JP2014055484A - 建物用制震ダンパーおよび建物 - Google Patents

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Abstract

【課題】建物用制震ダンパーにおいて、建物の寿命と同程度の長期にわたり、作動初期から遅れることなく減衰力を発生する性能を維持するとともに、減衰機能を安定して発揮する。
【解決手段】第2ロッドガイド8には、所定の選択的流通機能を有する選択的流通機構12が設けられている。これにより、オイル25がダンパー室S1からチャンバーS2へ移動しようとするときには、オイル25の流速が所定の基準速度より遅い場合に、この方向の移動が許可されるとともに、オイル25の流速が基準速度以上である場合に、この方向の移動が抑制される。また、オイル25のチャンバーS2からダンパー室S1への移動が許可される。
【選択図】図2

Description

本発明は、木造家屋などの建物を地震から守るために用いられる制震ダンパー、つまり建物用制震ダンパーと、この建物用制震ダンパーが装着された建物とに関するものである。
この種の建物においては、地震発生時の揺れを吸収すべく、2つの構造部材(例えば、柱および梁、柱および桁など)間に建物用制震ダンパーを取り付けて配置するのが一般的である(例えば、特許文献1、2参照)。
従来、この建物用制震ダンパーとしては、シリンダー内にピストンを摺動自在に装着し、これらのシリンダーおよびピストンによって形成された空間にフリーピストンを摺動自在に装着し、このフリーピストンの一方側(ピストン側)のオイル室にオイルを充填するとともに、フリーピストンの他方側のガス室に高圧のガスを封入した構成を有するガス封入タイプのものが多用されている。それは、このガス封入タイプの建物用制震ダンパーが、その作動初期から遅れることなく減衰力を発生するという長所を備えているからである。
特開2000−88051号公報 特開2003−227243号公報
しかしながら、このガス封入タイプの建物用制震ダンパーを建物に適用する上で、次のような課題があった。
第1に、ガス封入タイプの建物用制震ダンパーでは、その使用中(施工後)において、建物用制震ダンパーの周囲の温度変化に伴ってオイルが膨張・収縮し、シリンダー内でフリーピストンが摺動するため、ガス置換(ガス室のガスがシリンダーとフリーピストンとの隙間を通ってオイル室へ漏れる現象)を引き起こしやすい。このガス置換が発生すると、オイル中にガスが微細な気泡となって存在することになる。そのため、上述した建物用制震ダンパーの長所(作動初期から遅れることなく減衰力を発生すること)を長期にわたって維持することができなくなる。
第2に、ガス室のガスが高圧であり、その圧力がシリンダー内のガスやオイルを漏らす方向に作用していることに加えて、建物は一般に寿命(耐用年数)が数十年と長いことから、その間にガスやオイルが漏れる恐れがある。しかも、建物用制震ダンパーは通常、建物の構造躯体の内部(外壁と内壁との間、1階の天井材と2階の床材との間など)に施工されて竣工後に隠れてしまうため、こうしたガスやオイルの漏れが生じても、その認知が容易ではない。その結果、建物用制震ダンパーとして長期にわたって減衰機能を安定して発揮することが難しくなる。
本発明は、このような事情に鑑み、ガス封入タイプの建物用制震ダンパーの欠点であるガス置換やガス圧によるガスやオイルの漏れやすさの要因を排除することにより、建物の寿命と同程度の長期にわたり、作動初期から遅れることなく減衰力を発生する性能を維持するとともに、減衰機能を安定して発揮することが可能な建物用制震ダンパーを提供することを第1の目的とする。また、このような建物用制震ダンパーが装着されることにより、長期にわたって高い制震性能を維持することが可能な建物を提供することを第2の目的とする。
かかる目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、シリンダーと、このシリンダー内を摺動するピストンと、このピストンの摺動方向の一方側へ延びて前記シリンダーから突出する第1ロッドと、前記ピストンの摺動方向の他方側へ延びる第2ロッドと、前記シリンダーに固定され、前記第1ロッドを摺動自在にガイドする第1ロッドガイドと、前記シリンダーに固定され、前記第2ロッドを摺動自在にガイドする第2ロッドガイドと、前記シリンダー内で前記第1ロッドガイドおよび前記第2ロッドガイドに挟まれて形成されたダンパー室と、このダンパー室に充填された作動液と、前記シリンダー内で前記第2ロッドガイドを挟んで前記ダンパー室の反対側に形成されたチャンバーとを有し、建物の2つの構造部材のうち、一方の構造部材に前記シリンダーが取り付けられるとともに、他方の構造部材に前記第1ロッドが取り付けられるようにして、当該建物に装着された状態で、前記ピストンが前記ダンパー室内を摺動することにより、前記ピストンの摺動方向における前記シリンダーと前記第1ロッドとの相対変動を抑える建物用制震ダンパーであって、前記一方の構造部材に前記シリンダーが取り付けられるとともに、前記他方の構造部材に前記第1ロッドが取り付けられるようにして、前記建物に装着された状態で、前記作動液が前記チャンバーに貯留されて前記第2ロッドガイドが当該作動液に浸漬され、前記第2ロッドガイドには、前記作動液が前記ダンパー室から前記チャンバーへ移動しようとするときには、当該作動液の流速が所定の基準速度より遅い場合に、この方向の移動を許可するとともに、当該作動液の流速が前記基準速度以上である場合に、この方向の移動を抑制し、かつ、前記作動液の前記チャンバーから前記ダンパー室への移動を許可する選択的流通機能を有する選択的流通機構が設けられている建物用制震ダンパーとしたことを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記基準速度は、前記ダンパー室内の前記作動液が熱膨張した場合に当該作動液が前記選択的流通機構を通過するときの流速より大きく、かつ、前記建物に地震力が作用して前記建物用制震ダンパーが縮んだ場合に前記ピストンの摺動によって前記ダンパー室内の前記作動液が前記選択的流通機構を通過するときの流速以下の速度であることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の構成に加え、前記選択的流通機構は、前記ダンパー室と前記チャンバーとを連通するように前記第2ロッドガイドに貫通して形成された流路と、この流路に形成された弁座と、前記作動液が前記ダンパー室から前記チャンバーへ移動しようとするときには、当該作動液の流速が前記基準速度より遅い場合に、前記弁座から離れて前記流路を開放して、この方向の移動を許可するとともに、当該作動液の流速が前記基準速度以上である場合に、前記弁座に接触して前記流路を閉塞して、この方向の移動を抑制し、かつ、前記作動液の前記チャンバーから前記ダンパー室への移動を許可する弁体とから構成されていることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の構成に加え、前記選択的流通機構は、オリフィスまたは多孔質物質からなり、前記作動液が前記ダンパー室から前記チャンバーへ移動しようとするときには、当該作動液の流速が前記基準速度より遅い場合に、この方向の移動を許可するとともに、当該作動液の流速が前記基準速度以上である場合に、この方向の移動を抑制し、かつ、前記作動液の前記チャンバーから前記ダンパー室への移動を許可するように構成されていることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の建物用制震ダンパーが装着されている建物としたことを特徴とする。
さらに、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の構成に加え、前記チャンバーが前記ダンパー室より上側に位置するように前記建物用制震ダンパーが装着されることにより、前記第2ロッドガイドが前記チャンバー内の前記作動液に浸漬されていることを特徴とする。
請求項1〜4に記載の発明によれば、所定の選択的流通機能を有する選択的流通機構が第2ロッドガイドに設けられているので、たとえダンパー室内に気泡が存在したとしても、この気泡をチャンバーへ排出することができる。その結果、建物用制震ダンパーにおいて、建物の寿命と同程度の長期にわたり、作動初期から遅れることなく減衰力を発生する性能を維持することが可能となる。
また、建物用制震ダンパーが作動していないとき、その内部はほぼ大気圧であり、作動液の漏れを誘発する圧力は発生していない。したがって、建物用制震ダンパーにおいて、建物の寿命と同程度の長期にわたり、作動液の漏れの発生を防いで減衰機能を安定して発揮することが可能となる。
請求項5、6に記載の発明によれば、上述した効果を有する建物用制震ダンパーが建物に装着されているので、長期にわたって高い制震性能を維持することが可能な建物を提供することが可能となる。
本発明の実施の形態1に係る建物用制震ダンパーを示す断面図である。 図1に示す建物用制震ダンパーの詳細断面図であって、(a)はそのダンパー室の近傍を示す図、(b)は(a)のA部分の拡大図である。 図1に示す建物用制震ダンパーの使用状態を示す正面図である。 本発明の実施の形態2に係る建物用制震ダンパーを示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
図1乃至図3には、本発明の実施の形態1を示す。
実施の形態1に係る建物用制震ダンパー1は、例えば、図3に示すように、建物20を構成する2つの構造部材である柱21と梁22との間に約45°傾けて配置して使用するものである。
この建物用制震ダンパー1は、図1に示すように、円筒状のシリンダー2を有しており、シリンダー2内には、ダンパー室構成部材4がリング状のキャップ9によってシリンダー2に固定された形で装着されている。このダンパー室構成部材4は、円筒状の内筒10、リング状の第1ロッドガイド7およびリング状の第2ロッドガイド8から構成されている。ここで、内筒10は、図2に示すように、シリンダー2に内接しており、内筒10の一方側(図2(a)左側)には第1ロッドガイド7が、シリンダー2に内周面に形成された段部2aと内筒10とで挟持された形で固定されているとともに、内筒10の他方側(図2(a)右側)には第2ロッドガイド8が、キャップ9と内筒10とで挟持された形で固定されている。そして、内筒10内には、第1ロッドガイド7および第2ロッドガイド8に挟まれるようにしてダンパー室S1が一定の容積で形成されており、ダンパー室S1には、その全体に作動液としてのオイル25が充填されている。さらに、シリンダー2内には、図1に示すように、第2ロッドガイド8を挟んでダンパー室S1の反対側(図1上側)にチャンバーS2が一定の容積で形成されており、チャンバーS2には、その一部に作動液としてのオイル25が貯留されているとともに、残部(オイル25の上側)に空気26がほぼ大気圧で封入されている。
また、シリンダー2内には、図1および図2に示すように、ピストン3がダンパー室S1内で内筒10の内周面に矢印A、B方向に摺動自在に装着されている。このピストン3は、略円筒状のピストン本体3aと、このピストン本体3aに、ダンパー室S1のうち、ピストン3より後方側(図2(a)左側)の第1ダンパー室S11と、ピストン3より前方側(図2(a)右側)の第2ダンパー室S12とを連通するように形成された複数個の丸孔状のピストン流路3b、3cと、これらのピストン流路3b、3cの片側(ダンパー室S1側またはチャンバーS2側)のみをそれぞれ開閉自在に取り付けられた一対の円環状のバルブ3d、3eと、ピストン本体3aの外周部に嵌着されたシール部材3fとから構成されている。そして、ピストン3には丸棒状の第1ロッド5が、第1ロッドガイド7およびキャップ9に摺動自在にガイドされる形で、ピストン3の摺動方向の一方側(矢印A方向)へ延びてシリンダー2から突出するように連結されている。また、ピストン3には丸棒状の第2ロッド6が、第1ロッド5に螺着されるとともに、第2ロッドガイド8に摺動自在にガイドされる形で、ピストン3の摺動方向の他方側(矢印B方向)へ延びてチャンバーS2に突出するように連結されている。
そして、第2ロッドガイド8には、図2に示すように、所定の選択的流通機構12が設けられている。この選択的流通機構12は、ダンパー室S1とチャンバーS2とを連通するように第2ロッドガイド8に貫通して形成された複数個(例えば、円周上に60°間隔で配置された6個)の略丸孔状の流路13と、これらの流路13に形成された同数個の弁座14と、オイル25がダンパー室S1からチャンバーS2へ移動しようとするときには、オイル25の流速が所定の基準速度V1より遅い場合に、弁座14から離れて流路13を開放して、この方向の移動を許可するとともに、オイル25の流速が基準速度V1以上である場合に、弁座14に接触して流路13を閉塞して、この方向の移動を抑制し、かつ、オイル25のチャンバーS2からダンパー室S1への移動を許可する同数個の球形の弁体15と、この弁体15が流路13から脱落しないように押さえる円環状のプレート16と、このプレート16を固定するOリング17と、このOリング17を固定する円環状のクリップ28とから構成されている。この基準速度V1は、建物用制震ダンパー1の周囲の温度変化に伴ってダンパー室S1内のオイル25が熱膨張した場合に、このオイル25が選択的流通機構12を通過するときの流速(例えば、弁体15の近傍を流れるときの流速、流路13を流れるときの流速)より大きく、かつ、建物20に地震力が作用して建物用制震ダンパー1が縮んだ場合に、ピストン3の摺動によってダンパー室S1内のオイル25が選択的流通機構12を通過するときの流速(例えば、弁体15の近傍を流れるときの流速、流路13を流れるときの流速)以下の速度である。なお、ダンパー室S1内のオイル25の内圧の変化速度が小さければ、オイル25が選択的流通機構12を通過するときの流速も小さく、逆に、ダンパー室S1内のオイル25の内圧の変化速度が大きければ、オイル25が選択的流通機構12を通過するときの流速も大きいという事実に基づき、ダンパー室S1内のオイル25の内圧の変化速度から、この流速を推定することもできる。或いはまた、オイル25が選択的流通機構12を通過するときの流速を所定の流速センサ(図示せず)で検出し、この検出信号に基づいて電気的に流路13を開閉するようにすることも可能である。
ここで、選択的流通機構12がこのような選択的流通機能を発揮できる理由は、次のとおりである。すなわち、球形の弁体15は、オイル25より密度が大きく、図3に示すように、チャンバーS2がダンパー室S1より上側に位置するように建物用制震ダンパー1が装着された状態では、図2(b)に想像線で示すように、弁体15が自重によって弁座14から離れてプレート16に接触しているため、流路13が開放された状態となっている。したがって、オイル25がダンパー室S1からチャンバーS2へ移動しようとするときには、オイル25の流速が基準速度V1より遅い場合、弁体15をその重力に抗して弁座14に接触するまで持ち上げる力が得られないので、開放状態の流路13を通って、このオイル25の移動が支障なく行われる。一方、オイル25の流速が基準速度V1以上になると、図2(b)に実線で示すように、弁体15をその重力に抗して弁座14に接触するまで持ち上げ、流路13を閉塞するため、このオイル25の移動を抑制する。逆に、オイル25がチャンバーS2からダンパー室S1へ移動しようとするときには、開放状態の流路13を通って、このオイル25の移動が支障なく行われる。
なお、図1に示すように、第1ロッド5の先端部(図1下側の端部)には、第1ブラケット18が軸心CT1を中心として矢印K、L方向に回転自在にピン接合されている。また、シリンダー2の先端部(図1上側の端部)には、第2ブラケット19が軸心CT2を中心として矢印M、N方向に回転自在にピン接合されている。ここで、これらの軸心CT1、CT2は、図1および図3に示すように、互いに平行になっている。
建物用制震ダンパー1は以上のような構成を有するので、この建物用制震ダンパー1を建物20に装着する際には、図3に示すように、この建物20を構成する柱21と梁22との間に、両者に跨る形で建物用制震ダンパー1を約45°傾けて配置する。
このとき、建物用制震ダンパー1は、チャンバーS2がダンパー室S1より上側に位置するように装着する。それには、釘や木ねじ等の固定手段(図示せず)を用いて、柱21の所定位置に第1ブラケット18を取り付けるとともに、梁22の所定位置に第2ブラケット19を取り付ける。すると、建物用制震ダンパー1は、図3に示すように、チャンバーS2がダンパー室S1より上側に位置した状態で、柱21と梁22との間に約45°傾いて配置され、図1に示すように、第2ロッドガイド8がオイル25に浸漬された状態となる。
そして、地震が発生したときには、建物用制震ダンパー1が装着された建物20に地震力が作用する。このとき、建物20の変形に伴って建物用制震ダンパー1が伸縮し、ピストン3がダンパー室S1内で摺動する。このピストン3の摺動に伴い、ダンパー室S1内のオイル25が、ピストン3のピストン流路3bを通ってバルブ3dを押し上げつつ第2ダンパー室S12から第1ダンパー室S11へ移動したり(建物用制震ダンパー1が縮んだ場合)、ピストン3のピストン流路3cを通ってバルブ3eを押し上げつつ第1ダンパー室S11から第2ダンパー室S12へ移動したり(建物用制震ダンパー1が伸びた場合)する。その結果、建物用制震ダンパー1は、作動初期から遅れることなく減衰力を発生し、所定の減衰機能を発揮する。
ここで、建物20は通常、数十年程度の長期にわたって使用されるため、建物用制震ダンパー1内のオイル25は、気温の日較差や年較差により、24時間または1年程度の長周期の膨張・収縮を繰り返す。しかし、この建物用制震ダンパー1では、オイル25が長周期で膨張・収縮を繰り返しても、上述した減衰機能(作動初期から遅れることなく減衰力を発生すること)を長期にわたって維持することができる。
すなわち、建物用制震ダンパー1には、上述したとおり、選択的流通機構12が組み込まれており、この選択的流通機構12により、オイル25がダンパー室S1からチャンバーS2へ移動しようとするときには、オイル25の流速が基準速度V1より遅い場合に、この方向の移動が許可されるとともに、オイル25の流速が基準速度V1以上である場合に、この方向の移動が抑制される。逆に、オイル25がチャンバーS2からダンパー室S1へ移動しようとするときには、オイル25の流速の大小にかかわらず、この方向の移動が許可される。
したがって、地震の発生に伴って建物用制震ダンパー1が縮んだ場合には、ピストン3が第2ロッドガイド8側へ急速に摺動し、選択的流通機構12を通じてダンパー室S1内のオイル25をチャンバーS2側へ押し出そうとするが、この地震発生時にはダンパー室S1内のオイル25の流速が基準速度V1以上になるので、ダンパー室S1内のオイル25がチャンバーS2へ移動することはほとんどなく、建物用制震ダンパー1による減衰力の発生を十全なものとすることができる。一方、地震の発生に伴って建物用制震ダンパー1が伸びた場合には、ピストン3が第1ロッドガイド7側へ摺動するが、この場合も建物用制震ダンパー1による減衰力の発生を十全なものとすることができる。
また、地震が発生していないときであっても、上述したとおり、建物用制震ダンパー1の周囲の温度変化に伴ってオイル25が長周期で膨張・収縮を繰り返す。ここで、オイル25が膨張すると、ダンパー室S1内のオイル25がチャンバーS2へ移動しようとする。このオイル25は、その膨張が緩やかであり、その流速が基準速度V1より遅くなるため、オイル25はダンパー室S1からチャンバーS2へ移動する。このとき、ダンパー室S1内のオイル25に気泡が含まれていると、この気泡がオイル25とともにダンパー室S1からチャンバーS2へ移動する。一方、オイル25が収縮すると、チャンバーS2内のオイル25が選択的流通機構12を通ってへ移動する。このとき、第2ロッドガイド8はオイル25に浸漬されているので、チャンバーS2内のオイル25のみがダンパー室S1へ移動し、チャンバーS2内の空気26がダンパー室S1へ入り込むことはない。このように、建物用制震ダンパー1では、その使用中において、ダンパー室S1内のオイル25中に気泡が存在する状態が生じたとしても、オイル25の長周期の膨張・収縮を利用して、この気泡をチャンバーS2へ排出することができる。
その結果、建物用制震ダンパー1において、建物20の寿命(数十年)と同程度の長期にわたり、作動初期から遅れることなく減衰力を発生する性能を維持することが可能となる。
さらに、建物用制震ダンパー1が作動していないときは、その内部(チャンバーS2内)はほぼ大気圧であり、オイル25の漏れを誘発する圧力は発生していない。したがって、この建物用制震ダンパー1において、建物20の寿命(数十年)と同程度の長期にわたり、オイル25の漏れの発生を防いで減衰機能を安定して発揮することが可能となる。
以上のことから、建物20では、上述した効果を有する建物用制震ダンパー1が装着されているので、長期にわたって高い制震性能を維持することができる。その結果、この建物20は、その寿命と同程度の長期にわたって倒壊を抑制し、地震に対する安全性を大幅に高めることが可能となる。
[発明の実施の形態2]
図4には、本発明の実施の形態2を示す。
実施の形態2に係る建物用制震ダンパー1は、地震発生時における建物20のねじれ変形に対応すべく、図4に示すように、建物20を構成する2つの構造部材である桁23と梁22との間に水平に配置して使用するものである。
この建物用制震ダンパー1では、図4に示すように、建物用制震ダンパー1が水平に配置された状態(つまり、チャンバーS2がダンパー室S1と同じ高さに位置する状態)で、第2ロッドガイド8がオイル25に浸漬される状態を実現するため、シリンダー2の上方にタンク27がシリンダー2に連通するように付設されている。そして、シリンダー2内にはオイル25が充填されており、タンク27内には、その一部にオイル25が貯留されているとともに、残部(オイル25の上側)に空気26がほぼ大気圧で封入されている。
また、建物用制震ダンパー1が水平に配置された状態で、弁体15が自重によって弁座14から離れてプレート16に接触する状態を実現するため、流路13のうち少なくとも弁体15が係合する部分が傾斜して、弁座14側よりプレート16側が低くなっている。
その他の構成については、上述した実施の形態1と同様であるので、同一の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。
したがって、この建物用制震ダンパー1では、水平に配置された場合においても、上述した実施の形態1と同じ作用効果を奏する。
[発明のその他の実施の形態]
なお、上述した実施の形態1、2では、流路13、弁座14、弁体15、プレート16、Oリング17およびクリップ28からなる選択的流通機構12を用いる場合について説明した。しかし、上述した所定の選択的流通機能(オイル25がダンパー室S1からチャンバーS2へ移動しようとするときには、オイル25の流速が所定の基準速度V1より遅い場合に、この方向の移動を許可するとともに、オイル25の流速が基準速度V1以上である場合に、この方向の移動を抑制し、かつ、オイル25のチャンバーS2からダンパー室S1への移動を許可するする機能)を有するものである限り、例えば、オリフィス、多孔質物質などで選択的流通機構12を構成することも可能である。
また、上述した実施の形態1、2では、作動液としてオイル25を用いる場合について説明した。しかし、熱膨張する液体である限り、オイル25以外の作動液を代用または併用することもできる。
また、上述した実施の形態1、2では、チャンバーS2に封入する気体が空気26である場合について説明した。しかし、この気体は、空気26に限るわけではなく、例えば、窒素、ヘリウムなどの不活性ガスを代用または併用することも可能である。
さらに、上述した実施の形態1、2では、建物用制震ダンパー1を取り付ける2つの構造部材が、柱21および梁22である場合(実施の形態1)、桁23および梁22である場合(実施の形態2)について説明した。しかし、これらの構造部材は、柱21および梁22や、桁23および梁22に限るわけではなく、建物20に地震力が作用したときに、2つの構造部材のなす角度が増減する恐れがある場合や、2つの構造部材が相対的に変位する恐れがある場合に、これらの構造部材間に建物用制震ダンパー1を配置して使用することができる。例えば、柱21と桁23との間に建物用制震ダンパー1を斜めに配置してもよい。或いはまた、上階の横架材(梁、桁、胴差しなど)から下方へ延びる間柱(図示せず)と下階の横架材(梁、桁、胴差し、土台など)から上方へ延びる間柱(図示せず)との間に建物用制震ダンパー1を水平に配置することも可能である。
本発明は、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造など各種の構造の建物に広く適用することができる。
1……建物用制震ダンパー
2……シリンダー
3……ピストン
4……ダンパー室構成部材
5……第1ロッド
6……第2ロッド
7……第1ロッドガイド
8……第2ロッドガイド
12……選択的流通機構
13……流路
14……弁座
15……弁体
20……建物
21……柱(構造部材)
22……梁(構造部材)
23……桁(構造部材)
25……オイル(作動液)
26……空気
S1……ダンパー室
S2……チャンバー

Claims (6)

  1. シリンダーと、このシリンダー内を摺動するピストンと、このピストンの摺動方向の一方側へ延びて前記シリンダーから突出する第1ロッドと、前記ピストンの摺動方向の他方側へ延びる第2ロッドと、前記シリンダーに固定され、前記第1ロッドを摺動自在にガイドする第1ロッドガイドと、前記シリンダーに固定され、前記第2ロッドを摺動自在にガイドする第2ロッドガイドと、前記シリンダー内で前記第1ロッドガイドおよび前記第2ロッドガイドに挟まれて形成されたダンパー室と、このダンパー室に充填された作動液と、前記シリンダー内で前記第2ロッドガイドを挟んで前記ダンパー室の反対側に形成されたチャンバーとを有し、
    建物の2つの構造部材のうち、一方の構造部材に前記シリンダーが取り付けられるとともに、他方の構造部材に前記第1ロッドが取り付けられるようにして、当該建物に装着された状態で、前記ピストンが前記ダンパー室内を摺動することにより、前記ピストンの摺動方向における前記シリンダーと前記第1ロッドとの相対変動を抑える建物用制震ダンパーであって、
    前記一方の構造部材に前記シリンダーが取り付けられるとともに、前記他方の構造部材に前記第1ロッドが取り付けられるようにして、前記建物に装着された状態で、前記作動液が前記チャンバーに貯留されて前記第2ロッドガイドが当該作動液に浸漬され、
    前記第2ロッドガイドには、前記作動液が前記ダンパー室から前記チャンバーへ移動しようとするときには、当該作動液の流速が所定の基準速度より遅い場合に、この方向の移動を許可するとともに、当該作動液の流速が前記基準速度以上である場合に、この方向の移動を抑制し、かつ、前記作動液の前記チャンバーから前記ダンパー室への移動を許可する選択的流通機能を有する選択的流通機構が設けられていることを特徴とする建物用制震ダンパー。
  2. 前記基準速度は、前記ダンパー室内の前記作動液が熱膨張した場合に当該作動液が前記選択的流通機構を通過するときの流速より大きく、かつ、前記建物に地震力が作用して前記建物用制震ダンパーが縮んだ場合に前記ピストンの摺動によって前記ダンパー室内の前記作動液が前記選択的流通機構を通過するときの流速以下の速度であることを特徴とする請求項1に記載の建物用制震ダンパー。
  3. 前記選択的流通機構は、前記ダンパー室と前記チャンバーとを連通するように前記第2ロッドガイドに貫通して形成された流路と、この流路に形成された弁座と、前記作動液が前記ダンパー室から前記チャンバーへ移動しようとするときには、当該作動液の流速が前記基準速度より遅い場合に、前記弁座から離れて前記流路を開放して、この方向の移動を許可するとともに、当該作動液の流速が前記基準速度以上である場合に、前記弁座に接触して前記流路を閉塞して、この方向の移動を抑制し、かつ、前記作動液の前記チャンバーから前記ダンパー室への移動を許可する弁体とから構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の建物用制震ダンパー。
  4. 前記選択的流通機構は、オリフィスまたは多孔質物質からなり、前記作動液が前記ダンパー室から前記チャンバーへ移動しようとするときには、当該作動液の流速が前記基準速度より遅い場合に、この方向の移動を許可するとともに、当該作動液の流速が前記基準速度以上である場合に、この方向の移動を抑制し、かつ、前記作動液の前記チャンバーから前記ダンパー室への移動を許可するように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の建物用制震ダンパー。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の建物用制震ダンパーが装着されていることを特徴とする建物。
  6. 前記チャンバーが前記ダンパー室より上側に位置するように前記建物用制震ダンパーが装着されることにより、前記第2ロッドガイドが前記チャンバー内の前記作動液に浸漬されていることを特徴とする請求項5に記載の建物。
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