JP2014058933A - ターボ分子ポンプおよびスペーサ - Google Patents

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Abstract

【課題】ステータの積層方向の伝熱特性および周方向の引張り強さが向上し、ロータの低温化およびポンプ小型化を図ることができる、ターボ分子ポンプの提供。
【解決手段】ターボ分子ポンプ1は、複数段の固定翼22に対して交互に積層される複数のスペーサ23を備えている。そして、複数のスペーサ23の内、少なくとも一つは炭素繊維強化プラスチックで形成されたスペーサ23で構成し、そのスペーサ23は、積層方向の熱伝導率がリング部23aの方が大きく、かつ、周方向の引張り強さがリング部23bの方が大きくなるように、リング部23aとリング部23bとで炭素繊維方向が異ならせるようにした。そのため、スペーサ23の積層方向の伝熱特性の向上、および、スペーサ23の周方向の引張り強さの向上を図ることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、ターボ分子ポンプ、およびターボ分子ポンプに用いられるスペーサに関する。
ターボ分子ポンプでは、複数段の回転翼と複数段の固定翼とが交互に配置され、その回転翼が形成されたロータを高速回転させることにより真空排気を行う。従来のターボ分子ポンプでは、複数段の固定翼の各々をスペーサで挟持するようにして固定翼を所定位置に保持している(例えば、特許文献1参照)。一般的に、ロータ、固定翼およびスペーサが収納されるケーシングはアルミニウム合金またはステンレス合金で形成され、スペーサはアルミニウム合金で形成されている。
スペーサは、上述のように、固定翼を位置決めする部材として機能するとともに、固定翼の熱を冷却系へ伝熱する機能、および、ロータ破壊時のエネルギを吸収する機能を担っている。ロータ破壊時には、破壊したロータの回転エネルギがスペーサに伝達され、スペーサが膨張もしくは破断することによって回転エネルギの一部が消費される。残りの回転エネルギ(残留回転エネルギ)は、ケーシングに伝えられることになる。
また、真空排気における発熱によりロータ温度が上昇するが、ロータの熱は熱輻射によって固定翼に伝えられ、固定翼からスペーサを介してポンプベースの冷却系へ伝熱されるような構成となっている。そのため、スペーサには回転エネルギを吸収する部材、および、固定翼の熱をベースへ伝える部材としての機能が要求される。
特開2001−132682号公報
ところで、スペーサがアルミニウム合金で形成されている場合、アルミニウム合金は比較的熱伝導特性に優れた金属であるが、引張り強さがステンレス合金等に比べて小さいので、十分な回転エネルギ吸収作用を得るのが難しい。一方、スペーサにステンレス合金を用いた場合、熱伝導率がアルミニウム合金と比べて小さいので、十分な熱伝導特性が得られないという問題があった。
請求項1の発明は、複数段の回転翼が形成されたロータと、複数段の回転翼に対して交互に配置される複数段の固定翼と、複数段の固定翼に対して交互に積層される複数のスペーサと、を備えたターボ分子ポンプにおいて、複数のスペーサの内、少なくとも一つは、炭素繊維強化プラスチックで形成された第1のCFRPスペーサで構成され、第1のCFRPスペーサは、固定翼の積層方向の位置決めを行う第1リングおよび固定翼の径方向の位置決めを行う第2リングを有し、第1リングおよび第2リングは、スペーサ積層方向の熱伝導率が第1リングの方が大きく、かつ、周方向の引張り強さが第2リングの方が大きくなるように、第1リングの炭素繊維方向と第2リングの炭素繊維方向とが異なっている。
請求項2の発明は、請求項1に記載のターボ分子ポンプにおいて、第1リングの炭素繊維方向は、スペーサ積層方向に対する角度が該第1リングの周方向に対する角度よりも小さく、第2リングの炭素繊維が、該第2リングの周方向に少なくとも一周するように延在している。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載のターボ分子ポンプにおいて、第1リングと第2リングとが一体に第1のCFRPスペーサを形成しているものである。
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のターボ分子ポンプにおいて、複数のスペーサの内、ポンプ吸気口側から順に少なくとも1つのスペーサを炭素繊維強化プラスチックで形成された第2のCFRPスペーサで構成するとともに、他のスペーサを第1のCFRPスペーサで構成し、第2のCFRPスペーサは、固定翼の積層方向の位置決めを行う第3リングおよび固定翼の径方向の位置決めを行う第4リングを有し、第3リングおよび第4リングの炭素繊維は、第3リングおよび第4リングの周方向に少なくとも一周するように延在している。
請求項5の発明は、複数段の回転翼が形成されたロータと、複数段の回転翼に対して交互に配置される複数段の固定翼と、を備えるターボ分子ポンプに用いられ、固定翼の積層方向の位置決めを行う第1リングおよび固定翼の径方向の位置決めを行う第2リングを有して、複数段の固定翼に対して交互に積層されるスペーサであって、第1リングおよび第2リングは炭素繊維強化プラスチックで形成され、積層方向の熱伝導率が第1リングの方が大きく、かつ、周方向の引張り強さが第2リングの方が大きくなるように、第1リングの炭素繊維方向と第2リングの炭素繊維方向とが異なっている。
本発明によれば、ステータの積層方向の伝熱特性および周方向の引張り強さが向上し、ロータの低温化およびポンプの小型化を図ることができる。
図1は、ターボ分子ポンプ1の構成を示す断面である。 図2は、スペーサ23の詳細構造を説明する図である。 図3は、リング部23a,23bの機能を説明する図である。 図4は、分割固定翼22aの平面図である。 図5は、スペーサ23Dを説明する図である。 図6は、スペーサ23Dの機能を説明する図である。 図7は、第3の実施の形態を説明する図である。 図8は、固定翼22の組立手順を説明する図である。 図9は、固定翼22の組立手順を説明する図である。 図10は、CFRPにおける炭素繊維の傾きを示す図である。 図11は、巻き角度θと軸方向(スペーサ積層方向)の熱伝導率との関係を示す図である。 図12は、巻き角度θと周方向の引張り強さ(MPa)との関係を示す図である。 図13は、リング部23bにおける炭素繊維231の配置を説明する図である。
以下、図を参照して本発明を実施するための実施の形態について説明する。
−第1の実施の形態−
図1は、本発明によるターボ分子ポンプの概略構成を示す図である。なお、以下では能動型磁気軸受式ターボ分子ポンプを例に説明するが、本発明は、永久磁石を使った受動型磁気軸受によるターボ分子ポンプや、メカニカルベアリングを用いたターボ分子ポンプにも適用することができる。ターボ分子ポンプ1には不図示の電源装置が接続される。その電源装置には、後述するモータ36を駆動するモータ制御装置と、ターボ分子ポンプ1に設けられた磁気軸受を制御する軸受制御装置が設けられている。
回転側排気作用部である回転翼30aおよび円筒部30bが形成されたロータ30は、回転軸であるシャフト31に締結されている。ロータ30とシャフト31とによってポンプ回転体が構成される。シャフト31は、ベース20に設けられた磁気軸受37,38,39によって非接触支持される。各磁気軸受37,38,39は電磁石と変位センサとを備えている。変位センサによりシャフト31の磁気浮上位置が検出される。なお、軸方向の磁気軸受39を構成する電磁石は、シャフト31の下端に設けられたロータディスク35を軸方向に挟むように配置されている。
磁気軸受37〜39によって回転自在に磁気浮上されたポンプ回転体(ロータ30およびシャフト31)は、モータ36により高速回転駆動される。モータ36には、例えば3相ブラシレスモータが用いられる。モータ36のモータステータ36aはベース20に設けられ、永久磁石を備えるモータロータ36bはシャフト31側に設けられている。26a,26bは非常用のメカニカルベアリングであり、磁気軸受が作動していない時にはこれらのメカニカルベアリング26a,26bによってシャフト31は支持される。
図1に示すターボ分子ポンプ1は、回転翼30aと固定翼22とで構成されるターボポンプ段と、円筒部30bとネジステータ24とで構成されるドラッグポンプ段(ネジ溝ポンプ)とを有している。上述したように回転翼30aおよび円筒部30bを回転側排気作用部とした場合、固定翼22およびネジステータ24は固定側排気作用部を構成している。なお、ここではネジステータ24側にネジ溝が形成されているが、円筒部30b側にネジ溝を形成しても構わない。
アルミ合金製のロータ30には複数段の回転翼30aが形成されている。複数段の固定翼22は、軸方向に対して回転翼30aと交互に配置されている。各固定翼22は、スペーサ23を介してベース20上に載置される。ケーシング21の固定フランジ21cをボルトによりベース20に固定すると、積層されたスペーサ23がベース20とケーシング21との間に挟持され、固定翼22が位置決めされる。
ベース20の排気口20aには排気ポート25が設けられ、この排気ポート25にバックポンプが接続される。ロータ30を磁気浮上させつつモータ36により高速回転駆動することにより、吸気口21a側の気体分子は排気ポート25側へと排気される。
図2は、スペーサ23の詳細構造を説明する図である。スペーサ23は、内側のリング部23aと、リング部23aに対して軸方向下側にずれて形成された外側のリング部23bとを含む。本実施の形態では、リング部23a,23bは炭素繊維強化プラスチック(CFRP)により形成されている。リング部23a,23bは、個別にリング状に形成された後に、接合部23cにおいて互いに接着することにより一体化されている。なお、ここでは、接着によりリング部23a,23bを接続しているが、圧入により一体化しても良い。
リング部23a,23bに用いられるCFRPは、炭素繊維の束にプラスチック(エポキシ樹脂等)を含浸させた複合材料である。図2に示す例では、リング部23aにおける炭素繊維231の延在方向は、軸方向(積層方向)と一致している。一方、リング部23bの炭素繊維231の延在方向は円周方向であって、炭素繊維231はリング状に巻かれている。
詳細は後述するが、リング部23aとリング部23bとで炭素繊維方向を異ならせることで、リング部23aとリング部23bとで積層方向の伝熱特性および周方向の引張り強さが異なるように構成している。図3は、リング部23a,23bの機能を説明する図である。図3に示すように、固定翼22は、一対のスペーサ23により軸方向上下から挟持されている。図1に示した1段分の固定翼22は、組立上の制約から、図4に示すような半割りの分割固定翼22aを2つ円形状に配置することで構成されている。
分割固定翼22aは、例えば、アルミダイカストで形成、アルミ材を機械加工して形成、または、アルミ板材を曲げ加工して形成される。一般的には、図4に示すように、円弧状の内周リブ220と外周リブ221との間に複数のタービン翼222が形成されている。二点鎖線はスペーサ23を示している。図3に示すように、固定翼22を構成する分割固定翼22aは、外周リブ221がスペーサ23の内周側のリング部23aによって挟持されている。なお、図4に示す分割固定翼22aでは、内外周の両方にリブ220,221が形成されているが、内外周の一方にのみリブを備える場合もある。内周のみにリブが形成されている場合には、タービン翼222の外周部分がリング部23aによって挟持されることになる。
図2、3に示すように、内側のリング部23aの炭素繊維231は軸方向(積層方向)に沿って延在しており、外側のリング部23bの炭素繊維231は周方向に延在している。図3において、矢印Hは、固定翼22およびスペーサ23における熱伝達経路を示している。ロータ30で発生した熱は、熱輻射によって固定翼22に伝えられ、固定翼22の熱は矢印Hのようにスペーサ23に伝えられる。ベース20には、冷却水等の冷媒が流れる冷却配管200が設けられており、この冷却配管200内を流れる冷媒によってベース20は冷却されている。そのため、スペーサ23の熱は、固定翼22を挟持するように積層されたスペーサ23のリング部23aを介してベース方向に伝達され、ベース20を通って冷却配管200の冷媒へと放熱される。このように、固定翼22の熱は、スペーサ23のリング部23aを軸方向に伝達される。そのため、リング部23aにおいては、軸方向の熱伝導率が大きくなるように炭素繊維231の延在方向が軸方向とされている。
上述のように、固定翼22を挟持しているリング部23aは放熱部材としての機能を主に担っている。一方、外側のリング部23bは、ロータ破壊時のエネルギを消費する機能を主に担っている。そのため、リング部23bを構成するCFRPの炭素繊維231の延在方向を周方向とすることで、リング部23bの円周方向の引張り強さを大きくしている。スペーサ23のリング部23bをこのような構成とすることで、スペーサ23が膨張もしくは破断したときの回転エネルギの吸収量を増大させることができる。その結果、ケーシング21に伝えられる残留回転エネルギが低減され、ターボ分子ポンプの安全性向上を図ることができる。
上述のように、スペーサ23はCFRPで形成されている。CFRPは炭素繊維の方向の引張りに強く、引張り強さは数千MPaに達する。これは、スペーサの材料として一般的に用いられるアルミニウム合金に比べてはるかに大きく、さらには、ケーシング21に用いられるステンレス合金と比べても大きい。例えば、SUS304の場合には、引張り強さは520MPaである。そこで、本実施の形態では、炭素繊維231の引張り強さが効果的となるように、リング部23bの炭素繊維231の延在方向を周方向としている。
また、炭素繊維は熱伝導率にも優れており、CFRPの炭素繊維方向の熱伝導率は100W/(m・K)〜1000W/(m・K)程度となる。例えば、JIS5000系アルミニウム合金の場合には約150W/(m・K)であるので、CFRPを用いることで、アルミニウム合金で形成するよりも熱伝導率に優れたスペーサを形成することができる。そこで、図3に示すように固定翼22の熱を冷却配管200の冷媒へ放熱する際の熱経路となるリング部23aにおいては、軸方向の熱伝導率が大きくなるように、炭素繊維231の延在方向を軸方向としている。
−第2の実施の形態−
従来、ターボ分子ポンプを真空装置に設置する際に、吸気口側にバルブ(例えば、流量調整用のバルブ)が設けられる場合がある。一般的に、バルブには加熱用のヒータが設けられていて、真空排気の際にバルブが加熱される。そのような装置構成では、図6の矢印H2で示すように、加熱されたバルブVからケーシング21に熱が伝達され、さらにスペーサ23を介して固定翼22に熱が移動して固定翼温度が上昇してしまうという問題が生じ、ロータ30の放熱に悪影響を及ぼす。
そこで、本実施の形態では、図6に示すように、複数のスペーサ23の内、ポンプ吸気口側から順に少なくとも1つのスペーサには図5に示す構造のスペーサ23Dを使用し、残りの他のスペーサには図2に示すスペーサ23を使用するようにした。なお、図6では、ポンプ吸気口側から1番目のスペーサのみにスペーサ23Dが用いられている。
上述した図1に示すターボ分子ポンプ1では、9段のスペーサ23の全てが、図2に示すような構成となっている。しかしながら、真空排気時の発熱による固定翼22の温度上昇は、吸気口21aに近い吸気側の固定翼22よりも、排気側の固定翼22の方が大きいので、図6の構成のように吸気口側のスペーサに図2の構成のスペーサ23を使用しなくても、固定翼22からベース20への熱伝達特性の向上を十分図ることができる。
図5に示すように、スペーサ23Dでは、リング部23a,23bのいずれもが、炭素繊維231の延在方向が周方向となっている。スペーサ23Dの場合も、リング部23a,23bを個別に形成した後、接合部23cにおいて接着等により接合して一体化する。このような構成とすることにより、スペーサ23Dは、図2に示すスペーサ23と比べて周方向の引張り強さがより大きくなる。さらに、スペーサ23Dのリング部23aは、炭素繊維の延在方向が周方向であって、積層方向に関しては炭素繊維間に熱伝導率の小さな樹脂が介在する。そのため、リング部23aの積層方向の熱伝導率は、図2のスペーサ23のリング部23aに比べて小さくなる。
本実施形態では、図6に示すように、吸気口側のスペーサにスペーサ23Dを用いることで、バルブ側から固定翼22へ伝達される熱を低減することができる。すなわち、スペーサ23Dのリング部23aは積層方向の熱伝導率が小さいので、バルブVからスペーサ23を介して固定翼22へ伝達される熱に対して、リング部23aが断熱部として機能することになる。その結果、バルブVから熱侵入による固定翼22の温度上昇を抑制することができる。
また、上述したように、スペーサ23Dにおいてはリング部23a,23bの炭素繊維方向がいずれも周方向を向いているので、周方向の引張り強さが図2のスペーサ23よりも大きくなっている。その結果、図6に示す構成においては、ロータ破壊時にスペーサ全体で吸収できる回転エネルギが第1の実施の形態の場合に比べて大きくなり、ケーシング21に対する残留回転エネルギをより小さくすることができる。
なお、図6に示す例では、吸気口側から数えて1番目のスペーサにスペーサ23Dを用いているが、2番目以降にもスペーサ23Dを用いても構わない。スペーサ23Dの段数は、吸気口側からの熱侵入の影響の度合いに応じて決定すれば良い。
−第3の実施の形態−
図7〜9は、本発明による第3の実施の形態を説明する図である。図2に示したスペーサ23ではリング部23aとリング部23bとは接着等により一体とされていたが、第3の実施の形態では、スペーサ23のリング部23aとリング部23bとを別体とした。
図7は、図3と同様の部分の断面を示したものである。図3に示したスペーサ23の場合、リング部23bの高さ寸法(積層方向寸法)は、上下一対のリング部23aの間に固定翼22を挟持するようにスペーサ23を積層した時に、外側のリング部23b間に隙間が形成されるような寸法に設定されている。一方、リング部23aとリング部23bとを別体とした場合には、リング部23b同士が隙間なく積層される構成となる。そのため、本実施形態におけるリング部23bの高さ寸法は、図2に示すスペーサ23のリング部23bの高さよりも隙間分だけ大きくなっている。
図8,9は、固定翼22の組立手順を説明する図である。図8に示す手順(a)では、ベース20上にリング部23bを組み付ける。この際、ベース上に形成されたリング状の凸部20bの外周面によって、リング部23bの径方向位置が位置決めされる。次いで、リング部23bの内周側にリング部23aを組み付ける。
図8の手順(b)では、一対の分割固定翼22aを、リング部23aの外周側から回転翼30a間に差し込むように配置し、リング部23aの上面にそれぞれ載置する。次いで、図9の手順(c)では、2段目のリング部23bを1段目のリング部23b上に載置して、分割固定翼22aの径方向の位置決めを行う。その後、図9の手順(d)において、2段目のリング部23aを1段目のリング部23a上に載置するように組み付ける。
このような手順を繰り返すことにより、図1に示すような複数の固定翼22と複数のスペーサ23との積層体が組み上がる。なお、上述した組立手順では、リング部23b→リング部23a→分割固定翼22aの順に組み付けたが、リング部23a→リング部23b→分割固定翼22aの順に組み付けても良い。
このように、本実施の形態では、スペーサ23のリング部23aとリング部23bとを別体としたので、リング部23aとリング部23bとを接着等により接合する必要がなく、スペーサ23の製造コストを低減することができる。一方、図2のようにリング部23aとリング部23bとを一体とした場合には、別体の場合に比べて、組立作業性に優れている。
(炭素繊維方向の説明)
上述したように、リング部23a,23bの積層方向の熱伝導率および周方向の引張り強さは、リング部23a,23bを構成するCFRPの炭素繊維の方向に依存している。上述した実施の形態では、炭素繊維の高熱伝導率および高引張り強さが十分に生かされるように、高熱伝導率が要求されるリング部23aでは炭素繊維の方向を積層方向(軸方向)とし、高引張り強さが要求されるリング部23bでは炭素繊維の方向を周方向としている。
ここでは、図10に示すように、炭素繊維を巻きつけるようにして円筒状のCFRPを形成した場合の、熱伝導率および引張り強さの方向依存性について、図11,12を用いて説明する。炭素繊維の方向は、円筒の軸からの角度θで表される。ここでは、角度θを巻き角度と呼ぶことにする。
図11は、巻き角度θと軸方向(スペーサ積層方向)の熱伝導率との関係を示す図である。ここでは、説明を簡単にするために、炭素繊維の繊維方向に沿った熱伝導のみを考慮した。そのため、巻き角度θ=90degでは熱伝導率が1W/(m・K)程度となっている。図11に示した例では、巻き角度θ=0degのときの熱伝導率は200W/(m・K)であるが、巻き角度が大きくなるにつれて円筒の下端から上端までの炭素繊維の長さが長くなり、それに応じて熱伝導率も小さくなっている。θ=60degの場合、炭素繊維の長さはθ=0degの場合の2倍になるので、熱伝導率はθ=0degの熱伝導率はθ=60degの場合の1/2となっている。
図12は、巻き角度θと周方向の引張り強さ(MPa)との関係を示す図である。図12に示す例では、炭素繊維の方向が周方向である巻き角度θ=90degの場合の引張り強さが3000MPaである場合ついて示した。θ=90degでは炭素繊維の引張り強さがそのまま寄与し、炭素繊維の方向が軸方向に傾くにつれて引張り強さは小さくなる。炭素繊維の方向が軸方向と一致するθ=0degでは、引張り強さは樹脂の寄与分だけとなり50MPa程度となっている。
図10〜12に示す結果をそのままリング部23a,23bに適用し、内側のリング部23aの積層方向熱伝導率をアルミニウム合金(例えば150W/(m・K))以上、外側のリング部23bの周方向引張り強さをステンレス合金(例えばSUS304の場合520MPa)以上にしようとした場合、リング部23aにおける炭素繊維の巻き角度θは約40deg以下、リング部23bにおける巻き角度θは約60deg以上とすれば良いことがわかる。リング部23bの巻き角度θを60deg以上とした場合には、引張強さは2500MPa以上となり、SUS304の5倍の強さとなる。そのため、SUS304と同程度の強さを保つことを条件とすれば、リング部23bの径方向厚さを薄くでき、ポンプの小型化が可能となる。
ただし、スペーサ23は径寸法に比べて厚さ寸法が著しく小さいので、リング部23bにおける炭素繊維231の巻き角度θを例えば60degとした場合、炭素繊維231の配置は図13に示すようになる。一つの炭素繊維231に注目した場合、リング部23bの1周に対して炭素繊維231が延在している範囲はわずかとなり、周方向の引張り強さは図12のθ=60degの値よりも大きく低下することになる。周方向の引張りに対して図12に示すような炭素繊維の効果を十分に発揮するためには、炭素繊維231が、リング部23bを周方向に少なくとも1周していることが望ましい。
また、リング部23aの熱伝導率に関しては、炭素繊維の熱伝導率が100〜1000W/(m・K)程度であることから、概略で、スペーサ積層方向に対する角度(すなわち巻き角度θ)がリング部23aの周方向に対する角度(90−θ)degよりも小さく設定するのが好ましい。周方向の引っ張り強さよりも熱伝導率の方を重視するためである。
以上説明した実施の形態では、複数段の固定翼22に対して交互に積層される複数のスペーサ23を備えるターボ分子ポンプ1において、複数のスペーサの内、少なくとも一つは炭素繊維強化プラスチックで形成されたスペーサ23で構成し、スペーサ23は、積層方向の熱伝導率がリング部23aの方が大きく、かつ、周方向の引張り強さがリング部23bの方が大きくなるように、リング部23aとリング部23bとで炭素繊維方向が異ならせるようにした。
その結果、スペーサ23を介して固定翼22の熱をベース20側へ伝達するための伝熱特性を、従来のアルミニウム合金製のスペーサを用いた場合と同等またはそれ以上とすることができ、ロータ30の低温化が図れる。さらに、スペーサ23の周方向の引張り強さを、スペーサにアルミニウム合金やステンレス合金を用いた場合よりも大きくすることができる。ロータ30の低温化は、ターボ分子ポンプの排気ガス流量のさらなる大流量化が可能となる。また、周方向の引張り強さの向上は、ケーシング21の薄肉化や、ケーシング21の材料を引張り強さの小さな材料への変更が可能となり、ポンプの小型化あるいは材料選択肢の広がりによるコストダウンが可能となる。
なお、第1実施形態に記載したターボ分子ポンプ1では、全てのスペーサ23を図2に示すような構成のスペーサとしたが、吸気口側の少なくとも1つスペーサを、ステンレス合金やアルミ合金等のスペーサとしても構わない。
また、図6に示したように、ポンプ吸気口側から順に少なくとも1つのスペーサを炭素繊維強化プラスチックで形成された第2のスペーサ23Dで構成するとともに、他のスペーサをスペーサ23で構成するようにしても良い。スペーサ23Dは、固定翼22の積層方向の位置決めを行うリング部23aと、固定翼22の径方向の位置決めを行うリング部23bとを有する。そして、リング部23a,23bの炭素繊維231を、リング部23a,23bの周方向に少なくとも一周するように延在させるようにした。このような構成とすることで、吸気口フランジ側からの熱侵入が低減され、ロータ30の温度上昇が抑制される。さらに、スペーサ23Dは、リング部23a,23bの両方が周方向の引張り強さが大きいので、ロータ破壊時のスペーサによるエネルギ吸収効果が向上し、より安全性が向上する。
上述した各実施形態はそれぞれ単独に、あるいは組み合わせて用いても良い。それぞれの実施形態での効果を単独あるいは相乗して奏することができるからである。また、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。
1:ターボ分子ポンプ、20:ベース、21:ケーシング、22:固定翼、22a:分割固定翼、23,23D:スペーサ、23a,23b:リング部、23c:接合部、24:ネジステータ、30:ロータ、30a:回転翼、30b:円筒部、231:炭素繊維

Claims (5)

  1. 複数段の回転翼が形成されたロータと、
    前記複数段の回転翼に対して交互に配置される複数段の固定翼と、
    前記複数段の固定翼に対して交互に積層される複数のスペーサと、を備えたターボ分子ポンプにおいて、
    前記複数のスペーサの内、少なくとも一つは、炭素繊維強化プラスチックで形成された第1のCFRPスペーサで構成され、
    前記第1のCFRPスペーサは、前記固定翼の積層方向の位置決めを行う第1リングおよび前記固定翼の径方向の位置決めを行う第2リングを有し、
    前記第1リングおよび第2リングは、スペーサ積層方向の熱伝導率が前記第1リングの方が大きく、かつ、周方向の引張り強さが前記第2リングの方が大きくなるように、前記第1リングの炭素繊維方向と前記第2リングの炭素繊維方向とが異なっている、ターボ分子ポンプ。
  2. 請求項1に記載のターボ分子ポンプにおいて、
    前記第1リングの炭素繊維方向は、スペーサ積層方向に対する角度が該第1リングの周方向に対する角度よりも小さく、
    前記第2リングの炭素繊維は、該第2リングの周方向に少なくとも一周するように延在している、ターボ分子ポンプ。
  3. 請求項1または2に記載のターボ分子ポンプにおいて、
    前記第1リングと前記第2リングとが一体に前記第1のCFRPスペーサを形成している、ターボ分子ポンプ。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のターボ分子ポンプにおいて、
    前記複数のスペーサの内、ポンプ吸気口側から順に少なくとも1つのスペーサを炭素繊維強化プラスチックで形成された第2のCFRPスペーサで構成するとともに、他のスペーサを前記第1のCFRPスペーサで構成し、
    前記第2のCFRPスペーサは、前記固定翼の積層方向の位置決めを行う第3リングおよび前記固定翼の径方向の位置決めを行う第4リングを有し、
    前記第3リングおよび第4リングの炭素繊維は、前記第3リングおよび第4リングの周方向に少なくとも一周するように延在している、ターボ分子ポンプ。
  5. 複数段の回転翼が形成されたロータと、前記複数段の回転翼に対して交互に配置される複数段の固定翼と、を備えるターボ分子ポンプに用いられ、前記固定翼の積層方向の位置決めを行う第1リングおよび前記固定翼の径方向の位置決めを行う第2リングを有して、前記複数段の固定翼に対して交互に積層されるスペーサであって、
    前記第1リングおよび第2リングは炭素繊維強化プラスチックで形成され、積層方向の熱伝導率が前記第1リングの方が大きく、かつ、周方向の引張り強さが前記第2リングの方が大きくなるように、前記第1リングの炭素繊維方向と前記第2リングの炭素繊維方向とが異なっている、スペーサ。
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