JP2014058612A - 耐候性塗料組成物、及び耐候性塗膜を有する塗装物品の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
厚膜塗装性に優れ、そして長期耐候性に優れた塗膜を形成することができる耐候性塗料組成物を提供する。
【解決手段】
主剤(I)及び硬化剤(II)とからなる多成分系の組成物であって、主剤(I)が、水酸基価が10〜100mgKOH/gの水酸基含有フッ素樹脂(A)、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)及び加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)を含み、硬化剤(II)が加水分解性シリル基の重縮合を促進する触媒(D)を含むものであり、樹脂(A)、樹脂(B)及び樹脂(C)の総固形分質量に基づいて、樹脂(A)を1〜90質量%、樹脂(B)を3〜94質量%、樹脂(C)を3〜50質量%含むことを特徴とする耐候性塗料組成物。
【選択図】なし
厚膜塗装性に優れ、そして長期耐候性に優れた塗膜を形成することができる耐候性塗料組成物を提供する。
【解決手段】
主剤(I)及び硬化剤(II)とからなる多成分系の組成物であって、主剤(I)が、水酸基価が10〜100mgKOH/gの水酸基含有フッ素樹脂(A)、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)及び加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)を含み、硬化剤(II)が加水分解性シリル基の重縮合を促進する触媒(D)を含むものであり、樹脂(A)、樹脂(B)及び樹脂(C)の総固形分質量に基づいて、樹脂(A)を1〜90質量%、樹脂(B)を3〜94質量%、樹脂(C)を3〜50質量%含むことを特徴とする耐候性塗料組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、耐候性塗料組成物、及び耐候性塗膜を有する塗装物品の形成方法に関する。
橋梁、プラント、タンク等の鋼製構造物、鋼板、鋼管等の金属製品等を外界の腐食環境から保護し、そして美観を維持する機能を付与するために防食塗装が施工されている。鋼製構造物の防食塗装には、例えば、ジンクリッチペイント、エポキシ樹脂系の下塗り塗料、中塗り塗料、及びポリウレタン樹脂系、フッ素樹脂系の上塗り塗料を組み合わせた少なくとも3回以上の塗装工程が行われることが一般的である。特に、既設の鋼製構造物に塗装を行う場合には、足場のない高所での作業となるうえに、人件費、足場代が塗装コストのうち8割以上を占めることも多く、塗装回数をできるだけ少なくし、塗装工程を短縮することが安全性、経済性等の点から強く求められていた。
例えば、特許文献1には、鋼製構造物の防食と美観維持のために、防食性と耐候性に優れた塗膜を常温でかつ1回の塗装工程でも形成しうる塗料組成物を提供することを目的とした、アクリル樹脂、1分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂、アミノシランを含み得るアミン硬化剤、及び硬化触媒を含む塗料組成物が開示されている。
特許文献1に記載の塗料組成物により得られる硬化塗膜は、1回の塗装仕上げで形成され、そして優れた防食性及び耐候性を有するので、1回の塗装で長期間に渡り鋼製構造物等の美観を維持できる。
一方、近年、重防食塗装においても、長期のメンテナンスコスト削減を指向して、上塗り塗料としてフッ素樹脂系塗料が使用されるケースが増加している。
例えば、特許文献2には、防錆性及び耐候性を長期間保持し、任意の着色を可能にした、省工程の耐候性鋼の防食法を提供することを目的とした、加水分解性シリル基を有するフッ素樹脂等、オルガノシラン又はその部分加水分解縮合物、無公害防錆顔料、及び着色剤を含有する着色有機無機複合上塗り塗料と、当該上塗り塗料を用いた耐候性鋼の防食法が記載されている。
ところで、近年、環境調和、住民の健康等への配慮が強く求められ、また、安全問題としても、消防法、労働安全衛生法、PL法等に配慮し、危険性のより少ない塗料が求められている。
また、近年、新設される構造物が減少し、既設の構造物に対する塗り替え市場が拡がっており、塗り替え時の塗り重ね不良、例えば、チヂミが生じにくい塗料が求められている。従って、塗装環境が良好で且つ塗り重ね性に優れる、溶解性の高すぎない溶剤を含む塗料、いわゆる、弱溶剤系塗料の開発が活発に行われている。
例えば、特許文献3には、所定の水酸基含有フッ素樹脂、ポリイソシアネート、弱溶剤及び所定の水酸基含有アクリル樹脂を含み、塗料樹脂固形分における、フッ素原子含有量が2〜25質量%、水酸基価が20〜60mgKOH/gである弱溶剤型フッ素樹脂系塗料組成物が開示されている。
しかし、特許文献1〜3に記載された塗料組成物は、鋼製構造物等の長期耐候性に影響を与えうる厚膜塗装性が不十分であった。
従って、本発明は、厚膜塗装性に優れ、そして長期耐候性に優れた塗膜を形成することができる耐候性塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、水酸基価が特定範囲にある水酸基含有フッ素樹脂(A)、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)及び加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)を特定割合で含む主剤(I)と触媒を含む硬化剤(II)とから構成される耐候性塗料組成物を見出した。
本発明の耐候性塗料組成物は、それぞれの成分の貯蔵安定性は良好であり、両者を混合して得られる組成物は硬化性、厚膜塗装性に優れ、そして長期耐候性に優れた塗膜を形成することができる。
本発明の耐候性塗料組成物は、水酸基含有フッ素樹脂(A)、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)及び加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)を含む主剤(I)及び加水分解性シリル基の重縮合を促進する触媒(D)を含む硬化剤(II)から構成される。
≪水酸基含有フッ素樹脂(A)≫
本発明において水酸基含有フッ素樹脂(A)は、硬化性と耐候性を向上を目的として配合されるものであり、分子中に、水酸基と、フッ素含有オレフィン単位とを有する樹脂であり、水酸基価が10〜100mgKOH/gの範囲内にある。
本発明において水酸基含有フッ素樹脂(A)は、硬化性と耐候性を向上を目的として配合されるものであり、分子中に、水酸基と、フッ素含有オレフィン単位とを有する樹脂であり、水酸基価が10〜100mgKOH/gの範囲内にある。
フッ素樹脂(A)の水酸基価が10mgKOH/g未満では硬化性が低下し、一方100mgKOH/gを超えると弱溶剤への溶解性が低下するから好ましくない。
また、水酸基含有フッ素樹脂(A)は、水酸基含有フッ素樹脂(A)の固形分質量に基づいて、フッ素含有オレフィン単位を、好ましくは約1質量%以上含み、より好ましくは約5質量%以上含み、さらに好ましくは約10質量%以上含み、そしてさらに好ましくは約15質量%以上含む。
水酸基含有フッ素樹脂(A)は、水酸基と、フッ素含有オレフィン単位とを有する限り、構造は特に限定されず、任意の方法により製造されたものが挙げられ、そして市販されている。
水酸基含有フッ素樹脂の市販品としては、例えば、ルミフロンシリーズ(旭硝子社製)、セフラルコートシリーズ(セントラル硝子社製)、ゼッフルシリーズ(ダイキン工業社製)、コータックス(東レ社製)、フルオネートシリーズ(大日本インキ化学工業社製、商品名)、ザフロンシリーズ(東亞合成社製、商品名)、ゼッフルシリーズ(ダイキン工業社製、商品名)などを挙げることができる。
例えば、水酸基含有フッ素樹脂(A)は、フッ素含有オレフィン(a1)、所望によるフッ素含有重合性不飽和化合物(a2)、水酸基含有重合性不飽和化合物(a3)、及び所望によるその他の重合性不飽和化合物(a4)の単量体単位を含むことができる。
フッ素含有オレフィン(a1)としては、例えば、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン等が挙げられる。
所望によるフッ素含有重合性不飽和化合物(a2)としては、フルオロアルキルトリフルオロビニルエーテル、パーフルオロアルキルトリフルオロビニルエーテル等のフルオロビニルエーテル;ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート等;並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレート及びメタクリレート、あるいはアクリレート又はメタクリレートを意味する。
水酸基含有重合性不飽和化合物(a3)としては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等の水酸基含有ビニルモノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートにε−カプロラクトン等のラクトンを開環重合した化合物、及びポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのモノエステル化物等の水酸基含有(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
また、所望によるその他の重合性不飽和化合物(a4)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基含有(メタ)アクリレート;N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノメトキシ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノアルコキシ(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート;スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと酸無水物とのハーフエステル化物等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有(メタ)アクリレート;アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、リン酸モノ−〔(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリル酸〕エステル等のリン酸基含有(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド等の第4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン等のビニルアルコキシシラン(a31);ビニルトリクロロシラン、ジビニルジクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン等のビニルクロロシラン;γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、β−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、β−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルフェニルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジエチルメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシアルコキシシラン等の加水分解性シリル基含有重合性不飽和化合物;シクロヘキシルビニルエーテル、ノニルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;エチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル;「ベオバ−9」、「ベオバ−10」(いずれもシェル化学社製、商品名)等のカルボン酸ビニルエステル;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン等、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
水酸基含有フッ素樹脂(A)は、弱溶剤に溶解性を有することが好ましい。
「弱溶剤」は、当技術分野で周知な用語であり、一般的には溶解力の弱い溶剤を意味する。上記弱溶剤には、労働安全衛生法による有機溶剤の分類において、第3種有機溶剤と列挙されるものが含まれる。第3種有機溶剤の例として、ガソリン、灯油、コールタールナフサ(ソルベントナフサを含む)、石油エーテル、石油ナフサ、石油ベンジン、テレピン油、ミネラルスピリット(ミネラルシンナー、ペトロリウムスピリット、ホワイトスピリット及びミネラルターペンを含む)が挙げられる。
上記弱溶剤は市販品されており、上記弱溶剤の市販品として、例えば、「スワゾール1000」及び「スワゾール1500」(以上、丸善石油株式会社製)、「ソルベッソ150」、「ソルベッソ200」、「HAWS」及び「LAWS」(以上、シェルジャパン社製)、「エッソナフサNo.6」及び「エクソールD30」(商品名、エクソンモービル化学社製)、「ペガゾール3040」(商品名、エクソンモービル化学社製)、「Aソルベント」、「クレンゾル」及び「イプゾール100」(出光興産株式会社製)、「ミネラルスピリットA」、「ハイアロム2S」及び「ハイアロム2S」(以上、新日本石油化学株式会社製)、「リニアレン10」及び「リニアレン12」(以上、出光石油化学株式会社製)、「リカソルブ900」、「リカソルブ910B」及び「リカソルブ1000」(以上、新日本理化株式会社製)等が挙げられる。
水酸基含有フッ素樹脂(A)は、上記弱溶剤の存在下、又は上記弱溶剤及びそれ以外のその他の有機溶剤の存在下で、上述の単量体を重合することにより製造することが望ましい。上記その他の有機溶剤としては、公知の溶剤、例えば、n−ブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロブタン等の炭化水素溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;n−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール等のエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤;エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤等;並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
水酸基含有フッ素樹脂(A)の不揮発性成分の重量平均分子量は、特に制限されるものではないが、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)及び加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)との相溶性、長期耐候性、並びに弱溶剤への溶解性の観点から、一般的に約2,000〜約200,000の範囲にあり、そして好ましくは約3,000〜約60,000の範囲にある。
なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定した保持時間(保持容量)を、同一条件で測定した分子量既知の標準ポリスチレンの保持時間(保持容量)によりポリスチレンの分子量に換算して求めた値である。
上記重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフ装置として、「HLC8120GPC」(商品名、東ソー社製)を使用し、カラムとして、「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」及び「TSKgel G−2000HXL」(商品名、いずれも東ソー社製)の4本を使用し、検出器として、示差屈折率計を使用し、移動相:テトラヒドロフラン、測定温度:40℃、流速:1mL/minの条件下で測定することができる。
≪加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)≫
加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)は、樹脂中に、加水分解性シリル基と、(メタ)アクリロイル基に由来する基とを有するアクリル系共重合体である。
加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)は、樹脂中に、加水分解性シリル基と、(メタ)アクリロイル基に由来する基とを有するアクリル系共重合体である。
本明細書において、「加水分解性シリル基」は、加水分解によりシラノール基を生成し、当該シラノール基が脱水縮合して、シロキサン結合を形成する基であり、ケイ素原子に直接結合した一価の加水分解性原子(水と反応することでシラノール基を生成する原子)及びケイ素原子に直接結合した一価の加水分解性基(水と反応することでシラノール基を生成する基)の両方又は一方を有するシリル基である限り特に限定されない。上記加水分解性シリル基の具体例としては、例えば、クロロシリル基、ブロモシリル基等のハロゲン化シリル基、メトキシシリル基、エトキシシリル基、プロポキシシリル基、ブトキシシリル基等のアルコキシシリル基等、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
なお、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)は、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)の固形分質量に基づいて、フッ素含有オレフィン単位を含まない。
加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)の例としては、加水分解性シリル基含有重合性不飽和化合物(b1)と、(メタ)アクリロイル基含有化合物(b2)との単量体単位を含むものが挙げられる。
加水分解性シリル基含有重合性不飽和化合物(b1)としては、「水酸基含有フッ素樹脂(A)」における加水分解性シリル基含有重合性不飽和化合物(a3)に記載されるものが挙げられる。
(メタ)アクリロイル基含有化合物(b2)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基含有(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートにε−カプロラクトン等のラクトンを開環重合した化合物、及びポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのモノエステル化物等の水酸基含有(メタ)アクリレート;N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノメトキシ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノアルコキシ(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと酸無水物とのハーフエステル化物等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有(メタ)アクリレート;アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、リン酸モノ−〔(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリル酸〕エステル等のリン酸基含有(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド等の第4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート;ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート等;並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)が加水分解性シリル基含有重合性不飽和化合物(b1)及び(メタ)アクリロイル基含有化合物(b2)の単量体単位を含む実施形態では、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)は、全単量体単位を基準として、加水分解性シリル基含有重合性不飽和化合物(b1)を単量体単位として約1〜約50質量%、好ましくは約2〜約30質量%、さらに好ましくは約3〜約20質量%、
(メタ)アクリロイル基含有化合物(b2)を単量体単位として約50〜約99質量%、より好ましくは及び約70〜約98質量%、さらに好ましくは及び約80〜約97質量%含む。
(メタ)アクリロイル基含有化合物(b2)を単量体単位として約50〜約99質量%、より好ましくは及び約70〜約98質量%、さらに好ましくは及び約80〜約97質量%含む。
耐候性塗料組成物の貯蔵安定性、並びに形成される塗膜の硬化性及び塗膜物性の観点からである。
加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)は、任意の公知の方法、例えば、アゾ化合物、過酸化物等を開始剤に用いたラジカル重合法等により製造することができ、また、市販されている。
加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)は、形成される塗膜の耐候性の観点から、(メタ)アクリロイル基含有化合物(b2)としてメタクリロイル基含有化合物(b21)を含むことが好ましい。
(メタ)アクリロイル基含有化合物(b2)がメタクリロイル基含有化合物(b21)である実施形態では、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)は、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)の固形分質量に基づいて、メタクリロイル基含有化合物(b21)の単位を、好ましくは約50質量%以上、そしてより好ましくは70質量%以上有することが、形成される塗膜の耐候性の観点から望ましい。
メタクリロイル基含有化合物(b21)としては、加水分解性シリル基含有重合性不飽和化合物(b1)及び(メタ)アクリロイル基含有化合物(b2)で例示された化合物のうちメタクリロイル基を含有する化合物を挙げることができ、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、β−メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、β−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−メタクリロキシブチルフェニルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジエチルメトキシシラン等のメタクリロキシアルコキシシラン;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリデシルメタクリレート等の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基含有メタクリレート;メトキシエチルメタクリレート、メトキシプロピルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、エトキシプロピルメタクリレート等のアルコキシアルキルメタクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等のヒドロキシアルキルメタクリレート;アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、リン酸モノ−[(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸]エステル等のリン酸基含有メタクリレート;メタクリル酸などのカルボキシル基含有メタクリレート;並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)が加水分解性シリル基含有重合性不飽和化合物(b1)及び(メタ)アクリロイル基含有化合物(b2)の単量体単位を含む実施形態では、(メタ)アクリロイル基含有化合物(b2)が、(メタ)アクリル酸の、炭素数が約4〜18の直鎖状、分岐状又は環状アルキルエステル(b22)を含むことが好ましい。加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)の弱溶剤に対する溶解性が向上し、水酸基含有フッ素樹脂(A)及び加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)との相溶性が向上し、そして形成される塗膜の耐候性が向上するためである。
(メタ)アクリル酸の、炭素数が約4〜18の直鎖状、分岐状又は環状アルキルエステル(b22)の例として、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
また、(メタ)アクリロイル基含有化合物(b2)には、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルが含まれる。上記(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルの例として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、当該ヒドロキシアルキルエステルにε−カプロラクトン等のラクトンを開環重合した化合物、及びポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル化物等、並びにそれらの組み合わせが挙げられ、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートは、形成される塗膜の光沢を高くする観点から好ましい。
加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)が(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルを含む実施形態では、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)が、全単量体単位を基準として、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルを、好ましくは約0.1〜40質量%、そしてより好ましくは1〜20質量%含む。形成される塗膜の光沢と、弱溶剤への溶解性の観点からである。
本発明の耐候性塗料組成物の別の実施形態では、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)が、加水分解性シリル基含有重合性不飽和化合物(b1)と、(メタ)アクリロイル基含有化合物(b2)と、その他の重合性不飽和化合物(b3)との単量体単位を含む。
その他の重合性不飽和化合物(b3)としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;シクロヘキシルビニルエーテル、ノニルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;エチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル;「ベオバ−9」、「ベオバ−10」(いずれもシェル化学社製、商品名)等のカルボン酸ビニルエステル;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン等;フルオロアルキルトリフルオロビニルエーテル、パーフルオロアルキルトリフルオロビニルエーテル等のフルオロビニルエーテル等が挙げられる。
加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)は、弱溶剤に溶解性を有することが好ましい。加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)は、上記弱溶剤の存在下、又は上記弱溶剤及びそれ以外のその他の有機溶剤の存在下で、上述の単量体を重合することにより製造することができる。
加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)の不揮発性成分の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、硬化性、耐候性及び厚膜塗装性の観点から、約1,000〜約100,000の範囲にあり、そして好ましくは約2,000〜約80,000の範囲にある。
≪加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)≫
加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)は、耐候性塗料組成物の厚膜塗装性の観点から配合される成分であり、樹脂中に、加水分解性シリル基を含有し且つポリシロキサン骨格を有する樹脂である。
加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)は、耐候性塗料組成物の厚膜塗装性の観点から配合される成分であり、樹脂中に、加水分解性シリル基を含有し且つポリシロキサン骨格を有する樹脂である。
加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)は、例えば、次の式(1):
SiXnY4-n 式(1)
(式中、Xは、水酸基又はアルコキシ基を表わし、Yは、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基を表わし、そしてnは、1〜3の整数を表わす。)
で表わされる、同一又は異なる2以上のオルガノシランが化学結合することにより生成した樹脂、例えば、オリゴマーである。
SiXnY4-n 式(1)
(式中、Xは、水酸基又はアルコキシ基を表わし、Yは、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基を表わし、そしてnは、1〜3の整数を表わす。)
で表わされる、同一又は異なる2以上のオルガノシランが化学結合することにより生成した樹脂、例えば、オリゴマーである。
加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)において、式(1)で表されるオルガノシランが、直鎖状、又は分岐鎖状に結合されることができる。また、加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)は、ケイ素原子と直接結合する炭化水素基を有することが好ましい。
式(1)で表されるオルガノシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、γ−アシノプロピルトリエトキシシラン、4−アシノブチルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノメチルフェネチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、(p−クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、4−クロロフェニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)は、水酸基含有フッ素樹脂(A)及び加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)との相溶性、耐候性塗料組成物の厚膜塗装性、及び形成される塗膜の耐屈曲性の観点から、ケイ素原子と直接結合するメチル基及び/又はフェニル基を有していることが好ましい。
加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)の不揮発性成分の重量平均分子量は、特に制限されるものではないが、水酸基含有フッ素樹脂(A)及び加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)との相溶性、耐候性塗料のハイソリッド化、厚膜塗装性、並びに形成される塗膜の耐屈曲性の観点から、一般に約400〜約30,000、そして好ましくは約400〜約20,000の範囲にある。
加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)の市販品としては、例えば、「SR2406」、「SR2410」、「SR2420」、「SR2416」、「SR2402」、「AY42−161」、「DC−3074」及び「DC−3037」(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、「FZ−3704」及び「FZ−3511」(以上、日本ユニカー社製)、「KC−89S」、「KR−500」、「X−40−9225」、「X−40−9246」、「X−40−9250」、「KR−217」、「KR−9218」、「KR−213」、「KR−510」、「X−40−9227」、「X−40−9247」、「X−41−1053」、「X−41−1056」、「X−41−1805」、「X−41−1810」、「X−40−2651」、「X−40−2308」、「X−40−9238」、「X−40−2239」、「X−40−2327」、「KR−400」、「X−40−175」及び「X−40−9740」(以上、信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。
≪耐候性塗料組成物≫
本発明の耐候性塗料組成物は、水酸基含有フッ素樹脂(A)、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)及び加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)を、それらの総固形分質量に基づいて、それぞれ、水酸基含有フッ素樹脂(A)が、約1〜約90質量%、好ましくは約5〜約90質量%、
加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)が約3〜約94質量%、好ましくは約3〜約90質量%、
加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)が約3〜約50質量%、好ましくは約5〜約40質量%含む。
本発明の耐候性塗料組成物は、水酸基含有フッ素樹脂(A)、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)及び加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)を、それらの総固形分質量に基づいて、それぞれ、水酸基含有フッ素樹脂(A)が、約1〜約90質量%、好ましくは約5〜約90質量%、
加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)が約3〜約94質量%、好ましくは約3〜約90質量%、
加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)が約3〜約50質量%、好ましくは約5〜約40質量%含む。
耐候性塗料組成物のハイソリッド化、厚膜塗装性、形成される塗膜の仕上がり性(主に光沢)及び耐候性等の観点からである。
なお、本明細書において、「固形分」は、試料中の水、有機溶剤等の揮発成分を除いた不揮発性成分の比率を意味し、試料約2gを、105℃で3時間乾燥させ、乾燥前後の質量から求めることができる。また、本明細書において、「固形分質量」は、試料中の上記不揮発性成分の質量を意味する。
本発明の耐候性塗料組成物の実施形態の1つでは、形成される塗膜に低汚染性を付与するために、オルガノシリケートをさらに含む。
オルガノシリケートは、加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)以外の化合物であり、例えば、ケイ素原子と直接結合する炭化水素基を有さない、次の式(2):
Si(−OR1)4 式(2)
(式中、R1は、アルキル基、アリール基及びアラルキル基から選択される、同一又は異なる1価の炭化水素基である)
で示される化合物、並びにその部分加水分解及び縮合物が挙げられる。
Si(−OR1)4 式(2)
(式中、R1は、アルキル基、アリール基及びアラルキル基から選択される、同一又は異なる1価の炭化水素基である)
で示される化合物、並びにその部分加水分解及び縮合物が挙げられる。
式(2)において、R1は、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
オルガノシリケートの例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−イソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−イソブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、及びそれらの任意の組み合わせ、並びにそれらの部分加水分解及び縮合物が挙げられる。
オルガノシリケートの市販品としては、例えば、「エチルシリケート45」、「エチルシリケート40」及び「エチルシリケート48」(以上、コルコート社製)、「シリケート45」及び「シリケート40」(以上、多摩化学工業社製)、「TES40WN」(以上、旭化成ワッカーシリコーン社製)等を挙げることができる。
本発明の耐候性塗料組成物がオルガノシリケートを含む実施形態では、耐候性塗料組成物は、オルガノシリケートを、水酸基含有フッ素樹脂(A)、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)及び加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)の総固形分質量100質量部に基づいて、固形分質量で、好ましくは約1〜約30質量部、そしてより好ましくは約5〜約20質量部の範囲で含む。形成される塗膜の耐ワレ性の観点からである。
本発明の耐候性塗料組成物の実施形態の1つでは、耐候性塗料組成物は、従来公知の顔料を含む。上記顔料としては、例えば、酸化チタン、ベンガラ、シアニン系着色顔料、カーボンブラック、ジルコン粉末等の着色顔料;シリカ、バリタ粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、ホワイトカーボン、珪藻土、タルク、炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、タンカル等の体質顔料等、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
耐候性塗料組成物が顔料を含む実施形態では、耐候性塗料組成物は、顔料を、水酸基含有フッ素樹脂(A)、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)及び加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)の総固形分質量100質量部に基づいて、固形分質量で、好ましくは約50〜約100質量部、そしてより好ましくは約60〜約90質量部含む。形成される塗膜の厚膜塗装性、及び耐候性の観点からである。
本発明の耐候性塗料組成物の実施形態では、耐候性塗料組成物が主剤及び硬化剤からなる2液型の塗料組成物である。
上記2液型の塗料組成物は、水酸基含有フッ素樹脂(A)、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)及び加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)を含む主剤と、触媒を含む硬化剤との2液型の塗料組成物である。
塗装直前に主剤及び硬化剤を混合し、所望により溶剤で塗装粘度を調整した後に塗装することができるため、低温環境下でも、また、塗装後早期に厚膜で硬化性、耐候性、仕上がり性等に優れた塗膜が得られる。
本発明の耐候性塗料組成物の実施形態では、塗膜の常温硬化性を向上させ、早期に耐候性に優れた塗膜を形成させるために、耐候性塗料組成物を構成する硬化剤が、加水分解性シリル基の重縮合を促進する触媒(D)を含む。
理由は定かではないが、水酸基含有フッ素樹脂の水酸基価と含有量が本発明範囲内にある限り、上記主剤(I)に触媒(D)を含む硬化剤(II)を混合することで、本発明組成物は硬化性に優れる。
上記触媒としては、従来公知のものが挙げられ、そして上記触媒の例として、ジアセチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジアセチル錫ジオクトエート、オクチル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート等の有機錫化合物;アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリ−n−ブトキシド、アルミニウムトリス(アセトアセテートエチル)、アルミニウムジイソプロポキシ(アセトアセテートエチル)、アルミニウムアセチルアセトナート等の有機アルミニウム化合物;チタニウムテトラ(モノエチルエトキシド)、チタニウムテトラ(モノエチルエトキシド)、チタニウムテトラ(モノブチルエトキシド)、チタニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、テトラノルマルブチルチタネート等の有機チタン化合物;ジルコニウムテトラ(モノメチルエトキシド)、ジルコニウムテトラ(モノエチルエトキシド)、ジルコニウムテトラ(モノブチルエトキシド)、ジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウムノルマルブチレート、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)等の有機ジルコニウム化合物;ナフテン酸亜鉛等の有機亜鉛化合物;オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト等の有機コバルト化合物;トリメチルアミン、トリエチルアミン、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1−メチルピペリジン、1−メチルピロリジン等の脂肪族アミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、4−(1−ピペリジル)ピリジン、N−メチルイミダゾール、N,N−ジメチルアニリン等のアミン触媒;カルボン酸の鉛、スズ、亜鉛、及び鉄錯体;ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリフェニル、ホウ酸トリ(4−クロロフェニル)、ホウ酸トリヘキサフルオロイソプロピル等のホウ酸エステル等のホウ酸化合物等、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
上記硬化触媒(D)の量は、例えば、水酸基含有フッ素樹脂(A)、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)及び加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)の総固形分質量100質量部に基づいて、固形分質量で、好ましくは約0.01〜20質量部、そしてより好ましくは約0.1〜約10質量部含む。可使時間の観点からである。
本発明の耐候性塗料組成物の実施形態の1つでは、耐候性塗料組成物がハイソリッド型である。当該実施形態では、貯蔵段階(封缶状態)における耐候性塗料組成物又は主剤の固形分が、例えば、約60〜約85質量%、特に約65〜約80質量%の範囲にある。
また、本発明の耐候性塗料組成物の実施形態の1つでは、耐候性塗料組成物が、弱溶剤型の塗料組成物である。当該実施形態では、貯蔵段階(封缶状態)における塗料又は主剤に含まれる弱溶剤の比率が、全有機溶剤量を基準として、約80質量%以上、特に約80〜約100質量%の範囲にあることが好ましい。耐候性塗料組成物が弱溶剤型の塗料組成物であることにより、耐候性塗料組成物を下地、例えば、古い塗膜の上に塗装した際のチヂミの発生等を抑制することができ、そして塗装作業性にも優れる。なお、弱溶剤としては、上述の第3種有機溶剤の群から選択される一又は複数の溶剤が挙げられる。
耐候性塗料組成物が弱溶剤型の塗料組成物である実施形態では、耐候性塗料組成物は、弱溶剤の他に、全有機溶剤量を基準として、労働安全衛生法における第1種有機溶剤及び第2種有機溶剤を、好ましくは約20質量%以下、そしてより好ましくは約5質量%以下含むことができる。
なお、第1種有機溶剤としてとは、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロルエタン、1,2−ジクロルエチレン、1,1,2,2−テトラクロルエタン、トリクロルエタン、二硫化炭素、及びそれらの任意の組み合わせ等が挙げられる。
第2種有機溶剤とは、いわゆる強溶剤と呼ばれるものであり、例えば、アセトン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソペンチルアルコール、エチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、オルト−ジクロロベンゼン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソペンチル、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸−n−プロピル、酢酸−n−ペンチル、酢酸メチル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、スチレン、テトラクロロエチレン、テトラヒドロフラン、1,1,1−トリクロルエタン、トルエン、n−ヘキサン、1−ブタノール、2−ブタノール、メタノール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−ブチルケトン等、並びにそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。
本発明の耐候性塗料組成物のいくつかの実施形態では、主剤(I)及び/又は硬化剤(II)が、イソシアナト基含有アルコキシシラン化合物;シランカップリング剤;ポリイソシアネート化合物などの硬化剤成分;防錆顔料;アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂等の改質用樹脂;有機溶剤;反応性希釈剤;付着付与剤、沈降防止剤、分散剤、湿潤剤、脱水剤等の塗料用添加剤等を含む。
イソシアナト基含有アルコキシシラン化合物としては、分子中にイソシアナト基とアルコキシシリル基を共に有する化合物であれば従来公知のものを使用でき、例えばγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
本発明の耐候性塗料組成物がイソシアナト基含有アルコキシシランをさらに含む実施形態では、耐候性塗料組成物は、樹脂(A)、樹脂(B)及び樹脂(C)に含まれる水酸基の合計1当量を基準にしてイソシアナト基含有アルコキシシランランのイソシアナト基が0〜2.0当量、好ましくは0.01〜1.5当量の範囲内で含む。
付着性、厚塗り性及び硬化性の観点からである。
イソシアナト基含有アルコキシシラン化合物は主剤(I)又は硬化剤(I)のいずれに含ませることができるが、好ましくは主剤(I)に含まれる。イソシアナト基含有アルコキシシラン化合物が主剤(I)に含まれる樹脂中の水酸基に作用して、樹脂にウレタン結合を介したアルコキシシリル基が効率よく導入されると考察され、厚塗り時の塗膜硬化性と耐候性が向上するからである。
上記シランカップリング剤としては、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、ビニル基及び(メタ)アクリロイル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するアルコキシシラン化合物であり、例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基含有シランカップリング剤;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン等のビニル基含有シランカップリング剤;γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン等の(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤等が挙げられる。
耐候性塗料組成物が、シランカップリング剤を含む実施形態では、耐候性塗料組成物は、シランカップリング剤を、水酸基含有フッ素樹脂(A)、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)及び加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)の総固形分質量100質量部に基づいて、好ましくは約1.0〜約30質量部、そしてより好ましくは約1.5〜約20質量部の範囲で含む。付着性向上の観点からである。
本発明の耐候性塗料組成物の実施形態の1つでは、耐候性塗料組成物が常温硬化型であり、形成した硬化塗膜が優れた性能を発揮することができる。本発明の耐候性塗料組成物の他の実施形態では、耐候性塗料組成物が乾燥硬化型又は加熱硬化型である。
本発明の耐候性塗料組成物の用途としては、特に制限されるものではないが、橋梁、送電鉄塔、プラント、タンク等の鋼製構造物の重防食塗装の上塗り用途が挙げられる。
≪耐候性塗膜を有する塗装物品の製造方法≫
耐候性塗料組成物を塗装すべき被塗物としては、所望により下地処理された金属素材、例えば、鋼板、亜鉛めっき、ステンレス、アルミニウム等、アルカリ性を有する基材、例えば、コンクリート、モルタル、スレート、スレート瓦等、窯業系建材、プラスチック等、並びにそれらの上に古い塗膜が形成されているものが挙げられる。
耐候性塗料組成物を塗装すべき被塗物としては、所望により下地処理された金属素材、例えば、鋼板、亜鉛めっき、ステンレス、アルミニウム等、アルカリ性を有する基材、例えば、コンクリート、モルタル、スレート、スレート瓦等、窯業系建材、プラスチック等、並びにそれらの上に古い塗膜が形成されているものが挙げられる。
耐候性塗膜を有する塗装物品は、例えば、上記被塗物に、上記耐候性塗料組成物を塗装し、耐候性塗膜を形成することにより製造することができる。
上記耐候性塗料組成物は、必要に応じて希釈して、例えば、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り、流し塗り等の公知の手段で塗装することができる。
また、耐候性塗膜を有する塗装物品の製造方法の実施形態の1つでは、耐候性塗料組成物により耐候性塗膜を形成する前に、被塗物に下塗り塗料を塗装し、防食塗膜を形成する。
上記下塗り塗料としては、当技術分野で公知の下塗り塗料が挙げられる。
上記下塗り塗料の例として、エポキシ樹脂塗料、変性エポキシ樹脂塗料、エポキシ樹脂系ガラスフレーク塗料、エポキシ樹脂被覆材料、超厚膜形エポキシ樹脂塗料、エポキシ樹脂ジンクリッチペイント、無機ジンクリッチペイント、塩化ゴム樹脂系塗料、フタル酸樹脂系塗料、エポキシエステル樹脂塗料等が挙げられる。
上記下塗り塗料は、1回塗り又は複数回塗りにより塗装され、その膜厚は、乾燥膜厚で、好ましくは約10〜約2,500μm、より好ましくは約30〜約600μm、そしてさらに好ましくは約60〜約120μmの範囲にある。
本発明の耐候性塗料組成物は厚膜塗装性を有しているため、中塗り塗装を省略し、中塗り及び上塗りを兼ねることができる。本発明の耐候性塗料組成物が中塗り及び上塗りを兼ねる場合には、上記耐候性塗料組成物は、1回塗り又は複数回塗りで塗装され、塗膜の膜厚は、乾燥膜厚で約50〜約150μm、特に約50〜約100μmの範囲であることができる。
耐候性塗膜を有する塗装物品の製造方法のさらに別の実施形態では、耐候性塗料組成物を塗装する前に、下塗り塗料による防食塗膜の上に、中塗り塗料により中塗り塗膜を形成する。
上記中塗り塗料の例として、エポキシ樹脂系塗料、ポリウレタン系塗料、エポキシ樹脂MIO塗料、フェノール樹脂系MIO塗料、塩化ゴム樹脂系塗料、フタル酸樹脂系塗料等が挙げられる。当該実施形態では、下塗り塗料を、乾燥膜厚が好ましくは約30〜約1,200μm、より好ましくは約30〜約600μm、さらに好ましくは約60〜約120μmとなるように塗装し、そして中塗り塗料を、乾燥膜厚が好ましくは約30〜約80μm、より好ましくは約30〜約60μmとなるように塗装し、そして耐候性塗料組成物を、乾燥膜厚が好ましくは約20〜約60μm、より好ましくは約20〜約50μmとなるように塗装することができる。
上記下塗り塗料、中塗り塗料及び耐候性塗料組成物は、それぞれ、1回又は複数回で塗装することができる。
耐候性塗膜を有する塗装物品の製造方法のさらに別の実施形態では、フタル酸樹脂系、ウレタン樹脂系、アクリルシリコン樹脂系、ふっ素樹脂系の上塗り塗料、アルキド樹脂系、アクリル変性エポキシ樹脂系、シリコン変性エポキシ樹脂系の下塗りと上塗りとを兼ねる塗料のさらに上に、オーバートップコートとして、上記耐候性塗料組成物を塗装する。
本発明の耐候性塗料組成物は、常温乾燥の条件でも容易に硬化することができ、防食塗装が施工されるような厳しい環境下においても長期に渡って耐候性に優れる塗膜を形成することができる。
また、本塗料の耐候性塗料組成物は、厚膜塗装性に優れるため、上塗り塗料としてだけでなく、中塗り塗料と上塗り塗料を兼ねる中上塗り塗料としても適用されうる。
さらに、本発明の耐候性塗料組成物は、長期耐候性を有する耐候性塗膜を形成することができるので、塗り替えまでの期間を長くすることができ、且つ塗装工程を省略することも可能であるために、鋼製構造物等の被塗物の塗装に関わるメンテナンスコストを大幅に抑えることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、下記例中の「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
≪塗料組成物の製造≫
[実施例1〜41及び比較例1〜4]
表1の組成に従って、容器に、各材料を添加し、そして攪拌することにより、固形分が約75%となるように調整して、塗料組成物No.1〜45を製造した。
[実施例1〜41及び比較例1〜4]
表1の組成に従って、容器に、各材料を添加し、そして攪拌することにより、固形分が約75%となるように調整して、塗料組成物No.1〜45を製造した。
なお、表1において、括弧内の数字、すなわち、水酸基含有フッ素樹脂(A)及び加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)の量は、固形分質量を意味し、そして括弧のない数字、すなわち、シリコーンオリゴマー、オルガノシリケート、触媒、イソシアナトシラン及びシランカップリング剤の量は、実際に添加した量を意味する。
≪試験塗板の作成≫
A.耐候性塗料組成物が上塗り塗料である例:
アセトンで脱脂した鋼板上に、弱溶剤可溶厚膜型変性エポキシ樹脂系錆止め塗料(「エスコNBセーフティ」(商品名、関西ペイント社製、主剤/アミン硬化剤=17/1)を、乾燥膜厚が60μmとなるようにスプレー塗装し、23℃で24時間乾燥させ、次いで中塗り塗料として弱溶剤可溶イソシアネート硬化ポリウレタン塗料(「セラテクトマイルド中塗り」(商品名、関西ペイント社製、主剤/イソシアネート硬化剤質量比10/1)を、乾燥膜厚が30μmとなるようにスプレー塗装し、23℃で24時間乾燥させ、次いで、塗料組成物No.1〜45を、乾燥膜厚が25μmとなるようにスプレー塗装し、23℃で168時間乾燥させることにより、試験板(A)No.1〜45を製造した。
A.耐候性塗料組成物が上塗り塗料である例:
アセトンで脱脂した鋼板上に、弱溶剤可溶厚膜型変性エポキシ樹脂系錆止め塗料(「エスコNBセーフティ」(商品名、関西ペイント社製、主剤/アミン硬化剤=17/1)を、乾燥膜厚が60μmとなるようにスプレー塗装し、23℃で24時間乾燥させ、次いで中塗り塗料として弱溶剤可溶イソシアネート硬化ポリウレタン塗料(「セラテクトマイルド中塗り」(商品名、関西ペイント社製、主剤/イソシアネート硬化剤質量比10/1)を、乾燥膜厚が30μmとなるようにスプレー塗装し、23℃で24時間乾燥させ、次いで、塗料組成物No.1〜45を、乾燥膜厚が25μmとなるようにスプレー塗装し、23℃で168時間乾燥させることにより、試験板(A)No.1〜45を製造した。
B.耐候性塗料組成物が中塗り及び上塗りを兼ねる塗料である例
アセトンで脱脂した鋼板上に、弱溶剤可溶厚膜型変性エポキシ樹脂系錆止め塗料(「エスコNBマイルドH」(商品名、関西ペイント社製、主剤/アミン硬化剤=9/1)を、乾燥膜厚が120μmとなるようにスプレー塗装し、23℃で24時間乾燥させ、次いで、塗料組成物No.1〜45を、乾燥膜厚が55μmとなるようにスプレー塗装し、23℃で168時間乾燥させることにより、試験板(B)No.1〜45を製造した。
アセトンで脱脂した鋼板上に、弱溶剤可溶厚膜型変性エポキシ樹脂系錆止め塗料(「エスコNBマイルドH」(商品名、関西ペイント社製、主剤/アミン硬化剤=9/1)を、乾燥膜厚が120μmとなるようにスプレー塗装し、23℃で24時間乾燥させ、次いで、塗料組成物No.1〜45を、乾燥膜厚が55μmとなるようにスプレー塗装し、23℃で168時間乾燥させることにより、試験板(B)No.1〜45を製造した。
≪性能評価≫
塗料組成物No.1〜45を評価した。結果を下記表1に示す。
塗料組成物No.1〜45を評価した。結果を下記表1に示す。
≪水酸基含有フッ素樹脂(A)≫
[A1]
クロロトリフルオロエチレン/シクロヘキシルアクリレート/n−ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルアクリレート=37/44/10/9共重合体の溶液、水酸基価:44mgKOH/g、重量平均分子量:28,000、固形分:64%、溶剤:ミネラルスピリット
[A2]
クロロトリフルオロエチレン/シクロヘキシルアクリレート/ヒドロキシエチルアクリレート=48/40/12の共重合体の溶液、水酸基価:59mgKOH/g、重量平均分子量:30,000、固形分:64%、溶剤:ミネラルスピリット
[A3]
クロロトリフルオロエチレン/シクロヘキシルアクリレート/n−ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルアクリレート=28/30/28/14の共重合体の溶液、水酸基価:68mgKOH/g、重量平均分子量:15,000、固形分:64%、溶剤:ミネラルスピリット。
[A1]
クロロトリフルオロエチレン/シクロヘキシルアクリレート/n−ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルアクリレート=37/44/10/9共重合体の溶液、水酸基価:44mgKOH/g、重量平均分子量:28,000、固形分:64%、溶剤:ミネラルスピリット
[A2]
クロロトリフルオロエチレン/シクロヘキシルアクリレート/ヒドロキシエチルアクリレート=48/40/12の共重合体の溶液、水酸基価:59mgKOH/g、重量平均分子量:30,000、固形分:64%、溶剤:ミネラルスピリット
[A3]
クロロトリフルオロエチレン/シクロヘキシルアクリレート/n−ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルアクリレート=28/30/28/14の共重合体の溶液、水酸基価:68mgKOH/g、重量平均分子量:15,000、固形分:64%、溶剤:ミネラルスピリット。
≪加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)≫
[B1]
イソボルニルアクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=20/30/20/20/10の共重合体の溶液、重量平均分子量:20,000、固形分:60%、溶剤:ミネラルスピリット
「B2]
イソボルニルアクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルへキシルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=5/40/20/30/5の共重合体の溶液、重量平均分子量:25,000、固形分:60%、溶剤:ミネラルスピリット
[B3]
イソボルニルアクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン=30/50/10/10の共重合体の溶液、重量平均分子量:30,000、固形分:60%、溶剤:ミネラルスピリット
[B4]
イソボルニルアクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン=50/25/15/10の共重合体の溶液、重量平均分子量:28,000、固形分:60%、溶剤:ミネラルスピリット
[B5]
イソボルニルアクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン=10/55/20/15の共重合体の溶液、重量平均分子量:24,000、固形分:60%、溶剤:ミネラルスピリット
[B6]
イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=20/35/35/10の共重合体の溶液、重量平均分子量:31,000、固形分:60%、溶剤:ミネラルスピリット
[B7]
イソボルニルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=20/5/30/35/10の共重合体の溶液、重量平均分子量:30,000、固形分:60%、溶剤:ミネラルスピリット
[B8]
イソボルニルアクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=20/20/10/5/35/10の共重合体の溶液、重量平均分子量:35,000、固形分:60%、溶剤:ミネラルスピリット
[B9]
イソボルニルアクリレート/メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=20/10/15/15/35/5の共重合体の溶液、重量平均分子量:40,000、固形分:60%、溶剤:ミネラルスピリット
[B10]
シクロヘキシルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=25/10/15/15/30/5の共重合体の溶液、重量平均分子量:22,000、固形分:60%、溶剤:ミネラルスピリット
[B11]
シクロヘキシルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=35/15/15/25/10の共重合体の溶液、重量平均分子量:33,000、固形分:60%、溶剤:ミネラルスピリット
[B12]
シクロヘキシルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=45/15/30/10の共重合体の溶液、重量平均分子量:29,000、固形分:60%、溶剤:ミネラルスピリット。
[B1]
イソボルニルアクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=20/30/20/20/10の共重合体の溶液、重量平均分子量:20,000、固形分:60%、溶剤:ミネラルスピリット
「B2]
イソボルニルアクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルへキシルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=5/40/20/30/5の共重合体の溶液、重量平均分子量:25,000、固形分:60%、溶剤:ミネラルスピリット
[B3]
イソボルニルアクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン=30/50/10/10の共重合体の溶液、重量平均分子量:30,000、固形分:60%、溶剤:ミネラルスピリット
[B4]
イソボルニルアクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン=50/25/15/10の共重合体の溶液、重量平均分子量:28,000、固形分:60%、溶剤:ミネラルスピリット
[B5]
イソボルニルアクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン=10/55/20/15の共重合体の溶液、重量平均分子量:24,000、固形分:60%、溶剤:ミネラルスピリット
[B6]
イソボルニルアクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=20/35/35/10の共重合体の溶液、重量平均分子量:31,000、固形分:60%、溶剤:ミネラルスピリット
[B7]
イソボルニルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=20/5/30/35/10の共重合体の溶液、重量平均分子量:30,000、固形分:60%、溶剤:ミネラルスピリット
[B8]
イソボルニルアクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=20/20/10/5/35/10の共重合体の溶液、重量平均分子量:35,000、固形分:60%、溶剤:ミネラルスピリット
[B9]
イソボルニルアクリレート/メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=20/10/15/15/35/5の共重合体の溶液、重量平均分子量:40,000、固形分:60%、溶剤:ミネラルスピリット
[B10]
シクロヘキシルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=25/10/15/15/30/5の共重合体の溶液、重量平均分子量:22,000、固形分:60%、溶剤:ミネラルスピリット
[B11]
シクロヘキシルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=35/15/15/25/10の共重合体の溶液、重量平均分子量:33,000、固形分:60%、溶剤:ミネラルスピリット
[B12]
シクロヘキシルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン=45/15/30/10の共重合体の溶液、重量平均分子量:29,000、固形分:60%、溶剤:ミネラルスピリット。
≪加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)≫
[C1]
加水分解性シリル基含有フェニルメチルアルコキシシリコーンオリゴマー、重量平均分子量:1,200、固形分:100%
[C2]
加水分解性シリル基含有フェニルメチルアルコキシシリコーンオリゴマー、重量平均分子量:6,000、固形分:100%
[C3]
加水分解性シリル基含有ジメチルアルコキシシリコーンオリゴマー、重量平均分子量:2,500、固形分:100%
≪オルガノシリケート≫
[E1]
「エチルシリケート48」、商品名、多摩化学社製、テトラエトキシシランの縮合物
≪その他の成分≫
[E2]
二酸化チタン、「TRONOX CR−826」、商品名、TRONOX PIGMENTS社製
[E3]
増粘剤、「ディスパロン6820−10M」、商品名、楠本化成株式会社、アマイド
[D1]
触媒、「SCAT−8」、商品名、ジブチル錫アセテート
[E4]
イソシアナトシラン:γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン
[E5]
シランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン。
[C1]
加水分解性シリル基含有フェニルメチルアルコキシシリコーンオリゴマー、重量平均分子量:1,200、固形分:100%
[C2]
加水分解性シリル基含有フェニルメチルアルコキシシリコーンオリゴマー、重量平均分子量:6,000、固形分:100%
[C3]
加水分解性シリル基含有ジメチルアルコキシシリコーンオリゴマー、重量平均分子量:2,500、固形分:100%
≪オルガノシリケート≫
[E1]
「エチルシリケート48」、商品名、多摩化学社製、テトラエトキシシランの縮合物
≪その他の成分≫
[E2]
二酸化チタン、「TRONOX CR−826」、商品名、TRONOX PIGMENTS社製
[E3]
増粘剤、「ディスパロン6820−10M」、商品名、楠本化成株式会社、アマイド
[D1]
触媒、「SCAT−8」、商品名、ジブチル錫アセテート
[E4]
イソシアナトシラン:γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン
[E5]
シランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン。
[耐候性]
キセノンウェザーメーター試験機を用いて、試験板(A)及び試験版(B)の促進耐候性を評価した。5000時間経過後の塗膜の光沢を、促進耐候性試験を行っていない初期の塗膜の光沢と、下記の基準に従って比較した。
◎:光沢がほとんど低下しなかった
○:光沢が若干低下したが、製品として問題がない
△:光沢が著しく低下した
×:光沢が極めて著しく低下した
[耐屈曲性]
塗料組成物No.1〜45を、アセトンで脱脂した鋼板上に、乾燥膜厚が25μmとなるようにスプレー塗装し、23℃で168時間乾燥させることにより、試験板(C)No.1〜45を製造し、試験板(C)No.1〜45の耐屈曲性を評価した。
キセノンウェザーメーター試験機を用いて、試験板(A)及び試験版(B)の促進耐候性を評価した。5000時間経過後の塗膜の光沢を、促進耐候性試験を行っていない初期の塗膜の光沢と、下記の基準に従って比較した。
◎:光沢がほとんど低下しなかった
○:光沢が若干低下したが、製品として問題がない
△:光沢が著しく低下した
×:光沢が極めて著しく低下した
[耐屈曲性]
塗料組成物No.1〜45を、アセトンで脱脂した鋼板上に、乾燥膜厚が25μmとなるようにスプレー塗装し、23℃で168時間乾燥させることにより、試験板(C)No.1〜45を製造し、試験板(C)No.1〜45の耐屈曲性を評価した。
耐屈曲性は、JIS K 5600−5−1:1999の第5部:塗膜の機械的性質、第1節:耐屈曲性(円筒形マンドレル法)に従い、マンドレルの直径が10mmのタイプIの試験装置を用いて、下記基準に従って評価した。
◎:屈曲面の塗膜に変化が観察されなかった
○:屈曲面の塗膜にワレは観察されなかったが、塗膜に僅かに変化があった
△:屈曲部の塗膜の一部にワレが観察された
×:屈曲部の塗膜全体にワレが観察された。
◎:屈曲面の塗膜に変化が観察されなかった
○:屈曲面の塗膜にワレは観察されなかったが、塗膜に僅かに変化があった
△:屈曲部の塗膜の一部にワレが観察された
×:屈曲部の塗膜全体にワレが観察された。
[防食性]
試験板(A)及び(B)No.1〜45に、カッターナイフで、金属基材に達するように、幅1mmのX字型の傷を付け、500時間の塩水噴霧試験を実施し、塗膜の状態を下記基準に従って評価した。
○:カッターナイフで傷を付けた箇所に異常が観察されなかった
△:カッターナイフで傷を付けた箇所を中心にわずかに錆が観察された
×:カッターナイフで傷を付けた箇所を中心に著しい錆が観察された。
試験板(A)及び(B)No.1〜45に、カッターナイフで、金属基材に達するように、幅1mmのX字型の傷を付け、500時間の塩水噴霧試験を実施し、塗膜の状態を下記基準に従って評価した。
○:カッターナイフで傷を付けた箇所に異常が観察されなかった
△:カッターナイフで傷を付けた箇所を中心にわずかに錆が観察された
×:カッターナイフで傷を付けた箇所を中心に著しい錆が観察された。
[厚膜塗装性]
垂直に立てたアセトンで脱脂した鋼板上に、塗料組成物No.1〜45を、JIS K 5400−6.4に示すサグテスターを用いて塗装し、23℃で24時間乾燥させた後、塗膜の流れていない部分の乾燥膜厚の上限を測定し、下記基準で評価した。
◎:上限が60μm以上であった
○:上限が55μm以上且つ60μm未満であった
△:上限が50μm以上且つ55μm未満であった
×:上限が50μm未満であった。
垂直に立てたアセトンで脱脂した鋼板上に、塗料組成物No.1〜45を、JIS K 5400−6.4に示すサグテスターを用いて塗装し、23℃で24時間乾燥させた後、塗膜の流れていない部分の乾燥膜厚の上限を測定し、下記基準で評価した。
◎:上限が60μm以上であった
○:上限が55μm以上且つ60μm未満であった
△:上限が50μm以上且つ55μm未満であった
×:上限が50μm未満であった。
[補修性]
アセトンで脱脂した鋼板上に、弱溶剤可溶厚膜型変性エポキシ樹脂系錆止め塗料(「エスコNBセーフティ」(商品名、関西ペイント社製、主剤/アミン硬化剤=17/1)を、乾燥膜厚が60μmとなるようにスプレー塗装し、23℃で24時間乾燥させ、その上に、弱溶剤可溶イソシアネート硬化ポリウレタン塗料(「セラテクトマイルド中塗り」(商品名、関西ペイント社製、主剤/イソシアネート硬化剤質量比10/1)を、乾燥膜厚が30μmとなるようにスプレー塗装し、23℃で24時間乾燥させ、そしてその上に、塗料組成物No.1〜45を、乾燥膜厚が25μmとなるようにスプレー塗装し、23℃で168時間乾燥させた。次いで、その上に、補修用上塗り塗膜として、同一の塗料組成物No.1〜45を、乾燥膜厚が25μmとなるようにスプレー塗装し、23℃で168時間乾燥させることにより、試験板(D)No.1〜45を製造した。試験板(D)No.1〜45を、水に168時間浸漬し、水から引き上げ直後に、JIS K5600の「第5部:塗膜の機械的性質」、「第6節:付着性(クロスカット法)」に従って付着性を試験し、下記基準に従って評価した。
◎:補修用上塗り塗膜が剥離しなかった
○:補修用上塗り塗膜がわずかに剥離した
△:補修用上塗り塗膜が著しく剥離した
×:補修用上塗り塗膜が極めて著しく剥離した
アセトンで脱脂した鋼板上に、弱溶剤可溶厚膜型変性エポキシ樹脂系錆止め塗料(「エスコNBセーフティ」(商品名、関西ペイント社製、主剤/アミン硬化剤=17/1)を、乾燥膜厚が60μmとなるようにスプレー塗装し、23℃で24時間乾燥させ、その上に、弱溶剤可溶イソシアネート硬化ポリウレタン塗料(「セラテクトマイルド中塗り」(商品名、関西ペイント社製、主剤/イソシアネート硬化剤質量比10/1)を、乾燥膜厚が30μmとなるようにスプレー塗装し、23℃で24時間乾燥させ、そしてその上に、塗料組成物No.1〜45を、乾燥膜厚が25μmとなるようにスプレー塗装し、23℃で168時間乾燥させた。次いで、その上に、補修用上塗り塗膜として、同一の塗料組成物No.1〜45を、乾燥膜厚が25μmとなるようにスプレー塗装し、23℃で168時間乾燥させることにより、試験板(D)No.1〜45を製造した。試験板(D)No.1〜45を、水に168時間浸漬し、水から引き上げ直後に、JIS K5600の「第5部:塗膜の機械的性質」、「第6節:付着性(クロスカット法)」に従って付着性を試験し、下記基準に従って評価した。
◎:補修用上塗り塗膜が剥離しなかった
○:補修用上塗り塗膜がわずかに剥離した
△:補修用上塗り塗膜が著しく剥離した
×:補修用上塗り塗膜が極めて著しく剥離した
Claims (11)
- 主剤(I)及び硬化剤(II)とからなる多成分系の組成物であって、
主剤(I)が、水酸基価が10〜100mgKOH/gの水酸基含有フッ素樹脂(A)、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)及び加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)を含み、硬化剤(II)が加水分解性シリル基の重縮合を促進する触媒(D)を含むものであり、
水酸基含有フッ素樹脂(A)、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)及び加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)を、それらの総固形分質量に基づいて、樹脂(A)を1〜90質量%、樹脂(B)を3〜94質量%、樹脂(C)を3〜50質量%含むことを特徴とする耐候性塗料組成物。 - 水酸基含有フッ素樹脂(A)が、フッ素含有オレフィン(a1)と、水酸基含有重合性不飽和化合物(a3)との単量体単位を含む、請求項1に記載の組成物。
- 加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)が、加水分解性シリル基含有重合性不飽和化合物(b1)と、(メタ)アクリロイル基含有化合物(b2)との単量体単位を含む、請求項1〜2のいずれか一項に記載の組成物。
- 加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)が、全単量体単位を基準として、加水分解性シリル基含有重合性不飽和化合物(b1)を単量体単位として、1〜50質量%、
メタ)アクリロイル基含有化合物(b2)を単量体単位として50〜99質量%含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。 - 加水分解性シリル基含有アクリル樹脂(B)が、単量体単位として、(メタ)アクリル酸と、炭素数4〜18の直鎖状、分岐状又は環状アルコールとのエステル(b22)を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
- 加水分解性シリル基含有シリコーン樹脂(C)が、ケイ素原子に直接結合するメチル基及び/又はフェニル基を有するオリゴマーである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
- イソシアナト基含有アルコキシシラン化合物をさらに含む請求項1ないし6のいずれか1項に記載の組成物。
- 弱溶剤型の塗料組成物である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
- 耐候性塗膜を有する塗装物品の製造方法であって、
被塗物に、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物を塗装し、耐候性塗膜を形成するステップ、
を含む方法。 - 前記耐候性塗膜を形成するステップの前に、被塗物に下塗り塗料を塗装し、防食塗膜を形成するステップを含む、請求項9に記載の方法。
- 前記防食塗膜を形成するステップの後且つ前記耐候性塗膜を形成するステップの前に、前記防食塗膜の上に中塗り塗料を塗装し、中塗り塗膜を形成するステップを含む、請求項10に記載の方法。
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2012
- 2012-09-17 JP JP2012203760A patent/JP2014058612A/ja active Pending
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