JP2011159367A - 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法及び情報記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】所望の平坦度、表面粗さを備え、主表面の微小欠陥が少ない情報記録媒体用ガラス基板の製造方法及び該製造方法により製造した情報記録媒体用ガラス基板を用いた情報記録媒体を提供する。
【解決手段】主表面を研磨する少なくとも1つ以上の前研磨工程と、該前研磨工程の後、主表面とスペーサとが密着する積層体を形成する密着工程を有し、該積層体を化学強化処理液に浸漬し、イオン交換によって前記ガラス基板にイオン交換層を形成する化学強化工程と、該化学強化工程の後に研磨する後研磨工程とを含む情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気、光、光磁気等の性質を利用した記録層を有する情報記録媒体に用いる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法及び情報記録媒体に関する。
磁気、光、光磁気等の性質を利用した記録層を有する情報記録媒体のなかで、代表的なものとして磁気ディスクがある。磁気ディスク用基板として、従来アルミニウム基板が広く用いられていた。しかし、近年、記録密度向上のための磁気ヘッド浮上量の低減の要請に伴い、アルミニウム基板よりも表面の平滑性に優れ、しかも表面欠陥が少ないことから磁気ヘッド浮上量の低減を図ることができるガラス基板を磁気ディスク用基板として用いる割合が増えてきている。
このような磁気ディスク等の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法においては、ガラス基板の耐衝撃性や耐振動性を向上させ衝撃や振動によって基板が破損するのを防止する目的で、ガラス基板の表面に化学強化処理を施して基板を強化することが一般的に行われている。化学強化処理は、通常、化学強化処理液にガラス基板を浸漬し、ガラス基板に含まれるナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンと、化学強化処理液に含まれるカリウムイオン等のアルカリ金属イオンとのイオン交換によってガラス基板の表面にイオン交換層を形成するイオン交換法によって行われる。このようなイオン交換層には高い圧縮応力が存在し、ガラス基板が強化される。
しかしながら、化学強化処理を行うと、ガラス基板の表面に圧縮応力の影響による基板の反りや、化学強化処理液の浸食による表面の微細な凹凸の発生などが生じ、磁気ディスク等の情報記録媒体にしたときに磁気ヘッドが衝突する場合がある。
このような問題に対して、特許文献1においては、化学強化工程後のガラス基板の表面の反りや微細な凹凸を除去して必要な平滑性を確保する方法として、化学強化処理をした後に、表面を研磨加工する方法が提案されている。
また、特許文献2においては、化学強化する箇所をガラス基板の外周及び内周の端面に限定し、ガラス基板の表裏の反りや、化学強化処理液の浸食による微細な凹凸の発生などを防止する目的で、ガラス基板の表裏の主表面を金属製のスペーサで覆った状態で化学強化処理を行う方法が提案されている。
特開2000−207730号公報 特開2008−198285号公報
しかしながら、記録密度向上等に伴って、基板と磁気ヘッド間の浮上量は狭くなり、情報記録媒体用ガラス基板に要求される平坦度のレベルはますます高くなっている。特許文献1に記載のように化学強化処理された主表面を研磨して、要求されるレベルの平坦度を確保する方法では、主表面の化学強化層を十分に除去する必要がある。しかし、化学強化された表面は硬く、そのため、研磨時間が長くかかり、生産性が悪いという問題があった。
また、特許文献2に記載のようにガラス基板の表裏の主表面を金属製のスペーサで覆った状態では、主表面にスペーサが密着できず、わずかな隙間が発生する場合がある。その隙間に化学強化液が浸透して部分的な応力の歪みを発生し、基板の反りが発生する。また、特許文献2に記載のように主表面を最終研磨した後に、化学強化をする方法では、化学強化工程の前後でガラス基板をハンドリングする際に主表面に傷を付け、微小欠陥を発生させる可能性が高い。このような化学強化工程後の主表面の傷や反りが、磁気ヘッドによる読み取りエラーやヘッドクラッシュを発生させるという問題があった。
本発明は上記のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、化学強化された内周端面と外周端面を有し、所望の平坦度と表面粗さを兼ね備え、主表面の表面欠陥が少ない情報記録媒体用ガラス基板の製造方法及び該製造方法による情報記録媒体用ガラス基板を用いた情報記録媒体の製造方法を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.中心孔を有する主表面と、内周端面と、外周端面とを有するガラス基板を用いて製造する情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、
前記主表面を研磨する少なくとも1つ以上の前研磨工程と、
該前研磨工程の後、前記ガラス基板と、該ガラス基板の主表面をほぼ被覆するヤング率2〜300MPaのスペーサと、を交互に複数重ね合わせて、前記主表面と前記スペーサとが密着する積層体を形成する密着工程と、
前記積層体を化学強化処理液に浸漬し、イオン交換によって前記ガラス基板の内周端面と外周端面にイオン交換層を形成する化学強化工程と、
該化学強化工程の後に、前記ガラス基板の主表面を研磨する後研磨工程と、
を含むことを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
2.前記スペーサのヤング率が、4〜100MPaであることを特徴とする前記1に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
3.前記後研磨工程で研磨した主表面の研磨量が、0.5〜10μmであることを特徴とする前記1又は2に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
4.前記化学強化工程の前の前記ガラス基板の外径をC、内径をDとしたとき、
前記スペーサの外径Eが、C−10mm<E<C−0.1mm、
前記スペーサの内径Fが、D+0.1mm<F<D+10mm、
であることを特徴とする前記1から3の何れか1項に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
5.前記スペーサの厚さが0.1〜5mmであることを特徴とする前記1から4の何れか1項に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
6.前記1から5の何れか1項に記載された情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造した情報記録媒体用ガラス基板の主表面の上に、記録層を形成することを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
7.前記記録層は、磁性層であることを特徴とする前記6に記載の情報記録媒体の製造方法。
本発明によれば、十分に化学強化された内周端面、外周端面を有し、所望の平坦度と表面粗さを備え、主表面の表面欠陥が少ない情報記録媒体用ガラス基板の製造方法及び該製造方法による情報記録媒体用ガラス基板を用いた情報記録媒体の製造方法を提供できる。
情報記録媒体用ガラス基板の全体構成を示す図である。 情報記録媒体用ガラス基板の表主表面の上に磁性膜を備えている磁気記録媒体の例を示す図である。 情報記録媒体用ガラス基板の製造における工程を説明する製造工程図である。 密着工程における積層体およびその製造方法を説明するための概略図である。 密着工程における積層体およびその製造方法を説明するための概略図である。
本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限らない。
図1は、情報記録媒体用ガラス基板(以降、ガラス基板とも称する。)1の全体構成の一例を示す図である。図1に示すように、ガラス基板1は、中心に穴5が形成されたドーナツ状の円板形状をしている。10tは外周端面、20tは内周端面、7aは表主表面、7bは裏主表面を示している。また、図2は、図1で示したガラス基板1の表主表面7aの上に磁性膜2を備えている磁気記録媒体(以降、磁気ディスクとも称する。)Gの一例を示す図である。磁性膜2は裏主表面7bの上にも設けることができる。
図3に本発明の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法の一実施形態の製造工程図を示す。製造工程図の詳細については後述する。
本発明の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法の特徴は、中心孔を有する主表面と、外周端面と、内周端面とを有する情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、主表面を研磨する少なくとも1つ以上の前研磨工程と、前研磨工程の後、ガラス基板と、ガラス基板の主表面をほぼ被覆するヤング率2〜300MPaのスペーサと、を交互に複数重ね合わせて、主表面とスペーサとが密着する積層体を形成する密着工程と、積層体を化学強化処理液に浸漬し、イオン交換によってガラス基板にイオン交換層を形成する化学強化工程と、化学強化工程の後に、ガラス基板の主表面を研磨する後研磨工程とを含むことである。
このように化学強化工程の前に、主表面を研磨する少なくとも1つ以上の前研磨工程と、前研磨工程の後、ガラス基板と、ガラス基板の主表面をほぼ被覆するヤング率2〜300MPaのスペーサと、を交互に複数重ね合わせて、主表面とスペーサとが密着する積層体を形成する密着工程と、を有することにより、研磨工程後に多少の反りが残っていても、弾性を有するスペーサが主表面に沿って変形し、密着工程での主表面とスペーサとの密着が十分に行われる。その結果、その後の化学強化工程で主表面とスペーサとの間に化学強化処理液が侵入することが無く、化学強化工程後に主表面に新たな反りや表面の粗面化などが発生することがない。また、化学強化工程後に、ガラス基板の主表面を所望の表面粗さと平坦度にする後研磨工程を行うことにより、密着工程や化学強化工程後のハンドリングなどで発生した微小な傷等を解消することができる。この化学強化工程後の後研磨工程は、ガラス基板の主表面の反りや面の粗れが少なく、また、化学強化されていないので、容易に所定の表面粗さと平坦度に研磨することができ、従来の方法に比べて生産性を向上させることができる。このような製造方法で製造したガラス基板を用いた磁気ディスクは、主表面の平滑性、平坦度に優れていることから、磁気ヘッドの浮上量をより小さくすることができ、近年の高密度化の要求を満たすことができる。
また、本発明に用いるスペーサの材質としては、ヤング率が2〜300MPaのスペーサであれば良い。
特に、ヤング率が、4〜100MPaであることが好ましい。ヤング率をこの範囲にすることにより、化学強化工程前のガラス基板が多少反っていてもガラス基板の主表面に沿うことができ、また、スペーサの一部が内周端部や外周端部の一部を覆うおそれもなく好ましい。
スペーサとして使用可能なものとしては、例えば、ゴム材料として、ウレタンゴム、シリコンゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム等を挙げることができる。このうち、耐久性及び耐化学強化処理液に優れるという観点から、シリコンゴムを用いることが好ましい。
なお、本発明で用いられるヤング率の測定は、一般的な方法で測定した。一様な断面Aの棒の両端を力Pで引張り、棒に生じる垂直応力をσ=P/A、この力Pによって長さLの棒がuだけ伸びた時のひずみをε=u/Lとし、これらの値から、ヤング率はE=σ/εとして算出した。
また、化学強化工程の後に行う後研磨工程で研磨した主表面の研磨量が、0.5〜10μmであることが好ましい。化学強化工程の後に行う研磨量をこの範囲にすることで、密着工程や化学強化工程を行う際に、ガラス基板の表面に発生する微小な欠陥を十分に解消することができ、また、必要以上に研磨することがないので生産性も向上し、好ましい。
また、積層体に用いるスペーサの形状は、化学強化工程の前のガラス基板の主表面を被覆し、内周端面及び外周端面は被覆せずに化学強化できるような形状であれば良く、ガラス基板の内径よりわずかに大きい内径と、ガラス基板の外径よりわずかに小さい外径を有するものであればよい。特に、化学強化工程の前のガラス基板の外径をC、内径をDとしたとき、スペーサの外径Eが、C−10mm<E<C−0.1mm、スペーサの内径Fが、D+0.1mm<F<D+10mm、であることが好ましい。
スペーサの内径および外形をこの範囲とすることで、内周端面及び外周端面を化学強化できるとともに、ガラス基板の主表面を十分に被覆することができ、化学強化液による主表面の応力の歪みをよりすくなくすることがでる。
また、スペーサの厚さが0.1〜5mmであることが好ましい。スペーサの厚さをこの範囲にすることで、化学強化前のガラス表面の反りをスペーサで十分に吸収でき、また、積層体を作製したときの体積を小さくできるので、化学強化液槽をコンパクトにできる。
本発明の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法に関して図3の製造工程図を用いて詳しく説明する。
(ガラス溶融工程)
まず、ガラス溶融工程として、ガラス素材を溶融する。ガラス基板の材料としては、例えば、SiO、NaO、CaOを主成分としたソーダライムガラス;SiO、Al、RO(R=K、Na、Li)を主成分としたアルミノシリケートガラス;ボロシリケートガラス;LiO−SiO系ガラス;LiO−Al−SiO系ガラス;R’O−Al−SiO系ガラス(R’=Mg、Ca、Sr、Ba)などを使用することができる。中でも、アルミノシリケートガラスやボロシリケートガラスは、耐衝撃性や耐振動性に優れるため特に好ましい。
(成型工程)
次に、成型工程として、溶融したガラスを下型に流し込み、上型によってプレス成形して円板状のガラス基板を得る。なお、円板状のガラス基板は、プレス成形によらず、例えばダウンドロー法やフロート法で形成したシートガラスを研削砥石で切り出して作製してもよい。
ガラス基板の大きさに限定はない。例えば、外径が2.5インチ、1.8インチ、1インチ、0.8インチなど種々の大きさのガラス基板がある。また、ガラス基板の厚みにも限定はなく、2mm、1mm、0.63mmなど種々の厚みのガラス基板がある。
(第1ラッピング工程)
次に、第1ラッピング工程として、プレス成形したガラス基板の両表面を研磨加工し、ガラス基板の平行度、平坦度および厚みを予備調整する。
(コアリング加工工程)
次に、コアリング加工工程で、第1ラッピング工程後のガラス基板の中心部に穴を開ける。穴開けは、カッター部にダイヤモンド砥石等を備えたコアドリル等で研削することで中心部に穴を開ける。
(内・外径加工工程)
次に、内・外径加工工程として、ガラス基板の外周端面および内周端面を、例えば鼓状のダイヤモンド等の研削砥石により研削することで内・外径加工する。
(第2ラッピング工程)
更に、第2ラッピング工程として、ガラス基板の両表面を再び研磨加工して、ガラス基板の平行度、平坦度および厚みを微調整する。
第1及び第2ラッピング工程にてガラス基板の表裏の表面を研磨する研磨機は、遊星歯車機構を利用した両面研磨機と呼ばれる公知の研磨機を使用できる。両面研磨機は、互いに平行になるように上下に配置された円盤状の上定盤と下定盤とを備えており、互いに逆方向に回転する。この上下の定盤の対向するそれぞれの面にガラス基板の主表面を研磨するための複数のダイヤモンドペレットが貼り付けてある。上下の定盤の間には、下定盤の外周に円環状に設けてあるインターナルギアと下定盤の回転軸の周囲に設けてあるサンギアとに結合して回転する複数のキャリアがある。このキャリアには、複数の穴が設けてあり、この穴にガラス基板をはめ込んで配置する。上下の定盤、インターナルギア及びサンギアは別駆動で動作することができる。
研磨機の研磨動作は、上下の定盤が互いに逆方向に回転し、ダイヤモンドペレットを介して定盤に挟まれているキャリアは、複数のガラス基板を保持した状態で、自転しながら定盤の回転中心に対して下定盤と同じ方向に公転する。このような動作している研磨機において、研削液を上定盤とガラス基板及び下定盤とガラス基板との間に供給することでガラス基板の研磨を行うことができる。
この両面研磨機を使用する際、ガラス基板に加わる定盤の加重及び定盤の回転数を所望の研磨状態に応じて適宜調整する。第1及び第2ラッピング工程における加重は、60g/cmから120g/cmとするのが好ましい。また、定盤の回転数は、10rpmから30rpm程度とし、上の定盤の回転数を下の定盤回転数より30%から40%程度遅くするのが好ましい。定盤による加重を大きくし、定盤の回転数を速くすると研磨量は多くなるが、加重を大きくしすぎると面粗さが良好とならず、また、回転数が速すぎると平坦度が良好とならない。また加重が小さく定盤の回転数が遅いと研磨量が少なく製造効率が低くなる。
第2ラッピング工程を終えた時点で、大きなうねり、欠け、ひび等の欠陥は除去され、ガラス基板の主表面の面粗さは、Raが0.2μmから0.4μm程度とするのが好ましく、主表面の平坦度は、7〜10μmが好ましい。
このような面状態にしておくことで、次の第1ポリッシング工程での研磨を効率よく行うことができる。
尚、第1ラッピング工程では、第2ラッピング工程を効率よく行うことができるように大まかに大きなうねり、欠け、ひびを効率よく除去する。このため、第2ラッピングで使用する粗さ#1300メッシュから#1700メッシュより粗い#800メッシュから#1200メッシュ程度のダイヤモンドペレットを使用するのが好ましい。第1ラッピング工程が完了した時点での面粗さは、Raが0.4μmから0.8μm程度とするのが好ましく、主表面の平坦度は、10〜15μmが好ましい。
また、第1及び第2ラッピング工程の後、ガラス基板の表面に残った研磨剤やガラス粉を除去するための洗浄工程を行うことが好ましい。
なお、本発明で用いる表面粗さは、原子間力顕微鏡(デジタルインスツルメンツ社製ナノスコープ)を用いて、1μm×1μmの範囲を測定した値である。また、本発明で用いる平坦度は、平坦度測定装置で測定した値であり、ガラス基板の表面の最も高い位置と最も低い位置との高低差(PV値)である。
(端面研磨加工工程)
第2ラッピング工程を終えたガラス基板の外周面及び内周面の研磨加工を、端面研磨機を用いて研磨する。
(第1ポリッシング工程)
次に、第1ポリッシング工程を行う。第1ポリッシング工程では、次の化学強化工程後に行われる第2ポリッシング工程で最終的に必要とされる面粗さを効率よく得ることができるように、面粗さを向上させるとともに最終的に本発明の形状を効率よく得ることができる研磨を行う。
研磨の方法は、ラッピング工程で使用したダイヤモンドペレットと研削液に代えて、パッドと研磨液を使用する以外は第1及び2ラッピング工程で使用した研磨機と同一の構成の研磨機を使用する。
パッドは硬度Aで80から90程度の硬質パッドで例えば発泡ウレタンを使用するのが好ましい。パッドの硬度が研磨による発熱により柔らかくなると研磨面の形状変化が大きくなるため硬質パッドを用いるのが好ましい。研磨材は、粒径が0.6μmから2.5μmの酸化セリウムを使用し、水に分散させてスラリー状にして用いるのが好ましい。水と研磨剤との混合比率は、概ね1:9から3:7程度が好ましい。
定盤によるガラス基板への加重は、90g/cmから110g/cmとするのが好ましい。定盤によるガラス基板への加重は、外周端部の形状に大きく影響する。加重を大きくしていくと、外周端部の内側が下がり外側に向かって上がる傾向を示す。また、加重を小さくしていくと、外周端部は平面に近くなるとともに面ダレが大きくなる傾向を示す。こうした傾向を観察しながら加重を決めることができる。
また、面粗さを向上させるために、定盤の回転数を25rpmから50rpmとし、上の定盤の回転数を下の定盤回転数より30%から40%遅くするのが好ましい。
上記の研磨条件により研磨量を30μmから40μmとするのが好ましい。30μm未満では、キズや欠陥を十分に除去ができない。また40μmを超える場合は、面粗さをRmaxが2nmから60nm、Raが2nmから4nmの範囲とすることができるが、必要以上に研磨を行うことになり製造効率が低下する。なお、次の密着工程の前に行った主表面を研磨する少なくとも1つ以上の研磨する工程を前研磨工程と呼ぶ。
(密着工程)
次に、密着工程として、第1ポリッシング工程後のガラス基板と、ガラス基板の主表面をほぼ被覆するヤング率2〜300MPaのスペーサと、を交互に複数重ね合わせて、主表面とスペーサとが密着する積層体を形成する。スペーサの材質、形状、ヤング率等については、先に説明しているので、ここでは省略する。
積層体およびその製造方法について、図4、図5を用いて説明する。図4は、下側台板3に取り付けられた治具31にスペーサ4とガラス基盤1とを交互に挿入して所定の枚数を積み重ねた状態を示す図である。図5は、図4で積み重ねたスペーサ4とガラス基盤1の最上部にスペーサをさらに配置し、下側台板3と上側台板32とで積層したスペーサとガラス基盤1を挟持し、治具31を抜いた状態の積層体100を示した図である。
まず、台板3に治具31をはめ込む。この治具31の外形は、ガラス基盤1の内径よりわずかに小さくしてある。治具31の外形で位置決めしながらスペーサ4とガラス基盤1とを交互に積み重ねていく。所定枚数のスペーサ4とガラス基盤1を積み重ねた後、図5に示すように最後にスペーサ4を積み重ねた後に上側台板32積み重ねる。次に下側台板3と上側台板32とをボルト34とナット35により締め付け、スペーサ4とガラス基盤1の主表面とを密着させる。次に、治具31を抜き取り、積層体100を作製する。ボルト34は、ガラス基盤1の外周面から離れた位置に複数配置し、スペーサ4とガラス基盤1とを密着させる圧力が、ガラス基盤1の主表面でほぼ均等にかかるようにすればよい。
(化学強化工程)
次に、化学強化工程として、密着工程で形成した積層体を化学強化液に浸漬してガラス基板の内周端面及び外周端面に化学強化層を形成する。内周端面及び外周端面に化学強化層を形成することで耐衝撃性、耐振動性及び耐熱性等を向上させ、かつ、主表面の化学強化による反りや表面の粗面化を防止することができる。
化学強化工程は、加熱された化学強化処理液にガラス基板を浸漬することによってガラス基板に含まれるリチウムイオン、ナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンをそれよりイオン半径の大きなカリウムイオン等のアルカリ金属イオンによって置換するイオン交換法によって行われる。イオン半径の違いによって生じる歪みより、イオン交換された領域に圧縮応力が発生し、ガラス基板の内周端面及び外周端面が強化される。
化学強化処理液に特に制限はなく、公知の化学強化処理液を用いることができる。通常、カリウムイオンを含む溶融塩又はカリウムイオンとナトリウムイオンをふくむ溶融塩を用いることが一般的である。カリウムイオンやナトリウムイオンを含む溶融塩としては、カリウムやナトリウムの硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩やこれらの混合溶融塩が挙げられる。中でも、融点が低く、ガラス基板の変形を防止できるという観点からは、硝酸塩を用いることが好ましい。
化学強化処理液は、上記の成分が融解する温度よりも高温になるよう加熱される。一方、化学強化処理液の加熱温度が高すぎると、ガラス基板の温度が上がりすぎ、ガラス基板の変形を招く恐れがある。このため、化学強化処理液の加熱温度はガラス基板のガラス転移点(Tg)よりも低い温度が好ましく、ガラス転移点−50℃よりも低い温度とすることが更に好ましい。
なお、加熱された化学強化処理液に浸漬される際の熱衝撃によるガラス基板の割れや微細なクラックの発生を防止するため、化学強化処理液への浸漬に先立って、予熱槽でガラス基板を所定温度に加熱する予熱工程を有していても良い。
化学強化層の厚みとしては、ガラス基板の強度向上の点から、5μm〜15μm程度の範囲が好ましい。強化層の厚みがこの範囲の場合、機械的強度である耐衝撃性が良好なガラス基板とすることができる。
(第2ポリッシング工程)
次に、化学強化工程後に第2ポリッシング工程を行う。
第2ポリッシング工程は、化学強化工程後のガラス基板の表面を更に精密に研磨する工程であり、第1ポリッシング工程と同様の研磨方法で行う。第2ポリッシング工程で使用するパッドは、第1ポリッシング工程で使用するパッドより柔らかい硬度65から80(Asker−C)程度の軟質パッドで、例えば発泡ウレタンやスウェードを使用するのが好ましい。研磨材としては、第1ポリッシング工程と同様の酸化セリウム等を用いることができるが、ガラス基板の表面をより滑らかにするため、粒径がより細かくバラツキが少ない研磨剤を用いるのが好ましい。粒径の平均粒子径が40nmから70nmの研磨剤を水に分散させてスラリー状にして研磨液として用い、水と研磨剤との混合比率は、1:9から3:7程度が好ましい。
定盤によるガラス基板への加重は、90g/cmから110g/cmが好ましい。定盤の回転数を15rpmから35rpmとし、上定盤の回転数を下定盤の回転数より30%から40%遅くするのが好ましい。
上記のように第2ポリッシング工程での研磨条件を調整して、目標値である平坦度が3μm以下、表面粗さRaが0.1nmにすることができる。
第2ポリッシング工程での研磨量は2μmから5μmとするのが好ましい。研磨量をこの範囲とすると、表面に発生した微小な荒れやうねり、これまでの工程で生じた微小な傷痕といった微小な欠陥を効率良く除去することができる。なお、化学強化工程の後に、ガラス基板の主表面を研磨する工程を後研磨工程と呼ぶ。
(洗浄工程)
次に、第2ポリッシング工程を終えた後に洗浄工程としてスクラブ洗浄を行う。特に、スクラブ洗浄に限定するものではなく、研磨工程後のガラス基板表面を清浄にできる洗浄方法であれば良い。
スクラブ洗浄がなされたガラス基板に対して、必要により超音波による洗剤洗浄および乾燥処理が行われる。乾燥処理は、ガラス基板表面に残る洗浄液をIPA等を用いて除去し、基板表面を乾燥させる。例えば、スクラブ洗浄後のガラス基板に、水リンス洗浄工程を2分間行い、洗浄液の残渣を除去する。次に、IPA(イソプロピルアルコール)洗浄工程を2分間行い、基板上の水を除去する。最後に、IPA(イソプロピルアルコール)蒸気乾燥工程を2分間行い、基板に付着している液状IPAをIPA蒸気により除去しつつ乾燥させる。基板の乾燥処理としてはこれに限定されるわけではなく、スピン乾燥、エアーナイフ乾燥などガラス基板の乾燥方法として一般的に知られた方法であってももちろん構わない。
(検査工程)
検査工程では、目視によるキズ、割れや異物の付着等の検査を行う。
検査工程で良品と判断されたガラス基板は、異物等が表面に付着しないように、清浄な環境の中で、ガラス基板収納カセットに収納され、真空パックされた後、情報記録媒体用ガラス基板として出荷される。
次に、上記のようにして作製したガラス基板を用いた磁気記録媒体について説明する。
以下、図面に基づき磁気記録媒体について説明する。
図2は磁気記録媒体の一例である磁気ディスクの斜視図である。この磁気ディスクDは、円形の情報記録媒体用ガラス基板1の表面に磁性膜2を直接形成されている。磁性膜2の形成方法としては従来公知の方法を用いることができ、例えば磁性粒子を分散させた熱硬化性樹脂を基板上にスピンコートして形成する方法や、スパッタリング、無電解めっきにより形成する方法が挙げられる。スピンコート法での膜厚は約0.3μm〜1.2μm程度、スパッタリング法での膜厚は0.04μm〜0.08μm程度、無電解めっき法での膜厚は0.05μm〜0.1μm程度であり、薄膜化および高密度化の観点からはスパッタリング法および無電解めっき法による膜形成が好ましい。
磁性膜に用いる磁性材料としては、特に限定はなく従来公知のものが使用できるが、高い保持力を得るために結晶異方性の高いCoを基本とし、残留磁束密度を調整する目的でNiやCrを加えたCo系合金などが好適である。具体的には、Coを主成分とするCoPt、CoCr、CoNi、CoNiCr、CoCrTa、CoPtCr、CoNiPtや、CoNiCrPt、CoNiCrTa、CoCrPtTa、CoCrPtB、CoCrPtSiOなどが挙げられる。磁性膜は、非磁性膜(例えば、Cr、CrMo、CrVなど)で分割しノイズの低減を図った多層構成(例えば、CoPtCr/CrMo/CoPtCr、CoCrPtTa/CrMo/CoCrPtTaなど)としてもよい。上記の磁性材料の他、フェライト系、鉄−希土類系や、SiO、BNなどからなる非磁性膜中にFe、Co、FeCo、CoNiPt等の磁性粒子を分散された構造のグラニュラーなどであってもよい。また、磁性膜は、内面型および垂直型のいずれの記録形式であってもよい。
また、磁気ヘッドの滑りをよくするために磁性膜の表面に潤滑剤を薄くコーティングしてもよい。潤滑剤としては、例えば液体潤滑剤であるパーフロロポリエーテル(PFPE)をフレオン系などの溶媒で希釈したものが挙げられる。
さらに必要により下地層や保護層を設けてもよい。磁気ディスクにおける下地層は磁性膜に応じて選択される。下地層の材料としては、例えば、Cr、Mo、Ta、Ti、W、V、B、Al、Niなどの非磁性金属から選ばれる少なくとも一種以上の材料が挙げられる。Coを主成分とする磁性膜の場合には、磁気特性向上等の観点からCr単体やCr合金であることが好ましい。また、下地層は単層とは限らず、同一又は異種の層を積層した複数層構造としても構わない。例えば、Cr/Cr、Cr/CrMo、Cr/CrV、NiAl/Cr、NiAl/CrMo、NiAl/CrV等の多層下地層としてもよい。
磁性膜の摩耗や腐食を防止する保護層としては、例えば、Cr層、Cr合金層、カーボン層、水素化カーボン層、ジルコニア層、シリカ層などが挙げられる。これらの保護層は、下地層、磁性膜など共にインライン型スパッタ装置で連続して形成できる。また、これらの保護層は、単層としてもよく、あるいは、同一又は異種の層からなる多層構成としてもよい。なお、上記保護層上に、あるいは上記保護層に替えて、他の保護層を形成してもよい。例えば、上記保護層に替えて、Cr層の上にテトラアルコキシシランをアルコール系の溶媒で希釈した中に、コロイダルシリカ微粒子を分散して塗布し、さらに焼成して二酸化ケイ素(SiO)層を形成してもよい。
上記の様にして得られる本発明の情報記録媒体用ガラス基板を基体とした磁気記録媒体を用いることで、高速回転時の磁気ヘッドの動作を安定にすることができる。
本発明の情報記録媒体用ガラス基板は、磁気記録媒体に限定されるものではなく、光磁気ディスクや光ディスクなどにも用いることができる。
(実施例1〜5)
実施例1〜5に用いた情報記録媒体用ガラス基板の製造工程として、図3の製造工程を用いた。
(1)ガラス溶融、成形工程
ガラス材料としてTgが480℃のアルミノシリケートガラスを用い、溶融ガラスをプレス成形してブランク材(外径68mm、厚さ1.3mm)を100枚作製した。
(2)第1ラッピング工程
ガラス基板の両表面を研磨機(HAMAI社製)を用いて研磨した。
研磨条件としては、ダイヤモンドペレットとしては、#1200メッシュを用い、荷重100g/cmとし、上定盤の回転数30rpm、下定盤の回転数10rpmとした。研磨量は、100μmであった。
得られたガラス基板100枚の平均の平坦度は15μm、表面粗さRaは0.50μmであった。
(3)コアリング工程
次に円筒状のダイヤモンド砥石を用いてガラス基板の中心部に円穴(直径18mm)を開けた。
(4)内・外径加工工程
鼓状のダイヤモンド砥石により内・外径加工を行い、内径20mm、外径65mmとした。
(5)第2ラッピング工程
ガラス基板の両表面を研磨機(HAMAI社製)を用いて研磨した。
研磨条件としては、ダイヤモンドペレットとしては、#1200メッシュを用い、荷重100g/cmとし、上定盤の回転数30rpm、下定盤の回転数10rpmとした。
得られたガラス基板100枚の平均の平坦度は10μm、表面粗さRaは0.25μmであった。
(6)端面加工工程
内・外加工工程を終えて得られたガラス基板を100枚重ね、端面研磨機を用いて、内周及び外周の端面を研磨した。
研磨機のブラシ毛は、直径0.2mmのナイロン繊維を用いた。研磨液は、粒径3μmの酸化セリウムを用いた。得られたガラス基板の内周の端面の面粗さは、Raが0.03μmであった。
(7)第1ポリッシュ工程
次に、第1ポリッシング工程として、研磨機(HAMAI社製)を用い、パッドに硬度Aで80度の発泡ウレタンを用いた。研磨材は、平均粒径1.5μmの酸化セリウムを水に分散させてスラリー状にして用いた。水と研磨剤との混合比率は、2:8とした。荷重100g/cmとし、上定盤の回転数30rpm、下定盤の回転数10rpmとした。研磨量を30μmとした。
得られたガラス基板100枚の平均の平坦度は4μm、表面粗さRaは0.7nmであった。
(8)密着工程
スペーサとしては、シリコーンゴムを用いた。ゴム高度を調整することで、表1の実施例1〜5のヤング率のシリコーンゴムをスペーサとして用いた。各実施例に用いたスペーサの形状は、内径25mm、外径60mm、厚さ0.5mmとした。各実施例ともにガラス基板100枚とスペーサ101枚を交互に積層した積層体を図4、図5に示す方法で作成した。
(9)化学強化工程
次に、ガラス基板を化学強化処理液に浸漬して化学強化工程を行った。化学強化処理液には、硝酸カリウム(KNO)と硝酸ナトリウム(NaNO)の混合溶融塩を用いた。混合比は質量比で1:1とした。また、化学強化処理液の温度は400℃、浸漬時間は40分とした。
(10)第2ポリッシュ工程
次に、第2ポリッシング工程として、研磨機(HAMAI社製)を用い、パッドに硬度Aで70度の発泡ウレタンを用いた。研磨材は、平均粒径60nmの酸化セリウムを水に分散させてスラリー状にして用いた。水と研磨剤との混合比率は、2:8とした。荷重90g/cmとし、上定盤の回転数30rpm、下定盤の回転数10rpmとした。第2ポリッシュ工程での主表面の研磨量を5μmとした。
(11)洗浄工程
第2ポリッシング工程の終了後、スクラブ洗浄を行った。洗浄液としては、KOHとNaOHを100:100に混合した薬液を超純水(DI水)で希釈し、洗浄能力を高めるために非イオン界面活性剤を添加した洗浄液を用いた。洗浄液の供給は、スプレー噴霧によって行った。次にガラス基板表面に残る洗浄液を除去するために、水リンス洗浄工程を2分間、IPA(イソプロピルアルコール)洗浄工程を2分間、超音波槽で行い、その後、IPA蒸気により表面を乾燥させた。
このようにして実施例1〜5のガラス基板を100枚ずつ作成した。洗浄工程後のガラス基板100枚の平均の平坦度、表面粗さ、微小欠陥の数を測定し、下記のように評価し、評価結果を表1に示す。
なお、微小欠陥の測定は、光学式表面欠陥測定装置(OSA)を用いて、φ0.1μm以上の欠陥の数を主表面全面に行い、100枚の平均の欠陥数を算出した。
100枚の平坦度の平均値が2.0μm以下を○、2.0μmを超えて3.5μm以下を△、3.5μmを超えるものを×とした。100枚の平坦度の平均値が、3.5μmを超えると、磁気ディスクとした場合のヘッドクラッシュの確立が高くなって、製品としての歩留まりが悪く問題になる。
また、100枚の表面粗さRaの平均値が、0.1nm以下を○、0.1nmを超えて0.3nm以下を△、0.3nmを超えるものを×とした。100枚の表面粗さRaの平均値が0.3nmを超えると磁気ディスクとした場合のヘッドクラッシュの確立が高くなって、製品としての歩留まりが悪く問題になる。
また、φ0.1μm以上の微小欠陥の数が100枚の平均で、10個以下を○、10個を超えて20個以下を△、20個を超えるものを×とした。φ0.1μm以上の微小欠陥の数が100枚の平均で、20個を超えると、磁気ディスクとした場合のヘッドクラッシュの確立が高くなって、製品としての歩留まりが悪く問題になる。
(実施例6〜9)
実施例6〜9は、実施例3における化学強化工程後の第2ポリッシュ工程での主表面の研磨量(5μm)を研磨時間を調整して、表1における研磨量に変えた他は、実施例3と同様にガラス基板100枚を作製し、評価した。評価結果を表1に示す。
(比較例1)
比較例1では、実施例3において、スペーサを介在させずに積層体を作製した他は、実施例1と同様にガラス基板を作製し、評価した。なお、比較例1の密着工程で作製した積層体のガラス基板同士の間には、隙間が認められた。評価結果を表1に示す。
(比較例2)
比較例2では、実施例1において、スペーサの材料にステンレスを用いて積層体を作製した他は、実施例1と同様にガラス基板を作製し、評価した。ステンレスのヤング率は、200GPaであった。なお、比較例2の密着工程で作製した積層体のスペーサとガラス基板との間には、わずかに隙間が認められた。評価結果を表1に示す。
(比較例3)
比較例3では、実施例3において、化学強化工程の後の第2ポリッシング工程を行わなかった他は、実施例1と同様にガラス基板を作製し、評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 2011159367
表1の結果から、実施例1〜9と比較例1〜3を比較すると、ガラス基板の製造方法としては、ガラス基板の化学強化工程の前に、弾性体としてのスペーサと研磨後のガラス基板とを交互に重ねて積層体を形成する密着工程を有し、密着工程で作製した積層体を用いて化学強化を行い、その後にガラス基板の主表面の研磨工程を行うことで、所望の平坦度、表面粗さを得られ、かつ、微小欠陥の少ないガラス基板を得ることができることがわかる。また、実施例1〜5の結果から、弾性を有するスペーサのヤング率としては、4〜100MPaが好ましいことがわかる。また、実施例3と実施例6〜9の結果から、化学強化工程後の後研磨工程で研磨する研磨量としては、0.5〜10μmが好ましいことがわかる。
(磁気記録媒体の作製)
次に、実施例1〜9と比較例1〜3のそれぞれガラス基板100枚に磁性膜を設けて磁気記録媒体とした。磁性膜は、ガラス基板側から、Ni−Alからなる下地層(厚み約100nm)、Co−Cr−Ptからなる記録層(厚み20nm)、DLC(Diamond Like Carbon)からなる保護膜(厚み5nm)を順次積層した。
作製した磁気記録媒体をハードディスクドライブに装填し、それぞれの記録方式で読み込み、書き込みのテストを行い、その間にヘッドクラッシュの発生の有無を評価した。この時の面内記録方式の書き込み密度は、50Gビット/平方インチであり、垂直記録方式の書き込み密度は、0.5Tビット/平方インチであった。実施例1〜9の100枚の磁気記録媒体の中でヘッドクラッシュの発生は、それぞれ5枚以下の発生で、良好な結果であった。比較例1〜3の100枚の磁気記録媒体の中で、ヘッドクラッシュの発生は、6枚以上あり、実用上問題のあるレベルであった。
1 情報記録媒体用ガラス基板(ガラス基板)
2 磁性膜
3 下側台板
4 スペーサ
5 穴
7a 表主表面
7b 裏主表面
10t 外周端面
20t 内周端面
31 治具
32 上側台板
34 ボルト
35 ナット
100 積層体
G 磁気ディスク

Claims (7)

  1. 中心孔を有する主表面と、内周端面と、外周端面とを有するガラス基板を用いて製造する情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、
    前記主表面を研磨する少なくとも1つ以上の前研磨工程と、
    該前研磨工程の後、前記ガラス基板と、該ガラス基板の主表面をほぼ被覆するヤング率2〜300MPaのスペーサと、を交互に複数重ね合わせて、前記主表面と前記スペーサとが密着する積層体を形成する密着工程と、
    前記積層体を化学強化処理液に浸漬し、イオン交換によって前記ガラス基板の内周端面と外周端面にイオン交換層を形成する化学強化工程と、
    該化学強化工程の後に、前記ガラス基板の主表面を研磨する後研磨工程と、
    を含むことを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  2. 前記スペーサのヤング率が、4〜100MPaであることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記後研磨工程で研磨した主表面の研磨量が、0.5〜10μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記化学強化工程の前の前記ガラス基板の外径をC、内径をDとしたとき、
    前記スペーサの外径Eが、C−10mm<E<C−0.1mm、
    前記スペーサの内径Fが、D+0.1mm<F<D+10mm、
    であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  5. 前記スペーサの厚さが0.1〜5mmであることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  6. 請求項1から5の何れか1項に記載された情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造した情報記録媒体用ガラス基板の主表面の上に、記録層を形成することを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
  7. 前記記録層は、磁性層であることを特徴とする請求項6に記載の情報記録媒体の製造方法。
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