JP2023078936A - アルミニウム合金製熱交換器 - Google Patents

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真一 中村
Shinichi Nakamura
知樹 山吉
Tomoki YAMAYOSHI
太一 鈴木
Taichi Suzuki
達也 井手
Tatsuya Ide
詔悟 山田
Shogo Yamada
篤 佐治
Atsushi Saji
伸洋 本間
Nobuhiro Homma
陽介 内多
Yosuke Uchida
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Abstract

【課題】Biの添加による耐食性低下を抑制しつつ、Biの添加によるろう付け性向上効果が得られる熱交換器を提供すること。【解決手段】フラックスを用いずに不活性ガス雰囲気中で加熱してろう付け接合してなるアルミニウム合金製熱交換器1である。冷媒通路管2は、心材に犠牲陽極材22をクラッドしたクラッド材からなる。フィン3は、心材にSiとBiを含有するアルミニウム合金からなるろう材をクラッドしたクラッド材からなる。犠牲陽極材22とフィン3とが接触してろう付け接合されている。フィン3の表面の孔食電位Ef、および冷媒通路管2の犠牲陽極材22の表面の孔食電位Esが、式(1)~(3)の関係を有する。孔食電位Ef≧孔食電位Es・・・(1)、孔食電位Es≧-830mV(vs Ag/AgCl)・・・(2)、孔食電位Ef≧-780mV(vs Ag/AgCl)・・・(3)【選択図】図1

Description

本発明は、冷媒通路管とフィンとをフラックスを使わずに不活性ガス中でろう付接合してなるアルミニウム合金製熱交換器に関する。
自動車用熱交換器には、一般に、軽量性と熱伝導性が良好なアルミニウム合金を材料として使用したアルミニウム合金製熱交換器が使用されている。それらの熱交換器は、例えば、アルミニウム合金からなる板材を曲げ加工又はプレス加工により管状に成型した部材を冷媒通路管として用い、当該冷媒通路管とフィン等の部材を所定構造に組み付け、不活性ガス雰囲気中でフッ化物フラックスを用いてろう付け接合する製造方法が広く採用されている。
また、近年の自動車の軽量化に伴い、熱交換器用材料も薄肉化が要求されている。これにより冷媒通路管用板材の高強度化や、薄肉材での成形性、ろう付け性および耐食性確保が課題となってきている。
耐食性に関しては、例えばエバポレータは、使用中に凝縮により生じる結露水によって外面が腐食環境に曝される。またコンデンサは、走行中に融雪塩を含んだロードスプラッシュ等によって同様に外面が腐食環境に曝される。腐食により冷媒通路管に早期に貫通孔が生じた場合、冷媒が漏洩し熱交換器としては機能しなくなるため、冷媒通路管の外面には防食処理を施し熱交換器寿命を伸長させることが一般的である。
冷媒通路管の外面防食法としては、従来、犠牲陽極材としてAl-Zn系合金を外面にクラッドした板材を偏平管状に成形して用いる方法(特許文献1及び2等)や、冷媒通路管に押出多穴管を用いる方法がある。これらの熱交換器においては、一般的に、冷媒通路管の外面に、ろう材をクラッドしたフィン材を用いてろう付け接合する構造が取られる。ろう材をクラッドしたフィン材を用いることにより、冷媒通路管外面に別途準備したろう材を付与することが不要となる。
また、アルミニウム合金のろう付を可能にするには、材料表面の酸化皮膜を破壊することが必要であり、従来より、酸化皮膜を破壊するために、ろう付部にフラックスを供給するのが一般的である。しかし、フラックスを使用することは、その塗布工程、ろう付け後の洗浄工程等が必要であるだけでなく、種々の不都合が確認されている。そのため、フラックスを用いないフラックスフリーろう付け方法が検討されてきている。
フラックスを用いない(フラックスフリー)ろう付け方法としては、例えば、ろう材中に含有されるMg等の酸化皮膜破壊作用を利用して真空雰囲気中で実施する真空ろう付け方法、同じくMg等の酸化皮膜破壊作用を利用して窒素ガス雰囲気などの不活性ガス雰囲気中で実施する方法などが開発されてきている。
不活性ガス中でのフラックスフリーろう付けにおいては、アルミニウム合金クラッド材のろう材にBiを添加することによって、ろう付中の表面の酸化をより抑制することができ、酸素濃度が比較的高い不活性ガス雰囲気中であっても、ろう付性が良好になることが開示されている。
一方、アルミニウム合金においては、Biを含有すると耐食性が悪化することも知られている。フラックスフリーろう付では、ろう付性を向上させるためにろう材にBiを添加することは有効であるが、単純にろう材にBiを含有するだけでは、フィンの自己耐食性がさらに悪化するため、腐食により早期にフィンが消失し、その結果、熱交性能が低下するおそれがある。
特開2004-225061号公報 特開2005-16937号公報
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、Biの添加による耐食性低下を抑制しつつ、Biの添加によるフラックスフリーろう付け性の向上効果が得られる熱交換器、すなわち、不活性ガス雰囲気中でのフラックスフリーろう付けのろう付け性を向上させることができると共に、フィン材の腐食による早期消失を防止して耐食性を向上させることができる、アルミニウム合金製熱交換器を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、冷媒通路管とフィンとをフラックスを用いずに不活性ガス雰囲気中で加熱してろう付け接合してなる、アルミニウム合金製熱交換器であって、
前記冷媒通路管は、アルミニウム合金からなる管用心材の片面にアルミニウム合金からなる犠牲陽極材をクラッドした管用クラッド材からなると共に、前記犠牲陽極材が外面側に露出するように管状に成形されており、
前記フィンは、アルミニウム合金からなるフィン用心材の片面または両面に少なくともSiとBiを含有するアルミニウム合金からなるフィン用ろう材をクラッドしたフィン用クラッド材からなり、
前記冷媒通路管の前記犠牲陽極材と前記フィンとが接触してろう付け接合されており、
前記フィンの表面の5質量%NaCl溶液中における孔食電位Ef、および前記冷媒通路管の前記犠牲陽極材の表面の5質量%NaCl溶液中における孔食電位Esが、下記式(1)~(3)の関係を有する、アルミニウム合金製熱交換器にある。
孔食電位Ef≧孔食電位Es ・・・(1)
孔食電位Es≧-830mV(vs Ag/AgCl) ・・・(2)
孔食電位Ef≧-780mV(vs Ag/AgCl) ・・・(3)
前記熱交換器は、フィン用クラッド材のろう材がBiを含有している。そのため、熱交換器の作製時に、不活性ガス雰囲気中でのフラックスフリーろう付けを実施しても、優れたろう付け性を得ることができる。さらに、前記熱交換器におけるフィンの表面の5質量%NaCl溶液中における孔食電位Efと、冷媒通路の犠牲陽極材の表面の5質量%NaCl溶液中における孔食電位Esとが、式(1)~(3)の関係を有している。後述する実験例において裏付けられるように、この特定の関係をすべて確保することによって、フィンの耐食性、ひいては、熱交換器全体の耐食性を向上させることが可能となる。
実施形態1における、熱交換器の構成を示す説明図。 実施形態1における、管用クラッド材の構成を示す説明図。 実施形態1における、フィン用クラッド材の構成を示す説明図。 実施形態2における、熱交換器の構成を示す説明図。 実験例における、熱交換器試験片の構成を示す説明図。
前記熱交換器における冷媒通路管は、アルミニウム合金からなる心材(管用心材)と、その片面にアルミニウム合金からなる犠牲陽極材をクラッドした管用クラッド材からなると共に、犠牲陽極材が外面側に露出し、犠牲陽極材の反対面が内面側(冷媒通路側)となるように管状に成形されている。冷媒通路管は、その内部に何も設けない構成とすることもできるし、インナーフィンを追加する構成を採用することもできる。
前記管用クラッド材における心材の犠牲陽極材を設けた面と反対側には、何も設けずに心材を露出させた状態としてもよいし、ろう材(管用ろう材)を設けてもよい。ろう材を有する構成を採用した場合、このろう材は、管用クラッド材を管状に成形した際の端部同士のろう付けに用いられることとなる。さらに、インナーフィンを設ける場合に、それを接合するろう材として機能させることもできる。また、管用心材にろう材を設けない場合には、例えば、内部にインナーフィンを設ける構造を採用し、インナーフィンとして心材の両面にろう材を設けたクラッド材を用い、これを冷媒通路管の端部接合部に挟み込む構造とすることによって、インナーフィンと共にろう付け接合された冷媒通路管を得ることができる。その他、冷媒通路管は、様々な形態を採用することができるが、少なくとも、管状に成形された外面に、上述したように犠牲陽極材が存在することが必須である。
前記フィンは、前記構成の冷媒通路管の外面側に組付けられ、ろう付け接合される。このフィンは、アルミニウム合金からなる心材(フィン用心材)と、心材の片面または両面にSiとBiを含有するアルミニウム合金からなるろう材(フィン用ろう材)をクラッドしたフィン用クラッド材からなる。一般的には、波状にコルゲート加工され、山状の頂点部分が冷媒通路管の外表面に当接されて接合される。
前記フィン用クラッド材は、心材の片面のみにろう材を設ける場合と、両面にろう材を設ける場合とがある。少なくとも、フィンがコルゲート加工され、隣り合う2つの冷媒通路管の間に掛け渡されるように配置される場合には、心材の両面にろう材を設けた構成を採用することが好ましく、この場合には、組付け時にフィン用ろう材を冷媒通路管の外表面に当接させた状態とすることができる。
前記熱交換器は、このような冷媒通路管とフィンとを組み付けてフラックスを用いずに不活性ガス雰囲気中で加熱してろう付け接合してなるものである。具体的には、例えば窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気中において、冷媒通路管とフィン及び必要に応じて他の部材を組みつけた熱交換器の組付け体を、例えば、600℃に3分間加熱することによりろう付け接合して、得ることができる。そして、本願の熱交換器は、フィン用ろう材にBiを含有させてあることにより、フラックスフリーであっても優れたろう付け性が得られ、構造的強度にも優れたものとなる。
そして、ろう付け後の状態の熱交換器において、上述したように、フィンのNaCl溶液中における孔食電位Ef、および前記冷媒通路の前記犠牲陽極材の表面の5質量%NaCl溶液中における孔食電位Esが、下記式(1)~(3)の関係を有する。
孔食電位Ef≧孔食電位Es ・・・(1)
孔食電位Es≧-830mV(vs Ag/AgCl) ・・・(2)
孔食電位Ef≧-780mV(vs Ag/AgCl) ・・・(3)
従来、フィン用ろう材中にBiを含有すると、フィンの腐食が早期に発生し、フィンが消失してしまうという不具合が報告されていた。しかし、上記の式(1)~(3)で示された特定の関係をすべて確保するように、各部の孔食電位の関係を厳しく制限することによって、フィン用ろう材中にBiを含有した場合であってもフィンの腐食による早期消失の防止、冷媒通路管の腐食抑制、さらに冷媒通路管とフィンの接合部の腐食を抑制してフィン剥がれを防ぐことが可能となり、熱交換器としての機能を長期にわたり維持することができる。
一方、式(1)~(3)のいずれか1つでも満たさないものがあれば、このような作用効果を得ることが困難となる。より具体的には、式(1)を具備することにより、冷媒通路管は犠牲陽極材による一般的な腐食環境における外面(大気側)の耐食性向上が達成されると共に、冷媒通路管の犠牲陽極材がフィンに対して犠牲陽極効果を発揮し、フィンの早期腐食を抑制する。しかし、式(1)を具備しない場合には、フィンが優先的に腐食し早期に消失するため、熱交換器としての熱交性能が低下してしまう。
また、式(2)を具備することにより、冷媒通路管全体の腐食電位の卑化を抑制し、冷媒通路管の腐食速度の増大を抑制することができ、腐食環境下での冷媒通路の早期腐食や貫通発生を抑制することができる。しかし、式(2)を具備しない場合には、冷媒通路管の自己耐食性が悪化し、犠牲陽極材が腐食により早期に消失することによりフィンの剥がれが生じ、熱交換器としての熱交性能が低下してしまう。
また、式(3)を具備することにより、フィンの犠牲陽極効果を発揮し、長期に亘る冷媒通路の腐食抑制効果を得ることができる。式(3)を具備しない場合には、フィンの自己耐食性が悪化し、フィンが腐食により早期に消失してしまい、熱交換器としての熱交性能が低下する。
上述した式(1)~(3)をすべて具備する構成を得るためには、冷媒通路管とフィンのそれぞれの化学成分組成を適切に調整すると共に、それらの組み合わせを適切に選択することが必要である。それぞれの化学成分組成及び組み合わせとしては、好ましいものを後述するが、実際には、ろう付け後の熱交換器の状態において、各部の孔食電位を測定して、上記特定の関係を具備していることを確認する必要がある。
次に、管用クラッド材及びフィン用クラッド材についてさらに詳説する。
(フィン用クラッド材の心材(フィン用心材))
フィン用心材は、Mn:0.6~2.0質量%、Mg:1.0質量%以下のうち1種または2種を含有するアルミニウム合金からなることが好ましい。
フィン用心材中のMnは、心材の強度を向上させ、心材の孔食電位を貴にすることが期待できる。そのため、フィン用心材には、Mnを0.6~2.0質量%、好ましくは1.0~2.0質量%含有させることが好ましい。フィン用心材のMn含有量が、0.6質量%未満の場合には、Mn含有による上記効果が十分に得られず、また、2.0質量%を超えると、クラッド材の圧延が困難となるおそれがある。
フィン用心材中のMgは、心材の強度を向上させ、ろう付け加熱時に表面に拡散することにより、酸化皮膜の破壊を助長することが期待できるため、Mgを心材に含有させることが好ましい。一方、Mgは、心材の粒界腐食感受性を上げるため、その含有量は、1.0質量%以下に制限することが好ましい。
また、前記フィン用心材は、さらに、Cu:0.2質量%以下を含有することが好ましい。
フィン用心材中のCuは、心材の強度を向上させ、孔食電位を貴にするよう(高くするよう)機能し、冷媒通路との孔食電位のバランス調整のため、Cuを心材に含有させることが好ましい。一方、Cuは、心材の腐食速度を大きくし、粒界腐食感受性も上げるため、その含有量は、0.2質量%以下に制限することが好ましい。
また、前記フィン用心材は、さらに、Si:0.7質量%以下、Fe:0.7質量%以下の1種または2種を含有することが好ましい。
フィン用心材中のSiは、心材の強度を向上させるよう機能するため、Siを心材に含有させることが好ましい。一方、Siは、心材の自己耐食性の悪化と、ろう付中の固相線温度低下によるフィンの溶融を抑制すべく、0.7質量%以下に制限することが好ましい。フィン用心材には、ろう付け中にフィン用ろう材中のSiが拡散してくることにより、元の状態よりもSi濃度が著しく高まり、固相線温度が低下しすぎて、ろう付け中にフィン用心材が溶融するおそれがある。これを回避するために、フィン用心材に含有されているSi含有量を予め低く(0.7質量%以下)しておくことが好ましい。
フィン用心材中のFeは、地金に不純物として含有されることや、材料製造・ろう付時の結晶粒のサイズを調整可能であることにより、その含有を許容することが好ましい。一方、Feは、Al-Fe-Si系やAl-Fe-Mn系の金属間化合物を生成し易く、心材の自己耐食性を低下させる恐れがあるため、その含有量は、0.7質量%以下に制限することが好ましい。
また、前記フィン用心材は、さらに、Zn:1.5質量%以下を含有することができる。
フィン用心材中のZnは、ろう付加熱後のフィン表面の孔食電位を卑にするよう機能し、ろう付加熱後のフィン表面の表面孔食電位を低く維持するとともに、冷媒通路の孔食電位とのバランスを調整するために含有させることができる。一方、フィン用心材の自己耐食性を確保し、長期に亘り熱交換器としての熱交性能を得るためには、Zn含有量を1.5質量%以下に制限することが好ましい。Zn含有量が1.5質量%を超えるとフィンの孔食電位が卑化しすぎ、フィンの自己耐食性が悪化し、フィンが腐食により早期に消失してしまい、熱交換器としての熱交性能が低下するおそれがある。そのため、フィン用心材におけるZn含有量は、より好ましくは1.0質量%以下とするのがよい。
なお、フィン用心材には、本来の効果を損なわない範囲で、それぞれ0.3質量%以下のV、Cr、Zr又はBを含有してもよく、さらに、0.1質量%以下のIn、Snを含有していてもよい。また、その他の不可避的不純物を含有してもよい。
以上により、フィン用心材の化学成分組成は、Mn:0.6~2.0質量%、Mg:1.0質量%以下のうち1種または2種を含有し、以下任意元素として、Cu:0.2質量%以下、Si:0.7質量%以下、Fe:0.7質量%以下、Zn:1.5質量%以下、V:0.3質量%以下、Cr:0.3質量%以下、Zr:0.3質量%以下、B:0.3質量%以下、In:0.1質量%以下、Sn:0.1質量%以下を含有し、その他アルミニウム及び不可避的不純物からなることが好ましい。
(フィン用クラッド材のろう材(フィン用ろう材))
前記フィン用ろう材は、Si:5~13質量%、Bi:0.02~0.50質量%を含有するアルミニウム合金からなることが好ましい。
フィン用ろう材のSiは、固相線温度を低下させろう付中に液相を発生させることができ、その効果を得るために、Si含有量は5~13質量%とすることが好ましい。ろう材のSi含有量が5%未満の場合には、溶融するろう量が不足してろう材としての作用が不十分となり、一方、13質量%を超えると初晶Siが晶出し健全な製造が困難になるおそれがある。
フィン用ろう材のBiは、ろう付中の酸化を抑制し、フラックスを使用しないろう付を可能にする。その効果を十分に得るため、Bi含有量は0.02質量%以上とすることが好ましい。一方、ろう材のBi含有量が、0.50質量%を超えると健全な製造が困難になるおそれがある。
また、前記フィン用ろう材は、さらに、Mg:1.5質量%以下を含有することが好ましい。
フィン用ろう材のMgは、ろう付中の酸化皮膜破壊を助長するために、1.5%以下まで添加することができる。ろう材のMg含有量が、上記範囲を超えると健全な製造が困難になるおそれがある。
なお、フィン用ろう材には、本来の効果を損なわない範囲で、それぞれ0.30質量%以下のFe、Mn、Cu、Cr、Zn、Tiを含有してもよい。また、その他の不可避的不純物を含有してもよい。
以上により、フィン用ろう材の化学成分組成は、Si:5~13質量%、Bi:0.02~0.50質量%を含有し、以下任意元素として、Mg:1.5質量%以下、Fe:0.30%以下、Mn:0.30%以下、Cu:0.30%以下、Cr:0.30%以下、Zn:0.30%以下、Ti:0.30%以下を含有し、その他アルミニウム及び不可避的不純物からなることが好ましい。
(管用クラッド材の心材)
管用クラッド材の心材(管用心材)は、アルミニウム合金からなり、特に限定はされない。一方、強度特性の向上、耐食性の向上、生産性の向上その他の観点から、種々調整したアルミニウム合金を採用することが好ましい。
前記管用心材は、Mn:0.6~2.0質量%、Cu:1.0質量%以下、Mg:1.0質量%以下のうち1種または2種以上含有するアルミニウム合金からなることが好ましい。
管用心材中のMnは、心材の強度を向上させ、心材の孔食電位を貴にする。この効果を適切に得るために、管用心材のMnの含有量は、好ましくは0.6~2.0質量%、より好ましくは1.0~2.0質量%とするのがよい。管用心材のMn含有量が、0.6質量%未満の場合には、上記効果が十分に得られず、一方、2.0質量%を超えると、クラッド材の圧延が困難となるおそれがある。
管用心材中のCuは、心材の強度を向上させ、孔食電位を貴にするよう(高くするよう)機能し、犠牲陽極材との孔食電位のバランス調整のために含有させることができる。一方、管用心材中のCuは、ろう付け加熱時に犠牲陽極材中に拡散することにより、犠牲陽極材との電位差を小さくするとともに、犠牲陽極材の腐食速度を大きくするため、その含有量は、1.0質量%以下に制限することが好ましい。
管用心材中のMgは、心材の強度を向上させ、ろう付け加熱時に表面に拡散することにより、酸化皮膜の破壊を助長するために含有させることができる。一方、管用心材の粒界腐食感受性を上げるため、Mgの含有量は、1.0質量%以下に制限することが好ましい。
また、前記管用心材は、さらに、Si:0.7質量%以下、Fe:0.7質量%以下のうち1種または2種を含有することが好ましい。
管用心材中のSiは、心材の強度を向上させるよう機能するため含有させることが好ましい。一方、管用心材の自己耐食性の悪化を防止するため、Si含有量は、0.7質量%以下に制限することが好ましい。
管用心材中のFeは、地金に不純物として含有されることや、材料製造・ろう付時の結晶粒のサイズを調整可能であることから、その含有を許容することが好ましい。一方、Feは、Al-Fe-Si系やAl-Fe-Mn系の金属間化合物を生成し易く、心材の自己耐食性を低下させる恐れがあるため、その含有量は、0.7質量%以下に制限することが好ましい。
また、前記管用心材は、さらに、Ti:0.01~0.30質量%を含有することが好ましい。
管用心材中のTiは、心材の板厚方向に濃度の高い領域と低い領域とに分かれ、それらが交互に分布する層状となり、Ti濃度の低い領域が高い領域に比べ優先的に腐食する結果、心材の腐食形態を層状にする効果を有し、それにより冷媒通路管の板厚方向への腐食の進行を妨げて耐食性を向上させることが期待できる。この効果を得るため、管用心材のTi含有量は、0.01~0.30質量%とすることが好ましい。管用心材のTi含有量が、0.01質量%未満の場合は、上記効果が十分に得られず、一方、0.30質量%を超えると、巨大な晶出物が生成して冷媒通路管の成形性が害されるおそれがある。
また、管用心材には、本来の効果を損なわない範囲で、それぞれ0.3質量%以下のV、Cr、Zr又はBを含有していてもよい。また、その他の不可避的不純物を含有してもよい。
以上により、管用心材の化学成分組成は、Mn:0.6~2.0質量%、Cu:1.0質量%以下、Mg:1.0質量%以下のうち1種または2種以上含有し、以下任意元素として、Si:0.7質量%以下、Fe:0.7質量%以下、Ti:0.01~0.30質量%を含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物からなることが好ましい。
(管用クラッド材の犠牲陽極材)
前記犠牲陽極材は、Si:0.7質量%以下、Fe:0.7質量%以下、Mn:1.5質量%以下のうち1種または2種以上を含有するアルミニウム合金からなることが好ましい。
犠牲陽極材のSiは、犠牲陽極材の強度を向上させるよう機能するため、含有させることが好ましい。一方、Si含有量が多すぎると、犠牲陽極材の自己腐食速度が増大するため、Si含有量は、0.7質量%以下に制限することが好ましい。
犠牲陽極材のFeは、犠牲陽極材の強度を向上させるよう機能するため、含有させることが好ましい。一方、Fe含有量が多すぎると、犠牲陽極材の自己腐食速度が増大するため、Fe含有量は、0.7質量%以下に制限することが好ましい。
犠牲陽極材のMnは、犠牲陽極材の強度を向上させるよう機能するため、含有させることが好ましい。一方、Mn含有量が多すぎると、犠牲陽極材の自己腐食速度が増大すると共に、犠牲陽極材表面の電位が貴化するおそれがあるため、Mn含有量は、1.5質量%以下に制限することが好ましい。
また、前記犠牲陽極材は、さらに、Zn:4.5質量%以下を含有させることができる。
前記犠牲陽極材のZnは、ろう付加熱後の犠牲陽極材の表面の孔食電位を卑にするよう機能し、ろう付加熱後の犠牲陽極材表面の孔食電位を低く維持するとともに、フィンの孔食電位とのバランスを調整するために含有させることができる。一方、Zn含有量が多すぎると、犠牲陽極材の自己腐食速度が増大しすぎるため、Zn含有量は、4.5質量%以下に制限することが好ましい。より好ましくは、Zn含有量は、3.0質量%以下、さらには2.5質量%以下に制限するのがよい。
また、犠牲陽極材には、本発明の効果を損なわない範囲で、それぞれ0.1質量%以下のIn、Sn、0.3%以下のTi、0.6%以下のMgを含有していてもよく、その他の不可避的不純物を含有してもよい。
以上により、前記犠牲陽極材の化学成分組成は、Si:0.7質量%以下、Fe:0.7質量%以下、Mn:1.5質量%以下のうち1種または2種以上を含有し、任意元素として、Zn:4.5質量%以下を含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物からなることが好ましい。
(管用クラッド材のろう材(管用ろう材))
前記管用クラッド材は、前記管用心材における前記犠牲陽極材をクラッドした面とは反対面に、Si:5.0~13.0質量%を含有するアルミニウム合金よりなる管用ろう材をクラッドしてなることが好ましい。
管用ろう材のSiは、固相線温度を低下させろう付中に液相を発生させることができ、その効果を得るために、Si含有量は、5~13%とすることが好ましい。ろう材のSi含有量が5%未満の場合には、溶融するろう量が不足してろう材としての作用が不十分となり、一方、13質量%を超えると初晶Siが晶出し健全な製造が困難になるおそれがある。
また、前記管用ろう材は、さらに、Mg:1.5質量%以下、Bi:0.02~0.5質量%の1種または2種を含有することができる。
管用ろう材のMgは、ろう付中の酸化皮膜破壊を助長するために、1.5%以下まで添加することができる。ろう材のMg含有量が、上記範囲を超えると健全な製造が困難になるおそれがある。
管用ろう材のBiは、ろう付中の酸化を抑制するために有効でありこの効果を得るために、0.02質量%以上添加することが好ましい。一方、Bi含有量が0.50質量%を超えると健全な製造が困難になるおそれがある。
なお、管用ろう材には、本来の効果を損なわない範囲で、それぞれ0.30質量%以下のFe、Mn、Cu、Cr、Zn、Tiを含有してもよい。また、その他の不可避的不純物を含有してもよい。
以上により、管用ろう材の化学成分組成は、Si:5~13質量%を含有し、以下任意元素として、Bi:0.02~0.50質量%、Mg:1.5質量%以下、Fe:0.30%以下、Mn:0.30%以下、Cu:0.30%以下、Cr:0.30%以下、Zn:0.30%以下、Ti:0.30%以下を含有し、その他アルミニウム及び不可避的不純物からなることが好ましい。
(フィン用クラッド材の寸法)
フィン用クラッド材の厚みは、0.03mm~0.20mmとすることができる。厚みが0.15mm以下の場合、フィン用クラッド材におけるろう材のクラッド率(片面のろう材での値、以下同様。)は、好ましくは7~20%、より好ましくは8~15%である。また、厚みが0.25mmを超える場合、ろう材のクラッド率は、好ましくは5~15%である。
フィン用クラッド材の厚みがいずれの範囲であっても、ろう材のクラッド率が上記下限値未満の場合、ろう付時の流動ろう量が不足し、接合が不十分となるおそれがある。ろう材のクラッド率が、上記上限値を超えると、ろう付時の流動ろう量が過多となり、フィン心材あるいは接合相手材溶融のおそれがある。
(管用クラッド材の寸法)
管用クラッド材の厚みは、0.1mm~1.0mmとすることができる。厚みが0.5mm以下の場合、管用クラッド材における犠牲陽極材のクラッド率は、好ましくは5~30%、より好ましくは10~30%である。また、厚みが0.5mmを超える場合、犠牲陽極材のクラッド率は、好ましくは3~30%である。
管用クラッド材の厚みがいずれの範囲であっても、犠牲陽極材のクラッド率が上記下限値未満の場合、ろう付け時の拡散により、犠牲陽極材中のZn量が低下して犠牲陽極材の表面の孔食電位が高くなるとともに十分な犠牲陽極効果が得難くなるおそれがある。犠牲陽極材のクラッド率が、上記上限値を超えると、管用クラッド材の圧延が困難となるおそれがある。
また、管用クラッド材の犠牲陽極材の反対面に管用ろう材を設ける場合であって、管用クラッド材の厚みが0.5mm以下の場合、ろう材のクラッド率は、好ましくは5~30%、より好ましくは5~20%である。厚みが0.5mmを超える場合、ろう材のクラッド率は、好ましくは3~30%である。
管用クラッド材の厚みがいずれの範囲であっても、ろう材のクラッド率が上記下限値未満の場合、ろう付時には液相不足となり、ろう付性が低下するそれがある。ろう材のクラッド率が、上記上限を超えると、管用クラッド材の圧延が困難となる。
(実施形態1)
アルミニウム合金製熱交換器に係る実施形態について、図1~図3を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態のアルミニウム合金製熱交換器1は、冷媒通路管2とフィン3とを交互に積層して組付けた状態で、フラックスを用いずに不活性ガス雰囲気中で加熱してろう付け接合してなる、アルミニウム合金製熱交換器である。
冷媒通路管2は、図2に示すように、アルミニウム合金からなる管用心材21の片面にアルミニウム合金からなる犠牲陽極材22をクラッドし、その反対面に管用ろう材23をクラッドした管用クラッド材20からなると共に、前記犠牲陽極材が外面側に露出するように管状に成形されている。
フィン3は、アルミニウム合金からなるフィン用心材31の両面に少なくともSiとBiを含有するアルミニウム合金からなるフィン用ろう材32をクラッドしたフィン用クラッド材30からなり、コルゲート加工されて波状形状を呈している。
本例の熱交換器1は、図1に示すように組付けられた状態で、フラックスを塗布せず、不活性ガス雰囲気炉中で600℃の温度で3分間ろう付け加熱され、冷媒通路管2とフィン3の両者が接合されることにより作製される。
(実施形態2)
本実施形態においては、実施形態1における冷媒通路管2を図4に示す冷媒通路管202に変更したものである。すなわち、冷媒通路管202は、前述した管用クラッド材20における管用ろう材23を設けずに、管用心材21と犠牲陽極材22の2層クラッド材(図示省略)を用いて作製した。そして、犠牲陽極材22が外面側に露出するように管状に成形された冷媒通路管202の内部に、心材の両面にろう材をクラッドしたインナーフィン4を装入し、冷媒通路管202の継ぎ目部分によってインナーフィン4を挟持する形態とし、インナーフィン4のろう材により冷媒通路管202がろう付された構成になっている。その他は実施形態1と同様である。
(実験例)
以下、実施形態1の熱交換器の構成を想定して、性能評価用の熱交換器試験片を準備し、各種の評価を行った。
<管用クラッド材の作製>
半連続鋳造により、表1~3に示す化学成分組成を有する犠牲陽極材用合金、心材用合金及びろう材用合金を造塊した。得られた鋳塊のうち、犠牲陽極材用合金およびろう材用合金鋳塊については均質化処理を行わずに、開始温度480℃で熱間圧延して所定厚さとした。心材用合金鋳塊については均質化処理なしあるいは500℃で8時間の均質化処理を行った後、面削して所定厚さとした。
次いで、犠牲陽極材用合金及びろう材用合金の熱間圧延材を面削後、各アルミニウム合金を、表4に示す組み合わせで重ね合わせて、開始温度480℃で3mm厚さまで熱間圧延し、さらに冷間圧延した後、370℃の温度で中間焼鈍を行い、その後、冷間圧延を行って所定厚さの管用クラッド材(試験材1~11)を得た。厚さは、0.2mm又は0.4mmとし、表4に各試験材の厚さを示した。また、それぞれの犠牲陽極材のクラッド率、ろう材のクラッド率も表4に示した。
Figure 2023078936000002
Figure 2023078936000003
Figure 2023078936000004
Figure 2023078936000005
<フィン用クラッド材の作製>
半連続鋳造により表5及び6に示す化学成分組成を有するフィンの心材用合金鋳塊及びろう材用合金鋳塊を造塊し、フィンのろう材用合金鋳塊については均質化処理を行わずに、開始温度480℃で熱間圧延して所定厚さとした。また、フィンの心材用合金鋳塊については均質化処理なしあるいは500℃で8時間の均質化処理を行った後、面削して所定厚さとした。フィンの心材用合金鋳塊の両側にろう材用合金鋳塊を表7に示す組合せで重ね合わせ、開始温度480℃で熱間圧延して所定厚さのクラッド材とした。更に、冷間圧延した後、300℃の温度で中間焼鈍を行い、その後、冷間圧延を行って厚さ0.05~0.07mmのフィン用クラッド材(試験材21~33)を得た。フィン用クラッド材のろう材のクラッド率は、片面当たり10%とした。
Figure 2023078936000006
Figure 2023078936000007
Figure 2023078936000008
<熱交換器試験片の作製>
実施形態1の熱交換器を模擬して、図5に示すように、冷媒通路管としての2枚の管用クラッド材20の犠牲陽極材22同士の間に、コルゲート加工した1つのフィン3を組み付け、フラックスを用いずに不活性ガス雰囲気中で585~630℃で1~30分間のろう付加熱を加え、熱交換器試験片TP(試験片101~131)を作製した。
フラックスフリーろう付けのろう付け性については、フィンを剥がしてフィレットが残存しているか目視にて観察し、すべての試験片において十分なフィレットが残存し、優れたろう付状態が得られていることが確認できた。その後、以下の方法で電位測定、腐食試験を行った。試験片の明細と試験結果は、表8に示す。
<電位測定>
熱交換器試験片TPの孔食電位は、5質量%NaCl水溶液中で室温にて測定した。冷媒通路管(管用クラッド材20)の犠牲陽極材22表面の孔食電位は、犠牲陽極材22側表面以外をマスキングして測定した。フィン3の表面の孔食電位は、フィン3の表面以外をマスキングして測定した。
<腐食試験>
熱交換器試験片TPから、マスキングによりフィン3およびフィン3と接合された犠牲陽極材22面とその接合部のみを露出させた試験片について、SWAAT(ASTM G85に準拠)にて噴霧試験を行って耐食性を評価した。
噴霧試験1000時間経過後の試験片において、フィンの幅方向に向けて圧縮荷重をかけてフィンの潰れ方を観察し、フィンの耐食性を下記基準で判定した。圧縮によりフィンは潰れるが、抵抗が大きく、試験後に押し出されたフィンが破壊・分断されず、フィンの消耗がほとんど進行していないものは「優良」(◎)、圧縮によりフィンが潰れるとともに、試験後に押し出されたフィンが部分的に破壊・分断され、部分的にフィンの消耗が進行しているものは「良」(○)、圧縮によりフィンが押し出されずに破壊・分断され、全体的フィンの消耗が進行しているものは「可」(△)、フィンの消耗や脱落により圧縮評価ができなかったものは「不合格」(×)と評価した。
また、噴霧試験1200時間経過時点で冷媒通路管(管用クラッド材20)の最大孔食深さが0.05mm以下のものを「優良」(◎)、0.05~0.075mmのものを「良」(○)、0.075mmを超えるものの貫通孔が生じなかったものを「可」(△)、貫通孔が生じたものを「不合格」(×)とした。
フィン強度及び最大孔食深さの評価のいずれにおいても、「優良」(◎)を3点、「良」(○)を2点、「可」(△)を1点とし、フィン強度と冷媒通路の最大孔食深さの点数を合計し、総合評価点とした。ただし、一方でも「不合格」(×)があるものについては実用性が無いため不合格とし、総合評価点を0点とした。総合評価において、2点以上のものは、実用的な耐食性を有すると判断し、合格とした。
Figure 2023078936000009
表8に示すように、熱交換器試験片101、102、104、105、107、108、110、111、113、114、116、117、119~131のいずれも、下記式(1)~(3)の関係をすべて満たしており、腐食試験においてフィンの強度が実用上許容できる程度以上に得られ、冷媒通路管に貫通孔を生じなかった。
フィン表面の孔食電位Ef≧犠牲陽極材表面の孔食電位Es ・・・(1)
犠牲陽極材表面の孔食電位Es≧-830mV(vs Ag/AgCl) ・・・(2)
フィン表面の孔食電位Ef≧-780mV(vs Ag/AgCl) ・・・(3)
一方、表8に示すように、比較例となる試験片103、106、109、112、115は冷媒通路の犠牲陽極材表面の孔食電位が-830mVを下回っており、全体の腐食速度が大きくフィンの強度が低下した。試験材118は、さらに、フィン用心材のZn濃度と犠牲陽極材のZn濃度が共に高すぎ、フィンの孔食電位が-780mVを下回り、また犠牲陽極材表面の孔食電位が-830mVを下回ったため、全体の腐食速度が大きく、またフィンの自己腐食速度も大きくなったため、フィンの強度が低下した。
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
1 熱交換器
2、202 冷媒通路管
20 管用クラッド材
21 管用心材
22 犠牲陽極材
3 フィン
30 フィン用クラッド材
31 フィン用心材
32 フィン用ろう材
4 インナーフィン

Claims (14)

  1. 冷媒通路管とフィンとをフラックスを用いずに不活性ガス雰囲気中で加熱してろう付け接合してなる、アルミニウム合金製熱交換器であって、
    前記冷媒通路管は、アルミニウム合金からなる管用心材の片面にアルミニウム合金からなる犠牲陽極材をクラッドした管用クラッド材からなると共に、前記犠牲陽極材が外面側に露出するように管状に成形されており、
    前記フィンは、アルミニウム合金からなるフィン用心材の片面または両面に少なくともSiとBiを含有するアルミニウム合金からなるフィン用ろう材をクラッドしたフィン用クラッド材からなり、
    前記冷媒通路管の前記犠牲陽極材と前記フィンとが接触してろう付け接合されており、
    前記フィンの表面の5質量%NaCl溶液中における孔食電位Ef、および前記冷媒通路管の前記犠牲陽極材の表面の5質量%NaCl溶液中における孔食電位Esが、下記式(1)~(3)の関係を有する、アルミニウム合金製熱交換器。
    孔食電位Ef≧孔食電位Es ・・・(1)
    孔食電位Es≧-830mV(vs Ag/AgCl) ・・・(2)
    孔食電位Ef≧-780mV(vs Ag/AgCl) ・・・(3)
  2. 前記フィン用心材は、Mn:0.6~2.0質量%、Mg:1.0質量%以下のうち1種または2種を含有するアルミニウム合金からなる、請求項1に記載のアルミニウム合金製熱交換器。
  3. 前記フィン用心材は、さらに、Cu:0.2質量%以下を含有する、請求項2に記載のアルミニウム合金製熱交換器。
  4. 前記フィン用心材は、さらに、Si:0.7質量%以下、Fe:0.7質量%以下の1種または2種を含有する、請求項2又は3に記載のアルミニウム合金製熱交換器。
  5. 前記フィン用心材は、さらに、Zn:1.5質量%以下を含有する、請求項2~4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金製熱交換器。
  6. 前記フィン用ろう材は、Si:5~13質量%、Bi:0.02~0.50質量%を含有するアルミニウム合金からなる、請求項1~5のいずれか1項に記載のアルミニウム合金製熱交換器。
  7. 前記フィン用ろう材は、さらに、Mg:1.5質量%以下を含有する、請求項5に記載のアルミニウム合金製熱交換器。
  8. 前記管用心材は、Mn:0.6~2.0質量%、Cu:1.0質量%以下、Mg:1.0質量%以下のうち1種または2種以上含有するアルミニウム合金からなる、請求項1~7のいずれか1項に記載の熱交換器。
  9. 前記管用心材は、さらに、Si:0.7質量%以下、Fe:0.7質量%以下のうち1種または2種を含有する、請求項8に記載のアルミニウム合金製熱交換器。
  10. 前記管用心材は、さらに、Ti:0.01~0.30質量%を含有する、請求項8又は9に記載のアルミニウム合金製熱交換器。
  11. 前記犠牲陽極材は、Si:0.7質量%以下、Fe:0.7質量%以下、Mn:1.5質量%以下のうち1種または2種以上を含有するアルミニウム合金からなる、請求項1~10のいずれか1項に記載のアルミニウム合金製熱交換器。
  12. 前記犠牲陽極材は、さらに、Zn:4.5質量%以下を含有する、請求項11に記載のアルミニウム合金製熱交換器。
  13. 前記管用クラッド材は、前記管用心材における前記犠牲陽極材をクラッドした面とは反対面に、Si:5.0~13.0質量%を含有するアルミニウム合金よりなる管用ろう材をクラッドしてなる、請求項1~14のいずれか1項に記載のアルミニウム合金製熱交換器。
  14. 前記管用ろう材は、さらに、Mg:1.5質量%以下、Bi:0.02~0.50質量%の1種または2種を含有する、請求項13に記載のアルミニウム合金製熱交換器。
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