JP2006299802A - 免震構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】免震装置を設置した床に対し、その床と対向する天井の変位を小さくでき、柱体の補強を最小限に抑えることのできる免震構造物を提供する。
【解決手段】変位比例型の免震装置と、速度比例型の制震装置とを組み合わせて同一階に設置することを特徴とする。また、速度比例型の制震装置は、複数個が平面的に略均等に設置されることを特徴とする。変位比例型の免震装置と、速度比例型の制震装置との組み合わせにより、減衰機能を相補的に機能させ、免震装置の変形量を小さくでき、床と対向する天井の変位を小さくできるので、柱体の補強が最小限ですむ。また、既設の構造物を免震構造物に改造する場合、工事期間を短縮でき、コストダウンを達成することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、免震構造物に関し、特に地盤の振動を構造物に直接伝えないように絶縁する変位比例型の免震装置と、地震エネルギーを吸収する速度比例型の制震装置とを備えた免震構造物に関する。
従来の制震装置を備えた免震構造物として、例えば特公平7−81422号公報に示される技術がある。この技術は、粘性を利用して免震構造物に生ずる水平および鉛直方向の振動を減衰させる制震装置に関するものであり、図15に示されるように、制震装置は、一方の構造体に固定される容器1、容器1に差し込まれ他方の構造体に鉛直に固定されるロッド2、容器1内に充填されロッド2の容器1に対する相対変位時に粘性抵抗力を発生する粘性流体3、および容器1のロッド2が固定される構造体側を密閉し、ロッド2が貫通しながらロッド2の容器1に対する移動を拘束しない伸縮自在の覆い4から構成されている。そして、この種の制震装置は、その形状から一定の平面空間が必要とされ、設置階は居住空間でない免震階とするのが一般的である。
また、この制震装置の機構上、水平方向に対する減衰抵抗力は、対向する水平板間に介在する粘性流体の粘性を利用した装置の減衰抵抗力よりも小さいのが一般的である。従って、中間階免震でこの種の制震装置を備えた免震構造物では、水平変形の制御および柱に生じる水平力の制御が難しいという欠点が有った。
特公平7−81422号公報
前記した従来技術においては、免震装置を設置した床に対し、その床と対向する天井の変位が大きくなり、また、形状的にも例えば壁の中に納めるような計画が出来ないため、居住階に制震装置を設置することが難しいという問題点があった。さらに、前記の制震装置のみでは、水平方向の減衰力を負担する割合が小さく、その分だけ免震装置にかかる減衰力の負担分が大きくなる。その結果、柱体の柱頭に免震装置を設置する場合、柱体の応力が大きくなるという問題点があった。このため、免震装置を設置した床上の柱体の強度を増やす必要が生じていた。また、例えば、既設の構造物を免震構造物に改造する場合、柱体の大規模な補強が必要となり、改造費用が増大し、改造期間も長期になるという問題点があった。
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであり、免震装置を設置した基礎上の床に対し、その床と対向する梁下の天井の変位を小さくでき、柱体の補強を最小限に抑える免震構造物を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明の免震構造物は、既設の構造物に変位比例型の免震装置と、速度比例型の制震装置とを組み合わせて同一階に設置する免震構造物であって、前記免震装置が天然ゴムを主成分とするゴム層と、鋼板等の補強板とを積層し、加硫接着等により一体的に成形され、中心に設けた中心孔により中空となり、上下にはフランジプレートが接合されて、このフランジプレートは、柱体の切断部と連結されてなり、前記制震装置が取り付け部材にはねじ部が形成され、前記ねじ部にボールベアリングを介して案内ナットが回転自在に螺合されるとともに、前記案内ナットに回転内筒が固着されて、もう一方の取り付け部材は固定外筒に固着されており、前記固定外筒内に案内ナットおよび前記回転内筒が前記ボールベアリングを介して回転自在に支持されて、前記回転内筒と固定外筒との間に粘性流体が封入されており、構造物が変形すると、ブレース部材を介して圧縮あるいは伸張され、両取り付け部材間の距離が変化して、前記ねじ部を介して前記案内ナットが回転され、前記回転内筒が粘性流体内を回転し、このときの粘性抵抗により地震エネルギーを吸収する減衰棒である免震構造物において、前記免震装置は構造物の柱体上部中途に切断された切断部に設置されて、前記制震装置は構造物の基礎と柱体の交差部分と柱体と梁の交差部分との間に傾斜状態に設置されて、前記免震装置と前記制震装置とが前記免震装置は最大変位時に最大減衰力を発揮し、前記制震装置は最小変位時に最大減衰力を発揮するように相補的に機能するよう構成されて補強が最小限ですむ柱体を備えることを特徴とする。
前記のように構成された本発明によれば、変位比例型の免震装置と速度比例型の制震装置とを同一階に組み合わせて設置することにより、投入された地震のエネルギーは、免震装置にあっては最大変位時に最大エネルギー吸収を行い、一方、制震装置にあっては最小変位時に最大減衰力を発揮して地震のエネルギーを吸収し、両者を相互に抑制的に機能させることにより、効率的に地震のエネルギーを吸収させることができる。このため、床と天井との間の変位を小さくでき、柱体の補強を最小限に抑えられ、免震構造物のコストを低減でき、改造の場合も短期間に、低コストで行える。
発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の免震構造物の一実施形態の正面図、図2は、図1のA−A線断面図であり、同図において、構造物10は、基礎12、柱体14、梁16より構成され、本実施形態では鉄筋コンクリート造の4階建ての構造物となっている。1階部分の各柱体14は、上部の中途にて切断され、この切断部分に変位比例型の免震装置18が設置されている。免震装置18は、地震等のとき、地盤の振動を絶縁することにより構造物に加わる地震の力自体を減ずるものであり、最大変位時に最大減衰性能を有する。
構造物10の1階部分の基礎12と梁16との間には、速度比例型の制震装置20が設置されている。この制震装置20は、粘性型の制震装置とも称されるものであり、地震動の構造物への入力は許すが、その後の構造物の応答速度を減衰させるものであり、変位の略中間点すなわち最大速度の時に最大減衰性能を有する。制震装置20は、図2に示されるように、構造物の規模、構造等により複数個設置されるものであり、本実施形態ではX方向、Y方向に平面的に略均等にバランス良く、対称位置に、4個が設置されている。このように、免震装置18および制震装置20は、1階の同一階部分に組み合わせて設置されている。
ここで、免震装置18の一実施形態について図3を参照して詳細に説明する。図3は、天然ゴム系積層ゴムの免震装置18の一部破断斜視図を示す。免震装置18は、天然ゴムを主成分とするゴム層21と、鋼板等の補強板22とを積層し、加硫接着等により一体的に成形され、中心に設けた中心孔23により中空になっている。なお、免震装置18は中心孔23の無いものでもよい。そして、上下にはフランジプレート24、24が接合されている。このフランジプレート24、24は、柱体14の切断部と連結されるものである。この免震装置18は、図2に示されるようにX方向、Y方向の各柱体14の中途に合計12個設置されている。
免震装置18は、フランジプレート24の板面に直交する方向(鉛直方向)に作用する荷重に対しては大きな剛性を示し、板面に沿う方向(水平方向)に作用する荷重に対しては撓み性を示す。従って、鉛直方向の縦剛性をもって構造物の荷重を支持し、地震時に水平方向の横剛性を持って地震の入力加速度を減少させ、地震エネルギーを直接伝えないようにし、構造物10の振動を軽減するものである。
制震装置の一実施形態としての制震壁20を、図4を参照して詳細に説明する。図4(a)は、制震壁20の正面図であり、図4(b)は、図4(a)のB−B線断面図である。同図において、制震壁20は、上層階すなわち梁16から吊り下げられピン支持機構26aにより支持された内板26と、この内板26を取り囲み下層階すなわち基礎12にピン支持機構28aにより支持された外容器28と、外容器28内に充填された粘性流体30とから構成されており、基礎12と梁16との間の幅狭の壁空間に設置されている。粘性流体30は、例えばポリイソブチレン等の高粘度の流体およびその他の粘弾性体が使用される。
制震壁20は、上下層間の内板26と外容器28との相対運動の速度差に比例した粘性減衰力を発生し、振動エネルギーを吸収するものであり、粘性型あるいは速度比例型の制震装置と称される。従って、地震時に上下層間に移動が生じたとき、外容器28内の粘性流体30内を内板26が移動することにより、地震の振動エネルギーを吸収するものである。制震壁20は、前記したようにピン支持機構26a、28aにより支持されているため、内板26の面方向以外の変形に対しても追随可能である。制震壁は前記したようにピン支持機構を使用したものに限らず、外容器を固定し、内板をスライド機構を介して支持し、面方向以外の変形に追随できるように構成してもよい。なお、本実施形態は、1階を居住空間としない、ピロテイ形式の免震構造物としてもよい。
前記した実施形態の動作について述べる。本実施形態の免震構造物10は、地震が発生すると、免震装置18より下方の基礎12および柱体14の1階部分は、地震により地盤に追従して振動する。しかし、免震装置18より上方の2、3、4階部分は、免震装置18および制震装置20により地震エネルギーが軽減され、変位比例型の免震装置18は最大変位時に最大減衰力を発揮し、速度比例型の制震装置20は最小変位時に最大減衰力を発揮するように相補的に機能するため、振動の変形は通常の地震で約1/2に軽減される。実験によると、阪神大震災クラスの大地震のとき地盤の変位30cm程度に対し、2、3、4階部分の変位は17cm程度と大幅に軽減されることが確認されている。
このように、大地震が発生した場合でも免震装置18の上下のフランジプレート24、24間の変形量が小さく抑えられ、下層階の基礎12と上層階の梁16との間の変位が小さく抑えられる。免震装置18は柱体14の中途に設置されて小型化でき、制震装置20も幅狭の壁空間に設置されるため、免震装置、制震装置を設置した1階部分を、居住空間等に有効に利用することができる。
つぎに、免震装置18の他の実施形態について、図5の履歴特性図を参照して説明する。この免震装置18は、前記した図3に示す実施例と構成は実質的に同等であるが、天然ゴムの代わりに高減衰ゴムを使用し積層したところに特徴がある。この高減衰ゴムは、天然ゴム等の素材にカーボンブラック等の高減衰性を発揮する添加剤を加えて生成されるものであり、図5に示されるような履歴特性を示すものである。
図5において、縦軸はせん断力F(トン)を示し、横軸は変位量d(ミリメートル)を示し、イの実線は高減衰ゴムの履歴曲線を、ロの破線は天然ゴムの履歴曲線を示す。図示のように高減衰ゴムの場合、天然ゴムの場合と比べ格段に大きな履歴特性が得られ、従って大きな減衰性を発揮することがわかる。この高減衰ゴムを使用した免震装置18の場合、前記した天然ゴムの場合と比し、さらに変形量を減少させることができる。
本発明の免震構造物の他の実施形態を図6〜8を参照して説明する。図6は本発明の免震構造物の他の実施形態の正面図、図7(a)は免震装置の要部斜視図、図7(b)は他の免震装置の要部断面図、図8は制震装置の要部断面図である。なお、同図において、前記した実施形態と実質的に同等の構成部分は、同一符号を付し詳細な説明を省略する。この実施形態の免震装置32は、転がり支承型、すなわちクロスリニアベアリング方式の免震装置であり、ブロック体33と、このブロック体33を介して配置される直交2軸、すなわちX方向レール34およびY方向レール35と、ブロック体33とX方向レール34およびY方向レール35との間に転動自在に配置されるベアリングボール36とから構成される。このため、ブロック体33に対しX方向レール34はX方向に摺動自在であり、Y方向レール35はY方向に摺動自在である。
免震装置32のX方向レール34は、基礎12の上に固定され、Y方向レール35の上に柱体14が結合される。このように基礎12に対し構造物10は、免震装置32を介してX方向、Y方向の2方向に摺動自在に結合され、地盤の振動を直接伝えないように絶縁されている。免震装置32は、図2に示される免震装置18と同様にX方向、Y方向の各柱体14の中途の下部に12個設置してある。
なお、免震装置は前記した転がり支承型の免震装置32の他に、滑り支承型の免震装置38を用いることもできる。すなわち、図7(b)において、免震装置38は、基礎12上に固着された滑り板39と、この滑り板39の上面に滑動可能に位置する滑り支承40とから構成されている。滑り板39は表面が滑らかに形成されたステンレス鋼板等から構成され、滑り支承40は表面に四フッ化エチレン樹脂等の被膜が形成された鋼板等から形成され、滑り板39と滑り支承40との間の摩擦係数は極めて小さく設定されている。そして、滑り支承40の上部に各柱体14が連結されるように構成されている。
本実施形態に用いられる制震装置42は、基礎12に固着された2本の傾斜部材44、44に連結され剛性を有する固定部材46と、2階の梁16に固着された受け部材48と、固定部材46と受け部材48との間に介在されたオイルダンパー50とから構成されている。この制震装置42は、図2に示される制震装置20と同様にX方向、Y方向に平面的に略均等にバランス良く、対称位置に、例えば4個備えられており、梁16と、基礎12との間の幅狭の壁空間に設置され、居住空間等に突出しないように設置されている。なお、傾斜部材を梁側に固着し、固定部材、受け部材、オイルダンパーを基礎側に反転した状態に構成するようにしてもよい。
オイルダンパー50は、シリンダ・ピストン構造よりなり、図8に示されるようにシリンダ52内でピストン54により分割された2つの室56、56内に収容される粘弾性体58が連通管60を介して流動するように構成されている。そして、一方の室56には、バッファ室62を設けてあり、ピストンロッドの先端にはパッド64が取り付けてある。また、ピストンロッドの外周にはコイルバネ66、66が券回されており、ピストン54を中央に戻す機能を有する。シリンダ52は受け部材48にねじ等により固定され、パッド64もねじ等により固定部材46に固定されているため、オイルダンパー50は往復動方向の制震作用を行える構成になっている。参照符号53は、エア抜きである。
以下、図6〜8の実施の形態の免震構造物の動作について説明する。地震が発生すると、地盤と基礎12の振動は免震装置32により構造物10には直接伝わらず、X方向レール34とブロック体33およびY方向レール35とブロック体33とにより振動は軽減される。そして、基礎12に傾斜部材44、44を介して固着された固定部材46と構造物10の梁16との間に変位が生ずると、オイルダンパー50はピストン54がシリンダ52を移動する。これにより、シリンダ52の室56、56内の粘弾性体58が連通管60を介して移動し、この粘性抵抗力により振動エネルギーが吸収されるのである。この実施の形態の場合も前記実施形態と同様に、地震の変位に対し免震装置32の変形量は小さくでき、構造物10の変位は大幅に軽減され、免震装置は小型化でき、制震装置は壁空間に位置するため、1階部分を居住空間等に利用できる。滑り支承型の免震装置38の場合も同様の効果を奏する。
つぎに、図9〜10を参照し、本発明の免震構造物のさらに他の実施形態を説明する。図9は、正面図であり、図10は、制震装置である減衰コマの断面図である。なお、同図において、前記した実施形態と実質的に同等の構成部分は、同一符号を付し詳細な説明を省略する。構造物10は、基礎12、柱体14および梁16より構成され、柱体16の中途には積層ゴム方式の免震装置18が、図2と同様に複数個設置されている。
基礎12と、柱体14との交差部分には受け部68が突設され、また柱体14と梁16との交差部分に受け部70が突設されている。そして、両受け部68、70との間に、減衰コマ72およびブレース部材74より構成される制震装置が設置されている。制震装置は図2と同様にX方向、Y方向に平面的に略均等にバランス良く、対称位置に設置され、図9において、交差状態に位置する減衰コマ72Aおよびブレース部材74Aは、図2に示される奥行き方向の制震装置を示している。
ここで、減衰コマ72について、図10を参照して詳細に説明する。取り付け部材76には、ねじ部77が形成され、ねじ部77にボールベアリング78を介して案内ナット80が回転自在に螺合されている。もう1つの取り付け部材82はケーシング84に固着され、ケーシング84内に案内ナット80がボールベアリング86、86を介して回転自在に支持されている。案内ナット80には円盤状の回転コマ88が固着されており、回転コマ88の周囲のケーシング84内には粘性流体90が封入されている。粘性流体90はポリイソブチレン等を使用した高粘度の流体が用いられている。
前記した減衰コマ72は、地震等により構造物10が変形すると、ブレース部材74を介して圧縮あるいは伸張され、両取り付け部材76、82間の距離が変化する。この変化によりねじ部77を介して案内ナット80が回転され、回転コマ88が粘性流体90内を回転し、このときの粘性抵抗により地震エネルギーを吸収するのである。この減衰コマ72を使用した制震装置は、回転コマ88を回転させてエネルギーを吸収するので、比較的小規模の地震の際、有効に機能する。この実施形態の場合も、前記の実施形態と同様の効果を奏する。
制震装置のさらに他の実施形態を図11を参照して詳細に説明する。図11は、制震装置である減衰棒92の断面図を示す。減衰棒92は図9に示される制震装置と同様に、基礎と柱体の交差部分と柱体と梁の交差部分との間に傾斜状態に設置されるものであり、図2に示される様に複数個所に平面的に略均等にバランス良く、対称位置に設置される。
同図において、取り付け部材94にはねじ部95が形成され、ねじ部95にボールベアリング96を介して案内ナット98が回転自在に螺合されている。案内ナット98に回転内筒100が固着されている。もう一方の取り付け部材102は固定外筒104に固着されており、固定外筒104内に案内ナット98および回転内筒100がボールベアリング106、106を介して回転自在に支持されている。そして、回転内筒100と固定外筒104との間に粘性流体108が封入されている。
従って、前記した減衰棒92においては、地震が発生し、両取り付け部材94、102の間に変形が生じると、ねじ部95、案内ナット98により案内ナット98および回転内筒100が回転され、粘性流体108の粘性抵抗により回転速度が減衰されることにより地震エネルギーが吸収される。この減衰棒92の場合も、前記した各実施形態と同様の効果を奏し、特に、比較的小規模の地震の際、有効に機能する。
つぎに、図12〜13を参照し、制震装置の他の実施形態を説明する。図12は、制震装置である制震ポストの要部正面図を示し、図13は、図12の制震ポストの断面図を示す。なお、同図において、前記した実施形態と実質的に同等の構成部分は、同一符号を付し詳細な説明を省略する。制震装置110は、構造物10の基礎12に突設された受け部112、112と、梁16に突設された受け部114、114との間に架設された制震ポスト116、116を設けてある。制震ポスト116は、図13に示されるように、軸部材118と、筒部材120とから構成され、内部に粘性流体122が封入されており、空間124を有した状態でシール材126により封止されている。
制震ポスト116は、地震により構造物10が変形されると圧縮あるいは伸張され、粘性流体122中を軸部材118が往復動するときの粘性抵抗力により地震エネルギーを吸収する。空間124は制震ポスト116が圧縮されたときの液面上昇の逃げ部である。この制震ポスト116は構成が簡単であり、保守等が容易に行えるという効果がある。この実施例では、二つの制震ポストを下開きの状態に設置したが、上開きの状態に設置しても同等の効果を奏する。
本発明の免震構造物のさらに他の実施形態を図14を参照して説明する。図14はその正面図である。同図において、2階の梁は3つに分断されており、中間の梁16aは柱体14b、14cに支持され、両側の梁16b、16cは柱体14a、14dと、基礎12より立ち上げた補助柱15、15により支持されている。
両側の免震装置18a、18dは、柱体14a、14dの2階部分に設置されており、中央の免震装置18b、18cは、柱体14b、14cの1階部分に設置されている。この場合、1階の免震装置18b、18cに対応して1階の制震壁20bが設置され、2階の免震装置18a、18dに対応して2階の制震壁20a、20cが設置されている。他の参照符号については、前記した実施形態と実質的に同等なので説明を省略した。
この実施形態においても前記した実施形態と同様に、免震装置と制震装置とを組み合わせて同一階に設置してあるので、免震装置の変形量を減少させることができ、免震装置は小型化でき、構成を簡素化できる。
なお、前記した各実施形態では、好適な形態として、免震装置および制震装置を1階に、また、1階と2階に設置した形態を示したが、これに限定されるものでなく、例えば、地下階を含む他の階に設置するようにしてもよいのは勿論であり、また複数階に設置するようにしてもよい。さらに、同一階に設置することは、1、2階を吹き抜けの状態とし、免震装置を1、2階の柱の適宜の位置に設置し、制震装置を1階の床と2階の天井との間に設置する場合も含むものとする。
以上、説明したように、本発明によれば、変位比例型の免震装置と、速度比例型の制震装置とを組み合わせて同一階に設置し、免震装置の減衰機能と、制震装置の減衰機能とを相補的に機能させるようにしたので、免震装置の変形量を減少させることができる。このため、柱体を特に補強が最小限ですみ、免震構造物の構造を簡素化できる。また、既設の構造物を免震構造物に改造する場合、工事期間を短縮でき、コストダウンを達成することができる。
本発明の免震構造物の一実施形態の一部を破断した正面図である。 図1のA−A線における断面図である。 図1に設置した天然ゴム系積層ゴムの免震装置の一部を破断した斜視図である。 (a)は、図1に設置した制震装置である制震壁の正面図、(b)は、図4(a)のB−B線断面図である。 免震装置の他の実施形態である高減衰積層ゴムの履歴特性図である。 本発明の免震構造物の他の実施形態の正面図である。 (a)は、図6に設置した転がり支承型の免震装置の一部を破断した要部斜視図、(b)は他の滑り支承型の免震装置の要部断面図である。 図6に設置した制震装置であるオイルダンパーの断面図である。 本発明の免震構造物のさらに他の実施形態の正面図である。 図9に設置した制震装置である減衰コマの断面図である。 制震装置の他の実施形態である減衰棒の断面図である。 制震装置の他の実施形態である制震ポストの要部正面図である。 図12の制震ポストの断面図である。 本発明の免震構造物のさらに他の実施形態の正面図である。 従来の制震装置を示す構成図である。
符号の説明
10 構造物
12 基礎
14、14a、14b、14c、14d 柱体
15 補助柱
16、16a、16b、16c 梁
18、18a、18b、18c、18d 免震装置
20、20a、20b、20c 制震壁
21 ゴム層
22 補強板
23 中心孔
24 フランジプレート
26 内板
28 外容器
26a、28a ピン支持機構
30 粘性流体
32 転がり支承型免震装置
33 ブロック体
34 X方向レール
35 Y方向レール
36 ベアリングボール
38 滑り支承型免震装置
39 滑り板
40 滑り支承
42 制震装置
44 傾斜部材
46 固定部材
48 受け部材
50 オイルダンパー
52 シリンダ
53 エア抜き
54 ピストン
56 シリンダの室
58 粘弾性体
60 連通管
62 バッファ室
64 パッド
66 コイルバネ
68、70 受け部
72 減衰コマ
74 ブレース部材
76、82 取り付け部材
77 ねじ部
78、86 ボールベアリング
80 案内ナット
84 ケーシング
88 回転コマ
90 粘性流体
92 減衰棒
94、102 取り付け部材
95 ねじ部
96 ボールベアリング
98 案内ナット
100 回転内筒
104 固定外筒
106 ボールベアリング
108 粘性流体
110 制震装置
112、114 受け部
116 制震ポスト
118 軸部材
120 筒部材
122 粘性流体
124 空間
126 シール材

Claims (1)

  1. 既設の構造物に変位比例型の免震装置と、速度比例型の制震装置とを組み合わせて同一階に設置する免震構造物であって、
    前記免震装置が天然ゴムを主成分とするゴム層と、鋼板等の補強板とを積層し、加硫接着等により一体的に成形され、中心に設けた中心孔により中空となり、上下にはフランジプレートが接合されて、このフランジプレートは、柱体の切断部と連結されてなり、
    前記制震装置が取り付け部材にはねじ部が形成され、前記ねじ部にボールベアリングを介して案内ナットが回転自在に螺合されるとともに、前記案内ナットに回転内筒が固着されて、もう一方の取り付け部材は固定外筒に固着されており、前記固定外筒内に案内ナットおよび前記回転内筒が前記ボールベアリングを介して回転自在に支持されて、前記回転内筒と固定外筒との間に粘性流体が封入されており、構造物が変形すると、ブレース部材を介して圧縮あるいは伸張され、両取り付け部材間の距離が変化して、前記ねじ部を介して前記案内ナットが回転され、前記回転内筒が粘性流体内を回転し、このときの粘性抵抗により地震エネルギーを吸収する減衰棒である免震構造物において、
    前記免震装置は構造物の柱体上部中途に切断された切断部に設置されて、
    前記制震装置は構造物の基礎と柱体の交差部分と柱体と梁の交差部分との間に傾斜状態に設置されて、
    前記免震装置と前記制震装置とが前記免震装置は最大変位時に最大減衰力を発揮し、前記制震装置は最小変位時に最大減衰力を発揮するように相補的に機能するよう構成されて補強が最小限ですむ柱体を備えることを特徴とする免震構造物。
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