JP2014060118A - リチウムイオン二次電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池の高容量化が可能な不織布を含むセパレータを用いても、セパレータの形状を良好に保持したまま、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を可能にするリチウムイオン二次電池用セパレータを提供する。
【解決手段】ポリエステル系樹脂を含む不織布膜と、前記不織布膜に積層された、60nm以上の厚さを有する無機薄膜と、を有するリチウムイオン二次電池用セパレータ。
【選択図】 なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池に関する。
近年の電子技術の発展や環境技術への関心の高まりに伴い、様々な電気化学デバイスが用いられている。特に、省エネルギー化への要請が多くあり、それに貢献できるものへの期待はますます高くなっている。例えば、発電デバイスとして太陽電池が挙げられ、蓄電デバイスとして、二次電池、キャパシタ及びコンデンサなどが挙げられる。蓄電デバイスの代表例であるリチウムイオン二次電池は、従来、主に携帯機器用充電池として使用されていたが、近年では、ハイブリッド自動車及び電気自動車用電池としての使用も期待されている。
リチウムイオン二次電池は、一般に、リチウムを吸蔵及び放出可能な活物質を主体として構成された正極と負極とがセパレータを介して配された構成を有する。リチウムイオン二次電池の正極は、正極活物質としてのLiCoO、LiNiO又はLiMn等と、導電剤としてのカーボンブラック又は黒鉛等と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン、ラテックス又はゴム等とが混合された正極合剤が、アルミニウム等からなる正極集電体上に被覆されて形成される。負極は、負極活物質としてのコークス又は黒鉛等と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン、ラテックス又はゴム等とが混合された負極合剤が、銅等からなる負極集電体上に被覆されて形成される。セパレータは、多孔性ポリオレフィン等の合成樹脂製微多孔膜により形成され、その厚さは数μmから数百μmと非常に薄い。正極、負極及びセパレータは、電池内で電解液に含浸されている。電解液としては、例えば、LiPF又はLiBFのようなリチウム塩を、プロピレンカーボネート又はエチレンカーボネートのような非プロトン性溶媒に、あるいはポリエチレンオキシドのようなポリマーに溶解させた電解液が挙げられる。
リチウムイオン二次電池は、現在、携帯機器の充電池として主に用いられている(例えば特許文献1参照)。また、近年では、ハイブリッド自動車及び電気自動車などの自動車用途の電池としても広い展開が期待されている。リチウムイオン二次電池の用途拡大に向け、電池の小型化及び高性能化を図る必要があり、そのアプローチの1つとしてセパレータの改良が挙げられる。携帯機器用のリチウムイオン二次電池のセパレータとして、現在主に用いられているものは合成樹脂製微多孔膜である。合成樹脂製微多孔膜は非常に信頼性が高い膜ではあるが、車載向けリチウムイオン二次電池のセパレータとして用いるためには、例えば、容量、電流密度、耐熱性及びコストなどの点で更なる改良が求められている。
これらの性能を向上させる試みとして、不織布又は紙などからなるセパレータを用いた例がある(例えば特許文献2、3参照)。不織布及び紙は、安価なプロセスコストで多孔性の膜、すなわち電池の高容量化が可能となる膜を作製できること、並びに、耐熱性の高い素材で製膜できることから有望である(例えば特許文献4参照)。この特許文献4には、セパレータの好適な1つの形態としてポリエチレンテレフタレート(PET)不織布を基材としたポリフッ化ビニリデン(PVdF)系ポリマー多孔膜が記載されている。この形態のセパレータは過充電時の安全性及び耐熱性も高く、コストも低い。
通常のリチウムイオン二次電池では、イオン伝導性の観点から、電解液として電解質のLiPFをカーボネート系溶媒に溶解した組成のものが用いられている。ここでカーボネート系溶媒は、エチレンカーボネート(EC)等の環状カーボネートとジエチルカーボネート(DEC)等の鎖状カーボネートとの混合溶媒が一般的となっている。
特開2009−087648号公報 特開2005−159283号公報 特開2005−293891号公報 国際公開第01/67536号
しかしながら、本発明者らが、先行技術を検討したところ、特許文献2〜4に記載のようなセパレータを用いると、孔径が大きいためにデンドライト成長が見られたり、様々な不安定な充放電挙動が見られたりするため、セパレータ性能としての信頼性及び安全性に課題があることが明らかになった。そこで、安全性を保持したまま高い出力特性及びサイクル特性を得るためには、不織布の孔径を制御する必要がある。さらに、特許文献3では、正極と対向していない負極部分でのLiPFとPET不織布との反応により、高温保存試験後にPET不織布の形状が保持されていないという耐熱性の課題も示されている。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、電池の高容量化が可能な不織布を含むセパレータを用いても、セパレータの形状を良好に保持したまま、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を可能にするリチウムイオン二次電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成すべく、リチウムイオン二次電池において、様々なセパレータと電解液との組み合わせを検討した。その結果、不織布の表面に無機薄膜を形成したセパレータを備えるリチウムイオン二次電池が、セパレータの形状を保持したまま、サイクル特性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]ポリエステル系樹脂を含む不織布膜と、前記不織布膜に積層された、60nm以上の厚さを有する無機薄膜と、を有するリチウムイオン二次電池用セパレータ。
[2]前記ポリエステル系樹脂はポリエチレンテレフタレートを含む、上記セパレータ。
[3]前記無機薄膜は主成分として酸化アルミニウムを含む、上記セパレータ。
[4]前記不織布膜は、繊維径が4μm以下である繊維を含む第1の不織布層を少なくとも1層含む、上記セパレータ。
[5]前記不織布膜は、前記第1の不織布層を最外層として有する2層又は3層以上の不織布からなる積層不織布を含む、上記セパレータ。
[6]前記不織布膜は、前記第1の不織布層と、繊維径が4μm超30μm以下である熱可塑性樹脂繊維を含有する第2の不織布層とを積層した積層不織布を含む、上記セパレータ。
[7]前記積層不織布において、前記第1の不織布層が、2層以上の前記第2の不織布層に挟まれている、上記セパレータ。
[8]前記積層不織布において、前記第2の不織布層が、2層以上の前記第1の不織布層に挟まれている、上記セパレータ。
[9]前記熱可塑性樹脂繊維は、熱可塑性合成長繊維を含む、上記セパレータ。
[10]前記積層不織布を構成する各前記不織布層は、化学結合及び/又は物理結合によって互いに一体化されている、上記セパレータ。
[11]前記第1の不織布層は、メルトブロウン法により形成されている、上記セパレータ。
[12]前記不織布膜は、10〜60μmの厚さを有する、上記セパレータ。
[13]前記不織布層は、カレンダ加工されている、上記セパレータ。
[14]正極及び負極と、電解液と、上記セパレータと、を備えるリチウムイオン二次電池。
[15]前記電解液は、炭素−炭素二重結合を有する炭酸エステル、フッ素原子を有する環状カーボネート及びスルホンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する、上記リチウムイオン二次電池。
[16]前記炭素−炭素二重結合を有する炭酸エステルは、ビニレンカーボネートを含み、前記フッ素原子を有する環状カーボネートは、フルオロエチレンカーボネートを含み、前記スルホンは、スルホランを含む、上記リチウムイオン二次電池。
本発明によると、電池の高容量化が可能な不織布を含むセパレータを用いても、セパレータの形状を保持したまま、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を可能にするリチウムイオン二次電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。本実施形態のリチウムイオン二次電池は、特定の構造を有するセパレータと、非水溶媒とリチウム塩とを含む電解液と、正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料からなる群より選ばれる1種以上の材料を含有する正極と、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料及び金属リチウムからなる群より選ばれる1種以上の材料を含有する負極とを備えるものである。
<セパレータ>
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、正負極の短絡防止及びシャットダウン等の安全性付与の観点から、正極と負極との間にセパレータを備える。セパレータは、ポリエステル系樹脂を含む不織布膜と、その不織布膜に積層された、60nm以上の厚さを有する無機薄膜とを有する。セパレータは、イオン透過性が大きく、機械的強度に優れる絶縁性の薄膜が好ましい。
不織布膜は、不織布を含む膜であれば特に限定されないが、繊維径が4μm以下である繊維を含む第1の不織布層(以下、「不織布層(I)」とも表記する。)を少なくとも1層含むと好ましい。すなわち、その不織布膜において、不織布層(I)を単層で用いてもよく、2層以上を直接又は間接的に積層して用いてもよい。その不織布膜は、不織布層(I)を他の繊維層と積層した構成を有していてもよい。
繊維の繊維径が4μm以下であれば、不織布層の繊維間の間隙の大きさが不均一になったり大きくなりすぎたりすることを抑制できるため、より緻密で均一な不織布層の形成が可能となる。一方、繊維の繊維径が0.1μm以上であれば、繊維を容易に形成でき、且つ、形成された繊維が、表面摩擦等で毛羽立ったり、糸くずを作ったりすることをより抑制できる。以下、繊維径が4μm以下の繊維を「極細繊維」とも表記する。なお、不織布層や不織布膜、セパレータが均一であることは、それらを構成する繊維間の間隙の大きさが均一であることを意味し、それに加えて、厚さ、繊維径、目付、間隙の分布が均一であることを意味する。
不織布層(I)は、本発明の目的達成を損なわない範囲で、上記極細繊維以外の繊維を含有してもよいが、上記極細繊維を質量基準で好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上含み、特に好ましくは上記極細繊維のみからなる。不織布層(I)に含有される極細繊維の繊維径は、好ましくは0.3〜4μmであり、より好ましくは0.3〜3.5μmであり、更に好ましくは0.5〜3μmであり、特に好ましくは0.1〜1μmである。特に、繊維径が0.1〜1μmである場合、そのような繊維を不織布層(I)に備えるリチウムイオン二次電池の出力を更に高めることができる。なお、本明細書における「繊維径」は、マイクロスコープにより測定される繊維直径であり、より詳細には、下記の実施例に準拠して測定されるものである。
本実施形態において、不織布層(I)を構成する素材は、熱可塑性樹脂であってもよいし、例えばセルロースフィブリル等の、熱可塑性樹脂ではない従来不織布の素材として用いられているものであってもよい。好適には、後述の不織布層(II)と同様に熱可塑性樹脂である。そのような熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリエステル系樹脂及びその誘導体、ポリアミド系樹脂及びその誘導体、ポリオキシメチレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂、ポリフェニレンオキサイド(PPO)系樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のポリケトン系樹脂、及び、熱可塑性ポリイミド樹脂が挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂及びポリエチレンナフタレート(PEN)系樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂を主体とする共重合体(すなわち、これらの樹脂のモノマーをモノマー単位として最も多く、好ましくは50%以上含む共重合体)又は混合物(すなわち、これらの樹脂を質量基準で最も多く、好ましくは50質量%以上含む混合物)も好ましい。
上記の樹脂のうち、ポリアミド系樹脂及びその誘導体は、合成樹脂としては給水率が大きいため、吸水性の観点では、ポリアミド系樹脂及びその誘導体よりも他の樹脂の方が有利である。そのような素材としては、例えばPET系樹脂、PPS系樹脂、PPO系樹脂、ポリケトン樹脂及びPEEK系樹脂のような熱可塑性樹脂が挙げられる。また、繊維及び不織布を製造する際の製造の容易性、汎用性及びコストの観点から、不織布層(I)の繊維を構成する素材は、PET系樹脂、PPS系樹脂、及びPEEK系樹脂であると好ましい。
これらの素材は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。なお、本明細書において「PET系樹脂」とは、PET樹脂の他、全構成繰り返し単位中に、PETの基本骨格であるテレフタル酸とエチレングリコールとの縮合構造を必ず有する概念である。テレフタル酸及びエチレングリコール以外の構成繰り返し単位構成成分としては、ジカルボン酸又はその誘導体、オキシ酸又はその誘導体、及び、ジオールが挙げられる。ジカルボン酸又はその誘導体として、例えば、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸及びこれらの構造異性体、マロン酸、コハク酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸、並びにこれらのジカルボン酸のエステル類が挙げられ、オキシ酸又はその誘導体として、p−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類、及びグリコール酸が挙げられる。また、ジオールとしては、例えば、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール及びネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノールのような脂環式グリコール、ビスフェノールA及びビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物誘導体が挙げられる。また、その他の「…系樹脂」についても同様に、全構成繰り返し単位中に、基本骨格となる構造を有する概念である。
本実施形態において、不織布層(I)の目付は、15g/m以下であることが好ましい。不織布層の目付が15g/m以下であれば、短絡を抑制するのにより有利となるだけでなく、更に高い出力特性を得ることができる。その不織布層の目付は、より好ましくは0.5〜13g/mであり、更に好ましくは1〜11g/mである。なお、本明細書において、目付は、実施例に記載の方法に準拠して測定される。
本実施形態に係る不織布層の製造方法は、不織布層(I)及び後述の不織布層(II)を含め、特に限定されない。ただし、不織布層(I)の製造方法は、好ましくは、極細繊維を用いた乾式法又は湿式法、あるいは、エレクトロスピニング及びメルトブロウン法であることができる。不織布層(I)を容易かつ緻密に形成できるという観点から、より好ましくはメルトブロウン法である。
本実施形態に係る不織布膜は、不織布層(I)のみを含んでもよいが、セパレータの強度を更に高める観点から、不織布層(I)を有する2層又は3層以上の繊維層を含むと好ましく、不織布層(I)を有する2層又は3層以上の不織布層を含むとより好ましい。そのような不織布膜は、不織布層(I)を1層のみ含んでも、2層以上を直接又は間接的に積層して用いてもよい。その不織布膜は、不織布層(I)を他の繊維層と積層した構成を有していてもよい。ただし、短絡をより有効かつ確実に抑制し、更に高出力のリチウムイオン二次電池を得るためには、太い繊維径を有する繊維によるリチウムイオンの拡散を極力防ぐ観点から、セパレータは、不織布層(I)を最外層として有する2層又は3層以上の繊維層からなる積層体であると好ましく、不織布層(I)を最外層として有する2層又は3層以上の不織布層からなる積層不織布であるとより好ましく、不織布層(I)を両最外層として有する2層又は3層以上の不織布層からなる積層不織布であると更に好ましい。
本実施形態に係る不織布膜は、必要に応じて、不織布層(I)以外の不織布層を含んでもよく、そのような不織布層としては、強度、緻密性及び均一性の観点から、繊維径が4μm超30μm以下である熱可塑性樹脂繊維を含有する第2の不織布層(以下、「不織布層(II)」とも表記する。)が好ましい。特にセパレータが1層以上の不織布層(I)とそれ以外の不織布層とを有する3層以上の不織布層を含む場合、繊維径がより太い不織布層(II)によって、より高い機械強度を保持する観点から、不織布層(I)が、2層以上の不織布層(II)に挟まれた層(以下、「中間層」とも表記する。)として存在していることが好ましい。また、セパレータが2層以上の不織布層(I)とそれ以外の不織布層とを有する3層以上の不織布層を含む場合、電極近傍においてより良好なリチウムイオン拡散性を得る観点から、2層以上の不織布層(I)に挟まれた中間層として、不織布層(II)を有すると好ましく、不織布層(I)が最外層であるとより好ましい。本明細書において、「最外層」とは、積層方向の最も端に位置する層を意味する。
不織布層(II)は、繊維径が4μm超30μm以下である熱可塑性樹脂繊維を含有する。繊維径が30μm以下であれば、繊維の径が太すぎず、より均一な繊維間距離を得ることができるため、更に緻密で均一な不織布層を形成できる。不織布層(II)は、本発明の効果を損なわない範囲で、繊維径4μm超30μm以下である熱可塑性樹脂繊維以外の繊維を含有してもよいが、上記繊維径が4μm超30μm以下である熱可塑性樹脂繊維を質量基準で好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上含み、特に好ましくは繊維径4μm超30μm以下である熱可塑性樹脂繊維のみからなる。
不織布層(II)における繊維の繊維径が30μm以下であれば、不織布層(I)と不織布層(II)とを互いに直接接触するように積層した場合、それらの層の接触した部分で、不織布層(I)における極細繊維が、不織布層(II)における繊維の間に、より均一に配置される。これにより、それらの層を積層した積層不織布において、より均一に極細繊維を分布することが可能となる。その結果、より均一に分布された極細繊維の層を介して、更に緻密で均一な積層不織布を形成できる。一方、不織布層(II)における繊維の繊維径が4μmを超えることにより、積層不織布がより十分な機械的強度を有し、セパレータをより安定的に捲回することが可能となる。また、その後に電池素子を形成する際にも、セパレータにおける積層不織布の型崩れが抑制されるため、より安定してセパレータを形成できる。これらの結果として、更に性能の良いセパレータを形成できる。このような観点から、不織布層(II)における繊維の繊維径は、4μm超30μm以下であり、好ましくは6〜25μmであり、より好ましくは8〜20μmである。
不織布(II)層を構成する熱可塑性樹脂は、本発明のセパレータ及びリチウムイオン二次電池の使用目的に合わせて適宜選択することができる。本実施形態において、不織布層(II)における熱可塑性樹脂繊維は、熱可塑性合成樹脂の長繊維からなる熱可塑性合成長繊維であることが望ましい。熱可塑性合成長繊維を含む不織布は、マイクロスリット品でも、より十分な機械的強度を有することができる。また、熱可塑性合成長繊維を含む不織布は、スリット時、及び、外部からの摩擦等を受けた際に、より糸くずが出難く、磨耗性にも強い。その結果、電池をより安定的に製造することができ、一層高性能の電池が得られる。熱可塑性合成長繊維としては、例えば、後述の結晶性樹脂で構成される長繊維が挙げられる。
一方、熱可塑性樹脂繊維として短繊維を用いる場合、例えば、上記結晶性樹脂と、その結晶性樹脂の融点よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂とを組み合わせて用いることができる。具体的には、ある融点を有する樹脂から構成される繊維と、上記樹脂とは異なる融点を有する樹脂から構成される1種又は2種以上の繊維とを混合してもよいし、1本の繊維中に2種以上の融点の異なる樹脂が含まれていてもよい。
本実施形態に係る不織布層(II)において、融点180℃以上の結晶性樹脂の具体的な例としては、不織布層(I)におけるものと同様に、ポリエステル系樹脂及びその誘導体、ポリアミド系樹脂及びその誘導体、ポリオキシメチレンエーテル系樹脂、PPS系樹脂、PPO系樹脂、ポリケトン樹脂、PEEK等のポリケトン系樹脂、及び、熱可塑性ポリイミド樹脂が挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、例えば、PET系樹脂、PBT系樹脂及びPEN系樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂を主体とする共重合体(すなわち、これらの樹脂のモノマーをモノマー単位として最も多く、好ましくは50%以上含む共重合体)又は混合物(すなわち、これらの樹脂を質量基準で最も多く、好ましくは50質量%以上含む混合物)も好ましい。
これらの熱可塑性樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる、
より好適には、不織布層(II)の繊維を構成する熱可塑性樹脂は、不織布層(I)におけるものと同様に吸水率の低い熱可塑性樹脂である。また、繊維及び不織布を製造する際の製造の容易性、汎用性及びコストの観点から、不織布層(II)の繊維を構成する熱可塑性樹脂は、PET系樹脂、PPS系樹脂、及びPEEK系樹脂が好ましい。不織布層(II)の繊維を構成する熱可塑性樹脂は、本実施形態のリチウムイオン二次電池の使用目的に応じて、適宜選択することができる。
不織布層(II)の製造方法は、特に限定されないが、機械的強度の観点から、好ましくは、スパンボンド法である。
本実施形態に係る不織布膜は、ポリエステル系樹脂を含むものであれば、上述の不織布層(I)及び不織布層(II)以外に、更にその他の繊維層、好ましくは不織布層を含んでもよい。ただし、繊維及び不織布を製造する際の製造の容易性、汎用性及びコストの観点から、本実施形態の不織布膜は、その少なくとも一部の層が、ポリエステル系樹脂を50質量%以上、望ましくは80質量%以上、より望ましくは90質量%、更に望ましくは95質量%以上、特に望ましくは98質量%以上含む不織布層であるとより好ましく、ポリエステル系樹脂からなる不織布層であると更に好ましい。また、上記ポリエステル系樹脂がPETを含むと好ましく、PETを50質量%以上、望ましくは80質量%以上、より望ましくは90質量%、更に望ましくは95質量%以上、特に望ましくは98質量%以上含むとより好ましく、PETであると更に好ましい。
不織布層(I)及び不織布層(II)を備える積層不織布において、不織布層(I)及び不織布層(II)の繊維を構成する素材は、互いに同じ物質であっても異なる物質であってもよいが、積層不織布をより均一に形成するためには、互いに同じ物質であることが好ましい。不織布層(I)及び不織布層(II)を同じ素材の繊維から形成する場合、繊維間のより均一な大きさの間隙を有する不織布を形成しやすいため、このような不織布をセパレータに用いることにより、より均一で緻密なセパレータとなる。
不織布膜が積層不織布を含む場合、その積層態様としては、例えば、下記の態様が挙げられる。
・不織布層(I)−不織布層(II)
・不織布層(I)−不織布層(II)−不織布層(I)
・不織布層(I)−不織布層(II)−不織布層(I)−不織布層(II)−不織布層(I)
・不織布層(I)−不織布層(II)−不織布層(II)−不織布層(I)
・不織布層(II)−不織布層(I)−不織布層(II)
・不織布層(II)−不織布層(I)−不織布層(II)−不織布層(I)−不織布層(II)
・不織布層(II)−不織布層(I)−不織布層(I)−不織布層(II)
本実施形態に係る不織布膜の厚さは、10〜60μmであることが好ましく、より好ましくは10〜50μmであり、更に好ましくは15〜40μmであり、特に好ましくは20〜30μmである。不織布膜の厚さは、機械的強度の観点、及び、正負極を隔離し短絡を抑制するという観点から、10μm以上であると好ましい。また、電池としての出力密度を高め、エネルギー密度の低下を抑制する観点から、セパレータの厚さは60μm以下であると好ましい。
本実施形態に係る不織布膜は、リチウムイオン二次電池用セパレータとして用いる場合にイオン透過性を十分に確保する観点から、空隙率をある程度制御したものが好ましい。不織布膜の空隙率は、好ましくは45〜90%であり、より好ましくは50〜80%である。この空隙率が45%以上では、より高い出力特性が得られ、90%以下では、短絡を更に抑制することができる。不織布膜の空隙率は、不織布膜の質量と見かけの体積とを測定し、これらの測定値と不織布膜を構成する素材の密度とを用いて算出することができる。
本実施形態において、不織布膜の総目付は、30g/m以下であることが好ましい。不織布膜の総目付が30g/m以下であれば、より高い出力特性を得ることができる。また、機械的強度の観点から、不織布膜の総目付が4g/m以上であることが好ましく、より好ましくは4〜25g/mであり、更に好ましくは5〜20g/mである。
本実施形態において、不織布膜が2層以上の不織布層を積層した積層不織布、例えば2層以上の不織布層(I)、又は不織布層(I)とその他の不織布層(例えば不織布層(II))を有する場合、その積層不織布を形成する方法としては、特に限定されないが、化学結合及び/又は物理結合により互いに一体化する方法が好ましい。例えば、化学結合による一体化としては、例えば、化学的架橋による方法が挙げられ、物理結合による一体化としては、例えば、熱的結合による方法、高速水流を噴射して三次元交絡させる方法、及び、粒子状又は繊維状の接着剤により一体化させる方法が挙げられる。これらの中でも、熱的結合による一体化の方法としては、例えば、熱エンボスによる一体化(熱エンボスロール方式)、及び高温の熱風による一体化(エアースルー方式)が挙げられる。熱的結合による一体化は、不織布の引っ張り強度と曲げ柔軟性とをより有効に維持し、耐熱安定性をより有効に維持することができるという観点から好ましい。
熱的結合による一体化は、バインダーを用いることなく、複数の不織布層を有する積層不織布を形成できる点でも好ましい。不織布層同士を一体化して積層不織布を形成する場合にバインダーを用いると、そのバインダーがセパレータ内に残存する。バインダーが電池性能を劣化させないものであれば特に問題ないが、バインダーによって電池性能の劣化が促進される場合には、バインダーを除去する工程が新たに必要になる。以上の理由から、不織布層を積層する場合、熱のみにより一体化されたバインダーを用いない積層不織布が好ましい。
本実施形態において、不織布層はカレンダ加工されていることが好ましい。これにより、不織布層に、より均一な繊維間の間隙の大きさを有する構造を与えることができ、また、セパレータの厚さや空隙率を容易に制御することが可能となる。具体的には、通常の熱接着により繊維を接合した後、例えば、熱接着温度よりも10℃以上高い温度で、線圧100〜1000N/cmにて、カレンダ加工を施す。カレンダ加工における線圧が100N/cm以上であると、より十分な接着が得られ、一層十分な強度が発現される傾向がある。また、カレンダ加工における線圧が1000N/cm以下であると、繊維の変形が小さくなり繊維がより十分に接着されて、本発明による効果が一層有効かつ効果的に得られる観点から好ましい。ただし、カレンダ加工の条件は上記に限定されない。
本実施形態において、不織布が親水化加工されることも好ましい態様である。不織布が親水化加工されると、電解液が含浸されやすくなるため、より高性能の電池を製造できる。親水化加工としては、例えば、物理的な加工、すなわち、コロナ処理又はプラズマ処理による親水化、並びに、化学的な加工方法、すなわち、表面官能基の導入(例えば、酸化処理等による、スルホン酸基、カルボン酸基等の導入)、水溶性高分子(例えば、PVA、ポリスチレンスルホン酸、及びポリグルタミン酸)及び界面活性剤(例えば、ノニオン種、陰イオン性、陽イオン性、及び両イオン性の界面活性剤)等の処理剤による加工が挙げられる。親水化加工された不織布は、将来的に水分を含みやすくなり、電池特性の劣化を引き起こす可能性があるため、加工量、すなわち、不織布の質量に対する、上記の処理剤及び導入される官能基の質量は、3質量%以下であることが好ましい。
本実施形態に係るセパレータは、高温保存試験及び/又はサイクル試験中におけるポリエステル系樹脂を含む不織布の分解を抑制するために、不織布膜に積層された無機薄膜を有する。その無機薄膜は、不織布膜の少なくとも一方の主面上に形成されていると好ましく、より好ましくはその主面上に直接接触した状態で形成されている。
少なくとも一方の主面とは、不織布膜のいずれか片方の主面上にのみ無機薄膜を形成してもよいし、両方の主面上に形成してもよいという意味である。製造上の簡便さ及び経済性の観点から、いずれか一方の主面上にのみに無機薄膜を形成する方が好ましい。ただし、無機薄膜の厚さによっては、無機薄膜の面内応力によって、セパレータが大きく巻回して、その取り扱い性が低下することを抑制するために、両方の主面上に無機薄膜を形成する方が好ましい。いずれの場合であっても、高温保存試験及び/又はサイクル試験中におけるポリエステル系樹脂を含む不織布の分解を抑制するために、セパレータの無機薄膜を形成した側を負極に向けるのが好ましい。
無機薄膜の厚さは、60〜2000nmであると好ましい。この厚さが60nm以上であることにより、高温保存試験及び/又はサイクル試験中におけるポリエステル系樹脂を含む不織布の分解抑制効果をより有効且つ確実に奏することができる。一方、無機薄膜の厚さが2000nm以下であることにより、イオン伝導性をより良好にし、電池の効率を更に高く維持することが可能となる。無機薄膜の厚さは、より好ましくは80〜1500nmであり、更に好ましくは100〜1000nmである。
無機薄膜は、無機化合物(無機材料)を50質量%を超えて含む薄膜であり、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95%以上、特に好ましくは98質量%以上含む薄膜であり、最も好ましくは無機化合物からなる薄膜である。無機薄膜の主成分、すなわち最も含有割合の高い成分としては、絶縁性の無機酸化物が好ましい。無機薄膜の表面抵抗が高くなるような絶縁性の無機酸化物を用いることにより、電池の内部短絡をより抑制することができる。絶縁性、経済性及び生産性の観点から、好ましい無機酸化物としては、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛及び酸化錫が挙げられる。このような酸化物の中では、酸化アルミニウムが経済性及び生産性の観点から特に好ましい。無機薄膜において、無機化合物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
無機薄膜の形成方法としては、特に限定されないが、真空製膜法が好ましい。ここでいう真空製膜法は、真空中に、無機薄膜をその上に形成させる部材、例えば不織布膜を配置し、その主面に無機薄膜を積層成長させる手法である。このような手法としては、真空蒸着法、スパッタリング法及びCVD(ケミカルベーパーデポジション)法が生産性の観点から好ましい。
このような無機薄膜の積層にあたっては、不織布膜等の無機薄膜を形成する部材の主面に対して、密着性の観点から、コロナ放電処理及びスパッタエッチング処理等の公知の表面前処理を施してもよい。
ここで、無機薄膜の形成方法の一つとして蒸着法による形成方法について、より詳細に説明する。この説明においては、不織布膜の主面上に直接無機薄膜を形成する場合を説明するが、本発明においては、これに限定されない。
この形成方法によると、真空槽の中で不織布膜の主面に無機材料(蒸着材)を蒸着し、無機薄膜が形成される。無機薄膜を形成するための装置は、真空槽と、ローラと、ガイドローラと、真空ポンプと、蒸着材を貯留するための容器が備えられる。真空槽は無機薄膜を形成するために用いることができるものであれば特に限定されず、内部を真空、すなわち極低圧に保持するための気密性の高い容器であり、例えば、縦3m×横5m×高さ3mの直方体の容器である。真空槽には吸気管が接続され、その他端は真空ポンプに接続している。真空槽には、反応ガスを導入する配管が接続されてもよい。
真空槽内は、帯状の不織布膜がロール状に巻回された原反を設置できるように構成されている。原反から繰り出された不織布膜は、ガイドローラにより導かれ、ローラに至る。ローラは、円筒形を有しており、その円筒形の軸が水平と平行又は略平行になるように設置されている。ローラは、その円筒形の軸を中心として回転することにより、そのローラの下側の側面に主面が直接接触した不織布膜を一定方向に送ることができる。ローラには、冷媒配管が接続されている。冷媒配管は、真空槽の外部の冷媒冷却装置から、冷媒をローラ内に供給し、また、冷媒冷却装置に戻すように、すなわち、冷媒をローラ及び冷媒冷却装置間で循環するようにそれらの間で接続されている。ローラは、冷媒により冷却され、不織布膜の主面に蒸着される蒸着材により不織布膜が損傷しないようにするために、低温に保持される。
ローラの下側の側面に主面が直接接触した不織布膜は、その送られる方向の先で、ガイドローラに導かれ、製品ローラで巻き取られる。
不織布膜を介してローラの反対側(すなわち、不織布膜の下方)には、蒸着材を貯留するための容器が設置されている。容器は、電気により加熱されるように構成されている。電気による加熱は、電気抵抗加熱でも、誘電加熱でも、高周波誘導加熱でも、他の加熱方法であっても、蒸着材の融点よりも十分に高い温度まで加熱し、温度を維持できるものであればよい。蒸着材としては、蒸着可能な無機材料であれば特に限定されず、例えば、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、ベリリウム(Be)、ガリウム(Ga)、及びケイ素(Si)、並びに、これらの酸化物、窒化物及び炭化物が挙げられ、これらが好適に用いられる。ローラの下側の側面と容器のローラ側の外面との間には間隙があり、ローラの下側の側面と容器の外面との距離は、無機材料の種類及び蒸着の温度条件等により適宜変更でき、例えば、1mm〜数100mmであってもよいが、これに限定されない。
上述の装置を用いて、無機薄膜を形成するには、まず、不織布膜の原反を真空槽内に設置し、上述のようにして不織布膜をその主面がローラの下側の側面に直接接するように導く。続いて、真空槽内を気密にした上で、真空ポンプにより、例えば0.667〜0.00133Paの極低圧になるまで減圧する。その際、反応ガスとして、酸素、窒素、アンモニア及びアセチレンなどの反応ガスを微量に供給してもよい。酸素を供給すると無機薄膜は酸化物となり、窒素又はアンモニアを供給すると無機薄膜は窒化物となり、アセチレンを供給すると無機薄膜は炭化物となる。
次に、蒸着材を貯留している容器を加熱し、蒸着材を、その融点よりも200〜1200℃高い温度まで加熱して、その温度を維持する。上記の真空度において、蒸着材を融点よりも200〜1200℃高い温度に加熱することにより、蒸着材の蒸気が発生する。
発生した蒸気は、容器の上方にある不織布膜の、ローラに接している主面とは反対側の主面に付着する。これが、蒸着である。蒸気は不織布膜に付着するときにも高温であるので、不織布膜は熱による損傷を受ける可能性もある。そこで、ローラを冷媒により冷却しておく。ローラの側面に直接接している不織布膜は、ローラとの接触面から冷却され、蒸着材の蒸気が付着することによる加熱を抑制し、熱による損傷を防ぐことができる。
かかる状態で、不織布膜を原反からローラに向けて連続的に繰り出す。これにより、ローラの側面に直接接した不織布膜の、蒸着材を貯留している容器に対向する主面に、蒸発した蒸着材が付着して、無機薄膜を形成する。こうして得られた不織布膜と無機薄膜との積層体は、製品ローラに巻き取られる。不織布膜を繰り出す速さ(繰出速度)は、10〜100m/分程度とするのが好適であるが、これに限定されない。繰り出す速さを早くすると、無機薄膜の厚さが薄くなり、遅くすると、無機薄膜の厚さが厚くなる。
上記の装置による上記の方法を用いることにより、不織布膜と無機薄膜との積層体を大量に工業的に製造することができる。製品ローラで巻き取られた積層体を、真空槽内を常圧にした上で取り出し、製品ローラから積層体を引き出しつつ適当な大きさに切断することにより、セパレータが得られる。
本実施形態に係るセパレータは、好ましくは極細繊維を含有する不織布層(I)を有することにより、繊維同士の距離が小さくなり、すなわち、孔径が小さくなり、繊維間の間隙がより均一な大きさとなる層を形成しやすい。このような観点から、本実施形態に係るセパレータにおける不織布膜の平均孔径は、0.3〜30μmであることが好ましい。該平均孔径は、より好ましくは、1〜20μmである。
<電解液>
本実施形態に用いる電解液は、好ましくは非水溶媒とリチウム塩とを含有し、更に、炭素−炭素二重結合(以下、「C=C結合」と表記する。)を有する炭酸エステル、フッ素原子を有する環状カーボネート(以下、「含フッ素環状カーボネート」と表記する。)及びスルホンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する。
非水溶媒としては、様々なものを用いることができるが、例えば非プロトン性溶媒が挙げられる。リチウムイオン二次電池の電解液として用いる場合、その充放電に寄与する電解質であるリチウム塩の電離度を高めるために、非プロトン性極性溶媒が好ましい。その具体例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、トランス−2,3−ブチレンカーボネート、シス−2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、トランス−2,3−ペンチレンカーボネート、シス−2,3−ペンチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート及び4,5−ジフルオロエチレンカーボネートに代表される環状カーボネート;γ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトンに代表されるラクトン;テトラヒドロフラン及びジオキサンに代表される環状エーテル;メチルエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート及びメチルトリフルオロエチルカーボネートに代表される鎖状カーボネート;アセトニトリルに代表されるニトリル;ジメチルエーテルに代表される鎖状エーテル;プロピオン酸メチルに代表される鎖状カルボン酸エステル;ジメトキシエタンに代表される鎖状エーテルカーボネート化合物が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
非水溶媒は、リチウム塩の電離度を高めるために環状の非プロトン性極性溶媒を1種類以上含むことが好ましい。同様の観点から、非水溶媒は、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートに代表される環状カーボネートを1種類以上含むことがより好ましい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、不織布の素材の分解を抑制する目的、特にPET等のポリエステル系樹脂の分解を抑制する目的で、電解液にC=C結合を有する炭酸エステル、含フッ素環状カーボネート及びスルホンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することが好ましい。電解液がかかる化合物を含有することにより、負極上に保護被膜が形成され、不織布の素材が分解されるのを抑制できる。以下、これらの化合物を単に「添加剤」ともいう。
C=C結合を有する炭酸エステルとしては、環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルが挙げられる。C=C結合を有する環状炭酸エステルとしては、例えば、ビニレンカーボネート(VC)などの不飽和環状炭酸エステル、並びに、ビニルエチレンカーボネート及びジビニルエチレンカーボネートなどの炭素数2〜4のアルケニル基を置換基として有する環状炭酸エステルが挙げられる。これらの中では、電池性能の観点等から、ビニレンカーボネートが望ましい。
C=C結合を有する鎖状炭酸エステルとしては、例えば、ビニルアセテート、ビニルブチレート及びビニルヘキサネートなどが例示でき、これらの中では、電池性能の観点等から、ビニルアセテートが望ましい。
含フッ素環状カーボネートとしては、分子内にフッ素原子を有する環状カーボネートであれば特に限定されず、例えば、モノフルオロエチレンカーボネート(FEC)、1,2−ジフルオロエチレンカーボネート、1,2,3−トリフルオロプロピレンカーボネート、2,3−ジフルオロ−2,3−ブチレンカーボネート、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2,3−ブチレンカーボネートなどの1〜6個のフッ素原子を有する含フッ素環状カーボネートが挙げられる。、これらの中では、粘度の観点、及びリチウム塩の溶解性の観点から、含フッ素環状カーボネートがモノフルオロエチレンカーボネート(FEC)であると好ましい。
スルホンは、分子内に、2つの炭素原子に結合したスルホニル基(−SO−)を有する化合物である。その具体的としては、例えば、スルホラン、2−メチルスルホラン、3−メチルスルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジプロピルスルホン、メチルエチルスルホン、及びメチルプロピルスルホンなどの、2つのアルキル基に結合したスルホニル基を有する化合物が挙げられる。これらの中では、電池性能の観点等から、スルホランが好ましい。
電解液に含有されている、C=C結合を有する炭酸エステル、含フッ素環状カーボネート及びスルホンの含有割合は、それらの合計で電解液量に対して1〜30質量%であることが好ましい。それらの化合物の含有割合が1質量%以上であることにより、負極に保護被膜をより十分に形成することが可能であり、30質量%以下であることにより、保護被膜による被膜抵抗の増加を抑制して、充放電特性の低下を一層防止することができる。このような観点から、それらの化合物の含有割合は、更に好ましくは、1〜25質量%である。
非水溶媒として、イオン液体を用いることもできる。イオン液体とは、有機カチオンとアニオンとを組み合わせたイオンからなる液体である。
有機カチオンとしては、例えば、ジアルキルイミダゾリウムカチオン、トリアルキルイミダゾリウムカチオン等のイミダゾリウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、アルキルピリジニウムイオン、ジアルキルピロリジニウムイオン、ジアルキルピペリジニウムイオンが挙げられる。
これらの有機カチオンのカウンターとなるアニオンとしては、例えば、PFアニオン、PF(Cアニオン、PF(CFアニオン、BFアニオン、BF(CFアニオン、BF(CF)アニオン、ビスオキサラトホウ酸アニオン、Tf(トリフルオロメタンスルフォニル)アニオン、Nf(ノナフルオロブタンスルホニル)アニオン、ビス(フルオロスルフォニル)イミドアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドアニオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルフォニル)イミドアニオン、及びジシアノアミンアニオンを用いることができる。
電解質として用いられるリチウム塩の具体例としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiSiF、LiOSO2k+1〔kは1〜8の整数〕、LiN(SO2k+1〔kは1〜8の整数〕、LiPF(C2k+16−n〔nは1〜5の整数、kは1〜8の整数〕、LiBF((C2k+14−n〔nは1〜3の整数、kは1〜8の整数〕、LiB(Cで表されるリチウムビスオキサリルボレート、LiBF(C)で表されるリチウムジフルオロオキサリルボレート、LiPF(C)で表されるリチウムトリフルオロオキサリルフォスフェートが挙げられる。
また、下記一般式(a)、(b)又は(c)で表されるリチウム塩を電解質として用いることもできる。
LiC(SO11)(SO12)(SO13) (a)
LiN(SOOR14)(SOOR15) (b)
LiN(SO16)(SOOR17) (c)
ここで、式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を示す。
これらの電解質は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの電解質のうち、電池特性や安定性の観点から、LiPF、LiBF及びLiN(SO2k+1〔kは1〜8の整数〕が好ましい。
電解質の濃度は任意であり特に限定されないが、電解質は、電解液中に好ましくは0.1〜3mol/L、より好ましくは0.5〜2mol/Lの濃度で含有される。
なお、本実施形態に用いる電解液は、リチウムイオン二次電池で求められる安全性と電池特性とを満足することに特に優れ、リチウムイオン二次電池で好適に使用される。
<正極>
本実施形態のリチウムイオン二次電池において、正極は、正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料からなる群より選ばれる1種以上の材料を含有する材料を用いる。そのような材料としては、例えば、下記一般式(d)及び(e)で表される複合酸化物、トンネル構造及び層状構造の金属カルコゲン化物及び金属酸化物、オリビン型リン酸化合物が挙げられる。
LixMO (d)
LiyM (e)
ここで、式中、Mは遷移金属から選ばれる1種以上の金属を示し、xは0〜1の数、yは0〜2の数を示す。
より具体的には、例えば、LiCoOに代表されるリチウムコバルト酸化物;LiMnO、LiMn、LiMnに代表されるリチウムマンガン酸化物;LiNiOに代表されるリチウムニッケル酸化物;LiMO(MはNi、Mn、Co、Al及びMgからなる群より選ばれる2種以上の元素を示し、zは0.9超1.2未満の数を示す)で表されるリチウム含有複合金属酸化物;LiFePOで表されるリン酸鉄オリビンが挙げられる。また、正極活物質として、例えば、S、MnO、FeO、FeS、V、V13、TiO、TiS、MoS及びNbSeに代表されるリチウム以外の金属の酸化物も例示される。さらには、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン及びポリピロールに代表される導電性高分子も正極活物質として例示される。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、正極が、正極活物質として、リチウム含有化合物を含むことが好ましい。
また、正極活物質としてリチウム含有化合物を用いると、高電圧及び高エネルギー密度を得ることができる傾向にあるので好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、リチウムを含有するものであればよく、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物及びリチウムと遷移金属元素とを含むケイ酸金属化合物(例えばLitMuSiO、Mは上記式(d)と同義であり、tは0〜1の数、uは0〜2の数を示す。)が挙げられる。より高い電圧を得る観点から、特に、リチウムと、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、バナジウム(V)及びチタン(Ti)からなる群より選ばれる1種以上の遷移金属元素とを含む複合酸化物並びにリン酸化合物が好ましい。
より具体的には、かかるリチウム含有化合物としてリチウムを有する金属酸化物、リチウムを有する金属カルコゲン化物及びリチウムを有するリン酸金属化合物が好ましく、例えば、それぞれ下記一般式(f)、(g)で表される化合物が挙げられる。
Li (f)
LiIIPO (g)
ここで、式中、M及びMIIはそれぞれ1種以上の遷移金属元素を示し、v及びwの値は電池の充放電状態によって異なるが、通常vは0.05〜1.10、wは0.05〜1.10の数を示す。
上記一般式(f)で表される化合物は一般に層状構造を有し、上記一般式(g)で表される化合物は一般にオリビン構造を有する。これらの化合物において、構造を安定化させる等の目的から、遷移金属元素の一部をAl、Mg、その他の遷移金属元素で置換したり結晶粒界に含ませたりしたもの、酸素原子の一部をフッ素原子等で置換したものも挙げられる。更に、正極活物質表面の少なくとも一部に他の正極活物質を被覆したものも挙げられる。
正極活物質は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
正極活物質の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは0.05〜100μm、より好ましくは1〜10μmである。正極活物質の数平均粒子径は湿式の粒子径測定装置(例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布計、動的光散乱式粒度分布計)により測定することができる。あるいは、透過型電子顕微鏡にて観察した粒子100個をランダムに抽出し、画像解析ソフト(例えば、旭化成エンジニアリング株式会社製の画像解析ソフト、商品名「A像くん」)で解析し、その相加平均を算出することでも得られる。この場合、同じ試料に対して、測定方法間で数平均粒子径が異なる場合は、標準試料を対象として作成した検量線を用いてもよい。
正極は、例えば、下記のようにして得られる。すなわち、まず、上記正極活物質に対して、必要に応じて、導電助剤やバインダー等を加えて混合した正極合剤を溶剤に分散させて正極合剤含有ペーストを調製する。次いで、この正極合剤含有ペーストを正極集電体に塗布し、乾燥して正極合剤層を形成し、それを必要に応じて加圧し厚みを調整することによって、正極が作製される。
ここで、正極合剤含有ペースト中の固形分濃度は、好ましくは30〜80質量%であり、より好ましくは40〜70質量%である。
正極集電体は、例えば、アルミニウム箔、又はステンレス箔などの金属箔により構成される。
<負極>
本実施形態のリチウムイオン二次電池において、負極は、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料及び金属リチウムからなる群より選ばれる1種以上の材料を用いる。本実施形態のリチウムイオン二次電池において、負極は、負極活物質として、金属リチウム、炭素材料、リチウムと合金形成が可能な元素を含む材料、及び、リチウム含有化合物からなる群より選ばれる1種以上の材料を含有すると好ましい。そのような材料としては、金属リチウムの他、例えば、ハードカーボン、ソフトカーボン、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛、熱分解炭素、コークス、ガラス状炭素、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭、グラファイト、炭素コロイド、カーボンブラックに代表される炭素材料が挙げられる。これらのうち、コークスとしては、例えば、ピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークスが挙げられる。また、有機高分子化合物の焼成体は、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものである。なお、本実施形態においては、負極活物質に金属リチウムを採用した電池もリチウムイオン二次電池に含めるものとする。
更に、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料としては、リチウムと合金を形成可能な元素を含む材料も挙げられる。この材料は金属又は半金属の単体であっても合金であっても化合物であってもよく、またこれらの1種又は2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものであってもよい。
なお、本明細書において、「合金」には、2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを有するものも含める。また、合金が、その全体として金属の性質を有するものであれば非金属元素を有していてもよい。その合金の組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物又はこれらのうちの2種以上が共存する。
このような金属元素及び半金属元素としては、例えば、チタン(Ti)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アルミニウム、インジウム(In)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、銀(Ag)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)及びイットリウム(Y)が挙げられる。
これらの中でも、長周期型周期表における4族又は14族の金属元素及び半金属元素が好ましく、特に好ましいのはチタン、ケイ素及びスズである。
スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素、マグネシウム(Mg)、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン(Ti)、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン及びクロム(Cr)からなる群より選ばれる1種以上の元素を有するものが挙げられる。
ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ、マグネシウム、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン及びクロムからなる群より選ばれる1種以上の元素を有するものが挙げられる。
チタンの化合物、スズの化合物及びケイ素の化合物としては、例えば酸素(O)又は炭素(C)を有するものが挙げられ、チタン、スズ又はケイ素に加えて、上述の第2の構成元素を有していてもよい。
また、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料としてリチウム含有化合物も挙げられる。リチウム含有化合物としては、正極材料として例示したものと同じものを用いることができる。
負極活物質は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
負極活物質の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは1〜10μmである。負極活物質の数平均粒子径は、正極活物質の数平均粒子径と同様にして測定される。
負極は、例えば、下記のようにして得られる。すなわち、まず、上記負極活物質に対して、必要に応じて、導電助剤やバインダー等を加えて混合した負極合剤を溶剤に分散させて負極合剤含有ペーストを調製する。次いで、この負極合剤含有ペーストを負極集電体に塗布し、乾燥して負極合剤層を形成し、それを必要に応じて加圧し厚みを調整することによって、負極が作製される。
ここで、負極合剤含有ペースト中の固形分濃度は、好ましくは30〜80質量%であり、より好ましくは40〜70質量%である。
負極集電体は、例えば、銅箔、ニッケル箔又はステンレス箔などの金属箔により構成される。
正極及び負極の作製にあたって、必要に応じて用いられる導電助剤としては、例えば、グラファイト、アセチレンブラック及びケッチェンブラックに代表されるカーボンブラック、並びに炭素繊維が挙げられる。導電助剤の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは1〜10μmであり、正極活物質の数平均粒子径と同様にして測定される。また、バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデンを含有する共重合体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム及びフッ素ゴムが挙げられる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、セパレータと、そのセパレータを両側から挟む正極と負極と、さらにそれらの積層体を挟む正極集電体(正極の外側に配置)と、負極集電体(負極の外側に配置)と、それらを収容する電池外装とを備える。正極とセパレータと負極とを積層した積層体は、上述した電解液に含浸されている。これらの各部材としては、電解液及びセパレータを上述したような組み合わせとすれば、その他の部材は、従来のリチウムイオン二次電池に備えられるものを用いることができ、例えば上述のものであってもよい。
<電池の作製方法>
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、上述の構成を備える他は、従来と同様であってもよく、上述のセパレータと、電解液と、正極と、負極とを用いて、公知の方法により作製される。例えば、正極と負極とを、その間にセパレータを介在させた積層状態で巻回して巻回構造の積層体に成形したり、それらを折り曲げや複数層の積層などによって、交互に積層した複数の正極と負極との間にセパレータが介在する積層体に成形したりする。次いで、電池ケース(外装)内にその積層体を収容して、電解液をケース内部に注液し、上記積層体を電解液に浸漬して封印することによって、本実施形態のリチウムイオン二次電池を作製することができる。本実施形態のリチウムイオン二次電池の形状は、特に限定されず、例えば、円筒形、楕円形、角筒型、ボタン形、コイン形、扁平形及びラミネート形などが好適に採用される。
本実施形態に用いる電解液は、高い伝導度を実現し得るので、当該電解液と上述のセパレータとを備えるリチウムイオン二次電池は、高い電池特性(例えば、充放電特性、低温作動性、高温耐久性等)を有する。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、25℃における充放電サイクル試験を100サイクル行ったときの時の放電容量維持率が80%以上であると好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。本実施形態において、充放電サイクル試験とは、作製した電池の充放電を共に1C条件で実施する場合を示す。なお、電池の充電と放電とを各1回ずつ実施すると1サイクルと数え、放電容量維持率は2サイクル目の放電容量を100%として計算する。
本実施形態によると、電池の高容量化が可能な不織布を含むセパレータを用いても、セパレータの形状を良好に保持したまま、安定した充放電挙動を示し、高い耐熱性を示すと共に、出力特性やサイクル特性にも優れたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各種物性・特性の測定方法及び評価方法は下記のとおりである。特記がない限り、不織布において、長さ方向とはMD方向(マシン方向)を意味し、幅方向とは該長さ方向と垂直の方向を意味する。
(1)目付(g/m
JIS L−1913に規定の方法に従い、不織布及び不織布膜の1m×1mの領域において、縦(長さ方向)20cm×横(幅方向)25cmの試験片を、不織布及び負傷不膜の幅方向1m当たり3箇所、長さ方向1m当たり3箇所の、1m×1mの領域当たりで計9箇所採取した。それらの試験片の質量をそれぞれ測定し、その平均値を単位面積当たりの質量に換算して目付を求めた。
(2)厚さ(mm)
不織布膜の厚さは膜厚計を用いて測定した。膜厚計にはMitutoyo製のデジマチックインジケーター(商品名)を用い、不織布膜中の任意の3点の厚さを測定し、その平均値を不織布膜の厚さとした。
(3)繊維径(μm)
試料(不織布)の各端部10cmを除いて、試料の幅20cm毎の区域から、それぞれ1cm角の試験片を切り取った。各試験片について、マイクロスコープで繊維の直径を30点測定して、測定値の平均値(μm単位の小数点第2位を四捨五入)を算出し、試料に含まれる繊維の繊維径とした。
(4)空隙率
上記(1)において測定した不織布膜の目付、及び、上記(2)において測定した不織布膜の厚さから、下記の式により、空隙率(%)を計算した。
空隙率=[1−(目付/厚さ/不織布膜の素材密度)]×100
(5)開孔径分布(平均流量孔径及び最大孔径)
PMI社のパームポロメーター(商品名、型式:CFP−1200AEX)を用いた。測定には浸液にPMI社製のシルウィック(商品名)を用い、試料を浸液に浸して十分に脱気した後、測定した。上記測定装置は、フィルターを試料として、予め表面張力が既知の液体にフィルターを浸し、フィルターの全ての細孔を液体の膜で覆った状態からフィルターに圧力をかけ、液膜の破壊される圧力と液体の表面張力とから計算された細孔の孔径を測定する。計算には下記の数式を用いる。
d=C・r/P
(式中、d(単位:μm)はフィルターの孔径、r(単位:N/m)は液体の表面張力、P(単位:Pa)はその孔径の液膜が破壊される圧力、Cは定数である。)
上記の数式より、液体に浸したフィルターにかける圧力Pを低圧から高圧に連続的に変化させた場合の流量(漏れ流量)を測定する。初期の圧力では、最も大きな細孔の液膜でも破壊されないので流量は0である。圧力を上げていくと、最も大きな細孔の液膜が破壊され、流量が発生する(バブルポイント)。さらに圧力を上げていくと、各圧力に応じて流量は増加する。最も小さな細孔の液膜が破壊されたときの圧力における流量が、乾いた上体の流量(乾き流量)と一致する。
上記測定装置による測定方法では、ある圧力における漏れ流量を、同圧力での乾き流量で除した値を累積フィルター流量(単位:%)と呼ぶ。累積フィルター流量が50%となる圧力で破壊される液膜の孔径を、平均流量孔径と呼ぶ。本明細書においては、上記フィルターとして不織布膜を用い、平均流量孔径を、本明細書における不織布膜の平均孔径とした。
不織布膜の最大孔径は、不織布膜を上記フィルターとして用い、累積フィルター流量が50%の−2σの範囲、すなわち、累積フィルター流量が2.3%となる圧力で破壊される液膜の孔径とした。
上記測定方法にて、各サンプルについて3点測定を行い、その平均値として平均流量孔径と最大孔径とを計算した。
(6)リチウムイオン二次電池の充電及び放電容量測定
特定の充電電流及び放電電流における充電容量及び放電容量を以下のとおりに測定してリチウムイオン二次電池の充放電特性を評価した。
測定用のリチウムイオン二次電池として、1C=3mAとなる小型電池を作製して用いた。リチウムイオン二次電池の充電及び放電容量の測定は、アスカ電子(株)製充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製恒温槽PLM−63S(商品名)を用いて行った。
1mAの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vを保持するようにして電流値を制御するという方法で、合計8時間充電を行った。その後、10分間の休止を経て、1mAで3.0Vまで放電した。
続いて、3mAの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vを保持するようにして電流値を制御するという方法で、合計3時間充電を行った。その後10分間の休止を経て、3mAで3.0Vまで放電し、その時の放電容量を1C放電容量(mAh)とした。
このときの電池周囲温度は25℃に設定した。また、上記測定から、充放電効率を下記式により算出した。この充放電効率が80%以上であれば短絡なし、80%未満であれば短絡ありと判断した。
充放電効率(%)=(放電時の容量/充電時の容量)×100
(7)出力性能測定(レート特性)
次に、3mAの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で、合計3時間充電を行った。その後10分間の休止を経て、30mA(10C)で電池電圧3.0Vまで放電して、その時の放電容量を10C放電容量(mAh)とした。
1C放電容量に対する10C放電容量の割合を算出し、この値をレート特性とした。
レート特性(%)=10C放電容量/1C放電容量×100
このときの電池周囲温度は25℃に設定した。
(8)リチウムイオン二次電池の容量維持率測定(サイクル特性)
容量維持率の測定は、アスカ電子(株)製充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製恒温槽PLM−63S(商品名)を用いて行った。測定用のリチウムイオン二次電池として、上記「(6)リチウムイオン二次電池の充電及び放電容量測定」と同様にして作製した電池を用いた。充放電サイクル試験では、まず1サイクル目として、3mAの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で、合計3時間充電を行った。その後10分間の休止を経て、1mAの定電流で放電し、3.0Vに到達した時点で再び10分間の休止を経た。続いて、2サイクル目以降は、3mAの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で、合計3時間充電を行った。その後10分間の休止を経て、3mAの定電流で放電し、3.0Vに到達した時点で再び10分間の休止を経た。充電と放電とを各々1回ずつ行うのを1サイクルとし、100サイクルの充放電を行った。2サイクル目の放電容量を100%としたときの100サイクル目の放電容量の比率を容量維持率とした。電池の周囲温度は25℃に設定した。
(9)リチウムイオン二次電池の高温耐久性試験(高温サイクル特性)
1C=1.8mAとなるように、正極活物質の一部を剥がしてAl集電体部を露出させ、電池の周囲温度を50℃に設定したこと以外は、「(8)リチウムイオン二次電池の容量維持率測定(サイクル特性)」と同様にして、充放電サイクル試験を100サイクルまで行い、高温時の容量維持率を測定した。
(10)セパレータの状態の確認
上記「(8)リチウムイオン二次電池の容量維持率測定(サイクル特性)」又は「(9)リチウムイオン二次電池の高温耐久性試験(高温サイクル特性)」の試験を行った後、リチウムイオン二次電池を分解してセパレータの状態を目視にて確認した。セパレータに破れが認められなかった場合を「異常なし」、セパレータの正極集電体に対向する部分での破れが認められた場合を「破れあり」と評価した。
(実施例1)
<セパレータの作製>
以下の方法により、セパレータを作製した。
まず、熱可塑性合成長繊維の不織布層を下記の方法により作製した。具体的には、汎用的なPETの溶液を用い、スパンボンド法により、紡糸温度300℃で、フィラメント群を、移動する捕集ネット面に向けて押し出し、紡糸速度4500m/分で紡糸した。次いで、コロナ帯電で3μC/g程度帯電させてフィラメント群を充分に開繊させ、熱可塑性合成長繊維ウェブを捕集ネット上に形成した。繊維径の調整は、牽引条件を変えることにより行い、繊維径12μmのスパンボンド法による繊維の不織布(以下、単に「スパンボンド不織布」と表記する。)を得た。
次に、極細繊維を含む不織布を下記の方法により作製した。汎用的なPETの溶液を用い、紡糸温度300℃、加熱空気1000Nm/hr/mの条件下で、メルトブロウン法により紡糸して、上記のスパンボンド不織布上に吹き付けた。この際、メルトブロウンノズルからスパンボンド不織布までの距離を100mmとし、メルトブロウンノズル直下の捕集面における吸引力を0.2kPa、風速を7m/secに設定した。繊維径の調整は、加熱空気量を制御することにより行い、上記スパンボンド不織布上に、繊維径1.7μmのメルトブロウン法による繊維の不織布(以下、単に「メルトブロウン不織布」と表記する。)を得た。
更に、上記スパンボンド不織布とメルトブロウン不織布との2層からなる積層体の上記メルトブロウン不織布側に、上述と同様にしてスパンボンド不織布を形成して、それら不織布の3層からなる積層体を得た。次に、その3層からなる積層体に対して、総目付が10g/m、空隙率が64%、厚さが20μmとなるようにカレンダ加工を施し、積層不織布である不織布膜を得た。得られた不織布膜の各種特性・物性を上述のようにして測定した。
カレンダ加工後の不織布膜に対し、蒸着材として酸化アルミニウム(Al;融点2020℃)を用いて蒸着を施した。蒸着は、上述と同様の装置を用いて、真空槽内を0.0267Paの極低圧にし、蒸着材をエレクトロンビームで2600℃に加熱し、その温度を維持して行い、不織布膜上に無機薄膜を形成した。不織布膜の繰出速度は30m/minとした。形成された無機薄膜の厚さは、0.43μmであった。なお、無機薄膜の厚さは、無機薄膜と不織布膜との積層状態を観察した走査型電子顕微鏡(例えば日本電子社製、商品名「JSM−5300」)の写真を用い、その写真において、任意に3箇所の無機薄膜の厚さを測定し、それらの測定値を相加平均して導出した(以下同様)。
得られた不織布膜と無機薄膜との積層体を直径24mmの円盤状に打ち抜いてセパレータを得た。得られたセパレータの平均孔径を上記のとおり測定した。
<正極の作製>
正極活物質として数平均粒子径11μmのリチウムのニッケル、マンガン及びコバルト混合酸化物と、導電助剤として数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末及び数平均粒子径48nmのアセチレンブラック粉末と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、混合酸化物:グラファイト炭素粉末:アセチレンブラック粉末:PVDF=100:4.2:1.8:4.6の質量比で混合した。得られた混合物にN−メチル−2−ピロリドンを固形分68質量%となるように投入して更に混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延した。圧延後のものを直径16mmの円盤状に打ち抜いて正極を得た。
<負極の作製>
負極活物質として数平均粒子径12.7μmのグラファイト炭素粉末(III)及び数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末(IV)と、バインダーとしてカルボキシメチルセルロース溶液(固形分濃度1.83質量%)と、ジエン系ゴム(ガラス転移温度:−5℃、乾燥時の数平均粒子径:120nm、分散媒:水、固形分濃度40質量%)とを、グラファイト炭素粉末(III):グラファイト炭素粉末(IV):カルボキシメチルセルロース溶液:ジエン系ゴム=90:10:1.44:1.76の固形分質量比で全体の固形分濃度が45質量%になるように混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ10μmの銅箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延した。圧延後のものを直径16mmの円盤状に打ち抜いて負極を得た。
<電解液の調製>
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPFを濃度1.0mol/Lとなるように溶解させて電解液を調製した。
<電池組立と評価>
正極と負極との活物質面が対向するように、負極、セパレータ及び正極の順に重ね、蓋付きステンレス金属製容器に収納した。なお、容器と蓋とは絶縁されており、容器は負極の銅箔と、蓋は正極のアルミ箔と、それぞれ接するように収納した。この容器内に上記電解液を注入して密閉し、リチウムイオン二次電池を得た。収納の際、セパレータの無機薄膜側の面を負極に対向するように配置した。
上記のようにして組み立てたリチウムイオン二次電池について、「(6)リチウムイオン二次電池の充電及び放電容量測定」、「(7)出力性能測定(レート特性)」、「(8)リチウムイオン二次電池の容量維持率測定(サイクル特性)」及び「(10)セパレータの状態の確認」に記載の評価を行った。結果を表1に示す(以下同様)。
(実施例2)
メルトブロウン不織布の繊維径を1.7μmから0.45μmに変更した以外は実施例1と同様にして、スパンボンド不織布とメルトブロウン不織布との2層からなる積層体を得た。次に、上記積層体からメルトブロウン不織布の一部を剥離し、剥離したメルトブロウン不織布をスパンボンド不織布側に積層して、メルトブロウン不織布が最外層である、3層からなる積層体を得た。それ以降は、カレンダ加工の条件を、得られる不織布膜の総目付が11g/m、空隙率が63%、厚さが21μmとなるように変更し、不織布膜の繰出速度を30m/minから15m/minに変更したこと以外は実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を得た。無機薄膜の厚さは、0.41μmであった。
(実施例3)
不織布膜の繰出速度を30m/minから9m/minに変更した以外は実施例2と同様にして、リチウムイオン二次電池を得た。無機薄膜の厚さは、0.08μmであった。
(実施例4)
メルトブロウン不織布の繊維径を1.7μmから0.75μmに変更し、カレンダ加工の条件を、得られる不織布膜の総目付が11g/m、空隙率が64%、厚さが21μmとなるように変更し、不織布膜の繰出速度を30m/minから15m/minに変更し、電解液に、電解液量に対して5質量%のビニレンカーボネートを更に添加した以外は実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を得た。無機薄膜の厚さは、0.25μmであった。
(実施例5)
メルトブロウン不織布の繊維径を1.7μmから0.29μmに変更し、不織布膜として、上記積層不織布に代えて、スパンボンド不織布とメルトブロウン不織布との2層からなる積層体から剥離したメルトブロウン不織布にカレンダ加工を施したものを用い、そのカレンダ加工の条件を、得られる不織布膜の総目付が10g/m、空隙率が70%、厚さが26μmとなるように変更し、不織布膜の繰出速度を30m/minから22m/minに変更した以外は実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を得た。無機薄膜の厚さは、0.35μmであった。
(実施例6)
メルトブロウン不織布の繊維径を1.7μmから0.57μmに変更し、不織布膜として、上記積層不織布に代えて、スパンボンド不織布とメルトブロウン不織布との2層からなる積層体から剥離したメルトブロウン不織布にカレンダ加工を施したものを用い、そのカレンダ加工の条件を、得られる不織布膜の総目付が10g/m、空隙率が58%、厚さが25μmとなるように変更し、不織布膜の繰出速度を30m/minから12m/minに変更した以外は実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を得た。無機薄膜の厚さは、0.19μmであった。
(実施例7)
実施例1と同様にして得たリチウムイオン二次電池について、「(6)リチウムイオン二次電池の充電及び放電容量測定」、「(7)出力性能測定」、「(9)リチウムイオン二次電池の高温耐久性試験(高温サイクル特性)」及び「(10)セパレータの状態の確認」に記載の評価を行った。
(実施例8)
実施例2と同様にして得たリチウムイオン二次電池について、「(6)リチウムイオン二次電池の充電及び放電容量測定」、「(7)出力性能測定」、「(9)リチウムイオン二次電池の高温耐久性試験(高温サイクル特性)」及び「(10)セパレータの状態の確認」に記載の評価を行った。
(実施例9)
実施例4と同様にして得たリチウムイオン二次電池について、「(6)リチウムイオン二次電池の充電及び放電容量測定」、「(7)出力性能測定」、「(9)リチウムイオン二次電池の高温耐久性試験(高温サイクル特性)」及び「(10)セパレータの状態の確認」に記載の評価を行った。
(実施例10)
カレンダ加工の条件を、得られる不織布膜の総目付が20g/m、空隙率が53%、厚さが32μmとなるように変更した以外は実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を得た。無機薄膜の厚さは、0.46μmであった。
(比較例1)
不織布膜の繰出速度を30m/minから2m/minに変更した以外は実施例2と同様にして、リチウムイオン二次電池を得た。無機薄膜の厚さは、0.02μmであった。
(比較例2)
無機薄膜を形成せず、且つ電解液にビニレンカーボネートを添加しなかった以外は実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を得た。
Figure 2014060118
表1から分かるように、本実施形態のリチウム二次電池は、電池の高容量化が可能な不織布セパレータを用いても、セパレータの形状を良好に保持したまま、安定した充放電挙動を示し、出力特性やサイクル特性にも優れることが分かった。
本発明のリチウムイオン二次電池は、例えば、携帯電話、携帯オーディオ、パソコンなどの携帯機器に加え、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車などの自動車用充電池としての利用も期待される。

Claims (16)

  1. ポリエステル系樹脂を含む不織布膜と、前記不織布膜に積層された、60nm以上の厚さを有する無機薄膜と、を有するリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  2. 前記ポリエステル系樹脂はポリエチレンテレフタレートを含む、請求項1記載のセパレータ。
  3. 前記無機薄膜は主成分として酸化アルミニウムを含む、請求項1又は2に記載のセパレータ。
  4. 前記不織布膜は、繊維径が4μm以下である繊維を含む第1の不織布層を少なくとも1層含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセパレータ。
  5. 前記不織布膜は、前記第1の不織布層を最外層として有する2層又は3層以上の不織布からなる積層不織布を含む、請求項4記載のセパレータ。
  6. 前記不織布膜は、前記第1の不織布層と、繊維径が4μm超30μm以下である熱可塑性樹脂繊維を含有する第2の不織布層とを積層した積層不織布を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のセパレータ。
  7. 前記積層不織布において、前記第1の不織布層が、2層以上の前記第2の不織布層に挟まれている、請求項6記載のセパレータ。
  8. 前記積層不織布において、前記第2の不織布層が、2層以上の前記第1の不織布層に挟まれている、請求項6又は7に記載のセパレータ。
  9. 前記熱可塑性樹脂繊維は、熱可塑性合成長繊維を含む、請求項6〜8のいずれか1項に記載のセパレータ。
  10. 前記積層不織布を構成する各前記不織布層は、化学結合及び/又は物理結合によって互いに一体化されている、請求項5〜9のいずれか1項に記載のセパレータ。
  11. 前記第1の不織布層は、メルトブロウン法により形成されている、請求項4〜10のいずれか1項に記載のセパレータ。
  12. 前記不織布膜は、10〜60μmの厚さを有する請求項1〜11のいずれか1項に記載のセパレータ。
  13. 前記不織布層は、カレンダ加工されている、請求項1〜12のいずれか1項に記載のセパレータ。
  14. 正極及び負極と、電解液と、請求項1〜13のいずれか1項に記載のセパレータと、を備えるリチウムイオン二次電池。
  15. 前記電解液は、炭素−炭素二重結合を有する炭酸エステル、フッ素原子を有する環状カーボネート及びスルホンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する、請求項14記載のリチウムイオン二次電池。
  16. 前記炭素−炭素二重結合を有する炭酸エステルは、ビニレンカーボネートを含み、前記フッ素原子を有する環状カーボネートは、フルオロエチレンカーボネートを含み、前記スルホンは、スルホランを含む、請求項15記載のリチウムイオン二次電池。
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