JP2004270902A - 両ロッド型ダンパおよびダンパ内蔵型フロントフォーク - Google Patents

両ロッド型ダンパおよびダンパ内蔵型フロントフォーク Download PDF

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Tsutomu Yoshimoto
勉 吉本
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Abstract

【課題】両ロッド型ダンパにおいて、油温補償のための構造を複雑化させず、両ロッド型ダンパを内蔵するダンパ内蔵型フロントフォークにおいて、汎用性を向上させる。
【解決手段】両ロッド型ダンパにおいて、シリンダ体(11)の閉塞された端部に配在されロッド体(31)を貫通させる軸受部材(41)が油温の上昇時にシリンダ体(11)内の油室(R1,R2)からの油の外部たる容室(R)への流出を許容し、上昇した油温の下降時に容室(R)に流出した油の油室(R1,R2)への戻りを許容する流路をロッド体(31)との間に形成してなるとし、ダンパ内蔵型フロントフォークにおいて、車体側チューブと車輪側チューブとで形成される容室内に上記の両ロッド型ダンパを収装する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、両ロッド型ダンパの改良に関し、さらには、両ロッド型ダンパを内蔵するダンパ内蔵型フロントフォークの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、両ロッド型ダンパは、原理的に看れば、片ロッド型ダンパに比較して、リザーバを要しないから、エアレーションの危惧なくして安定した減衰力の発生を期待できる利点がある。
【0003】
一方、凡そ油圧機器にあっては、油温の上昇に伴う、たとえば、シール部材の損傷を回避するために油温補償をする、すなわち、油温の上昇で油の体積が膨張することによる異常高圧化を阻止するとしている。
【0004】
そして、この油温補償は、リザーバを有しない両ロッド型ダンパにあっては、特に意義があり、この両ロッド型ダンパが、たとえば、フロントフォークに内蔵される場合には、両ロッド型ダンパにアキュムレータを接続することで対処するとの提案がある(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
すなわち、この提案では、内蔵されている両ロッド型ダンパを構成するロッド体が内部に油温補償用のアキュムレータを有するとしており、このアキュムレータに同じくこの両ロッド型ダンパを構成するシリンダ体内に画成されている油室が連通するとしている。
【0006】
それゆえ、この提案にあっては、両ロッド型ダンパにおいて、油温の上昇で膨張した体積分の油がアキュムレータに流入されて、異常高圧化が阻止され、シール部材の損傷が招来されずして、作動性が恒久的に保障されることになる。
【0007】
そして、このことがこの両ロッド型ダンパを内蔵するフロントフォークに反映されて、ダンパ内蔵型フロントフォークおける作動性が恒久的に保障されることになる。
【0008】
【特許文献1】
実開平1‐808042号公報(実用新案登録請求の範囲(2),図面)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した提案にあっては、両ロッド型ダンパの構造を複雑にすると共に、この両ロッド型ダンパを内蔵するダンパ内蔵型フロントフォークにおける汎用性の向上を期待できなくする危惧がある。
【0010】
すなわち、上記した提案のフロントフォークに内蔵の両ロッド型ダンパにあっては、この両ロッド型ダンパを構成するロッド体に油温補償用のアキュムレータを有するとしているから、この両ロッド型ダンパ自体の構造が複雑になる。
【0011】
その結果、両ロッド型ダンパにおける重量の増大化を招く上に、製造コストの低減化が阻害され、このことがこの両ロッド型ダンパを内蔵するダンパ内蔵型フロントフォークに反映されて、その汎用性の向上を阻害することになる。
【0012】
この発明は、このような現状を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、油温補償をするについて構造を複雑にしない両ロッド型ダンパを提供することであり、さらには、この両ロッド型ダンパを内蔵してその汎用性の向上を期待するのに最適となるダンパ内蔵型フロントフォークを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、まず、この発明による両ロッド型ダンパの構成を、基本的には、シリンダ体と、このシリンダ体内に摺動可能に収装されて一方側油室および他方側油室を画成するピストンと、このピストンの両側にそれぞれの基端が連設されながらそれぞれの先端がシリンダ体における閉塞された端部に配在の軸受部材を介して外部に突出する一対のロッド体とを有してなる両ロッド型ダンパにおいて、軸受部材が油温の上昇時に一方側油室あるいは他方側油室からの油の外部たる容室への流出および上昇した油温の下降時に容室に流出した油の一方側油室あるいは他方側油室への戻りを許容する流路をロッド体との間に形成してなるとする。
【0014】
それゆえ、油温の上昇時には、膨張した体積分の油が軸受部材とロッド体との間に形成されている流路を介して外部の容室に流出すると共に、油温が常温に戻るように低下する場合には、外部たる容室に流出していた油が上記の流路を介して一方側油室あるいは他方側油室に戻る。
【0015】
このとき、流路は、軸受部材の内周に微小溝を形成することによるなどで積極的に形成されるとしても良いが、好ましくは、軸受部材に対するロッド体の摺動性を確保するための漏れを保障する摺動隙間からなるとするのが良い。
【0016】
そして、上記したダンパの構成において、より具体的には、容室がシリンダ体の一端に、あるいは、シリンダ体の外周に形成されてなるとする。
【0017】
それゆえ、容室を形成するについて、ロッド体への加工を不要にすると共に、シリンダ体へのいわゆる附加的な設計変更で済み、両ロッド型ダンパを形成するについて、減衰作用を具現化する部分に関しシリンダ体やロッド体に対する根本的な設計変更を不要にする。
【0018】
つぎに、前記した目的を達成するために、この発明によるダンパ内蔵型フロントフォークの構成を、基本的には、車体側チューブと車輪側チューブとを有してなると共に軸芯部に両ロッド型ダンパを収装してなるダンパ内蔵型フロントフォークにおいて、両ロッド型ダンパがシリンダ体と、このシリンダ体内に摺動可能に収装されて一方側油室および他方側油室を画成するピストンと、このピストンの両側にそれぞれの基端が連設されながらそれぞれの先端がシリンダ体における閉塞された端部に配在の軸受部材を介して外部たるに突出する一対のロッド体とを有し、軸受部材が油温の上昇時に一方側油室あるいは他方側油室からの油の外部たる容室への流出および上昇した油温の下降時に上記の容室に流出した油の一方側油室あるいは他方側油室への戻りを許容する流路をロッド体との間に形成してなる一方で、上記の容室が車体側チューブと車輪側チューブとで画成されてなるとする。
【0019】
それゆえ、内蔵される両ロッド型ダンパにおいて、所定の油温補償が実現可能になる上に、この両ロッド型ダンパを軸芯部に収装するについて、容室の形成および確保が容易になる。
【0020】
のみならず、このときの容室は、いわゆるリザーバとして機能する上に、この容室にエアバネ効果の発揮を期待し得る。
【0021】
そして、上記した構成において、より具体的には、ダンパ内蔵型フロントフォークにおいて車輪側チューブがアウターチューブとされると共に車体側チューブがインナーチューブとされて正立型に設定されあるいは車体側チューブがアウターチューブとされると共に車輪側チューブがインナーチューブとされて倒立型に設定され、両ロッド型ダンパにおいてシリンダ体が車体側チューブの軸芯部に垂設されると共にロッド体が車輪側チューブの軸芯部に起立されて倒立型に設定されあるいはシリンダ体が車輪側チューブの軸芯部に起立されると共にロッド体が車体側チューブの軸芯部に垂設されて正立型に設定されてなるとする。
【0022】
それゆえ、ダンパ内蔵型フロントフォークにおける正立,倒立の選択と、両ロッド型ダンパにおける正立,倒立の選択との組合せで、車種に応じた仕様の具現化が可能になる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、まず、この発明による両ロッド型ダンパは、図1に示すように、シリンダ体11と、ピストン21と、一対のロッド体31とを有し、さらに、軸受部材41を有してなる。
【0024】
少し説明すると、シリンダ体11は、いわゆるダンパにおけるシリンダ部分となる本体部12と、この本体部12に連設されて内側に容室Rを形成する延設部13とからなるとしている。
【0025】
このとき、図示するところでは、延設部13の内側に形成される容室Rは、油面Oで画成される気室Aを有していて、いわゆるエアバネ構造に構成されているが、この容室Rをエアバネ構造に構成するについては、図2に示すように、フリーピストンFを収装することで気室Aを画成するとしても良い。
【0026】
そして、フリーピストンFを収装して気室Aを画成する場合には、気液分離が実現されて、たとえば、一方側油室R1にエアが流入する不具合の招来を回避できる点で有利となる。
【0027】
ちなみに、この延設部13は、シリンダ体11、すなわち、上記の本体部12の図中で上端、すなわち、上記の本体部12の図中での下端部をヘッド端部12aと称するならば、言わばボトム端部12bと称される部位から延長されるとしており、本体部12に同軸に形成されている。
【0028】
ピストン21は、上記のシリンダ体11における本体部12内に摺動可能に収装されていて、同一断面積の一方側油室R1と他方側油室R2を画成しており、この両側油室R1,R2の連通を許容しながら所定の大きさの減衰力を発生する減衰バルブ22を有している。
【0029】
ちなみに、ピストン21は、各側油室R1,R2に収装された附勢バネS1,S2で附勢されていて、後述するロッド体31を介してであるが、無負荷時に中立状態を維持し得るように設定されている。
【0030】
ロッド体31は、ピストン21の両側にそれぞれの基端が連設されながらそれぞれの先端が上記の本体部12における閉塞された端部、すなわち、図1に示すところでは、前記したヘッド端部12aおよびボトム端部12bに配在の後述する軸受部材41を介して外部に突出している。
【0031】
このとき、図1中で下方となるロッド体31の先端は、本体部12のいわゆる外部に突出するが、図1中で上方となるロッド体31の先端は、同じく本体部12の外部でも、前記した延設部13の内側の容室Rに突出するとしている。
【0032】
軸受部材41は、本体部12における閉塞された端部に、すなわち、前記したヘッド端部12aおよびボトム端部12bにそれぞれ配在されていて、軸芯部に上記したロッド体31を摺動可能に貫通させている。
【0033】
このとき、上記のヘッド端部12aに配在されている軸受部材41には、同じくヘッド端部12aに配在のシール部材51が隣設されていて、このヘッド端部12aを介しての外部への油漏れが発現されないように配慮されている。
【0034】
すなわち、この発明にあって、軸受部材41は、油温が上昇したときに各側油室R1,R2からの油がロッド体31との間の流路を介して外部に流出することを許容し、また、上昇した油温が下降するときに外部に流出していた油がロッド体31との間の流路を介して各側油室R1,R2に戻ることを許容するとしている。
【0035】
そして、その一方で、油温の上昇時に油が単純に外部に流出しないようにするために、たとえば、図1に示すところでは、ヘッド端部12aに配在された軸受部材41にはシール部材51が隣設されてなるとしている。
【0036】
それゆえ、上記した流路を形成する軸受部材41部分にあっては、油温の上昇時に膨張した体積分の油が一方側油室R1から流路を介して外部の容室Rに流出すると共に、油温が常温に戻るように低下する場合には、外部たる容室Rに流出していた油が流路を介して一方側油室R1に戻ることになる。
【0037】
ところで、上記した流路についてだが、図示するところでは、図3に示すように、軸受部材41の内周に微小溝41aを形成することによるなどで積極的に形成されるとしても良いが、好ましくは、微小溝41aなどを形成することに代えて、軸受部材41に対するロッド体31の摺動性を確保するための漏れを保障する摺動隙間Sからなるとするのが良い。
【0038】
このように、摺動隙間Sを流路とすることで、この流路を形成するについて、軸受部材41にわざわざ加工を施さなくても済むことになり、その意味では、既存の軸受部材41を言わばそのまま利用できることになる点で有利となる。
【0039】
図4に示すところは、この発明による両ロッド型ダンパにおいて、シリンダ体11を筒部14で取り囲むようにして、前記した容室Rがシリンダ体11の外周に形成されてなるとしている。
【0040】
ちなみに、この図4に示す実施形態にあって、その構成が前記した図1に示すところと同様となるところについては、図中に同一の符号を付するのみとしてその詳しい説明を省略する。
【0041】
ところで、この両ロッド型ダンパは、前記した図1に示す両ロッド型ダンパがシリンダ体11を上方側部材にするいわゆる倒立型に設定されていることに対して、シリンダ体11を下方側部材にするいわゆる正立型に設定されてなるとしている。
【0042】
このことからして、この図4で示すところでは、前記した図1に示すところで容室Rとされた延設部13の内側が単なる流路とされ、シリンダ体11と筒部14との間に形成される筒状の隙間が容室Rとされるとしている。
【0043】
そして、この容室Rにおいても、油面Oで画成される気室Aを有するとして、エアバネ構造に形成されてなるとしている。
【0044】
以上のように、延設部13の内側を流路Sとしながらシリンダ体11の外側に容室Rを形成することから、図示する実施形態では、図4中で下方となる軸受部材41が一方側油室R1と容室R側との間における油温変化に伴う油の通過を許容するとしている。
【0045】
それに対して、この実施形態では、図4中で上方となる軸受部材41にシール部材51が隣設されて、他方側油室R2からの油が外部に流出し得ないとされている。
【0046】
なお、この実施形態にあっては、気室Aが油面Oで画成されるとしているが、これに代えて、図示しないが、容室Rに収装されたフリーピストンであるいはブラダで気室Aが画成されるとしても良く、この場合には、気液分離構造に伴う種々の効果が得られることになる。
【0047】
以上のように、この発明による両ロッド型のダンパにあっては、容室Rが確保される限りには、前記した特許文献1に開示されているように、ロッド体31内にアキュムレータを形成するような加工を不要にしながら所定の油温補償を実現し得ることになる。
【0048】
また、この発明による両ロッド型のダンパにあっては、容室Rを形成するについて、シリンダ体11の本体部12に延設部13を連設したり(図1参照)、シリンダ体11の外側に筒部14を設けたり(図4参照)するいわゆる附加的な設計変更で済み、減衰作用を具現化する部分に関与するシリンダ体11における本体部12やロッド体31に対する根本的な設計変更を不要にすることになる。
【0049】
図5および図6に示すところは、この発明によるダンパ内蔵型フロントフォークの実施形態であるが、内蔵されるダンパが前記したこの発明による両ロッド型ダンパからなるとしている点に特徴がある。
【0050】
なお、図5および図6に示すところにおいて、両ロッド型ダンパを含めてその構成が同様となるところについては、各図中に同一の符号を付するのみとして、その詳しい説明を省略する。
【0051】
少し説明すると、このダンパ内蔵型フロントフォークは、車体側チューブ1と車輪側チューブ2とを有してなり、図5に示すところでは、車体側チューブ1がアウターチューブとされると共に車輪側チューブ2がインナーチューブとされて倒立型に設定されてなるとしている。
【0052】
ちなみに、図6に示すところでは、車輪側チューブ2がアウターチューブとされると共に車体側チューブ1がインナーチューブとされて正立型に設定されてなるとしている。
【0053】
そして、このダンパ内蔵型フロントフォークにあっては、車体側チューブ1と車輪側チューブ2との間に懸架バネ3が配在されていて、伸長方向に附勢されるとしている。
【0054】
そしてまた、両ロッド型ダンパにあっては、図5に示すところでは、シリンダ体11が車輪側チューブ2の軸芯部に起立されると共にロッド体31が車体側チューブ1の軸芯部に垂設されて正立型に設定されてなるとしている。
【0055】
これに対して、図6に示すところでは、シリンダ体11が車体側チューブ1の軸芯部に垂設されると共にロッド体31が車輪側チューブ2の軸芯部に起立されて倒立型に設定されてなるとしている。
【0056】
それゆえ、この発明にあっては、上記したダンパ内蔵型フロントフォークにおける正立,倒立の選択と、両ロッド型ダンパにおける正立,倒立の選択とによって任意の組合せを実現でき、車種に応じた仕様の具現化が可能になる。
【0057】
一方、図5および図6に示すところにおける容室Rの状況についてだが、油温変化に伴う油の通過を許容する軸受部材41の配在位置に依存することになる。
【0058】
すなわち、まず、図5に示すところでは、容室Rは、基本的には、車体側チューブ1と車輪側チューブ2とで形成されることになるが、シリンダ体11の外周と車輪側チューブ2の内周との間に油面Oが位置するとしている。
【0059】
つまり、この実施形態では、上記の油温変化に伴う油の通過を許容する軸受部材41が両ロッド型ダンパを構成するシリンダ体11のボトム端部12bとなる下方側に配在されている。
【0060】
それゆえ、上記の容室Rにおける油面Oは、シリンダ体11と車輪側チューブ2との間でレベル的に看て上記の軸受部材41より上方になる、すなわち、言わば常時油浸状態に維持されるように配慮されている。
【0061】
それに対して、図6に示すところでは、容室Rは、基本的には、両ロッド型ダンパを形成する延設部13の内側にあり、油面Oもこの容室R内にあるとしている。
【0062】
つまり、この実施形態では、上記の油温変化に伴う油の通過を許容する軸受部材41が両ロッド型ダンパを構成するシリンダ体11におけるボトム端部12bとなる図中の上方側に配在されていることに基づいている。
【0063】
このことからすると、上記の容室Rは、図示するところでは、延設部13に形成の連通孔13aを介してシリンダ体11と車体側チューブ1との間に連通しているから、上記の油面Oは、図中に破線図で示すように、シリンダ体11と車体側チューブ1との間にも出現されて良いことになる。
【0064】
しかし、この実施形態で容室Rが本来的に機能するところを勘案すると、シリンダ体11と車体側チューブ1との間に油面Oを出現させる意味はなく、したがって、図示しないが、上記の連通孔13aの形成を省略して、延設部13の内側のみに容室Rが形成されるとしても良いことになる。
【0065】
そして、延設部13の内側のみに容室Rが形成される場合には、シリンダ体11と車体側チューブ1との間にも油面Oを出現させる場合に比較して、全体油量を大幅に少なくし得ることになり、このダンパ内蔵型のフロントフォークにおける全体重量の軽減化に寄与し得ることになる。
【0066】
ちなみに、延設部13の内側のみに容室Rが形成される場合には、図示しないが、車輪側チューブ2の内底部に車体側チューブ1と車輪側チューブ2との間における摺動性を保障するための潤滑油が貯留されるであろう。
【0067】
ところで、図5および図6に示すところでは、両ロッド型ダンパを構成するシリンダ体11におけるヘッド端部12aあるいはボトム端部12bのいずれか一方に配在の軸受部材41にシール部材51が隣設されてなるとしたが、この発明が意図するところからすれば、容室Rにおける油面Oが上記の軸受部材41の上方にある限りには、上記のシール部材51の配在が省略されても良い。
【0068】
それゆえ、たとえば、図6に示すダンパ内蔵型フロントフォークに内蔵の両ロッド型ダンパにあっては、シリンダ体11におけるヘッド端部12aにシール部材51が配在されるから、車体側チューブ1と車輪側チューブ2との間には、潤滑用の油が貯留されることがあっても、エアレーションを回避するための油が貯留されなくても良いいとするのが、図示するところである。
【0069】
そこで、この図6に示すところにおいて、上記のヘッド端部12aに配在のシール部材51を省略する場合には、車体側チューブ1と車輪側チューブ2との間も、符示しないが、容室とされて、図中に破線図で示すように、ハウジング部13内の容室Rにおける場合と同様に同レベルに油面Oが設定されるであろう。
【0070】
それゆえ、以上のように形成されたこの発明によるダンパ内蔵型フロントフォークにあっては、内蔵される両ロッド型ダンパにおける油温補償が確実に実現される。
【0071】
このとき、この発明によるダンパ内蔵型フロントフォークが車体側チューブ1と車輪側チューブ2とからなるから、両ロッド型ダンパを軸芯部に収装するについて、容室Rの形成および確保が容易になる。
【0072】
そして、この発明によるダンパ内蔵型フロントフォークにおいて、容室Rがいわゆるリザーバとしても機能する上に、この容室Rにエアバネ効果の発揮をも期待し得ることになる。
【0073】
この点からすれば、前記した特許文献1に開示のフロントフォークでは、両ロッド型ダンパにおけるロッド体内に形成されるアキュムレータが油温補償をするのみで、いわゆるリザーバとして機能しないばかりか、エアバネとしても機能しないことに比較して、この発明における容室Rは、その形成が簡単でありながら所定の油温補償を実現するだけではない利点がある。
【0074】
前記したこの発明による両ロッド型ダンパにあって、図示するところでは、一方側油室R1および他方側油室R2にそれぞれの附勢バネS1,S2が収装されてなるとしたが、この発明が意図するところからすれば、上記の附勢バネS1,S2の各側油室R1,R2への配設が省略されるとしても良い。
【0075】
そして、この場合に、図示しないが、いわゆる外部に懸架バネ態様に配在されるとしても良く、さらには、この両ロッド型ダンパとは分離された状態でバネ部材が並列配置されるとしても良く、いずれの場合における作用効果も異ならないのはもちろんである。
【0076】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明にあっては、油温の上昇時には、膨張した体積分の油が軸受部材とロッド体との間に形成されている流路を介して外部の容室に流出し、異常高圧化が阻止されてシール部材の損傷が招来されなくなり、油温が常温に戻るように低下する場合には、外部たる容室に流出していた油が上記の流路を介して一方側油室あるいは他方側油室に戻ることになって、作動性が恒久的に保障され、所定の油温補償が実現されることになる。
【0077】
このとき、流路を軸受部材の内周に微小溝を形成するなどとせず、軸受部材に対するロッド体の摺動性を確保するための漏れを保障する摺動隙間からなるとする場合には、軸受部材にわざわざ加工を施さなくても済むことになり、その意味では、既存の軸受部材を言わばそのまま利用できることになる点で有利となる。
【0078】
そして、請求項2の発明にあっては、容室を形成するについて、シリンダ体へのいわゆる附加的な設計変更で済み、両ロッド型ダンパを形成するについて、減衰作用を具現化するシリンダ体やロッド体などの根本的な部分への設計変更を不要にする点で有利となる。
【0079】
その結果、この発明によれば、油温補償をするについて構造を複雑にしない両ロッド型ダンパを提供し得ることになる。
【0080】
また、請求項3の発明にあっては、内蔵される両ロッド型ダンパにおける油温補償を実現するについて、容室の形成および確保が容易になる。
【0081】
のみならず、このときの容室は、油温補償はもちろんだが、いわゆるリザーバとして機能する上に、エアバネの機能の発揮を期待し得ることになる。
【0082】
そして、請求項4の発明にあっては、ダンパ内蔵型フロントフォークにおける正立,倒立の選択と、両ロッド型ダンパにおける正立,倒立の選択との組合せで、車種に応じた様々な仕様の具現化が可能になる。
【0083】
その結果、この発明によれば、両ロッド型ダンパを内蔵してなるダンパ内蔵型フロントフォークの汎用性の向上を期待するのに最適となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による両ロッド型ダンパの一実施形態を原理的に示す図である。
【図2】軸受部材とロッド体との連繋状態を断面で示す図である。
【図3】外部たる容室部分の一実施形態を原理的に示す図である。
【図4】他の実施形態による両ロッド型ダンパを図1と同様に示す図である。
【図5】この発明によるダンパ内蔵型フロントフォークの一実施形態を図1と同様に示す図である。
【図6】他の実施形態によるダンパ内蔵型フロントフォークを図1と同様に示す図である。
【符号の説明】
1 車体側チューブ
2 車輪側チューブ
3 懸架バネ
11 シリンダ体
12 本体部
13 延設部
13a 連通孔
14 筒部
21 ピストン
22 減衰バルブ
31 ロッド体
41 軸受部材
5 シール部材
A 気室
O 油面
R 容室
R1 一方側油室
R2 他方側油室
S 摺動隙間
S1,S2 附勢バネ

Claims (4)

  1. シリンダ体と、このシリンダ体内に摺動可能に収装されて一方側油室および他方側油室を画成するピストンと、このピストンの両側にそれぞれの基端が連設されながらそれぞれの先端がシリンダ体における閉塞された端部に配在の軸受部材を介して外部に突出する一対のロッド体とを有してなる両ロッド型ダンパにおいて、軸受部材が油温の上昇時に一方側油室あるいは他方側油室からの油の外部たる容室への流出および上昇した油温の下降時に容室に流出した油の一方側油室あるいは他方側油室への戻りを許容する流路をロッド体との間に形成してなることを特徴とする両ロッド型ダンパ
  2. 容室がシリンダ体の一端にあるいはシリンダ体の外周に形成されてなる請求項1に記載の両ロッド型ダンパ
  3. 車体側チューブと車輪側チューブとを有してなると共に軸芯部に両ロッド型ダンパを収装してなるダンパ内蔵型フロントフォークにおいて、両ロッド型ダンパがシリンダ体と、このシリンダ体内に摺動可能に収装されて一方側油室および他方側油室を画成するピストンと、このピストンの両側にそれぞれの基端が連設されながらそれぞれの先端がシリンダ体における閉塞された端部に配在の軸受部材を介して外部たるに突出する一対のロッド体とを有し、軸受部材が油温の上昇時に一方側油室あるいは他方側油室からの油の外部たる容室への流出および上昇した油温の下降時に上記の容室に流出した油の一方側油室あるいは他方側油室への戻りを許容する流路をロッド体との間に形成してなる一方で、上記の容室が車体側チューブと車輪側チューブとで画成されてなることを特徴とするダンパ内蔵型フロントフォーク
  4. ダンパ内蔵型フロントフォークにおいて車輪側チューブがアウターチューブとされると共に車体側チューブがインナーチューブとされて正立型に設定されあるいは車体側チューブがアウターチューブとされると共に車輪側チューブがインナーチューブとされて倒立型に設定され、両ロッド型ダンパにおいてシリンダ体が車体側チューブの軸芯部に垂設されると共にロッド体が車輪側チューブの軸芯部に起立されて倒立型に設定されあるいはシリンダ体が車輪側チューブの軸芯部に起立されると共にロッド体が車体側チューブの軸芯部に垂設されて正立型に設定されてなる請求項3に記載のダンパ内蔵型フロントフォーク
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009108991A (ja) * 2007-11-01 2009-05-21 Kayaba Ind Co Ltd 緩衝器
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