JP6050990B2 - 制振装置と制振架台 - Google Patents
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Description
このダンパ装置では、粘性体を入れた水平用容器を固定床に設置し、この水平用容器内に同じく粘性体を貯留させた縦長の容器を設置している。縦長の容器内には、免震床の下面に取り付けた支柱が粘性体中に挿入され、支柱の下端には円板が取り付けられている。
本発明による制振装置によれば、地震等が発生した場合、水平方向の振動は支柱の中間部に設けたプレートと容器の内面との間隙に入り込む粘性体のせん断抵抗によって減衰され、上下方向の振動はプレートと容器の底部との間の粘性体のせん断抵抗によって減衰され、支柱の上部に設けた架台への3次元方向の振動を抑制できる。
しかも、容器底部のテーパ部の最下部に筒状の凹部を形成し、支柱を筒状の凹部内に落ち込ませたことで、水平方向の振動が比較的小さい場合には、支柱は筒状の凹部内に保持された状態で水平方向の振動を上下方向の振動に変換することになり3次元方向の振動を減衰することができる。また、上下方向と水平方向の振動が比較的大きい場合、支柱が筒状の凹部を飛び出したとしても、支柱の下端部はテーパ部のテーパ面に沿ってガイドされて凹部内に落ち込んで定置されることになる。
本発明による制振装置は、支柱の上部を鋼管で形成したため剛性と強度が高く、架台や架台に設置する設備の重量が大きくても支柱が座屈することなく荷重と振動に耐えることができる。
本発明による制振架台によれば、各種の設備等が設置された架台を上述した制振装置で支持するので、地震等の際に水平方向と垂直方向に振動を減衰させて吸収できる。しかも、制振装置の架台と連結された支柱は、地震等の際に振動で傾斜したとしても、その下端部が容器の底部に設けられたテーパ部によってガイドされて定位置に移動されて傾斜状態を解消して起立状態になるため、容器内で安定した姿勢に保持できる。
また、地震等の3次元方向の振動で支柱が傾斜したとしても、容器の底部に設けたテーパ部によって支柱の下端部をガイドして傾斜状態を解消して起立状態で容器の定位置に戻すよう位置決めでき、3次元方向の振動減衰機能を確実に発揮できる。
図1は本発明の第一実施形態による制振装置1を備えた制振架台2を示すものである。
本実施形態における制振架台2は複数本、例えば4本の制振装置1を備えており、各制振装置1の上部はフレーム3によって互いに連結されて例えば四角形枠状に形成されている。この四角形枠状のフレーム3は、例えばIT機器や通信機器等の各種機器やその他の設備を設置するための制振架台4を構成する。
本実施形態による制振装置1において、建物の床面6上に容器7が設置され、容器7は例えば比較的外径寸法の狭い円筒状の筒部8とその底部をなす基板9とによって有底円筒状に形成され、基板9は筒部8より幅広でアンカーボルト10によって床面6に固定されている。また、容器7の上端は開口されている。なお、容器7の上端開口には埃などの異物が侵入するのを防ぐために蓋を設置してもよいが、容器7に固定せずに揺動可能に載置する程度に設置することが好ましい。
鋼管15は円筒状の側面部18と底板19とを有しており、ボルト軸14は鋼管15の底板19に螺合してダブルナット20で固定されている。また、水平プレート17は着座板16より大径の円板を形成しており、鋼管15の底板19と略同一の外径寸法を有している。鋼管15の上端は容器7の上方に突出しており、例えばリング状の連結板22を介して架台4の角部で二つのフレーム3の端部にそれぞれ連結されている。
また、容器7の底部の基板9上にはすり鉢状のテーパ部23が形成されており、全周に亘ってテーパ面23aで囲われたその中央の最下部23bは着座板16より若干大きい円形の平面に形成され、最下部23bに支柱13の着座板16が載置可能とされている。このテーパ面23の最下部23aは容器7と同心円に形成されている。これによって支柱13が水平方向と上下方向の3次元方向に振動すると、支柱13はその幅が小さいために傾斜する場合があるが、この場合でも、支柱13の下端部がテーパ部23のテーパ面23aにガイドされて容器7の中央の最下部23bに戻り、傾斜状態を解消して起立状態に保持されることになる。
制振架台2を備えた建物に地震が発生すると、床面6から制振装置1に3次元方向の振動が伝達され、制御架台2へも伝達される。制振装置1において水平方向の振動は容器7の内面と支柱13の水平プレート17及び鋼管15との間隙Kに充填されたシリコンオイル12のせん断抵抗によって減衰させられる。また、上下方向の振動は、水平プレート17と容器の底部の基板9との間、水平プレート17と鋼管15の底部19との間のシリコンオイル12のせん断抵抗によって減衰させられる。しかも、水平プレート17に所定間隔に形成された複数の穴17aを形成したことでシリコンオイル12の流動抵抗を調整して、上下方向の引っ張り力を調整できる。これによって容器7の基板9に固定されたアンカーボルト10に対する引き抜き方向の荷重を低減できる。
また、支柱13の上部側領域に剛性の高い鋼管13を設置して架台4のフレーム3に連結するようにしたから、地震等が発生した場合、重量の大きいIT機器や通信機器等の各種機器や設備を設置していても支柱13の座屈を防いで振動を減衰させて制振できる。
次に本発明の他の実施形態や変形例について説明するが、上述した第一実施形態による制振装置1と同一または同様な部品、部材には同一の符号を用いて説明を省略する。
図4は第二実施形態による制振装置1Aを示すものであり、本実施形態では支柱13Aが鋼管15を有しておらず、全長に亘って例えばPC鋼棒からなる棒体25とされている。そして、この棒体25の下端部にはテーパ部23の中央最下部に着座可能な着座板16が連結され、中間部分に着座板16より幅広で全周に亘って容器7の内面との間に間隙Kを形成する水平プレート17が連結されている。そして、棒体24の上端部は容器7の上端部から上方に突出していて連結板22を介して架台4のフレーム3に連結されている。
図5に示す制振装置1Bは概略で第2実施形態による制振装置1Aと同一構成を有しているが、本実施形態による制振装置1Bでは、支柱13Bとしての棒体27は、下端部に着座板16が設けられておらず、棒状にストレートに延びている。
また、容器7の底部に設けたテーパ部28は容器7の中心に向けてすり鉢状に形成されたテーパ面28aと、すり鉢の底である中央最下部が容器7の基板9まで延びる円筒状の凹部29とを備えている。凹部29の内径は棒体27の外径に対して全周に若干の間隙K1が形成されており、この間隙K1にもシリコンオイル12が充填されている。そのため、テーパ部28の断面は略台形状に形成されている。
本実施形態による制振装置1Bはその余の構成において、第二実施形態による制振装置1Aと共通する。
そのため、棒体27がテーパ部28の凹部29内に保持されるために、水平方向の振動は小さく抑制される。この場合、棒体27の水平方向の振動の範囲が狭く、水平方向の振動は上下方向の振動に変換され、上述したように水平プレート17と容器7の底部のテーパ面28との間のシリコンオイル12のせん断抵抗によって減衰させられる。水平方向の振動によっても棒体27が傾斜することが抑制され、常時中央の凹部29内に起立状態に支持されている。
これによって、本実施形態による制振装置1Bは、上述した第一及び第二実施形態の制振装置1,1Aよりも、振動による棒体27と架台4の横揺れを著しく低減できる。
この場合、上下方向の振動と水平方向の振動によって棒体27は凹部29から脱出して振動させられ、棒体27は3次元方向に振動が生じると、振動を減衰させつつ容器7内で斜め方向に傾斜することがある。すると、棒体27の振動幅が低減されるため、シリコンオイル12による振動減衰効果が低下する。
この場合でも、棒体27の下端部は容器7の底部のテーパ部28のテーパ面28aに当接するため、振動しながらテーパ面28aにガイドされて中央方向に移動して凹部29内に落ち込むことで中心位置に保持され、棒体27は傾斜状態から起立状態に戻される。
また、上述した第二〜第三実施形態による制振装置1A,1Bにおいて、各容器7の上端開口には蓋を設けない構成としたが、第一実施形態と同様に蓋を設置するようにしてもよい。この場合、埃等の異物が容器7のシリコンオイル12内に落下することを防止できればよく、蓋は容器7の上端や支柱13A,13Bに固定しなくてもよい。
なお、上述した各実施形態による制振装置1,1A,1Bにおいて、水平プレート17は所定間隔で穴17aを形成してこれらの穴17aを通してシリコンオイル12の流動性を制御して振動の減衰機能と振動による衝撃力を調整するようにしたが、本発明による水平プレート17は上述した構成に限定されない。例えば、穴17aを設けない水平プレート17を用いてもよい。
このような逆止弁31を採用することで上下方向の振動による減衰機能を調整するようにしてもよい。なお、逆止弁として、上述の構成に代えて水平プレート17に段付きの貫通穴を形成し、段部に弁体としてボール等を配設した構成を採用してもよい。
また、第一及び第二実施形態において、支柱13の下側のボルト軸14と棒体25の下端に着座板16を固定したが、着座板16を設置することなく、ボルト軸14や棒体25自体の下端部をテーパ部23の中央最下部23bに位置させて静止させるようにしてもよい。
また、第三実施形態において、支柱13Bの上部側に鋼管15を連結してもよい。
また、制振装置1,1A,1Bの容器7に貯留する粘性体としてシリコンオイル12を用いたが、本発明による粘性体はシリコンオイル12に限定されるものではなく、その他のオイル等適宜の高粘性を有する流体材料を採用できる。
2 制振架台
3 フレーム
4 架台
7 容器
8 筒部
12 シリコンオイル
13,13A、13B 支柱
14 ボルト軸
15 鋼管
16 着座板
17 水平プレート
17a 穴
23、28 テーパ部
23a,28a テーパ面
25、27 棒体
29 凹部
Claims (3)
- 粘性体を収納した筒状の容器内に支柱が挿入され、該支柱の上部には架台が設置されていると共に中間部にプレートが固定され、該プレートと前記容器の内面との間に間隙が形成され、前記容器の底部には前記支柱の下端部を位置決めするためのテーパ部が形成されており、
前記テーパ部における最下部に前記テーパ部より下方に落ち込む筒状の凹部が形成され、該筒状の凹部内に前記支柱が挿入されていることを特徴とする制振装置。 - 前記支柱は、前記プレートを固定した軸部と、該軸部の上側に連結された鋼管とを備えている請求項1に記載された制振装置。
- 請求項1または2に記載された制振装置を1または複数備えていて、前記制振装置の上部には前記架台が設けられてなることを特徴とする制振架台。
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