JP2014175023A - 磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】下定盤へ適度な吸着力でガラス基板を吸着させることができ、ガラス基板を円滑に回収し得る磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供する。
【解決手段】研磨工程を有し、研磨工程は、円盤状キャリアに保持されたガラス基板を上下定盤により挟持して回転させながら面内方向に相対移動させて研磨する工程と、その後に、開始時の荷重が0.5〜4.9Pa、終了時の荷重が0.0〜2.0kPaとなるように、荷重を維持、または下げながら、ガラス基板に対する上定盤の相対速度が、ガラス基板に対する下定盤の相対速度よりも大きくなるように上定盤を回転させる工程とを備える磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
【選択図】図4

Description

本発明は、磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法に関する。
磁気記録媒体用ガラス基板(以下、単にガラス基板ともいう)の製造方法において、ガラス基板の主表面は、優れた平滑性を実現するために、たとえば両面研磨装置を用いて研磨される。図1は、両面研磨装置1の概略的な模式図である。両面研磨装置1は、上定盤2と下定盤3とからなる一対の金属製の定盤と、ガラス基板5を保持する円盤状キャリア4とを備える。円盤状キャリア4の保持孔4aに保持されたガラス基板5は、研磨パッド2aを備えた上定盤2と研磨パッド3aを備えた下定盤3とにより挟持される。この状態で、上定盤2および下定盤3と、円盤状キャリア4とが互いに摺動するように回転することにより、ガラス基板5の両主表面は研磨される。
ところで、両面研磨工程を経たガラス基板5は、下定盤3の表面から、手作業または冶具を用いて回収される。そのため、ガラス基板5が上定盤2に貼りつくと回収に手間がかかる。また、剥がし忘れたガラス基板5が上定盤2に貼りついたまま、あらたに別のガラス基板5が保持された円盤状キャリア4を定盤で挟持してしまうと、研磨パッドが圧迫されて使用不能となる場合がある。
このような問題に対し、特許文献1には、上定盤に対する下定盤の回転速度を相対的に高くして、ガラス基板を下定盤に貼りつける方法が提案されている。また、特許文献2では上定盤を一定量上昇させてから、リンス液を注入し、基板を剥離させる方法が提案されている。
特開2010−231846号公報 特開2000−141212号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法によれば、下定盤を回転させる際に、ガラス基板と下定盤に貼り付けられている研磨パッドとの間に存在する研磨剤スラリーが外部に排出されるため、ガラス基板が下定盤に強固に吸着されてしまうという問題がある。また、このように強固に吸着されたガラス基板を回収する際には、ガラス基板の主表面を吸着する冶具を使用して、高い圧力でガラス基板を吸着しながら下定盤から剥がす必要がある。その際、ガラス基板の表面に微細な傷をつける、または破損させてしまうという問題がある。また、ガラス基板の主表面上に研磨剤が残存している場合には、冶具をガラス基板の主表面に吸着させた際に、その研磨剤をガラス基板の主表面に押し付けてしまい、付着物の残留等の不良を生じるという問題がある。
また、特許文献2に記載の方法によれば、下定盤とガラス基板の間にリンス液、または研磨スラリーが残存するため、下定盤に基板が吸着されない。このため、ガラス基板を回収する時には下定盤の上を基板が横滑りし、外周部分が互いに接触して傷が発生し、品質上の課題となっていた。
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、下定盤へ適度な吸着力でガラス基板を吸着させることができ、ガラス基板を円滑に回収し得る磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法は、研磨工程を有する磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法であって、前記研磨工程は、上定盤と下定盤とからなる回転可能な一対の定盤と、円盤状キャリアと、を備えた両面研磨装置を用いて、前記円盤状キャリアに保持された前記ガラス基板を前記上定盤と下定盤とにより挟持して回転させながら面内方向に相対移動させて研磨する両面研磨工程と、前記両面研磨工程の後に、開始時の荷重が0.5kPa以上4.9kPa以下、終了時の荷重が0.0kPa以上2.0kPa以下となるように、荷重を一定の値に保ち、または下げながら、前記ガラス基板を前記下定盤に押し付け、かつ、前記ガラス基板に対する上定盤の相対速度が、前記ガラス基板に対する下定盤の相対速度よりも大きくなるように上定盤を回転させる上定盤回転工程とを備える。
本発明においては、研磨工程後に一度ガラス基板上にかかる荷重を上げて押し付けることで、ガラス基板の上下主表面上に存在する液体の大半を取り除き、下定盤側へある程度ガラス基板を吸着させる。続いて荷重を下げて回転させることで、上定盤とガラス基板との間にせん断力を発生させて、上定盤とガラス基板との間に残存する境膜を破壊する。これらの操作により、品質面に悪影響させず、上定盤に対する貼付きの発生を解消することができる。また、ガラス基板は、下定盤に適度な吸着力で吸着されているため、容易に回収が可能であるとともに、外端面の傷の発生による品質の低下が無い。また、ガラス基板の主表面を吸着する冶具を使用して回収する場合であっても、高い圧力でガラス基板を吸着することなくガラス基板を回収できるため、ガラス基板の表面に微細な傷をつけたり、破損させたりすることがない。また、ガラス基板上に研磨剤が残存している場合には、その研磨剤をガラス基板の主表面に押し付けて、付着物の残留等の不良を生じることもない。
上定盤側より、純水、または、研磨工程で使用される研磨液よりも砥粒濃度の低いリンス液を供給しながら前記上定盤回転工程を行うことが好ましい。
純水またはリンス液を供給しながら上定盤回転工程を行うことにより、上定盤とガラス基板の境膜が破壊された後に再度境膜が発生し再付着が発生するのを防止できる。
前記上定盤回転工程において、前記両面研磨工程における回転方向と逆方向に上定盤を回転させることが好ましい。
上定盤回転工程において、両面研磨工程における回転方向と逆方向に上定盤を回転させることにより、上下定盤上の研磨パッドによる吸着の状態が変わるため、上定盤からガラス基板が剥がれやすい。
前記上定盤回転工程において、前記両面研磨工程における回転速度の1/4以下の回転速度で上定盤を回転させることが好ましい。
上定盤回転工程において、両面研磨工程における回転速度の1/4以下の回転速度で上定盤を回転させることにより、下定盤へのガラス基板の適度な吸着を維持したまま、上定盤からガラス基板が剥がれやすい。
前記上定盤回転工程の後に、上定盤上昇工程を有し、上定盤上昇工程の開始時刻から、10秒以上保持した後に前記円盤状キャリアからガラス基板を取り出すことが好ましい。
上定盤回転工程の後、10秒以上保持することによりガラス基板と下定盤との吸着が弱まるため、ガラス基板を円盤状キャリアから取り出しやすい。
前記両面研磨工程において、発泡素材からなる研磨パッドまたは研磨布を使用することが好ましい。
両面研磨工程において、発泡素材からなる研磨パッドまたは研磨布を使用することにより、ガラス基板の両主表面を、優れた平坦度を示すよう研磨することができる。一般に平坦度の優れたガラス基板は、定盤に貼りつきやすいが、本発明は、上定盤回転工程を備えているため、このような研磨パッド等を使用する場合であっても、上定盤に貼りつきにくく、下定盤に適度に吸着されるガラス基板を製造することができる。
前記両面研磨工程において、研磨剤として遊離砥粒を使用することが好ましい。
両面研磨工程において、研磨剤として遊離砥粒を使用することにより、ガラス基板の面品位を良好に保つことができる。
前記両面研磨装置が回転軸固定方式であり、前記上定盤回転工程において、ガラス基板の上定盤に対するラップ長が、150mm以上2400mm以下であることが好ましい。
両面研磨装置が回転軸固定方式である場合、回転軸の延長線上に存在する1点において定盤が固定されるため、圧力が定盤面内で均等にかけられるという利点がある。また、ガラス基板の上定盤に対するラップ長を150mm以上2400mm以下とすることで、品質上の課題を発生させずに、基板と上定盤等の間に存在する水の境膜を破壊することができる。
前記上定盤上昇工程における上定盤の鉛直方向の変位量のばらつきが定盤面内で0.5mm以内に収まっていることが好ましい。
上定盤上昇工程における上定盤の鉛直方向の変位量のばらつきが定盤面内で0.5mm以内に収まっていることにより、定盤が傾いて基板に接触し、上定盤側にガラス基板が再付着することが抑えられる。
本発明によれば、下定盤へ適度な吸着力でガラス基板を吸着させることができ、ガラス基板を円滑に回収し得る磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態のガラス基板の製造方法において使用する両面研磨装置の概略的な模式図である。 図2は、本発明の一実施形態のガラス基板の製造方法における各工程のフローチャートである。 図3は、本発明の一実施形態のガラス基板の製造方法において使用される円盤状キャリアの概略的な模式図である。 図4は、本発明の一実施形態におけるガラス基板の製造方法のうち、第2ポリッシュ工程を示すフローチャートである。 図5は、本発明の一実施形態におけるガラス基板の製造方法のうち、上定盤回転工程においてリンス液を供給しながら上定盤を回転させている状態の概略的な模式図である。
以下、本発明のガラス基板の製造方法の実施形態について詳細に説明する。図2は、本実施形態のガラス基板の製造方法における各工程のフローチャートである。ガラス基板は、たとえばガラスブランク材準備工程(ガラス素材溶融工程、プレス成形工程)、ガラス基板形成/研削工程(第1ラップ工程、コアリング工程、第2ラップ工程)、研磨工程(第1ポリッシュ工程、第2ポリッシュ工程)、化学強化工程、洗浄工程、磁気薄膜形成工程を経て作製される。まず、本実施形態の特徴部分である第2ポリッシュ工程を詳述する。
<第2ポリッシュ工程(精密研磨工程)>
第2ポリッシュ工程は、後述する第1ポリッシュ工程を経たガラス基板に対して行う研磨工程である。第2ポリッシュ工程では、両面研磨装置(たとえば浜井産業(株)製、16Bタイプ)が使用される。なお、両面研磨装置としては、回転軸固定方式のものを採用することが好ましい。ここで回転軸固定方式とは、定盤の回転軸上1点において定盤が固定される方式を指す。この方式により圧力が定盤面内で均等にかけられるという利点がある。図4は、本実施形態における第2ポリッシュ工程の内訳を示すフローチャートである。第2ポリッシュ工程は、たとえば、キャリア配置工程、ガラス基板配置工程、両面研磨工程、上定盤回転工程、上定盤上昇工程、キャリア取り外し工程、ガラス基板取り出し工程を含む。
(キャリア配置工程)
キャリア配置工程では、円盤状キャリアは、研磨パッドまたは研磨布(以下、単に研磨パッド等ともいう)を備えた下定盤上に配置される(図1では、研磨パッド3aを備えた下定盤3上に5つの円盤状キャリア4が配置された場合を例示)。
研磨パッド等は、ガラス基板5の両主表面を研磨加工するための加工工具である。研磨パッド等としては特に限定されず、たとえば、独立発泡を有する硬質ウレタンパッド、連続発泡を有する軟質発泡ポリウレタンパッド(スウェードパッド)、もしくは不織布などを使用することできる。これらの中でも、発泡素材からなる研磨パッド等を使用することが好ましい。具体的には、低硬度の軟質発泡ポリウレタンパッド(たとえばFilwel製のNP225、硬度Asker−C硬度76)を使用することが好ましい。発泡素材からなる研磨パッド等を使用することにより、ガラス基板5の両主表面を、優れた平坦度を示すよう研磨することができる。一般に、平坦度の優れたガラス基板は定盤に貼りつきやすいが、本実施形態では、後述する上定盤回転工程(図4参照)を備えているため、このような研磨パッド等を使用する場合であっても、上定盤2に貼りつきにくく、下定盤3に適度に吸着されるガラス基板5を製造することができる。
円盤状キャリア4は、上定盤2および下定盤3によりガラス基板5を挟持する際に、ガラス基板5を保持する冶具である。円盤状キャリア4は、複数の保持孔4aを備え、ガラス基板5は、該保持孔4aに保持される。保持孔4aは貫通孔である。図3は、本実施形態で使用される円盤状キャリア4の概略的な模式図である。円盤状キャリア4には、2重の環状(同心円状)に複数の保持孔4aが設けられている。複数の保持孔4aの個数および配置は特に限定されない(図3では、内周側(内環状)に8個、外周側(外環状)に14個、計22個の保持孔4aが環状に設けられた円盤状キャリア4を例示)。
円盤状キャリア4の厚みは、ガラス基板5の厚みよりも小さい。そのため、ガラス基板5の両主表面は、保持孔4aに保持された状態で、一部が円盤状キャリア4から露出する。その結果、ガラス基板5は、保持孔4aに保持された状態で、上定盤2および下定盤3とにより上下から挟持され得る。円盤状キャリア4の外周面にはギア(図示せず)が設けられており、当該ギアは、下定盤3の中心側と外周側に設けられたそれぞれのギア(図示せず)と噛み合わされる。後述する両面研磨工程において、これらギアが噛み合った状態において下定盤3が回転すると、円盤状キャリア4はガラス基板5を保持しながら自転しつつ公転される。
(ガラス基板配置工程)
ガラス基板配置工程では、円盤状キャリア4の保持孔4aに、後述する第1ポリッシュ工程を経たガラス基板5が配置される。配置されるガラス基板5の数は特に限定されず、保持孔4aすべてに配置してもよく、一部の保持孔4aにのみ配置してもよい。円盤状キャリア4が配置されたガラス基板5の両主表面のうち、一方の主表面は、下定盤3の備える研磨パッド3aと接触する。
(両面研磨工程)
両面研磨工程では、円盤状キャリア4の保持孔4aに保持されたガラス基板5は、上記した研磨パッドをそれぞれ備える上下一対の定盤で挟持された状態で、上定盤2と下定盤3とを円盤状キャリア4の公転方向に対して互いに反対方向に回転させることにより研磨される。このときの円盤状キャリア4に対する上定盤2の回転速度としては、たとえば、左回り5〜20rpmとすることができ、下定盤3の回転速度としては、たとえば、右回りに5〜20rpmとすることができる。
研磨時に添加する研磨剤スラリーとしては特に限定されず、たとえば、酸化セリウム等を含有するスラリーや、平均粒径が20〜70nmのコロイダルシリカ等の遊離砥粒を溶媒に分散させてスラリー状にしたものを研磨剤スラリーとして用いることができる。溶媒としては特に限定されず、水を使用することができる。また、これら溶媒には、界面活性材や分散剤を添加することができる。溶媒とコロイダルシリカとの混合比率は、重量比で1:9〜3:7程度とすることができる。研磨剤スラリーの添加量としては特に限定されず、たとえば、100〜600mL/分とすることができる。
両面研磨工程における研磨量は、2〜5μm程度とすることができる。研磨量をこのような範囲とすることにより、得られるガラス基板5は、ガラス基板5の表面に発生した微小な荒れやうねり、あるいはこれまでの工程で発生した微小なキズ痕といった微小欠陥が良好に除去される。また、両面研磨工程の研磨条件を適宜調整することにより、ガラス基板5の両主表面の平坦度を3μm以下、ガラス基板5の両主表面の面粗さRaを0.1nmまで小さくすることができる。両面研磨工程における研磨パッドがガラス基板5に与える荷重の最大値は、たとえば5〜13kPa程度とすることができる。
(上定盤回転工程)
上定盤回転工程では、両面研磨工程を経たガラス基板5に対して、上定盤2側から下定盤3側へ、開始時には0.5kPa以上4.9kPa以下、終了時には0.0kPa以上2.0kPa以下の荷重が加えられる。開始時に加えられる荷重が0.5kPa未満の場合、ガラス基板と下定盤の間の液体が取り除かれず、下定盤に適度に吸着されない。その結果、定盤を上昇させる際の揺れの影響により、基板が上定盤に接触すると、上定盤側に再吸着してしまうなどの問題がある。一方、開始時に加えられる荷重が4.9kPaを超える場合、定盤の浮上が発生しないため、境膜が充分に破壊されず、上定盤回転工程の終了後に上定盤に基板が吸着する問題がある。また、終了時に加えられる荷重が2.0kPaを超える場合、定盤の浮上が発生しないため、境膜が破壊されず、上定盤回転工程の終了後に上定盤に基板が吸着する問題がある。荷重を上記範囲内に調整する方法としては特に限定されず、たとえば、両面研磨工程において加えていた荷重の値を小さくすることにより、上記範囲内に調整してもよく、新たに荷重を加えることにより調整してもよい。また、荷重を加える時間としては、5〜30秒程度が好ましい。ガラス基板5に荷重が加えられる際において、上定盤2、下定盤3および円盤状キャリア4は、いずれも回転していてもよく、停止していてもよい。下定盤側に強く吸着するのを防ぐため、下定盤3と円盤状キャリア4とは停止していることが好ましい。
ガラス基板5に対する上定盤2の相対速度が、ガラス基板5に対する下定盤3の相対速度よりも大きくなるように、上定盤2を回転させる。なお、本明細書において、「ガラス基板に対する上定盤の相対速度」は、キャリア中心位置が上定盤に対してなす相対速度をもってその代表値とできる。また、「ガラス基板に対する下定盤の相対速度」は、キャリア中心位置が下定盤に対してなす相対速度をもってその代表値とできる。これらの相対速度は上下定盤回転軸まわりのキャリアの相対回転速度に比例する。上下定盤回転軸まわりのキャリアの相対回転速度は、キャリアが上下定盤の回転軸周りに行う公転の回転速度と、上下定盤の回転速度の差として表すことができる。上下定盤回転軸まわりのキャリアの相対回転速度としては特に限定されないが、たとえば、5〜30rpmとすることができる。好ましくは、上定盤回転工程における上定盤2の回転速度は、両面研磨工程における回転速度の1/4以下であることが好ましく、1/5〜1/10であることがより好ましい。両面研磨工程における回転速度の1/4以下の回転速度で上定盤2を回転させることにより、下定盤3へのガラス基板5の適度な吸着を維持したまま、上定盤2のみをガラス基板5から剥がしやすい。
また、上定盤回転工程における上定盤2の回転方向としては特に限定されないが、両面研磨工程における回転方向と逆方向に回転させることが好ましい。両面研磨工程における回転方向と逆方向に上定盤2を回転させることにより、上定盤2のみをガラス基板5から剥がしやすい。
さらに、上定盤2側よりリンス液を供給しながら上定盤2を回転させることが好ましい。図5は、上定盤回転工程においてリンス液を供給しながら上定盤を回転させている状態の概略的な模式図である。図5において、矢印A1は、リンス液の供給方向を示し、矢印A2は、ガラス基板5から下定盤に加えられる荷重の向きを示しており、矢印A3は、上定盤2の回転方向を示している。リンス液を供給しながら上定盤回転工程を行うことにより、上定盤とガラス基板の境膜が破壊された後に再度境膜が発生するのを防止できると同時に、摩擦により生じる品質低下を抑える事ができる。その結果、後述するガラス基板取り出し工程においてガラス基板5を取り出して回収しやすい。リンス液としては特に限定されず、たとえば純水、または、研磨工程で使用される研磨液よりも砥粒濃度の低いスラリーなどを使用することができる。リンス液の添加量としては特に限定されず、0.5〜20L/分程度である。なお、リンス液は、上定盤2に設けられた吐出口(図示せず)よりガラス基板5上に供給することができる。
上定盤回転工程において、ガラス基板の上定盤に対するラップ長を150mm以上2400mm以下とすることが好ましい。これにより、品質上の課題を発生させずに、基板と上定盤等との間に存在する水の境膜を破壊することができる。なお、本明細書において、ガラス基板の上定盤に対するラップ長とは、ガラス基板の中心が上定盤に対してなす軌跡の長さをいう。また、ラップ長の値はキャリアに保持されるガラス基板の平均値をとったものとする。
(上定盤上昇工程)
上定盤上昇工程は、上定盤2をガラス基板5から上昇させる工程である。上定盤上昇工程において、上定盤2の鉛直方向の変位量のばらつきが定盤面内で0.5mm以内に収まっていることが好ましい。これにより、定盤が傾いて基板に接触し、上定盤側にガラス基板が再付着することが抑えられる。
(キャリア取り外し工程)
キャリア取り外し工程では、両面研磨装置1から円盤状キャリア4が取り外される。キャリア取り外し工程は1バッチの加工毎に行われる。円盤状キャリア4に対しては、取り外し工程で取り外した後に洗浄したり、メンテナンスを行ったり、異なる個数や配置の保持孔が形成された他の円盤状キャリアへの交換を行ってもよい。
(ガラス基板取り出し工程)
ガラス基板取り出し工程では、下定盤3からガラス基板5を取り出して回収する。ガラス基板5は、適度に下定盤3に吸着されているため、手作業により、または冶具を用いて容易に取り出し得る。回収されたガラス基板5は、後続する化学強化工程や洗浄工程に運ばれる。
ガラス基板取り出し工程では、上定盤回転工程を終えた直後にガラス基板5を取り出してもよく、所定の時間が経過した後に取り出してもよい。所定の時間が経過するまで保持する場合には、保持時間は10秒以上が好ましい。上定盤回転工程の後、10秒以上保持することによりガラス基板5と下定盤3との吸着が適度に弱まり、ガラス基板5を取り出しやすい。
次に、本実施形態が採用し得るその他の工程について図2を参照しながら説明する。なお、本実施形態のガラス基板の製造方法は、上記した第2ポリッシュ工程(特に上定盤回転工程)を有していればよく、その他の工程については特に限定されない。そのため、以下に説明するその他の工程は、例示であり、適宜設計変更を行うことができる。
<ガラスブランク材準備工程>
ガラスブランク材準備工程には、ガラス素材を溶融するガラス素材溶融工程と、溶融したガラス素材からガラス基板(ブランクス)を得るプレス成形工程とが含まれる。
ガラス素材の材料としては、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、LiO−SiO系ガラス、LiO−Al−SiO系ガラス、R’O−Al−SiO系ガラス(R’=Mg、Ca、Sr、Ba)等を使用することができる。
ガラス素材溶融工程においてガラスを溶融する方法としては特に限定されず、通常は上記ガラス素材を公知の温度、時間にて高温で溶融する方法を採用することができる。
プレス成形工程においてブランクスを得る方法としては特に限定されず、たとえば溶融したガラス素材を下型に流し込み、上型によってプレス成型して円板状のガラス基板(ブランクス)を得る方法を採用することができる。なお、ブランクスは、プレス成型に限られず、たとえばダウンドロー法やフロート法等で形成したシートガラスを研削砥石で切り出して作製してもよく、これらの場合にはプレス成形工程はその他の工程(たとえばガラスを切り出す工程等)に置き換えられる。この成型工程において、ブランクスの表面近傍には、異物や気泡が混入し、あるいはキズがついて、欠陥が発生することとなる。
ブランクスの大きさとしては特に限定されず、たとえば、外径が2.5インチ、1.8インチ、1インチ、0.8インチ等の種々の大きさのブランクスを作製することができる。ガラス基板の厚みについては特に限定されず、たとえば、2mm、1mm、0.8mm、0.63mm等の種々の厚みのブランクスを作製することができる。
プレス成型や切り出しによって作製されたブランクスは、耐熱部材のセッターと交互に積層し、高温の電気炉を通過させることにより、反りの低減やガラスの結晶化を促進させることができる。
<ガラス基板形成/研削工程>
ガラス基板形成/研削工程には、第1ラップ工程と、コアリング(内外周カット)工程と、第2ラップ工程とが含まれる。
第1ラップ工程は、ブランクスの両主表面を研削加工してガラス基板の平行度、平坦度および厚みを予備調整する工程である。第1ラップ工程におけるラッピング加工は、遊星歯車機構を利用した両面ラッピング装置により、アルミナ系遊離砥粒を用いて行うことができる。具体的には、ラッピング加工は、ブランクスの両主表面に上下からラップ定盤を押圧させ、遊離砥粒を含む研削液を板状ガラスの主表面上に供給し、これらを相対的に移動させることにより行うことができる。このラッピング加工により、平坦な主表面を有するガラス基板が得られる。
コアリング(内外周カット)工程は、ガラス基板の中心部に円形の孔(中心孔)を開ける工程である。具体的には、コアリング(内外周カット)工程は、円筒状のダイヤモンドドリルを用いて、このガラス基板の中心部に内孔を形成し、円環状のガラス基板を成形する工程である。得られたガラス基板の内周端面および外周端面は、ダイヤモンド等を用いた鼓状の研削砥石によって研削することにより、所定の面取り加工が施される。また、ガラス基板の内周面は、内周端面研磨機により研磨され、ガラス基板の外周面は、外周端面研磨機により外周端面を研磨される。
第2ラップ工程は、ガラス基板の両主表面を研削し、大きな傷を除去するとともに、平坦度を向上させる工程である。第2ラップ工程では、ガラス基板の両主表面をラッピング機(浜井産業(株)製)でラッピング加工する。ラッピング条件としては特に限定されないが、たとえば、#1500メッシュのダイヤモンドペレットを用い、荷重100g/cmとし、上定盤の回転速度を30rpm、下定盤の回転速度を10rpmとすることができる。第2ラップ工程を経て得られるガラス基板の表面粗さは、例えば、Rmaxが3μm、Raが0.3μm程度である。第2ラップ工程を経たガラス基板は、大きなうねり、欠け、ひび等の欠陥がほぼ除去される。
なお、ガラス基板形成/研削工程を経たガラス基板には、表面に研削液やガラス粉が残存している可能性がある。そのため、本実施形態では、洗浄工程を設けることが好ましい。洗浄工程においては、種々の洗浄方法を採用することができる。たとえば、ガラス基板に対して、アルカリ洗浄のみを行ってもよく、また、酸洗浄を行った後にアルカリ洗浄を行ってもよく、また、酸洗浄のみを行ってもよい。
<研磨工程>
研磨工程には、第1ポリッシュ工程(粗研磨工程)と、第2ポリッシュ工程(精密研磨工程)とが含まれる。
第1ポリッシュ工程は、後続する第2ポリッシュ工程において最終的に必要とされる面粗さが効率よく得られるように、ガラス基板の両主表面を研磨加工する工程である。この工程で採用される研磨方法としては特に限定されず、両面研磨装置を用いて研磨することができる。
使用する研磨パッドは、研磨パッドの硬度が研磨による発熱により低下すると研磨面の形状変化が大きくなるため、硬質パッドを使用することが好ましく、たとえば発泡ウレタンを使用することが好ましい。研磨液は、平均一次粒子径が0.6〜2.5μmの酸化セリウムを砥粒として使用し、この砥粒を水に分散させてスラリー状にしたものが好ましい。水と酸化セリウムとの混合比率は、1:9〜3:7程度である。第1ポリッシュ工程におけるガラス基板の研磨量は25〜40μm程度とするのが好ましい。ガラス基板の研磨量が25μm未満の場合には、キズや欠陥を充分に除去できない傾向がある。一方、ガラス基板の研磨量が40μmを超える場合には、必要以上に研磨を行うことになって製造効率が低下する傾向がある。
第2ポリッシュ工程は、上記したとおりである。本実施形態のガラス基板の製造方法は、両面研磨工程の後に、上定盤回転工程を備える(図4参照)。上定盤回転工程では、ガラス基板は、上記荷重をかけて下定盤に押し付けられ、適度に下定盤に吸着される。そして、ガラス基板に対する下定盤の相対速度よりも、ガラス基板に対する上定盤の相対速度が大きくなるように上定盤を回転させ、荷重を徐々に下げる事によって上定盤側の境膜を破壊し、ガラス基板を下定盤に吸着させたまま、上定盤のみをガラス基板から剥がすことができる。ガラス基板は、下定盤に適度な吸着力で吸着されているため、容易に回収することができる。また、ガラス基板の主表面を吸着する冶具を使用して回収する場合であっても、高い圧力でガラス基板を吸着することなくガラス基板を回収できるため、ガラス基板の表面に微細な傷をつけたり、破損させたりすることがない。また、ガラス基板上に研磨剤が残存している場合には、その研磨剤をガラス基板の主表面に押し付けて、付着物の残留等の不良を生じることもない。
<化学強化工程>
化学強化工程は、ガラス基板を強化処理液に浸漬し、ガラス基板の耐衝撃性、耐振動性および耐熱性等を向上させる工程である。
化学強化工程において採用される化学強化方法としては特に限定されないが、通常は、加熱された強化処理液にガラス基板を浸漬させて、ガラス基板に含まれる比較的イオン半径の小さなアルカリイオン(たとえばリチウムイオン)を、イオン半径のより大きなアルカリイオン(たとえばカリウムイオン、ナトリウムイオン)に置換するイオン交換法が採用される。化学強化工程を採用することにより、ガラス基板の主表面、外周端面および内周端面に強化層(イオン交換層および圧縮応力層)を形成することができる。
なお、化学強化工程後に、ガラス基板を大気中に待機させる待機工程や、水浸漬工程を採用して、ガラス基板の表面に付着した強化処理液を除去するとともに、ガラス基板の表面を均質化することが好ましい。このような工程を採用することにより、得られるガラス基板は、化学強化層が均質に形成され圧縮歪が均質となり変形が生じ難く平坦度が良好であり、機械的強度に優れる。待機時間や水浸漬工程の水温は特に限定されず、たとえば大気中に1〜60秒待機させ、35〜100℃程度の水に浸漬させるとよく、ユーザが製造効率を考慮して適宜決めればよい。
<洗浄工程>
洗浄工程は、ガラス基板を洗浄し、清浄にする工程である。洗浄方法としては特に限定されず、ガラス基板の表面を清浄にできる洗浄方法であればよい。
洗浄されたガラス基板は、必要に応じて超音波による洗浄および乾燥工程を行う。乾燥工程は、ガラス基板の表面に残る洗浄液をイソプロピルアルコール(IPA)等により除去した後、ガラス基板の表面を乾燥させる工程である。たとえば、洗浄工程は、スクラブ洗浄後のガラス基板に水リンス洗浄工程を2分間行ない、洗浄液の残渣を除去する工程を採用することができる。次いで、洗浄工程は、IPA洗浄工程を2分間行い、ガラス基板の表面に残る水をIPAにより除去する工程を採用することができる。最後に、洗浄工程は、IPA蒸気乾燥工程を2分間行い、ガラス基板の表面に付着している液状のIPAをIPA蒸気により除去しつつ乾燥させる工程を採用することができる。ガラス基板の乾燥工程としては特に限定されず、たとえばスピン乾燥、エアーナイフ乾燥などの、ガラス基板の乾燥方法として公知の乾燥方法を採用することができる。これらの工程を経たガラス基板は、キズ、割れ、異物の付着等の有無を、目視や光学表面アナライザ(たとえば、KLA−TENCOL社製の「Candela6100」)を用いて検査した後、異物等が表面に付着しないように、清浄な環境中で、専用収納カセットに収納され、真空パックされた後に出荷することができる。
<磁気薄膜形成工程>
磁気薄膜形成工程は、蒸着装置を用いてガラス基板に磁気薄膜(磁性膜)を形成する工程である。磁性膜の形成方法としては特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。たとえば、磁性粒子を分散させた熱硬化性樹脂を基板上にスピンコートして形成する方法や、スパッタリング、無電解めっきにより形成する方法を採用することができる。スピンコート法での膜厚は約0.3〜1.2μm程度、スパッタリング法での膜厚は0.04〜0.08μm程度、無電解めっき法での膜厚は0.05〜0.1μm程度である。これらの形成方法により磁性膜を成膜する場合、磁性膜の種類によっては、ガラス基板は、100〜500℃程度に保持される。
磁性膜に用いる磁性材料としては特に限定されず、従来公知の磁性材料を用いることができる。高い保磁力を得るために、結晶異方性の高いCoを基本とし、残留磁束密度を調整する目的でNiやCrを加えたCo系合金などを用いることができる。
また、記録用のメディアを作製する場合には、Co−Pt合金のように、遷移金属元素と貴金属元素とからなる合金であって、遷移金属元素(Co)と貴金属元素(Pt)との原子含有量がほぼ等しい合金や、遷移金属元素(Co)と貴金属元素(Pt)との原子含有量がほぼ等しく、かつ、Niの原子含有量が0.1%以上50%以下であるCo−Ni−Pt合金や、遷移金属元素(CoおよびNi)と貴金属元素(Pt)との原子含有量がほぼ等しいCo−Ni−Pt合金や、Co−Cr−Pt合金や、Fe−Pt合金と、Cu酸化物とを含有した薄膜を形成することが好ましい。この場合、薄膜の下部には、ソフト磁性層(保磁力の小さな材料、Co系アモルファスなど)を積層することができる。
また、磁気ヘッドの滑りをよくするために、磁性膜の表面に潤滑剤をコーティングしてもよい。さらに必要に応じて、磁性膜には、下地層や保護層を設けてもよい。下地層および保護層は、磁性膜の種類に応じて選択される。
以上、本実施形態のガラス基板の製造方法によれば、下定盤へ適度な吸着力でガラス基板を吸着させることができ、ガラス基板を円滑に回収し得る磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することができる。
なお、本実施形態のガラス基板の製造方法は、必要に応じて、第1ポリッシュ工程を省略したり、化学強化工程を第2ポリッシュ工程の前に行ったりなどの設計変更が可能である。
さらに、本実施形態では、落下強度対策として、ガラス基板の主表面以外の外周端面や内周端面に化学強化処理を行う工程を採用してもよいし、ガラス基板に生じた傷のエッジ緩和処理として、ガラス基板をフッ化水素浸漬処理に供する工程を採用してもよい。
以下、本発明のガラス基板の製造方法を実施例により詳述する。なお、本発明のガラス基板の製造方法は、以下に示す実施例になんら限定されるものではない。
<実施例1>
以下の方法によりガラス基板を作製した。
[ガラスブランク材準備工程]
ガラス素材として、SiO、Al、RO(R=K、Na、Li)を主成分としたアルミノシリケートガラスを用い、溶融したガラス素材をプレス成形して、外径が67mmの円板状のブランクスを作製した。ブランクスの厚みは1.0mmとした。
[ガラス基板形成/研削工程]
ブランクスの両主表面を、両面研削機(浜井産業(株)製、16Bタイプ)を用いて研削加工した。研削条件として、粒度#600のアルミナ粉末を使用し、荷重は50g/cm、上定盤の回転速度を30rpm、下定盤の回転速度を20rpmとした。
次いで、円筒状のダイヤモンド砥石を備えたコアドリルを用いてブランクスの中心部に直径が約19.6mmの円形の中心孔を開けた。鼓状のダイヤモンド砥石を用いて、ブランクスの外周端面および内周端面を、外径65mm、内径20mmに内・外径加工した。
次に、ブランクスを100枚重ね、この状態で、ブランクスの外周端面および内周端面を、端面研磨機((株)舘野機械製作所製、TKV−1)を用いて研磨加工した。研磨機のブラシ毛として、直径が0.2mmのナイロン繊維を用いた。研磨液は、平均一次粒子径が3μmの酸化セリウムを砥粒(研磨液成分)として含有するスラリーを用いた。
その後、ブランクスの両表面を、両面研削機(浜井産業(株)製、16Bタイプ)を用いて再び研削加工した。研削条件として、ダイヤモンドペレットは#1700メッシュのものを用い、加重は100g/cmとし、上定盤の回転速度は20rpmとし、下定盤の回転速度は30rpmとした。
[研磨工程]
(第1ポリッシュ工程)
ブランクスの両表面を、両面研磨装置(浜井産業(株)製、16Bタイプ)を用いて粗研磨加工した。両面研磨装置の上下定盤はいずれも外周径が1157mm、内周径が367mmのものを用いた。研磨パッドには発泡ウレタンパッドを、砥粒には平均一次粒子径1μmの酸化セリウム砥粒を用いた。荷重は100g/cmとした。
(第2ポリッシュ工程)
両面研磨装置(浜井産業(株)製、16Bタイプ、図1および図3参照)の下定盤に、ガラス基板の保持孔が環状に計22個(内周側に8個、外周側に14個)形成された円盤状キャリアを5個(保持孔は計110個)配置し(キャリア配置工程)、それぞれのキャリアの保持孔(計22個)のうち、研磨時に釣り合いがとれる任意の20箇所に、ガラス基板(計100枚)を配置した(ガラス基板配置工程)。
次いで、研磨パッド(Filwel社製、商品名:NP325、スウェードパッド)を取り付けた上下の定盤でガラス基板を挟持し、主表面の加工量が2.0μmとなるようガラス基板の両主表面を研磨した(両面研磨工程)。このとき、研磨剤スラリーとして、平均一次粒子径が20nmのコロイダルシリカの砥粒(研磨液成分)を水に分散させてスラリー状にしたものを用いた。水と砥粒との混合比率は、80:20とした。さらに硫酸を含有する調整液でスラリーのpHを調整した。また、荷重は約11kPaとした。このときの上定盤の回転速度は5rpm(左回り方向)とし、下定盤の回転速度は15rpm(右回り方向)とし、円盤状キャリアの公転速度は5rpm(右回り方向)とした。
次に、下定盤と円盤状キャリアを停止し、開始時の荷重として4.2kPaの荷重をかけてガラス基板を下定盤へ押し付け、その後、最終時の荷重が0.8kPaとなるように荷重を変更させながら、加えたまま上定盤のみを3rpm(右回り方向)に30秒間回転させた(上定盤回転工程)。このときのガラス基板に対する上定盤の相対速度は3rpmであり、ガラス基板に対する下定盤の回転速度は0rpmであった。
上定盤を停止し、ゆっくりと(約1cm/秒)上定盤を上昇させてガラス基板から上定盤を剥がし(上定盤上昇工程)、円盤状キャリアを取り外した(キャリア取り外し工程)。その後、上定盤の上昇開始から15秒後にガラス基板を回収するとともに(ガラス基板取り出し工程)、上定盤に貼りついたガラス基板の個数を計数した。上定盤を上昇させる際には、キーエンス社製LK−G500を使用して上定盤の最外周地点(定盤中心から570mmの位置)における鉛直変位量を、円周方向に等間隔となる3ヵ所で計測し、水平状態からの最大変位量のばらつきが上定盤面内で0.5mm以下に収まっていることを確認した。
[化学強化工程]
次いで、得られたガラス基板の化学強化処理を行った。化学強化処理液としては、硝酸カリウム(KNO)と硝酸ナトリウム(NaNO)との混合溶融塩の水溶液を用いた。混合比は質量比で1:1とした。化学強化処理液の温度は380℃とし、浸漬時間は25分とした。
[洗浄工程]
ガラス基板をスクラブ洗浄した。洗浄液として、KOHとNaOHとを質量比で1:1に混合したものを超純水(DI水)で希釈し、洗浄能力を高めるために非イオン界面活性剤を添加して得られた液体を用いた。洗浄液の供給は、スプレー噴霧によって行った。スクラブ洗浄後、ガラス基板の表面に残る洗浄液を除去するために、水リンス洗浄工程を超音波槽で2分間行い、IPA洗浄工程を超音波槽で2分間行い、最後に、IPA蒸気によりガラス基板の表面を乾燥させた。
[磁気薄膜形成工程]
Fe−Pt合金をスパッタリング法によりガラス基板を成膜し、その後、熱処理(600℃、1時間)を行って磁気薄膜を形成し、磁気記録媒体用ガラス基板を作製した。
<実施例2>
上定盤回転工程において、ガラス基板を下定盤へ押し付ける際の開始時の荷重を4.9kPaとした以外は、実施例1と同様の方法によりガラス基板を作製した。
<実施例3>
上定盤回転工程において、ガラス基板を下定盤へ押し付ける際の開始時の荷重を3.6kPaとした以外は、実施例1と同様の方法によりガラス基板を作製した。
<実施例4>
上定盤回転工程において、ガラス基板を下定盤へ押し付ける際の開始時の荷重を0.8kPaとした以外は、実施例1と同様の方法によりガラス基板を作製した。
<実施例5>
上定盤回転工程において、ガラス基板を下定盤へ押し付ける際の終了時の荷重を2.0kPaとした以外は、実施例1と同様の方法によりガラス基板を作製した。
<実施例6>
上定盤回転工程において、下定盤と円盤状キャリアを停止した後、純水を50mL/秒で上定盤側から供給しながらガラス基板を下定盤へ押し付けた以外は、実施例1と同様の方法によりガラス基板を作製した。
<実施例7>
上定盤回転工程における上定盤の回転方向を逆とした以外は、実施例1と同様の方法によりガラス基板を作製した。
<実施例8>
上定盤回転工程における上定盤の回転速度を2rpmとした以外は、実施例1と同様の方法によりガラス基板を作製した。このときのガラス基板に対する下定盤の相対速度は80mm/sであった。
<実施例9>
上定盤回転工程における上定盤の回転速度を0.5rpm、上定盤のみを回転させる時間を5秒とした以外は、実施例1と同様の方法によりガラス基板を作製した。このときのガラス基板に対する下定盤の相対速度は120mm/sであった。
<実施例10>
上定盤回転工程において、下定盤と円盤状キャリアを停止した後、純水を50mL/秒で上定盤側から供給しながらガラス基板を下定盤へ押し付け、上定盤の回転方向を逆とし、上定盤の回転速度を2rpmとした以外は、実施例10と同様の方法により、ガラス基板を作製した。
<比較例1>
上定盤回転工程において、ガラス基板を下定盤へ押し付ける際の開始時の荷重を5.5kPaとした以外は、実施例1と同様の方法によりガラス基板を作製した。
<比較例2>
上定盤回転工程において、ガラス基板を下定盤へ押し付ける際の開始時の荷重を0.0kPaとした以外は、実施例1と同様の方法によりガラス基板を作製した。
<比較例3>
上定盤回転工程において、ガラス基板を下定盤へ押し付ける際の終了時の荷重を3.0kPaとした以外は、実施例1と同様の方法によりガラス基板を作製した。
<比較例4>
上定盤回転工程において、ガラス基板を下定盤へ押し付ける際の開始時の荷重を0.0kPa、終了時の荷重を0.0kPaとした以外は、実施例6と同様の方法によりガラス基板を作製した。
<比較例5>
上定盤回転工程の代わりに、同様の条件で上定盤ではなく下定盤を3rpmで回転させ、停止させた以外は、実施例1と同様の方法によりガラス基板を作製した。
<比較例6>
上定盤回転工程を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法によりガラス基板を作製した。
実施例1〜10および比較例1〜6において、上定盤に貼りついたガラス基板の個数(各実施例、比較例毎に5回試験を行った平均値)を表1に示す。
Figure 2014175023
表1に示されるように、本発明の製造方法に基づいた実施例1〜10で作製したガラス基板と、比較例2、4、5で作製したガラス基板とでは、上定盤回転工程の後に上定盤に貼りついたガラス基板の個数は、5回行った試験の平均で1.0枚以下であった。一方、比較例1、3、6で作製したガラス基板では、上定盤回転工程の後に上定盤に貼りついたガラス基板の個数は、5回行った試験の平均で1.0枚を超えた。実施例6、7、8、10で作製したガラス基板は特に上定盤への吸着が低減されており、特に実施例10で作製したガラス基板では吸着される基板の数が最小となった。
また、加工後の基板を洗浄工程が終わったのちにガラス基板の良品率(収率)の検査を行った。収率の計測は主表面と外周端面について行った。主表面の評価は洗浄後のガラス基板に対して両主表面上のディフェクトを計測し良品と不良品を判別するものであり、SSI−640(He−Neレーザー光源を用いた表面検査装置、システム精工(株)製)を使用した。外周端面の評価は光学顕微鏡による観察により行った。結果、比較例2、4、5で作製したガラス基板では収率の低下が見られた。
さらに、SSI−640で不良品と判定された比較例5で作製したガラス基板について、Candela6100(表面検査装置、KLA−Tenkor社製)でディフェクトの詳細を確認したところ、コロイダルシリカの付着とみられる凸状の欠陥が確認された。本発明の効果により、各実施例では付着物の発生率が改善されたと考えられる。
比較例2、4で作製したガラス基板からは、外周端面の評価において外周端面にキズが生じた基板が散見された。これは、上定盤を上昇させた後にも下定盤と基板の間に水の層が残存するため、基板の回収時に基板が面内方向に移動し、互いに接触する事が原因であると考えられた。
1 両面研磨装置
2 上定盤
2a、3a 研磨パッド
3 下定盤
4 円盤状キャリア
4a 保持孔
5 ガラス基板

Claims (9)

  1. 研磨工程を有する磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法であって、
    前記研磨工程は、
    上定盤と下定盤とからなる回転可能な一対の定盤と、円盤状キャリアと、を備えた両面研磨装置を用いて、前記円盤状キャリアに保持された前記ガラス基板を前記上定盤と下定盤とにより挟持して回転させながら面内方向に相対移動させて研磨する両面研磨工程と、
    前記両面研磨工程の後に、開始時の荷重が0.5kPa以上4.9Pa以下、終了時の荷重が0.0kPa以上2.0kPa以下となるように、荷重を一定の値に維持、または下げながら、前記ガラス基板を前記下定盤に押し付け、かつ、前記ガラス基板に対する上定盤の相対速度が、前記ガラス基板に対する下定盤の相対速度よりも大きくなるように上定盤を回転させる上定盤回転工程とを備える、
    磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  2. 上定盤側より、純水、または、研磨工程で使用される研磨液よりも砥粒濃度の低いリンス液を供給しながら前記上定盤回転工程を行う、請求項1記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記上定盤回転工程において、前記両面研磨工程における回転方向と逆方向に上定盤を回転させる、請求項1または2記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記上定盤回転工程において、前記両面研磨工程における回転速度の1/4以下の回転速度で上定盤を回転させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  5. 前記上定盤回転工程の後に、上定盤上昇工程を有し、上定盤上昇工程の開始時刻から、10秒以上保持した後に前記円盤状キャリアからガラス基板を取り出す、請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  6. 前記両面研磨工程において、発泡素材からなる研磨パッドまたは研磨布を使用する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  7. 前記両面研磨工程において、研磨剤として遊離砥粒を使用する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  8. 前記両面研磨装置が回転軸固定方式であり、前記上定盤回転工程において、ガラス基板の上定盤に対するラップ長が、150mm以上2400mm以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  9. 前記上定盤上昇工程における上定盤の鉛直方向の変位量のばらつきが定盤面内で0.5mm以内に収まっていることを特徴とする、請求項5記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017087407A (ja) * 2015-11-17 2017-05-25 アルバック成膜株式会社 研磨方法、研磨装置

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