JP2014070166A - 架橋装置及び熱可塑性樹脂の架橋方法、ならびに熱可塑性樹脂発泡体の製造システム及び熱可塑性樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

架橋装置及び熱可塑性樹脂の架橋方法、ならびに熱可塑性樹脂発泡体の製造システム及び熱可塑性樹脂発泡体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】外観に優れた熱可塑性樹脂発泡体を製造できる熱可塑性樹脂発泡体の製造システムを提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂及び架橋剤を含有する熱可塑性樹脂組成物のシートを加熱して前記熱可塑性樹脂に架橋処理を施す架橋装置3において、前記熱可塑性樹脂組成物のシートを挟持する一対の伝熱板と、該伝熱板を介して前記熱可塑性樹脂組成物のシートを加熱する加熱体とを備え、前記の一対の伝熱板の双方もしくはいずれか一方には、前記熱可塑性樹脂組成物から生じたガスを通流させる、開孔面積0.5〜0.4mmの貫通孔が複数形成され、前記の複数の貫通孔が形成された伝熱板における開孔率は0.5〜3%であることよりなる。
【選択図】図2

Description

本発明は、架橋装置及び熱可塑性樹脂の架橋方法、ならびに熱可塑性樹脂発泡体の製造システム及び熱可塑性樹脂発泡体の製造方法に関する。
熱可塑性樹脂発泡体の製造方法としては、熱可塑性樹脂及び発泡剤を含有する熱可塑性樹脂組成物をシート状に成形し、前記熱可塑性樹脂を架橋し(架橋工程)、次いで発泡させる(発泡工程)のが一般的である。架橋工程を設けることで、熱可塑性樹脂組成物の伸長粘度を高めて、発泡工程での破泡を防止し、高発泡率の保持を図っている。
熱可塑性樹脂を架橋する方法としては、化学架橋や電子線架橋が知られている。
化学架橋としては、架橋剤を含有する熱可塑性樹脂組成物のシートを網地製の無端ベルトに載せ、熱風循環炉で加熱する熱風加熱法(例えば、特許文献1)や、架橋剤を含有する熱可塑性樹脂組成物のシートを一対の無端ベルトで挟み、この無端ベルトを介してヒータ等で加熱する、いわゆるダブルベルト挟持加熱法(例えば、特許文献2)が知られている。
特開昭62−64510号公報 特許第3792371号公報
しかしながら、酸素が存在する環境下で熱可塑性樹脂組成物のシートを加熱して熱可塑性樹脂を架橋しようとすると、酸素と接した部分では十分に架橋されず、ゲル分率を高められない。
特許文献1の技術では、熱可塑性樹脂組成物のシートが十分量の酸素と接した状態で加熱されるため、表層のゲル分率を十分に高められない。表層のゲル分率が低い熱可塑性樹脂組成物を発泡させると、表層と中心部とで気孔の大きさや数が不均一になって歪んだり、表面にシワが生じたりして、外観が低下する。
密閉された空間で、熱風として不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン等)を用いる熱風加熱法では、表層のゲル分率を十分に高めようとすると、加熱時間が長くなるため、生産性を高めにくい。加熱時間を短縮するために熱風の温度をさらに高めると、熱可塑性樹脂組成物の発泡反応が進行し、外観不良を生じることがある。
また、特許文献2の技術では、熱可塑性樹脂組成物のシートの表面がベルトによって空気と遮断され加熱されるため、シートの表層のゲル分率が高まるものの、架橋工程後のシートの表面近傍に大きな空隙が形成されたり、シートの側面に凹みが形成されたりして、外観不良を生じやすい。
そこで、本発明は、外観を損なわずに熱可塑性樹脂を十分に架橋できる架橋装置を目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
ダブルベルト挟持加熱法による架橋工程後のシートの表面近傍に形成される大きな空隙や側面の凹みは、架橋剤が分解して生じたガスがシートの表面近傍に滞留することで生じるものである。このため、本発明者らは、熱可塑性樹脂組成物に接触する酸素量を極力少なくしつつ、架橋工程で生じたガスを熱可塑性樹脂組成物から取り除くことで、外観を損なわずに熱可塑性樹脂を十分に架橋できることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の架橋装置は、熱可塑性樹脂及び架橋剤を含有する熱可塑性樹脂組成物のシートを加熱して前記熱可塑性樹脂組成物に架橋処理を施す架橋装置において、前記熱可塑性樹脂組成物のシートを挟持する一対の伝熱板と、該伝熱板を介して前記熱可塑性樹脂組成物のシートを加熱する加熱体とを備え、前記の一対の伝熱板の双方もしくはいずれか一方には、前記熱可塑性樹脂組成物から生じたガスを通流させる、開孔面積0.05〜0.4mmの貫通孔が複数形成され、前記の複数の貫通孔が形成された伝熱板における前記熱可塑性樹脂組成物のシートと接触する領域に形成された前記貫通孔の開孔面積の合計は、前記の熱可塑性樹脂組成物のシートと接触する領域の面積に対し0.5〜3%であることを特徴とする。
前記加熱体は、前記伝熱板を介して前記熱可塑性樹脂組成物のシートと隣接する加熱プレートを備え、前記加熱プレートには、前記貫通孔を通流したガスを排出する流路が形成されていることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂発泡体の製造システムは、前記の本発明の架橋装置と、発泡装置とを備え、前記熱可塑性樹脂組成物は、発泡剤を含有し、前記発泡装置は、前記架橋装置で架橋処理が施された前記熱可塑性樹脂組成物のシートを加熱して、前記発泡剤を発泡させることを特徴とする。
本発明の熱可塑性樹脂の架橋方法は、前記の本発明の架橋装置を用いることを特徴とする。
本発明の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法は、前記の本発明の熱可塑性樹脂発泡体の製造システムを用いた熱可塑性樹脂発泡体の製造方法であって、前記熱可塑性樹脂組成物のシートを前記架橋装置で加熱して架橋シートを得る架橋工程と、前記架橋シートを前記発泡装置で加熱して前記発泡剤を発泡させる発泡工程とを備えることを特徴とする。
前記架橋工程は、前記架橋シートの内層のゲル分率に対する表層のゲル分率の割合を50%以上にすることが好ましい。
本発明の架橋装置によれば、外観を損なわずに熱可塑性樹脂を十分に架橋できる。
本発明の一実施形態に係る熱可塑性樹脂発泡体の製造システムの模式図である。 本発明の一実施形態に係る架橋装置を示す模式図である。 図2の架橋装置に用いられる第二の無端ベルトの平面図である。 図2のIV−IV断面図である。
(熱可塑性樹脂発泡体)
本発明における熱可塑性樹脂発泡体は、ベースポリマーである架橋型の熱可塑性樹脂中に気孔が形成されたものである。
熱可塑性樹脂発泡体に形成された気孔は、それぞれ独立した独立孔でもよく、相互に連通した連通孔でもよい。
熱可塑性樹脂としては、融点又は軟化点以上の温度に加熱されると溶融する樹脂であればよく、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルや塩素化ポリ塩化ビニル等のポリ塩化ビニル系樹脂、ABS系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂等が挙げられ、中でも、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂は、単独重合体でもよいし、共重合体でもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、ポリプロピレン等のポリオレフィン系熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
熱可塑性樹脂を架橋するのに用いられる架橋剤としては、特に限定されず、例えば、ジアシルパーオキサイド化合物、ジアルキルパーオキサイド化合物、パーオキシケタール化合物、アルキルパーエステル化合物、パーカボネート化合物等の有機過酸化物が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレラート、ジ−(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等が挙げられる。これらの有機過酸化物は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
気孔を形成するのに用いられる発泡剤としては、加熱により分解ガスを発生するものであれば特に限定されず、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等の熱分解化学発泡剤が挙げられ、中でも、アゾジカルボンアミドが好ましい。これらの発泡剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
熱可塑性樹脂発泡体は、必要に応じて、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ポリテトラフルオロエチレン、高分子アクリル系等の滑剤、2,6−ジ−ter−ブチル−4−メチルフェノール、2−ter−6−(3’−ter−ブチル−5−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、3,9−ビス{2−[3−(3−ter−ブチル−4−ヒドロキ−5−メチルフェニル)プロピニロキシ]−1−1−ジメチルエチル}2,4,8,10−テトラオクサスピロ−(5,5)アデカーネ、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−ter−ブチル−4−ヒドロキフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−ter−ブチルアニリン)1,3,5−トリアジン、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−ter−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−ter−ブチル−4−ヒドロキフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−ter−ブチル−4−ヒドロキベンジル)ベンゼン、2,4−ビス−[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール等のフェノール系酸化防止剤、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−tert−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイト等のホスファイト類、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のオキサホスファフェナントレンオキサイド類等のリン系酸化防止剤等の添加剤や、アクリル系多官能モノマー等の任意成分を含有してもよい。
アクリル系多官能モノマーは、アクリロイルオキシ基を2個以上有する化合物である。アクリル系多官能モノマーとしては、例えば、アルカンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAのエチレングリコール付加ジアクリレート、ビスフェノールAのプロピレングリコール付加ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加トリアクリレート、グリセリンプロピレンオキサイド付加トリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
(熱可塑性樹脂発泡体の製造システム)
本発明の熱可塑性樹脂発泡体の製造システム(以下、単に製造システムということがある)は、架橋装置と発泡装置とを備えるものである。
以下に、本発明の一実施形態に係る製造システムについて、図面を参照して説明する。
図1の製造システム1は、押出装置2と、架橋装置3と、反転ロール13Aと、反転ロール群13Bと、発泡装置4と、冷却ロール群7と、巻取装置8とをこの順で備える。本実施形態において、発泡装置4は、加熱炉5と発泡炉6とで構成されている。
押出装置2は、ホッパー21と、ホッパー21から投入される原料を溶融混練して熱可塑性樹脂組成物とするシリンダ及びスクリュー(不図示)と、熱可塑性樹脂組成物をシート状物(原反シート)10aに成形する金型22とを備える。
スクリューを備える押出装置2としては、1軸スクリュー押出装置、2軸スクリュー押出装置、3本以上のスクリューを備えた多軸スクリュー押出装置等が挙げられる。1軸スクリュー押出装置としては、一般的なフルフライト型スクリューに加え、不連続フライト型スクリュー、ピンバレル、ミキシングヘッド等を有する押出装置等が用いられる。
2軸スクリュー押出装置としては、噛み合い同方向回転型押出装置、噛み合い異方向回転型押出装置、非噛み合い異方向回転型押出装置等が好ましい。なお、押出装置2の後段に真空ベントを設けることは、熱可塑性樹脂組成物中にエアーが混入したり、揮発物が残存するのを防ぐのに効果的である。
なお、押出装置2としては、スクリューを備えるものの他、一般的にプラスチック成形加工で使用されうる溶融混練装置であればよく、例えば、ニーダー、ローター、連続混練装置等の混練機とシート成形機とを組み合わせたものが挙げられる。
架橋装置3は、対向する一対の伝熱板で原反シート10aを加熱し、原反シート10aに架橋処理を施して、架橋シート10bとするものである。架橋装置3の一例について、図面を参照して説明する。図2は、架橋装置3を側面から見た模式図である。
図2の架橋装置3は、筐体30と筐体30内に設けられた加熱ユニット3aとを備える。
加熱ユニット3aは、原反シート10aを挟持可能に対向する第一の無端ベルト32及び第二の無端ベルト42と、第一の無端ベルト32を介して原反シート10aを加熱しかつ押圧する第一の加熱プレート36と、第二の無端ベルト42を介して原反シート10aを加熱しかつ押圧する第二の加熱プレート46とを備える。即ち、本実施形態の架橋装置3は、原反シート10aを一対の無端ベルトで上下方向に挟みこんで加熱する、ダブルベルト挟持式の架橋装置である。
本実施形態において、「熱可塑性樹脂組成物のシートを挟持する一対の伝熱板」は、第一の無端ベルト32及び第二の無端ベルト42で構成され、「伝熱板を介して熱可塑性樹脂組成物のシートを加熱する加熱体」は、第一の加熱プレート36、第二の加熱プレート46及びこれらに接続された熱源(不図示)で構成されている。
加熱ユニット3aには、2つの第一のガイドロール34が設けられ、この第一のガイドロール34に第一の無端ベルト32が掛け回されている。
加熱ユニット3aには、2つの第二のガイドロール44が設けられ、この第二のガイドロール44に第二の無端ベルト42が掛け回されている。
本実施形態では、3つの第一の加熱プレート36が原反シート10aの進行方向であるY方向に並べられ、次いで3つの第一の冷却プレート38が原反シート10aのY方向に並べられている。
また、第一の加熱プレート36に対向して3つの第二の加熱プレート46が設けられ、第一の冷却プレート38に対向して3つの第二の冷却プレート48が設けられている。
図3は、図2の第一の無端ベルト32の平面図であり、図4は、図2における加熱ユニット3aのIV−IV断面図である。
図3に示すように、第一の無端ベルト32には、複数の貫通孔31が形成されており、第一の無端ベルト32における破線で囲まれた領域Sが、原反シート10aと接触する部分である。
第一の無端ベルト32は、例えば、ガラス繊維やアラミド繊維の織物に穿孔したものや、パンチグメタル等が挙げられ、中でも、ガラス繊維やアラミド繊維の織物に穿孔したものが好ましい。ガラス繊維やアラミド繊維の織物に穿孔したものであれば、第一の加熱プレート36又は第二の加熱プレート46で加熱された際に変形したりしにくい。
加えて、第一の無端ベルト32は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂でコーティングされたものが好ましい。フッ素樹脂でコーティングされていることで、第一の無端ベルト32から架橋シート10bを剥離しやすい。
第一の無端ベルト32の大きさは、原反シート10aの大きさ等に応じて適宜決定される。
貫通孔31の形状は特に限定されず、真円形、楕円形等の円形でもよいし、三角形、四角形等の多角形でもよい。
貫通孔31は、全てが同じ形状でもよいし、相互に異なってもよい。
貫通孔31の大きさは、開孔面積0.05〜0.4mmであり、開孔面積0.08〜0.4mmが好ましい。開孔面積が上記上限値超では、原反シート10aの表面が酸素と接触しやすくなり、架橋シート10bの表層のゲル分率を十分に高められない。また、原反シート10aの表面樹脂が貫通孔31から溶出して、原反シート10aの表面に凸部が生じ、表面の平滑性が失われるおそれがある。開孔面積が上記下限値未満では、後述する架橋工程で原反シート10aから生じたガスが通流しにくくなり、大きな空隙や凹みが形成されやすくなる。
なお、表層は、架橋シート10bの表面から0.5mmの深さまでの部分をいい、ゲル分率は、JIS K6796に準拠して求められる値である。
第一の無端ベルト32における領域Sの面積に対する貫通孔の開孔面積の合計の割合、即ち、(領域Sにおける貫通孔の開孔面積の合計)/(領域Sの面積)×100で表される開孔率は、0.5〜3%であり、0.8〜2.5%が好ましい。開孔率が上記上限値超では、原反シート10aの表面が酸素と接触しやすくなり、表層のゲル分率を十分に高められない。開孔率が上記下限値未満では、後述する架橋工程で原反シート10aから生じたガスが通流しにくくなり、大きな空隙や凹みが形成されやすくなる。
第一の無端ベルト32の長さ方向における貫通孔31同士の距離D1は、貫通孔31の大きさ等を勘案して決定され、例えば、1.5〜8.0mmが好ましく、2.0〜6.0mmがより好ましい。上記下限値未満では、原反シート10aの表面への酸素の接触量が多くなり、表層のゲル分率が低くなるおそれがある。上記上限値超では、後述する架橋工程で原反シート10aから生じたガスが通流しにくくなり、大きな空隙や凹みが形成されやすくなるおそれがある。
第一の無端ベルト32の幅方向における貫通孔31同士の距離D2は、貫通孔31の大きさ等を勘案して決定され、例えば、1.5〜8.0mmが好ましく、2.0〜6.0mmがより好ましい。上記下限値未満では、原反シート10aの表面への酸素の接触量が多くなり、表層のゲル分率が低くなるおそれがある。上記上限値超では、後述する架橋工程で原反シート10aから生じたガスが通流しにくくなり、大きな空隙や凹みが形成されやすくなるおそれがある。
距離D1及び距離D2は、上記範囲内で、開孔面積と開孔率とが本発明の範囲内となるように適宜設定される。
第二の無端ベルト42は、複数の貫通孔41が形成されたものである。
第二の無端ベルト42の材質は、第一の無端ベルト32と同様である。
第二の無端ベルト42の大きさは、第一の無端ベルト32の大きさと同様である
貫通孔41の大きさは、第一の無端ベルト32の貫通孔31の大きさと同様である。貫通孔41の大きさは、貫通孔31の大きさと同じでもよいし、異なってもよい。
第二の無端ベルト42の開孔率は、第一の無端ベルト32における開孔率と同様である。第二の無端ベルト42の開孔率は、第一の無端ベルト32の開孔率と同じでもよいし、異なってもよい。
第二の無端ベルト42の長さ方向における貫通孔41同士の距離は、第一の無端ベルト32の長さ方向における貫通孔31同士の距離D1と同様である。第二の無端ベルト42の長さ方向における貫通孔41同士の距離は、第一の無端ベルト32の長さ方向における貫通孔31同士の距離D1と同じでもよいし、異なってもよい。
第二の無端ベルト42の幅方向における貫通孔41同士の距離は、第一の無端ベルト32の幅方向における貫通孔31同士の距離D2と同様である。第二の無端ベルト42の幅方向における貫通孔41同士の距離は、第一の無端ベルト32の幅方向における貫通孔31同士の距離D1と同じでもよいし、異なってもよい。
第一の加熱プレート36は、第一の無端ベルト32を介して原反シート10aを加熱できるものであればよく、例えば、ステンレス製やアルミニウム製等の直方体の部材をそのまま使用するか、鉄製等の直方体の部材表面をコーティングしたもの等が挙げられる。
第一の加熱プレート36に接続された熱源としては、パイプ状の一端からリード線を引き出した形状のカートリッジヒーター、電熱線を備えたプレート型ヒーター等が挙げられる。また、第一の加熱プレート36は、複数ブロックに分割されて、各ブロック毎に上記ヒーターを備え温度制御を行なうことにより原反シート10aの加熱温度を進行方向で変えられるようにしてもよい。
第一の加熱プレート36における第一の無端ベルト32と接する面には、第一の無端ベルト32の幅方向に延びる凹条37が形成されている。この凹条37は、第一の無端ベルト32の幅方向における第一の加熱プレート36の両側端にわたって形成されている。凹条37を形成することで、後述する架橋工程で原反シート10aから生じたガスは、貫通孔31と凹条37とを順に通流して、容易に排出される。即ち、凹条37は、「貫通孔を通流したガスを排出する流路」である。
凹条37の幅Wは、特に限定されないが、例えば、0.5〜15mmが好ましく、1〜10mmがより好ましい。上記下限値未満では、原反シート10aから生じたガスが排出されにくくなるおそれがあり、上記上限値超では、第一の加熱プレート36と第一の無端ベルト32との接触面積が小さくなって、原反シート10aに対する加熱効率が低下するおそれがある。
第二の加熱プレート46は、第一の加熱プレート36と同様である。
第二の加熱プレート46の凹条47は、第一の加熱プレート36における凹条37と同様である。
第一の冷却プレート38は、第一の無端ベルト32を介して原反シート10aを冷却できるものであればよく、例えば、ステンレス製やアルミニウム製等の直方体の筐体内に冷媒が通流されるもの等が挙げられる。
第二の冷却プレート48は、第一の冷却プレート38と同様である。
反転ロール13Aとしては、従来公知のガイドロールが挙げられる。
反転ロール群13Bは、3つのガイドロールからなり、これらが、架橋シート10bの進行方向に並設されている。
発泡装置4としては、架橋シート10bを任意の温度に加熱でき、発泡剤が分解する温度まで昇温でき、目的の発泡度を発現できるものであればよい。発泡装置4としては、温風加熱炉、近赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉等が挙げられ、それぞれ単独で用いられてもよし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
本実施形態においては、後述する発泡シート全体に気孔をより均一に形成させるのに好適であることから、加熱炉5と発泡炉6とで発泡装置4が構成されている。
加熱炉5には、架橋シート10bの通路54が形成され、通路54を挟んで2つの近赤外線ヒータ55が対向して設けられている。
近赤外線ヒータ55は、複数の棒状のヒータランプ(不図示)が、所定のピッチで互いに平行に設けられている。不図示のヒータランプは、波長が2.5μm以下の電磁波である近赤外線を放出するようになっている。
近赤外線ヒータ55の各ヒータランプの表面と、架橋シート10bの表面との間の距離は、例えば、架橋シート10bの厚さが0.5〜10mmの場合には、3〜25cmが好ましく、5〜20cmがより好ましい。ヒータランプと架橋シート10bとの距離が上記下限値未満では、架橋シート10bの搬送中に近赤外線ヒータ55の表面と架橋シート10bとが接触してしまうおそれがあり、上記上限値超では、近赤外線が拡散してしまい、架橋シート10bの加熱効率が低下するおそれがある。
発泡炉6は、熱風により架橋シート10bを加熱して、発泡剤を発泡させて、シート状の熱可塑性樹脂発泡体(以下、発泡シートということがある)10cにするものである。発泡炉6には、熱風ノズル(不図示)が設けられ、熱風ノズルは、熱風を送出することにより、発泡炉6内を任意の温度にする。
冷却ロール群7は、3つの冷却ロールで構成され、各冷却ロールの内部には、冷却水が通流されている。発泡炉6から送り出されてきた発泡シート10cは、冷却ロール群7に掛け回されて、冷却される。
巻取装置8は、冷却ロール群7で冷却された発泡シート10cをロール状に巻き取るものであればよい。
(熱可塑性樹脂発泡体の製造方法)
本発明の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法は、架橋工程と発泡工程とを備えるものである。
本発明の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法の一例について、図面を参照して説明する。
本実施形態の可塑性樹脂発泡体の製造方法は、押出工程と、架橋工程と、発泡工程と、冷却工程と、巻取工程とを備える。
まず、熱可塑性樹脂、架橋剤、発泡剤及び必要に応じて任意成分等の原料をホッパー21に投入する。押出装置2で、原料を溶融混合して熱可塑性樹脂組成物とし、これを金型22からシート状に押し出して原反シート10aを得る(押出工程)。なお、押出装置2で成形された原反シート10aにおいて、熱可塑性樹脂は架橋されていない。
熱可塑性樹脂組成物中の架橋剤の含有量は、熱可塑性樹脂の量や、架橋剤の種類等を勘案して決定される。
熱可塑性樹脂組成物中の発泡剤の含有量は、発泡シート10cに求める気孔率や発泡剤の種類等を勘案して決定される。
押出工程における温度条件は、熱可塑性樹脂が溶融し、かつ熱可塑性樹脂が架橋せず、発泡剤が発泡しない温度とされる。
原反シート10aの厚さは、発泡シート10cに所望する厚さを勘案して決定される。
第一の加熱プレート36及び第二の加熱プレート46を任意の温度とし、第一の冷却プレート38及び第二の冷却プレート48を任意の温度とする。第一の無端ベルト32をX1方向に進行させ、第二の無端ベルト42をX2方向に進行させる。
押出工程で得られた原反シート10aを架橋装置3内に案内する。案内された原反シート10aは、第一の無端ベルト32と第二の無端ベルト42とに挟持され、Y方向に進行する。そして、原反シート10aは、第一の加熱プレート36及び第二の加熱プレート46で任意の温度に加熱されて、樹脂組成物の一部又は全部が架橋される(架橋処理)。
この際、原反シート10aは、第一の無端ベルト32及び第二の無端ベルト42で表面が覆われているため、架橋反応を阻害する酸素が極めて少ない状態となっている。このため、架橋反応が酸素により阻害されず、架橋シート10bの表層のゲル分率を高められ、発泡シート10cの外観の低下を良好に抑制できる。
加えて、原反シート10aが加熱されると、原反シート10aの内圧が高まるため、架橋剤が分解して生じたガスは、容易に貫通孔31と凹条37とを通流するか、又は貫通孔41と凹条47とを通流して原反シート10a外に排出される。このため、架橋シート10bに大きな空隙が形成されたり、架橋シート10bの側面に凹みが形成されたりしない。
次いで、架橋処理が施された架橋シート10bは、第一の冷却プレート38と第二の冷却プレート48とにより、任意の温度に冷却される(架橋工程)。
第一の加熱プレート36及び第二の加熱プレート46での加熱温度は、架橋剤による架橋反応が生じ、かつ発泡剤が発泡しない(分解しない)温度であり、架橋剤の種類等に応じて適宜決定される。
第一の冷却プレート38及び第二の冷却プレート48で冷却された後の架橋シート10bの温度は、特に限定されないが、発泡反応が進行しない温度が好ましく、熱可塑性樹脂の融点温度以下がさらに好ましい。発泡反応が進行すると架橋シート10bが変形し、本発明が目的とする熱可塑性樹脂発泡体を得られないおそれがある。また、熱可塑性樹脂の融点温度以下に冷却することにより、架橋装置3の無端ベルト32、42に挟持された架橋シート10bが無端ベルト32、42から剥離しやすくなり、架橋シート10bが伸張する等の不具合を防止できる。
架橋工程で得られた架橋シート10bにおいて、内層のゲル分率に対する表層のゲル分率の割合(ゲル分布比)は、50%以上が好ましい。上記下限値以上であれば、後述する発泡工程で処理された際に気孔が均一に保持され、発泡工程において表面が高温に晒されても酸化劣化しにくい。
なお、内層は、表層を除く部分である。
架橋工程で得られた架橋シート10bは、反転ロール13A、反転ロール群13Bに掛け回されて、鉛直方向下方に向けられ、加熱炉5に案内される。加熱炉5に案内された架橋シート10bは、近赤外線ヒータ55で任意の温度で加熱される。この際の加熱条件は、架橋シート10bが変形せず、任意の発泡度となる温度又は時間とされる(第一の発泡操作)。
発泡度は、発泡シート10cの発泡倍率(最終発泡倍率)に対する、任意の時点での発泡倍率の割合で表される。発泡倍率は、任意の発泡度の試験片を水に浸漬することで発泡反応を停止した後、試験片を常温(25℃±15℃:JIS Z8703)で24時間乾燥し、これをJIS Z8807に準拠して密度を求める。また、未発泡の架橋シート10bの密度を同様に求め、下記(1)式により算出される。
試験片の発泡倍率(倍)=(任意の発泡度の試験片の密度)÷(未発泡の架橋シートの密度)・・・(1)
また、発泡度は、下記(2)式により算出される。
発泡度(%)=(試験片の発泡倍率)÷(最終発泡倍率)×100 ・・・(2)
第一の発泡操作における架橋シート10bに対する加熱温度は、架橋シート10bの表面温度が、発泡剤の分解開始温度以上とされ、例えば、発泡剤としてアゾジカルボンアミドを用いた場合は、架橋シート10bの表面温度が205℃以上となる温度で、架橋シート10bを加熱することが好ましい。
第一の発泡操作における加熱時間は、加熱温度等を勘案して適宜決定される。
第一の発泡操作で処理された架橋シート10bの発泡度は、20%以下が好ましい。発泡度を20%以下にすることで、架橋シート10bが変形するのを防止できる。
なお、加熱温度と加熱時間との調節により、発泡度を容易に調整できる。
第一の発泡操作を経た架橋シート10bは、発泡炉6で加熱される。架橋シート10bは、発泡炉6で加熱されると、残存する発泡剤が発泡して、発泡シート10cになる(第二の発泡操作)。本実施形態においては、第一の発泡操作と第二の発泡操作とで、発泡工程が構成される。
第二の発泡操作における加熱温度(即ち、発泡炉6内の温度)は、発泡剤の特性と発泡シート10cに求める最終発泡倍率に応じて適宜決定される。例えば、発泡剤としてアゾジカルボンアミドを用いた場合には、発泡炉6内の温度は、230〜280℃が好ましい。
発泡シート10cは、冷却ロール群7に掛け回されて、任意の温度に冷却される。冷却後の発泡シート10cの温度は、例えば、常温〜70℃が好ましい。
冷却された発泡シート10cは、巻取装置8で巻き取られ、巻回体となる。
上述した通り、本実施形態によれば、任意の大きさの貫通孔が任意の開孔率となるように形成された第一の無端ベルト32及び第二の無端ベルト42を備える架橋装置を用いるため、外観に優れ、かつ熱可塑性樹脂が十分に架橋された架橋シートを製造できる。
(その他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されない。
上述の実施形態では、第一の無端ベルト及び第二の無端ベルトの双方に貫通孔が形成されているが、本発明はこれに限定されず、第一の無端ベルト及び第二の無端ベルトのいずれか一方に、貫通孔が形成されていればよい。ただし、架橋工程で生じるガスをより効率的に排出するためには、第一の無端ベルト及び第二の無端ベルトの双方に貫通孔が形成されていることが好ましい。
上述の実施形態では、加熱プレートの「貫通孔を通流したガスを排出する流路」が、加熱プレートにおける無端ベルトとの接触面に形成された凹条とされているが、本発明はこれに限定されず、「貫通孔を通流したガスを排出する流路」が、加熱プレートに形成された貫通孔等であってもよい。
上述の実施形態では、加熱プレートには、「貫通孔を通流したガスを排出する流路」が形成されているが、加熱プレートには「貫通孔を通流したガスを排出する流路」が形成されていなくてもよい。ただし、架橋工程で生じるガスをより容易に排出する観点から、加熱プレートには「貫通孔を通流したガスを排出する流路」が形成されていることが好ましい。
上述の実施形態では、架橋装置が冷却プレートを備えているが、本発明はこれに限定されず、冷却プレートを備えていなくてもよい。
上述の実施形態では、無端ベルトを介して原反シートを加熱する加熱体が、加熱プレートと熱源とで構成されているが、加熱体は、例えば、無端ベルトに接触して設けられた電熱線等であってもよい。
上述の実施形態では、架橋装置が、一対の無端ベルトで原反シートを挟持しつつ加熱する連続式の装置であるが、本発明はこれに限定されず、貫通孔が形成された平板で任意の大きさの原反シートを挟持し、これを回分式の発泡炉等で加熱する回分式の架橋装置であってもよい。
上述の実施形態では、製造システムが反転ロール及び反転ロール群を備えているが、本発明はこれに限定されず、反転ロールや反転ロール群は、製造システムの設置スペース等を勘案して適宜設けられればよい。
上述の実施形態では、製造システムが冷却ロール群を備えているが、本発明はこれに限定されず、冷却ロール群を備えず、空冷等によって発泡シートを冷却してもよいし、冷却ロール群以外の冷却装置を備えてもよい。
上述の実施形態では、発泡シートの製造方法を例にして説明しているが、本発明の架橋装置又は架橋方法はこれに限定されない。本発明の架橋装置又は架橋方法は、例えば、発泡剤を含有しない熱可塑性樹脂組成物を用い発泡工程を備えずに、気孔を有しない架橋型の熱可塑性樹脂の成形体の製造方法に適用されてもよい。
以下、本発明について実施例を示して説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(製造例1)原反シートの製造
原料として、熱可塑性樹脂である低密度ポリエチレン(ベトロセン186R、東ソー株式会社製)100質量部と、発泡剤であるアゾジカルボンアミド15質量部と、有機過酸化物であるジクミルパーオキサイド(1分半減期温度175℃)1.5質量部とをラボプラストミル(R60、株式会社東洋精機製作所製)に投入した。ラボプラストミルに投入した原料を135℃で3分間混練した後、140℃で3分間プレスし、常温まで空冷して原反シート(長さ15cm×幅5cm×厚さ0.4cm)を得た。
(実施例1)
アラミド繊維の織物をPTFEでコーティングしたフッ素樹脂ベルト(NS27FG−P、三つ星ベルト株式会社製)に、開孔径φ0.34mm(開孔面積0.09mm)の貫通孔を形成した伝熱板である無端ベルトを得た。本例の無端ベルトの長さ方向における貫通孔同士の距離は2.7mm、無端ベルトの幅方向における貫通孔同士の距離は2.7mm、開孔率は1.2%である。この無端ベルトを第一の無端ベルト及び第二の無端ベルトとして、図2の架橋装置3と同様の架橋装置を作製した。
得られた架橋装置を用い、製造例1で得られた原反シートを15秒間で190℃に昇温し、190℃を40秒間維持し、次いで30秒間で100℃に冷却して、架橋シートを得た。得られた架橋シートについて、外観、剥離性及びゲル分率を測定し、その結果を表1に示す。なお、表中、本例における架橋方法を「連続式」と記載する。
(実施例2)
実施例1で用いた無端ベルトと同様の素材を長さ30cm×幅30cmに切り出し、実施例1と同様の貫通孔を形成したもので伝熱板を得た。製造例1で得られた原反シートを2枚の伝熱板の間に挟み、2枚の伝熱板の周縁同士の隙間をアルミニウムテープで塞いだ。2枚の伝熱板で挟まれた原反シートを、210℃に設定した送風定温恒温機(DN400、ヤマト科学株式会社製)に入れ、原反シートが190℃になるまで加熱した。190℃に加熱した後、直ちに原反シートを送風定温恒温機から取り出し、伝熱板から剥離し、常温まで冷却して架橋シートを得た。得られた架橋シートについて、外観、剥離性及びゲル分率を測定し、その結果を表1に示す。なお、表中、本例における架橋方法を「回分式」と記載する。
(実施例3)
実施例1で用いた無端ベルトと同様の素材を長さ30cm×幅30cmに切り出したものに、開孔径φ0.64mm(開孔面積0.32mm)の貫通孔を形成した伝熱板を用いた以外は、実施例2と同様にして架橋シートを得た。得られた架橋シートについて、外観、剥離性及びゲル分率を測定し、その結果を表1に示す。本例の無端ベルトの開孔率は0.9%である。なお、表中、本例における架橋方法を「回分式」と記載する。
(比較例1)
貫通孔が形成されていないフッ素樹脂ベルトを無端ベルトとした以外は、実施例1と同様にして架橋シートを得た。得られた架橋シートについて、外観、剥離性及びゲル分率を測定し、その結果を表1に示す。なお、表中、本例における架橋方法を「連続式」と記載する。
(比較例2)
伝熱板として、貫通孔が形成されていないフッ素樹脂ベルトを用いた以外は、実施例2と同様にして架橋シートを得た。得られた架橋シートについて、外観、剥離性及びゲル分率を測定し、その結果を表1に示す。なお、表中、本例における架橋方法を「回分式」と記載する。
(比較例3)
伝熱板として、100メッシュの畳織金網(開孔面積:0.063mm、開孔率:22.7%)を用いた以外は、実施例2と同様にして架橋シートを得た。得られた架橋シートについて、外観、剥離性及びゲル分率を測定し、その結果を表1に示す。なお、表中、本例における架橋方法を「回分式」と記載する。
(比較例4)
伝熱板として、1000メッシュの畳織金網(開孔面積:0.0007mm、開孔率:9.1%)を用いた以外は、実施例2と同様にして架橋シートを得た。得られた架橋シートについて、外観、剥離性及びゲル分率を測定し、その結果を表1に示す。なお、表中、本例における架橋方法を「回分式」と記載する。
(比較例5)
伝熱板として、10000メッシュの畳織金網(開孔面積:0.00044mm、開孔率:8.2%)を用いた以外は、実施例2と同様にして架橋シートを得た。得られた架橋シートについて、外観、剥離性及びゲル分率を測定し、その結果を表1に示す。なお、表中、本例における架橋方法を「回分式」と記載する。
(評価方法)
<外観>
各例で得られた架橋シートを目視で観察し、下記評価基準に従って評価した。
≪評価基準≫
○:架橋シートに大きな空隙や凹みが見られない。
△:架橋シートに小さな空隙や小さな凹みが見られる。
×:架橋シートに大きな空隙又は凹みが見られる。
<剥離性>
架橋シートを伝熱板から剥がした後、伝熱板を目視で観察し、下記評価基準に従って評価した。
≪評価基準≫
○:伝熱板に架橋シートの残存がない。
×:伝熱板に架橋シートの一部が残存する。
<ゲル分率>
各例で得られた架橋シートの両面を深さ0.5mmまで削り取り、これを表層試料とし、残りを内層試料とした。表層試料及び内層試料をそれぞれ薄片にし、表層試料の乾燥質量と内層試料の乾燥質量とを正確に計り(0.5g程度)、表層試料と内層試料とをそれぞれ100メッシュのステンレス金網に包み、キシレンの中で8時間煮沸して、金網内に残存したゲル分を得た。得られたゲル分を140℃で3時間程度、真空乾燥して、ゲル分の乾燥質量を測定した。得られたゲル分の乾燥質量から、下記(3)又は(4)式によって、表層試料及び内層試料のゲル分率を求めた。求められた表層試料のゲル分率と内層試料のゲル分率とから、下記(5)式によりゲル分布比を求めた。
表層試料のゲル分率(%)=(表層試料のゲル分の乾燥質量)÷(表層試料の乾燥質量)×100 ・・・(3)
内層試料のゲル分率(%)=(内層試料のゲル分の乾燥質量)÷(内層試料の乾燥質量)×100 ・・・(4)
ゲル分布比(%)=(表層試料のゲル分率)÷(内層試料のゲル分率)×100 ・・・(5)
Figure 2014070166
表1に示す通り、本発明を適用した実施例1〜3は、外観及び剥離性が「○」であり、ゲル分布比が50%以上であった。即ち、実施例1〜3は、架橋シートの表層のゲル分率を十分に高められていた。
貫通孔が形成されていない伝熱板を用いた比較例1〜2は、ゲル分布比が50%以上で、剥離性が「○」であったが、外観が「×」であった。
貫通孔の開孔面積が0.05〜0.4mmの範囲であるが、開孔率が3%超の比較例3では、外観が「△」、剥離性が「×」、ゲル分布比が50%未満であった。
貫通孔の開孔面積が0.05mm以下で、開孔率が3%超の比較例4、5は、外観が「△」、剥離性が「×」、ゲル分布比が50%未満であった。
これらの結果から、本発明を適用することで、ゲル分率を高め、外観を良好にできることが判った。
1 熱可塑性樹脂発泡体の製造システム
3 架橋装置
4 発泡装置
5 加熱炉
6 発泡炉
10a 原反シート
10b 架橋シート
10c 発泡シート
31、41 貫通孔
32 第一の無端ベルト
36 第一の加熱プレート
37、47 凹条
42 第二の無端ベルト
46 第二の加熱プレート

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂及び架橋剤を含有する熱可塑性樹脂組成物のシートを加熱して前記熱可塑性樹脂組成物に架橋処理を施す架橋装置において、
    前記熱可塑性樹脂組成物のシートを挟持する一対の伝熱板と、該伝熱板を介して前記熱可塑性樹脂組成物のシートを加熱する加熱体とを備え、
    前記の一対の伝熱板の双方もしくはいずれか一方には、前記熱可塑性樹脂組成物から生じたガスを通流させる、開孔面積0.05〜0.4mmの貫通孔が複数形成され、
    前記の複数の貫通孔が形成された伝熱板における前記熱可塑性樹脂組成物のシートと接触する領域に形成された前記貫通孔の開孔面積の合計は、前記の熱可塑性樹脂組成物のシートと接触する領域の面積に対し0.5〜3%であることを特徴とする架橋装置。
  2. 前記加熱体は、前記伝熱板を介して前記熱可塑性樹脂組成物のシートと隣接する加熱プレートを備え、
    前記加熱プレートには、前記貫通孔を通流したガスを排出する流路が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の架橋装置。
  3. 請求項1又は2に記載の架橋装置と、発泡装置とを備え、
    前記熱可塑性樹脂組成物は、発泡剤を含有し、
    前記発泡装置は、前記架橋装置で架橋処理が施された前記熱可塑性樹脂組成物のシートを加熱して、前記発泡剤を発泡させることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体の製造システム。
  4. 請求項1又は2に記載の架橋装置を用いることを特徴とする熱可塑性樹脂の架橋方法。
  5. 請求項3の熱可塑性樹脂発泡体の製造システムを用いた熱可塑性樹脂発泡体の製造方法であって、
    前記熱可塑性樹脂組成物のシートを前記架橋装置で加熱して架橋シートを得る架橋工程と、
    前記架橋シートを前記発泡装置で加熱して前記発泡剤を発泡させる発泡工程とを備えることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
  6. 前記架橋工程は、前記架橋シートの内層のゲル分率に対する表層のゲル分率の割合を50%以上にすることを特徴とする請求項5に記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
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