以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態に係る計量装置としての回転式の重量選別装置の概略構成を示す平面図である。
この実施形態の重量選別装置1は、回転中心O回りに矢符A方向へ所定の回転速度で回転する回転台2を備え、この回転台2の周囲には、回転台2と一体に回転する複数、この例では16台の載台S1〜S16が設けられており、回転台2上には、後述の集中制御ユニット等を収納した制御ボックス8が設けられている。各載台S1〜S16は、各載台S1〜S16の荷重を検出するロードセル(LC)等からなる荷重センサ51〜516によって回転台2の下部に支持されており、各載台S1〜S16及び各荷重センサ51〜516によって、16台の計量器が構成される。
海産物や農産物等、例えば、魚等の被計量物13は、供給コンベヤ4から載台S1〜S16上に落下供給される。この供給コンベヤ4は、個別に被計量物13が載置される載置領域が桟等によって所定の間隔で仕切られており、矢符Bで示される方向へ被計量物13を搬送する。回転する載台S1〜S16の1台と、供給コンベヤ4の載置領域の1個とが同期して動作し、個々の載置領域に載置された1個の被計量物13が、供給コンベヤ4の搬送終端の下方の供給位置に回転移動してきた各載台S1〜S16へ順次供給される。
図1に示す物品供給範囲において、供給コンベヤ4から載台S1〜S16に供給された被計量物13は、回転方向に搬送されながらその重量値が後述のように取得され、取得された重量値及び予め設定された境界重量値に基づいて、重量ランクが判定される。
この実施形態では、図2に示すように、測定された被計量物の重量値Wxと境界重量値Wc1〜Wc7とに基づいて、被計量物13の重量ランクを、下記のように8つの重量ランク(1)〜(8)のいずれかに判定する。
・Wx<Wc1のとき 重量ランク(1)
・Wc1≦Wx<Wc2のとき 重量ランク(2)
・Wc2≦Wx<Wc3のとき 重量ランク(3)
……………………………………………………………
・Wc6≦Wx<Wc7のとき 重量ランク(7)
・Wc7≦Wxのとき 重量ランク(8)
重量ランクが判定された被計量物13は、図1に示される円周方向に沿う排出範囲の、判定された重量ランクに対応する振分け位置(1)〜(8)にて、載台S1〜S16のゲートが開いて排出されて振分けられる。
なお、以下の説明では、供給位置で被計量物13が載台S1〜S16に供給されてから、被計量物13の重量ランクに対応する振分け位置(1)〜(8)で振分けられるまでの載台S1〜S16の回転搬送経路において、回転方向の上流側(供給位置に近い側)を前方、回転方向の下流側(供給位置から離れた側)を後方という。
従来では、上述のように、載台S1〜S16の回転円周上で、被計量物の供給位置から最初に設けられた振分け位置(1)に到達するまでの間に、各載台S1〜S16の荷重センサ51〜516からの荷重信号、すなわち、計量器からの計量信号に基づいて被計量物の重量値を取得して重量ランクを判定し、判定された重量ランクに対応する振分け位置でそれぞれ振分けるようにしている。すなわち、振分け位置(1)に到達するまでの間に、1回重量値を取得し、取得した重量値に基づいて、重量ランクを判定し、重量ランクを判定した後は、その重量ランクを保持し、対応する振分け位置で被計量物を振分けるようにしている。
これに対して、この実施形態では、計量精度を向上させるために、各載台S1〜S16が各ランクの振分け位置(1)〜(7)の手前に到達する度に、各載台S1〜S16の荷重センサ51〜516からの荷重信号である計量信号によって重量値それぞれ取得して重量ランクを判定し、判定した重量ランクの振分け位置で被計量物13をそれぞれ振分けるようにしている。なお、振分け位置(8)の手前に到達したときには、重量値を取得する必要がない。これは、振分け位置(7)の手前に到達したときの重量値によって、後述のように重量ランク(6)または重量ランク(7)でないと判定されたときには、重量値を取得するまでもなく、残りの重量ランクである重量ランク(8)となるからである。
このように各載台S1〜S16が、各重量ランクの振分け位置(1)〜(7)の手前に到達する度に、各載台S1〜S16の荷重センサ51〜516からの荷重信号である計量信号に基づいて、重量値をそれぞれ取得して重量ランクを判定し、判定した重量ランクの振分け位置で被計量物13をそれぞれ振分けるので、振分け位置(1)〜(7)の内、後方側で振分けられる重量ランクの被計量物ほど、後方側の位置で被計量物13の重量値が取得されて、重量ランクが判定されることになる。したがって、後方側の重量ランクの被計量物ほど、被計量物13が載台S1〜S16に供給されてからその重量値を取得するまでの時間が長くなり、計量信号の過渡応答がより小さく収束、安定することになり、また、長い時間の計量信号を使用して重量値を求めることができる、すなわち、後述のように平滑特性の大きいフィルタを設定し、このフィルタを通過した計量信号から重量値を取得できるので、全体としての計量精度を向上させることができる。
例えば、載台S1に供給された被計量物13の重量ランクが、振分け位置(1)に対応する重量ランク(1)であるとすると、載台S1が振分け位置(1)の手前に到達したときに、重量値を取得して重量ランクを判定し、重量ランク(1)と判定されて振分け位置(1)で振分けられるので、従来例と同様である。
しかしながら、例えば、載台S1に供給された被計量物13の重量ランクが、振分け位置(1)よりも後方の振分け位置(4)に対応する重量ランク(4)であるとすると、載台S1が振分け位置(1)の手前に到達したとき、振分け位置(2)の手前に到達したとき、振分け位置(3)の手前に到達したとき、及び、振分け位置(4)の手前に到達したときに、それぞれ重量値を取得して重量ランクを判定し、振分け位置(4)の手前に到達したときに取得された重量値によって重量ランク(4)と判定され、振分け位置(4)で振分けられる。
また、例えば、載台S1に供給された被計量物13の重量ランクが、後方の振分け位置(7)に対応する重量ランク(7)であるとすると、載台S1が振分け位置(1)の手前に到達したとき、振分け位置(2)の手前に到達したとき、振分け位置(3)の手前に到達したとき、振分け位置(4)の手前に到達したとき、振分け位置(5)の手前に到達したとき、振分け位置(6)の手前に到達したとき、及び、振分け位置(7)の手前に到達したときに、それぞれ重量値を取得して重量ランクを判定し、振分け位置(7)の手前に到達したときに取得した重量値によって重量ランク(7)と判定され、振分け位置(7)で振分けられる。
このように後方の振分け位置の重量ランクの被計量物13ほど、被計量物13の供給から重量値取得までに長い時間が経過することになるので、過渡応答信号がより小さく収束し、ノイズ信号の平滑特性の大きい安定な重量値を取得することができる。
また、各振分け位置の手前で取得する重量値は、上述の荷重センサ51〜516からのアナログ信号である計量信号をデジタル信号に変換した後、後述のフィルタによって平滑処理した計量信号から読取るのであるが、この実施形態では、被計量物の供給位置から各振分け位置の手前の重量値取得位置へ各載台S1〜S16がそれぞれ到達するのに要する時間に応じた応答特性のフィルタを設定して平滑処理するようにしている。
すなわち、載台S1〜S16の回転円周上で、被計量物13の供給位置から離れた後方の振分け位置の手前の重量値取得位置ほど、重量値取得までの時間に余裕があるので、応答特性の大きいフィルタによって平滑処理するようにしている。
これによって、後方の振分け位置の重量ランクの被計量物ほど、平滑特性の大きいフィルタを通過した計量信号から、つまり長い応答時間の計量信号から安定な重量値を取得して重量ランクを判定することができる。
このよう各振分け位置の手前で被計量物13の重量値を取得して重量ランクを判定し、判定した重量ランクに応じて振分けるために、この実施形態では、図1に示すように、載台S1〜S16の回転円周に沿って、半円周を8等分する区間である外周位置1,2,3,…8を仮想的に定める。載台S1〜S16は、回転円周に沿って16台配置されているので、各外周位置1,2,3,…8は、1台の載台に対応できる区間となっている。
外周位置1は、最初の振分け位置(1)よりも1区間、前方に位置しており、外周位置2〜8は、それぞれ振分け位置(1)〜(7)に対応する位置にある。
図1では、各外周位置1〜8の境界を仮想延長線d1〜d8で示すと共に、外周位置1〜7における各中間位置を仮想延長線I1〜I7で示している。
図3は、図1の重量選別装置1の制御構成を示すブロック図である。
上述の各載台S1〜S16の荷重をそれぞれ検出する荷重センサ51〜516のアナログ荷重信号である計量信号は、各測定用ユニット61〜616にそれぞれ入力される。
各測定用ユニット61〜616は、荷重センサ51〜516から出力されるアナログ荷重信号を増幅すると共に、高周波ノイズを除去するアナログフィルタを組込んだアンプ7と、演算回路9と、シリアルコントローラ10とを備えている。
演算回路9は、アンプ7から出力されるアナログ荷重信号をデジタル荷重信号に変換するA/D変換器(図示せず)を備えると共に、A/D変換された荷重信号である計量信号を、後述のように重量取得位置に応じてフィルタ(濾波)処理する図示しないCPU及びメモリ等を備えている。
16台の各測定用ユニット61〜616で生成された計量信号は、それぞれの測定用ユニット61〜616に設けられたシリアルコントローラ10からシリアルラインSL1を介して集中制御ユニット11のシリアルコントローラ12へ送られる。
集中制御ユニット11は、図示しないCPU及びメモリ等からなる演算制御回路18を備えており、この演算制御回路18には、パルスジェネレータを構成する後述の第1,第2フォトセンサPH1,PH2からタイミングパルスTpとリセットパルスRpとがI/O(入出力インターフェース)回路16を介して与えられ、これらパルスTp,Rpに基づいて、載台S1〜S16の回転位置を認識する。集中制御ユニット11では、測定用ユニット61〜616からの全ての載台S1〜S16の計量信号を収集して所定のタイミングで重量値を取得する。
また、集中制御ユニット11の演算制御回路18は、重量値を取得して重量ランクを判定し、重量ランクに対応する振分け位置にて被計量物13を排出振分けるために、I/O回路16を介して振分け手段としての各載台S1〜S16のゲートを開閉するシリンダcy1〜cy16の駆動を制御する。更に、集中制御ユニット11の演算制御回路18は、I/O回路16及びモータ駆動回路17を介してモータ19を制御し、これによって、モータ19によって回転駆動される回転台2の回転速度を、設定された回転速度に制御する。
各測定用ユニット61〜616及び集中制御ユニット11は、各荷重センサ51〜516からの計量信号をフィルタ処理するフィルタを設定するフィルタ設定手段、フィルタ処理された計量信号から被計量物13の重量値を取得する重量値取得手段、及び、取得された重量値に基づいて重量ランクを判定するランク判定手段として機能を有する。
また、モータ駆動回路17、モータ19、回転台2及び計量器等によって、被計量物13を回転方向に搬送する搬送手段が構成される。
集中制御ユニット11の演算制御回路18は、取得した重量値や判定した重量ランクなどを集中制御ユニット11のシリアルコントローラ20を介して、回転体の外部の表示設定ユニット21に送信し、表示設定ユニット21では、シリアルラインSL2を介してシリアルコントローラ22で受信する。
回転側である集中制御ユニット11と固定側である表示設定ユニット21との通信は、図示しないロータリコネクタによって行われ、また、表示設定ユニット21側へ供給されている電源が、図示しない給電用のスリップリングを介して集中制御ユニット11側へ給電される。なお、集中制御ユニット11と表示設定ユニット21とに無線の送受信回路を設けて無線通信させるようにしてもよい。
表示設定ユニット21は、図示しないCPU及びメモリ等からなる演算制御回路23と、重量ランク判定用の境界重量値や被計量物13の搬送速度である回転速度等を設定するための各種スイッチ等が設けられた入力部24と、集中制御ユニット11から送られてきたデータ等を表示する表示部25と、I/O回路26とを備えている。
この実施形態では、上述のように、被計量物13の載台S1〜S16への供給から重量値取得までの時間が長いほど、平滑特性の大きいフィルタから重量値を取得できるように各測定ユニット61〜616を構成する。
次に、各測定ユニット61〜616について説明する。
この重量選別装置1は、被計量物13を回転方向へ搬送する搬送速度である回転速度を種々設定して計量運転することができる。例えば、最小の計量能力のときの回転速度を10rpm、1回転につき16台の載台S1〜S16が回転するので、載台S1〜S16のすべてに被計量物を載置することができるとすると、計量処理能力は160個/分に相当する回転速度になる。
また、最大の計量能力のときの回転速度を20rpm、載台S1〜S16のすべてに被計量物を載置することができるとすると、計量処理能力は320個/分に相当する回転速度になる。
被計量物13の搬送速度である回転速度は、直接的に毎分の回転速度、または間接的に毎分の計量処理能力の値として設定される。
ここで、重量値を取得する本体上での位置について説明する。
図1において、供給コンベヤ4から供給された被計量物13の重量ランクを判定するために重量値を取得する円周上の位置は、この実施形態では、被計量物13の振分け位置(1)〜(7)より少しずつ手前の上述の仮想延長線I1、I2、I3、……、I7の位置としている。仮想延長線I1、I2、I3、…I7は、載台S1〜S16の回転円周の1周区間の1/16の間隔で円周上に並んでいる。
但し、振分け位置(8)は、仮想延長線I7の位置で取得された被計量物の重量値が重量ランク判定の結果、重量ランク(7)に属さない場合に振分けられる位置である。
また,図1において、被計量物13を最初の振分け位置(1)で振分けるために必要な重量値取得位置である仮想延長線I1よりも4区分だけ前方の位置(1区分は円周の1/16の長さの区間)を仮想延長線I0とする。仮想延長線I0は、後述のように被計量物13が供給される供給位置よりも後方の位置である。
この実施形態では、仮想延長線I0からI1まで、仮想延長線I0からI2まで、……、仮想延長線I0からI7までの各距離、すなわち、載台の1回転の円周に対する比率で与えられる各距離を、それぞれ仮想延長線I1、I2、…、I7をそれぞれ重量値取得位置とする場合の各重量測定間隔という。
また、仮想延長線I0よりも前方の被計量物13の供給位置から仮想延長線I1まで、前記供給位置から仮想延長線I2まで、……、前記供給位置から仮想延長線I7までの各距離を、それぞれ仮想延長線I1、I2、…、I7をそれぞれ重量値取得位置とする場合の各搬送距離という。
このように各搬送距離は、被計量物13が供給される供給位置と各重量値取得位置である仮想延長線I1〜I7の各位置までの距離として予め設定される。
なお、被計量物13が供給される供給位置は、被計量物13が供給されている位置であればよく、実際に被計量物13が供給される位置よりも後方の位置としてもよい。
この実施形態では、各測定ユニット61〜616には、A/D変換された荷重信号をフィルタ処理する固定フィルタ及び可変フィルタが設定されるが、先ず、固定フィルタについて説明する。
図4に各測定用ユニット61〜616の各演算回路9に備えられるシフトレジスタと演算処理のブロック構成を模式的に示す。
ここで、被計量物13が載台S1〜S16上に載置されていない場合と定格容量の被計量物13が載置されている場合とによって、載台S1〜S16及び荷重センサ51〜515を備える計量器の固有振動数が、30〜33Hzの間で変化するものとする。
各載台S1〜S16にそれぞれ対応する各測定用ユニット61〜616の演算回路9は、上述のアンプ7から出力されるアナログ荷重信号をデジタル荷重信号に変換するA/D変換回路27を備えている。このA/D変換回路27は、アナログ荷重信号を、例えばサンプリング間隔1msecにてデジタル荷重信号に変換する。
演算回路9には、30個の直列のセルレジスタで構成された第1シフトレジスタSFR1を設ける。各セルレジスタには、A/D変換回路27によってA/D変換された1つのA/Dサンプリングデータがそれぞれ格納される。
計量信号の測定値である1つのA/Dサンプリングデータが、A/D変換回路27から1msec毎に新たに得られる度に、セルレジスタのデータを図4の右方向へ順次シフトし、最も古い右端の1つのA/Dサンプリングデータを廃棄し、最新のA/Dサンプリングデータを入力することで、常に最新の30個分のA/Dサンプリングデータを格納する。
更に、1つの新たなA/Dサンプリングデータが第1シフトレジスタSFR1に格納される度に、第1シフトレジスタSFR1に格納される最新の30個分のセルレジスタのデータの平均値を、第1平均値演算回路(AV1)30によって算出し、第2シフトレジスタSFR2へ入力データとして与える。
第2シフトレジスタSFR2は、33個の直列のセルレジスタによって構成され、第1平均値演算回路(AV1)30の次段に接続される。
第1平均値演算回路(AV1)30によって平均値が1msecの間隔で新たに算出される度に、第2シフトレジスタSFR2は、1個ずつセルレジスタのデータを図4の右方向へ順次シフトし、常に最新の33個分の平均値を格納すると共に、右端の最も古い平均値を廃棄する。
第2シフトレジスタSFR2に、1msecの間隔で新たに平均値が格納される度に、次段の第2平均値演算回路(AV2)31は、第2シフトレジスタSFR2の最新の33個分の直列のセルレジスタの出力の平均値を算出する。
なお、第1,第2平均値演算回路(AV1,AV2)30,31や第1,第2シフトレジスタSFR1、SFR2は、特別に設けたものではなく、演算回路9内における平均演算のデータの流れと、演算を模式的に表したもので、CPU及びCPUに接続されたメモリ内で実行される。
30個のセルレジスタからなる第1シフトレジスタSFR1及び第1平均値演算回路(AV1)30は、30msecを1周期とするノイズ信号に対するノッチフィルタとなり、33個のセルレジスタからなる第2シフトレジスタSFR2及び第2平均値演算回路(AV2)31は、33msecを1周期とするノイズ信号に対するノッチフィルタとなり、2重のノッチフィルタとなる。
この2重のノッチフィルタは、載台S1〜S16及び荷重センサ51〜515を備える計量器の固有振動ノイズ除去用のフィルタであり、計量信号が30〜33Hzの振動ノイズを含む場合、すなわち、1周期が33msec〜30msecの振動ノイズを含む場合に大きい減衰効果を持つことになる。
被計量物13の円周上での供給位置は、その時々の被計量物13の供給コンベヤ4上の載置状態や粘着性などの違いによってばらつく。
この実施形態では、最大の計量能力のときの回転速度の場合に、被計量物13が最も遅く載台S1〜S16上に供給されてから載台S1〜S16が、図1の仮想延長線I0の位置に到達するまでの時間を、2重のノッチフィルタの応答時間63msec以上としている。すなわち、仮想延長線I0の位置は、最大の計量能力のときの回転速度の場合に、被計量物13が載台S1〜S16上に最も遅く供給されてから63msec以上経過した後に載台S1〜S16が到達する位置としている。
なお、本発明の他の実施形態として、被計量物が載台S1〜S16上に最も遅く供給された位置を仮想延長線I0の位置とし、これ以降、被計量物が仮想延長線I1に到達するまでの経過時間内に、固有振動ノイズ除去用フィルタの応答時間63msecを見込んでもよい。
この2重のノッチフィルタは、載台S1〜S16及び荷重センサ51〜515を備える計量器の固有振動ノイズの平滑を目的とするものであるから、載台S1〜S16の回転速度や重量値の取得位置に関係なく設ける必要がある。
なお、載台S1〜S16のゲートや、ゲート取付け金具、ゲート開閉用のシリンダなどのいわゆる、荷重センサ51〜516に加わる風袋質量が、被計量物の質量に対して十分大きい場合は、載台S1〜S16上の被計量物の有無による計量器の固有振動周期の変化は小さいので、2重のノッチフィルタの内、一方のノッチフィルタだけを設けてもよい。
次に、固定フィルタである上記のノッチフィルタに加えて、回転台2の回転速度と重量取得位置とに応じてフィルタ定数を可変し、平滑特性を変更する可変フィルタについて説明する。
載台S1〜S16が、被計量物13が供給される供給位置の後方の図1の仮想延長線I0の位置から各重量値取得位置である仮想延長線I1、I2、…I7の各位置への回転移動に応じて、仮想延長線I01〜I1、仮想延長線I0〜I2、仮想延長線I0〜I3、…仮想延長線I0〜I7と搬送距離は次第に大きくなり、同じ回転速度であれば、所要時間も次第に大きくなる。
この実施形態では、各重量値取得位置である仮想延長線I1、I2、I3、…I7の位置毎にフィルタを設け、回転速度の値とこれらの重量値取得位置とに応じて、すなわち、仮想延長線I0の位置から各重量値取得位置までの載台S1〜S16の移動に要する時間の大小に応じて、大小の応答時間を持つフィルタ、すなわち、平滑特性が大小である可変フィルタを設ける。
これによって、載台S1〜S16の回転円周上で後方の重量値取得位置の荷重信号ほど平滑特性の大きなフィルタで平滑処理され、精確な重量値を取得できるようにしている。
先ず、回転速度が最も大きい場合、すなわち、最大回転速度20rpmの場合、1回転の所要時間は3秒である。1周の1/16の1区間当たりの所要時間は3000/16=187.5msecであるから図1において、載台S1〜S16が仮想延長線I0の位置から仮想延長線I1の位置までの4区間を移動する所要時間は187.5msec*4=750msecである。また、仮想延長線I1〜I2、仮想延長線I2〜I3、仮想延長線I3〜I4、仮想延長線I4〜I5、仮想延長線I5〜I6、仮想延長線I6〜I7の各区間を移動する所要時間は187.5msecである。
一方、最小回転速度の場合は、2倍の所要時間であるから載台S1〜S16が、仮想延長線I0の位置から仮想延長線I1の位置までの4区間移動するための所要時間は、375msec*4=1500msecである。また、仮想延長線I1〜I2、仮想延長線I2〜I3、仮想延長線I3〜I4、仮想延長線I4〜I5、仮想延長線I5〜I6、仮想延長線I6〜I7の各区間を移動する所要時間は、375msecである。
フィルタによる応答時間として、被計量物13が各区間を搬送される所要時間だけ見込んでよいので、先ず、仮想延長線I0〜I1までの搬送では、最大回転速度の場合で750msec、最小回転速度の場合で1500msecを見込むことができる。これらの時間はフィルタを設定する上で、フィルタの応答時間の最大値として見込むことができるので、許容応答時間と呼ぶ。
仮想延長線I0からそれぞれ各仮想延長線I2、I3、…I7までの間の許容応答時間は、最大回転速度の場合で、187.5msecずつ、最小回転速度の場合で、375msecずつ増加する。
つまり、回転速度が最大の場合と、最小の場合とで異なる許容応答時間に対応する応答時間のフィルタを上記の固定フィルタ(ノッチフィルタ)に従属接続することができる。
一般的表現として、回転速度Vrpmが与えられると、1周回転するのに要する時間は(60/V)secであるから、1/16区間(=1区分)当たりの所要時間は(60/V)*(1/16)=(15/4)*(1/V)sec=(3750/V)msecであり、仮想延長線I0〜I1までは4区間であるから許容応答時間として(15000/V)msecを見込むことができる。
仮想延長線I1〜I2、仮想延長線I2〜I3、…仮想延長線I6〜I7と、1区間ずつの所要時間に対し、最大回転速度の場合で187.5msec、最小回転速度の場合で375msec、一般に回転速度がVrpmの場合は、(3750/V)msecの所要時間となるので、仮想延長線I2、I3、…I7と円周上で後方の位置では、許容応答時間が(3750/V)msecずつ増える。
後方の位置ほど、より長い時間の荷重信号を見込んで仮想延長線I1以降の1区間当たりに設けるフィルタの応答時間を(3750/V)msecずつ増加させることができるので、回転の途中に外乱による振動信号が生じても円周上で後方の位置にある重量値取得位置に対応するフィルタの出力点ほど振動ノイズに対する平滑特性を大きくすることができ、より安定な重量値を取得できる。
可変フィルタの一例として、平均値フィルタを用いた場合について説明する。
図4の固定フィルタを構成する第2シフトレジスタSFR2以降は、第2シフトレジスタSFR2の平均値が1msec間隔で求められるのに対して、10msecの間隔の平均値を取り上げて多くのセルレジスタを直列接続してなる第3シフトレジスタSFR3へ平均値を格納する。
第3シフトレジスタSFR3へのデータの格納のさせ方も第1,第2シフトレジスタSFR1、SFR2と同様で、先ず、各セルレジスタのデータを1個右方へ順次シフトさせてから第2シフトレジスタSFR2から得た新しいデータを格納する。この操作は、10msec間隔で行う。
これは、可変フィルタによって除去する振動ノイズが、計量器の固有振動数に比べて比較的周波数が小さい、つまり、周期が長いので、長い時間の荷重信号を記憶させるために必要なメモリを多く使用せずに済むように、そしてシフト処理時間が短くて済むようにしたものである。
なお、他の実施形態として、多くのメモリを使用し、1msec毎の荷重信号を格納するようにしてもよい。
重量選別装置1の回転速度が最小値10rpmに設定されていた場合、第3シフトレジスタSFR3を構成するセルレジスタは、最小回転速度に対応できるだけの個数を用意する。図4では、この最小回転速度10rpmに対応する構成を示している。
10msec毎に1個ずつセルレジスタのデータを、図4の右方へ順次シフトさせ、出力点I0を有する左端のセルレジスタからデータを格納させるので、 最小回転速度の場合、1500msecの応答時間とする出力点I1までのシフトレジスタとして、個数が150個のセルレジスタを接続する。
更に、出力点I2までは応答時間370msecを見込むので、37個のセルレジスタを接続する。出力点I3、I4、I5、I6、I7まで同じ応答時間を見込むので、それぞれ37個ずつセルレジスタを直列接続し、合計で150+37*6=372個のセルレジスタを直列接続する。
これらのレジスタは、演算回路9のRAMの中に構成される。
これに対して最大回転速度20rpmの場合は、応答時間を早めねばならず、上述のように750msecの応答時間とする出力点I1までのセルレジスタの個数は75個となる。また、出力点I2、I3、…I7のそれぞれの間隔に用意するセルレジスタの個数は、18個ずつでよいから、合計で75+18*6=183個のセルレジスタを直列接続する。
回転速度10rpmと20rpmの中間の、例えば15rpmの回転速度が設定されると、回転速度の大きさに反比例したセルレジスタの接続個数が定められる。
接続レジスタの個数の決め方として、一般に回転速度、例えば18rpmが設定されると、
速度比率:(20−18)/(20−10)=1/5
出力点I1点までのレジスタ個数は、75+(150−75)*(1/5)=90
出力点I1〜I2、…、出力点I6〜I7の間のセルレジスタの数は、18+(36−18)*(1/5)=21(小数点以下の数を切り捨て)で、合計は21*6=126個が定められる。
一般式としては、回転速度Vの値が設定されると、回転速度18rpmの代わりに回転速度Vの値に置き換えればよい。シフトレジスタを構成するセルレジスタの個数を大きくするほど長時間の計量信号に対するサンプリング値の平均値を求めることになるので、一般にフィルタとして長い周期の振動信号に対する平滑特性は大きくなると共に、それより短い種々の周期の振動信号に対する平滑特性も大きくなる。
より大きい数値での平均値を求めるフィルタほど応答時間は大きくなるが、搬送距離において突発的に生じる床振動に対して大きな平滑特性を得ることができるし、過渡応答振動信号に対する平滑特性も大きい。
次にフィルタの条件の設定について説明する。
被計量物13の搬送速度である回転速度Vは、図3の表示設定ユニット21の入力部24から作業者によって設定され、表示設定ユニット21から集中制御ユニット11を経由して各載台S1〜S16に対応する各測定ユニット61〜616にシリアルラインSL1を介して与えられる。
回転速度Vが与えられると、各測定ユニット61〜616において、上記の計算が実施され、その回転速度Vに応じたセルレジスタの個数と、個数に対応するメモリアドスが決まる。
なお、回転速度Vの値は、必ずしも設定値そのものでなく、上述の第1,第2フォトセンサPH1,PH2からのリセットパルスRpとタイミングパルスTpの発生時間間隔を集中制御ユニット11で測定することによって認識し、認識した発生時間間隔に基づいて算出した回転速度としてもよい。
次にフィルタへの出力点の指定とフィルタからの重量値出力について説明する。
図1に示すように、載台S1〜S16の円周上の回転移動に応じて、仮想延長線I1、I2、…I7の位置付近で、フィルタの重量値を取得するために、これらの位置の手前に載台S1〜S16が到達した時点で、後述のようにフィルタのデータの読出し指令を、集中制御ユニット11から所定の載台S1〜S16に対応する測定用ユニット61〜616に与える。
例えば、回転速度10rpmの設定で計量運転されているとし、仮想延長線I1の位置の重量値の取得タイミングにおいて、集中制御ユニット11から対応する測定用ユニットに対して、出力点I1を指定するコードと載台番号とを共に与えると、図4に示すように指定された番号の載台に対応する測定用ユニットでは、これを解釈して出力点I0〜I1までの150個の各セルレジスタの出力の平均値を第3平均値演算回路(AV3)32によって算出し、シリアルコントローラ10を介して重量値であることを意味するデータ内容コードと載台の番号と平均値とのセットデータを取得重量値として集中制御ユニット11へ送る。
読取りの重量値として、出力点I2の位置が指定されれば、出力点I0〜I2の間にある150+37=187個の各セルレジスタの出力の平均値を第3平均値演算回路(AV3)33によって算出し、取得重量値として集中制御ユニット11へ送る。
同様にして出力点I7まで取得重量値が出力される。
以上のように、指定される出力点I1、I2、…I7と、載台S1〜S16の回転方向の後方位置であるほど、大きい平滑特性を持つフィルタを通過した重量値が取得され、集中制御ユニット11へ送信される。
次に、集中制御ユニット11における制御について説明する。
先ず、各載台S1〜S16がどの位置あるかを認識するためのシステム状態の作成について説明する。
図1に示すように載台S1〜S16が円周上を回転し、載台S1〜S16毎に外周位置1〜7のいずれかにて、上記のように重量取得位置に対応したフィルタの出力点から重量値を取得し、取得した重量値によって重量ランクを判定し、判定した重量ランクに対応する振分け位置で載台S1〜S16上の被計量物を振分ける測定制御シーケンスを作成する。
集中制御ユニット11は、図5(a),(b)に示すパルスジェネレータからのパルスによって回転円周上での載台S1〜S16の位置を認識し、載台S1〜S16の円周上での位置に対応したシステム状態を集中制御ユニット11の中に作成する。
図1に示す回転台2と載台S1〜S16は、回転中心Oに設けられた支柱28によって支持され、支柱28が上述のモータ19によって回転駆動されることで載台S1〜S16も回転駆動される。
支柱28に光センサバー29が取付けられ、光センサバー29は、支柱28とともに回転中心Oの回りを回転する。
光センサバー29の先端部には、タイミングパルスTp生成用の投受光素子からなる第1フォトセンサPH1と、リセットパルスRp生成用の投受光素子からなる第2フォトセンサPH2が取り付けられ、固定部37には、円環35が取り付けられる。この円環35には、円周を16等分する位置にタイミングパルス生成用のスリット33が16箇所に設けられ、そのうちで一箇所のタイミングパルス生成用スリット33と角度を重複させ、タイミングパルス生成用スリット33よりやや幅の広いリセットパルス生成用スリット34が設けられている。
載台S1〜S16と光センサバー29が回転すると、載台S1〜S16の回転に同期して図6(b)に示すように、光センサバー29の1回転当たり16個発生するタイミングパルスTpと、図6(a)に示すように、光センサバー29の1回転当たり1個発生するリセットパルスRpが生成され、集中制御ユニット11に読み取られる。
リセットパルスRpのパルス幅pwrは、タイミングパルスTpのパルス幅pwtより広い。集中制御ユニット11は、タイミングパルス幅pwtより十分短い時間を周期とするパルス信号を発生するクロックパルス発生回路を備えている。リセットパルスRp及びタイミングパルスTpは、前記クロックパルス発生回路からのパルス信号によって起動される最も優先度の高い割り込み処理プログラムによって集中制御ユニット11の演算制御回路18に読み取られる。
図5の円環35におけるラインaが、図1に示すラインd1の位置に略重なるように円環35を本体の固定部37に設置する。そして、光センサバー29は図1における載台S1の回転進行側の端部gの位置に重なるように設ける。
そうすると、載台S1の回転進行側の端部gがラインd1の位置に到達したときに、図6(a),(b)におけるリセットパルスRpとタイミングパルスTp1とが発生するタイミングになり、これ以降、載台S1の回転進行側の端部gがラインd2に到達し、載台S1が外周位置1に完全に重なり、次のタイミングパルス生成用スリット33によるタイミングパルスTp2が発生するが、このタイミングパルスTp2が発生するまでの状態を、システム状態P1と定義する。
また、タイミングパルスTp2が発生して以降、載台S1が外周位置2に完全に重なり、次のタイミングパルス生成用スリット33によるタイミングパルスTp3が発生するが、このタイミングパルスTp3が発生するまでの状態を、システム状態P2と定義する。
以下同様に、タイミングパルスTp3,Tp4,…Tp16…が発生する度に、システム状態P3,P4,…P16…と進む。
このようにシステム状態は、載台S1〜S16、光センサバー29が円周を1周回転する間にタイミングパルスTpが発生する度に進行し、システム状態P1〜P16まで進んで、再びシステム状態P1へ戻り、これを繰り返す。
図6には、各システム状態を開始して、所定の載台の重量値取得のためのフィルタの出力点を指定する時点(1)、指定した出力点の重量値を読取る時点(2)、重量ランクを判定して振分け信号を保持する時点(3)、保持した振分け信号によってゲート開閉用シリンダを駆動する時点(4)を併せて示している。
システム状態が開始されると、集中制御ユニット11では、載台S1〜S16が図1の仮想延長線I1、I2、…I7の位置付近に到達した時点である、図6に示される第1所定時間T01(msec)が経過した時点(1)で、システム状態Pxの値に対応した所定の載台に対応する測定ユニットの所定のフィルタ出力点から重量値を取得するために、出力点を指定する送信信号データを作成して、対応する測定ユニットに送信する。また、時点(2)までの第2所定時間T0(msec)内に、対応する測定ユニットから重量値が集中制御ユニット11に送信されてメモリに記憶される。集中制御ユニット11は、取得した重量値に基づいて、時点(3)までに重量ランクを判定し、重量ランクに対応する振分け位置で振分けるための振分け信号を生成して保持し、次のシステム状態の開始時点(4)で振分け信号に応じた振分け位置でゲート開閉用のシリンダの駆動を開始する。
図7は、各システム状態P1〜P16において、いずれの載台S1〜S16が図1の外周位置1〜8にあるかを示したものである。
システム状態P1は、載台S1が外周位置1に入り始めてから完全に入って重なるまで、すなわち、図1において、載台S1の回転進行側の端部gが、仮想延長線d1を越えて仮想延長線d2に至るまでの期間に対応する。この期間では、載台S16が外周位置2に、載台S15が外周位置3に、載台S14が外周位置4に、載台S13が外周位置5に、載台S12が外周位置6に、載台S11が外周位置7に、載台S10が外周位置8に、それぞれ入り始めてから完全に入って重なる。
システム状態P2では、載台S2が外周位置1に、載台S1が外周位置2に、載台S16が外周位置3に、載台S15が外周位置4に、載台S14が外周位置5に、載台S13が外周位置6に、載台S12が外周位置7に、載台S11が外周位置8に、それぞれ入り始めてから完全に入って重なる。
以下同様に、システム状態が進むにつれて、各外周位置1〜8へ入り込む載台が1台ずつずれることになる。
図1に示される状態は、載台S16〜S9が、外周位置1〜8にそれぞれ完全に重なっているので、図7に示されるように、システム状態S16が完了して、今まさにシステム状態P1が開始される直前を示している。
次に、システム状態と重量値取得タイミングについて説明する。
図1において、システム状態P1では、外周位置1〜8には、()内に示す載台S1〜S16が到達する。すなわち、載台S1が外周位置1に、載台S16が外周位置2に、載台S15が外周位置3に、載台S14が外周位置4に、載台S13が外周位置5に、載台S12が外周位置6に、載台S11が外周位置7に、載台S10が外周位置8に、それぞれ入り始めてから完全に入って重なることになる。
載台S1については、図1の仮想延長線I1の重量値取得位置で重量値を取得できればよく、この位置までに、図4のフィルタの出力点I1までの、シフトレジスタSFR3のセルレジスタ出力の平均値が読取れればよい。
載台S16については、図1の仮想延長線I2の重量値取得位置で重量値を取得できればよく、この位置までに、図4のフィルタの出力点I2までの、シフトレジスタSFR3のセルレジスタ出力の平均値が読み取れればよい。
以下同様に、載台S15〜S12は、図1の仮想延長線I3〜I6の重量値取得位置までに、図4のフィルタの出力点I3〜I6までのセルレジスタの出力の平均値が読み取れればよい。
載台S11についても、図1の仮想延長線I7の重量値取得位置で重量値を取得できればよく、図4のフィルタの出力点I7までの、シフトレジスタSFR3のセルレジスタ出力の平均値が読み取れればよい。
仮想延長線I7の重量値取得位置で読取った重量値では、後述のように重量ランク(6),(7),(8)の何れかに判定される。
重量ランク(8)は、この時点で判定されるので、もはや載台S11は、次のシステム状態P2では重量値を取得する必要はなく、重量ランク(8)に判定されたときでもシステム状態P1における仮想延長線I7の位置で読取った重量値を被計量物の重量値とすればよい。
したがって、システム状態P1において、載台S10については重量値を取得する必要はない。
図8に各システム状態P1〜P16において、重量値を取得すべき載台S1〜S16及びその重量値を読取るべきフィルタの出力点を示す。
システム状態P1では、上述のように、載台S1,S16,S15,S14,S13,S12,S11について、それぞれフィルタの出力点I1,I2,I3,I4,I5,I6,I7までの重量値を取得すればよい。
また、システム状態P2では、載台S2,S1,S16,S15,S14,S13,S12について、それぞれフィルタの出力点I1,I2,I3,I4,I5,I6,I7までの重量値を取得すればよい。
同様に、システム状態が進むにつれて、重量値を取得する載台を1台ずらせばよい。
集中制御ユニット11では、この図8に基づいて、システム状態毎に図8に示す番号kの載台Skに対応する測定用ユニット6kに対してフィルタの出力点I1〜I7のいずれかを指定する。
例えば、システム状態P1では、図8に示すように、載台S1に対応する測定ユニット61に対してフィルタの出力点I1を指定し、載台S16に対応する測定ユニット616に対してフィルタの出力点I2を指定し、載台S15に対応する測定ユニット615に対してフィルタの出力点I3を指定し、以下と同様に、載台S11に対応する測定ユニット611に対してフィルタの出力点I7を指定する。
また、システム状態P2では、図8に示すように、載台S2に対応する測定ユニット62に対してフィルタの出力点I1を指定し、載台S1に対応する測定ユニット61に対してフィルタの出力点I2を指定し、載台S16に対応する測定ユニット616に対してフィルタの出力点I3を指定し、以下同様に、載台S12に対応する測定ユニット612に対してフィルタの出力点I7を指定する。
図9に各システム状態P1〜P16において、被計量物を振分けるためのゲート開閉用のシリンダの駆動の要否を決定するために、振分け信号が保持される振り分け出力用メモリを検定すべき載台を示す。
各システム状態P1〜P16において、振り分け出力用メモリを検定すべき載台は、図1の各振り分け位置(1)〜(8)にさしかかる載台である。
したがって、例えばシステム状態P1では、載台S16,S15,S14,S13,S12,S11.S10.S9が、各振り分け位置(1),(2),(3),(4).(5),(6).(7),(8)にそれぞれさしかかるので、これらの載台S16,S15,S14,S13,S12,S11.S10.S9が、検定すべき載台となる。
また、システム状態P2では、載台S1,S16,S15,S14,S13,S12,S11.S10が、各振り分け位置(1),(2),(3),(4).(5),(6).(7),(8)にそれぞれさしかかるので、これらの載台S1,S16,S15,S14,S13,S12,S11.S10が、検定すべき載台となる。
以下同様に、システム状態が進むにつれて、振り分け出力用メモリを検定すべき載台が1台ずれることになる。
図10A,Bは、この実施形態の動作説明に供するフローチャートであり、集中制御ユニット11の演算制御回路18によって実行される。内蔵のクロック生成回路の、例えば1msecのクロックパルスによって演算制御回路18のCPUに割り込みをかけ、最優先にて処理される。すなわち、1msec毎に最優先で実行される。上述の各パルスTp,Rpは、回転台2の回転を最速にしても、1msecより十分長いパルス幅となるように円環35の各スリット33,34が形成されている。
先ず、図10Aに示すように、タイミングパルスTpがハイレベルであるか否かを判断し(ステップn1)、ハイレベルでないときには、システム状態の移行タイミングではないので、システム状態移行フラグFcを「0」にリセットしてステップn8に移る(ステップn17)。
ステップn1において、タイミングパルスTpがハイレベルであるときには、システム状態の移行タイミングであるとして、システム状態移行フラグFcが「0」であるか否かを判断し(ステップn2)、該フラグFcが「0」であるときには、ステップn3に移り、システム状態移行フラグFcを「1」にセットし、リセットパルスRpがハイレベルであるか否かを判断し(ステップn4)、ハイレベルであるときには、システム状態P1への移行タイミングであるとして、いずれのシステム状態であるかを示すカウンタPxに、システム状態P1であることを示す「1」をセットしてステップn6に移る(ステップn5)。
また、ステップn4において、リセットパルスRpがハイレベルでないときには、システム状態P1以外の他のシステム状態への移行タイミングであるとして、カウンタPxの計数値に「1」を加算してステップn6に移る(ステップn18)。
ステップn6では、カウンタPxの計数値のシステム状態が開始したことを示すシステム状態開始フラグFsに「1」をセットし、ステップn7に移る。
ステップn7では、上述の図9に示すシステム状態Pxの値に対応した所定の載台の振分け出力用メモリを検定する。例えば、システム状態P1であるときには、図9に示すように、各振分け位置(1)〜(8)にさしかかる載台S16〜S9の各振分け出力用メモリを検定する。この振分け出力用メモリが、「1」であれば、ゲート開閉用のシリンダの駆動信号をセットし、ステップn8に移る。
このステップn7は、上述の図6の時点(4)に対応する処理であり、その詳細を、図11に示す。
図11に示すように、システム状態Pxの値に応じて、所定の載台の振分け出力用メモリを検定し、載台のゲートを開閉するゲート開閉用のシリンダを駆動するための処理を行なう。
例えば、システム状態Px=1(システム状態P1)であるときには、載台S16の振分け出力用メモリMR16が「1」であるか否かを判断し(ステップn71−1)、「1」であるときには、載台S16のゲート開閉用のシリンダを駆動するための駆動フラグFV16を「1」にセットし(ステップn71−2)、振分け出力用メモリMR16を「0」にリセットしてステップn71−4に移る(ステップn71−3)。
ステップn71−4では、載台S15の振分け出力用メモリMR15が「1」であるか否かを判断し、「1」であるときには、載台S15のゲート開閉用のシリンダを駆動するための駆動フラグFV15を「1」にセットし(ステップn71−5)、振分け出力用メモリMR15を「0」にリセットして次のステップに移る(ステップn71−6)。
以下同様にして、載台S14,S13,S12,S11,S10の各振分け出力用メモリMR14,S13,S12,S11,S10を検定し、ゲート開閉用のシリンダの駆動のため処理を行なう。
そして、ステップn71−21では、載台S9の振分け出力用メモリMR9が「1」であるか否かを判断し、「1」であるときには、載台S9のゲート開閉用のシリンダを駆動するための駆動フラグFV9に「1」をセットし(ステップn71−22)、振分け出力用メモリMR9を「0」にリセットして図10Aのステップn8に移る(ステップn71−23)。
また、システム状態Px=2であるときには、載台S1の振分け出力用メモリMR1が「1」であるか否かを判断し(ステップn72−1)、「1」であるときには、載台S1のゲート開閉用のシリンダを駆動するための駆動フラグFV1を「1」にセットし(ステップn72−2)、振分け出力用メモリMR1を「0」にリセットしてステップn72−4に移る(ステップn72−3)。
ステップn72−4では、載台S16の振分け出力用メモリMR16が「1」であるか否かを判断し、「1」であるときには、載台S16のゲート開閉用のシリンダを駆動するための駆動フラグFV16に「1」をセットし(ステップn72−5)、振分け出力用メモリMR16を「0」にリセットして次のステップに移る(ステップn72−5)。
以下同様に、載台S15,S14,S13,S12,S11の各振分け出力用メモリMR15,S14,S13,S12,S11を検定し、ゲート開閉用のシリンダの駆動のため処理を行なう。
そして、ステップn72−21では、載台S10の振分け出力用メモリMR10が「1」であるか否かを判断し、「1」であるときには、載台S10のゲート開閉用のシリンダを駆動するための駆動フラグFV10に「1」をセットし(ステップn72−22)、振分け出力用メモリMR10を「0」にリセットして図10Aのステップn8に移る(ステップn72−23)。
以下同様に、各システム状態P3〜P15に応じて、図9に示す所定の載台の振分け出力用メモリを検定し、ゲート開閉用のシリンダを駆動するための処理を行い、システム状態Px=16であるときには、載台S15の振分け出力用メモリMR15が「1」であるか否かを判断し(ステップn716−1)、「1」であるときには、載台S15のゲート開閉用のシリンダを駆動するための駆動フラグFV15に「1」をセットし(ステップn716−2)、振分け出力用メモリMR15を「0」にリセットしてステップn716−4に移る(ステップn716−3)。
ステップn716−4では、載台S14の振分け出力用メモリMR14が「1」であるか否かを判断し、「1」であるときには、載台S14のゲート開閉用のシリンダを駆動するための駆動フラグFV14に「1」をセットし(ステップn716−5)、振分け出力用メモリMR14を「0」にリセットして次のステップに移る(ステップn716−6)。
以下同様に、載台S13,S12,S11,S10,S9の各振分け出力用メモリMR13,S12,S11,S10,S9を検定し、ゲート開閉用のシリンダの駆動のため処理を行なう。
そして、ステップn716−21では、載台S8の振分け出力用メモリMR8が「1」であるか否かを判断し、「1」であるときには、載台S8のゲート開閉用のシリンダを駆動するための駆動フラグFV8に「1」をセットし(ステップn716−22)、振分け出力用メモリMR8を「0」にリセットして図10Aのステップn8に移る(ステップn716−23)。
このようにして図10Aのステップn7処理が行なわれ、図10Aのステップn8に移る。
このステップn8では、システム状態開始フラグFsが「1」であるか否かを判断し、「1」でないときには、図10Bのステップn19に移る。システム状態開始フラグFsが「1」であるときには、システム状態の開始であるとして、上述の第1,第2所定時間T01,T0を計測するためのカウンタCoに「1」を加算し(ステップn9)、ステップn10に移る。
第1所定時間T01は、システム状態が開始してから載台S1〜S16が図1の仮想延長線I1、I2、…I7の位置付近に到達するまでの時間に対応し、この第1所定時間T01が経過するのを待って、所定の載台の測定ユニットに対して重量値取得のためのフィルタの出力点を指定する。また、第2所定時間T0は、フィルタの出力点を指定した測定ユニットからの重量値を受信して読取り可能となるまでに必要な時間に対応し、第1所定時間T01と同様にシステム状態が開始してから計測が開始される。
ステップn10では、第1所定時間T01が経過したことを示す第1所定時間経過フラグF01が「0」であるか否かを判断し、「0」でないときには、第1所定時間T01が既に経過したとしてステップn14に移り、「0」であるときには、ステップn11に移り、カウンタCoの計数値が第1所定時間T01になったか否かを判断し、所定時間T01になっていないときには、ステップn14に移る。
ステップn11で、カウンタCoの計数値が第1所定時間T01になったときには、第1所定時間経過フラグF01を「1」にセットし(ステップn12)、ステップn13に移る。
ステップn13では、上述の図8に示すシステム状態Pxに対応した所定の番号の載台とフィルタ出力点を指定する出力命令をレジスタへセットし、出力命令がセットされたことを示す出力命令フラグF0に「1」をセットしてステップn14に移る。
このステップn13は、上述の図6の時点(1)に対応する処理であり、システム状態に応じた図8に示す所定の載台の所定のフィルタ出力点から重量値を取得するための出力命令を測定ユニットに送信する。例えば、システム状態P1であるときには、図8に示すように、載台S1に対応する測定ユニット61に対してフィルタの出力点I1を、載台S16に対応する測定ユニット616に対してフィルタの出力点I2を、載台S15に対応する測定ユニット615に対してフィルタの出力点I3を、以下同様に、載台S11に対応する測定ユニット611に対してフィルタの出力点I7をそれぞれ指定して重量値を取得するための出力命令を送信する。この出力命令に応じて測定ユニット61,616〜611から送信される重量値の読取りについては、後述する。
ステップn14では、カウンタCoの計数値が第2所定時間T0になったか否かを判断し、第2所定時間T0になっていないときには、図10Bのステップn19に移る。
カウンタCoの計数値が第2所定時間T0になったときには、カウンタCoを「0」にリセットすると共に、システム状態開始フラグFs及び第1所定時間経過フラグF01を「0」にリセットし(ステップn15)、第2所定時間T0が経過したことを示す第2所定時間経過フラグFrに「1」をセットして図10Bのステップn19に移る(ステップn16)。
図10Bのステップn19では、載台S1のゲート開閉用のシリンダを駆動するための駆動フラグFV1が「1」であるか否かを判断し、「1」であるときには、載台S1のゲート開閉用のシリンダを駆動してゲートの開放を開始し、シリンダの作動時間T1を計測するためにカウンタC1に「1」を加算し(ステップn20)、カウンタC1の計数値が、作動時間T1になったか否かを判断し(ステップn21)、作動時間T1になっていないときには、ステップn23に移る。作動時間T1になったときには、ゲートの開閉が終了したとしてカウンタの計数値をリセットすると共に、載台S1の駆動フラグFV1を「0」にリセットしてステップn23に移る(ステップn22)。
ステップn23では、載台S2のゲート開閉用のシリンダを駆動するための駆動フラグFV2が「1」であるか否かを判断し、「1」であるときには、載台S2のゲート開閉用のシリンダを駆動してゲートの開放を開始し、作動時間T1を計測するためにカウンタC2に「1」を加算し(ステップn24)、カウンタC2の計数値が、作動時間T1になったか否かを判断し(ステップn25)、作動時間T1になっていないときには、ステップn27に移る。作動時間T1になったときには、ゲートの開閉が終了したとしてカウンタの計数値をリセットすると共に、載台S2の駆動フラグFV2を「0」にリセットしてステップn27に移る(ステップn26)。
以下、同様にして、載台S3〜S15について同様の処理を行ない、ステップn28では、載台S16のゲート開閉用のシリンダを駆動するための駆動フラグFV16が「1」であるか否かを判断し、「1」であるときには、載台S16のゲート開閉用のシリンダを駆動してゲートの開放を開始し、作動時間T1を計測するためにカウンタC16に「1」を加算し(ステップn29)、カウンタC16の計数値が、作動時間T1になったか否かを判断し(ステップn30)、作動時間T1になっていないときには、終了する。作動時間T1になったときには、ゲートの開閉が終了したとしてカウンタC16の計数値をリセットすると共に、載台S16の駆動フラグFV16を「0」にリセットして終了する(ステップn31)。
図12は、集中制御ユニット11と各測定ユニット61〜616との間の重量値の取得の処理を示すフローチャートであり、この処理プログラムは、上述の図10よりも優先度の低いプログラムである。
図12(a)に示すように、重量取得のための出力命令がセットされたことを示す出力命令フラグF0が「1」であるか否かを判断し(ステップn101)、「1」であるときには、出力命令フラグF0を「0」にリセットし(ステップn102)、上述の図8に示すように、現在のシステム状態Pxの値に対応させて、所定の出力命令レジスタにセットされたデータ出力指令コード、載台番号、フィルタ出力点のデータの組を、順次、シリアルコントローラ12にセットして対応する各測定ユニットへ送信して終了する(ステップn103)。
これらの出力命令を受けた各載台番号に対応する測定ユニットでは、指定されたフィルタの出力点までの平均値を算出して重量値とし、データ内容コード、載台番号、重量値をそれぞれのシリアルコントローラ10にセットし、集中制御ユニット11のシリアルコントローラ12へ送信する。
集中制御ユニット11では、図12(b)に示すように、シリアルコントローラ12より読み取り要求があるか否かを判断し(ステップn201)、読み取り要求があるときには、載台番号kに対応する所定の重量値レジスタ(WMRk)k=1〜16に測定ユニット61〜616から送信されてきたフィルタ出力の重量を格納して終了する(ステップn202)。
この図12に示す処理は、各載台への出力命令信号を送信してから上述の第2所定時間T0msec、すなわち、上述の図6及び図10Aのステップn14に示される第2所定時間T0msecにおいて実行される。
この第2所定時間T0経過後、次のシステム状態に移行するまでに、取得した重量値に基づいて、重量ランクの判定及び振分け出力用メモリの更新等の処理が行なわれる。
図13は、この処理の概略を示すものであって、上述の図10の処理プログラムよりも優先度の低いプログラムである。
この図13に示すように、第2所定時間T0が完了したか否か、すなわち、第2所定時間T0が経過したことを示す上述の第2所定時間経過フラグFrが「1」であるか否かを判断し(ステップn301)、第2所定時間T0が経過したときには、第2所定時間経過フラグFrを「0」にリセットし(ステップn302)、システム状態Pxの値に応じて、PG1〜PG16のいずれかのプログラムを選択して実行する(ステップn3041〜30416)。
次に、システム状態Px=1(システム状態P1)である場合、すなわち、図13のステップn3041のPG1の処理の詳細を、図14A〜図14Fに基づいて説明する。
このプログラムの実行時点では、システム状態P1であるので、図8に示すように、載台S1,S16〜S11に対応する重量値レジスタWMR1,WMR16〜11に重量値が格納されている。
図14Aに示すように、載台S1についての重量値を重量値レジスタWMR1により読取る(ステップn401)。次に、載台S1上の被計量物の重量値(内部カウントレベル)Wn1を、次式に従って算出する(ステップn402)。
Wn1=K1・(Wa1−Wi1)−Wz1
ここで、K1は載台S1のスパン係数、Wa1は重量値レジスタWMR1に格納されている重量値、Wi1は載台S1の初期荷重、Wz1は載台S1の零点荷重である。
次に、算出した被計量物の重量値Wn1を表示値レベルの重量値Wd1に換算し(ステップn403)、図2の境界重量値に基づいて、重量ランクを判定し(ステップn404)、ステップn405に移る。
ステップn405では、判定した重量ランクが重量ランク(1)であるか否かを判断し、重量ランク(1)であるときには、重量ランク(1)と決定し、次のシステム状態P2で振分け位置(1)へ振分けるために、載台S1用の振分け出力用メモリMR1に「1」をセットする(ステップn406)。次に、載台S1の計量完了サインをセットし(ステップn407)、載台S1の重量値を確定させ(ステップn408)、図14Bのステップn409に移る。ステップn408で確定させた重量値が、表示用、出力用、集計用に用いられる。
上記ステップn405で、重量ランク(1)でないときには、次のシステム状態P2で取得する重量値、すなわち、次の重量値取得位置で重量値を取得して重量ランクの判定を行なうので、重量値を確定させることなく、図14Bのステップn409に移る。
図14Bのステップn409では、載台S16の計量完了サインがあるか否かを判断し、計量完了サインがないときには、載台S16についての重量値を重量値レジスタWMR16により読取る(ステップn410)。
次に、載台S16上の被計量物の重量値(内部カウントレベル)Wn16を算出すると共に、表示値レベルの重量値Wd16に換算し(ステップn411)、重量ランクを判定し(ステップn412)、ステップn413に移る。
ステップn413では、判定された重量ランクが重量ランク(2)であるか否かを判断し、重量ランク(2)であるときには、載台S16の重量値を確定させる(ステップn416)。次に、載台S16の計量完了サインをセットし(ステップn417)、次のシステム状態P2で振分け位置(2)へ振分けるために、載台S16用の振分け出力用メモリMR16に「1」をセットし(ステップn418)、図14Cのステップn419に移る。
上記ステップn413において、判定された重量ランクが重量ランク(2)でないときには、判定された重量ランクが重量ランク(1)であるか否かを判断する(ステップn414)。ステップn413において、重量ランク(2)でないときには、被計量物は、重量ランク(3)以上であるか、あるいは、重量ランク(1)と重量ランク(2)との境界重量値Wc1近傍の重量を有する重量ランク(1)と考えられる。そこで、ステップn414では、重量ランク(1)であるか否かを判断し、重量ランク(1)であるときには、既に振分け位置(1)を通過しているので、重量ランク(2)と決定すると共に、重量値は、重量ランク(2)の下限重量値Wc1に確定させてステップn417に移る(ステップn415)。すなわち、被計量物は、重量ランク(1)と重量ランク(2)との境界重量値Wc1近傍の重量を有する重量ランク(1)であるが、既に振分け位置(1)を通過しているので、重量ランク(2)とし、次のシステム状態P2で振分け位置(2)へ振分けるために、振分け出力用メモリMR16に「1」をセットすると共に、重量値を、重量ランク(2)の下限重量値Wc1に確定させ、重量測定値としての誤差が小さくなるようにする。
ステップn414において、重量ランク(1)でないときには、重量ランク(3)以上であるので、次のシステム状態P2で取得する重量値、すなわち、次の重量値取得位置で重量値を取得して重量ランクの判定を行なうので、重量値を確定させることなく、図14Cのステップn419に移る。
図14Cのステップn419では、載台S15の計量完了サインがあるか否かを判断し、計量完了サインがないときには、載台S15についての重量値を重量値レジスタWMR15より読取る(ステップn420)。次に、載台S15上の被計量物の重量値(内部カウントレベル)Wn15を算出し、表示値レベルの重量値Wd15に換算し(ステップn421)、重量ランクを判定し(ステップn422)、ステップn423に移る。
ステップn423では、判定された重量ランクが重量ランク(3)であるか否かを判断し、重量ランク(3)であるときには、載台S15の重量値を確定させる(ステップn426)。次に、載台S15の計量完了サインをセットし(ステップn427)、次のシステム状態P2で振分け位置(3)へ振分けるために、載台S15用の振分け出力用メモリMR15に「1」をセットし(ステップn428)、図14Dのステップn429に移る。
上記ステップn423において、判定された重量ランクが重量ランク(3)でないときには、判定された重量ランクが重量ランク(2)であるか否かを判断し(ステップn424)、重量ランク(2)であるときには、被計量物は、重量ランク(2)と重量ランク(3)との境界重量値Wc2近傍の重量を有する重量ランク2であるが、既に振分け位置(2)を通過しているので、重量ランク(3)と決定し、重量値は、重量ランク(3)の下限重量値Wc2に確定させてステップn427に移る(ステップn425)。
ステップn424において、重量ランク(2)でないときには、重量ランク(4)以上であるので、次のシステム状態P2で取得する重量値で重量ランクの判定を行なうので、重量値を確定させることなく、図14Dのステップn429に移る。
図14Dのステップn429では、載台S14について同様の処理を行ない、ステップn430では、載台S13について同様の処理を行ない、更に、ステップn431では、載台S12について同様の処理を行なって図14Eのステップn432に移る。
図14Eのステップn432では、載台S11の計量完了サインがあるか否かを判断し、計量完了サインがないときには、載台S11についての重量値を重量値レジスタWMR11より読取る(ステップn433)。次に、載台S11上の被計量物の重量値(内部カウントレベル)Wn11を算出し、表示値レベルの重量値Wd11に換算し(ステップn434)、重量ランクを判定し(ステップn435)、ステップn436に移る。
ステップn436では、判定された重量ランクが重量ランク(7)であるか否かを判断し、重量ランク(7)であるときには、載台S11の重量を確定させる(ステップn440)。次に、載台S11の計量完了サインをセットし(ステップn441)、次のシステム状態P2で振分け位置(7)へ振分けるために、載台S11用の振分け出力用メモリMR11に「1」をセットし(ステップn442)、図14Fのステップn443に移る。
上記ステップn436において、判定された重量ランクが重量ランク(7)でないときには、判定された重量ランクが重量ランク(6)であるか否かを判断し(ステップn437)、重量ランク(6)であるときには、被計量物は、重量ランク(6)と重量ランク(7)との境界重量値Wc6近傍の重量を有する重量ランク(6)であるが、既に振分け位置(6)を通過しているので、重量ランク(7)と決定し、重量値は、重量ランク(7)の下限重量値Wc6に確定させてステップn441に移る(ステップn438)。
上記ステップn437において、判定された重量ランクが重量ランク(6)でないときには、重量ランク(8)であるので、載台S11の重量値を確定し、この重量値を一時記憶メモリに格納して次のシステム状態P2に渡して図14Fのステップn443に移る(ステップn439)。
図14Fのステップn443では、載台S10の計量完了サインがあるか否かを判断し、計量完了サインがあるときには、ステップn447に移る。また、計量完了サインがないときには、前のシステム状態P16で格納された載台S10の確定重量値を一時記憶メモリから読取って、載台10の重量値を確定する(ステップn444)。次に、載台S10の計量完了サインをセットし(ステップn445)、次のシステム状態P2で振分け位置(8)へ振分けるために、載台S10用の振分け出力用メモリMR10に「1」をセットし(ステップn446)、次のシステム状態で排出範囲の外へ移動する載台S9の計量完了サインをリセットして終了する(ステップn447)。
以上のようにして、このシステム状態P1では、図8に示すシステム状態P1に対応する載台S1,S16〜S11について、図14A〜図14Eに示すように重量値を読取って処理が行なわれ、載台S10については、図14Fに示すように前のシステム状態P16で格納された重量値によって処理が行なわれる。
次のシステム状態P2では、図8に示すシステム状態P2に対応する載台S2,S1,S16〜S12について、図14A〜図14Eと同様に重量値を読取って処理が行なわれ、載台S11については、図14Fと同様に、前のシステム状態P1で格納された重量値によって処理が行なわれる。
以下同様にしてシステム状態が進むにつれて、図8に示すように載台が1台ずつずれて図14A〜図14Fと同様の処理が行なわれる。
以上のように、この実施形態によれば、計量器の固有振動ノイズを除去できると共に、設定される回転速度に応じて、重量値取得位置毎に、許容応答時間以内の応答時間のフィルタがそれぞれ設定されて振動ノイズを除去できるので、計量精度を高めることができる。特に、後方の重量取得位置ほど、より長い応答時間のフィルタを設定して平滑処理することができ、より安定な重量値を取得することができる。
しかも、回転速度を設定することによって、回転速度に応じた許容応答時間内の応答時間のフィルタが自動的に設定されるので、回転速度の設定を変更する場合に、フィルタ定数を作業者が設定するのに比べて作業効率が向上する。
この実施形態では、測定ユニット61〜616の演算回路9に設けられるフィルタとして、FIR型フィルタである平均値フィルタのカスケード(従属)接続について説明したが、フィルタ形式はこれに限らない。
例えば、IIR型フィルタとして、図15(a)に示すように1次遅れアナログロ−パスフィルタを図15(b)で示すように、
A=(CR/t)/[(CR/t)+1]
B=1/[(CR/t)+1]
t:サンプリング時間間隔
と置いてデジタルフィルタ化し、これらを図15(c)のように、カスケード接続し、図4に示す載台の固有振動数を減衰させる第2平均値演算回路(AV2)31の出力値を10msec毎に、このフィルタ列に入力し、図15の演算ブロックに示すように出力点I1、I2、…I7のフィルタ出力値を計算させた上で、載台S1〜S16が到達する図1に示す仮想延長線I1、I2、…I7の位置に応じてそれぞれ図15におけるI1、I2、…I7の出力点のいずれかの重量値を読み出すようにしてもよい。図15において、Z-1は、1サンプリング時間だけデータを遅らせる遅延要素を示す。
この場合、定数A,Bは、回転速度の設定時に回転速度の大小に反比例した応答特性を示す値に変換される。A,Bの値は、それぞれ設定された任意の回転速度に応じてA1x、A2x、B1x、B2xとして自動計算され設定される。つまり、フィルタの応答時間が、回転速度に応じた上述の許容応答時間に収まるように時定数を定めている。
なお、2次以上の次数のフィルタを用いるようにしてもよい。
[実施形態2]
図16は、本発明の他の実施形態の上述の図4に対応する図である。
この実施形態では、回転方向へ搬送される被計量物13の搬送速度である回転速度に応じた周波数の振動ノイズ信号に対するフィルタの設定を行うものである。
図1に示すように、被計量物13が供給された載台S1〜S16が、仮想延長線I0の位置から仮想延長線I1の位置まで移動に要する応答時間を見込んで、つまり、最大回転速度の場合で750msec、最小回転速度の場合で1500msecの応答時間(これを許容応答時間と呼ぶ)を見込んで、基礎振動の中でも回転速度に応じて異なる、特定の周波数の振動ノイズ信号に対して平滑特性を大きくするノッチフィルタを設ける。
図1に示す重量選別装置1の載台S1〜S16を備える回転台2は、回転支柱をベアリングで受け、駆動用のモータ19からの回転動力の伝達によって回転するが、ベアリングとの摺動面や駆動機構に発生する振動を受け、これが載台S1〜S16の荷重信号に対する基礎振動ノイズとなる。基礎振動ノイズの周波数は、回転速度に比例する。
図16に示すように、この基礎振動ノイズに対するノッチフィルタを、図4の出力点I0と出力点I1との間に入れる。なお、図16の第2平均値演算回路(AV2)31は、図4の第2平均値演算回路(AV2)31に対応する。
載台S1〜S16が、図1に示される仮想延長線I0の位置から仮想延長線I1の重量値取得位置まで移動するのに要する時間(許容応答時間)の一部に、この種のフィルタの応答時間を割当てるものとし、載台S1〜S16の回転に応じて計量信号の中に発生する基礎振動信号を減衰させる載台基礎振動用ノッチフィルタを設定する。
このフィルタは、例えば、次のような操作手順で設定することができる。
予め重量選別装置の調整段階において、載台を所定の速度で回転させ、表示設定ユニット22に付属する入力部24から特定の載台kの計量信号の周波数解析を指定する。これによって、指定した載台(番号k)の1回転以上のA/Dサンプリング計量信号が集中制御ユニット11へ送られ、この集中制御ユニット11に設けた高速フーリエ変換演算手段によって計量信号に含まれるノイズ信号の周波数を解析する。
この周波数解析の結果、振幅が所定レベル以上のノイズ信号について、その周波数又は周期と、振幅とを表示設定ユニット21に送り、表示設定ユニット21に付属する表示部25に表示させる。これによって、載台が1周回転するに伴って基礎振動信号として計量信号の中に発生する所定レベル以上の振幅のノイズ信号の周期(msec)を検出する。検出した所定レベル以上の振幅を有する基礎振動ノイズ信号の周期Tbxmsecの値を、作業者が入力部24より設定する。
但し、振幅の大きさの判定は、載台に被計量物を、供給コンベヤから落下供給したときに発生する載台の過渡応答振動信号である固有振動信号の振幅を、上記の高速フーリエ変換演算手段で求める。特に、回転速度が最も大きい場合に、被計量物を載台に供給し、その載台が仮想延長線I1の重量値取得位置へ到達する時間を経過したときの振幅値を求め、それを基準として比較することによって、重量値への影響の大きさの判定が容易になる。
基礎振動ノイズ信号の周期Tbxと、この振動ノイズ信号の発生時点の回転速度Vの関係を、Tbx=K・(1/V)と表し、回転速度Vと回転に伴って発生する基礎振動信号の1周期Tbxとの間を関係づける係数Kを定める。調整段階で予め係数Kを定めることによって、初めての稼動運転時には、回転速度Vを設定することによって、回転速度Vのときに発生する基礎振動ノイズ信号の周期Tbxが自動計算される。
仮に、周波数が回転数に比例し、振幅レベルが計量精度の上で無視できない振動ノイズ信号が複数存在した場合は、同様のフィルタをカスケード接続する。
また回転速度は、計量処理能力値、すなわち、個/分の単位の数値として設定されてもよい。重量選別装置の載台の台数Uが決まっていれば、Q個/分が設定されると、
V=Q/U
の関係によって回転速度Vの値に変換すればよい。
回転速度がVrpmに設定されているとき、
(15000/V)−Tbx=(15000/V)−K・(1/V)>0
であれば、載台が、仮想延長線I0の位置から仮想延長線I1の重量値取得位置まで移動するのに要する時間内に、ノッチフィルタの応答時間が収まるので、設定可能である。
図16に示すように、上記で算出された周期Tbxmsecを持つ基礎振動信号に対するフィルタとして、第2平均値演算回路(AV2)31から出力されるデータのサンプリング間隔が1msecであって、1個のセルレジスタに1つのサンプリングデータが格納されるので、基礎振動信号の周期の値Tbxmsecを1msecで除算した値に等しい個数であるTbx個のセルレジスタからなるシフトレジスタSFRbを設ける。このシフトレジスタSFRbによる応答時間はTbxmsecである。
シフトレジスタSFRbの各セルレジスタのデータを1msec毎に右シフトさせ、1msec毎に第2平均値演算回路(AV2)31の出力を入力させ、シフトレジスタSFRbの各セルレジスタの出力を1msec毎に第3平均値演算回路(AV3)38にて平均値を演算する。
この演算操作によって、第3平均値演算回路(AV3)38の出力点のデータから周期がTbxの基礎振動信号が特に効果的に除去される。
セルレジスタのI0〜I1の4区分に対して見込まれる応答時間の中に、新たにフィルタを入れてTbxmsecだけ応答時間を遅らせたので,出力点I0´〜I1までの応答時間は最大回転速度の場合で(750−Tbx)msec、最小回転速度の場合で(1500−Tbx)msecになる。
任意の回転速度Vrpmの場合では、上記より出力点I0〜I1まで4区分に対応する載台の移動時間(15000/V)secを許容応答時間として見込むことができるので、Tbxを差し引いた残りの応答時間として、
(15000/V)−Tbx=(15000/V)−K・(1/V) (msec)
を見込むことができる。
ここで、第3平均値演算回路(AV3)38による平均値を10msecの時間間隔で第3シフトレジスタSFR3へ送る。出力点I0´から第3シフトレジスタSFR3の出力点I1までに設けるセルレジスタの個数は、最大回転速度の場合で(750−Tbx)/10個、最小回転速度の場合で(1500−Tbx)/10個だけメモリ内に用意する。任意の回転速度Vrpmでは、[(15000/V)−K・(1/V)]/10個だけ用意する。
出力点I1が指定されると、 [(15000/V)−K・(1/V)]/10個のセルレジスタの出力の平均値を第4平均値演算回路(AV4)39にて算出し、重量取得値として出力する。
出力点I2、I3、……が指定されると、それぞれ出力点I0´からI2まで、I3まで、……I7までの間のセルレジスタの出力の平均値を第4平均値演算回路(AV4)39にて演算し、重量取得値として出力する。
これは、回転によって生じる基礎振動信号に対して挿入したフィルタの応答時間を割当ててもなお重量値を取得する位置I1までの許容応答時間に対して余裕がある場合は、I1位置における重量値をより安定な値にするため、応答時間[(15000/V)−K・(1/V)]msecであるフィルタとして、第4平均値演算回路(AV4)39で平均値が演算される平均値フィルタを加えたものである。
第4平均値演算回路(AV4)39で平均値演算される結果は、その前段で計算される結果に影響を与えないので、このフィルタは、従属接続(カスケード接続)である。長い応答時間に設定できればできるほどインパルス的な振動から長い周期の振動までに対して良好な平滑特性を有する。
出力点I0からI1までに構成されるフィルタの定数は、図1の仮想延長線I0の位置から仮想延長線I1の重量値取得位置までの距離と載台の回転速度とによって決まる。
この実施形態では、回転速度の大小によって周期の変化する基礎振動ノイズに適する平滑特性を持つフィルタが設けられる。これによって、回転台2の振動による振動ノイズを有効に除去することができる。
しかも、回転速度を設定することによって、基礎振動ノイズに適する平滑特性を持つフィルタが自動的に設定されるので、作業者がフィルタ定数を設定するのに比べて作業効率が向上する。
その他の構成は、上述の実施形態と同様である。
[他の実施形態]
(i)以上の説明において、好ましい方式として、測定ユニットに設けるフィルタは、載台の回転方向に沿って、重量値の取得位置が被計量物の供給位置から離れるほど、すなわち、後方ほど平滑度の大きい出力がなされるように構成した。
この場合、重量値の取得位置を、振分け位置に対応させて設けたけれども、必ずしも全ての振分け位置の手前に一つひとつ設ける必要はなく、少なくとも従来の1箇所のみで重量値を取得する方式より、2箇所以上で重量値を取得するようにすれば、全体の取得重量値(=測定重量値)の計量精度の向上に貢献する。
例えば、重量ランク(1)〜(4)までは、図1の仮想線I1の位置で取得した重量値を用いて重量ランクを判定し、重量ランク(5)〜(8)までは、図1の仮想線I5の位置で取得した重量値を用いて判定するようにしてもよい。
(ii)また、上述の実施形態では、円周を等間隔にN分割する位置にN個の載台を配列し、載台に載置した被計量物の重量を、重量の大きさによって複数の重量ランクに判定し、円周に沿って設けた複数の振分け位置のいずれかに、判定した重量ランクに対応させて振分ける回転式重量選別装置を挙げたが、最も極端な場合、円周上のN個の区分において、載台の設けられた区分が1箇所のみであって、1台の載台に供給された被計量物の重量を、各振分け位置の手前に、この載台が到達する度に、新たに重量値を取得して重量ランクを判定し、判定した重量ランクに対応する重量ランク振分け位置で振分けるようにした装置であってもよい。
(iii)図1に示す実施形態では、円周上において載台の回転方向に向かって重量ランク(1)〜(8)へ順番に小さい重量ランクから大きい重量ランクとなるように振分け位置が設けられた。しかし、使用者の都合によって、重量ランクの小さいものから大きいものに振分け位置が並べられるとは限らない。本発明では、任意の順番で重量ランクを配置してもよい。
例えば、重量ランク振分け位置が、円周上で載台の回転方向に沿って重量ランク(3)→(5)→(4)→(6)→(2)→……に対応するように配置したとする。
この場合、図1における仮想延長線I1の位置で取得した重量値によって重量ランク(3)以外のランクに判定された場合は、仮想延長線I1以降の重量取得位置で取得した重量値によって改めて重量ランクが判定される。
今、(a)被計量物の真の重量値が、重量ランク(2)と重量ランク(3)の境界重量値であるWc2付近にあって、真の重量値が重量ランク(3)に属する場合と、(b)被計量物の真の重量値が、重量ランク(3)と重量ランク(4)の境界重量値であるWc3付近にあって、真の重量値が重量ランクが(3)に属する場合とを考える。
荷重信号に含まれるノイズ信号等によって、仮想延長線I1の位置で取得した被計量物の重量が(a)の場合であっても重量ランク(2)に判定され、(b)の場合であっても重量ランク(4)に判定され、その結果、重量ランク(3)の振分け位置では振分けられず、通過することが起こり得る。
この被計量物が次の仮想延長線I2の位置で取得した重量値によって重量ランク(5)に判定されることまでは起こりえないが、やはり仮想延長線I2の位置で取得した重量値によっても(a)の場合の被計量物であれば、重量ランク(2)と重量ランク(3)の何れかに、そして、(b)の場合の被計量物であれば、重量ランク(3)と重量ランク(4)の何れかに判定される。
しかし、このタイミングにおける振分け用の重量ランクは(5)であるから、被計量物が(a)であっても(b)であっても重量ランク(5)に判定されることはなく、振分け位置(5)とは一致することはなく、被計量物は振分けられずに通過する。
次に仮想延長線I3の位置で取得した重量値によって、被計量物が上記(a)の場合であれば、仮想延長線I2の位置で取得した重量値と同様に重量ランク(2)又は重量ランク(3)の何れかに、そして、(b)の場合の被計量物であれば、重量ランク(3)又は重量ランク(4)の何れかに判定されるが、もし(b)の被計量物であったとき、このタイミングの振分け位置は(4)であり、重量ランク(4)に判定された場合にはそのまま振分ければよいが、通過済みランクである重量ランク(3)に判定された場合には、重量ランクを強制的に重量ランク(4)と決定し、重量値としても強制的に重量ランク(4)の下限値Wc3にする。
一方、仮想延長線I5の位置で取得した重量値によって、被計量物が(a)の場合であれば、重量ランクは重量ランク(2)又は重量ランク(3)の何れかに判定され、重量ランク(2)の判定であれば、そのまま振分ければよいが、通過済みランクである重量ランク(3)に判定された場合は、重量ランクを強制的に重量ランク(2)と決定し、重量値としても強制的に重量ランク(2)の上限重量値である、境界重量値Wc2から最小表示量を減じた重量値(Wc2−最小表示量)にする。これは、境界重量値Wc2が、重量ランク(3)に属するので、最小表示量の分を減じた重量値を、重量ランク(2)の上限重量値とするものである。
従来例であれば、被計量物の重量が(b)の場合に仮想延長線I1の位置で取得した重量値には未だ大きめのノイズ信号が含まれ、真の重量が重量ランク(3)に属するものであっても大きめの重量値が取得されることによって重量ランク(4)と判定されると、その判定の通りに(大きめのノイズ信号が含まれた)重量値も重量ランクも確定させていた。
これに対して、この実施形態では、最初の振分け位置が(3)であるから振分けられず、仮想延長線I3の位置で取得したより精密な重量値によって重量ランク(3)に判定されたとき、既に重量ランク(3)の振分け位置は通過済みだから重量ランク(3)とは判定できず、重量ランク(4)とされるが、重量値は重量ランク(4)の下限値に決定される。
このことは、重量ランクは、正しい重量ランク(3)とは異なるが、重量値は少なくとも従来例よりも被計量物の真の重量値に最も近い値になり、従来例で決定される重量値より高い精度のものを得ることができるという効果を奏する。
つまり、取得した重量値によって重量ランクを判定したとき、判定された重量ランクが通過済みであった場合は、取得した重量値が、判定した重量ランクの上下に隣接する2つの重量ランクの内で、境界重量値が近い方の重量ランクに決定し、重量値は、決定した重量ランクが大きい重量の方の場合はその重量ランクの下限値に、小さい重量の方の場合はその重量ランクの上限値に、重量ランクの判定値と共に強制的に決定する。
すなわち、取得した重量値によって重量ランクを判定したとき、判定された重量ランクが通過済みであった場合は、取得した重量値と、この重量値によって判定した重量ランクに隣接する一つ重い重量ランクの下限境界値と一つ軽い重量ランクの上限境界値との差の絶対値をそれぞれ算出して大小比較し、絶対値の小さい方の重量ランクに再判定するようにしてもよい。
(iv)上述の実施形態では、被計量物の搬送速度である載台の回転速度Vを設定したとき、フィルタ定数は、回転速度Vをパラメータとして計算によって算出したが、予め調整時点で回転速度Vについて速度範囲に対応するフィルタ定数テーブルを集中制御ユニット内のメモリに設定しておき、稼動運転時に回転速度Vが設定されると、或いは回転速度Vの値が変化すると、回転速度Vの値の変化に応じたフィルタ定数を自動的に選択設定するようにしてもよい。
(v)載台の回転速度が手動にて変更される速度設定手段のみならず、他の実施形態として、何等かの要素を取り入れることによって、自動的に回転速度が変更される速度設定手段であってもよい。
[実施形態3]
上述の各実施形態は、回転式の重量選別装置に適用したけれども、本発明の計量装置は、回転式の重量選別装置に限らず、例えば、コンベヤラインを搬送される被計量物を計量して重量ランク毎に選別する重量選別装置にも適用できるものである。
図17は、本発明の他の実施形態の計量装置としての重量選別装置の概略構成を示す図である。
この実施形態の重量選別装置70は、被計量物74を搬送しながら計量する計量コンベヤ71と、この計量コンベヤ71の前段に設けられた搬入用コンベヤ72と、前記計量コンベヤ71の後段に設けられた搬出用コンベヤ73とを備えている。前記被計量物74は、矢符Cで示すように、搬入用コンベヤ72から計量コンベヤ71へ搬送され、更に当該計量コンベヤ71から搬出用コンベヤ73へと搬送される。
計量コンベヤ71は、該計量コンベヤ71を駆動するモータ76等と共に、荷重センサとしてのロードセル75を介して支持されている。
ロードセル75からのアナログ荷重信号である計量信号は、増幅回路77で増幅され、A/D変換回路78でデジタル荷重信号に変換されて、I/O回路79を介して演算制御部80に入力される。
演算制御部80は、図示しないCPU及びメモリを備えており、入力された計量信号を、後述するフィルタによってフィルタ処理を行なって被計量物74の重量値を取得し、取得した重量値に基づいて、例えば、良/否、或いは過量/適量/軽量等の被計量物74の重量ランクを判定する。演算制御部80は、判定結果に基づいて、排出用コンベヤ73に付属の振分け装置(図示せず)を制御して被計量物74を重量ランク毎に選別する。
演算制御部80は、荷重センサであるロードセル75からの荷重信号である計量信号をフィルタ処理するフィルタを設定するフィルタ設定手段、フィルタ処理された被計量物74の重量値を取得する重量値取得手段、及び、取得された重量値に基づいて重量ランクを判定するランク判定手段としての機能を有する。
I/O回路79には、被計量物74を搬送する計量コンベヤの走行速度等を設定するため操作キーを有する入力部82及び各種情報を表示する表示部83が接続されている。
この実施形態では、A/D変換回路78でA/D変換されたデジタル荷重信号である計量信号をフィルタ処理するフィルタとして、被計量物74の重量をできるだけ高い精度で計量するのに適する応答特性のフィルタを設定する。
この重量選別装置70では、被計量物74が計量コンベヤ71の前後のコンベヤ72,73に触れず、完全に計量コンベヤ71上に載置されて搬送されている時間が、被計量物74の重量測定に与えられる計量可能な時間である。これを許容応答時間Teと呼ぶと、前記フィルタは、その応答時間が許容応答時間Te以内であるように設定される。なお、複数のフィルタを設定する場合は、これら複数のフィルタの応答時間の和が許容応答時間Te以内となるように設定される。
許容応答時間Teは、上記の通り、被計量物74が、完全に計量コンベヤ71上に載置されて搬送されている時間であり、計量コンベヤ71上での被計量物74の重量測定の可能な搬送距離は、計量コンベヤ71上に被計量物74が供給された供給位置から被計量物74の重量値を取得する重量値取得位置までの距離である。
前記供給位置とは、被計量物74が完全に計量コンベヤ71上に載り込んだ位置であり、前記重量値取得位置とは、被計量物74の進行方向の先端部が計量コンベヤ71の搬送終端端に到達した位置である。
この供給位置は、例えば、フォトセンサなどによって検出するようにしてもよい。
図18に示すように、計量コンベヤ71の長さをL、被計量物74の計量コンベヤ71への接触部における、被計量物74の搬送方向に沿う長さをL1とすると、搬送距離はL−L1であるから、許容応答時間Teは、計量コンベヤ71の走行速度(搬送速度)をVとすると、
Te=(L−L1)/V
で表される。
上述の実施形態のように、回転移動する載台上に被計量物が載置される場合は、被計量物の寸法に関係なく、回転移動する載台の位置によって重量測定間隔は決まるが、このように計量台を固定位置に設置し、移動するベルトコンベヤを前記計量台に装着することによって被計量物が計量台上を通過するようにした重量選別装置の場合は、計量台の搬送方向の長さLと、被計量物の搬送方向の長さL1によって搬送距離が決まる。
また、固定した上記の計量台上を、被計量物を載置した容器を通過させることによって被計量物の重量を測定する方式の重量選別装置もあるが、この場合は容器を被計量物と見なせばよい。
許容応答時間Teを計量コンベヤ71の走行速度Vから求める上記関係式を演算制御部80内に設定し、計量コンベヤ71の走行速度、すなわち、被計量物13の搬送速度及び被計量物74の搬送方向に沿う長さL1が、作業者によって入力部82から設定入力されることによって、許容応答時間Teが自動的に算出される。
この実施形態では、予め重量選別装置の調整段階で、計量コンベヤ71の長さLだけ設定しておき、作業者が運転開始前に予め計量コンベヤ71の走行速度Vと被計量物74の搬送方向に沿う接触面の長さL1を設定すれば、許容応答時間Teが演算制御部80にて自動算出される。
なお、被計量物74の長さL1には、計量コンベヤ71の前段に配設される搬入用コンベヤ72との間隙、及び、計量コンベヤ71の後段に配設される搬出用コンベヤ73との間隙を加えるようにしてもよい。通常、これらの間隙は、被計量物がこれらのコンベヤ間を渡る場合に、計量コンベヤ71に大きな衝撃外乱を発生させないようにできるだけ短くなるように設定される。
この実施形態では、演算制御部80には、A/D変換された荷重信号をフィルタ処理する固定フィルタ及び可変フィルタが設けられる。これらフィルタの構成について説明する。
図19は、演算制御部80に備えられるシフトレジスタと演算処理のブロック構成を模式的に示す図であり、上述の各実施形態の図4及び図16に対応する図である。
ここで、計量コンベヤ71の固有振動信号の周期を予め測定し、物品が最大質量の場合の周期T01(msec)、最小質量の場合の周期T02(msec)を得ているものとする。
A/D変換回路78では、アナログ荷重信号を、例えばサンプリング間隔1msecにてデジタル荷重信号に変換し、I/O回路79を介して演算制御部80に入力される。
演算制御部80には、サンプリング間隔1msec毎にA/D変換されたA.Dサンプリングデータが与えられ、1個のセルレジスタに1つのA/Dサンプリングデータを格納するので、演算制御部80には、前記最大質量の場合の周期T01(msec)を1msecで除算した値に等しい個数であるT01個の直列のセルレジスタで構成された第1シフトレジスタSFR1を設ける。各セルレジスタには、1msec毎のサンプリング間隔でA/D変換された1つのA/Dサンプリングデータがそれぞれ格納され、1つのA/Dサンプリングデータが、1msec毎に新たに得られる度に、セルレジスタのデータを図19の右方向へ順次シフトし、常に最新のT01個分のA/Dサンプリングデータを格納する。
更に、1つの新たなA/Dサンプリングデータが第1シフトレジスタSFR1に格納される度に、第1シフトレジスタSFR1に格納される最新のT01個分のセルレジスタのデータの平均値を、第1平均値演算回路(AV1)84によって算出し、1msec毎に第2シフトレジスタSFR2へ入力データとして与える。
第2シフトレジスタSFR2は、上記最小質量の場合の周期T02(msec)を1msecで除算した値に等しい個数であるT02個の直列のセルレジスタによって構成され、第1平均値演算回路(AV1)84の次段に接続される。
第1平均値演算回路(AV1)84によって平均値が1msecの間隔で新たに算出される度に、第2シフトレジスタSFR2は、1個ずつセルレジスタのデータを図19の右方向へ順次シフトし、常に最新のT02個分の平均値を格納する。
第2シフトレジスタSFR2に、1msecの間隔で新たに平均値が格納される度に、次段の第2平均値演算回路(AV2)85は、第2シフトレジスタSFR2の最新のT02個分の直列のセルレジスタの出力の平均値を算出する。
T01個のセルレジスタからなる第1シフトレジスタSFR1及び第1平均値演算回路(AV1)84は、T01msecを1周期とするノイズ信号に対するノッチフィルタとなり、T02個のセルレジスタからなる第2シフトレジスタSFR2及び第2平均値演算回路(AV2)85は、T02msecを1周期とするノイズ信号に対するノッチフィルタとなり、2重のノッチフィルタとなる。
この2重のノッチフィルタは、計量コンベヤ71の固有振動ノイズ除去用のフィルタであり、1周期がT01msec〜T02msecの振動ノイズを含む場合に大きい減衰効果を持つことになる。
この2重のノッチフィルタは、計量コンベヤ71の固有振動ノイズの平滑を目的とするものであるから、計量コンベヤ71の走行速度や被計量物74の長さに関係なく設ける必要がある。
更に、この実施形態では、被計量物の搬送速度である計量コンベヤ71の走行速度に応じた周波数の振動ノイズ信号に対する可変フィルタの設定を行う。
この可変フィルタは、計量コンベヤ71の走行速度と被計量物74の搬送方向の長さL1とに応じてフィルタ定数を可変して、平滑特性を変更するフィルタである。
計量コンベヤ71のロードセル75からの荷重信号である計量信号には、上記固有振動ノイズのみならず、プーリやモータ76等の回転によって発生する振動ノイズ等、種々の周波数成分を有する基礎振動ノイズが重畳されている。
この実施形態では、これら基礎振動ノイズに対するノッチフィルタを設けている。
このフィルタは、例えば、次のような操作手順で設定することができる。
予め重量選別装置の調整段階において、計量コンベヤ71を所定の走行速度で走行させ、入力部82から計量信号の周波数解析を指定する。これによって、A/D変換されたデジタル荷重信号である計量信号が、演算制御部80へ送られ、この演算制御部80に設けた高速フーリエ変換演算手段によって計量信号に含まれるノイズ信号の周波数を解析する。なお、周波数解析は、演算制御部80に高速フーリエ変換演算手段を設けることなく、計量信号をFFT測定器に入力してFFT測定器によって行ってもよい。
この周波数解析の結果、振幅が所定レベル以上のノイズ信号について、その周波数又は周期と、振幅とを表示部83に表示させる。これによって、計量コンベヤ71の走行に伴って振動ノイズ信号として計量信号に含まれる計量精度に影響のある所定レベル以上の振幅のノイズ信号の周期を検出する。検出した所定レベル以上の振幅を有する基礎振動ノイズ信号の周期が、T1(msec),T2(msec)であったとすると、その値を、作業者が入力部82より設定する。
振動ノイズ信号の周期T1,T2と、この振動ノイズ信号の発生時点の計量コンベヤ71の走行速度Vの関係を、
T1=K1・(1/V)、 T2=K2・(1/V)
と関係式で表し、走行速度Vに伴って発生する振動ノイズ信号の周期T1,T2との間を関係づける係数K1,K2を定め、振動ノイズ信号の周期T1,T2を、計量コンベヤ71の走行速度Vから求める関係式を演算制御部80内に設定する。
重量選別装置の調整段階で予め係数K1,K2を定めることによって、初めての稼動運転時には、被計量物の搬送速度である計量コンベヤ71の走行速度Vを設定することによって、演算制御部80は、設定された走行速度Vのときに発生する振動ノイズ信号の周期T1,T2が自動的に算出される。なお、走行速度は、計量処理能力値、すなわち、個/分の単位の数値として設定されてもよい。
図19に示すように、上記で算出された周期T1msecを持つ振動ノイズ信号に対するフィルタとして、第2平均値演算回路(AV2)85から出力されるデータのサンプリング間隔が1msecであって、1個のセルレジスタに1つのサンプリングデータが格納されるので、振動ノイズ信号の周期の値T1(msec)を1msecで除算した値に等しい個数であるT1個のセルレジスタからなるシフトレジスタSFRb1を設ける。シフトレジスタSFRb1による応答時間はT1msecである。
シフトレジスタSFRb1の各セルレジスタのデータを1msec毎に右シフトさせ、1msec毎に第3平均値演算回路(AV3)86の出力を入力させ、シフトレジスタSFRb1の各セルレジスタの出力を1msec毎に第3平均値演算回路(AV3)86にて平均値を演算する。
更に、周期T2msecを持つ振動ノイズ信号に対するフィルタとして、第3平均値演算回路(AV3)86から出力されるデータのサンプリング間隔が1msecであって、1個のセルレジスタに1つのサンプリングデータが格納されるので、振動ノイズ信号の周期の値T2(msec)を1msecで除算した値に等しい個数であるT2個のセルレジスタからなるシフトレジスタSFRb2を設ける。シフトレジスタSFRb2による応答時間はT2msecである。
シフトレジスタSFRb2の各セルレジスタのデータを1msec毎に右シフトさせ、1msec毎に第3平均値演算回路(AV3)86の出力を入力させ、シフトレジスタSFRb2の各セルレジスタの出力を1msec毎に第4平均値演算回路(AV4)87にて平均値を演算する。
この2重の可変のノッチフィルタによって、周期がT1,T2の基礎振動信号が特に効果的に除去される。
更に、この実施形態では、以上の固定のノッチフィルタ及び可変のノッチフィルタの応答時間T01,T02,T1,T2を、上述の許容応答時間Teから差し引いた残りの応答時間T3[=Te−(T01+T02+T1+T2)]に相当する個数のセルレジスタからなるシフトレジスタSFRb3を設け、指定された重量測定タイミングにおいて、シフトレジスタSFRb3の各セルレジスタの出力の平均値を、第5平均値演算回路(AV5)87によって1msec毎に計算して重量値として出力する。
このように計量コンベヤ71の固有振動ノイズ、既知の周波数の定周期の基礎振動ノイズを除去するフィルタを設定しても許容応答時間Teに余裕がある場合には、その時間を利用したフィルタを設けるので、周期予測が困難な突発的に生じる床振動などのノイズ信号を除去することが可能となる。
しかも、計量コンベヤ71の走行速度Vを設定することによって、上記係数K1,K2を用いた関係式によって、基礎振動ノイズの周期T1,T2を算出して基礎振動ノイズ除去用のフィルタが自動的に設定されるので、フィルタの設定が容易である。
なお、許容応答時間Teに余裕がない場合には、シフトレジスタSFRb3及び第5平均値演算回路(AV5)87は省略してもよく、また、シフトレジスタSFRb3及び第5平均値演算回路(AV5)87を省略しても許容応答時間に余裕がない場合には、適宜、フィルタを省略すればよい。
第1〜第5平均値演算回路(AV1〜AV5)84〜88や各シフトレジスタSFR1,SFR2,SFRb1〜3は、上述の実施形態と同様に、特別に設けたものではなく、演算制御部80内における平均演算のデータの流れと、演算を模式的に表したものであり、計量コンベヤ71の走行速度等が設定されると、その走行速度に応じたセルレジスタの個数と、個数に対応するメモリアドレスが決定され、CPU及びメモリで実行される。
この実施形態では、設定されるフィルタのフィルタ定数は、計量コンベヤ71の走行速度V及び被計量物74の長さL1をパラメータとして計算によって算出したが、被計量物74の長さL1が一定の場合は、予め調整時点で走行速度Vについて速度範囲に対応するフィルタ定数テーブルを演算制御部80内のメモリに設定しておき、また、被計量物74の種類毎に長さL1が異なる場合には、異なる長さL1毎に、予め調整時点で走行速度Vについて速度範囲に対応するフィルタ定数テーブルを演算制御部80内のメモリに設定しておき、稼動運転時に計量コンベヤの走行速度Vが設定されると、或いは走行速度Vの値が変化すると、走行速度Vの値の変化に応じたフィルタ定数を自動的に選択設定するようにしてもよい。
この実施形態では、速度設定手段は、計量コンベヤの走行速度が手動にて変更されたけれども、他の実施形態として、何かの要素を取り入れることによって、自動的に計量コンベヤの走行速度の値を変更する速度設定手段であってもよい。
本発明は、重量選別装置に限らず、他の計量装置に適用してもよい。