JP2014055338A - 熱交換器用アルミニウム製クラッド板及びその製造方法、ならびに、当該クラッド板を用いたアルミニウム製熱交換器及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウム板の心材と、当該心材の少なくとも一方の面にクラッドされた犠性陽極材層を備える熱交換器用アルミニウム製クラッド板において、前記犠性陽極材層が、Si:0.10〜1.50mass%、Mg:0.10〜2.00mass%%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、前記犠性陽極材層に存在する円相当直径1.0〜10μmのMg−Si系晶出物が30000個/mm2以下であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム製クラッド板及びその製造方法、ならびに、当該クラッド板を用いたアルミニウム製熱交換器及びその製造方法。
【選択図】図1
Description
1−1.構造
本発明に係る熱交換器用アルミニウム製クラッド板を、熱交換器用チューブ材に用いた例を図1に示す。この例は、心材1の一方の面に犠牲陽極材層2を、他方の面にろう材層3クラッドした三層クラッド板10をチューブ材4に成形したものである。クラッド板10は、その犠牲陽極材層2側が外部環境に曝される面となるように、すなわち、チュー材ブ4の外面4Aとなるように偏平状に成形される。ろう材層3を内面とする偏平管内部が、熱交換器に用いる冷却水等の媒体の流路となる。
次に、本発明に係るアルミニウム製クラッド板における各構成材の組成について説明する。
犠牲陽極材層は、Si:0.10〜1.50mass%(以下、単に「%」と記す)、Mg:0.10〜2.00%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなる。すなわち、これらSi及びMgを必須元素とする。Si及びMgは、犠牲陽極材層中にMgとSiを主成分とする微細なMg−Si系析出物を形成する。このMg−Si系析出物は、ろう付後の冷却中や室温においても析出する。
本発明に係るアルミニウム製クラッド板の心材の材質は、アルミニウム材であれば特に限定されるものではない。ここで、アルミニウム材とは、純アルミニウムとアルミニウム合金をいう。純アルミニウムとは、純度99%以上のアルミニウムであって、例えば1000系のアルミニウム材が挙げられる。アルミニウム合金としては、例えばAl−Mn系(3000系)等のアルミニウム材が好適に用いられる。
ろう材層に用いられるアルミニウム材は特に限定されるものではないが、通常のろう付において用いられるAl−Si系合金ろう材が好適に用いられる。例えば、JIS4343、4045、4047の各アルミニウム合金(Al−7〜13%Si)を用いるのが好ましい。
本発明に係るアルミニウム製クラッド板の犠牲陽極材層には、円相当直径1.0〜10μmのMg−Si系晶出物が面密度として30000個/mm2以下存在する。Mg−Si系晶出物とは、基本的にMgとSiが原子個数比2対1で構成されるものである。この晶出物には、犠牲陽極材層に選択的添加元素としてFeやCuが含有される場合には、Mg2Siの他にMg−Si−Fe、Mg−Si−Cuの3元組成や、Mg−Si−Fe−Cuの4元組成も含まれる。
次に、本発明に係る熱交換器用アルミニウム製クラッド板の製造方法について説明する。この製造方法では、犠性陽極材のアルミニウム合金を鋳塊表面の冷却速度が1℃/秒以上で半連続鋳造する半連続鋳造工程と;犠性陽極材の鋳塊を450〜570℃の温度で1時間以上熱処理する均質化処理工程と;を含むことを特徴とする。
半連続鋳造工程において、犠性陽極材のアルミニウム合金の鋳塊表面の冷却速度を1℃/秒以上とする。冷却速度が1℃/秒未満の場合は、犠牲陽極材中に粗大なMg−Si系晶出物が生成し、Mg−Si系晶出物の適切分布が得られない。冷却速度は鋳塊組織を観察し、デンドライトアームスペーシングから算出することができる(軽金属学会研委員会著 「アルミニウムとデンドライトアームスペーシングと冷却速度の測定法」)。ここで鋳塊表面とは、最表面から30mmまでの範囲を言うものとする。
更に、半連続鋳造工程において鋳造された犠性陽極材の鋳塊は、450〜570℃の温度で1時間以上熱処理する均質化処理工程にかけられる。これにより、犠性陽極材における金属組織を均一化するとともに、粗大なMg−Si系の晶出物を再固溶させることができる。熱処理温度が450℃未満の場合や熱処理時間が1時間未満の場合には、金属組織の均一化効果や粗大なMg−Si系晶出物の再固溶効果が十分に得られない。また、熱処理温度が570℃を超えると犠牲陽極材が溶融する場合がある。なお、熱処理時間の上限値は特に限定されるものではないが、経済的な観点などから20時間以下とするのが好ましい。
上述の犠牲陽極材の半連続鋳造工程と均質化処理工程以外の工程については、以下のように通常の工程が採用される。
アルミニウム材の心材は、常法に従ってDC鋳造法等によって鋳造される。心材の鋳塊は、必要に応じて均質化処理と面削を施してその所定の板厚とするか、或いは、熱間圧延や冷間圧延を更に施して所定の板厚とする。
ろう材は、常法に従って連続鋳造法等によって鋳造される。ろう材の鋳塊は、必要に応じて面削、熱間圧延、冷間圧延を施して所定の板厚の圧延板とする。
2層クラッド板の場合には心材鋳塊の一方の面に犠牲陽極材を配し、3層クラッド板の場合は、他方の面に犠牲陽極材鋳塊又はろう材鋳塊を更に配して組み合わせる。次いで、組み合わせ板を、通常のクラッド板製造方法に従って熱間圧延し、更に冷間圧延を施して所定の最終板厚のクラッド板とする。なお、冷間圧延の途中又は前に、中間焼鈍を施してもよい。必要に応じて、最終焼鈍を更に施してもよい。
3−1.構造
本発明に係るアルミニウム製熱交換器は、上記アルミニウム製クラッド板を部材に用いる。例えば図1に示すように、本発明に係る熱交換器用アルミニウム製クラッド板10に曲げ成形を施し、その両端部10A、10Bの重ね合せ部分10Cをろう付け接合して、冷却水などの媒体を流すためのチューブ材(通常は偏平チューブ)として使用する。
本発明に係るアルミニウム製熱交換器では、犠牲陽極材層表面において、Mg濃度が0.10%以上、かつ、Si濃度が0.05%以上の必要がある。本発明では、ろう付後の犠牲陽極材層の表面から所定範囲において微細なMg−Si系析出物が析出していることで耐食性を向上させるものであるが、このような微細なMg−Si系析出物は、ろう付加熱後の冷却中に生成する。このような微細Mg−Si系析出物が所定量析出するには、ろう付後における犠牲陽極材層表面におけるMg濃度が0.10%以上で、Si濃度が0.05%以上であることが必要である。Mg濃度が0.10%未満又はSiの濃度が0.05%未満の場合には、十分な量の微細Mg−Si系析出物が生成されず耐食性の向上効果が得られない。なお、上記Mg濃度とSi濃度の上限値は、犠牲陽極材層に用いるアルミニウム合金のMg含有量とSi含有量に依存するが、Mg濃度については1.0%以下、Si濃度については1.0%以下とするのが好ましい。犠牲陽極材層表面とは表面から深さ方向に10μmまでの範囲をいう。
本発明に係るアルミニウム製熱交換器では、犠牲陽極材層において円相当直径1.0〜10μmのMg−Si系晶出物の面密度を30000個/mm2以下とする。犠牲陽極材表面に粗大なMg−Si系の晶出物が多量に存在すると、腐食の集中を招くために犠牲防食層としての機能が低下する。Mg−Si系晶出物とは、基本的にMgとSiを原子個数比2対1で構成される。この晶出物には、犠牲陽極材層に選択的添加元素としてFeやCuが含有される場合には、Mg2Siの他にMg−Si−Fe、Mg−Si−Cuの3元組成や、Mg−Si−Fe−Cuの4元組成が含まれる。
本発明に係るアルミニウム製熱交換器では、犠牲陽極材層表面から所定の深さ領域に存在する微細なMg−Si系析出物の体積密度を所定範囲に規定する。本発明者らは、本発明に係るアルミニウム製熱交換器のクラッド板の犠牲陽極材層がZnを含有しないにも拘わらず犠牲防食効果を発揮することを見出した。これは、犠牲陽極材層に、母材よりも卑な相や生成物が存在することを示唆するものである。検討の結果、顕微鏡観察では視認するのが難しい極めて微細なMg−Si系析出物が、犠牲防食効果発現の要因であることが判明した。このようなMg−Si系析出物はTEMなどの顕微鏡観察では視認するのが難しいが、175℃で5時間の増感処理を施すことにより顕微鏡観察が容易なサイズの針状のMg−Si系析出物が観察された。このことは、元々存在する極めて微細なMg−Si系析出物が増感処理により大きく成長したものと考えられる。本発明者らの更なる検討により、上記の増感処理後において、犠牲陽極材表面から5μmまでの深さの領域で観察される10〜1000nmの長さを示す針状のMg−Si系析出物の体積密度と犠牲防食効果との間に相関関係があることが判明した。なお、本発明者らの分析によれば、このような微細なMg−Si系析出物の増感処理前の元々の長さは、数nm〜50nmであるものと推定される。
3−1.部材
本発明に係るアルミニウム製熱交換器は、例えば、両端部分をヘッダープレートに取り付けたチューブ材の外面にフィン材を配置して組立てる。次いで、チューブ材の両端重ね合せ部分、フィン材とチューブ材外面、チューブ材の両端とヘッダープレートを1回のろう付け加熱によって同時に接合する。なお、必要に応じてチューブ材の内面にインナーフィンを配置して、これらをろう付してもよい。これらチューブ材、フィン材、ヘッダープレート、インナーフィンの少なくとも一つの部材、好ましくは少なくともチューブ材に、本発明に係る熱交換器用アルミニウム製クラッド板を用いるのが好ましい。
本発明において用いるろう付け方法としては、窒素雰囲気中でフッ化物系フラックスを用いた方法(ノコロックろう付法等)や、真空中や窒素雰囲気中で材料に含有されるMgによりアルミニウム材表面の酸化膜を還元して破壊する方法(真空ろう付、フラックスレスろう付)を用いるのが好ましい。また、ろう付けは、通常590〜610℃の温度で2〜10分間、好ましくは590〜610℃の温度で2〜6分間の加熱によって行なわれる。加熱時間が590℃未満であったり加熱時間が2分未満の場合には、ろう付不良が起こる可能性がある。一方、加熱時間が610℃を超えたり加熱時間が10分を超える場合には、部材が溶融する可能性がある。
ろう付後の冷却速度は、500℃から150℃までを50〜500℃/分とするのが好ましい。この冷却速度が50℃/分未満では、Mg−Si系析出物の析出が進行し過ぎてしまい適切なMg−Si系析出物の分布密度が得られない場合がある。一方、この冷却速度が500℃/分を超えると、Mg−Si系析出物の析出量が少なくなる場合がある。
犠牲陽極材層には、表1に示す組成の合金を用いた。これらの合金を表3、4に示す鋳塊表面冷却速度で半連続鋳造法により鋳造し面削を施した後に、同表に示す均質化処理工程にかけた。更に、犠牲陽極材層用鋳塊を500℃の温度で熱間圧延して所定の板厚の板形状とした。心材には、表2に示す組成の合金を用いた。これらの合金を、半連続鋳造法により鋳造した。心材用鋳塊は、520℃で6時間の均質化処理を行い、所定の厚さに面削した。なお、犠牲陽極材層用鋳塊の板厚及び面削後の心材用鋳塊の厚さは、犠牲陽極材層の片面クラッド率が10%となるように調整した。
なお、表1、2に示す合金成分は、発光分光分析装置を用いて鋳造後の鋳塊を測定したものである。
ろう付加熱前の2層クラッド板試料の犠牲陽極材層からミクロ組織観察用試験片を切出し、厚さ方向の断面におけるMg−Si系の晶出物分布を測定した。SEM(Scanning Electron Microscope)を用い、2500倍の組成像を観察し、任意に5視野選択し、黒く観察されるMg−Si系の晶出物を画像処理により抽出して円相当直径1.0〜10μmの面密度を測定し、5視野の算術平均値を求めた。
ろう付加熱前の2層クラッド板試料をろう付相当の加熱として窒素雰囲気中で600℃の温度で3分間熱処理した。このようにして熱処理した試料について、犠牲陽極材層表面におけるMg及びSiの濃度、ならびに、MgとSiの両方が存在する領域の犠牲陽極材層表面からの深さを、試料の板厚方向の断面をEPMAにより線分析することによって測定した。
ろう付加熱前の2層クラッド板試料を、ろう付相当の加熱として窒素雰囲気中で600℃の温度で3分間熱処理した。このようにして熱処理した試料の犠牲陽極材層からミクロ組織観察用試験片を切出し、厚さ方向の断面におけるMg−Si系の晶出物分布を測定した。SEM(Scanning Electron Microscope)を用い、2500倍の組成像を観察し、任意に5視野選択し、黒く観察されるMg−Si系の晶出物を画像処理により抽出して抽出して円相当直径1.0〜10μmの面密度を測定し、5視野の算術平均値を求めた。
ろう付加熱前の2層クラッド板試料を、ろう付相当の加熱として窒素雰囲気中で600℃の温度で3分間熱処理した。この熱処理した試料を175℃で5時間、更に熱処理した。次いで、犠牲陽極材表面からFIB(Focused Ion Beam)で厚さ100〜200nm程度の試験片を作製した。試料片の表面から5μmまでの深さの領域において、アルミニウムマトリックスの100面に沿って3方向に析出する針状の析出物を、50万倍の倍率で透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて任意に5箇所観察した。各箇所の画像中において、長さ10〜1000nmを有する針状のMg−Si系析出物数を計測した。更に、この針状析出物と直行する点状析出物(針状のものを正面から観察するので点状に見える)のうち直径が100nm以下のものの数も計測し、これらを針状析出物の数と合計したものを、測定体積で割って各観察箇所におけるMg−Si系析出物の体積密度とした。最後に、各観察箇所における体積密度の算術平均値を算出して、試料におけるMg−Si系析出物の体積密度とした。ここで、点状析出物(針状のものを正面から観察するので点状に見える)の数も合計している理由は以下の通りである。すなわち、針状のMg−Si系析出物はアルミニウムマトリックス中の100面に沿って3方向に同様に析出しており、点状に見える析出物も直角方向から見れば長さ10〜1000nmを満たす可能性がある。長さ10nm未満のMg−Si系析出物は透過型電子顕微鏡(TEM)では観察が難しく正面から見ても明確には点として認識・計測できない。長さが1000nmを超える針状のMg−Si系析出物は正面から見た場合、直径が100nmを超えるのでそれは計測から除外した。また、Mg−Si系晶出物が点として見える場合にも直径が200nm以上なのでそれも計測から除外した。
上述のろう付試料の最後の1本について、フィンを剥がした後の状態を観察した。剥がした跡において、良好に接合されていた痕跡があるものを合格とした。フィンとの全ろう付箇所に対する合格箇所の割合(%)を合格率とし、これが80%以上の場合を○、60%以上80%未満の場合を△、60%未満の場合を×とした。
ろう付加熱前の2層クラッド板試料を、ろう付相当の加熱として窒素雰囲気中で600℃の温度で3分間熱処理した。耐食性の評価として、上記熱処理した試料片を用いて、大気曝露環境を模擬したASTM G85に準じたSWAATを1500時間行った。SWAAT試験後において、試験片の表面の腐食生成物を除去し腐食深さを測定した。測定箇所は10箇所とし、それらの最大値をもって腐食深さとした。腐食深さが100μm未満の場合を優良とし、腐食深さが100μm以上110μm以下の場合を良好とし、腐食深さが110μmを超える場合と貫通した場合を不良とした。
更なる耐食性の評価として、水系冷媒環境を模擬した循環サイクル試験を行った。Cl−:195ppm、SO4 2−:60ppm、Cu2+:1ppm、Fe2+:30ppmを含有し温度88℃の水溶液を、上記熱処理した試料片の試験面に対して比液量6mL/cm2、流速2m/秒で8時間流通し、その後、試料片を16時間放置した。このような加熱流通と放置からなるサイクルを3ヶ月間行った。循環サイクル試験後において、試験片の表面の腐食生成物を除去し腐食深さを測定した。測定箇所は10箇所とし、それらの最大値をもって腐食深さとした。腐食深さが100μm未満の場合を優良とし、腐食深さが100μm以上110μm以下の場合を良好とし、腐食深さが110μmを超える場合と貫通した場合を不良とした。なお、心材表面にはマスキングを施し、試験水溶液に触れないようにした。
2・・・犠牲陽極材層
3・・・ろう材層
4・・・チューブ材、チューブ
4A・・・チューブ材の外面
5・・・フィン材
8・・・ヘッダープレート
9・・・模擬コンデンサコア
10・・・アルミニウム製クラッド板
10A・・・アルミニウム製クラッド板の端部
10B・・・アルミニウム製クラッド板の端部
10C・・・アルミニウム製クラッド板の両端部の重ね合せ部分
Claims (9)
- アルミニウム板の心材と、当該心材の少なくとも一方の面にクラッドされた犠性陽極材層を備える熱交換器用アルミニウム製クラッド板において、前記犠性陽極材層が、Si:0.10〜1.50mass%、Mg:0.10〜2.00mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、前記犠性陽極材層に存在する円相当直径1.0〜10μmのMg−Si系晶出物が30000個/mm2以下であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム製クラッド板。
- 前記犠性陽極材層のアルミニウム合金が、Fe:0.05〜1.00mass%、Ni:0.05〜1.00mass%、Cu:0.05〜1.00mass%、Mn:0.05〜1.50mass%、Ti:0.05〜0.30mass%、Zr:0.05〜0.30mass%、Cr:0.05〜0.30mass%及びV:0.05〜0.30mass%から選択される1種以上を更に含有する、請求項1に記載の熱交換器用アルミニウム製クラッド板。
- 前記アルミニウム板の心材の一方の面に犠性陽極材層がクラッドされており、他方の面にろう材層がクラッドされている、請求項1又は2に記載の熱交換器用アルミニウム製クラッド板。
- 前記熱交換器用アルミニウム製クラッド板が熱交換器用チューブ材として用いられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム製クラッド板。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム製クラッド板の製造方法であって、前記犠性陽極材層用のアルミニウム合金を鋳塊表面の冷却速度が1℃/秒以上で半連続鋳造する半連続鋳造工程と;前記犠性陽極材層用の鋳塊を450〜570℃の温度で1時間以上熱処理する均質化処理工程と;を含むことを特徴とする熱交換器用アルミニウム製クラッド板の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム製クラッド板を用いてろう付により組み立てた熱交換器であって、前記犠牲陽極材層表面において、Mg濃度が0.10mass%以上でSi濃度が0.05%mass以上であり、前記犠牲陽極材層表面から30μm以上の深さの領域においてMgとSiの両方が存在し、前記犠牲陽極材層に存在する円相当直径1.0〜10μmのMg−Si系晶出物が30000個/mm2以下であることを特徴とするアルミニウム製熱交換器。
- 175℃で5時間の増感処理後に、前記犠牲陽極材層表面から5μmまでの深さの領域において観察される長さ10〜1000nmのMg−Si系析出物が1000〜50000個/μm3である、請求項6に記載のアルミニウム製熱交換器。
- 請求項6又は7に記載のアルミニウム製熱交換器の製造方法であって、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム製クラッド板を組立てる工程と;組立てた組立て材を590〜610℃で2〜10分間熱処理することによってろう付する工程と;ろう付した組立て材を冷却する冷却工程と;含むことを特徴とするアルミニウム製熱交換器の製造方法。
- 前記冷却工程において、500℃から150℃までの冷却速度を50〜500℃/分とする、請求項8に記載のアルミニウム製熱交換器の製造方法。
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