組合せ秤では、組合せ精度を好適に確保するために、計量ホッパ等の数が多くなると、それに伴って集合ファンネルのサイズも大きくなると共に、強度を確保するために、集合ファンネルを構成する板材の厚みも厚くならざるを得ず、重くなってしまう。
食品用途などに使用される組合せ秤では、衛生管理上、頻繁に洗浄等が行われ、その際に、集合ファンネルの取外し、取付けを行う必要があり、重くて大きな集合ファンネルは、取扱いにくいので、小型化、軽量化するのが好ましい。
そこで、集合ファンネルを、複数、例えば、2つに分割して構成することが考えられる。
図9(a)は、上記図7に示される逆円錐台状の集合ファンネル11を、半円状に2分割した分割集合ファンネルの一方の分割集合ファンネル11aを示す図である。
分割集合ファンネル11aは、半円形状の直径に相当する直線状の仕切壁11a1を有し、この仕切壁11a1を、図示しない他方の分割集合ファンネルの仕切壁に対向させて近接配置することによって、全体として、逆円錐台状の集合ファンネル11を構成する。
分割集合ファンネル11aは、上端に、集合シュート10からの被計量物を受入れる半円形状の受入口11a2を有し、下端に、前記受入口11a2より小径な半円形状の排出口11a3を有している。
この分割集合ファンネル11aでは、下端の排出口11a3が、仕切壁11a1によって半円形状に分離されて小さくなるので、例えば、図9(b)の分割集合ファンネル11bのように、仕切壁11a1の下部を大きく切欠いて、半円形状の排出口を、2つの分割集合ファンネルで共通にして大きな円形状にすることが考えられる。
しかしながら、この分割集合ファンネル11bと、図示しない他方の分割集合ファンネルとによって集合ファンネルを構成すると、切欠いた部分の周壁11a4のみが重なり合うことになり、この部分から被計量物が、外部に漏れる虞がある。
そこで、例えば、図9(c)の分割集合ファンネル11cのように、切欠きを小さくして、その周縁部に重ね合わせ部分11a5を形成することが考えられるが、図示しない他方の分割集合ファンネルとの重ね合わせ部分11a5の隙間に、被計量物の残渣等が入り込む虞がある。
このため、図9(a)に示すように、半円形状に完全に分離された構成とするのが好ましく、したがって、下端の排出口11a3は、半円形状の小さなものとなる。
上記特許文献2には、単一の集合シュート(本願の集合ファンネルに相当)についての被計量物の詰りの防止について開示されているが、複数に分割された集合シュートについての被計量物の詰まりについては、全く開示されていない。
更に、特許文献2では、上記のように、排出組合せに選択された複数の計量ホッパを、該計量ホッパの被計量物の計量値に応じた時間間隔で順次遅らせて開放するので、被計量物が、集合シュートで詰まる虞がない場合であっても、計量ホッパを順次遅らせて開放することになり、運転サイクル時間が必要以上に長くなり、運転速度が低下するという課題がある。
本発明は、上記のような点に鑑みてなされたものであって、複数に分割された集合ファンネルにおける被計量物の詰りを防止すると共に、運転速度の低下を抑制することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
(1)本発明は、複数のホッパから排出される被計量物を集合させて排出する集合シュートの下方に配置されて、前記集合シュートからの被計量物を集合させて下方へ排出する集合ファンネルと、前記ホッパの被計量物の重量を種々に組合せた組合せ重量が、所定重量範囲となるホッパの組合せを排出組合せとして選択する組合せ演算部と、該組合せ演算部で前記排出組合せとして選択されるホッパからの被計量物の排出を制御する排出制御部とを備える組合せ秤であって、
前記集合ファンネルは、前記集合シュートからの被計量物を受入れる受入口及び該受入口からの被計量物を下方へ排出する排出口をそれぞれ有する複数の分割集合ファンネルで構成され、
前記組合せ演算部で選択される前記排出組合せに基づいて、該排出組合せに選択されたホッパの被計量物が、各分割集合ファンネルの各排出口で詰まるか否かを判定する判定部を備え、
前記排出制御部は、前記判定部によって、前記排出組合せに選択されたホッパの被計量物が、いずれかの分割集合ファンネルの排出口で詰まると判定されるときには、前記排出組合せの複数のホッパから、時間差を持たせて被計量物を前記集合シュートに排出させる一方、前記排出組合せに選択されたホッパの被計量物が、全ての分割集合ファンネルの排出口で詰まらないと判定されるときには、前記排出組合せの複数のホッパから、時間差を持たせることなく被計量物を前記集合シュートに排出させるものである。
本発明によると、集合シュートからの被計量物を集合させて下方へ排出する集合ファンネルを、受入口及び排出口をそれぞれ有する複数の分割集合ファンネルで構成するので、単一の集合ファンネルに比べて、各分割集合ファンネルは、小型で軽量となり、例えば、組合せ秤の洗浄等の際の集合ファンネルの取扱いが容易となり、洗浄作業等の作業性が向上する。
ホッパの被計量物の重量を種々に組合せた組合せ重量が、所定重量範囲となるホッパの組合せ、すなわち、排出組合せに選択される複数のホッパは、組合せ演算によって変化するので、或る排出組合せでは、複数の分割集合ファンネルの或る分割集合ファンネルに対応する計量ホッパが多く選択されたり、また、別の排出組合せでは、各分割集合ファンネルにそれぞれ対応するホッパが略等しく選択されたりすることがある。
或る分割集合ファンネルに対応するホッパが多く選択されると、前記或る分割集合ファンネルに、多くのホッパから排出される被計量物が集中して被計量物が詰まり易くなり、また、各分割集合ファンネルにそれぞれ対応するホッパが略均等に選択されると、各分割集合ファンネルにそれぞれ対応するホッパから被計量物が略均等に排出されるので、各分割集合ファンネルで被計量物が詰まりにくくなる。
本発明によると、ホッパの被計量物の重量を種々に組合せた組合せ重量が、所定重量範囲となるホッパの排出組合せが選択されると、その排出組合せに選択されたホッパの被計量物が、各分割集合ファンネルの各排出口で詰まるか否かを判定し、いずれかの排出口で被計量物が詰まると判定されるときには、排出組合せの複数のホッパから、時間差を持たせて被計量物を集合シュートに排出して分割集合ファンネルでの被計量物の詰りを防止する一方、全ての排出口で被計量物が詰まらないと判定されるときには、排出組合せの複数のホッパから、時間差を持たせることなく被計量物を集合シュートに排出する。
このように、排出組合せに選択されたホッパの被計量物が、全ての分割集合ファンネルで詰まらないと判定されると、排出組合せの複数のホッパから、時間差を持たせることなく被計量物を集合シュートに排出するので、常に時間差を持たせて被計量物を集合シュートに排出する従来例に比べて、運転速度が低下するのを抑制できる一方、各分割集合ファンネルでの被計量物の詰りを防止することができる。
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記組合せ演算部は、前記排出組合せの複数を、排出組合せ候補として選択し、前記判定部は、複数の前記排出組合せ候補に基づいて、該排出組合せ候補に選択されたホッパの被計量物が、各分割集合ファンネルの各排出口で詰まるか否かを、排出組合せ候補毎に判定し、 前記排出制御部は、前記判定部によって、全ての排出組合せ候補のホッパの被計量物が、いずれかの分割集合ファンネルの排出口で詰まると判定されるときには、前記組合せ重量が、所定重量範囲となるホッパの組合せである排出組合せの複数のホッパから、時間差を持たせて被計量物を、前記集合シュートに排出させる一方、複数の排出組合せ候補のいずれかの排出組合せ候補のホッパの被計量物が、全ての分割集合ファンネルの排出口で詰まらないと判定されるときには、その排出組合せ候補の複数のホッパから、時間差を持たせることなく被計量物を、前記集合シュートに排出させる。
時間差を持たせて被計量物を排出させる場合の排出組合せは、前記複数の排出組合せ候補のいずれか一つの排出組合せ候補としてもよいし、前記複数の排出組合せ候補以外の、前記組合せ重量が、目標組合せ重量に等しい、あるいは、目標組合せ重量に最も近い所定重量範囲の重量となる排出組合せとしてもよい。
この実施態様によれば、複数の排出組合せを、複数の排出組合せ候補として選択しておき、各排出組合せ候補に選択されたホッパの被計量物が、各分割集合ファンネルの各排出口で詰まるか否かを、排出組合せ候補毎に判定し、いずれかの排出組合せ候補のホッパの被計量物が、全ての排出口で詰まらないと判定されるときには、その排出組合せ候補の複数のホッパから、時間差を持たせることなく被計量物を、集合シュートに排出させるので、排出組合せ候補が1つの場合に比べて、分割集合ファンネルの排出口で被計量物が詰まらないと判定される確率、すなわち、時間差を持たせることなく被計量物を、集合シュートに排出させることができる確率が高まり、運転速度が低下するのを一層抑制することができる。
(3)本発明の他の実施態様では、前記複数の分割集合ファンネルが、前記受入口及び前記排出口が平面視半円形状であって、下窄まり状の2つの分割集合ファンネルであり、前記判定部は、前記排出組合せ、又は、前記排出組合せ候補に選択されたホッパを、各分割集合ファンネルにそれぞれ対応する分割集合ファンネル毎のホッパに区分し、区分したホッパの被計量物の合計重量が、所定重量以上であるか否かに基づいて、各分割集合ファンネルの各排出口で被計量物が詰まるか否かを判定する。
ホッパから排出される被計量物は、集合シュートを介して対応する各分割集合ファンネルの受入口に受入れられる、すなわち、各分割集合ファンネルには、対応する集合シュート及びホッパからの被計量物が受け入れられるので、集合シュート及びホッパは、分割集合ファンネル毎に区分することができる。
この実施態様によると、排出組合せ、又は、排出組合せ候補に選択されたホッパの被計量物が、各分割集合ファンネルの各排出口で詰まるか否かの判定を、分割集合ファンネル毎に区分したホッパの被計量物の合計重量が、所定重量以上であるか否かに基づいて行うようにしている。
これによって、例えば、排出組合せ、又は、排出組合せ候補に選択されたホッパが、一方の分割集合ファンネルに集中して、その分割集合ファンネルに排出される被計量物の合計重量が所定重量以上であるときには、その一方の分割集合ファンネルで被計量物が詰まると判定することができる。また、排出組合せ、又は、排出組合せ候補に選択されたホッパが、2つの各分割集合ファンネルに略均等に割り振られ、各分割集合ファンネルに排出される被計量物の合計重量が、いずれも所定重量以上でないときには、各分割集合ファンネルで被計量物が詰まることはないと判定することができる。
(4)本発明の更に他の実施態様では、前記時間差を持たせて被計量物を前記集合シュートに排出する前記排出組合せの組合せ重量が、目標組合せ重量に等しい、又は、目標組合せ重量に最も近い前記所定重量範囲の重量である。
この実施態様によると、排出組合せの複数のホッパから、時間差を持たせて被計量物を集合シュートに排出するときには、各分割集合ファンネルで被計量物が詰まる虞がないので、その排出組合せを、目標組合せ重量に等しい、又は、目標組合せ重量に最も近い所定重量範囲の重量となるホッパの組合せとすることによって、組合せ精度が悪化するのを防止することができる。
本発明によれば、排出組合せに選択されたホッパの被計量物が、各分割集合ファンネルで詰まるか否かを判定し、詰まると判定されるときには、排出組合せの複数のホッパから、時間差を持たせて被計量物を排出して詰りを防止する一方、被計量物が詰まらないと判定されるときには、排出組合せの複数のホッパから、時間差を持たせることなく被計量物を排出する。
これによって、排出組合せの複数のホッパから、常に時間差を持たせて被計量物を排出する従来例に比べて、運転速度が低下するのを抑制できる一方、各分割集合ファンネルでの被計量物の詰りを防止することができる。
しかも、集合ファンネルを、複数の分割集合ファンネルで構成するので、単一の集合ファンネルに比べて、各分割集合ファンネルは、小型で軽量となり、例えば、組合せ秤の洗浄等の際の集合ファンネルの取扱いが容易となり、洗浄作業等の作業性が向上する。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る組合せ秤の概略構成図である。
この組合せ秤1は、包装すべき物品、例えば菓子類、その他の食品等の被計量物を所定量ずつ計量するものであって、フレーム2上に組合せ秤1が設置される。図示しない供給装置によって、被計量物が、組合せ秤1の中心部上方から投入供給され、所定重量に計量された排出組合せの被計量物が、組合せ秤1の中心部から下方に排出され、フレーム2の階下に設置した図示しない包装機に投入されて包装される。
組合せ秤1の中央には、略円柱形のセンター基体3が備えられ、このセンター基体3が、前記フレーム2の床面上に設置された基台4に複数本の脚5を介して連結支持されている。センター基体3の上部に、供給される被計量物を振動によって放射状に分散搬送する円錐形の分散フィーダ6が装備されると共に、分散フィーダ6の周囲に、分散搬送された被計量物を更に外方に振動移送するリニアフィーダ7が放射状に設けられている。
さらに、各リニアフィーダ7の下方には、リニアフィーダ7からの被計量物を一旦貯留して排出する供給ホッパ8、その排出された被計量物を貯留して計量するための計量ホッパ9、および、計量ホッパ9から排出された被計量物をセンター基体3の中心下方に向けて滑落移送する集合シュート10がそれぞれ対応して設けられ、上下に並ぶリニアフィーダ7、供給ホッパ8、計量ホッパ9、および、集合シュート10を一連とする計量ユニットの多数連(例えば、16連)がセンター基体3の周囲に等ピッチで環状に配備されている。
図示されていないが、分散フィーダ6およびリニアフィーダ7の振動装置や、供給ホッパ8および計量ホッパ9のゲート開閉装置、等の駆動ユニットがセンター基体3内に収納されると共に、各計量ホッパ9には、ホッパ内の被計量物の重量を計測するロードセルなどの重量センサが備えられ、この重量センサもセンター基体3内に前記駆動ユニットと共に収納されている。
また、センター基体3内には、重量センサからの荷重信号に基づいて、各計量ホッパ9の被計量物の重量を算出する共に、組合せ演算を行う後述の制御装置が収納されており、この制御装置は、各ホッパ8,9のゲート開閉装置等の各部を制御する。
この実施形態では、複数の集合シュート10の下方中央には、左右一対の第1,第2分割集合ファンネル11A,11Bが配置され、所定重量範囲、例えば、目標組合せ重量を下限値とする許容重量範囲内の重量である排出組合せとなる複数の計量ホッパ9から排出された被計量物を、複数の集合シュート10及び各分割集合ファンネル11A,11Bで集合させて、集合ホッパ12に排出し、集合ホッパ12で被計量物を一旦受け止め貯留した後、包装機からの排出要求信号に応答して集合ホッパ12のゲートを開放作動して下方に排出して包装機に投入するように構成されている。
なお、各分割集合ファンネル11A,11Bは、ファンネル外面から突設した連結金具11fを介して基台4に連結固定されるようになっている。
この実施形態では、集合ファンネルは、上記のように2つの第1,第2分割集合ファンネル11A,11Bによって構成されている。図2の概略平面図に示すように、組合せ演算によって排出組合せに選択された計量ホッパ9から排出される被計量物は、仮想線で示される集合シュート10を介して対応する各分割集合ファンネル11A,11Bにそれぞれ排出される。
各分割集合ファンネル11A,11Bは、平面視で半円形状に形成されており、その半円形状の直径に相当する直線状の仕切壁11A1,11B1が、近接対向するように左右に配置され、全体的には、平面視で円形状をなしている。
各分割集合ファンネル11A,11Bは、その上端部に、平面視で半円形状に開口して集合シュート10からの被計量物を受入れる受入口11A2,11B2を有すると共に、下端部に、前記受入口11A2,11B2と同心であって小径の半円形状の排出口11A3,11B3を有している。
各分割集合ファンネル11A,11Bは、図1に示すように、逆円錐台を2分割した下窄まりの漏斗状であって、上記図9(a)と同様の構成である。
各分割集合ファンネル11A,11Bは、図2の仮想線で示すように、受入口11A2,11B2まで下端が延びている集合シュート10からの被計量物を受入れるものであって、各集合シュート10には、その上方の計量ホッパ9から被計量物が排出される。したがって、各分割集合ファンネル11A,11Bには、対応する計量ホッパ9からの被計量物が、集合シュート10を介してそれぞれ滑落移送されることになる。すなわち、環状に配置されている計量ホッパ9の位置によって、どの分割集合ファンネル11A,11Bに被計量物を排出するかが決まることになる。
図3は、図1の組合せ秤1の制御系統の概略構成を示すブロック図である。
センター基体3内に収納されている上記制御装置13は、制御部14及び記憶部15を有するマイクロコンピュータを備えており、制御部14は、マイクロコンピュータのCPUによって構成され、記憶部15は、マイクロコンピュータのメモリによって構成される。記憶部15には、制御プログラムが格納されると共に、各種データが記憶される。制御部14は、記憶部15に格納された制御プログラムを読み出して実行することにより、演算等の処理や制御を行う。具体的には、制御部14は、操作設定表示装置16及び複数の重量センサ17から信号を受け取り、これらの信号に基づいて組合せ演算を含む処理を行い、これらの処理結果を記憶部15に記憶する。また、これらの信号に基づいて、複数の供給ホッパ8、複数の計量ホッパ9、分散フィーダ6、複数のリニアフィーダ7及び操作設定表示装置16に制御信号を送信してこれらを制御する。制御部14は、組合せ演算を行う組合せ演算部としての機能を有すると共に、後述のように、被計量物が分割集合ファンネル11A,11Bで詰まるか否かを判定する判定部、及び、排出組合せに選択された複数の計量ホッパ9からの被計量物の排出を制御する排出制御部として機能を有する。
この実施形態では、上記のように集合ファンネルを2つの分割集合ファンネル11A,11Bで構成しているので、単一の集合ファンネルで構成する場合に比べて、サイズが小さく、軽量であるので、頻繁に行われる洗浄等の際の取扱いが容易である。
しかしながら、被計量物の排出口11A3,11B3が、半円状に2つに分割されているために、単一の円形の排出口に比べて被計量物が詰まる虞がある。
従来の組合せ秤では、排出組合せに選択された複数の計量ホッパから被計量物を排出するときに、集合ファンネルで被計量物が詰まるのを防止するために時間差を持たせて排出する機能(以下「時間差排出機能」という)を備えたものがある。
この時間差排出機能では、予め操作設定表示装置16を操作して合計遅延時間を設定しておくことによって、排出組合せに選択された複数の計量ホッパ9のゲートを、時間差を持たせて順番に開放して被計量物を排出するものである。この時間差排出機能では、最初の計量ホッパ9が被計量物の排出を開始してから最後の計量ホッパ9が被計量物の排出を開始するまでの遅延時間を前記合計遅延時間として予め設定しておくことによって、等しい時間間隔で順番に計量ホッパ9から被計量物を排出する。
したがって、この時間差排出機能を利用する場合には、予め操作設定表示装置16を操作して被計量物が集合ファンネルで詰まらない合計遅延時間を設定する。
この時間差排出機能を利用すると、常に、排出組合せに選択された複数の計量ホッパ9から、時間差を持たせて被計量物を排出されることになるので、排出タイミングが遅れることになり、上記特許文献2と同様に、運転速度が低下するという課題がある。
そこで、本実施形態では、各分割集合ファンネル11A,11Bにおける被計量物の詰りを防止しつつ、運転速度の低下を抑制するために次のようにしている。
すなわち、この実施形態では、組合せ演算において、従来のように、目標組合せ重量に等しい、あるいは、目標組合せ重量に最も近い計量ホッパの排出組合せを1つだけ選択するのではなく、目標組合せ重量に等しい、あるいは、目標組合せ重量に近い計量ホッパの排出組合せの候補を、複数選択して記憶しておく。
その複数の各排出組合せ候補について、同一の分割集合ファンネル11A(または11B)に排出する計量ホッパ9の被計量物の合計重量、すなわち、分割集合ファンネル11A,11B毎の計量ホッパ9の被計量物の合計重量が、被計量物が分割集合ファンネル11A,11Bで詰まる虞がある所定重量以上であるか否かを、各分割集合ファンネル11A,11Bについてそれぞれ判定する。すなわち、排出組合せ候補に選択された複数の計量ホッパ9から被計量物を排出したときに、各分割集合ファンネル11A,11Bで被計量物が詰まるか否かを判定する。
所定重量は、操作設定表示装置16を操作することによって、設定することができる。この所定重量は、稼働運転の前に、稼働運転と同様の条件で調整運転を行って適切な重量を設定してもよいし、あるいは、デフォルト値で稼働運転を開始し、稼働運転中にデフォルト値を調整するようにしてもよい。この所定重量のデフォルト値としては、目標組合せ重量の、例えば、75%程度とすることができる。
各排出組合せの候補の計量ホッパ9の被計量物の、分割集合ファンネル11A,11B毎の合計重量が、いずれも所定重量未満である排出組合せの候補があるときには、両分割集合ファンネル11A,11Bで被計量物が詰まる虞がないとして、その候補を最終的な排出組合せとし、時間差排出機能を利用することなく、すなわち、排出組合せの複数の計量ホッパ9から、時間差を持たせることなく、被計量物をそれぞれ排出する。
なお、分割集合ファンネル11A,11B毎の被計量物の合計重量が、いずれも所定重量未満である排出組合せの候補が複数あるときには、目標組合せ重量に等しい、あるいは、目標組合せ重量に最も近い所定重量範囲の排出組合せの候補を、最終的な排出組合せとしてもよいし、任意の排出組合せの候補を、最終的な排出組合せとしてもよい。
全ての排出組合せ候補において、分割集合ファンネル11A,11B毎の被計量物の合計重量のいずれかが、所定重量以上である、すなわち、全ての排出組合せ候補が、いずれかの分割集合ファンネル11A,11Bで被計量物が詰まる虞があるときには、従来と同様の時間差排出機能を使用して、目標組合せ重量に等しい、あるいは、目標組合せ重量に最も近い所定重量気範囲の計量ホッパ9の組合せである排出組合せを選択し、選択した複数の計量ホッパ9から、時間差を持たせて順番に被計量物を排出する。
図4は、この被計量物の排出処理の動作を説明するためのフローチャートである。
先ず、組合せ演算において、目標組合せ重量に等しい、あるいは、目標組合せ重量に近い計量ホッパ9の組合せの候補である排出組合せ候補を、複数、例えば、4つ選択し格納しておく(ステップS1)。
次に、従来と同様に、目標組合せ重量に等しい、あるいは、目標組合せ重量に最も近い所定重量範囲となる計量ホッパ9の組合せである排出組合せを選択し(ステップS2)、選択した計量ホッパ9の組合せの中に、優先的に排出すべき計量ホッパ9、例えば、零点調整を行うために、被計量物を排出する必要があるような優先ホッパがあるか否かを判断し(ステップS3)、優先ホッパがあるときには、その計量ホッパ9の被計量物を排出する必要があるので、被計量物が詰まるか否かといった判定処理等を行うことなく、従来と同様の時間差排出機能を用いて、合計遅延時間を、予め設定されている設定合計遅延時間とし(ステップS12)、選択した排出組合せの複数の計量ホッパ9から被計量物を、時間差を持たせて順番に排出する(ステップS13)。
なお、ステップS12では、合計遅延時間を、予め設定されている設定合計遅延時間としたけれども、後述のように、シングルシフトやダブルシフトといったシフト動作に応じて算出される余裕時間を合計遅延時間とし、この合計遅延時間を、設定合計遅延時間に代えて用いるようにしてもよい。
ステップS3において、優先ホッパがないときには、上記ステップS1で選択した4つの排出組合せ候補の中のi番目(初期値i=4)の候補を選択し(ステップS4)、その排出組合せの候補において、第1分割集合ファンネル11Aへ排出する被計量物の合計重量を算出し(ステップS5)、算出した被計量物の合計重量が、被計量物が詰まる虞がある所定重量以上であるか否かを判断し(ステップS6)、所定重量以上であるときには、その排出組合せの候補は、第1分割集合ファンネル11Aで被計量物が詰まる虞があるとして、ステップS9に移る。
ステップS9では、排出組合せの候補を規定する順番iを1つ減らし(i=i−1)、次の排出組合せの候補とし、その順番iが正であるか否か、すなわち、次の排出組合せの候補があるか否かを判断し(ステップS10)、次の排出組合せの候補があるときには、ステップS5に戻って、次の排出組合せの候補についての処理を行い、次の排出組合せの候補がないときには、ステップS11に移る。
上記ステップS6において、算出した第1分割集合ファンネル11Aへ排出する被計量物の合計重量が、所定重量以上でないときには、第1分割集合ファンネル11Aでは、被計量物が詰まる虞がないと判定して、ステップS7に移り、第2分割集合ファンネル11Bに排出する被計量物の合計重量を算出する。次に、算出した第2分割集合ファンネル11Bに排出する被計量物の合計重量が、被計量物が詰まる虞がある所定重量以上であるか否かを判断し(ステップS8)、所定重量以上であるときには、その排出組合せの候補は、第2分割集合ファンネル11Bで被計量物が詰まる虞があると判定して、ステップS9に移る。
上記ステップS8において、算出した第2分割集合ファンネル11Bに排出する被計量物の合計重量が、所定重量以上でないときには、第2分割集合ファンネル11Bでも、被計量物が詰まる虞がないと判定して、ステップS14に移り、時間差排出機能の合計遅延時間を「0」にセットし、合計遅延時間を設けることなく、すなわち、時間差排出機能を使用することなく、その排出組合せの候補の複数の計量ホッパ9から、時間差を持たせることなく、同時に被計量物を排出する(ステップS13)。
上記ステップS10において、順番iが正でないときには、次の排出組合せの候補がない、すなわち、全ての排出組合せの候補は、いずれかの分割集合ファンネル11A,11Bで被計量物が詰まると判定されたので、ステップS11に移る。
ステップS11では、目標組合せ重量に等しい、あるいは、目標組合せ重量に最も近い所定重量範囲の元の排出組合せに戻し、従来と同様の時間差排出機能を用いて、合計遅延時間を、予め設定されている設定合計遅延時間とし(ステップS12)、排出組合せの複数の計量ホッパ9から被計量物を、時間差を持たせて順番に排出する(ステップS13)。
このように排出組合せの候補を複数準備し、いずれかの排出組合せの候補が、第1,第2分割集合ファンネル11A,11Bのいずれの分割集合ファンネル11A,11Bでも被計量物が詰まる虞がないと判定された候補であるときには、時間差排出機能を使用することなく、その候補の複数の計量ホッパ9から、時間差を持たせることなく、被計量物を排出するので、運転速度の低下を抑制することができる。また、複数のいずれの排出組合せ候補も第1,第2分割集合ファンネル11A,11Bのいずれかの分割集合ファンネル11A,11Bで被計量物が詰まる虞があると判定されたときには、従来と同様に、時間差排出機能を使用して計量ホッパ9から被計量物を、時間差を持たせて順番に排出するので、被計量物が、各分割集合ファンネル11A,11Bで詰まることがない。
図4のステップS12では、合計遅延時間として、従来の時間差排出機能と同様に、予め設定された設定合計遅延時間を使用したけれども、シングルシフトやダブルシフトなどのシフト動作に応じた合計遅延時間を使用するようにしてもよい。
図5は、時間差排出機能を使用したダブルシフト動作を示すタイミングチャートであり、同図(a)〜(c)は、3つの計量ホッパの動作を示している。
計量サイクル時間Twは、同図(a)に示すように、重量センサ17の安定時間と、組合せ演算に要する組合せ時間と、計量ホッパ9のゲートを開放する開時間とからなる。
この図5では、時間差排出機能によって、同図(b),(c)の計量ホッパ9は、同図(a)の計量ホッパ9から順次時間差を持って計量ホッパ9のゲートが開かれて被計量物が排出され、同図(a)の最初の計量ホッパ9のゲートが開いて被計量物が排出されてから、同図(c)の最後の計量ホッパ9のゲートが開いて被計量物が排出されるまでには、合計遅延時間Td分の時間差がある。
このダブルシフト動作では、計量サイクル時間は、運転サイクル時間Teの2倍の時間内であるので、合計遅延時間Tdが、運転サイクル時間Teの2倍の時間から安定時間を減算した余裕時間Tm内にあれば、次の運転サイクルTeに影響を与えることがない。
そこで、この余裕時間Tmを算出し、その余裕時間Tmを合計遅延時間Tdとすることが考えられるが、この算出される余裕時間Tm、すなわち、算出される合計遅延時間Tdが、予め設定されている設定合計遅延時間より短い場合が想定される。その場合は、算出される合計遅延時間をそのまま使用すると、設定合計遅延時間よりも短いので、時間差が足りず、被計量物が、各分割集合ファンネル11A,11Bで詰まる虞がある。
そこで、算出される合計遅延時間Tdが、予め設定されている設定合計時間より短い場合には、予め設定された設定合計遅延時間を使用する。この場合は、設定合計遅延時間が、余裕時間を上回るので、次の運転サイクルに影響が及び、組合せ演算に参加できる有効ホッパ数が減少し、歩留りが悪くなるが、被計量物が、分割集合ファンネル11A,11Bで詰まって運転を停止するのを防止するためには、やむを得ない。
図6は、上記のようなシフト動作に応じた合計遅延時間の算出処理を示すフローチャートである。
先ず、予め設定されている運転サイクル時間から、予め設定されている安定時間を減算してシングルシフト動作の場合の余裕時間を合計遅延時間として算出する(ステップS20)。算出した合計遅延時間が負であるか否かを判断し(ステップS21)、負でないときには、シングルシフト動作であるとして、算出した合計遅延時間が、予め設定されている設定合計遅延時間未満であるか否かを判断する(ステップS26)。算出した合計遅延時間が、予め設定されている設定合計遅延時間未満でないときには、算出した合計遅延時間をそのまま使用するとして終了する。算出した合計遅延時間が、予め設定されている設定合計遅延時間未満であるときには、算出された合計遅延時間では、時間差が短く、各分割集合ファンネル11A,11Bで被計量物が詰まる虞があるとして、合計遅延時間を、予め設定されている設定合計遅延時間にして終了する(ステップS27)。
ステップS21において、算出した合計遅延時間が負であるときには、シングルシフト動作ではないので、運転サイクル時間の2倍の時間から安定時間を減算してダブルルシフト動作の場合の余裕時間を合計遅延時間として算出する(ステップS22)。算出した合計遅延時間が負であるか否かを判断し(ステップS23)、負でないときには、ダブルシフト動作であるとして、算出した合計遅延時間が、予め設定されている設定合計遅延時間未満であるか否かを判断する(ステップS26)。算出した合計遅延時間が、予め設定されている設定合計遅延時間未満でないときには、算出した合計遅延時間をそのまま使用するとして終了する。算出した合計遅延時間が、予め設定されている設定合計遅延時間未満であるときには、算出された合計遅延時間では、遅延時間が短く、各分割集合ファンネル11A,11Bで被計量物が詰まる虞があるとして、合計遅延時間を、予め設定されている設定合計遅延時間にして終了する(ステップS27)。
ステップS23において、算出した合計遅延時間が負であるときには、ダブルシフト動作ではないので、運転サイクル時間の3倍の時間から安定時間を減算してトリプルシフト動作の場合の余裕時間を合計遅延時間として算出する(ステップS24)。算出した合計遅延時間が負であるか否かを判断し(ステップS23)、負でないときには、トリプルシフト動作であるとして、算出した合計遅延時間が、予め設定されている設定合計遅延時間未満であるか否かを判断する(ステップS26)。算出した合計遅延時間が、予め設定されている設定合計遅延時間未満でないときには、算出した合計遅延時間をそのまま使用するとして終了する。算出した合計遅延時間が、予め設定されている設定合計遅延時間未満であるときには、算出された合計遅延時間では、遅延時間が短く、各分割集合ファンネル11A,11Bで被計量物が詰まる虞があるとして、合計遅延時間を、予め設定されている設定合計遅延時間にして終了する(ステップS27)。
このようにシングルシフトやダブルシフトなどのシフト動作に応じた余裕時間を合計遅延時間として算出し、算出した合計遅延時間が、予め設定されている設定合計遅延時間未満でないときには、算出した合計遅延時間を、上記図4のフローチャートのステップS12において、設定合計遅延時間に代えて使用してもよい。
(その他の実施形態)
上記実施形態の動作、すなわち、排出組合せの計量ホッパ9から排出される被計量物が、各分割集合ファンネル11A,11Bに詰まるか否かの判定を行って、詰まると判定されるときには、計量ホッパ9から時間差を持たせて被計量物を排出し、詰まらないと判定されるときには、計量ホッパ9から時間差を持たせることなく被計量物を排出するという動作を行うか否か、すなわち、その動作のオンオフを、操作設定表示装置16の操作によって選択できるようにしてもよい。
この場合、上記実施形態の動作をオフしたときには、従来例の時間差排出機能を使用し、合計遅延時間を設定することによって、排出組合せの計量ホッパ9から、常に時間差を持たせて被計量物を排出するようにすればよい。
従来例の時間差排出機能では、常に、排出組合せの計量ホッパ9から、時間差を持たせて被計量物を排出するので、運転速度が低下することになるが、排出組合せとして、目標組合せ重量に等しい、あるいは、目標組合せ重量に最も近い重量の組合せを選択することができるので、組合せ精度、すなわち、歩留まりが悪くなることがない。
そこで、本発明の他の実施形態として、従来例の時間差排出機能を使用した場合と、上記実施形態の動作をオンした場合との組合せ精度を比較できるようにしてもよい。
すなわち、上記実施形態において、排出組合せとして、目標組合せ重量に等しい、あるいは、目標組合せ重量に最も近い所定重量範囲の計量ホッパ9の排出組合せを選択した場合の被計量物の組合せ重量の平均値及び標準偏差といった統計値を算出する。同時に、実際に排出組合せとして被計量物が排出される計量ホッパ9の組合せ重量の平均値及び標準偏差といった統計値を算出する。
算出した両統計値を、操作設定表示装置16に表示するようにしてもよい。
これによって、ユーザは、従来例の時間差排出機能を使用した場合の組合せ精度と、上記実施形態の動作をオンした場合の組合せ精度とを、前記統計値を比較して把握することが可能となり、運転速度を優先するか、組合せ精度を優先するかといった判断が容易となり、上記のように、上記実施形態の動作を、操作設定表示装置16の操作によってオンするか、オフするかの判断が容易となる。
また、上記実施形態の動作において、排出組合せとして、目標組合せ重量に等しい、あるいは、目標組合せ重量に最も近い所定重量範囲の計量ホッパ9の排出組合せを選択した場合の被計量物の組合せ重量の平均値及び標準偏差といった統計値を算出する一方、に排出組合せとして、時間差を持たせて排出する被計量物の組合せ重量の平均値及び標準偏差といった統計値を算出して表示してもよい。
上記実施形態では、排出組合せに選択されるホッパは、計量ホッパのみであったけれども、計量ホッパの下流に配設されて排出組合せの対象となるメモリホッパが設けられる場合には、メモリホッパを含めてもよい。
上記実施形態では、集合ファンネルを、2つの分割集合ファンネルに分割したけれども、本発明は、2つに限らず、3つ以上に分割してもよい。
上記実施形態では、排出組合せ候補を複数としたけれども、排出組合せ候補を1つとしてもよい