JP2014072400A - 溶融塩キャパシタ - Google Patents

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Abstract

【課題】高温環境下で良好に充放電を行なうことができる溶融塩キャパシタを提供すること。
【解決手段】電解質がハロゲンアニオンおよびハロゲン原子を有する化合物のアニオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のアニオンと、金属カチオンおよび有機カチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオンとを含む溶融塩であり、正極がアニオンを可逆的に保持する炭素材料を含有する正極材料を正極集電体に担持させた電極であり、負極がカチオンを可逆的に保持する材料を含有する負極材料を負極集電体に担持させた電極であり、セパレータが、耐熱温度が120℃以上である材料からなる溶融塩キャパシタ。
【選択図】なし

Description

本発明は、溶融塩キャパシタに関する。さらに詳しくは、本発明は、資源採掘を行なう際の環境などのように高温環境下で使用される蓄電デバイスなどとして有用な溶融塩キャパシタに関する。
キャパシタは、2次電池と比べ、短時間で充放電を行なうことができ、長寿命であり、しかも高出力であることから、制動力の回生、加速アシストなどに際して短時間で大きな電流を必要とする電気自動車用の蓄電デバイスをはじめ、種々の用途が期待されている。
前記キャパシタとして、例えば、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの電解質塩およびエチレンカーボネートなどの可塑剤を含むキャパシタが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。しかしながら、前記キャパシタには、高温下では前記可塑剤が揮発するため、キャパシタの放電容量などが不安定になるおそれがある。
したがって、資源採掘を行なう際の環境などのように高温環境下での使用に耐え、良好に充放電を行なうことができるキャパシタの開発が望まれている。
特開平9−92583号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、高温環境下で良好に充放電を行なうことができる溶融塩キャパシタを提供することを課題とする。
本発明の溶融塩キャパシタは、容器本体と蓋体とで密封された容器内に、正極と、負極と、電解質とセパレータとを有し、前記正極および前記負極の間に電解質が介在しているとともに、当該正極と当該負極とがセパレータを介して隔離されてなる溶融塩キャパシタであって、
前記電解質が、ハロゲンアニオンおよびハロゲン原子を有する化合物のアニオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のアニオンと、金属カチオンおよび有機カチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオンとを含む溶融塩であり、
前記正極が、正極活物質として前記アニオンを可逆的に保持する炭素材料を含有する正極材料を正極集電体に担持させてなる電極であり、
前記負極が、負極活物質として前記カチオンを可逆的に保持する材料を含有する負極材料を負極集電体に担持させてなる電極であり、
前記セパレータが、耐熱温度が120℃以上である材料からなる
ことを特徴とする。
本発明の溶融塩キャパシタは、前記構成を有しているため、例えば、資源採掘を行なう際の環境などのような高温環境下において、優れた耐熱性および耐食性を示すとともに、電解質の揮発および燃焼が抑制され、かつ優れた充放電特性を示す。したがって、本発明の溶融塩キャパシタは、高温環境下での使用に耐えることができ、かつ長寿命であり、しかも良好に充放電を行なうことができる。
前記アニオンは、ハロゲンアニオン、ハロゲン原子を有するアミドアニオン、ハロゲン原子を有するアルキル基を有するアミドアニオン、ハロゲン原子を有するスルホン酸アニオンおよびハロゲン原子を有するアルキル基を有するスルホン酸アニオンからなる群より選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。前記アニオンは、式(I):
〔X〕- (I)
(式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す)
で表わされるハロゲンアニオン、式(II):
(式中、R1およびR2はそれぞれ独立してハロゲン原子またはハロゲン原子を有する炭素数1〜8のアルキル基)
で表わされるスルホニルアミドアニオンおよび式(III):
(式中、R3は、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有する炭素数1〜8のアルキル基を示す)
で表わされるスルホン酸アニオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のアニオンであることがより好ましい。前記アニオンが用いられた電解質は、耐熱性が高いことから、前記構成が採用された溶融塩キャパシタによれば、高温環境下で、より良好に充放電を行なうことができる。
前記カチオンは、金属カチオンおよび有機オニウムカチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオンであることが好ましい。前記カチオンは、金属カチオン、三級オニウムカチオンおよび四級オニウムカチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオンであることがより好ましい。前記カチオンは、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アルミニウムカチオン、銀カチオン、式(IV):
(式中、R4、R5およびR6はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基、Aは硫黄原子を示す)
で表わされるカチオン、式(V):
(式中、R7〜R10はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基または炭素数1〜8のアルキルオキシアルキル基、Bは窒素原子またはリン原子を示す)
で表わされるカチオン、式(VI):
(式中、R11およびR12はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を示す)
で表わされるイミダゾリウムカチオン、式(VII):
(式中、R13およびR14はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を示す)
で表わされるイミダゾリニウムカチオン、式(VIII):
(式中、R15は炭素数1〜8のアルキル基を示す)
で表わされるピリジニウムカチオン、式(IX):
〔式中、R16およびR17はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基、Yは直接結合、酸素原子、メチレン基または式(X):
(式中、R18およびR19はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を示す)
で表わされる基を示す〕
で表わされるカチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオンであることがさらに好ましい。前記カチオンが用いられた電解質は、耐熱性が高いことから、前記構成が採用された溶融塩キャパシタによれば、高温環境下で、より良好に充放電を行なうことができる。
前記カチオンを可逆的に保持する材料は、カチオンを可逆的に保持する炭素材料、ケイ素、スズ、ケイ素化合物、スズ化合物、前記金属カチオンを解離する金属窒化物および前記金属カチオンを解離するチタン酸金属化合物からなる群より選ばれた材料であることが好ましい。前記カチオンを可逆的に保持する材料としてこれらの材料が用いられた負極活物質は、寿命安定性が高く、容量が大きいことから、前記構成が採用された溶融塩キャパシタは、十分な寿命安定性および十分な容量を有する。
本発明の溶融塩キャパシタによれば、高温環境下で良好に充放電を行なうことができるという優れた効果が奏される。
本発明の溶融塩キャパシタは、容器本体と蓋体とで密封された容器内に、正極と、負極と、電解質とセパレータとを有し、前記正極および前記負極の間に電解質が介在しているとともに、当該正極と当該負極とがセパレータを介して隔離されてなる溶融塩キャパシタであって、
前記電解質が、ハロゲンアニオンおよびハロゲン原子を有する化合物のアニオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のアニオンと、金属カチオンおよび有機カチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオンとを含む溶融塩であり、
前記正極が、正極活物質として前記アニオンを可逆的に保持する炭素材料を含有する正極材料を正極集電体に担持させてなる電極であり、
前記負極が、負極活物質として前記カチオンを可逆的に保持する材料を含有する負極材料を負極集電体に担持させてなる電極であり、
前記セパレータが、耐熱温度が120℃以上である材料からなることに1つの大きな特徴を有する。
本発明の溶融塩キャパシタは、前記構成を有していることから、例えば、資源採掘を行なう際の環境などのような高温環境下において、電解質の揮発および燃焼が抑制され、かつ優れた充放電特性を示す。したがって、本発明の溶融塩キャパシタによれば、高温環境下で良好に充放電を行なうことができる。また、本発明の溶融塩キャパシタは、前記構成を有していることから、前記高温環境下において、優れた耐熱性および耐食性を示す。したがって、本発明の溶融塩キャパシタは、高温環境下での使用に耐えることができ、かつ長寿命である。
なお、本明細書において、「溶融塩キャパシタ」の概念には、電気二重層キャパシタおよび金属イオンキャパシタが包含される。また、「金属イオンキャパシタ」とは、電解質として溶融塩が用いられた溶融塩キャパシタのうち、金属カチオンを可逆的に保持する材料を負極活物質として含む負極材料が用いられたキャパシタをいう。「溶融塩」とは、120〜250℃、好ましくは120〜130℃で液体である塩をいう。前記金属カチオンは、溶融塩に用いられる金属カチオンである。
本発明の溶融塩キャパシタは、例えば、セパレータを介して正極と負極とが対向配置させた電極ユニットを、開口部を有するキャパシタ容器本体内に収容し、つぎに、電解質をその融点以上の温度に加熱して得られた溶融塩を、前記電極ユニットが収容されたキャパシタ容器本体内に充填し、その後、当該キャパシタ容器本体を密封することなどによって製造することができる。
前記電極ユニットは、例えば、正極、負極およびセパレータを、当該セパレータを介して正極と負極とが対向し、容器内で正極、セパレータおよび負極が重なるように配置させることなどによって得られる。
前記正極は、正極活物質として、アニオンを可逆的に保持する炭素材料を含有する正極材料を正極集電体に担持させた電極である。前記正極材料は、アニオンを可逆的に保持する炭素材料、必要により、導電助剤およびバインダーを含有する。なお、本明細書において、「アニオンを可逆的に保持する」とは、アニオンが正極活物質の表面へ吸着および当該表面から脱離すること、またはアニオンが正極活物質の原子配列構造中へ挿入または当該構造中から脱離することをいう。
前記正極集電体を構成する材料としては、例えば、アルミニウム、銀、金、白金、チタン、ステンレス鋼、ニッケルクロム合金などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの材料のなかでは、高電圧に対する耐性が高く、調達が容易であることから、アルミニウム、銀、金、白金、チタン、ステンレス鋼およびニッケルクロム合金が好ましく、アルミニウム、ステンレス鋼およびニッケルクロム合金がより好ましい。なお、前記正極集電体を構成する材料として金または白金を用いる場合、前記正極集電体は、他の材料によって構成された集電体本体の表面に金または白金からなる層を形成させたものであってもよい。
前記正極集電体の形状としては、例えば、箔、多孔質体、穴あき箔(例えば、パンチングメタル、エキスパンドメタルなど)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記正極集電体の形状のなかでは、溶融塩キャパシタの単位体積あたりの電気容量を十分に確保するとともに、内部抵抗を低減させる観点から、箔および多孔質体が好ましい。
前記正極集電体の厚さは、溶融塩キャパシタの用途などによって異なるので一概には決定することができないため、溶融塩キャパシタの用途などに応じて適宜決定することが好ましい。前記正極集電体の厚さは、通常、溶融塩キャパシタの単位体積あたりの電気容量を十分に確保する観点から、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上であり、集電性を向上させて出力を向上させる観点から、好ましくは5000μm以下、より好ましくは2000μm以下、さらに好ましくは1000μm以下である。
前記正極集電体の形状が多孔質体である場合、当該多孔質体の多孔度は、溶融塩キャパシタの単位体積あたりの電気容量を十分に確保する観点から、好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上であり、集電体の機械的強度を十分に確保する観点から、好ましくは98%以下、より好ましくは95%以下である。
なお、本明細書において、多孔質体の多孔度は、式(1):
〔式中、集電体を構成する材料の真の体積は、式(2):
にしたがって求められた値を示す〕
にしたがって求められた値である。また、前記多孔質体における孔の平均孔径は、通常、製造の際に、集電体内部に電池材料を円滑に充填する観点から、好ましくは0.01μm以上であり、溶融塩キャパシタにおける内部抵抗を低減する観点から、好ましくは1000μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。
前記正極活物質は、アニオンを可逆的に保持する炭素材料である。かかるアニオンを可逆的に保持する炭素材料としては、例えば、活性炭、カーボンナノチューブ、グラフェン、フッ化カーボン、ホウ素化カーボンなどの比表面積の大きい炭素材料などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの炭素材料は、当該炭素材料に求められる特性、溶融塩キャパシタに付与される特性などに応じて適宜選択することができる。例えば、炭素材料の表面積を大きくすることが求められる場合、活性炭およびカーボンナノチューブが好ましい。また、炭素材料のカーボン層間への円滑なアニオンの挿入および脱離が求められる場合、グラフェン、フッ化カーボンおよびホウ素化カーボンが好ましい。また、溶融塩キャパシタの高電圧化が求められる場合、カーボンナノチューブが好ましい。さらに、溶融塩キャパシタの寿命を延ばすことが求められる場合、カーボンナノチューブが好ましい。前記炭素材料の比表面積は、溶融塩キャパシタの電気容量を十分に確保する観点から、好ましくは300m2/g以上、より好ましくは500m2/g以上であり、溶融塩キャパシタの容量密度を確保する観点から、好ましくは3500m2/g以下、より好ましくは2500m2/g以下である。
前記正極材料に用いられる導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック、気相成長炭素繊維などの炭素繊維などの炭素材料;アルミニウム、コバルト、金、銀、白金、チタンなどの金属粒子などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記正極材料中における導電助剤の含有量は、通常、好ましくは10質量%以下である。
前記バインダーとしては、例えば、ガラス、液晶、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記正極材料中におけるバインダーの含有量は、通常、好ましくは10質量%以下である。
前記正極集電体への正極材料の担持は、例えば、正極材料を正極集電体の表面に塗布すること、正極集電体が多孔質体である場合には正極材料を正極集電体の内部に充填することなどによって行なうことができる。この場合、正極材料からなる層の厚さは、キャパシタの容量を十分に確保する観点から、好ましくは100μm以上、より好ましくは200μm以上であり、集電性を確保する観点から、好ましくは2500μm以下、より好ましくは1000μm以下である。
前記負極は、負極活物質として、カチオンを可逆的に保持する材料を含有する負極材料を負極集電体に担持させた電極である。前記負極材料は、カチオンを可逆的に保持する材料、必要により、導電助剤およびバインダーを含有する。なお、本明細書において、「カチオンを可逆的に保持する」とは、カチオンが負極活物質の表面へ吸着および当該表面から脱離すること、またはカチオンが負極活物質の原子配列構造中へ挿入または当該構造中から脱離することをいう。
前記負極集電体を構成する材料としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、ステンレス鋼、ニッケルクロム合金などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。かかる材料は、溶融塩キャパシタの種類などに応じて適宜決定することができる。溶融塩キャパシタが電気二重層キャパシタである場合、前記負極集電体を構成する材料は、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、ステンレス鋼およびニッケルクロム合金からなる群より選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。電気二重層キャパシタの負極集電体を構成する材料のなかでは、電気伝導性に優れ、調達が容易であることから、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金および白金からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましく、アルミニウム、ニッケルおよび銅からなる群より選ばれた少なくとも1種がより好ましい。一方、溶融塩キャパシタが金属イオンキャパシタである場合、前記負極集電体を構成する材料は、ニッケル、銅、金、白金、ステンレス鋼およびニッケルクロム合金からなる群より選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。溶融塩キャパシタの負極集電体を構成する材料のなかでは、電気伝導性に優れ、調達が容易であることから、ニッケル、銅、金および白金からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましく、ニッケルおよび銅からなる群より選ばれた少なくとも1種がより好ましい。なお、前記負極集電体を構成する材料として金または白金を用いる場合、他の材料によって構成された集電体本体の表面に金または白金からなる層を形成させればよい。
前記負極集電体の形状、負極集電体の厚さ、負極集電体の形状が多孔質体である場合の当該多孔質体の多孔度および多孔質体における孔の平均孔径は、前記正極集電体の形状、正極集電体の厚さ、正極集電体の形状が多孔質体である場合の当該多孔質体の多孔度および多孔質体における孔の平均孔径と同様である。
前記負極活物質は、カチオンを可逆的に保持する材料である。前記カチオンを可逆的に保持する材料としては、例えば、前記カチオンを可逆的に保持する炭素材料;ケイ素、スズ、ケイ素化合物、スズ化合物などの前記金属カチオンを解離する金属と合金化する金属もしくは非金属またはその化合物;前記金属カチオンを解離する金属窒化物;前記金属カチオンを解離するチタン酸金属化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカチオンを可逆的に保持する材料は、当該材料に求められる特性、溶融塩キャパシタに付与される特性などに応じて適宜選択することができる。例えば、十分な寿命安定性を確保することが求められる場合、前記カチオンを可逆的に保持する炭素材料、前記金属カチオンを解離する金属窒化物および前記金属カチオンを解離するチタン酸金属化合物が好ましい。また、溶融塩キャパシタの容量を十分に確保することが求められる場合、ケイ素、スズ、ケイ素化合物およびスズ化合物が好ましい。
前記負極活物質は、溶融塩キャパシタの種類に応じて適宜選択される。溶融塩キャパシタが電気二重層キャパシタである場合、前記負極活物質は、前記カチオンを可逆的に保持する炭素材料のなかから選択することができる。前記カチオンを可逆的に保持する炭素材料は、前記正極活物質として用いられる炭素材料と同様である。一方、溶融塩キャパシタが金属イオンキャパシタである場合、前記負極活物質は、金属カチオンを可逆的に保持する炭素材料、ケイ素、スズ、ケイ素化合物、スズ化合物、前記金属カチオンを解離する金属窒化物および前記金属カチオンを解離するチタン酸金属化合物のなかから選択することができる。前記金属カチオンを可逆的に保持する炭素材料としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック、ハードカーボン、グラファイトなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記ケイ素化合物としては、例えば、炭化ケイ素、酸化ケイ素などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記スズ化合物としては、例えば、酸化スズ、銅スズ合金などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記金属カチオンを解離する金属窒化物としては、窒化リチウム、窒化ナトリウム、窒化カリウムなどのアルカリ金属窒化物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの金属イオンキャパシタに用いることができる負極活物質は、当該負極活性物質に求められる特性、金属キャパシタに付与される特性などに応じて適宜選択することができる。例えば、金属キャパシタの容量を十分に確保することが求められる場合、ケイ素、スズ、ケイ素化合物およびスズ化合物が好ましい。また、金属キャパシタの寿命を延ばすことが求められる場合、前記金属カチオンを可逆的に保持する炭素材料、前記金属カチオンを解離する金属窒化物および前記金属カチオンを解離するチタン酸金属化合物が好ましい。前記金属カチオンを解離するチタン酸金属化合物としては、例えば、チタン酸リチウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸カリウムなどのチタン酸アルカリ金属化合物、チタン酸ベリリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウムなどのチタン酸アルカリ土類金属化合物、チタン酸アルミニウムなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記負極材料に用いられる導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック、気相成長炭素繊維などの炭素繊維などの炭素材料などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記負極材料に用いられるバインダーは、前記正極材料に用いられる導電助剤およびバインダーと同様である。前記負極材料中における導電助剤の含有量は、通常、好ましくは10質量%以下である。また、前記負極材料中におけるバインダーの含有量は、通常、好ましくは10質量%以下である。
前記負極集電体への負極材料の担持は、例えば、負極材料を負極集電体の表面に塗布すること、負極集電体が多孔質体である場合には負極材料を負極集電体の内部に充填することなどによって行なうことができる。この場合、負極材料からなる層の厚さは、キャパシタの容量を十分に確保する観点から、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上であり、集電性を確保する観点から、好ましくは2000μm以下、より好ましくは1000μm以下である。
前記セパレータを構成する材料は、前記セパレータが、耐熱温度が120℃以上である材料である。ここで、耐熱温度とは、溶融塩キャパシタの使用温度においてセパレータを構成する材料が分解、溶解などの変質をせず、室温(25℃)での多孔質構造と同等の構造を維持している最高温度をいう。前記セパレータを構成する材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンなどの融点が250℃以上のフッ素樹脂;ガラス;アルミナ、ジルコニアなどのセラミックス;セルロース;ポリフェニルサルファイドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記セパレータの形状としては、例えば、多孔質体、繊維体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのセパレータの形状のなかでは、十分な量の電解質を含浸させ、溶融塩キャパシタの容量を向上させる観点から、多孔質体および繊維体が好ましい。
前記セパレータの厚さは、通常、十分な量の電解質を含浸させ、溶融塩キャパシタの容量を向上させるとともに内部短絡の発生を抑制する観点から、好ましくは20μm以上であり、溶融塩キャパシタの小型化を図る観点から、好ましくは400μm以下、より好ましくは100μm以下である。
前記セパレータが多孔質体からなる場合、当該多孔質体の多孔度は、通常、溶融塩キャパシタにおける内部抵抗を低減する観点から、5%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは50%以上であり、溶融塩キャパシタにおける内部短絡の発生を抑制する観点から、好ましくは98%以下、より好ましくは70%以下である。また、前記多孔質体における孔の平均孔径は、通常、溶融塩キャパシタにおける内部短絡の発生を抑制する観点から、好ましくは0.01μm以上であり、溶融塩キャパシタにおける内部抵抗を低減する観点から、好ましくは1000μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。
前記キャパシタ容器本体は、蓋体とともに溶融塩キャパシタの容器を構成する。前記キャパシタ容器本体を構成する材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、チタンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記キャパシタ容器本体の形状は、溶融塩キャパシタの用途などによって異なるので一概には決定することができないため、溶融塩キャパシタの用途などに応じて適宜決定することが好ましい。
前記電解質に用いられる溶融塩は、例えば、ハロゲンアニオンおよびハロゲン原子を有する化合物のアニオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のアニオンと、金属カチオンおよび有機カチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオンとを含む塩をその融点以上の温度に加熱することなどによって得られる。
前記アニオンとしては、例えば、ハロゲンアニオン;ハロゲン原子を有するアミドアニオン、ハロゲン原子を有するアルキル基を有するアミドアニオン、ハロゲン原子を有するスルホン酸アニオン、ハロゲン原子を有するアルキル基を有するスルホン酸アニオンなどのハロゲン原子を有する化合物のアニオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記アニオンは、電解質の耐熱性を向上させる観点から、ハロゲンアニオン、ハロゲン原子を有するアミドアニオン、ハロゲン原子を有するアルキル基を有するアミドアニオン、ハロゲン原子を有するスルホン酸アニオンおよびハロゲン原子を有するアルキル基を有するスルホン酸アニオンからなる群より選ばれた少なくとも1種であることが好ましく、式(I):
〔X〕- (I)
(式中、Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す)
で表わされるハロゲンアニオン、式(II):
(式中、R1およびR2はそれぞれ独立してハロゲン原子またはハロゲン原子を有する炭素数1〜8のアルキル基)
で表わされるスルホニルアミドアニオンおよび式(III):
(式中、R3は、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有する炭素数1〜8のアルキル基を示す)
で表わされるスルホン酸アニオンからなる群より選ばれた少なくとも1種であることがより好ましい。
式(I)において、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。式(I)で表わされるハロゲンアニオンのなかでは、電解質の耐熱性を向上させる観点から、フッ素原子が好ましい。
式(II)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有する炭素数1〜8のアルキル基である。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、ホウ素原子、ヨウ素原子などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのハロゲン原子のなかでは、電解質の耐熱性を向上させる観点から、フッ素原子が好ましい。式(II)におけるハロゲン原子を有するアルキル基の炭素数は、電解質の耐熱性を向上させる観点から、1〜8、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4である。ハロゲン原子を有する炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基などの炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基;パークロロメチル基、パークロロエチル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、パークロロペンチル基、パークロロヘプチル基、パークロロオクチル基などの炭素数1〜8のパークロロアルキル基;パーブロモメチル基、パーブロモエチル基、パーブロモプロピル基、パーブロモブチル基、パーブロモペンチル基、パーブロモヘプチル基、パーブロモオクチル基などの炭素数1〜8のパーブロモアルキル基;パーヨードメチル基、パーヨードエチル基、パーヨードプロピル基、パーヨードブチル基、パーヨードペンチル基、パーヨードヘプチル基、パーヨードオクチル基などの炭素数1〜8のパーヨードアルキル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのハロゲン原子を有する炭素数1〜8のアルキル基のなかでは、電解質の耐熱性を向上させる観点から、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基が好ましく、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロプル基、パーフルオロブチル基がより好ましい。
式(II)で表わされるスルホニルアミドアニオンとしては、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン、フルオロスルホニル(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)アミドアニオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの式(II)で表わされるスルホニルアミドアニオンのなかでは、電解質の耐熱性を向上させる観点から、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン、フルオロスルホニル(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオンおよびビス(フルオロスルホニル)アミドアニオンが好ましく、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオンがより好ましい。
式(III)において、R3は、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有する炭素数1〜8のアルキル基である。式(III)におけるハロゲン原子は、式(II)におけるハロゲン原子と同様である。また、式(III)におけるハロゲン原子を有する炭素数1〜8のアルキル基は、式(II)におけるハロゲン原子を有する炭素数1〜8のアルキル基と同様である。式(III)におけるハロゲン原子を有するアルキル基の炭素数は、電解質の耐熱性を向上させる観点から、1〜8、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4である。
式(III)で表わされるスルホン酸アニオンとしては、例えば、トリフルオロメチルスルホン酸アニオン、フルオロスルホン酸アニオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの式(III)で表わされるスルホン酸アニオンのなかでは、電解質の耐熱性を向上させる観点から、トリフルオロメチルスルホン酸アニオンが好ましい。
前記カチオンは、金属カチオンおよび有機カチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオンである。
前記金属カチオンとしては、例えば、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アルミニウムカチオン、銀カチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記アルカリ金属カチオンとしては、例えば、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、ルビジウムカチオン、セシウムカチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記アルカリ土類金属カチオンとしては、例えば、ベリリウムカチオン、マグネシウムカチオン、カルシウムカチオン、ストロンチウムカチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記有機カチオンとしては、三級オニウムカチオン、四級オニウムカチオンなどの有機オニウムカチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
これらのカチオンのなかでは、電解質の耐熱性を向上させる観点から、金属カチオンおよび有機オニウムカチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種であることが好ましく、金属カチオン、三級オニウムカチオンおよび四級オニウムカチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種であることがより好ましい。
前記三級オニウムカチオンとしては、例えば、式(IV):
(式中、R4、R5およびR6はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基、Aは硫黄原子を示す)
で表わされるカチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
式(IV)において、R4〜R6は、それぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基である。式(IV)におけるアルキル基の炭素数は、電解質の耐熱性を向上させる観点から、1〜8、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4である。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などの直鎖または分岐鎖を有するアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの炭素数1〜8の脂環式アルキル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの炭素数1〜8のアルキル基のなかでは、電解質の耐熱性を向上させる観点から、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、またはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基が好ましい。また、式(IV)において、Aは、硫黄原子である。
式(IV)で表わされるカチオンとしては、例えば、トリメチルスルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウムカチオン、トリブチルスルホニウムカチオン、トリヘキシルスルホニウムカチオン、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジブチルエチルスルホニウムカチオンなどのトリアルキルスルホニウムカチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの式(IV)で表わされるカチオンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの式(IV)で表わされるカチオンのなかでは、電解質の耐熱性を向上させる観点から、トリアルキルスルホニウムカチオンが好ましく、トリメチルスルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウムカチオン、トリブチルスルホニウムカチオン、トリヘキシルスルホニウムカチオン、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジブチルエチルスルホニウムカチオンがより好ましく、トリメチルスルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウムカチオン、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジブチルエチルスルホニウムカチオンがさらに好ましい。
前記四級オニウムカチオンとしては、例えば、式(V):
(式中、R7〜R10はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基または炭素数1〜8のアルキルオキシアルキル基、Bは窒素原子またはリン原子を示す)
で表わされるカチオン、式(VI):
(式中、R11およびR12はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を示す)
で表わされるイミダゾリウムカチオン、式(VII):
(式中、R13およびR14はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を示す)
で表わされるイミダゾリニウムカチオン、式(VIII):
(式中、R15は炭素数1〜8のアルキル基を示す)
で表わされるピリジニウムカチオン、式(IX):
〔式中、R16およびR17はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基、Yは直接結合、酸素原子、メチレン基または式(X):
(式中、R18は独立して炭素数1〜8のアルキル基を示す)
で表わされる基を示す〕
で表わされるカチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
式(V)において、R7〜R10は、それぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基または炭素数1〜8のアルキルオキシアルキル基である。式(V)における炭素数1〜8のアルキル基は、式(IV)における炭素数1〜8のアルキル基と同様である。式(V)におけるアルキル基の炭素数は、電解質の耐熱性を向上させる観点から、1〜8、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4である。また、式(V)におけるアルキルオキシアルキル基の炭素数は、電解質の耐熱性を向上させる観点から、1〜8、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4である。炭素数1〜8のアルキルオキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、2−メトキシエチル基、エトキシメチル基、2−エトキシエチル基、2−(n−プロポキシ)エチル基、2−(n−イソプロポキシ)エチル基、2−(n−ブトキシ)エチル基、2−イソブトキシエチル基、2−(tert−ブトキシ)エチル基、1−エチル−2−メトキシエチル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの炭素数1〜8のアルキルオキシアルキル基のなかでは、電解質の耐熱性を向上させる観点から、メトキシメチル基、2−メトキシエチル基、エトキシメチル基、2−エトキシエチル基、2−(n−プロポキシ)エチル基、2−(n−イソプロポキシ)エチル基、2−(n−ブトキシ)エチル基、2−イソブトキシエチル基、2−(tert−ブトキシ)エチル基、1−エチル−2−メトキシエチル基が好ましい。また、式(V)において、Bは、窒素原子またはリン原子である。
式(V)で表わされるカチオンとしては、例えば、N,N−ジメチル−N−エチル−N−メトキシメチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−メトキシエチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−エトキシエチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチル−N−ブチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチル−N−オクチルアンモニウムカチオン、N,N,N,N−テトラブチルアンモニウムカチオン、N,N,N,N−テトラペンチルアンモニウムカチオン、N,N,N,N−テトラヘキシルアンモニウムカチオン、N,N,N,N−テトラヘプチルアンモニウムカチオン、N,N,N,N−テトラオクチルアンモニウムカチオンなどのアンモニウムカチオン;トリエチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、ジエチルメチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、トリプロピル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、トリブチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、トリブチル(メトキシエチル)ホスホニウムカチオン、トリペンチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、トリペンチル(2−メトキシエチル)ホスホニウムカチオン、トリヘキシル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、トリヘキシル(メトキシエチル)ホスホニウムカチオン、テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラブチルホスホニウムカチオン、テトラペンチルホスホニウムカチオン、テトラヘキシルホスホニウムカチオン、テトラヘプチルホスホニウムカチオン、テトラオクチルホスホニウムカチオンなどのホスホニウムカチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの式(V)で表わされるカチオンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの式(V)で表わされるカチオンのなかでは、電解質の耐熱性を向上させる観点から、前記アンモニウムカチオンおよび前記ホスホニウムカチオンが好ましく、N,N−ジメチル−N−エチル−N−メトキシメチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−メトキシエチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−エトキシエチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチル−N−ブチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチル−N−オクチルアンモニウムカチオン、N,N,N,N−テトラブチルアンモニウムカチオン、トリエチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、ジエチルメチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、トリプロピル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、トリブチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、トリブチル(メトキシエチル)ホスホニウムカチオン、トリペンチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、トリペンチル(2−メトキシエチル)ホスホニウムカチオン、トリヘキシル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、トリヘキシル(メトキシエチル)ホスホニウムカチオン、テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオンおよびテトラブチルホスホニウムカチオンがより好ましく、N,N−ジメチル−N−エチル−N−メトキシメチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−メトキシエチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−エトキシエチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチル−N−ブチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチル−N−オクチルアンモニウムカチオン、トリエチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、ジエチルメチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、トリプロピル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、トリブチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、トリブチル(メトキシエチル)ホスホニウムカチオン、トリペンチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、トリペンチル(2−メトキシエチル)ホスホニウムカチオン、トリヘキシル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオンおよびトリヘキシル(メトキシエチル)ホスホニウムカチオンがさらに好ましい。
式(VI)において、R11およびR12は、それぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基である。式(VI)における炭素数1〜8のアルキル基は、式(IV)における炭素数1〜8のアルキル基と同様である。式(VI)におけるアルキル基の炭素数は、電解質の耐熱性を向上させる観点から、1〜8、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4である。
式(VI)で表わされるイミダゾリウムカチオンとしては、例えば、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムカチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの式(VI)で表わされるイミダゾリウムカチオンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの式(VI)で表わされるイミダゾリウムカチオンのなかでは、電解質の耐熱性を向上させる観点から、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオンおよび1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムカチオンが好ましく、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオンおよび1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムカチオンがより好ましく、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオンおよび1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムカチオンがさらに好ましい。
式(VII)において、R13およびR14は、それぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基である。式(VII)における炭素数1〜8のアルキル基は、式(IV)における炭素数1〜8のアルキル基と同様である。式(VII)におけるアルキル基の炭素数は、電解質の耐熱性を向上させる観点から、1〜8、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4である。
式(VII)で表わされるイミダゾリニウムカチオンとしては、例えば、1,3−ジメチルイミダゾリニウムイオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリニウムイオン、1−メチル−3−プロピルイミダゾリニウムイオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリニウムイオン、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリニウムイオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリニウムイオン、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリニウムイオン、1−メチル−3−オクチルイミダゾリニウムイオン、1−エチル−3−プロピルイミダゾリニウムイオン、1−ブチル−3−エチルイミダゾリニウムイオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの式(VII)で表わされるイミダゾリニウムカチオンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの式(VII)で表わされるイミダゾリニウムカチオンのなかでは、電解質の耐熱性を向上させる観点から、1,3−ジメチルイミダゾリニウムイオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリニウムイオン、1−メチル−3−プロピルイミダゾリニウムイオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリニウムイオン、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリニウムイオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリニウムイオン、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリニウムイオン、1−メチル−3−オクチルイミダゾリニウムイオン、1−エチル−3−プロピルイミダゾリニウムイオンおよび1−ブチル−3−エチルイミダゾリニウムイオンが好ましく、1,3−ジメチルイミダゾリニウムイオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリニウムイオン、1−メチル−3−プロピルイミダゾリニウムイオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリニウムイオン、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリニウムイオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリニウムイオン、1−エチル−3−プロピルイミダゾリニウムイオンおよび1−ブチル−3−エチルイミダゾリニウムイオンがより好ましく、1,3−ジメチルイミダゾリニウムイオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリニウムイオン、1−メチル−3−プロピルイミダゾリニウムイオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリニウムイオン、1−エチル−3−プロピルイミダゾリニウムイオンおよび1−ブチル−3−エチルイミダゾリニウムイオンがさらに好ましい。
式(VIII)において、R15は、炭素数1〜8のアルキル基である。式(VIII)における炭素数1〜8のアルキル基は、式(IV)における炭素数1〜8のアルキル基と同様である。式(VIII)におけるアルキル基の炭素数は、電解質の耐熱性を向上させる観点から、1〜8、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4である。
式(VIII)で表わされるピリジニウムカチオンとしては、例えば、N−メチルピリジニウムカチオン、N−エチルピリジニウムカチオン、N−プロピルピリジニウムカチオン、N−ブチルピリジニウムカチオン、N−ペンチルピリジニウムカチオン、N−ヘキシルピリジニウムカチオン、N−ヘプチルピリジニウムカチオン、N−オクチルピリジニウムカチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの式(VIII)で表わされるピリジニウムカチオンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの式(VIII)で表わされるピリジニウムカチオンのなかでは、電解質の耐熱性を向上させる観点から、N−メチルピリジニウムカチオン、N−エチルピリジニウムカチオン、N−プロピルピリジニウムカチオン、N−ブチルピリジニウムカチオン、N−ペンチルピリジニウムカチオン、N−ヘキシルピリジニウムカチオン、N−ヘプチルピリジニウムカチオンおよびN−オクチルピリジニウムカチオンが好ましく、N−メチルピリジニウムカチオン、N−エチルピリジニウムカチオン、N−プロピルピリジニウムカチオン、N−ブチルピリジニウムカチオン、N−ペンチルピリジニウムカチオン、N−ヘキシルピリジニウムカチオンがより好ましく、N−メチルピリジニウムカチオン、N−エチルピリジニウムカチオンおよびN−プロピルピリジニウムカチオン、N−ブチルピリジニウムカチオンがさらに好ましい。
式(IX)において、R16およびR17は、それぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基である。式(IX)における炭素数1〜8のアルキル基は、式(IV)における炭素数1〜8のアルキル基と同様である。式(IX)におけるアルキル基の炭素数は、電解質の耐熱性を向上させる観点から、1〜8、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4である。また、式(IX)において、Yは、直接結合、酸素原子、メチレン基または式(X)で表わされる基である。式(X)において、R18は、炭素数1〜8のアルキル基である。式(X)における炭素数1〜8のアルキル基は、式(IV)における炭素数1〜8のアルキル基と同様である。式(X)におけるアルキル基の炭素数は、電解質の耐熱性を向上させる観点から、1〜8、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4である。
式(IX)において、Yが直接結合であるカチオンは、式(XI):
(式中、R19およびR20はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を示す)
で表わされるピロリジニウムカチオンである。
式(XI)において、R19およびR20は、それぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基である。式(XI)における炭素数1〜8のアルキル基は、式(IV)における炭素数1〜8のアルキル基と同様である。式(XI)におけるアルキル基の炭素数は、電解質の耐熱性を向上させる観点から、1〜8、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4である。式(XI)で表わされるピロリジニウムカチオンとしては、例えば、N,N−ジメチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−エチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−ブチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−ペンチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−ヘキシルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−オクチルピロリジニウムカチオン、N−エチル−N−ブチルピロリジニウムカチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの式(XI)で表わされるピロリジニウムカチオンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの式(XI)で表わされるピロリジニウムカチオンのなかでは、電解質の耐熱性を向上させる観点から、N,N−ジメチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−エチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−ブチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−ペンチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−ヘキシルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−オクチルピロリジニウムカチオンおよびN−エチル−N−ブチルピロリジニウムカチオンが好ましく、N,N−ジメチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−エチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムカチオン、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−エチル−N−ブチルピロリジニウムカチオンおよびN−メチル−N−ペンチルピロリジニウムカチオンがより好ましく、N,N−ジメチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−エチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−ブチルピロリジニウムカチオンおよびN−エチル−N−ブチルピロリジニウムカチオンがさらに好ましい。
式(IX)において、Yが酸素原子であるカチオンは、式(XII):
(式中、R21およびR22はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を示す)
で表わされるモルホリニウムカチオンである。
式(XII)において、R21およびR22はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基である。式(XII)における炭素数1〜8のアルキル基は、式(IV)における炭素数1〜8のアルキル基と同様である。式(XII)におけるアルキル基の炭素数は、電解質の耐熱性を向上させる観点から、1〜8、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4である。式(XII)で表わされるモルホリニウムカチオンとしては、例えば、N,N−ジメチルモルホリニウムカチオン、N−メチル−N−エチルモルホリニウムカチオン、N−メチル−N−プロピルモルホリニウムカチオン、N−メチル−N−ブチルモルホリニウムカチオン、N−エチル−N−ブチルモルホリニウムカチオン、N−メチル−N−ペンチルモルホリニウムカチオン、N−ヘキシル−N−メチルモルホリニウムカチオン、N−メチル−N−オクチルモルホリニウムカチオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの式(XII)で表わされるモルホリニウムカチオンのなかでは、電解質の耐熱性を向上させる観点から、N,N−ジメチルモルホリニウムカチオン、N−メチル−N−エチルモルホリニウムカチオン、N−メチル−N−プロピルモルホリニウムカチオン、N−メチル−N−ブチルモルホリニウムカチオン、N−メチル−N−ペンチルモルホリニウムカチオン、N−メチル−N−ヘキシルモルホリニウムカチオン、N−メチル−N−オクチルモルホリニウムカチオンおよびN−エチル−N−ブチルモルホリニウムカチオンが好ましく、N,N−ジメチルモルホリニウムカチオン、N−メチル−N−エチルモルホリニウムカチオン、N−メチル−N−プロピルモルホリニウムカチオン、N−ブチル−N−メチルモルホリニウムカチオン、N−エチル−N−ブチルモルホリニウムカチオンおよびN−メチル−N−ペンチルモルホリニウムカチオンがより好ましく、N,N−ジメチルモルホリニウムカチオン、N−メチル−N−エチルモルホリニウムカチオン、N−メチル−N−プロピルモルホリニウムカチオン、N−メチル−N−ブチルモルホリニウムカチオンおよびN−エチル−N−ブチルモルホリニウムカチオンがさらに好ましい。
式(IX)において、Yがメチレン基であるカチオンは、式(XIII):
(式中、R23およびR24はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を示す)
で表わされるピペリジニウムカチオンである。
式(XIII)において、R23およびR24は、それぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基である。式(XIII)における炭素数1〜8のアルキル基は、式(IV)における炭素数1〜8のアルキル基と同様である。式(XIII)におけるアルキル基の炭素数は、電解質の耐熱性を向上させる観点から、1〜8、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4である。式(XIII)で表わされるピペリジニウムカチオンとしては、例えば、N,N−ジメチルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−ペンチルピペリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−オクチルピペリジニウムイオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの式(XIII)で表わされるピペリジニウムカチオンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの式(XIII)で表わされるピペリジニウムカチオンのなかでは、電解質の耐熱性を向上させる観点から、N,N−ジメチルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−ペンチルピペリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−メチルピペリジニウムイオンおよびN−メチル−N−オクチルピペリジニウムイオンが好ましく、N,N−ジメチルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオンおよびN−メチル−N−ペンチルピペリジニウムイオンがより好ましく、N,N−ジメチルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムイオンおよびN−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオンがさらに好ましい。
式(IX)におけるYが式(X)で表わされる基である場合、式(X)において、R18は、炭素数1〜8のアルキル基である。式(X)における炭素数1〜8のアルキル基は、式(IV)における炭素数1〜8のアルキル基と同様である。
アニオンとカチオンとの組み合わせは、溶融塩キャパシタの種類などによって異なるので一概には決定することができないため、溶融塩キャパシタの種類などに応じて適宜決定することが好ましい。溶融塩キャパシタが金属イオンキャパシタである場合、前記溶融塩は、カチオンとして金属カチオンを含む。この場合、アニオンとカチオンとの組み合わせは、前記アニオンのうちの任意のアニオンと金属カチオンとの組み合わせを含む組み合わせである。一方、溶融塩キャパシタが電気二重層キャパシタである場合、アニオンとカチオンとの組み合わせは、特に限定されるものではない。
前記塩は、前記アニオンと前記カチオンとからなる塩であってもよく、前記アニオンと前記カチオンとからなる塩が2種類以上配合された混合物であってもよい。
なお、前記アニオンと前記カチオンとからなる塩のなかには、例えば、120〜250℃で固体である塩(以下、「固体塩」ともいう)がある。この場合、当該固体塩を、前記アニオンと前記カチオンとからなり、かつ120〜250℃で液体である塩に溶解させて用いることができる。例えば、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドは120〜250℃で固体であり、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)アミドは120〜250℃で液体である。かかるリチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドと1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)アミドとの混合物は、120〜250℃で液体である。したがって、本発明においては、120〜250℃で固体である塩と120〜250℃で液体である塩とが配合され、120〜250℃で液体である混合物を溶融塩として用いることができる。
また、2種類以上の固体塩の混合物の融点が各固体塩の融点よりも低くなり、当該混合物が120〜250℃で液体となる場合には、2種類以上の固体塩を混合して用いることができる。例えば、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドおよびセシウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドは120〜250℃で固体であるが、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドとセシウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドとの混合物は、120〜250℃で液体である。したがって、本発明においては、120〜250℃で固体である2種類以上の塩の混合物であって、120〜250℃で液体であるものは、溶融塩として用いることができる。
前記電解質は、溶融塩キャパシタの耐熱性を向上させる観点から、式(II)で表わされるスルホニルアミドアニオンとアルカリ金属カチオンとを含む溶融塩であることが好ましく、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン、フルオロスルホニル(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオンおよびビス(フルオロスルホニル)アミドアニオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のアニオンとリチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、ルビジウムカチオンおよびセシウムカチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオンとを含む溶融塩であることがより好ましい。
前記電極ユニットが収容されたキャパシタ容器本体内に充填される溶融塩の量は、溶融塩キャパシタの用途、キャパシタ容器本体の大きさなどによって異なるので一概には決定することができないため、溶融塩キャパシタの用途、キャパシタ容器本体の大きさなどに応じて適宜決定することが好ましい。
前記キャパシタ容器本体は、当該キャパシタ容器本体の開口部にガスケットおよび蓋体をかしめ固定することによって密封することができる。
前記蓋体を構成する材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、チタンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記蓋体の形状は、ガスケットとともにキャパシタ容器本体の開口部にかしめ固定することができる形状であればよく、キャパシタ容器本体およびガスケットの形状などによって異なるので一概には決定することができないため、キャパシタ容器本体およびガスケットの形状などに応じて適宜決定することが好ましい。
ガスケットを構成する材料は、溶融塩キャパシタの使用温度での耐熱性、電解質に対する耐食性および電気絶縁性を有する。ガスケットを構成する材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などのフッ素樹脂;ポリエーテルエーテルケトンなどの芳香族ポリエーテルケトン樹脂;フッ素ゴム、ガラス、セラミックス、ポリフェニルサルファイド、耐熱ポリ塩化ビニルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。ガスケットの厚さは、内部短絡の発生を抑制する観点から、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上であり、リーク電流を抑制する観点から、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。
ガスケットの形状は、蓋体とともにキャパシタ容器本体の開口部にかしめ固定することができる形状であればよく、キャパシタ容器本体および蓋体の形状などによって異なるので一概には決定することができないため、キャパシタ容器本体および蓋体の形状などに応じて適宜決定することが好ましい。
以上説明したように、本発明の溶融塩キャパシタは、ハロゲンアニオンおよびハロゲン原子を有する化合物のアニオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のアニオンと、金属カチオンおよび有機カチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオンとを含む溶融塩を電解質とし、正極活物質として前記アニオンを可逆的に保持する炭素材料を含有する正極材料を正極集電体に担持させた正極と、負極活物質として前記カチオンを可逆的に保持する材料を含有する負極材料を負極集電体に担持させた負極とを備えているので、高温環境下で良好に充放電を行なうことができる。したがって、本発明の溶融塩キャパシタによれば、例えば、資源採掘を行なう際の環境などのように高温環境下で使用される蓄電デバイスなどとして用いられることが期待されるものである。
つぎに、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、活性炭およびカーボンブラックそれぞれの平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定されるD50の平均粒子径である。
(実施例1)
(1)電極の作製
活物質としての活性炭(比表面積:2000m2/g、平均粒子径:5μm)と、導電助剤としてのカーボンブラックと、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(以下、「PVDF」という)とを、活性炭/カーボンブラック/PVDF(質量比)が87/3/10となるように混合し、得られた混合物2.5gを溶媒としてのN−メチルピロリドン(以下、「NMP」という)7.5gに懸濁することにより、固形分含量が25質量%のスラリーを得た。つぎに、集電体としてのアルミニウム箔(厚さ:20μm)1cm2あたりの前記スラリーの塗布量が5.5mg、当該スラリーの塗膜の厚さが200μmとなるようにドクターブレードを用いてアルミニウム箔の表面に塗布し、スラリーの塗膜を形成させた。
スラリーの塗膜を有するアルミニウム箔を乾燥機内で120℃にて3時間乾燥させた。つぎに、乾燥後のスラリーの塗膜を有するアルミニウム箔をローラープレス機(プレスギャップ:150μm)で加圧することにより、電気二重層キャパシタ用電極板(以下、「EDLC用電極板」という)(厚さ:150μm)を得た。得られたEDLC用電極板を直径1.1mmの円板状に打ち抜き、円板状のEDLC用電極を得た。
(2)セパレータの作製
厚さ100μmのガラス繊維製不織布を直径1.4mmの円板状に打ち抜き、セパレータとしての円板状のガラス繊維製不織布(直径:1.4mm、厚さ:100μm)を得た。
(3)電解質の調製
リチウムビス(フルオロスルホニル)アミド(以下、「LiFSA」という)とカリウムビス(フルオロスルホニル)アミド(以下、「KFSA」という)とセシウムビス(フルオロスルホニル)アミド(以下、「CsFSA」という)とをLiFSA/KFSA/CsFSA(モル比)が3/4/3となるように混合し、得られた混合物を当該混合物の融点38℃以上に加熱することにより、電解質としてのLiFSAとKFSAとCsFSAとの共晶溶融塩〔LiFSA/KFSA/CsFSA(モル比):3/4/3、融点:38℃〕を得た。ここで、LiFSAは、金属カチオンとしてのリチウムカチオンと、ハロゲン原子を有する化合物のアニオンとしてのビス(フルオロスルホニル)アミドアニオンとを含む塩である。KFSAは、金属カチオンとしてのカリウムカチオンと、ハロゲン原子を有する化合物のアニオンとしてのビス(フルオロスルホニル)アミドアニオンとを含む塩である。CsFSAは、金属カチオンとしてのセシウムカチオンと、ハロゲン原子を有する化合物のアニオンとしてのビス(フルオロスルホニル)アミドアニオンとを含む塩である。
(4)電気二重層キャパシタの作製
前記(1)で得られた2枚の円板状のEDLC用電極それぞれのスラリーの塗膜が前記(2)で得られた円板状のガラス繊維製不織布を挟んで対向配置されるように、2枚の円板状のEDLC用電極を、円板状のガラス繊維製不織布を挟んで対向させることで電極ユニットを得た。得られた電極ユニットをステンレス鋼製コインセルケース(セルサイズ:R2032)内に収容した。つぎに、前記(3)で得られた共晶溶融塩0.5mLを80℃に加熱し、前記コインセルケース内に滴下した。その後、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製ガスケットを介して前記コインセルケースの蓋を閉めて封口して電気二重層キャパシタを得た。得られた電気二重層キャパシタの放電容量を、25℃で0.1mA/cm2の電流で2.5Vまでの充電を行なった後、0.1mA/cm2で0Vまでの放電を行なうことによって求めた、その結果、放電容量は、0.22mAhであった。
(実施例2)
実施例1において、電解質として、LiFSAとKFSAとCsFSAとの共晶溶融塩〔LiFSA/KFSA/CsFSA(モル比):3/4/3、融点:38℃〕を用いる代わりに、ナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミド(NaFSA)とCsFSAとの共晶溶融塩〔NaFSA/CsFSA(モル比):1/1、融点:55℃〕を用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行なうことにより、電気二重層キャパシタを得た。得られた電気二重層キャパシタの充電電圧は、2.5Vであり、放電容量は、0.21mAhであった。NaFSAは、金属カチオンとしてのナトリウムカチオンと、ハロゲン原子を有する化合物のアニオンとしてのビス(フルオロスルホニル)アミドアニオンとを含む塩である。
(比較例1)
実施例1において、セパレータとして円板状のガラス繊維製不織布(直径:1.4mm、厚さ:100μm)を用いる代わりに円板状のガラス繊維製不織布(直径:1.4mm、厚さ:30μm)を用いたことと、電解質としてLiFSAとKFSAとCsFSAとの共晶溶融塩〔LiFSA/KFSA/CsFSA(モル比):3/4/3、融点:38℃〕を用いる代わりに1mol/Lテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート含有プロピレンカーボネート溶液を用いたこととを除き、実施例1と同様の操作を行なうことにより、電気二重層キャパシタを得た。得られた電気二重層キャパシタの充電電圧は、2.5Vであり、放電容量は、0.18mAhであった。
(実施例3)
(1)正極の作製
実施例1(1)と同様の操作を行なうことにより、正極を得た。
(2)負極作製用セパレータの作製
実施例1(1)と同様の操作を行なうことにより、負極作製用セパレータとしての円板状のガラス繊維製不織布(直径:1.4mm、厚さ:100μm)を得た。
(3)負極作製用の電解液の調製
エチレンカーボネート(以下、「EC」という)とジエチルカーボネート(以下、「DEC」という)とをEC/DEC(体積比)が1/1となるように混合した。得られた混合物に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)をその濃度が1mol/Lとなるように添加し、負極作製用の電解液を得た。
(4)負極の作製
活物質としてのハードカーボン〔平均粒子径:5μm、(株)クレハ製、商品名:カーボトロンP〕と、導電助剤としてのカーボンブラックと、バインダーとしてのPVDFとを、ハードカーボン/カーボンブラック/PVDF(質量比)が87/3/10となるように混合し、得られた混合物2.5gを溶媒としてのN−メチルピロリドン(以下、「NMP」という)7.5gに懸濁することにより、固形分比率25質量%のスラリーを得た。つぎに、集電体としての銅箔(厚さ:15μm)1cm2あたりの前記スラリーの塗布量が2.7mg、当該スラリーの塗膜の厚さが100μmとなるようにドクターブレードを用いて銅箔の表面に塗布し、スラリーの塗膜を形成させた。
スラリーの塗膜を有する銅箔を乾燥機内で120℃にて3時間乾燥させた。つぎに、乾燥後のスラリーの塗膜を有する銅箔をローラープレス機(プレスギャップ:60μm)で加圧することにより、負極板(厚さ:60μm)を得た。得られた負極板を直径1.1mmの円板状に打ち抜き、円板状のLIC用負極板を得た。
前記円板状の負極板のスラリーの塗膜と直径1.1mmの円板状のリチウム金属箔(厚さ:50μm)とが前記(2)で得られた円板状のガラス繊維製不織布を挟んで対向配置されるように、円板状の負極板と円板状のリチウム金属箔とを、円板状のガラス繊維製不織布を挟んで対向させて電極ユニットを得た。得られた電極ユニットをステンレス鋼製コインセルケース(セルサイズ:R2032)内に収容した。つぎに、前記(3)で得られた負極作製用の電解液0.5mLを前記コインセルケース内に滴下した。その後、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製ガスケットを介して前記コインセルケースの蓋を閉めて封口してセルを得た。得られたセルの初期電圧約3Vであった。つぎに、リチウム金属箔に対して0〜2.5Vの電圧範囲で0.1mA/cm2の電流で3回充放電を行なった。最後の放電では、0Vまで放電した後、0.2mAhまで充電した。セルを分解してリチウムイオンがドープされた負極(以下、「Liドープ負極」という)を取り出した。その後、負極をECとDECとの混合溶媒〔EC/DEC(体積比):1/1〕で十分に洗浄して乾燥させた。
(5)セパレータの作製
厚さ30μmのガラス繊維製不織布を直径1.4mmの円板状に打ち抜き、セパレータとしての円板状のガラス繊維製不織布(直径:1.4mm、厚さ:30μm)を得た。
(6)電解質の調製
LiFSAとNaFSAとをLiFSA/NaFSA(モル比)が2/3となるように混合し、得られた混合物を当該混合物の融点76℃以上に加熱することにより、電解質としてのLiFSAとNaFSAとの共晶溶融塩〔LiFSA/NaFSA(モル比):2/3、融点:76℃〕を得た。
(7)金属イオンキャパシタの作製
前記(1)で得られた正極および前記(4)で得られたLiドープ負極それぞれのスラリーの塗膜が前記(5)で得られた円板状のガラス繊維製不織布を挟んで対向配置されるように、正極とLiドープ負極とを、円板状のガラス繊維製不織布を挟んで対向させて電極ユニットを得た。得られた電極ユニットをステンレス鋼製コインセルケース(セルサイズ:R2032)内に収容した。つぎに、前記(6)で得られた共晶溶融塩0.5mLを100℃に加熱し、前記コインセルケース内に滴下した。その後、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製ガスケットを介して前記コインセルケースの蓋を閉めて封口して金属イオンキャパシタを得た。得られた金属イオンキャパシタの充電電圧は、4.2Vであり、放電容量は、0.19mAhであった。
(比較例2)
実施例3において、電解質としてLiFSAとNaFSAとの共晶溶融塩〔LiFSA/NaFSA(モル比):2/3、融点:76℃〕を用いる代わりに実施例3(3)で得られた電解液を用いたことを除き、実施例3と同様の操作を行なうことにより、金属イオンキャパシタを得た。得られた金属イオンキャパシタの充電電圧は、4.2Vであり、放電容量は、0.18mAhであった。
(試験例1)
実施例1〜3ならびに比較例1および2で得られた各キャパシタを、150℃の高温槽中に24時間放置して各キャパシタの表面温度を安定させた後、各キャパシタの充電電圧まで0.1mA/cm2の電流密度で充電し、0.1mA/cm2の電流密度で放電して容量を調べた。その結果を表1に示す。
表1に示された結果から、実施例1および2で得られた電気二重層キャパシタは、150℃の高温環境下でも25℃の温度環境下と同様の充電電圧および放電容量を得ることができることから、高温環境下でも正常に動作しており、良好に充放電を行なうことができることがわかる。これに対して、比較例1で得られた溶融塩キャパシタは、150℃の高温環境下では、充電中にセルが破裂してしまい、充放電を行なうことができなかった。なお、比較例1で得られた電気二重層キャパシタは、常温(25℃)環境下では、良好に充放電を行なうことができることが確認できることから、充電中におけるセルの破裂は、高温環境下で電解液の分解が促進されたことに基づくものと考えられる。
表1に示された結果から、実施例3で得られた金属イオンキャパシタは、150℃の高温環境下でも25℃の温度環境下と同様の充電電圧および放電容量を得ることができることから、高温環境下でも正常に動作しており、良好に充放電を行なうことができることがわかる。これに対して、比較例2で得られた金属イオンキャパシタは、150℃の高温環境下では、充電中にセルが破裂してしまい、充放電を行なうことができなかった。
(実施例4)
実施例1において、LiFSAとKFSAとCsFSAとの共晶溶融塩を用いる代わりに、ハロゲンアニオンおよびハロゲン原子を有する化合物のアニオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のアニオンと、金属カチオンおよび有機カチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオンとを含む溶融塩のうち、LiFSAとKFSAとCsFSAとの共晶溶融塩以外の溶融塩を用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行なうことにより、電気二重層キャパシタを得る。かかる電気二重層キャパシタも、実施例1で得られた電気二重層キャパシタと同様の性質が見られる。
(実施例5)
実施例3において、LiFSAとNaFSAとの共晶溶融塩を用いる代わりに、ハロゲンアニオンおよびハロゲン原子を有する化合物のアニオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のアニオンと、金属カチオンおよび有機カチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオンとを含む溶融塩のうち、LiFSAとNaFSAとの共晶溶融塩以外の溶融塩を用いることを除き、実施例3と同様の操作を行なうことにより、金属イオンキャパシタを得る。かかる金属イオンキャパシタも、実施例3で得られた金属イオンキャパシタと同様の性質が見られる。
以上の結果から、ハロゲンアニオンおよびハロゲン原子を有する化合物のアニオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のアニオンと、金属カチオンおよび有機カチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオンとを含む溶融塩を電解質とし、正極活物質として前記アニオンを可逆的に保持する炭素材料を含有する正極材料を正極集電体に担持させた正極と、負極活物質として前記カチオンを可逆的に保持する材料を含有する負極材料を負極集電体に担持させた負極とを備えた溶融塩キャパシタ(実施例1〜3で得られた本発明の溶融塩キャパシタ)によれば、高温環境下で良好に充放電を行なうことができることがわかる。

Claims (7)

  1. 容器本体と蓋体とで密封された容器内に、正極と、負極と、電解質とセパレータとを有し、前記正極および前記負極の間に電解質が介在しているとともに、当該正極と当該負極とがセパレータを介して隔離されてなる溶融塩キャパシタであって、
    前記電解質が、ハロゲンアニオンおよびハロゲン原子を有する化合物のアニオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のアニオンと、金属カチオンおよび有機カチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオンとを含む溶融塩であり、
    前記正極が、正極活物質として前記アニオンを可逆的に保持する炭素材料を含有する正極材料を正極集電体に担持させてなる電極であり、
    前記負極が、負極活物質として前記カチオンを可逆的に保持する材料を含有する負極材料を負極集電体に担持させてなる電極であり、
    前記セパレータが、耐熱温度が120℃以上である材料からなる
    ことを特徴とする溶融塩キャパシタ。
  2. 前記アニオンが、ハロゲンアニオン、ハロゲン原子を有するアミドアニオン、ハロゲン原子を有するアルキル基を有するアミドアニオン、ハロゲン原子を有するスルホン酸アニオンおよびハロゲン原子を有するアルキル基を有するスルホン酸アニオンからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の溶融塩キャパシタ。
  3. 前記アニオンが、式(I):
    〔X〕- (I)
    (式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す)
    で表わされるハロゲンアニオン、式(II):

    (式中、R1およびR2はそれぞれ独立してハロゲン原子またはハロゲン原子を有する炭素数1〜8のアルキル基)
    で表わされるスルホニルアミドアニオンおよび式(III):

    (式中、R3は、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有する炭素数1〜8のアルキル基を示す)
    で表わされるスルホン酸アニオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のアニオンである請求項1または2に記載の溶融塩キャパシタ。
  4. 前記カチオンが、金属カチオンおよび有機オニウムカチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオンである請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶融塩キャパシタ。
  5. 前記カチオンが、金属カチオン、三級オニウムカチオンおよび四級オニウムカチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオンである請求項1〜4のいずれか一項に記載の溶融塩キャパシタ。
  6. 前記カチオンが、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アルミニウムカチオン、銀カチオン、式(IV):

    (式中、R4、R5およびR6はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基、Aは硫黄原子を示す)
    で表わされるカチオン、式(V):

    (式中、R7〜R10はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基または炭素数1〜8のアルキルオキシアルキル基、Bは窒素原子またはリン原子を示す)
    で表わされるカチオン、式(VI):

    (式中、R11およびR12はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を示す)
    で表わされるイミダゾリウムカチオン、式(VII):

    (式中、R13およびR14はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を示す)
    で表わされるイミダゾリニウムカチオン、式(VIII):

    (式中、R15は炭素数1〜8のアルキル基を示す)
    で表わされるピリジニウムカチオン、式(IX):

    〔式中、R16およびR17はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基、Yは直接結合、酸素原子、メチレン基または式(X):

    (式中、R18およびR19はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を示す)
    で表わされるカチオンからなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオンである請求項1〜5のいずれか一項に記載の溶融塩キャパシタ。
  7. 前記カチオンを可逆的に保持する材料が、カチオンを可逆的に保持する炭素材料、ケイ素、スズ、ケイ素化合物、スズ化合物、前記金属カチオンを解離する金属窒化物および前記金属カチオンを解離するチタン酸金属化合物からなる群より選ばれた材料である請求項1〜6のいずれか一項に記載の溶融塩キャパシタ。
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