JPH102375A - 三次元防振装置 - Google Patents

三次元防振装置

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Publication number
JPH102375A
JPH102375A JP17577096A JP17577096A JPH102375A JP H102375 A JPH102375 A JP H102375A JP 17577096 A JP17577096 A JP 17577096A JP 17577096 A JP17577096 A JP 17577096A JP H102375 A JPH102375 A JP H102375A
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JP
Japan
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fitting portion
vibration isolator
contact
vibration
concave surface
Prior art date
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JP17577096A
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English (en)
Inventor
Motoyasu Nakanishi
幹育 中西
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EE S KK
Suzuki Sogyo Co Ltd
Original Assignee
EE S KK
Suzuki Sogyo Co Ltd
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Publication date
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  • Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 三次元方向の防振を極めて簡易且つ小型薄肉
な構造により達成する。 【解決手段】 本発明の三次元防振装置1は、水平方向
の防振を免震作用により行う水平防振装置10と、垂直
方向の防振を吸振作用により行う垂直防振装置20とを
上下に組み合わせて配置することにより構成され、更に
このうち水平防振装置10は、なだらかな凹陥面11
と、この凹陥面11に常時接触する接触子15とを具え
て成り、前記凹陥面11と接触子15との相対位置は求
心作用によって一定の位置に収束するように構成されて
おり、一方、垂直防振装置20は、剪断方向に力が作用
するように配置される粘弾性体21を有して成り、この
粘弾性体21の自変形作用によって伝達された振動を吸
収するように構成されていることを特徴として成り、こ
れを手段として前記課題の解決を図っている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水平方向の防振と垂
直方向の防振を同時に行うことのできる三次元防振装置
に関するものである。
【0002】
【発明の背景】地震の多い我が国にあっては、かねてよ
り耐震構造の重要性が叫ばれ、建築物、構築物の施工の
分野において、あるいは博物館や美術館等に所蔵される
美術品や工芸品などの文化財の保管の分野において、構
造を異にする種々の耐震構造が提案され、上記建築物等
の耐震性の向上及び上記文化財の破損の防止等に供され
ている。このうち建築物等の施工の分野において採用さ
れている耐震構造としては、従来は構造材の強度と粘り
により、地震によって生ずる建築物等の揺れに対応しよ
うとするものが一般的であった。
【0003】しかし近時に至ると、上記耐震構造とは考
え方を全く異にする新たな耐震構造である免震理論に基
づく耐震構造が多くとられるようになってきている。こ
こで免震理論とは、地盤とこの地盤によって支持される
被支持体との間に特殊な装置を取り付けることにより、
被支持体の固有周期を長くし、これにより地盤からの被
支持体への振動伝達の絶縁を図るという考え方を言う。
このような免震理論に基づく耐震構造1′としては、図
18(a)に示すようなゴム板Rと鉄板Mとを何層にも
重ね合わせることによって構成される積層ゴムタイプの
ものが多く使用されている。このものは鉄板Mの介在に
より垂直方向の荷重に対する抗力を高め、被支持体Aの
支承を可能とするとともに、水平方向にはゴム板Rの有
する弾性力がそのまま活かされ、この弾性力により地盤
Gから被支持体Aへの振動伝達の絶縁を図るというもの
である。
【0004】また上記文化財等の破損の防止等、フロア
単位、あるいはフロア内に設けられる上記文化財の陳列
ケース等を単位とする耐震構造にも免震理論に基づくも
のが採用されてきている。このうちフロア単位の防振を
図る耐震構造1′としては、上記図18(a)に示す積
層ゴムタイプのものを防振したいフロアの床底面に配置
することにより一例として構成される床免震システムが
採用されている。一方、陳列ケース等を単位とする耐震
構造1′としては、図18(b)に示すように上下に入
れ違い状に直交するガイドレールLと、このガイドレー
ルLに係合して転動する複数個のコロCとこれらのコロ
Cと接触することにより、一定方向に摺動する二枚のス
ライドパネルPと、これらのスライドパネルPを摺動自
在に支持するスプリングE及びその摺動を抑制し、その
振動を減衰させる作用をするオイルダンパDとを具える
ものを複数組設けたものが一例として採用されている。
【0005】これらの耐震構造は、水平方向の振動のみ
に効果を発揮するものであり、垂直方向の振動に対して
は、何らの効果も発揮し得ない。従って水平二軸と垂直
一軸の計三軸の振動、すなわち三次元方向の振動の防止
に対応するには、上記の耐震構造に加え、金属バネや空
気バネ等から成る垂直方向の防振構造を別途併用してい
たのが実状であった。しかしながら上述の図18(a)
に示す積層ゴムタイプの耐震構造1′及び図18(b)
に示すガイドレールLを上下に直交させて配した耐震構
造1′は、構造上それ自体がある程度高めに設定される
ものであり、このような耐震構造1′に上記垂直方向の
防振構造を併用した場合には、この種の防振装置として
は高くなり過ぎ、実用に適さないものとなってしまう。
また上記図18(b)に示すものにあっては、構造が複
雑であり、この点でも改善の余地が残されていた。
【0006】更に上記金属バネや空気バネ等を用いた垂
直方向の防振構造にあっても、圧縮方向に力が作用する
状態で用いられることにより、この垂直方向の防振構造
それ自体もある程度高めに設定されていた。更にまた上
記金属バネや空気バネ等にあっては、ダンピング特性の
点で必ずしも充分なものとは言えず、より一層の振動吸
収特性を有することのできる防振構造の開発が望まれて
いた。なおこのような耐震構造及び防振構造の抱える種
々の課題は地震等、自然的要因によって発生する振動に
対する防振の分野に限定されるものではなく、工事現場
や振動源となる発電設備、ポンプ、搬送ライン等を具え
る工場あるいは交通量の多い道路や路線の沿線等のよう
な人為的要因によって発生する振動に対する防振の分野
や、振動を伴う船舶や車両内に配置される各種設備や備
品の防振の分野等にも同じく当てはまるものである。ま
た上記人為的要因の中には、比較的低周波の振動を発生
させる機械等も含まれ、例えばマイクロメーターオーダ
ーの精度で加工できるNC等の大型精密工作機械等の分
野において、アームを動かす際に発生するランダムな低
周波振動のために生じていた加工寸法の誤差を低減させ
ること、更に印字ヘッド高速移動型のプリンタ等の防振
の分野にあっては、ヘッドの移動によって生じていた印
刷精度の低下を減少させることも解決すべき課題とされ
ていた。
【0007】
【開発を試みた技術的事項】本発明はこのような背景の
存在を充分に認識し、その認識の上に立って案出された
ものであって、水平二軸と垂直一軸の計三軸、すなわち
三次元方向の防振を同時に行うことのできる防振装置を
開発するにあたり、構造の簡易化と小型薄肉化、そして
より一層のダンピング特性の向上とを同時に達成するこ
とにより上記背景中に開示する課題の解決を試みた新規
且つ極めて利用価値の高い三次元防振装置の開発を試み
たものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち請求項1記載の
三次元防振装置は、水平方向の防振を免震作用により行
う水平防振装置と、垂直方向の防振を吸振作用により行
う垂直防振装置とを上下に組み合わせて配置することに
より構成され、更にこのうち水平防振装置は、なだらか
な凹陥面と、この凹陥面に常時接触する接触子とを具え
て成り、前記凹陥面と接触子との相対位置は求心作用に
よって一定の位置に収束するように構成されており、一
方、垂直防振装置は、剪断方向に力が作用するように配
置される粘弾性体を有して成り、この粘弾性体の自変形
作用によって伝達された振動を吸収するように構成され
ていることを特徴として成るものである。そしてこのよ
うな発明特定事項を手段とすることにより、水平方向に
生ずる低周波成分を多く含む振動は水平防振装置の免震
作用によって減殺され、一方、垂直方向に生ずる高周波
成分を多く含む振動は垂直防振装置の吸振作用によって
減衰されるから三次元方向の防振を同時に行うことが可
能となる。また水平防振装置を凹陥面と接触子とによる
求心作用を利用した極めて簡易な構造としたことにより
製品コストの削減、薄肉化、小型化にも寄与し得る。更
に垂直防振装置を剪断方向に力が作用するように配置し
た粘弾性体を有することにより構成したことにより、振
幅の大きな垂直方向の振動にも対応し得るようになるほ
か、構造の簡易化と薄肉化、小型化にも寄与し得るよう
になり、前記課題の解決が図られるのである。
【0009】また請求項2記載の三次元防振装置は、前
記要件に加え、前記水平防振装置は、前記凹陥面に対し
て滑り接触するとともに、その端面形状を球面とする突
起状の接触子と、この接触子端面に比べて曲率半径が大
きくなるように設定される扁平椀状の凹陥面とを具える
ことにより構成されていることを特徴として成るもので
ある。そしてこのような発明特定事項を手段とすること
により、極めて簡易な構造により固有振動数を低く設定
できるほか、曲率半径を可変することにより固有振動数
と復元力との調整を図ることが可能となる。また凹陥面
と接触子との位置関係は特に限定されず、上下逆に配設
することも可能であるから、例えば凹陥面を下向きに配
設した場合にはゴミ、異物等の混入、付着を少なくする
という効果も発揮され、これらにより前記課題の解決が
図られるのである。
【0010】更にまた請求項3記載の三次元防振装置
は、前記請求項1記載の要件に加え、前記水平防振装置
は、前記凹陥面に対して転がり接触する球体状の接触子
と、この接触子を挟むようにその上下に対向して設けら
れる二つの凹陥面とを具えて成り、なお且つこれらの凹
陥面は、上記接触子に比べて曲率半径が大きくなるよう
に扁平椀状に形成されていることを特徴として成るもの
である。そしてこのような発明特定事項を手段とするこ
とにより、曲率半径を変えることなく固有振動数を低く
設定でき、上記請求項2記載の三次元防振装置に比べて
復元力を大きく設定できる。また水平防振装置の薄肉
化、小型化を維持した上で対応できる水平方向の振幅の
拡大にも寄与し得るようになり、これらにより前記課題
の解決が図られるのである。
【0011】更にまた請求項4記載の三次元防振装置
は、前記要件に加え、前記垂直防振装置は、入れ子状に
配される内嵌部及び外嵌部と、これらの隙間に設けら
れ、上記内嵌部及び外嵌部を嵌合方向に幾分ずらした状
態で保持する粘弾性体とを具えることにより構成されて
いることを特徴として成るものである。そしてこのよう
な発明特定事項を手段とすることにより、極めて簡易な
構造により薄肉化、小型化に寄与し得るようになる。ま
た粘弾性体の自変形作用による振動吸収作用も発揮され
るから、これらにより前記課題の解決が図られるのであ
る。
【0012】更にまた請求項5記載の三次元防振装置
は、前記請求項1、2または3記載の要件に加え、前記
垂直防振装置は、入れ子状に配される内嵌部、中嵌部及
び外嵌部と、これらの隙間に設けられ、上記内嵌部、中
嵌部及び外嵌部を嵌合方向に幾分ずらした状態で保持す
る粘弾性体とを具えることにより構成されていることを
特徴として成るものである。そしてこのような発明特定
事項を手段とすることにより、被支持体の重量が大きい
場合の抗力の増強が図られるほか、対応できる垂直方向
の振幅の拡大にも寄与し得るようになり、これらにより
前記課題の解決が図られるのである。
【0013】更にまた請求項6記載の三次元防振装置
は、前記請求項4または5記載の要件に加え、前記内嵌
部及び外嵌部、あるいは内嵌部、中嵌部及び外嵌部の間
に形成される隙間は1〜10mmの範囲内に設定される
ことを特徴として成るものである。そしてこのような発
明特定事項を手段とすることにより、剪断方向に力が作
用するように配置された粘弾性の機械的強度及びその振
動吸収特性が所望の範囲内となるよう保証され、前記課
題の解決に寄与し得るのである。
【0014】更にまた請求項7記載の三次元防振装置
は、前記要件に加え、前記粘弾性体はJIS K 22
07−1980 50g荷重の針入度が30〜200の
範囲内のシリコーンゲルにより形成されていることを特
徴として成るものである。そしてこのような発明特定事
項を手段とすることにより、垂直防振装置に優れた高ダ
ンピング特性が付与され、高周波成分の多い垂直方向の
振動の効果的な吸収が図られるようになり、前記課題の
解決に寄与し得るのである。
【0015】更にまた請求項8記載の三次元防振装置
は、前記請求項4、5、6または7記載の要件に加え、
前記内嵌部、外嵌部あるいは中嵌部における粘弾性体と
の接合面はテーパ状に形成されていることを特徴として
成るものである。そしてこのような発明特定事項を手段
とすることにより、重力(垂直)方向の振動や被支持体
の重量により粘弾性体を剪断変形しつつ、圧縮変形させ
ることとなり、剪断破壊が起こり難くなる。また万一粘
弾性体が破壊された場合でも、内嵌部、外嵌部あるいは
中嵌部間の接触面が接触状態となり、その隙間に圧縮さ
れた粘弾性体を保持するので、被支持体が極端に傾くこ
とはなくなり、これらにより前記課題の解決に寄与し得
るのである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下図面に基づいて本発明の三次
元防振装置について具体的に説明する。なお以下の説明
にあたっては、最初に図1〜6に示す基本的実施の形態
について、その構成、作動状態の順で詳述し、次いで上
記図1〜6に示す基本的実施の形態とは部分的構成を異
ならせた種々の実施の形態に言及することとする。図
中、符号1に示すものが本発明の三次元防振装置であっ
て、このものは水平方向の防振を免震作用により行う水
平防振装置10と、垂直方向の防振を吸振作用により行
う垂直防振装置20とを上下に組み合わせて配置するこ
とにより基本的に構成される。
【0017】そして図1〜6に示す実施の形態にあって
は、地盤G上に直接設置される設置板2と、上記水平防
振装置10を介して、その上方に設けられる中間板3
と、上記垂直防振装置20を介してその上方に設けら
れ、直接被支持体Aを支持する支持板4とを具え、全体
として載置台様の構成とした三次元防振装置1を示す。
なおこのような三次元防振装置1は上下反転させた設置
態様とすることも可能であり、その場合には地盤G上に
直接設置される部分が支持板4、被支持体Aを直接支持
する部分が設置板2ということになる。
【0018】また地盤Gは、一般には被支持体Aがビル
等の建築物や橋梁等の構築物である場合には、それらの
基礎ということになり、被支持体Aが例えばビル内のフ
ロアの床面である場合には、この床を支える梁等の構造
部材あるいはコンクリート打ちされた床基礎ということ
になり、被支持体Aが例えばフロア内に設置される棚や
陳列ケース等であれば床面ということになる。この他、
例外的に天井に吊持されるシャンデリヤ等を被支持体A
とした場合には、この天井が上記地盤Gに代替すること
となり、天井と被支持体Aとの間に本発明の三次元防振
装置1が配設されることとなる。因みにシャンデリヤ等
を支持する場合には、接触子15と凹陥面11との接触
状態を維持し、なお且つ求心作用を奏させる他の手段、
例えばバネを利用した付勢手段や磁力を利用した吸着手
段等を別途設け、設置板2あるいは支持板4を上方より
あてがい、ボルト・ナット等の適宜の固定手段を用いて
吊持状態に支持することも可能であるが、上記設置板2
あるいは支持板4の一部をオーバーハング状に下方に回
り込ませ、下方より支承するようにすれば、上記付勢手
段や吸着手段等の介在は不要となる。
【0019】次にこのようにして設置される本発明の特
徴的発明特定事項である水平防振装置10と垂直防振装
置20について具体的に説明する。これらは上記設置板
2と中間板3との間、中間板3と支持板4との間にそれ
ぞれ四個ずつ一例として設けられるものであって、この
うち水平防振装置10はなだらかな凹陥面11と、この
凹陥面11に常時接触する接触子15とを具えて成り、
これら凹陥面11と接触子15との相対位置は求心作用
によって一定の位置に収束するように構成される。
【0020】そして図1〜6に示す実施の形態にあって
は、上記接触子15を端面形状を球面とする突起状のも
のとし、上記凹陥面11に対して滑り接触するように構
成するとともに、凹陥面11の凹陥面形状を上記接触子
15の端面に比べて曲率半径が大きくなるように設定し
た扁平椀状のものとした水平防振装置10を示す。更に
図1〜6に示す実施の形態にあっては、設置板2の四隅
に上面に凹陥面11を形成した受座12を設けるととも
に、この受座12に対応する位置上方の中間板3の下面
に半球体状の接触子15を設けたものを示す。
【0021】またこのような受座12における少なくと
も凹陥面11を構成する部分の材料としては、耐摩耗
性、耐衝撃性、耐クリープ性、低摩擦性に優れることを
必須条件とし、更に使用環境により、耐候性、耐薬品
性、耐火性、耐油性等や成形性が良好であることが条件
となる。従ってこのような条件を満たす種々の合成樹脂
や金属等が使用できるが、発錆等の問題を考慮すれば合
成樹脂の方が好ましい。因みに本実施の形態にあって
は、ポリオキシメチレンコポリマー(POM−C)を使
用した。このポリオキシメチレンコポリマーは上記条件
を満足するとともに、切削加工性や成形性等に優れ、発
錆等も生じないから、凹陥面11を形成する材料として
好適なものと言える。
【0022】一方、このような凹陥面11と接触する接
触子15の材料としても、上記凹陥面11と同様の作用
を有することが条件とされるから、上記凹陥面11と同
様の材料により形成されることが望ましい。因みに本実
施の形態にあっては、上記凹陥面11を形成したポリオ
キシメチレンコポリマーをこの接触子15にも使用し
た。しかし接触子15と凹陥面11のいずれか一方をポ
リオキメチレンコポリマー、他方を上記条件を満たす他
の材料により形成し、凹陥面11と接触子15とを異種
材料の組み合わせにより構成することももちろん可能で
ある。またこのような凹陥面11と接触子15との間に
オイルを介在させることも可能であり、このようにすれ
ば、凹陥面11と接触子15との相対移動がより一層、
円滑なものとなる。
【0023】またこのような凹陥面11と接触子15と
の位置関係はこのような位置関係に限定されるものでは
なく、前述の三次元防振装置1全体の設置態様と同様
に、これらを上下反転させた位置関係とすることも可能
である。因みにこのような位置関係とした場合には凹陥
面11に対する塵、埃等の堆積、ゴミ等の混入、付着が
防止される。更に凹陥面11の構成について詳述する。
この凹陥面11は上述のように接触子15との関係で、
凹陥面11あるいは接触子15のいずれか一方を固定し
た場合において、他方が一定の位置に収束するように求
心作用を生じさせる働きをするものである。
【0024】そしてこの求心作用は凹陥面11の曲率半
径あるいは傾斜角度と深く関係するものであって、曲率
半径を大きく、あるいは傾斜角度を小さくし、凹陥面1
1の勾配をなだらかに設定すれば固有振動数は低くなる
が、復元力が低下する。一方、曲率半径を小さく、ある
いは傾斜角度を大きくし、凹陥面11の勾配をきつく設
定すれば、復元力は向上するが、固有振動数が高くな
る。従って凹陥面11の勾配は固有振動数と復元力との
兼ね合いで調整され、設定されるものであって、因みに
単一の曲率により凹陥面11を形成した図1〜6に示す
本実施の形態にあっては、接触子15の端面の曲率半径
SR15を30mm、凹陥面11の曲率半径SR11を72
0mmに設定した。
【0025】ここで求心作用について更に付言すれば、
求心作用は斜面(図7に示す曲面と傾斜面の両方を含
む)を利用した復元力により発生し、接触子15と凹陥
面11との接触面の重力方向に対する傾きとその大き
さ、摩擦力により移動方向や速度が決定される。すなわ
ち求心力が摩擦力よりも大きい間は求心方向に移動し、
求心力と摩擦力がつり合う位置では停止するので、傾斜
角度が緩やかな(曲率半径が大きい)場合には特に接触
部の摩擦係数を低く、表面粗さの調整を厳格にする必要
がある。因みに「POM−C」は、摩擦係数μ=0.1
2程度であるので、6.8°以上の傾斜角度なら求心作
用が働く。また扁平椀状の球面状に形成された凹陥面1
1は、曲率半径SR11を調整することにより防振できる
周波数を、そして凹陥面11の直径を調整することによ
り減衰できる振幅の大きさをそれぞれ設定でき、例えば
地震の場合には数Hz の低周波成分を多く含む大きな振
幅の振動が発生するので、概ね500mm以上の曲率半
径SR11と、数100〜3000mm程度の直径とを有
する凹陥面11を必要とする。
【0026】またもちろんこれらの曲率半径SR11及び
SR15の大きさは上記数値に限定されるものではなく、
上述の固有振動数と復元力、更には被支持体Aの重量と
の関係もあって、それぞれの目的あるいは用途に応じて
適宜選択されるものである。因みにフロア内に設置され
る棚や陳列ケース等の防振を目的とする図1〜6に示す
ような三次元防振装置1において、水平防振装置10に
所望の求心作用を得るには、接触子15の端面の曲率半
径SR15は凹陥面11の曲率半径SR11よりも小さく
し、中間板3が凹陥面11に接触しない程度の大きさの
接触子15とすればよい。一方、SR11は数10〜数1
00mm程度に設定する。更に本発明の三次元防振装置
1をフロアや建物に使用する場合には、曲率半径SR11
を数100〜3000mm程度に設定する。更にまた本
発明の三次元防振装置1等の免震装置を建物またはフロ
ア自体に設置し、且つ小型の三次元防振装置1を建物内
部の機器やケース等に取り付けたり、複数の三次元防振
装置1を積層した状態で使用することも可能であり、こ
のようにすればより一層効果的である。
【0027】更にまたこのような求心作用を奏する凹陥
面11は、図1〜6に示す実施の形態、あるいは図7
(a)に示すように単一の曲率により構成するものに限
定されるものではなく、図7(b)に示すように曲率を
異にする複数の曲面11a、11a′により構成したも
の、図7(c)に示すように単一の傾斜面11bのみに
より構成したもの、図7(d)に示すように傾斜角度を
異にする複数の傾斜面11b、11b′により構成した
もの、あるいは図7(e)に示すように曲面11aと傾
斜面11bとを組み合わせることにより構成したもの
等、種々の構成のものが採用できる。
【0028】更にまた図1〜6に示す実施の形態にあっ
ては、受座12に対して凹陥面11を形成するという構
成をとったが、図示は省略するが、設置板2の上面ある
いは中間板3の下面に直接凹陥面11を形成するという
構成をとることももちろん可能である。更にまたこのよ
うな凹陥面11に滑り接触する接触子15の形状ないし
は構造としても図1〜6に示す実施の形態に限定される
ものではなく、図8(a)に示すように曲面板16によ
り接触子15を構成したもの、図8(b)に示すように
端面形状を平面とした円柱ないしは角柱状の突起17に
より接触子15を構成したもの、あるいは図8(c)に
示すように方向規制を受けない球面コロ18により接触
子15を構成したもの等、種々の形状ないしは構造の接
触子15が採用できる。
【0029】次に本発明の他の特徴的発明特定事項であ
る垂直防振装置20について説明する。垂直防振装置2
0は前述のように剪断方向に力が作用するように粘弾性
体21を配置して成るものであり、この粘弾性体21の
自変形作用によって伝達された振動を吸収するように構
成したものである。そして図1〜6に示す実施の形態に
あっては、入れ子状に配される内嵌部22及び外嵌部2
4と、これらの隙間Sに対して設けられ、上記内嵌部2
2及び外嵌部24を嵌合方向に幾分ずらした状態で保持
する粘弾性体21とを具えることによって構成される垂
直防振装置20を示す。
【0030】このうち粘弾性体21の材料としては、被
支持体Aの重量及び地震時の縦揺れに伴う衝撃に耐えら
れるだけの機械的強度を具えるとともに、伝達された振
動をその自変形作用によって短時間に収束させるに必要
な柔軟性ないしは高ダンピング特性を兼ね具えた材料、
更には温度変化等、使用環境によってその機能、特性に
影響を受けない材料であることが条件とされる。従って
このような条件を満足するものであれば、合成ゴムや、
その他の種々のエラストマー等が使用できるものであっ
て、その一例としてシリコーンゲルが使用できる。更に
このシリコーンゲルの機能、特性を充分に発揮させるに
はJIS K 2207−1980 50g荷重の針入
度を30〜200の範囲内としたシリコーンゲルを使用
する。
【0031】ここでシリコーンゲルについて説明する。
このシリコーンゲルは、ジメチルシロキサン成分単位か
らなるもので、次式[1] で使用されるジオルガノポリシ
ロキサン(以下A成分という): RR1 2SiO−(R2 2SiO) nSiR1 2R……[1] [ただし、Rはアルケニル基であり、R1 は脂肪族不飽
和結合を有しない一価の炭化水素基であり、R2 は一価
の脂肪族炭化水素基(R2 のうち少なくとも50モル%
はメチル基であり、アルケニル基を有する場合にはその
含有率は10モル%以下である)であり、nはこの成分
の25℃における粘度が100〜100000cStに
なるような数である]と、25℃における粘度が500
0cSt以下であり、一分子中に少なくとも三個のSi
原子に直接結合した水素原子を有するオルガノハイドロ
ジェンポリシロキサン(B成分)とから成り、且つこの
B成分中のSi原子に直接結合している水素原子の合計
量に対するA成分中に含まれるアルケニル基の合計量の
比(モル比)が0.1〜2.0になるように調整された
混合物を硬化させることにより得られる付加反応型シリ
コーンコポリマーである。
【0032】このシリコーンゲルについて更に詳しく説
明すると、上記A成分は直鎖状の分子構造を有し、分子
の両末端にあるアルケニル基RがB成分中のSi原子に
直接結合した水素原子と付加して架橋構造を形成するこ
とができる化合物である。この分子末端に存在するアル
ケニル基は、低級アルケニル基であることが好ましく、
反応性を考慮するとビニル基が特に好ましい。また分子
末端に存在するR1 は、脂肪族不飽和結合を有しない一
価の炭化水素基であり、このような基の具体例としては
メチル基、プロピル基及びヘキシル基等のようなアルキ
ル基、フェニル基並びにフロロアルキル基を挙げること
ができる。
【0033】上記[1] 式においてR2 は一価の脂肪族炭
化水素であり、このような基の具体的な例としては、メ
チル基、プロピル基及びヘキシル基等のようなアルキル
基並びにビニル基のような低級アルケニル基を挙げるこ
とができる。ただし、R2 のうち少なくとも50モル%
はメチル基であり、R2 がアルケニル基である場合に
は、アルケニル基は10モル%以下の量であることが好
ましい。アルケニル基の量が10モル%を超えると架橋
密度が高くなり過ぎて高粘度になりやすい。またnは、
このA成分の25℃における粘度が通常は100〜10
0000cSt、好ましくは200〜20000cSt
の範囲内になるように設定される。
【0034】上記のB成分は、A成分の架橋剤でありS
i原子に直接結合した水素原子がA成分中のアルケニル
基と付加してA成分を硬化させる。B成分は上記のよう
な作用を有していればよく、B成分としては直鎖状、分
岐した鎖状、環状、あるいは網目状などの種々の分子構
造のものが使用できる。また、B成分中のSi原子には
水素原子の他、有機基が結合しており、この有機基は通
常はメチル基のような低級アルキル基である。
【0035】更に、B成分の25℃における粘度は通常
は5000cSt以下、好ましくは500cSt以下で
ある。このようなB成分の例としては、分子両末端がト
リオルガノシロキサン基で封鎖されたオルガノハイドロ
ジェンシロキサン、ジオルガノシロキサンとオルガノハ
イドロジェンシロキサンとの共重合体、テトラオルガノ
テトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、HR1 2
SiO 1/2単位とSiO 4/2単位とから成る共重合体シ
ロキサン、及びHR1 2SiO 1/2単位とR1 3SiO 1/2
単位とSiO 4/2単位とから成る共重合体シロキサンを
挙げることができる。ただし上記式においてR1 は前記
と同じ意味である。
【0036】そして上記のB成分中のSiに直接結合し
ている水素原子の合計モル量に対するA成分中のアルケ
ニル基の合計モル量との比率が通常は0.1〜2.0、
好ましくは0.1〜1.0の範囲内になるようにA成分
とB成分とを混合して硬化させることにより製造され
る。この場合の硬化反応は、通常は触媒を用いて行なわ
れる。ここで使用される触媒としては、白金系触媒が好
適であり、この例としては微粉砕元素状白金、塩化白金
酸、酸化白金、白金とオレフィンとの錯塩、白金アルコ
ラート及び塩化白金酸とビニルシロキ酸との錯塩を挙げ
ることができる。
【0037】このような錯塩はA成分とB成分との合計
重量に対して通常は0.1ppm(白金換算量、以下同
様)以上、好ましくは0.5ppm以上の量で使用され
る。このような触媒の量の上限については特に制限はな
いが、例えば触媒が液状である場合、あるいは溶液とし
て使用することができる場合には200ppm以下の量
で充分である。上記のようなA成分、B成分及び触媒を
混合し、室温に放置するか、あるいは加熱することによ
り硬化して本発明で使用されるシリコーンゲルが生成さ
れる。
【0038】このようなシリコーンゲルの硬度は、上記
A成分の量をB成分中のSiに直接結合している水素原
子と架橋構造を形成することができる。また他の方法と
して両末端がメチル基であるシリコーンオイルを、得ら
れるシリコーンゲルに対して5〜75重量%の範囲内の
量であらかじめ添加することにより調整することができ
る。
【0039】シリコーンゲルは上記のようにして調整す
ることもできるし、また市販されているものを使用する
こともできる。本発明で使用することができる市販品の
例としては、CF5027、TOUGH−3、TOUG
H−5、TOUGH−6(東レ・ダウコーニング・シリ
コーン株式会社製)やX32−902/cat1300
(信越化学工業株式会社製)、F250−121(日本
ユニカ株式会社製)等を挙げることができる。
【0040】なお上記のA成分、B成分及び触媒のほか
に、顔料、硬化遅延剤、難燃剤、充填剤等をシリコーン
ゲルの特性を損なわない範囲内で配合することもでき、
また微小中空球体のフィラーを混入して成るシリコーン
ゲルを用いてもよく、このような材料に日本フィライト
株式会社製造のフィライト(登録商標)や同社販売のエ
クスパンセル(登録商標)等が例示できる。因みに本実
施の形態では、針入度30〜40(JIS K 220
7−1980 50g荷重の針入度)のシリコーンゲル
を使用した。
【0041】次にこのような粘弾性体21を介して弾性
的に接続される内嵌部22及び外嵌部24について説明
する。図1〜6に示す実施の形態にあっては、内嵌部2
2及び外嵌部24をいずれも扁平円筒状に構成し、内嵌
部22を支持板4の下面に固定し、一方、外嵌部24を
中間板3の上面に固定した構成のものを示す。そしてこ
のような内嵌部22と外嵌部24との間に形成される隙
間Sは、一例として1〜10mmの範囲内で適宜設定さ
れるものであって、このような範囲内で隙間Sを設定し
た場合には、所望の機械的強度及び振動吸収力が達成さ
れる。
【0042】因みに図1〜6に示す実施の形態にあって
は、内嵌部22と外嵌部24とのズレ量を20mm、重
合部の長さを15mm、上記隙間Sを5mm、外嵌部2
4の最外径を120mmとした。しかしこれらは垂直方
向の振幅の大きさ、粘弾性体21の機械的強度及びダン
ピング特性をどのように設定するかによって種々変更で
きるものであって、被支持体Aの重量等をも勘案し、適
宜調整できる。また内嵌部22及び外嵌部24の材料と
しては、アルミニウム、ステンレス、鉄等の金属や使用
に耐え得る機械的強度を有する種々の合成樹脂材料等が
適用できるものである。因みに垂直防振装置20を構成
する各部材の寸法を上記寸法に設定した場合には、粘弾
性体21の材料として針入度40のシリコーンゲルを使
用した場合において一個当たりの耐荷重量が約80kg
まで使用できるようになる。
【0043】また内嵌部22と外嵌部24の形状、構造
については、このように両者を扁平円筒状に構成するほ
か、両者を扁平角筒状に構成したり、図10(a)に示
すように内嵌部22を充実体としたもの、図10(b)
に示すように一つの外嵌部24に対し複数の内嵌部22
を配置したもの、あるいは図10(c)に示すように粘
弾性体21との接合面をテーパ状とし、内嵌部22の中
間板3への衝突及び外嵌部24の支持体4の衝突を回避
するようにしたもの等種々の構成のものが採用できる。
なおこのような内嵌部22と外嵌部24の配置は、前記
凹陥面11と接触子15と同様に上下反転させ、内嵌部
22を中間板3の上面に、外嵌部24を支持板4の下面
にそれぞれ固定するように構成することももちろん可能
である。因みに内嵌部22及び外嵌部24の粘弾性体2
1との接合面を図10(c)のようなテーパ状にした場
合には、重力(垂直)方向の振動や被支持体Aの重量に
より粘弾性体21を剪断変形しつつ、圧縮変形させるこ
ととなり剪断破壊が起こり難くなる。これは圧縮される
粘弾性体21の弾性力によるものと思われるが、万一、
粘弾性体21が破壊された場合でも、内嵌部22と外嵌
部24の接触面が接触状態となり、その隙間に圧縮され
た粘弾性体21を保持するので、被支持体Aが極端に傾
くことはない。
【0044】次にこのようにして成る本発明の三次元防
振装置1に振動が伝わった場合の作動状態について説明
する。まず地盤Gの水平方向の振動に対しては、図6
(a)に示すように設置板2は地盤Gと共に同一の周
期、同一の振幅で振動する。しかし被支持体Aの重量及
び前述の凹陥面11と接触子15とによって奏せられる
求心作用と低い摩擦力による滑り作用とによって、接触
子15はほぼそのままの位置を確保し、被支持体Aへの
水平方向の振動伝達を防止するのである。なお求心作用
を利用した本発明の三次元防振装置1における水平防振
装置10にあっては、水平方向の振動に対して接触子1
5と凹陥面11との相対移動によって防振するから相対
移動の際に接触子15が凹陥面11の中央部に位置する
場合と外周付近に位置する場合とで多少の上下動を生
じ、結果的に被支持体Aを上下に従動させてしまうこと
となる。しかしながら本発明の三次元防振装置1には、
垂直防振装置20が設けられており、この粘弾性体21
が図6(a)に示すように剪断変形することによって上
記相対移動に伴って生ずる上下方向の振動の緩和、防振
が図られるのである。
【0045】一方、地盤Gの垂直方向の振動に対して
は、図6(b)に示すように外嵌部24は地盤Gと一緒
に振動するが、粘弾性体21が剪断変形し、その振動を
吸収するため、内嵌部22及び支持板4を介して支持さ
れる被支持体Aはほぼそのままの高さ位置を保ち、被支
持体Aへの垂直方向の振動の伝達を防止するのである。
すなわち本発明の三次元防振装置1における垂直防振装
置20は、外部からの垂直方向の振動を吸収するととも
に、上記接触子15と凹陥面11との相対移動に伴う上
下動をも緩和、防振する作用を併せ持つのである。因み
に粘弾性体21として、シリコーンゲルを使用した場合
にはダンピング特性に優れ、ストロークエンドでの反発
力もほとんど生ぜず、大きな温度変化に対しても常に安
定した特性が奏せられるため、極めて効果的且つ安定し
た垂直方向の防振が達成されるのである。また粘弾性体
21は、水平方向の振動に対しても自らを圧縮変形させ
ることにより減衰効果を発揮するものである。
【0046】
【他の実施の形態】次に図11、9、12、13に基づ
いて前記図1〜6に示す基本的実施の形態とは、構成を
異にする他の種々の実施の形態について説明する。まず
図11に示すものは水平防振装置10の構成を異ならせ
た他の実施の形態を示すものであって、凹陥面11に対
して転がり接触する球体状の接触コマ19により構成さ
れる接触子15と、この接触子15を挟むように、その
上下に対向して設けられる二つの凹陥面11とを具えて
成る水平防振装置10を示すものである。
【0047】因みにこのような構成の水平防振装置10
を適用した場合には、同一の曲率半径SR11、同一の大
きさの凹陥面11にあっては固有振動数は、√2倍低く
なり、対向して設けられる二つの凹陥面11間の相対移
動距離もほぼ二倍となり、水平方向の大きな振幅にも対
処し得るようになる。またこれとは逆に凹陥面11間の
相対移動距離を前記図1〜6に示す実施の形態のものと
同じに設定すれば、水平防振装置10の小型化に寄与す
ることとなる。
【0048】またこのような二つの凹陥面11を使用す
る実施の形態にあっては、使用される接触子15の他の
実施の形態として図9(a)〜(c)に示すような形
状、構造の接触コマ19より成る接触子15も適用し得
る。このうち図9(a)に示すものは碁石状の扁平な接
触コマ19により接触子15を構成したもの、図9
(b)に示すものは逆円錐台状の接触コマ19により接
触子15を構成したもの、図9(c)に示すものは、円
錐あるいは正四面体等の角錐の角稜部にアール(曲面成
形)をとったものを接触コマ19としたものである。因
みに上記図11に示す実施の形態における接触コマ19
は、対向して設けられる凹陥面11に対して、転がり接
触するものであったが、これら図9(a)〜(c)に示
すものは、一方の凹陥面11に対してはほぼ同一相対位
置での当接状態を維持し、他方の凹陥面11に対しては
主に滑り接触する構成となっている。
【0049】更に図12(a)〜(e)に示すものは凹
陥面11からの接触子15の脱落を防止する種々の脱落
防止構造13を示すものであり、図12(a)は凹陥面
11の周縁にリブ13Aを立ち上げたもの、図12
(b)はこのリブ13Aの内面に緩衝体13Bを貼設し
たものを示す。なお緩衝体13Bとしては前述の粘弾性
体21として使用したシリコーンゲルが一例として使用
できる。
【0050】また図12(c)(d)に示すものは前記
図11に示す二つの凹陥面11を具える実施の形態に適
用される脱落防止構造13を示すものであって、このう
ち図12(c)に示すものは凹陥面11の外方の設置板
2の上面に壁型のストッパ13Cを設けたものであり、
一方、図12(d)に示すものは、対向して設けられる
二つの凹陥面11の周縁にリブ13Aを立ち上げるとと
もに、複数の接触コマ19を一体に接続する連結杆13
Dないしは連結板を設けたものである。更に図12
(e)に示すものは接触子15と凹陥面11とから成る
組とは別体に脱落防止構造13を具えた実施の形態を示
し、中間板3の下面に設けた当接円板13Eと、この当
接円板13Eを一定ストロークの範囲で移動自在に受け
入れる受入部13Fと、この受入部13Fの内側周面に
貼設される緩衝体13Bとを具えて成る脱落防止構造1
3を示すものである。
【0051】更にまた図13に示すものは、垂直防振装
置20の構成を異ならせた他の実施の形態を示すもので
あって、入れ子状に配される内嵌部22、中嵌部23及
び外嵌部24と、これらの隙間Sに設けられ、上記内嵌
部22、中嵌部23及び外嵌部24を嵌合方向に幾分ず
らした状態で保持する粘弾性体21とを具えて成る垂直
防振装置20を示すものである。なお図13(a)
(b)に示す実施の形態にあっては、中嵌部23を一つ
のみ設けたものを示すが、更に中嵌部23を増設し、中
嵌部23を複数個配設した構成とすることももちろん可
能である。
【0052】更にまた図13に示す実施の形態において
内嵌部22、中嵌部23及び外嵌部24を嵌合方向に幾
分ずらすにあたっては、図13(a)に示すように互い
違いに異なる方向にずらすようにすることも可能である
し、図13(b)に示すように同一方向にずらす構成と
することも可能である。この他、図13に示すものは内
嵌部22に中間板3としての機能を兼用させることによ
り、三次元防振装置1全体のより一層の薄肉化を達成す
るようにした実施の形態を示すものである。
【0053】
【試験結果】次に図1〜6に示す三次元防振装置1を使
用して行った加振試験の結果について説明する。 1.試験目的 三軸(水平二軸、垂直一軸)方向の防振を目的とした三
次元防振装置の加振試験を行い、その効果を定量的に得
ることを目的とする。
【0054】2.試験方法 加振試験には図14に示す試験装置を用い、以下の
(1)、(2)の状態における加振条件(a)、(b)
について検討を行った。 (1)垂直防振装置のみの場合 加振条件:垂直方向(a)、(b) (a)ランダム波(入力振動値:ピーク値にて約1G)
入力時のピーク値における応答倍率(A)の算出 (A)=三次元防振装置上での加速度のピーク値/加振
加速度のピーク値=G0p/Gip (b)インパルス波(入力振動値:ピーク値にて約1
G)入力時のピーク値における応答倍率(A)の算出 (A)=三次元防振装置上での加速度のピーク値/加振
加速度のピーク値=G0p/Gip (2)水平防振装置と垂直防振装置を組み合わせた場合 加振条件:垂直方向(a)、(b) 水平方向(a)、(b) (a)(1)と同じ (b)(1)と同じ ※ 本試験において荷重量は120kgとした。
【0055】3.試験結果 上記試験方法によって得られた試験結果を図15〜17
に示す。以上の試験結果からそれぞれの状態における応
答倍率を算出した結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】4.結論 本防振構造により入力加速度を最大約1G(980ga
l)の振動とした場合、この振動を水平方向は1/50
以下、垂直方向は1/10以下に抑えることができた。
また振動の応答倍率は垂直方向で0.05〜0.08
倍、水平方向で0.05〜0.06倍となることが確認
できた。
【0058】
【発明の効果】本発明の三次元防振装置1は以上述べた
ような種々の実施の形態によって具現化される請求項1
〜8に記載する発明特定事項を具備することによって成
るものであって、このような発明特定事項を具備するこ
とによって以下述べるような種々の効果が発揮される。
すなわち水平防振装置10と垂直防振装置20とを上下
に組み合わせて配置する構成としたことにより、水平方
向の振動は水平防振装置10によって減殺され、一方、
垂直方向の振動は垂直防振装置20によって減衰される
から、三次元方向の防振を同時に行うことが可能とな
る。
【0059】また水平防振装置10を凹陥面11と接触
子15とによる求心作用を利用した極めて簡易な構造と
したことにより、製品コストの削減、薄肉化、小型化に
も寄与し得るようになる。更に垂直防振装置20を剪断
方向に力が作用するように配置した粘弾性体21を有す
ることにより構成したことにより振幅の大きな垂直方向
の振動にも対応し得るようになるほか、構造の簡易化と
薄肉化、小型化にも寄与し得るようになる。この他、粘
弾性体21をJIS K 2207−198050g荷
重の針入度が30〜200の範囲内のシリコーンゲルに
より形成した場合には、垂直防振装置20に優れた高ダ
ンピング特性が付与され、免震理論を適用した上記水平
防振装置10と相まって振動方向によることのない極め
て汎用性に優れる三次元防振装置1が提供できるのであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の三次元防振装置の使用状態を示す分解
斜視図である。
【図2】同上一部を破断して示す正面図である。
【図3】本発明の三次元防振装置を一部破断して示す平
面図である。
【図4】同上正面図である。
【図5】一組の水平防振装置及び垂直防振装置を拡大し
て示す半断面図並びに同図b−b線における横断平面図
である。
【図6】本発明の三次元防振装置の振動方向毎の作動状
態を示す縦断側面図である。
【図7】凹陥面の構成を異ならせた種々の実施の形態を
示す縦断側面図である。
【図8】接触子の構成を異ならせた他の種々の実施の形
態を示す縦断側面図である。
【図9】同上更に他の種々の実施の形態を示す縦断側面
図である。
【図10】垂直防振装置の構成を異ならせた他の種々の
実施の形態を示す横断平面図並びに縦断側面図である。
【図11】水平防振装置の構成を異ならせた他の実施の
形態を示す横断側面図である。
【図12】水平防振装置に適用し得る種々の脱落防止構
造を示す縦断側面図である。
【図13】垂直防振装置の構成を異ならせた更に他の二
種の実施の形態を示す縦断側面図並びに中間板を省略す
るようにした三次元防振装置の実施の形態を示す縦断側
面図である。
【図14】本発明の三次元防振装置を使用して行った加
振試験の試験装置の二種の構成を併せ示す模式図であ
る。
【図15】同上加振試験の試験結果を示すグラフであ
る。
【図16】同上他の試験結果を示すグラフである。
【図17】同上更に他の試験結果を示すグラフである。
【図18】従来の二種の耐震構造を示す縦断側面図並び
に斜視図である。
【符号の説明】
1 三次元防振装置 1′ 耐震構造 2 設置板 3 中間板 4 支持板 10 水平防振装置 11 凹陥面 11a 曲面 11a′ 曲面 11b 傾斜面 11b′ 傾斜面 12 受座 13 脱落防止構造 13A リブ 13B 緩衝体 13C ストッパ 13D 連結杆 13E 当接円板 13F 受入部 15 接触子 16 曲面板 17 突起 18 球面コロ 19 接触コマ 20 垂直防振装置 21 粘弾性体 22 内嵌部 23 中嵌部 24 外嵌部 A 被支持体 C コロ D オイルダンパ E スプリング G 地盤 L ガイドレール M 鉄板 P スライドパネル R ゴム板 S 隙間 SR11 曲率半径 SR15 曲率半径

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水平方向の防振を免震作用により行う水
    平防振装置と、垂直方向の防振を吸振作用により行う垂
    直防振装置とを上下に組み合わせて配置することにより
    構成され、更にこのうち水平防振装置は、なだらかな凹
    陥面と、この凹陥面に常時接触する接触子とを具えて成
    り、前記凹陥面と接触子との相対位置は求心作用によっ
    て一定の位置に収束するように構成されており、一方、
    垂直防振装置は、剪断方向に力が作用するように配置さ
    れる粘弾性体を有して成り、この粘弾性体の自変形作用
    によって伝達された振動を吸収するように構成されてい
    ることを特徴とする三次元防振装置。
  2. 【請求項2】 前記水平防振装置は、前記凹陥面に対し
    て滑り接触するとともに、その端面形状を球面とする突
    起状の接触子と、この接触子端面に比べて曲率半径が大
    きくなるように設定される扁平椀状の凹陥面とを具える
    ことにより構成されていることを特徴とする請求項1記
    載の三次元防振装置。
  3. 【請求項3】 前記水平防振装置は、前記凹陥面に対し
    て転がり接触する球体状の接触子と、この接触子を挟む
    ようにその上下に対向して設けられる二つの凹陥面とを
    具えて成り、なお且つこれらの凹陥面は、上記接触子に
    比べて曲率半径が大きくなるように扁平椀状に形成され
    ていることを特徴とする請求項1記載の三次元防振装
    置。
  4. 【請求項4】 前記垂直防振装置は、入れ子状に配され
    る内嵌部及び外嵌部と、これらの隙間に設けられ、上記
    内嵌部及び外嵌部を嵌合方向に幾分ずらした状態で保持
    する粘弾性体とを具えることにより構成されていること
    を特徴とする請求項1、2または3記載の三次元防振装
    置。
  5. 【請求項5】 前記垂直防振装置は、入れ子状に配され
    る内嵌部、中嵌部及び外嵌部と、これらの隙間に設けら
    れ、上記内嵌部、中嵌部及び外嵌部を嵌合方向に幾分ず
    らした状態で保持する粘弾性体とを具えることにより構
    成されていることを特徴とする請求項1、2または3記
    載の三次元防振装置。
  6. 【請求項6】 前記内嵌部及び外嵌部、あるいは内嵌
    部、中嵌部及び外嵌部の間に形成される隙間は1〜10
    mmの範囲内に設定されることを特徴とする請求項4ま
    たは5記載の三次元防振装置。
  7. 【請求項7】 前記粘弾性体はJIS K 2207−
    1980 50g荷重の針入度が30〜200の範囲内
    のシリコーンゲルにより形成されていることを特徴とす
    る請求項1、2、3、4、5または6記載の三次元防振
    装置。
  8. 【請求項8】 前記内嵌部、外嵌部あるいは中嵌部にお
    ける粘弾性体との接合面はテーパ状に形成されているこ
    とを特徴とする請求項4、5、6または7記載の三次元
    防振装置。
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JP (1) JPH102375A (ja)

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