JP2006299563A - 免震装置 - Google Patents

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Yoshinori Kamihisa
佳典 神久
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Abstract

【課題】 鉛直免震部及び水平免震部を単一のシステムとして構成することができ、鉛直免震部及び水平免震部の両方を効果的に機能させることができる免震装置を提供することである。
【解決手段】 流体が充填された上部円筒部材と、上部円筒部材の内部を移動可能に配置された円盤部材と、円盤部材に設けられた孔部と、孔部に備えられた一方向弁と、一方向弁に設けられた小孔部と、円盤部材の上面に同心円状に接続された上部主軸と、から構成された鉛直免震部と、底板上面が凹曲面状に構成された下部円筒部材と、下部円筒部材の底板上面に備えられたベアリング装置と、上部円筒部材の底板下面に下部主軸を介して備えられた、底板上面を水平方向に移動自在に配置された、その下面が下側凸の曲面状に形成されたスライド板と、から構成された水平免震部と、からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、建物の鉛直方向の揺れ及び水平方向の揺れを減衰することができる免震装置に関する。
従来、地震等による鉛直方向及び水平方向の三次元の揺れを減衰する発明として、特許文献1に記載された「三次元免震装置」に係る発明がある。図6は特許文献1に係る三次元免震装置の正面図である。三次元免震装置50は、図6に示すように、下部基礎構造物51と、これの上方に間隔を設けて配置される上部構造物52との間に、これら両構造物間を水平免震する水平免震装置53と、両構造物間を上下免震する上下免震装置54とを並列配置して構成されている。
また、鉛直方向及び水平方向の三次元の揺れを減衰する発明の他の例として、特許文献2に記載された「三次元免震装置」に係る発明がある。図7は特許文献2に係る三次元免震装置の正面図である。三次元免震装置55は、図7に示すように、水平免震部56の下部又は上部に皿ばねの板間摩擦力とばね定数を利用した鉛免震部57を付加して構成されている。
特開2001−41283号公報 特開平8−218678号公報
しかしながら、特許文献1に記載された三次元免震装置50においては、地震等による鉛直方向の揺れを減衰する上下免震装置54と、水平方向の揺れを減衰する水平免震装置53とをそれぞれ別個に設ける必要があるため、設置するにあたって多くのスペースが必要となるという問題点がある。
また、建築物が地震入力時の鉛直振動に共振するのを避けるためには、該建築物側の鉛直方向の固有振動数を長周期化することが望ましい。そして、そのためには、鉛直免震部57のばね剛性を小さくする必要がある。ところが、鉛直免震部57のばね剛性を小さくすると、建築物の荷重を確実に支持できなくなるとともに、建築物のロッキング振動が励起されることになる。一方、鉛直免震部57のばね剛性を大きく設定すると、建築物の鉛直振動周期が免震領域から短周期方向にずれて効果的に鉛直免震できないおそれがある。また、この鉛直免震部57のばね剛性に起因する鉛直変動荷重が、水平免震部56自身が備える水平ばね剛性で本来達成されるべき水平免震性能に対して影響し、水平免震部57単体を目的通りの性能で設計することが困難になる。したがって、特許文献2に記載された三次元免震装置55においては、鉛直免震部57及び水平免震部56の両方を効果的に機能させることが困難であるという問題点がある。
本発明は上記した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、鉛直免震部及び水平免震部を単一のシステムとして構成することにより、少ないスペースに設置ができ、また、鉛直免震部が水平免震部に対して影響することなく、鉛直免震部及び水平免震部の両方を効果的に機能させることができる免震装置を提供することである。
本発明のうち請求項1に係る免震装置は、下部基礎構造物と上部構造物との間に介装され、前記上部構造物の鉛直方向の揺れを減衰する鉛直免震部と、前記上部構造物の水平方向の揺れを減衰する水平免震部とを具備し、前記水平免震部上に前記鉛直免震部を配置した免震装置であって、
前記鉛直免震部は、内部に流体を充填した有底筒状の上部筒状部材と、該上部筒状部材内を上下方向に移動可能に配置され、前記上部構造物を支持するピストン部とを具備し、
前記水平免震部は、前記下部基礎構造物に接続された有底筒状の下部筒状部材と、該下部筒状部材内に配置され、前記上部筒状部材に連結されたスライド板と、該スライド板と前記下部筒状部材との間に保持部により転動可能に配置された転動体とを具備したことを特徴とする。
また、本発明のうち請求項2に係る免震装置は、請求項1記載の免震装置において、前記ピストン部が、前記上部筒状部材内を上側の室と下側の室とに仕切った状態で前記上部筒状部材内を上下方向に移動可能に配置されるとともに、前記上側の室と前記下側の室とを連通させて前記流体の移動を許容する孔部を有する板状部を備えていることを特徴とする。
また、本発明のうち請求項3に係る免震装置は、請求項2記載の免震装置において、前記板状部に、前記孔部を同心円状に複数形成したことを特徴とする。
また、本発明のうち請求項4に係る免震装置は、請求項2又は3記載の免震装置において、前記板状部が、前記孔部を開閉する一方向弁を備え、該一方向弁は、前記板状部が前記上部筒状部材内を上昇するときのみ開いて前記流体の移動を許容し、前記板状部が前記上部筒状部材内を下降するときには閉じて前記流体の移動を規制するようになっていることを特徴とする。
また、本発明のうち請求項5に係る免震装置は、請求項4記載の免震装置において、前記一方向弁に、前記板状部が前記上部筒状部材内を下降するときに前記流体の移動を許容する小孔部を形成したことを特徴とする。
また、本発明のうち請求項6に係る免震装置は、請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項に記載の免震装置において、前記上部筒状部材の内側面と前記板状部の外側面との間に、前記上側の室と前記下側の室とを連通させて前記流体の移動を許容する隙間を設けたことを特徴とする。
また、本発明のうち請求項7に係る免震装置は、請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項に記載の免震装置において、前記上部筒状部材が、前記流体を補充するための流体タンクを備えていることを特徴とする。
また、本発明のうち請求項8に係る免震装置は、請求項1乃至請求項7のうちいずれか1項に記載の免震装置において、前記スライド板の下面を下側凸の凸面状に形成するとともに、前記下部筒状部材の底板上面を下側凸の凹面状に形成し、前記凸面状に形成された前記スライド板の下面と前記凹面状に形成された前記下部筒状部材の底板上面との間に前記転動体を転動可能に配置したことを特徴とする。
また、本発明のうち請求項9に係る免震装置は、請求項8記載の免震装置において、前記下部筒状部材の底板上面に、前記転動体が同心円環状に直径を変えて複数配置したことを特徴とする。
また、本発明のうち請求項10に係る免震装置は、請求項8又は9記載の免震装置において、前記下部筒状部材の上端に、略中心部に開口部が設けられた天板が備えられ、前記開口部の外周は前記スライド板の外周よりも小さく形成されていることを特徴とする。
さらに、本発明のうち請求項11に係る免震装置は、請求項1乃至請求項10のうちいずれか1項に記載の免震装置において、前記下部筒状部材の内部に流体が充填されていることを特徴とする。
本願請求項1に記載された発明によれば、鉛直免震部を粘性ダンパとして構成し、この鉛直免震部の下部に水平免震部をスライド機構として単一のシステムとして構成することにより、少ないスペースに設置が可能となるとともに、鉛直免震部の鉛直変動荷重が、水平免震部が備える水平免震性能に対して影響することが少なく、鉛直免震部及び水平免震部の両方を効果的に機能させることが可能となる。
また、本願請求項2に記載された発明によれば、請求項1に記載された発明において、前記ピストン部を、前記上部筒状部材内を上側の室と下側の室とに仕切った状態で前記上部筒状部材内を上下方向に移動可能に配置されるとともに、前記上側の室と前記下側の室とを連通させて前記流体の移動を許容する孔部を有する板状部とする構成により、鉛直方向の揺れの減衰をより緩慢に行うことが可能となる。
また、本願請求項3に記載された発明によれば、請求項2に記載された発明において、前記板状部に、前記孔部を同心円状に複数形成する構成により、前記流体から前記板状部にかかる圧力を、前記板状部の下側の面全体に均一にかけることができ、さらに効率よく鉛直方向の揺れの減衰をおこなうことが可能となる。
また、本願請求項4に記載された発明によれば、請求項2又は請求項3に記載された発明において、前記板状部が、前記孔部を開閉する一方向弁を備え、該一方向弁は、前記板状部が前記上部筒状部材内を上昇するときのみ開いて前記流体の移動を許容し、前記板状部が前記上部筒状部材内を下降するときには閉じて前記流体の移動を規制する構成により、前記上部構造物の質量に基づく重力を考慮して鉛直方向の揺れの減衰を行うことが可能となる。
また、本願請求項5に記載された発明によれば、請求項4に記載された発明において、前記一方向弁に、前記板状部が前記上部筒状部材内を下降するときに前記流体の移動を許容する小孔部を形成する構成により、前記上部構造物の質量に基づく重力を考慮して前記ピストン部上昇する場合と下降する場合の移動幅のバランスをとることが可能となるとともに、免震終了後に上部構造物と下部基礎構造物との鉛直方向の位置関係を自動的に一定の位置関係にリセットすることが可能となる。
また、本願請求項6に記載された発明によれば、請求項1から請求項5に記載された発明において、前記上部筒状部材の内側面と前記板状部の外側面との間に、前記上側の室と前記下側の室とを連通させて前記流体の移動を許容する隙間を設ける構成により、前記上部筒状部材の内側面と前記板状部の外側面との間の摩擦抵抗を少なくすることがでるとともに、前記流体から前記板状部にかかる圧力を、前記板状部の下側の面全体に均一にかけることができ、さらに効率よく鉛直方向の揺れの減衰をおこなうことが可能となる。
また、本願請求項7に記載された発明によれば、請求項1から請求項6に記載された発明において、前記上部筒状部材が、前記流体を補充するための流体タンクを備える構成により、流体が蒸発等により減少した場合においても速やかに流体を補充することが可能となる。
また、本願請求項8に記載された発明によれば、請求項1から請求項7に記載された発明において、前記スライド板の下面を下側凸の凸面状に形成するとともに、前記下部筒状部材の底板上面を下側凸の凹面状に形成し、前記凸面状に形成された前記スライド板の下面と前記凹面状に形成された前記下部筒状部材の底板上面との間に前記転動体を転動可能に配置する構成により、免震終了後に上部構造物と下部基礎構造物との水平方向の位置関係を自動的に一定の位置関係にリセットすることが可能となる。
また、本願請求項9に記載された発明によれば、請求項8に記載された発明において、前記下部筒状部材の底板上面に、前記転動体が同心円環状に直径を変えて複数配置される構成により、2次元の水平方向の揺れの減衰及び免震終了後の上部構造物と下部基礎構造物との位置関係のリセットを効率よく行うことが可能となる。
また、本願請求項10に記載された発明によれば、請求項8又は請求項9に記載された発明において、前記下部筒状部材の上端に、略中心部に開口部が設けられた天板が備えられ、前記開口部の外周は前記スライド板の外周よりも小さく形成されている構成により、鉛直免震部により免震可能な揺れを超える鉛直方向の揺れを受けた場合においても、スライド板が下部円筒部材から外れてしまうことを防止することが可能となる。
さらに、本願請求項11に記載された発明によれば、請求項1から請求項10に記載された発明において、前記下部筒状部材の内部に流体が充填されている構成により、流体の粘性抵抗により、少ない移動範囲で水平方向の揺れの減衰が可能となる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る免震装置の鉛直方向断面図である。図2は鉛直免震部の平面図である。図3は水平免震部の水平方向断面図である。
免震装置1は、図1に示すように、鉛直免震部2と、水平免震部3とから構成されている。
鉛直免震部2は、図1及び図2に示すように、シリンダ部(上部筒状部材)4と、シリンダ部4の内部を鉛直方向(図1における上下方向)に移動自在に配置されたピストン部(板状部)5と、ピストン部5に一端が連結された上部主軸6と、ピストン部5に設けられた流体通路孔(孔部)7と、ピストン部下面に備えられた一方向弁8と、シリンダ部4に充填された流体9と、シリンダ部4に接続された流体タンク10とから構成されている。
シリンダ部4は、円筒体11と、円筒体11の下端に固着された底板12と、とから構成されている。
ピストン部5は、円盤部材14と、円盤部材14の下面に接続された円筒体15と、上部主軸6と円盤部材14の外周とを連結する複数枚の補強板18とから構成され、シリンダ部4の内部において鉛直方向に移動自在に配置されることにより、蓋体13と底板12との間を上側の室16と下側の室17とに画している。この場合において、シリンダ部4の円筒体11の内周面とピストン部5の円筒体15の外周面との間には隙間が設けられており、これがオリフィス通路(隙間)20を構成している。
上部主軸6は、円柱体として構成され、その下端がピストン部5の上面に同軸状に接続されている。そして、上部主軸6の上端は上部構造物(図示せず)に接続されるH形鋼25に接続される。
流体通路孔7は、ピストン部5の円盤部材14において、同心円状に上部主軸6の回りに複数設けられ、シリンダ部4の上側の室16と下側の室17とを連通している。
一方向弁8は、流体通路孔7を塞ぐ大きさの板材として形成され、円盤部材14の下面側に、流体通路孔7ごとに備えられており、流体9の圧力により円盤部材の下方側へ所定角度開閉するように備えられている。そして、一方向弁8には、その略中心部にオリフィス孔(小孔部)21が設けられている。
流体9は、シリコンオイル等の流体が用いられ、シリンダ部4において上側の室16及び下側の室17に充填されている。
流体タンク10は、シリンダ部4に流体9を補充するためのタンクであり、シリンダ部4の円筒体11に接続され、その内部には流体9が充填されている。
水平免震部3は、図1及び図3に示すように、スライド部材(下部筒状部材)30と、スライド部材30に備えられたベアリング装置(転動体)31と、シリンダ部4の底板12の下面に下部主軸33を介して接続され、ベアリング装置31上に配置されたスライド板34と、スライド部材30内に充填された流体35とから構成されている。
スライド部材30は、円筒体36と、円筒体36の下端に固着される、その上面において略中心部が最も凹となるように凹曲面形状に形成された底板37と、円筒体36の上端に固着される、その略中心部に下部主軸33が移動するスペースを避けるように円形の開口部(図示せず)を有する蓋部(天板)38とから構成されている。この場合において、蓋部38の開口部の外径は、スライド板34の外径よりも小さく構成されている。そして、スライド部材30の円筒体36の下面外周部には略四角形状のフランジ部45が形成されており、スライド部材30と下部基礎構造物とを、フランジ部45の四隅をアンカーボルト装置46で連結することにより接合している。
ベアリング装置31は、スライド部材30の底板37の上面に、同心円状に直径を変えて複数本配設された円環状のベアリングボール保持部40と、ベアリングボール保持部40内に転動可能に保持されたベアリングボール41とから構成されている。
スライド板34は、シリンダ部4の底板12の下面に上部主軸6と同軸状に接続された下部主軸33の下端に接続され、その下面において略中心部が最も凸となるように凸曲面形状に円盤状に形成されており、スライド部材30の底板37上にベアリング装置31を介して配置される。
流体35は、グリス等の流体が用いられ、スライド部材30内部に充填されている。
次に、免震装置1を実際に上部構造物と下部基礎構造物47との間に配置する場合の実施形態を図面を参照して説明する。
図4は下部基礎構造物上に本発明に係る免震装置を4つ配置した表面図である。図5は下部基礎構造物上に本発明に係る免震装置を5つ配置した表面図である。
免震装置1は、図4に示すように、上部構造物と接続されるH形鋼25を架設して直角4方向に配置されている。また、上部構造物の重量等に応じて、図5に示すように、直角4方向に配置された免震装置1の略中心部に免震装置1を配置して、それぞれにH形鋼25を架設してもよい。
次に、本実施形態における免震装置1の作用について説明する。
地震等により下部基礎構造物47が鉛直方向及び水平方向の3次元の自由度において揺れを生じると、上部構造物には基礎構造物47の変位方向とは逆の方向に慣性力が作用する。そして、本実施形態においては、かかる慣性力は上部構造物と下部基礎構造物47との間に介装された免震装置1に作用することとなる。
免震装置1に地震等による鉛直方向の慣性力が作用した場合、鉛直免震部2において、ピストン部5の円盤部材14とシリンダ部4の底板12とが互いに逆向きに変位し、これらの面に挟まれた流体9にせん断応力又は圧縮応力が発生する。このせん断応力及び圧縮応力は、円盤部材14と底板12との変位を相殺する向きに発生するため、このせん断応力及び圧縮応力が鉛直方向の慣性力と相殺する方向に作用することにより、鉛直方向の揺れを減衰する。
具体的には、下部基礎構造物47が鉛直方向に下降する場合には、上部構造物には鉛直上向きの慣性力が作用し、上部構造物と接続されたピストン部5がシリンダ部4の内部を上方に移動する。一方、シリンダ部4の下側の室17の流体9により鉛直下向きのせん断応力が作用する。この時、一方向弁8が流体9の圧力により所定角度まで開き、流体通路孔7を通じてシリンダ部4の上側の室16から下側の室17への流体9の移動を許容するとともに、シリンダ部4の円筒体11の内周面とピストン部5の円筒体15の外周面との間に設けられたオリフィス通路20を通じて、シリンダ部4の上側の室16から下側の室17への流体9の移動を許容する。これにより、上部構造物47に作用する鉛直上向きの慣性力を、鉛直下向きに作用するせん断応力が緩慢に相殺していく。
また、下部基礎構造物47が鉛直方向に上昇する場合には、上部構造物には鉛直下向きの慣性力が作用し、上部構造物と接続されたピストン部5がシリンダ部4の内部を下方に移動する。一方、シリンダ部4の下側の室17の流体9により鉛直上向きの圧縮応力が作用する。この時、一方向弁8が流体9の圧力により閉じて、一方向弁8に設けられたオリフィス孔21を通じて、シリンダ部4の下側の室17から上側の室16への流体9の移動を許容するとともに、オリフィス通路20を通じて、シリンダ部4の下側の室17から上側の室16への流体9の移動を許容する。これにより、上部構造物47に作用する鉛直下向きの慣性力を、鉛直上向きに作用するせん断応力が緩慢に相殺していく。
このように、流体9によるせん断応力及び圧縮応力により慣性力を減衰しつつ、流体通路孔7、オリフィス孔21及びオリフィス通路20を設け、シリンダ部4の上側の室16から下側の室17への流体9の移動を許容することにより、せん断応力又は圧縮応力を適度に逃がすことができ、鉛直方向の揺れの減衰をより緩慢におこなうことが可能となる。
そして、この場合において、ピストン部5が下方に移動する場合には一方向弁8が閉じて、オリフィス通路20及び流体通路7よりも小さいオリフィス孔21によって流体9の移動を許容することにより、上部構造物の質量に基づく重力を考慮してピストン部5が上昇する場合と下降する場合の移動幅のバランスをとることが可能となる。
また、流体通路孔7がピストン部5の円盤部材14において同心円状に複数設けられるとともに、オリフィス通路20がシリンダ部4の円筒体11の内周面とピストン部5の円筒体15の外周面との間に設けられることによって、ピストン部5にかかる流体9の圧力の偏りを防止し、鉛直方向の揺れの減衰をよりスムーズにおこなうことが可能となる。
さらに、シリンダ部4の円筒体11に流体タンク10を接続することにより、シリンダ部4内の流体9が蒸発等により減少した場合においても、流体9を速やかに補充することができ、鉛直免震部2による免震作用が妨げられることを防止することが可能となる。
免震装置1に地震等による水平方向の慣性力が作用した場合、水平免震部3において、シリンダ部4の底板12の下面に下部主軸33を介して接続されたスライド板34と下部基礎構造物に接合されたスライド部材30とが互いに逆向きに変位する。この時、ベアリング装置31上に配置されたスライド板34が、スライド部材30の内部を水平方向に移動することにより、スライド部材30の水平方向の変位を吸収し、これにより水平方向の揺れを減衰する。
この場合において、スライド部材30の底板37が、その上面において略中心部が最も凹となるように凹状に湾曲すると共に、スライド板34が、その下面において略中心部が最も凸となるように、底板37と同一の曲率半径を有する凸状曲面からなることから、上部構造体が原点位置から変位した際には、上部構造体には水平方向に沿って原点位置へ復帰させるような復元力が作用し、この復元力によりスライド部材30内において狭い範囲で水平方向の揺れの減衰が可能となるとともに、地震終了後に上部構造体は原点位置へ自動復帰することが可能となる。
また、スライド部材30の内部にはグリス等の流体35が充填されているため、ベアリング装置の潤滑性を高めることができるとともに、流体35のせん断力により、より緩慢に水平方向の揺れの減衰をおこなうことができる。
また、ベアリング装置31は、スライド部材30の底板37の上面に、同心円状に直径を変えて複数本配設されているため、2次元の水平方向の変位を効率よく吸収することが可能となり、水平方向の揺れを効果的に減衰することが可能となる。
さらに、スライド部材30には、その略中心部に下部主軸33が移動するスペースを避けるように円形の開口部(図示せず)を有する蓋部38が備えられ、この蓋部38の開口部の外径は、スライド板34の外径よりも小さく構成されているため、鉛直免震部2において吸収しきれない非常に強い鉛直方向の揺れが生じた場合にも、スライド板34がスライド部材30から脱離することを防止することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、本実施形態においては、免震装置1は流体タンク10を備え、またスライド部材30内には流体35が充填される構成となっているが、必ずしも流体タンク10を備えている必要はなく、またスライド部材30内に流体35を充填する必要はない。
また、本実施形態においては、一方向弁8にその略中心部にオリフィス孔21が設けられているが、これに限定されることはなく、一方向弁におけるオリフィス孔21を設ける場所、大きさ及び数は適宜変更することができる。
また、本実施形態においては、一方向弁8は流体9の圧力により自然に開閉するものとして構成しているが、一方向弁であればその他のものであってもよい。
本発明に係る免震装置の鉛直方向断面図である。 鉛直免震部の平面図である。 水平免震部の水平方向断面図である。 下部基礎構造物上に本発明に係る免震装置を4つ配置した表面図である。 下部基礎構造物上に本発明に係る免震装置を5つ配置した表面図である。 特許文献1に係る三次元免震装置の正面図である。 特許文献2に係る三次元免震装置の正面図である。
符号の説明
1 免震装置
2 鉛直免震部
3 水平免震部
4 シリンダ部
5 ピストン部
6 上部主軸
7 流体通路孔
8 一方向弁
9 流体
10 流体タンク
11 円筒体
12 底板
14 円盤部材
15 円筒体
16 上側の室
17 下側の室
18 補強板
20 オリフィス通路
21 オリフィス孔
25 H形鋼
30 スライド部材
31 ベアリング装置
33 下部主軸
34 スライド板
35 流体
36 円筒体
37 底板
38 蓋部
40 ベアリングボール保持部
41 ベアリングボール
45 フランジ部
46 アンカーボルト装置
47 下部基礎構造物
50 三次元免震装置
51 下部基礎構造物
52 上部構造物
53 水平免震装置
54 上下免震装置
55 三次元免震装置
56 水平免震部
57 鉛直免震部

Claims (11)

  1. 下部基礎構造物と上部構造物との間に介装され、前記上部構造物の鉛直方向の揺れを減衰する鉛直免震部と、前記上部構造物の水平方向の揺れを減衰する水平免震部とを具備し、前記水平免震部上に前記鉛直免震部を配置した免震装置であって、
    前記鉛直免震部は、内部に流体を充填した有底筒状の上部筒状部材と、該上部筒状部材内を上下方向に移動可能に配置され、前記上部構造物を支持するピストン部とを具備し、
    前記水平免震部は、前記下部基礎構造物に接続された有底筒状の下部筒状部材と、該下部筒状部材内に配置され、前記上部筒状部材に連結されたスライド板と、該スライド板と前記下部筒状部材との間に保持部により転動可能に配置された転動体とを具備したことを特徴とする免震装置。
  2. 前記ピストン部が、前記上部筒状部材内を上側の室と下側の室とに仕切った状態で前記上部筒状部材内を上下方向に移動可能に配置されるとともに、前記上側の室と前記下側の室とを連通させて前記流体の移動を許容する孔部を有する板状部を備えていることを特徴とする請求項1記載の免震装置。
  3. 前記板状部に、前記孔部を同心円状に複数形成したことを特徴とする請求項2に記載の免震装置。
  4. 前記板状部が、前記孔部を開閉する一方向弁を備え、該一方向弁は、前記板状部が前記上部筒状部材内を上昇するときのみ開いて前記流体の移動を許容し、前記板状部が前記上部筒状部材内を下降するときには閉じて前記流体の移動を規制するようになっていることを特徴とする請求項2又は3記載の免震装置。
  5. 前記一方向弁に、前記板状部が前記上部筒状部材内を下降するときに前記流体の移動を許容する小孔部を形成したことを特徴とする請求項4記載の免震装置。
  6. 前記上部筒状部材の内側面と前記板状部の外側面との間に、前記上側の室と前記下側の室とを連通させて前記流体の移動を許容する隙間を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項に記載の免震装置。
  7. 前記上部筒状部材が、前記流体を補充するための流体タンクを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項に記載の免震装置。
  8. 前記スライド板の下面を下側凸の凸面状に形成するとともに、前記下部筒状部材の底板上面を下側凸の凹面状に形成し、前記凸面状に形成された前記スライド板の下面と前記凹面状に形成された前記下部筒状部材の底板上面との間に前記転動体を転動可能に配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項7のうちいずれか1項に記載の免震装置。
  9. 前記下部筒状部材の底板上面に、前記転動体が同心円環状に直径を変えて複数配置したことを特徴とする請求項8記載の免震装置。
  10. 前記下部筒状部材の上端に、略中心部に開口部が設けられた天板が備えられ、前記開口部の外周は前記スライド板の外周よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項8又は9記載の免震装置。
  11. 前記下部筒状部材の内部に流体が充填されていることを特徴とする請求項1乃至請求項10のうちいずれか1項に記載の免震装置。
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