JP2014071918A - 磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁気記録特性に影響を及ぼす微細なピット(凹部)の発生を低減しつつ、端面形状が優れ、記録可能面積が拡張された磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供する。
【解決手段】研磨工程を有し、前記研磨工程は、Asker−C硬度が60以上90以下の研磨パッドを用いてガラス基板を研磨する第1ポリッシュ工程と、板厚に基づいてガラス基板を選別する選別工程と、Asker−C硬度が60以上90以下の研磨パッドを用いてガラス基板を研磨する第2ポリッシュ工程とを含む磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法に関する。
近年、情報記録媒体を搭載した情報記録装置(たとえばハードディスクドライブ HDD)の記憶容量の向上に伴い、使用される情報記録媒体に求められる品質水準が高まっている。情報記録媒体に求められる品質水準の一つとして、情報記録媒体にはより高い平滑性が求められる。これは、情報記録媒体の記憶容量を高めるためには記録密度の向上が必要であり、そのために、読み取りヘッドのフライングハイトを小さくする必要がある。近年ではフライングハイトは数nmまで小さくされており、わずかな凹凸欠陥により読み取りヘッドが欠陥に衝突するヘッドクラッシュが発生し、読み取りエラーにつながる。そのため、情報記録媒体に使用される情報記録媒体用ガラス基板(以下、単にガラス基板という場合がある)にも、従来よりも厳密な平滑性が求められている。情報記録媒体の記憶容量を高めるためには、さらに記録可能な領域を拡大することが求められている。近年では、両面で500GBの記憶容量を持つハードディスクドライブが開発されており、このような大容量の情報記録媒体を作製するためには、情報記録媒体の中心から半径の97%を超える端部領域にまで磁気ヘッドの走行領域(すなわち記録可能面積)が拡張されることが必要とされており、情報記録媒体用のガラス基板に求められる品質水準としても、このような端部まで記録可能となるような高精度な厚みの均一性が求められるようになってきた。
一方、ガラス基板の主表面は、一般的には2段階の研磨工程により研磨されて非常に平滑性の高い平面とされている。このうち、第1段階の研磨工程(第1ポリッシュ工程(粗研磨))では、従来、比較的加工レートの高い研磨砥粒である酸化セリウムや酸化ジルコニウムなどを用い、硬質ウレタンパッド(一般にAsker−C硬度が90を超える)等の硬質の研磨パッドが用いられていた。このような第1ポリッシュ工程では、その前段に行われる研削工程において粗面化された主表面を短時間で大きな取りしろの研磨を行うことで、ある程度平滑化するために行われる。また、それに続く第2段階の研磨工程(第2ポリッシュ工程(精密研磨))では、ガラス基板の主表面を非常に平滑性の高いものとするため、コロイダルシリカ等の比較的小さな粒径の研磨砥粒を用い、軟質スウェードパッド(一般にAsker−C硬度60〜90程度)等の軟質の研磨パッドを用いて行われる。このような2つの研磨工程を設けることで、短時間で情報記録媒体のガラス基板に求められる平滑性を得ることができていた。
ところが、上述のようにガラス基板の品質水準としての平滑性の要求水準が高まることで、上述の方法により得られたガラス基板を用いた情報記録媒体において従来は問題とならなかった程度の微細な凹凸による読み取りエラーが発生する場合があった。このような問題を精査した結果、第1ポリッシュ工程で硬質の研磨パッドを用いて研磨を行った場合に、研磨砥粒がガラス基板に強く押し付けられた結果、比較的深い加工痕が残る場合があり、このような加工痕が取りしろの小さい第2ポリッシュ工程では取りきれずにピット(微細な凹凸)が残ってしまう場合があることが原因と考えられた。
このような問題に対しては、第1ポリッシュ工程において、硬質の研磨パッドよりも柔らかい軟質の研磨パッドを用いることが考えられる。第1ポリッシュ工程においても軟質研磨パッドを用いた製造方法としてはたとえば特許文献1に記載の技術が提案されている。
特開2012−18739号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法のように、第1ポリッシュ工程において従来の硬質研磨パッドよりも柔らかい軟質研磨パッドを使用し、第2ポリッシュ工程で最終研磨を行ってガラス基板を製造した場合において、そのようなガラス基板を用いて記憶容量の大きな情報記録媒体を製造した場合には、主表面における読み取りエラーの発生は大きく低減できるものの、一部の情報記録媒体において、最外周領域における情報読み取り時に読み取りエラーが発生する問題があることが判明した。
このような問題を精査した結果、最外周領域における読み取りエラーは一部のガラス基板に発生した端面ダレが原因となって発生することが判明した。このような問題は、第1ポリッシュ工程において硬質研磨パッドを用いた場合には発生しない問題であることも明らかになった。そこで、さらに原因を精査した結果、下記のような現象が原因となっていることが明らかになった。
まず、一般的にガラス基板の研磨工程では複数の保持孔が設けられたキャリアと呼ばれる円盤状の部材の保持孔に複数枚のガラス基板を載置し、ガラス基板の上下面を研磨パッドが貼り付けられた研磨定盤により挟み込んだ状態で、キャリアを回転させることでガラス基板を研磨する。このとき、第1ポリッシュ工程で、軟質研磨パッドを用いた場合には、硬質研磨パッドを使用した場合に比較して、ガラス基板が載置されるキャリアの保持孔の位置によってガラス基板の取りしろに大きな差が発生する傾向があることが判明した。特に第1ポリッシュ工程では加工レートの高い研磨砥粒を用いて比較的大きな取りしろの研磨を行うためその傾向が大きくなる。
その後、第1ポリッシュ工程を終えたガラス基板は、第2ポリッシュ工程で再度軟質研磨パッドにより研磨されるが、その際に、研磨定盤のガラス基板に対する押し圧を一定としても、比較的小さな厚みを有するガラス基板よりも、比較的大きな厚みを有するガラス基板には集中的に強い押し圧がかかることとなり、軟質研磨パッドがガラス基板に押し込まれることとなり、結果として大きな厚みを有するガラス基板の端部に端面ダレが進行していることが明らかになった。
さらに、近年の情報記録媒体の記憶容量増加に伴い、従来では記録領域として用いられていなかった最外周の端部も記録面として用いられることとなり上述の問題が顕在化したと考えられる。なお、本明細書において、端面ダレとは、端面近傍の主表面が、基板端部に向かうにつれ、基板表面から基板内側に向かう向きにゆるやかに変位する事をいう。
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、磁気記録特性に影響を及ぼす微細なピット(凹部)の発生を低減しつつ、端面形状が優れ、記録可能面積が拡張された磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題に鑑み、第1ポリッシュ工程を経たガラス基板を板厚に基づいて選別し、選別したガラス基板を第2ポリッシュ工程に供することにより、ガラス基板における端面ダレの発生を抑制し、最外周部における情報記録においても読み取りエラーの発生を抑制できる点に着目し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法は、研磨工程を有する磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法であって、前記研磨工程は、Asker−C硬度が60以上90以下の研磨パッドを用いてガラス基板を研磨する第1ポリッシュ工程と、該粗研磨工程の後に、板厚に基づいてガラス基板を選別する選別工程と、該選別工程の後にAsker−C硬度が60以上90以下の研磨パッドを用いてガラス基板を研磨する第2ポリッシュ工程とを含むことを特徴とする。
本発明のガラス基板の製造方法によれば、第1ポリッシュ工程において、Asker−C硬度が60以上90以下の研磨パッドを用いてガラス基板を研磨するため、磁気記録特性に影響を及ぼす微細なピット(凹部)の発生を低減することができる。また、第1ポリッシュ工程の後に、板厚に基づいてガラス基板を選別する選別工程を採用しているため、後続する第2ポリッシュ工程において、板厚が他のガラス基板よりも厚いガラス基板に押し圧が集中することを防止し、端面ダレの発生を抑制することができる。
さらに、第2ポリッシュ工程においても、Asker−C硬度が60以上90以下の研磨パッドを用いてガラス基板を研磨するため、最終的なガラス基板を表面状態の良好なものとすることができる。その結果、平滑性と端面形状の優れた磁気記録媒体用ガラス基板を製造することができる。
前記第1ポリッシュ工程において、ガラス基板を保持する複数の保持孔が形成されたキャリアを使用し、前記選別工程において、前記保持孔の位置に基づいて前記ガラス基板を分類することにより選別することが好ましい。
第1ポリッシュ工程では、キャリアに形成された保持孔の位置により、その保持孔に保持されたガラス基板が研磨される程度が異なるため、予め、保持孔の位置による研磨量の違い(その結果として得られるガラス基板の板厚の違い)の傾向を把握し、保持孔の位置に基づいてガラス基板を分類することにより選別すれば、第1ポリッシュ工程を経たガラス基板の物性(たとえば板厚の大きさ)を直接計測することなく、板厚に基づいてガラス基板を選別することができる。その結果、選別したガラス基板を後続する第2ポリッシュ工程に供することにより、板厚が他のガラス基板よりも厚いガラス基板に研磨パッドの押圧が集中することを防止し、端面ダレの発生を抑制することができる。
前記第1ポリッシュ工程において、同心円状に前記保持孔が形成されたキャリアを使用し、前記選別工程において、同心円状に形成された前記保持孔に保持されたガラス基板ごとに分類することにより選別することが好ましい。
同心円状に形成された保持孔に保持されたガラス基板は、第1ポリッシュ工程において、同じ同心円状に形成された保持孔に保持されたその他のガラス基板と同様に研磨され、略同じ板厚とされる。そのため、同心円状に形成された複数の保持孔にそれぞれ保持されたガラス基板ごとに分類することにより、第1ポリッシュ工程を経たガラス基板の物性(たとえば板厚)を直接計測することなく、間接的に、板厚が略同じであるガラス基板を選別することができる。その結果、選別したガラス基板を後続する第2ポリッシュ工程に供することにより、板厚が他のガラス基板よりも厚いガラス基板が選択的に研磨されることを防止し、端面ダレの発生を抑制することができる。
前記選別工程において、前記第1ポリッシュ工程で研磨されたガラス基板の物性を計測し、該物性に基づいてガラス基板を分類することにより、ガラス基板を選別することが好ましい。
第1ポリッシュ工程を経たガラス基板の物性(たとえば板厚)を直接計測することにより、板厚が略同じであるガラス基板を正確に選別することができる。その結果、選別したガラス基板を後続する第2ポリッシュ工程に供することにより、板厚が他のガラス基板よりも厚いガラス基板に研磨パッドの押圧が集中することを防止し、端面ダレの発生を抑制することができる。
本発明によれば、磁気記録特性に影響を及ぼす微細なピット(凹部)の発生を低減しつつ、端面形状が優れ、記録可能面積が拡張された磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態のガラス基板の製造方法における各工程のフローチャートである。 図2は、本発明の一実施形態のガラス基板の製造方法において使用する両面研磨装置の概略的な模式図である。 図3は、本発明の一実施形態のガラス基板の製造方法において使用されるキャリアの概略的な模式図である。 図4は、本発明の一実施形態のガラス基板の製造方法において使用されるキャリアの概略的な模式図である。 図5は、本発明の一実施形態のガラス基板の製造方法において使用されるキャリアの概略的な模式図である。
以下、本発明のガラス基板の製造方法の実施形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態のガラス基板の製造方法における各工程のフローチャートである。ガラス基板は、たとえばガラスブランクス準備工程(ガラス素材溶融工程、プレス成形工程)、ガラス基板形成/研削工程(第1ラップ工程、コアリング工程、第2ラップ工程)、研磨工程(第1ポリッシュ工程、選別工程、第2ポリッシュ工程)、化学強化工程、洗浄工程、磁気薄膜形成工程を経て作製される。まず、本実施形態の特徴部分である研磨工程を詳述する。
<研磨工程>
研磨工程は、後述するガラス基板形成/研削工程を経たガラス基板に対して行う工程である。研磨工程には、第1ポリッシュ工程(粗研磨工程)と、選別工程と、第2ポリッシュ工程(精密研磨工程)とが含まれる。
(第1ポリッシュ工程)
第1ポリッシュ工程は、後続する第2ポリッシュ工程において最終的に必要とされる面粗さが効率よく得られるように、ガラス基板の両主表面を研磨加工する工程である。第1ポリッシュ工程では、両面研磨装置が用いられる。
図2は、本実施形態のガラス基板の製造方法において使用する両面研磨装置の概略的な模式図である。両面研磨装置1は、上定盤2と下定盤3とからなる一対の金属製の定盤と、ガラス基板5を保持するキャリア4とを備える。上定盤2は研磨パッド2aを備え、下定盤3は研磨パッド3aを備える。キャリア4の厚みは、ガラス基板5の厚みよりも小さい。そのため、ガラス基板5の両主表面は、キャリア4の保持孔4aに保持された状態で、一部がキャリア4から露出する。その結果、ガラス基板5は、保持孔4aに保持された状態で、上定盤2および下定盤3とにより上下から挟持される。この状態で、上定盤2および下定盤3と、キャリア4とが互いに摺動するように回転することにより、ガラス基板5の両主表面は研磨される。
研磨パッドは、ガラス基板5の両主表面を研磨加工するための加工工具である。研磨パッドとしては、Asker−C硬度が60以上90以下、好ましくは70以上87以下、より好ましくは75以上84以下の研磨パッドが使用される。具体的には、ポリウレタン製のスウェードパッドが使用され、たとえばFilwel製のNP178(Asker−C硬度82)が使用される。本実施形態では、従来のような硬質のウレタンパッドではなく、このような軟質の研磨パッドが使用されるため、ガラス基板上に比較的深い加工痕が形成されず、後続する続く第2ポリッシュ工程において優れた平滑性を実現し得る程度にガラス基板の両主表面を研磨することができる。
研磨液は、平均一次粒子径が0.6〜2.5μmの酸化セリウムを砥粒として使用し、この砥粒を水に分散させてスラリー状にしたものを好ましく使用することができる。水と酸化セリウムとの混合比率は、1:9〜3:7程度とすることができる。
研磨時にガラス基板5に加える荷重としては特に限定されず、たとえば4〜12kPaとすることができる。
第1ポリッシュ工程におけるガラス基板5の研磨量は25〜40μm程度とするのが好ましい。ガラス基板5の研磨量が25μm未満の場合には、キズや欠陥を充分に除去できない傾向がある。一方、ガラス基板5の研磨量が40μmを超える場合には、必要以上に研磨を行うことになって製造効率が低下する傾向がある。
(選別工程)
選別工程は、第1ポリッシュ工程を経たガラス基板5を、当該ガラス基板5の板厚に基づいて選別する工程である。板厚に基づいてガラス基板5を選別する方法としては特に限定されず、間接的な方法により板厚を計測(または推定)して選別してもよく、直接的な方法により板厚を計測(または推定)して選別してもよい。
間接的な方法により板厚を計測(または推定)して選別する方法として、キャリア4に形成された保持孔4aの位置に基づいてガラス基板5を分類する方法の一例を、図3を参照しながら説明する。図3は、本実施形態のガラス基板5の製造方法において使用されるキャリア4の概略的な模式図である。キャリア4には、環状(同心円状)に複数の保持孔4aが形成されている。参照符号C1は、外周側の同心円を示しており、参照符号C2は、C1よりも内周側の同心円を示している。同心円C1上には14個の保持孔4aが形成されており、同心円C2上には8個の保持孔4aが形成されている。保持孔4aは、保持孔4aの中心が同心円上に配置されており、同じ同心円上に配置された複数の保持孔4aは、キャリア4の中心からの距離が互いに等しい。
ここで、第1ポリッシュ工程において、キャリア4の保持孔4aに保持されたガラス基板5は、上下の定盤により挟持され、定盤が回転することにより研磨される。このとき、キャリア4は自転しながら公転するよう回転制御される。同心円C1上に形成された保持孔4aは、キャリア4の中心からの距離が、同心円C2上に形成された保持孔4aよりも大きいため、キャリア4が自転すると、保持孔4aは、定盤上の径方向について、より広い範囲を回転移動する。そのため、たとえば同心円C1上に形成された保持孔4aに保持されたガラス基板5は、キャリア4が自転することにより、定盤の外周近傍から内周近傍までの比較的広い範囲を移動しながら研磨される。一方、同心円C1よりも内周に設けられた同心円C2上に形成された保持孔4aに保持されたガラス基板5は、キャリア4が自転すると、定盤の外周と内周との中間付近の比較的狭い範囲を移動しながら研磨される。
その結果、同様の研磨条件で研磨した場合であっても、同心円C1上に形成された保持孔4aに保持されたガラス基板5と、同心円C2上に形成された保持孔4aに保持されたガラス基板5との研磨履歴(研磨時のそれぞれのガラス基板5の走行位置、走行距離等)が一致せず、板厚が異なる傾向があり、このような傾向は、研磨パッドとして軟質の研磨パッドが用いられた場合に顕著に発生する。
ここで、上記のとおり、同じ同心円上に形成された保持孔4aに保持されたガラス基板5では、研磨履歴が同じである。そのため、本実施形態では、保持孔4aの位置に基づいてガラス基板5を分類することにより、板厚等の物性を直接計測することなく、板厚に基づいてガラス基板5を選別することができる。具体的には、ある同心円上(たとえば同心円C1上)に形成された保持孔4aに保持されて研磨されたガラス基板5を1つのグループとして回収し、他の同心円上(たとえば同心円C2上)に形成された保持孔4aに保持されて研磨されたガラス基板5を他の1つのグループとして回収する。同じグループ内において、ガラス基板5は、同じ研磨履歴に基づいて研磨されているため、板厚が略同じとなっている。そのため、後述する第2ポリッシュ工程において、板厚が他のガラス基板5よりも厚いガラス基板5が選択的に研磨されることを防止し、端面ダレの発生を抑制することができる。
また、図3では、同心円の数が2の場合を例示したが、同心円の数が3以上の場合も同様に、間接的に板厚に基づいてガラス基板5を分類することができる。図4は、本実施形態のガラス基板5の製造方法において使用されるキャリア4の概略的な模式図である。キャリア4には、同心円C1および同心円C2上に形成された保持孔4a以外に、同心円C2のさらに内周側に設けられた同心円C3上にも保持孔4aが形成されている。同心円C3上には、4個の保持孔4aが形成されている。
同心円C3上に形成された保持孔4aは、キャリア4の中心からの距離が、同心円C2上に形成された保持孔4aよりもさらに小さいため、キャリア4が自転すると、定盤の外周と内周との中間付近のさらに狭い範囲を移動されながら研磨される。また、キャリア4が自転する際、同心円C3上に形成された保持孔4aに保持されたガラス基板5の移動距離は、同心円C2上に形成された保持孔4aに保持されたガラス基板5の移動距離よりもさらに小さくなる。そのため、同様の研磨条件で研磨した場合であっても、同心円C2上に形成された保持孔4aに保持されたガラス基板5と、同心円C3上に形成された保持孔4aに保持されたガラス基板5との研磨履歴(研磨時のそれぞれのガラス基板5の走行位置、走行距離等)が一致せず、板厚が異なる可能性がある。
そのため、同心円C2上に形成された保持孔4aに保持されて研磨されたガラス基板5と、同心円C3上に形成された保持孔4aに保持されて研磨されたガラス基板5との板厚とが異なる場合には、これらを別のグループとして回収し、第2ポリッシュ工程に供することができる。一方、同心円C2上に形成された保持孔4aに保持されて研磨されたガラス基板5と、同心円C3上に形成された保持孔4aに保持されて研磨されたガラス基板5との板厚とが略同じである場合には、たとえば同心円C2上に形成された保持孔4aに保持されて研磨されたガラス基板5と、同心円C3上に形成された保持孔4aに保持されて研磨されたガラス基板5とを合わせて1つのグループとしてもよい。
なお、どの同心円上に形成された保持孔4aにガラス基板5を保持させて研磨すれば、どの程度の板厚になるかをあらかじめ調べておくことにより、ある同心円と他のある同心円(たとえば同心円C2と同心円C3)に形成された保持孔4aに保持されたガラス基板5は同様の板厚になるよう研磨されるが、ある同心円と他の同心円(たとえば同心円C1と同心円C2)に形成された保持孔4aに保持されたガラス基板5は板厚が異なるよう研磨される、等の情報を知ることができ、選別工程の条件をより最適化し得る。
また、保持孔4aの位置に基づいてガラス基板5を分類する方法の他の例について、図5を参照しながら説明する。図5は、本実施形態のガラス基板5の製造方法において使用されるキャリア4の概略的な模式図であり、図5(a)は保持孔4aの配置を説明する概略的な模式図であり、図5(b)はキャリア4の領域を説明する概略的な模式図である。
図5(a)に示されるように、キャリア4には、ジグザグ状かつ環状に保持孔4aが形成されている。このように、同じ環を構成する保持孔4aの中心が、同心円上に形成されていない場合であっても、図5(b)に示されるように、キャリア4の領域を外周側の領域R1と内周側の領域R2とに分ければ、領域R1に保持孔4aの中心が属する保持孔4aに保持されて研磨されたガラス基板5と、領域R2に保持孔4aの中心が属する保持孔4aに保持されて研磨されたガラス基板5とに分類することができる。領域の数は2以上であれば特に限定されない。また、領域の形状としては特に限定されないが、研磨履歴が略同じになるように、領域の形状は円形であることが好ましい。なお、環を構成する保持孔4aの配置は特に限定されず、ジグザグ状以外にも、らせん状等の配置であってもよい。また、より多くの保持孔4aを配置するため等の理由から、保持孔4aの不規則な配置が必要となる場合は、この場合はキャリアが安定して回転できる範囲内で、保持孔4aが不規則に配置されていてもよい。
このように、同じ領域内に保持孔4aの中心が属する保持孔4aに保持されたガラス基板5を1つのグループとして分類することにより、同じ領域内に形成された保持孔4aに保持されたガラス基板5の研磨履歴が略同じになるとみなすことにより、ガラス基板の板厚に基づいて選別できるため、後述する第2ポリッシュ工程において、板厚が他のガラス基板5よりも厚いガラス基板5が選択的に研磨されることを防止し、端面ダレの発生を抑制することができる。
次に、直接的な方法により板厚を計測(または推定)して選別する方法を説明する。直接的な方法により板厚を計測(または推定)する方法としては特に限定されず、たとえば、第1ポリッシュ工程を経たガラス基板に対して板厚を計測してもよく、重量を測定することにより板厚を推定してもよく、体積を測定することにより板厚を推定してもよく、共振周波数を測定することにより板厚を推定してもよい。
第1ポリッシュ工程を経たガラス基板に対して板厚を計測する方法としては特に限定されず、たとえば、分光干渉レーザ変位計SI−80F((株)キーエンス製)を用いて計測することができる。板厚の選別基準としては特に限定されず、たとえば、誤差0.1〜1.0μmの板厚のガラス基板を1つのグループとして選別することができる。
第1ポリッシュ工程を経たガラス基板に対して重量を測定する方法は特に限定されず、たとえば、外乱要因の少ない環境下で、電子天秤を用いて重量を計測することにより計測することができる。ガラス基板の主表面の面積は略同じであるため、重量の差から板厚の差を推定することができる。板厚の選別基準としては特に限定されず、たとえば、誤差1〜8mgの重量のガラス基板を1つのグループとして選別することができる。
このように、第1ポリッシュ工程を経たガラス基板の物性を直接計測することにより、板厚を計測(または推定)してガラス基板を選別すれば、後述する第2ポリッシュ工程において、板厚が他のガラス基板よりも厚いガラス基板が選択的に研磨されることを防止し、端面ダレの発生を抑制することができる。
(第2ポリッシュ工程)
第2ポリッシュ工程は、選別工程を経て選別されたガラス基板に対して行う研磨工程である。第2ポリッシュ工程では、第1ポリッシュ工程と同様に、たとえば図2に示される両面研磨装置(たとえば浜井産業(株)製、16Bタイプ)が使用される。
第2ポリッシュ工程に供されるガラス基板は、上記した選別工程を経ることにより、あらかじめ板厚に基づいて選別されている。そのため、第2ポリッシュ工程において同時に研磨される複数のガラス基板は板厚に差がなく、すべてのガラス基板が略均等に研磨される。その結果、板厚が他のガラス基板の板厚よりも厚いガラス基板が選択的に研磨されることに起因して発生する端面ダレを抑制することができ、端面形状の優れたガラス基板が得られる。
両面研磨装置の定盤に取り付けられる研磨パッドとしては、表面粗さや微小うねり等の表面状態と、端面形状の両立の観点から、Asker−C硬度が60以上90以下、好ましくは70以上87以下、より好ましくは75以上84以下の研磨パッドが使用される。具体的には、ポリウレタン製のスウェードパッド、不織布パッドなどの研磨パッドが使用され、たとえばFilwel製のNP385(Asker−C硬度77)が使用される。このような研磨パッドを用いることにより、表面粗さや微小うねり等の表面状態と、端面形状を良好な状態に両立させることができる。
研磨液は、ガラス基板の表面をより滑らかにするためには、砥粒の粒径がより細かくバラツキが少ない研磨剤スラリーを用いることができる。たとえば、平均粒径が20〜80nmのコロイダルシリカを溶媒に分散させてスラリー状にしたものを研磨剤スラリーとして用いることができる。溶媒としては特に限定されず、水を採用することができる。また、これら溶媒には、界面活性材や分散剤を添加することができる。溶媒とコロイダルシリカとの混合比率は、1:9〜3:7程度とすることができる。
研磨時にガラス基板に加える荷重としては特に限定されず、たとえば4〜12kPaとすることができる。
第2ポリッシュ工程におけるガラス基板の研磨量は2〜5μm程度とすることが好ましい。研磨量をこのような範囲とすることにより、得られるガラス基板は、ガラス基板の表面に発生した微小な荒れやうねり、あるいはこれまでの工程で発生した微小な加工痕といった微小欠陥が良好に除去される。また、第2ポリッシュ工程の研磨条件を適宜調整することにより、ガラス基板の両主表面の平坦度を3μm以下、ガラス基板の両主表面の面粗さRaを0.1nm程度まで小さくすることができる。
次に、本実施形態が採用し得るその他の工程について図1を参照しながら説明する。なお、本実施形態のガラス基板の製造方法は、上記した研磨工程(特に選別工程)を有していればよく、その他の工程については特に限定されない。そのため、以下に説明するその他の工程は、例示であり、適宜設計変更を行うことができる。
<ガラスブランクス準備工程>
ガラスブランクス準備工程には、ガラス素材を溶融するガラス素材溶融工程と、溶融したガラス素材からガラス基板(ブランクス)を得るプレス成形工程とが含まれる。
ガラス素材の材料としては、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、LiO−SiO系ガラス、LiO−Al−SiO系ガラス、R’O−Al−SiO系ガラス(R’=Mg、Ca、Sr、Ba)等を使用することができる。
ガラス素材溶融工程においてガラスを溶融する方法としては特に限定されず、通常は上記ガラス素材を公知の温度、時間にて高温で溶融する方法を採用することができる。
プレス成形工程においてブランクスを得る方法としては特に限定されず、たとえば溶融したガラス素材を下型に流し込み、上型によってプレス成型して円板状のガラス基板(ブランクス)を得る方法を採用することができる。なお、ブランクスは、プレス成型に限られず、たとえばダウンドロー法やフロート法等で形成したシートガラスを研削砥石で切り出して作製してもよく、これらの場合にはプレス成形工程はその他の工程(たとえばガラスを切り出す工程等)に置き換えられる。この成型工程において、ブランクスの表面近傍には、異物や気泡が混入し、あるいはキズがついて、欠陥が発生することとなる。
ブランクスの大きさとしては特に限定されず、たとえば、外径が2.5インチ、1.8インチ、1インチ、0.8インチ等の種々の大きさのブランクスを作製することができる。ガラス基板の厚みについては特に限定されず、たとえば、2mm、1mm、0.8mm、0.63mm等の種々の厚みのブランクスを作製することができる。
プレス成型や切り出しによって作製されたブランクスは、耐熱部材のセッターと交互に積層し、高温の電気炉を通過させることにより、反りの低減やガラスの結晶化を促進させることができる。
<ガラス基板形成/研削工程>
ガラス基板形成/研削工程には、第1ラップ工程と、コアリング(内外周カット)工程と、第2ラップ工程とが含まれる。
第1ラップ工程は、ブランクスの両主表面を研削加工してガラス基板の平行度、平坦度および厚みを予備調整する工程である。第1ラップ工程におけるラッピング加工は、遊星歯車機構を利用した両面ラッピング装置により、アルミナ系遊離砥粒を用いて行うことができる。具体的には、ラッピング加工は、ブランクスの両主表面に上下からラップ定盤を押圧させ、遊離砥粒を含む研削液を板状ガラスの主表面上に供給し、これらを相対的に移動させることにより行うことができる。このラッピング加工により、平坦な主表面を有するガラス基板が得られる。
コアリング(内外周カット)工程は、ガラス基板の中心部に円形の孔(中心孔)を開ける工程である。具体的には、コアリング(内外周カット)工程は、円筒状のダイヤモンドドリルを用いて、このガラス基板の中心部に内孔を形成し、円環状のガラス基板を成形する工程である。得られたガラス基板の内周端面および外周端面は、ダイヤモンド等を用いた鼓状の研削砥石によって研削することにより、所定の面取り加工が施される。また、ガラス基板の内周面は、内周端面研磨機により研磨され、ガラス基板の外周面は、外周端面研磨機により外周端面を研磨される。
第2ラップ工程は、ガラス基板の両主表面を研削し、大きな傷を除去するとともに、平坦度を向上させる工程である。第2ラップ工程では、ガラス基板の両主表面をラッピング機(浜井産業(株)製)でラッピング加工する。ラッピング条件としては特に限定されないが、たとえば、#1500メッシュのダイヤモンドペレットを用い、荷重70g/cmとし、上定盤の回転数30rpm、下定盤の回転数10rpmとすることができる。第2ラップ工程を経て得られるガラス基板の表面粗さは、例えば、Rmaxが3μm、Raが0.3μm程度である。第2ラップ工程を経たガラス基板は、大きなうねり、欠け、ひび等の欠陥がほぼ除去される。
なお、ガラス基板形成/研削工程を経たガラス基板には、表面に研削液やガラス粉が残存している可能性がある。そのため、本実施形態では、洗浄工程を設けることが好ましい。洗浄工程においては、種々の洗浄方法を採用することができる。たとえば、ガラス基板に対して、アルカリ洗浄のみを行ってもよく、また、酸洗浄を行った後にアルカリ洗浄を行ってもよく、また、酸洗浄のみを行ってもよい。
<研磨工程>
研磨工程は、上記したとおりである。研磨工程には、第1ポリッシュ工程と、選別工程と、第2ポリッシュ工程と含まれる。
本実施形態のガラス基板の製造方法は、第1ポリッシュ工程において、Asker−C硬度が60以上90以下の研磨パッドを用いてガラス基板を研磨するため、磁気記録特性に影響を及ぼす微細なピット(凹部)の発生を低減することができる。また、粗研磨工程の後に、板厚に基づいてガラス基板を選別する選別工程を採用しているため、後続する第2ポリッシュ工程において、板厚が他のガラス基板よりも厚いガラス基板に研磨パッドによる押し圧が集中することを防止し、端面ダレの発生を抑制することができる。その結果、平滑性と端面形状の優れた磁気記録媒体用ガラス基板を製造することができる。
<化学強化工程>
化学強化工程は、ガラス基板を強化処理液に浸漬し、ガラス基板の耐衝撃性、耐振動性および耐熱性等を向上させる工程である。
化学強化工程において採用される化学強化方法としては特に限定されないが、通常は、加熱された強化処理液にガラス基板を浸漬させて、ガラス基板に含まれる比較的イオン半径の小さなアルカリイオン(たとえばリチウムイオン)を、イオン半径のより大きなアルカリイオン(たとえばカリウムイオン、ナトリウムイオン)に置換するイオン交換法が採用される。化学強化工程を採用することにより、ガラス基板の主表面、外周端面および内周端面に強化層(イオン交換層および圧縮応力層)を形成することができる。
なお、化学強化工程後に、ガラス基板を大気中に待機させる待機工程や、水浸漬工程を採用して、ガラス基板の表面に付着した強化処理液を除去するとともに、ガラス基板の表面を均質化することが好ましい。このような工程を採用することにより、得られるガラス基板は、化学強化層が均質に形成され圧縮歪が均質となり変形が生じ難く平坦度が良好であり、機械的強度に優れる。待機時間や水浸漬工程の水温は特に限定されず、たとえば大気中に1〜60秒待機させ、35〜100℃程度の水に浸漬させるとよく、ユーザが製造効率を考慮して適宜決めればよい。
<洗浄工程>
洗浄工程は、ガラス基板を洗浄し、清浄にする工程である。洗浄方法としては特に限定されず、ガラス基板の表面を清浄にできる洗浄方法であればよい。
洗浄されたガラス基板は、必要に応じて超音波による洗浄および乾燥工程を行う。乾燥工程は、ガラス基板の表面に残る洗浄液をイソプロピルアルコール(IPA)等により除去した後、ガラス基板の表面を乾燥させる工程である。たとえば、洗浄工程は、スクラブ洗浄後のガラス基板に水リンス洗浄工程を2分間行ない、洗浄液の残渣を除去する工程を採用することができる。次いで、洗浄工程は、IPA洗浄工程を2分間行い、ガラス基板の表面に残る水をIPAにより除去する工程を採用することができる。最後に、洗浄工程は、IPA蒸気乾燥工程を2分間行い、ガラス基板の表面に付着している液状のIPAをIPA蒸気により除去しつつ乾燥させる工程を採用することができる。ガラス基板の乾燥工程としては特に限定されず、たとえばスピン乾燥、エアーナイフ乾燥などの、ガラス基板の乾燥方法として公知の乾燥方法を採用することができる。これらの工程を経たガラス基板は、キズ、割れ、異物の付着等の有無を、目視や光学表面アナライザ(たとえば、KLA−TENCOL社製の「OSA6100」)を用いて検査した後、異物等が表面に付着しないように、清浄な環境中で、専用収納カセットに収納され、真空パックされた後に出荷することができる。
<磁気薄膜形成工程>
磁気薄膜形成工程は、蒸着装置を用いてガラス基板に磁気薄膜(磁性膜)を形成する工程である。磁性膜の形成方法としては特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。たとえば、磁性粒子を分散させた熱硬化性樹脂を基板上にスピンコートして形成する方法や、スパッタリング、無電解めっきにより形成する方法を採用することができる。スピンコート法での膜厚は約0.3〜1.2μm程度、スパッタリング法での膜厚は0.04〜0.08μm程度、無電解めっき法での膜厚は0.05〜0.1μm程度である。これらの形成方法により磁性膜を成膜する場合、磁性膜の種類によっては、ガラス基板は、100〜500℃程度に保持される。
磁性膜に用いる磁性材料としては特に限定されず、従来公知の磁性材料を用いることができる。高い保磁力を得るために、結晶異方性の高いCoを基本とし、残留磁束密度を調整する目的でNiやCrを加えたCo系合金などを用いることができる。
また、記録用のメディアを作製する場合には、Co−Pt合金のように、遷移金属元素と貴金属元素とからなる合金であって、遷移金属元素(Co)と貴金属元素(Pt)との原子含有量がほぼ等しい合金や、遷移金属元素(Co)と貴金属元素(Pt)との原子含有量がほぼ等しく、かつ、Niの原子含有量が0.1%以上50%以下であるCo−Ni−Pt合金や、遷移金属元素(CoおよびNi)と貴金属元素(Pt)との原子含有量がほぼ等しいCo−Ni−Pt合金や、Co−Cr−Pt合金や、Fe−Pt合金と、Cu酸化物とを含有した薄膜を形成することが好ましい。この場合、薄膜の下部には、ソフト磁性層(保磁力の小さな材料、Co系アモルファスなど)を積層することができる。
また、磁気ヘッドの滑りをよくするために、磁性膜の表面に潤滑剤をコーティングしてもよい。さらに必要に応じて、磁性膜には、下地層や保護層を設けてもよい。下地層および保護層は、磁性膜の種類に応じて選択される。
以上、本実施形態のガラス基板の製造方法によれば、磁気記録特性に影響を及ぼす微細なピット(凹部)の発生を低減しつつ、端面形状の優れ、記録可能面積が拡張された磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することができる。
なお、本実施形態のガラス基板の製造方法は、必要に応じて、第1ポリッシュ工程を省略したり、化学強化工程を第2ポリッシュ工程の前に行ったりなどの設計変更が可能である。
さらに、本実施形態では、落下強度対策として、ガラス基板の主表面以外の外周端面や内周端面に化学強化処理を行う工程を採用してもよいし、ガラス基板に生じた傷のエッジ緩和処理として、ガラス基板をフッ化水素浸漬処理に供する工程を採用してもよい。
以下、本発明のガラス基板の製造方法を実施例により詳述する。なお、本発明のガラス基板の製造方法は、以下に示す実施例になんら限定されるものではない。
<実施例1>
以下の方法によりガラス基板を作製した。
[ガラスブランクス準備工程]
ガラス素材として、SiO、Al、RO(R=K、Na、Li)を主成分としたアルミノシリケートガラスを用い、溶融したガラス素材をプレス成形して、外径が67mmの円板状のブランクスを作製した。ブランクスの厚みは1.0mmとした。
[ガラス基板形成/研削工程]
ブランクスの両主表面を、両面研削機(浜井産業(株)製、16Bタイプ)を用いて研削加工した。研削条件として、粒度#600のアルミナ粉末を使用し、荷重は50g/cm、上定盤回転数を30rpm、下定盤回転数を20rpmとした。
次いで、円筒状のダイヤモンド砥石を備えたコアドリルを用いてブランクスの中心部に直径が約19.6mmの円形の中心孔を開けた。鼓状のダイヤモンド砥石を用いて、ブランクスの外周端面および内周端面を、外径65mm、内径20mmに内・外径加工した。
次に、ブランクスを100枚重ね、この状態で、ブランクスの外周端面および内周端面を、端面研磨機((株)舘野機械製作所製、TKV−1)を用いて研磨加工した。研磨機のブラシ毛として、直径が0.2mmのナイロン繊維を用いた。研磨液は、平均一次粒子径が3μmの酸化セリウムを砥粒(研磨液成分)として含有するスラリーを用いた。
その後、ブランクスの両表面を、両面研削機(浜井産業(株)製、16Bタイプ)を用いて再び研削加工した。研削条件として、ダイヤモンドペレットは#1700メッシュのものを用い、加重は70g/cmとし、上定盤の回転数は20rpmとし、下定盤の回転数は30rpmとした。
[研磨工程]
(第1ポリッシュ工程)
ブランクスの両表面を、両面研磨装置(浜井産業(株)製、16Bタイプ)を用いて粗研磨加工した。研磨パッドとしてスウェードパッド(Filwel社製、商品名:NP178、Asker−C硬度:82)を使用した。砥粒には平均一次粒子径1μmの酸化セリウム砥粒を用いた。加工時の最大荷重は9.0kPaとした。キャリアとしては、図3に示されるように、2重の同心円(同心円C1および同心円C2)上にそれぞれ保持孔4a(計22個)が形成されたキャリア4を使用した。キャリア4は図2に示されるように、計5個配置した。加工量は20μmとした。
(選別工程)
同心円C1上に形成された保持孔4aに保持されたガラス基板5を1つのグループとし、同心円C2上に形成された保持孔4aに保持されたガラス基板5を他の1つのグループとして分類することにより、ガラス基板5を選別した。
(第2ポリッシュ工程)
グループ分けしたそれぞれのガラス基板5に対して、第1ポリッシュ工程と同様に両面研磨装置(浜井産業(株)製、16Bタイプ、図2参照)を用いて精密研磨加工した。研磨パッドとしてスウェードパッド(Filwel社製、商品名:NP385、Asker−C硬度:77)を使用した。研磨剤スラリーとして、平均一次粒子径が20nmのコロイダルシリカの砥粒(研磨液成分)を水に分散させてスラリー状にしたものを用いた。水と砥粒との混合比率は、80:20とした。さらに硫酸を含有する調整液でスラリーのpHを調整した。加工時の最大荷重は10.5kPaとした。加工量は3μmとした。
[化学強化工程]
次いで、得られたガラス基板の化学強化処理を行った。化学強化処理液としては、硝酸カリウム(KNO)と硝酸ナトリウム(NaNO)との混合溶融塩の水溶液を用いた。混合比は質量比で1:1とした。化学強化処理液の温度は380℃とし、浸漬時間は25分とした。
[洗浄工程]
ガラス基板をスクラブ洗浄した。洗浄液として、KOHとNaOHとを質量比で1:1に混合したものを超純水(DI水)で希釈し、洗浄能力を高めるために非イオン界面活性剤を添加して得られた液体を用いた。洗浄液の供給は、スプレー噴霧によって行った。スクラブ洗浄後、ガラス基板の表面に残る洗浄液を除去するために、水リンス洗浄工程を超音波槽で2分間行い、IPA洗浄工程を超音波槽で2分間行い、最後に、IPA蒸気によりガラス基板の表面を乾燥させた。
[磁気薄膜形成工程]
Fe−Pt合金をスパッタリング法によりガラス基板を成膜し、その後、熱処理(600℃、1時間)を行って磁気薄膜を形成し、磁気記録媒体用ガラス基板を作製した。
<実施例2>
選別工程において、第1ポリッシュ工程を経たガラス基板の板厚を分光干渉レーザ変位計SI−80F((株)キーエンス製)を用いてそれぞれ計測し、板厚の誤差が0.3μm以内にあるものを1つのグループとして分類することにより、ガラス基板を選別した以外は、実施例1と同様の方法によりガラス基板を作製した。
<実施例3>
第1ポリッシュ工程において、図5に示される領域R1および領域R2に分けられたキャリア4を使用し、選別工程において、領域R1に形成された保持孔4aに保持されたガラス基板5を1つのグループ(計14枚)とし、領域R2に形成された保持孔4aに保持されたガラス基板5を他の1つのグループ(計8枚)として分類することにより、ガラス基板5を選別した以外は、実施例1と同様の方法によりガラス基板を作製した。
<実施例4>
選別工程において、第1ポリッシュ工程を経たガラス基板の重量をそれぞれ計測し、重量の誤差が2mg以内にあるものを1つのグループとして分類することにより、ガラス基板を選別した以外は、実施例1と同様の方法によりガラス基板を作製した。
<比較例1>
選別工程を実施せず、第1ポリッシュ工程を経たガラス基板を第2ポリッシュ工程に供した以外は、実施例1と同様の方法によりガラス基板を作製した。
実施例1〜4および比較例1により得られたガラス基板について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
(端面形状)
Zygo社製NewViewを用いて、第2ポリッシュ工程を経たガラス基板の端面の形状を測定し、端面形状の標準偏差(Å)を算出した。測定範囲は、ガラス基板(半径32.5mm)の中心から30.0mmから31.7mmを対象範囲として、半径方向の形状プロファイルを求め、110μmを基準とするローパスフィルタリングを行った後、計測範囲の両端を結ぶ線分からの高さ変位量の最大値を求めた。
(記録可能領域評価)
実施例1〜4、比較例1の製造方法で得られたそれぞれのガラス基板について、メディア化して磁気ドライブに搭載し、記録可能な面内領域を確認した。記録可能な領域が良品基準を満たしている基板の割合を評価した。評価基準を以下に示す。
◎:評価したドライブの97%以上
○: 評価したドライブの94%以上97%未満
△: 評価したドライブの94%未満
Figure 2014071918
表1に示されるように、本発明の製造方法に基づいた実施例1〜4では、比較例1と比べ、選別工程により板厚が略同じに揃えられていたため、端面形状のバラツキが小さく、記録可能領域評価の結果も良好であり、端面形状が優れ、記録可能面積が拡張されたガラス基板が得られた。
1 両面研磨装置
2 上定盤
2a、3a 研磨パッド
3 下定盤
4 キャリア
4a 保持孔
5 ガラス基板

Claims (4)

  1. 研磨工程を有する磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法であって、
    前記研磨工程は、
    Asker−C硬度が60以上90以下の研磨パッドを用いてガラス基板を研磨する第1ポリッシュ工程と、
    該粗研磨工程の後に、板厚に基づいてガラス基板を選別する選別工程と、
    該選別工程の後にAsker−C硬度が60以上90以下の研磨パッドを用いてガラス基板を研磨する第2ポリッシュ工程とを含む、
    磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  2. 前記第1ポリッシュ工程において、ガラス基板を保持する複数の保持孔が形成されたキャリアを使用し、
    前記選別工程において、前記保持孔の位置に基づいて前記ガラス基板を分類することにより選別する、請求項1記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記第1ポリッシュ工程において、同心円状に前記保持孔が形成されたキャリアを使用し、
    前記選別工程において、同心円状に形成された前記保持孔に保持されたガラス基板ごとに分類することにより選別する、請求項2記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記選別工程において、前記第1ポリッシュ工程で研磨されたガラス基板の物性を計測し、該物性に基づいてガラス基板を分類することにより、ガラス基板を選別する、請求項1記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
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