JP2004069067A - 免震装置 - Google Patents

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服部 靖
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Abstract

【課題】構造物に発生するねじれ振動やロッキング振動を抑制する。
【解決手段】基礎上に設置すると共に内蔵するピストン99,100を構造物の両端に取り付けて構造物3を支持する一対のシリンダー101,102と、一方のシリンダーのピストンヘッド側空間と他方のピストンヘッド反対側空間、及び一方のピストンヘッド反対側空間と他方のピストンヘッド側空間とをパイプ107,108で結合して非圧縮性液体を封入した免震装置である。
【選択図】図24

Description

 本発明は、構造物を支持すると共に地震に対して構造物の振動を免震により抑制する免震装置に関する。
 従来より地震による振動に起因して、建屋を始めとした各種設置物などの構造物が破壊することを防止するために、各種の免震装置が提案されている。 
 従来の一般的な免震装置は図26の一部切断構成図に示すように、掘削した地盤1に施工した基礎2上に構造物3を構築する。
 この際に構造物3と基礎2との間に水平方向用の免震装置4を複数基介挿して、この免震装置4により構造物を支持すると共に、地震時に免震機能を発揮して構造物3に過大な振動が加わることにより破壊されることを防止する。 
 また、図27の一部切断構成図は他の免震装置5を示すもので、水平方向の免震装置4は架台6の下部と地盤1上に設けられた基礎2との間に複数基介挿すると共に、上下方向の免震機構7を構造物3と架台6との間に複数基介挿する。
 さらに、架台6の内側面と構造物3の外側面との間に上下方向に容易に移動し、かつ水平方向を拘束するベアリング8を介挿している。 
 これにより前記免震機構7は架台6上で構造物3を支持し、さらに、免震装置4は基礎2上で架台6を支持している。これにより免震装置5は、地震時にそれぞれ水平方向及び上下方向に免震機能を発揮して、構造物3が振動により破壊されることを防止する。
 次に、前記免震装置4,5における各構造の詳細について説明する。 
 免震装置4は図28の正面図に示すように、水平に設置して水平方向だけに免震機能を発揮するように構成されている。すなわち、基礎2上部に支持台9を固定し、この支持台9と構造物3の下部との間に支持体10を介挿して、この支持体10により構造物3を支持する構造になっている。
 なお支持体10は、防震ゴムあるいは薄いゴム板などの弾性体11と、鉄板12を相互に重ねて接着した積層体で、水平方向に比較的低い剛性を有し、垂直方向には剛性が十分高くなるようにしてある。 
 さらに、前記弾性体11の上部と下部には、それぞれ上端板13と下端板14が固着され、上端板13が構造物3の下部に、下端板14は支持台9の上部に固定して構成されている。
 ここで、水平方向の地震が発生した際には、その地震動によって弾性体11で形成された支持体10が水平方向に変形することにより、地震力を緩和して構造物3に伝達される地震力が低減される。 
 また、この免震装置4においては、前記したように支持体10の積層ゴムのような弾性体11は、水平方向のみの弾性を有し、垂直方向は剛性が高いので、図27の免震装置5においては、これを横置きとして構造物3の側面に取り付けて、ベアリング8として用いることができる。
 前記したように免震装置4において、支持体10である弾性体11は、水平方向のみに弾性を有して垂直方向は剛性が高いので、水平方向の地震動に対しては良好な免震機能を発揮するが、上下方向の地震動には免震機能を発揮しない。 
 このために、直下型地震のように上下方向の揺れが大きな地震動が生じた場合には、構造物3は支持体10を介して基礎2に支持されているため、上下方向の揺れはそのまま、あるいは増幅されて構造物3に伝わり、構造物3や構造物内部の設置物に大きな地震力が作用することがある。
 この対策として、水平方向と上下方向を免震する3次元免震構造が提案されており、図29〜34に従来の3次元免震を行う免震装置の概要を示す。 
 図29の正面図に示した免震装置15は、支持体16である積層ゴムなどの弾性体17の垂直方向厚みを、前記図28に示した水平方向に有効な免震装置4における弾性体11の厚みより十分厚くすると共に、弾性体17の層数を少なくして垂直方向にも弾性を有するように構成している。
 したがって地震が発生した際には、その水平方向及び上下方向に揺れを持つ地震動により、支持体16が水平方向及び上下方向にそれぞれ弾性変形することにより、それぞれ水平方向と上下方向の地震動を吸収して3次元の免震機能を発揮する。 
 また、上記免震装置5において、この免震装置15を免震機構7として採用することにより、上下方向の地震動を吸収して3次元の免震機能が得られる。
 図30の正面図に示した免震装置18は、基礎2と構造物3との間に、水平方向及び上下方向に弾性を有する両端が基礎2と構造物3に固着した、金属製のコイルスプリング19で構成している。 
 このコイルスプリング19は、水平方向及び上下方向にそれぞれ弾性変形することから、水平方向と上下方向の地震動を吸収して3次元の免震機能が得られる。したがって、この免震装置18も上記免震装置5において、免震機構7として用いることにより、上下方向の地震動を吸収して免震機能を発揮する。
 図31の正面図に示した免震装置20は、基礎2と構造物3との間に、両面が支持部材21で固着されたゴム膜22内に空気、あるいは他の気体を密封した空気ばね23を介挿して、これにより構造物3を支持する構成になっている。
 この免震装置20では、空気ばね23の水平方向と上下方向の弾性によって、水平方向と上下方向の地震動を吸収して3次元の免震機能が得られる。また、上記免震装置5においては、この免震装置20を免震機構7としても用いることにより、上下方向の地震動を吸収して免震機能を発揮する。
 図32の正面図に示した免震装置24は、基礎2と構造物3との間に、前記した積層ゴムなどによる支持体10と、その上部に空気ばね23を直列に接続した状態で介挿して構成されている。 
 この構成によれば、水平方向の免震は主に支持体10で行い、上下方向の免震は主に空気ばね23で行う。したがって、積層ゴムなどの支持体10の水平方向の弾性と、空気ばね23の上下方向の弾性により、水平方向と上下方向の地震動を吸収して3次元の免震機能を発揮する。
 図33の一部切断正面図に示した免震装置25は、前記積層ゴムなどの支持体10の上に、複数の皿ばね26を積層して取り付けた構成としている。 
 この構成による作用としては、皿ばね26が皿ばねの孔に挿入された軸方向のみ移動する上部ガイド27および下部ガイド28により、水平方向の動きが拘束され、上下方向のみが容易に変形する。したがって、支持体10の水平方向の弾性と、皿ばね26の上下方向の弾性により、水平方向と上下方向の地震動を吸収して3次元の免震機能を発揮する。
 図34の正面図に示した免震装置29は、基礎2に固着したすべり板30あるいは転がり板上を、水平方向に自在に移動するボールベアリング31あるいは摩擦板を設けた台車32と、その上部に植立されたガイド軸33に金属性のコイルスプリング34を介挿して、このコイルスプリング34により構造物3を支持している。 
 さらに前記台車32の周囲には、基礎2に固定した固定具35,35に一端を固着したばね36,36を結合して構成されている。
 以上の構成により免震装置29では、水平方向の免震は転がり板30上をボールベアリング31を介して台車32が円滑に移動することにより得られると共に、ばね36,36の変位により台車32に水平方向の移動制限と復原力が発生する。 
 また、上下方向の免震はコイルスプリング34の弾性変形により行うことから、水平方向と上下方向の地震動を吸収して3次元の免震機能を発揮する。しかしながら、上記した図28乃至図34に示した免震装置4,15,18,20,24,25,29においては、いずれも次のような支障があった。
 図28に示す免震装置4においては、支持体10の弾性体11は水平方向のみに弾性を有し垂直方向は剛性が高いので、水平方向の地震動に対しては良好な免震機能を発揮するが、上下方向の地震動に対しては免震機能を発揮せず、むしろ構造物3の上下方向の揺れを増幅する恐れがある。
 このために、直下型地震のように上下方向の揺れが大きな地震動が生じた場合に、構造物3は支持体10を介して基礎2に支持されているため、上下方向の揺れがそのまま、あるいは、増幅されて構造物3に伝わり、構造物3や構造物内部に設置された設置物に過大な地震力が作用する恐れがあった。
 図29に示す免震装置15においては、支持体16である弾性体17が複数の肉厚ゴム層で形成されて上下方向にも柔らかく、構造物3の自重が常に加わっていることから、初期状態では上下方向に大きな圧縮変形が生じる。また、長期的にはクリープ変形を生じて弾性が失われ易い。
 地震時には上下,水平方向の揺れのエネルギーを吸収するため、弾性体17は水平,上下方向に大きな変形を受ける。さらに、免震装置15により、構造物3は上下方向に柔らかい構造となっているため、構造物3の水平方向の揺れによりロッキング振動が生じる。
 このロッキング振動から、構造物3の下面両側と基礎2との間には、免震装置15による大きな上下変形が追加される。これらの変形が重なり合うと、弾性体17は過大な変形による力を受けて容易に破断する恐れがある。
 初期状態の自重による圧縮変形が大きいため、強度設計の観点からは、地震による揺れを吸収する許容変形量は小さくせざるを得ない。したがって、この免震装置15では、吸収できる地震力レベルを小さく設定せざるを得ないことから、大地震時には十分な免震機能を発揮できないばかりか、免震装置が過大な変形により破断し、構造物3が破損する恐れがある。
 図30に示した免震装置18においては、コイルスプリング19の弾性のみで構造物3の自重を支持しているので、初期状態ではコイルスプリング19には上下方向に大きな圧縮変形が生じている。 
 このために、コイルスプリング19には前記免震装置15と同様の問題がある。したがって、上下方向変形に関して初期の圧縮状態から、地震による揺れを吸収するコイルスプリング19の材料強度的許容変位量は小さい。
 また、水平方向に免震するためにコイルスプリング19が水平方向に変形すると、幾何学的な上下方向の変位変動が生じる。これらの変形が重なり合い、コイルスプリング19が破断する恐れがあるばかりか、構造物3に複雑な連成振動を誘発させると、構造物3が破損する恐れがある。 
 したがって、この免震装置18では許容できる地震力レベルを小さく設定せざるを得ないため、大地震時には十分な免震機能を発揮できなかった。
 また、図31に示した免震装置20においては、空気ばね23はゴム膜22の変形上の制約によって水平方向及び上下方向に大きな変形が許容されないので、地震時の変形による地震力吸収能力が低く、したがって、大地震時には良好な免震機能を発揮できない。 
 また空気ばね23は、回転に対する剛性が比較的低いので、水平方向及び上下方向の地震動によってねじれが生じたり、構造物3にロッキング振動が発生する恐れがある。 
 このように、空気ばね23は水平方向及び上下方向に弾性を有するため、前記免震装置15,18と同様に構造物3に複雑な連成振動を誘発して、構造物3を破損させる恐れがあった。
 図32に示す免震装置24においては、大地震時の揺れによって基礎2と構造物3の間の水平方向の変位が大きくなった場合に、積層ゴムなどの弾性体11で形成される変位吸収能力の大きい支持体10よりも、変形吸収能力が小さい空気ばね23が先に破断する恐れがある。
 このために、この免震装置24の適用限界は、空気ばね23の変位吸収能力に依存するので、大地震時には十分な免震機能を発揮でき難い。また空気ばね23は、回転に対する剛性が低いので、水平方向及び上下方向の地震動によってねじれが生じたり、構造物3にロッキング振動が発生するなど構造物3に複雑な連成振動を誘発して、構造物を破損させる恐れがあった。
 図33に示した免震装置25においては、皿ばね26により上下方向に弾性が与えられ、積層ゴムなどの弾性体11で形成される支持体10により水平方向の弾性が与えられている。また、皿ばね26は上部ガイド27と下部ガイド28により、水平方向の動きが拘束されている。
 したがって、この免震装置25では上下方向に弾性を有しているので、弾性体の種類に関わらず、上記免震装置18,20,24と同様に構造物3の水平方向の揺れにより構造物3にはロッキング振動が生じ、構造物3の下面両側と基礎2との間で免震装置25には、上下地震動による上下方向の変位にこのロッキングによる上下変形が追加される。
 免震装置25本体の上下地震動による変形と構造物3の自重による変形に、このロッキングによる変形が重なり合うと、皿ばね26には過大な変形状態が発生する可能性があり、皿ばね26が破断する恐れがあった。
 図34に示した免震装置29においては、上下方向の地震動に対してはコイルスプリング34の弾性によって免震を行う機能であるが、この上下方向の弾性は弾性体の種類に関わらず、上記免震装置18,20,24と同様に構造物3の水平方向の揺れにより構造物3にはロッキング振動が生じる。
 これにより、構造物3の下面両側と基礎2との間の免震装置29には、上下地震動による上下方向の変位に、このロッキングによる上下変形が追加される。これらの変形が重なり合うとコイルスプリング34には過大な変形による力を受け、破断する恐れがある。 
 また、このような構成であると複雑な連成振動を生じるため、大地震時には良好な免震機能を発揮できなかった。
 前記免震装置5についても次のような問題がある。 
 水平方向用の免震装置4と上下方向用の免震機構7とを分離し、上下方向用の免震機構7による構造物3のロッキング振動や水平方向の変形を抑えるために、架台6の内側面と構造物3の側面との間に上下方向に容易に移動し、かつ水平方向を拘束するベアリング8を介挿している。
 しかしながら、このベアリング8にガタがある場合には、ガタ振動が励起されたり、構造物3の水平方向の慣性力や回転力により、ベアリング8を支持する架台6が変形するので、構造物3のロッキング振動を十分抑え込むことができない。このために、大地震時には水平方向及び上下方向の3次元における良好な免震機能を発揮できなかった。
 従来の免震装置4では水平方向のみの免震作用しかなく。また免震装置5,15,18,20,24,25,29では、水平方向及び上下方向に免震作用があるが、構造物3の自重により上下方向の免震機構に過大な初期変形が生じたり、水平方向及び上下方向の地震動によって構造物3に、水平方向及び上下方向の振動だけでなく、構造物の垂直軸の回動振動のねじり振動や、水平軸の回動振動のロッキング振動など複雑な振動を発生させる不具合があった。
 また、上下方向の免震を行う厚肉の積層ゴムで構成された支持体16及びコイルスプリング19と、空気ばね23や皿ばね26は、通常の免震装置の大きさの範囲では吸収できる許容変形量が小さい。 
 このために、これらの各免震装置は構造物3の自重による過大な初期変形を生じている場合には、上下方向震動を吸収するための変形量が制約されるため、大地震などで大きな変形が発生した場合に、十分な免震作用が得られないという支障があった。
 さらに、免震効果を高めるためには各種免震装置の弾性を低くして、構造物3の固有振動数を低くする必要があるが、上下方向の免震の場合は弾性を低くすると水平方向の揺れにより、ロッキング振動が励起され易くなり、構造物3が複雑な振動をするために、免震効果が発揮できなくなる。
 なお、ロッキング振動を防止するためには、水平方向用の免震装置と上下方向用の免震装置とを架台6をはさんで分離し、架台6内側の側面と構造物3の側面との間に上下方向用のベアリング8を用いる場合がある。
 しかしながら、ベアリング8のガタや、ベアリング8を支持する架台6と構造物3の水平方向の大きな慣性力や、回転力による変形などにより構造物3のロッキング振動を十分抑制することができないので、大地震時には良好な免震機能を発揮できないという問題があった。
 本発明の目的とするところは、構造物に発生するねじれ振動やロッキング振動を抑制すると共に、これらの振動による水平方向と上下方向の過大な変形を抑制して水平方向と上下方向の免震効果に優れた免震装置を提供することにある。
 上記目的を達成するため、請求項1記載の発明に係る免震装置は、基礎上に設置すると共に内蔵するピストンを構造物の両端に取り付けて構造物を支持する一対のシリンダーと、一方のシリンダーのピストンヘッド側空間と他方のピストンヘッド反対側空間、及び一方のピストンヘッド反対側空間と他方のピストンヘッド側空間とをパイプで結合して非圧縮性液体を封入したことを特徴とする。
 構造物の両端における変位を、その変位に見合った大きさと逆方向に、それぞれに設置したピストン及びシリンダーと内封した非圧縮性液体を介して補償する。これにより、構造物のロッキング振動が抑制される。
 請求項2記載の発明に係る免震装置は、基礎上に水平方向に作用する弾性体及び減衰機構を介して支持されて内部に液体を収容した浮体収容室と、構造物を浮体収容室内に収容して液体に浮遊させると共に、浮体収容室の底部と構造物との間に介挿した上下方向に作用する弾性体及び減衰機構と、浮体収容室側面と構造物側面との間に介挿されて構造物の水平方向の動きを規制すると共に上下方向に移動自在に案内する案内機構とからなることを特徴とする。
 水平方向の震動は浮体収容室の下の弾性体及び減衰機構で、また、浮体収容室底部の弾性体及び減衰機構により構造物の支持と上下方向の免震をそれぞれ独立して行うと共に、案内機構により水平方向の動きを規制し、上下方向に移動自在に案内する。 
 さらに、構造物は浮体収容室内で液体中に収容されているので、構造物の自重は浮力に分担されて弾性体には初期負荷がかからず、許容される変形量には余裕がでてくるため、より大きな地震動に対しても優れた3次元的免震効果を発揮する。
 請求項3記載の発明に係る免震装置は、基礎上に水平方向に作用する弾性体及び減衰機構を介して支持した第一の架台と、この第一の架台の側面上部の対向する両端に固定した連続した複数のばね線材または連結金具を介してひと続きとなった複数のばね線材と、このばね線材に積載した構造物を設置する第二の架台と、この第二の架台と前記第一の架台との側壁間に介挿した上下方向のみに移動して水平方向の動きを拘束する案内機構とからなることを特徴とする。
 構造物に加わる水平方向の震動は、第一の架台を支持する弾性体と減衰機構にて抑制され、上下方向の免震は構造物を設置した第二の架台を支持するばね線材が伸縮することで行なわれる。 
 また、第一の架台と第二の架台は側壁間に介挿された案内機構により上下方向のみに移動を許し、水平方向の動きを拘束するので、地震時の構造物に対する水平方向と上下方向の免震をそれぞれ独立して行い、ロッキング振動も効率よく抑制して3次元的免震を行う。
 請求項4記載の発明に係る免震装置は、両端を支持された上部架台と、この上部架台からワイヤまたはばねとワイヤを介して吊り下げられて振り子構造を構成する中間架台と、この中間架台の上面または下面に直接またはばねを介して構造物を設置することを特徴とする。
 構造物を上部架台から吊り下げたワイヤとばねによる振り子構造の中間架台に支持したことにより、水平方向は振り子構造で免震し、鉛直方向はばねにより免震することで、良好な3次元の免震を行う。
 請求項5記載の発明に係る免震装置は、基礎上で構造物との間に挿入して構造物を支持するばねが、基礎と構造物間の相対変位が一定値以下では柔らかく、前記一定値を越えると剛くなる荷重変位特性を備えていることを特徴とする。
 地震による構造物の相対変位が一定値以下では、構造物を柔らかいばね力で支持して震動を抑制し、変位が一定値を越えると、ばね力を剛く変化させて、構造物のロッキング振動と共に、大きな地震動での鉛直方向の大きな応答変位を抑制する。
 請求項6記載の発明に係る免震装置は、基礎上で構造物との間に挿入して構造物を支持するばねが、一定の荷重以下では変位せず、前記一定の荷重を越えたときに弾性体として働く荷重変位特性を備えていることを特徴とする。
 構造物における荷重が一定値以下ではばねは変位せず、地震などにより構造物の荷重が一定値を越えるとばねは弾性体として働く。これにより、免震の必要がないような小さな地震に対しては免震せず、大きな地震に対しては免震機能が作動して、構造物に対して効率的な免震を行う。
 請求項7記載の発明に係る免震装置は、構造物の下面あるいは基礎上の片側に設置された支柱と、反対側に設置された架台と、前記支柱と架台あるいはこれらと構造物の下面及び基礎との間に並列に複数の上下方向ばねを設置することを特徴とする。
 構造物を支柱及び架台と、その間に複数の上下方向ばねを並列で多層に配置にして支持しているので、これにより、1層で並列ばねを配置する場合に比べて上下方向免震のばねを配置する面積が小さくできる。 
 また、多層構造にしたものをユニット化することにより、ユニット数を大幅に減少できると共に、各ユニットを設置するときの上下方向の位置合わせが容易となる。
 請求項8記載の発明に係る免震装置は、基礎上に設置した中央で回動自由に支持した2本のリンクを中央側で互いに上下方向変位が容易に結合すると共に、それぞれの外側端においてばね及び減衰機構を介して構造物の両端を支持することを特徴とする。
 構造物の両端に生じた上下方向の変位は、2本のリンクのそれぞれ中央側における結合部と、両外側で上下方向変位を同じにすると共に、ばね及び減衰機構で抑制してロッキング振動を抑制する。
 本発明によれば、基礎上に設置する構造物を直接あるいは架台などを介して水平方向及び上下方向に単独に作用する弾性体と減衰機構により、地震に起因する構造物の震動を3次元的に免震する。
 また、複数の減衰機構の配置と減衰容量を構造物の下面において、単位面積あたりの減衰容量を内側領域より外周領域で、より大きくなるように不均等に配置して、水平方向の地震により励起されるねじり振動及びロッキング振動に対する減衰力を高めて、その揺れを効果的に抑制する。
 本発明の一実施例について図面を参照して説明する。なお、上記した従来技術と同じ構成部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。 
 第1実施例において、図1の構成図に示すように免震装置37は、構造物3と基礎2との間に介挿して構造物3を支持し、水平方向及び上下方向に作用する弾性体38と、上下方向及び水平方向に作用する免震機構39とからなる。
 弾性体38は、例えば厚肉積層ゴム、コイルスプリングなどからなり、これらの各弾性体38に並列して減衰機構39が取り付けられている。このときに減衰機構39を、構造物3の下面の単位面積あたりの減衰容量が、構造物3下面の内側領域より外周領域で、より大きくなるように不均等に配置して構成する。
 次に、上記構成による作用について説明する。 
 前記弾性体38により構造物3を弾力的に支持すると共に、減衰機構39を配置することにより、水平方向の地震により励起される構造物3の垂直軸の回動振動、すなわち、ねじり振動及び構造物水平軸の回動振動のロッキング振動に対する減衰力を高めることができるので、地震により構造物3にねじり振動及びロッキング振動が発生しても、その揺れを良好に抑制することができる。
 このねじり変位やロッキング変位は、構造物3の内周より外周に行くほど大きくなるので、これらの変位が大きくなる構造物3の外周領域に、より多数の減衰機構39、あるいは、より容量の大きい減衰機構39を配置することにり、発生したねじり振動やロッキング振動を効果的に抑制される。
 また、構造物3の下面の内側領域に配置された減衰機構39は、ねじり振動やロッキング振動などの揺れに対しては、外周領域に配置した減衰機構39に比べて変位成分が小さいため、その抑制効果は小さい。
 したがって、ねじり振動やロッキング振動を効率的に抑制するためには、構造物3の下面に取り付けた減衰機構39を、構造物3の下面に単位面積あたりの減衰容量を全領域が均一となるようにするよりも、本発明のように構造物3の下面において内側領域より外周領域にて、より大きくなるように不均等に水平方向及び上下方向に配置する方がよい。
 図2の模式図によりロッキング振動を抑制する効果について説明する。なお、ここでは原理を理解し易くするために作動を単純化して、構造物3が水平地震動によってロッキング振動している場合を想定し、ロッキング振動成分のみを取り出して説明する。
 図2に点線で示す構造物は、地震力により実線のように0を中心として回転する。この回転角θは正弦振動しているとするとθ=θ0 sin ωtとなる。ただし、θ0 は回転角振幅、ωは角速度、tは時刻を表す。
 また、各減衰機構39の設置場所A〜Eにおける減衰機構39の減衰係数を、それぞれC0 ,C1 ,C2 とし、その減衰力は相対速度に比例するとする。中央0から各設置場所A〜Eの減衰機構39の距離lをそれぞれ0,1/2,1とする。この時にロッキングによる回転減衰力Fcは次の式(1)の通りとなる。 
 Fc =(C1 ×l2 /2+2C2 ×l2 )×(θ0ω×cos ωt )…(1)
 構造物3に取り付けられた5つの減衰機構39の全体の減衰定数(容量)を10とし、各減衰機構39の容量を2づつの均等配置とした場合の回転減衰力Fc1は次の式(2)の通りである。 
 Fc1=5×l2 ×(θ0 ω×cos ωt )…(2)
 また、減衰機構39による構造物3の下面の単位面積あたりの減衰容量が、構造物3下面の内側領域より外周領域にて、より大きくなるように不均等する例として、C0=0、C1 =1、C2 =4とする。
 この場合の回転減衰力Fc2は次の式(3)の通りである。なお、全体の減衰容量は均等配置の場合と同じとする。 
 Fc2=8.5 ×l2 ×(θ0 ω×cos ωt )…(3)
 このときに上記より上下方向並進の減衰定数は、どの配置でも同じ10であるが、回転減衰力は減衰機構39を本第1実施例のように減衰容量を外周側で大きい不均一配置とすると、均一配置とした場合に比べて、Fc2/Fc1=1.7倍に大きくなる。したがって、減衰容量を外周側で大きくした不均一配置にすることにより、構造物3のロッキング振動をより効率的に抑制ができる。
 このように減衰機構39を本第1実施例のような配置にすると、上記に説明したロッキング振動だけでなく、水平方向のねじり振動に対しても同様の原理にて抑制効果は有効に作用する。
 なお、本第1実施例では構造物3の外周側の単位面積あたりの減衰容量を大きくするために、各減衰機構39の1体の減衰容量を変えたが、各場所に取り付けられた減衰機構39の数を増減しても同様の効果が得られる。
 以上のことから、減衰機構39を基礎2と構造物3との間に適宜配置することにより、水平方向の地震により励起される構造物3の水平面に対する垂直軸回りの回転振動であるねじり振動が減衰できる。
 また、構造物3の水平軸回りの回転振動、すなわちロッキング振動に対する減衰力を、減衰容量を均等配置にした場合に比べて、より大きくすることができるので、構造物3のねじり振動及びロッキング振動など複雑な振動を効果的に抑制して、上下方向及び水平方向で良好な3次元の免震効果が得られる。
 第2実施例において、図3の構成図と図4の一部切断拡大正面図に示すように、免震装置40は基礎2と平板状の架台6との間に水平方向に作用する支持体10及び減衰機構41を配置する。この支持体10は積層ゴムなどを、減衰機構41は弾塑性ダンパーとして鋼棒ダンパーなどを使用する。
 また架台6と構造物3との間には、上下方向に作用する弾性体38としてコイルスプリングなどを設置して構造物3を支持する。さらに、架台6の側面と構造物支持壁42の側面との間に案内機構43を介挿する。
 この案内機構43は構造物3の水平方向の動きを規制し、上下方向に移動自在に案内するが、案内機構43は積層ゴムを横置きに使用する。さらに、架台6と構造物3との間には上下方向に作用する減衰機構44を設置して構成する。 
 なお、減衰機構44にはオイルダンパーや弾塑性ダンパーなどを用い、構造物3のロッキング振動に対する抑制効果を高めるために、両脇の減衰機構44の減衰容量を大きく選定する。
 この免震装置40は単体でも使用されるが、大型の構造物3の免震を行うためには、図4に示すように構造物3の下部に複数設置することにより、優れた免震効果を得ることができる。
 なお、この場合に構造物3のロッキング振動に対する抑制効果を高めるために、各免震装置40の上下方向用減衰機構44は、構造物3の下面の単位面積あたりの減衰容量を構造物下面の内側領域より外周領域で、より大きくなるように不均等に配置する。
 同じく、構造物3のねじり振動に対する抑制効果を高めるための水平方向用減衰機構41は、構造物3の下面における単位面積あたりの減衰容量を構造物3の下面で内側領域より外周領域にて、より大きくなるように不均等に配置する。これにより構造物3は、さらに良好な免震効果が得られる。
 第3実施例は上記第2実施例の変形例で、図5の一部切断構成図に示すように、免震装置45は、基礎2と両側に壁のある架台6との間に水平方向に作用する支柱体10、及び減衰機構41を配置する。この支柱体10は積層ゴム、及び減衰機構41は弾塑性ダンパーとして鋼棒ダンパーなどが用いられる。 
 また、架台6と構造物3との間には上下方向に作用する弾性体38を介挿して構造物3を支持する。さらに、架台6の側面壁と構造物3の両側壁面との間に案内機構43を介挿する。
 この案内機構43は構造物3の水平方向の動きを規制し、上下方向に移動自在に案内するが、案内機構43は積層ゴムを横置きにしたものなどを用いることができる。 
 さらに、架台6と構造物3との間には、前記弾性体38と併設して上下方向に作用する減衰機構44を設置する。なお、この減衰機構44はオイルダンパーや弾塑性ダンパーなどが用いられる。
 また、減衰機構44は構造物3のロッキング振動に対する抑制効果を高めるために、構造物3の下面の単位面積あたりの減衰容量が構造物3の下面で、内側領域より外周領域にて、より大きくなるように不均一に配置して構成する。
 上記構成による作用として、大地震時には基礎2上に配置された水平方向に作用する支持体10及び減衰機構41により、架台6に伝わる水平地震力が減少するので、ロッキング振動を励起する構造物3の水平方向振動が減少する。
 また、水平方向用の減衰機構41を構造物3の下面における単位面積あたりの減衰容量が構造物3の下面で内側領域より、外周領域にてより大きくなるように不均等に配置しているので、ねじりに対する回転減衰力が大きくなり、構造物3のねじり振動に対する抑制効果が高く得られる。
 さらに、架台6と構造物3との間に介挿された案内機構43は、架台6と構造物3との水平方向の相対変位を拘束すると共に、上下方向の動きを円滑にする。また、架台6上に配置された上下方向に作用する弾性体38と減衰機構44は、架台6を介して構造物3に伝わる上下方向の地震力を減少させる。
 この減衰機構44は、構造物3の下面においては単位面積あたりの減衰容量が構造物3の下面で内側領域より外周領域にて、より大きくなるように不均等に配置されているので、減衰機構44を均等に配置した場合より、ロッキング振動に対する減衰効率を高めて、ロッキング振動や複雑な連成振動を効率よく抑制する。
 したがって、大地震時の構造物3に対する水平方向と上下方向の動き、及びロッキング振動などの連成振動を最小限に抑えて、構造物3のロッキング振動とねじり振動に対する減衰力を高めることができるので、それぞれの振動を効率よく抑制して良好な3次元免震性能を発揮する。
 第4実施例は請求項2に係り、図6の一部切断構成図に示すように免震装置46は、基礎2と浮体収容室47の下部との間に水平方向に作用する支持体10、及び減衰機構41を配置する。なお、この支持体10は積層ゴム、減衰機構41は弾塑性ダンパーとして鋼棒ダンパーなどを用いる。
 前記浮体収容室47は、免震対象となる構造物3を内部に収容し、構造物3と間のには水などの液体48を満し、液体48によって構造物3には浮力が作用する。また、構造物3の下部と浮体収容室47との間には上下方向に作用する弾性体38、及び減衰機構44を介挿して、構造物3を上下方向に支持すると共に上下方向の免震を行う。
 構造物3の側面と浮体収容室47の側面との間には案内機構43を介挿し、構造物3の水平方向の動きを規制して上下方向に移動自在に案内する。なお、弾性体38にはコイルスプリングを、減衰機構44はオイルダンパーや弾塑性ダンパーが、また案内機構43は積層ゴムやシアキー構造などを用いる。
 さらに減衰機構41,44は、それぞれ構造物3のロッキング振動及び浮体収容室47のねじり振動に対する減衰抑制効果を高めるために、構造物3の下面、及び浮体収容室47の下面で単位面積あたりの減衰容量が構造物3の下面の内側領域より外周領域にて、より大きくなるように不均一に配置して構成する。
 上記構成による作用として、大地震時には、基礎2上に配置された水平方向に作用する支持体10及び減衰機構41により、浮体収容室47に伝わる水平地震力が抑制されるので、構造物3のロッキング振動を励起する構造物3の水平方向振動が減少する。
 また、水平方向用の減衰機構41を浮体収容室47の下面における単位面積あたりの減衰容量が浮体収容室47の下面で内側領域より外周領域にて、より大きくなるように不均等に配置しているので、ねじりに対する回転減衰力が大きくなり、構造物3のねじり振動に対する抑制効果が高まる。
 さらに、浮体収容室47と構造物3の側面との間に介挿された案内機構43により、浮体収容室47と構造物3との水平方向の相対変位を拘束し、上下方向の動きを円滑にする。また、浮体収容室47上に配置された上下方向に作用する弾性体38と減衰機構44により、構造物3に伝わる上下方向の地震力が減少する。
 この減衰機構44は、構造物3の下面においては単位面積あたりの減衰容量が構造物3の下面で内側領域より外周領域にて、より大きくなるように不均等に配置されているので、減衰機構44を均等に配置した場合よりロッキング振動に対する減衰効率を高め、ロッキング振動や複雑な連成振動が効率よく抑制される。
 さらに、構造物3を浮体収容室47内にて液体48中に浮かばせたことにより、構造物3の自重の一部を浮力に分担させることができるので、構造物3の下部に設置された上下方向に作用する弾性体38には初期負荷が加わらず、許容される変形量に余裕がでてくるため、より大きな地震動に対しても免震効果を発揮できるようになる。
 例えば、上下方向の免震効果を大きくするためには、弾性体38を柔らかくすることにより構造物3の固有振動数を1〜 1.5Hz程度にする必要がある。この場合に、構造物3の自重により初期の沈み込み変位は1Hzで約0.25m、1.5Hzで約0.11mとなり、弾性体38にとっては過大な初期負荷となる。
 しかしながら、本第3実施例では、この構造物3の自重による初期負荷を液体48の浮力に負担させることから、上下方向に作用する弾性体38には地震による変動荷重のみしか作用しなくなるので、弾性体38はより大きな地震動にまで対応できるようになると共に、強度的にも余裕が増して安全性が向上する。
 また、構造物3が地震時に液体48中を上下方向に移動する時に、構造物3には流体減衰力が作用するので、上下方向の振動抑制効果がさらに向上し、これにより、構造物3は良好な3次元的免震が得られる。
 第5実施例は請求項3に係り、図7の一部切断構成図に示すように、免震装置49は基礎2と側面壁を備えた第一の架台50との間に水平方向に作用する支持体10及び減衰機構41を配置する。なお、支持体10は積層ゴムなどで、減衰機構41は弾塑性ダンパーとして鋼棒などを用いる。
 また、前記第一の架台50の側面上部の対向する両端に固定して、滑車51を介して連続した複数のばね線材52を吊り下げるが、このばね線材52は図示しない連結金具を介して十分に長いひと続きとなったばね線材52でもよい。
 また、このばね線材52上に少なくとも両端に2つ以上の滑車53を介して、第二の架台54を支持させると共に、この第二の架台54上には構造物3を設置する。さらに、前記第一の架台50の側壁と第二の架台54のとの間に、上下方向のみに移動を許し水平方向の動きを拘束する案内機構43を介挿して構成する。 
 上記構成によれば、構造物3を設置した第二の架台54の滑車53間に張られた、ばね線材52の水平方向の伸縮により、第二の架台54は上下方向に変位して弾性を有するようになる。
 また、前記第一の架台50の側壁と第二の架台54間に介挿された水平方向の相対的な動きを拘束する案内機構43は、第二の架台54の上下方向の動きをスムーズにしている。 
 したがって、第二の架台54上に搭載した構造物3には、水平方向と上下方向の免震をそれぞれ独立して行わせることにより、良好な3次元的免震性能が得られる。
 すなわち、基礎2上に配置された水平方向に作用する支持体10により、構造物3に伝わる水平方向の地震力を減少させ、第一の架台50に固定したばね線材52が伸縮する弾性変形により第二の架台54に伝わる上下方向の地震力を吸収する。
 さらに、第一の架台50と第二の架台54との間に介挿された案内機構43によって第二の架台54及び構造物3の上下方向の動きを円滑にすると共に、第一の架台50と第二の架台54との間の水平方向の相対的な動きを規制する。
 ばね線材52は第二の架台54の下部で水平方向に引っ張り力が作用し、それを滑車51,53にて上下方向の力に変換している。この構造は、ばね線材52の変形に対して強度的に最も適している引っ張り状態にて使用できる。
 また、第二の架台54及びその上に積載されている構造物3の自重の力に対しても、ばね線材52の変形を十分大きくとることができるので、上下方向の弾性を小さく設定することができ、構造物3の固有振動数を低くできるので、前記の圧縮方向で使用している弾性体38に比べて、より大きな上下方向の免震効果が得られる。
 図8の一部切断構成図は第5実施例の第1の変形例を示し、さらに上下方向の減衰力を得るために、ばね線材52と並列にばね線材52の伸縮方向に作用する減衰機構44aを設けた構成としている。
 また、図9の要部切断構成図は第5実施例の第2の変形例を示したもので、ばね線材52の一端を第一の架台50の中央に固定し、第一の架台50に取り付けた滑車51,51を介して他端を第二の架台54に固定して、第二の架台54を吊り下げる構成である。
 これにより、第二の架台54に上下方向の弾性を与えているので、ばね線材52の動きは第二の架台54の上下の動きに対しては、ばねの伸縮だけとなる。したがって、良好な3次元的免震性能が発揮できる。
 第6実施例は請求項4に係り、図10の一部切断構成図に示すように免震装置55は、地盤1を堀削したピット56の開口上部に渡した上部架台57からワイヤ58により中間架台59を吊り下げる。さらに、この中間架台59の下面には上下免震用のばね60により構造物3を吊り下げて構成する。
 上記構成による作用は、構造物3をワイヤ58で中間架台59に吊り下げることにより振り子構造となっている。したがって、このワイヤ58の長さを調節することにより、上部架台57での地震応答の卓越振動数成分に比べて、振り子の振動数を低く設定することにより、上部架台57における水平方向地震応答と比較して、構造物3での水平方向加速度応答を低減することができる。
 また、上下方向の地震応答については、上部架台57と中間架台59とはほとんど同じ動きをするが、中間架台59の下面と構造物3の間は、上下免震用のばね60により構造物3の上下方向加速度応答を低減することができる。
 第7実施例は請求項5に係り、第6実施例の変形例で、図11の一部切断構成図に示すように免震装置61は、ピット56の開口上部に渡した上部架台57からワイヤ58により中間架台59を吊り下げる。このときに構造物3は上下免震用のばね62を介して中間架台59の上に設置して構成されている。
 上記構成による作用は、前記第6実施例と同様に中間架台59が振り子構造となっているため、水平方向に対する免震効果を有する。特に、免震効果を大きくするためにはワイヤ58を長くする必要がある。
 なお、振り子作用のための上下方向空間が大きく得られない場合にも、構造物3を中間架台59の上に設置することにより、前記第6実施例に比べて上下方向空間を有効に使用することができる。 
 また、中間架台59上面と構造物3との間に挿入した上下免震用のばね62により、構造物3の上下方向加速度の応答が低減できる。
 第8実施例は請求項5に係り、第6実施例の他の変形例で、図12の一部切断構成図に示す免震装置63は、上部架台64の中央に左右に同じ剛性を持つばね65を水平に取り付けると共に、それぞれのばね65の一端にワイヤ58を接続する。
 この水平方向に移動可能なワイヤ58の他端は、上部架台64に取り付けた滑車66を介してピット56内の中間架台59に固定して、構造部3を設置した中間架台59を吊り下げる。さらに、ピット56内では前記中間架台59と構造物3の一部、もしくは全部が液体48中に沈められて構成している。 
 上記構成による作用としては、免震装置63は上記第6実施例と同じように振り子構造となっているため、水平方向に対する免震効果を持つ。
 また上下方向については、上部架台64の中央からそれぞれ左右に取り付けられた同じ剛性を持つばね65が働き、上部架台64における上下方向の振動は、このばね65にて免震されて構造物3に入力される。
 さらに、中間架台59と構造物3の一部、もしくは全部が液体48中にあることから、中間架台59及び構造物3に浮力が発生して、常時ばね65やワイヤ58に加わる中間架台59と構造物3の自重による引っ張り荷重が低減される。
 また、中間架台59と構造物3は液体48中で振動するために、付加質量効果により動的な中間架台59と構造物3の見掛け質量は増加する。このために、同一条件であれば空間中での場合に比べて振動数を低くすることができることから、短いワイヤ58長で同一の固有振動数を実現することができる効果がある。
 第9実施例は請求項5に係り、図13の構成図に示す免震装置67は、基礎2と構造物3の間に介挿して、両端が基礎2と構造物3に取り付けられた剛性K0 を持つばね68と、その両側に静止時に下端は基礎2に接触する。
 また、上端は構造物3とギャップδを有して配置された剛性K1 を持つばね69,70を設置し、このセットを基礎2と構造物3の間に構造物3の自重を均等に受けられるように適宜複数設置して構成する。
 上記構成による作用について説明する。図14の特性曲線図は、前記免震装置67における各ばね68〜70の組み合わせによる荷重と変位の特性を示したもので、これらのばねの組み合わせを1つのセットとする。
 基礎2と構造物3の間に設置した剛性K0 を持つばね68は、下側にギャップδ以内では上下免震ばねとして働く。したがって、構造物3がロッキングを起こすと、両端では大きな上下方向変位が発生して、下側のギャップδを越える可能性がでてくる。
 ここで、ロッキングにより構造物3の一端で下側に変位が発生したと想定すると、ギャップδを越えて剛性K0 を持つばね68が圧縮を受けると、その両側にある剛性K1を持つ上下ばね69,70もばねとして働き始める。これらのばね68〜70の組み合わせによりK0 +2K1 の剛性を持つことになる。
 これはギャップδ以内のときの剛性K0 に比べて硬くなるため、同じ荷重に比べて変位量は小さくなる。すなわち、この点における構造物3のロッキングによる沈み込みは制限を受けることになる。
 また、ロッキングのみならず、大きな地震の入力のために、これらばねの69,70でギャップδを越えて沈み込みが起こった場合にも、ギャップδ以内での剛性K0に比べてK0 +2K1 という大きな剛性になる。これにより、より大きな沈み込みを制限することになる。
 ギャップδを、構造物3側の要求あるいは剛性K0 を持つばね68の応力上の要求のうち、小さい方に若干の余裕を持たせて設定すれば、ギャップδを僅かに越える程度で沈み込みは制限されるので、構造物3側の要求及びばね68の応力上の要求は満足されることになる。
 第10実施例は請求項5に係り、上記第9実施例の変形例で、図15の構成図に示す免震装置71は、基礎2と構造物3の間に両端が基礎2と構造物3に取り付けられた剛性K0を持つばね68を設ける。
 さらに、静止時に下端は基礎2に接触して上端は構造物3と上下両方向にギャップδのストッパー72を介してばね68に近接して配置された剛性2K1 をもつばね73を設置し、このセットを基礎2と構造物3の間に構造物3の自重を均等に受けられるように適宜複数設置して構成する。
 次に上記構成による作用について説明する。図16の特性曲線図は、前記免震装置71における各ばね68,70とストッパー72との組み合わせを、1つのセットとして荷重と変位の特性を示す。
 上記第9実施例と同様に、基礎2と構造物3の間に設置した剛性K0 を持つばね68は、ギャップδ以内では上下方向の免震ばねとして働く。ただし、本第10実施例におけるギャップδは、剛性K0
を持つばね68とセットして配置された上下方向にそれぞれギャップδを持つストッパー72のばね73の影響を受ける。 
 これにより、下側にギャップδを持つだけではなく上側にもギャップδを持つている。
 図17の一部切断拡大構成図に各ばね68,73とストッパー72の組み合わせの詳細を示す。構造物3が静止した状態では、剛性2K1 を持つばね73の上部先端は、ストッパー72内で構造物3の下面に取り付けられた架台74の中間点に位置して、上下のいづれにも接触していない。
 このときストッパー72において、ばね73の上部先端と構造物3の下面、及び架台74の先端までの距離はギャップδに設定されている。構造物3が上下方向に±δの範囲内で振動するときは、ストッパー72と構造物3及び架台74の先端で接触は起こらず、したがって、このばね73は働かない。
 ここで構造物3が上下方向に±δ以上の変位を起こすと、ストッパー72は構造物3または架台74の先端で接触し、このばね73が働き始める。このとき2つのばね68,73で形成されるこれらのセットの剛性はK0+2K1 になる。
 また、構造物3がロッキングを起こすと、その両端では大きな上下方向変位が発生し、ギャップδを越える可能性がでてくる。ここで、ロッキングにより構造物3の一端で下側に変位が発生したと想定とする。この時は当然のことながら、構造物3のもう一端は上側に変位が発生する。
 下側、上側が共にギャップδ内のときは、剛性がK0 のばね68による免震機能が働きく。次に下側のみがギャップδを越えて沈み込むと、この点でK0+2K1 のばね剛性となり、この沈み込みを制限することになる。 
 また、上側のみがギャップδを越えて浮き上がると、この点でK0 +2K1 のばね剛性となり、浮き上がりが制限される。
 さらに、下側がギャップδを越えて沈み込み、かつ上側がギャップδを越えて浮き上がると、両点でK0 +2K1 のばね剛性となり、沈み込み及び浮き上がりが制限されることになる。このときには、ギャップδ以内のときの剛性K0に比べて硬くなるため、同じ荷重に比べて変位量は小さくなる。 
 すなわち、構造物3のロッキングによる沈み込み、または浮き上がりは制限を受けることになる。
 また、ロッキングのみならず、大きな地震入力のためにこれらの複数のばねのセットで、ギャップδを越えて沈み込み、または浮き上がりが起こった場合にも、ギャップδ以内での剛性K0に比べて、K0 +2K1 という大きな剛性になるために、これらの点でより大きな沈み込み、または浮き上がりを制限する。
 したがって、ギャップδを構造物3側の要求、あるいは剛性K0 を持つばね68の応力上の要求のうちで、小さい方に若干の余裕を持たせて設定すれば、ギャップδを僅かに越える程度での沈み込み、または浮き上がりが制限されるので、構造物3側の要求及び剛性K0を持つばね68の応力上の要求は満足される。
 第11実施例は請求項6に係り、図18の構成図に示す免震装置75は、基礎2と構造物3の間に、両端が基礎2と構造物3に取り付けられた剛性K0 を持つばね68と、静止時に引っ張り荷重を受けるように設定した剛性K1を持つばね69をストッパー72aと共に設置し、このセットを基礎2と構造物3の間に構造物3の自重を均等に受けられるように適宜複数設置して構成する。
 上記構成による作用について説明する。図19の一部切断拡大構成図は前記各ばね68,69とストッパー72aとの組み合わせた1つのセットの詳細を示す。ばね69の両端にはそれぞれプレート76,77が取り付けてあり、基礎2から取り付けられた架台78が中間部に設けたプレート79,80のそれぞれ外側で接触している。
 また、このプレート79,80の距離は、ばね69の無負荷時の長さよりも大きくすることにより、静止時にばね69には引っ張り荷重FT が働いている。構造物3には鉛直方向に中央部と先端との2カ所に突起81,82を持つ柱83が取り付けられていて、この突起81は前記プレート76の下側に、また、突起82は前記プレート77の上側と接触して構成されている。
 このように構成されたばね68,69とストッパー72aの組み合わせによる荷重と変位を図20の特性曲線図に示す。例えば上下方向の地震入力により、構造物3が基礎2に対して相対的に上に移動する場合を想定する。
 上下方向の地震入力が小さい場合で、ばね69を引っ張る力がFT 以下のときは、ばね69の長さは変化せず、構造物3と基礎2の距離は静止時と変わらない。 
 しかし、地震入力が大きくなり、ばね69を引っ張る力がFT を越えると、ばね69の引っ張り力を上回るために、突起81はプレート76を引き上げるので、ばね69は機能するようになる。
 このときの、ばね68,69の組み合わせによる剛性はK0 +K1 となる。構造物3が基礎2に対して相対的に下に移動する場合も同様で、ばね69の引っ張り力FTを越えるまでは、ばねとして働かず、FT を越えるとK0 +K1 の剛性を持つばねとして働く。
 したがって、地震入力が小さい場合には免震のばね68が働かず、地震入力が大きい場合にのみばね68が働いて効率的な免震性能を発揮する。すなわち、小さな地震入力に対して免震装置75が働くと、構造物3の応答加速度は入力加速度に対して小さくなるものの、もともと小さいために、それほど低減されない。
 一方、変位は免震装置75が働くことによって増幅され、加速度がそれほど低減されないのであれば、変位が増幅するデメリットのみが問題となる。そこで、応答が設定変位を越えないような小さな地震入力時には、免震装置75の免震機能を働かせなようにすることにより、効率的な免震効果が発揮できる。
 第12実施例は請求項7に係り、図21の一部切断構成図に示すように免震装置84は、構造物3の下面から先端が平板85に連なった支柱86を張り出し、この平板85を囲むように基礎2に固定された架台87を配置する。 
 さらに、基礎2と平板85の間と平板85と架台87の間、また、架台87と構造物3の下面の間にばね剛性Kを持つばね88を、それぞれ1つまたは複数挿入して構成する。
 なお、このばね88の種類としては、コイルばねや皿ばねなどの金属ばねを始めとして、空気ばね、ゴムブロックなどがあり、変位と荷重特性が制御可能で、ばねとしての特性を持つものであればよい。
 上記構成による作用としては、構造物3が例えば下側にδだけ動く場合に、基礎2と平板85の間に置かれたばね剛性Kを持つn個のばね88は圧縮を受けて、その反力として1個当たりKδの力で構造物3を押し上げようとする。 
 また、平板85と架台87の間に置かれたばね剛性Kを持つp個のばね88は、引っ張りを受けて、その反力として1個当たりKδの力で構造物3を押し上げようとする。
 さらに、架台87と構造物3の下面の間に置かれたばね剛性Kを持つq個のばね88は、圧縮を受けてその反力として1個当たりKδの力で構造物3を押し上げようとする。すなわち、(n+p+q)個の剛性Kを持つばね88が、構造物3と基礎2の間に1層で並列に入っているのと同じ作用をする。 
 この並列のばね88を上下方向に多層に配置することにより、1層で並列のばね88を配置する場合に比べて、上下方向の免震ばねを配置する面積を小さくすることが可能となる。
 また、上下方向の免震ばねを多層構造にしたものをユニット化することにより、ユニット数を大幅に減少することができ、各ユニットを設置するときの上下方向の位置合わせ作業が容易となり作業性が向上する。
 第13実施例は請求項7に係り第12実施例の変形例で、図22の一部切断構成図に示す免震装置89は、構造物3の下面から中間部及び先端が複数の平板90に連なった支柱91を張り出し、この複数の平板90を囲む構造を持ち、かつ基礎2に固定された架台92を配置する。
 基礎2と平板90の間、及び平板90と架台92の間、さらに平板90と構造物3の下面の間に、ばね剛性Kを持つばね88をそれぞれ1つ、または複数挿入して構成する。 
 上記構成による作用としては、構造物3が例えば下側にδだけ動く場合に、基礎2と先端の平板90の間に置かれたばね剛性Kを持つn個のばね88は圧縮を受け、その反力として1個当たりKδの力で構造物3を押し上げようとする。 
 また、先端の平板90と下端の架台92の間に置かれたばね剛性Kを持つp個のばね88は引っ張りを受け、その反力として1個当たりKδの力で構造物3を押し上げようとする。
 同様に、下端の架台92と中間の平板90の間で圧縮を受けるばね剛性Kを持つq個のばね88、及び中間の平板90と上部の架台92の間で引っ張りを受けるばね剛性Kを持つr個のばね88、上部架台92と構造物3の下面の間で圧縮を受けるばね剛性Kを持つs個のばね88は、それぞれ1個当たりKδの力で構造物3を押し上げようとする。
 すなわち、(n+p+q+r+s)個のばね剛性Kを持つばね88が構造物3と基礎2の間に1層で並列に入っているのと同じ作用をする。なお、並列のばね88を上下方向に多層に配置することにより、1層で並列のばね88を配置する場合に比べて、上下免震用のばね88を配置する面積を小さくすることが可能となる。
 また、上下免震用のばね88を多層構造にしたものをユニット化することにより、ユニット数を大幅に減らすことができ、各ユニットを設置するときの上下方向の位置合わせが容易で、作業効率が向上する。
 第14実施例は請求項7に係り、第12実施例の変形例で、図23の一部切断構成図に示す免震装置93は、構造物3の下面から複数に分岐した鉛直平板94を張り出し、この鉛直平板94の中央部及び外側に、鉛直に基礎2に固定された架台95を設置する。
 鉛直平板94と架台95の間には、積層ゴムなどの支持体10を横置きにして、それぞれ1つまたは複数個を上下方向に挿入して構成する。 
 上記構成による作用は、構造物3が例えば下側にδだけ動く場合に、複数の鉛直平板94と基礎2に固定された架台95の間に配置されたばね剛性K(δ)を持つ全ての支持体10には、K(δ)×δの荷重が加わっていることになる。
 ここで、剛性K(δ)は、支持体10の荷重と変位の曲線が必ずしも一定の傾きを持つ1本の直線ではなく、変位依存性を明示する。このときに支持体10は、1個当たりK(δ)×δで構造物を押し上げようとする。これにより、上下方向に多層構造にして入れてある各支持体10は、全て並列ばねとして作用することになる。 
 このように、支持体10を上下方向に多層に配置することにより、1層で支持体10を配置する場合に比べて、支持体10を配置する面積を小さくすることが可能となる。
 また、支持体10を多層構造にしたものをユニット化することにより、ユニット数を大幅に減らすことができ、各ユニットを設置するときの上下方向の位置合わせが容易で作業効率が向上する。
 第15実施例は請求項1に係り、図24の構成断面図に示す免震装置96は、構造物3の両側で下部端97,98に相対的に同一の動きをするピストン99, 100を取り付けると共に、これらを内蔵したシリンダー101, 102を基礎2に設置する。
 また、前記シリンダー 101のシリンダーヘッド側空間 103と別のシリンダー 102のシリンダーヘッド反対側空間 104、及び前記シリンダー 101のシリンダーヘッド反対側空間105と別のシリンダー 102のシリンダーヘッド空間 106とを、それぞれパイプ 107, 108で接続して、内部に非圧縮性に近い液体 109を封入して構成する。
 上記構成による作用は、構造物3がロッキング振動を起こそうとして両下部端97,98での上下方向変位に違いが発生すると、これに伴いピストン99とピストン 100の上下方向位置が変化する。
 例えば構造物3が左に回動した場合は、下部端97のピストン99の位置は、下部端98のピストン 100の位置に比べて相対的に下方になる。このときに下部端97のシリンダー101のシリンダーヘッド側空間 103と、下部端98のシリンダー 102のシリンダーヘッド反対側空間 104、及びこれらを結ぶパイプ 107に含まれる。
 この圧縮された液体 109により、下部端97のピストン99には上方に、また下部端98のピストン 100には下方に動かそうとする力が働く。これと同時に下部端97のシリンダーヘッド反対側空間105と下部端98のシリンダーヘッド側空間 106、及びこれらを結ぶパイプ 108に含まれる液体 109は膨脹される。
 この膨脹された液体 109により、下部端97のピストン99は上方に、下部端98のピストン 100には下方に動かそうとする力が働く。 
 したがって、下方に変位していたピストン99は上方に動き、一方、上方に変位していたピストン 100は下方に変位して同一変位において安定する。このために、ピストン99,100に直結されている構造物3の両端の上下方向変位は同じになり、ロッキング振動が防止される。
 第16実施例は請求項8に係り、図25の構成図に示す免震装置 110は、左側リンク 111と右側リンク 112の2本のリンクを、それぞれの中央で回動自由に支持して基礎2に設置すると共に、この2本のリンク111, 112は互いに中央側の一端で連結している。
 この中央側の連結は、それぞれのリンク 111, 112に開けられた楕円孔 113, 114を重ね合わせて、ボルト 115で離反しないように止めている。また、この連結部は楕円孔113, 114であるために遊びがあり、上下方向に変位することが可能である。 
 さらに、左側リンク 111と右側リンク 112の両外端 116,117 は、それぞれ構造物3の両端にばね 118及び減衰機構のダッシュポット 119を介して結合されて構成する。
 上記構成による作用としては、構造物3がロッキング振動を起こそうとして、その両端で上下方向変位に違いが発生すると、ばね 118とダッシュポット 119を介して変位に応じた力が伝わり、2本の左側リンク111と右側リンク 112の両外端 116,117 での位置が変化しようとする。
 例えば図25の点線で示すように構造物3が左に回動した場合は、構造物3下面の左端は下がり、右端は上がることになる。このときに左端に取り付けられたばね 118は圧縮を受けて、左側リンク111の外端 116を押し下げようとする。 
 また、構造物3下面の右端に取り付けられたばね 118は、引っ張りを受けて右側リンク 112の外端 117を引き上げようとする。
 左側リンク 111の左端が下がろうとすることにより、左側リンク 111の右端は上がろうとするが、同時に右側リンク 112の右端が上がろうとすることにより右側リンク112の左端が下がろうとする。しかしながら、左側リンク 111の右端と右側リンク 112の左端は中央側で連結されていることから、中央側での上下方向変位は拘束されて動かない。
 このために、左側リンク 111の左端である外端 116も拘束されて、ばね 118とダッシュポット 119を介して構造物3の左端の沈み込みを制限する。また、右側リンク112の右端である外端 117も拘束されて、ばね 118とダッシュポット 119を介して構造物3の右端の浮き上がりを制限する。これにより、全体としてロッキング振動が制限される。
 一方、構造物3が回動することなく左右均等に上下する場合で、例えば全体が沈み込む場合を想定すると、左側リンク 111の左端と右側リンク 112の右端は同様に下がり、両リンク111, 112の連結部は同様に上がるため、構造物3の動きが拘束されることはない。
 これにより構造物3の下面両端における上下方向変位が同じになり、ロッキング振動が拘束される。このために、構造物3の下面両端における上下免震用ばねの大きな伸縮が制限されるため、ばね118に大きな荷重が加わるのを防ぐことができ、ばね 118の応力設計が容易になり、使用可能なばねの適用範囲が拡大して、より経済的で信頼度の高いばねの使用が可能になる。
本発明に係る第1実施例の免震装置の構成図。 本発明に係る第1実施例のロッキング振動を示す模式図。 本発明に係る第2実施例の免震装置の構成図。 本発明に係る第2実施例の一部切断拡大正面図。 本発明に係る第3実施例の免震装置の一部切断構成図。 本発明に係る第4実施例の免震装置の一部切断構成図。 本発明に係る第5実施例の免震装置の一部切断構成図。 本発明に係る第5実施例の第1変形例を示す一部切断構成図。 本発明に係る第5実施例の第2変形例を示す要部切断構成図。 本発明に係る第6実施例の免震装置の一部切断構成図。 本発明に係る第7実施例の免震装置の一部切断構成図。 本発明に係る第8実施例の免震装置の一部切断構成図。 本発明に係る第9実施例の免震装置の構成図。 本発明に係る第9実施例の荷重と変位の特性曲線図。 本発明に係る第10実施例の免震装置の構成図。 本発明に係る第10実施例の荷重と変位の特性曲線図。 本発明に係る第10実施例の一部切断拡大構成図。 本発明に係る第11実施例の免震装置の構成図。 本発明に係る第11実施例の一部切断拡大構成図。 本発明に係る第11実施例の荷重と変位の特性曲線図。 本発明に係る第12実施例の免震装置の一部切断構成図。 本発明に係る第13実施例の免震装置の一部切断構成図。 本発明に係る第14実施例の免震装置の一部切断構成図。 本発明に係る第15実施例の免震装置の構成断面図。 本発明に係る第16実施例の免震装置の構成図。 従来の第1の免震装置の一部切断構成図。 従来の第2の免震装置の一部切断構成図。 従来の第1の免震装置の正面図。 従来の第3の免震装置の正面図。 従来の第4の免震装置の正面図。 従来の第5の免震装置の正面図。 従来の第6の免震装置の正面図。 従来の第7の免震装置の一部切断正面図。 従来の第8の免震装置の正面図。
符号の説明
 1…地盤、2…基礎、3…構造物、4,5,15,18,20,24,25,29,37,40,45,46,49,55,61,63,67,71,75,84,89,93,96,
110…免震装置、6,74,78,87,92,95…架台、7…免震機構、8…ベアリング、9…支持台、10,16…支持体、11,17,38…弾性体、12…鉄板、13…上端板、14…下端板、19,34…コイルスプリング、21…支持部材、22…ゴム膜、23…空気ばね、26…皿ばね、27…上部ガイド、28…下部ガイド、30…すべり板、31…ボールベアリング、32…台車、33…ガイド軸、35…固定具、36,60,62,65,68,69,70,73,88,118
…ばね、39,41,44,44a…減衰機構、42…構造物支持壁、43…案内機構、47…浮体収容室、48, 109…液体、50…第一の架台、51,53…滑車、52…ばね線材、54…第二の架台、56…ピット、57,64…上部架台、58…ワイヤ、59…中間架台、66…滑車、72,72a…ストッパー、76,77,79,80…プレート、81,82…突起、83…柱、85,90…平板、86,91…支柱、94…鉛直平板、97,98…下部端、99,
100…ピストン、 101, 102…シリンダー、 103, 106…シリンダーヘッド側空間、 104, 105…シリンダーヘッド反対側空間、 107,108
…パイプ、 111…左側リンク、 112…右側リンク、 113, 114…孔、 115…ボルト、 116, 117…リンク外端部、 119…ダッシュポット。

Claims (8)

  1.  基礎上に設置すると共に内蔵するピストンを構造物の両端に取り付けて構造物を支持する一対のシリンダーと、一方のシリンダーのピストンヘッド側空間と他方のピストンヘッド反対側空間、及び一方のピストンヘッド反対側空間と他方のピストンヘッド側空間とをパイプで結合して非圧縮性液体を封入したことを特徴とする免震装置。
  2.  基礎上に水平方向に作用する弾性体及び減衰機構を介して支持されて内部に液体を収容した浮体収容室と、構造物を浮体収容室内に収容して液体に浮遊させると共に、浮体収容室の底部と構造物との間に介挿した上下方向に作用する弾性体及び減衰機構と、浮体収容室側面と構造物側面との間に介挿されて構造物の水平方向の動きを規制すると共に上下方向に移動自在に案内する案内機構とからなることを特徴とする免震装置。
  3.  基礎上に水平方向に作用する弾性体及び減衰機構を介して支持した第一の架台と、この第一の架台の側面上部の対向する両端に固定した連続した複数のばね線材または連結金具を介してひと続きとなった複数のばね線材と、このばね線材に積載した構造物を設置する第二の架台と、この第二の架台と前記第一の架台との側壁間に介挿した上下方向のみに移動して水平方向の動きを拘束する案内機構とからなることを特徴とする免震装置。
  4.  両端を支持された上部架台と、この上部架台からワイヤまたはばねとワイヤを介して吊り下げられて振り子構造を構成する中間架台と、この中間架台の上面または下面に直接またはばねを介して構造物を設置することを特徴とする免震装置。
  5.  基礎上で構造物との間に挿入して構造物を支持するばねが、基礎と構造物間の相対変位が一定値以下では柔らかく、前記一定値を越えると剛くなる荷重変位特性を備えていることを特徴とする免震装置。
  6.  基礎上で構造物との間に挿入して構造物を支持するばねが、一定の荷重以下では変位せず、前記一定の荷重を越えたときに弾性体として働く荷重変位特性を備えていることを特徴とする免震装置。
  7.  構造物の下面あるいは基礎上の片側に設置された支柱と、反対側に設置された架台と、前記支柱と架台あるいはこれらと構造物の下面及び基礎との間に並列に複数の上下方向ばねを設置することを特徴とする免震装置。
  8.  基礎上に設置した中央で回動自由に支持した2本のリンクを中央側で互いに上下方向変位が容易に結合すると共に、それぞれの外側端においてばね及び減衰機構を介して構造物の両端を支持することを特徴とする免震装置。
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