JP2014063594A - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】リチウムとニッケルとマンガンとコバルトを少なくとも含み、かつニッケルとマンガンの合計が遷移金属全体の60%以上であるリチウム含有遷移金属酸化物を正極活物質として用いた非水電解質二次電池において、熱安定性を向上させる。
【解決手段】正極活物質を含む正極合剤層を有する正極と、負極と、非水電解質とを備える非水電解質二次電池であって、正極活物質が、層状構造を有し、リチウムとニッケルとマンガンとコバルトを少なくとも含み、かつニッケルとマンガンの合計が遷移金属全体の60%以上であるリチウム含有遷移金属酸化物であり、正極合剤層中に、200℃以上400℃以下の吸熱開始温度を有し、かつ平均粒子径Dが、0.1μm≦D≦5μmである化合物が含まれていることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】正極活物質を含む正極合剤層を有する正極と、負極と、非水電解質とを備える非水電解質二次電池であって、正極活物質が、層状構造を有し、リチウムとニッケルとマンガンとコバルトを少なくとも含み、かつニッケルとマンガンの合計が遷移金属全体の60%以上であるリチウム含有遷移金属酸化物であり、正極合剤層中に、200℃以上400℃以下の吸熱開始温度を有し、かつ平均粒子径Dが、0.1μm≦D≦5μmである化合物が含まれていることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、リチウム二次電池などの非水電解質二次電池に関するものである。
リチウム二次電池は、他の電池と比較して高いエネルギー密度を有するため、電池内部の短絡等により急激な温度上昇をきっかけに熱暴走する可能性がある。このため、熱安定性のより高いリチウム二次電池が求められている。
下記の特許文献1には、電池の内部に、温度上昇により水または炭酸ガスを生成する物質を含むことで、電池が一時的に高温に曝された時に、水酸化物の分解により生成した水または炭酸ガスが、活物質が劣化する反応を阻害して、電池の容量劣化を抑制することが提案されている。
また、特許文献2には、LiaMbNicCodOe(ただし、MはAl、Mn、Sn、In、Fe、V、Cu、Mg、Ti、Zn、Moから成る群から選択される少なくとも一種の金属であり、且つ0<a<1.3、0.02≦b≦0.5、0.02≦d/c+d≦0.9、1.8<e<2.2の範囲であって、更にb+c+d=1である)で表されるリチウム遷移金属酸化物を正極活物質として用いた非水電解質二次電池の発明が開示されている。この正極活物質は、充電時にLiが抽出されても結晶構造が比較的安定となるので、充放電を繰り返し行っても結晶構造が崩壊せず、可逆的な充放電が可能となるとともに熱安定性にも優れるというものである。
しかしながら、特許文献2に開示されているリチウム含有遷移金属複合酸化物を正極活物質として用いたり、特許文献1に記載された技術を適用しても、十分な熱安定性を得ることはできず、急激な温度上昇が生じた際の熱安定性について、さらに改善する必要があった。
本発明の目的は、リチウム含有遷移金属酸化物を正極活物質として用いた非水電解質二次電池において、熱安定性を向上させることにある。
本発明の非水電解質二次電池は、正極活物質を含む正極合剤層を有する正極と、負極と、非水電解質とを備える非水電解質二次電池であって、正極活物質が、層状構造を有し、リチウムとニッケルとマンガンとコバルトを少なくとも含み、かつニッケルとマンガンの合計が遷移金属全体の60%以上であるリチウム含有遷移金属酸化物であり、正極合剤層中に200℃以上400℃以下の吸熱開始温度を有し、かつ平均粒子径Dが、0.1μm≦D≦5μmである化合物が含まれていることを特徴としている。
本発明によれば、熱安定性を十分に向上し得る非水電解質二次電池を提供することができる。
本発明において用いる正極活物質は、層状構造を有し、リチウムとニッケルとマンガンとコバルトを少なくとも含み、かつニッケルとマンガンとの合計が遷移金属全体の60%以上であるリチウム含有遷移金属酸化物である。このリチウム含有遷移金属酸化物は、他のリチウム含有遷移金属酸化物と比較して、充電状態における熱安定性が高い。また、その熱分解温度が300℃近傍であることから、正極合剤層中に、吸熱開始温度が200℃以上400℃以下である化合物を含有させることにより、非水電解質二次電池の熱安定性をさらに向上させることができる。
上記化合物の吸熱開始温度が200℃未満であると、正極活物質が熱分解前であるため、発熱を十分に抑制することができない。また、上記化合物の吸熱開始温度が400℃を超えると、正極活物質の分解後の吸熱であるため、十分な発熱抑制効果が得られない。
上記化合物の平均粒子径Dは、0.1μm≦D≦5μmであり、特に0.1μm≦D≦2μmであることが好ましい。平均粒子径Dが5μmを超えると、正極合剤層中での吸熱点が少なくなり、吸熱の効率が低下するとともに、急激な温度上昇が生じた場合に吸熱が十分に追随できず、効果を発現することができない。また、平均粒子径Dが、0.1μm未満であると、正極合剤層中における分散性が低下して吸熱の効果を十分に得ることができない。平均粒子径Dは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定することができるメディアン径(D50)である。
上記化合物の具体例としては、水酸化物であることが好ましい。水酸化物の具体例としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ニッケルなどが挙げられる。上記化合物は、異なる種類のものを混合して用いてもよい。
正極合剤層中の上記化合物の含有量は、0.1〜5質量%の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜2質量%の範囲内である。上記化合物の含有量が、5質量%を超えると、正極合剤層中に充放電に関与しない材料の割合が増え、十分な電池容量が得られない場合がある。また、0.1質量%未満であると、発熱量に見合う吸熱量が得られないため、吸熱の効果を十分に発揮することができない場合がある。
本発明における上記化合物は、200℃以上400℃以下に吸熱開始温度を有する化合物であれば特に限定されないが、脱水し吸熱する化合物であることが好ましい。水酸化物は、一般に脱水し、吸熱する化合物である。脱水により、水が生じるので、このような水分によって加熱による発熱反応の連鎖を抑制することも可能である。
本発明で用いるリチウム含有遷移金属酸化物は、一般式Li1+xNiaMnbCocO2+d(式中、x、a、b、c、dは、x+a+b+c=1、0<x≦0.1、0.6≦(a+b)/(a+b+c),0< c、0.7≦a/b≦2.0、−0.1≦d≦0.1の条件を満たす。)で表される層状構造を有するリチウム含有遷移金属酸化物であることが好ましい。
上記のリチウム含有遷移金属酸化物において、ニッケルの組成比aと、マンガンの組成比bとが0.7≦a/b≦2.0の条件を満たすものを用いるのは、a/bの値が2.0を超えてニッケルの割合が多くなった場合には、発熱量が大きくなって熱安定性が低下する。一方、a/bの値が0.7未満になると、マンガン組成の割合が多くなり、不純物相が生じて容量が低下する。熱安定性を高めると共に容量の低下を抑制するためには、0.7≦a/b≦1.5の条件を満たすものを用いることがより好ましい。
また、上記のリチウム含有遷移金属酸化物において、リチウムの組成比(1+x)におけるxが0<x≦0.1の条件を満たすものを用いるのは、0<xになると、その出力特性が向上されるためである。一方、x>0.1になると、このリチウム含有遷移金属酸化物の表面に残留するアルカリが多くなって、電池を作製する工程においてスラリーにゲル化が生じると共に、酸化還元反応を行う遷移金属量が低下して容量が低下するためである。より好ましくは、0.05≦x≦0.1の条件を満たすものを用いるようにする。
また、上記のリチウム含有遷移金属酸化物において、酸素の組成比(2+d)におけるdが−0.1≦d≦0.1の条件を満たすようにするのは、上記のリチウム含有遷移金属酸化物が酸素欠損状態や酸素過剰状態になって、その結晶構造が損なわれるのを防止するためである。
上記一般式において、0.6≦(a+b)/(a+b+c)の条件を満たすものを用いるのは、熱安定性に優れるとともに高い容量が得られるためである。
上記一般式において、0<cの条件を満たすものを用いるのは、充放電に伴う結晶構造の変化を抑制できるとともに、優れた出力特性が得られるためである。
なお、上記のリチウム含有遷移金属酸化物には、ホウ素(B)、フッ素(F)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、銅(Cr)、亜鉛(Zn)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、錫(Sn)、タングステン(W)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)からなる群から選択される少なくとも一種が含まれていてもよい。これらの元素の含有量は、上記のリチウム遷移金属複合酸化物中の遷移金属とこれらの元素の総和に対し、0.1mol%以上5.0mol%以下であることが望ましい。
正極と負極との間に介在させるセパレータは、ポリエチレンあるいは、ポリプロピレンフィルムや、ポリエチレンとポリプロピレンが積層された三層以上の積層フィルムであってもよい。例えば、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンのような三層からなる多積層多孔質からなるセパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレンのような三層からなる多積層多孔質からなるセパレータ等が挙げられる。また、正負極の短絡を防止するために、フィルム表面に無機材料の薄膜が存在しているセパレータでも良い。無機材料としては、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等が挙げられる。
本発明における負極活物質としては、炭素材料、リチウムと合金化する金属または合金材料やそれらの酸化物などを用いることができる。これらの中では、炭素材料を用いることがより好ましい。炭素材料の具体例としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソフェーズピッチ系炭素繊維(MCF)、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、コークス、ハードカーボン、フラーレン、カーボンナノチューブ等が挙げられる。
本発明に係る非水電解質二次電池において、非水電解質に用いる非水系溶媒は、特に限定されない。好ましく用いられる非水系溶媒の具体例としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネートや、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合溶媒などが挙げられる。
また、イオン性液体も、非水系溶媒として好ましく用いられる。イオン性液体のカチオンとしては、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、4級アンモニウムカチオンなどが好ましく用いられる。一方、イオン性液体のアニオンとしては、フッ素含有イミド系アニオンなどが好ましく用いられる。
非水電解質に用いる溶質の具体例としては、例えば、P、B、F、O、S、N及びClからなる群から選ばれた1種類以上の元素を含むリチウム塩を挙げることができる。このようなリチウム塩の具体例としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiC(C2F5SO2)3、LiAsF6、LiClO4等が挙げられる。なかでも、優れた充放電特性や耐久性を得る観点からは、LiPF6を溶質として用いることが好ましい。また、オキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩(リチウム−ビスオキサレートボレート(LiBOB)など)をさらに溶質として含んでいてもよい。
正極は、例えば正極集電体の上に正極活物層を設けることにより作製することができる。負極も同様に、負極集電体の上に負極活物質層を設けることにより作製することができる。集電体は、導電性を有するものである限りにおいて、特に限定されない。集電体は、導電性を有する金属や合金からなる箔により構成することができる。具体的には、負極の場合は、例えばCuなどの金属や、Cuなどの金属を含む合金からなる箔により構成することができる。一方、正極の場合は、例えばAlなどの金属や、Alなどの金属を含む合金からなる箔により構成することができる。なお、集電体の厚さは、例えば、5μm〜30μm程度とすることができる。また、集電体の上に形成されている活物質層の厚さは、例えば、50μm〜200μm程度とすることができる。
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
(実施例1)
[正極の作製]
共沈法により作製した[Ni0.5Mn0.3Co0.2](OH)2とLi2CO3を所定比で混合した後、これらを空気中にて930℃で10時間焼成することで、Li1.04[Ni0.48Mn0.29Co0.19]O2の正極活物質粒子(平均粒子径13μm)を得た。
[正極の作製]
共沈法により作製した[Ni0.5Mn0.3Co0.2](OH)2とLi2CO3を所定比で混合した後、これらを空気中にて930℃で10時間焼成することで、Li1.04[Ni0.48Mn0.29Co0.19]O2の正極活物質粒子(平均粒子径13μm)を得た。
次に、N−メチル−2−ピロリドンに溶解したポリフッ化ビニリデン溶液と、水酸化アルミニウム(平均粒子径1μm:日本軽金属(株)社製 熱分解温度:約240℃)と、正極活物質粒子と、導電剤としてカーボンブラックSuper P(TIMCAL社製;比表面積が62m2/g、平均粒子径が40nm)を混練機を用いて混練することにより、正極活物質:カーボンブラック:水酸化アルミニウム:ポリフッ化ビニリデンの質量比が91:5:1:3からなる正極スラリーを作製した。
次いで、正極スラリーを、集電体としてのアルミニウム箔上に塗布し、乾燥した後に、圧延ローラーを用いて圧延し、さらに集電タブを取り付けることにより正極を完成させた。
尚、添加した水酸化アルミニウムの熱分解温度については、島津製作所(株)製DSC−60にて、走査速度10℃/minで測定した際の吸熱開始温度を熱分解温度として求めた。
[負極の作製]
本実施形態においては、黒鉛負極を用いた。増粘剤であるCMC(カルボキシメチルセルロース)を水に溶解した溶液に、黒鉛粉末を投入し、撹拌混合した後、バインダーであるSBRを混合してスラリーを調製した。黒鉛、CMC、及びSBRの質量比は、98:1:1とした。このスラリーを、銅箔からなる負極集電体の上に塗布し、これを乾燥させた後、圧延ローラーにより圧延し、これにニッケルの集電タブを取りつけて負極を作製した。
本実施形態においては、黒鉛負極を用いた。増粘剤であるCMC(カルボキシメチルセルロース)を水に溶解した溶液に、黒鉛粉末を投入し、撹拌混合した後、バインダーであるSBRを混合してスラリーを調製した。黒鉛、CMC、及びSBRの質量比は、98:1:1とした。このスラリーを、銅箔からなる負極集電体の上に塗布し、これを乾燥させた後、圧延ローラーにより圧延し、これにニッケルの集電タブを取りつけて負極を作製した。
[非水電解質の作製]
エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)とジメチルカーボネート(DMC)とをそれぞれ体積比3:3:4で混合した溶媒に対し、支持塩としてのLiPF6を1mol/l溶解させ、さらにビニレンカーボネートを1質量%溶解させた。その後さらにLiBOBを0.1M(mol/l)になるよう溶解して非水電解液を作製した。
エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)とジメチルカーボネート(DMC)とをそれぞれ体積比3:3:4で混合した溶媒に対し、支持塩としてのLiPF6を1mol/l溶解させ、さらにビニレンカーボネートを1質量%溶解させた。その後さらにLiBOBを0.1M(mol/l)になるよう溶解して非水電解液を作製した。
[非水電解質二次電池の作製]
上記のように作製した正極と負極を、ポロプロピレン/ポリエチレン/ポロプロピレンに積層された三層セパレータを介して巻き取り、非水電解液を注入し、金属缶に挿入し封止して、本件実施例1に係る非水電解質二次電池A1を作製した。
上記のように作製した正極と負極を、ポロプロピレン/ポリエチレン/ポロプロピレンに積層された三層セパレータを介して巻き取り、非水電解液を注入し、金属缶に挿入し封止して、本件実施例1に係る非水電解質二次電池A1を作製した。
(実施例2)
実施例1で用いた水酸化アルミニウムに代えて、水酸化マグネシウム(平均粒子径:3.5μm、神島化学工業(株)社製 熱分解温度:約315℃)を用いる以外は実施例1と同様にして、本件実施例2に係わる非水電解質二次電池A2を作製した。尚、上記水酸化マグネシウムの熱分解温度も実施例1と同様に測定して求めた。
実施例1で用いた水酸化アルミニウムに代えて、水酸化マグネシウム(平均粒子径:3.5μm、神島化学工業(株)社製 熱分解温度:約315℃)を用いる以外は実施例1と同様にして、本件実施例2に係わる非水電解質二次電池A2を作製した。尚、上記水酸化マグネシウムの熱分解温度も実施例1と同様に測定して求めた。
(実施例3)
実施例2で用いた水酸化マグネシウムに代えて、平均粒子径が0.8μmである水酸化マグネシウム(堺化学工業(株)社製 熱分解温度:約315℃)を用いる以外は実施例1と同様にして、本件実施例3に係わる非水電解質二次電池A3を作製した。尚、上記水酸化マグネシウムの熱分解温度も実施例1と同様に測定して求めた。
実施例2で用いた水酸化マグネシウムに代えて、平均粒子径が0.8μmである水酸化マグネシウム(堺化学工業(株)社製 熱分解温度:約315℃)を用いる以外は実施例1と同様にして、本件実施例3に係わる非水電解質二次電池A3を作製した。尚、上記水酸化マグネシウムの熱分解温度も実施例1と同様に測定して求めた。
(比較例1)
実施例1で用いた正極活物質とカーボンブラックとポリフッ化ビニリデンの質量比を92:5:3として混練することにより正極スラリーを作製したこと以外は、実施例1と同様にして、本件比較例1に係る非水電解質二次電池X1を作製した。
実施例1で用いた正極活物質とカーボンブラックとポリフッ化ビニリデンの質量比を92:5:3として混練することにより正極スラリーを作製したこと以外は、実施例1と同様にして、本件比較例1に係る非水電解質二次電池X1を作製した。
[充電状態での釘刺し試験]
上記、非水電解質二次電池を作製した後、充電電流1200mAで4.2Vまで定電流で充電し、更に4.2Vにて充電電流が20mAになるまで定電圧で充電した。充電後の電池に、東洋システム製釘刺し試験装置にてφ=2.45mmの釘を1mm/秒の速度で貫通させた後の電池の最高到達温度を計測した。表1に各電池の釘刺し試験時の最高到達温度を比較例1の到達温度を基準として示す。表1に示す最高到達温度は、比較例1を基準とした温度の変化を示している。
上記、非水電解質二次電池を作製した後、充電電流1200mAで4.2Vまで定電流で充電し、更に4.2Vにて充電電流が20mAになるまで定電圧で充電した。充電後の電池に、東洋システム製釘刺し試験装置にてφ=2.45mmの釘を1mm/秒の速度で貫通させた後の電池の最高到達温度を計測した。表1に各電池の釘刺し試験時の最高到達温度を比較例1の到達温度を基準として示す。表1に示す最高到達温度は、比較例1を基準とした温度の変化を示している。
なお、実施例1〜3の非水電解質二次電池A1〜A3及び比較例1の非水電解質二次電池X1について、別途上記の条件で充電した後、引き続き放電電流1200mAで2.5Vまで定電流で放電し、充放電試験を行った。その結果、実施例1〜3の非水電解質二次電池は、比較例1の非水電解質二次電池とほぼ同程度の充放電特性を示すことを確認した。
表1に示すように、正極合剤層中に水酸化アルミニウム(平均粒子径1μm)を含有させた実施例1の電池A1は、比較例1に比べ、最高到達温度が26℃低くなっている。このことから、実施例1においては、発熱が抑制され、熱安定性が向上していることがわかる。
また、水酸化マグネシウム(平均粒子径3.5μm)を正極合剤層中に含有させた実施例2の電池A2は、比較例1に比べ、最高到達温度が8℃低くなっており、発熱が抑制され熱安定性が向上していることがわかる。
平均粒子径0.8μmの水酸化マグネシウムを正極合剤層中に含有させた実施例3の電池A3においても、比較例1に比べ、最高到達温度が16℃低くなっており、発熱が抑制され、熱安定性が向上していることがわかる。
実施例1〜3の結果から、正極合剤層中に添加する化合物の平均粒子径Dは、0.1μm≦D≦2μmであることがより好ましいことがわかる。また、実施例1と実施例3の比較から、水酸化アルミニウムの方が、水酸化マグネシウムより熱安定性向上の効果が大きいことがわかる。
以上のように、本発明に従い、熱分解温度(吸熱開始温度)が200℃以上400℃以下で、かつ平均粒子径Dが0.1μm≦D≦5μmである化合物を正極合剤層中に添加することにより、電池の熱安定性が向上することが分かる。
Claims (6)
- 正極活物質を含む正極合剤層を有する正極と、負極と、非水電解質とを備える非水電解質二次電池であって、
前記正極活物質が、層状構造を有し、リチウムとニッケルとマンガンとコバルトを少なくとも含み、かつニッケルとマンガンの合計が遷移金属全体の60%以上であるリチウム含有遷移金属酸化物であり、
前記正極合剤層中に、200℃以上400℃以下の吸熱開始温度を有し、かつ平均粒子径Dが、0.1μm≦D≦5μmである化合物が含まれている、非水電解質二次電池。 - 前記化合物が、水酸化物である、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
- 前記水酸化物が、水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウムである、請求項2に記載の非水電解質二次電池。
- 前記正極合剤層中の前記化合物の含有量が、0.1〜5質量%の範囲内である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
- 前記化合物の平均粒子径Dが、0.1μm≦D≦2μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
- 前記リチウム含有遷移金属酸化物が、一般式Li1+xNiaMnbCocO2+d(式中、x、a、b、c、dは、x+a+b+c=1、0<x≦0.1、0.6≦(a+b)/(a+b+c),0<c、0.7≦a/b≦2.0、−0.1≦d≦0.1の条件を満たす。)で表されるリチウム含有遷移金属酸化物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
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