JP2014064564A - 乳酸発酵竹粉の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】雑菌類による乳酸発酵竹粉の品質の低下、取り分け乳酸発酵過程における酢酸エチルの発生を防止できるようにする。
【解決手段】生竹9を切削又は粉砕した竹粉11を真空容器41に入れて、その真空容器41内を真空状態に保ちながら、真空下で乳酸発酵させて乳酸発酵竹粉1を製造する。真空圧は中真空圧以上であることが望ましい。
【選択図】図1
【解決手段】生竹9を切削又は粉砕した竹粉11を真空容器41に入れて、その真空容器41内を真空状態に保ちながら、真空下で乳酸発酵させて乳酸発酵竹粉1を製造する。真空圧は中真空圧以上であることが望ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、生竹を切削又は粉砕した竹粉から乳酸発酵竹粉を製造する乳酸発酵竹粉の製造方法に関するものである。
孟宗竹を微細に切削又は粉砕した竹粉を乳酸発酵させた乳酸発酵竹粉がある。この乳酸発酵竹粉は、乳牛等の家畜用の飼料として良質のサイレージであると共に、農作物等の植物の生育を助ける良質の肥料として利用できる等、飼料用、肥料用、水産用、消臭用、食品用、化粧品用、医薬部外品用、医薬品用等の各種の分野での応用が広く期待されている。
従来、この乳酸発酵竹粉は、孟宗竹の比較的若い生竹を微細に切削して竹粉化し、その竹粉を短時間内に袋に詰めて封口し、その状態で2〜3週間静置して乳酸発酵させて製造している(特許文献1)。
竹粉の乳酸発酵に供される乳酸菌には、乳酸以外の副産物を伴わないホモ乳酸発酵を行うホモ乳酸菌と、酢酸や炭酸ガス等の副産物を伴うヘテロ乳酸発酵を行うヘテロ乳酸菌とがある。ヘテロ乳酸菌には例えばウィッセラ属(Weissella 属)やリューコノストック属(Leuconostoc 属)等があり、このヘテロ乳酸菌による乳酸発酵時に炭酸ガスが発生する。
そこで、従来は竹粉を袋詰めした後、若干の空気が出入りするように袋の口側を軽く紐で封じておき、ヘテロ乳酸発酵に伴って炭酸ガスが発生すれば、その炭酸ガスを袋の口側から外部へと抜くことにより、乳酸発酵過程での炭酸ガスによる袋の膨張、破損を未然に防止している。
しかし、乳酸発酵竹粉の製造工場には、ハンゼヌラ又はピチア(Hansenula,Pichia)等の酵母を含む雑菌類も繁殖しているため、従来の製造方法では、封口部を経て袋内に雑菌類が侵入して内部で増殖する等、乳酸発酵竹粉の品質の低下を招くという問題がある。
特にハンゼヌラ又はピチア等の酵母が侵入した場合には、竹粉の乳酸発酵中に酢酸とエタノールとが生成されて、その酢酸とエタノールとのエステル反応により微量の酢酸エチルが生成されるという問題がある。従って、乳酸発酵竹粉の安全性を確保する上でも、酢酸エチルの発生を防止する必要がある。
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、雑菌類による乳酸発酵竹粉の品質の低下、取り分け乳酸発酵過程における酢酸エチルの発生を防止できる乳酸発酵竹粉の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の乳酸発酵竹粉の製造方法は、生竹を切削又は粉砕した竹粉を真空下で乳酸発酵させて乳酸発酵竹粉を製造するものである。
前記竹粉を中真空下で乳酸発酵させてもよいし、前記竹粉を密閉状の真空容器内に入れて乳酸発酵させてもよい。ることを特徴とする請求項1又は2に記載の乳酸発酵竹粉の製 また別な本発明の乳酸発酵竹粉の製造方法は、生竹を切削又は粉砕した竹粉を不活性ガス雰囲気下で乳酸発酵させて乳酸発酵竹粉を製造するものである。
前記不活性ガス雰囲気下は窒素ガス雰囲気下であってもよい。
本発明によれば、雑菌類による乳酸発酵竹粉の品質の低下、取り分け乳酸発酵過程における酢酸エチルの発生を防止できる利点がある。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。
図1は酢酸エチルの生成を防止しながら飼料用(畜産用)の乳酸発酵竹粉1を製造する本発明の第1の実施形態を示す。乳酸発酵竹粉1は図1に示す竹粉化工程2、金属除去工程3、真空乳酸発酵工程4、篩工程5、配合工程6、真空包装工程8を経て製造する。
竹粉化工程2では2〜3年物の孟宗竹の生竹9を使用し、この生竹9を切削して所定の大きさに竹粉化する。この竹粉化に際しては、例えば生竹9の端面に当接して回転する回転刃10を備えた竹粉化装置を利用し、その回転刃10により生竹9を端面側から長手方向と略直角方向に切削して所定の大きさの竹粉11にする。なお、竹粉11は生竹9を切削したものであって、所定の水分を含有している。
竹粉11は略500μm程度の厚さで生竹9を横方向に切削してハニカム状にしたものが適当であるが、約50〜600μm程度でもよい。また竹粉11は生竹9を他の方法で粉砕したものでもよい。竹粉化後の竹粉11は、空気搬送等により次の金属除去工程3に搬送する。
金属除去工程3では竹粉11を金属除去装置にかけて、竹粉化工程2での回転刃10の刃零れ等により竹粉11中に混入した金属片を磁石により吸着して除去する。これは家畜類に給餌したときに、体内に金属片が入らないようにするためである。この金属除去処理後の竹粉11は、空気搬送等により次の真空乳酸発酵工程4へと搬送する。
なお、竹粉化工程2と金属除去工程3との間に粗篩工程を設けて、竹粉11を粗い篩にかけて、竹粉化工程2で切削されなかった大きな(例えば数百mm以上の大きさ)未切削片を除去してもよい。この場合には、金属除去工程3での金属除去性能を向上させることができる。粗篩工程は金属除去工程3と真空乳酸発酵工程4との間に設けてもよい。これらに関しても空気搬送を利用してもよい。
真空乳酸発酵工程4では真空装置40の真空容器(真空処理室)41内に、適度な水分を含有する竹粉11を入れて所定の真空下で所定期間静置することにより、竹由来の乳酸菌で竹粉11を乳酸発酵(一次乳酸発酵)させて一次乳酸発酵竹粉(以下、乳酸発酵原料竹粉という)14を生成する。
真空装置40は、所定の真空圧に十分に耐え得る密封度の高い箱状等の真空容器41と、この真空容器41内の気体を吸引して排出する真空系統42と、真空容器41内に竹粉11を搬入する搬入系統43と、真空容器41内の乳酸発酵原料竹粉14を搬出する搬出系統44とを備えている。
真空容器41はステンレス板等の金属板により箱状、その他の形状に構成されており、側壁、天井等の所要箇所に点検窓45と、この点検窓45を開閉する開閉蓋46とが設けられている。点検窓45は真空容器41の内部の点検用であり、開閉蓋46は点検窓45を経て真空容器41の内部を視認できるようになっている。なお、真空容器41内の真空度が高い場合には、真空容器41は球形状にしてもよい。また真空容器41の容積が大きい場合には、点検窓45を通じて作業員が出入りできるようにしてもよい。
真空系統42は真空容器41の上部等に接続された吸引用配管47を有し、この吸引用配管47にはゴミを除去する二次フィルタ48と、真空容器41内の圧力を測定する圧力計49と、電磁式、電動式、手動式等の開閉弁50と、真空容器41内の空気等を吸引する真空ポンプ51とが設けられ、また真空系統42の真空容器41内には竹粉11等を除去する一次フィルタ52が設けられている。
搬入系統43は真空容器41の側壁の上部又は天井に形成された入口部54と、入口部54に接続された空気搬送用の搬入用配管55と、搬入用配管55の途中に設けられた電磁式、電動式、手動式等の開閉弁56とを有し、竹粉11を空気搬送により搬入するようになっている。
搬出系統44は真空容器41の側壁の下部又は最下部に形成された出口部57と、出口部57に接続された空気搬送用の搬出用配管58と、搬出用配管58の途中に設けられた電磁式、電動式、手動式等の開閉弁59とを有し、真空容器41内の乳酸発酵後の乳酸発酵原料竹粉14を空気搬送により搬出するようになっている。
なお、真空容器41は、その内部の竹粉11、乳酸発酵原料竹粉14等のpHを検出するpH検出器(図示省略)を備えている。
真空装置40では搬入系統43の開閉弁56を開状態にして、搬入用配管55を経て空気搬送により真空容器41内へと竹粉11を搬入する。このとき搬出用配管58の開閉弁59を開状態にするか、又は吸引用配管47の開閉弁50を開状態にして、真空容器41内の空気を容易に排出できるようにする。
真空容器41への竹粉11の空気搬入が終了すると、搬入用配管55の開閉弁56及び搬出用配管58の開閉弁59を閉状態とし、吸引用配管47の開閉弁50を開状態にし、真空ポンプ51により真空容器41内の空気を吸引して減圧する。そして、例えば圧力計49の計測値が絶対圧力50KPa程度、望ましくは0.1Pa程度まで下れば開閉弁50を閉状態にし、真空容器41内を真空(低真空)状態に維持する。この真空下では真空容器41内が低酸素雰囲気下となっている。なお、真空容器41内の圧力は100Pa以上、例えば50KPa程度の低真空でもよいし、また0.1〜100Pa程度の中真空としてもよい。
真空容器41内の温度は常温(例えば25°C前後)としている。また真空容器41内のpH検出器(図示省略)で乳酸発酵原料竹粉14のpHが検出可能となっている。真空乳酸発酵工程4での一次乳酸発酵中は、pH検出器により真空容器41内のpH値を計測しており、そのpH値が4になったときに乳酸発酵が十分に進んだと判断でき、真空乳酸発酵工程4を終了する。この一次乳酸発酵に要する期間は例えば5日程度であり、この5日間の乳酸発酵によって乳酸発酵原料竹粉14ができる。
また乳酸発酵期間中、真空容器41内の乳酸発酵原料竹粉14のpH値を管理することにより、pH異常発酵(つまり、所定静置期間が経過しているにも拘わらずpHが下がらないという異常発酵)を検出できる利点もある。
即ち、通常はpH値が4に低下して正常発酵が完了する期間(正常完了期間:前述の5日間)で正常発酵するが、5日間を経過してもpH値が下がらない(或いは上がっている場合もある)異常発酵が生じる場合がある。しかし、真空容器41内の乳酸発酵原料竹粉14のpH値を計測し管理することにより、異常発酵を的確に検出することができ、異常発酵品の製品化を排除できる。
なお、pH検出器で検出されたpH値を例えばコンピュータ等の制御手段(図示省略)に出力し、そのpH値が予め設定された設定値(例えば「4」)に到達したときに真空乳酸発酵工程4を終了するようにしてもよい。また正常完了期間内にpH値が設定値に到達すれば正常発酵とし、到達していなければ異常発酵と判定することができる。
またコンピュータ等の制御手段に、正常発酵の場合のpH遷移を示す正常遷移パターンデータを予め記憶しておき、計測したpH値のパターンデータが正常遷移パターンデータと一致または許容範囲内にあることに基づいて、真空乳酸発酵工程4の終了と判定するようにしてもよい。
真空容器41が大型の場合や複数の区画室を備える場合には、真空容器41の内部のpH値を平均的に満遍なく検出できるように複数のpH検出器を配設することにより、各計測部位毎に乳酸発酵の良否を判定することができる。
真空容器41はステンレス板等の金属板を真空用材料として使用しており、真空容器41内にヘテロ乳酸菌の発酵による炭酸ガスが発生したときにも、ガス漏れや変形が生じない構成となっている。なお、真空容器41はステンレス板等の金属板を使用したものである必要はなく、耐真空性、密封性を有するものであれば、合成樹脂製の可撓シート材を利用した袋等でもよい。
真空乳酸発酵工程4での乳酸発酵が終了すると、開閉弁50を開状態にし、真空容器41内を大気圧状態に戻した後、搬出用配管58の開閉弁59を開状態として、空気搬送により、真空容器41内の乳酸発酵原料竹粉14を搬出用配管58を通じて次の篩工程5へと搬送する。
篩工程5では乳酸発酵原料竹粉14を篩にかけて500μm以下、望ましくは300μm程度以下に揃える。この時点で篩にかけることにより、乳酸発酵原料竹粉14自体の水分の含有量が竹粉11に比較して少ないので、篩の目詰まりが少なくなり能率よく効率的に篩い分けることができる。
配合工程6では篩にかけた後の乳酸発酵原料竹粉14を攪拌機に入れ、この乳酸発酵原料竹粉14に添加物である植物酵素15と竹炭粉16とを添加して配合する。植物酵素15はその分解、合成、吸収作用により家畜に不可欠な新陳代謝を促進させて活性化を図るためであり、この植物酵素15としては例えばパパイン酵素が適当である。竹炭粉16は乳酸発酵竹粉1の臭気を脱臭し、そのpHの中性化を図るためである。
飼料用の乳酸発酵竹粉1の場合には対象とする家畜の種類によっても異なるが、例えば乳牛用であれば乳酸発酵原料竹粉14を10kgに対して植物酵素15を60g、竹炭粉16を200g程度配合するのが適当である。
乳酸発酵後の乳酸発酵原料竹粉14は強い酸性を示し、また特有の強い臭気を有する。しかし、アルカリ性の竹炭粉16を配合することにより、その中和作用によりpHを乳酸発酵終了時点よりも中性に近付けることができ、また特有の臭気を脱臭することができる。なお、竹炭粉16を多量に配合すると、乳酸発酵竹粉1の色合いが黒くなり、乳牛等の食欲を損なうことになる。
このように乳酸発酵原料竹粉14に植物酵素15及び竹炭粉16の添加物を配合すれば、真空包装工程8において、その添加物が配合された乳酸発酵竹粉1を所定量ずつ計量して密封容器等の密封袋17により真空包装して最終の製品18とする。密封袋17には遮光性、密封性を有するアルミ蒸着フィルム製のものを使用する。
このようにして製造した乳酸発酵竹粉1は、本来家畜類の成長促進効果の大きい良質のサイレージの一種であるが、植物酵素15を配合することによって、難点であった竹繊維の問題を解消することができる。
即ち、乳酸発酵竹粉1に植物酵素15、取り分けパパイン酵素を配合しているため、家畜の体内でのパパイン酵素の働きにより乳酸発酵竹粉1の竹繊維を容易に軟化又は分解でき、竹繊維が原因の消化不良等を防止できると共に、家畜類の新陳代謝を促進でき、乳酸発酵竹粉1が本来的に有する成長促進効果を更に増大させることができる。
また乳酸発酵竹粉1には竹炭粉16を配合しているため、特有の臭気、酸性を嫌う家畜類の飼料用としても最適であり、各種の家畜類に広く給餌することが可能である。
植物酵素15、竹炭粉16の配合割合は、家畜類の嗜好性を考慮して適宜調節可能である。例えば植物酵素15としてのパパイン酵素の配合割合は、乳酸発酵原料竹粉14の10Kgに対して40〜80g(0.004〜0.008重量%)の範囲で調節可能であり、また竹炭粉16の配合割合は、乳酸発酵原料竹粉14の10Kgに対して100〜300g(0.01〜0.03重量%)の範囲で調節可能である。
更に真空乳酸発酵工程4では、耐真空性を有する真空容器41を使用して真空下(低酸素雰囲気下)で竹粉11を乳酸発酵させているため、ヘテロ乳酸菌による乳酸発酵時に炭酸ガスが発生しても、それによる内圧の上昇によって真空容器41が損傷するようなことがない。従って、真空乳酸発酵工程4での乳酸発酵中に外部の雑菌類が進入して内部で増殖する等による、乳酸発酵竹粉1の品質の低下を防止できる。
また仮に真空乳酸発酵工程4以前の段階で竹粉11等に、好気性菌であるハンゼヌラ又はピチア等の酵母が混入するようなことがあっても、真空容器41内を真空状態に維持して、その真空下で竹粉11を乳酸発酵させているため、酵母菌の繁殖を抑制することができ、竹粉11の乳酸発酵中に酢酸とエタノールとのエステル反応により生成される酢酸エチルの発生を未然に防止することができる。このため乳酸発酵竹粉1の安全性が著しく向上する利点がある。
なお、真空容器41を含む真空装置40を複数設けて、各真空容器41に順次日にちを変えて竹粉11を入れて真空発酵を開始する等、各真空容器41毎に乳酸発酵の開始時期を1日単位で順次ずらすような製造管理方式を採用すれば、乳酸発酵竹粉1の製造に数日の日数を要するにも拘わらず、その生産性の向上を図ることができる。例えば、真空容器41を含む真空装置40を5台設置すれば、その5台を月曜日から金曜日までの5日間に順次割り当てて製造することも可能である。勿論、その設置数は5台以外の複数であってもよい。
図2は肥料用の乳酸発酵竹粉1を製造する本発明の第2の実施形態を示す。
肥料用の乳酸発酵竹粉1は、図2に示す竹粉化工程2、金属除去工程3、真空乳酸発酵工程4、篩工程5、配合工程6、二次発酵工程7、包装工程8Aを経て製造する。
なお、竹粉化工程2、金属除去工程3、真空乳酸発酵工程4、篩工程5までは、第1の実施形態と略同じである。肥料用の場合には、金属除去工程3は省略してもよい。
配合工程6では、真空乳酸発酵工程4で一次乳酸発酵させた後の乳酸発酵原料竹粉14に、パパイン酵素等の植物酵素15と竹炭粉16と竹葉粉20との添加物を添加し配合する。この場合、乳酸発酵原料竹粉14を10kgに対してパパイン酵素等の植物酵素15を20g(乳酸発酵原料竹粉14に対して0.002重量%)、竹炭粉16を800g(乳酸発酵原料竹粉14に対して0.08重量%)、竹葉粉20を10kg(乳酸発酵原料竹粉14と略同じ)程度の割合で配合する。
これは、パパイン酵素等の植物酵素15が20g程度でも農作物の発根性が向上し、光合成が良好になる等、農作物の新陳代謝を促進して活性化を十分確保できるからである。また竹炭粉16を800g程度とすることにより、乳酸発酵竹粉1のpHを6±0.5程度に中性化するためである。また竹葉粉20が有する強い殺菌性、抗菌性を利用して、土壌等の殺菌性、抗菌性を高めるためである。
なお、圃場の土質に応じて植物酵素15は乳酸発酵原料竹粉14を10kgに対して10〜30g(乳酸発酵原料竹粉14に対して0.001〜0.003重量%)、竹炭粉16は500〜1000g(乳酸発酵原料竹粉14に対して0.05〜0.1重量%)の範囲で調整することも可能である。また乳酸発酵原料竹粉14に植物酵素15、竹炭粉16、竹葉粉20の他に米糠を配合すれば、二次発酵工程7での二次発酵を促進させることができる。
二次発酵工程7では、乳酸発酵原料竹粉14に植物酵素15と竹炭粉16と竹葉粉20との添加物を配合した配合粉を、好気性雰囲気下で2週間程度の期間をかけて二次発酵させる。この二次発酵工程7では配合粉を盛り上げた状態で二次発酵させるが、所定期間毎に攪拌、静置を繰り返しながら配合粉の全体を略均一に発酵させる。
この二次発酵工程7で配合粉を二次発酵させることにより所定の乳酸発酵竹粉1ができるので、包装工程8Aにおいて、孔19aの空いた通気性のある包装袋19に包装して最終の製品18Aとする。なお、包装袋19は密封性を有するものでもよい。
このように乳酸発酵原料竹粉14に植物酵素15を配合することによって、農作物の発根性が向上し、光合成が良好になる等、農作物の新陳代謝を促進して活性化を十分確保でき、また竹炭粉16を配合することにより全体のpHを中性化する等、土壌、農作物に応じてpHを容易に調整することができる。
更に乳酸発酵原料竹粉14に竹葉粉20を配合しているため、この竹葉粉20により殺菌性、抗菌性が向上し、しかも乳酸発酵竹粉1の原料となる生竹9の幹の他に、その竹枝を含む竹葉までも使用でき資源の無駄を極力防止することができる。
なお、この場合にも真空乳酸発酵工程4での竹粉11の一次乳酸発酵において、第1の実施形態と同様に酢酸エチルの生成を未然に防止できることは云うまでもない。
図3は飼料用、肥料用、水産用、消臭用に用いる乳酸発酵竹液22を製造する本発明の第3の実施形態を示す。
この乳酸発酵竹液22は、乳酸発酵竹粉1にパパイン酵素等の植物酵素15、竹炭粉16等の添加物を配合し水中で発酵させてエキスを抽出したものであり、図3に示す竹粉化工程2、金属除去工程3、真空乳酸発酵工程(一次乳酸発酵工程)4、篩工程5、配合工程6、竹液発酵工程23、熟成工程24、濾過工程25、容器詰め工程26を経て製造する。
なお、図3の製造工程では、竹粉化工程2、金属除去工程3、真空乳酸発酵工程4、篩工程5、配合工程6までは、図1に示す第1の実施形態と同じである。
配合工程6では乳酸発酵原料竹粉14に植物酵素15及び竹炭粉16の添加物を配合する。竹液発酵工程23では、添加物が配合された乳酸発酵竹粉1を不織布製のフィルター27に入れた後、浸漬容器28内の活性水等の水29に浸漬する。なお、このときの乳酸発酵竹粉1と水29との割合は、乳酸発酵竹粉1が約10kgに対して水29は約80リットル程度が適当である。
そして、乳酸発酵竹粉1を水29に浸漬した後、浸漬容器28内の空間部分の空気を抜いて不活性ガス、例えば窒素ガス30に置換し、室温26°C程度の発酵室に所定期間(例えば5〜7日程度)静置して、乳酸発酵竹粉1からその二次発酵エキスである乳酸発酵竹液22の抽出と、窒素ガス雰囲気下で乳酸発酵竹粉1、乳酸発酵竹液22中の乳酸菌及び一般生菌により二次発酵とを並行して行う。
浸漬容器28は開閉蓋31を有し、乳酸発酵竹粉1を入れた状態のフィルター27を出し入れでき、また必要に応じて適宜密閉可能である。浸漬容器28にはpH検出器(図示省略)が設けられており、乳酸発酵竹液22のpHを検出できるようになっている。竹液発酵工程23の初期では、浸漬容器28内の水29はpH7程度の中性であり、これにpH4程度の乳酸発酵竹粉1を加えるため、全体としてpHが6弱程度となる。
竹液発酵工程23において乳酸菌及び一般生菌による二次発酵が進むと、浸漬容器28内のpH値が下がり、例えばpH値が5〜4.5(例えばpH4.7)になれば竹液発酵工程23での二次発酵を終了する。そして、浸漬容器28の開閉弁32を開き、浸漬容器28の乳酸発酵竹粉1から水29に溶出した二次発酵エキスである乳酸発酵竹液22を、容器33を経て又は直接熟成容器34へと取り出す。
熟成工程24では、抽出した乳酸発酵竹液22を熟成容器34に入れた状態で約3〜7日間程度静置して二次発酵させて熟成させる。熟成容器34内は空間部分に空気が充満する好気条件に維持する。なお、熟成容器34内も浸漬容器28と同様に不活性ガス(例えば窒素ガス)に置換してもよい。
この熟成工程24での熟成期間中に異常がなければ、濾過工程25にて熟成容器34の乳酸発酵竹液22を濾過して酵母の膜やゴミ等を除去した後、容器詰め工程26で乳酸発酵竹液22を適当な容器35に詰めて最終の製品36とする。乳酸発酵竹液22の品質に異常があれば、熟成工程24での熟成期間中にその異常が顕著になるので、その時点で廃棄その他の適宜措置を講じる。なお、竹液発酵工程23と熟成工程24は、同一容器内で連続して行うようにしてもよい。
このようにして製造した乳酸発酵竹液22は、飼料用、肥料用、水産用、消臭用の何れに利用する場合にも、従来の乳酸発酵竹粉1に比較して嵩張りがなく取り扱いが容易であり、用途に応じて容易に活用でき利便性が著しく向上する。例えば、乳牛等の家畜の飼料として粗飼料に配合して給餌する場合にも、乳酸発酵竹液22を粗飼料に容易に混ぜ合わせることができ、従来の竹繊維による問題等を解消できる。
大気圧下で一次乳酸発酵させて得た乳酸発酵竹粉(試料1)と、各実施形態での真空乳酸発酵工程4において真空下で一次乳酸発酵させて得た乳酸発酵竹粉1の6種類の試料2〜7について、気圧、pH、一般生菌、酢酸エチルの関係を分析したところ、図4に示すような結果が得られた。
この分析結果を見る限りは、大気圧下で乳酸発酵させた試料1では、45mg/100g程度の微量の酢酸エチルの生成が検出されたが、真空下で乳酸発酵させた試料2〜7では、乳酸発酵竹粉1中の酢酸エチルの生成は検出されなかった。従って、竹粉11を乳酸発酵させて乳酸発酵竹粉1を製造するに当たっては、真空容器41内を真空状態に維持して、その真空下で竹粉11を乳酸発酵させることにより、酢酸エチルの生成を防止できることが確認できた。
従って、真空乳酸発酵工程4において真空容器41内を低真空状態に維持しておけば、乳酸発酵竹粉1中の酢酸エチルの生成を防止することが可能である。しかし、酢酸エチルのない乳酸発酵竹粉1を安定的に製造するためには、中真空以上であることが望ましい。
図4の気圧は大気圧を0.00とし、試料2〜7の製造に供した真空装置40の最大真空度を0.10として、大気圧0.00と真空度0.10との間を10段階に分けた上で、その試料2〜7を製造したときの各段階の気圧を各試料2〜7毎に示すものである。この図4に示すように、真空乳酸発酵工程4での真空容器41内の真空度が高くなる程、乳酸発酵後の乳酸発酵竹粉1のpH値が低くなり、一般生菌数が増える傾向にある。
従って、図3の第3実施形態に例示するように、竹液発酵工程23において乳酸発酵竹粉1を水29に浸漬して二次発酵させるような場合には、その二次発酵を考慮して乳酸菌を含む一般生菌数が多く、しかも真空度の維持コストも安い試料6のpH4.76程度で一次乳酸発酵の終了とするのが適当である。
なお、乳酸発酵竹粉1の用途によっては、試料2〜5の何れかのpH値を以て一次乳酸発酵の終了としてもよい。
また竹粉11を一次乳酸発酵させて乳酸発酵原料竹粉14とし、この乳酸発酵原料竹粉14に発酵促進効果を有する植物酵素15を配合して二次発酵させることにより、一次乳酸発酵と二次発酵とで発酵条件を変えることができ、真空乳酸発酵工程4とその後の竹液発酵工程23とで生成される乳酸発酵菌を異ならせることが可能である。
例えば、竹粉11の一次乳酸発酵では、その乳酸発酵原料竹粉14中に乳酸菌ラクトコッカスを生成させて、またその乳酸発酵原料竹粉14にパパイン酵素等の植物酵素15を配合することにより、その後の竹液発酵工程23、熟成工程24での二次発酵により、バクトバチルスブレビス及びラクトバチルスカゼイ等の嫌気性の乳酸菌と、アセトバクター等の好気性の酢酸菌とを生成させることができる。従って、乳酸発酵竹液22は有用性のある多種類の乳酸菌、酢酸菌等を含むものとなり、それ自体の用途を多方面に展開できる利点がある。
なお、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法(Denaturing Gradient Gel Electrophoresis : DGGE)により、竹液発酵工程23を経た後に抽出した二次発酵エキスである乳酸発酵竹液22の試料(例えば、発酵開始7日目のもの)について解析したところ、嫌気性の乳酸菌(例えばラクトバチルス属(Lactobacillus brevis、Lactobacillus coryniformis、Lactobacillus casei 、Lactobacillus paracasei subsp.paracasei 、Lactobacillus paracollinoides 、))のDNAバンドが検出された。またDGGEにより、熟成工程24終了後の乳酸発酵竹液22の試料を解析したところ、好気性の酢酸菌(例えばアセトバクター・パスツリアナス(Acetobacter pasteurianus))のDNAバンドが検出された。
これは窒素ガス置換の竹液発酵工程23では嫌気性の乳酸菌による乳酸発酵があり、好気条件下の熟成工程24では好気性の酢酸菌による熟成発酵があったと推測される。
このようにして製造した乳酸発酵竹液22は水で適当に希釈化して、家畜の飼料、飼料用の添加剤、肥料用又は水産用として使用することが可能であり、乳酸発酵竹粉1に比較して遥かに優れた有用性を期待することができる。
なお、この第3の実施形態においても、配合工程6において第2の実施形態と同様に竹葉粉20を配合するようにしてもよい。
図5は食品用、化粧品用、医薬部外品及び医薬品に用いる乳酸発酵竹液22を製造する本発明の第4の実施形態を示す。
この実施形態の乳酸発酵竹液22は、乳酸発酵原料竹粉14に対して、pH7未満の酸性を有する酸性質植物37、取り分け天然果実であるボイセンベリーと、笹を切削又は粉砕した粉状の竹葉粉(笹粉)12と、竹根を切削又は粉砕した粉状の竹根粉13とを配合した後、それらが配合された乳酸発酵竹粉1をフィルター27に入れて水29中に浸漬し二次発酵させてエキス(二次発酵エキス)を抽出したものである。
この乳酸発酵竹液22の製造は、配合工程6において、乳酸発酵原料竹粉14(例えば5kg)に対して、乳酸発酵原料竹粉14と略同じ5kgの竹葉粉12と、2kgの竹根粉13と、1.2kgの酸性質植物37のボイセンベリーとを配合し混合している点で第3の実施形態と相違する。
このように乳酸発酵原料竹粉14に竹葉粉12、竹根粉13及びボイセンペリーを所定の割合で配合した配合粉を水29に浸漬し二次発酵させた後に、そのエキスである二次発酵エキスを抽出することにより、例えば図6に示すように乳酸2300μg/mL、酢酸610μg/mLを代表とする有機酸を含み、且つ図7に示すように多種類のアミノ酸を含む乳酸発酵竹液22を製造することができる。
なお、竹葉粉12は乳酸発酵原料竹粉14と略同じ重量を配合しているが、乳酸発酵原料竹粉14よりも若干少ないか、又は若干多くしてもよい。従って、竹葉粉12は乳酸発酵原料竹粉14に対して85〜120重量%、望ましくは90〜110重量%が適当である。また竹根粉13は乳酸発酵原料竹粉14の約40重量%内外、例えば30〜50重量%程度が適当である。酸性質植物37のボイセンベリーは、乳酸発酵原料竹粉14と竹葉粉12と竹根粉13との総重量の10〜12重量%内外、例えば8〜15重量%程度が適当である。
ボイセンベリーは例えば乾燥後に切削又は粉砕等した粉状のものが挙げられる。ボイセンベリーは、ポリフェノールの一種アントシアニン、葉酸、エラグ酸など優れた抗酸化作用を示す栄養素や、ミネラル(カルシウムや鉄分)が含まれているため、ボイセンベリーのアントシアニン等の抗酸化物質により活性酸素の生成を抑制することができ、ミネラルを摂取することができる。
竹葉粉12は多量の大腸菌を含む一般生菌を有し、これを配合することにより竹液発酵工程23、熟成工程24での二次発酵を促進させることができる。また竹根粉13は優れた殺菌性・抗菌性を有する。
竹液発酵工程23では、配合工程6でボイセンベリー等が配合された後の乳酸発酵竹粉1(約13kg)を入れた不織布製のフィルター27を、活性水等の水29を約100リットル入れた浸漬容器28内に浸漬し、その状態で第3の実施形態と同様に発酵室にて室温26°C程度で所定期間(例えば10日間)静置して二次発酵させる。
熟成工程24では、第3の実施形態と同様に乳酸発酵竹粉1から抽出した乳酸発酵竹液22を熟成容器34に入れた状態で約3日間程度静置して熟成させる。なお、熟成工程24で熟成後の乳酸発酵竹液22は、図5の破線矢印で示すように容器詰め工程26Aにおいて適当な容器35に詰めて最終の製品36としてもよい。なお、この製品36は、畜産及びペット用飲料添加液としての用途のものである。
また熟成工程24で熟成し濾過工程25で濾過後の乳酸発酵竹液22をオートクレーブ滅菌工程38で滅菌してもよい。例えばオートクレーブ滅菌装置において、120°C以上において高圧(例えば2気圧)で所定時間(例えば30分間)にわたる高圧滅菌処理を行う。この滅菌処理を行うことで乳酸発酵竹液22中の乳酸菌や酵母菌などの菌が死滅し、酵素(アミノ酸)などを残すことができ、食品用、化粧品用、医薬部外品及び医薬品の乳酸発酵竹液22の提供が可能となる。
このオートクレーブ滅菌工程38で滅菌処理後の乳酸発酵竹液22を、容器詰め工程26において適当な容器35に詰めて最終の製品36とする。またオートクレーブ滅菌工程38で滅菌処理後の乳酸発酵竹液22を機能水(例えばセラミック水(セラミックに接触させた水))で適当に希釈化してから、容器詰め工程26において適当な容器35に詰めて最終の製品36としてもよい。この製品36は、食品用、化粧品用、医薬部外品及び医薬品等の乳酸発酵竹液22であり、例えば食品添加液(食品用旨み成分向上液など)、化粧品(肌水や保湿ジェルなど)、抗菌液等の用途が挙げられる。
この第4の実施形態で例示の2種類の乳酸発酵竹液22、つまり、オートクレーブ滅菌工程38を経た製品36(例えば食品用、化粧品用、医薬部外品及び医薬品等の乳酸発酵竹液22)である製品Aと、熟成工程24後の製品36(例えば畜産及びペット用飲料添加液)である製品Bは、第3の実施形態での製品36である製品Cと比べて、殺菌性・抗菌性が顕著に優れた効果を有する。
製品A、Cに関して、大腸菌(血清O−157:H7)に対する抗菌力の試験を行った。まず、大腸菌6.2×105 μg/mLを培養した培地に製品Cの試験液1mLを投与すると、1時間後の大腸菌が3.7×105 μg/mLとなり、2時間後の大腸菌が8.4×104 μg/mLとなって、4時間後に大腸菌が死滅した。
なお、大腸菌6.2×105 μg/mLの培地にボイセンベリー単体の抽出液の試験液1mLを投与した場合には、6時間後にも1.6×105 μg/mLの大腸菌が確認され、大腸菌は死滅しなかった。
これに対して、大腸菌6.1×105 μg/mLの培地に製品Aの試験液1mLを投与すると、30分後に大腸菌が20μg/mLとなり、1時間後に大腸菌が死滅した。この抗菌力試験の結果から、製品Aには大腸菌を死滅させる顕著な抗菌効果を有することが分かった。
また製品Bに関して、カンピロバクターに対する抗菌力の試験を行った。カンピロバクター1.7×105 μg/mLを培養した培地に製品Bの試験液1mLを投与したところ、10分後にカンピロバクターが300μg/mLとなり、30分後にカンピロバクターが死滅した。同様にカンピロバクター1.7×105 μg/mLの培地に製品Bの5倍希釈した試験液1mLを投与すると、30分後にカンピロバクターが400μg/mLとなった。この抗菌力試験の結果から、製品Bにはカンピロバクターを死滅させる顕著な抗菌効果を有することが分かった。
また製品A〜Cについてのアミノ酸測定を行った結果、必須アミノ酸であるフェニルアラニンは、製品Cでは2.8μg/mL程度であるのに対して、製品Bでは420μg/mL、製品Aでは470μg/mLと格段に多いことが分かった。このフェニルアラニンは鎮痛効果が高く、慢性的な痛みを軽減する効果を有するものである。
例えば、オートクレーブ滅菌工程34を経た製品36を食品用等の乳酸発酵竹液22として使用する場合には、ボイセンベリー由来の抗酸化作用と竹根粉及び竹葉粉由来の殺菌作用により、抗菌液として使用できる他に、含有するアミノ酸により食品の旨み成分を高めることができ、また天然の防腐剤としての利点がある。
図8は食品用、化粧品用、医薬部外品及び医薬品に用いる乳酸発酵竹液22を製造する第5の実施形態を示す。
この実施形態は、乳酸発酵原料竹粉14、竹葉粉12、竹根粉13の割合を第4の実施形態と同じとし、ボイセンベリーの配合量を乳酸発酵原料竹粉14、竹葉粉12及び竹根粉13の総重量の1〜3重量%の範囲内の300gに抑えて、乳酸発酵竹液22を製造する点において、第4の実施形態と相違している。
なお、ボイセンベリーの配合量は300gであり、乳酸発酵原料竹粉14、竹葉粉12及び竹根粉13の総重量の2.5重量%としているが、1〜3重量%であればよい。
このような割合で乳酸発酵原料竹粉14にボイセンベリーと竹葉粉12と竹根粉13とを配合して配合粉とした後、その配合粉を水29中に浸漬し二次発酵させてエキス(二次発酵エキス)を抽出することによって、例えば図9に示すように乳酸3000μg/mL、酢酸930μg/mLを代表とする有機酸を含み、且つ図10に示すように多種類のアミノ酸を含む乳酸発酵竹液22を製造することができる。
第4の実施形態と第5の実施形態では、乳酸発酵原料竹粉14、竹葉粉12及び竹根粉13の配合量は同一であるが、ボイセンベリーの配合量が大きく異なっている。第4の実施形態の場合には、ボイセンベリーを1.2Kgと多く配合しているため、ボイセンベリーの配合量の増加が乳酸発酵竹液中の多量のアミノ酸の生成に大きく寄与し、旨み成分が向上する結果が得られた。従って、第4の実施形態の乳酸発酵竹液22は、旨み向上用の食品添加物として活用することが可能である。
一方、ボイセンベリーの配合量の増加によって、有機酸の乳酸が2300μg/mL、酢酸が280μg/mL程度となり、大腸菌、カンピロバクターに対する殺菌性を有するものの、黄色ブドウ球菌等の一部の細菌に対する殺菌性が低下する結果が得られた。
これに対して第5の実施形態に示すように、ボイセンベリーの配合量を乳酸発酵原料竹粉14、竹葉粉12及び竹根粉13の総重量の3重量%以下の2.5重量%程度まで少なくして第4の実施形態と同様の方法で乳酸発酵竹液22を製造し、その乳酸発酵竹液22を分析したところ、図9に示すように有機酸の乳酸が3000μg/mL、酢酸が900μg/mLと増加し、また図10に示すように多種類のアミノ酸を有する結果が得られた。
そして、この乳酸発酵竹液22を黄色ブドウ球菌の培地に投与して殺菌性を調べたところ、黄色ブドウ球菌に対する殺菌性が確認できた。勿論、第4の実施形態の場合と同様に大腸菌、カンピロバクターに対する殺菌性も確認できた。
従って、ボイセンベリーの配合量を乳酸発酵原料竹粉14、竹葉粉12及び竹根粉13の総重量の3重量%以下にして製造した乳酸発酵竹液22は、旨み成分の元であるアミノ酸の点では第4の実施形態の場合に比較して若干低下するものの、殺菌性の点で非常に優れており、広く殺菌剤として活用することが可能である。
以上、本発明の各実施形態について詳述したが、本発明は各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、各実施形態では、乳酸発酵原料竹粉14、植物酵素15、竹炭粉16、竹葉粉20、竹根粉13を配合する場合の具体的な割合を示しているが、これは一応の目安であって、飼料用、肥料用、水産用、食品用、化粧品用、医薬部外品及び医薬品の何れの場合にも、その対象とする家畜の種類、土壌の性質、農作物の種類、食品の種類、化粧品の種類、医薬部外品及び医薬品の種類等に応じて種々の組み合わせがあり、例示の数値に限定されるものではない。
また竹枝を含む竹葉を粉砕したものを竹葉粉20として例示しているが、竹枝を含まず笹を粉状にした笹粉でもよい。また竹葉粉20は孟宗竹以外の竹葉、例えば真竹の竹葉、熊笹その他の笹の葉等を利用することが可能である。従って、竹葉粉は笹を含む広義の竹類の竹葉を粉状にしたものであれば十分である。原料の生竹9は孟宗竹が一般的であるが、孟宗竹以外のものでもよい。
各実施形態では、配合工程6で植物酵素15としてパパイン酵素を、酸性質植物37としてボイセンベリーを夫々配合する場合を例示しているが、パパイン酵素以外の植物酵素15でもよいし、ボイセンベリー以外の酸性質植物37でもよい。
例えば、酸性質植物37には、ボイセンベリーを含むブルーベリー、ストロベリー等のベリー類、みかん、レモン等の柑橘類、梅、その他の果実類が適当である。しかし、pHが7未満の酸性を有する天然植物であれば、果実類以外の葉物野菜その他の野菜類、草類等も使用可能である。また酸性質植物37には、天然植物を原料とする加工野菜、加工果実等の加工植物類も使用可能である。なお、これらの酸性質植物37はpHが5又は4未満程度のものが望ましい。
また各実施形態において、植物酵素15に代えて酸性質植物37を、酸性質植物37に代えて植物酵素15を夫々用いてもよい。従って、第1、第2の実施形態の乳酸発酵竹粉1の製造に際しても、植物酵素15に代えてボイセンベリー等の酸性質植物37を配合することも可能である。植物酵素15、酸性質植物37は粉状、顆粒状で配合するのが望ましいが、細片状、その他の状態で配合してもよい。
各実施形態では、一次乳酸発酵過程での酢酸エチルの生成を抑えるために、真空容器41を利用してその内部を真空に維持するようにしている。しかし、発酵容器内に窒素ガス等の不活性ガスを注入して不活性ガス雰囲気中で竹粉1を一次乳酸発酵させても、一次乳酸発酵過程での酢酸エチルの生成を抑えることが可能である。
第4、第5の実施形態の配合工程では、用途に応じて竹炭粉を配合してもよい。乳酸発酵竹粉1、乳酸発酵竹液22の用途によっては、微量の酢酸エチルの発生が全く問題にならない場合があるが、そのような用途に使用する乳酸発酵竹粉1、乳酸発酵竹液22の製造に際しては、通常の嫌気条件下で竹粉を乳酸発酵させるようにしてもよい。
1 乳酸発酵竹粉
4 真空乳酸発酵工程
6 配合工程
7 二次発酵工程
11 竹粉
12 竹葉粉
13 竹根粉
14 乳酸発酵原料竹粉
15 植物酵素
16 竹炭粉
22 乳酸発酵竹液
23 竹液発酵工程
37 酸性質植物
4 真空乳酸発酵工程
6 配合工程
7 二次発酵工程
11 竹粉
12 竹葉粉
13 竹根粉
14 乳酸発酵原料竹粉
15 植物酵素
16 竹炭粉
22 乳酸発酵竹液
23 竹液発酵工程
37 酸性質植物
Claims (5)
- 生竹を切削又は粉砕した竹粉を真空下で乳酸発酵させて乳酸発酵竹粉を製造することを特徴とする乳酸発酵竹粉の製造方法。
- 前記竹粉を中真空下で乳酸発酵させることを特徴とする請求項1に記載の乳酸発酵竹粉の製造方法。
- 前記竹粉を密閉状の真空容器内に入れて乳酸発酵させることを特徴とする請求項1又は2に記載の乳酸発酵竹粉の製造方法。
- 生竹を切削又は粉砕した竹粉を不活性ガス雰囲気下で乳酸発酵させて乳酸発酵竹粉を製造することを特徴とする乳酸発酵竹粉の製造方法。
- 前記不活性ガス雰囲気下は窒素ガス雰囲気下であることを特徴とする請求項4に記載の乳酸発酵竹粉の製造方法。
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