JP2010257563A - 磁気ディスク用ガラス基板及びその製造方法 - Google Patents

磁気ディスク用ガラス基板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フロート法で製造された板状ガラスより簡易に作製できる磁気ディスク用ガラス
基板及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の磁気ディスク用ガラス基板は、フロート法で作製された板状ガラスを用いてなり、一対の主面を有する磁気ディスク用ガラス基板であって、一対の主面のうち、フロート法で板状ガラスを作製する際にスズ層が形成された一方の主面を磁気記録に使用しない面とし、他方の面を磁気記録に使用する面とすることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハードディスクドライブ装置(HDD装置)に搭載される磁気ディスク用ガラス基板及びその製造方法に関する。
従来、高記録密度化に適したHDD装置などの磁気ディスク用基板の一つとして、ガラス基板が用いられている。ガラス基板は、金属の基板に比べて剛性が高いので、磁気ディスク装置の高速回転化に適している。また、ガラス基板は、平滑で平坦な表面が得られるので、磁気ヘッドの浮上量を低下させることができ、S/N比の向上及び高記録密度化に適している。
一般に磁気ディスク用ガラス基板は、ガラス原料を加熱融解させて溶融ガラスを準備する工程と、この溶融ガラスから板状ガラスを製造し、その後ディスク状に成形する工程と、ディスク状のガラスを加工し研磨する工程とを含む製造工程により作製される。
溶融ガラスから板状ガラスを製造するにあたっては、例えばフロート法が採用されている(特許文献1)。フロート法で製造された板状ガラスは、最初から主表面が鏡面化されており、また、平坦性に優れるのが特徴である。
特開2006−99857号公報
フロート法で製造された板状ガラスは、製造工程で溶融スズを用いるため、溶融スズに接触した面(ボトム面)と、その反対側の面(トップ面)とがあり、ボトム面側には不可避的に10μm〜50μm程度の厚みのスズ拡散層が形成される。このように、板状ガラスの表面にスズが残存した状態で磁気ディスク用ガラス基板を形成した場合、磁気ディスクとしての機能が著しく低下する。このため、フロート法によって製造された板状ガラスを用いて磁気ディスク用ガラス基板を製造する場合、ガラス表面に含まれるスズを研削工程によって除去する必要がある。
図2にフロート法によって製造された板状ガラスを用いた磁気ディスク用ガラス基板の製造工程の具体的手順の一例を示す。図2に示すように、この製造工程では、フロート法によって製造された板状ガラスを所望のディスク形状よりも大きめの矩形状に切り出す切り出し(ステップS1)、矩形状の板状ガラスを例えばスクライブによりディスク形状に加工する(ステップS2)。次いで、ディスク状ガラスのボトム面のスズ拡散層を研削により除去し(ステップS3)、ディスク状ガラスの端面を研磨する(ステップS4)。次に、ディスク状ガラスの主表面の粗さを第1研磨工程(ステップS5)及び第2研磨工程(ステップS6)により調整し、ディスク状ガラスの表面を化学強化により強化する(ステップS7)。
しかしながら、ディスク状ガラスのボトム面のスズ拡散層を除去する研削工程はコストが高く、磁気ディスク用ガラス基板の製造コストが増大する問題がある。また、研削工程によりガラス表面に深いキズ(クラック)が入ることがある。これを取り除くためには、研磨工程における取代を多く調整する必要が生じるが、研磨工程では取代を多く調整することを想定していないため、取代不足によりキズが残留する等の問題を生じることがあるということが分かってきた。
ところで、磁気ディスクの記録密度は年々増加しており、片面で100GB以上の磁気ディスクも開発されている。現在、磁気ディスクは、両面合わせて必要とする記録密度を満足しているが、このように記録密度が増加していくと、記録密度をあまり必要としない電子機器では、片面だけで必要とする記録密度を満足することになる。このように片面で必要とする記録密度を満足すると、HDD装置側でも1枚の磁気ディスクに対して磁気ヘッドを1本とするなど部品点数を減らすことが出来るためコスト的にも有利となり、かつ薄型化を実現することができる。したがって、片面のみに磁性層を設けた磁気ディスクはこれからニーズが高まることが予想される。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、フロート法で製造された板状ガラスより、簡易に作製できる磁気ディスク用ガラス基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板は、フロート法で作製された板状ガラスを用いてなり、一対の主面を有する磁気ディスク用ガラス基板であって、前記一対の主面のうち、フロート法で板状ガラスを作製する際にスズ層が形成された一方の主面を磁気記録に使用しない面とし、他方の面を磁気記録に使用する面とすることを特徴とする。
この構成によれば、板状ガラスの製造時に溶融スズと接触しない一方の主面を磁気記録に使用する主面とするので、スズ除去のための研削を行う必要がなく、簡易に得られる磁気ディスク用ガラス基板を実現することができる。また、研削工程によるキズの発生を防止することができる。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、フロート法で板状ガラスを得る工程と、前記板状ガラスの一対の主面のうちスズ層が形成されていない主面を磁気記録に使用する面として研磨加工する工程と、を具備することを特徴とする。
この方法によれば、板状ガラスの製造時に溶融スズと接触しない一方の主面を磁気記録に使用する主面とするので、スズ除去のための研削を行う必要がなく、磁気ディスク用ガラス基板を安価に製造することができる。また、研削工程によるキズの発生を防止することができる。
本発明の磁気ディスクの製造方法は、上記磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造された磁気ディスク用ガラス基板の一対の主面のうち、スズ層が形成されていない主面のみに少なくとも磁性層を形成することを特徴とする。
本発明の磁気ディスクは、上記磁気ディスク用ガラス基板の一対の主面のうち、スズ層が形成されていない主面のみを磁気記録面とすべく、スズ層が形成されていない主面のみに少なくとも磁性層を形成してなることを特徴とする。
本発明によれば、フロート法で板状ガラスを作製し、前記板状ガラスの一対の主面のうちスズ層が形成されていない主面のみを磁気記録に使用する面として研磨加工するので、研削工程によるキズの発生を防止することができ、フロート法で製造された板状ガラスから簡易に作製できる磁気ディスク用ガラス基板及びその製造方法を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造工程の具体的手順の一例を示す図である。 従来の磁気ディスク用ガラス基板の製造工程の具体的手順の一例を示す図である。
本発明者は、片面のみに磁性層を設けた磁気ディスク用のガラス基板、すなわち、一方の主面のみを磁気記録に使用する主面とするガラス基板が求められつつあること、フロート法で製造された板状ガラスは一方の主面のみにスズ層が形成されること、に着目し、フロート法でスズ層が形成されない主面のみを磁気記録に使用する主面とすることにより、スズ層の除去のための研削工程を省略できることを見出し本発明をするに至った。
すなわち、本発明の骨子は、フロート法で板状ガラスを作製し、前記板状ガラスの一対の主面のうちスズ層が形成されていない主面のみを磁気記録に使用する面として研磨加工することにより、フロート法で製造された板状ガラスから磁気ディスク用ガラス基板を簡易に作製することである。
以下、本発明の実施の形態としての磁気ディスク用ガラス基板について説明する。
磁気ディスク用ガラス基板の材料としては、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラスなどを用いることができる。特に、化学強化を施すことができ、また主表面の平坦性及び基板強度において優れた磁気ディスク用ガラス基板を提供することができるという点で、アルミノシリケートガラスを好ましく用いることができる。
本実施の形態においては、磁気ディスク用ガラス基板の材料となる板状ガラスは、フロート法で製造する。以下、このフロート法の概略について簡単に説明する。
フロート法では、溶融スズを満たしたフロートバス中に溶融ガラスを導入して溶融ガラス層を形成し、溶融ガラス層を冷却して板状ガラスとしてから板状ガラスと溶融スズ層とを分離する。次いで、板状ガラスのガラス表面を洗浄することにより板状ガラスを製造する。
溶融ガラス層は、溶融スズで満たされたフロートバス中に、ガラス製品の組成に合わせて調合、混合された溶融ガラスを導入して形成される。溶融ガラスは、溶融スズに対して比重が軽いため、フロートバス中で溶融ガラス層が上層、溶融スズ層が下層の2層構造となる。この状態では、下層となる溶融スズ層の上面は表面張力によって平坦、平滑な面が形成されている。一方、この溶融スズ層の上面と接触して界面を形成する溶融ガラス層の下面は、溶融スズ層の上面に合わせて平坦、平滑な面が形成される。また、溶融ガラス層の上面は、溶融ガラス自体の表面張力によって平坦、平滑な面が形成される。このようにして、溶融ガラス層は、上面と下面とが共に平坦、平滑になり、フロートバス中に上層として浮上する状態となっている。
次に、溶融ガラス層を冷却する。ガラスの溶融温度は、スズの融点より高く、フロートバス中の溶融ガラス層及び溶融スズ層を共に徐冷すると溶融ガラス層が先に固化し始める。そして、ガラスの溶融温度以下かつスズの融点以上の温度を保つことにより、溶融ガラス層が完全に固化して板状ガラスとなり、この板状ガラスが溶融スズ上で浮上保持された状態となる。この工程では、溶融ガラスが固化する際に溶融ガラス層の上面及び下面に共に外力が加わることなく、平坦、平滑な状態を持ったまま固化して板状ガラスとなる。このため、得られる板状ガラスの上下の一対の主面は、共に鏡面化されている。
次に、溶融スズ上に浮上保持された板状ガラスと溶融スズ層とをリフトアウトロールなどを用いて分離する。次いで、板状ガラスを室温まで冷却し、板状ガラス表面に付着したスズ成分を洗浄工程などによって除去することにより、板状ガラスを得ることができる。
このように、フロート法によって板状ガラスを製造することにより、板状ガラスの一対の主面を共に鏡面化することができる。また、溶融ガラス層は、溶融スズ上に溶融ガラスを導入する際、溶融ガラスの量を調整することにより、数mmから数百mmまで任意の厚みに形成することができる。さらに、製造工程を通じて溶融スズ上に板状ガラスを浮上保持した状態で板状ガラスを作製することができるので、ガラス製造工程における板状ガラスの搬送などを容易に行うことができる。なお、本実施の形態において、磁気ディスク用ガラス基板は、上記のフロート法でされたものであればガラス組成、板厚には依存されない。
なお、フロート法では、溶融ガラス層は、溶融スズ層状に浮上した状態で固化するので、溶融ガラスの溶融スズ層側の表面では、スズ成分の一部が溶融ガラス層の内面側に侵入する。このため、溶融スズ層と板状ガラスとを分離しても、溶融スズが存在した面側の板状ガラス表面はスズ成分を含み、ガラス表面を洗浄してもスズ成分を完全に除去できない。
本実施の形態に係る磁気ディスク用ガラス基板は、一対の主面を有する磁気ディスク用ガラス基板であって、前記一対の主面のうち、フロート法で板状ガラスを作製する際にスズ層が形成された一方の主面を磁気記録に使用しない面とし、他方の面を磁気記録に使用する面としている。上述したように、フロート法により作製する場合、溶融スズ層と板状ガラスとを分離したとしても、溶融スズ層が存在した面側のガラス表面はスズを含んでいる。したがって、従来のガラス基板の両主表面を磁気記録面として用いるための磁気ディスク用ガラス基板の作製においては、スズを除去するための研削工程が必要であり、研削工程由来のキズが後工程の研磨工程によっても除去されず、欠陥につながることがあった。
このような問題に対し、本実施の形態においては、スズを含んでいる面を磁気記録面として用いないため、スズ除去のための研削を行う必要がなく、簡易に得られる磁気ディスク用ガラス基板を実現することができる。また、研削工程を省略しているので、鏡面化された板状ガラスの表面の平滑さを維持することができる。
次に、本実施の形態に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法について説明する。図1は、本実施の形態に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造工程の具体的手順の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造工程は、フロート法によって製造された板状ガラスを所望のディスク形状よりも大きめの矩形状に切り出す切り出し工程(ステップS11);形状加工工程(円環状に切り抜くスクライブ工程、端部(外周端部及び/又は内周端部)に面取り面を形成するチャンファリング工程(面取り面形成工程))(ステップS12);端面研磨工程(外周端部及び内周端部)(ステップS13);主表面研磨工程(第1及び第2研磨工程)(ステップS14)、(ステップS15);化学強化工程(ステップS16)を含む。なお、各工程の順番は適宜入れ替えることができる。このように、本実施の形態に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法においては、フロート法で作製された一方の主面(スズ層が形成されていない主面)のみを磁気記録に使用する主面とするので、板状ガラス表面の残存スズの除去のための研削工程を行うことなく磁気ディスク用ガラス基板を製造する。
(1)切り出し工程
まず、切り出し工程においては、溶融ガラスを材料として、フロート法で製造された板状ガラスを所望のディスク形状よりも大きめの矩形形状に切り出す。
(2)形状加工工程(円環状に切り抜くスクライブ工程、端部(外周端部及び内周端部)に面取り面を形成するチャンファリング工程(面取り面形成工程))
スクライブ工程においては、例えば、一方の主表面側からガラスカッター、ダイヤモンドカッター等の超硬カッターを用いて内周部及び外周部に切り筋を入れ、加熱等を行うことにより、円環状のガラス基板とする。チャンファリング工程においては、内周端面及び外周端面をダイヤモンド砥石によって研削し、所定の面取り加工を施す。
(3)端面研磨工程
端面研磨工程においては、ガラス基板の外周端面及び内周端面について、ブラシ研磨方法により、ガラス基板表面の鏡面研磨を行う。このとき、研磨砥粒としては、例えば、酸化セリウム砥粒を含むスラリー(遊離砥粒)を用いることができる。この端面研磨工程により、ガラス基板の端面での汚染・ダメージ・傷の除去を行うことで、ナトリウムやカリウムのようなコロージョンの原因となるイオン析出の発生を防止できる状態になる。
(4)第1研磨工程
主表面研磨工程として、まず第1研磨工程を施す。第1研磨工程は、主表面に残留したキズや歪みの除去及び最終研磨工程における表面粗さ創生のための前段階の粗さ調整を主たる目的とする工程である。この第1研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、硬質樹脂ポリッシャを用いて主表面の研磨を行う。研磨剤としては、例えば酸化セリウム砥粒を用いることができる。
この第1研磨工程においては、特に、ガラス基板の磁気記録面と反対側の面(磁気記録層を設けない面)からガラス基板を構成する成分(例えば、アルカリ金属)の溶出を防止するために十分な粗さ(例えば、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて2μm×2μm角で256×256ピクセルの解像度で測定した算術平均粗さRaが0.005μm以下)になるように研磨処理を行う。
(5)第2研磨工程
次に、最終研磨工程として、第2研磨工程を施す。第2研磨工程は、ガラス基板の両主表面のうち記録面となる面のみを鏡面状に仕上げることを目的とする工程である。この第2研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、軟質発泡樹脂ポリッシャを用いて、主表面の鏡面研磨を行う。スラリーとしては、第1研磨工程で用いた酸化セリウム砥粒よりも微細な酸化セリウム砥粒やコロイダルシリカなどを用いることがきる。
(6)化学強化工程
化学強化工程においては、前述の研磨工程を終えたガラス基板に化学強化を施す。化学強化に用いる化学強化液としては、例えば、硝酸カリウム(60%)と硝酸ナトリウム(40%)の混合溶液などを用いることができる。化学強化においては、化学強化液を300℃〜400℃に加熱し、洗浄済みのガラス基板を200℃〜300℃に予熱し、化学強化溶液中に3時間〜4時間浸漬することによって行う。この浸漬の際には、ガラス基板の表面全体が化学強化されるようにするため、複数のガラス基板が端面で保持されるように、ホルダに収納した状態で行うことが好ましい。
このように、化学強化溶液に浸漬処理することによって、ガラス基板の表層のリチウムイオン及びナトリウムイオンが、化学強化溶液中の相対的にイオン半径の大きなナトリウムイオン及びカリウムイオンにそれぞれ置換され、ガラス基板が強化される。なお、第2研磨工程と化学強化工程との順番を入れ替えることにより、より表面粗さの低い磁気ディスク用ガラス基板を作製することが可能となる。
以下に実施例を挙げて本発明の実施の形態について具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
以下の(1)切り出し工程、(2)形状加工工程、(3)端面研磨工程、(4)主表面研磨工程、(5)化学強化工程を経て本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を製造した。
磁気ディスク用ガラス基板の製造に用いる板状のガラス素材は、フロート法により製造した。フロート法では、ガラス融液(溶融ガラス)を溶融スズの上に流し、そのまま固化させる。板状ガラスの両主表面は、ガラスの自由表面(板状のガラスの上面(トップ面))とガラス/スズの界面(板状ガラスのスズ面(ボトム面))であり、Ra0.001μm以下の鏡面をなす板状のガラス素材を得た。
(1)切り出し工程
フロート法で製造した厚さ0.95mmのアルミノシリケートガラスからなる板状ガラス素材を所定の大きさの四角形に切断したものを使用し、そのトップ面にガラスカッターで、磁気ディスク用ガラス基板となされる領域の外周側及び内周側の略周縁を描く円形の切筋を形成した。なお、このアルミノシリケートガラスとしては、SiO:58質量%〜75質量%、Al:5質量%〜23質量%、LiO:3質量%〜10質量%、NaO:4質量%〜13質量%を含有する化学強化用ガラスを使用した。次いで、上記切筋を形成した板状ガラスのトップ面側を全体的にヒータで加熱し、上記切筋を板状ガラスのボトム面側に進行させて所定の直径を有するガラスディスク(鏡面板ガラス)を切り出した。
(2)形状加工工程
次に、外周端面及び内周端面の研削をして外径を65mm、内径(中心部の円孔の直径)を20mmとした後、外周端面及び内周端面に所定の面取り加工を施した。このときのガラスディスク端面の表面粗さは、Rmaxで2μm程度であった。なお、一般に、2.5インチ型HDD装置では、外径が65mmの磁気ディスクを用いる。
(3)端面研磨加工工程
次いで、ブラシ研磨により、ガラスディスクを回転させながらガラスディスクの端面(内周、外周)の表面の粗さを、Rmaxで0.4μm、Raで0.1μm程度に研磨した。そして、上記端面研磨を終えたガラスディスクの表面を水洗浄した。
(4)主表面研磨工程
次に、残留した微小な傷や歪み、異物等を除去するための第1研磨工程を、両面研磨装置を用いて行った。両面研磨装置においては、研磨パッドが張り付けられた上下研磨定盤の間にキャリアにより保持したガラスディスクを密着させ、このキャリアを太陽歯車と内歯歯車とに噛合させ、上記ガラスディスクを上下研磨定盤によって挟圧する。その後、研磨パッドとガラスディスクの研磨面との間に研磨液を供給して回転させることによって、ガラスディスクが研磨定盤上で自転しながら公転して両面を同時に研磨加工するものである。具体的には、ポリッシャとして硬質ポリッシャ(硬質発泡ウレタン)を用い、第1研磨工程を実施した。
次いで、上記の第1研磨工程で使用したものと同じ両面研磨装置を用い、ポリッシャを軟質ポリッシャ(スウェード)の研磨パッドに替えて第2研磨工程を実施した。この第2研磨工程は、上述した第1研磨工程で得られた平坦な表面を維持しつつ、例えば、ガラスディスク主表面の表面粗さをRmaxで3nm程度以下の平滑な鏡面に仕上げるための鏡面研磨加工である。
なお、上記第1研磨工程及び第2研磨工程においては、研磨する主面は、スズ拡散層を有しない主面(磁気記録に使用する面)である。この主面に対して、磁気記録に使用する面として研磨加工を行う。ここで、磁気記録に使用する面としての研磨加工とは、磁気ディスク用ガラス基板に要求される品質を満足するために十分な条件で研磨加工を行うことを意味し、具体的には、目標とする表面粗さRaが0.2nm以下である。
(5)化学強化工程
次に、上記主表面研磨工程後、洗浄を終えたガラスディスクに化学強化を施した。ガラスディスクの表面に存在するイオン(例えば、アルミノシリケートガラス使用の場合、リチウムイオン及びナトリウムイオン)よりもイオン半径の大きなイオン(ナトリウムイオン及びカリウムイオン)にイオン交換する。ガラスディスクの表面において(例えば、ガラスディスクの表面から約5μmまで)、イオン半径の大きい原子とイオン交換を行って、ガラス表面に圧縮応力を与えることでガラスディスクの剛性を上げている。また、上記(5)化学強化工程を実施しない場合、上記(3)端面研磨工程の後に、簡単な化学処理をしてもよい。
上記の(1)から(5)までの各工程間の流動の際に、スズを含有するガラス表面とスズを含有しないガラス表面とを一定に保ちながら(いずれの主表面であるかが分かるような状態にして)実施した。以上のようにして、本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を得た。
以上のように製造されたガラス基板のスズを含有しないガラス表面に、Cr合金からなる付着層、CoTaZr系合金からなる軟磁性層、Ruからなる下地層、CoCrPt系合金からなる垂直磁気記録層、水素化炭素からなる保護層、パーフルオロポリエーテルからなる潤滑層を順次成膜することにより、垂直磁気記録ディスクを製造した。なお、本構成は垂直磁気記録ディスクの構成の一例であるが、面内磁気記録ディスクとして、磁性層等を構成してもよい。
(比較例1)
実施例1と同様にして得られた磁気ディスク用ガラス基板について、スズを含有するガラス表面に、Cr合金からなる付着層、CoTaZr系合金からなる軟磁性層、Ruからなる下地層、CoCrPt系合金からなる垂直磁気記録層、水素化炭素なる保護層、パーフルオロポリエーテルからなる潤滑層を順次成膜することにより、垂直磁気記録ディスクを製造した。
(比較例2)
実施例1と同様にして(1)から(3)までの各工程を行った後、第1研磨工程及び第2研磨工程においてスズを含有する表面に対して、磁気記録に使用する面として研磨加工を行い、化学強化工程を行うことにより磁気ディスク用ガラス基板を作製した。その後、スズを含有するガラス表面に、Cr合金からなる付着層、CoTaZr系合金からなる軟磁性層、Ruからなる下地層、CoCrPt系合金からなる垂直磁気記録層、水素化炭素なる保護層、パーフルオロポリエーテルからなる潤滑層を順次成膜することにより、垂直磁気記録ディスクを製造した。
以上のように製造された磁気ディスクの検査を行った。浮上量が8nmである検査用ヘッドを用いて磁気ディスク上を浮上走行させるヘッドクラッシュ試験をそれぞれ実施したところ、ガラス基板うちスズを含有しない主表面を磁気記録面とした垂直磁気記録ディスク(実施例1)、及び、ガラス基板のうちスズを含有する主表面を磁気記録面とした垂直磁気記録ディスク(比較例1、比較例2)においても、ヘッドクラッシュ障害は生じなかった。
次に、浮上量が5nmである検査用ヘッドを用いてヘッドクラッシュ試験を行ったところ、スズを含有する主表面を磁気記録面とした垂直磁気記録ディスク(比較例1、比較例2)は、ヘッドクラッシュ障害が発生した。一方、スズを含有しない主表面を磁気記録面とした垂直磁気記録ディスク(実施例1)は、ヘッドクラッシュ障害が発生しなかった。このように、スズを含有しない主表面を磁気記録面として垂直磁気記録ディスクを作製する必要がある。
以上説明したように、本実施の形態によれば、フロート法で板状ガラスを製造し、板状ガラスの一対の主面のうちスズ層が形成されていない主表面のみを磁気記録に使用する面として研磨加工するので、スズ除去のための研削を行う必要がなく、磁気ディスク用ガラス基板を安価に製造することができる。また、スズを含有する主表面を非磁気記録面とし、スズを含有しない主表面のみを磁気記録面とすべく研磨を行っているため、ヘッドの浮上量が5nmにおいてもヘッドクラッシュの発生がない良好である磁気ディスク用ガラス基板を得ることができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、適宜変更して実施することができる。上記実施の形態における数値、材質、サイズ、処理手順などは一例であり、本発明の効果を発揮する範囲内において種々変更して実施することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
本発明は、パーソナルコンピュータ、携帯用音楽機器などのHDD装置に用いられる磁気ディスク用ガラス基板に適用することができる。

Claims (4)

  1. フロート法で作製された板状ガラスを用いてなり、一対の主面を有する磁気ディスク用ガラス基板であって、
    前記一対の主面のうち、フロート法で板状ガラスを作製する際にスズ層が形成された一方の主面を磁気記録に使用しない面とし、他方の面を磁気記録に使用する面とすることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板。
  2. フロート法で板状ガラスを得る工程と、前記板状ガラスの一対の主面のうちスズ層が形成されていない主面を磁気記録に使用する面として研磨加工する工程と、を具備することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  3. 請求項2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造された磁気ディスク用ガラス基板の一対の主面のうち、スズ層が形成されていない主面のみに少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
  4. 請求項1記載の磁気ディスク用ガラス基板の一対の主面のうち、スズ層が形成されていない主面のみを磁気記録面とすべく、スズ層が形成されていない主面のみに少なくとも磁性層を形成してなることを特徴とする磁気ディスク。
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