結合していない不飽和単量体由来の重合体の総質量(e)」を差し引いた値」との比(c/(d−e))と同一であるとみなす(下式(I))。
a/b = c/(d−e) (I)
ここで、「隣接する不飽和単量体由来の重合体セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメント」とは、下記式に示すように、不飽和単量体由来の重合体セグメントのオルガノポリシロキサンセグメントに対する結合点(結合点A)から、これに隣接する不飽和単量体由来の重合体セグメントの結合点(結合点B)までの2点間において破線で囲まれた部分であって、1つのR1SiO単位と、1つのR2と、y+1個のR1 2SiO単位とから構成されるセグメントをいう。
本発明のオルガノポリシロキサングラフトポリマーが後述のラジカル反応性オルガノポリシロキサンから製造される場合には、オルガノポリシロキサンセグメントは、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンと共通の骨格を有するため、MWsiはラジカル反応性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量(MWra)と略同一であり、本発明においては同一と見なす。なお、MWraは、実施例に記載の測定条件によるゲル浸透クロマトグラフ法(GPC)で測定し、ポリスチレン換算したものである。
本明細書において、MWtは、実施例に記載の測定条件によるGPCで測定し、ポリスチレン換算したものである。
また、本発明のグラフトポリマーをラジカル反応性オルガノポリシロキサンから製造する場合に、MWraと前述の質量比(a/b)の逆数から下式(II)を用いて得られる本発明のグラフトポリマーの計算上の重量平均分子量(MWtcalc)は、本発明のオルガノポリシロキサングラフトポリマーを含有する毛髪化粧料で毛髪をセットした場合のセット力及びセット後の毛髪形状の保持力の観点から好ましくは10,000以上、より好ましくは14,000以上、更に好ましくは17,000以上、更に好ましくは30,000以上であり、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点から好ましくは200,000以下、より好ましくは160,000以下、更に好ましくは130,000以下、更に好ましくは95,000以下である。
MWtcalc = MWra × {1+質量比(b/a)} (II)
次に、本発明のグラフトポリマーの製造方法について説明する。本発明のグラフトポリマーの製造方法としては特に制限はないが、例えば(i)反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンと、該反応性官能基と反応しうる官能基を末端に有する不飽和単量体由来の重合体セグメントを反応させるgraft−onto法(高分子反応法)、(ii)後述のラジカル反応性オルガノポリシロキサンの存在下、不飽和単量体をラジカル重合させるgraft−from法等があげられる。これらの中では製造時の負荷低減の観点から、(ii)ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの存在下、不飽和単量体をラジカル重合させるgraft−from法が好ましい。
以下graft−from法による本発明のグラフトポリマーの製造方法に関して説明する。
本発明のグラフトポリマーは、下記一般式(4)又は(5)で示されるラジカル反応性オルガノポリシロキサンの存在下、不飽和単量体をラジカル重合することにより製造することができる。
前記一般式(4)及び(5)中、R11の好ましい様態は、前記一般式(1)及び(2)中、R1の好ましい様態と同様である。
前記一般式(4)及び(5)中のp及びqは、それぞれ一般式(1)及び(2)のp及びqと同義であり、好ましい様態は、それぞれ前記一般式(1)及び(2)中のp及びqの好ましい様態と同様である。
なお、本発明において、ラジカル反応性基含有アルキル基の炭素数には、ラジカル反応性官能基が炭素を有する場合であってもラジカル反応性官能基の炭素数は含まれず、またラジカル反応性基含有アルキル基が前述の1価の基が置換したものであった場合も、該1価の基の炭素数は含まれない。
なお、本発明においてMWraは、実施例に記載の測定条件によるGPCで測定し、ポリスチレン換算したものである。
またラジカル反応性オルガノポリシロキサンは、下記一般式(6)又は(7)で示される反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンと、ラジカル反応性付与剤とを反応させて得ることもできる。一般式(6)及び(7)で示される反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンは、種々の構造のものが市販されており、入手が容易である。
一般式(6)及び(7)中の、R21の好ましい様態は、一般式(4)及び(5)におけるR11の好ましい様態と同様である。
反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンは、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、及びエポキシ基から選ばれる1種以上の置換基を有している。
反応性官能基としては、入手性の観点から、水酸基、アミノ基、又はエポキシ基が好ましく、反応性及び取扱い性の観点から、アミノ基が好ましい。
なお、本発明においてMWsimは、実施例に記載の測定条件によるGPCで測定し、ポリスチレン換算したものである。
本発明においてラジカル反応性付与剤とは、反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンの反応性官能基と反応して、反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンにラジカル反応性官能基を付加する剤をいう。
ラジカル反応性付与剤のラジカル反応性官能基及びその好ましい様態は、前記ラジカル反応性オルガノポリシロキサンのラジカル反応性官能基及びその好ましい様態と同様である。中でも、重合時の反応性の観点から、ラジカル反応性付与剤はラジカル反応性官能基として、スルファニル基(メルカプト基)を有しているものが好ましく、例えば、3−メルカプトプロピオン酸等のスルファニル基とカルボキシ基を分子内に有する化合物、γ−ブチロラクトンチオール等のスルファニル基を有するラクトン類等が挙げられる。また、置換基を有していてもよいチオラクトンとしては、γ−チオブチロラクトン、N−アセチル−DL−ホモシステインチオラクトン、DL−ホモシステインチオラクトン塩酸塩等が挙げられる。これらの内、ラジカル反応性付与剤としては、反応性オルガノポリシロキサンとの反応性、重合時の反応性の観点からN−アセチル−DL−ホモシステインチオラクトンがより好ましい。
ラジカル反応性付与剤と反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンとの反応では、溶媒を用いてもよい。
溶媒としては水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族化合物、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
環境負荷低減の観点から、溶媒は用いないことが好ましい。
反応時間は、反応を十分に進行させる観点から1時間以上が好ましく、2時間以上がより好ましく、生産性の観点から10時間以下が好ましく、5時間以下がより好ましい。
反応は、得られるラジカル反応性オルガノポリシロキサンの反応性の観点から、反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンの反応性官能基とラジカル反応性付与剤の少なくとも一方の転化率が、80%以上となるまで行うことが好ましく、90%以上となるまで行うことがより好ましい。
転化率の測定法は、反応に用いる反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンの反応性官能基、及びラジカル反応性付与剤によって異なるが、いずれも公知の方法によって測定できる。例えば反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンの反応性官能基がアミノ基であり、ラジカル反応性付与剤がチオラクトン類である場合には、アミノ基の転化率は「石油製品全塩基価試験方法(過塩素酸法)」(JIS K2501)によって求められ、またチオラクトン類の転化率は、液体クロマトグラフ法を用いて求めることができる。
ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの存在下、不飽和単量体を重合させる方法は特に限定されず、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法等を採用しうるが、特に溶液重合法が好ましい。
原料となる不飽和単量体の使用量は、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点から、原料となるラジカル反応性オルガノポリシロキサンと原料となる不飽和単量体の総量に対して、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、また、本発明のオルガノポリシロキサングラフトポリマーを含有する毛髪化粧料で毛髪をセットした後の毛髪のべたつき低減の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
不飽和単量体中のDMAAmの含有量が100質量%でない場合、不飽和単量体はDMAAmと共重合可能な不飽和単量体(但しDMAAmを除く)を含有する。
該不飽和単量体の具体例及び好ましい様態は、上述したDMAAmと共重合可能な不飽和単量体の具体例及びその好ましい様態と同様である。
溶媒の具体例としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族化合物、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用してよい。
これらの中で、より均一な側鎖分子量分布を有する本発明のグラフトポリマー得る観点から、水、エタノール、イソプロパノール等の炭素数1以上8以下のアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル等の炭素数2以上8以下のエステル、ジエチルエーテル、及びテトラヒドロフラン等の炭素数2以上8以下のエーテルから選ばれる1種以上の溶媒を用いることが好ましく、本発明のグラフトポリマーを毛髪化粧料用途等に用いる場合、化粧品製品へのグラフトポリマー製造時の溶媒の持ち込みの観点から水、エタノール等の炭素数1以上3以下のアルコールから選ばれる1種以上を用いることがより好ましい。
不飽和単量体の転化率は、核磁気共鳴(1H−NMR)分析により求めることができる。具体的な操作については、実施例に記載する。
重合反応時間は通常0.1時間以上60時間以下であり、操作性の観点から、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上、更に好ましくは2時間以上、より更に好ましくは4時間以上であり、また、生産性の観点から、好ましくは30時間以下、より好ましくは20時間以下、更に好ましくは10時間以下である。重合反応を、原料を滴下や分割添加等、時間をかけて添加する場合、重合反応時間は、原料の添加に要する時間を含む。重合反応の時間は、例えば重合反応温度を上げることで短時間化が可能であり、重合温度に応じて変えることができる。
また重合反応終了後に必要に応じて公知の方法によって精製や未反応の不飽和単量体の低減等を行ってもよい。例えば、重合開始剤を添加して加熱することや膜精製、吸着剤処理等による未反応の不飽和単量体やその他不純物の低減を行ってもよい。
(本発明のグラフトポリマー(成分(A)))
本発明で用いる毛髪化粧料は、本発明のグラフトポリマー(以下「成分(A)」ともいう)を含有する。これにより、柔軟な感触と、手指を髪に通してもヘアスタイルが崩れないセット特性と、より自然な仕上がりが得られる。
その他、本発明の毛髪化粧料においては、毛髪のセット力、使用感の良さ、毛髪化粧料を調製する際の操作性の観点から、溶媒として水、炭素数1以上3以下の直鎖若しくは分岐鎖の飽和若しくは不飽和アルコールから選ばれる1種以上を含有させることができる。中でも、溶媒としては、水、エタノール、及びイソプロパノールから選ばれる1種以上が好ましく、水、エタノールから選ばれる1種以上が特に好ましい。
また、本発明の毛髪化粧料は、毛髪のハリ及びコシ向上効果、毛髪の柔らかさやまとまり性改善効果、改質効果の促進(弾性の向上、耐湿性の向上等)のほか、成分(A)と相溶させることで毛髪のセット力を向上させる観点から、更に、次の(b1)〜(b5)から選ばれる有機溶剤(以下、「成分(B)」という)を好ましい成分として含有することができる。
(b2)窒素原子に炭素数1以上18以下のアルキル基又はアルケニル基が結合したN−アルキルピロリドン又はN−アルケニルピロリドン
(b3)炭素数2以上4以下のアルキレンカーボネート
(b4)数平均分子量200以上1,000以下のポリプロピレングリコール
(b5)一般式(9)、(10)又は(11)で表されるラクトン又は環状ケトン
(b5)のうち、ラクトンとしては、γ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、δ−ヘプタノラクトン等が挙げられるが、ラクトンの安定性の点から、γ−ラクトン、特にγ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトンが好ましい。
(b5)のうち、環状ケトンとしては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、4−メチルシクロヘプタノン等が挙げられる。
また成分(B)の浸透促進の観点から、成分(B)のClogPが、好ましくは−2以上、より好ましくは−1以上であり、また、好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。ここで、ClogPとは、オクタノール相と水相の間での物質の分配を表す尺度である、下記式(III)で定義されるオクタノール−水−分配係数(logP)の計算値をいい、ケミカルレビューズ,71巻,6号(1971)にその例が記載されている。
logP=log([物質]Octanol/[物質]Water) (III)
〔式中、[物質]Octanolは1−オクタノール相中の物質のモル濃度を、[物質]Waterは水相中の物質のモル濃度を示す。〕
また、本発明で使用する毛髪化粧料には、成分(B)とともに、毛髪の内部改質(空洞補修など)効果、毛髪のハリ及びコシ向上効果、毛髪の柔らかさやまとまり性改善効果のほか、成分(A)と相溶させることで毛髪のセット力を向上させる観点から、ヒドロキシ基を有していてもよい有機カルボン酸又はその塩(以下、「成分(C)」という)を含有させることができる。この場合、成分(C)の浸透促進の観点から、好ましい成分(B)としては、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、プロピレンカーボネート及びポリプロピレングリコール(数平均分子量が好ましくは300以上500以下、より好ましくは400)が挙げられる。
成分(C)の有機カルボン酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸等のモノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等のジカルボン酸;ポリグルタミン酸等のポリカルボン酸;グリコール酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸等が挙げられる。中でも、成分(C)の浸透促進の観点から炭素数2以上6以下のヒドロキシカルボン酸が好ましく、とりわけ乳酸、リンゴ酸が好ましい。
これら有機カルボン酸の塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、有機アミン化合物との塩が挙げられる。
また、本発明で使用する毛髪化粧料にセットポリマーである成分(A)に加え、更にセットポリマー(以下、「成分(D)」という)を必要に応じて、配合することもできる。
成分(D)のセットポリマーとしては、下記1)〜8)に示すものが挙げられ、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリビニルピロリドン
市販品として、「ルビスコールK12」、「ルビスコールK30」(以上、BASF社製)、「PVP K15」、「PVP K30」(以上、Ashland社製)等が挙げられる。
市販品として、「ルビスコールVA28」、「ルビスコールVA73」(以上、BASF社製)、「PVP/VA E−735」、「PVP/VA S−630」(以上、Ashland社製)等が挙げられる。
市販品として、「ルビスコールVAP343」(BASF社製)等が挙げられる。
市販品として、「ルビフレックス」(BASF社製)、「コポリマー845」、「コポリマー937」、「コポリマー958」(以上、Ashland社製)等が挙げられる。
市販品として、「ルビフレックスVBM35」(BASF社製)等が挙げられる。
市販品として、「コポリマーVC−713」(Ashland社製)等が挙げられる。
メチルビニルエーテル/無水マレイン酸アルキルハーフエステル共重合体
市販品として、「ガントレッツES−225」、「ガントレッツES−425」、「ガントレッツSP−215」(以上、Ashland社製)等が挙げられる。
酢酸ビニル/クロトン酸共重合体
市販品として、「レジン28−1310」(アクゾノーベル社製)、「ルビセットCA66」(BASF社製)等が挙げられる。
市販品として、「レジン28−2930」(アクゾノーベル社製)等が挙げられる。
市販品として、「ルビセットCAP」(BASF社製)等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体
市販品として、「プラスサイズL53P」(互応化学(株)製)、「ダイヤホールド」((株)三菱ケミカルホールディングス社製)等が挙げられる。
市販品として、「ウルトラホールド8」(BASF社製)、「アンフォーマーV−42」(アクゾノーベル社製)等が挙げられる。
(メタ)アクリルエチルベタイン/(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体
例えば、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタインと、(メタ)クリル酸アルキルエステルとの共重合体等が例示され、市販品としては「ユカフォーマーM−75」、「ユカフォーマーSM」(以上、(株)三菱ケミカルホールディングス社製)等が挙げられる。
例えば、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー等が例示され、市販品として、「アンフォーマー28−4910」(アクゾノーベル社製)等が挙げられる。
アクリルアミド・アクリルエステル系共重合体
例えば、特開平2−180911号公報、特開平8−291206号公報の実施例に記載されているもの等が挙げられる。
カチオン性セルロース誘導体
市販品として、「セルコートH−100」、「セルコートL−200」(アクゾノーベル社製)等が挙げられる。
ヒドロキシプロピルキトサン
市販品として、「キトフィルマー」(一丸ファルコス(株)製)等が挙げられる。
市販品として、「カイトマーPC」(ピロリドンカルボン酸塩)、「カイトマーL」(乳酸塩)(以上、ダウケミカル製)等が挙げられる。
本発明で使用する毛髪化粧料には、コンディショニング効果の更なる向上のため、油剤及びシリコーン類(但し、本発明の成分(A)を除く)から選ばれるコンディショニング成分を含有させることができる。
ジメチルポリシロキサンとしては、求める感触に応じて5mm2/s程度の粘度のものから、エマルションとして供給される場合が多い1,000万mm2/s程度の粘度のものまで使用できる。ジメチルポリシロキサンの粘度は、好ましくは1,000mm2/s以上、より好ましくは1万mm2/s以上であり、また、好ましくは500万mm2/s以下、より好ましくは100万mm2/s以下である。
ポリエーテル変性シリコーンの粘度は、好ましくは50mm2/s以上、より好ましくは1000mm2/s以上であり、また、好ましくは50万mm2/s以下、より好ましくは10万mm2/s以下である。
本発明の毛髪化粧料には、油剤の可溶化、分散性等を含めた系の安定性、及び感触向上の点から、界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤及びアニオン界面活性剤のいずれをも使用できる。
界面活性剤の含有量は、本発明の毛髪化粧料を使用した際の感触の観点、及び有機溶剤や油剤を配合する場合の該有機溶剤や油剤の可溶化、乳化等を含めた系の安定性の点から、毛髪化粧料中、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
更に、本発明で使用する毛髪化粧料には、成分(B)以外の多価アルコールを含有させることができる。多価アルコールは、成分(B)の可溶化、安定分散に寄与し、また、成分(B)と相乗的に働き、ツヤや毛髪の改質効果の向上を促進する。多価アルコールとしては、グリセリン、ソルビトールなどが挙げられ、グリセリンが好ましい。
多価アルコールは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
多価アルコールの含有量は、毛髪化粧料中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
本発明で使用する毛髪化粧料には、上記成分のほか、通常の毛髪化粧料に用いられる成分を目的、用途、剤型等に応じて適宜配合できる。このような成分としては、例えば、ジンクピリチオン、オクトピロックス等の抗フケ剤;ビタミン剤;トリクロサン、トリクロロカルバン等の殺菌剤;グリチルリチン酸ジカリウム、酢酸トコフェロール等の抗炎症剤;メチルパラベン、ブチルパラベン等の防腐剤;キレート剤;パンテノール等の保湿剤;染料、顔料等の着色剤;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、粘土鉱物等の粘度調整剤;有機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のpH調整剤;植物エキス類;パール化剤;香料;色素;紫外線吸収剤;酸化防止剤;その他エンサイクロペディア・オブ・シャンプー・イングリーディエンツ〔ENCYCLOPEDIA OF SHAMPOO INGREDIENTS (MICELLE PRESS)〕に記載されている成分等が挙げられる。
本発明で使用する毛髪化粧料は、常法に従い各種剤型に調製することができ、例えば、ミスト、ローション、トニック等の液状組成物だけなく、ゲル状、ペースト状、クリーム状、ワックス状等の半固形状組成物とすることができる。
噴射剤の含有量は、本発明の毛髪化粧料中、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは100質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
<1>主鎖としてオルガノポリシロキサンセグメントを有し、側鎖として不飽和単量体由来の重合体セグメントを有するオルガノポリシロキサングラフトポリマーであって、前記の不飽和単量体由来の重合体セグメント中に、N,N−ジメチルアクリルアミド由来の繰返し単位を50質量%以上100質量%以下含有し、オルガノポリシロキサングラフトポリマー中におけるオルガノポリシロキサンセグメントの含有量が10質量%以上70質量%以下である、オルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<3>前記オルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(MWsi)が3000以上、好ましくは5000以上、より好ましくは1万以上、更に好ましくは15000以上であり、20万以下、好ましくは10万以下、より好ましくは6万以下、更に好ましくは5万以下である、前記<1>又は<2>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<4>前記オルガノポリシロキサンセグメント中の隣接する不飽和単量体由来の重合体セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの数平均分子量(MNg)が500以上、好ましくは700以上、より好ましくは1000以上、更に好ましくは1500以上であり、1万以下、好ましくは5000以下、より好ましくは3000以下、更に好ましくは2500以下である、前記<1>〜<3>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<5>前記オルガノポリシロキサンセグメント(a)と、前記不飽和単量体由来の重合体セグメント(b)との質量比(a/b)が、10/90以上、好ましくは20/80以上、より好ましくは30/70以上、更に好ましくは35/65以上であり、70/30以下、好ましくは60/40以下、より好ましくは50/50以下である、前記<1>〜<4>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<6>前記オルガノポリシロキサングラフトポリマーの重量平均分子量(MWt)が、10,000以上、好ましくは14,000以上、より好ましくは17,000以上、更に好ましくは30,000以上であり、200,000以下、好ましくは160,000以下、より好ましくは130,000以下、更に好ましくは95,000以下である、前記<1>〜<5>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<10>前記一般式(1)及び(2)において、pが2以上、好ましくは50以上、より好ましくは80以上、更に好ましくは100以上であり、4000以下、好ましくは2000以下、より好ましくは1300以下、更に好ましくは700以下である、前記<8>又は<9>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<11>前記一般式(1)及び(2)において、qが2以上、好ましくは3以上、より好ましくは5以上であり、250以下、好ましくは50以下、より好ましくは30以下である、前記<8>〜<10>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<12>前記一般式(1)及び(2)において、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基(R2)の炭素数が2以上、好ましくは3以上であり、20以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である、前記<8>〜<11>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<13>前記一般式(1)及び(2)におけるヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基(R2)がヘテロ原子、好ましくは窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子、より好ましくは硫黄原子を介して不飽和単量体由来の重合体セグメントと結合している、前記<8>〜<12>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
式(xii)中、X1は−O−、−OCO−、−COO−、−CONH−、−NHCO−から選ばれる原子又は基であり、式(xii)中、R4が、水酸基、アミノ基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、アミノ基と炭素数2以上4以下の脂肪酸が脱水縮合して得られるアミド基、及びアルキル(炭素数1以上3以下)エステル基から選ばれる1つ以上の置換基で置換されていてもよいアルキレン基である。)
<16>前記式(xii)において、R4がアセトアミド基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、又はアミノ基で置換されているアルキレン基である、前記<14>又は<15>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<17>前記式(xii)において、R4が下記式(xiii)〜(xv)から選ばれる基である、前記<14>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<18>前記不飽和単量体由来の重合体セグメント中の、N,N−ジメチルアクリルアミド由来の繰返し単位の含有量が70質量%以上、好ましくは75質量%以上であり、95質量%以下、好ましくは90質量%以下である、前記<1>〜<17>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<20>前記一般式(4)及び(5)において、R11が炭素数1以上6以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、好ましくは炭素数1以上3以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、より好ましくはメチル基である、前記<19>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<22>前記一般式(4)及び(5)において、qが2以上、好ましくは3以上、より好ましくは5以上であり、250以下、好ましくは50以下、より好ましくは30以下である、前記<19>〜<21>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<23>ラジカル反応性官能基が、エチレン性不飽和基、ハロゲノ基、及びスルファニル基から選ばれる基、好ましくはスルファニル基である、前記<19>〜<22>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<24>一般式(4)及び(5)においてR12で示されるラジカル反応性基含有アルキル基の炭素数が、2以上、好ましくは3以上であり、20以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である、前記<19>〜<23>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<25>一般式(4)及び(5)においてR12で示されるラジカル反応性基含有アルキル基が、水酸基、アミノ基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、アミノ基と炭素数2以上4以下の脂肪酸が脱水縮合して得られるアミド基、カルボキシ基及びアルキル(炭素数1以上3以下)エステル基から選ばれる1つ以上の置換基、好ましくはアセトアミド基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、又はアミノ基で置換されている、前記<19>〜<24>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<26>一般式(4)及び(5)においてR12で示されるラジカル反応性基含有アルキル基が、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−COO−、−NHCO−、及び−NR13CO−から選ばれる1つ以上の原子又は官能基、好ましくは−NHCO−によって分断されている、前記<19>〜<25>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。但し、前記R13は炭素数1以上3以下のアルキル基である。
<29>前記式(xx)において、R14がアセトアミド基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、又はアミノ基で置換されているアルキレン基である、前記<27>又は<28>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<30>ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量(MWra)が、3000以上、好ましくは5000以上、より好ましくは1万以上、更に好ましくは15000以上であり、20万以下、好ましくは10万以下、より好ましくは6万以下、更に好ましくは5万以下である、前記<19>〜<29>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<31>ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの単位質量当たりに存在するラジカル反応性官能基のモル数が、1/500mol/g以下、好ましくは1/700mol/g以下、より好ましくは1/1000mol/g以下であり、1/1万mol/g以上、好ましくは1/5000mol/g以上、より好ましくは1/3000mol/g以上である、前記<19>〜<30>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<32>不飽和単量体の使用量が、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンと不飽和単量体の総量に対して、30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上であり、90質量%以下、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である、前記<19>〜<31>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<33>不飽和単量体中のN,N−ジメチルアクリルアミドの含有量が、50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上であり、100質量%以下、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である、前記<19>〜<32>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<34>不飽和単量体がDMAAmと共重合可能な不飽和単量体(但しDMAAmを除く)、好ましくは、N,N−ジメチルアクリルアミドを除く(メタ)アクリルアミド類及び(メタ)アクリレート類から選ばれる1種以上の不飽和単量体、より好ましくはアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルから選ばれる1種以上の不飽和単量体、更に好ましくはN−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドから選ばれる1種以上の不飽和単量体、より更に好ましくは、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチルから選ばれる1種以上の不飽和単量体である、前記<19>〜<33>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<35>重合が、溶媒存在下に行われる溶液重合である、前記<19>〜<34>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<36>溶媒が、炭素数1以上8以下のアルコール、炭素数2以上8以下のエステル、及び炭素数2以上8以下のエーテルから選ばれる1種以上の溶媒、好ましくは水、炭素数1以上3以下のアルコールから選ばれる1種以上である、前記<19>〜<35>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<37>溶媒の使用量が、ラジカル反応性オルガノポリシロキサン及び不飽和単量体の総質量に対して、20質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは100質量%以上であり、1000質量%以下、好ましくは900質量%以下、より好ましくは400質量%以下、更に好ましくは300質量%以下である、前記<19>〜<36>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<38>重合を重合開始剤、好ましくはアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、及び過硫酸系開始剤から選ばれる重合開始剤、より好ましくは2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、及び過硫酸アンモニウムから選ばれる重合開始剤、更に好ましくは、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の存在下に行う、前記<19>〜<37>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<39>重合開始剤の使用量が、使用する不飽和単量体の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上であり、10質量%以下、好ましくは1質量%以下である、前記<38>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<40>重合を50℃以上、好ましくは60℃以上、100℃以下、好ましくは90℃以下で行う、前記<19>〜<39>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<41>重合を、不飽和単量体の転化率が80%以上、好ましくは90%以上、100%以下まで行う、前記<19>〜<40>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<42>重合を0.1時間以上、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上、更に好ましくは2時間以上、より更に好ましくは4時間以上、60時間以下、好ましくは30時間以下、より好ましくは20時間以下、更に好ましくは10時間以下行う、前記<19>〜<41>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<44>反応性官能基が、水酸基、アミノ基、カルボキシ基及びエポキシ基から選ばれる基である、前記<43>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<45>一般式(6)及び(7)において、R22で示される反応性基含有アルキル基の炭素数が2以上、好ましくは3以上であり、15以下、好ましくは10以下、より好ましくは5以下である、前記<43>又は<44>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<46>一般式(6)及び(7)において、R22で示される反応性基含有アルキル基が、下記式(xxi)〜(xxviii)から選ばれる基、好ましくは(xxi)〜(xxiv)から選ばれる基、より好ましくは(xxiv)である、前記<43>〜<45>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<48>反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンの単位質量当たりに存在する反応性官能基のモル数が1/500mol/g以下、好ましくは1/700mol/g以下、より好ましくは1/1000mol/g以下であり、1/1万mol/g以上、好ましくは1/5000mol/g以上、より好ましくは1/3000mol/g以上である、前記<43>〜<47>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<49>ラジカル反応性付与剤が、分子内にラジカル反応性官能基と、前記反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンの反応性官能基と反応可能なカルボキシ基、エステル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、及びラクトン類から選ばれる一種以上の官能基とを有する化合物、又は置換基を有していてもよいチオラクトン類である、前記<43>〜<48>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<50>ラジカル反応性付与剤のラジカル反応性官能基が、エチレン性不飽和基、ハロゲノ基、及びスルファニル基から選ばれる基、好ましくはスルファニル基である、前記<49>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<51>ラジカル反応性付与剤が、3−メルカプトプロピオン酸、γ−ブチロラクトンチオール、γ−チオブチロラクトン、N−アセチル−DL−ホモシステインチオラクトン、及びDL−ホモシステインチオラクトン塩酸塩から選ばれる1種以上の化合物、好ましくはN−アセチル−DL−ホモシステインチオラクトンである、前記<43>〜<49>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<52>ラジカル反応性付与剤の使用量が、反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンの反応性官能基の総量に対し、0.8当量以上、好ましくは0.9当量以上であり、1.2当量以下、より好ましくは1.1当量以下である、前記<43>〜<51>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<53>前記<1>〜<52>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーを含有する毛髪化粧料。
カラム:「K−804L」(東ソー(株)製)2つを直列につないで使用
溶離液:1mMジメチルドデシルアミン/クロロホルム溶液
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI
サンプル濃度及びサンプル量:5mg/mL、500μL
上記条件を用い、ポリスチレン換算で、反応性官能基を有するオルガノポリシロキサン、ラジカル反応性オルガノポリシロキサン、又はオルガノポリシロキサングラフトポリマーそれぞれの重量平均分子量を測定した。
側鎖一級アミノプロピル変性オルガノポリシロキサン(反応性官能基を有するオルガノポリシロキサン)、及び側鎖一級アミノプロピル変性オルガノポリシロキサンとN−アセチル−DL−ホモシステインチオラクトン(ラジカル反応性付与剤)との反応により得られたスルファニル基変性オルガノポリシロキサン(ラジカル反応性オルガノポリシロキサン)を含む混合物のアミノ基量を測定することにより、反応により消費されたアミノ基量を測定した。アミノ基量の測定は、ASTM D 2073に準拠した方法で行った。具体的には、フラスコに試料(ラジカル反応性オルガノポリシロキサン)を約10gはかりとり、エタノールを50mL加えて撹拌し、電位差滴定装置を用いて0.2mol/Lのエタノール性塩酸溶液で滴定し、同時にブランク試験を行って補正して測定した。
アミノ基量の測定結果から、まずアミノ基の転化率α(%)を下記式(IV)により求めた。
α(%)=[1−[a1×(f+g)/(a0×f)]]×100 (IV)
上式中、a0、a1は、それぞれ側鎖一級アミノプロピル変性オルガノポリシロキサンの単位質量当たりのアミノ基のモル数、及びラジカル反応性付与剤との反応後の反応混合物中の単位質量当たりのアミノ基のモル数を表し、fは側鎖一級アミノプロピルオルガノポリシロキサンの仕込み総質量、gはラジカル反応性付与剤の仕込み総質量を示す。
反応後のラジカル反応性オルガノポリシロキサン上には、反応により消費されたアミノ基と同数のスルファニル基が生成したと見なして、下記計算式(V)から、スルファニル基変性オルガノポリシロキサンの単位質量当たりのスルファニル基のモル数(S)を算出した。
S(mol/g)=(a0×f×α/100)/[f+(a0×f×α/100)×h] (V)
上式中、a0、f、αは、それぞれ上記式(IV)中のa0、f、αと同じ意味を示し、hはラジカル反応性付与剤の分子量を表す。
10mLのスクリュー管に、オルガノポリシロキサングラフトポリマーの50質量%エタノール溶液を0.6g、N−メチルマレイミド(シグマアルドリッチ製)の10質量%エタノール溶液を0.15g、エタノールを0.55g入れ、室温で2時間撹拌した。撹拌終了後、エタノール1gを加え、その溶液をガスクロマトグラフィーにて分析し、N−メチルマレイミド量を定量した。N−メチルマレイミドの消費率からスルファニル基の残存量を算出し、この値とスルファニル基変性オルガノポリシロキサンの単位質量当たりのスルファニル基のモル数から、スルファニル基の残存率を算出した。
重合後に消失したスルファニル基には不飽和単量体由来の重合体が結合しているとみなして、原料に用いたスルファニル基変性オルガノポリシロキサンの単位質量当たりのスルファニル基のモル数及び前記<スルファニル基の残存率の測定方法>で得られたスルファニル基の残存率から、グラフト点間分子量を算出した。
ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの存在下、不飽和単量体をラジカル重合させるgraft−from法を用いた場合、オルガノポリシロキサングラフトポリマーの他に、オルガノポリシロキサングラフトポリマーに結合していない不飽和単量体由来の重合体が生成する。重合反応終了後、溶媒を除去した後のオルガノポリシロキサングラフトポリマーを含む混合物中における該不飽和単量体由来の重合体の含有量(質量%)を液体クロマトグラフィにより測定した。測定条件を以下に示す。
[液体クロマトグラフィの測定条件]
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:230nm)
カラム:ODSカラム「L−column ODS」(一般財団法人 化学物質評価研究機構製、サイズ:4.6×150mm、5μm)
カラム温度:30℃付近の一定温度
移動相A:2%リン酸水溶液、移動相B:2%リン酸エタノール溶液
流速:0.5mL/min
サンプル濃度とサンプル量:1〜2mg/mL、10.0μL
オルガノポリシロキサングラフトポリマーを重クロロホルム中に5質量%溶解させ、核磁気共鳴(1H−NMR)装置「Mercury 400」(Varian社製)を用いて測定した。測定条件は、測定モードをProton 1D、測定温度を室温、積算回数を8回とした。質量比(a/b)はオルガノポリシロキサンセグメント中の、ケイ素原子に結合しているメチル基(0ppm)と、不飽和単量体由来の重合体セグメント中のアルキル基(N,N−ジメチルアクリルアミドのメチル基:2.7〜3.2ppm付近、N−tert−ブチルアクリルアミドのtert−ブチル基:1.0〜1.4ppm)の積分比より求めた。
<水分散性評価>
各試料を2.5質量%、エタノール7.5質量%、イオン交換水90質量%を含む水溶液または分散液を調製し、得られた液体の透過率(T%)を下記条件で測定した。本測定において透過率が70%以上であれば、水系溶媒への試料の分散性は高く、水分散性は高いと判断した。
装置:UV可視光分光光度計「UV−2550」((株)島津製作所製)
測定モード:透過率
測定波長:660nm
試料:試料濃度2.5質量%のエタノール/イオン交換水溶液または分散液
光路長:1cm
測定温度:25℃
測定装置:動的粘弾性測定装置「DVA−225」(アイティー計測制御(株)製)
測定モード:せん断モード
歪み:0.01〜0.1%
周波数:1Hz
試料サイズ:(0.6〜1.5)×(7〜10)×(5〜6)mm
測定温度範囲:−10〜200℃
測定時の温度は上記測定温度範囲で変更し、本測定をヘアアイロンやドライヤーでのセット性の指標とするため、ヘアアイロンやドライヤーでのセット時の変形の容易さの指標として、高温弾性率として150℃の貯蔵弾性率の値を示し、室温に戻した際のセット力の指標として室温弾性率として25℃での貯蔵弾性率を示した。
(皮膜の調製法)
オルガノポリシロキサングラフトポリマーのエタノール溶液(50質量%)を適量ポリテトラフルオロエチレン製のシャーレに入れ、室温(25℃)にて窒素フロー下5日間乾燥させた。その後、80℃にて8時間減圧(20kPa)乾燥を行い、厚さ約1mmの淡黄色透明皮膜を得た。得られた皮膜をカットして弾性率測定の試料として用いた。
実施例及び比較例で得られたオルガノポリシロキサングラフトポリマーの5質量%エタノール溶液を調製し、該溶液を下記に示す条件で塗布及び乾燥した毛髪のセット性評価を行った。
長さ30cm、重さ6gのコーカシアン毛のくせ毛の毛束を評価に用いた。この毛束全体が湿るように水で濡らし、サンプルの5質量%エタノール溶液を1.2g塗布し、表裏5回くしを通した。次いで毛束をドライヤーで完全に乾燥させた後、ストレートアイロンで3回伸ばし、くしを添えて2回伸ばした。この一連の処理が完了した後、以下の基準に従って官能評価を行った。各評価は3名の専門パネラーによるのべ5回の評価の平均値を示した。
(1)ヘアスタイルの仕上がり(セット力)
上記の毛束処理条件において、アイロンを外した後の毛束の状態について、以下の判定基準により目視評価した。評価平均値が4.0以上であれば、ヘアスタイルの仕上がりは良いといえる。
5:毛髪のくせはまっすぐに伸び、毛束全体が1枚の板のようにまとまっている。
4:毛髪のくせはまっすぐに伸び、毛束のほぼ全体がまとまっている。
3:毛髪のくせは伸びているが、毛束のまとまりが弱い。
2:毛髪のくせは伸びているが、毛束のまとまりが全くない。
1:全く毛髪のくせが伸びない。
上記の毛髪処理条件において、ドライヤーで乾燥させる際の感触(べたつきのなさ)について、以下の判定基準により官能評価した。評価平均値が3.0以上であれば、感触は良いといえる。
5:全くべたつきを感じない。
4:乾き際に少しべたつきを感じるがすぐ消える。
3:乾き際にべたつきを感じ、そのべたつきが乾燥終了後10秒以内に消える。
2:乾き際にべたつきを感じ、そのべたつきが乾燥終了後10秒経過しても残る。
1:乾燥後もずっとべたつきを感じる。
上記の毛髪処理条件において一連の処理が完了した後の毛束を、温度25℃、相対湿度90%以上の環境下に、毛先を下にして吊るして放置した。1時間放置した時の毛束の状態について目視で評価した。評価平均値が3.0以上であれば、保持力は良いといえる。
5:毛束全体がまとまっており、くせも伸びたままである。
4:毛束全体がまとまっているが、毛束の先がうねっている。
3:毛束のほぼ全体がまとまってはいるが、全体的にうねりがある。
2:毛束のまとまりが弱く、うねりが顕著にあらわれている。
1:毛束全体がばらばらになっている。
(ラジカル反応性オルガノポリシロキサンAの合成)
還流冷却管、温度計、窒素導入管、撹拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンとして、側鎖一級アミノプロピル変性オルガノポリシロキサン(重量平均分子量30000、単位質量当たりのアミノ基のモル数;1/2030mol/g、東レ・ダウコーニング社製)を100g、N−アセチル−DL−ホモシステインチオラクトンを8g仕込んだ。窒素雰囲気下で、100℃に昇温し、3時間撹拌し、スルファニル基を有するラジカル反応性オルガノポリシロキサンAを合成した。電位差滴定測定によりアミノ基の残存量を測定したところ、原料とした側鎖一級アミノイソプロピル変性オルガノポリシロキサンのアミノ基の99%がN−アセチル−DL−ホモシステインチオラクトンと反応していた(アミノ基転化率99%)。したがってラジカル反応性オルガノポリシロキサンAの単位質量当たりのスルファニル基のモル数は1/2210mol/gである。GPC測定により求めたラジカル反応性オルガノポリシロキサンAの重量平均分子量は、30000であった。
合成例2においては、合成例1と同様の操作を行った。合成例3及び4においては合成例1において、側鎖一級アミノプロピル変性オルガノポリシロキサンの単位質量当たりのアミノ基のモル数、及び重量平均分子量を表1に示す条件に変えた以外は、合成例1と同様の操作を行い、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンB〜Dを得た。なお、側鎖一級アミノプロピル変性オルガノポリシロキサンとして、合成例3では、「AMS−162」(Gelest社製)を、合成例4では、「KF−8003」(信越化学工業(株)製)を用いた。
<オルガノポリシロキサングラフトポリマーEの合成>
還流冷却器、温度計、窒素導入管、撹拌装置を取り付けたセパラブルフラスコにエタノール101.0gを仕込んだ。エタノールを窒素雰囲気下80℃の還流下で撹拌しながら、下記溶液(a)および溶液(b)をそれぞれ別の滴下ロートに入れ、同時に1時間かけて滴下した。
溶液(a):DMAAm 76.8g、N−tert−ブチルアクリルアミド(以下、「tBuAAm」という)19.2g、エタノール96.0gを混合した溶液。
溶液(b):上記合成例1にて合成したラジカル反応性オルガノポリシロキサンA 64.0g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)「V−65B」(和光純薬工業(株)製、アゾ系重合開始剤)0.03g、エタノール43.0gを混合した溶液。
得られた混合物について上記方法に従って、反応終了後のオルガノポリシロキサングラフトポリマーEを含む混合物中における、オルガノポリシロキサングラフトポリマーに結合していない不飽和単量体由来の重合体の含有量を測定したところ、29質量%であった。オルガノポリシロキサンセグメント(a)と不飽和単量体由来の重合体セグメント(b)との質量比(a/b)を前記数式(I)により算出したところ、56/44であった。
上記で得られたオルガノポリシロキサングラフトポリマーEを含む混合物と精製後のオルガノポリシロキサングラフトポリマーEとに対してセット性評価を行った結果を表2に示す。精製前後でセット性評価結果の差はほとんどなく、オルガノポリシロキサンに結合していない不飽和単量体由来の重合体がセット性に与える影響は無視できると言える。また、本発明におけるセット性は、室温弾性率及び高温弾性率の影響を強く受けるため、表2の結果から、オルガノポリシロキサンに結合していない不飽和単量体由来の重合体が室温弾性率及び高温弾性率に与えている影響も小さいと推察される。そこで、以降の実施例では単離操作をしていないオルガノポリシロキサングラフトポリマーを含む混合物を用いて評価を行った。
<オルガノポリシロキサングラフトポリマーFの合成>
還流冷却器、温度計、窒素導入管、撹拌装置を取り付けたセパラブルフラスコにエタノール100.0gを仕込んだ。エタノールを窒素雰囲気下80℃の還流下で撹拌しながら、下記溶液(a)を滴下ロートに入れ、2時間かけて滴下した。
溶液(a):DMAAm 50.0g、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンC(上記合成例3にて合成)50.0g、実施例1で用いた「V−65B」0.1g、エタノール400.0gを混合した溶液。
得られた混合物について上記方法に従って、反応終了後のオルガノポリシロキサングラフトポリマーFを含む混合物中における、オルガノポリシロキサングラフトポリマーに結合していない不飽和単量体由来の重合体の組成を測定したところ、17質量%であった。オルガノポリシロキサンセグメント(a)と、不飽和単量体由来の重合体セグメント(b)との質量比(a/b)を前記数式(I)により算出したところ60/40であった。上記式(II)を用いて得られたオルガノポリシロキサングラフトポリマーFの計算上の重量平均分子量(MWtcalc)は1.7万であった。
<オルガノポリシロキサングラフトポリマーGの合成>
還流冷却器、温度計、窒素導入管、撹拌装置を取り付けたセパラブルフラスコにテトラヒドロフラン40.0gを仕込んだ。テトラヒドロフランを窒素雰囲気下70℃の還流下で撹拌しながら、下記溶液(a)を滴下ロートに入れ、2時間かけて滴下した。
溶液(a):DMAAm 28.0g、tBuAAm 28.0g、側鎖メルカプト変性オルガノポリシロキサン「KF−2001」(信越化学工業(株)製、重量平均分子量1.6万、スルファニル基のモル数1/1900mol/g)24.0g、実施例1で用いた「V−65B」0.08g、テトラヒドロフラン360.0gを混合した溶液。
得られた混合物について上記方法に従って、反応終了後のオルガノポリシロキサングラフトポリマーGを含む混合物中における、オルガノポリシロキサングラフトポリマーに結合していない不飽和単量体由来の重合体の含有量を測定したところ、26質量%であった。オルガノポリシロキサンセグメント(a)と不飽和単量体由来の重合体セグメント(b)との質量比(a/b)を前記数式(I)により算出したところ、54/46であった。
<オルガノポリシロキサングラフトポリマーHの合成>
還流冷却器、温度計、窒素導入管、撹拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに酢酸エチル100.0gを仕込んだ。酢酸エチルを窒素雰囲気下80℃の還流下で撹拌しながら、下記溶液(a)を滴下ロートに入れ、2時間かけて滴下した。
溶液(a):DMAAm 60.0g、実施例3で用いた「KF−2001」40.0g、実施例1で用いた「V−65B」0.1g、酢酸エチル400.0gを混合した溶液。
得られた混合物について上記方法に従って、反応終了後のオルガノポリシロキサングラフトポリマーHを含む混合物中における、オルガノポリシロキサングラフトポリマーに結合していない不飽和単量体由来の重合体の含有量を測定したところ、0質量%であった。オルガノポリシロキサンセグメント(a)と、不飽和単量体由来の重合体セグメント(b)との質量比(a/b)を前記数式(I)により算出したところ40/60であった。また、オルガノポリシロキサングラフトポリマーHのGPC測定をしたところ、重量平均分子量(MWt)は3.6万であった。
<オルガノポリシロキサングラフトポリマーIの合成>
還流冷却器、温度計、窒素導入管、撹拌装置を取り付けたセパラブルフラスコにエタノール60.0gを仕込んだ。エタノールを窒素雰囲気下65℃で撹拌しながら、下記溶液(a)および溶液(b)をそれぞれ別の滴下ロートに入れ、同時に1時間かけて滴下した。
溶液(a):DMAAm 33.6g、tBuAAm 8.4g、エタノール54.0gを混合した溶液。
溶液(b):ラジカル反応性オルガノポリシロキサンA(上記合成例1にて合成)18.0g、実施例1で用いた「V−65B」0.1g、エタノール36.0gを混合した溶液。
得られた混合物について上記方法に従って、反応終了後のオルガノポリシロキサングラフトポリマーIを含む混合物中における、オルガノポリシロキサングラフトポリマーに結合していない不飽和単量体由来の重合体の含有量を測定したところ、47質量%であった。オルガノポリシロキサンセグメント(a)と不飽和単量体由来の重合体セグメント(b)との質量比(a/b)を前記数式(I)により算出したところ57/43であった。
<オルガノポリシロキサングラフトポリマーJ、M、Nの合成>
実施例5において、合成例1で得られたラジカル反応性オルガノポリシロキサンA、DMAAmおよびtBuAAmの添加量を表3に示す条件に変えた以外は、実施例4と同様の操作を行い、オルガノポリシロキサングラフトポリマーJ、M又はNを含む混合物をそれぞれ得た。結果を表3に示す。
オルガノポリシロキサングラフトポリマーNを含む混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:メタノール/クロロホルム=15/85(v/v))にて精製し、オルガノポリシロキサングラフトポリマーNを白色固体として得た。単離したオルガノポリシロキサングラフトポリマーNを用い、前記の核磁気共鳴(1H−NMR)分析によりオルガノポリシロキサンセグメント(a)と不飽和単量体由来の重合体セグメント(b)との質量比(a/b)を求めたところ、64/36となり、前記数式(I)により算出した結果(65/35)とほぼ一致した。
<オルガノポリシロキサングラフトポリマーKの合成>
還流冷却器、温度計、窒素導入管、撹拌装置を取り付けたセパラブルフラスコにエタノール50.0gを仕込んだ。窒素雰囲気下65℃で撹拌しながら、下記溶液(a)および溶液(b)をそれぞれ別の滴下ロートに入れ、同時に1時間かけて滴下した。
溶液(a):DMAAm 28.8g、メチルメタクリレート(以下、「MMA」という)7.2g、エタノール54.0gを混合した溶液。
溶液(b):ラジカル反応性オルガノポリシロキサンB(上記合成例2にて合成)24.0g、実施例1で用いた「V−65B」0.1g、エタノール36.0gを混合した溶液。
得られた混合物について上記方法に従って、反応終了後のオルガノポリシロキサングラフトポリマーKを含む混合物中における、オルガノポリシロキサングラフトポリマーに結合していない不飽和単量体由来の重合体の含有量を測定したところ、8質量%であった。オルガノポリシロキサンセグメント(a)と不飽和単量体由来の重合体セグメント(b)との質量比(a/b)を前記数式(I)により算出したところ、43/57であった。
<オルガノポリシロキサングラフトポリマーLの合成>
実施例7において、MMAをN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(以下、「DMAPAA」という)に変えた以外は、実施例7と同様の操作を行い、オルガノポリシロキサングラフトポリマーLを含む混合物を黄色固体として得た。上記方法でスルファニル基の残存率を測定したところ、5%であった。
<オルガノポリシロキサングラフトポリマーOの合成>
還流冷却器、温度計、窒素導入管、撹拌装置を取り付けたセパラブルフラスコにエタノール50.0gを仕込んだ。窒素雰囲気下65℃で撹拌しながら、下記溶液(a)および溶液(b)をそれぞれ別の滴下ロートに入れ、同時に1時間かけて滴下した。
溶液(a):DMAAm 28.8g、tBuAAm 7.2g、エタノール54.0gを混合した溶液。
溶液(b):ラジカル反応性オルガノポリシロキサンD(上記合成例4にて合成)24.0g、実施例1で用いた「V−65B」0.1g、エタノール36.0gを混合した溶液。
得られた混合物について上記方法に従って、反応終了後のオルガノポリシロキサングラフトポリマーOを含む混合物中における、オルガノポリシロキサングラフトポリマーに結合していない不飽和単量体由来の重合体の含有量を測定したところ、26質量%であった。オルガノポリシロキサンセグメント(a)と不飽和単量体由来の重合体セグメント(b)との質量比(a/b)を前記数式(3)により算出したところ54/46であった。
<オルガノポリシロキサングラフトポリマーPの合成>
還流冷却器、温度計、窒素導入管、撹拌装置を取り付けたセパラブルフラスコにエタノール50.0gを仕込んだ。窒素雰囲気下65℃で撹拌しながら、下記溶液(a)および溶液(b)をそれぞれ別の滴下ロートに入れ、同時に1時間かけて滴下した。
溶液(a):DMAAm 14.4g、tBuAAm 21.6g、エタノール60.0gを混合した溶液。
溶液(b):ラジカル反応性オルガノポリシロキサンB(上記合成例2にて合成)24.0g、実施例1で用いた「V−65B」0.1g、エタノール36.0gを混合した溶液。
<オルガノポリシロキサングラフトポリマーQの合成>
還流冷却器、温度計、窒素導入管、撹拌装置を取り付けたセパラブルフラスコにエタノール61.3gを仕込んだ。エタノールを窒素雰囲気下80℃の還流下で撹拌しながら、下記溶液(a)および溶液(b)をそれぞれ別の滴下ロートに入れ、同時に1時間かけて滴下した。
溶液(a):DMAAm 12.8g、tBuAAm 3.2g、エタノール16.0gを混合した溶液。
溶液(b):上記合成例2にて合成したラジカル反応性オルガノポリシロキサンB 64.0g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)「V−65B」(和光純薬工業(株)製、アゾ系重合開始剤)0.03g、エタノール43.0gを混合した溶液。
<オルガノポリシロキサングラフトポリマーRの合成>
還流冷却器、温度計、窒素導入管、撹拌装置を取り付けたセパラブルフラスコにエタノール75.0gを仕込んだ。窒素雰囲気下65℃で撹拌しながら、下記溶液(a)および溶液(b)をそれぞれ別の滴下ロートに入れ、同時に1時間かけて滴下した。
溶液(a):DMAPAA 45.0g、エタノール135.0gを混合した溶液。
溶液(b):ラジカル反応性オルガノポリシロキサンD(上記合成例4にて合成)30.0g、実施例1で用いた「V−65B」0.4g、エタノール90.0gを混合した溶液。
<オルガノポリシロキサングラフトポリマーSの合成>
比較例3において、溶液(a)のDMAPAAをエチルメタクリレート(以下、「EMA」という)に変えた以外は、比較例3と同様の操作を行い、オルガノポリシロキサングラフトポリマーSを含む混合物のエタノール溶液を得た。
なお、比較例1、2及び4のオルガノポリシロキサングラフトポリマーP、Q及びSは、水分散性測定において、沈殿が生成し、測定不能であった。通常セット剤は、スプレーの形態で実施されるが、毛髪化粧料に沈殿が生成する場合、目詰まり等の問題が生じるため、実際上、該毛髪化粧料のスプレーの形態としての応用は困難である。そのため、これらオルガノポリシロキサングラフトポリマーP、Q及びSに関しては、毛髪セット性の評価を行っていない。
Claims (7)
- 主鎖としてオルガノポリシロキサンセグメントを有し、側鎖として不飽和単量体由来の重合体セグメントを有するオルガノポリシロキサングラフトポリマーであって、前記の不飽和単量体由来の重合体セグメント中に、N,N−ジメチルアクリルアミド由来の繰返し単位を50質量%以上100質量%以下含有し、オルガノポリシロキサングラフトポリマー中におけるオルガノポリシロキサンセグメントの含有量が10質量%以上70質量%以下である、オルガノポリシロキサングラフトポリマー。
- 前記オルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が3000以上20万以下である、請求項1に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
- 前記オルガノポリシロキサンセグメント中の隣接する不飽和単量体由来の重合体セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの数平均分子量(MNg)が500以上1万以下である、請求項1又は2に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
- 前記の不飽和単量体由来の重合体セグメントが、更にN,N−ジメチルアクリルアミドを除く(メタ)アクリルアミド類及び(メタ)アクリレート類から選ばれる1種以上の不飽和単量体由来の繰返し単位を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
- ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの存在下、不飽和単量体を重合させることによって得られる、請求項1〜4のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
- ラジカル反応性オルガノポリシロキサンが、反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンにラジカル反応性付与剤を反応させて得られる、請求項5に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーを含有する毛髪化粧料。
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